表面改質剤、該表面改質剤により改質された被改質体及びナノ粒子の分散液、並びにナノ粒子の製造方法
【課題】表面改質剤、該表面改質剤により改質された被改質体、該表面改質剤により改質されたナノ粒子の分散液、及び該表面改質剤から形成されるミセルの疎水性コアを反応場とするナノ粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】表面改質剤は、一般式(I)で表される基を有する重合性モノマーと、一般式(II)で表される繰り返し構造を有する重合性モノマーと、のグラフト共重合体からなる。
(式中、Raは、炭素数2〜7のアルキレン基を表し、Rbは、炭素数2〜5のアルキレン基を表し、nは、5〜2000の任意の整数を表す。)
【解決手段】表面改質剤は、一般式(I)で表される基を有する重合性モノマーと、一般式(II)で表される繰り返し構造を有する重合性モノマーと、のグラフト共重合体からなる。
(式中、Raは、炭素数2〜7のアルキレン基を表し、Rbは、炭素数2〜5のアルキレン基を表し、nは、5〜2000の任意の整数を表す。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面改質剤、該表面改質剤により改質された被改質体、該表面改質剤により改質されたナノ粒子の分散液、及び該表面改質剤から形成されるミセルの疎水性コアを反応場とするナノ粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、材料の表面を改質することで、その付加価値を高める試みが様々な分野において広くなされている。特に、材料をナノスケールに加工した微粒子(以下、ナノ粒子という。)は、比表面積が非常に大きいので、表面特性を変化させやすく、その親和性や生体内の付着性等の制御が可能であることから、触媒、色材、電子材料、光学材料、医薬品、化粧品等への応用が期待されている。
【0003】
ナノ粒子の表面特性の制御には、表面改質剤が重要な役割を担う。例えば、ナノ粒子は、その表面に表面改質剤を吸着させることによって、溶媒中で安定に分散する。表面改質剤としては、チオール類が挙げられるが、チオール類は単座配位子であるため、多座配位子として機能する高分子よりも粒子の表面を密に覆う必要がある。そこで、チオール基を有する重合性モノマーをグラフト化することにより多点吸着させ、安定化させることができれば好ましいとも考えられる。しかし、チオール基は反応性が高く、保護基を付けたとしても容易に脱保護され、架橋してしまうため、チオール基を有する重合性モノマーをグラフト化することは困難である。
【0004】
そこで、本発明者らが研究を行ったところ、表面改質剤の高分子構造として、一般式(V)で表される重合性モノマー(A)と、一般式(VI)で表される重合性モノマー(B)とのグラフト共重合体が有用であることを見出した(非特許文献1参照)。
【化1】
【0005】
これによれば、ピリジル基による多点吸着とポリエチレンオキシド鎖による密度制御とによって、金ナノ粒子を溶媒中で安定に分散させることができる。
【非特許文献1】Tomomi Satomi,Koji Ueno,Hisatoshi Kobayashi,Junzo Tanaka,Yoshinori Mitamura,Tetsuya Tateishi,and Hidenori Otsuka、Journal of Nanoscience and Nanotechnology、vol.6、1792−1796、2006
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記非特許文献1に記載された表面改質剤では、被改質体であるナノ粒子を満足のいく程度にまで安定に分散させることができず、更なる検討の余地があった。
【0007】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、改質対象に対して高い親和性を示し、改質対象の表面に吸着することで、改質対象を溶媒中で安定に分散させることができる表面改質剤、該表面改質剤により改質された被改質体、該表面改質剤により改質されたナノ粒子の分散液、及び該表面改質剤から形成されるミセルの疎水性コアを反応場とするナノ粒子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため、さらに鋭意研究を重ねたところ、上記非特許文献1に記載された表面改質剤において、上記の一般式(V)で表される重合性モノマー(A)のメチレン基を炭素数2以上のアルキレン基に変えることで、被改質体である金属ナノ粒子の溶媒中での分散安定性が飛躍的に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、以下のようなものを提供する。
【0009】
(1)一般式(I)で表される基を有する重合性モノマー(A)と、一般式(II)で表される繰り返し構造を有する重合性モノマー(B)と、のグラフト共重合体からなる表面改質剤。
【化2】
(式中、Raは、炭素数2〜7のアルキレン基を表し、Rbは、炭素数2〜5のアルキレン基を表し、nは、5〜2000の任意の整数を表す。)
【0010】
(2)前記重合性モノマー(A)が、一般式(III)で表される(1)に記載の表面改質剤。
【化3】
(式中、R1aは、炭素数2〜7のアルキレン基を表し、R2aは、水素原子又はメチル基を表す。)
【0011】
(3)前記重合性モノマー(B)が、一般式(IV)で表される(1)又は(2)に記載の表面改質剤。
【化4】
(式中、R1bは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、R2bは、炭素数2〜5のアルキレン基を表し、R3bは、水素原子又はメチル基を表し、nは、5〜2000の任意の整数を表す。)
【0012】
(4)前記重合性モノマー(B)の質量平均分子量が、200〜80000である(1)〜(3)のいずれかに記載の表面改質剤。
【0013】
(5)前記重合性モノマー(A)と前記重合性モノマー(B)とのモル比が、1:99〜99:1である(1)〜(4)のいずれかに記載の表面改質剤。
【0014】
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の表面改質剤が表面に吸着して改質された被改質体。
【0015】
(7)(1)〜(5)のいずれかに記載の表面改質剤が吸着して表面改質されたナノ粒子の分散液。
【0016】
(8)(1)〜(5)のいずれかに記載の表面改質剤から形成されるミセルの疎水性コアを反応場とするナノ粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明の表面改質剤によれば、一般式(I)で表される基を有する重合性モノマー(A)を有するため、ピリジル基を介して改質対象に吸着することができる。ピリジル基は、様々な改質対象に親和性を示すため、表面改質剤として汎用性を有する。また、本発明の表面改質剤では、一般式(I)のRaが、炭素数2〜7のアルキレン基であるため、小さくて安定した粒径の粒子を得ることができる。さらに、一般式(II)で表される繰り返し構造を有する重合性モノマー(B)を有するため、被改質体を溶媒中で安定に分散させることができる。
本発明のナノ粒子の製造方法によれば、本発明の表面改質剤から形成されるミセルの疎水性コアを反応場とするため、凝集することなく、小さくて安定した粒径のナノ粒子を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、詳細に説明する。
【0019】
[表面改質剤]
本発明の表面改質剤は、一般式(I)で表される基を有する重合性モノマー(A)と、一般式(II)で表される繰り返し構造を有する重合性モノマー(B)と、のグラフト共重合体からなる。
【化5】
【0020】
[重合性モノマー(A)]
重合性モノマー(A)は、上記一般式(I)で表される基を有する重合可能なモノマーである。Raは、炭素数2〜7のアルキレン基であることを特徴とし、炭素数3〜5のアルキレン基であることが好ましい。本発明の表面改質剤では、アルキレン基の炭素数を変えることで、改質対象であるナノ粒子間の疎水的凝集力を制御することができる。アルキレン基の炭素数を上記範囲とすることで、小さくて安定した粒径の粒子を得ることができる。
【0021】
重合性モノマー(A)は、重合可能なモノマーであり、その構造中に重合性基を有する必要があるが、その種類は特に限定されず、例えば、ビニル基、アリル基、スチリル基、メタクリロイル基、アクリロイル基等であってもよい。この重合性基を介して、後述の重合性モノマー(B)と重合することができる。
【0022】
本発明の表面改質剤では、重合性モノマー(A)が、一般式(III)で表されることが好ましい。
【化6】
【0023】
ここで、R1aは、炭素数2〜7のアルキレン基であり、炭素数3〜5のアルキレン基であることが好ましい。また、R2aは、水素原子又はメチル基である。
【0024】
[重合性モノマー(B)]
重合性モノマー(B)は、上記一般式(II)で表される繰り返し構造を有する重合可能なモノマーである。Rbは、炭素数2〜5のアルキレン基であることを特徴とし、炭素数2〜3であることが好ましい。アルキレン基の炭素数を上記範囲とすることで、分子の親水性と柔軟性とが高まる。また、nは、5〜2000の任意の整数であることを特徴とし、10〜500であることが好ましい。nを上記範囲とすることで、親水性と柔軟性とが高まる。上記一般式(II)で表される繰り返し構造の単位としては、特に限定されないが、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等が挙げられる。
【0025】
重合性モノマー(B)は、重合可能なモノマーであり、その構造中に重合性基を有する必要があるが、官能基の種類は特に限定されず、例えば、ビニル基、アリル基、スチリル基、メタクリロイル基、アクリロイル基等であってもよい。この重合性基を介して、上述の重合性モノマー(A)と重合することができる。
