説明

表面外観検査装置

【課題】検査対象物の表面において濃淡ばらつきと欠陥とが混在する場合であっても、欠陥のみを確実に検出することができる表面外観検査装置を提供する。
【解決手段】表面外観検査装置100に、LEDマトリクス照明1と、CCDカメラ5と、画像処理ユニット6と、を備え、画像処理ユニット6が、基準調光設定値D1を、(1)式を用いて決定し、輝度閾値Lthを(2)式を用いて決定し、(7)式を満たさない場合には、半導体モールドパッケージ200に濃淡ばらつきがあると判断し、画像をm×n個に分割して分割領域を生成し、分割領域毎の平均輝度階調値L1(m,n)meanに基づいて、分割領域毎に調光設定値D2(m,n)を決定し、LEDマトリクス照明1が分割領域毎の調光設定値D2(m,n)で照明光を出射し、CCDカメラ5によって生成された画像データに対して、輝度閾値Lthを用いて2値化処理を行うように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面外観検査装置に関し、特に、画像処理を用いた表面外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は汎用の電子部品であるため、半導体装置をできるだけ廉価で提供することが望まれている。そのため、1個あたりの生産コストを低減するために様々な工夫がなされている。例えば、製造工程を自動化することにより、省力化が図られている。また、部材コストの低減や加工時間の短縮が図られている。また、消耗治具類の保守費用の低減が行われている。
【0003】
さらに、これまで人手で行われてきた外観検査等の官能検査工程も自動化することにより、生産コストを低減することが望まれている。
一般的な表面外観検査装置として、画像処理を用いて、半導体モールドパッケージの表面外観検査を行うものが知られている。このような表面外観検査装置では、パッケージの上面や裏面あるいは側面を検査対象とする。
具体的には、LED(Light Emitting Diode)から検査対象面に光を照射し、検査対象面の画像をCCDカメラで撮影する。なお、CCDカメラで撮影することにより得られた画像データは、画素単位毎に輝度階調値を持つ画像データである。次いで、当該画像データに各種演算フィルタを用いて画像処理を行う。そして、予め設定されている輝度閾値によって、当該画像データに2値化処理を行う。
このようにして、半導体モールドパッケージの表面外観検査を行う。より具体的には、例えば、ボイド等の半導体モールドパッケージの表面の形状上の欠陥(以下、単に、「欠陥」と称する。)を、画像データの輝度階調値の低い部分として検出できるように閾値を設定する。
【0004】
また、このような表面外観検査装置では、CCDカメラで撮影した画像データに基づいて半導体装置の表面の欠陥を検出する。そのため、良品の検査対象面の照明光反射率が面内で均一であり且つばらつきが小さいこと、照明光量が検査対象面の面内で均一で時系列的に変動がないことが、表面外観検査を自動化する上で必要な前提条件となる。
【0005】
しかし、半導体モールドパッケージは、トランスファ成形機のポットへ投入した熱硬化性樹脂タブレットを溶融させながらプランジャで押し込んで樹脂封止金型のランナへ送り出し、キャビティ内へ溶融樹脂を流入させ硬化封止することにより形成される。そのため、半導体モールドパッケージの形状は、樹脂封止金型のキャビティの表面形状によって決定される。これにより、様々な要因により、個々の半導体モールドパッケージの表面の反射率には差が生じやすい。ここで、様々な要因としては、個々の樹脂封止金型の樹脂封止条件、キャビティ表面に焼き付いた樹脂、離型材の状況や金型のメンテナンス履歴による時系列的な変化等が挙げられる。
そのため、予め設定した輝度閾値を用いる場合、半導体モールドパッケージの表面の欠陥を検出しようとする際に、形状上問題がない部分も検出してしまうことがある。
これは、半導体モールドパッケージの表面形状が平坦であっても、半導体モールドパッケージの表面に反射率の異なる領域が存在すると、CCDカメラによって撮影された画像に濃淡ばらつきが発生してしまうためである。濃淡ばらつきが発生すると、CCDカメラによって取得された画像データの輝度階調値から、濃淡ばらつきの暗部と、欠陥との区別がしにくくなるためである。
【0006】
画素単位毎に、CCDカメラによって撮影された画像の輝度階調値の度数をプロットして得られるヒストグラムの形状は、表面が平坦で均一な良品、表面が平坦であるが反射率にばらつきがある(濃淡ばらつきがある)良品、及び表面に欠陥がある不良品で異なっている。
表面が平坦で均一な(濃淡ばらつきのない)良品では、ヒストグラムは、正規分布の釣鐘型のような形状となる。換言すれば、CCDカメラによって撮影された画像において、画素単位毎の輝度階調値に偏りが少ない。
表面が平坦であるが反射率にばらつきがある(濃淡ばらつきがある)良品では、ヒストグラムは、複数の山が連なった形状となる。
表面に欠陥がある不良品では、ヒストグラムは、欠陥がある部分に相当する部分に輝度階調値のかなり低い平たい形状を含む釣鐘型のような形状となる。
【0007】
そのため、予め設定した輝度閾値を用いても、表面が平坦であるが反射率にばらつきがある(濃淡ばらつきがある)良品と、表面に欠陥がある不良品とを容易に識別できる半導体装置の表面外観検査装置の開発が望まれている。
【0008】
特許文献1には、はんだ付部の外観検査を行う外観検査装置が記載されている。特許文献1に記載の外観検査装置は、半球状のドーム形状の照明装置を有している。また、当該照明装置は、当該ドームの内面に複数のLEDが設けられている。そして、当該照明装置により、複数の異なる照射角度で順次はんだ付部に光を照射し、はんだ付部の画像を撮影する。また、各照射角度毎に異なる閾値によって、画像データに2値化処理を行う。これにより、はんだ付部の外観検査を行っている。
【0009】
また、特許文献2には、シェーディング補正を行う画像処理装置が記載されている。具体的には、画像データの複数ビットごとに平均濃度と目標濃度との関係を表す濃度変換テーブルを参照して、入力濃度に応じた出力濃度を生成することにより、シェーディング補正を行っている。
また、画像データの平均濃度を所定時間毎に算出し、前回平均濃度と今回平均濃度との差分に基づく補正量によって、照明装置の光量を補正している。
また、画像データの画素毎に輝度値を時間加算して得られる積算値の平均輝度を算出し、平均輝度と基準平均輝度との差分に基づく補正量によって、画像データの輝度を補正している。
【0010】
また、特許文献3には、IC(Integrated Circuit)の表面を撮影し、画像処理を行った後、ヒストグラムを作成して、欠陥の検出を行う外観検査装置が記載されている。そして、特許文献3に記載の外観検査装置では、何らかの欠陥があると検出された部分のみについて再度ヒストグラムを作成し、ボイド欠陥か擬似欠陥かを区別する。
【0011】
また、特許文献4には、累積濃度分布ヒストグラムと、判定すべき欠陥の面積に相当する画素数とに基づいて閾値を決定し、当該閾値で画像データに2値化処理を行う外観検査方法が記載されている。当該閾値を用いることにより、樹脂表面に濃淡ばらつきがあったとしても、欠陥を安定的に検出するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平10−260140号公報
【特許文献2】特開平08−139986号公報
【特許文献3】特開平11−214464号公報
【特許文献4】特開平06−341962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、撮像デバイスの視野範囲内に検査対象部位が複数あっても、照明装置のドームの内面に設けられた全てのLEDの光軸が交わる基点以外は検査対象部位になりえないという問題がある。換言すれば、当該基点を必ず検査対象部位の位置に合わせる必要がある。そのため、全ての検査対象部位を検査するまでに時間がかかる上、位置合わせの精度が検査能力を左右するという問題がある。
また、撮像デバイスのレンズを交換して光学倍率や焦点距離を変更する場合、照明装置と撮像デバイスの高さ位置を調整し直す必要がある。これは、撮像デバイスの焦点の位置と当該基点の位置とを正確に合わせる必要があるためである。
【0014】
また、特許文献2に記載の技術では、画素毎に輝度値を時間加算して得られる積算値の平均輝度を算出し、平均輝度と基準平均輝度との差分に基づく補正量によって、画像データの輝度を補正している。そのため、基準平均輝度に近づくように、明るい画素は暗く、暗い画素は明るくなるように強制的に補正される。従って、濃淡ばらつきの暗部と表面形状欠陥の暗部は、基準平均輝度に向かって補正される。そのため、輝度閾値で2値化処理を行う際に、濃淡ばらつきと欠陥とを分離することが困難となる。従って、特許文献2に記載の技術では、欠陥を有する不良品と、比較的広範囲にわたる濃淡ばらつきを有する良品とを識別することが困難である。
【0015】
また、特許文献3に記載の技術では、欠陥の周囲に輝度が低い部分がなく、欠陥の縁部形状が画像上に鮮明に現れていることを前提としている。そのため、IC表面に濃淡ばらつきがあり、欠陥の周囲に輝度が低い部分がある場合には、当該欠陥を検出することが困難であるという問題がある。
【0016】
また、特許文献4に記載の技術では、累積濃度分布ヒストグラムに基づいて2値化処理で用いる閾値を自動的に決定する。しかし、欠陥と濃淡ばらつきの暗部とを、濃度で区別することは難しいので、濃淡ばらつきの暗部は、累積濃度分布を作成する時点で欠陥と同等に検出されてしまう。そのため、濃淡ばらつきの暗部と欠陥とを区別することは困難であるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の態様に係る表面外観検査装置は、検査対象物の表面の外観形状を検査する表面外観検査装置である。また、前記表面外観検査装置は、照明部、照明光学系、撮影部、撮影光学系、画像処理制御部を備える。前記照明部は、前記検査対象物の表面に照射する照明光を出射する。前記照明光学系は、前記照明部から出射された照明光を前記検査対象物の表面に導光する。前記撮影部は、前記検査対象物から反射される反射光を検出することにより、前記検査対象物の表面の画像データを生成する。前記撮影光学系は、前記検査対象物から反射された反射光を前記撮影部に導光する。前記画像処理制御部は、前記撮影部により生成された画像データに対して、少なくとも2値化処理を含む所定の画像処理を行う。
