説明

袋による包装方法及び包装装置

【課題】
包装品を充填した袋の開口部を皺生成のない状態でシールした包装品を得ることができる、袋による包装方法及び装置を提供する。
【解決手段】
プラスチックシートFからフォーマー2によって成形される筒状体の下端内にフォーマー2の中筒3を通して包装品が上向きの開口から充填される。包装品を充填した部分の筒状体を両側から脱気板6により押圧してその内部のガスを排出させ、包装品を充填した部分の筒状体上部を横シーラでシールして包装する包装装置である。包装品を充填した筒状体内部に中筒3を経て筒状体の開口からガスを供給するガス送入管16を備えており、そのガス送入管16によってガスが供給されている筒状体を包装品充填部分の上方で脱気板6により両側から押圧し、包装品充填部分の筒状体内を脱気し、横シールする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、黒緑豆もやし、緑豆もやし、大豆もやし、アルファルファもやし、その他各種の芽もの野菜、裁断野菜、その他の野菜類、麺類や菓子などの各種食品、各種惣菜などの包装品を所定量ずつ袋に開口部から充填し、袋の開口部をシールして包装する袋による包装方法及び包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前記した各種の芽もの野菜、細断野菜、麺類や菓子などの各種の包装品が袋詰めされ、その開口部をシールして包装された形の商品として流通されるものが多くなっている。このような袋詰め商品に用いられる袋が厚手で自立性のあるものの場合は、その包装品充填袋の開口部をきれいにシールすることは容易であるが、その包装袋が薄手の場合は、袋の開口部は皺のない状態で自立し難いので、包装品を充填した袋の開口部を横方向にシールした場合に、シール部に皺が生ずる状態となって、皺のない綺麗な状態でシールがなされた袋詰め商品とすることが難しい。
【0003】
袋に充填される包装品の重量が軽い場合、その包装に使われる袋は薄手のものとなることが多いので、包装品を充填した後の袋の開口部を皺のない状態で綺麗にシールすることが難しい場合が多い。包装品を充填した袋の開口部をシールして形成されたシール部に皺を生成させずにシールするため、従来はシールする袋の開口内に2本の拡開口バーを挿入し、その2本の拡開口バーを互いに離間させることにより袋開部を横方向に平たく緊張された状態にしてシーラで挟んで加圧してシールすることが行われて来た(特許文献1)。しかしながら、拡開口バーには細くて可撓性を持つバーなどが使用されるため、拡開口バーは使用により損傷し易く、劣化によって折損するような事が起ると、その破損した部材が包装品に混入する恐れもあるため、常に点検を行うとともに定期的な交換を必要とするなど、メンテナンスに手数と費用を要する欠点があった。
【0004】
また、包装品を充填した袋の開口部を回転するブラシ体で撫で上げて伸ばした状態にしてシーラで両側から挟んでシールする構成としたものが提案されたが、回転するブラシ体からブラシ材が折れて脱落すると、それら破断部材が包装品の充填された包装袋内に入ってしまう事態が懸念され、この構成のものを採用可能な包装品には自ずと制約があり、シール部における皺生成防止のためにこの方式の皺取り手段を食品包装に使用することは避けたい。
【特許文献1】特開平11−254559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
袋による従来の包装技術が上記した問題点を有していたのに鑑み、本発明は、上向きに開口している袋内に包装品を充填したのち、その開口部を皺生成のない状態でシールして密閉することを安定して行わせることができ、しかも、部品の損傷や磨耗に備えた煩雑なメンテナンスを必要とせずに、包装品充填袋の開口部をシール可能とした、袋による包装方法及び包装装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する袋による包装方法として、本発明は、包装品を上方から、上向きに開口している袋内に充填したのち、その包装品が充填された袋の開口部をシールすることからなる袋による包装方法であって、包装品を充填した袋内に上向きの開口からガスを供給しつつ、同包装品充填袋を両側から脱気手段で押圧した後、袋の開口部を挟んでシールする袋による包装方法を提供する。
【0007】
