説明

袋状容器の梱包構造及び袋状容器の梱包方法

【課題】梱包材料の節約及び箱体の小型化が図れるとともに、注出口を備えた複数の袋状容器を箱体内により確実に保護できる状態でロボット等により自動梱包をより容易に行うことのできる袋状容器の梱包構造を提供することである。
【解決手段】緩衝部材110が箱体100の底部に配置され、緩衝部材110の上に、袋状容器グループが複数段重ねられ、各袋状容器グループの間に仕切り板120、130が配置されるとともに、最上段の袋状容器グループの上に押さえ板部材140が載せられており、箱体100の前記底部に対向する蓋が押さえられた状態で閉じられ、各袋状容器グループにおいて、多角形状の連続する複数の辺に沿って所定辺から連続的に各袋状容器10が前の袋状容器10の上に注出口12を載せて重ねられ、前記所定辺に続く最終辺の最上袋状容器の注出口12と逆側の端部が前記所定辺の袋状容器10の上に重ねられた構造となる構成となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパウト等の注出口を備えたパウチ等の袋状容器を内容物の充填された状態で箱体内に複数詰める際の当該袋状容器の梱包構造及び前記袋状容器の梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スパウト付きパウチ(注出口付き袋状容器)を、液状の内容物が充填された状態で箱体内に複数詰める際の当該スパウト付きパウチの梱包構造が提案されている(特許文献1参照)。この梱包構造では、複数のスパウト付きパウチを配列したパウチ組(パウチグループ)が箱内に仕切り部材によって形成された複数の収納空間のそれぞれに配置されている。そして、各段のパウチ組では、四角形(多角形)の連続する第1辺、第2辺、第3辺及び第4辺のそれぞれに1つのスパウト付きパウチが配置され、それらスパウト付きパウチが、前のパウチの上にスパウトを乗せて重ねられ、第4辺のスパウト付きパウチのスパウトと逆側の端部が第1辺のスパウト付きパウチの下に潜り込むようになっている。即ち、各段のパウチ組では、全てのスパウト付きパウチのスパウトが他のパウチの上に乗った状態で渦巻状(無端状)に配列される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−224400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した従来のスパウト付きパウチの梱包構造(特許文献1)では、複数のスパウト付きパウチで構成される各段のパウチ組が、仕切り板とそれを支持する複数の間隔保持部材とで構成された仕切り部材にて形成される空間内に配置される構造とすることにより、箱体が落下した際等にパウチに衝撃が伝わってパウチ同士が大きく干渉することを防ぎ、内容物の圧力上昇を可及的に抑え、パウチの破袋やしわよりの発生を防止している。そして、箱体に詰める場合、四角形の第1辺、第2辺及び第3辺ではパウチを順次重ねていけば各パウチが他のパウチによって押さえ付けられて安定した状態になるが、第4辺のパウチは、第1辺のパウチによって押さえ付けるようにするためにその後方部分を第1辺のパウチの下に手作業で潜り込ませなければならない。このため、手作業による手間がかかるばかりでなく、ロボット等を用いた自動梱包が難しい。
【0005】
一方、前述したように第4辺のパウチの後方部分を第1辺のパウチの下に潜り込ませることはロボット等を用いた自動梱包では難しく、第4辺は第3辺の上に重ねただけの状態となってしまうため、箱体内でずれやすくなり破袋やしわよりが発生しやすくなってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、注出口を備えた複数の袋状容器を箱体内に破袋やしわよりがなくより確実に保護できる状態で手作業による袋状容器の効率的な積載・梱包やロボット等による自動梱包をより容易に行うことができ、且つ、特に袋状容器グループの最上段の袋状容器のずれを起因とした全ての