被分析物を検知するセンサ、および該センサと組み合わされた光学式読み取り装置
【課題】液体の化学的含有物または生物学的含有物を検出するセンサを提供する。
【解決手段】液体サンプルの含有物を検出するためのセンサアレイは、駆動信号のための接続部(14,15)を有する第1電極および第2電極(10,11)を備える。第1電極(10)は、第1物質の層によって被覆され、該第1物質は、そこを通過する電荷またはそこの電位に応じて変化する光学的特性を有している。センサ部位は、駆動信号を受けてそこを通過する電荷またはそこの電位が液体サンプルの組成に応じて変化するように第2物質の島状部(12)によって形成される。
【解決手段】液体サンプルの含有物を検出するためのセンサアレイは、駆動信号のための接続部(14,15)を有する第1電極および第2電極(10,11)を備える。第1電極(10)は、第1物質の層によって被覆され、該第1物質は、そこを通過する電荷またはそこの電位に応じて変化する光学的特性を有している。センサ部位は、駆動信号を受けてそこを通過する電荷またはそこの電位が液体サンプルの組成に応じて変化するように第2物質の島状部(12)によって形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプルの被分析物(検体)を検知するセンサに関する。このようなセンサは、液体の化学的含有物または生物学的含有物を検出するために用いられる。液体の化学的含有物または生物学的含有物を知ることは、健康管理、産業用プロセス制御、および環境モニタリングなどの分野において重要である。このようなセンサは、単一の液体中に含まれる多くの異なる被分析物を独立して測定することが可能な単一のセンサアレイを備えていても良い。本発明はまた、このようなセンサと光学式読み取り装置との組み合わせにも関する。
【背景技術】
【0002】
センサアレイはしばしば、液体の生物学的含有物または化学的含有物を判定するために用いられる。例えば、特定の配列における多くの異なるDNA鎖を独立して検出するために設計された多くのアレイが存在し、例えばナノゲン(Nanogen)社のナノチップ(Nanochip(登録商標))およびアフィメトリックス(Affymetrix)社のジェネチップ(Genechip(登録商標))がある。また、多くの異なるタンパク質分子を検出するために設計された、例えば、インビトロジェン(invitrogen)社のプロトアレイ(ProtoArray(登録商標))およびシグマアルドリッチ(Sigma Aldrich)社のパノラマ(Panorama(登録商標))のようなアレイ、または血液における異なる成分を検出するために設計された、例えばアボット(Abbott)社のI-スタットチップ(I-Stat(登録商標) chip)のようなアレイも存在する。
【0003】
特定の被分析物の存在を検出するために、センサに用いられる多くの異なる方法が存在する。特に、所定の被分析物は、被分析物を含む該液体と接触する電極の電気的特性の変化によって検出されてもよい。被分析物を検出するために利用され得る広範な異なる電気的方法が存在する。これらは、被分析物に伴う電気化学反応による電荷の取り込みまたは放出を監視することを含む。これらはまた、感作電極における小さな信号電気特性の変化、例えば電気インピーダンスの変化を、電極と被分析物とが相互作用するときに監視することを含む。
【0004】
センサアレイは多くの検知のためのピクセル(pixcel)からなっていてもよく、5〜10,000個のピクセルのアレイがこの分野では知られている。一例を、添付の図面の図1に示す。センサアレイ1はセンサチップの形状でガラス、プラスティック、または他の物質の一片の上に形成される。電気的検知を行うために、各センサピクセルにおいて流れる電流は個別に測定されなければならない。この測定は、典型的には、センサアレイとは分離した読み取り装置2によって行われる。したがって、センサチップ自体は、読み取り装置を各ピクセルに電気的に接続することを可能にする複数の電気的相互接続部3を有しなければならない。同様のシステムは、例えばUS5837454(1998年11月17日公開)、US5871918(1999年2月16日公開)、US6017696(2000年1月25日公開)、およびUS7172897(2006年7月20日公開)に記載されている。
【0005】
図1に示すチップは、安価で使い捨て可能なセンサチップを必要とする大量市場での有用性を制限する多くの問題を有する。これらの問題は、チップが多くのオフチップ電気的相互接続部を有するという事実に由来する。
【0006】
読み取り装置2内において、各電気相互接続部3と電極4との間に電気的接続が形成される必要がある。電気相互接続部はサイズが小さい傾向があり、接続上の機械的不良、または、全ての電気的接続を行うように正しくチップを揃えることができないという重大な虞がある。チップを揃えることが難しいため、熟練した技師が要求され、装置の一般的な使用が妨げられる。
【0007】
多くの相互接続部は、材料、パターニング、および機械設備のコストのために、チップの製造コストを増加させる。相互接続部はまた、金メッキを必要とすることがある。高まる製造の複雑さはまた、収率を低下させることもある。さらに、多くの相互接続部は、より多くのチップ領域を必要とし、さらにコストを増加する。
【0008】
信号電流が流れる電気相互接続部はまた、電気的短絡によってトラブルとなる傾向がある。これにより、液体残渣が隣接する相互接続線の間において、部分的に通電するブリッジを形成することがある。チップと読み取り装置とは、電気的接続を行うために密接して配置される必要があり、これにより、液体から読み取り装置への有害な汚染を拡大し、特に血液等の生物学的液体を用いる場合に汚染を拡大してしまうリスクがある。
【0009】
複数の電気相互接続部の問題を幾通りか述べてきた。1つのアプローチとして、添付の図面の図2に開示するように、行および列電極の相互接続部に「ピクセル」を形成することが挙げられる。ピクセル5は、行電極6と列電極7との間の相互接続部に形成される。各行電極は、オフチップ相互接続部8を有し、各列電極はオフチップ相互接続部9を有する。このようにして、n個のピクセルに対して相互接続部の数を2√nまで減少することができる。このアプローチは、例えばUS5846708(1998年12月8日公開)に記載されている。しかしながら、100個のピクセルの小幅なサイズのアレイでさえ、このアプローチでは20個のオフチップ相互接続部を必要とする。
【0010】
電気相互接続部の数を減らすための他のアプローチとしては、電気的な多重化回路をセンサチップ自体に追加することが挙げられる。このような処理は、例えばUS5846708、US5891630(1999年4月6日公開)、US7150997(2005年7月21日公開)、US7172897に記載されている。これらのアプローチでは、各多重化回路は少数のオフチップ相互接続部を有し、より多くのピクセルの電気的測定を可能にする。多重化回路の使用によって、必要とされるオフチップ相互接続部の数を少量に抑えることができ、チップを揃える確実性および困難性を緩和する。しかしながら、電気的回路の集積、従来のCMOSタイプまたはポリシリコンの薄層の使用によって、各チップのコストおよび複雑さは大きく増加する。
【0011】
これらのことから、大量市場における安価で使い捨て可能なセンサアレイチップを製造するために、オフチップ相互接続部の数を減らす低コストの方法に対する必要性が依然としてある。
【発明の概要】
【0012】
