説明

表面積が低い沈降シリカ生成物、それらを含む歯磨き剤および方法

表面積が低く、フレーバー適合性が高められた沈降シリカ生成物である。本沈降シリカ生成物は、特に、塩化セチルピリジニウムを含む歯磨き剤における使用によく適合し、この表面積が小さいシリカ生成物に有意義なレベルで付着しないため、抗菌作用が保持される。この表面積が小さいシリカ生成物を製造する方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、表面積が低く、フレーバー適合性が高められた沈降非晶質シリカ、および、その製造方法に関する。沈降シリカは、特に、塩化セチルピリジニウムを含む歯磨き剤での使用によく適合する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
現代の歯磨き剤は、制御された機械式の歯の洗浄およびポリッシングのための研磨物質や、場合により化学洗浄剤を含むことが多く、その他の一般的な成分としては、例えば、潤滑剤、フレーバー、治療成分、例えば齲歯予防薬、レオロジー調節剤、結合剤、保存剤、色素、および、発泡剤(sudsing agent)などが挙げられる。口腔ケア製品はまた、治療剤(例えば抗菌剤)を含むことも多い。塩化セチルピリジニウム(「CPC」)は、この目的に用いられる抗菌剤であり、例えば、口内洗浄や練り歯磨き中に含まれる。歯磨き剤の製造業者にとって、悪臭の制御および/またはその他の治療作用のために、歯磨き剤用途に抗菌剤を取り入れたいという要望が高まっており、CPCが、より好ましいものの一つである。CPCは、費用効率が高く、一般的に安全と認識されている。それに対して、現在のところ歯磨き剤に用いられている数種の代替の抗菌剤は、数種の細菌株における抗生物質への耐性の増加に寄与する可能性について、より一層の精査が行われている。CPCは、このような健康上の問題に関与していないと考えられている。
【0003】
CPCは、カチオン性(「正」)の電荷を有する化合物である。 CPCの抗菌作用 は、一般的に、口内に存在する細菌の細胞上で、アニオン性(「負」)の電荷を有するタンパク質成分に結合する能力によるものと理解されている。このCPCの付着メカニズムは、細菌の正常な細胞の機能の崩壊を引き起こし、プラーク形成 およびその他の細菌性の作用の予防に寄与する。
【0004】
歯磨き剤にCPCを使用する際に生じる問題は、CPCは、負電荷を有する表面に無差別に結合する傾向があるということであった。特に、負電荷を有する表面を含む練り歯磨き剤に共通の成分もまた、なんらかの抗菌作用を発揮する前に、CPCに結合する可能性がある。これら標的ではない表面に一度結合すると、CPCは通常、有意義な抗菌作用をまったく発揮できなくなる。
【0005】
これに関して、歯磨き剤においてシリカが研磨剤としてよく用いられる。例えば、シリカの研磨作用は、歯から薄膜を除去するのに利用される。歯磨き剤に用いられる従来のシリカのほとんどが、負電荷を有する表面を有している。その結果として、このような従来のシリカ粉末にCPCが吸着する。上記で説明した理由のために、シリカまたはその他の歯磨き剤に共通の成分へのCPCの吸着は極めて望ましくない。
【0006】
米国特許第6,355,229号は、塩化グアール・ヒドロキシプロピルトリモニウムを含むCPC適合性の歯磨き剤を説明している。このグアール複合体は、負電荷を有する種への結合に対してより高い親和性を有する。これは、アニオン性成分に選択的に結合することによって、CPCを遊離状態にし、プラークへの結合を可能にする。
【0007】
米国特許第5,989,524号は、フレーバー適合性のシリカを説明しており、これは、アルカリ金属ケイ酸塩と無機または有機の酸性物質との反応によって得られたシリカの表面を、シリカ表面のSi−OHシラノール基またはSiO−アニオン性基と水素またはイオン結合をつくることができる有機化合物を用いて処理することによって得られる。このような有機物質は、塩を除去する前または後にスラリー状のシリカに添加してもよいし、乾燥シリカに噴霧してもよい。
【0008】
多数の特許公報において、以下のような複合の合成シリカ粒子を製造する方法が説明されている。
【0009】
米国特許第2,731,326号は、キセロゲルを製造する方法を説明しており、この方法において、シリカゲルは、乾燥の際にゲルの孔が崩壊しないように安定化される。この方法は、二段階の沈降方法を含んでおり、第一段階において、シリカゲルが形成され、第二段階において、乾燥する際に孔が崩壊しないような十分な補強を提供するために、ゲル粒子上に高密度の非晶質シリカの層が形成される。ゲル粒子の粒度は、5〜150ミリミクロン(nm)の範囲であり、好ましくは、平均直径が5〜50ミリミクロンである。結果生じた網状の粒子を脱水、乾燥して、粉末状にすることができる。第2,731,326号の特許では、シリカ粒子の比表面積が200m2/g超の場合、水を有機性の液体で置き換えてシリカ粒子を脱水することが好ましいことが述べられている。第2,731,326号の特許は、好ましい比表面積60〜400m2/gを有するシリカ生成物を説明している。第2,731,326号の特許では、付着の方法を極端に行うとほとんど利益が得られないことを示す。第2,731,326号の特許の付着の方法による好ましい生成物は、元々の集合体の高密度の最終単位が、それらの同一性を失わずに元々の集合体構造を崩さないように制限される。
【0010】
米国特許第2,885,366号は、シリカ以外の粒子上にシリカの高密度の層を堆積させるのに用いられる方法を説明している。
【0011】
米国特許第2,601,235号は、層成のシリカ粒子を製造する方法を説明しており、ここで、シリカゾルの末端(heel)を60℃超で加熱することによって、高分子量のシリカの核が作製される。この核と、アルカリ金属ケイ酸塩を酸性化することによって製造された活性シリカの水性分散液とを混合し、この混合物を60℃超、pH8.7〜10で加熱し、活性シリカを核に付着させる。
【0012】
米国特許第5,968,470号は、制御された多孔度を有するシリカを合成する方法を説明している。この方法は、コロイドシリカ溶液へケイ酸塩と酸を添加することを含み、これに伴い、電解質(塩)を添加してもよいし、または添加しなくてもよい。多孔度は、反応の第一の工程で添加されたコロイドシリカの量に基づいて制御することができる。表面積が20〜300m2/g、CTAB比表面積が10〜200m2/g、吸油量(DBP)が80〜400m2/g、孔の体積が1〜10cm3/g、および、平均孔径が10〜50nmのシリカを合成することができる。この方法によって製造された材料の目的とする使用は、紙や触媒の市場においてである。
【0013】
