説明

表面形状可変シート及びこの表面形状可変シートに用いられるクッション構造

【課題】一旦形状を変化させた後も、容易に形状を復元させることが可能な表面形状可変シート及びその表面形状可変シートに用いられるクッション構造を提供すること。
【解決手段】弾性率可変素材112と低反発弾性素材114とでクッション材110が形成され、弾性率可変素材112が低反発弾性素材114よりもシート接触面に近い位置に設けられる。ヒーター113によって弾性率可変素材112の温度がガラス転移点Tgよりも高温な温度T1に設定されると、クッション材110は、着座した使用者の押圧力に応じた形状に変形する。その後、弾性率可変素材112の温度がガラス転移点Tg以下になると、変形形状が維持される。弾性率可変素材112の温度が再びT1に設定されることで、クッション材110の変形形状は、低反発弾性素材114によって復元される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が着座した際に使用者の体形に合わせて表面形状が変化するシート及びこのシートに用いられるクッション構造に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者に対する良好な着座感、特に使用者の体へのフィット感を考慮した椅子が従来より種々提案されている。一例として、特許文献1では、シートの耐圧受け面に対向するシートパットが形状記憶ウレタンフォームと、同ウレタンフォームを収容した袋体とで形成された形状可変シートが開示される。この形状可変シートに用いられる形状記憶ウレタンフォームは、加熱処理によって結晶が溶融した状態で使用者からの押圧力に応じた凹形状に変形し、変形状態で冷却されることにより結晶化が促進され、変形状態が維持される。
【特許文献1】実開平5−1366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載の形状可変シートにおいて、使用者が離席する,又は異なる使用者が使用する等の場合、形状記憶ウレタンフォームは、変形状態から変形前の形状に復元されることが求められる。また、例えば使用者が一旦形状記憶ウレタンフォームを変形させた後に着座姿勢を変える場合、形状記憶ウレタンフォームの形状を調整する必要がある。このためには、形状記憶ウレタンフォームにおいて、着座姿勢の変化によって使用者に接触しなくなった箇所の形状が、復元することが求められる。しかし、特許文献1には、形状記憶ウレタンフォームが形状を復元する過程に関して何ら記載がない。一旦変形した形状記憶ウレタンフォームの形状が復元するか否かは、形状記憶ウレタンフォームの物性に依存すると考えられるため、形状が復元するか否かは特許文献1からは明らかでない。即ち、特許文献1に記載の形状記憶シートは、変形形状を維持することは可能であっても、その形状から復元することは考慮されていないと考えられる。
【0004】
本発明は、一旦形状を変化させた後も、容易に形状を復元させることが可能な表面形状可変シート及びその表面形状可変シートに用いられるクッション構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、使用者が着座したときに接触するシート接触面に設けられるクッション材であって、外因の印加によって弾性率が変化する弾性率可変素材と、その弾性率可変素材よりシート接触面から離れて設けられる低反発弾性のウレタン基含有素材とを有するクッション材と、前記低反発弾性のウレタン基含有素材の反発力によって前記弾性率可変素材の形状を変形可能となる第1の弾性率と、前記低反発弾性のウレタン基含有素材の反発力に抗して前記弾性率可変素材の形状を保持可能となる第2の弾性率との少なくとも2種類の弾性率に前記弾性率可変素材の弾性率を変化させるために、前記弾性率可変素材に外因を印加する外因印加部と、前記弾性率可変素材の弾性率を前記第1の弾性率及び前記第2の弾性率のいずれかに変化させるために、前記外因印加部が前記弾性率可変素材に印加する外因の量を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記弾性率可変素材は、熱可塑性樹脂であり、前記外因印加部は、前記熱可塑性樹脂に熱を印加する熱印加部である、ことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記クッション材は、前記弾性率可変素材と前記低反発弾性のウレタン基含有素材との間に、前記低反発弾性のウレタン基含有素材の反発弾性よりも高い反発弾性を有する高反発弾性素材を含み、前記第2の弾性率は、前記高反発弾性素材の反発力に抗して前記弾性率可変素材の形状を保持可能となる弾性率である、ことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の発明において、使用者の着座状態を検出する着座検出部と、前記着座検出部の検出結果によって使用者が着座しているか否かを判断する着座判断部と、前記制御部が前記外因印加部に対して行った制御内容を記憶する制御内容記憶部と、を備え、前記制御部は、前記着座判断部が、使用者が着座していると判断し、且つ前記制御内容記憶部が、前記弾性率可変素材の弾性率が前記第1の弾性率となる制御を前記制御部が前記外因印加部に対して行ったと記憶している場合に、前記弾性率可変素材の弾性率を、前記第2の弾性率よりも低く前記第1の弾性率よりも高い弾性率であって、前記低反発弾性のウレタン基含有素材の反発力によって前記弾性率可