また、前記照明光学系の光軸と前記撮影光学系の光軸とは同軸となっている。
また、前記画像処理制御部は、最大調光設定値D0によって特定される最大の照明強度で前記照明部が照明光を出射して、前記撮影部によって生成された良品基準サンプルの表面の画像データから、前記良品基準サンプルの表面の計測領域内の画素の平均の輝度値である平均輝度階調値L0meanと、前記良品基準サンプルの表面の計測領域内の画素の最低の輝度値である最低輝度階調値L0minとを算出する。また、前記画像処理制御部は、輝度階調値の中央値をLcとした場合に、前記照明部から出射される照明光の基準の照明強度を特定する基準調光設定値D1を、下記の(1)式を用いて決定する。
D1=(Lc÷L0mean)×D0 ・・・・・(1)
また、前記画像処理制御部は、前記2値化処理において使用する輝度閾値Lthを、下記の(2)式を用いて決定する。
Lth=0.5×(L0min÷L0mean) ・・・・・(2)
また、前記画像処理制御部は、前記照明部が基準調光設定値D1で照明光を出射して、前記撮影部によって生成された前記検査対象物の表面の画像データから、前記検査対象物の表面の計測領域内の画素の平均の輝度値である平均輝度階調値L1meanと、標準偏差σとを算出する。
また、前記画像処理制御部は、下記の(7)式を満たさない場合には、前記検査対象物に濃淡ばらつきがあると判断し、前記撮影部により撮影された画像をm×n個に分割して分割領域を生成する。
L1mean−3σ>0 ・・・・・(7)
また、前記画像処理制御部は、前記分割領域毎に平均輝度階調値L1(m,n)meanを算出し、当該分割領域毎の平均輝度階調値L1(m,n)meanに基づいて、前記分割領域毎に前記照明部から出射される照明光の照射強度である調光設定値D2(m,n)を決定する。
そして、前記画像処理制御部は、前記照明部が前記分割領域毎の調光設定値D2(m,n)で照明光を出射して、前記撮影部によって生成された前記検査対象物の表面の画像データに対して、前記輝度閾値Lthを用いて2値化処理を行うことにより、前記検査対象物の表面に欠陥があるか否かを判断する。
【0018】
本発明の第1の態様においては、良品基準サンプルの平均輝度階調値L0meanが中央値Lcとなるように、照明部から出射される照明光の照明強度が補正された上で、欠陥検出処理が開始される。また、2値化処理で用いられる輝度閾値Lthが(2)式により決定される。換言すれば、輝度閾値Lthは、良品基準サンプルの最低輝度表面部位の2次反射光の輝度であると仮定して決定される。さらに、欠陥検出処理において、検査対象物の表面に濃淡ばらつきがあるか否かが(7)式を用いて判断される。そして、検査対象物の表面に濃淡ばらつきがある場合には、分割領域毎に調光設定値D2(m,n)が決定される。換言すれば、検査対象物の表面に濃淡ばらつきがある場合には、照明部から出射される照明光の照明強度が分割領域毎に補正される。
これにより、分割領域毎に照明光の照明強度が補正されるとともに、輝度閾値Lthが、良品基準サンプルの最低輝度表面部位の2次反射光の輝度であると仮定して決定されるため、濃淡ばらつきの暗部と欠陥とが輝度閾値Lthを用いて識別することが可能となる。そのため、検査対象物の表面において濃淡ばらつきと欠陥とが混在する場合であっても、欠陥のみを確実に検出することができる。
【0019】
本発明の第2の態様に係る表面外観検査装置は、検査対象物の表面の外観形状を検査する表面外観検査装置である。また、前記表面外観検査装置は、照明部、照明光学系、撮影部、撮影光学系、画像処理制御部、液晶シャッタパネルを備える。前記照明部は、前記検査対象物の表面に照射する照明光を出射する。前記照明光学系は、前記照明部から出射された照明光を前記検査対象物の表面に導光する。前記撮影部は、前記検査対象物から反射される反射光を検出することにより、前記検査対象物の表面の画像データを生成する。前記撮影光学系は、前記検査対象物から反射された反射光を前記撮影部に導光する。前記画像処理制御部は、前記撮影部により生成された画像データに対して、少なくとも2値化処理を含む所定の画像処理を行う。前記液晶シャッタパネルは、前記照明部の発光面を覆うように配置される。
また、前記照明光学系の光軸と前記撮影光学系の光軸とは同軸となっている。
また、前記画像処理制御部は、最大調光設定値D0によって特定される最大の照明強度で前記照明部が照明光を出射し、且つ前記液晶シャッタパネルが最大の開口率である最大開口率Sh0で開口し、前記撮影部によって生成された良品基準サンプルの表面の画像データから、前記良品基準サンプルの表面の計測領域内の画素の平均の輝度値である平均輝度階調値L0meanと、前記良品基準サンプルの表面の計測領域内の画素の最低の輝度値である最低輝度階調値L0minとを算出する。
また、前記画像処理制御部は、輝度階調値の中央値をLcとした場合に、前記液晶シャッタパネルの基準の開口率である基準開口率Sh1を、下記の(10)式を用いて決定する。
Sh1=(Lc÷L0mean)×Sh0 ・・・・・(10)
また、前記画像処理制御部は、前記2値化処理において使用する輝度閾値Lthを、下記の(2)式を用いて決定する。
Lth=0.5×(L0min÷L0mean) ・・・・・(2)
また、前記画像処理制御部は、最大調光設定値D0によって特定される最大の照明強度で前記照明部が照明光を出射し、且つ前記液晶シャッタパネルが前記基準開口率Sh1で開口して、前記撮影部によって生成された前記検査対象物の表面の画像データから、前記検査対象物の表面の計測領域内の画素の平均の輝度値である平均輝度階調値L1meanと、標準偏差σとを算出する。
また、前記画像処理制御部は、下記の(7)式を満たさない場合には、前記検査対象物に濃淡ばらつきがあると判断し、前記撮影部により撮影された画像をm×n個に分割して分割領域を生成する。
L1mean−3σ>0 ・・・・・(7)
また、前記画像処理制御部は、前記分割領域毎に平均輝度階調値L1(m,n)meanを算出し、前記分割領域内に前記計測領域が含まれる場合には、前記分割領域毎に前記液晶シャッタパネルの開口率Sh2(m,n)を、下記の(12)式を用いて決定する。
Sh2(m,n)=Sh1×Lc÷L1(m,n)mean ・・・・・(12)
また、前記画像処理制御部は、最大調光設定値D0によって特定される最大の照明強度で前記照明部が照明光を出射し、且つ前記液晶シャッタパネルが前記分割領域毎に開口率Sh2(m,n)で開口して、前記撮影部によって生成された前記検査対象物の表面の画像データに対して、前記輝度閾値Lthを用いて2値化処理を行うことにより、前記検査対象物の表面に欠陥があるか否かを判断する。
【0020】
本発明の第2の態様においては、良品基準サンプルの平均輝度階調値L0meanが中央値Lcとなるように、液晶シャッタパネルの基準開口率Sh1が決定された上で、欠陥検出処理が開始される。また、2値化処理で用いられる輝度閾値Lthが(2)式により決定される。換言すれば、輝度閾値Lthは、良品基準サンプルの最低輝度表面部位の2次反射光の輝度であると仮定して決定される。さらに、欠陥検出処理において、検査対象物の表面に濃淡ばらつきがあるか否かが(7)式を用いて判断される。そして、検査対象物の表面に濃淡ばらつきがある場合には、分割領域毎に液晶シャッタパネルの開口率Sh2(m,n)が決定される。換言すれば、検査対象物に照射される照明光の照明強度が分割領域毎に補正される。
これにより、分割領域毎に検査対象物に照射される照明光の照明強度が補正されるとともに、輝度閾値Lthが、良品基準サンプルの最低輝度表面部位の2次反射光の輝度であると仮定して決定されるため、濃淡ばらつきの暗部と欠陥とが輝度閾値Lthを用いて識別することが可能となる。そのため、検査対象物の表面において濃淡ばらつきと欠陥とが混在する場合であっても、欠陥のみを確実に検出することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、検査対象物の表面において濃淡ばらつきと欠陥とが混在する場合であっても、欠陥のみを確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態1に係る表面外観検査装置の一例を示すブロック図(図1(a))、本発明の実施の形態1に係るLEDマトリクスの一例を示す平面図(図1(b))である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る表面外観検査装置における外観検査方法の準備段階を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態1に係る表面外観検査装置における外観検査方法の準備段階を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る表面外観検査装置における外観検査方法の準備段階を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る表面外観検査装置における外観検査方法の準備段階を説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る表面外観検査装置における外観検査方法の準備段階を説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る表面外観検査装置における外観検査方法の運用段階を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態1に係る表面外観検査装置における外観検査方法の運用段階を説明する図である。
【図9】本発明の実施の形態1に係る表面外観検査装置における外観検査方法の運用段階を説明する図である。
【図10】本発明の実施の形態1に係る表面外観検査装置における外観検査方法の運用段階を説明する図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係る表面外観検査装置の一例を示すブロック図(図11(a))、本発明の実施の形態2に係るLEDマトリクスの一例を示す平面図(図11(b))である。
【図12】本発明の実施の形態3に係る表面外観検査装置における外観検査方法の運用段階を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明を適用可能な実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
実施の形態1.
