説明

表面特性測定方法および装置

【課題】対象上の色層にむらがないことについての客観的な情報を提示する方法及び装置を提供する。
【解決手段】本発明は、表面特性測定方法に関し、当該方法では、被検査表面(5)の第1の領域に放射線を放射し、次に、第1の領域へ放射が行われ第1の領域により反射された少なくともいくらかの放射線を検出し、この反射した放射線に固有の測定値が出力される。さらに別の方法ステップでは、表面(5)の第2の領域に放射線を放射し、再度、第2の領域へ放射が行われ第2の領域により反射された放射線の少なくともいくらかの放射線を検出し、この放射線に固有の第2の測定値が出力される。最後に、第1の測定値と第2の測定値との間の関係に固有の結果値が、出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面特性、限定はしないが、特に、表面の色などの特性を測定する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明を自動車の表面に関して説明する。しかしながら、他の表面、例えば、家具、床材製品および同様のものの塗装などの場合に、本発明を用いてもよいことを指摘する。
【0003】
対象物またはその表面の、特に自動車の表面の目に見える外観を、主にそれらの表面特性により測定する。人間の目は、表面特性を客観的に測定することに限定的な範囲でしか適切でないので、表面特性を質的かつ量的に測定するための補助器具および装置が必要とされている。
【0004】
この場合、光沢、ゆず肌、色、マクロ組織またはミクロ組織、画像の鮮明さ、輝度に対するヘーズ、表面構造および/または表面形状および同様のものなどの表面特性を測定する。
【0005】
先行技術によれば、放射装置により、検査が行われる測定表面に放射線を放射し、この測定表面により反射および/または散乱した放射線を検出器により検出して評価を行う装置が、知られている。
【0006】
自動車または車体表面を塗装するとき、車体の一部分のある領域に他の領域とは異なる塗装が行われるという問題がよく起こる。例えば、塗装装置が、自動車のある領域を二度塗装するが、他の領域は一度しか塗装せずに、このように異なる色の全体の外観が別の領域に生じてしまう場合がある。表面の個々の領域の色が異なるこの外観は、例えば、照射光、視野角および同様のものなどの多くの境界条件によって異なるので、人間の目で何とか客観的に識別するのは難しいばかりである。
【0007】
したがって、対象物上の色層にむらがないことについての客観的な情報を提示する方法および装置を提供することが、本発明の目的である。本発明によれば、これは、請求項1に記載の方法および請求項9に記載の装置により達成される。好ましい実施形態およびさらなる開発が、従属項の主題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0119854号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0092417号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2006/0065857号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2006/0033922号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/0073688号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2005/0046870号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2005/0030542号明細書
【発明の概要】
【0009】
本発明に係る表面特性を測定する方法において、一つの方法ステップでは、被検査表面の第1の領域に放射線を放射する。次の方法ステップでは、第1の領域へ放射し当該第1の領域により反射した放射線の少なくともいくらかを検出し、この反射した放射線の特性信号または第1の特性値を出力する。次のステップでは、第1の領域とは異なる、表面の第2の領域に放射線を放射する。再度、第2の領域へ放射し当該第2の領域により反射した放射線の少なくともいくらかを検出し、この反射した放射線の第2の特性値を出力する。最後に、本発明によれば、第1の特性値と第2の特性値との関係に固有の結果値を出力する。