変素材の形状を変形可能となる第3の弾性率に変化させるように、前記外因印加部が前記弾性率可変素材に印加する外因の量を制御する、ことを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、外因の印加によって弾性率が変化する弾性率可変素材と、その弾性率可変素材によって覆われる低反発弾性のウレタン基含有素材と、その低反発弾性のウレタン基含有素材の反発力によって前記弾性率可変素材の形状を変形可能となる第1の弾性率と、前記低反発弾性のウレタン基含有素材の反発力に抗して前記弾性率可変素材の形状を保持可能となる第2の弾性率との少なくとも2種類の弾性率に前記弾性率可変素材の弾性率を変化させるために、前記弾性率可変素材に外因を印加する外因印加部と、前記弾性率可変素材の弾性率を前記第1の弾性率及び前記第2の弾性率のいずれかに変化させるために、前記外因印加部が前記弾性率可変素材に印加する外因の量を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記弾性率可変素材は、熱可塑性樹脂であり、前記外因印加手段は、前記熱可塑性樹脂に熱を印加する熱印加部である、ことを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の発明において、前記弾性率可変素材と前記低反発弾性のウレタン基含有素材との間に、前記低反発弾性のウレタン基含有素材の反発弾性よりも高い反発弾性を有する高反発弾性素材を備え、前記第2の弾性率は、前記高反発弾性素材の反発力に抗して前記弾性率可変素材の形状を保持可能となる弾性率である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明では、弾性率可変素材と低反発弾性のウレタン基含有素材とでクッション材が形成され、弾性率可変素材が低反発弾性のウレタン基含有素材よりもシート接触面に近い位置に設けられる。外因印加部によって弾性率可変素材が第1の弾性率に設定されると、クッション材は、着座した使用者の押圧力に応じた形状に変形する。変形した低反発弾性のウレタン基含有素材は、元の形状に戻ろうとする復元力を生じ、この復元力は、変形した弾性率可変素材を元の形状に戻そうとする。しかし、弾性率可変素材の弾性率が第2の弾性率に設定されると、低反発弾性のウレタン基含有素材の反発力に抗して弾性率可変素材の変形形状が保持可能なため、使用者の押圧力に応じた変形形状は維持される。クッション材が変形した状態において、外因印加部によって弾性率可変素材が第1の弾性率に設定されると、低反発弾性のウレタン基含有素材の反発力によって弾性率可変素材の形状を変形可能となるので、クッション材の形状は復元される。従って、一旦クッション材の形状を変化させた後も、容易に形状を復元させることが可能になる。
【0013】
請求項2に記載の発明では、弾性率可変素材は熱可塑性樹脂であり、外因印加部は熱可塑性樹脂に熱を印加する熱印加部である。熱可塑性樹脂は、熱が印加されることによって弾性率が低下する。従って、弾性率可変素材の形状を変形可能とする第1の弾性率に設定されるときのみ熱が印加されれば良く、弾性率可変素材の形状を維持する第2の弾性率に設定されるときは熱が印加される必要はない。従って、消費電力を抑えることが可能になる。
【0014】
請求項3に記載の発明では、クッション材が、弾性率可変素材と低反発弾性のウレタン基含有素材との間に、高反発弾性素材を含む。そして、高反発弾性素材は、低反発弾性のウレタン基含有素材の反発弾性よりも高い反発弾性を有する。クッション材が変形状態のとき、弾性率可変素材の弾性率が第2の弾性率に設定されていれば、弾性率可変素材は、高反発弾性素材の反発力に抗して形状を保持可能である。そして、クッション材が変形した状態において、外因印加部によって弾性率可変素材が第1の弾性率に設定されると、高反発弾性素材の反発力によって弾性率可変素材の形状を変形可能となるので、クッション材の形状は素早く復元される。
【0015】
請求項4に記載の発明では、着座判断部が、使用者が着座していると判断し、且つ制御内容記憶部が、弾性率可変素材の弾性率が第1の弾性率となる制御を制御部が外因印加部に対して行ったと記憶している場合、即ち使用者が一旦弾性率可変素材を変形させた後に、弾性率可変素材の弾性率が第3の弾性率に設定される。この場合は、例えば着座者が着座姿勢を変える場合などが考えられる。第3の弾性率は、第2の弾性率よりも低く第1の弾性率よりも高い弾性率であり、且つ低反発弾性のウレタン基含有素材の反発力によって弾性率可変素材の形状を変形可能な弾性率であるので、クッション材の使用者が接触していない位置の変形する速度が緩やかになる。従って、クッション材の形状を微調整することが可能になる。
【0016】
請求項5に記載の発明では、弾性率可変素材と低反発弾性のウレタン基含有素材とでクッション材が形成され、弾性率可変素材が低反発弾性のウレタン基含有素材よりも使用者が接触する面に近い位置に設けられる。外因印加部によって弾性率可変素材が第1の弾性率に設定されると、クッション材は、接触した使用者の押圧力に応じた形状に変形する。その後、弾性率可変素材が第2の弾性率に設定されると、変形形状が維持される。従って、請求項1に記載の発明と同様に、一旦クッション材の形状を変化させた後も、容易に形状を復元させることが可能になる。
【0017】
請求項6に記載の発明では、弾性率可変素材は熱可塑性樹脂であり、外因印加部は熱可塑性樹脂に熱を印加する熱印加部である。従って、請求項2に記載の発明と同様に、消費電力を抑えることが可能になる。