図1(a)に、本発明の実施の形態1に係る表面外観検査装置100の構成の一例を示すブロック図を示す。また、図1(b)に、本発明の実施の形態1に係るLEDマトリクスの平面図を示す。
表面外観検査装置100は、図1に示すように、LEDマトリクス照明1(照明部)、照明レンズ群2(照明光学系)、ハーフミラー3、カメラレンズ群4(撮影光学系)、CCDカメラ5(撮影部)、画像処理ユニット6(画像処理制御部)、照明制御ユニット7、入力手段8、表示手段9等を備えている。
また、表面外観検査装置100は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えている。なお、図1において、CPU、RAM、ROMの図示は省略されている。ROMは、表面外観検査装置100の各部を制御するための各種プログラム及び各種データを格納している。そして、CPUは、ROMに格納された各種プログラムを実行し、RAMに展開することにより、表面外観検査装置100の各部を制御する。
【0024】
図1(b)に示すように、LEDマトリクス照明1は、複数のLED(Light Emitting Diode)が平面上にマトリクス状に配置された照明装置である。LEDマトリクス照明1において、複数のLEDがマトリクス状に配置されることにより、照明光の発光面が平坦となる。LEDマトリクス照明1は、照明制御ユニット6から入力される制御信号に従って、各LEDの発光輝度を個別に調節する。
【0025】
照明レンズ群2は、クリティカル照明光学系を構成している。これにより、LEDマトリクス照明1の発光面が検査対象物である半導体モールドパッケージ200(検査対象物)の表面において結像する。従って、LEDマトリクス照明1から出射された照明光の発光面の光量分布を反映して、照明レンズ群2は、半導体モールドパッケージ200に照明光を照射することができる。
例えば、照明レンズ群2は、LEDマトリクス照明1側から順に、第1の照射レンズ21、第2の照射レンズ22、第1の絞り23、第2の絞り24、第3の照射レンズ25等を備えている。また、照明レンズ群2の光軸は、LEDマトリクス照明1の中心と一致している。
そして、照明レンズ群2は、LEDマトリクス1から出射された照明光の発散度合いを調節する。
【0026】
ハーフミラー3は、ハーフミラー3の半導体モールドパッケージ200側の面が、照明レンズ群2の光軸に対して45°となるように、且つ、カメラレンズ群4の光軸に対して45°となるように配置されている。また、ハーフミラー3は、ハーフミラー3の中心が、照明レンズ群2の光軸及びカメラレンズ群4の光軸上となるように配置されている。換言すれば、照明レンズ群2の光軸は、ハーフミラー3を介して、カメラレンズ群4の光軸と直交している。すなわち、照明レンズ群2の光軸と、カメラレンズ群4の光軸とは同軸となっている。
そして、ハーフミラー3は、照明レンズ群2とともに、同軸落射照明系を構成する。
【0027】
カメラレンズ群4は、例えば、半導体モールドパッケージ200側から順に、第1のカメラレンズ41、第2のカメラレンズ42、第3のカメラレンズ43等を備えている。
また、カメラレンズ群4は、無限遠補正光学系を構成している。具体的には、第1のカメラレンズ41は、対物レンズであり、第2のカメラレンズ42は結像レンズである。そのため、半導体モールドパッケージ200をカメラレンズ群4の焦点位置に設置すると、第1のカメラレンズ41と第2のカメラレンズ42との間において、半導体モールドパッケージ200から反射された光は平行光となる。従って、第1のカメラレンズ41と第2のカメラレンズ42との距離は任意に設定することができる。そのため、ハーフミラー3を第1のカメラレンズ41と第2のカメラレンズ42との間の任意の位置に配置することができる。
【0028】
CCDカメラ5は、カメラレンズ群4の光軸と撮像素子51の撮像面の中心とが一致するように配置される。そして、CCDカメラ5は、画像処理ユニット6からの制御信号に従って、画像を撮影する。具体的には、例えば、CCDカメラ5は、画像処理ユニット6から撮影指令トリガが入力されると、画像の撮影を行い、取得した画像データを画像処理ユニット6に入力する。ここで、当該画像データは、画素単位毎に輝度階調値を持つ画像データである。
【0029】
画像処理ユニット6は、CCDカメラ5から入力された画像データに対して、集計演算処理や各種画像フィルタ処理を行う。
また、画像処理ユニット6は、画像処理結果に基づいて、調光設定データ(後述)等の制御信号を生成し、当該制御信号を照明制御ユニット7に入力する。
また、画像処理ユニット6は、入力手段8及び表示手段9と接続されている。そして、画像処理ユニット6は、入力手段8から入力された画像処理の判定基準値や画像フィルタの選択指定に基づいて、画像処理を行う。また、画像処理ユニット6は、画像データに基づく画像を表示手段9に表示させる。また、画像処理ユニット6は、画像処理結果を表示手段9に表示させる。
【0030】
照明制御ユニット7は、画像処理ユニット6から入力される調光設定データ等の制御信号に従って、LEDマトリクス照明1の各LEDの発光輝度を個別に調節するための制御信号を生成し、当該制御信号をLEDマトリクス照明1に入力する。
【0031】
次に、本発明の実施の形態1に係る表面外観検査装置100における外観検査方法について説明する。本発明の実施の形態1に係る表面外観検査装置100における外観検査方法は、準備段階と運用段階とに分けられる。
まず、本発明の実施の形態1に係る表面外観検査装置100における表面外観検査方法の準備段階である閾値決定方法について、図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。当該閾値決定方法では、半導体モールドパッケージ200の良品基準サンプルを撮影して得られる画像データから、運用段階で使用される基準調光設定値D1と、運用段階の2値化処理で使用される輝度閾値Lthを決定する。
【0032】
まず、照明制御ユニット7は、最大調光設定値D0でLEDマトリクス照明1の全てのLEDを均一に点灯させる。これにより、LEDマトリクス照明1は最大の照明強度で照明光を出射する。また、画像処理ユニット6は、CCDカメラ5に良品基準サンプルを撮影させることにより、画像データを取得する(ステップS1)。ここで、当該画像データは、画素単位毎に輝度階調値を持つ画像データである。また、本発明において、照明強度とは、照明光の強度を意味し、光度、輝度、照度など、一般的に光の強度を表す量によって表されるものである。また、最大調光設定値D0は、最大の照明強度を特定するための値である。
【0033】
次に、画像処理ユニット6は、ステップS1で取得した画像データにおいて、検査対象となるモールドパッケージの計測領域に相当するデータを指定する(ステップS2)。
図3(a)に、ステップS1で取得した画像を示す。例えば、図3(a)に示すように、ステップS2において、半導体モールドパッケージ200の検査面201の縁部よりも内側の領域を計測領域202とする。
【0034】
次に、画像処理ユニット6は、ステップS2において指定した計測領域202に相当するデータに基づいて、計測領域202の横軸をx軸、縦軸をy軸とした場合に、座標(i,j)における画素の輝度階調値L0(i,j)を計測領域202全体にわたって集計する。そして、画像処理ユニット6は、平均輝度階調値L0meanと、最低輝度階調値L0minを求める(ステップS3)。
図3(b)に、計測領域202内の画素の輝度階調値L0(i,j)の分布を表すヒストグラムを示す。図3(b)において、横軸は、輝度階調値を示し、縦軸は、度数を示す。ここで、度数とは、当該輝度階調値を有する画素の画素数である。また、図3(b)において、輝度階調値は正の値であり、例えば、8ビット(0〜255)階調で表される。そして、輝度階調値の下限0は黒色、輝度階調値の上限Luは白色である。また、下限0と上限Lu(最大輝度階調値Lu)との中央値をLcとする。
図3(b)に示すように、良品基準サンプルを撮像して得られる画像データの場合、計測領域202の輝度階調値L0(i,j)の分布は、略釣鐘型のような形状となる。そして、当該釣鐘形状の頂点付近に相当する輝度階調値が平均輝度階調値L0meanとなる。また、当該分布の最小値が最低輝度階調値L0minとなる。
【0035】
次に、画像処理ユニット6は、ステップS3において求めた平均輝度階調値L0meanが、中央値Lcとなるように、基準調光設定値D1を決定する(ステップS4)。ここで、基準調光設定値D1は、LEDマトリクス照明1から出射される照明光の基準の照明強度を特定するための値である。
具体的には、下記の(1)式を用いて基準調光設定値D1を決定する。
D1=(Lc÷L0mean)×D0 ・・・・・(1)
