説明

表面実装ヒーター

第1の端および第2の端を有する電気抵抗物質のほぼ平坦な層と、電気抵抗物質のほぼ平坦な層の第1の端に電気的に接続される第1の導電体と、電気抵抗物質のほぼ平坦な層の第2の端に電気的に接続される第2の導電体と、電気抵抗物質のほぼ平坦な層を取り囲み電気抵抗物質のほぼ平坦な層の第1の端を電気抵抗物質のほぼ平坦な層の第2の端から絶縁する電気絶縁物質とを含むヒーターである。ヒーターは流体要素の表面に実装され、流体要素を加熱するのに用いられてよく、ヒーターが電気絶縁物質を通じて延在する開口を含む場合には、ヒーターは流体要素と流体基板の間に配置され、両方を加熱できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
発明の分野
本発明の態様はヒーターを対象とするものであり、より具体的には、その中を流体が運搬されるところの表面に実装されうる、抵抗ヒーターを対象にするものである。
【背景技術】
【0002】
関連技術の論考
多様な流体処理システムおよび流体分配システムにおいて、用いられる処理流体(液体、ガス、液体とガス、スラリーなど)の温度を制御することが重要であろう。例えば、半導体産業において、カートリッジタイプのヒーターがしばしば流体スティックの基板内に挿入され、ツールに運搬される処理流体を加熱するのに用いられる。これらのカートリッジタイプヒーターは、基板に形成された、流体を処理ツールに運搬するのに用いられるくぼみや穴開口に挿入される、一般的に細長い円柱状の抵抗タイプのヒーターである。参照することによりここに組み込まれる、2003年8月26日に提出された共同出願の、「共通の面に多岐管接続を有するモジュール基板ガスパネル」に関する米国特許出願第10/650,102号(以後、“同時係属出願”)は、モジュール基板が内部に形成されたこのようなくぼみを有する、モジュール基板ガスパネルを説明する。
【0003】
ここで図6として再生された、同時係属出願の図17に示されるように、ガスパネル200は複数のガススティックAからLを含み、それぞれのガススティックは、内部にカートリッジタイプヒーター(図示されない)を挿入しうる、一対のくぼみ500を含む。使用にあたり、ガススティックを形成する各基板は同様のくぼみを有し、ガススティックの基板が配列されると、くぼみまたは穴開口500に挿入されたカートリッジヒーターは、ガススティックの長さにおよぶ。カートリッジヒーターは、ステンレススチールなどの一般的に熱伝導性物質で形成された基板に熱を熱運搬することで作動する。
【0004】
当業者には既知であるように、カートリッジタイプヒーターの効率は、カートリッジ挿入に必要とされるヒーター穴開口(すなわち、くぼみ)の許容値と位置によって大部分決定される。もしカートリッジが開口穴とヒーターの被覆(すなわち、カートリッジヒーターの外表面)の間に大きすぎる隙間を有すると、熱伝導率は低下し、ヒーター被覆の温度が上がり、電力需要が上がる。半導体産業において、カートリッジヒーターの故障の主な原因は、ヒーター穴への不適切な挿入や、穴の不適切な設計によるものである。
【0005】
カートリッジヒーターは、ヒーター被覆の温度がヒーターの安全温度の上限を超えると穴開口で溶けてしまい、しばしば機能しなくなる。ヒーターは交換される前にドリルアウトされなければならず、また潜在的な安全面での問題を数多く引き起こすため、このことは保守上の心配をもたらす。
【0006】
正常に作動するカートリッジヒーターは、ヒーター表面の温度がしばしば所望のシステム温度の200%から500%となるため、大変高い温度勾配をヒーター穴の領域に作り出す。ヒーターは物理的にターゲットゾーン(すなわち、中を処理流体が流れる基板内に形成された流路)から分離して配置される必要があるため、このことは、ガススティック全体に熱応力を引き起こすのみならず、所望のゾーンにおける温度を制御する上での難問を提供する。
【0007】
カートリッジタイプヒーターの故障率は驚くほど高く、一般的に、ヒーターの品質やシ
ステム設計よりもむしろ、設置方法によって決定される。不適切に設置されたカートリッジヒーターは、短期間でのヒーターの故障につながり、実際問題として、不適切な設置はしばしば、ヒーターが故障するまでテストされたり観察されたりすることを得ず、その時には既に手遅れである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の要約
本発明の一態様によると、ヒーターが提供される。ヒーターは、第1の端および第2の端を有する電気抵抗物質のほぼ平坦な層と、電気抵抗物質のほぼ平坦な層の第1の端に電気的に接続された第1の導電体と、電気抵抗物質のほぼ平坦な層の第2の端に電気的に接続された第2の導電体と、電気抵抗物質のほぼ平坦な層を取り囲み、電気抵抗物質のほぼ平坦な層の第1の端を電気抵抗物質のほぼ平坦な層の第2の端から電気的に絶縁する電気絶縁物質とを含む。一実施形態によると、電気抵抗物質のほぼ平坦な層は蛇行形状に配置されてよく、蛇行形状の幅、厚さ、または密度は、ヒーター内に異なる加熱能力を有するゾーンを提供するべく変更されてよい。ヒーターは流体要素の表面に実装され、流体要素を加熱するのに用いられてよく、ヒーターが電気絶縁物質を通じて延在する開口を含む場合には、ヒーターは、流体要素と流体基板の間に配置され、流体要素と流体基板の両方を加熱するのに用いられてよい。本実施形態のさらなる態様によれば、第1および第2の導電体は電気抵抗物質の層と同じ物質で形成されてよい。
【0009】
本発明のその他の態様によれば、ほぼ平坦なヒーターを流体要素の底面と流体基板の上面の間に配置し、流体要素を、ほぼ平坦なヒーターを間に挟んで、流動基板に固定する行為を含む方法が提供される。一実施形態にしたがって、ほぼ平坦なヒーターは一対の導電体を含んでよく、一対の導電体は電源に接続されてよく、ヒーターの温度は、外部の制御なしに所定の温度から±5℃に制限される。
【0010】
本発明のその他の態様によると、流体パネルが提供される。流体パネルは、少なくとも1つの流体基板の第1の表面に配置された基板端子を有する少なくとも1つの流体基板と、少なくとも1つの流体基板に締めつけられ、少なくとも1つの流体要素の第1の表面に配置された要素端子を有する少なくとも1つの流体要素と、少なくとも1つの流体基板の基板端子と流体接続する少なくとも1つの流体要素の要素端子と、少なくとも1つの流体基板の第1の表面と少なくとも1つの流体要素の第1の表面との間に配置されるほぼ平坦なヒーターとを含む。流体要素はバルブ、フィルター、レギュレーター、変換器、浄化器、マスフロコントローラ、または少なくとも1つの要素端子を有する任意のその他のタイプの流体要素を含んでよい。一実施形態によると、ヒーターは要素端子と基板端子との間に流体密封結合を形成するシールを含んでもよい。このシールは、ヒーターと一体化した部分でもヒーターによって一定の位置に保持される別の部分でもよい。