【0010】
放射線という用語は、例えば、赤外光、紫外光、可視波長域光、X線放射および同様のものなど、どんなタイプの放射線も意味するものと理解される。ここで使用する放射線は、好ましくは可視域の光であり、特に好ましくは、標準化された白色光である。
【0011】
反射した放射線という用語は、限定はしないが、特に、どの角度に散乱した放射線を意味するだけでなく、反射した放射線も意味するものと理解される。
【0012】
放射線特性は、限定はしないが、特に、強度、スペクトル域、波長または偏光、あるいはこれらの特性の組み合わせを意味するものと理解される。
【0013】
特性値は、これらの特性の少なくとも一つの特性に対する値を意味するものと理解される。
【0014】
第1の領域と第2の領域との間の距離を測定することも好ましい。ここで、限定はしないが、特に、例えば、幾何学的中心点などの、第1の領域および第2の領域の所定の点が選択されて、これら2つの点同士の間の距離が測定される。このように距離を測定することによって、測定値または測定信号を車体の表面の特定の場所に割り当て得る。
【0015】
放射は、表面の多数の異なる領域に連続して行うことが好ましい。これは、放射を各々異なる領域に行って、各場合に、記録される測定値が次々と格納されることを意味し、これは、測定された距離に基づく幾何学的位置に割り当てられることで起こることが好ましい。測定を行うために、表面特性測定装置は、本質的に、実質的にまっすぐな線に沿って、少なくとも断続的に表面に対して移動されることが好ましい。この移動ラインはまた、例えば、自動車ドアの場合におけるように、被検査表面の形状により決定され得る。こうして、このラインに沿った値のプロファイルが、記録され、表面の目に見える外観、および、限定はしないが、特に、色の外観が、このラインに沿って変化しているか否かを確認し得る。
【0016】
さらに、相加平均値、幾何平均値、散乱、分散、差分、微分係数、最大、最小、またはそれらの組み合わせを含む結果値の群から、結果値が選択されることが、好ましい。上述のように、本発明の目的は、ユーザーが、表面塗装のむらのなさを客観的に測定し得るようにすることである。この理由から、散乱、分散または差分は、結果値として特に適切であることが好ましく、それは、このような結果値が、被検査表面の塗装のむらのなさを直接測定したものであるからである。
【0017】
例えば、「0」という分散値は、完全にむらのない表面という特性を示す。多数の値を記録する場合第1の最大値と第2の最小値との間の差を、表面塗装のむらのなさを測定する別の方法として使用してもよい。上述の、個々の領域同士の間の距離を同時に記録することによって、さらに、特に塗装むらがある表面の領域を精確に特定し得る。
【0018】
本質的に相互に平行ないくつかのラインに沿っていくつかの測定法が行われて、その結果、このように、例えば自動車ドアの全領域などの、自動車の表面の一部分の領域全てを測定し得ることが好ましい。幾何学的位置に割り当てられて行われることが好ましい、個々の測定値の記録によって、好ましくは処理装置またはコンピュータを使用することにより、自動車の表面の形状を生成することができ、前記形状から、色むらがある領域についての情報を得られる。このように、被検査表面の対応の三次元形状が、生成され得る。
【0019】
被検査表面の層厚が測定されることが好ましい。層厚は、各場合に異なる領域において光学的特性と本質的に同時に測定されることが、特に好ましい。このように、層厚に対する測定値および固有の表面特性に対する測定値を、表面の特定の領域に割り当て得る。層厚のこの測定は、光学素子、誘導型センサおよび同様のものを介して行い得る。
【0020】
測定表面を検査するための対応の層厚測定装置は、表面または他のものと接触させてもよいし、または非接触式に作動させてもよい。
【0021】
放射線は、所定の角度で前記表面へ放射することが好ましい。この角度は、比較測定方法のために標準化されるので、前記表面に垂直な方向に対して45°の角度であることが特に好ましい。
【0022】
放射装置は、指向性のある放射線または指向性のない放射線を表面に放射し得る。その表面により反射した光または放射線は、同様に、所定の角度で検出される。この角度は、反射角度より十分広いことが好ましく、また該表面に垂直な方向に対して20°から40°広いことが特に好ましい。
【0023】
図面を参照して、これをさらに詳細に説明する。
【0024】