袋状容器に発生し易いずれや破袋やしわよりを防ぐことのできる袋状容器の梱包構造及びそのような袋状容器の梱包構造を実現するための梱包方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る袋状容器の梱包構造は、一端部に注出口を備え、内容物の充填された複数の袋状容器が配列されてなる袋状容器グループが複数段重ねられて箱体内に詰められた袋状容器の梱包構造であって、緩衝部材が前記箱体の底部に配置され、該緩衝部材の上に、袋状容器グループが複数段重ねられ、各袋状容器グループの間に仕切り板が配置されるとともに、最上段の袋状容器グループの上に押さえ板部材が載せられた状態で、前記箱体の前記底部に対向する蓋が閉じられ、各袋状容器グループにおいて、多角形状の連続する複数の辺に沿って所定辺から連続的に各袋状容器が前の袋状容器の上に注出口を載せて重ねられ、前記所定辺に続く最終辺の最上袋状容器の注出口と逆側の端部が前記所定辺の袋状容器の上に重ねられ、前記押さえ板部材により各袋状容器グループを押さえた構造となる。
【0008】
また、本発明に係る袋状容器の梱包構造において、前記箱体の蓋が解放された状態での、前記緩衝部材から、仕切り板を挟みつつ重ねられた複数段の袋状容器グループの最上段の袋状容器グループの上に配置された押さえ板部材までの距離は、前記箱体の蓋が閉じられた状態での前記緩衝部材から当該箱体の内空間の高さより所定割合だけ大きい構成とすることができる。
【0009】
前記所定割合は、好ましくは、0%より大きく20%より小さい範囲内で決めることができ、更に、好ましくは、5%以上、15%以下の範囲内で決めることができる。
【0010】
また、本発明に係る袋状容器の梱包構造において、前記緩衝部材は、支持板部と、該支持板部の板面から突出する複数の足板部とによって台状に形成された構造となり、最下段の袋状容器グループは、前記緩衝部材の前記支持板部上に載せられた構成とすることができる。
【0011】
また、本発明に係る袋状容器の梱包構造において、前記押さえ板部材は、板状部と、該板状部の板面から突出するスペーサ部とを有し、最上段の袋状容器グループは、前記箱体の蓋により前記スペーサ部が押さえられる前記押さえ板部材の前記板状部により押さえられる構成とすることができる。
【0012】
更に、本発明に係る袋状容器の梱包構造において、前記袋状容器は、一端部に前記注出口が設けられた袋体を有し、前記袋体の内側の所定部位に線状ファスナが設けられた構成とすることができる。
【0013】
本発明に係る袋状容器の梱包方法は、一端部に注出口を備え、内容物の充填された複数の袋状容器が配列されてなる袋状容器グループを複数段重ねて箱体内に詰める袋状容器の梱包方法であって、緩衝部材を前記箱体の底部に配置する第1ステップと、該緩衝部材の上に、各袋状容器グループの間に仕切り板を配置させつつ袋状容器グループを複数段重ねて、最上段の袋状容器グループの上に押さえ板部材を載せる第2ステップと、複数段の前記袋状容器グループが重ねられた前記箱体の前記底部に対向する蓋を閉じる第3ステップとを有し、前記第2ステップは、各袋状容器グループを配置するに際し、多角形状の連続する複数の辺に沿って所定辺から連続的に各袋状容器を前の袋状容器の上に注出口を載せて重ね、前記所定辺に続く最終辺の最上袋状容器の注出口と逆側の端部を前記所定辺の袋状容器の上に重ね、前記第3ステップの結果、前記押さえ部材により各袋状容器グループが押さえられる構成となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る袋状容器の梱包構造によれば、多角形状の連続する辺に沿って袋状容器を1つずつ重ねていくことにより各袋状容器グループが形成されるようになるので、各袋状容器グループの複数の袋状容器を箱体内に手作業により積載・梱包することができ、また、ロボット等により容易に自動梱包することができるようになる。
【0015】