これにより、最大調光設定値D0で全てのLEDを均一に点灯させて、LEDマトリクス照明1から良品基準サンプルに照明光を照射させた際の、平均輝度階調値L0meanが、輝度階調範囲の中央値Lcとなるように、運用段階で使用される基準調光設定値D1が決定される。換言すれば、運用段階においては、最大調光設定値D0で全てのLEDを均一に点灯させて、LEDマトリクス照明1から良品基準サンプルに照明光を照射させた際の、平均輝度階調値L0meanが、輝度階調範囲の中央値Lcとなるように、LEDマトリクス照明1の照明が調整される。
【0036】
次に、画像処理ユニット6が、運用段階の2値化処理で使用される輝度閾値Lthを決定する(ステップS5)。当該輝度閾値Lthは、良品基準サンプルの最低輝度部位と、表面の形状上の欠陥(以下、単に、「欠陥」と称する。)と、を識別するために使用される。
具体的には、欠陥の最も単純なモデルは、断面視略V字状の溝であり、当該欠陥の表面は、半導体モールドパッケージ200の表面に対して45°傾斜している。照明レンズ群2の光軸とカメラレンズ群4の光軸とが同軸となっている場合、当該略V字状の欠陥の撮像画像の輝度は、2次反射光の輝度となる。そのため、略V字状の欠陥の輝度が半導体モールドパッケージ200上の欠陥の中で、最大の輝度となる。そのため、略V字状の欠陥の輝度を、良品基準サンプルの最低輝度部位と欠陥とを識別するための輝度閾値Lthとすることができる。
そこで、基準調光設定値D1でLEDマトリクス照明1から半導体モールドパッケージ200に照明光を照射し、半導体モールドパッケージ200の表面から反射される反射光をCCDカメラ5により撮像することにより得られた画像データにおいて輝度が最低となる画素に相当する部位(以下、「最低輝度表面部位」と称する。)の付近に欠陥があると仮定する。そして、当該欠陥において反射する反射光のうち、最も反射回数が少ない反射光(2次反射光)の輝度を輝度閾値Lthとする。2次反射光の輝度は、1次反射光の輝度から1/2の輝度に減衰することから、輝度閾値Lthは、下記の(2)式で表される。
Lth=0.5×(L0min÷L0mean) ・・・・・(2)
よって、ステップS5においては、画像処理ユニット6が、(2)式を用いて、ステップS3において求めた平均輝度階調値L0meanと最低輝度階調値L0minとから、輝度閾値Lthを算出する。
【0037】
以下、(2)式の導出について、詳述する。
まず、CCDカメラ5によって取得される画像データの輝度階調値は、半導体モールドパッケージ200の表面から反射され、CCDカメラ5の撮像素子51に到達した反射光の輝度を反映した値である。そのため、画像データの輝度階調値から半導体モールドパッケージ200の表面の反射率を推定することができる。
そこで、半導体モールドパッケージ200の表面の反射率を、最大調光設定値D0でLEDマトリクス照明1から照明光を照射した場合における、計測領域202内の座標(i,j)における画素の輝度階調値L0(i,j)と、最大輝度階調値Luとの比で定義することができる。すなわち、半導体モールドパッケージ200の表面において、計測領域202内の座標(i,j)における画素に相当する部分の反射率β(i,j)は、下記の(3)式で表される。
β(i,j)=L0(i,j)/Lu ・・・・・(3)
【0038】
図4に、最大調光設定値D0でLEDマトリックス照明1から光を照射した場合に、半導体モールドパッケージ200の最低輝度表面部位101における入射光102と反射光103との関係を模式的に示す。
図4に示すように、入射光102は、最低輝度表面部位101において1回反射して、反射光103が最低輝度表面部位101から出射する。また、最低輝度表面部位101から1回反射される反射光103の輝度は、最低輝度階調L0minと推定することができるので、最低輝度表面部位101の反射率βminは、下記の(4)式で表される。
βmin=L0min/Lu ・・・・・(4)
【0039】
半導体モールドパッケージ200の表面において、欠陥が生じている部位においては入射光がn回反射されるため、欠陥が生じている部位の輝度は、形状がない部位の輝度の1/nに減衰している。
輝度閾値Lthは、欠陥が生じている部位と欠陥が生じていない部位とを識別するための閾値である。本実施の形態に係る輝度閾値Lthを用いることにより、欠陥が生じていないが輝度が比較的低い部位と、欠陥が生じているが輝度が比較的高い部位とを識別することができる。
そこで、輝度閾値Lthを決定するにあたって、良品基準サンプルの最低輝度表面部位と同等の反射率を有する部位に欠陥がある場合を想定する。また、当該部位に入射した入射光が当該欠陥のため2回反射し、当該部位から反射された反射光をCCDカメラ5によって撮像されると仮定する。そして、CCDカメラ5によって撮像された画像データの輝度階調値を輝度閾値Lthとする。
【0040】
図5に、基準調光設定値D1でLEDマトリックス照明1から光を照射した場合に、半導体モールドパッケージ200の最低輝度表面部位101における入射光と反射光との関係を模式的に示す。
図5に示すように、入射光104が最低輝度表面部位101の欠陥のない部位に入射した場合、当該入射光104は、1回反射して、反射光105が最低輝度表面部位101から出射する。
また、入射光104が最低輝度表面部位101の欠陥がある部位108に入射した場合、当該入射光104は、何回か反射して、反射光が最低輝度表面部位101から出射する。例えば、図5に示すように、入射光104が欠陥がある部位108の右端に入射した場合、1次反射光105となり、当該1次反射光105は、欠陥がある部位108の左端に入射して、2次反射光106となり、2次反射光106が最低輝度表面部位101から出射する。同様に、入射光104が欠陥がある部位の中央付近に入射した場合、欠陥がある部位108において何回か反射して、反射光107が最低輝度表面部位101から出射する。従って、欠陥がある部位108から反射される反射光のうち、2次反射光は、反射回数が最も少ない反射光である。
【0041】
ここで、基準調光設定値D1でLEDマトリクス照明1から光を良品基準サンプルに照射した場合に得られる画像データの最低輝度階調Lminは、良品基準サンプルの最低輝度表面部位から反射される1次反射光の輝度である。また、基準調光設定値D1でLEDマトリクス照明1から光を照射した場合の入射光の輝度は、D1÷D0×Luである。そのため、最低輝度階調Lminは、下記の(5)式で表される。
Lmin=βmin×(D1÷D0×Lu)
=(L0min÷Lu)×(D1÷D0×Lu)
=L0min×(D1÷D0) ・・・・・(5)
【0042】
最低輝度表面部位と同等の反射率を有し、且つ、欠陥がある部位で反射された2次反射光の輝度階調値が輝度閾値Lthであるから、輝度閾値Lthは、下記の(6)式で表すことができる。
Lth=βmin×Lmin
=βmin×L0min×(D1÷D0)
=(L0min÷Lu)×L0min×(D1÷D0)
=(L0min÷Lu)×(D1÷D0)
=(L0min÷Lu)×((Lc÷L0mean)×D0÷D0)
=(Lc÷Lu)×(L0min÷L0mean)
=0.5×(L0min÷L0mean) ・・・・・(6)
したがって、輝度閾値Lthは、準備段階において、最大調光設定値D0でLEDマトリクス照明1から光を照射してCCDカメラ5により取得される画像データから算出することができる。
【0043】
なお、準備段階では、基準調光設定値D1及び輝度閾値Lthの他、運用段階の2値化処理後に必要となる不良判定基準値を設定する。不良判定基準値は、欠陥の大きさを判定するための値である。また、不良判定基準値は、入力手段8から入力される値である。
【0044】
図6(a)に、ステップS5において、基準調光設定値D1でLEDマトリクス照明1から半導体モールドパッケージ200に照明光を照射してCCDカメラ5により取得された画像を示す。
また、図6(b)に、基準調光設定値D1でLEDマトリクス照明1から半導体モールドパッケージ200に照明光を照射した場合の、計測領域202内の画素の輝度階調値L1(i,j)の分布を表すヒストグラムを示す。図6(b)において、横軸は、輝度階調値を示し、縦軸は、度数を示す。ここで、度数とは、当該輝度階調値を有する画素の画素数である。また、図6(b)において、輝度階調値は正の値であり、例えば、8ビット(0〜255)階調で表される。そして、輝度階調値の下限0は黒色、輝度階調値の上限Luは白色である。また、下限0と上限Lu(最大輝度階調値Lu)との中央値をLcとする。
図6(b)に示すように、基準調光設定値D1でLEDマトリクス照明1から半導体モールドパッケージ200に照明光を照射した場合、平均輝度階調値L1meanが中央値Lcと同じとなっており、最低輝度階調値L1minよりも輝度閾値Lthは、低い値となっている。
【0045】
