説明

表面実装用基板

【課題】微小のチップ部品をはんだ付けにより実装する際に、部品実装軸に対して平行ではない方向に発生する表面張力を減少させて、チップ部品の姿勢の乱れを解消する。
【解決手段】ランド4,5は、配線パターン2,3の配線方向が電子部品10両端の電極間方向に対して平行ではない場合に、電子部品10の実装位置に対して配線方向とは反対側に、電子部品10が実装されないダミーランド6が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、微小電子部品を実装する際の表面張力による歩留まりの悪化を防止する表面実装用基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の表面実装用基板では、図5に示すように、基板素地101上に導体からなる配線パターン102が配線され、チップ部品200の不図示の電極を配線パターン102にはんだ付けにより接続するランド103が配線パターン102上に形成されている。また、チップ部品200の実装領域及びその周辺以外の基板素地101上には、保護膜であるソルダレジスト104が塗布されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−350243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、チップ部品200をランド103に実装する際に、はんだを用いているが、このはんだが熱せられて流体となっている状態では、チップ部品200に対して表面張力が働く。
ここで、チップ部品200のサイズが大きく、例えば1005サイズの場合には、チップ部品200のはんだ付けに必要なランドの幅(必要ランド幅A)は0.5mmであり、必要ランド幅A端からソルダレジスト端までの幅(間隙幅B)は0.1mmである。
この場合の必要ランド幅Aと必要ランド幅A両側の間隙幅(2×B)とのランド幅比(A/(2×B))は2.5となる。
【0005】
この場合には、間隙幅B部分に配線パターン102がどのようにレイアウトされていようが、はんだリフロー後にチップ部品200が曲がったり、位置ずれを生じることはほとんどない。
【0006】
これは、必要ランド幅A部分のランド103上に、チップ部品200の部品実装軸(チップ部品200両端の電極間方向)に対して平行に発生する表面張力F1に対して、間隙幅B部分のランド103上に部品実装軸に対して垂直に発生する表面張力F2が小さく(F1>>F2)、チップ部品200の姿勢が安定するからである。
【0007】
一方、図6に示すように、チップ部品200のサイズが小さく、例えば0603サイズの場合には、必要ランド幅Aは0.3mmであるが、間隙幅Bは基板製作方式の制約から変わらず0.1mmであるため、ランド幅比(A/(2×B))は1.5となる。
【0008】
この場合、間隙幅B部分に配線パターン102が存在すると、必要ランド幅A部分のランド上に部品実装軸に対して平行に発生する表面張力F1に対して、間隙幅B部分のランド103上に部品実装軸に対して垂直に発生する表面張力F2が大きくなるため(F1≒F2)、チップ部品の姿勢が乱れて傾く。
【0009】
このようにサイズの小さいチップ部品200を実装する際に、表面張力によって傾いた状態ではんだ付けされると、隣接する他の部品(あるいは当該部品をはんだ付けするためのランド103)に接触導通してしまい、不良になる恐れがあるという課題がある。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、微小のチップ部品をはんだ付けにより実装する際に、チップ部品の部品実装軸に対して平行ではない方向に発生する表面張力を減少させて、チップ部品の姿勢が乱れることがない表面実装用基板を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る表面実装用基板は、基板上に配線された導体からなる配線パターンと、配線パターン上に形成され、電子部品の電極をはんだ付けにより配線パターンに接続するランドとを有する表面実装用基板において、ランドは、配線パターンの配線方向が電子部品両端の電極間方向に対して平行ではない場合に、電子部品の実装位置に対して配線方向とは反対側に、電子部品が実装されないダミーランドが形成されるものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、上記のように構成したので、配線パターンの配線方向が、部品実装軸に対して平行ではない場合に、電子部品の実装位置に対して配線方向とは反対側に、電子部品が実装されないダミーランドを形成することで、チップ部品をはんだ付けして実装する際に、部品実装軸に対して平行ではない方向に発生する表面張力を減少させることができ、チップ部品の姿勢の乱れを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1に係る表面実装用基板の部品実装領域の構成を示す平面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る表面実装用基板の部品実装領域においてチップ部品をはんだ付けした際の状態を示す斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る表面実装用基板の部品実装領域の構成を示す平面図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る表面実装用基板の部品実装領域の別の構成を示す平面図である。
【図5】従来の表面実装用基板に発生する表面張力を説明する平面図である。
【図6】従来の表面実装用基板に発生する表面張力を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る表面実装用基板の部品実装領域の構成を示す平面図であり、図2はこの発明の実施の形態1に係る表面実装用基板の部品実装領域においてチップ部品10をはんだ付けした際の状態を示す斜視図である。
表面実装用基板の基板素地1上には、図1,2に示すように、チップ部品(電子部品)10の一端側の電極(不図示)が接続される導体からなる第1配線パターン2と、チップ部品10の他端側の電極(不図示)が接続される導体からなる第2配線パターン3とが配線されている。