【0026】
本発明の表面改質剤では、重合性モノマー(B)が、一般式(IV)で表されることが好ましい。
【化7】
【0027】
ここで、R1bは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、炭素数2〜5のアルキル基であることが好ましい。R2bは、炭素数2〜5のアルキレン基であり、R3bは、水素原子又はメチル基である。また、nは、5〜2000の任意の整数であることを特徴とし、10〜500であることが好ましい。
【0028】
[グラフト共重合体の合成方法]
本発明の表面改質剤は、重合性モノマー(A)と重合性モノマー(B)とのグラフト共重合体からなる。本発明の表面改質剤では、重合性モノマー(A)と重合性モノマー(B)とのグラフト共重合に用いる重合開始剤は、特に限定されず、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ系重合開始剤、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の硫酸塩系重合開始剤、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物系重合開始剤等が挙げられる。
【0029】
重合開始剤の好適な使用量は、重合性モノマー(A)と重合性モノマー(B)との合計量に対して、0.1〜10質量%である。また、グラフト共重合体の分子量を調整するために、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−プロパンチオール、1−ブタンチオール等の連鎖移動剤を添加してもよい。
【0030】
重合時間は、温度や所望の最終生成物の性質に依存するが、好ましくは30〜90℃、より好ましくは50〜70℃で、1〜48時間である。
【0031】
本発明の表面改質剤では、グラフト共重合体の質量平均分子量(GPCによる測定)が、1000〜500000であることが好ましく、2000〜100000であることがより好ましい。なお、上記範囲とすることで、改質対象に界面安定性を付与することができる。
【0032】
本発明の表面改質剤では、重合性モノマー(B)の質量平均分子量(GPCによる測定)が、200〜80000であることが好ましく、500〜20000であることがより好ましい。重合性モノマー(B)の分子量を変化させることで、ナノ粒子の溶媒中での分散安定性を制御することができる。なお、上記範囲とすることで、ナノ粒子を溶媒中で安定に分散させることができる。
【0033】
本発明の表面改質剤では、グラフト共重合体における重合性モノマー(A)と重合性モノマー(B)とのモル比が、1:99〜99:1であることが好ましく、10:90〜90:10であることがより好ましい。重合性モノマー(A)と重合性モノマー(B)とのモル比を変化させることで、親疎水バランスを制御することができる。なお、上記範囲とすることで、本発明の表面改質剤を改質対象の表面に安定に吸着させることができ、また、表面を改質された被改質体を溶媒中で安定に分散させることができる。
【0034】
[被改質体]
本発明の被改質体は、本発明の表面改質剤が表面に吸着して改質されたものである。本発明の表面改質剤は、塩基性官能基であるピリジル基が改質対象の表面に吸着することで、機能する。したがって、本発明の被改質体は、塩基性官能基であるピリジル基が吸着しやすい酸性表面であることが好ましい。酸性表面であれば、その種類や形態は限定されない。例えば、シリカ、アルミナ等の金属酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化アルミニウム等の金属塩、カーボンブラック、メソポーラスカーボン、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素素材、ガラスファイバー、カーボンファイバー等の無機繊維素材、金、銀、鉄、銅等の金属、半金属酸化物、半導体等が挙げられる。
【0035】
本発明の被改質体は、本発明の表面改質剤が表面に吸着して改質されたものであるので、被改質体が、例えば、生体内において使用する医療器具等である場合には、タンパク質等の吸着を抑制する。
【0036】
本発明の被改質体では、表面改質剤で被覆される範囲は、表面の一部であっても、全部であってもよい。被覆の方法は、特に限定されないが、例えば、吸着法、ディップコート法等が挙げられる。
【0037】
[ナノ粒子の分散液]
本発明の分散液は、本発明の表面改質剤によって表面改質されたナノ粒子が分散した溶液である。本発明の分散液に分散されるナノ粒子の種類は、特に限定されず、例えば、カーボンブラック、メソポーラスカーボン、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素素材、金、銀、鉄、銅等の金属、半導体、無機酸化物等が挙げられる。金属の場合には、銅、銀、金、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト等の遷移金属が好ましい。また、該金属種は、1種類であっても、2種類以上であってもよい。還元反応の容易さや取り扱いの容易さの面から、金、銀、白金がさらに好ましい。
【0038】
本発明の分散液におけるナノ粒子の含有量は、特に限定されないが、少ないと有用性を発揮することができず、多いとコロイド溶液の流動性が低下するので、この点を考慮しつつ、目的に応じて適宜調整するとよい。
【0039】
ナノ粒子の粒径は、特に限定されないが、より高い分散安定性を有するためには、2〜200nmが好ましく、10〜100nmがより好ましい。本発明の分散液では、溶媒は、特に限定されず、水であっても、有機溶媒であってもよい。また、本発明の分散液に分散しているナノ粒子は、本発明の表面改質剤によって表面改質されているので、例えば、酸化しやすい条件や高イオン強度条件であっても、安定に分散することができる。
【0040】
[ナノ粒子の製造方法]
本発明のナノ粒子の製造方法は、本発明の表面改質剤から形成されるミセルの疎水性コアを反応場とする。例えば、金属ナノ粒子の場合、本発明の表面改質剤を分散した溶媒中に、金属の塩又は金属のイオン溶液を加え、金属イオンを還元することで製造することができる。
【0041】
本発明のナノ粒子の製造方法では、溶媒は、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、DMSO、トルエン等が、温和に還元させることができる点において好ましい。
【実施例】
【0042】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0043】
[グラフト共重合体の合成]
以下の反応スキームに示すように、重合性モノマー(A)と重合性モノマー(B)とを共重合させて、グラフト共重合体(Py−g−PEG)を合成した。
【0044】
【化8】
【0045】
<重合性モノマー(A)の合成>
(合成例1)アルキレン基の炭素数が1の場合:m=1
4−ピリジンメタノール(アルドリッチ社製)5.45g(50mmol)と、メタクリル酸(アルドリッチ社製)4.73g(55mmol)と、4−(1−ピロリジニル)ピリジン(アルドリッチ社製)740mg(5mmol)と、を無水ジクロロメタン(WAKO社製)100mlに溶解後、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(アルドリッチ社製)11.3g(55mmol)を加え、室温で1時間反応させた。ろ過により、不溶性尿素を除去後、減圧下で溶媒を除去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(カラム:シリカ(WAKO社製)、溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)により、精製し、無色の油8.1g(46mmol)を得た(収率91%)。
【0046】
(合成例2)アルキレン基の炭素数が3の場合:m=3
4−ピリジンプロパノール(アルドリッチ社製)6.85g(50mmol)と、メタクリル酸4.73g(55mmol)と、4−(1−ピロリジニル)ピリジン740mg(5mmol)と、を無水ジクロロメタン100mlに溶解後、DCC11.3g(55mmol)を加え、室温で1時間反応させた。ろ過により、不溶性尿素を除去後、減圧下で溶媒を除去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(カラム:シリカ(WAKO社製)、溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)により、精製し、無色の油8.5124g(41.4mmol)を得た(収率82.8)。
【0047】
(合成例3)アルキレン基の炭素数が5の場合:m=5
4−ペンテン−1−オール300mg(3.483mmol)に、テトラヒドロフラン(アルドリッチ社製)15mlに溶解した9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9−BBN)を加え、25℃で24時間反応させた。その後、水/ジメチルホルムアミド(DMF)(2:8)に溶解した4−ブロモピリジン塩酸塩(アルドリッチ社製)と、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(アルドリッチ社製)と、炭酸カリウム(アルドリッチ社製)と、を1:1.2:0.2当量比で加え、70℃で6時間反応させた。減圧下で溶媒を除去した後、残渣を酢酸エチルで希釈しセライト濾過を行った。カラムクロマトグラフィー(カラム:シリカ(アルドリッチ社製)、溶媒:酢酸エチル/ヘキサン)により、精製し、ピリジンペンタノールを203mg得た(収率48%)。反応スキームを以下に示す。