【0018】
請求項7に記載の発明では、クッション材が、弾性率可変素材と低反発弾性のウレタン基含有素材との間に、高反発弾性素材を含む。そして、高反発弾性素材は、低反発弾性のウレタン基含有素材の反発弾性よりも高い反発弾性を有する。従って、請求項3に記載の発明と同様に、クッション材が変形した状態において、外因印加部によって弾性率可変素材が第1の弾性率に設定されると、高反発弾性素材の反発力によって弾性率可変素材の形状を変形可能となるので、クッション材の形状は素早く復元される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について詳述する。
【0020】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る表面形状可変シート1の斜視図である。図1において、表面形状可変シート1は、シート部100と、シート部100に固定された制御ボックス200とで構成される。シート部100は、台座101と、台座101に固定された支柱102と、支柱102に固定され使用者が着座する着座部103と、着座部103の表面であって使用者が着座時に接触するシート接触面104と、で構成される。シート接触面104は後述するクッション材110を備えており、クッション材110は使用者の体形に応じて表面形状を変化させられる。制御ボックス200は、その表面にクッション材110の表面形状を変えるための入力を行う入力スイッチ205を有する。また、制御ボックス200は、商用電源入力AC100Vからの電力供給を受けるために、図示しない電源ケーブルを有する。尚、前記したクッション材110が、本発明におけるクッション材の一例である。
【0021】
[クッション材110の構造]
図2は、シート部100の表面、即ち使用者が着座したときに接触するシート接触面に設けられるクッション材110の断面構造模式図である。図2(a)は、クッション材110の表面形状が変形していない初期形状を示し、図2(b)は、クッション材110が外力を受けて変形した形状の一例である変形形状を示す。クッション材110は、シート接触面に近い側から、断熱性素材111,弾性率可変素材112,ヒーター113,低反発弾性素材114,シート骨組115で構成される。ここで、弾性率可変素材112の厚さは、低反発弾性素材114の厚さよりも薄い方が望ましい。断熱性素材111と弾性率可変素材112との間には、温度センサ116及び圧力センサ117が、所定間隔で複数配置される。尚、断熱性素材111,弾性率可変素材112,ヒーター113,低反発弾性素材114,シート骨組115は、接着剤等を用いて互いに固定される。尚、前記した弾性率可変素材112,ヒーター113,低反発弾性素材114,圧力センサ117が、本発明における弾性率可変素材,外因印加部,低反発弾性のウレタン基含有素材,着座検出部の一例である。
【0022】
断熱性素材111は、後述するようにヒーター113で加熱されることによって弾性率可変素材112の温度が変化するため、弾性率可変素材112の温度を使用者に伝え難くするために、弾性率可変素材112を覆うようにして設けられる。具体的には、ポリスチレン系フォーム,フェノール樹脂,セルロースファイバー,炭化発泡コルク等が断熱性素材111として用いられる。
【0023】
ヒーター113を介して低反発弾性素材114を覆うように設けられる弾性率可変素材112は、自身の温度に応じて弾性率が変化する素材である。図3は、弾性率可変素材112の弾性率と温度との関係を示した図である。図3から分かるように、成立可変素材112の弾性率は、温度が低いほど高く、温度が高いほど低くなる。後述するように、本実施形態においては、クッション材110の表面形状を変化させる際に、弾性率可変素材112の温度がガラス転移点Tgよりも高温且つ融点Tmよりも低温に調整される。また、常温で弾性率可変素材112がガラス状態を維持可能なように、弾性率可変素材112の形成時に、ガラス転移点Tgが40〜120℃となる様に調整される。断熱性素材111が弾性率可変素材112を覆っているため、使用者が火傷をする心配はないが、好ましくは、ガラス転移点Tgが40〜60℃に調整されるのがより望ましい。弾性率可変素材112としては、熱可塑性樹脂,エポキシ系樹脂,ポリウレタン系樹脂,ポリカプロラクトン等が用いられる。例えば、ポリウレタン系樹脂の場合、特開平7−223160号公報に記載されているように、
材料a 1,4−ブタンジオールとテレフタル酸より合成したポリオール
4,4−メチレンジフェニルジイソシアネート
1,4−ブタンジオール(鎖長延長剤)
材料b グリセリン
トリレンジイソシアネート
材料aより合成されたポリウレタンを、材料bより合成された3官能以上のトリイソシアネートにより架橋することで、ガラス転移点が60℃のポリウレタン系樹脂を得ることができ、
材料c エチレングリコールとアジピン酸より合成したポリオール
4,4−メチレンジフェニルジイソシアネート
エチレングリコール(鎖長延長剤)
材料d グリセリン
ヘキサメチレンジイソシアネート
材料cより合成されたポリウレタンを、材料dより合成された3官能以上のトリイソシアネートにより架橋することで、ガラス転移点が50℃のポリウレタン系樹脂を得ることができる。尚、ガラス状態における弾性率変形素材112の弾性率、即ち図3において弾性率Eg以上となる弾性率が、本発明の第2の弾性率の一例である。
【0024】