【0011】
本発明のさらなる態様によると、基板と一緒に用いるために、組立済みの装置が提供される。組立済みの装置は、ベースとベースに形成された少なくとも1つの流体端子を有する流体要素と、少なくとも1つの開口を有するほぼ平坦なヒーターと、基板への組立に先立ってヒーターを流体要素のベースに保持する手段とを含む。一実施形態にしたがって、ヒーターを流体要素のベースに保持する手段は、ヒーター内に一体化して形成されてもよい。
【0012】
本発明のさらに別の態様によると、第1の端と第2の端とを有する電気抵抗物質の層と、電気抵抗物質の層を取り囲む電気絶縁物質とを含むシールが提供される。電気絶縁物質は、電気絶縁物質を通じて、電気抵抗物質の層が存在しない領域に延在する開口を有する。一実施形態にしたがって、第1および第2の端が電源に電気的に接続され、熱を提供す
るためにシールが用いられてよい。
【0013】
本発明のその他の態様によると、シール固定具が提供される。シール固定具は、第1の端と第2の端を有する電気抵抗物質の層と、電気抵抗物質の層を取り囲み、電気絶縁物質を通じて、電気抵抗物質の層が存在しない領域に延在する開口を有する電気絶縁物質とを含む。シール固定具はさらに、シールを開口内の一定の位置に保持する手段を含む。有利には、第1および第2の端が電源に電気的に接続されてよく、シール固定具はシールを固定するのみならず、熱を供給するのにも用いられてよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
詳細な説明
多様な実施形態およびその態様が、添付の図面を参照して、より詳細にここに説明される。本発明はその用途において、以下の詳細な説明に説明される、または図面に説明される、要素の構成および配置の詳細に限定されるものではないことが理解されるべきである。本発明はその他の実施形態も可能であり、多様な方法で実施され、実行されることが可能である。また、ここで用いられる表現および用語は説明を目的とするものであり、限定とみなされるべきではない。ここで用いられる、“含む”、“構成される”、“有する”、“包含する”、“含む”およびこれらの変形は、追加される項目と同じく、後に挙げられる項目およびその同等物を含むものである。
【0015】
図1は、本発明の一態様による表面実装ヒーターを示す図である。示されるように、ヒーター10は、E.I. du Pont de Nemours and Companyから入手可能なカプトン(登録商標)ポリイミドフィルムなどの電気絶縁物質160に取り囲まれた、Hoskins Manufacturing Companyから入手可能なクロメル(登録商標)フォイル抵抗物質などのエッチングされたフォイル抵抗物質により形成された発熱体100を含む。
【0016】
E.I. du Pont de Nemours and Companyの登録商標であるカプトン(登録商標)は、優れた物理的、電気的特性を有するポリイミドフィルムである。これは優れた耐化学性を有する。このフィルムに対する有機溶剤は知られておらず、MIL-P-46112BおよびASTM D-5213-99の必要条件を満たすことが認定されており、溶けず、燃えない。これは最も高いUL-94燃焼等級であるV-0を有する。カプトン(登録商標)ポリイミドフィルムは−269℃(-452°F)から400℃(752°F)まで継続的な作業ができると評価されており、25℃で約7000ボルト/ミルの絶縁耐力を有し、顕著な熱伸縮特性は見られず、粒子発生特性は知られていない。
【0017】
本発明はある特定の物質に限定されるものではないので、クロメル(登録商標)およびカプトン(登録商標)以外の物質が用いられてもよいことが理解されるべきである。例えば、発熱体100は任意のタイプの導電性物質、例えば、電流が流れると熱が発生するような充分な抵抗量を有する、ステンレススチールから形成されてもよい。本発明の一実施形態においては、フォイル抵抗物質は約22〜32オームの抵抗を有するが、本発明は特定の抵抗値または抵抗値の範囲に限定されるものではないので、異なる電気抵抗を有する物質が用いられてもよい。さらに、発熱体100を形成するのに、レーザーカット、浮き出し加工、放電加工(EDM)、堆積などの、その他の加工処理が用いられてもよいので、抵抗物質はエッチングされる必要がないことも理解されるべきである。
【0018】
同様に、カプトン(登録商標)、カプトン(登録商標)MT、およびカプトン(登録商標)MTBが電気絶縁物質160として用いられるのが好ましいが、任意の適切なポリマー、ゴム、プラスティック、熱可塑性物質などその他のタイプの絶縁物質が用いられても
よい。これら電気絶縁物質は、強く、優れた耐化学性を有し、溶けず、燃えず、熱伸縮特性が小さく、幅広い温度帯において柔軟であることが好ましい。さらに、電気絶縁物質160は、発熱体100により生じた熱のうちいくらかが周囲の表面に伝わるよう、比較的低い熱インピーダンスを有することが好ましい。これらの特性の全てが必要とされるわけではないので、その他のポリマー物質または絶縁物質が用いられてもよいことが理解されるべきである。例えば、薬剤応用や生物薬剤応用などの、処理流体が通常反応性に富むものではない用途に使用する場合、耐化学性の低い物質を用いてもよい。
【0019】
図1に示されるように、発熱体100は蛇行形状に配置されている。本発明は蛇行形状に限定されるものではないので、その他(例えば直線的な)形状が用いられてもよいことが理解されるべきである。通常、発熱体100の形状、厚さ(つまり、図1の平面から±Z方向に延びる)、および幅(つまり、主として図1の±Y方向に延びる)は、それが用いられる、流体処理および/または分配システムの必要条件に応じて変更されてよい。これらの必要条件は、所望の操作温度を実現するために必要とされるワット量、所望の熱分配パターン、その熱分配パターンの所望の均一性などを含んでもよい。例えば、図3に示され、以下にさらに詳細に説明されるように、フォイル抵抗物質の幅、密度、形状および厚み(図示されない)は、単一のヒーター内または異なるヒーター間において(また、これらの異なるヒーターが同一の電源に接続されている場合においても)、可変ワット密度(単位面積当たりのワット量)に達するまで変更されてよい。
【0020】
図示されるように、発熱体100は、第1の導電体110に電気的に接続される第1の端と、第2の導電体に接続される第2の端とを有する。有利には、第1および第2の導電体は発熱体100と同一の物質から形成される。第1および第2の導電体110、120が発熱体100と同一の物質から形成される場合、図1に示されるように、これらは発熱体100よりも大きな表面積を有する。あるいは、第1および第2の導電体110、120は、発熱体100の厚さおよび/または幅よりも、厚くまたはより厚くかつより広くてよい。さらにまたは、第1および第2の導電体は、発熱体100を形成するのに用いられる物質よりも導電性の高い物質、例えばアルミニウムや銅などで形成されてもよい。