米国特許第6,159,277号は、高密度の非晶質シリカのコアと、嵩高な非晶質シリカのシェルとの二重構造を有するシリカ粒子の形成方法を説明している。ゲルは、第一の工程で形成される。次に、このゲルを熟成させ、湿潤粉砕し、次に、アルカリ金属塩の存在下でケイ酸ナトリウムを添加することによって、粉砕したゲル粒子の表面上に非晶質シリカ粒子を形成することができる。得られた二重構造のシリカ材料の平均粒径は、2〜5μmであり、表面積は150〜400m2/gである。得られた材料は、ペイントやコーティングにおいてつや消し剤として用いるために改善された特性を有すると記載されている。
【0014】
歯磨き剤または口内洗浄組成物におけるシリカの使用を説明している特許公報としては、以下が挙げられる。
【0015】
米国特許第5,744,114号は、歯磨き剤組成物の配合に用いられるシリカ粒子を説明しており、このシリカ粒子は、少なくとも50%が亜鉛値と適合するような独特な表面の化学作用を有し、多数のOH基(OH/nm2として表される)が最大で15、ゼロ電荷点が3〜6.5である。第5,744,114号の特許は、ケイ酸塩と酸とを反応させて、シリカ懸濁液またはゲルを形成することによる、シリカ粒子を製造する方法を説明している。次に、ゲル/懸濁液を分離し、水で洗浄し、酸で処理し、pH7未満に調節する。
【0016】
米国特許第5,616,316号は、一般的な歯磨き剤成分とより適合性が高いシリカを説明している。多くのその他の成分に加えて、カチオン性アミンが記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
歯磨き剤における従来のシリカの使用に関連するその他の問題は、フレーバー適合性の問題を有することが多いということである。すなわち、従来のシリカは、同一の歯磨き剤に含まれるフレーバーと相互作用する傾向があり、それにより、フレーバーがなくなり、製品の風味が損なわれる。このような、歯磨き剤に数種の従来のシリカを使用する際に伴うフレーバーがなくなる問題は、消費者の満足という観点から極めて望ましくない。
【0018】
口内洗浄組成物(例えば歯磨き剤)において、各成分のそれぞれの機能を損なうことなく、CPCのような抗菌剤と共に用いることができるシリカが必要である。 よりフレーバー適合性が高いシリカも必要である。 一般的に、シリカ粒状体と歯磨き剤に含まれる望ましい添加剤や成分との相互作用を制限することが望ましい場合であれば、本発明で開示された表面積が小さいシリカは有用であり得る。本発明は、これらの必要性、および、以下の開示から容易に解明されると予想されるようなその他の必要性を満たしている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
発明の要約
本発明は、比類のない表面積が小さいシリカ生成物に関する。このシリカ生成物は、特に、塩化セチルピリジニウム(「CPC」)などの治療剤を含む歯磨き剤組成物において有用である。このような表面積が小さいシリカ生成物には、CPCは、感知できるほどに結合しない。それゆえに、歯磨き剤組成物に含まれる場合、高いCPC量でもその抗菌性の性質は有効であり、同時に、シリカ研磨剤は、CPCの付着によって損なわれないままであり、研磨シリカ生成物に一般的な機械式の洗浄およびポリッシング作用を提供することができる。加えて、この表面積が小さいシリカ生成物は、多くの歯磨き剤のフレーバーと高い適合性を有する。本発明のシリカ生成物は、フレーバーと一緒に存在させると、フレーバーがなくなる可能性を減少させる。また、この表面積が小さいシリカ生成物は、フッ化ナトリウムのようなフッ化物イオン源と高い適合性を有する。この表面積が小さいシリカ生成物は、上記の齲歯予防薬またはそれらの官能基と不利益な相互作用しない、または、それらを損なわない。
【0020】
本シリカ生成物を含む歯磨き剤は、CPCも用いることができるという利益を提供し、これは、シリカ研磨剤が存在していても、歯磨き剤中で有効な抗菌レベルを維持する。その他の利益や利点としては、この表面積が小さいシリカ生成物を含む歯磨き剤は、優れたフレーバー特性を有する。本発明の表面積が小さいシリカ生成物のフレーバー適合性は、本発明で説明された実験で実証されたように、現在市販されている歯科用グレードのシリカ材料より優れている。この観点において、一般的に、本発明の沈降シリカ生成物の%CPC適合性値は、少なくとも20%、特に40%より大きく、より特定には60%より大きく、さらにより特定には70%より大きい。本シリカが特徴とする「%CPC適合性」は、以下に記載のより詳細な説明で説明された試験手順によって決定される。
【0021】
一形態において、本発明は、中央径1〜100μmのシリカ粒子を含む表面処理されたシリカ粒状体を含む沈降シリカ生成物に関し、前記シリカ粒状体は、相対的により高密度な非晶質「活性」シリカ材料の堆積を、1〜50m2/g、好ましくは1〜40m2/g、より好ましくは30m2/g未満のBET比表面積を提供するのに有効な量で、かつ、表面堆積を有さないシリカ粒状体に比べてCPCの付着を減少させるのに有効な量で、シリカ粒状体上に支持する。一つの特定の観点において、シリカ粒状体は、シリカ粒子で形成されたシリカ集合体または凝集体の形態である。
【0022】
本発明の表面積が小さいシリカ生成物は、少なくとも、シリカ粒状体を予備成形材料として提供する工程、または、シリカ粒状体をその場で形成する工程、続いて、本発明において説明された必要条件(比表面積とCPCの付着の減少)を満たすのに有効なシリカ粒状体上に、活性シリカを沈降させる工程を含む方法によって製造してもよい。シリカ粒状体上に堆積したより高密度なシリカ材料が、主として、その下に存在するシリカ粒状体の孔の開口部に浸透する、および/または、それらをブロックするという意味で、上記シリカ材料はその下に存在するシリカ粒状体支持体を「コーティング」し、シリカ粒状体支持体の表面積を効果的に減少させることができる。
【0023】
本発明の表面積が小さいシリカ生成物を含ませることによって利益が生じ得る口内洗浄組成物としては、例えば、歯磨き剤、チューインガム、および、口内洗浄等が挙げられる。用語「歯磨き剤」は、口腔ケア製品を意味し、一般的に、これらに限定されないが、例えば練り歯磨き、歯磨き粉、および、義歯用クリームが挙げられる。本発明の表面積が小さいシリカ粒状体はまた、広範な洗浄に関する実用性および用途も有し、例えば、金属、セラミックまたは磁器の洗浄、または、スクラブ剤が挙げられる。
【0024】
本発明における目的のために、用語「シリカ粒状体」は、細粒化したシリカを意味し、この用語は、シリカ一次粒子、シリカ集合体(すなわち、複数のシリカ一次粒子の単一集団)、シリカ凝集体(すなわち、複数のシリカ集合体の単一集団)を、単独で、または、それらを組合せて、包含する。本発明で用いられる用語「より高密度な」は、より低い多孔度のシリカ粒状体を意味する。シリカ粒状体支持体上への活性シリカの堆積の前後に行われた定量的な表面積測定値を比較して、より低い多孔度の(すなわち、より高密度な)粒状体が作製されたかどうかを、すなわち、測定可能な比表面積値の減少(増加していないこと、または、変化がないこと)によって示されるように定性的に決定することができる。