また、前記課題を解決する袋による包装装置として、本発明は、包装品を上向きの開口から袋内に充填し、同包装品充填袋を両側から脱気手段により押圧して袋内のガスを排出させ、同袋の開口部をシール手段でシールして包装する包装装置であって、前記包装品を充填した袋内に上向きの開口からガスを供給するガス供給手段を備え、同ガス供給手段によってガスが供給されている袋を前記脱気手段により両側から押圧した後、前記袋の開口部を前記シール手段で挟んでシールする構成とした袋による包装装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の袋による包装方法によれば、包装品を充填した袋内に上向きの開口からガスを供給しつつ、その包装品充填袋を両側から脱気手段で押圧して袋内のガスを上向きの開口から排出させた後、そのガスによって膨らまされて伸ばされた状態になっている袋の開口部を挟んでシールするので、シールされる袋開口部は伸ばされて皺の無い状態でシールすることができる。本発明の袋による包装方法によれば、包装品を充填した袋に上向きの開口からガスを供給するだけで、袋の開口部に対して接触して物理的に作用する部材を用いないので、保守点検が極めて容易であり部材の破損などの恐れがない。また、包装品を充填する袋は、上向きの開口から供給されるガスによって膨らまされて包装品が円滑に袋内に充填され包装品が袋の開口部に引っ掛かったままシール部に巻き込まれるような事態を防ぐことができる。
【0009】
本発明による袋による包装方法においては、細長い形状を有する包装品の場合、その包装品を横断面が偏平でその短辺に沿う水平方向又は水平方向の分力をもつ往復振動を与えている投入通路を通過させ、その包装品の長さ方向を前記扁平な投入通路の長辺を含む面に沿う方向に向けて袋に充填することによって、包装品の長さ方向を袋の面に沿う方向に向けて包装して、包装袋内を脱気しても中に包装された細長い包装品が折れ難い状態の包装とすることができる。
【0010】
本発明の袋による包装装置によれば、包装品を充填した袋内に上向きの開口からガスを供給するガス供給手段を備え、同ガス供給手段によってガスが供給されている袋を前記脱気手段により両側から押圧することによって上向きの開口から排出させた後、ガスによって膨らまされて伸ばされた前記袋の開口部を前記シール手段で挟んでシールする構成としているので、シールされる袋開口部は伸ばされて皺の無い状態でシールすることができる。本発明の袋による包装装置では、包装品を充填した袋に上向きの開口からガスを供給するガス供給手段を設けるだけで、作動する部品がなく構成が簡単であり、保守点検が極めて容易である。
【0011】
本発明の袋による包装装置において、包装品が充填される前記袋がプラスチックシートからフォーマーによって成形される筒体の下端に形成される袋の場合、包装品が通過される投入通路をその筒体によって与えるとともに、その筒体を通して前記ガスが袋内に供給される構成とすると、袋内に上向きの開口からガスを袋に供給する別の部材を設ける必要がなく、構成が簡単な包装装置とすることができる。また、本発明による袋による包装装置において、プラスチック袋に対する包装品の投入通路に配置された横断面が偏平な加振体と、同加振体にその短辺に沿う水平方向又は水平方向の分力をもつ往復振動を与える加振機とを有し、前記投入通路を通過させた包装品の長さ方向を前記扁平な横断面の長辺を含む面に沿う方向に向けて前記プラスチック袋に充填することによって細長い形状を有する包装品の長さ方向を袋の面に沿う方向に向けて包装できるので、包装袋内を脱気しても中の包装品が折れ難い状態にし、かつ、そのシール部を皺なく塞ぐことができる袋による包装装置を提供可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の袋による包装装置を図示した一実施例によって具体的に説明する。実施例による包装装置の全体構成を示す図1において、1は製袋機を示し、2はそのフォーマー、3はその中筒である。フォーマー2の表面に沿って導かれるプラスチックフィルムFは中筒3の周りに巻きつけられた状態に丸められて送られ、その重ね合わせ状態にされたプラスチックフィルムFの両縁が縦シーラ4によって縦方向に溶着され筒状に成形され下方に送られる。5は横シーラ及びカッターで、フォーマー2で筒状に成形された袋内に中筒3を通して所定量の包装品が充填された後、包装品充填部の上方位置で筒状のプラスチックを横方向にシールして切り離す作用を行う。6は、フォーマー1で成形され包装品が充填された筒状のプラスチックを両側から押圧して包装品が充填された袋内を脱気する脱気手段としての脱気板で、この脱気板6はアクチュエータ7によって左右に変位され、互いに近づく方向に変位する過程で、包装品を充填した筒状のプラスチックを両側から押圧して内部のガスを押出して脱気する作用を行う。
8はホッパーで、計量機9を経て落下供給される所定量ずつの包装品の供給を受け、投入部10を経て製袋機1の中筒3を通して、中筒3の下端から、筒状に成形されたプラスチック内に充填させる。