【0048】
【化9】
【0049】
上記反応により得られたピリジンペンタノール110mg(0.666mmol)と、メタクリル酸(ピリジンペンタノールに対して3等量)と、トリエチルアミン(ピリジンペンタノールに対して3等量)と、を無水ジクロロメタン9mlに溶解後、DCC(ピリジンペンタノールに対して3等量)を加え、室温で1時間反応させた。ろ過により、不溶性尿素を除去後、減圧下で溶媒を除去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(カラム:シリカ(アルドリッチ社製)、溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)により、精製し、無色の油64mgを得た(収率31%)。
【0050】
<グラフト共重合体の合成>
(合成例4)合成例1にて得られた重合性モノマー(A)の場合
合成例1にて得られた1,4−ピリジンメタノール−メタクリレート177mg(1.0mmol)と、α−メチル−ω−メタクリロイル−ポリエチレングリコール(アルドリッチ社製)624mg(0.3mmol)と、1,4−ピリジンメタノール−メタクリレートに対して1質量%の2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(WAKO社製)と、DMF8mlに溶解後、凍結脱気を3回繰り返し、60℃で24時間反応させた。その反応液を、DMFに対して20倍量の再沈殿溶媒(イソプロピルアルコール(WAKO社製)/ジエチルエーテル(アルドリッチ社製)=体積比1/20)に滴下し、数分攪拌した。その後、遠心分離、凍結乾燥を経て、白色粉末401mg(5.1μmol)を得た(収率50%)。
【0051】
(合成例5)合成例2にて得られた重合性モノマー(A)の場合
合成例2にて得られた4−ピリジンプロパノール−メタクリレート205mg(10mmol)と、α−メチル−ω−メタクリロイル−ポリエチレングリコール208mg,624mg,1248mg(0.1mmol,0.3mmol,0.6mmol)と、4−ピリジンプロパノール−メタクリレートに対して1質量%のAIBNと、DMFを(4ml,8ml,14ml)に溶解後、凍結脱気を3回繰り返し、60℃で24時間反応させた。その反応液を、DMFに対して20倍量の再沈殿溶媒(イソプロピルアルコール(WAKO社製)/ジエチルエーテル(アルドリッチ社製)=体積比1/20)に滴下し、数分攪拌した。その後、遠心分離、凍結乾燥を経て、白色粉末202mg,489mg,828mg(1.8μmol,4.1μmol,12.8μmol)を得た(収率49%,59%,57%)。
【0052】
(合成例6)合成例3にて得られた重合性モノマー(A)の場合
合成例3にて得られた4−ピリジンペンタノール−メタクリレート205mg(10mmol)と、α−メチル−ω−メタクリロイル−ポリエチレングリコール208mg,624mg,1248mg(0.1mmol,0.3mmol,0.6mmol)と、4−ピリジンペンタノール−メタクリレートに対して1質量%のAIBNと、DMFを(4ml,8ml,14ml)mlに溶解後、凍結脱気を3回繰り返し、60℃で24時間反応させた。その反応液を、DMFに対して20倍量の再沈殿溶媒(イソプロピルアルコール(WAKO社製)/ジエチルエーテル(アルドリッチ社製)=体積比1/20)に滴下し、数分攪拌した。その後、遠心分離、凍結乾燥を経て、白色粉末220mg,411mg,928mgを得た(収率52%,41%,55%)。
【0053】
<比較対照品の合成>
(合成例7)鎖末端にピリジル基を有するポリエチレングリコール(Py−PEG−MeO)
α−メチル−ω−メチル(4−ピリジルメチル−カルボキシレート)−ポリエチレングリコール1.14g(0.50mmol)と、4−ピリジンメタノール109mg(1.0mmol)と、4−(1−ピロリジニル)ピリジン15mg(0.10mmol)と、を無水ジクロロメタン20mlに溶解後、DCC113mg(0.55mmol)を加え、室温で24時間反応させた。ろ過により、不溶性尿素を除去後、減圧下で溶媒を除去した。残渣に、5mlの2−プロパノールを滴下し、数分攪拌した。沈殿物を遠心分離した後、凍結乾燥を経て、白色粉末697mg(0.3mmol)を得た(収率68%)。
【0054】
合成したグラフト共重合体(Py−g−PEG)の種類、一般式(I)で表される重合性モノマー(A)のRaのアルキレン基の炭素数(m)、エチレンオキシド単位の繰り返し数(n)、Py−g−PEGの数平均分子量(Mn)、Py−g−PEGの分散度(Mw/Mn)、ポリエチレングリコール(PEG)とピリジン(Py)との共重合比率(PEG/Py)を表1に示す。なお、分子量は、ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)により測定した。
【0055】
【表1】
【0056】
[表面張力の測定]
<m=1とm=3との比較>
一般式(I)で表される重合性モノマー(A)のRaのアルキレン基の炭素数(m)が1であるPy(1)−g(19.7%)−PEGと、3であるPy(3)−g(23.2%)−PEGと、を用いて高分子ミセルを形成し、それらの表面張力を測定した。Py(1)−g(19.7%)−PEGと、3であるPy(3)−g(23.2%)−PEGと、をN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)に溶解し、透析膜(分画分子量約10000)に入れ、DMAに対して300倍量の水に対して4日間透析を行うことで、ミセルを形成させた。
【0057】
【表2】
【0058】
図1及び表2に示すように、表面張力(γcmc)、臨界ミセル濃度(cmc)ともに、m=3の方がm=1よりも低値を示し、表面配向性が良好であった。これは、m=3の方が、m=1よりも疎水凝集力が増大するためと考えられる。
【0059】
[粒径の測定]
<m=1とm=3との比較>
Py(1)−g(19.7%)−PEGと、Py(3)−g(23.2%)−PEGと、を用いて高分子ミセルを形成し、これらの粒径をダイナミック光散乱光度計(DLS)(DLS−7000、大塚電子社製)、及び透過型電子顕微鏡(TEM)(HITACHI H―9500、HITACHI社製)により測定した。ミセルの形成方法は、上述の方法と同様である。DLSによる測定結果を図2((A)m=1,(B)m=3)に、TEMによる測定結果を図3((A)m=1,(B)m=3)に示す。
【0060】
図2に示すように、m=3(平均粒径:24.6±4.6nm)の方が、m=1(平均粒径:107.9±21.4nm)よりも、ミセルの粒径が小さく、大きさがより均一であった。また、m=3では、均一なミセルが形成されていることが確認できた(図3を参照)。m=3では、より疎水凝集力が増大するため、ミセルの凝集力が安定すると考えられる。
【0061】
[表面張力の測定]
<PEG/Pyの比較>
ポリエチレングリコール(PEG)とピリジン(Py)との共重合比率(PEG/Py)を変化させ、Py(3)−g(10.3%)−PEGと、Py(3)−g(23.2%)−PEGと、Py(3)−g(58.5%)−PEGと、を合成した。これらを用いて形成した高分子ミセルの表面張力を測定した。ミセルの形成方法は、上述の方法と同様である。結果を表3及び図4に示す。
【0062】
【表3】
【0063】
図4及び表3に示すように、PEG/Pyが23.2%のときが最も表面張力(γcmc)、臨界ミセル濃度(cmc)が低値を示し、表面配向性が良好であった。
【0064】
[粒径の測定]
<PEG/Pyの比較:m=3>
Py(3)−g(10.3%)−PEGと、Py(3)−g(23.2%)−PEGと、Py(3)−g(58.5%)−PEGと、を用いて高分子ミセルを形成し、これらの粒径をDLSにより測定した。ミセルの形成方法は、上述の方法と同様である。DLSによる測定結果を図5((A)10.3%,(B)23.2%,(C)58.5%)に示す。
【0065】
図5に示すように、PEG/Pyに関係なく、いずれのミセルも粒径20nm程度の均一な粒子を形成した。
【0066】
[金ナノ粒子の調製]
Py(3)−g(23.2%)−PEGを用いて形成した高分子ミセルの疎水性コアをナノ反応場として利用し、金ナノ粒子の調製を行った。
Py(3)−g(23.2%)−PEGを用いて形成した高分子ミセル溶液(0.2mg/ml、3ml)に、塩化金酸(アルドリッチ社製)を0.2mMになるように混合し、室温にて24時間攪拌した。その後、還元剤としてヒドラジン(WAKO社製)水溶液50μl(0.1mg/ml)を加えて、反応させた。
【0067】
[金ナノ粒子の分散液の紫外可視吸収スペクトル測定]
上述の方法により得られた金ナノ粒子の分散液の紫外可視吸収スペクトルを(紫外可視球光分光光度計Agilent 8453A Diod Array、Agilent社製)にて測定した。その結果を図6に示す。その結果、金ナノ粒子に由来する540nmのピークを確認した。
【0068】
[金ナノ粒子の粒径の測定]
上述の方法により得られた金ナノ粒子の粒径をDLS及びTEMにより測定した。DLSによる測定結果を図7に、TEMによる測定結果を図8に示す。その結果、平均粒径8.8±0.9nmの比較的単分散の金ナノ粒子が生成していることを確認した。
【0069】
[金ナノ粒子の分散安定性の評価]
<高イオン強度条件下>
合成例4,5,7の方法により合成された各種表面改質剤、PEO−PPO−PEO(商品名:プルロニック)、及びSH−PEG−MeO(日本油脂社製、No.4E4E0F02)を用いて形成した高分子ミセル溶液(0.2mg/ml、3ml)に、塩化金酸(アルドリッチ社製)を0.2mMになるように混合し、室温にて24時間攪拌した。その後、還元剤としてヒドラジン(WAKO社製)水溶液50μl(0.1mg/ml)を加えて、反応させた。次いで、反応後の溶液に、塩化ナトリウム(WAKO社製)を1mg/mlになるように加え、試験溶液を得た。これら試験溶液について、金ナノ粒子の最大吸収波長(540nm)における吸光度を経時的に測定することで、金ナノ粒子の分散安定性を評価した。結果を図9に示す。
