説明

表面形状認識センサ装置

【課題】小さな回路規模で高い生体判定精度を得る。
【解決手段】基準信号生成部4に、入力された周波数調整値42Sに応じた一定周波数の基準信号4Sを生成する可変周波数発振部41を設け、例えば表面形状認識センサ装置10の起動時など、第2のA/D変換部31でのA/D変換動作が実行される以前に、制御部25からの調整動作制御信号4Rに基づいて、基準信号4Sの周波数を調整するための周波数調整動作を実行し、カウント部43からの計数結果4Xが所定の許容範囲に収まるよう周波数調整値42Sを変更することにより、基準信号4Sの周波数を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体認識技術に関し、特に被検体から指紋などの生体情報を検出して個人認識を行う際に、その被検体が生体か否かを判定する表面形状認識技術に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体から指紋などの生体情報を検出して個人認識を行う表面形状認識センサ装置において、その被検体が生体か否かを判定する技術が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。
図12は、従来の表面形状認識センサ装置の概観図である。図13は、従来の表面形状認識センサ装置の概略構成を示すブロック図である。図14は、従来の表面形状認識センサ装置の全体構成を示すブロック図である。
【0003】
この表面形状認識センサ装置10は、LSIチップにセンサアレイ5と、表面形状検出部2および生体認識部3などの各回路部とを形成し、このセンサアレイ5で被検体9の表面形状を検出し、2次元の表面形状データ2Sを生成して出力する装置である。
センサアレイ5には、表面形状検出用の複数の容量検出ユニット20が対となる検出素子1Aとともに格子状(行列マトリクス状)に配置されている。容量検出ユニット20は、被検体9の表面形状との間に生じた容量を、対となる検出素子1Aで検出し、表面形状の凹凸に応じた期間だけ有効な値を示す容量信号20Sを出力する機能を有している。制御部25、列セレクタ26、第1のA/D変換部27、および行セレクタ28は、各容量検出ユニット20とともに、表面形状検出部2を構成する回路部である。
【0004】
表面形状検出部2は、制御部25および列セレクタ26から各容量検出ユニット20を列単位で順に走査し、各容量検出ユニット20で得られた容量信号20Sを第1のA/D変換部27で凹凸データ27SへA/D変換した後、行セレクタ28でこれら凹凸データ27Sを行単位で順に選択することにより、被検体9の表面形状を示す2次元の表面形状データ2Sを生成して出力する。
【0005】
表面形状認識センサ装置10では、容量検出ユニット20のうちのいずれか、図14の例ではセンサアレイ5の中央に配置されている容量検出ユニット20に代えて、生体認識用のインピーダンス検出ユニット30が対となる検出素子1Bとともに配置されている。インピーダンス検出ユニット30は、対となる検出素子1Bを介して被検体9と電気的に接触することにより、被検体9のインピーダンスを検出し、そのインピーダンスに応じた期間だけ有効な値を示す検出信号30Sを出力する。第2のA/D変換部31、生体判定部32、および基準信号発生部33は、インピーダンス検出ユニット30とともに、生体認識部3を構成する回路部である。
【0006】
生体認識部3は、基準信号発生部33で生成された基準信号33Sに基づいて、インピーダンス検出ユニット30から出力された検出信号30Sを、第2のA/D変換部31でA/D変換し、得られた判定データ31Sに基づいて生体判定部32で被検体9が生体か否かを判定し、その判定結果を生体認識結果3Sとして出力する。
【0007】
図15は、第1のA/D変換部の構成を示す回路図である。この第1のA/D変換部27は、データ線20Lごとに設けられた、AND回路27Aおよびカウンタ27Bと、AND回路27Cとから構成されている。
AND回路27Cは、制御部25からの変換動作制御信号27Dが有効な値を示すA/D変換動作期間だけ、制御部25からのクロック信号27Tを各AND回路27Aへ出力する。
【0008】
AND回路27Aは、対応するデータ線20Lの容量信号20Sが有効な値を示す期間だけ、AND回路27Cからのクロック信号27Tをカウンタ27Bへ入力する。カウンタ27Bは、所定のリセット信号(図示せず)でカウント値をリセットした後、対応するAND回路27Aを介して入力されたクロック信号27Tのパルスを計数し、その計数結果を並列ビットデータからなる凹凸データ27Sとして行セレクタ28へ出力する。これにより、A/D変換動作期間において、容量信号20Sが並列してA/D変換され、凹凸データ27Sとして出力される。
【0009】
図16は、第2のA/D変換部の構成を示す回路図である。この第2のA/D変換部31は、AND回路31Aとカウンタ31Bとから構成されている。AND回路31Aは、インピーダンス検出ユニット30からの検出信号30Sが有効な値を示す期間だけ、制御部25からの基準信号33Sをカウンタ31Bへ入力する。カウンタ31Bは、所定のリセット信号(図示せず)でカウント値をリセットした後、AND回路31Aを介して入力された基準信号33Sのパルスを計数し、その計数結果を並列ビットデータからなるA/D変換値、すなわち判定データ31Sとして生体判定部32へ出力する。
【0010】
【特許文献1】国際公開番号:WO2005/019767A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、このような従来技術では、基準信号33Sを基準信号発生部33として、表面形状認識センサ装置10を構成するLSIチップに搭載したリングオシレータを用いているため、トランジスタの製造バラツキに起因するチップごとの基準信号33Sの周波数バラツキが発生し、インピーダンス検出ユニット30からの検出信号30Sに基づくインピーダンス検出精度が低下し、生体判定精度の低下に繋がるという問題点があった。
【0012】