【0025】
図面の簡単な説明
図1は、本発明で説明された実施例3に従って作製された表面処理シリカのSEMである。
【0026】
図2は、市販のシリカ生成物、ゼオデント(Zeodent)(R)113(表面処理されていない)のSEMである。
【0027】
好ましい実施形態の詳細な説明
前述の要約によれば、本発明は、かつてないほど表面積が小さいシリカ生成物を目的としており、このようなシリカ生成物は、特に、CPCのような治療剤を含む歯磨き剤組成物において有用である。本発明の表面積が小さいシリカ生成物は、これら生成物に結合するCPCの能力を制限する。その結果として、シリカ研磨剤への意図しない相互作用によるCPCの損失が最小化される。
【0028】
この表面積が小さいシリカ生成物は、以下のような一般的な方法スキームで製造することができる:
1)乾燥した細粒状で得られた予備加工されたシリカ材料をほとんどスラリー化すること、またはその代わりに、進行中の製造工程から、のいずれかによって、非晶質シリカ粒状体のスラリーを提供すること(ここで、新たな沈降シリカは、スラリーまたは湿潤ケーキ状であり、さらに粉末状に乾燥させない)、続いて;
2)本発明で説明された必要条件(比表面積とCPC相互作用の減少)を満たすのに有効なシリカ粒状体支持体上に活性シリカを沈降させること。
【0029】
シリカ粒状体「支持体」材料の準備
上記の一般的な工程1)のシリカ粒状体の提供に関して、非晶質シリカ粒状体が提供される。乾燥状態で提供される場合、本発明により表面を改変しようとする「粒状体」として用いられる乾燥した粗シリカとしては、市販の沈降シリカ、例えばゼオデント(R)113、ゼオデント(R)115、ゼオデント(R)153、ゼオデント(R)165、ゼオデント(R)623、ゼオデント(R)124シリカなどが挙げられ、これらは、J.M.フーバー社(J.M.Huber Corporation)から入手可能である。これらの市販のシリカは、典型的には、集合体の形態である。
【0030】
乾燥した細粒化したシリカ粒状体はまた、前もって製造された既製の材料の製造元から得てもよく、表面積を減少させる工程に用いられる手順は、同一または異なる製造施設で後で行ってもよい。
【0031】
表面積を減少させる操作のための粒状体支持体として用いられる乾燥沈降シリカは、一般的に、中央粒径が1〜100μm、BET比表面積値が約30〜100m2/g、および、アマニ油の吸油量が約40〜250ml/100gであることが望ましい。例えばゼオデント(R)113は、典型的には、中央粒径が約10μm、表面積値が約00m2/g、アマニ油の吸油量が約85ml/100gである。以下で説明されるコーティング操作のための支持体材料として用いられるシリカ粒状体は、好ましくは、中央径1〜100μmのシリカ粒子を含む。表面積が100m2/g超、例えば約100〜800m2/g、または、アマニ油の吸油量が120ml/100g超、例えば約120〜400ml/100gの支持体材料(例えば高次構造を有する沈降シリカ、シリカゲルおよび熱分解法シリカ)が、本発明において用いることができるが、表面積を望ましいレベルに低くするにはより長い表面積を減少させる時間(活性シリカ堆積時間)が必要になると予想される。
【0032】
乾燥沈降シリカは、本発明で説明された高密度シリカのコーティング塗布手順で処理される前に、水性媒体中でスラリー化されなければならない。一般的に、乾燥シリカは、ポンプ注送が可能な混合物を形成する固形分(一般的に約1〜約50%)にスラリー化される。
【0033】
あるいは、未乾燥の粗液相シリカ材料は、一般的な製造工程スキームの間に、表面積を減少させる操作として、インサイチュで製造することができる。あるいは、粗シリカ湿潤ケーキは、さらにシリカ固体を粉末状に乾燥させずに、その後のスラリー化のために保存することができ、または、その後の表面積を減少させる手順が行われるまで、それらをスラリーとして保存することもできる。表面積を減少させる操作が行われる前に提供されたスラリーの固形分は、乾燥シリカについて上述したものと同じであると予想される。
【0034】
一般的に、沈降シリカの液相の源は、シリカの乾燥した源の形態に関して上述したそれぞれの値に匹敵する、成分の粒度、全体の粒度、BET比表面積値、および、アマニ油の吸油量の特性を有すると予想される。上述の物理的な基準を満たしていれば、液相シリカは、非晶質沈降シリカ、シリカゲルまたはヒドロゲル、熱分解法シリカおよびコロイドシリカを包含し得る。一形態において、インサイチュで提供されたシリカ粒状体は、集合体または凝集体の形態である。
【0035】
本シリカは、アルカリ金属ケイ酸塩を、加熱しながら鉱酸(例えば硫酸)または有機酸で酸性化することによって製造してもよい。合成非晶質沈降シリカは、一般的に、アルカリ性のケイ酸塩溶液と酸とを加熱しながら混合し、撹拌し、次に、ろ過または遠心分離することによって製造され、沈降シリカ固体を湿潤ケーキ状で単離することができる。反応媒体は、場合により、硫酸ナトリウムのような電解質を含んでもよい。シリカ湿潤ケーキは、一般的に、約40wt%〜約60wt%の水を含み、その残りは主として固形分である。一般的に、沈降した反応物質をろ過し、水で洗浄することによって、Na2SO4レベルを許容できるレベルに減少させることができる。一般的に、反応生成物の洗浄は、ろ過の後に行われる。洗浄した湿潤ケーキのpHは、必要に応じて、本発明で説明されたその後の工程に移る前に調節することができる。必要に応じて、洗浄した湿潤ケーキは、表面積を減少させる手順が施される前に、固形分が1〜50%になるようにスラリー化される。前述したように、シリカを乾燥させる場合、または、乾燥させ望ましいサイズに微粉砕する場合、表面積を減少させる手順を粗シリカに施す前に、それを再スラリー化させなければならない。
【0036】
本発明で考察されたその他の必要条件を満たしていれば 、本発明で説明された表面積の減少のための、微粒子支持体の源として用いることができる粗シリカとしては、例えば、Wason等の米国特許第4,122,161号、5,279,815号および5,676,932号、ならびに、McGill等の米国特許第5,869,028号および5,981,421号(これらの教示はこの参照により開示に含まれる)で説明されているようにして製造された沈降シリカが挙げられる。
【0037】
シリカ粒状体「支持体」材料の表面積の減少