放射線は、レンズおよび同様のものなどの回折素子を介して表面に案内されることが好ましい。さらに、放射線をスペクトル成分によりフィルタリングするためにフィルタ素子を利用することが、好ましい。
【0025】
本発明は、さらに表面特性測定装置に関する。表面特性測定装置は、少なくとも1つの放射装置を有し、当該放射装置は、被検査表面に放射線を放射する少なくとも1つの放射線源を有する。さらに、少なくとも1つの放射線検出装置があり、当該放射線検出装置は、少なくとも1つの放射装置により放射され次に測定表面により反射された放射線の少なくともいくらかを検出して、反射および/または散乱した放射線に固有の少なくとも1つの測定信号または測定値を出力する。本発明によれば、測定装置により出力された少なくとも2つの、表面上の異なる場所に対応する測定信号を比較し、この比較特性値を出力する処理装置が、設けられる。
【0026】
表面特性測定装置は、移動装置を有し、当該移動装置は、所定の、好ましくは本質的に直線の移動方向に沿って表面特性測定装置を表面に対して移動させることが好ましい。特に好ましい場合、これには、表面特性測定装置に配置される少なくとも1つの車輪が必要である。好ましくは2つ、または特に好ましくは4つの車輪が、表面特性測定装置を表面に対して移動させるために設けられる。この移動装置は、移動中に表面を損傷、例えば、スクラッチを作らないように構成されることが好ましく、また、移動装置は、前記表面を滑らずに転がることが保証される。
【0027】
多数の測定信号および/またはこれらの測定信号から導き出される値を格納するために、記憶装置を設けることが好ましい。信号そのものが格納されるか、または例えば電圧値などの値が放射線検出装置により出力され得る。
【0028】
放射装置は、被検査表面に対して所定の角度で配置されることが好ましく、この角度は、表面に垂直方向に45°であることが、特に好ましい。この角度は、他の装置との比較ができる基準角度である。
【0029】
別の好ましい実施形態では、表面に対して異なる角度で配置される多数の放射線検出装置が、設けられる。よって、本実施形態では、1つの放射装置と、多数の放射線検出装置とを設ける。他方で、表面に対して異なる角度で配置される多数の放射装置と、表面に対して特定の角度で配置される一つの放射線検出装置とを設けることもできる。このように、異なる角度で放射されたときの表面の反応を観察できる。少なくとも1つの放射線検出装置が、表面に垂直方向に、20°と40°との間、好ましくは25°と35°との間、特に好ましくは、30°程度の角度に配置されることが好ましい。
【0030】
原則として、放射線検出装置はまた、表面に対して垂直方向にかなり大きい角度で、例えば、70°の角度で配置することができる。しかしながら、比較的小さい角度で配置することには、被検査表面の湾曲が、測定結果にわずかしか影響しないという利点がある。
【0031】
各放射線検出装置により出力される全値が、記憶装置内に格納されることが好ましい。
【0032】
別の好ましい実施形態では、多数の放射装置が、表面特性測定装置の移動方向に本質的に垂直に、かつ被検査表面に本質的に平行に、すなわち、本質的に同じ高さに配置される。このことは、所定の数の放射装置が、相互に隣接して配置され、すなわち表面に対して表面特性測定装置の移動方向に本質的に垂直に一直線に配置されることを意味する。この多数の放射装置によって、表面に対して表面特性測定装置を移動させることにより、表面の比較的広い面積を同時に検査し得る。
【0033】
多数の放射装置を配置する代わりに、またはそうした上に、表面に対する表面特性測定装置の移動方向に垂直方向に比較的広い面積を放射するために、円筒形レンズなどの適切な光学素子を使用することも可能である。
【0034】
別の実施形態では、多数の放射線検出装置が、表面特性測定装置の移動方向に本質的に垂直に相互に隣接して配置される。よって、このように、相互に隣接して配置される放射線検出装置は、相互に隣接して配置された各放射装置に対応する。個々の放射装置と対応の放射線検出装置との間のビーム路は、相互に少なくとも部分的に遮蔽されることが好ましい。
【0035】
好ましい別の実施形では、表面特性測定装置は、表面に対して移動する経路の長さを測定するために経路長測定装置を有する。こうして、上述したように、いくつかの測定点が、記録され、これらが、表面上の特定の場所に割り当てられ得る。このように、表面の全体画像を生成し得る。
【0036】