次に、本発明の実施の形態1に係る表面外観検査装置100における表面外観検査方法の運用段階である欠陥検出方法について、図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。当該欠陥検出方法では、基準調光設定値D1でLEDマトリクス照明1の全てのLEDを均一に点灯して、CCDカメラ5により半導体モールドパッケージ200の表面を撮影する。また、CCDカメラにより取得された画像データの計測領域202の輝度階調値に統計処理を行う。また、当該統計処理によって半導体モールドパッケージ200の表面の濃淡ばらづきがあるか否かを判定する。そして、当該濃淡ばらつきに応じて、LEDマトリクス照明1の照明強度を部分的に補正する。
【0046】
まず、照明制御ユニット7は、基準調光設定値D1でLEDマトリクス照明1の全てのLEDを均一に点灯させる(ステップS101)。
【0047】
次に、画像処理ユニット6は、CCDカメラ5に半導体モールドパッケージ200を撮影させることにより、画像データを取得する(ステップS102)。ここで、当該画像データは、画素単位毎に輝度階調値を持つ画像データである。
【0048】
次に、画像処理ユニット6は、ステップS102で取得した画像データの計測領域202内の全ての画素の輝度階調値を統計処理することにより、平均輝度階調値L1meanと、標準偏差σを求める(ステップS103)。
【0049】
次に、画像処理ユニット6は、ステップS102で取得した画像データの計測領域202内の画素の輝度分布の形状から、半導体モールドパッケージ200の表面の濃淡ばらつきがあるか否かを判定する(ステップS104)。具体的には、画像処理ユニット6は、平均輝度階調値L1meanと標準偏差σとが、下記の(7)式を満たすか否かに基づいて、半導体モールドパッケージ200の表面の濃淡ばらつきがあるか否かを判定する。
L1mean−3σ>0 ・・・・・(7)
【0050】
半導体モールドパッケージ200の表面に濃淡ばらつきがほとんどない場合、画像データの計測領域202内に相当する画素の輝度階調値には偏りが少ない。そのため、画像データの計測領域202内に相当する画素の輝度分布をヒストグラムで表すと、当該ヒストグラムは、正規分布の釣鐘型のような形状となる。また、半導体モールドパッケージ200の表面に濃淡ばらつきがほとんどない場合、当該半導体モールドパッケージ200の表面に欠陥があったとしても、ヒストグラムの大部分は、正規分布の釣鐘型のような形状となる。
そして、輝度階調値は、黒色を表す下限値「0」から、白色を表す上限値「Lu」までの正の整数で表される。そのため、計測領域内202内に相当する画素の輝度分布が1つの釣鐘型のような形状となっている場合、「L1mean−3σ」の値は正の数となる。
【0051】
一方、半導体モールドパッケージ200の表面の濃淡ばらつきが大きい場合、又は、濃淡ばらつきが発生している部分が半導体モールドパッケージ200の大部分を占める場合、計測領域内202内に相当する画素の輝度分布は、2つ以上の複数の山を連なった形状となる。そのため、「L1mean−3σ」の値は負の数となる。
【0052】
ステップS104において、(7)式を満たす場合(ステップS104;Yes)、すなわち、半導体モールドパッケージ200の表面に濃淡ばらつきがほとんどない場合、ステップS109に進む。
ステップS104において、(7)式を満たさない場合(ステップS104;No)、すなわち、半導体モールドパッケージ200の表面の濃淡ばらつきが大きい場合、又は、濃淡ばらつきが発生している部分が半導体モールドパッケージ200の大部分を占める場合、画像処理ユニット6は、CCDカメラ5によって撮影された撮影画像を分割し、各分割領域の平均輝度階調値L1(m,n)meanを求める(ステップS105)。
ここで、m,nは正の整数であり、分割領域の位置を表す。例えば、本実施の形態では、画像処理ユニット6は、CCDカメラ5によって撮影された撮影画像を縦方向に8個且つ横方向に8個に分割する。換言すれば、CCDカメラ5によって撮影された撮像画像を64分割する。そして、例えば、撮影画像の左上の頂点から横方向(x軸方向)m個目且つ縦方向(y軸方向)n個目の分割領域の位置を(m,n)とする。従って、平均輝度階調値L1(m,n)meanは、撮影画像の左上の頂点から横方向(x軸方向)m個目且つ縦方向(y軸方向)n個目の分割領域の平均輝度階調値である。
【0053】
次に、画像処理ユニット6は、ステップS105における分割領域毎の調光設定値D2(m,n)を決定する(ステップS106)。ここでも、上記と同様に、(m,n)は、各分割領域の位置を表す。従って、調光設定値D2(m,n)は、撮影画像の左上の頂点から横方向(x軸方向)m個目且つ縦方向(y軸方向)n個目の分割領域の調光設定値である。なお、分割領域毎の調光設定値D2(m,n)は、LEDマトリクス照明1から出射される照明光の照明強度を分割領域毎に特定するための値である。
具体的には、分割領域に計測領域202が含まれていない場合、画像処理ユニット6は、下記の(8)式に基づいて、当該分割領域の調光設定値D2(m,n)を決定する。
D2(m,n)=D1 ・・・・・(8)
また、分割領域に計測領域202が含まれる場合、画像処理ユニット6は、下記の(9)式に基づいて、当該分割領域の調光設定値D2(m,n)を決定する。
D2(m,n)=D1×Lc÷L1(m,n)mean ・・・・・(9)
【0054】
換言すれば、分割領域に計測領域202が含まれていない場合、画像処理ユニット6は、各分割領域の調光設定値D2(m,n)を基準調光設定値D1から補正しない。
また、分割領域に計測領域202が含まれる場合、画像処理ユニット6は、輝度階調中央値Lcと当該分割領域の平均輝度階調値L1(m,n)meanとの比率を基準調光設定値D1に乗算して、各分割領域の調光設定値D2(m,n)を補正する。
これにより、半導体モールドパッケージ200の表面の濃淡ばらつきに応じてLEDマトリクス照明1の照明強度を補正することができる。
【0055】
次に、照明制御ユニット7は、分割領域別の調光設定値D2(m,n)でLEDマトリクス照明1のLEDを個別に点灯させる(ステップS107)。
【0056】
次に、画像処理ユニット6は、CCDカメラ5に半導体モールドパッケージ200を撮影させることにより、画像データを取得する(ステップS108)。
【0057】
次に、画像処理ユニット6は、ステップS108において取得された画像データのうち、計測領域202に相当する画像データに対して2値化処理を行う(ステップS109)。具体的には、画像処理ユニット6は、ステップS108において取得された画像データのうち、計測領域202に相当する画素の輝度階調値L2(i,j)が輝度閾値Lthより小さい場合には、当該画素の値を「1」とし、計測領域202に相当する画素の輝度階調値L2(i,j)が輝度閾値Lth以上である場合には、当該画素の値を「0」とする。
【0058】
次に、画像処理ユニット6は、「1」の値を有する画素が連続して存在する部分の大きさが、準備段階において決定された不良判定基準値より大きいか否かに基づいて、半導体モールドパッケージ200の表面の欠陥であるか否かを判断する(ステップS110)。例えば、「1」の値を有する画素が連続して存在する部分の大きさを、当該画素の数で表す。そして、画像処理ユニット6は、「1」の値を有する画素が連続して存在する部分の大きさが不良判定基準値と同じか不良判定基準値より大きい場合には、当該部分は、半導体モールドパッケージ200の表面の欠陥であると判断する。また、画像処理ユニット6は、「1」の値を有するが疎が連続して存在する部分の大きさが不良判定基準値より小さい場合には、当該部分は、半導体モールドパッケージ200の表面の欠陥ではないと判断する。
【0059】
次に、画像処理ユニット6は、ロットNo.が同じ半導体モールドパッケージ200のうち、当該半導体モールドパッケージ200が最後であるか否かを判断する(ステップS111)。
ステップS111において、ロットNo.が同じ半導体モールドパッケージ200のうち、当該半導体モールドパッケージ200が最後でない場合には(ステップS111;No)、ステップS101に戻る。
ステップS111において、ロットNo.が同じ半導体モールドパッケージ200のうち、当該半導体モールドパッケージ200が最後である場合には(ステップS111;Yes)、本処理を終了する。
【0060】
図8(a)は、良品基準サンプルに対して図7のステップS101〜ステップS103を実施して得られた画像である。また、図8(b)は、当該画像の計測領域202内の画素の輝度階調値のヒストグラムである。良品基準サンプルでは、半導体モールドパッケージ200の表面に濃淡ばらつき及び欠陥がない。そのため、図8(b)に示すように、ヒストグラムは、半導体モールドパッケージ200の表面の濃淡輝度の平均値付近を頂点する釣鐘のような分布形状となる。また、濃淡ばらつきが少ないため、「L1mean−3σ」の値は正となる。そのため、図7に示すステップS104において「Yes」となり、ステップS109における2値化処理が行われる。図8(c)に、2値化処理後の画像を示す。また、図8(d)に、2値化処理前の画像の計測領域202内の画素の輝度階調値のヒストグラムを示す。