また、基準信号発生部33としてPLLを用いた場合には、基準信号33Sの周波数バラツキを抑えることができるものの、PLL自体の回路規模が大きいため表面形状認識センサ装置10を構成するLSIチップも大きくなり、製造コストが増大するという問題点があった。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、小さな回路規模で高い生体判定精度が得られる表面形状認識センサ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような目的を達成するために、本発明にかかる表面形状認識センサ装置は、格子状に配置された第1の検出素子ごとに設けられ、被検体との間に生じた容量を当該第1の検出素子で検出し、その容量に応じた容量信号をそれぞれ出力する複数の容量検出ユニットと、容量検出ユニットのうち列方向に並ぶ容量検出ユニットを結ぶ複数の制御線と、容量検出ユニットのうち行方向に並ぶ容量検出ユニットを結ぶ複数のデータ線と、制御線のいずれか1つを順次選択することにより当該制御線に接続された容量検出ユニット列を選択する列セレクタと、列セレクタにより選択された選択列の容量検出ユニットから当該データ線に出力された容量信号を、当該選択列における被検体表面形状を示す凹凸データにA/D変換してそれぞれ出力するA/D変換部と、列セレクタにより容量検出ユニット列が選択されるごとに、A/D変換部から出力された凹凸データを列方向に1つずつ順次選択することにより、被検体の表面形状を示す表面形状データとして出力する行セレクタと、容量検出ユニットのいずれかに代えて第2の検出素子とともに配置され、当該第2の検出素子を介して被検体と電気的に接触することにより被検体のインピーダンスを検出し、そのインピーダンスに応じたパルス幅を有する検出信号を出力するインピーダンス検出ユニットと、入力された周波数調整値に応じた一定周波数の基準信号を生成する可変周波数発振部を含む基準信号生成部と、基準信号のパルス数をカウンタにより検出信号のパルス幅に相当する期間にわたり計数し、得られた第1の計数結果を検出信号のA/D変換値として出力する第2のA/D変換部と、第2のA/D変換部で得られたA/D変換値に基づき被検体が生体であるか否かを判定する生体判定部とを備え、基準信号生成部は、第2のA/D変換部で検出信号をA/D変換する以前の周波数調整動作時に、可変周波数発振部で生成された基準信号のパルス数を一定の計測期間にわたり計数し、得られた第2の計数結果が所定の許容範囲に収まるよう周波数調整値を変更し、第2の計数結果が許容範囲に収まった時点で、当該周波数調整値を可変周波数発振部へ保持出力する周波数調整部を含む。
【0014】
この際、基準信号生成部に、可変周波数発振部で生成された基準信号のパルス数を計測期間ごとに計数し、得られた第2の計数結果を周波数調整部へ出力するカウント部を設けてもよい。
【0015】
また、カウント部で、入力されたカウント制御信号のパルス幅で規定された計測期間長ごとに基準信号のパルス数を計数し、周波数調整部で、第2の計数結果が許容範囲に収まるまで、カウント制御信号のパルス数を順次計数した第3の計数結果を周波数調整値として出力し、第3の計数結果が許容範囲に収まった時点で、当該第3の計数結果を周波数調整値として可変周波数発振部へ保持出力するようにしてもよい。
【0016】
また、基準信号生成部に、周波数調整動作時、検出信号に代えて計測期間長のパルス幅を有するカウント制御信号を第2のA/D変換部へ入力するセレクタを設け、周波数調整部で、第2のA/D変換部で得られたA/D変換値を、計測期間にわたり基準信号のパルス数を計数して得られた第2の計数結果として用いるようにしてもよい。
【0017】
また、周波数調整部で、第2の計数結果が許容範囲に収まるまで、カウント制御信号のパルス数を順次計数した第3の計数結果を周波数調整値として出力し、第3の計数結果が許容範囲に収まった時点で、当該第3の計数結果を周波数調整値として可変周波数発振部へ保持出力するようにしてもよい。
【0018】
また、周波数調整部で、第2の計数結果が許容範囲に収まるまで、周波数調整値を初期値から増加または減少のいずれか一方向へ順次変更するようにしてもよい。
【0019】
また、周波数調整部で、第2の計数結果が許容範囲に収っていない場合、第2の計数結果と許容範囲に含まれる任意のしきい値との計数差と、周波数調整値の差分調整値との対応関係に基づいて、第2の計数結果としきい値との計数差に対応する差分調整値を算出し、当該差分調整値分だけ周波数調整値を一度にまとめて変更して可変周波数発振部へ出力するようにしてもよい。
【0020】
また、インピーダンス検出ユニットと第2のA/D変換部との間に設けられた、互いに直列接続された複数の増幅器を含む信号伝達回路をさらに設けてもよい。
【0021】
この際、信号伝達回路を、インピーダンス検出ユニットからの検出信号を反転出力するインバータと、互いに直列接続された複数の差動増幅器からなり、検出信号とインバータからの反転検出信号とを入力とする差動増幅器群と、差動増幅器群からの差動出力をシングルエンド出力に変換して出力する信号変換回路とから構成してもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、PLLなどの規模が大きい回路を用いることなく、比較的規模の小さい回路で、第2のA/D変換部でのA/D変換に用いる基準信号の周波数を正確に調整することができる。このため、LSIチップの製造バラツキに大きな影響を受けることなく、インピーダンス検出ユニットからの検出信号を用いた被検体のインピーダンスを、精度良く検出することができ、高い生体判定精度が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置の概略構成を示すブロック図である。図2は、本発明の第1の実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置の全体構成を示すブロック図である。
【0024】