【0070】
本発明の表面改質剤であるPy(3)−g(23.2%)−PEGを用いて調製した金ナノ粒子は、高イオン強度条件下において、1ヶ月間安定であった。比較対照のPEO−PPO−PEOやSH−PEG−MeO(チオール化したポリエチレングリコール)といった代表的な表面改質剤を用いて調製した金ナノ粒子よりも優れた分散安定性を示した。また、Py(1)−g(23.2%)−PEGを用いて調製した金ナノ粒子と比較しても安定であった。
【0071】
[金ナノ粒子の分散安定性の評価]
<酸化しやすい条件下>
合成例4,5,7の方法により合成された各種表面改質剤、PEO−PPO−PEO(商品名:プルロニック)、及びSH−PEG−MeO(日本油脂社製、No.4E4E0F02)を用いて形成した高分子ミセル溶液(0.2mg/ml、3ml)に、塩化金酸(アルドリッチ社製)を0.2mMになるように混合し、室温にて24時間攪拌した。その後、還元剤としてヒドラジン(WAKO社製)水溶液50μl(0.1mg/ml)を加えて、反応させた。次いで、反応後の溶液に、酸素を通気し、試験溶液を得た。これら試験溶液について、金ナノ粒子の最大吸収波長(540nm)における吸光度を経時的に測定することで、金ナノ粒子の分散安定性を評価した。結果を図10に示す。
【0072】
本発明の表面改質剤であるPy(3)−g(23.2%)−PEGを用いて調製した金ナノ粒子は、酸化しやすい条件下において、1ヶ月間安定であった。比較対照のPEO−PPO−PEOやSH−PEG−MeO(チオール化したポリエチレングリコール)といった代表的な表面改質剤を用いて調製した金ナノ粒子よりも非常に優れた分散安定性を示した。また、Py(1)−g(23.2%)−PEGを用いて調製した金ナノ粒子と比較してもかなり安定であった。
【0073】
[粒径の測定]
<PEG/Pyの比較:m=5>
Py(5)−g(12.1%)−PEGと、Py(5)−g(25.2%)−PEGと、Py(5)−g(51.5%)−PEGと、を用いて高分子ミセルを形成し、これらの粒径をDLSにより測定した。エチレングリコールの重合度(n)は、全て43とした。ミセルの形成方法は、上述の方法と同様である。DLSによる測定結果を図11((A)12.1%,(B)25.2%,(C)51.5%)に示す。
【0074】
図11に示すように、PEG/Pyに関係なく、いずれのミセルも粒径20nm程度の均一な粒子を形成した。
【0075】
[金ナノ粒子の調製]
Py(5)−g(25.2%)−PEGを用いて形成した高分子ミセルの疎水性コアをナノ反応場として利用し、金ナノ粒子の調製を行った。
Py(5)−g(25.2%)−PEGを用いて形成した高分子ミセル溶液0.2mg/3mlに、塩化金酸(アルドリッチ社製)を0.2mMになるように混合し、室温にて24時間攪拌した。その後、還元剤としてヒドラジン(WAKO社製)水溶液50μl(0.1mg/ml)を加えて、反応させた。
【0076】
[金ナノ粒子の粒径の測定]
上述の方法により得られた金ナノ粒子の粒径をDLS及びTEMにより測定した。DLSによる測定結果を図12に、TEMによる測定結果を図13に示す。その結果、平均粒径9.5±1.8nmの比較的単分散の金ナノ粒子が生成していることを確認した。
【0077】
[金ナノ粒子の分散安定性の評価]
<高イオン強度条件下>
本発明の表面改質剤(Py(3)−g(23.2%)−PEG,Py(5)−g(25.2%)−PEG)を用いて形成した高分子ミセル溶液(Py(3)−g(23.2%)−PEG,Py(5)−g(25.2%)−PEGそれぞれ0.2mg/ml、3ml)に、塩化金酸(アルドリッチ社製)を0.2mMになるように混合し、室温にて24時間攪拌した。その後、還元剤として(WAKO社製)水溶液50μl(0.1mg/ml)を加えて、反応させた。次いで、反応後の溶液に、塩化ナトリウム(WAKO社製)を1mg/mlになるように加え、試験溶液を得た。これら試験溶液について、金ナノ粒子の最大吸収波長(540nm)における吸光度を経時的に測定することで、金ナノ粒子の分散安定性を評価した。結果を図14に示す。
【0078】
本発明の表面改質剤であるPy(5)−g(25.2%)−PEGを用いて調製した金ナノ粒子は、高イオン強度条件下において、1週間安定であった。また、Py(3)−g(23.2%)−PEGを用いて調製した金ナノ粒子と比較しても優れた分散安定性を示した。
【0079】
[金ナノ粒子の分散安定性の評価]
<酸化しやすい条件下>
本発明の表面改質剤(Py(3)−g(23.2%)−PEG,Py(5)−g(25.2%)−PEG)を用いて形成した高分子ミセル溶液(Py(3)−g(23.2%)−PEG,Py(5)−g(25.2%)−PEGそれぞれ0.2mg/ml、3ml)に、塩化金酸(アルドリッチ社製)を0.2mMになるように混合し、室温にて24時間攪拌した。その後、還元剤として(WAKO社製)水溶液50μl(0.1mg/ml)を加えて、反応させた。次いで、反応後の溶液に、酸素を通気し、試験溶液を得た。これら試験溶液について、金ナノ粒子の最大吸収波長(540nm)における吸光度を経時的に測定することで、金ナノ粒子の分散安定性を評価した。結果を図15に示す。
【0080】
本発明の表面改質剤であるPy(5)−g(25.2%)−PEGを用いて調製した金ナノ粒子は、酸化しやすい条件下において、1週間安定であった。Py(1)−g(23.2%)−PEGを用いて調製した金ナノ粒子とは、同程度の分散安定性を示した。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の表面改質剤を用いて形成した高分子ミセルの表面張力(m=1とm=3)を示す図である。
【図2】本発明の表面改質剤を用いて形成した高分子ミセルの粒径分布を示す図((A)m=1,(B)m=3)である。
【図3】本発明の表面改質剤を用いて形成した高分子ミセルの透過型電子顕微像を示す図((A)m=1,(B)m=3)である。
【図4】本発明の表面改質剤を用いて形成した高分子ミセルの表面張力を示す図(m=3,(A)PEG/Py=10.3%,(B)PEG/Py=23.2%,(C)PEG/Py=58.5%)である。
【図5】本発明の表面改質剤を用いて形成した高分子ミセルの粒径分布を示す図(m=3,(A)PEG/Py=10.3%,(B)PEG/Py=23.2%,(C)PEG/Py=58.5%)である。
【図6】本発明の金ナノ粒子の分散液の紫外可視吸収スペクトルを示す図である。
【図7】本発明の金ナノ粒子の粒径分布を示す図(m=3,PEG/Py=23.2%)である。
【図8】本発明の金ナノ粒子の透過型電子顕微像(m=3,PEG/Py=23.2%)を示す図である。
【図9】本発明の金ナノ粒子の分散安定性(高イオン強度条件下)を示す図である。
【図10】本発明の金ナノ粒子の分散安定性(酸化しやすい条件下)を示す図である。
【図11】本発明の表面改質剤を用いて形成した高分子ミセルの粒径分布を示す図(m=5,(A)PEG/Py=12.1%,(B)PEG/Py=25.2%,(C)PEG/Py=51.5%)である。
【図12】本発明の金ナノ粒子の粒径分布を示す図(m=5,PEG/Py=25.2%)である。
【図13】本発明の金ナノ粒子の透過型電子顕微像(m=5,PEG/Py=25.2%)を示す図である。
【図14】本発明の金ナノ粒子の分散安定性(高イオン強度条件下)を示す図である。
【図15】本発明の金ナノ粒子の分散安定性(酸化しやすい条件下)を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面改質剤、該表面改質剤により改質された被改質体、該表面改質剤により改質されたナノ粒子の分散液、及び該表面改質剤から形成されるミセルの疎水性コアを反応場とするナノ粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、材料の表面を改質することで、その付加価値を高める試みが様々な分野において広くなされている。特に、材料をナノスケールに加工した微粒子(以下、ナノ粒子という。)は、比表面積が非常に大きいので、表面特性を変化させやすく、その親和性や生体内の付着性等の制御が可能であることから、触媒、色材、電子材料、光学材料、医薬品、化粧品等への応用が期待されている。
【0003】
ナノ粒子の表面特性の制御には、表面改質剤が重要な役割を担う。例えば、ナノ粒子は、その表面に表面改質剤を吸着させることによって、溶媒中で安定に分散する。表面改質剤としては、チオール類が挙げられるが、チオール類は単座配位子であるため、多座配位子として機能する高分子よりも粒子の表面を密に覆う必要がある。そこで、チオール基を有する重合性モノマーをグラフト化することにより多点吸着させ、安定化させることができれば好ましいとも考えられる。しかし、チオール基は反応性が高く、保護基を付けたとしても容易に脱保護され、架橋してしまうため、チオール基を有する重合性モノマーをグラフト化することは困難である。
【0004】
そこで、本発明者らが研究を行ったところ、表面改質剤の高分子構造として、一般式(V)で表される重合性モノマー(A)と、一般式(VI)で表される重合性モノマー(B)とのグラフト共重合体が有用であることを見出した(非特許文献1参照)。
【化1】
【0005】
これによれば、ピリジル基による多点吸着とポリエチレンオキシド鎖による密度制御とによって、金ナノ粒子を溶媒中で安定に分散させることができる。