ヒーター113は、弾性率可変素材112に熱を印加するための発熱体である。ヒーターの形状は特に限定されないが、好ましくは面状の発熱体である。ヒーター113は、弾性率可変素材112及び後述する低反発弾性素材114の変形に追随して、形状を変えることができるように構成される。具体的には、例えば特開2002−164155号公報に記載されている様な加温シートが用いられる。ヒーター113は、後述するヒーター駆動部206から電力を供給される。
【0025】
低反発弾性素材114は、反発弾性率が20%以下となる素材であり、例えば特開2004−2591号公報に記載されている様なウレタン素材等で構成される。クッション材110が変形形状になった場合、低反発弾性素材114の形状も同様に変形するため、変形を元の状態に戻そうとするための復元力が低反発弾性素材114に生じる。この復元力は、ゴム状態の弾性率変形素材112を変形させることが可能である。従って、例えば図2(b)の様にクッション材110が変化形状の場合、弾性率変形素材112の温度がガラス転移点Tg以下、即ち弾性率変形素材112がガラス状態であれば、変形した弾性率変形素材112は低反発弾性素材114の復元力に抗することが可能なため、クッション材110の変形形状は維持される。一方、弾性率変形素材112の温度がガラス転移点Tg以上且つ融点Tm以下の場合、即ち弾性率変形素材112がゴム状態であれば、変形した弾性率変形素材112は低反発弾性素材114の復元力に屈して元の形状へと変形し、クッション材110は初期形状に復元される。
【0026】
[表面形状可変シート1の制御回路構成]
図4は、表面形状可変シート1の制御回路構成を示すブロック図である。表面形状可変シート1の制御回路は、表面形状可変シート1を制御するための回路をまとめた制御ボックス200に設けられる構成要素と、使用者が着座するシート部100に設けられる構成要素との2つに大きく分けられる。制御ボックス200は、バス201を,CPU202,ROM203,RAM204,入力スイッチ205,ヒーター駆動部206を備える。CPU202,ROM203,RAM204,入力スイッチ205,ヒーター駆動部206は、バス201に接続される。シート部100は、ヒーター113,温度センサ116,圧力センサ117を備える。ヒーター113はヒーター駆動部206に接続され、温度センサ116及び圧力センサ117はバス201に接続される。尚、前記した制御ボックス200に設けられる構成要素が、本発明の制御部の一例である。
【0027】
CPU202は、バス201を介してROM203,RAM204,入力スイッチ205,ヒーター駆動部206,温度センサ116,圧力センサ117との間で信号の送受信を行い、クッション材110の表面形状を調整するための、後述する図5に示されるような全般的な制御及び操作に関する処理を実行する。ROM203は、CPU202が表面形状可変シート1の表面形状を調整するための処理に関するプログラムを記憶する。また、ROM203は、弾性率可変素材112の弾性率をゴム状態である弾性率E1,E2にするために必要な温度である設定温度T1,T2や、クッション材110の表面形状が変形するのに必要な時間である変形必要時間等、様々な値を記憶する。RAM204は、ROM203に記憶されたプログラムを実行に際して一時記憶する、温度センサ116からの温度信号や圧力センサ117からの圧力信号等の値を一時記憶する等、一時的な記憶領域として用いられる。
【0028】
入力スイッチ205は、使用者が表面形状可変シート1を操作するためのスイッチである。入力スイッチ205は、例えばクッション材110の表面形状の変形を開始させる、変形した表面形状の微調整をする、変形した表面形状を復元する等、制御ボックス200に所定の制御を行わせるためのトリガーとなる操作信号を、バス201を介してCPU202に送信する。
【0029】
ヒーター駆動部206は、前記したヒーター113に電力を供給することで、ヒーター113に弾性率可変素材112を加熱させる。具体的には、CPU202からの制御信号に従って、ヒーター113に供給する電力量を調整する。
【0030】
温度センサ116は、弾性率可変素材112の温度を検出するために設けられる。具体的には、温度センサ116は、弾性率可変素材112と熱的に接続され、弾性率可変素材112の温度に対応した温度信号をCPU202に送信する。温度センサ116は、例えばサーミスタ,白金測温抵抗体,熱電対,IC化半導体温度センサ等で構成できる。
【0031】
圧力センサ117は、シート部100のシート接触面が受ける圧力を検知し、圧力信号をCPU202に送信する。シート部100に使用者が着座すると、シート接触面に圧力がかかる。そのため、圧力信号は、シート部100における着座の有無を判断する際に利用される。圧力センサ117は、例えば歪ゲージ等を用いて圧力に対応した圧力信号を出力する様に構成されても良いし、例えばメンブレンスイッチ等を用いてON/OFFのみの圧力信号を出力する様に構成されても良い。
【0032】
[表面形状の調整方法]