【0021】
第1および第2の導電体110、120の端に電的に接続されているのは、第1および第2の導電体を、ACもしくはDC電源に/から、接続および/または切断するのに用いうるコネクタ150である。一実施形態において、コネクタ150は、必要であれば容易にヒーター10を交換することが可能な、Molex Corporationから入手可能なFFCタイプコネクタである。本発明は、第1および第2の導電体110、120を電源に電気的に接続するために用いられうる任意の接続を、代わりに利用できるので、ある特定のタイプのコネクタに限定されるものではないことが理解されるべきである。
【0022】
図1に示される実施形態において、ヒーター10は、ヒーターの中に形成され、処理流体または締め具がその中を通過することができる、複数の開口を含む。例えば、ヒーター10は、ヒーター10の四隅に配置され、締め具がその中を通過することができ、流体要素の表面(例えば底面)を基板のあわせ面(例えば上面)に固定するところの、4つの開口130を含む。Cリングなどの固定具が1以上の締め具の遠位末端に配置されてよく、締め具を流体要素と一緒に保持するので、流体要素と1以上の締め具が単一ユニットとして設置され、または除去される。固定具は、ヒーター10を流体要素のベースの底面上に保持するために用いられてもよいので、流体要素、ヒーター、および締め具が全て単一ユニットとして設置され、または除去される。さらにまたは、開口130は、1以上の締め具がその中を通り抜け、流体要素のベースの底面上のヒーターを保持することができ、また各締め具を流体要素のそれぞれの開口に保持することできるような寸法にされてもよい。このようにすると、固定具を個々に使用することが避けられ、流体要素、ヒーター、および締め具が全て単一ユニットとして設置され、または除去される。
【0023】
ここで、流体要素の用語は、一基板から他の基板に流体を搬送するコネクタと同様、例えばバルブ、レギュレーター、浄化器、分析器、変換器、フィルターなど(基板に直接固定されているか、基板に直接固定された取り付けフランジに取り付けられているかである)の能動的および受動的な流体要素を含む。ここで、基板の用語は、参照することによりここにその全体が組み込まれる、共有の米国特許第5,992,463号、第6,283,155号、第6,293,310号、第6,374,859号、第6,394,138号、および、同時係属出願に開示されるような、多数の流体要素を流動的に接続する多岐管と同様、一対の隣接する流体要素を流動的に接続する個々のモジュール基板を含む。
【0024】
ヒーター10はまた、処理流体がその中を流れることができる、1以上の開口140を含む。図示される実施形態において、ヒーター10は3つの開口140を含み、バルブなどの3端子の要素と用いられることができる。図1に示される実施形態は特に、カリフォルニア州サンタクララのCelerity Group, Incの処理流体システムのK1Sラインと一緒に用いるのに適しているが、ヒーター10内に形成される開口の位置、サイズ、数は、流体処理および/または分配システムの必要条件に応じて変更されてよい。本発明の実施形態が一緒に用いられるところの流体処理および/または分配システムの例は、Swagelok Company、株式会社フジキン、CKD Corporation、その他から入手可能な表面実装流体処理および/または分配システムと同様、共有の米国特許第5,836,355号、第5,992,463号、第6,283,155号、第6,293,310号、第6,302,141号、第6,374,859号、第6,394,138号、および同時係属出願に開示されるものを含む。
【0025】
使用にあたり、ヒーター10は基板の上面の上に配置されてよく、流体要素はヒーター10の上に配置されてよい。または、流体要素とその底面に保持されるヒーター10が、基板の上面の上に配置されてもよい。そこで流体要素は、米国特許第6,293,310号の図27に示される方法で、基板に固定されてよい。有利には、ヒーター10は変形可能な金属シール、Wシール、Cシール、Zシール、Vシール、またはポリマーシールやエラストマーシールなどその他のタイプのシールなどのシールをヒーター10内の一定の位置に保持する手段を含んでもよい。この手段は、開口140(図1参照)の側壁に形成され、処理流体がその中を流れることができる環状溝、開口140の側壁から突出する複数の指状部材、または、シールをヒーター10の一定の位置に保持することができるその他の構造体を含んでもよい。シールを一定の位置に保持するこのような手段の一例は、米国特許第6,239,310号の図12および図13を参照して説明される。シールを一定の位置に保持するこのような手段のその他の例は、米国特許第5,984,318号、第5,730,448号に開示されるものを含むが、その他の手段が用いられてもよいことと、シールを一定の位置に保持する手段のタイプは用いられるシールのタイプによって変更されてよいことが理解されるべきである。この手段をヒーター10に組み込むことで、シール固定具を個々に用いることが避けられることが理解されるべきである。
【0026】
一実施形態において、ヒーター10は特にCシールを保持するのに適している。この実施形態において、ヒーターは、Cシールガスケットを基板と流体要素の間の定位置に保持するCシール固定具に取って代わる。ヒーターは従来のCシール固定具と同じ厚さであってよく(例えば約5ミル;呼び厚さ0.13ミリ)、カプトン(登録商標)物質の物理的安定性と均等性により、ヒーターは従来のCシール固定具と同様に、またはよりよく機能する。ヒーターの厚さは、ヒーターの所望の操作温度、および/または、圧縮された(すなわちシールされた)状態で用いられるシーリングガスケットの厚みによって変更されてよいことが理解されるべきである。通常、ヒーターがシールを保持するのに用いられる場合、ヒーターの厚さは、流体の漏れを防ぐために、圧縮された状態のシーリングガスケットの厚さよりも充分に薄くあるべきである。
【0027】
流体要素と基板の間のこのような配置は、ヒーターがバルブ、MFC、またはその他の流体要素本体と直接に熱的接触できるようにし、ヒーターを、遠くのヒーター穴ではなくむしろ、ターゲット加熱ゾーン(例えば流体流路)の中心に配置する。この配置の結果、ターゲットゾーンは、従来のカートリッジタイプのヒーターを用いるよりも早く所望の温度に達し、ヒーターは、従来のカートリッジタイプのヒーターを用いる場合のように、所望の温度よりも遥かに高く(例えば200%〜500%も高く)まで熱せられる必要がない。このことは、カートリッジヒーターを用いる従来の設計と比較して、優れたシステムの温度制御を可能にし、別の温度制御回路を用いることを避け、温度設計においてより高い正確さを提供する。このようなヒーターを用いることにより、目標の40℃±5℃の安定したシステム温度が容易に達成された(後の実施例データを参照のこと)。