この表面形状認識センサ装置10は、指の指紋などの微細な凹凸を有する被検体の照合対象表面の形状と照合データと比較照合することにより被検体の認証を行う表面形状認識センサ装置において、被検体の表面形状を検出する回路装置として用いられる。
表面形状認識センサ装置10の概観は、前述した従来の表面形状認識センサ装置で示した図12と同等である。なお、以下では、前述した図12〜16と同じまたは同等部分について、同一符号を用いて説明する。
【0025】
表面形状認識センサ装置10には、前述した図12に示すように、LSIチップの上に2次元(アレイ状や格子状)に配置された多数の微細な検出素子1(1A,1B)を有するセンサアレイ5が設けられている。
この表面形状認識センサ装置10のセンサ面8に指など被検体9を接触させることにより、その被検体9の表面、ここでは指紋の凹凸形状がそれぞれの検出素子1を介して個別に検出され、被検体9の表面形状を示す表面形状データが出力される。
【0026】
図2に示すように、センサアレイ5には、表面形状検出用の複数の容量検出ユニット20が対となる検出素子(第1の検出素子)1Aとともに2次元(アレイ状や格子状)に配置されている。また、容量検出ユニット20のうちのいずれか、図2の例では格子状に配置されたセンサアレイ5の中央に配置されているm行×n列分の容量検出ユニット20に代えて、生体認識用のインピーダンス検出ユニット30が対となる検出素子(第2の検出素子)1Bとともに配置されている。
【0027】
この表面形状認識センサ装置10には、図1に示すように、機能ブロックとして、表面形状検出部2、生体認識部3、および基準信号生成部4が設けられており、センサアレイ5とともに同一LSIチップの周辺空き領域に形成されている。
表面形状検出部2は、各容量検出ユニット20で検出した被検体9の表面形状を示す容量信号20Sに基づいて、2次元の表面形状データ2Sを生成して出力する機能を有している。
【0028】
生体認識部3は、インピーダンス検出ユニット30で検出した被検体9のインピーダンスを示す検出信号30SをA/D変換し、得られたA/D変換値に基づいて、被検体9が生体か否かを認識し、その認識結果3Sを出力する機能を有している。
基準信号生成部4は、生体認識部3でのA/D変換に用いる一定周波数の基準信号を生成する機能を有している。
【0029】
[表面形状検出部]
表面形状検出部2には、主な回路として、容量検出ユニット20のほか、制御部25、列セレクタ26、第1のA/D変換部27、および行セレクタ28が設けられている。
各容量検出ユニット20のうち、列方向(上下方向)に並ぶ各容量検出ユニット20は、当該列に対応する制御線26Lを介して列セレクタ26にそれぞれ接続されている。また、行方向(左右方向)に並ぶ各容量検出ユニット20は、当該行に対応するデータ線20Lを介して第1のA/D変換部27にそれぞれ接続されている。
【0030】
センサ面8に載置された指など被検体9の表面形状を検出する際、表面形状検出部2は、列セレクタ26で、制御部25からのアドレス信号25Aおよび容量検出制御信号25Bに基づき、制御線26Lのいずれか1つを順に選択することにより、各容量検出ユニット20を列単位で、例えば図2のセンサアレイ5において左から右へ、順に走査する。各容量検出ユニット20は、上記選択に応じて対応する制御線26Lに列セレクト信号26Sが出力された場合、検出素子1Aと被検体9との間の容量を検出し、その容量に応じたパルス幅を有する容量信号20Sをそれぞれのデータ線20Lへ出力する。
【0031】
第1のA/D変換部27は、制御部25からのクロック信号27Tおよび変換動作制御信号27Dに基づいて、データ線20Lを介して入力された容量信号20Sを、被検体9の表面形状を示す凹凸データ27SにA/D変換して出力する。
行セレクタ28は、これら凹凸データ27Sを行単位で順に選択することにより、被検体9の表面形状を示す2次元の表面形状データ2Sを生成して出力する。
【0032】
[生体認識部]
生体認識部3には、主な回路として、インピーダンス検出ユニット30のほか、第2のA/D変換部31および生体判定部32が設けられている。
インピーダンス検出ユニット30は、当該列に対応する制御線26Lを介して制御部25に接続されているとともに、当該行に対応するデータ線20Lを介して第2のA/D変換部31に接続されている。インピーダンス検出ユニット30は、上記制御線26Lに列セレクト信号26Sが出力された場合、検出素子1Aと検出素子1Bとの間に電気的に接続された被検体9のインピーダンスを検出し、そのインピーダンスに応じたパルス幅を有する検出信号30Sを上記データ線20Lへ出力する。
【0033】
第2のA/D変換部31は、基準信号生成部4で生成された一定周波数の基準信号4Sのパルス数を、インピーダンス検出ユニット30から出力された検出信号30Sのパルス幅にわたり計数し、並列ビットデータからなるその計数結果(第1の計数結果)を検出信号30SのA/D変換値、すなわち判定データ31Sとして生体判定部32へ出力する。
生体判定部32は、第2のA/D変換部31からの判定データ31Sに基づいて、被検体9が生体か否かを示す認識結果3Sを出力する。
【0034】
[基準信号生成部]
基準信号生成部4には、主な回路として、可変周波数発振部41、周波数調整部42、およびカウント部43が設けられている。
カウント部43は、制御部25からのカウント制御信号4Tのパルス幅で規定される一定の計測期間にわたり、基準信号4Sのパルス数を計数し、並列ビットデータからなる計数結果(第2の計数結果)4Xとして周波数調整部42へ出力する。
【0035】
可変周波数発振部41は、入力された周波数調整値42Sに応じた一定周波数の基準信号4Sを生成する。図3は、可変周波数発振部の構成を示す回路図である。この可変周波数発振部41は、D/A変換器41Aと電圧制御発振器41Bから構成されている。D/A変換器41Aは、周波数調整部42からの周波数調整値42Sの並列ビットデータをD/A変換し、その値に応じた制御電圧41Sを出力する。電圧制御発振器41Bは、D/A変換器41Aからの制御電圧41Sに応じた周波数でクロックを発生させ、基準信号4Sとして第2のA/D変換部31へ出力する。
【0036】