本発明の第1側面によると、1つのサンプルの少なくとも1つの被分析物を検知する、少なくとも1つのセンサ部位を備えるセンサであって、上記少なくとも1つのセンサ部位は、少なくとも1つの第1電極と少なくとも1つの第2電極との間に配置された第1物質および第2物質を備え、上記少なくとも1つの第1電極および上記少なくとも1つの第2電極は、電流を受け取るように構成されており、上記第2物質は、上記サンプルと接触し、受け取った上記電流に応じて、上記サンプル中の上記被分析物の存在または量に従って、上記第2物質を通過する電荷または上記第2物質の電位を変化させるように構成されており、上記第1物質は、上記第1物質を通過する電荷または上記第1物質の電位の関数で示される光学特性を有する。
【0013】
上記第1物質および上記第2物質は、上記第1電極および上記第2電極の間において、電気的に直列であってもよい。
【0014】
上記第1電極および上記第2電極の少なくとも1つは透明であってもよい。
【0015】
上記第1電極および上記第2電極は、無線電気受信機に接続されていてもよい。上記無線受信機は、電源に対して電磁結合するためのコイルを備えてもよい。
【0016】
上記サンプルは、液体サンプルであってもよい。
【0017】
上記センサは、複数のセンサ部位を備えてもよい。上記複数のセンサ部位は、上記サンプル中の複数の異なる被分析物に対して感度を有してもよい。上記第1電極の少なくともいくつかは、互いに接続されていてもよい。上記第1電極の少なくともいくつかは、共通のパターニングされていない電極の部分を有してもよい。
【0018】
上記第1物質および上記第2物質の一方は、上記共通のパターニングされていない電極上に形成されている層を備えていてもよい。上記第1物質および上記第2物質の他方は、上記第1物質および上記第2物質の一方の上に、上記複数のセンサ部位を形成する島状部として形成されてもよい。
【0019】
上記第1電極および上記第2電極(52、53)は、上記少なくとも1つのセンサ部位において、互いに入り込んでいてもよい。上記第1電極および上記第2電極はそれぞれ、上記第1物質および上記第2物質によって被覆されてもよい。
【0020】
上記第1電極および上記第2電極は、上記サンプルが上記第2物質に対して接近できるよう隔てて設けられていてもよい。上記第1電極および上記第2電極の少なくとも1つは、上記サンプルが通過する複数の穴を有してもよい。上記センサは、上記被分析物それぞれが拡散するように、上記第1電極と上記第2電極との間に配置されるゲルまたは固体を備えてもよい。
【0021】
本発明の第2側面によると、上記第1側面に記載のセンサと、光学特性の値を読み取る光学式読み取り装置との組み合わせが提供される。
【0022】
上記光学式読み取り装置は、上記光学式読み取り装置は、上記第1物質に光学放射を照射する放射源と、上記光学特性の値を検出する検出器とを備えてもよい。上記光学放射は、赤外線放射、可視光放射、および紫外線放射の少なくとも1つであってもよい。
【0023】
これにより、1つ以上のセンサ部位を有するセンサアレイを提供することができる。一実施形態において、各センサ部位は、共通液体サンプルと接触する少なくとも2つの電極を有している。第1電極は、通過する電荷またはそこの電位に応じて光学特性を変化させる第1物質の層によって被覆される。第1電極または第2電極は、通過する電荷またはそこの電位が、印加された駆動信号に対して、液体サンプルの組成に応じて変化するように生物学的にまたは化学的に感度を有する第2物質の層によって被覆される。
【0024】
第1物質および第2物質は、電極によって形成される同じ電気的回路内にあるため、第1物質を通過する電荷または第1物質の電位は、第2物質の電気的特性によって影響され、上記電気的特性は液体の含有物によって影響される。第1物質の光学特性は、第1物質を通過する電荷または第1物質の電位に依存するので、第1物質の光学特性は、液体の含有物を示す。
【0025】
アレイにおける各センサ部位の第1物質の光学特性は、光学的に測定されてもよい。この測定から、各部位におけるセンサ反応が確認される。このようにして、液体の含有物についての情報を推測することができる。
【0026】
電気的駆動信号は、センサアレイが機能するように、センサアレイに印加される。必要に応じて、各センサ部位からの各第1電極は、他の第1電極と互いに接続されてもよい。このように、駆動信号は、アレイ内において単一の相互接続部を介して全ての第1電極に同時に印加される。さらに、各センサ部位からの各第2電極は、他の第2電極に互いに接続されてもよい。このように、装置内において全ての電極を駆動するために必要とされる相互接続部の数は、2つほどにまで減らしてもよい。これによって、第1電極と第2電極との間の物質が1つのセンサ部位と次のセンサ部位とにおいて異なった動きをするのを妨げず、液体を通して、または、第1物質および第2物質層を通して電気的結合を与えることを完全には達成できない。これは、センサ部位の物理的分離という形によって、または、特に単純な実施としては、電極間のギャプをセンサ部位におけるサイズおよび/または間隔と相対して十分に小さくすることによって達成し得る。このような構成に対する限定的なケースとしては、各電極が相互接続部と組み合わさり、2つの対向する導電性物質の均一なシートを形成し、それぞれのセンサ部位は、第2物質の変化する組成の差別堆積によって形成される。
【0027】
駆動信号は、無線によってセンサアレイに送られてもよい。
【0028】
第1物質は、第1物質を通過する電荷、または、第1物質の電位の指標のみとして機能するかわりに、液体サンプルの組成に対する特定の化学的または生物学的な反応を有することを求められていない。第1物質はまた、第2物質と直接接触することを求められていない。
【0029】
第1物質もしくは第2物質、またはその両方は、それらが被分析物含有液体と接触するのであれば、電極の一部に埋め込まれる、または電極の一部を有してもよい。
【0030】
これによって、通過する電荷またはそこの電位の変化に応じて光学特性を変化する物質が、センサアレイにおける各部位に追加される技術を提供することができる。各センサ部位の電気的反応はこれによって光信号に変換される。各部位における光信号は、光学的に読み取ることができる。
【0031】
アレイが光学的に読み取られるため、各部位における電気的信号の測定は必要ない。これにより、従来技術で述べたように、複数のオフチップ内部連絡電極を有する必要性が取り除かれる。相互接続部の数は、最小限の2まで減少し、それらは電気出力を供給する。内部連絡の大部分を取り除くと、機械的信頼性が向上し、製造をよりコストのかからないものにし、収率を上げ、熟練していない人員によってセンサアレイを扱うことが可能となる。さらに、従来技術で分かるように、相互接続部の減少を達成するために、オンチップ多重化回路を用いる必要がない。オンチップ多重化回路を取り除くことは、製造をよりコストのかからないものにし、収率を増加する。
【0032】
センサアレイの光学的読み取りを達成するコストのかからない方法を提供することができる。これにより、安価で使い捨て可能な、一般使用に適したセンサアレイチップの製造が可能になる。このようなチップは、大量市場において有利である。
【0033】
電気的駆動信号は、個々の装置からセンサチップへ送られる。本発明の実施形態において、駆動信号は、センサチップと装置とが密接に接触している必要がないように無線で送られる。これは、例えば血液による何らかの汚染物質がセンサチップから装置にわたることがないので有効である。
【0034】