上記の一般的な工程2)の表面積の減少に関して、水性媒体中で粗シリカ粒状体をスラリー化した後に、微粒子支持体上に高密度の非晶質シリカ堆積を提供するのに十分であり、表面積とCPCがそこに結合する可能性を減少させるのに十分な時間および条件下で、同じ媒体中で活性シリカが生成する。一般的に、スラリー化された粗シリカ粒状体の中間生成物を水性媒体中に分散させ、そこで、アルカリ金属ケイ酸塩が鉱酸で酸性化されることによって活性シリカが生成する。結果生じた混合物を、活性シリカおよびシリカ粒状体支持体が、実質的に均一に分散されるのに十分な時間、例えばパドルミキサーを用いて穏やかに撹拌または混合する。結果生じた表面積が小さいシリカ生成物は、ろ過されるか、または、その他の方法で脱水され、洗浄し、必要に応じて乾燥する。
【0038】
これに関して、媒体中で活性シリカを提供するのに用いられた、微粒子支持体の表面上に非晶質シリカ材料として堆積させる方法論は、一般的に、粗または支持体微粒子の作製に適用されるのと同様の化学作用と条件を必要とするが、ただし、活性シリカの形成に用いられるケイ酸塩と酸の添加速度は、活性シリカが存在するシリカ粒子支持体上に堆積し、分離した沈降粒子が形成されないよう十分に遅くしなければならないことを除く。あまりにも速く活性シリカを添加すると、分離した沈降シリカ粒子の形成が起こり、望ましいシリカ支持体の表面積の減少が起こらないと予想される。60〜100℃の範囲の温度、pH7〜10、および、シリカ粒状体材料の比表面積が減少するような活性シリカ堆積速度を用いることが望ましい。場合により、塩(例えばNa2SO4)を、それでもなお望ましい表面積の減少が得られるような量で添加することができる。本方法における表面積を減少させる工程で用いるには、反応温度が90℃超、および、pH9超が好ましい。
【0039】
一形態において、表面積を減少させる方法は、程度を確実にするように適切に操作される
【0040】
沈降段階で得られたシリカの構造。乾燥した表面積が小さいシリカ生成物は、細粒状である。特定の一実施形態において、表面積が小さいシリカ生成物に乾燥する手順を施すまでの間はずっと、沈降シリカを含むフラクションの水の含量は、約25重量%またはそれ以上である。
【0041】
乾燥した表面積が小さいシリカ粒子のサイズをさらに減少させるために、必要に応じて、従来のグライディングおよびミリング器具を用いることができる。ハンマーミルまたは振子式のミルを、1または複数の微粉砕のためのパスに用いてもよく、ファイングライディングは、流体エネルギーまたはエアジェット式のミルによって行うことができる。望ましいサイズにグライディングされた生成物を、例えばサイクロン、分類装置または適切なメッシュサイズ設定の振動ふるいなどの従来の分離技術によってその他のサイズのものから分離させてもよい。
【0042】
また、シリカ生成物を単離する前に、および/または、シリカ生成物を合成する最中に、乾燥生成物またはスラリー状生成物のサイズに影響を与えて得られたシリカ生成物の粒度を減少させる方法もある。これらの例としては、これらに限定されないが、メディアミル、高剪断器具(例えば高剪断ポンプまたはローター−ステーターミキサー)、または、超音波装置の使用が挙げられる。湿潤シリカ生成物に施された粒度の減少は、乾燥の前であればいつでも実行することができるが、より好ましくは、コアの形成、および/または、そのコアへの活性シリカの堆積の最中である。乾燥または湿潤シリカ生成物に施される粒度の減少はいずれも、最終生成物のCPC適合性を顕著に減少させないような方法で行われることが望ましい。
【0043】
本発明における乾燥シリカの回収は、有機溶媒で置換する方法を用いて行われるシリカの脱水(dewataring,dehydration)を必要としない。水性媒体からのシリカ生成物の単離は、生成物の分解を起こすことなく行うことができる。
【0044】
本発明で説明された表面積が小さいシリカ生成物を包含する歯磨き剤組成物は、好ましくは、抗菌有効量のCPCも含む。この量は、その他の配合成分、および、その使用に関して規制団体(例えばFDA)によって課せられた制限に応じて様々であるが、例えば、一般的に、約0.01〜約1wt%、好ましくは約0.1〜約0.75wt%、最も好ましくは約0.25〜0.50wt%の範囲と予想される。
【0045】
その他の、一般的に用いられる添加剤、または、その他の歯磨き剤において有用な添加剤も、場合により配合に含まれていてもよい。本発明の表面積が小さいシリカ生成物を含む歯磨き剤組成物の成分にとって製薬上許容できるキャリアーは任意であり、口腔内での使用に適した歯磨き剤用の媒体であればいずれでもよい。このようなキャリアーとしては、練り歯磨き、歯磨き粉、予防ペースト、ロゼンジ、ガム等の一般的な成分が挙げられ、以下でより詳細に説明する。
【0046】
場合により、フレーバー剤を、歯磨き剤組成物に添加してもよい。適切なフレーバー剤としては、ウインターグリーン油、ペパーミント油、スペアミント油、サッサフラス油、および、チョウジ油、桂皮、アネトール、メントール、および、フルーツノート、スパイスノートなどを付加するためのその他のフレーバー化合物が挙げられる。これらのフレーバー剤は、化学的に、アルデヒド、ケトン、エステル、フェノール、酸、ならびに、脂肪族、芳香族およびその他のアルコールの混合物からなる。
【0047】
用いることができる甘味剤としては、アスパルテーム、アセスルファム、サッカリン、デキストロース、レブロース、および、シクラミン酸ナトリウムが挙げられる。フレーバリングおよび甘味剤は、一般的に、約0.005%〜約2重量%のレベルで歯磨き剤に用いられる。
【0048】
場合により、歯磨き剤およびその他の口腔用組成物に、水溶性フッ化物を添加することができ、25℃で、組成物中でフッ化物イオンが所定濃度で発生するのに十分な量で存在させることができ、および/または、約0.0025%〜約5.0重量%、好ましくは約0.005%〜約2.0重量%で用いられる場合、さらなる齲歯予防効果を提供することができる。本発明の組成物において、多種多様のフッ化物イオンを発生させる材料を、可溶性フッ化物源として用いることができる。適切なフッ化物イオンを発生させる材料の例は、米国特許第3,535,421号、および、米国特許第3,678,154号に記載されており、双方ともこの参照により開示に含まれる。代表的なフッ化物イオン源としては、以下が挙げられる:フッ化スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、および、多数のその他のもの。フッ化スズとフッ化ナトリウム、同様にそれらの混合物が、特に好ましい。
【0049】
また、本発明の他の実施形態による練り歯磨きおよび歯磨き剤中には水も存在する。 適切な練り歯磨きの製造に用いられる水は、好ましくは、脱イオンされており、有機性の不純物を含まないことが望ましい。一般的に、水は、練り歯磨き組成物の約2重量%〜50重量%、好ましくは約5重量%〜20重量%を構成する。これらの水の量は、添加される自由な水と、その他の添加剤および材料(例えば潤滑剤)に付随して取り込まれる水を含む。