図5は、クッション材110の表面形状を変化させるための動作を説明するフローチャートである。動作の開始時において、クッション材110の表面形状は、図2(a)に示される初期形状である。CPU202は、ヒーター駆動部206に制御信号を送信することで、ヒーター駆動部206にヒーター113への電力供給を開始させる(ステップS100)。尚、ヒーター113へ供給される電力量は、PWM制御によって調整される。ヒーター113への電力供給開始後、CPU202は、温度センサ116からの温度信号に基づいて弾性率可変素材112の温度を算出し、その温度とROM203に記憶されている設定温度T1との比較を行う(ステップS102)。弾性率可変素材112の温度が設定温度T1と等しくない場合(ステップS102がN)、CPU202は、弾性率可変素材112の温度と設定温度T1との差に応じて、ヒーター駆動部206に送信する制御信号のデューティー比を調整する。デューティー比が調整されることで、ヒーター駆動部206からヒーター113に供給される電力量が調整され、弾性率可変素材112の温度が設定温度T1に等しくなるように制御される。ここで、弾性率可変素材112の温度が設定温度T1に等しい場合、弾性率可変素材112の弾性率は図3に示される様に弾性率E1となる。このとき、弾性率可変素材112はゴム状態である。尚、弾性率E1が、本発明における第1の弾性率の一例である。
【0033】
弾性率可変素材112の温度が設定温度T1と等しい場合(ステップS102がY)、CPU202は、圧力センサ117からの圧力信号に基づいて、表面形状可変シート1への着座の有無を判断する(ステップS104)。使用者が着座していない場合(ステップS104がN)、CPU202は、ヒーター駆動部206に制御信号を送信し、ヒーター113への電力供給を停止させる(ステップS105)。使用者が着座している場合(ステップS104がY)、CPU202は、弾性率可変素材112の温度が設定温度T1になってから、クッション材110の表面形状が変化するための必要時間が経過したか否かを判断する(ステップS106)。この必要時間は、ゴム状態の弾性率可変素材112を有するクッション材110の表面形状が使用者の押圧力に応じた形状に変形するために要する時間であり、実験等によって予め決定される。必要時間が経過していない場合(ステップS106がN)、即ちクッション材110の表面形状の変形が終了していない場合、次のステップには進めない。必要時間が経過した場合(ステップS106がY)、即ちクッション材110の表面形状が図2(b)に示される様な変形形状になった場合、CPU202は、弾性率可変素材112の温度を設定温度T1に調整することで弾性率可変素材112の弾性率を弾性率E1に調整した旨の記録を表す変形フラグに対し、値「1」を代入してRAM204に一時記憶させる(ステップS108)。その後、CPU202は、ヒーター駆動部206に制御信号を送信し、ヒーター113への電力供給を停止させる(ステップS110)。クッション材110の表面形状が変形形状且つ使用者が着座した状態において、ヒーター113への電力供給が停止されることにより、弾性率可変素材112は変形したままガラス状態へ遷移する。変形したままガラス状態へ遷移した弾性率可変素材112は、低反発弾性素材114の復元力に抗して変形状態を維持する。従って、クッション材110の表面形状は、変形形状のまま維持される。尚、CPU202,ROM203,RAM204及びステップS104で実行される着座の有無を判定するためのプログラムは、本発明における着座判断部の一例であり、変形フラグを一時記憶するRAM204は、本発明における制御内容記憶部の一例である。
【0034】
クッション材110の表面形状が変形形状のまま維持された状態において、CPU202は、クッション材110の表面形状の微調整を行うか否かの判断を行う(ステップS112)。ステップS112の判断は、(1)RAM204に一時記憶されている変形フラグが「1」である、(2)表面形状の微調整を行う旨の操作信号が入力スイッチ205から送信された、という2つの条件を満たす場合のみ、微調整を行う場合となる(ステップS112がY)。クッション材110の表面形状の微調整が行われる場合(ステップS112がY)、CPU202は、ヒーター駆動部206に制御信号を送信することで、ヒーター駆動部206にヒーター113への電力供給を開始させる(ステップS114)。ヒーター113への電力供給が開始されたら、CPU202は、温度センサ116からの温度信号に基づいて弾性率可変素材112の温度を算出し、その温度とROM203に記憶されている設定温度T2との比較を行う(ステップS116)。弾性率可変素材112の温度が設定温度T2と等しくない場合(ステップS116がN)、CPU202は、弾性率可変素材112の温度が設定温度T2に等しくなるように、弾性率可変素材112の温度と設定温度T2との差に応じて、ヒーター駆動部206へ送信する制御信号のデューティー比を調整する。ここで、設定温度T2は、ガラス転移点Tg以上且つ設定温度T1以下の温度である。弾性率可変素材112の温度が設定温度T2に等しい場合、図3に示される様に、弾性率可変素材112の弾性率は弾性率E2に等しくなる。尚、弾性率E2は弾性率E1よりも高く、本発明における第3の弾性率の一例である。
【0035】
弾性率可変素材112の温度が設定温度T2と等しい場合(ステップS1116がY)、CPU202は、弾性率可変素材112の温度が設定温度T2になってから、クッション材110の表面形状が変化するための必要時間が経過したか否かが判断される(ステップS118)。今、弾性率可変素材112は弾性率E2のゴム状態であるため、形状変形が可能である。しかし、弾性率E2は弾性率E1よりも高いため、弾性率可変素材112の使用者の接触していない位置は、弾性率がE1のときよりも緩やかに変形する。従って、クッション材110の表面形状の微調整が可能になる。ここでの必要時間は、クッション材110の表面形状の微調整に必要な時間であり、ステップS106における必要時間とは異なる。ここでの必要時間もまた、実験等によって予め決定されている。必要時間が経過していない場合(ステップS118がN)、即ちクッション材110の表面形状の微調整が終了していない場合、次のステップには進めない。必要時間が経過した場合(ステップS118がY)、即ちクッション材110の表面形状の微調整が完了した場合、CPU202は、ヒーター駆動部206に制御信号を送信し、ヒーター113への電力供給を停止させる(ステップS120)。