本発明の追加の目的、特徴、および長所は、以下の説明で明らかになるであろう。また、本発明の有効性は、図面を参照して以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】従来技術のセンサチップおよび読み取り装置の模式図である。
【図2】従来技術の行および列対応センサチップの模式図である。
【図3】第1物質によって被覆されるパターニングされない電極と、第2物質の島状部を有するパターニングされない電極とを有するセンサの設計を示す図である。
【図4】液体中の被分析物を電気的に検出するために、インピーダンス分光法を用いるセンサ部位の、単純化した等価回路図である。
【図5】液体中の被分析物を電気的に検出するために、電気化学反応を用いるセンサ部位の、単純化した等価回路図である。
【図6】送信または蛍光発光におけるセンサチップを撮像するための光形状を示す図である。
【図7】反射または蛍光発光におけるセンサチップを撮像するための光形状を示す図である。
【図8】画像センサが、画像の分析も行う演算装置によってどのように制御され得るかを示す図である。
【図9】2つのパターニングされない電極を有し、そのうちの1つは第1物質によって被覆され、上面に堆積した第2物質の島状部を有するセンサチップの設計を示す図である。
【図10】2つのパターニングされない電極を有し、そのうちの1つまたは両方は、第1物質によって被覆され、1つまたは両方は、上面に堆積する第2物質の島状部を有するセンサチップの設計を示す図である。
【図11】上面に堆積する第2物質を有する1つの電極と、第1物質によって被覆される複数の電極とを有するセンサチップの設計を示す図である。
【図12】ピクセルを区切るためにパターニングされる1つまたは両方の電極を有するセンサチップの設計を示す図である。
【図13】パターニングされた両方の電極を有し、そのうちの1つの電極は第1物質の複数組成によって被覆されるピクセルを有するセンサチップの設計を示す。
【図14】互いに入り込んでいる電極を有するピクセルを形成するためにパターニングされる1つの電極を有するセンサチップの設計を示す図である。
【図15】それぞれが1つ以上のピクセルに接続される複数オフチップ相互接続部を有するセンサチップの設計を示す図である。
【図16】駆動信号の無線受信のためのアンテナを有するセンサチップの設計を示す図である。
【図17】2つの電極からなり、そのうちの1つはワイヤによって他の電極と接続される無線受信用アンテナを有するセンサチップの設計を示す図である。
【図18】多孔性電極を有するセンサチップの設計を示す図である。
【図19】電解質含有ゲルで満たされたセンサチップの設計を示す図である。
【図20】フローセルに配備するためのセンサチップの設計を示す図である。
【図21】実施例1で用いられるセンサピクセルの設計を示す図である。
【図22】銀の表面を有する電極に対する独自の化学結合の模式図である。
【図23】化学物質と化学的に感度を有する第2物質との間の反応の進行が、第1物質に光を透過させることによって監視できることを示す図である。
【図24】第1物質の光透過率の成分が、センサピクセルの抵抗に対応することを示す図である。
【図25】第1物質の光透過率の成分が、センサピクセルの電気容量に対応することを示す図である。
【0036】
「パターニングされない電極」という用語は、絶縁領域が形成されない、平坦で連続した導電体のシートを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
〔実施形態1〕
図3は、本発明の第1実施形態を構成するセンサアレイチップの構造を示す。電極10および電極11は、導電物質の連続した小片である。電極10および電極11の少なくとも1つは透明である。適切な電極材料としては、金属、導電性金属酸化物、合金、半導体、および当該分野で知られる他の物質が含まれる。適切な透明電極材料としては、インジウム酸化錫(ITO)、他の導電性金属酸化物、および当該分野で知られる他の物質が含まれる。
【0038】
電極10は、第1物質を通過する電荷または第1物質の電位に応じて変化する光学特性を有する第1物質の層によって被覆される。第1物質は、好ましくは、エレクトロクロミックとして知られる物質であり、導電性ポリマー、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、遷移金属酸化物、有機金属錯体、および当該分野で知られる他のエレクトロクロミック物質が含まれる。しかしながら、電荷フローまたは電位に対して光学特性の変化を示すどのような物質でも適している。第1物質は、スピンコーティング、電気重合、ドロップキャスティング、スクリーンプリンティング、スタンピング、蒸着、または当該分野で知られる適切な堆積方法によって堆積し得る。
【0039】
第2物質は電極11上に堆積して複数の島状部12を形成し、センサ部位を形成する。各第2物質は、液体サンプルの組成に応じて、印加される駆動信号に対して、第2物質を通過する電荷または第2物質の電位が変化するように、生物学的に、または化学的に感度を有する。各島状部は、異なる被分析物に対するセンサ部位のアレイを形成するために、異なる第2物質を有してもよい。第2物質は、被分析物含有液体の任意の組成と関連する任意の物質を有してもよい。このような物質としては、金属に限定されないが、半導体、絶縁体、複合材料、あるいは、生物細胞のような化学的または生物学的物質または系(system)が含まれる。複合材料としては、レドックス媒介物質化合物が含まれるものが挙げられる。複合材料はまた、電場応答性高分子(EAP)または高分子電解質を含んだ、ゾルゲル法のマトリックスまたはポリマーに分散あるいは結合される化学系を含み得る。第2物質の堆積は、ドロップキャスティング、スクリーンプリンティング、インクジェットプリンティング、電解析出、スタンピング、マスク蒸着、または当該分野で知られる他の適切な堆積方法によって達成され得る。
【0040】
各電極は共通の連続したパターニングの施されていない導電体であるため、個別センサ部位は、電極11の一部の上に堆積された複数の第2物質の島状部12の存在によって形成される。各センサ部位が隣接する部分とは独立して作動するために、電極間の分離部分13は、島状部12のサイズおよび/または間隔に対して十分小さい必要がある。
【0041】
2つの電極は、不活性プラスティックのスペーサーによって、フレームに堅く支持されることによって、または他の任意の方法によって、一定の距離を有して分離した状態で支持される。分析される被分析物含有液体は、電極の間に導入される。液体は、注入、ポンピング、拡散、毛管充填、または他の方法によってセルに充填される。
【0042】
相互接続部14および相互接続部15は、電気的駆動信号を印加する読み取り装置に接続される。相互接続部14および相互接続部15は、センサチップの端部における任意の部分に配置されてもよく、どのようなサイズであってもよい。駆動信号は、固定的な、単一の配列または周期的な波形を有することが好ましい。当該分野で知られる広範囲な電気的および電気化学的検知技術におけるいずれの技術を、各センサ部位における被分析物を検出するために用いてもよい。特に適切な技術としては、インピーダンス分光法、クロノアンペロメトリー、周期的ボルタンメトリー、リニアスイープボルタンメトリー、ACボルタンメトリー、およびテンサメトリーが含まれる。
【0043】