【0061】
図8(d)に示すように、計測領域202内の全ての画素の輝度階調値が、輝度閾値Lthより大きい。そのため、図8(c)に示すように、2値化処理後の画像の計測領域202内の全ての画素は値「0」を有することとなる。従って、表面外観検査装置100において、当該良品基準サンプルである半導体モールドパッケージ200は、欠陥がない良品と判断される。
【0062】
図9(a)は、濃淡ばらつきがある半導体モールドパッケージ200に対して図7のステップS101〜ステップS103の処理を実施して得られた画像である。また、図9(b)は、当該画像の計測領域202内の画素の輝度階調値のヒストグラムである。濃淡ばらつきがある半導体モールドパッケージ200を撮影した画像では、様々な濃淡輝度値を持つ。そのため、図9(b)に示すように、ヒストグラムは、暗いところから明るいところまでの広い範囲においてノコギリの歯のような分布形状となる。また、濃淡ばらつきがあるため、「L1mean−3σ」の値は負となる。そのため、図7に示すステップS104において「No」となり、ステップS105の処理が行われることとなる。
【0063】
図9(c)は、図7のステップS105の処理が行われた画像である。また、図9(d)は、当該画像の計測領域202内の画素の輝度階調値のヒストグラムである。図9(c)に示すように、ステップS105においては、画像処理ユニット6が、ステップS101〜ステップS103の処理により取得された画像を縦方向に8個且つ横方向に8個に分割する。そして、画像処理ユニット6が、各分割領域の平均輝度階調値L1(m,n)meanを求める。図9(d)に、横方向(x軸方向)6個目且つ縦方向(y軸方向)4個目の分割領域のL1(6,4)meanと、横方向(x軸方向)4個目且つ縦方向(y軸方向)5個目の分割領域のL1(4,5)meanとを示す。
【0064】
そして、図7のステップS106において、画像処理ユニット6が、各分割領域毎に、調光設定値D2(m,n)を決定する。次いで、ステップS107において、照明制御ユニット7が、分割領域別の調光設定値D2(m,n)でLEDマトリクス照明1のLEDを個別に点灯させる。そして、ステップS108において、画像処理ユニット6が、CCDカメラ5に半導体モールドパッケージ200を撮影させることにより、画像データを取得する。
【0065】
図9(e)は、図7のステップS106〜ステップS108の処理を実施して得られた画像である。また、図9(f)は、当該画像の計測領域202内の画素の輝度階調値のヒストグラムである。
そして、図7のステップS109において、図9(e)に示す画像データに対して2値化処理が行われる。
【0066】
図9(g)に、2値化処理後の画像を示す。また、図9(h)に、2値化処理前の画像の計測領域202内の画素の輝度階調値のヒストグラムを示す。
図9(h)に示すように、計測領域202内の全ての画素の輝度階調値が、輝度閾値Lthより大きい。そのため、図9(g)に示すように、2値化処理後の画像の計測領域202内の全ての画素は値「0」を有することとなる。従って、表面外観検査装置100において、当該濃淡ばらつきがある半導体モールドパッケージ200は、欠陥がない良品と判断される。
【0067】
図10(a)は、欠陥がある半導体モールドパッケージ200に対して図7のステップS101〜ステップS103の処理を実施して得られた画像である。また、図10(b)は、当該画像の計測領域202内の画素の輝度階調値のヒストグラムである。欠陥ある半導体モールドパッケージ200では、当該欠陥がある部分における反射光が減衰するため、当該欠陥部分に相当する画素の輝度階調値のみが低くなり、他の部分に相当する画素の輝度階調値は比較的高くほぼ同じ値となる。そのため、図10(b)に示すように、ヒストグラムは、半導体モールドパッケージ200の表面の濃淡輝度の平均値付近を頂点する釣鐘のような分布形状となり、輝度階調値の低い部分が裾を引くような形状となる。また、濃淡ばらつきが少ないため、「L1mean−3σ」の値は正となる。そのため、図7に示すステップS104において「Yes」となり、ステップS109における2値化処理が行われる。図10(c)に、2値化処理後の画像を示す。また、図10(d)に、2値化処理前の画像の計測領域202内の画素の輝度階調値のヒストグラムを示す。
【0068】
図10(d)に示すように、計測領域202内の大部分の画素の輝度階調値が、輝度閾値Lthより大きい。そのため、図10(c)に示すように、2値化処理後の画像の計測領域202内の大部分の画素は、値「0」を有することとなる。また、計測領域202内の一部の画素の輝度階調値は、輝度閾値Lthより小さい。そのため、図10(c)に示すように、2値化処理後の画像の計測領域202内の一部の画素は、値「1」を有することとなる。従って、欠陥の部分に対応する画素のみが「1」を有することとなり、表面外観検査装置100は、欠陥を検出することができる。
【0069】
以上に説明した本発明の実施の形態1に係る表面外観検査装置100によれば、良品基準サンプルの平均輝度階調値L0meanが中央値Lcとなるように、LEDマトリクス照明1から出射される照明光の照明強度が補正された上で、欠陥検出処理が開始される。また、2値化処理で用いられる輝度閾値Lthが(2)式により決定される。換言すれば、輝度閾値Lthは、良品基準サンプルの最低輝度表面部位の2次反射光の輝度であると仮定して決定される。さらに、欠陥検出処理において、半導体モールドパッケージ200の表面に濃淡ばらつきがあるか否かが(7)式を用いて判断される。そして、半導体モールドパッケージ200の表面に濃淡ばらつきがある場合には、分割領域毎に調光設定値D2(m,n)が決定される。換言すれば、半導体モールドパッケージ200の表面に濃淡ばらつきがある場合には、LEDマトリクス照明1から出射される照明光の照明強度が分割領域毎に補正される。
これにより、分割領域毎に照明光の照明強度が補正されるとともに、輝度閾値Lthが、良品基準サンプルの最低輝度表面部位の2次反射光の輝度であると仮定して決定されるため、濃淡ばらつきの暗部と欠陥とが輝度閾値Lthを用いて識別することが可能となる。そのため、半導体モールドパッケージ200の表面において濃淡ばらつきと欠陥とが混在する場合であっても、欠陥のみを確実に検出することができる。
【0070】
また、画像処理ユニット6は、分割領域内に計測領域202が含まれる場合には、分割領域毎にLEDマトリクス照明1から出射される照明光の照射強度である調光設定値D2(m,n)を、上記の(9)式を用いて決定する。
そのため、半導体モールドパッケージ200の表面において、分割領域の平均輝度階調値L1(m,n)meanが中央値Lcとなるように、当該分割領域に照射される照明光の照明強度が補正される。これにより、半導体モールドパッケージ200の表面に濃淡ばらつきがあっても、濃淡ばらつきを反映して、分割領域に照射される照明光の照明強度が補正することができる。そのため、濃淡ばらつきの暗部と欠陥とをより確実に識別することができる。
【0071】
また、LEDマトリクス照明1は、平面上にマトリクス状に配置された複数のLEDを備えている。そして、照明レンズ群2は、LEDマトリクス照明1から出射された照明光を半導体モールドパッケージ200の表面に結像する。
これにより、照明レンズ群2は、LEDマトリクス照明1から出射された照射光の発光面の光量分布を反映して、半導体モールドパッケージ200に照明光を照射することができる。
【0072】
また、カメラレンズ群4は、半導体モールドパッケージ200から反射される反射光を集光する第1のカメラレンズ41と、第1のカメラレンズ41によって集光された反射光をCCDカメラ5の撮像素子51上に結像する第2のカメラレンズ42と、を備えている。そのため、半導体モールドパッケージ200をカメラレンズ群4の焦点位置に設置すると、第1のカメラレンズ41と第2のカメラレンズ42との間において、半導体モールドパッケージ200から反射された光は平行光となる。従って、第1のカメラレンズ41と第2のカメラレンズ42との距離は任意に設定することができる。そのため、ハーフミラー3を第1のカメラレンズ41と第2のカメラレンズ42との間の任意の位置に配置することができる。
【0073】
また、照明レンズ群2の光軸とカメラレンズ群4の光軸とは、ハーフミラー3を介して直交している。これにより、LEDマトリクス照明1の全てのLEDから出射された照明光をカメラレンズ群4の第1のカメラレンズ41によって、半導体モールドパッケージ200の表面に集光することができる。そのため、一度、半導体モールドパッケージ200をカメラレンズ群4の焦点位置に設置すれば、カメラレンズ群4の倍率を変更しても、LEDマトリクス照明1及び照明レンズ群2の位置を変更する必要がない。
【0074】
実施の形態2.