少なくとも1つの放射装置は、少なくとも一つの放射線源を有し、この放射線源は、限定はしないが、特に、白熱灯、ハロゲンランプ、コヒーレントおよび非コヒーレント半導体放射線源、ガス放電放射線源、レーザー、およびそれらの組み合わせ、同様のものなどの、熱放射線源を含む放射線源の群から選択されることが好ましい。特に白色光、特に標準化された白色光を放射する放射線源を使用することが特に好ましい。白色光発光ダイオードの使用も、特に好ましいものとみなされる。
【0037】
別の好ましい実施形態では、表面特性測定装置は、層厚測定装置を有する。この層厚測定装置は、上述のように、誘導型測定素子、容量型測定素子および同様のものを含み得る。
【0038】
他の好ましい実施形態では、表面特性測定装置は、所定の放射線成分を選択するために、少なくとも1つのフィルタ素子を有する。これは、放射線のあるスペクトル成分を透過させるが他の成分は透過させないフィルタ素子を含むことが特に好ましい。このように、色によって分解して、表面特性を検査し得る。さらに、放射装置と放射線検出装置との間のビーム路内に、グリッド、プリズム、および同様のものなどの分散素子を設け得る。
【0039】
別の好ましい実施形態では、表面特性測定装置を表面に対して方向付け得る較正装置を設ける。この実施形態は、表面特性測定装置が、表面に対して傾斜すると、検出装置上に標準化された角度で放射されなくなるので、よって、正しい測定結果が出ない場合があるという問題に基づいている。
【0040】
この較正装置は、例えば、被検査表面に所定の角度で光を放射するレーザーを含み得る。表面により反射されたレーザー光は、検出装置により検出され、レーザー放射線が検出装置の表面に達した場所が測定される。この場所を測定することによって、表面特性測定装置を表面に対してどのように傾斜させる必要があるか、または所望の値に対して表面特性測定装置をどの角度に傾斜させる必要があるかが、ユーザーに分かる。
【0041】
ソフトウェアフィルタを含む較正装置も設け得る。この場合、反射した放射線が達する場所が、同様に検出装置において測定され、この場所は、所望の場所に関連する場所にある。この関係から、表面に対する表面特性測定装置の傾斜が、計算され、よって、測定値が、適合または較正される。
【0042】
さらに、いくつかの近接センサを設けてもよい。近接センサは、表面特性測定装置の選択された基準点の表面からの距離を測定し、このように、表面特性測定装置を表面に対してどのように方向付ける必要があるかをユーザーに示す。
【0043】
さらに別の実施形態では、本発明に係る表面特性測定装置は、測定された信号または値から、比較特性値を出力する処理装置を有する。ここで、処理装置は、分散、散乱、平均値および同様のものなどの値を出力するために、統計学的方法を用いることが好ましい。
【0044】
別の利点実施形態は、添付の図面から分かる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る、表面特性を検査するための装置の概略図である。
【図2】本発明に係る、表面特性を検査するための装置により記録し得る一連の測定の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明に係る表面特性測定装置(10)の部分概略図を図1に示す。前記表面特性測定装置は、放射線源2を有する放射装置1を有している。この実施形態では、放射線源は、白色発光ダイオード(LED)である。符号17は、限定はしないが、特に、被検査表面5へ向けられる指向性放射線を放射するスクリーンなどの範囲制限部材を指す。符号15および14は、レンズなどの回折素子を指し、回折素子は、放射装置による放射線を集束させ、または表面5により反射した放射線を検出装置20の方向に投射することに、役立つ。
【0047】
放射線が放射線検出装置20に達する前に、放射線は、範囲設定素子18から、本実施形態では、例えば、スクリーンまたはフィルタ19へ通過する。上述のように、このフィルタは、個々の放射線成分を遮断し、他の成分を放射線検出装置20へ通過させることに役立つ。
【0048】