図4に、各センサ部位に対する単純化された等価回路を、インピーダンス分光法が被分析物と第2物質との間の反応を監視するために用いられる例を示す。インピーダンス16は、電極10のインピーダンス(Z電極)を示す。抵抗17は、第1物質の抵抗(R第1物質)を示す。抵抗18は、液体の抵抗(R液体)を示す。インピーダンス19は、第2物質の島状部12によって覆われた電極11の一部のインピーダンス(Z電極)を示す。駆動信号20が印加される。第2物質12および液体の被分析物の間に発生する反応は、インピーダンス19を変化させる。インピーダンス19が変化するにつれて、第1物質抵抗17を通過する電荷、またはそこを横切る電圧はこれにより変化する。これにより、第2物質12と液体の被分析物との間の反応が発生するとき、第1物質からの光信号が変化する。
【0044】
図5に、各センサ部位に対する単純化された等価回路を、被分析物と第2物質との間の電気化学的反応によって電流が生成される例を示す。インピーダンス21は、電極10のインピーダンス(Z電極)を示す。抵抗22は、第1物質の抵抗(R第1物質)を示す。抵抗23は、液体の抵抗(R液体)を示す。電流源24は、第2物質と液体の被分析物との間に発生する(インピーダンスZ第2物質と等価である)電気化学的反応による電流を示す。インピーダンス25は、電極11のインピーダンス(Z電極)を示す。駆動信号26が印加される。第1物質抵抗22を通過する電荷、またはそれを横切る電圧は、電気化学的反応24による電流が変化するときに変化する。このため、第1物質からの光信号は変化する。
【0045】
電荷フロー、または第一物質にわたって印加される電位に対して変化する第1物質の光学特性は、透過、反射、または蛍光であることが好ましい。これは、透過または反射の絶対値における変化、または蛍光の絶対強度における変化、または特性のスペクトル形態における変化であり得る。電荷フローまたは印加電位に対して変化し得る他の光学特性としては、拡散、分極した光の回転、第2および第3高調波の発生、および当該分野で知られる特性が挙げられる。
【0046】
図6に、透明電極に適したセンサチップを撮像する(interrogating)、1つの考えうる透過光形状を示す。画像センサ27は、光学式読み取り装置の一部を形成し、CCD(電荷結合装置)、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)撮像器、フォトダイオードアレイ、またはセンサアレイから発する光の強度を測定できる同様の撮像装置を有する。画像センサ27は、センサアレイを適切なサイズの検出器上において撮像するように一連のレンズを有してもよい。画像センサ27は、顕微鏡を有してもよい。画像センサ27は、アレイから発する光のスペクトル分解を行うためにフィルタまたは格子を有してもよい。
【0047】
光学式読み取り装置はまた、好ましい実施形態において、適切な強度の光と、第1物質の透過スペクトルによって可変的に減衰され得る、または第1物質の蛍光を励起し得るスペクトルを生成する光源28を有する。光源28は、LED(発光ダイオード)またはLEDアレイ、ランプ、レーザー、または上記アレイを点灯する他の適切な光源および適切な光学を有してもよい。光源28は、赤外線放射、可視光放射、および紫外線放射の少なくとも1つを含む光学放射の放射源を構成する。
【0048】
図7は、センサチップを撮像する(interrogating)、1つの考えうる反射光形状を示す。正面電極29は透明で、後部電極30は反射型である。各電極は第1物質で覆われていてもよい。光源28からの光は、第1物質の反射スペクトルによって減衰される、または、光が第1物質の蛍光を励起する。画像センサ27は、センサアレイの画像を記録する。光形状は、ここで示される2つに限定されず、他の適切な光形状を用いてもよい。
【0049】
光源28もしくは画像センサ27、またはその両方はスキャニング装置であってもよく、任意の時にアレイの一部のみを点灯および撮像してもよい。
【0050】
図8は、外部読み取り装置の一部を形成する画像センサ31を示す。画像センサは演算装置32によって制御されてもよい。演算装置は、画像センサに、センサアレイの1つ以上の画像を記録するように命令する。上記画像は映像の形態をとってもよい。そして、演算装置はアレイの画像を分析し、各ピクセルにおけるセンサ反応33を演算する。そして、必要に応じて液体の組成を判定するためにこの情報がさらに用いられる。
〔実施形態2〕
図9は、センサチップの構成を示す。電極34は、第1物質または第2物質によって被覆されない。電極35は、第1物質の層によって被覆される。電極35上の第1物質の層の上面には、第2物質の島状部36が複数堆積され、センサ部位を形成している。図4および図5の等価回路から、任意のセンサ部位における第2物質の位置は、センサ部位の機能を変化させないことが明らかである。
〔実施形態3〕
図10は、センサチップの構成を示す。電極37および電極38の少なくとも1つは、第1物質によって被覆されている。電極37および電極38の少なくとも1つは、センサ部位を形成するために堆積された第2物質の島状部39を複数有する。図4および図5の等価回路から、任意のセンサ部位における第1物質または第2物質の位置は、センサ部位の機能を変化させないことは明らかである。
〔実施形態4〕
図11は、センサチップの構成を示す。電極40は、導電性物質の一片を備え、センサ部位を形成するために堆積された第2物質の島状部41を複数有する。電極42は2つ以上の分離した電極を有する。電極42は第1物質によって被覆される。各電極42の上の第1物質層の正確な組成は異なってもよい。
【0051】
代わりとして、電極40は第1物質によって被覆されてもよく、電極42はそれらの上に堆積した第2物質の島状部を有してもよい。
【0052】
代わりとして、第2物質の島状部は、電極の上面に堆積されてもよく、電極は上記代わりの構成のいずれかにおける第1物質を有する。
〔実施形態5〕
図12は、センサチップの構成を示す。電極43はパターニングされず、第1物質によって被覆される。電極44は、センサ部位を区切るように、フォトリソグラフィー、マスク蒸着、スクリーンプリンティング、または他の技術を用いてパターニングされ、第2物質は、電極44上で区切られたセンサ部位において堆積する。
【0053】
代わりとして、第1物質を有する電極43はまた、ピクセルを区切るためにパターニングされる。
〔実施形態6〕
図13は、センサチップの構成を示す。電極45は、センサ部位を区切るためにパターニングされ、第2物質は、区切られたセンサ部位において堆積する。電極46は、センサ部位を区切るためにパターニングされる。2つ以上の異なる第1物質は、異なるセンサ部位上において被覆される(例えば47および48)。
〔実施形態7〕
図14は、センサチップの構成を示す。プレート49は、ガラス、プラスティック、または同様の物質からなるプレートを有する。電極50は、センサ部位を区切るためにパターニングされる。各センサ部位51は互いに入り込んでいる電極を有するのが好ましい。各センサ部位において、1つの電極(例えば52)は第1物質によって被覆される。もう一方の電極(例えば53)は、その上に堆積した第2物質を有する。この場合の第1電極はまた、第1物質上に堆積した第2物質を有してもよい。
【0054】
第1物質52を有する電極は互いに接続され、オフチップコンタクト54に接続される。第2物質53を有する電極は互いに接続され、オフチップコンタクト55に接続される。
【0055】
プレート49および電極50は、不活性プラスティックのスペーサーによって、フレームに堅く支持されることによって、または他の任意の方法によって、一定の距離を有して分離した状態で支持されてもよい。分析される被分析物含有液体は、電極とプレートとの間に導入される。
【0056】