【非特許文献1】Tomomi Satomi,Koji Ueno,Hisatoshi Kobayashi,Junzo Tanaka,Yoshinori Mitamura,Tetsuya Tateishi,and Hidenori Otsuka、Journal of Nanoscience and Nanotechnology、vol.6、1792−1796、2006
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記非特許文献1に記載された表面改質剤では、被改質体であるナノ粒子を満足のいく程度にまで安定に分散させることができず、更なる検討の余地があった。
【0007】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、改質対象に対して高い親和性を示し、改質対象の表面に吸着することで、改質対象を溶媒中で安定に分散させることができる表面改質剤、該表面改質剤により改質された被改質体、該表面改質剤により改質されたナノ粒子の分散液、及び該表面改質剤から形成されるミセルの疎水性コアを反応場とするナノ粒子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため、さらに鋭意研究を重ねたところ、上記非特許文献1に記載された表面改質剤において、上記の一般式(V)で表される重合性モノマー(A)のメチレン基を炭素数2以上のアルキレン基に変えることで、被改質体である金属ナノ粒子の溶媒中での分散安定性が飛躍的に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、以下のようなものを提供する。
【0009】
(1)一般式(I)で表される基を有する重合性モノマー(A)と、一般式(II)で表される繰り返し構造を有する重合性モノマー(B)と、のグラフト共重合体からなる表面改質剤。
【化2】
(式中、Raは、炭素数2〜7のアルキレン基を表し、Rbは、炭素数2〜5のアルキレン基を表し、nは、5〜2000の任意の整数を表す。)
【0010】
(2)前記重合性モノマー(A)が、一般式(III)で表される(1)に記載の表面改質剤。
【化3】
(式中、R1aは、炭素数2〜7のアルキレン基を表し、R2aは、水素原子又はメチル基を表す。)
【0011】
(3)前記重合性モノマー(B)が、一般式(IV)で表される(1)又は(2)に記載の表面改質剤。
【化4】
(式中、R1bは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、R2bは、炭素数2〜5のアルキレン基を表し、R3bは、水素原子又はメチル基を表し、nは、5〜2000の任意の整数を表す。)
【0012】
(4)前記重合性モノマー(B)の質量平均分子量が、200〜80000である(1)〜(3)のいずれかに記載の表面改質剤。
【0013】
(5)前記重合性モノマー(A)と前記重合性モノマー(B)とのモル比が、1:99〜99:1である(1)〜(4)のいずれかに記載の表面改質剤。
【0014】
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の表面改質剤が表面に吸着して改質された被改質体。
【0015】
(7)(1)〜(5)のいずれかに記載の表面改質剤が吸着して表面改質されたナノ粒子の分散液。
【0016】
(8)(1)〜(5)のいずれかに記載の表面改質剤から形成されるミセルの疎水性コアを反応場とするナノ粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明の表面改質剤によれば、一般式(I)で表される基を有する重合性モノマー(A)を有するため、ピリジル基を介して改質対象に吸着することができる。ピリジル基は、様々な改質対象に親和性を示すため、表面改質剤として汎用性を有する。また、本発明の表面改質剤では、一般式(I)のRaが、炭素数2〜7のアルキレン基であるため、小さくて安定した粒径の粒子を得ることができる。さらに、一般式(II)で表される繰り返し構造を有する重合性モノマー(B)を有するため、被改質体を溶媒中で安定に分散させることができる。
本発明のナノ粒子の製造方法によれば、本発明の表面改質剤から形成されるミセルの疎水性コアを反応場とするため、凝集することなく、小さくて安定した粒径のナノ粒子を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、詳細に説明する。
【0019】
[表面改質剤]
本発明の表面改質剤は、一般式(I)で表される基を有する重合性モノマー(A)と、一般式(II)で表される繰り返し構造を有する重合性モノマー(B)と、のグラフト共重合体からなる。
【化5】
【0020】
[重合性モノマー(A)]
重合性モノマー(A)は、上記一般式(I)で表される基を有する重合可能なモノマーである。Raは、炭素数2〜7のアルキレン基であることを特徴とし、炭素数3〜5のアルキレン基であることが好ましい。本発明の表面改質剤では、アルキレン基の炭素数を変えることで、改質対象であるナノ粒子間の疎水的凝集力を制御することができる。アルキレン基の炭素数を上記範囲とすることで、小さくて安定した粒径の粒子を得ることができる。
【0021】
重合性モノマー(A)は、重合可能なモノマーであり、その構造中に重合性基を有する必要があるが、その種類は特に限定されず、例えば、ビニル基、アリル基、スチリル基、メタクリロイル基、アクリロイル基等であってもよい。この重合性基を介して、後述の重合性モノマー(B)と重合することができる。
【0022】
本発明の表面改質剤では、重合性モノマー(A)が、一般式(III)で表されることが好ましい。
【化6】
【0023】
ここで、R1aは、炭素数2〜7のアルキレン基であり、炭素数3〜5のアルキレン基であることが好ましい。また、R2aは、水素原子又はメチル基である。
【0024】
[重合性モノマー(B)]
重合性モノマー(B)は、上記一般式(II)で表される繰り返し構造を有する重合可能なモノマーである。Rbは、炭素数2〜5のアルキレン基であることを特徴とし、炭素数2〜3であることが好ましい。アルキレン基の炭素数を上記範囲とすることで、分子の親水性と柔軟性とが高まる。また、nは、5〜2000の任意の整数であることを特徴とし、10〜500であることが好ましい。nを上記範囲とすることで、親水性と柔軟性とが高まる。上記一般式(II)で表される繰り返し構造の単位としては、特に限定されないが、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等が挙げられる。
【0025】
重合性モノマー(B)は、重合可能なモノマーであり、その構造中に重合性基を有する必要があるが、官能基の種類は特に限定されず、例えば、ビニル基、アリル基、スチリル基、メタクリロイル基、アクリロイル基等であってもよい。この重合性基を介して、上述の重合性モノマー(A)と重合することができる。
【0026】
本発明の表面改質剤では、重合性モノマー(B)が、一般式(IV)で表されることが好ましい。
【化7】
【0027】
ここで、R1bは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、炭素数2〜5のアルキル基であることが好ましい。R2bは、炭素数2〜5のアルキレン基であり、R3bは、水素原子又はメチル基である。また、nは、5〜2000の任意の整数であることを特徴とし、10〜500であることが好ましい。
【0028】
[グラフト共重合体の合成方法]
本発明の表面改質剤は、重合性モノマー(A)と重合性モノマー(B)とのグラフト共重合体からなる。本発明の表面改質剤では、重合性モノマー(A)と重合性モノマー(B)とのグラフト共重合に用いる重合開始剤は、特に限定されず、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ系重合開始剤、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の硫酸塩系重合開始剤、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物系重合開始剤等が挙げられる。
【0029】
重合開始剤の好適な使用量は、重合性モノマー(A)と重合性モノマー(B)との合計量に対して、0.1〜10質量%である。また、グラフト共重合体の分子量を調整するために、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−プロパンチオール、1−ブタンチオール等の連鎖移動剤を添加してもよい。
【0030】
重合時間は、温度や所望の最終生成物の性質に依存するが、好ましくは30〜90℃、より好ましくは50〜70℃で、1〜48時間である。
【0031】
本発明の表面改質剤では、グラフト共重合体の質量平均分子量(GPCによる測定)が、1000〜500000であることが好ましく、2000〜100000であることがより好ましい。なお、上記範囲とすることで、改質対象に界面安定性を付与することができる。
【0032】
本発明の表面改質剤では、重合性モノマー(B)の質量平均分子量(GPCによる測定)が、200〜80000であることが好ましく、500〜20000であることがより好ましい。重合性モノマー(B)の分子量を変化させることで、ナノ粒子の溶媒中での分散安定性を制御することができる。なお、上記範囲とすることで、ナノ粒子を溶媒中で安定に分散させることができる。
【0033】
本発明の表面改質剤では、グラフト共重合体における重合性モノマー(A)と重合性モノマー(B)とのモル比が、1:99〜99:1であることが好ましく、10:90〜90:10であることがより好ましい。重合性モノマー(A)と重合性モノマー(B)とのモル比を変化させることで、親疎水バランスを制御することができる。なお、上記範囲とすることで、本発明の表面改質剤を改質対象の表面に安定に吸着させることができ、また、表面を改質された被改質体を溶媒中で安定に分散させることができる。