【0036】
ヒーター113への電力供給停止後、又はクッション材110の表面形状の微調整が行われない場合(ステップS112がN)、CPU202は、圧力センサ117からの圧力信号に基づいて、表面形状可変シート1への着座の有無を判断する(ステップS122)。使用者が着座している場合(ステップS122がY)、ステップS112に戻り、CPU202は、クッション材110の表面形状の微調整を行うか否かの判断を再び行う。使用者が着座していない場合(ステップS122がN)、CPU202は、クッション材110の表面形状を初期形状に復元するか否かの判断を行う(ステップS124)。ステップS124の判断は、表面形状の復元を行う旨の操作信号が入力スイッチ205から送信されたか否かによって判断される。クッション材110の表面形状の復元が行われる場合(ステップS124がY)、CPU202は、ヒーター駆動部206に制御信号を送信することで、ヒーター駆動部206にヒーター113への電力供給を開始させる(ステップS126)。その後、CPU202は、前記したステップS102と同様の処理を行うことで、弾性率可変素材112の温度を設定温度T1に等しくなるように調整する(ステップS128)。CPU202は、前記したステップS106と同様に、弾性率可変素材112の温度が設定温度T1になってから、クッション材110の表面形状が変化するための必要時間が経過したか否かを判断する(ステップS130)。必要時間が経過した場合(ステップS130がY)、使用者が着座していないので、変形した弾性率変形素材112は、低反発弾性素材114の復元力に屈して元の形状へと変形し、クッション材110は初期形状に復元される。その後、CPU202は、ヒーター駆動部206に制御信号を送信し、ヒーター113への電力供給を停止させる(ステップS132)。ヒーター132への電力供給停止後、又はクッション材を初期形状に復元しない場合(ステップS124がN)、一連の作業は終了する。
【0037】
<第2の実施形態>
本実施形態は、シート部に用いられるクッション材210のみが第1の実施形態のクッション材110と異なり、その他の外観,制御回路構成,表面形状の調整方法は第1の実施形態と同一である。図6は、クッション材210の断面構造模式図である。クッション材210におけるクッション材110と同一の構成要素は、同一の番号が付され、説明が省略される。クッション材210は、クッション材110と比較して、高反発弾性素材118を有する点で異なる。高反発弾性素材118は、低反発弾性素材114を覆うようにして、ヒーター113と低反発弾性素材114との間に層状に設けられる。高反発弾性素材118は、反発弾性率が20%以上となる素材であり、例えばウレタンフォーム,合成ゴム,天然ゴム等が用いられる。尚、前記した高反発弾性素材118が、本発明における高反発弾性素材の一例である。
【0038】
クッション材210が変形形状になった場合、低反発弾性素材114と高反発弾性素材118との形状が同様に変形する。そして、変形を元の状態に戻そうとするための復元力が、低反発弾性素材114と高反発弾性素材118とに生じる。ここで、高反発弾性素材118は、低反発弾性素材114よりも高い反発弾性を有するので、高反発弾性素材118に生じる復元力は、低反発弾性素材114に生じる復元力よりも大きい。従って、高反発弾性素材118に生じる復元力は、ゴム状態の弾性率変形素材112を、低反発弾性素材114に生じる復元力よりも素早く変形させられる。また、高反発弾性素材118、生じる復元力がガラス状態の弾性率変形素材112を変形させない素材が選択される。従って、クッション材210が変形形状の場合、弾性率変形素材112の温度がガラス転移点Tg以下であれば、クッション材210の変形形状は維持される。一方、弾性率変形素材112の温度がガラス転移点Tg以上且つ融点Tm以下の場合であれば、クッション材210は第1の実施形態におけるクッション材110よりも素早く初期形状に復元される。
【0039】
<第3の実施形態>
本実施形態は、前記した第1及び第2の実施形態で用いられたクッション材を利用して、クッション310が提供される。図7は、クッション310の斜視図であり、図8は、クッション310の断面構造模式図である。クッション310は、内側から、低反発弾性素材314,ヒーター313,ヒーター313を介して低反発弾性素材314を覆うように設けられた弾性率可変素材312,断熱性素材311,で構成される。断熱性素材311と弾性率可変素材312との間には、温度センサ316及び圧力センサ317が配置される。尚、断熱性素材311,弾性率可変素材312,ヒーター313,低反発弾性素材314,温度センサ316及び圧力センサ317の材質及び特性は、前記した実施形態の対応する構成の材質及び特性に同一であるため、ここでは説明を省略する。
【0040】