代わりに、プレート49は省略されてもよく、センサチップは電極50のみを有してもよい。被分析物含有液体はチップ上に垂らしてもよく、チップを液体に浸してもよく、または、液体とチップとを接触させるための他の方法を用いてもよい。
〔実施形態8〕
図15は、センサチップの構成を示す。電極56は第1物質によって被覆される。電極57は、センサ部位を区切るためにパターニングされている。そして、第2物質はセンサ部位の上に堆積する。電極57の上のセンサ部位は複数のオフチップ相互接続部58に接続される。各部位はその相互接続部を有してもよく、または、複数部位は同じ相互接続部に接続されてもよい。上記複数相互接続部によって、異なるセンサ部位において異なる駆動信号を用いることができる。
【0057】
代わりとして、第1物質を有する電極56はまた、パターニングされ、1つ以上のオフチップ相互接続部を有してもよい。
〔実施形態9〕
図16は、センサチップの構成を示す。プレート59は、ガラス、プラスティック、または同様の材料からなるプレートを有する。電極60は、センサ部位を区切るためにパターニングされる。各センサ部位61は、互いに入り込んでいる電極を有することが好ましい。各センサ部位において、1つの電極が第1物質によって被覆される。もう一方の電極は、その上に堆積した第2物質を有する。この場合の第1電極はまた、第1物質上に堆積した第2物質を有してもよい。
【0058】
電極60は、オフチップ電気相互接続部を有しない。その代わり、空中線またはアンテナ62が、例えば電磁結合のためのコイルの形態を有し、チップにパターニングされ、または取り付けられる。上記空中線は駆動信号および入力電圧を外部装置から無線手段によって受信する。上記チップは上記外部装置に電磁結合されることが好ましい。
〔実施形態10〕
図17は、センサチップの構成を示す。電極63は第1物質によって被覆される。電極64は、その上に堆積された第2物質の島状部65を複数有する。電極64はオフチップ電気相互接続部を有さない。空中線66は、駆動信号および入力電圧を外部装置から無線手段によって受信する。上記チップは上記外部装置に電磁結合されることが好ましい。
【0059】
ワイヤ67は空中線66の一端を他の電極63に接続する。このように、両電極は空中線から駆動信号を受信する。ワイヤ67は自由な状態にあってもよく、プラスティックフレームまたは他の位置に埋め込まれてもよい。
【0060】
代わりとして、電極63および電極64のいずれか、または両方はパターニングされてもよく、上記電極のいずれか、または両方は第1物質または第2物質のいずれかによって被覆されてもよい。
〔実施形態11〕
図18は、センサチップの構成を示す。電極68は第1物質によって被覆される。電極69は、その上に堆積された第2物質の島状部70を複数有する。1つ、または両方の電極は、被分析物含有液体がチップ内部へ入り込み得るように多孔性である、または複数の孔71を有する。
【0061】
被分析物含有液体が電極69を通じて入り込み得るので、電極68および電極69の端部は互いに封止されてもよい。
【0062】
代わりとして、電極68および電極69の一方または両方は、パターニングされてもよく、上記電極の一方または両方は、第1物質または第2物質のいずれかによって被覆されても良い。
〔実施形態12〕
図19は、センサチップの構成を示す。電極72は第1物質によって被覆される。電極73は、その上に堆積された第2物質の島状部74を複数有する。
【0063】
電極72および電極73の間のギャップは、電解質を保持できる、または、電解質特性を有するゲルまたは固形物75によって満たされる。ゲルまたは固形物は、高分子電解質、ゾルゲル物質、ポリマー薄膜、その他を含む物質を有してもよい。ゲルまたは固形物の存在によって、空中の被分析物がゲルに拡散し、センサアレイに検出されるようにすることが可能である。
【0064】
代わりとして、電極72および電極73の一方または両方は、パターニングされてもよいし、上記電極の一方または両方は、第1物質または第2物質のいずれかによって被覆されてもよい。
〔実施形態13〕
図20は、液体セルにおいて使用されるセンサチップの構成を示す。電極76は第1物質によって被覆される。電極77は、その上に堆積された第2物質の島状部78を複数有する。
【0065】
2つの電極は、不活性プラスティックのスペーサーによって、フレームに堅く支持されることによって、または他の任意の方法によって、一定の距離を有して分離した状態で支持される。検知される被分析物含有液体79は、セルを通じて流され、センサ部位を通り過ぎる。
【0066】
代わりとして、電極76および電極77の一方または両方は、パターニングされてもよく、上記電極の一方または両方は、第1物質または第2物質のいずれかによって被覆されてもよい。
〔実施例1〕
本実施例は、第1物質によって被覆された電極を有するセンサピクセルの操作に関する。センサアレイは、多くのこのようなピクセルから組み立てられると考えてもよい。図21は、センサピクセルの設計を示す。被分析物含有液体は、インジウム酸化錫からなる電極80と、銀の表面を有する電極82との間に含まれる。電極80は透明で、電極82は、内部で機械加工された穴83を有する。ガラスプレート84によってピクセルは完成する。
【0067】
電極80は、第1物質81の層によって被覆され、ポリアニリン(エメラルジン塩-Sigma Aldrich社より入手)を含む。電極82は、このピクセルにおいて化学反応第2物質である銀の表面を有する。
【0068】
LED86からの赤色光85は、セルを透過し、透過光の強度を測定するフォトダイオード87に到達する。駆動エレクトロニクス88は、200mV(電極80において陽極)の方形波電圧を電極の間に3Hzで印加する。駆動エレクトロニクス88はまた、ピクセルの電気インピーダンスを測定する。
【0069】
上記ピクセルは、pH4の0.1Mリン酸緩衝液の水溶液によって満たされる。この実験の間、専用化学物質C1の5μM溶液が導入される。C1は銀の第2物質に結合することが知られていて、電極の電気インピーダンスにおける変化を引き起こす。図22は、化学物質C1(90)が導入される前(89)、C1が導入された直後(91)、およびC1と電極82の銀の表面との間の反応が完了してから長時間経過後(92)の電極表面82を示す。上記反応が完了するまで電極82の表面において蓄積されるC1の量は増加し、その電気インピーダンスを変化させる。
【0070】
駆動エレクトロニクス88によって印加される方形波電圧によって、電極が帯電および放電するときに電流がセルを通過して流れる。この電流に伴う電荷によって、第1物質はその色を変化させ、これによってその透過スペクトルを変化させる。透過スペクトルにおけるこの変化によって、フォトダイオード87に注がれる光85の強度は変化する。
【0071】
図23における曲線93は、実験中に駆動エレクトロニクス88によって測定される、ピクセルにおける電気抵抗Rを示す。これは、以下のようなインピーダンスを示すピクセルを仮定して算出される。
【0072】
【数1】
【0073】
Zはインピーダンスを表し、Cは電気容量を表し、ωは駆動信号の周波数を表す。
【0074】
図23における曲線94は、合計した光強度が得られる実験の間、フォトダイオード87によって記録される光強度の同相成分を示す。
【0075】
【数2】
【0076】
図23では、線95の左側の時間において、センサピクセルにはリン酸緩衝液しかなく、抵抗および光同相データは時間とともに大きく変化するわけではない。線95の右側について、化学物質C1が導入され、ピクセル抵抗R(数1)および光強度a(数2)の両方は、同様の特徴形状を有して変化する。これは、C1と銀の第2物質との反応が、セル電流を電気的に測定する代わりに、第1物質の光透過率によって監視できることを示している。