なお図1では、第1配線パターン2がチップ部品10の部品実装軸(チップ部品10両端の電極間方向)に対して平行に配線され、第2配線パターン3が部品実装軸に対して垂直に配線されている場合について示している。
【0015】
この第1配線パターン2上には、チップ部品10の一端側の電極をはんだ付けにより第1配線パターン2に接続する第1ランド4が形成されている。同様に、第2配線パターン3上には、チップ部品10の他端側の電極をはんだ付けにより第2配線パターン3に接続する第2ランド5が形成されている。なお、第2ランド5には、チップ部品10の実装位置に対して第2配線パターン3の配線方向とは反対側に、チップ部品10が実装されないダミーランド6が追加して形成されている。
また、チップ部品10の実装領域及びその周辺以外の基板素地1上には、保護膜であるソルダレジスト7が塗布されている。
【0016】
次に、上記のように構成された表面実装用基板にチップ部品10をはんだ付けする際に発生する表面張力について説明する。
チップ部品10両端の電極を第1ランド4及び第2ランド5にはんだ付けする場合、図2に示すように、溶融したはんだによって、第1ランド4では、チップ部品10のはんだ付けに必要なランドの幅(必要ランド幅A)部分のランド上に、部品実装軸に対して平行(上方向)に表面張力F1が発生する。
また、第1ランド4では、必要ランド幅A端からソルダレジスト7端までの幅(間隙幅B)部分にはランドが存在しないため、部品実装軸に対して垂直には表面張力は発生しない。
【0017】
一方、第2ランド5では、必要ランド幅A部分のランド上に、部品実装軸に対して平行(下方向)に表面張力F1が発生する。
また、第2ランド5では、間隙幅B部分に、第2配線パターン3に沿って形成されたランドと、チップ部品10の実装位置に対して第2配線パターン3の配線方向とは反対側に形成されたダミーランド6とが存在する。
【0018】
この間隙幅B部分の第2配線パターン3に沿って形成されたランド上には、部品実装軸に対して垂直(左方向)に表面張力F2が発生し、ダミーランド6上には、部品実装軸に対して垂直(右方向)に表面張力F3が発生する。そのため、間隙幅B部分の第2配線パターン3に沿って形成されたランド上に発生した表面張力F2が、ダミーランド6上に発生した表面張力F3によって減少される。
したがって、チップ部品10に表面張力が影響することはなく、チップ部品10の姿勢が乱れることはない。
【0019】
次に、表面実装用基板の第1配線パターン2及び第2配線パターン3をともに部品実装軸に対して垂直に配線する場合について説明する。
図3はこの発明の実施の形態1に係る表面実装用基板の部品実装領域の構成を示す図である。
図3に示すように、第1配線パターン2及び第2配線パターン3をチップ部品10の部品実装軸に対して垂直かつ、それぞれ反対方向に配線する場合、第1ランド4に、チップ部品10の実装位置に対して第1配線パターン2の配線方向とは反対側にダミーランド6を追加する。同様に、第2ランド5に、チップ部品10の実装位置に対して第2配線パターン3の配線方向とは反対側にダミーランド6を追加する。
【0020】
このように構成することによって、チップ部品10を表面実装用基板にはんだ付けする際に、第1ランド4上及び第2ランド5上に部品実装軸に対して垂直に発生する表面張力をそれぞれ減少させることができるため、チップ部品10の姿勢が乱れることはない。
【0021】
以上のように、この実施の形態1によれば、配線パターン2,3の配線方向が、チップ部品10の部品実装軸に対して平行ではない場合に、チップ部品10の実装位置に対して配線方向とは反対側に、チップ部品10が実装されないダミーランド6を形成するように構成したので、チップ部品10をはんだ付けして実装する際に、チップ部品10の部品実装軸に対して平行ではない方向に発生する表面張力を減少させることができ、チップ部品10の姿勢の乱れを抑えることができる。
【0022】
なお、この実施の形態1に係る表面実装用基板は、長手方向の長さが0.6mm以下、または短手方向の長さが0.3mm以下の外形寸法からなる微小のチップ部品10をはんだ付けする際に特に有効である。
【0023】
また、この実施の形態1に係る表面実装用基板において、図4に示すように、第1配線パターン2及び第2配線パターン3を同一方向に配線するように構成してもよい。
この状態において、チップ部品10を表面実装用基板にはんだ付けする際、第1ランド4上及び第2ランド5上に部品実装軸に対して垂直に発生する表面張力は、同一方向となる。そのため、チップ部品10がこの表面張力によって同一方向に移動するので、チップ部品10の姿勢が乱れることはない。
【符号の説明】
【0024】
1 基板素地
2 第1配線パターン
3 第2配線パターン
4 第1ランド
5 第2ランド
6 ダミーランド
7 ソルダレジスト
10 チップ部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に配線された導体からなる配線パターンと、前記配線パターン上に形成され、電子部品の電極をはんだ付けにより前記配線パターンに接続するランドとを有する表面実装用基板において、
前記ランドは、前記配線パターンの配線方向が前記電子部品両端の電極間方向に対して平行ではない場合に、前記電子部品の実装位置に対して前記配線方向とは反対側に、前記電子部品が実装されないダミーランドが形成される
ことを特徴とする表面実装用基板。
【請求項2】
前記ダミーランドは、長手方向0.6mm以下、または短手方向0.3mm以下の外形寸法からなる電子部品を実装するランドに設けられる
ことを特徴とする請求項1記載の表面実装用基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−187709(P2011−187709A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51795(P2010−51795)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】