周波数調整部42は、例えば表面形状認識センサ装置10の起動時など、第2のA/D変換部31でのA/D変換動作が実行される以前に、制御部25からの調整動作制御信号4Rに基づいて、基準信号4Sの周波数を調整するための周波数調整動作を実行し、カウント部43からの計数結果4Xが所定の許容範囲に収まるよう周波数調整値42Sを変更することにより、基準信号4Sの周波数を調整する。
【0037】
図4は、周波数調整部の構成を示す回路図である。この周波数調整部42は、比較部42A、ラッチ42B、およびカウンタ42Cから構成されている。
比較部42Aは、基準信号4Sの許容範囲を示すしきい値4Y(並列ビットデータ)とカウント部43の計数結果4Xとを比較し、計数結果4Xがしきい値4Yに到達して許容範囲に収まった時点で比較結果4Zの論理値を反転出力する比較回路である。
【0038】
ラッチ42Bは、制御部25からの調整動作制御信号4Rに応じて、制御部25からのカウント制御信号4Tをカウンタ42Cへクロックとして出力するラッチ回路であり、比較結果4Zの論理値反転により、カウント制御信号4Tの出力を停止する。カウンタ42Cは、ラッチ42Bを介して入力されたカウント制御信号4Tのパルスを計数し、その計数結果(第3の計数結果)を並列ビットデータからなる周波数調整値42Sとして可変周波数発振部41へ出力する。これにより、カウント制御信号4Tが示す計測期間ごとに異なる周波数を示す周波数調整値42Sが周波数調整部42から出力される。
【0039】
カウント部43は、カウント制御信号4Tの計測期間ごとに、電圧制御発振器41Bからの基準信号4Sのパルスを計数し、その計数結果4Xを周波数調整部42へ出力する。
この際、しきい値4Yの値は、第2のA/D変換部31で用いる基準信号4Sの正規の周波数の場合に、カウント制御信号4Tの計測期間長で計数される基準信号4Sのパルス数と等しい値に設定されている。実際には、第2のA/D変換部31でのA/D変換精度に応じて、基準信号4Sの周波数に許容誤差が存在する。このため、しきい値4Yとしては、この許容誤差に対応する周波数調整値42Sの許容範囲に含まれる任意の値が用いられる。
【0040】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図5および図6を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置における周波数調整動作について説明する。図5は、周波数調整動作の処理順序を示すフローチャートである。図6は、周波数調整動作の各部の動作を示すタイミングチャートである。ここでは、可変周波数発振部41からの基準信号4Sを、正規の周波数より高い周波数を示す初期値から順次下げる方向で正規の周波数へ調整する場合を例として説明する。
【0041】
表面形状認識センサ装置10の制御部25は、例えば電源投入後の初期化動作時に、調整動作制御信号4Rを出力することにより、図5の周波数調整動作を実行する。
まず、周波数調整部42は、制御部25からの調整動作制御信号4Rに応じてカウンタ42Cの計数値をリセットするとともに、制御部25からの調整動作制御信号4Rに応じてラッチ42Bを制御して、制御部25からのカウント制御信号4Tをカウンタ42Cへ出力する。これにより、カウンタ42Cでは、カウント制御信号4Tの立ち上がりエッジでそのパルス数を1つ計数し、その計数結果である周波数調整値42Sを初期化する(ステップ100)。この際、周波数調整値42Sとして、基準信号4Sの正規の周波数より高い周波数を示す初期値が出力される。
【0042】
可変周波数発振部41は、周波数調整部42からの周波数調整値42Sに応じた周波数の基準信号4Sを生成して出力し(ステップ101)、カウント部43は、カウント制御信号4Tの立ち上がりエッジに同期して、電圧制御発振器41Bからの基準信号4Sのパルスの計数を開始し、カウント制御信号4Tの立ち下がりエッジにより計測期間が終了するまで、基準信号4Sのパルスが計数される(ステップ102)。
この後、カウント制御信号4Tの立ち下がりエッジにより計測期間が終了し、カウント部43は、その計数結果4Xを周波数調整部42へ出力する。
【0043】
周波数調整部42は、カウント制御信号4Tの立ち下がりエッジに応じて、カウント部43からの計数結果4Xとしきい値4Yとを比較部42Aで比較する(ステップ103)。
ここで、計数結果4Xがしきい値4Yに達していない場合には(ステップ103:NO)、比較部42Aの比較結果4Zが反転しないため、ラッチ42Bを介したカウンタ42Cに対するカウント制御信号4Tの入力が継続される。このため、カウント制御信号4Tの次の立ち上がりエッジで、そのパルス数が1つ計数され、その計数結果である周波数調整値42Sが「1」だけ変更され(ステップ104)、ステップ101へ戻る。これにより、周波数調整値42Sとして、前回の周波数より、値として「1」に相当する単位変更分だけ低い周波数を示す値が出力される。
【0044】
一方、計数結果4Xがしきい値4Yに達した場合には(ステップ103:YES)、比較結果4Zが反転する。この際、しきい値4Yの値は、第2のA/D変換部31で用いる基準信号4Sの正規の周波数の場合に、カウント制御信号4Tの計測期間長で計数される基準信号4Sのパルス数と等しい値に設定されている。したがって、計数結果4Xがしきい値4Yに達した時点で、基準信号4Sの正規の周波数となっている。
【0045】
ラッチ42Bは、比較結果4Zの反転に応じて、カウンタ42Cに対するカウント制御信号4Tの入力を停止する。これにより、カウンタ42Cの計数値が保持され、周波数調整値42Sとして、現在の周波数すなわち正規の周波数を示す値が保持出力される(ステップ105)。
この後、制御部25は、調整動作制御信号4Rの出力開始から所定期間後、あるいは比較結果4Zの反転に応じて、調整動作制御信号4Rの出力を停止し、一連の周波数調整動作が終了する。