【0077】
図24において、曲線96は、第1物質からの光透過率信号a(数2)の同相成分がピクセルの電気抵抗R(数1)に対応することを示している。図25において、曲線97は、異相光透過率信号b(数2)がセルの電気容量C(数1)に対応することを示している。C1と銀の第2物質との間の結合反応は、ピクセルの電気的特性を記録する代わりに、第1物質の光学特性を記録することによってはっきりと監視することができる。
【0078】
本発明は、上記実施形態の説明に限定されず、当業者によって請求項の範囲内で変更が可能である。異なる実施形態に開示された技術的手段の適切な組み合わせに基づく実施形態は、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0079】
発明の詳細な説明の項において説明した実施形態および具体的な実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような実施形態および具体的実施形態にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する特許請求の範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプルの被分析物(検体)を検知するセンサに関する。このようなセンサは、液体の化学的含有物または生物学的含有物を検出するために用いられる。液体の化学的含有物または生物学的含有物を知ることは、健康管理、産業用プロセス制御、および環境モニタリングなどの分野において重要である。このようなセンサは、単一の液体中に含まれる多くの異なる被分析物を独立して測定することが可能な単一のセンサアレイを備えていても良い。本発明はまた、このようなセンサと光学式読み取り装置との組み合わせにも関する。
【背景技術】
【0002】
センサアレイはしばしば、液体の生物学的含有物または化学的含有物を判定するために用いられる。例えば、特定の配列における多くの異なるDNA鎖を独立して検出するために設計された多くのアレイが存在し、例えばナノゲン(Nanogen)社のナノチップ(Nanochip(登録商標))およびアフィメトリックス(Affymetrix)社のジェネチップ(Genechip(登録商標))がある。また、多くの異なるタンパク質分子を検出するために設計された、例えば、インビトロジェン(invitrogen)社のプロトアレイ(ProtoArray(登録商標))およびシグマアルドリッチ(Sigma Aldrich)社のパノラマ(Panorama(登録商標))のようなアレイ、または血液における異なる成分を検出するために設計された、例えばアボット(Abbott)社のI-スタットチップ(I-Stat(登録商標) chip)のようなアレイも存在する。
【0003】
特定の被分析物の存在を検出するために、センサに用いられる多くの異なる方法が存在する。特に、所定の被分析物は、被分析物を含む該液体と接触する電極の電気的特性の変化によって検出されてもよい。被分析物を検出するために利用され得る広範な異なる電気的方法が存在する。これらは、被分析物に伴う電気化学反応による電荷の取り込みまたは放出を監視することを含む。これらはまた、感作電極における小さな信号電気特性の変化、例えば電気インピーダンスの変化を、電極と被分析物とが相互作用するときに監視することを含む。
【0004】
センサアレイは多くの検知のためのピクセル(pixcel)からなっていてもよく、5〜10,000個のピクセルのアレイがこの分野では知られている。一例を、添付の図面の図1に示す。センサアレイ1はセンサチップの形状でガラス、プラスティック、または他の物質の一片の上に形成される。電気的検知を行うために、各センサピクセルにおいて流れる電流は個別に測定されなければならない。この測定は、典型的には、センサアレイとは分離した読み取り装置2によって行われる。したがって、センサチップ自体は、読み取り装置を各ピクセルに電気的に接続することを可能にする複数の電気的相互接続部3を有しなければならない。同様のシステムは、例えばUS5837454(1998年11月17日公開)、US5871918(1999年2月16日公開)、US6017696(2000年1月25日公開)、およびUS7172897(2006年7月20日公開)に記載されている。
【0005】
図1に示すチップは、安価で使い捨て可能なセンサチップを必要とする大量市場での有用性を制限する多くの問題を有する。これらの問題は、チップが多くのオフチップ電気的相互接続部を有するという事実に由来する。
【0006】
読み取り装置2内において、各電気相互接続部3と電極4との間に電気的接続が形成される必要がある。電気相互接続部はサイズが小さい傾向があり、接続上の機械的不良、または、全ての電気的接続を行うように正しくチップを揃えることができないという重大な虞がある。チップを揃えることが難しいため、熟練した技師が要求され、装置の一般的な使用が妨げられる。
【0007】
多くの相互接続部は、材料、パターニング、および機械設備のコストのために、チップの製造コストを増加させる。相互接続部はまた、金メッキを必要とすることがある。高まる製造の複雑さはまた、収率を低下させることもある。さらに、多くの相互接続部は、より多くのチップ領域を必要とし、さらにコストを増加する。
【0008】
信号電流が流れる電気相互接続部はまた、電気的短絡によってトラブルとなる傾向がある。これにより、液体残渣が隣接する相互接続線の間において、部分的に通電するブリッジを形成することがある。チップと読み取り装置とは、電気的接続を行うために密接して配置される必要があり、これにより、液体から読み取り装置への有害な汚染を拡大し、特に血液等の生物学的液体を用いる場合に汚染を拡大してしまうリスクがある。
【0009】
複数の電気相互接続部の問題を幾通りか述べてきた。1つのアプローチとして、添付の図面の図2に開示するように、行および列電極の相互接続部に「ピクセル」を形成することが挙げられる。ピクセル5は、行電極6と列電極7との間の相互接続部に形成される。各行電極は、オフチップ相互接続部8を有し、各列電極はオフチップ相互接続部9を有する。このようにして、n個のピクセルに対して相互接続部の数を2√nまで減少することができる。このアプローチは、例えばUS5846708(1998年12月8日公開)に記載されている。しかしながら、100個のピクセルの小幅なサイズのアレイでさえ、このアプローチでは20個のオフチップ相互接続部を必要とする。
【0010】
電気相互接続部の数を減らすための他のアプローチとしては、電気的な多重化回路をセンサチップ自体に追加することが挙げられる。このような処理は、例えばUS5846708、US5891630(1999年4月6日公開)、US7150997(2005年7月21日公開)、US7172897に記載されている。これらのアプローチでは、各多重化回路は少数のオフチップ相互接続部を有し、より多くのピクセルの電気的測定を可能にする。多重化回路の使用によって、必要とされるオフチップ相互接続部の数を少量に抑えることができ、チップを揃える確実性および困難性を緩和する。しかしながら、電気的回路の集積、従来のCMOSタイプまたはポリシリコンの薄層の使用によって、各チップのコストおよび複雑さは大きく増加する。
【0011】
これらのことから、大量市場における安価で使い捨て可能なセンサアレイチップを製造するために、オフチップ相互接続部の数を減らす低コストの方法に対する必要性が依然としてある。
【発明の概要】