【0028】
代替的な実施形態において、ヒーター10の部分はシールとして用いられてよい。つまり、別のシールを一定の位置に保持するためにヒーター10を用いるのではなく、シールがヒーターと一体に形成されてよい。例えば、ヒーター10の外表面が、例えばカプトン(登録商標)などの化学的に不活性な物質で形成される場合、このようなシールは、半導体の生産用途において従来用いられた、極めて反応性に富む処理流体と共に用いられてよい。発熱体100は、ヒーターの漏れ止めシールを形成するのに用いられる領域まで延在してもしなくてもよい。ヒーターの部分がシールとして用いられる場合、この部分は通常、ヒーターのその他の部分よりも充分に厚く、シール部分の圧縮と流体密封シールの形成とを可能にすることが理解されるべきである。
【0029】
図2は図1のヒーターを図1の線2−2で切った断面図である。図示されるように、ヒーター10は電気絶縁のポリマー物質の第1の層160A、電気絶縁のポリマー物質の第2の層160B、および、電気絶縁のポリマー物質の第1および第2の層160A、160Bの間に配置される、発熱体100(図示されない)か第1および第2の導電体(110、120)のどちらかを形成する電気抵抗物質の層を含む。電気絶縁のポリマー物質の第1および第2の層は、同一のポリマー物質から形成されてもよいし、異なる物質から形成されてもよい。本発明の一実施形態にしたがって、電気抵抗物質の層は、従来の方法で電気抵抗物質をエッチングすることで形成されてよい。本発明は、電気抵抗物質層を形成する特定の方法に限定されるものではないため、電気抵抗物質の層を形成するのに用いられうるその他の加工は、レーザーカット、浮き出し加工、EDM、堆積などを含んでよい。電気絶縁ポリマー物質の一方あるいは両方の内表面がPFAテフロン(登録商標)などの接着剤170でコーティングされ、組立品の全体が加熱真空プレスなどの加熱プレスで加硫処理され、一体化組立品を形成してもよい。本発明はある特定の加工に限定されるものではないので、その他の製造方法も代替的に用いられてよいことが理解されるべきである。
【0030】
図3は、本発明の他の実施形態にしたがって、流体要素と流動基板の間に表面実装されるヒーターを示す。図1および図2に関して先に説明された実施形態と同じく、ヒーター30は、電気絶縁物質160に取り囲まれたエッチングされたフォイル抵抗物質により形成された発熱体100’を含む。発熱体100’は、同様に第1の導電体110に電気的に接続される第1の端と、第2の導電体120に接続される第2の端を有する。先に説明された実施形態と同じく、第1および第2の導電体110、120は、発熱体100’と同一の物質または異なる物質から形成されてよく、第1および第2の導電体110、120の幅、厚さ、および/または表面積は、発熱体100’を形成する物質の幅、厚さ、および/または表面積と異なってもよい。先に説明した実施形態と同じく、コネクタ150は第1および第2の導電体110、120の端に電気的に接続され、第1および第2の導電体を、ACもしくはDC電源に/から、接続および/または切断してもよい。
【0031】
図1の実施形態と同じく、ヒーター30は、ヒーター30の四隅に配置され、その中を締め具が通り流体要素の底面を基板の上面に固定する、複数の開口130を含む。ヒーター30はまた、その中を処理流体が流れてよい1以上の開口140を含む。図1に示される実施形態とは対照的に、ヒーター30は2つの開口140のみを含み、バルブ、レギュレーター、フィルター、受動コネクタブロックなどの、2端子の要素と一緒に用いられることができる。先の実施形態と同様、ヒーター30内に形成される開口の配置、サイズ、数は、ヒーター30が一緒に用いられるところの流体処理および/または分配システムの必要要件、および流体要素(および/または基板)のタイプによって変更されてもよい。
【0032】
発熱体100’は、図1に示される実施形態と同様に蛇行形状に配置されているが、発熱体100’の幅および密度は、ほぼ均一の幅を有するのではなく、領域によって異なる。とりわけ、発熱体100’の幅および密度は、ワット密度がその他のゾーンと異なるゾーンを作るために変更される。例えば、図3に示される実施形態において、ヒーター100’は、発熱体100’のワット密度が他のゾーン104と比較して増している、開口140を囲む4つのゾーン102を含む。このワット密度の増大は、発熱体100’の幅を狭くし、所与の面積中に形成される蛇行数を増やすことで達成される。ワット密度における増大はまた、発熱体の厚さを薄くすることで、またはこれらの技術を組み合わせることでも達成できる。4つのゾーン102のそれぞれは構成において同様であるが、本発明はそれに限定されるものではないことが理解されるべきである。この点において、それぞれが異なるワット密度を提供する、多数の異なるゾーンが提供されてよい。さらに、その他の構成が代わりに用いられてもよいので、ヒーター100’の構成は蛇行である必要はないことが理解されるべきである。
【0033】
先に説明された図1の実施形態と同様に、ヒーター30は、ヒーター30内の一定の位置にシールを保持するための手段を含んでもよい。この手段は、開口140の側壁に形成され、処理流体がその中を流れる環状溝、開口の側壁から突出する複数の指状部材、またはシールをヒーター内30の一定の位置に保持することが可能なその他の構成を含んでよい。または、シールがヒーターと一体に形成されるよう、ヒーター30の一部分がシールとして用いられてもよい。例えば、ヒーター30の外面が、カプトン(登録商標)などの化学的に不活性な物質から形成されている場合、このようなシールは、半導体の生産用途において従来用いられた、極めて反応性に富む処理流体と共に用いられてよい。
【0034】
図4は、本発明の多様な態様にしたがって、流体処理および/または分配システムの流体スティックで用いられ、その中で用いられる処理流体の温度を制御する、複数のヒーターを示す。図示されるように、複数のヒーターは、バルブなど3つの端子を有する流体要素と一緒に用いるのに適した第1の複数のヒーター10と、バルブ、圧力レギュレーター、フィルターなど2つの端子を有する流体要素と一緒に用いるのに適したヒーター30と、圧力変換器などの1つの端子を有する要素と一緒に用いるのに適したヒーター20とを含む。各ヒーター10、20、30は、固定具を受けるような寸法にされた開口130と、処理流体がその中を流れる1以上の開口140(図1および図3を参照)に加え、漏れを検出する1以上の開口135をも含む。本発明の他の実施形態にしたがって、複数のヒーターは同様にヒーター40をも含む。ヒーター40の構成の詳細の多くが図1から図3の実施形態に関して先に説明されたものと同様であるので、図1から図3の実施形態と共通の詳細は、ここでは簡単に説明されるのみである。