また、搬送中等において箱体に外力が加わったとしても、最上段以外の袋状容器グループにおいて、仕切り板を介した上方の袋状容器グループの押さえによって他の袋状容器が重ならない最上袋状容器のずれを防ぐことができるため、全ての袋状容器においてずれや破袋やしわよりを極力防止することができ、また、最上段の袋状容器グループにおいては、他の袋状容器が重ならない最上袋状容器が押さえ板によって押さえられるため、当該最上段の袋状容器グループにおける最上袋状容器がずれを防ぐことで全ての袋状容器のずれや破袋やしわよりが発生し難くなるので、複数の袋状容器が箱体内により確実に保護できる状態で梱包された構造となる。
【0016】
更に、本発明に係る袋状容器の梱包方法によれば、前記袋状容器の梱包構造となるように、複数の袋状容器を箱体内に詰めることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る袋状容器の梱包構造によって箱体に詰められるべき袋状容器(パウチ)の一例を示す平面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る袋状容器(パウチ)の梱包構造を全体的に示す分解斜視図である。
【図3】図2に示すパウチの梱包に用いられる緩衝部材を拡大して示す斜視図である。
【図4A】第1パウチグループGP1における第1辺でのパウチの配列状態を示す斜視図である。
【図4B】第1パウチグループGP1における第1辺及び第2辺でのパウチの配列状態を示す斜視図である。
【図4C】第1パウチグループGP1における第1辺、第2辺及び第3辺でのパウチの配列状態を示す斜視図である。
【図4D】第1パウチグループGP1における第1辺、第2辺、第3辺及び第4辺(最終辺)でのパウチの配列状態を示す斜視図である。
【図5】図2に示すように複数のパウチが詰められ、蓋が解放された状態の箱体の断面を示す断面図である。
【図6】図5に示すように複数のパウチが詰められた箱体の蓋を閉じた状態の断面を示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る袋状容器(パウチ)の梱包構造を全体的に示す分解斜視図である。
【図8】図7に示すパウチの梱包に用いられる押さえ板部材を拡大して示す斜視図である。
【図9】図7に示すように複数のパウチが詰められ、蓋が解放された状態の箱体の断面を示す断面図である。
【図10】図7に示すように複数のパウチが詰められ蓋の閉じられた状態の箱体の断面を示す断面図である。
【図11】各パウチグループの他の構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0019】
箱体に詰められるべき袋状容器(パウチ)は、例えば、図1に示すような構造となっている。なお、図1に示すパウチ10の構造の構造は、国際公開WO2006/067880に詳細に記載されている。
【0020】
図1において、このパウチ10は、2枚のプラスチックフィルムの周辺部分を熱溶着によりシールしてなる袋状のパウチ本体11(袋体)の所定角部にパウチ本体11内部と外部とを連通するスパウト12(注出口)が設けられた構造となっている。パウチ本体11の周辺部分の熱溶着により形成されたシール部13のスパウト12に対向する角部は、広くシールされた吊り下げ部13aとして形成されており、その吊り下げ部13aに吊り下げ孔15が形成されている。パウチ本体11の吊り下げ部13aと対向するシール部13との間には、開閉部となる線状ファスナ14が設けられている。そして、パウチ10内には内容物、例えば、経腸栄養剤等が充填され、吊り下げ孔15をフックに引っかけることによりスパウト12が下方に、線状ファスナ14が上方に位置するようにしてパウチ10が吊り下げられた状態となる。線状ファスナ14の上方には切欠き13bが形成され、切欠き13bから線状ファスナ14に沿ってパウチ本体11を切り裂き、線状ファスナ14を開くことによりパウチ本体11内に内容物を希釈するための水等の液材を補充することができる。
【0021】