【0013】
11は加振用枠体であって、水平方向断面が長方形、楕円形などの細長い偏平な形状の枠体で構成されており、その短辺方向が紙面に平行な方向に、その長辺方向が紙面に垂直な方向に向くようにして配置されている。製袋機1で筒状に成形されたプラスチックフィルムFはこの加振用枠体11によって形成されている細長い偏平な形状の通路を通されて横シーラ及びカッター5の方に送られる。加振用枠体11は支持部材12によって支持されており、支持部材12は、上端の枢着点13回りに揺動可能なように機体に支持されている。14は加振機を示している。支持部材12は枢着点13の下方で加振機14に連結されており、加振機14は、枢着点13回りに変位する支持部材12を介して加振用枠体11をその短辺方向、すなわち、図の紙面に沿って、矢印方向に、往復変位するよう振動させる。
【0014】
15は、搬送コンベアであり、包装品が袋詰めされた筒体が横シーラ及びカッター5で袋詰め状態にして切り離された袋詰め包装品を上方に搬送する。16はガス送入管を示し、適宜のシロッコファンなどから供給される空気などのガスを、投入部10、製袋機1の中筒3を経て、製袋機1でプラスチックフィルムFから成形された筒状の袋内に送入する。送入するガスは、空気の他、充填された包装品の種類に応じて、適宜のガスでよく、その供給圧や風量も包装品や袋を形成するプラスチックフィルムFの厚みなどに応じて適宜選択するが、一例として、フィルム厚が25μmのプラスチック袋の場合、供給圧(最大静圧)450Paで、風量5.0m/分が適正であった。
【0015】
図示した袋による包装装置は以上説明した構成を有しており、この装置による包装品の包装は次のように行われる。先ず、製袋機1ではフォーマー2によって丸められて中筒3の周りに導かれたプラスチックフィルムFは、重ねられた両側の縁部分が縦シーラ4によって筒状体に成形され、中筒3の周りに沿って下方に送られる。このように製袋機1によって成形されたプラスチックフィルム製の筒状体の中には、計量機9によって計量された所定量のもやしなどの包装品が、ホッパー8、投入部10、中筒3を経て供給される。併せて、プラスチックフィルム製の筒状体の中には投入部10と中筒3を経てガス送入管16からの空気が送入され、これによって、筒状体内の底部に所定量の包装品が安定的に充填される。
【0016】
筒状体内に充填されるもやしなどの包装品は、短辺方向に沿って水平方向に往復して変位するように加振機14によって加振されている細長い通路を形成されている加振用枠体11を通過する際に、その長さ方向を加振用枠体11の長辺に沿う方向に向けられて筒状体内に落下送入されるので、筒状体内には、もやしなどの包装品の長さ方向が、加振用枠体11によって細長い扁平状態にされた筒状体が形成する袋のプラスチックフィルムFの面に沿う方向、に向けられた状態になる。従って、このようにプラスチックフィルムFの面に沿う方向になって筒状体が形成する袋内に充填されているもやしなどの包装品は、脱気板6によって両側から押圧されても、長さ方向に直角方向な方向に押されることとなり、内部の包装品が折れる割合が少ない。また、このように袋のプラスチックフィルムFの面に沿う方向、に向けられた状態にして袋詰めされた包装品は、物流の過程で重ねられたり移送途中に振動を与えられても折れる割合が少なくて済む。
【0017】
包装品が内部に充填された筒状体は横シーラ及びカッター5の横シーラによって横シールされてカッターにより切り離されるが、包装品充填部分の上部が、横シーラ及びカッター5で横シールされて切り離される筒状体には、ガス送入管16から送入されたガスが送り込まれ、筒状体は膨らまされた状態で加振用枠体11を通って細長い扁平状態にされた上で、脱気板6で両側から押圧されて上方に送り出される内部のガスによって扁平状態に張られて伸ばされることになり、その状態で横シーラによって挟まれて横シールされるので、その横シール部は伸ばされて皺のない状態で形成される。このように、製袋機1の中筒3を通して空気などのガスを、袋を形成する筒状体内に常時供給する構成を採用することによって、袋の開口部を塞ぐ横シール部には皺を発生させることなく袋詰めした包装品を得ることができる。
【0018】
以上、本発明の容器による包装装置を図示した実施例に基づいて具体的に説明したが、本発明はこの実施例に限定されないことはいうまでもない。
例えば、図示した実施例では、製袋機1で成形される筒状体内にガスを送給して袋詰め包装する場合について説明したが、予め製造された袋の開口部を上方に向けて開口させて包装品を充填する場合であってもよく、その袋の開口部に適宜の手段でガスを送給しつつ袋開口部を横シールすることにより皺の生成ない横シールされた包装品を得ることができる。