符号4および12は、移動装置または車輪を指し、これらの移動装置または車輪は、枠3上に配置され、それにより、表面特性測定装置全体を表面5に対して移動させ得る。前輪4は、経路長測定装置6を有している。本実施形態では、経路長測定装置は、放射素子(図示せず)および光電池と、放射素子と光電池との間に配置されたコードディスクとを有する。ある波長で、光線が、放射装置と光電池との間のコードディスク内の適切な開口部を通って光電池に達して、その結果、電圧パルスが生じる。表面に対して相対移動する経路は、周波数と、一連のこれらの各電圧パルスとにより決定され得る。この経路長測定装置6により、表面に対する表面特性測定装置の移動方向を測定することもできる。しかしながら、ここに記載した光学的経路長測定装置の代わりに、移動測定装置用の誘導型素子を利用してもよい。
【0049】
放射線検出装置20が、処理装置21に連結され、処理装置21により、記憶装置22が検出装置により出力された値を格納する。さらに、処理装置は、経路長測定装置6にも接続されて、このように、放射線検出装置20により出力された値を、経路長測定装置により測定された値に割り当て得る。
【0050】
このように割り当てることによって、表面上の位置を含みかつ測定された値を含む各値の対ができる。さらに、以下に詳述するように、測定された個々の値に対する比較値を、処理装置21により出力し得る。
【0051】
符号26は、別の放射装置、例えば、レーザーを指し、この放射装置は、放射線を表面5に放射し、この放射線は、所定の角度に方向付けられている。他の検出装置27が、表面により反射された放射線を検出する。検出装置27は、検出素子を有し、この検出素子は、局所的に分解して放射線を検出するのに適していることが好ましい。上述のように、表面5に対する表面特性測定装置全体の位置決めは、装置26および27により、必要に応じて補正されて、決定され得ることが好ましい。
【0052】
符号24は、被検査表面の層厚を測定する層厚測定装置を指す。層厚測定は、光学測定と基本的に同時に行うことが好ましく、特に好ましい場合、同じ測定場所を測定する。層厚測定装置は、処理装置21および記憶装置22にも連結され、その目的は、検出装置20の光学データに加えて、層厚測定装置24の層厚のデータを特定の場所に割り当て得ることである。しかしながら、測定された層厚および光学的特性はまた、それぞれが同じ測定場所に対応するように処理装置により相互に割り当てられ得る。このように、表面の状態のより精確な画像を測定し得る。
【0053】
ここに示した放射装置および放射線検出装置のほかに、他の放射装置および放射線検出装置を他の角度にして設けてもよい。ここに記載の測定について、放射線検出装置に達する強度を積分測定し得る放射線検出装置が提供されることが好ましい。しかしながら、放射線を局所的に分解して測定し得る放射線検出装置を提供することもできる。ただし、この場合、このような放射線検出装置により出力される、局所的な分解値は、強度の画像全体を得られるように、積分されることが好ましい。
【0054】
ここに示す放射装置および放射線検出装置は、共通のハウジング31内に収容されることが好ましい。使用例により異なるが、これは、表面に散乱光を投射する反射特性を有するハウジングにし得る。さらに、本質的に吸収剤を内側にコーティングしたハウジングを設けてもよい。
【0055】
ここに示す実施形態では、放射装置を、中央の垂線Mに対してα=45°の角度で配置する。放射線検出装置を、中央の垂線Mに対してβ=30°の角度で配置する。しかしながら、中央の垂線に対して他の角度、特に小さい角度も考えられる。放射線検出装置はまた、中央の垂線に対して−30°の角度で、すなわち、中央の垂線に対して反対側に設けることもできる。測定中、決して、放射線検出装置を放射装置1に対して反射角度に近い角度には配置しない。配置してしまうと、反射光は本質的に検出されるが、散乱光が検出されなくなるからである。
【0056】
符号8は、表面特性測定装置を表面5に対して移動するとき、前記表面を損傷せず、また、距離測定に誤差が生じるので車輪がさらにその表面上で滑らないように、車輪4に施されたゴムコーティングを示す。
【0057】
図2に、図1の表面特性測定装置を使用して記録した一連の仮の一測定例を示す。前記図面では、任意の長さの単位をX軸に、また任意の強度の値をY軸にとり、グラフ化している。この場合、強度の値は、値1に標準化され、すなわち、値1は、所望の強度を反映している。
【0058】
ここに示す例では、むらがある結果、強度の値が、X軸の5と10との間の領域において大きくなっており、また、値15の付近の領域において小さくなっている。よって、領域32および33は、塗装にむらがある塗装表面領域を示すのに対して、領域34、35における塗装にはむらがない。全測定値に対する相加平均値は、本例では1.025になり、この値からは、塗装むらについての情報をさほど得られず、むしろ、この値は、平均値が、所望の値から若干大きくなることを単に示すだけである。