【0050】
練り歯磨きの製造において、望ましい稠度およびチキソトロピーを提供するために、数種の増粘または結合材を添加することがしばしば必要である。好ましい増粘剤としては、カルボキシビニルポリマー、カラゲナン、ヒドロキシエチルセルロースおよび水溶性のセルロースエーテルの塩、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、および、ナトリウムカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。カラヤゴム、キサンタンガム、アラビアゴム、および、トラガカントゴムのような天然ゴムも用いることができる。増粘剤は、一般的に、組成物総量の約0.5%〜約5.0重量%の量で用いることができる。
【0051】
シリカ増粘剤も、練り歯磨きのレオロジーを改変するのに用いることができる。沈降シリカ、シリカゲルおよびヒュームドシリカを用いることができる。シリカ増粘剤は、一般的に、約5%〜約15%のレベルで添加することができる。
【0052】
また、硬化を防ぐために、練り歯磨きに数種の潤滑物質が含まれることが望ましい場合がある。適切な潤滑剤としては、グリセリン(グリセロール)、ソルビトール、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、および、ポリプロピレングリコール、水素化したスターチの水解物、キシリトール、ラクチトール、水素化したコーンシロップ、および、その他の食用の多価アルコールが挙げられる、これらは、単独で、または、それらの混合物として用いられる。適切な潤滑剤は、一般的に、約15%〜約70%のレベルで添加することができる。
【0053】
場合により、キレート剤を、本発明の歯磨き剤に添加することができ、例えば、酒石酸およびクエン酸のアルカリ金属塩、または、ピロリン酸またはポリリン酸のアルカリ金属塩が挙げられる。
【0054】
その他の任意の成分、および、歯磨き剤の補助剤(例えば、米国特許第5,676,932号、および、Pader,M.,Oral Hygiene Products and Practice,Marcel Dekker,Inc.,ニューヨーク,1988年で説明されているもの)も、必要に応じて、または、望ましい場合に添加することができる。これらの、本発明の歯磨き剤組成物に添加することができるその他の任意の補助剤、添加剤およびマテリアルとしては、例えば、発泡剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、洗浄剤または界面活性剤、着色剤またはホワイトニング剤(例えば、二酸化チタン、FD&C色素)、保存剤(例えば、安息香酸ナトリウム、メチルパラベン)、キレート剤、抗菌剤、および、歯磨き剤組成物に用いることができるその他のマテリアルが挙げられる。任意の添加剤が存在する場合は、一般的には少量で存在し、例えばそれぞれ約6重量%未満である。
【0055】
いずれの場合においても、増粘ガム、発泡剤などの歯磨き剤の配合に用いられる成分は、治療剤およびフレーバーと適合するように選択される。
【0056】
加えて、本発明の研磨洗浄物質の有用性は口内洗浄組成物で特に説明するが、当然のことながら、本発明の表面積が小さいシリカは、より広い有用性を有する。本発明の研磨洗浄物質は、例えば、金属、セラミックまたは磁器の洗浄またはスクラビングに、および、CMP(化学機械平坦化)ポリッシング剤として用いることができる。
【0057】
実施例
以下の実施例は、本発明を説明するために記載されるが、本発明は、それに限定されないとする。以下の実施例において、部は、特に他の指定がない限り重量部である。
【0058】
以下の実施例1〜10で、単一の「インサイチュ」の連続製造工程の一部として、CPC適合性のシリカ生成物を製造した工程を説明する。
【実施例】
【0059】
実施例1
40Lのケイ酸ナトリウム(13%,3.32M.R.,1.112S.G.)を、400ガロンのリアクターに添加し、75RPMで撹拌しながら95℃に加熱した。次に、ケイ酸ナトリウム(13%,3.32M.R.,1.112S.G.)、および、硫酸(11.4%)を、リアクターに、それぞれ7.8L/分、および、2.3L/分の速度で、47分間かけて同時に添加した。47分後に、ケイ酸ナトリウムの添加を停止し、pHを、硫酸(11.4%)の連続添加によって9.5+/−0.2に調節した。(これにより、シリカ支持体が形成された)。pHが9.5に達したら、ケイ酸ナトリウム(13%,3.32M.R.,1.112S.G.)、および、硫酸(11.4%)を、それぞれ1.1L/分、および、0.4L/分の速度で、300分間(活性シリカの添加時間)かけて同時に添加した。必要に応じて、pH9.5+/−0.2が維持されるように酸の速度を調節した。300分後に、ケイ酸ナトリウムのフローを停止し、pHを、硫酸(11.4%)を2.3L/分で添加することによって5.0+/−0.2に調節した。このバッチを、pH5.0+/−0.2で10分間蒸解し、ろ過し、洗浄して伝導率<1500μSにし、噴霧乾燥した。
【0060】
実施例2:
40Lのケイ酸ナトリウム(13%,3.32M.R.,1.112S.G.)を、400ガロンのリアクターに添加し、50RPMで撹拌しながら95℃に加熱した。温度を95℃に安定させたら、再循環ラインによってリアクターに連結させたシルバーソン(Silverson)のインラインミキサーを100Hzに設定した(再循環は100Hz)。次に、ケイ酸ナトリウム(13%,3.32M.R.,1.112S.G.)、および、硫酸(11.4%)を、リアクターに、それぞれ7.8L/分、および、2.3L/分の速度で、47分間かけて同時に添加した。15分後に、撹拌速度を75RPMに高めた。47分後に、シルバーソンのインラインミキサーを停止した。ケイ酸ナトリウムの添加も停止し、pHを、硫酸(11.4%)の連続添加によって9.5+/−0.2に調節した。(これにより、シリカ支持体が形成された)。pHが9.5に達したら、ケイ酸ナトリウム(13%,3.32M.R.,1.112S.G.)、および、硫酸(11.4%)を、それぞれ1.1L/分、および、0.4L/分の速度で、300分間(活性シリカの添加時間)かけて同時に添加した。必要に応じて、pH9.5+/−0.2が維持されるように酸の速度を調節した。300分後に、ケイ酸ナトリウムのフローを停止し、pHを、硫酸(11.4%)を2.3L/分で添加することによって5.0に調節した。このバッチを、pH5.0で10分間蒸解し、ろ過し、洗浄して伝導率<1500μSにし、噴霧乾燥した。
【0061】
実施例3〜6