【0034】
[被改質体]
本発明の被改質体は、本発明の表面改質剤が表面に吸着して改質されたものである。本発明の表面改質剤は、塩基性官能基であるピリジル基が改質対象の表面に吸着することで、機能する。したがって、本発明の被改質体は、塩基性官能基であるピリジル基が吸着しやすい酸性表面であることが好ましい。酸性表面であれば、その種類や形態は限定されない。例えば、シリカ、アルミナ等の金属酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化アルミニウム等の金属塩、カーボンブラック、メソポーラスカーボン、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素素材、ガラスファイバー、カーボンファイバー等の無機繊維素材、金、銀、鉄、銅等の金属、半金属酸化物、半導体等が挙げられる。
【0035】
本発明の被改質体は、本発明の表面改質剤が表面に吸着して改質されたものであるので、被改質体が、例えば、生体内において使用する医療器具等である場合には、タンパク質等の吸着を抑制する。
【0036】
本発明の被改質体では、表面改質剤で被覆される範囲は、表面の一部であっても、全部であってもよい。被覆の方法は、特に限定されないが、例えば、吸着法、ディップコート法等が挙げられる。
【0037】
[ナノ粒子の分散液]
本発明の分散液は、本発明の表面改質剤によって表面改質されたナノ粒子が分散した溶液である。本発明の分散液に分散されるナノ粒子の種類は、特に限定されず、例えば、カーボンブラック、メソポーラスカーボン、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素素材、金、銀、鉄、銅等の金属、半導体、無機酸化物等が挙げられる。金属の場合には、銅、銀、金、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト等の遷移金属が好ましい。また、該金属種は、1種類であっても、2種類以上であってもよい。還元反応の容易さや取り扱いの容易さの面から、金、銀、白金がさらに好ましい。
【0038】
本発明の分散液におけるナノ粒子の含有量は、特に限定されないが、少ないと有用性を発揮することができず、多いとコロイド溶液の流動性が低下するので、この点を考慮しつつ、目的に応じて適宜調整するとよい。
【0039】
ナノ粒子の粒径は、特に限定されないが、より高い分散安定性を有するためには、2〜200nmが好ましく、10〜100nmがより好ましい。本発明の分散液では、溶媒は、特に限定されず、水であっても、有機溶媒であってもよい。また、本発明の分散液に分散しているナノ粒子は、本発明の表面改質剤によって表面改質されているので、例えば、酸化しやすい条件や高イオン強度条件であっても、安定に分散することができる。
【0040】
[ナノ粒子の製造方法]
本発明のナノ粒子の製造方法は、本発明の表面改質剤から形成されるミセルの疎水性コアを反応場とする。例えば、金属ナノ粒子の場合、本発明の表面改質剤を分散した溶媒中に、金属の塩又は金属のイオン溶液を加え、金属イオンを還元することで製造することができる。
【0041】
本発明のナノ粒子の製造方法では、溶媒は、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、DMSO、トルエン等が、温和に還元させることができる点において好ましい。
【実施例】
【0042】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0043】
[グラフト共重合体の合成]
以下の反応スキームに示すように、重合性モノマー(A)と重合性モノマー(B)とを共重合させて、グラフト共重合体(Py−g−PEG)を合成した。
【0044】
【化8】
【0045】
<重合性モノマー(A)の合成>
(合成例1)アルキレン基の炭素数が1の場合:m=1
4−ピリジンメタノール(アルドリッチ社製)5.45g(50mmol)と、メタクリル酸(アルドリッチ社製)4.73g(55mmol)と、4−(1−ピロリジニル)ピリジン(アルドリッチ社製)740mg(5mmol)と、を無水ジクロロメタン(WAKO社製)100mlに溶解後、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(アルドリッチ社製)11.3g(55mmol)を加え、室温で1時間反応させた。ろ過により、不溶性尿素を除去後、減圧下で溶媒を除去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(カラム:シリカ(WAKO社製)、溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)により、精製し、無色の油8.1g(46mmol)を得た(収率91%)。
【0046】
(合成例2)アルキレン基の炭素数が3の場合:m=3
4−ピリジンプロパノール(アルドリッチ社製)6.85g(50mmol)と、メタクリル酸4.73g(55mmol)と、4−(1−ピロリジニル)ピリジン740mg(5mmol)と、を無水ジクロロメタン100mlに溶解後、DCC11.3g(55mmol)を加え、室温で1時間反応させた。ろ過により、不溶性尿素を除去後、減圧下で溶媒を除去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(カラム:シリカ(WAKO社製)、溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)により、精製し、無色の油8.5124g(41.4mmol)を得た(収率82.8)。
【0047】
(合成例3)アルキレン基の炭素数が5の場合:m=5
4−ペンテン−1−オール300mg(3.483mmol)に、テトラヒドロフラン(アルドリッチ社製)15mlに溶解した9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9−BBN)を加え、25℃で24時間反応させた。その後、水/ジメチルホルムアミド(DMF)(2:8)に溶解した4−ブロモピリジン塩酸塩(アルドリッチ社製)と、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(アルドリッチ社製)と、炭酸カリウム(アルドリッチ社製)と、を1:1.2:0.2当量比で加え、70℃で6時間反応させた。減圧下で溶媒を除去した後、残渣を酢酸エチルで希釈しセライト濾過を行った。カラムクロマトグラフィー(カラム:シリカ(アルドリッチ社製)、溶媒:酢酸エチル/ヘキサン)により、精製し、ピリジンペンタノールを203mg得た(収率48%)。反応スキームを以下に示す。
【0048】
【化9】
【0049】
上記反応により得られたピリジンペンタノール110mg(0.666mmol)と、メタクリル酸(ピリジンペンタノールに対して3等量)と、トリエチルアミン(ピリジンペンタノールに対して3等量)と、を無水ジクロロメタン9mlに溶解後、DCC(ピリジンペンタノールに対して3等量)を加え、室温で1時間反応させた。ろ過により、不溶性尿素を除去後、減圧下で溶媒を除去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(カラム:シリカ(アルドリッチ社製)、溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)により、精製し、無色の油64mgを得た(収率31%)。
【0050】
<グラフト共重合体の合成>
(合成例4)合成例1にて得られた重合性モノマー(A)の場合
合成例1にて得られた1,4−ピリジンメタノール−メタクリレート177mg(1.0mmol)と、α−メチル−ω−メタクリロイル−ポリエチレングリコール(アルドリッチ社製)624mg(0.3mmol)と、1,4−ピリジンメタノール−メタクリレートに対して1質量%の2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(WAKO社製)と、DMF8mlに溶解後、凍結脱気を3回繰り返し、60℃で24時間反応させた。その反応液を、DMFに対して20倍量の再沈殿溶媒(イソプロピルアルコール(WAKO社製)/ジエチルエーテル(アルドリッチ社製)=体積比1/20)に滴下し、数分攪拌した。その後、遠心分離、凍結乾燥を経て、白色粉末401mg(5.1μmol)を得た(収率50%)。
【0051】
(合成例5)合成例2にて得られた重合性モノマー(A)の場合
合成例2にて得られた4−ピリジンプロパノール−メタクリレート205mg(10mmol)と、α−メチル−ω−メタクリロイル−ポリエチレングリコール208mg,624mg,1248mg(0.1mmol,0.3mmol,0.6mmol)と、4−ピリジンプロパノール−メタクリレートに対して1質量%のAIBNと、DMFを(4ml,8ml,14ml)に溶解後、凍結脱気を3回繰り返し、60℃で24時間反応させた。その反応液を、DMFに対して20倍量の再沈殿溶媒(イソプロピルアルコール(WAKO社製)/ジエチルエーテル(アルドリッチ社製)=体積比1/20)に滴下し、数分攪拌した。その後、遠心分離、凍結乾燥を経て、白色粉末202mg,489mg,828mg(1.8μmol,4.1μmol,12.8μmol)を得た(収率49%,59%,57%)。
【0052】
(合成例6)合成例3にて得られた重合性モノマー(A)の場合