本発明の第1の実施の形態に係る袋状容器の梱包構造では、上述したような構造のパウチ10(例えば、容量300ml用)は、図2に示すように、段ボール製の四角形状のカートン箱100(箱体)に詰め込まれる。具体的には、カートン箱100に、まず、段ボールで形成された台状の緩衝部材110がカートン箱100の底部(後述する図5及び図6に示す3の折り返し部102a、102b、102cを含む4つの折り返し部により形成される)に配置されるように詰め込まれ、緩衝部材110上に8個(複数)のパウチ10が後述するように配列されて第1パウチグループGP1(第1袋状容器グループ)として詰め込まれる。第1パウチグループGP1の上に仕切り板120が載せられ、その仕切り板120の上に、第1パウチグループGP1と同様に、8個のパウチ10が第2パウチグループGP2(第2袋状容器グループ)として詰め込まれる。更に、第2パウチグループGP2の上に仕切り板130が載せられ、その仕切り板130の上に、第1パウチグループGP1及び第2パウチグループGP2と同様に、8個のパウチ10が最上段の第3パウチグループGP3(第3袋状容器グループ)として詰め込まれる。そして、第3パウチグループGP3の上に段ボール製の押さえ板部材140が載せられてカートン箱100の蓋が閉じられる。このように、内容物の充填された8個のパウチ10が配列されてなるパウチグループが3段重ねられて、合計24個のパウチ10がカートン箱100に詰め込まれる。
【0022】
カートン箱100の底部に配置される緩衝部材110は、図3に示すように、矩形形状の支持板部111の板面の4つの周辺縁から所定高さの足板部112、113、114、115が突出して台状に形成されている。第1パウチグループGP1の8個のパウチ10は、支持板部111上に配列される。
【0023】
前記第1パウチグループGP1では、図4A〜図4Dに示すように、8個のパウチ10が、緩衝部材110上に四角形状(多角形上)の4つの辺である第1辺S1、第2辺S2、第3辺S3及び第4辺S4に沿って順次各辺2個ずつ配列される。
【0024】
まず、図4Aに示すように、第1辺S1に沿って、パウチ10(1)が緩衝部材110上に置かれ、パウチ10(2)が、前のパウチ10(1)の上にスパウト12(1)を乗せて重ねられる。この状態で、パウチ10(1)の線状ファスナ14(1)は、パウチ10(2)によって押さえ付けられる。次いで、図4Bに示すように、第2辺S2に沿って、パウチ10(3)が、第1辺S1にある直前のパウチ10(2)の上にスパウト12(3)を載せて重ねられ、パウチ10(4)が、前のパウチ10(3)の上にスパウト12(4)を載せて重ねられる。この状態で、パウチ10(2)の線状ファスナ14(2)及びパウチ10(3)の線状ファスナ14(3)のそれぞれは、後のパウチ10(3)、10(4)によって押さえ付けられる。
【0025】
更に、図4Cに示すように、第3辺S3に沿って、パウチ10(5)が、第2辺S2にある直前のパウチ10(4)の上にスパウト12(5)を乗せて重ねられ、パウチ10(6)が前のパウチ10(5)の上にスパウト12(6)を乗せて順次重ねられる。この状態で、パウチ10(4)の線状ファスナ14(4)及びパウチ10(5)の線状ファスナ14(5)のそれぞれは、後のパウチ10(5)、10(6)によって押さえ付けられる。最後に、図4Dに示すように、第4辺(最終辺)S4に沿って、パウチ10(7)が、第3辺S3にある直前のパウチ10(6)の上にスパウト12(7)を乗せて重ねられ、パウチ10(8)(最上袋状容器)が、前のパウチ10(7)の上にスパウト12(8)を載せて重ねられるとともに、パウチ10(8)のスパウト12(8)と逆側の部分が第1辺S1のパウチ10(1)、10(2)のスパウト12(1)、12(2)のある部分の上に重ねられる。この状態で、パウチ10(7)の線状ファスナ14(7)は、後のパウチ10(8)によって押さえ付けられるが、パウチ10(8)の線状ファスナ14(8)は、他のパウチによって押さえ付けられていない。
【0026】