【0046】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態では、基準信号生成部4に、入力された周波数調整値42Sに応じた一定周波数の基準信号4Sを生成する可変周波数発振部41を設け、例えば表面形状認識センサ装置10の起動時など、第2のA/D変換部31でのA/D変換動作が実行される以前に、制御部25からの調整動作制御信号4Rに基づいて、基準信号4Sの周波数を調整するための周波数調整動作を実行し、カウント部43からの計数結果4Xが所定の許容範囲に収まるよう周波数調整値42Sを変更することにより、基準信号4Sの周波数を調整している。
【0047】
したがって、PLLなどの規模が大きい回路を用いることなく、図3や図4に示したような比較的規模の小さい回路で、第2のA/D変換部31でのA/D変換に用いる基準信号4Sの周波数を正確に調整することができる。このため、LSIチップの製造バラツキに大きな影響を受けることなく、インピーダンス検出ユニット30からの検出信号30Sを用いた、被検体9のインピーダンスを精度良く検出することができ、高い生体判定精度が得られる。
【0048】
また、本実施の形態では、カウント部43で、入力されたカウント制御信号4Tのパルス幅で規定された計測期間長ごとに基準信号4Sのパルス数を計数し、周波数調整部42で、計数結果4Xが許容範囲に収まるまで、カウント制御信号4Tのパルス数を順次計数した計数結果を周波数調整値42Sとして出力し、この計数結果が許容範囲に収まった時点で、当該計数結果を周波数調整値42として可変周波数発振部41へ保持出力するようにしたので、1つのカウント制御信号4Tで、計測期間を規定するとともに、周波数調整値42Sを順次変更することができる。
【0049】
このため、周波数調整動作に用いる制御信号として、タイミングの異なる複数の制御信号を生成する必要がなくなり、回路の複雑化を抑制することができる。したがって、結果として、表面形状認識センサ装置10を構成するLSIチップ面積を縮小でき製造コストを削減することが可能となる。
【0050】
また、本実施の形態では、周波数調整値42Sを「1」ずつ加算して、基準信号4Sの周波数を、正規の周波数より大きい周波数を示す初期値から正規の周波数へ順次下げていく方向で基準信号4Sの周波数を調整する場合を例として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、周波数調整値42Sを「1」ずつ加算して、基準信号4Sの周波数を、正規の周波数より小さい周波数を示す初期値から正規の周波数へ順次上げていく方向で基準信号4Sの周波数を調整してもよい。また、カウンタ42Cとして加算カウンタを用いたが、減算カウンタを用いて、入力されたカウント制御信号4Tのパルスに応じて周波数調整値42Sを「1」ずつ減算してもよい。
【0051】
[第2の実施の形態]
次に、図7を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置について説明する。図7は、本発明の第2の実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置の全体構成を示すブロック図である。
第1の実施の形態では、周波数調整動作時に、基準信号4Sのパルス数をカウント部43で計数する場合について説明した。本実施の形態では、カウント部43の代わりに、周波数調整動作時だけ第2のA/D変換部31のカウンタ31Bを用いて基準信号4Sのパルス数を計数する場合について説明する。
【0052】
本実施の形態では、第2のA/D変換器31を周波数調整動作時に兼用するため、第2のA/D変換部31の入力段にセレクタ44を設け、周波数調整動作時には、制御部25からのカウント制御信号4Tを第2のA/D変換部31へ入力し、周波数調整動作後の生体認識動作時には、インピーダンス検出ユニット30からの検出信号30Sを第2のA/D変換部31へ入力している。この際、セレクタ44の切替信号として制御部25からの調整動作制御信号4Rを用いている。
【0053】
前述の図16に示したように第2のA/D変換部31には、検出信号30Sのパルス幅で規定される期間にわたり、基準信号33Sすなわち基準信号4Sのパルス数を計数するカウンタ31Bが設けられている。したがって、検出信号30Sに代えて、制御部25からのカウント制御信号4Tを入力することにより、カウント制御信号4Tのパルス幅で規定される計測期間にわたり、基準信号4Sのパルス数がカウンタ31Bで計数され、判定データ31Sとして出力される。
【0054】
周波数調整部42は、第2のA/D変換部31からの判定データ31Sを、計数結果4Xとして入力し、この計数結果4Xが所定の許容範囲に収まるよう周波数調整値42Sを変更することにより、基準信号4Sの周波数を調整する。この際、計数結果4Xの取り込みについては、例えば前述のカウント部43と同様に、カウント制御信号4Tの立ち下がりタイミングに基づき周波数調整部42で取り込めばよい。
なお、本実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置10における他の構成および動作については、第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0055】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態では、周波数調整動作時、検出信号30Sに代えて計測期間長のパルス幅を有するカウント制御信号4Tを第2のA/D変換部31へ入力するセレクタ44を設け、周波数調整動作時に基準信号4Sのパルス数を計数するカウンタとして、第2のA/D変換部31内のカウンタ31Bを兼用するようにしたので、カウント部43を省くことができる。この際、セレクタ44は、カウント部43より回路規模が小さいことから、全体として表面形状認識センサ装置10を構成するLSIチップ面積を縮小でき製造コストを削減することが可能となる。
【0056】
[第3の実施の形態]
次に、図8を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置について説明する。図8は、本発明の第3の実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置で用いる周波数調整部の構成例である。