合成例3にて得られた4−ピリジンペンタノール−メタクリレート205mg(10mmol)と、α−メチル−ω−メタクリロイル−ポリエチレングリコール208mg,624mg,1248mg(0.1mmol,0.3mmol,0.6mmol)と、4−ピリジンペンタノール−メタクリレートに対して1質量%のAIBNと、DMFを(4ml,8ml,14ml)mlに溶解後、凍結脱気を3回繰り返し、60℃で24時間反応させた。その反応液を、DMFに対して20倍量の再沈殿溶媒(イソプロピルアルコール(WAKO社製)/ジエチルエーテル(アルドリッチ社製)=体積比1/20)に滴下し、数分攪拌した。その後、遠心分離、凍結乾燥を経て、白色粉末220mg,411mg,928mgを得た(収率52%,41%,55%)。
【0053】
<比較対照品の合成>
(合成例7)鎖末端にピリジル基を有するポリエチレングリコール(Py−PEG−MeO)
α−メチル−ω−メチル(4−ピリジルメチル−カルボキシレート)−ポリエチレングリコール1.14g(0.50mmol)と、4−ピリジンメタノール109mg(1.0mmol)と、4−(1−ピロリジニル)ピリジン15mg(0.10mmol)と、を無水ジクロロメタン20mlに溶解後、DCC113mg(0.55mmol)を加え、室温で24時間反応させた。ろ過により、不溶性尿素を除去後、減圧下で溶媒を除去した。残渣に、5mlの2−プロパノールを滴下し、数分攪拌した。沈殿物を遠心分離した後、凍結乾燥を経て、白色粉末697mg(0.3mmol)を得た(収率68%)。
【0054】
合成したグラフト共重合体(Py−g−PEG)の種類、一般式(I)で表される重合性モノマー(A)のRaのアルキレン基の炭素数(m)、エチレンオキシド単位の繰り返し数(n)、Py−g−PEGの数平均分子量(Mn)、Py−g−PEGの分散度(Mw/Mn)、ポリエチレングリコール(PEG)とピリジン(Py)との共重合比率(PEG/Py)を表1に示す。なお、分子量は、ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)により測定した。
【0055】
【表1】
【0056】
[表面張力の測定]
<m=1とm=3との比較>
一般式(I)で表される重合性モノマー(A)のRaのアルキレン基の炭素数(m)が1であるPy(1)−g(19.7%)−PEGと、3であるPy(3)−g(23.2%)−PEGと、を用いて高分子ミセルを形成し、それらの表面張力を測定した。Py(1)−g(19.7%)−PEGと、3であるPy(3)−g(23.2%)−PEGと、をN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)に溶解し、透析膜(分画分子量約10000)に入れ、DMAに対して300倍量の水に対して4日間透析を行うことで、ミセルを形成させた。
【0057】
【表2】
【0058】
図1及び表2に示すように、表面張力(γcmc)、臨界ミセル濃度(cmc)ともに、m=3の方がm=1よりも低値を示し、表面配向性が良好であった。これは、m=3の方が、m=1よりも疎水凝集力が増大するためと考えられる。
【0059】
[粒径の測定]
<m=1とm=3との比較>
Py(1)−g(19.7%)−PEGと、Py(3)−g(23.2%)−PEGと、を用いて高分子ミセルを形成し、これらの粒径をダイナミック光散乱光度計(DLS)(DLS−7000、大塚電子社製)、及び透過型電子顕微鏡(TEM)(HITACHI H―9500、HITACHI社製)により測定した。ミセルの形成方法は、上述の方法と同様である。DLSによる測定結果を図2((A)m=1,(B)m=3)に、TEMによる測定結果を図3((A)m=1,(B)m=3)に示す。
【0060】
図2に示すように、m=3(平均粒径:24.6±4.6nm)の方が、m=1(平均粒径:107.9±21.4nm)よりも、ミセルの粒径が小さく、大きさがより均一であった。また、m=3では、均一なミセルが形成されていることが確認できた(図3を参照)。m=3では、より疎水凝集力が増大するため、ミセルの凝集力が安定すると考えられる。
【0061】
[表面張力の測定]
<PEG/Pyの比較>
ポリエチレングリコール(PEG)とピリジン(Py)との共重合比率(PEG/Py)を変化させ、Py(3)−g(10.3%)−PEGと、Py(3)−g(23.2%)−PEGと、Py(3)−g(58.5%)−PEGと、を合成した。これらを用いて形成した高分子ミセルの表面張力を測定した。ミセルの形成方法は、上述の方法と同様である。結果を表3及び図4に示す。
【0062】
【表3】
【0063】
図4及び表3に示すように、PEG/Pyが23.2%のときが最も表面張力(γcmc)、臨界ミセル濃度(cmc)が低値を示し、表面配向性が良好であった。
【0064】
[粒径の測定]
<PEG/Pyの比較:m=3>
Py(3)−g(10.3%)−PEGと、Py(3)−g(23.2%)−PEGと、Py(3)−g(58.5%)−PEGと、を用いて高分子ミセルを形成し、これらの粒径をDLSにより測定した。ミセルの形成方法は、上述の方法と同様である。DLSによる測定結果を図5((A)10.3%,(B)23.2%,(C)58.5%)に示す。
【0065】
図5に示すように、PEG/Pyに関係なく、いずれのミセルも粒径20nm程度の均一な粒子を形成した。
【0066】
[金ナノ粒子の調製]
Py(3)−g(23.2%)−PEGを用いて形成した高分子ミセルの疎水性コアをナノ反応場として利用し、金ナノ粒子の調製を行った。
Py(3)−g(23.2%)−PEGを用いて形成した高分子ミセル溶液(0.2mg/ml、3ml)に、塩化金酸(アルドリッチ社製)を0.2mMになるように混合し、室温にて24時間攪拌した。その後、還元剤としてヒドラジン(WAKO社製)水溶液50μl(0.1mg/ml)を加えて、反応させた。
【0067】
[金ナノ粒子の分散液の紫外可視吸収スペクトル測定]
上述の方法により得られた金ナノ粒子の分散液の紫外可視吸収スペクトルを(紫外可視球光分光光度計Agilent 8453A Diod Array、Agilent社製)にて測定した。その結果を図6に示す。その結果、金ナノ粒子に由来する540nmのピークを確認した。
【0068】
[金ナノ粒子の粒径の測定]
上述の方法により得られた金ナノ粒子の粒径をDLS及びTEMにより測定した。DLSによる測定結果を図7に、TEMによる測定結果を図8に示す。その結果、平均粒径8.8±0.9nmの比較的単分散の金ナノ粒子が生成していることを確認した。
【0069】
[金ナノ粒子の分散安定性の評価]
<高イオン強度条件下>
合成例4,5,7の方法により合成された各種表面改質剤、PEO−PPO−PEO(商品名:プルロニック)、及びSH−PEG−MeO(日本油脂社製、No.4E4E0F02)を用いて形成した高分子ミセル溶液(0.2mg/ml、3ml)に、塩化金酸(アルドリッチ社製)を0.2mMになるように混合し、室温にて24時間攪拌した。その後、還元剤としてヒドラジン(WAKO社製)水溶液50μl(0.1mg/ml)を加えて、反応させた。次いで、反応後の溶液に、塩化ナトリウム(WAKO社製)を1mg/mlになるように加え、試験溶液を得た。これら試験溶液について、金ナノ粒子の最大吸収波長(540nm)における吸光度を経時的に測定することで、金ナノ粒子の分散安定性を評価した。結果を図9に示す。
【0070】
本発明の表面改質剤であるPy(3)−g(23.2%)−PEGを用いて調製した金ナノ粒子は、高イオン強度条件下において、1ヶ月間安定であった。比較対照のPEO−PPO−PEOやSH−PEG−MeO(チオール化したポリエチレングリコール)といった代表的な表面改質剤を用いて調製した金ナノ粒子よりも優れた分散安定性を示した。また、Py(1)−g(23.2%)−PEGを用いて調製した金ナノ粒子と比較しても安定であった。
【0071】
[金ナノ粒子の分散安定性の評価]
<酸化しやすい条件下>
合成例4,5,7の方法により合成された各種表面改質剤、PEO−PPO−PEO(商品名:プルロニック)、及びSH−PEG−MeO(日本油脂社製、No.4E4E0F02)を用いて形成した高分子ミセル溶液(0.2mg/ml、3ml)に、塩化金酸(アルドリッチ社製)を0.2mMになるように混合し、室温にて24時間攪拌した。その後、還元剤としてヒドラジン(WAKO社製)水溶液50μl(0.1mg/ml)を加えて、反応させた。次いで、反応後の溶液に、酸素を通気し、試験溶液を得た。これら試験溶液について、金ナノ粒子の最大吸収波長(540nm)における吸光度を経時的に測定することで、金ナノ粒子の分散安定性を評価した。結果を図10に示す。
【0072】
本発明の表面改質剤であるPy(3)−g(23.2%)−PEGを用いて調製した金ナノ粒子は、酸化しやすい条件下において、1ヶ月間安定であった。比較対照のPEO−PPO−PEOやSH−PEG−MeO(チオール化したポリエチレングリコール)といった代表的な表面改質剤を用いて調製した金ナノ粒子よりも非常に優れた分散安定性を示した。また、Py(1)−g(23.2%)−PEGを用いて調製した金ナノ粒子と比較してもかなり安定であった。
【0073】
[粒径の測定]
<PEG/Pyの比較:m=5>
Py(5)−g(12.1%)−PEGと、Py(5)−g(25.2%)−PEGと、Py(5)−g(51.5%)−PEGと、を用いて高分子ミセルを形成し、これらの粒径をDLSにより測定した。エチレングリコールの重合度(n)は、全て43とした。ミセルの形成方法は、上述の方法と同様である。DLSによる測定結果を図11((A)12.1%,(B)25.2%,(C)51.5%)に示す。
【0074】
図11に示すように、PEG/Pyに関係なく、いずれのミセルも粒径20nm程度の均一な粒子を形成した。
【0075】
[金ナノ粒子の調製]
Py(5)−g(25.2%)−PEGを用いて形成した高分子ミセルの疎水性コアをナノ反応場として利用し、金ナノ粒子の調製を行った。
Py(5)−g(25.2%)−PEGを用いて形成した高分子ミセル溶液0.2mg/3mlに、塩化金酸(アルドリッチ社製)を0.2mMになるように混合し、室温にて24時間攪拌した。その後、還元剤としてヒドラジン(WAKO社製)水溶液50μl(0.1mg/ml)を加えて、反応させた。