第2パウチグループGP2の8つのパウチ10は、第1パウチグループGP1の場合(図4A〜図4D参照)と同様に、仕切り板120の上に配列されて載せられ、第3パウチグループGP3の8つのパウチ10も、第1パウチグループGP1の場合(図4A〜図4D参照)と同様に、仕切り板130の上に配列されて載せられる。
【0027】
上記のようにして複数(24個)のパウチ10が詰め込まれたカートン箱100では、そのカートン箱100の蓋(後述する図6に示す3つの折り返し部101a、101b、102cを含む4つの折り返し部にて形成される)が解放されている状態で、図5に示すように、緩衝部材110(支持板部111)から、仕切り板120、130を挟みつつ重ねられた3段のパウチグループGP1〜GP3における最上段の第3パウチグループGP3上に載せられた押さえ板部材140(その外側面)までの距離(以下、解放時距離という)Hが、カートン箱100の蓋が閉じられた状態での緩衝部材110(支持板部111)からカートン箱100の内空間の高さHより僅かに大きくなるように設定されている。具体的には、前記解放時高さHは、カートン箱100の内空間高さHより所定割合だけ大きくなるように設定され、その所定割合は、0%より大きく20%より小さい範囲内で決められ、更に好ましくは、5%以上、15%以下の範囲内で決められる。
【0028】
上記のように蓋が解放された状態で、解放時高さHがカートン箱100の内空間高さHより僅かに(所定割合だけ)大きくなる状態で複数(24個)のパウチ10が、3つのパウチグループGP1〜GP3が重なるようにして詰められたカートン箱100の蓋(折り返し部101a、101b、101cを含む4つの折り返し部にて形成される)が、図6に示すように閉じられる。
【0029】
前述したようなパウチ10の梱包構造は、カートン箱100の底部に配置された緩衝部材110の上に、8個のパウチ10が配列されてなる3つのパウチグループGP1〜GP3が、仕切り板120、130を挟みつつ重ねられた状態でカートン箱100内に詰められた構造となり、各パウチグループGP1〜GP3間に余分な空間を設けず重ねるようになる。また、各パウチグループGP1〜GP3において、四角形状の連続する第1辺、第2辺、第3辺及び第4辺に沿って第1辺から連続的に各パウチ10が前のパウチ10の上にスパウト12を載せて重ねられ、第1辺に続く最終辺である第4辺の最上パウチ10(8)のスパウト12と逆側の端部が第1辺のパウチ10(1)、10(2)の上に重ねられた構造となるので、パウチ10を四角形状の辺に沿って1つずつ重ねながら配列していくことにより、各パウチグループGP1〜GP3を形成することができる。そのため、各パウチグループGP1〜GP3における8個のパウチ10をカートン箱100内に手作業により効率的に積載・梱包でき、また、ロボット等によって容易に自動梱包することができるようになる。
【0030】
各パウチグループGP1〜GP3間に余分な空間を設けることなく各パウチグループが重ねられるようになって、更に、最上段以外の第1パウチグループGP1及び第2パウチグループGP2のそれぞれにおいて、他のパウチ10の重ならない最上パウチ10(8)が仕切り板120、130を介して上方のパウチグループによって押さえられるので、搬送中や落下等によりカートン箱100に外力が加わったとしても、それら第1パウチグループGP1及び第2パウチグループGP2のそれぞれにおいて最上パウチ10(8)のずれを防止し、最上パウチ10(8)のずれを起因として各パウチグループGP1〜GP3のバランスが崩れることで発生し得る全てのパウチ10のずれや破袋やしわよりを極力防止することができる。また、最上段の第3パウチグループGP3の上に押さえ板部材140が載せられた状態でカートン箱100の蓋が閉じられているので、この第3パウチグループGP3においても、他のパウチ10の重ならない最もずれや破袋やしわよりが発生する可能性の高い最上パウチ10(8)が押さえ板部材140によって均一な圧力で押さえられるため、第3パウチグループGP3においても最上パウチ10(8)がずれ難くなり、全てのパウチ10のずれや破袋やしわよりを極力防止することができる。このように、搬送中においてカートン箱100に外力が加わったとしても、各パウチグループGP1〜GP3において他のパウチの重ならない最上パウチ10(8)のずれが極力防止されるので、各パウチグループGP〜GP3を構成する8個のパウチ10がより確実に保護され得る。