クッション310の表面形状は、前記した第1及び第2の実施形態と同様に、制御ボックス200を用いて制御される。制御回路構成,表面形状の調整方法は、前記した前記した第1及び第2の実施形態と同一であるので、ここでは説明を省略する。クッション310の表面形状は、制御ボックス200を用いて制御されることで、着座した使用者の押圧力に応じた変形形状を維持し、また変形形状から初期形状へと復元することができる。
【0041】
<第4の実施形態>
図9は、クッション410の断面構造模式図である。本実施形態は、クッション410に高反発弾性素材318が用いられる点においてのみ、第3の実施形態のクッション310と異なり、その他の外観,制御回路構成,表面形状の調整方法は第3の実施形態と同一である。クッション410におけるクッション310と同一の構成要素は、同一の番号が付され、説明が省略される。高反発弾性素材318は、ヒーター313を介して低反発弾性素材314を覆うように、ヒーター313と低反発弾性素材314との間に設けられる。高反発弾性素材318の材質及び特性は、前記した第2の実施形態における高反発弾性素材118に同一であるため、ここでは説明を省略する。クッション410が変化形状の場合、弾性率変形素材312の温度がガラス転移点Tg以下であれば、クッション410の変形形状は維持される。一方、弾性率変形素材312の温度がガラス転移点Tg以上且つ融点Tm以下の場合であれば、クッション410は、第3の実施形態におけるクッション310よりも素早く初期形状に復元される。
【0042】
<変形例>
本発明は、今までに述べた実施形態に限定されることは無く、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形・変更が可能である。以下にその変形の一例を述べる。
【0043】
前記した実施形態において、面状の発熱体であるヒーターは弾性率可変素材と低反発弾性素材との間に設けられる。しかし、ヒーターが設けられる位置はこの位置に限定されない。例えば、葛籠状に折り曲げた電熱線を、弾性率可変素材の内部に埋め込む様な構成であっても良い。要は、ヒーターは、弾性率可変素材に対して熱を印加可能なように構成されれば良い。
【0044】
前記した実施形態において、使用者の着座を検知するために、断熱性素材と弾性率可変素材との間に圧力センサが設けられる。この圧力センサは、例えば株式会社シロク製のLLSENSOR(登録商標)等の圧力分布シートが用いられても良い。圧力分布シートが用いられる場合、シート接触面が受ける圧力の分布を調べることで、表面形状可変シート1の表面形状がどのように変形しているかを検知できるという利点がある。
【0045】
前記した実施形態において、弾性率可変素材は、外因として熱が印加されることで、弾性率が変化する素材が用いられる。しかし、熱以外の外因によって弾性率が変化する素材であっても良い。その一例として、電気レオロジー流体(以下、ER流体)が挙げられる。ER流体は、例えば電気絶縁性の媒体中に分散相粒子を分散させて得られる流体である。外部電界が印加されることによってER流体の粘度は増大し、印加される電界が十分に強い場合、ER流体は固化する。袋体で封止されたER流体からなるER流体層を、前記した実施形態における弾性率可変素材の代わりに用いることができる。具体的には、特開2002−80881号公報に記載の組成物等が、ER流体として利用できる。この場合、ヒーターの代わりに、ER流体層に電界を印加するために、ER流体層を挟み込むようにして2つのシート状電極層が設けられる。これら2つのシート状電極層に電圧を印加することで、2つのシート状電極層の間に電界が生じ、結果としてER流体層に電界が印加できる。尚、ER流体層,2つのシート状電極層が、本発明の弾性率可変素材,外因印加部の一例である。
【0046】
ER流体は、外因として電界が印加されることで粘性が変化する。前記した実施形態と比較して、弾性率が変化するという点と、粘性が変化するという点で差異がある。しかし、ER流体層が弾性率可変素材の代わりに設けられたクッション材でも、前記した実施形態と同様に、使用者の押圧力に応じた変形形状を維持するという効果と、容易に形状を復元させるという効果とを得ることが可能である。以下その説明を行う。ER流体層を挟む2つのシート状電極層によって、ER流体層に電圧が印加されない場合、クッション材は、着座した使用者の押圧力に応じた形状に変形する。変形した低反発弾性素材が生じる復元力は、変形したER流体層を元の形状に戻そうとする。しかし、ER流体層に電圧が印加されると、ER流体の粘度が高くなる。印加される電圧量を適切に調整することで、ER流体は、低反発弾性素材の反発力に抗してER流体層の変形した形状を保持可能な粘度を得る。従って、クッション材は、使用者の押圧力に応じた変形形状に維持される。クッション材が変形した状態において、ER流体層への電圧印加が停止されると、又は印加される電圧量がER流体層の変形した形状を保持不可能な程度に減少すると、低反発弾性素材の反発力によってER流体層の形状を変形可能となるので、クッション材の形状は復元される。従って、一旦クッション材の形状を変化させた後も、容易に形状を復元させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】第1の実施形態の表面形状可変シート1の斜視図。
【図2】クッション材110の断面構造模式図。
【図3】弾性率可変素材112の弾性率と温度との関係を示した図。
【図4】表面形状可変シート1の制御回路構成を示すブロック図。
【図5】クッション材110の表面形状を変化させるための動作を説明するフローチャート。