【0076】
[金ナノ粒子の粒径の測定]
上述の方法により得られた金ナノ粒子の粒径をDLS及びTEMにより測定した。DLSによる測定結果を図12に、TEMによる測定結果を図13に示す。その結果、平均粒径9.5±1.8nmの比較的単分散の金ナノ粒子が生成していることを確認した。
【0077】
[金ナノ粒子の分散安定性の評価]
<高イオン強度条件下>
本発明の表面改質剤(Py(3)−g(23.2%)−PEG,Py(5)−g(25.2%)−PEG)を用いて形成した高分子ミセル溶液(Py(3)−g(23.2%)−PEG,Py(5)−g(25.2%)−PEGそれぞれ0.2mg/ml、3ml)に、塩化金酸(アルドリッチ社製)を0.2mMになるように混合し、室温にて24時間攪拌した。その後、還元剤として(WAKO社製)水溶液50μl(0.1mg/ml)を加えて、反応させた。次いで、反応後の溶液に、塩化ナトリウム(WAKO社製)を1mg/mlになるように加え、試験溶液を得た。これら試験溶液について、金ナノ粒子の最大吸収波長(540nm)における吸光度を経時的に測定することで、金ナノ粒子の分散安定性を評価した。結果を図14に示す。
【0078】
本発明の表面改質剤であるPy(5)−g(25.2%)−PEGを用いて調製した金ナノ粒子は、高イオン強度条件下において、1週間安定であった。また、Py(3)−g(23.2%)−PEGを用いて調製した金ナノ粒子と比較しても優れた分散安定性を示した。
【0079】
[金ナノ粒子の分散安定性の評価]
<酸化しやすい条件下>
本発明の表面改質剤(Py(3)−g(23.2%)−PEG,Py(5)−g(25.2%)−PEG)を用いて形成した高分子ミセル溶液(Py(3)−g(23.2%)−PEG,Py(5)−g(25.2%)−PEGそれぞれ0.2mg/ml、3ml)に、塩化金酸(アルドリッチ社製)を0.2mMになるように混合し、室温にて24時間攪拌した。その後、還元剤として(WAKO社製)水溶液50μl(0.1mg/ml)を加えて、反応させた。次いで、反応後の溶液に、酸素を通気し、試験溶液を得た。これら試験溶液について、金ナノ粒子の最大吸収波長(540nm)における吸光度を経時的に測定することで、金ナノ粒子の分散安定性を評価した。結果を図15に示す。
【0080】
本発明の表面改質剤であるPy(5)−g(25.2%)−PEGを用いて調製した金ナノ粒子は、酸化しやすい条件下において、1週間安定であった。Py(1)−g(23.2%)−PEGを用いて調製した金ナノ粒子とは、同程度の分散安定性を示した。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の表面改質剤を用いて形成した高分子ミセルの表面張力(m=1とm=3)を示す図である。
【図2】本発明の表面改質剤を用いて形成した高分子ミセルの粒径分布を示す図((A)m=1,(B)m=3)である。
【図3】本発明の表面改質剤を用いて形成した高分子ミセルの透過型電子顕微像を示す図((A)m=1,(B)m=3)である。
【図4】本発明の表面改質剤を用いて形成した高分子ミセルの表面張力を示す図(m=3,(A)PEG/Py=10.3%,(B)PEG/Py=23.2%,(C)PEG/Py=58.5%)である。
【図5】本発明の表面改質剤を用いて形成した高分子ミセルの粒径分布を示す図(m=3,(A)PEG/Py=10.3%,(B)PEG/Py=23.2%,(C)PEG/Py=58.5%)である。
【図6】本発明の金ナノ粒子の分散液の紫外可視吸収スペクトルを示す図である。
【図7】本発明の金ナノ粒子の粒径分布を示す図(m=3,PEG/Py=23.2%)である。
【図8】本発明の金ナノ粒子の透過型電子顕微像(m=3,PEG/Py=23.2%)を示す図である。
【図9】本発明の金ナノ粒子の分散安定性(高イオン強度条件下)を示す図である。
【図10】本発明の金ナノ粒子の分散安定性(酸化しやすい条件下)を示す図である。
【図11】本発明の表面改質剤を用いて形成した高分子ミセルの粒径分布を示す図(m=5,(A)PEG/Py=12.1%,(B)PEG/Py=25.2%,(C)PEG/Py=51.5%)である。
【図12】本発明の金ナノ粒子の粒径分布を示す図(m=5,PEG/Py=25.2%)である。
【図13】本発明の金ナノ粒子の透過型電子顕微像(m=5,PEG/Py=25.2%)を示す図である。
【図14】本発明の金ナノ粒子の分散安定性(高イオン強度条件下)を示す図である。
【図15】本発明の金ナノ粒子の分散安定性(酸化しやすい条件下)を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)で表される基を有する重合性モノマー(A)と、一般式(II)で表される繰り返し構造を有する重合性モノマー(B)と、のグラフト共重合体からなる表面改質剤。
【化1】
(式中、Raは、炭素数2〜7のアルキレン基を表し、Rbは、炭素数2〜5のアルキレン基を表し、nは、5〜2000の任意の整数を表す。)
【請求項2】
前記重合性モノマー(A)が、一般式(III)で表される請求項1に記載の表面改質剤。
【化2】
(式中、R1aは、炭素数2〜7のアルキレン基を表し、R2aは、水素原子又はメチル基を表す。)
【請求項3】
前記重合性モノマー(B)が、一般式(IV)で表される請求項1又は2に記載の表面改質剤。
【化3】
(式中、R1bは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、R2bは、炭素数2〜5のアルキレン基を表し、R3bは、水素原子又はメチル基を表し、nは、5〜2000の任意の整数を表す。)
【請求項4】
前記重合性モノマー(B)の質量平均分子量が、200〜80000である請求項1〜3のいずれかに記載の表面改質剤。
【請求項5】
前記重合性モノマー(A)と前記重合性モノマー(B)とのモル比が、1:99〜99:1である請求項1〜4のいずれかに記載の表面改質剤。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の表面改質剤が表面に吸着して改質された被改質体。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の表面改質剤が吸着して表面改質されたナノ粒子の分散液。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれかに記載の表面改質剤から形成されるミセルの疎水性コアを反応場とするナノ粒子の製造方法。
【請求項1】
一般式(I)で表される基を有する重合性モノマー(A)と、一般式(II)で表される繰り返し構造を有する重合性モノマー(B)と、のグラフト共重合体からなる表面改質剤。
【化1】
(式中、Raは、炭素数2〜7のアルキレン基を表し、Rbは、炭素数2〜5のアルキレン基を表し、nは、5〜2000の任意の整数を表す。)
【請求項2】
前記重合性モノマー(A)が、一般式(III)で表される請求項1に記載の表面改質剤。
【化2】
(式中、R1aは、炭素数2〜7のアルキレン基を表し、R2aは、水素原子又はメチル基を表す。)
【請求項3】
前記重合性モノマー(B)が、一般式(IV)で表される請求項1又は2に記載の表面改質剤。
【化3】
(式中、R1bは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、R2bは、炭素数2〜5のアルキレン基を表し、R3bは、水素原子又はメチル基を表し、nは、5〜2000の任意の整数を表す。)
【請求項4】
前記重合性モノマー(B)の質量平均分子量が、200〜80000である請求項1〜3のいずれかに記載の表面改質剤。
【請求項5】
前記重合性モノマー(A)と前記重合性モノマー(B)とのモル比が、1:99〜99:1である請求項1〜4のいずれかに記載の表面改質剤。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の表面改質剤が表面に吸着して改質された被改質体。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の表面改質剤が吸着して表面改質されたナノ粒子の分散液。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれかに記載の表面改質剤から形成されるミセルの疎水性コアを反応場とするナノ粒子の製造方法。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図15】
【図3】
【図8】
【図13】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図15】
【図3】
【図8】
【図13】
【公開番号】特開2010−53261(P2010−53261A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−220573(P2008−220573)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、文部科学省、地域科学技術振興事業委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(803000115)学校法人東京理科大学 (545)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、文部科学省、地域科学技術振興事業委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(803000115)学校法人東京理科大学 (545)
【Fターム(参考)】
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