【0031】
特に、緩衝部材110(支持板部111)から、仕切り板120、130を挟みつつ重ねられた3段のパウチグループGP1〜GP3における最上段の第3パウチグループGP3上に載せられた押さえ板部材140(その外側面)までの解放時距離H(図5参照)が、カートン箱100の内空間高さH(図5及び図6参照)より僅かに大きくなるように設定されているので、パウチ10が詰められた状態でカートン箱100の蓋を閉じると、蓋と押さえ板部材140との間に隙間が形成されることがなく、蓋によって上方位置が確実に規制される押さえ板部材140によって最上段の第3パウチグループGP3をはじめ、第2パウチグループGP2及び第1パウチグループGP1が比較的強く押さえられるようになる。そのため、各パウチグループGP1〜GP3において他のパウチ10の重ならない最上パウチ10(8)が確実に押さえられるようになる。
【0032】
前記解放時高さHは、カートン箱100の内空間高さHより所定割合だけ大きくなるように設定され、その所定割合は、0%より大きく20%より小さい範囲内で決められ、更に好ましくは、5%以上、15%以下の範囲内で決められる。前記所定割合が、20%を超えると、各パウチ10への押さえつけが強すぎて緩衝部材110による衝撃吸収マージンが少なくなり、カートン箱100の落下時にパウチ10が破袋する率が増大する。また、前記所定割合が0%を下回る(カートン箱100内に隙間が形成される)と、最上パウチ10(8)を確実に押さえられないために最上パウチ10(8)にずれが生じ、このずれに起因して全てのパウチ10にずれや破袋やしわよりが発生する率が増大する。
【0033】
また、各パウチグループGP1〜GP3において、最上パウチ10(8)が線状ファスナ14(8)の部位を含む全体的に仕切り板120、130や押さえ板部材140によって押さえられ、それ以外のパウチ10(1)〜10(7)それぞれは、後に続くパウチ10によって線状ファスナ14(1)〜14(7)の部位が押さえられるようになるので、例えば、カートン箱100が落下した場合に、各パウチグループGP1〜GP3における各パウチ10の急激な内圧上昇によって線状ファスナ14が破損してしまうことを確実に防止することができる。
【0034】
本発明の第2の実施の形態に係る袋状容器の梱包構造では、図1に示す構造のパウチ10は、図7に示すようにカートン箱100に詰め込まれる。この袋状容器(パウチ10)の梱包構造では、最上段のパウチグループGP3の上に載せられる押さえ板部材150の構造が、前述した第1の実施の形態に係る袋状容器の梱包構造(図2乃至図6参照)における押さえ板部材140のものと異なり、他の構造については、第1の実施の形態に係る袋状容器の梱包構造と同じである。
【0035】
この場合に用いられる押さえ板部材150は、図8に示すように、矩形状の板状部151の板面の4つの周縁辺から所定高さのスペーサ部152、153、154、155が突出した構造となっている。この押さえ板部材150は、緩衝部材110(図3参照)と実質的に同一の形状となり、板状部151が、緩衝部材110の支持板部111に対応し、各スペーサ部152〜155が緩衝部材110の足板部112〜115に対応している。この押さえ部材150を用いた場合の解放時高さHは、図9に示すように、緩衝部材111の上面からスペーサ部152〜155の先端面までとなる。
【0036】