【0012】
本発明の第1側面によると、1つのサンプルの少なくとも1つの被分析物を検知する、少なくとも1つのセンサ部位を備えるセンサであって、上記少なくとも1つのセンサ部位は、少なくとも1つの第1電極と少なくとも1つの第2電極との間に配置された第1物質および第2物質を備え、上記少なくとも1つの第1電極および上記少なくとも1つの第2電極は、電流を受け取るように構成されており、上記第2物質は、上記サンプルと接触し、受け取った上記電流に応じて、上記サンプル中の上記被分析物の存在または量に従って、上記第2物質を通過する電荷または上記第2物質の電位を変化させるように構成されており、上記第1物質は、上記第1物質を通過する電荷または上記第1物質の電位の関数で示される光学特性を有する。
【0013】
上記第1物質および上記第2物質は、上記第1電極および上記第2電極の間において、電気的に直列であってもよい。
【0014】
上記第1電極および上記第2電極の少なくとも1つは透明であってもよい。
【0015】
上記第1電極および上記第2電極は、無線電気受信機に接続されていてもよい。上記無線受信機は、電源に対して電磁結合するためのコイルを備えてもよい。
【0016】
上記サンプルは、液体サンプルであってもよい。
【0017】
上記センサは、複数のセンサ部位を備えてもよい。上記複数のセンサ部位は、上記サンプル中の複数の異なる被分析物に対して感度を有してもよい。上記第1電極の少なくともいくつかは、互いに接続されていてもよい。上記第1電極の少なくともいくつかは、共通のパターニングされていない電極の部分を有してもよい。
【0018】
上記第1物質および上記第2物質の一方は、上記共通のパターニングされていない電極上に形成されている層を備えていてもよい。上記第1物質および上記第2物質の他方は、上記第1物質および上記第2物質の一方の上に、上記複数のセンサ部位を形成する島状部として形成されてもよい。
【0019】
上記第1電極および上記第2電極(52、53)は、上記少なくとも1つのセンサ部位において、互いに入り込んでいてもよい。上記第1電極および上記第2電極はそれぞれ、上記第1物質および上記第2物質によって被覆されてもよい。
【0020】
上記第1電極および上記第2電極は、上記サンプルが上記第2物質に対して接近できるよう隔てて設けられていてもよい。上記第1電極および上記第2電極の少なくとも1つは、上記サンプルが通過する複数の穴を有してもよい。上記センサは、上記被分析物それぞれが拡散するように、上記第1電極と上記第2電極との間に配置されるゲルまたは固体を備えてもよい。
【0021】
本発明の第2側面によると、上記第1側面に記載のセンサと、光学特性の値を読み取る光学式読み取り装置との組み合わせが提供される。
【0022】
上記光学式読み取り装置は、上記光学式読み取り装置は、上記第1物質に光学放射を照射する放射源と、上記光学特性の値を検出する検出器とを備えてもよい。上記光学放射は、赤外線放射、可視光放射、および紫外線放射の少なくとも1つであってもよい。
【0023】
これにより、1つ以上のセンサ部位を有するセンサアレイを提供することができる。一実施形態において、各センサ部位は、共通液体サンプルと接触する少なくとも2つの電極を有している。第1電極は、通過する電荷またはそこの電位に応じて光学特性を変化させる第1物質の層によって被覆される。第1電極または第2電極は、通過する電荷またはそこの電位が、印加された駆動信号に対して、液体サンプルの組成に応じて変化するように生物学的にまたは化学的に感度を有する第2物質の層によって被覆される。
【0024】
第1物質および第2物質は、電極によって形成される同じ電気的回路内にあるため、第1物質を通過する電荷または第1物質の電位は、第2物質の電気的特性によって影響され、上記電気的特性は液体の含有物によって影響される。第1物質の光学特性は、第1物質を通過する電荷または第1物質の電位に依存するので、第1物質の光学特性は、液体の含有物を示す。
【0025】
アレイにおける各センサ部位の第1物質の光学特性は、光学的に測定されてもよい。この測定から、各部位におけるセンサ反応が確認される。このようにして、液体の含有物についての情報を推測することができる。
【0026】
電気的駆動信号は、センサアレイが機能するように、センサアレイに印加される。必要に応じて、各センサ部位からの各第1電極は、他の第1電極と互いに接続されてもよい。このように、駆動信号は、アレイ内において単一の相互接続部を介して全ての第1電極に同時に印加される。さらに、各センサ部位からの各第2電極は、他の第2電極に互いに接続されてもよい。このように、装置内において全ての電極を駆動するために必要とされる相互接続部の数は、2つほどにまで減らしてもよい。これによって、第1電極と第2電極との間の物質が1つのセンサ部位と次のセンサ部位とにおいて異なった動きをするのを妨げず、液体を通して、または、第1物質および第2物質層を通して電気的結合を与えることを完全には達成できない。これは、センサ部位の物理的分離という形によって、または、特に単純な実施としては、電極間のギャプをセンサ部位におけるサイズおよび/または間隔と相対して十分に小さくすることによって達成し得る。このような構成に対する限定的なケースとしては、各電極が相互接続部と組み合わさり、2つの対向する導電性物質の均一なシートを形成し、それぞれのセンサ部位は、第2物質の変化する組成の差別堆積によって形成される。
【0027】
駆動信号は、無線によってセンサアレイに送られてもよい。
【0028】
第1物質は、第1物質を通過する電荷、または、第1物質の電位の指標のみとして機能するかわりに、液体サンプルの組成に対する特定の化学的または生物学的な反応を有することを求められていない。第1物質はまた、第2物質と直接接触することを求められていない。
【0029】
第1物質もしくは第2物質、またはその両方は、それらが被分析物含有液体と接触するのであれば、電極の一部に埋め込まれる、または電極の一部を有してもよい。
【0030】
これによって、通過する電荷またはそこの電位の変化に応じて光学特性を変化する物質が、センサアレイにおける各部位に追加される技術を提供することができる。各センサ部位の電気的反応はこれによって光信号に変換される。各部位における光信号は、光学的に読み取ることができる。
【0031】
アレイが光学的に読み取られるため、各部位における電気的信号の測定は必要ない。これにより、従来技術で述べたように、複数のオフチップ内部連絡電極を有する必要性が取り除かれる。相互接続部の数は、最小限の2まで減少し、それらは電気出力を供給する。内部連絡の大部分を取り除くと、機械的信頼性が向上し、製造をよりコストのかからないものにし、収率を上げ、熟練していない人員によってセンサアレイを扱うことが可能となる。さらに、従来技術で分かるように、相互接続部の減少を達成するために、オンチップ多重化回路を用いる必要がない。オンチップ多重化回路を取り除くことは、製造をよりコストのかからないものにし、収率を増加する。
【0032】
センサアレイの光学的読み取りを達成するコストのかからない方法を提供することができる。これにより、安価で使い捨て可能な、一般使用に適したセンサアレイチップの製造が可能になる。このようなチップは、大量市場において有利である。
【0033】
電気的駆動信号は、個々の装置からセンサチップへ送られる。本発明の実施形態において、駆動信号は、センサチップと装置とが密接に接触している必要がないように無線で送られる。これは、例えば血液による何らかの汚染物質がセンサチップから装置にわたることがないので有効である。
【0034】