【0035】
図1から図3に関して先に説明された実施形態におけるのと同様に、ヒーター40は電気絶縁物質160に取り囲まれた、エッチングされたフォイル抵抗物質から形成された発熱体(図示されない)を含む。発熱体の構成、厚さ、および/または幅は、先に図3に関して説明されたように、それが用いられているシステムの必要条件に応じて、異なる加熱ゾーンを達成するために変更されてよい。先の実施形態におけるように、発熱体は、第1
の導電体に電気的に接続される第1の端および、第2の導電体に接続される第2の端を有し、それぞれの端はコネクタに電気的に接続されている。先に説明した実施形態と同様に、コネクタは第1および第2の導電体を、ACまたはDC電源に/から、接続および/または切断するのに用いられてよい。
【0036】
図1から図3に関して先に説明された実施形態とは対照的に、図4に示されたヒーター40は、流体要素と基板の間よりはむしろ、流体要素の外面に実装されるのに適している。例えば、図4の実施形態において、ヒーター40は、マスフロコントローラなどの流体要素の本体に実装されるのに適し、したがって、その中を処理流体が流れうる開口140(図1、3)を含む必要がない。マスフロコントローラがこのように構成される場合、そのセンサー、コントロール、およびバルブの各部分は全て、マスフロコントローラ本体の一表面(例えば上面)から延在し、ヒーター40はマスフロコントローラ本体の底面、またはマスフロコントローラ本体のどちらかの側面に実装されてよい。所望であれば、別々のヒーター40が、流体要素本体の複数のこのような表面に実装されてもよい。あるいは、ヒーター40は比較的やわらかく、任意の所望の形状に容易に適合することができるため、流体要素本体の底面および両側面に実装されるU字状の単一のヒーターが用いられてもよい。所望であれば、図1から3に示される実施形態と同様に構成された追加のヒーターが、マスフロコントローラのバルブと、マスフロコントローラ本体との間に配置されてもよい。本発明はマスフロコントローラなどの流体要素のある特定のタイプに限定されるものではないため、ヒーター40の寸法は多様な流体要素に適合するように変更されてよいことが理解されるべきである。
【0037】
ヒーター40を流体要素本体に実装するために、多様な手段が用いられてよい。例えば、3M Corporationから入手可能な、熱伝導性接着剤転写テープ8805、8810、8815、8820などの熱伝導性接着剤または接着テープが、ヒーター40を流体要素本体に実装するのに用いられてよい。あるいは、ヒーターを流体要素本体に接着的に実装するのではなく、図5に描写されるような実装構造が用いられてもよい。
【0038】
図5は、本発明の一実施形態にしたがって、流体要素本体の表面に熱的接触するようヒーターを配置するのに用いられうる実装構造に取り付けられたヒーター40を、線5−5で切った断面図を示している。概観では、ヒーター40は、ヒーター40の上面が流体要素(図示されない)の底面と組み合うよう弾力的に促す実装構造の上に位置する。図5に示される実装構造は、ヒーター40(図4)などのヒーターを、マスフロコントローラなどの流体要素の底面に実装するのに適しているが、これは他のタイプの流体要素と用いられても、他の配置で用いられてもよいことが理解されるべきである。
【0039】
図5に描写される実施形態に示されるように、ヒーター40は接着剤(図示されない)を用いてプレート510に実装される。一実施形態において、他の方法が代替的に用いられてもよいが、両面接着フィルムまたはテープが用いられる。例えば、ヒーター40はプレート510の上面に実装され、プレートは流体要素の底面に対して上向きに押されるので、ヒーター40をプレート510上の所定の位置に保持するために大きな力は必要とされず、任意の形状の実装が用いられてよい。本発明の一実施形態において、プレート510は、金属やプラスティックを含む任意の比較的硬い物質が用いられてもよいが、アルミニウムから形成されてもよい。
【0040】
図示されるように、プリント回路基板520は、プレート510の下面におけるプレート内に埋め込まれた領域に実装されているが、プレートはこのような凹部を含むことを必要としない。一実施形態において、プリント回路基板520は、ハイソール(登録商標)などのエポキシを用いてプレートに実装されるが、他のタイプの接着剤や他のタイプの実装(例えば、ねじ、リベットなど)が用いられてもよい。プリント回路基板520は、ヒ
ーター40が実装されている流体要素が所定の温度に達すると認識する、熱作動スイッチを含む。例えば、サーモカップル(図示されない)が、ヒーター40が実装されている流体要素上に配置されてもよく、サーモカップルからの信号が、プリント回路基板520上の熱作動スイッチに提供されてもよい。流体要素が所望の温度に達したという指示とともに、熱作動スイッチは、所望の温度に達したことと、流体流れが開始されてよいこととを知らせる適切な信号をコントローラに送ってよい。あるいは、とりわけサーモカップルまたは検出回路が、プレート510の底面などの熱伝導面に実装される場合、サーモカップルまたは温度検出集積回路がプリント回路基板520上に実装されてよい。
【0041】
プレート510に取り付けられているのは、プレート510をベース540に取り付ける、弾力的に付勢される複数のスタンドオフ530であり、ベース540は一実施形態において、流体処理および/または分配システムパネルのベースであってよい。弾力的に付勢されるスタンドオフ530のそれぞれは、スタンドオフ532、ねじ式締め具534、ばね536を含む。一実施形態において、スタンドオフ532は、ペンシルヴェニアのPenn Engineering of Danboroから入手可能なPEM(商標)Press-Fitスタンドオフなどの既成のスタンドオフであってよい。スタンドオフ532は、プレート510内の適切なサイズの開口内に圧入されてよく、締め具534などの締め具のねじ端を受けるよう内部がねじ式であってよい。締め具534は、ねじなどの従来のねじ式締め具であってよく、ベース540の下から内部がねじ式のスタンドオフ532に差し込まれ、スタンドオフ532の遠位末端と締め具534を取り囲むばね536と一緒に、ねじ式スタンドオフ532に螺入されてよい。スタンドオフ532の遠位末端はベース540の穴を通じて延在すればよく、それによりプレート510がベース540に向かって動くが、力が除去されると、プレート510はコイルばね536の力により上向きに推進される。本発明の一実施形態において、所望の高さを得てベース540を他の実装面に連結するために、可変長固定スタンドオフが用いられてもよい。