そして、図10に示すように、カートン箱100の底部に配置された緩衝部材110の上に、それぞれ8個のパウチ10が上述したように配列されてなる(図4A〜図4D参照)3つのパウチグループGP1〜GP2が、各パウチグループの間に仕切り板120、130が挟まれつつ重ねられ、最上段の第3パウチグループGP3が板状部151によって押さえられるように当該第3パウチグループGP3の上に押さえ板部材150が載せられた状態でカートン箱150の蓋が閉じられる。この状態で、押さえ板部材150のスペーサ部152〜155がカートン箱100の蓋にスペーサ部152〜155が突き当たって板状部151により第3パウチグループGP3が押さえ付けられる。
【0037】
このような梱包構造では、第1の実施の形態の場合と同様に、梱包材料の節約及びカートン箱100の小型化が図れるとともに、スパウト14を備えた24個のパウチ10をカートン箱100内により確実に保護できる状態で、手作業による積載・梱包やロボット等により自動梱包をより容易に行うことができる。更に、押さえ板部材150と緩衝部材110とが実質的に同じ構造となっているので、カートン箱100が蓋側から落下した場合であっても、押さえ板部材150が緩衝部材として機能し、一方、緩衝部材110が押さえ板部材として機能するので、各パウチ10をカートン箱100が底部側から落下した場合と同等に保護することができる。
【0038】
なお、各パウチグループを構成するパウチ10の数は、前述した8個に限定されない。容量の大きいパウチ10(例えば、400ml)では、例えば、図11に示すように、各パウチグループGP1〜GP3において、四角形状の2つの短辺のそれぞれに1つのパウチを、2つの長辺のそれぞれに2つのパウチを配列して、合計6個のパウチを配列するようにしてもよい。
【0039】
また、パウチグループの重ね段数も3段に限定されず、2段であっても、4段以上であってもよい。更に、各パウチグループを構成するパウチの数は同一でなくても、異なるものであってもよい。
【0040】
また、各パウチ10(袋状容器)の形状は、図示(図1参照)された平パウチ形状以外にも、スタンディング形状やガセット形状など公知のパウチ形状を用いることができる。また、線状ファスナ14が形成されていないものであってもよく、注出口が図示されたようにパウチ10コーナー部でなく真ん中等に来ても良い。更に、緩衝部材110は衝撃吸収ができればポリウレタン等の衝撃吸収材でもよく、カートンを使用した場合の形状は、図示(図3参照)された矩形状の支持板部111を有した台状形状以外にも、支持板部111のコーナー部分を切り落とした形状(特開2010−189040号参照)や、支持板部111から延びる足板部112〜115が支持板部111の一方の角を越えて延びるような形状(特開2010−195404号参照)等の公知の形状でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上、説明したように、本発明に係る袋状容器の梱包構造及び梱包方法は、梱包材料の節約及び箱体の小型化が図れるとともに、注出口を備えた複数の袋状容器を箱体内により確実に保護できる状態でロボット等により自動梱包をより容易に行うことができるという効果を有し、スパウト等の注出口を備えたパウチ等の袋状容器を内容物の充填された状態で箱体内に複数詰める際の当該袋状容器の梱包構造及び前記袋状容器の梱包方法として有用である。
【符号の説明】
【0042】
10 パウチ(袋状容器)
11 パウチ本体
12 スパウト
13 シール部
13a 吊り下げ部
13b 切欠き
14 線状ファスナ
15 吊り下げ孔
100 カートン箱
110 緩衝部材
111 支持板部
112、113、114、115 足板部
120、130 仕切り板
140、150 押さえ板部材
151 板状部
152、153、154、155 スペーサ部
GP1 第1パウチグループ
GP2 第2パウチグループ
GP3 第3パウチグループ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部に注出口を備え、内容物の充填された複数の袋状容器が配列されてなる袋状容器グループが複数段重ねられて箱体内に詰められた袋状容器の梱包構造であって、
緩衝部材が前記箱体の底部に配置され、