第1および第2の実施の形態では、周波数調整部42において、計数結果4Xが許容範囲に収まるまで、周波数調整値42Sを初期値から増加または減少のいずれか一方向へ、単位変更分ずつ順次変更する場合について説明した。本実施の形態では、計数結果4Xとしきい値4Yとの差分に応じた分だけ一度にまとめて周波数調整値42Sを変更する場合について説明する。
【0057】
本実施の形態において、周波数調整部42は、図8に示すように、差分算出部42D、調整値算出部42E、およびラッチ42Fから構成されている。
差分算出部42Dは、計数結果4Xとしきい値4Yとの計数差4Dを算出出力する回路部である。
調整値算出部42Eは、制御部25からの調整動作制御信号4Rに応じて、周波数調整値42Sの初期値をラッチ42Fへ出力する回路部であり、制御部25からのカウント制御信号4Tに同期して、調整値算出部42Eからの計数差4Dに応じた分だけ周波数調整値42Sを調整してラッチ42Fへ出力する。
ラッチ42Fは、カウント制御信号4Tに同期して、調整値算出部42Eからの周波数調整値42Sを保持し、可変周波数発振部41へ出力するラッチ回路である。
【0058】
計数結果4Xとしきい値4Yとの計数差4Dを求めると、その時点における基準信号4Sの周波数が正規の周波数からどれだけズレているか把握できる。したがって、前述した図5のステップ104において、調整値算出部42Eにより、その時点における周波数調整値42Sと正規の周波数に対応する周波数調整値との差分調整値を、計数差4Dに基づいて算出し、この差分調整値に基づきその時点における周波数調整値42Sを一度にまとめて変更すればよい。これにより、正規の周波数に対応する新たな周波数調整値42Sが可変周波数発振部41へ出力される。
【0059】
なお、差分調整値については、計数差4Dと周波数調整値42Sの差分調整値との対応関係を数式として予め求めておき、この数式に基づき計数差4Dに対応する差分調整値を調整値算出部42Eで算出すればよい。
【0060】
[第3の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態では、周波数調整部42において、計数結果4Xが許容範囲に収っていない場合、計数結果4Xと許容範囲に含まれる任意のしきい値4Yとの計数差と、周波数調整値42Sの差分調整値との対応関係に基づいて、計数結果4Xとしきい値4Yとの計数差に対応する差分調整値を導出し、当該差分調整値分だけ一度にまとめて周波数調整値42Sを変更して可変周波数発振部41へ出力している。
したがって、第1および第2の実施の形態のように、計数結果4Xが許容範囲に収まるまで、周波数調整値42Sを初期値から増加または減少のいずれか一方向へ順次変更する場合と比較して、本実施の形態によれば、周波数調整動作に要する時間を大幅に短縮できる。
【0061】
[第4の実施の形態]
次に、図9〜図11を参照して、本発明の第4の実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置について説明する。図9は、本発明の第4の実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置の全体構成を示すブロック図である。図10は、信号伝達回路の構成例である。図11は、信号伝達回路の他の構成例である。
本実施の形態では、インピーダンス検出ユニット30と第2のA/D変換部31との間に信号伝達回路45を設けた場合について説明する。なお、ここでは第2の実施の形態を例として説明するが、他の実施の形態についても同様に適用可能である。
【0062】
表面形状認識センサ装置10を構成するLSIチップのうち、第2のA/D変換部31をセンサアレイ5の周辺部に配置した場合、インピーダンス検出ユニット30と第2のA/D変換部31との距離が大きくなる。このため、両者を接続する信号配線の寄生容量が大きくなって、インピーダンス検出ユニット30から第2のA/D変換部31へ出力される検出信号30Sの波形が歪み、被検体9のインピーダンスに応じたパルス幅を精度良く検出できなくなり、結果として生体認識精度が低下する原因となる。
【0063】
本実施の形態では、インピーダンス検出ユニット30と第2のA/D変換部31との間に信号伝達回路45を設け、検出信号30Sの波形歪みを抑制している。
図10の構成例では、信号伝達回路45が、互いに直列接続された複数の増幅器45Aから構成されている。これにより、インピーダンス検出ユニット30からの検出信号30Sは、これら増幅器45Aで順にバッファ出力されるため、そのパルス幅がほとんど劣化せずに第2のA/D変換部31へ伝達される。
【0064】
また、図11の構成例では、信号伝達回路45が、インバータ45B、差動増幅器群45D、および信号変換回路45Eから構成されている。ここでは、インピーダンス検出ユニット30からの検出信号30Sがインバータ45Bにより反転され、検出信号30Sとともに差動入力として差動増幅器群45Dへ入力されている。差動増幅器群45Dは、互いに直列接続された複数の差動増幅器45Cからなり、入力された差動入力を順にバッファ出力する。信号変換回路45Eは、差動増幅器群45Dからの差動出力をシングルエンド出力に変換して第2のA/D変換部31へ出力する。これにより、インピーダンス検出ユニット30からの検出信号30Sは、これら差動増幅器45Cで順にバッファ出力されるため、そのパルス幅がほとんど劣化せずに第2のA/D変換部31へ伝達される。また、図10と比較して、より高速で動作する。
【0065】
[第4の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態では、インピーダンス検出ユニット30と第2のA/D変換部31との間に、互いに直列接続された複数の増幅器を含む信号伝達回路45を設けたので、検出信号30Sのパルス幅は、ほとんど劣化させずに第2のA/D変換部31へ伝達することができる。