【0042】
本発明の実施形態は、従来のカートリッジタイプのヒーターに比べて多数の有利な点を提供することが理解されるべきである。例えば、流体分配および/または処理システム内の各流体要素は別々に加熱されることができるため、特定の流体要素内、もしくは異なる流体要素間において、異なる温度ゾーンが容易に作成されることができる。異なる流体要素(もしくは要素内の異なるゾーン)を、異なる温度に別々に加熱するというこの能力は、各ヒーターが同一の電源に電気的に接続されていたとしても、エッチングしたフォイル抵抗物質の幅、厚さ、長さ、構成、および抵抗の1以上を制御することにより得られることが理解されるべきである。各要素の熱負荷は計測され、その要素の目標の操作温度を得るのに必要とされる正確なワット量を用いることができる。例えば、電源により提供される電力量は、目標の操作温度においてヒーターにより熱として消散される電力量に、流体要素または流体要素/流体基板の組み合わせにより減る電力量(つまり熱容量)を加えたものに等しくなるよう選択されてよい。
【0043】
ヒーターが到達すべく設計されている目標の操作温度は、ヒーターの構造内で用いられる物質の定格操作範囲以下の任意の値であってよい(例えば、カプトン(登録商標)に対しては約400℃以下)。さらに、出願人らは、電気抵抗物質をカットしたりエッチングしたりする従来の加工を用いることで、許容値の範囲が±5℃以内である目標の操作温度を提供するヒーターが容易に実現できること、また、より厳しい設計許容値を用いることにより、許容値の範囲が±1℃以内である目標の操作温度が提供されることを発見した。
【0044】
各ヒーターは、電気抵抗物質が加熱されると、消費電流を予測可能な温度に“自己制御”するまで内部抵抗が増加し、それ以上は加熱されないという点で自己制御式となる。したがって外部の温度コントローラは必要でない。流体流要素および/または、流体処理および/または分配システムの個々の部分が別々に加熱されるようにする、設計におけるこ
のような柔軟性は、流体スティックの全ての流体流要素に通常共通する従来のカートリッジタイプヒーターでは不可能である。従来のカートリッジタイプヒーターについては、通常、様々な標準的カートリッジタイプヒーターから選別する必要があり、したがって、特定の目標の操作温度を実現する能力はかなり限定されるものである。さらに、本発明によるヒーターは、従来のカートリッジタイプヒーターよりも広い表面積に熱を分配することができ、意図された目標の加熱ゾーンの真ん中に配置されることができるので、カートリッジヒーターで可能であるよりも大幅に低い表面温度で操作することができる。とりわけ、ヒーターが流体要素と流体基板の間に配置されている場合、ヒーターが達成すべく設計される温度は目標操作温度と同じであってよい。電力利用もまた、カートリッジヒーターの場合よりも一層効率的であり、システム全体の電力消費はより低い。ヒーターが従来のCシールまたはその他のタイプのシール固定具に取って代わる場合、またはシールがヒーターに一体化される場合、これらはカートリッジヒーターのコストのみならず、別々のシール固定具および/またはシールのコストをも削減する。
【0045】
その他の有利な点として、基板はヒーターを受けるために独自に作成される必要はなく、本発明によるヒーターは、その中に形成されるところのカートリッジタイプヒーターを受ける穴のない、既存の流体処理および/または分配システムに後から取り付けることができる。さらに、本発明のヒーターは上から取り付けることができ、したがって、従来のカートリッジタイプヒーターほどに大きな作業場所を必要としない。従来のカートリッジタイプヒーターにおいては、カートリッジヒーターが受け入れられる穴に挿入され、および/または除去されるように、かなり大きな場所が備えられる必要があることが理解されるべきである。
【0046】
ここに説明されるそれぞれのヒーターはほぼ平坦な構成であるが、本発明はそれに限定されるものではないことが理解されるべきである。この点において、本発明のヒーターは比較的柔らかいため、多様な形状に適合することができる。さらに、加硫加工の間、ヒーターは、ほとんどあらゆる任意の所望の形状を想定して成形されうるので、円筒状の構成、円錐台状の構成などに成形されうることが理解されるべきである。
【0047】
実施例データ
本発明の一実施形態によるヒーターは、Celerity Group, Incから入手可能な、手動両方向バルブ、レギュレーター、変換器、フィルター、2つの空気式バルブ、およびMFC(マスフロコントローラ)を含むK1S流体スティック上でテストされた。この流体スティックは、16スティック構成からなり、6つの流体要素およびMFCのそれぞれにヒーターを含むものであった。ヒーターは、流体スティックを40℃±5℃に保つよう自己制御するよう設計された。ヒーターは、200℃定格(テフロン(登録商標)絶縁)の18AWGのワイヤーハーネスに接続された。ヒーターは第1の3つの流体要素が直列で、第2の3つが直列であり、このそれぞれ3つの2つのグループはMFCと並列であるように構成された。ヒーターは24VDC電源を電源とした。
【0048】
スティックはプラスティックのボックスに配置され、16スティックボックス排気構成をシミュレートした。空気がボックスの上蓋を通って引き込まれ、スティックを下り、パレットの下の4インチ排気穴を通って出た。空気はボックスに、120立方フィート/分のペースで引き込まれた。ボックスの吸気口は、ボックス内の0.42インチ水柱の差圧を実現するよう調整された。
【0049】
Kタイプのサーモカップルが流体要素のそれぞれと、24ボルトのDC電源で励起されるシステムとに組み合うよう配置された。温度はメモリ付きのフルーク 70手持ち温度計で量られ、外部温度コントローラは用いられなかった。
【0050】
結果
開始時の周囲空気温度:26.8℃
作業電圧:24VDC
ヒーター抵抗総計:21オーム
排気流量:120立方フィート/分
差圧:0.4インチ水柱
目標温度:40℃+/−5℃
説明のための実施例の計測温度が、下に示される。
【0051】
【表1】

【0052】