【図6】第2の実施形態のクッション材210の断面構造模式図。
【図7】第3の実施形態のクッション310の斜視図。
【図8】第3の実施形態のクッション310の断面構造模式図。
【図9】第4の実施形態のクッション410の断面構造模式図。
【符号の説明】
【0048】
1 表面形状可変シート
100 シート部
101 台座
102 支柱
103 着座部
104 シート接触面
110,210 クッション材
111,311 断熱性素材
112,312 弾性率可変素材
113,313 ヒーター
114,314 低反発弾性素材
115 シート骨組
316 温度センサ
317 圧力センサ
118,318 高反発弾性素材
200 制御ボックス
201 入出力バス
202 CPU
203 ROM
204 RAM
205 入力スイッチ
206 ヒーター駆動部
310,410 クッション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が着座したときに接触するシート接触面に設けられるクッション材であって、外因の印加によって弾性率が変化する弾性率可変素材と、その弾性率可変素材よりシート接触面から離れて設けられる低反発弾性のウレタン基含有素材とを有するクッション材と、
前記低反発弾性のウレタン基含有素材の反発力によって前記弾性率可変素材の形状を変形可能となる第1の弾性率と、前記低反発弾性のウレタン基含有素材の反発力に抗して前記弾性率可変素材の形状を保持可能となる第2の弾性率との少なくとも2種類の弾性率に前記弾性率可変素材の弾性率を変化させるために、前記弾性率可変素材に外因を印加する外因印加部と、
前記弾性率可変素材の弾性率を前記第1の弾性率及び前記第2の弾性率のいずれかに変化させるために、前記外因印加部が前記弾性率可変素材に印加する外因の量を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする表面形状可変シート。
【請求項2】
前記弾性率可変素材は、熱可塑性樹脂であり、
前記外因印加部は、前記熱可塑性樹脂に熱を印加する熱印加部である、
ことを特徴とする請求項1に記載の表面形状可変シート。
【請求項3】
前記クッション材は、前記弾性率可変素材と前記低反発弾性のウレタン基含有素材との間に、前記低反発弾性のウレタン基含有素材の反発弾性よりも高い反発弾性を有する高反発弾性素材を含み、
前記第2の弾性率は、前記高反発弾性素材の反発力に抗して前記弾性率可変素材の形状を保持可能となる弾性率である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の表面形状可変シート。
【請求項4】
使用者の着座状態を検出する着座検出部と、
前記着座検出部の検出結果によって使用者が着座しているか否かを判断する着座判断部と、
前記制御部が前記外因印加部に対して行った制御内容を記憶する制御内容記憶部と、
を備え、
前記制御部は、
前記着座判断部が、使用者が着座していると判断し、且つ前記制御内容記憶部が、前記弾性率可変素材の弾性率が前記第1の弾性率となる制御を前記制御部が前記外因印加部に対して行ったと記憶している場合に、
前記弾性率可変素材の弾性率を、前記第2の弾性率よりも低く前記第1の弾性率よりも高い弾性率であって、前記低反発弾性のウレタン基含有素材の反発力によって前記弾性率可変素材の形状を変形可能となる第3の弾性率に変化させるように、前記外因印加部が前記弾性率可変素材に印加する外因の量を制御する、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面形状可変シート。
【請求項5】
外因の印加によって弾性率が変化する弾性率可変素材と、
その弾性率可変素材によって覆われる低反発弾性のウレタン基含有素材と、
その低反発弾性のウレタン基含有素材の反発力によって前記弾性率可変素材の形状を変形可能となる第1の弾性率と、前記低反発弾性のウレタン基含有素材の反発力に抗して前記弾性率可変素材の形状を保持可能となる第2の弾性率との少なくとも2種類の弾性率に前記弾性率可変素材の弾性率を変化させるために、前記弾性率可変素材に外因を印加する外因印加部と、
前記弾性率可変素材の弾性率を前記第1の弾性率及び前記第2の弾性率のいずれかに変化させるために、前記外因印加部が前記弾性率可変素材に印加する外因の量を制御する制御部と、
を備えることを特徴とするクッション構造。
【請求項6】
前記弾性率可変素材は、熱可塑性樹脂であり、
前記外因印加手段は、前記熱可塑性樹脂に熱を印加する熱印加部である、
ことを特徴とする請求項5に記載のクッション構造。
【請求項7】
前記弾性率可変素材と前記低反発弾性のウレタン基含有素材との間に、前記低反発弾性のウレタン基含有素材の反発弾性よりも高い反発弾性を有する高反発弾性素材を備え、
前記第2の弾性率は、前記高反発弾性素材の反発力に抗して前記弾性率可変素材の形状を保持可能となる弾性率である、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載のクッション構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−104645(P2010−104645A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281008(P2008−281008)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】