これら実施例に関して、50Lのケイ酸ナトリウム(13%,3.32M.R.,1.112S.G.)を、400ガロンのリアクターに添加し、50RPMで撹拌しながら95℃に加熱した。温度を95℃に安定させたら、再循環ラインによってリアクターに連結させたシルバーソンのインラインミキサーを100Hzに設定した(再循環は100Hz)。次に、ケイ酸ナトリウム(13%,3.32M.R.,1.112S.G.)、および、硫酸(11.4%)を、リアクターに、それぞれ9.8L/分、および、2.9L/分の速度で、47分間かけて同時に添加した。15分後に、撹拌速度を75RPMに高めた。47分後に、シルバーソンのインラインミキサーを停止し(シリカ支持体が形成された)、ケイ酸ナトリウム(13%,3.32M.R.,1.112S.G.)のフローを所定の速度に調節した。pHが9.5に達したら、硫酸(11.4%)の速度を、pH9.5+/−0.2が維持されるように調節した。所定の活性シリカの添加時間の後に、ケイ酸ナトリウムのフローを停止し、pHを、硫酸(11.4%)を2.9L/分で添加することによって5.0+/−0.2に調節した。このバッチをpH5.0+/−0.2で10分間蒸解し、ろ過し、洗浄して伝導率<1500μSにし、噴霧乾燥した。所定のケイ酸塩の速度、および、活性シリカの添加時間を以下の表1に示す。
【0062】
【表1】

【0063】
図1は、本発明で説明された実施例3に従って作製された表面積が小さいシリカのSEMである。図2は、市販のシリカ生成物、ゼオデント(ゼオデント)(R)113のSEMである。
【0064】
実施例7:
50Lのケイ酸ナトリウム(13%,3.32M.R.,1.112S.G.)を、400ガロンのリアクターに添加し、50RPMで撹拌しながら95℃に加熱した。温度を95℃に安定させたら、再循環ラインによってリアクターに連結させたシルバーソンのインラインミキサーを、60Hzに設定した(再循環は100Hz)。次に、ケイ酸ナトリウム(13%,3.32M.R.,1.112S.G.)、硫酸(20.0%)および水をリアクターに、それぞれ11.7L/分、1.88L/分、および、1.60L/分の速度で、47分間かけて同時に添加した。15分後に、撹拌速度を75RPMに高めた。47分後に、シルバーソンのインラインミキサーを停止し、ケイ酸ナトリウム(24.4%、3.32M.R.,1.227S.G.)のフローを、1.60L/分に調節した(シリカ支持体が形成された)。ウォーターポンプ速度を、0.0L/分に設定した。pHが9.5に達したら、硫酸(20.0%)の速度を、pH9.5+/−0.2が維持されるように調節した(〜0.79L/分)。197分間の総バッチ時間(そのうち150分間は、活性シリカの添加時間である)の後に、ケイ酸ナトリウムのフローを停止し、pHを、硫酸(20.0%)を2.9L/分で添加することによって5.0+/−0.2に調節した。このバッチを、pH5.0+/−0.2で10分間蒸解し、ろ過し、洗浄して伝導率<1500μSにし、噴霧乾燥した。
【0065】
実施例8〜11
実施例8〜11に関しては、pHを9.5+/−0.2に調節する工程の後、支持体形成まで実施例3を再現した。様々な活性シリカの添加時間を、以下の表2に示す。その後、2ガロンの反応混合物のアリコートを、研究所に搬送した。温度を95℃に安定化した後に、硫酸(11.4%)を、pHが5.0+/−0.2に達するまで17ml/分の速度で添加した。次に、この反応混合物を、pH5.0+/−0.2を維持しながら10分間蒸解し、ろ過し、〜7500mlの蒸留水で洗浄し、105℃でオーブンで一晩乾燥した。
【0066】
【表2】

【0067】
実施例1〜11で得られたシリカ生成物の多数の特性を測定し、これを表3に要約する。
【0068】
実施例1〜11、同様に、本発明において要約されたその他の実施例に関して、CPC適合性の特性値を以下の方式で決定した。
【0069】
CPC適合性試験
0.3%のCPC溶液(27.00g)を、試験しようとするシリカのサンプル(3.00g)に添加した。このシリカを、105℃〜150℃で、含水量2%またはそれ未満まで予備乾燥させ、サンプルのpHを測定し、5%のpHを確実に5.5〜7.5にした。この混合物を10分間振盪した。促進老化試験は、試験標本を、140℃で1週間撹拌することを必要とする。撹拌が完了した後、サンプルを遠心分離し、上清の5mlを、0.45μmのPTFEミリポア(milli−pore)フィルターに通過させ、廃棄した。次に、追加の上清2.00gを、同じ0.45μmのPTFEミリポアフィルターに通過させ、次に、38.00gの蒸留水を含むバイアルに添加した。混合した後に、サンプルのアリコートを、キュベット(メタクリル酸メチル)に置き、紫外線の吸収を268nmで測定した。ブランクとして水を用いた。%CPC適合性は、この手順によって製造されたCPC標準溶液の吸収(シリカを添加しないことを除く)に対する、サンプルの吸収のパーセンテージとして表すことによって決定した。
【0070】
「%活性シリカ」値を、バッチのパラメーターから計算することによって決定した。活性シリカは、用いた活性シリカの体積と、ケイ酸塩濃度、S.G.およびM.R.を知ることによって決定される。同様に、総バッチのシリカは、用いたシリカの総体積と、ケイ酸塩濃度、S.G.およびM.R.を知ることによって計算される。%活性シリカは、活性シリカ(g)を総バッチのシリカ(g)で割って100を掛けた値に等しい。例えば実施例1では以下の通り:
用いられたケイ酸は、13%,3.32M.R.,1.112S.G.である。
【0071】
【数1】

【0072】
上記のインサイチュの%活性シリカを計算する場合の計算でみられるように、%活性シリカが、活性シリカの体積/総シリカ体積に等しくなるように、体積以外の全ての項を削除する。重量値で測定される既製のシリカ支持体で開始した場合、同じ基準に全ての成分を入れるために、上記の方程式を用いて、活性シリカを重量の測定値(例えばグラム)に変換しなければならない。
【0073】
BETとアマニ油の吸収値を、米国特許第5,981,421号(この教示は、この参照により開示に含まれる)で説明されている手順によって決定した。
【0074】
【表3】

【0075】
以下の実施例12〜17は、単一の連続プロセスフローの一部として、インサイチュで、シリカ粒状体支持体上に活性シリカ材料の堆積が行われる追加の工程を説明している。
【0076】
実施例12〜17
支持体形成
ケイ酸ナトリウム溶液(105ml,13%,3.32M.R.,1.112S.G.)を、1ガロンのステンレス製リアクターに添加し、300RPMで撹拌しながら85℃に加熱した。ケイ酸ナトリウム(13%,3.32M.R.,1.112S.G.)、および、硫酸(11.4%)を、リアクターに、それぞれ20.6、および、6.2ml/分の速度で、47分間かけて同時に添加した。47分後に、リアクターへのケイ酸塩のフローを停止し、pHを、硫酸(11.4%)の連続添加によって5.5+/−0.2に調節した。次に、この反応混合物を、93℃で10分間蒸解した。