上記の試験結果は、ヒーターが、システムを目標範囲に至らせ、保持することができたことを示す。流体スティック全体における温度安定性は3℃以内であり、臨界マスフロコントローラ温度は目標温度の4℃以内であった。この性能は、標準的カートリッジヒーターで観測される最高の性能を遥かにしのぐものである。とりわけ、標準的カートリッジヒーターにおける同じ試験設定は、マスフロコントローラ温度を29℃より上げることができず、スティックを形成する流体要素間で、もっと高い温度差(約8℃)があり、ただ1つの要素(フィルター)の計測値のみが40℃±5℃の許容値範囲に安定していた。本発明によるヒーターはまた、標準的なカートリッジタイプヒーターを用いるより速く、流体要素を所望の目標温度にもたらすことができ、消費電力は標準的なカートリッジタイプヒーターの約半分で、外部温度制御または規制を必要としなかった。予測されるより長い寿命、より安全な設計、より優れた温度均一性、シール固定具の除去、より優れた電力利用、およびより低い所有総費用と組み合わされたこのより優れた初期性能は、このようなヒーターソリューションを、製造業者、OEM機器供給者、およびエンドユーザにとって優れたものとする。
【0053】
本発明は主に、半導体産業において用いられる流体処理および/または分配システムに関して説明されたが、本発明はそれに限定されるものではないことが理解されるべきである。例えば、本発明の実施形態は、例えば薬剤用途、生物薬剤用途、処理薬品や石油化学薬品用途など、加熱の必要もしくは要望がある任意の用途で用いられてよい。さらに流体は、液体またはガス、または液体とガスの混合、またはスラリーでもよい。また、本発明はフェイスシールと用いられる必要はなく、従来のVCR(登録商標)タイプ継手またはねじ式結合タイプシールに適用されることができる。
【0054】
本発明の少なくとも一実施形態のいくつかの態様がこのように説明されたが、多様な変更、修正、および改良が、当業者にとって容易に行われることが理解されるべきである。
これらの変更、修正、および改良は、この開示の一部分をなすものであり、本発明の範囲に含まれるものである。したがって、上述の説明および図面は、ほんの一例である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
添付の図面は、縮尺通りに描かれるよう意図されたものではない。図面において、各図面に示される同一またはほぼ同一の構成要素は、同様の参照番号で示されている。明瞭さを期すために、全ての図面において全ての構成要素が表示されているわけではない。図面において、
【図1】本発明の一実施形態にしたがって、流体要素と流体基板の間に表面実装されてよいヒーターを示し、
【図2】図1のヒーターの断面図を示し、
【図3】本発明の他の実施形態にしたがって、流体要素と流体基板の間に表面実装されてよいヒーターを示し、
【図4】本発明の一実施形態にしたがって、流体スティックの個々の要素を加熱するのに用いられてよい加熱システムを示し、
【図5】本発明の他の実施形態にしたがって、ヒーターを、マスフロコントローラなどの流体要素のベースに実装するのに用いられてよい実装構造を示し、
【図6】従来のカートリッジタイプヒーターを挿入することができるくぼみを含むモジュール基板ガスパネルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端および第2の端を有する、電気抵抗物質のほぼ平坦な層と、
電気抵抗物質のほぼ平坦な層の第1の端に電気的に接続された第1の導電体と、
電気抵抗物質のほぼ平坦な層の第2の端に電気的に接続された第2の導電体と、
電気抵抗物質のほぼ平坦な層を取り囲み、電気抵抗物質のほぼ平坦な層の第1の端を電気抵抗物質のほぼ平坦な層の第2の端から電気的に絶縁する電気絶縁物質と、を含むヒーター。
【請求項2】
第1および第2の導電体はそれぞれ第1の端および第2の端と長さを有し、
第1の導電体の第1の端は、電気抵抗物質のほぼ平坦な層の第1の端に電気的に接続され、
第2の導電体の第1の端は、電気抵抗物質のほぼ平坦な層の第2の端に電気的に接続されることを特徴とし、
電気絶縁物質はさらに、第1および第2の導電体の第1の端および長さを取り囲み、第1の導電体の第1の端および長さを第2の導電体の第1の端および長さから電気的に絶縁することを特徴とする、請求項1に記載のヒーター。
【請求項3】
電気絶縁物質はさらに、第1の導電体の第2の端を第2の導電体の第2の端から絶縁することを特徴とする、請求項2に記載のヒーター。
【請求項4】
第1および第2の導電体は電気抵抗物質のほぼ平坦な層と同じ物質から形成されることを特徴とし、第1および第2の導電体の幅および厚さのうち少なくとも1つが、電気抵抗物質のほぼ平坦な層の幅および厚さのうち少なくとも1つよりも大きいことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のヒーター。
【請求項5】
電気絶縁物質のほぼ平坦な層が蛇行形状に配置されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載のヒーター。
【請求項6】
ヒーターは、電気絶縁物質を通じて延在し流体要素および流体基板の少なくともどちらかの表面に形成された端子と結合するようになされた開口を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載のヒーター。
【請求項7】
シールを開口内に保持する手段をさらに含む、請求項6に記載のヒーター。
【請求項8】
シールを保持する手段内に固定されるシールをさらに含む、請求項7に記載のヒーター。
【請求項9】
ヒーターは、ヒーターと一体に形成され開口の周囲に沿って延在するシールをさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載のヒーター。
【請求項10】
開口が第1の開口であることを特徴とし、ヒーターが、電気絶縁物質を通じて延在し、ヒーターの周囲に沿って配置され、流体要素および流体基板の少なくともどちらかの表面にヒーターを固定する、対応する複数の締め具を受けるようになされた、複数の第2の開口をさらに含むことを特徴とする、請求項6から9のいずれかに記載のヒーター。
【請求項11】
ヒーターは、電気抵抗物質を通じて延在し、流体要素および流体基板の少なくともどちらかの表面に形成された対応する複数の端子に結合するようになされた、複数の開口を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載のヒーター。
【請求項12】
複数の開口のそれぞれの中にシールを保持する手段からさらに構成される、請求項11に記載のヒーター。
【請求項13】
複数の開口のそれぞれの中に固定された複数のシールからさらに構成される、請求項12に記載のヒーター。
【請求項14】
ヒーターは、ヒーターと一体に形成され複数の開口のそれぞれの周囲に沿って延在する複数のシールをさらに含むことを特徴とする、請求項11に記載のヒーター。
【請求項15】
複数の開口が第1の複数の開口であることを特徴とし、ヒーターは、電気絶縁物質を通じて延在し、ヒーターの周囲に沿って配置され、流体要素および流体基板の少なくともどちらかの表面にヒーターを固定する、対応する複数の締め具を受けるようになされた、第2の複数の開口をさらに含むことを特徴とする、請求項14に記載のヒーター。