【0059】
したがって、むらの測定基準として、例えば、分散を用い、この場合、前記分散で、値を0.1925と仮定する。分散は、0であること、すなわち、この場合、塗装が表面全体にむらなく行われることが、理想的である。ここに示すグラフから、どの領域において、塗装にむらがあり、どの領域において、塗装がむらなく行われているかが同様に分かる。
【0060】
このように多数の測定を行うことによって、三次元形状を生成することができ、横へのずれ、すなわち、本発明に係る表面特性測定装置が平行移動される領域を別のZ軸(図示せず)で示される。このような三次元形状は、例えば、モニターなどの画像出力装置に表示し、例えば、自動車のドアなどの、被検査表面に割り当て得る。このような表示から、ユーザーは、層がむらのないまたはむらのある状態で施されているか否かを確認し得るだけでなく、塗装のどの領域に、どのタイプのむらが生じているかも確認し得る。
【0061】
表面のむらを、最大値と最小値との差を出すことにより測定することが、別の測定法として考えられ、この場合、測定誤差は、既知の数学的方法により考えることが好ましい。例として、3つの最大値の平均値と3つの最小値の平均値とを出し、それぞれ、これらの平均値からの差を出し、この差を、同様に表面全体における塗装むらの測定基準とすることが、考えられる。
【0062】
本発明に係る方法では、経路長測定装置により出力される値が、放射装置用の起動装置に結合されることが好ましい。このように、所定の時間が経過した後、例えば、車輪4に全回転を1回させる度に、別の測定点が、測定場所に割り当てられて記録および格納され得る。この方法は、表面特性測定装置が表面上方を案内される速度にかかわらず、測定値が各場合に等しい時間間隔で記録されるという利点を提供する。この場合、実際に移動する経路を測定する必要は全くなく、この経路は、2つの測定部同士の間の空間的距離により明確に定められる。
【0063】
他方で、しかしながら、時間制御が行われてもよく、この制御は、所定の時間が経過する度に測定を実行し、次いで、2つの測定点の間の各幾何学的距離が、記録および格納されなければならない。
【0064】
本明細書に開示した特徴の全てが、個々に新規性を有するか、または先行技術と組み合わせて新規性を有する限り、それらを本発明に必須の要素としてクレームする。
【符号の説明】
【0065】
1: 放射装置
2: 放射線源
3: 枠
4: 車輪
5: 表面
6: 経路長測定装置
8: ゴムコーティング
10: 装置
12: 車輪
14: レンズ
15: レンズ
17: スクリーン
18: スクリーン
19: フィルタ素子
20: 放射線検出装置
21: 処理装置
22: 記憶装置
24: 層厚測定装置
26: 放射装置
27: 検出装置
32、33: むらのある塗装領域
34、35: むらのない塗装領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面特性を測定する方法であって、
−被検査表面(5)の第1の領域に放射線を放射するステップと、
−前記第1の領域へ放射され当該第1の領域により反射した放射線の少なくともいくらかを検出し、この反射した放射線の第1の特性値を出力するステップと、
−前記表面(5)の第2の領域に放射線を放射するステップと、
−前記第2の領域へ放射され当該第2の領域により反射した放射線の少なくともいくらかを検出し、この反射した放射線の第2の特性値を出力するステップと、
−前記第1の特性値と第2の特性値との関係に固有の結果値を出力するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の領域と第2の領域との間の距離を測定する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記表面の多数の異なる領域に連続して放射線を放射する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
本質的に、実質的にまっすぐな線に沿って、少なくとも断続的に前記装置を前記表面に対して移動させる請求項1に記載の方法。
【請求項5】