したがって、表面形状認識センサ装置10を構成するLSIチップのうち、第2のA/D変換部31をセンサアレイ5の周辺部に配置した場合でも、検出信号30Sの波形歪みを抑制できる。このため、被検体9のインピーダンスに応じたパルス幅を精度良く検出でき、結果として生体認識精度を改善することが可能となる。
【0066】
[実施の形態の拡張]
以上の各実施の形態では、周波数調整部42を回路部で構成した場合を例として説明したが、前述の図5に示した基準信号4Sに対する周波数調整動作のうち、ステップ103,104については、CPUで処理することもできる。
通常、表面形状認識センサ装置10を用いて被検体9の表面形状を認識する場合、画像処理などの高度な処理が必要となるため、表面形状認識センサ装置10の外部にCPUを設けて、表面形状認識センサ装置10で得られた表面形状データ2Sや認識結果3Sに基づいて、CPUで被検体9の正当性を判定する。
【0067】
したがって、このCPUを利用して、前述の図5に示した基準信号4Sに対する周波数調整動作のうち、ステップ103,104について、CPUで処理することにより、周波数調整部42の回路部を省くことができる。
【0068】
この際、第1の実施の形態では、カウント部43からの計数結果4XをCPUへ出力し、CPUからの周波数調整値42Sを可変周波数発振部41へ入力すればよい。また、カウント制御信号4TをCPUで生成して、カウント部43へ出力してもよい。
また、第2および第3の実施の形態では、第2のA/D変換部31からの判定データ31Sを計数結果4XとしてCPUへ出力し、CPUからの周波数調整値42Sを可変周波数発振部41へ入力すればよい。また、カウント制御信号4Tや調整動作制御信号4RをCPUで生成して、セレクタ44へ出力してもよい。
【0069】
また、CPUの機能部としては、図4の比較部42Aに対応する比較部と、図4のラッチ42Bおよびカウンタ42Cに対応する調整部とを設ければよい。この際、比較部では、表面形状認識センサ装置10からの計数結果4Xを、予めメモリに設定しておいたしきい値4Yと比較する。また、調整部では、比較部での比較結果に応じて、計数結果4Xが所定の許容範囲に収まるよう周波数調整値42Sを変更し、計数結果4Xが許容範囲に収まった時点で、当該周波数調整値42Sを表面形状認識センサ装置10へ保持出力する。
【0070】
また、第3の実施の形態については、図8の差分算出部42Dに対応する差分算出部と、図8の調整値算出部42Eおよびラッチ42Fに対応する調整部とを設ければよい。この際、差分算出部では、表面形状認識センサ装置10からの計数結果4Xと、予めメモリに設定しておいたしきい値4Yとの計数差4Dを算出する。また、調整部では、計数差4Dに対応する差分調整値を算出し、この差分調整値に基づきその時点における周波数調整値42Sを変更して表面形状認識センサ装置10へ保持出力する。
【0071】
なお、差分調整値については、計数差4Dと周波数調整値42Sの差分調整値との対応関係を数式として予め求めておき、この数式に基づき計数差4Dに対応する差分調整値を調整値算出部42Eで算出すればよい。また、計数差4Dと周波数調整値42Sの差分調整値との対応関係を変換テーブルとして、メモリに予め保存しておいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置の全体構成を示すブロック図である。
【図3】可変周波数発振部の構成を示す回路図である。
【図4】周波数調整部の構成を示す回路図である。
【図5】周波数調整動作の処理順序を示すフローチャートである。
【図6】周波数調整動作の各部の動作を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置の全体構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置で用いる周波数調整部の構成例である。
【図9】本発明の第4の実施の形態にかかる表面形状認識センサ装置の全体構成を示すブロック図である。
【図10】信号伝達回路の構成例である。
【図11】信号伝達回路の他の構成例である。
【図12】従来の表面形状認識センサ装置の概観図である。
【図13】従来の表面形状認識センサ装置の概略構成を示すブロック図である。
【図14】従来の表面形状認識センサ装置の全体構成を示すブロック図である。
【図15】第1のA/D変換部の構成を示す回路図である。
【図16】第2のA/D変換部の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0073】
10…表面形状認識センサ装置、1,1A,1B…検出素子、2…表面形状検出部、20…容量検出ユニット、20L…データ線、20S…容量信号、25…制御部、25A…アドレス信号、26…列セレクタ、26S…列セレクト信号、26L…制御線、27…第1のA/D変換部、27A,27C…AND回路、27B…カウンタ、27D…変換動作制御信号、27T…クロック信号、27S…凹凸データ、28…行セレクタ、2S…表面形状データ、3…生体認識部、30…インピーダンス検出ユニット、30S…検出信号、31…第2のA/D変換部、31A…AND回路、31B…カウンタ、31S…判定データ、32…生体判定部、33…基準信号発生部、33S…基準信号、3S…認識結果、4…基準信号生成部、41…可変周波数発振部、41A…D/A変換器、41B…電圧制御発振器、41S…制御電圧、42…周波数調整部、42A…比較部、42B…ラッチ、42C…カウンタ、42D…差分算出部、42E…調整値算出部、42F…ラッチ、43…カウント部、44…セレクタ、45…信号伝達回路、45A…増幅器、45B…インバータ、45C…差動増幅器、45D…差動増幅器群、45E…信号変換回路、4R…調整動作制御信号、4T…カウント制御信号、4S…基準信号、4X…計数結果、4Y…しきい値、4Z…比較結果、4D…計数差、5…センサアレイ、8…センサ面、9…被検体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子状に配置された第1の検出素子ごとに設けられ、被検体との間に生じた容量を当該第1の検出素子で検出し、その容量に応じた容量信号をそれぞれ出力する複数の容量検出ユニットと、