【請求項16】
第1および第2の導電体に電気的に接続し、ヒーターを電源に着脱自由に接続するコネクタ、をさらに含む、請求項1から15のいずれかに記載のヒーター。
【請求項17】
電気抵抗物質のほぼ平坦な層は第1のゾーンおよび第2のゾーンを含むことを特徴とし、第1および第2の導電体が同一の電源に接続される時、第1のゾーンは単位面積当たりにして第2のゾーンと異なる量の熱量を提供することを特徴とする、請求項1から16のいずれかに記載のヒーター。
【請求項18】
電気抵抗物質のほぼ平坦な層は幅、厚さ、密度を有することを特徴とし、電気抵抗物質のほぼ平坦な層の幅、厚さ、密度のうち少なくともどれか1つは第1のゾーンと第2のゾーンで異なることを特徴とする、請求項17に記載のヒーター。
【請求項19】
電気抵抗物質が電気フォイル抵抗物質であることを特徴とする、請求項1から18のいずれかに記載のヒーター。
【請求項20】
電気絶縁物質は電気絶縁ポリマー物質であることを特徴とする、請求項1から19のいずれかに記載のヒーター。
【請求項21】
電気絶縁ポリマー物質は、電気抵抗物質のほぼ平坦な層の第1の側に形成された電気絶縁ポリマー物質の第1の層と、電気抵抗物質のほぼ平坦な層の第2の側に形成された電気絶縁ポリマー物質の第2の層とを含み、第2の側は第1の側に対向することを特徴とする、請求項20に記載のヒーター。
【請求項22】
ヒーターは、絶縁ポリマー物質の第1の層を絶縁ポリマー物質の第2の層に接着する接着剤をさらに含むことを特徴とする、請求項21に記載のヒーター。
【請求項23】
絶縁ポリマー物質の第1および第2の層は、電気絶縁物質のほぼ平坦な層を間に挟んで圧力下で加熱され、一体組み立て品を形成することを特徴とする、請求項21または22のいずれかに記載のヒーター。
【請求項24】
第1の方向を向く第1でほぼ平坦な表面と、第1の方向と反対の第2の方向を向く第2でほぼ平坦な表面とを有することを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載のヒーターで、ヒーターは、
ヒーターの第1でほぼ平坦な表面に実装されるプレートと、
プレートに接続され、ヒーターの第2でほぼ平坦な表面が流体要素の平坦な表面と熱的接触するように弾力的に促す手段と、をさらに含む。
【請求項25】
電気抵抗物質のほぼ平坦な層は、所定の電圧を有する電源に接続された時、所定の温度から±5℃にヒーターを自己制御するような寸法にされることを特徴とする、請求項1から16および24のいずれかに記載のヒーター。
【請求項26】
ほぼ平坦なヒーターを流体要素の底面と流体基板の上面の間に配置し、
流体要素を、ほぼ平坦なヒーターを間に挟んで、流動基板に固定する、行為から構成される方法。
【請求項27】
ほぼ平坦なヒーターは一対の導電体を含むことを特徴とする、請求項26に記載の方法で、方法は、
一対の導電体を電源に接続する行為をさらに含む。
【請求項28】
接続する行為が、一対の導電体を着脱可能に電源に接続する行為を含むことを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
ほぼ平坦なヒーターの温度を所定の温度から±5℃以内に制限する行為をさらに含む、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
流体要素の底面および流体基板の上面はそれぞれ、その中を流体が流れることができる少なくとも1つの端子を含むことを特徴とし、ほぼ平坦なヒーターは少なくとも1つの開口を含むことを特徴とする、請求項26から29のいずれかに記載の方法で、方法は、
シールをほぼ平坦なヒーターの少なくとも1つの開口内に保持する行為を含む。
【請求項31】
流体要素の底面および流体基板の上面はそれぞれ、その中を流体が流れることのできる少なくとも1つの端子を含むことを特徴とし、ほぼ平坦なヒーターは少なくとも1つの開口を含むことを特徴とし、流体要素を流体基板に固定する行為は、
流体要素の底面の少なくとも1つの端子と流体基板の上面の少なくとも1つの端子との間に、少なくとも1つの開口を取り囲むほぼ平坦なヒーターの部分を用いることにより、流体密封シールを形成する行為を含むことを特徴とする、請求項26から29のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
ヒーターを流体要素の底面に保持する行為をさらに含む、請求項26から31にいずれかに記載の方法。
【請求項33】
ほぼ平坦なヒーターは第1のほぼ平坦なヒーターで、流体要素は第1の流体要素で、流体基板は第1の流体基板で、一対の導電体は第1の一対の導電体であることを特徴とする、請求項26から32のいずれかに記載の方法で、方法は、
第2のほぼ平坦なヒーターを第2の流体要素の底面と第2の流体基板の上面との間に配置し、第2のほぼ平坦なヒーターは第2の一対の導電体を含み、
第2の流体要素を、第2のほぼ平坦なヒーターを間に挟んで、第2の流体基板に固定し、
第2の一対の導電体を第1の一対の導電体と同じ電源に接続し、
第1のほぼ平坦なヒーターの第1の温度を保持し、
第1の温度と異なる、第2のほぼ平坦なヒーターの第2の温度を保持する、
行為をさらに含む。
【請求項34】
ほぼ平坦なヒーターは第1のほぼ平坦なヒーターで、流体要素は第1の流体要素で、流体基板は第1の流体基板で、一対の導電体は第1の一対の導電体であることを特徴とする、請求項26から32のいずれかに記載の方法で、方法は、
第2の流体要素と第2の流体基板のうちのいずれかと熱的接触するように第2のほぼ平坦なヒーターを配置し、第2のほぼ平坦なヒーターは第2の一対の導電体を含み、
第2の一対の導電体を第1の一対の導電体と同じ電源に接続し、
第1のほぼ平坦なヒーターの第1の温度を保持し、
第1の温度と異なる、第2のほぼ平坦なヒーターの第2の温度を保持する、
行為をさらに含む。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−511052(P2007−511052A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538528(P2006−538528)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/037067
【国際公開番号】WO2005/048655
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(505194192)セレリティ・インコーポレイテッド (10)
【氏名又は名称原語表記】CELERITY, INC.
【Fターム(参考)】