図11に示すように、実施の形態2に係る表面外観検査装置300の構成は、液晶シャッタパネル10を備える点が、実施の形態1に係る表面外観検査装置100と異なる。実施の形態2に係る表面外観検査装置300のその他の構成は、実施の形態1に係る表面外観検査装置100とほぼ同じであるため、同一の符号を使用するとともに、その説明を省略する。
【0075】
液晶シャッタパネル10は、LEDマトリクス照明1の発光面を覆うように配置されている。また、液晶シャッタパネル10は、照明制御ユニット7と接続されている。そして、液晶シャッタパネル10は、照明制御ユニット7から入力される制御信号に従って動作する。
【0076】
照明制御ユニット7は、LEDマトリクス照明1の全てのLEDを均一に点灯させる。また、照明制御ユニット7は、画像処理ユニット6から入力される調光設定データ等の制御信号に従って、液晶シャッタパネル10の開口率を調整するための制御信号を生成し、当該制御信号を液晶シャッタパネル10に入力する。
【0077】
次に、実施の形態2に係る表面外観検査装置300における表面外観検査方法の準備段階である閾値決定方法について、実施の形態1に係る表面外観検査装置100と異なる部分のみについて、説明する。
まず、図2のステップS1において、照明制御ユニット7は、最大調光設定値D0でLEDマトリクス照明1の全てのLEDを均一に点灯させる。また、照明制御ユニット7は、液晶シャッタパネル10を最大開口率Sh0で開口させる。また、画像処理ユニット6は、CCDカメラ5に良品基準サンプルを撮影させることにより、画像データを取得する。
【0078】
また、図2のステップS4において、画像処理ユニット6は、ステップS3において求めた平均輝度階調値L0meanが、中央値Lcとなるように、液晶シャッタパネル10の基準開口率Sh1を決定する。具体的には、下記の(10)式を用いて基準開口率Sh1を決定する。
Sh1=(Lc÷L0mean)×Sh0 ・・・・・(10)
これにより、最大調光設定値D0で全てのLEDを均一に点灯させるとともに、最大開口率Sh0で液晶シャッタパネル10を開口させて、LEDマトリクス照明1から良品基準サンプルに照明光を照射させた際の、平均輝度階調値L0meanが、輝度階調範囲の中央値Lcとなるように、運用段階で使用される基準開口率Sh1が決定される。換言すれば、運用段階においては、最大調光設定値D0で全てのLEDを均一に点灯させるとともに、最大開口率Sh0で液晶シャッタパネル10を開口させて、LEDマトリクス照明1から良品基準サンプルに照明光を照射させた際の、平均輝度階調値L0meanが、輝度階調範囲の中央値Lcとなるように、液晶シャッタパネル10の開口率が調整される。
【0079】
次に、実施の形態2に係る表面外観検査装置300における表面外観検査方法の運用段階である欠陥検出方法について、実施の形態1に係る表面外観検査装置100と異なる部分のみについて、説明する。
図7のステップS106において、画像処理ユニット6は、ステップS105における分割領域毎に液晶シャッタパネル10の開口率Sh2(m,n)を決定する。ここで、実施の形態1と同様に、(m,n)は、各分割領域の位置を表す。従って、開口率Sh2(m,n)は、撮影画像の左上の頂点から横方向(x軸方向)m個目且つ縦方向(y軸方向)n個目の分割領域における液晶シャッタパネル10の開口率である。
【0080】
具体的には、分割領域に計測領域202が含まれていない場合、画像処理ユニット6は、下記の(11)式に基づいて、当該分割領域の開口率Sh2(m,n)を決定する。
Sh2(m,n)=Sh1 ・・・・・(11)
また、分割領域に計測領域202が含まれる場合、画像処理ユニット6は、下記の(12)式に基づいて、当該分割領域の開口率Sh2(m,n)を決定する。
Sh2(m,n)=Sh1×Lc÷L1(m,n)mean ・・・・・(12)
【0081】
換言すれば、分割領域に計測領域202が含まれていない場合、画像処理ユニット6は、各分割領域の開口率Sh2を基準開口率Sh1から補正しない。
また、分割領域に計測領域202が含まれる場合、画像処理ユニット6は、輝度階調中央値Lcと当該分割領域の平均輝度階調値L1(m,n)meanとの比率を基準開口率Sh1に乗算して、各分割領域の開口率Sh2(m,n)を補正する。
【0082】
また、図7のステップS107において、照明制御ユニット7は、最大調光設定値D0でLEDマトリクス照明1のLEDを均一に点灯させるとともに、分割領域別の開口率Sh2(m,n)で液晶シャッタパネル10を開口させる。
【0083】
以上に説明した本発明の実施の形態2に係る表面外観検査装置300によれば、実施の形態1に係る表面外観検査装置100と同様の効果が得られるのは勿論のこと、特に、液晶シャッタパネル10の開口率を制御することにより、半導体モールドパッケージ200に照射される照明光の光量が制御される。そのため、LEDよりも小さい点光源の発光を個別に制御することができるため、LEDマトリクス照明1のLEDの発光を個別に制御する場合に比べて、より細やかに、半導体モールドパッケージ200に照射される照明光の光量を制御することができる。
【0084】
実施の形態3.
図11に示すように、実施の形態3に係る表面外観検査装置の構成は、実施の形態1に係る表面外観検査装置100とほぼ同じであるため、同一の符号を使用するとともに、その説明を省略する。
【0085】
実施の形態3に係る表面外観検査装置における表面外観検査方法の準備段階である閾値決定方法は、実施の形態1に係る表面外観検査装置100と同様であるため、その説明を省略する。
次に、実施の形態3に係る表面外観検査装置における表面外観検査方法の運用段階である欠陥検出方法について、図12に示すフローチャートを参照しながら、説明する。なお、図12のステップS201〜ステップS205及びステップS207〜ステップS211の処理は、それぞれ、図7のステップS101〜ステップS105及びステップS107〜ステップS111の処理と同様であるため、その説明を省略する。
【0086】
次に、画像処理ユニット6は、ステップS205における分割領域毎の調光設定値D2(m,n)を決定する(ステップS206)。ここで、実施の形態1と同様に、(m,n)は、各分割領域の位置を表す。従って、調光設定値D2(m,n)は、撮影画像の左上の頂点から横方向(x軸方向)m個目且つ縦方向(y軸方向)n個目の分割領域の調光設定値である。
具体的には、分割領域に計測領域202が含まれていない場合、画像処理ユニット6は、下記の(13)式に基づいて、当該分割領域の調光設定値D2(m,n)を決定する。
D2(m,n)=D1 ・・・・・(13)
また、分割領域に計測領域202が含まれ、当該分割領域の平均輝度階調値L(m,n)meanが輝度閾値Lthより小さい場合、画像処理ユニット6は、下記の(14)式に基づいて、当該分割領域の調光設定値D2(m,n)を決定する。
D2(m,n)=D1 ・・・・・(14)
また、分割領域に計測領域202が含まれ、当該分割領域の平均輝度階調値L(m,n)meanが輝度閾値Lth以上である場合、画像処理ユニット6は、下記の(15)式に基づいて、当該分割領域の調光設定値D2(m,n)を決定する。
D2(m,n)=D1×Lc÷L1(m,n)mean ・・・・・(15)
【0087】
換言すれば、分割領域に計測領域202が含まれていない場合、画像処理ユニット6は、各分割領域の調光設定値D2(m,n)を基準調光設定値D1から補正しない。
また、分割領域に計測領域202が含まれているが、当該分割領域の平均輝度階調値L1(m,n)meanが輝度閾値Lthより小さい場合、画像処理ユニット6は、各分割領域の調光設定値D2(m,n)を基準調光設定値D1から補正しない。
また、分割領域に計測領域202が含まれており、且つ、当該分割領域の平均輝度階調値L1(m,n)meanが輝度閾値Lth以上である場合、画像処理ユニット6は、輝度階調中央値Lcと当該分割領域の平均輝度階調値L1(m,n)meanとの比率を基準調光設定値D1に乗算して、各分割領域の調光設定値D2(m,n)を補正する。
【0088】
従って、実施の形態3に係る表面外観検査装置では、平均輝度階調値L1(m,n)meanが輝度閾値Lthより小さい分割領域に対する照明を補正しない。そのため、図12のステップS209の2値化処理において、欠陥に相当する画素の輝度階調値L2(i,j)は、より確実に、輝度閾値Lthより小さくなる。そのため、ステップS209の2値化処理によって、欠陥に相当する画素を容易に識別することができる。換言すれば、半導体モールドパッケージ200の表面に濃淡ばらつきと欠陥との両方がある場合に、濃淡ばらつきの反射率が低い部位(画像データの輝度階調値が低い部位)を検出せずに、欠陥のみを検出することができる。