また、図示した装置では、加振用枠体11を採用して袋内に充填される包装品の長さ方向を袋の面に沿う方向に揃えた状態にして包装する場合について説明したが、包装品によっては、このような揃え操作は必要が無く、要は、包装品を充填した袋内に袋の開口部からガスを供給しつつ横シールするだけで皺のない横シールがなされた包装が行われるようにするだけの構成としてよい。
【0019】
また、図示した実施例では、包装品を充填する袋内に送給するガスとして空気を採用しているが、包装品に応じて、品質劣化防止成分を有するガス、不活性ガス、殺菌作用のあるガスなど適宜のガスであってよい。また、図示した実施例では、包装品を充填した袋を脱気板6で挟んで脱気する場合について説明したが、包装品充填袋の脱気は上記した脱気板6による構成のものに限らず、他の適宜の脱気手段で両側から押圧して脱気する機構のものを採用してよく、包装品を充填した袋にガスを供給しつつ、両側から押圧して脱気し、その開口部を横シールし、作用するガス圧によってその横シール部に皺生成を起らないようにして包装することができる。
【0020】
また、図示した実施例では、包装品に対して横断面が細長くて扁平な包装品投入通路を与えるための加振用枠体11に対して、その短辺に沿う方向に往復運動を与えるため、加振機14によって水平方向の振動を与えているが、水平方向に限らず、円運動など、水平方向成分を持つ往復動を与えるものであってよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例の袋による包装装置の全体構成を示す側面図。
【符号の説明】
【0022】
1 製袋機
2 フォーマー
3 中筒
4 縦シーラ
5 横シーラ及びカッター
6 脱気板
7 アクチュエータ
8 ホッパー
9 計量機
10 投入部
11 加振用枠体
12 支持部材
13 枢着点
14 加振機
15 搬送コンベア
16 ガス送入管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装品を上方から、上向きに開口している袋内に充填したのち、その包装品が充填された袋の開口部をシールすることからなる袋による包装方法であって、包装品を充填した袋内に上向きの開口からガスを供給しつつ、同包装品充填袋を両側から脱気手段で押圧した後、袋の開口部を挟んでシールすることを特徴とする袋による包装方法。
【請求項2】
前記包装品が細長い形状を有し、その包装品を横断面が偏平でその短辺に沿う水平方向又は水平方向の分力をもつ往復振動を与えている投入通路を通過させ前記包装品の長さ方向を前記扁平な投入通路の長辺を含む面に沿う方向に向けて前記袋に充填し、包装品の長さ方向を袋の面に沿う方向に向けて包装することを特徴とする請求項1に記載の袋による包装方法。
【請求項3】
包装品を上向きの開口から袋内に充填し、同包装品充填袋を両側から脱気手段により押圧して袋内のガスを排出させ、同袋の開口部をシール手段でシールして包装する包装装置であって、前記包装品を充填した袋内に上向きの開口からガスを供給するガス供給手段を備え、同ガス供給手段によってガスが供給されている袋を前記脱気手段により両側から押圧した後、前記袋の開口部を前記シール手段で挟んでシールする構成としたことを特徴とする袋による包装装置。
【請求項4】
包装品が充填される前記袋が、プラスチックシートからフォーマによって成形される筒体の下端に形成される袋であって、包装品が通過される投入通路が前記筒体によって与えられるとともに、同筒体を通して前記ガスが前記袋内に供給される構成としたことを特徴とする請求項3に記載の袋による包装装置。
【請求項5】
前記プラスチック袋に対する包装品の投入通路に配置された横断面が偏平な加振体と、同加振体にその短辺に沿う水平方向又は水平方向の分力をもつ往復振動を与える加振機とを有し、前記投入通路を通過させた包装品の長さ方向を前記扁平な横断面の長辺を含む面に沿う方向に向けて前記プラスチック袋に充填することによって細長い形状を有する包装品の長さ方向を袋の面に沿う方向に向けて包装可能にしたことを特徴とする請求項3又は4に記載の袋による包装装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−13148(P2010−13148A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−174239(P2008−174239)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(000149273)株式会社大生機械 (35)
【Fターム(参考)】