【0077】
表面積の減少
支持体を蒸解した後に、目的とするケイ酸塩の速度で、ケイ酸ナトリウム溶液(13%,3.32M.R.,1.112S.G.)を添加することによって、溶液のpHを蒸解後に目的とするpHにし、所定の活性シリカの添加時間の間、継続した。この時間の間、温度を第二の反応温度に調節し、バッチの残りをこの温度に維持した。目的とするpHに達したら、硫酸(11.4%)を、所定の第二の酸の速度で添加し、反応の残りの時間、目的とするpHを維持した。このとき、より高pHのい実施例16〜17に関して、ケイ酸ナトリウムの速度を5.8ml/分に高めた。必要に応じて、酸のフローを、pHが維持されるように調節した。活性シリカの添加時間の最後に、酸およびケイ酸塩の添加を停止し、最終バッチのpHを必要に応じて調節し、バッチを取り出した。これを約2ガロンの脱イオン水で洗浄し、オーブンで、105℃で一晩乾燥させた。実施例12〜17のプロセスの変数を以下の表4に示す。
【0078】
【表4】

【0079】
実施例12〜17の表面積が小さいシリカに関する多数の特性を測定し、これを表5に要約した。
【0080】
【表5】

【0081】
以下の実施例18〜23は、活性シリカ材料の堆積を既製のシリカ粉末上に堆積させる追加の工程を説明している。
【0082】
実施例18
脱イオン水、所定の既製のシリカ(支持体)、および、場合により無水硫酸ナトリウムを、2ガロンのステンレス鋼製反応容器に添加し、400RPMで連続撹拌しながら反応温度にした。バッチの持続時間中、温度および撹拌速度を一定に保持した。ケイ酸ナトリウム(モル比3.32)、および、硫酸を、所定の反応時間、所定の速度で同時に添加した。反応スラリーの目的のpHを維持するのに必要な場合、硫酸の添加の速度をわずかに調節した。所定の反応時間後に、ケイ酸ナトリウムの添加を停止し、硫酸を、pH5.0±0.2になるように添加した。結果生じた反応媒体をブーフナー漏斗を用いてろ過し、約4000mLの脱イオン水で洗浄した。次に、洗浄した、脱水したスラリーをオーブンで105℃で一晩乾燥した。
【0083】
【表6】

【0084】
実施例18〜23で得られたシリカ生成物の多数の特性を測定し、その結果を表7に要約した。
【0085】
【表7】

【0086】
フレーバー適合性の研究
実験的な研究を行い、本発明の代表的な表面積が小さいシリカ生成物のフレーバー適合性を評価した。
【0087】
フレーバー適合性の解析手順
サンプルの製造
シリカ生成物のサンプル0.5gを小数点以下2位の精度で測り、ポリプロピレン製のホールキャップバイアルw/PTFE/シリコーン隔壁(スペルコ・パート#27049が利用可能)を備えた15mlの琥珀色のガラス製のねじぶた付き容器にローディングした。ガス気密性シリンジを用いて、10μLの天然スペアミントエッセンシャルオイル(Natural Spearmint Essential Oil)(シグマ・アルドリッチ(Sigma Aldrich)カタログ番号W30322−4が利用可能)を、オイルがサンプル上に等しく分配され、ガラスバイアルの内側がオイルで濡れないように気をつけながらサンプルに添加した。次に、バイアルのふたを閉め、サンプルをボルテックスミキサーで約10秒間撹拌し、確実にサンプル上へのオイルの分配を等しくした。次に、サンプルを、解析する前に、室温22.5〜23.5℃で、約12時間平衡化した。解析の直前にはサンプルを撹拌しなかった。各サンプルにつき2つの標本を試験し、その結果を平均した。
【0088】
ヘッドスペースのサンプリング
次に、65μmのポリジメチルシロキサン−ジビニルベンゼン固相マイクロ抽出(SPME)ファイバー(スペルコ、#57310−Uが利用可能)、および、手動のファイバーホルダーアセンブリ(スペルコ、#57330−U)を用いて、サンプルを、室温で5分間サンプリングした。解析中は室温22.5〜23.5℃を維持した。5分間作用させた後に、ファイバーをサンプルバイアルから引き出し、GCMSシステムに脱着させ、以下の条件下で解析した。
【0089】
クロマトグラフィー条件:
この解析には、5972質量選択検出器を備えたヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)5890GCを用いた。
【0090】
カラム:レステック(Restek)のスタビルワックス(Stabilwax)、60m、0.25mmID、0.25μmのフィルム
インジェクション:250℃、25ml/分のスプリット、1mmのスプリットライナー
キャリアー:He28cm/秒(100℃で)
オーブンのプログラム:
50℃、4分間保持
4℃/分で100℃に、0分間保持
8℃/分で200℃に、0分間保持
25℃/分で240℃に、4分間保持
検出器:MS280℃、スキャンモード、30〜550AMU。
【0091】
参照のスペアミント油は、いずれのシリカも添加しなかったことを除き上述と同じ方式で製造した。これらフレーバー成分の強度への様々なシリカの効果を評価するために、主要なスペアミント油成分のピークのうち10のピークをデータ収集のために選択した。いくつかのフレーバー成分のピーク強度における変化は、感知されるフレーバーの変化に比例していると理論付けられる。
【0092】
実施例24
標準スペアミントオイル、実施例3で説明した手順に従って製造されたシリカ生成物のサンプル、および、ゼオデント(R)113シリカに関して、それらの上述の方式で評価されたフレーバー適合性を得る目的でフレーバー適合性データを回収し、データを以下の表8に要約した。
【0093】
【表8】

【0094】
これら試験に関して、データ収集の間は、室温を22.5〜23.5℃に制御した。その結果、本発明の表面積が小さいシリカ生成物の典型的な練り歯磨きフレーバーの様々な主要な成分への作用は、より高い表面積のゼオデント113シリカに比べてかなり低く、それゆえに、高いフレーバー適合性の提供が可能であることことがわかった。
【0095】
当然ながら、当業者であれば、以下の請求項で記載された本発明の原理と範囲から逸脱することなく、本発明の本質を説明するためにここで記載および説明された詳細、材料、および、部品の配置における様々な変更をなすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明で説明された実施例3に従って作製された表面処理シリカのSEMである。