該緩衝部材の上に、袋状容器グループが複数段重ねられ、各袋状容器グループの間に仕切り板が配置されるとともに、最上段の袋状容器グループの上に押さえ板部材が載せられた状態で、前記箱体の前記底部に対向する蓋が閉じられ、
各袋状容器グループにおいて、多角形状の連続する複数の辺に沿って所定辺から連続的に各袋状容器が前の袋状容器の上に注出口を載せて重ねられ、前記所定辺に続く最終辺の最上袋状容器の注出口と逆側の端部が前記所定辺の袋状容器の上に重ねられ、前記押さえ板部材により各袋状容器グループを押さえ構造となる袋状容器の梱包構造。
【請求項2】
前記箱体の蓋が解放された状態での、前記緩衝部材から、仕切り板を挟みつつ重ねられた複数段の袋状容器グループの最上段の袋状容器グループの上に配置された押さえ板部材までの距離は、前記箱体の蓋が閉じられた状態での前記緩衝部材から当該箱体の内空間の高さより所定割合だけ大きい請求項1記載の袋状容器の梱包構造。
【請求項3】
前記所定割合は、0%より大きく20%より小さい範囲内である請求項2記載の袋状容器の梱包構造。
【請求項4】
前記所定割合は、5%以上、15%以下の範囲内である請求項3記載の袋状容器の梱包構造。
【請求項5】
前記緩衝部材は、支持板部と、該支持板部の板面から突出する複数の足板部とによって台状に形成された構造となり、
最下段の袋状容器グループは、前記緩衝部材の前記支持板部上に載せられた請求項1乃至4のいずれかに記載の袋状容器の梱包構造。
【請求項6】
前記押さえ板部材は、板状部と、該板状部の板面から突出するスペーサ部とを有し、
最上段の袋状容器グループは、前記箱体の蓋により前記スペーサ部が押さえられる前記押さえ板部材の前記板状部により押さえられる請求項1乃至5の袋状容器の梱包構造。
【請求項7】
前記袋状容器は、一端部に前記注出口が設けられた袋体を有し、
前記袋体の内側の所定部位に線状ファスナが設けられた請求項1乃至6のいずれかに記載の袋状容器の梱包構造。
【請求項8】
一端部に注出口を備え、内容物の充填された複数の袋状容器が配列されてなる袋状容器グループを複数段重ねて箱体内に詰める袋状容器の梱包方法であって、
緩衝部材を前記箱体の底部に配置する第1ステップと、
該緩衝部材の上に、各袋状容器グループの間に仕切り板を配置させつつ袋状容器グループを複数段重ねて、最上段の袋状容器グループの上に押さえ板部材を載せる第2ステップと、
複数段の前記袋状容器グループが重ねられた前記箱体の前記底部に対向する蓋を閉じる第3ステップとを有し、
前記第2ステップは、各袋状容器グループを配置するに際し、多角形状の連続する複数の辺に沿って所定辺から連続的に各袋状容器を前の袋状容器の上に注出口を載せて重ね、前記所定辺に続く最終辺の最上袋状容器の注出口と逆側の端部を前記所定辺の袋状容器の上に重ね、前記第3ステップの結果、前記押さえ部材により各袋状容器グループが押さえられる袋状容器の梱包方法。
【請求項9】
前記箱体の蓋が解放された状態で、前記緩衝部材から、前記第2ステップにて仕切り板を挟みつつ重ねられた複数段の袋状容器グループの最上段の袋状容器グループの上に配置された押さ板部材までの距離は、前記箱体の蓋が閉じられた状態における、前記緩衝部材から当該箱体の内空間の高さと同じ、または、前記内空間の高さより所定割合だけ大きい請求項8記載の袋状容器の梱包方法。
【請求項10】
前記所定割合は、0%より大きく20%より小さい範囲内である請求項9記載の袋状容器の梱包方法。
【請求項11】
前記所定割合は、5%以上、15%以下の範囲内である請求項10記載の袋状容器の梱包方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−63798(P2013−63798A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204549(P2011−204549)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】