換言すれば、濃淡ばらつきの暗部は、良品基準サンプルの最低輝度部位よりも暗くなる可能性が考えられるが、略V字状の欠陥よりは明るくなると考えられる。そして、欠陥の大部分の輝度は輝度閾値Lthよりも低い。そのため、欠陥が含まれる部分については照明強度の補正を行わず、欠陥が含まれない部分であって濃淡ばらつきがある部分については照明強度の補正を行うことにより、欠陥と濃淡ばらつきの暗部とを容易に識別することができる。
【0089】
なお、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜設計変更されるものとする。
例えば、実施の形態2においても、実施の形態3と同様に、分割領域に計測領域202が含まれ、且つ当該分割領域の平均輝度階調値L(m,n)meanが輝度閾値Lth以上である場合にのみ、画像処理ユニット6が、(12)式を用いて液晶パネルシャッタ10の分割領域毎の開口率Sh2を補正することとしてもよい。
また、画像処理ユニット6と照明制御ユニット7は一体として構成されてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 LEDマトリクス照明(照明部)
2 照明レンズ群(照明光学系)
3 ハーフミラー
4 カメラレンズ群(撮影光学系)
41 第1のカメラレンズ(対物レンズ)
42 第2のカメラレンズ(結像レンズ)
5 CCDカメラ(撮影部)
51 撮像素子
6 画像処理ユニット(画像処理制御部)
10 液晶シャッタパネル
100、300 表面外観検査装置
200 半導体モールドパッケージ(検査対象物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物の表面の外観形状を検査する表面外観検査装置であって、
前記検査対象物の表面に照射する照明光を出射する照明部と、
前記照明部から出射された照明光を前記検査対象物の表面に導光する照明光学系と、
前記検査対象物から反射される反射光を検出することにより、前記検査対象物の表面の画像データを生成する撮影部と、
前記検査対象物から反射された反射光を前記撮影部に導光する撮影光学系と、
前記撮影部により生成された画像データに対して、少なくとも2値化処理を含む所定の画像処理を行う画像処理制御部と、
を備え、
前記照明光学系の光軸と前記撮影光学系の光軸とは同軸となっており、
前記画像処理制御部は、
最大調光設定値D0によって特定される最大の照明強度で前記照明部が照明光を出射して、前記撮影部によって生成された良品基準サンプルの表面の画像データから、前記良品基準サンプルの表面の計測領域内の画素の平均の輝度値である平均輝度階調値L0meanと、前記良品基準サンプルの表面の計測領域内の画素の最低の輝度値である最低輝度階調値L0minとを算出し、
輝度階調値の中央値をLcとした場合に、前記照明部から出射される照明光の基準の照明強度を特定する基準調光設定値D1を、下記の(1)式を用いて決定し、
前記2値化処理において使用する輝度閾値Lthを、下記の(2)式を用いて決定し、
前記照明部が基準調光設定値D1で照明光を出射して、前記撮影部によって生成された前記検査対象物の表面の画像データから、前記検査対象物の表面の計測領域内の画素の平均の輝度値である平均輝度階調値L1meanと、標準偏差σとを算出し、
下記の(7)式を満たさない場合には、前記検査対象物に濃淡ばらつきがあると判断し、前記撮影部により撮影された画像をm×n個に分割して分割領域を生成し、
前記分割領域毎に平均輝度階調値L1(m,n)meanを算出し、当該分割領域毎の平均輝度階調値L1(m,n)meanに基づいて、前記分割領域毎に前記照明部から出射される照明光の照射強度である調光設定値D2(m,n)を決定し、
前記照明部が前記分割領域毎の調光設定値D2(m,n)で照明光を出射して、前記撮影部によって生成された前記検査対象物の表面の画像データに対して、前記輝度閾値Lthを用いて2値化処理を行うことにより、前記検査対象物の表面に欠陥があるか否かを判断する表面外観検査装置。
D1=(Lc÷L0mean)×D0 ・・・・・(1)
Lth=0.5×(L0min÷L0mean) ・・・・・(2)
L1mean−3σ>0 ・・・・・(7)
【請求項2】
前記画像処理制御部は、
前記分割領域内に前記計測領域が含まれる場合には、前記分割領域毎に前記照明部から出射される照明光の照射強度である調光設定値D2(m,n)を、下記の(9)式を用いて決定する請求項1に記載の表面外観検査装置。
D2(m,n)=D1×Lc÷L1(m,n)mean ・・・・・(9)
【請求項3】
前記画像処理制御部は、
前記分割領域内に前記計測領域が含まれ、前記平均輝度階調値L1(m,n)meanが前記輝度閾値Lth以上である場合には、前記分割領域毎に前記照明部から出射される照明光の照射強度である調光設定値D2(m,n)を、下記の(15)式を用いて決定する請求項1に記載の表面外観検査装置。
D2(m,n)=D1×Lc÷L1(m,n)mean ・・・・・(15)
【請求項4】
検査対象物の表面の外観形状を検査する表面外観検査装置であって、
前記検査対象物の表面に照射する照明光を出射する照明部と、
前記照明部から出射された照明光を前記検査対象物の表面に導光する照明光学系と、
前記検査対象物から反射される反射光を検出することにより、前記検査対象物の表面の画像データを生成する撮影部と、
前記検査対象物から反射された反射光を前記撮影部に導光する撮影光学系と、
前記撮影部により生成された画像データに対して、少なくとも2値化処理を含む所定の画像処理を行う画像処理制御部と、
前記照明部の発光面を覆うように配置される液晶シャッタパネルと、
を備え、
前記照明光学系の光軸と前記撮影光学系の光軸とは同軸となっており、
前記画像処理制御部は、
最大調光設定値D0によって特定される最大の照明強度で前記照明部が照明光を出射し、且つ前記液晶シャッタパネルが最大の開口率である最大開口率Sh0で開口し、前記撮影部によって生成された良品基準サンプルの表面の画像データから、前記良品基準サンプルの表面の計測領域内の画素の平均の輝度値である平均輝度階調値L0meanと、前記良品基準サンプルの表面の計測領域内の画素の最低の輝度値である最低輝度階調値L0minとを算出し、
輝度階調値の中央値をLcとした場合に、前記液晶シャッタパネルの基準の開口率である基準開口率Sh1を、下記の(10)式を用いて決定し、
前記2値化処理において使用する輝度閾値Lthを、下記の(2)式を用いて決定し、
最大調光設定値D0によって特定される最大の照明強度で前記照明部が照明光を出射し、且つ前記液晶シャッタパネルが前記基準開口率Sh1で開口して、前記撮影部によって生成された前記検査対象物の表面の画像データから、前記検査対象物の表面の計測領域内の画素の平均の輝度値である平均輝度階調値L1meanと、標準偏差σとを算出し、
下記の(7)式を満たさない場合には、前記検査対象物に濃淡ばらつきがあると判断し、前記撮影部により撮影された画像をm×n個に分割して分割領域を生成し、
前記分割領域毎に平均輝度階調値L1(m,n)meanを算出し、前記分割領域内に前記計測領域が含まれる場合には、前記分割領域毎に前記液晶シャッタパネルの開口率Sh2(m,n)を、下記の(12)式を用いて決定し、
最大調光設定値D0によって特定される最大の照明強度で前記照明部が照明光を出射し、且つ前記液晶シャッタパネルが前記分割領域毎に開口率Sh2(m,n)で開口して、前記撮影部によって生成された前記検査対象物の表面の画像データに対して、前記輝度閾値Lthを用いて2値化処理を行うことにより、前記検査対象物の表面に欠陥があるか否かを判断する表面外観検査装置。
Sh1=(Lc÷L0mean)×Sh0 ・・・・・(10)
Lth=0.5×(L0min÷L0mean) ・・・・・(2)
L1mean−3σ>0 ・・・・・(7)
Sh2(m,n)=Sh1×Lc÷L1(m,n)mean ・・・・・(12)
【請求項5】
前記照明部は、平面上にマトリクス状に配置された複数のLEDを備え、
前記照明光学系は、前記照明部から出射された照明光を前記検査対象物の表面に結像する請求項1乃至4の何れか一項に記載の表面外観検査装置。
【請求項6】
前記撮影光学系は、前記検査対象物から反射される反射光を集光する対物レンズと、前記対物レンズによって集光された反射光を前記撮影部の撮像素子上に結像する結像レンズと、を備える請求項1乃至5の何れか一項に記載の表面外観検査装置。
【請求項7】
前記対物レンズと前記結像レンズとの間に配置されるハーフミラーを備え、
前記照明光学系の光軸と前記撮影光学系の光軸とは、前記ハーフミラーを介して、直交している請求項6に記載の表面外観検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−220755(P2011−220755A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88412(P2010−88412)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】