【図2】市販のシリカ生成物、ゼオデント(Zeodent)(R)113(表面処理されていない)のSEMである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央径1〜100μmのシリカ粒子を含むシリカ粒状体を含む沈降シリカ生成物であって、前記シリカ粒状体は、活性沈降非晶質シリカ材料を含む表面堆積をシリカ粒状体上に支持し、前記活性沈降非晶質シリカ材料は、シリカ粒状体1gあたり1〜50m2のBET比表面積を提供するのに有効な量で、かつ、シリカ粒状体への塩化セチルピリジニウムの付着を、表面堆積を有さないシリカ粒状体に比べて減少させるのに有効な量で存在する、前記沈降シリカ生成物。
【請求項2】
中央径が100μm未満のシリカ粒子を含むシリカ粒状体を含むシリカ生成物であって、シリカ粒状体1gあたり1〜50m2/gのBET比表面積、及び約20%より大きい百分率塩化セチルピリジニウム(%CPC)適合性を有する、前記シリカ生成物。
【請求項3】
前記シリカ粒状体が、シリカ粒状体1gあたり1〜40m2/gのBET比表面積、及び約40%より大きい%CPC適合性を有する、請求項2に記載のシリカ生成物。
【請求項4】
前記シリカ粒状体が、シリカ粒状体1gあたり約35m2/g未満のBET比表面積、約60%より大きい%CPC適合性を有する、請求項2に記載のシリカ生成物。
【請求項5】
前記シリカ粒状体が、シリカ粒状体1gあたり約30m2/g未満のBET比表面積、及び約70%より大きい%CPC適合性を有する、請求項2に記載のシリカ生成物。
【請求項6】
シリカ粒子が1〜20μmの中央径を有する、である、請求項2に記載のシリカ生成物。
【請求項7】
沈降シリカ生成物が、約20%〜95%の%CPC適合性値を有する、請求項2に記載のシリカ生成物。
【請求項8】
前記沈降シリカ生成物が少なくとも40%の%CPC適合性値を有する、請求項2に記載のシリカ生成物。
【請求項9】
前記沈降シリカ生成物が少なくとも60%の%CPC適合性値を有する、請求項2に記載のシリカ生成物。
【請求項10】
前記沈降シリカ生成物が少なくとも70%の%CPC適合性値を有する、である、請求項2に記載のシリカ生成物。
【請求項11】
前記シリカ粒状体はそれぞれ、複数のシリカ粒子が一体化した集団を含むシリカ集合体または凝集体を含む、請求項2に記載のシリカ生成物。
【請求項12】
中央径が100μm未満のシリカ粒子を含むシリカ粒状体を含むシリカ生成物を含む歯磨き剤であって、シリカ粒状体1gあたり1〜50m2/gのBET比表面積、及び約20%より大きい百分率塩化セチルピリジニウム(%CPC)適合性を有する、前記歯磨き剤。
【請求項13】
前記シリカ粒状体が、シリカ粒状体において1〜40m2/gのBET比表面積を有する、請求項12に記載の歯磨き剤。
【請求項14】
前記シリカ粒状体が、表面堆積を有さないシリカ粒状体を含む歯磨き剤に比べて、優れたフレーバー適合性を提供する、請求項12に記載の歯磨き剤。
【請求項15】
前記シリカ生成物が、少なくとも20%の%CPC適合性値を有する、請求項12に記載の歯磨き剤。
【請求項16】
前記シリカ生成物が、少なくとも40%の%CPC適合性値を有する、請求項12に記載の歯磨き剤。
【請求項17】
前記シリカ生成物が、少なくとも60%の%CPC適合性値を有する、請求項12に記載の歯磨き剤。
【請求項18】
前記シリカ粒状体がそれぞれ、複数のシリカ粒子の集団を含む集合体または凝集体を含む、請求項12に記載の歯磨き剤。
【請求項19】
少なくとも1種のCPCと適合するフレーバーの有効量をさらに含む、請求項12に記載の歯磨き剤。
【請求項20】
フッ化物イオン源を含む齲歯予防化合物の有効量をさらに含む、請求項12に記載の歯磨き剤。
【請求項21】
有効量の抗菌剤をさらに含む、請求項12に記載の歯磨き剤。
【請求項22】
a)抗菌性の有効量の塩化セチルピリジニウム:
b)中央径1〜100μmのシリカ粒子を含むシリカ粒状体を含む沈降シリカ生成物、
を含む歯磨き剤であって、シリカ粒状体が活性沈降非晶質シリカの表面堆積を支持し、前記活性沈降非晶質シリカは、シリカ粒状体1gあたり1〜50m2のBET比表面積を提供するのに有効な量で、かつ、シリカ粒状体への塩化セチルピリジニウムの付着を、表面堆積を有さないシリカ粒状体に比べて減少させて歯磨き剤中で塩化セチルピリジニウムが有効な抗菌レベルを維持するのに有効な量で存在する、前記歯磨き剤。
【請求項23】
中央径が100μm未満のシリカ粒子を含むシリカ粒状体を含むシリカ生成物を含む歯磨き剤であって、前記シリカ粒状体は、シリカ粒状体1gあたりのBET比表面積が1〜50m2であり、表面堆積を有さないシリカ粒状体を含む歯磨き剤に比べて、優れたフレーバー適合性を提供する、前記歯磨き剤。
【請求項24】
a)中央径1〜100μmの非晶質シリカ粒子を含むシリカ粒状体を提供すること:
b)水性媒体中でアルカリ金属ケイ酸塩を酸性化することによって、シリカ粒状体支持体上に活性シリカを堆積させること(ここで、前記シリカ粒状体支持体は、BET比表面積が1〜50m2/gの表面積が小さいシリカ粒状体のスラリーを提供するのに有効な量で、かつ、活性シリカ堆積工程を行わなかったシリカ粒状体に比べて、結果生じたシリカ粒状体への塩化セチルピリジニウムの付着を減少させるのに有効な量で分散させる)、
を含む、沈降シリカ生成物の製造方法。
【請求項25】
シリカ粒状体を脱水し、乾燥し、流動性を有する細粒化した微粒子形態にすることをさらに含む、請求項24に記載のプロセス。
【請求項26】
前記シリカ粒状体を提供することが、水溶液中で、乾燥した流動性を有する粒状形態のシリカ粒状体をスラリー化することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記シリカ粒状体を提供することが、それらの表面積を減少させる工程を開始する前に、シリカ粒状体を含水量20%未満に乾燥しないで、その場で、水性媒体中でアルカリ金属ケイ酸塩を酸性化することによってシリカ粒状体を形成することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
活性シリカの堆積を、シリカ粒状体に堆積させ、スラリーを提供する、請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−517903(P2006−517903A)
【公表日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503570(P2006−503570)
【出願日】平成16年2月10日(2004.2.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/004338
【国際公開番号】WO2004/073380
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(596129189)ジェイ・エム・ヒューバー・コーポレーション (22)
【Fターム(参考)】