前記容量検出ユニットのうち列方向に並ぶ容量検出ユニットを結ぶ複数の制御線と、
前記容量検出ユニットのうち行方向に並ぶ容量検出ユニットを結ぶ複数のデータ線と、
前記制御線のいずれか1つを順次選択することにより当該制御線に接続された容量検出ユニット列を選択する列セレクタと、
前記列セレクタにより選択された選択列の容量検出ユニットから当該データ線に出力された容量信号を、当該選択列における前記被検体表面形状を示す凹凸データにA/D変換してそれぞれ出力するA/D変換部と、
前記列セレクタにより前記容量検出ユニット列が選択されるごとに、前記A/D変換部から出力された凹凸データを前記列方向に1つずつ順次選択することにより、前記被検体の表面形状を示す表面形状データとして出力する行セレクタと、
前記容量検出ユニットのいずれかに代えて第2の検出素子とともに配置され、当該第2の検出素子を介して前記被検体と電気的に接触することにより前記被検体のインピーダンスを検出し、そのインピーダンスに応じたパルス幅を有する検出信号を出力するインピーダンス検出ユニットと、
入力された周波数調整値に応じた一定周波数の基準信号を生成する可変周波数発振部を含む基準信号生成部と、
前記基準信号のパルス数をカウンタにより前記検出信号のパルス幅に相当する期間にわたり計数し、得られた第1の計数結果を前記検出信号のA/D変換値として出力する第2のA/D変換部と、
前記第2のA/D変換部で得られた前記A/D変換値に基づき前記被検体が生体であるか否かを判定する生体判定部と
を備え、
前記基準信号生成部は、前記第2のA/D変換部で前記検出信号をA/D変換する以前の周波数調整動作時に、前記可変周波数発振部で生成された前記基準信号のパルス数を一定の計測期間にわたり計数し、得られた第2の計数結果が所定の許容範囲に収まるよう前記周波数調整値を変更し、前記第2の計数結果が前記許容範囲に収まった時点で、当該周波数調整値を前記可変周波数発振部へ保持出力する周波数調整部を含む
ことを特徴とする表面形状認識センサ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表面形状認識センサ装置において、
前記基準信号生成部は、前記可変周波数発振部で生成された前記基準信号のパルス数を前記計測期間ごとに計数し、得られた前記第2の計数結果を前記周波数調整部へ出力するカウント部を含むことを特徴とする表面形状認識センサ装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表面形状認識センサ装置において、
前記カウント部は、入力されたカウント制御信号のパルス幅で規定された前記計測期間長ごとに前記基準信号のパルス数を計数し、
前記周波数調整部は、前記第2の計数結果が前記許容範囲に収まるまで、前記カウント制御信号のパルス数を順次計数した第3の計数結果を前記周波数調整値として出力し、前記第3の計数結果が前記許容範囲に収まった時点で、当該第3の計数結果を前記周波数調整値として前記可変周波数発振部へ保持出力する
ことを特徴とする表面形状認識センサ装置。
【請求項4】
請求項1に記載の表面形状認識センサ装置において、
前記基準信号生成部は、前記周波数調整動作時、前記検出信号に代えて前記計測期間長のパルス幅を有するカウント制御信号を前記第2のA/D変換部へ入力するセレクタを含み、
前記周波数調整部は、前記第2のA/D変換部で得られた前記A/D変換値を、前記計測期間にわたり前記基準信号のパルス数を計数して得られた前記第2の計数結果として用いる
ことを特徴とする表面形状認識センサ装置。
【請求項5】
請求項4に記載の表面形状認識センサ装置において、
前記周波数調整部は、前記第2の計数結果が前記許容範囲に収まるまで、前記カウント制御信号のパルス数を順次計数した第3の計数結果を前記周波数調整値として出力し、前記第3の計数結果が前記許容範囲に収まった時点で、当該第3の計数結果を前記周波数調整値として前記可変周波数発振部へ保持出力する
ことを特徴とする表面形状認識センサ装置。
【請求項6】
請求項2または請求項4に記載の表面形状認識センサ装置において、
前記周波数調整部は、前記第2の計数結果が前記許容範囲に収まるまで、前記周波数調整値を初期値から増加または減少のいずれか一方向へ順次変更する
ことを特徴とする表面形状認識センサ装置。
【請求項7】
請求項2または請求項4に記載の表面形状認識センサ装置において、
前記周波数調整部は、前記第2の計数結果が前記許容範囲に収っていない場合、前記第2の計数結果と前記許容範囲に含まれる任意のしきい値との計数差と、前記前記周波数調整値の差分調整値との対応関係に基づいて、前記第2の計数結果と前記しきい値との計数差に対応する差分調整値を算出し、当該差分調整値分だけ前記周波数調整値を一度にまとめて変更して前記可変周波数発振部へ出力する
ことを特徴とする表面形状認識センサ装置。
【請求項8】
請求項1に記載の表面形状認識センサ装置において、
前記インピーダンス検出ユニットと前記第2のA/D変換部との間に設けられた、互いに直列接続された複数の増幅器を含む信号伝達回路をさらに備えることを特徴とする表面形状認識センサ装置。
【請求項9】
請求項8に記載の表面形状認識センサ装置において、
前記信号伝達回路は、
前記インピーダンス検出ユニットからの前記検出信号を反転出力するインバータと、
互いに直列接続された複数の差動増幅器からなり、前記検出信号と前記インバータからの反転検出信号とを入力とする差動増幅器群と、
前記差動増幅器群からの差動出力をシングルエンド出力に変換して出力する信号変換回路と
を含むことを特徴とする表面形状認識センサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−19785(P2010−19785A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182629(P2008−182629)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】