相加平均値、幾何平均値、散乱、分散、差分、微分係数、最大、最小またはそれらの組み合わせ、あるいは同様のものを含む群から、結果値が選択される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
放射線の固有特性は、強度、波長、偏光、またはそれらの組み合わせ、あるいは同様のものを含む特性の群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項7】
全ての特性値が、記憶装置(22)内に格納され、好ましくは測定された領域に割り当てられる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
被検査表面の層厚を測定する請求項1に記載の方法。
【請求項9】
被検査表面に放射線を放射する少なくとも1つの放射線源を有する少なくとも1つの放射装置と、
前記少なくとも1つの放射装置により放射され次に測定表面により反射された放射線の少なくともいくらかを検出して、反射および/または散乱した放射線であるという特性を示す少なくとも1つの測定信号を出力する少なくとも1つの放射線検出装置と、
前記測定装置により出力されて前記表面上の異なる場所に対応する少なくとも2つの測定信号を比較し、この比較特性値を出力する処理装置と、
を有する表面特性測定装置。
【請求項10】
所定の、好ましくは本質的に直線の移動方向に沿って前記表面特性測定装置を前記表面に対して移動させるために、移動装置を有する請求項9に記載の表面特性測定装置。
【請求項11】
前記移動装置は、前記表面特性測定装置に配置された少なくとも1つの車輪を有する請求項9に記載の表面特性測定装置。
【請求項12】
多数の測定信号および/またはこれらの測定信号から導き出される値を格納するために、記憶装置が設けられる請求項9に記載の表面特性測定装置。
【請求項13】
前記放射装置は、被検査表面に対して所定の角度で配置され、この角度は、特に好ましくは35°である請求項9に記載の表面特性測定装置。
【請求項14】
前記表面に対して異なる角度で配置される複数の放射線検出装置が、設けられる請求項9に記載の表面特性測定装置。
【請求項15】
少なくとも1つの放射線検出装置が、前記表面に対して本質的に35°の角度で配置される請求項9に記載の表面特性測定装置。
【請求項16】
複数の放射装置が、前記表面特性測定装置の移動方向に本質的に垂直に配置される請求項9に記載の表面特性測定装置。
【請求項17】
複数の放射線検出装置が、前記表面特性測定装置の移動方向に本質的に垂直に配置される請求項9に記載の表面特性測定装置。
【請求項18】
前記表面に対して移動する経路長を測定するために経路長測定装置を有する請求項9に記載の表面特性測定方法。
【請求項19】
少なくとも1つの放射装置が、少なくとも1つの放射線源を有し、当該放射線源は、限定はしないが、特に、白熱灯、ハロゲンランプ、コヒーレントおよび非コヒーレント半導体放射線源、ガス放電放射線源、レーザー、およびそれらの組み合わせ、ならびに同様のものなどの熱放射線源を含む放射線源の群から選択される請求項9に記載の表面特性測定装置。
【請求項20】
層厚測定装置が、設けられる請求項9に記載の表面特性測定装置。
【請求項21】
所定の放射線成分を選択するために少なくとも1つのフィルタ素子を有する請求項9に記載の表面特性測定装置。
【請求項22】
測定表面に対する所定の位置に配置される複数の第1の放射装置が、設けられる請求項9に記載の表面特性測定装置。
【請求項23】
前記表面に対して前記表面特性測定装置を方向づけ得る較正装置が、設けられる請求項9に記載の表面特性測定装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−66273(P2010−66273A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277853(P2009−277853)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【分割の表示】特願2006−151151(P2006−151151)の分割
【原出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(506184978)ビック−ガルドナー ゲーエムベーハー (2)
【氏名又は名称原語表記】BYK−Gardner GmbH
【住所又は居所原語表記】Lausitzer Str. 8 82538 Geretsried Germany
【Fターム(参考)】