本発明の追加の目的、特徴、および長所は、以下の説明で明らかになるであろう。また、本発明の有効性は、図面を参照して以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】従来技術のセンサチップおよび読み取り装置の模式図である。
【図2】従来技術の行および列対応センサチップの模式図である。
【図3】第1物質によって被覆されるパターニングされない電極と、第2物質の島状部を有するパターニングされない電極とを有するセンサの設計を示す図である。
【図4】液体中の被分析物を電気的に検出するために、インピーダンス分光法を用いるセンサ部位の、単純化した等価回路図である。
【図5】液体中の被分析物を電気的に検出するために、電気化学反応を用いるセンサ部位の、単純化した等価回路図である。
【図6】送信または蛍光発光におけるセンサチップを撮像するための光形状を示す図である。
【図7】反射または蛍光発光におけるセンサチップを撮像するための光形状を示す図である。
【図8】画像センサが、画像の分析も行う演算装置によってどのように制御され得るかを示す図である。
【図9】2つのパターニングされない電極を有し、そのうちの1つは第1物質によって被覆され、上面に堆積した第2物質の島状部を有するセンサチップの設計を示す図である。
【図10】2つのパターニングされない電極を有し、そのうちの1つまたは両方は、第1物質によって被覆され、1つまたは両方は、上面に堆積する第2物質の島状部を有するセンサチップの設計を示す図である。
【図11】上面に堆積する第2物質を有する1つの電極と、第1物質によって被覆される複数の電極とを有するセンサチップの設計を示す図である。
【図12】ピクセルを区切るためにパターニングされる1つまたは両方の電極を有するセンサチップの設計を示す図である。
【図13】パターニングされた両方の電極を有し、そのうちの1つの電極は第1物質の複数組成によって被覆されるピクセルを有するセンサチップの設計を示す。
【図14】互いに入り込んでいる電極を有するピクセルを形成するためにパターニングされる1つの電極を有するセンサチップの設計を示す図である。
【図15】それぞれが1つ以上のピクセルに接続される複数オフチップ相互接続部を有するセンサチップの設計を示す図である。
【図16】駆動信号の無線受信のためのアンテナを有するセンサチップの設計を示す図である。
【図17】2つの電極からなり、そのうちの1つはワイヤによって他の電極と接続される無線受信用アンテナを有するセンサチップの設計を示す図である。
【図18】多孔性電極を有するセンサチップの設計を示す図である。
【図19】電解質含有ゲルで満たされたセンサチップの設計を示す図である。
【図20】フローセルに配備するためのセンサチップの設計を示す図である。
【図21】実施例1で用いられるセンサピクセルの設計を示す図である。
【図22】銀の表面を有する電極に対する独自の化学結合の模式図である。
【図23】化学物質と化学的に感度を有する第2物質との間の反応の進行が、第1物質に光を透過させることによって監視できることを示す図である。
【図24】第1物質の光透過率の成分が、センサピクセルの抵抗に対応することを示す図である。
【図25】第1物質の光透過率の成分が、センサピクセルの電気容量に対応することを示す図である。
【0036】
「パターニングされない電極」という用語は、絶縁領域が形成されない、平坦で連続した導電体のシートを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
〔実施形態1〕
図3は、本発明の第1実施形態を構成するセンサアレイチップの構造を示す。電極10および電極11は、導電物質の連続した小片である。電極10および電極11の少なくとも1つは透明である。適切な電極材料としては、金属、導電性金属酸化物、合金、半導体、および当該分野で知られる他の物質が含まれる。適切な透明電極材料としては、インジウム酸化錫(ITO)、他の導電性金属酸化物、および当該分野で知られる他の物質が含まれる。
【0038】
電極10は、第1物質を通過する電荷または第1物質の電位に応じて変化する光学特性を有する第1物質の層によって被覆される。第1物質は、好ましくは、エレクトロクロミックとして知られる物質であり、導電性ポリマー、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、遷移金属酸化物、有機金属錯体、および当該分野で知られる他のエレクトロクロミック物質が含まれる。しかしながら、電荷フローまたは電位に対して光学特性の変化を示すどのような物質でも適している。第1物質は、スピンコーティング、電気重合、ドロップキャスティング、スクリーンプリンティング、スタンピング、蒸着、または当該分野で知られる適切な堆積方法によって堆積し得る。
【0039】
第2物質は電極11上に堆積して複数の島状部12を形成し、センサ部位を形成する。各第2物質は、液体サンプルの組成に応じて、印加される駆動信号に対して、第2物質を通過する電荷または第2物質の電位が変化するように、生物学的に、または化学的に感度を有する。各島状部は、異なる被分析物に対するセンサ部位のアレイを形成するために、異なる第2物質を有してもよい。第2物質は、被分析物含有液体の任意の組成と関連する任意の物質を有してもよい。このような物質としては、金属に限定されないが、半導体、絶縁体、複合材料、あるいは、生物細胞のような化学的または生物学的物質または系(system)が含まれる。複合材料としては、レドックス媒介物質化合物が含まれるものが挙げられる。複合材料はまた、電場応答性高分子(EAP)または高分子電解質を含んだ、ゾルゲル法のマトリックスまたはポリマーに分散あるいは結合される化学系を含み得る。第2物質の堆積は、ドロップキャスティング、スクリーンプリンティング、インクジェットプリンティング、電解析出、スタンピング、マスク蒸着、または当該分野で知られる他の適切な堆積方法によって達成され得る。
【0040】
各電極は共通の連続したパターニングの施されていない導電体であるため、個別センサ部位は、電極11の一部の上に堆積された複数の第2物質の島状部12の存在によって形成される。各センサ部位が隣接する部分とは独立して作動するために、電極間の分離部分13は、島状部12のサイズおよび/または間隔に対して十分小さい必要がある。
【0041】
2つの電極は、不活性プラスティックのスペーサーによって、フレームに堅く支持されることによって、または他の任意の方法によって、一定の距離を有して分離した状態で支持される。分析される被分析物含有液体は、電極の間に導入される。液体は、注入、ポンピング、拡散、毛管充填、または他の方法によってセルに充填される。
【0042】
相互接続部14および相互接続部15は、電気的駆動信号を印加する読み取り装置に接続される。相互接続部14および相互接続部15は、センサチップの端部における任意の部分に配置されてもよく、どのようなサイズであってもよい。駆動信号は、固定的な、単一の配列または周期的な波形を有することが好ましい。当該分野で知られる広範囲な電気的および電気化学的検知技術におけるいずれの技術を、各センサ部位における被分析物を検出するために用いてもよい。特に適切な技術としては、インピーダンス分光法、クロノアンペロメトリー、周期的ボルタンメトリー、リニアスイープボルタンメトリー、ACボルタンメトリー、およびテンサメトリーが含まれる。
【0043】
図4に、各センサ部位に対する単純化された等価回路を、インピーダンス分光法が被分析物と第2物質との間の反応を監視するために用いられる例を示す。インピーダンス16は、電極10のインピーダンス(Z電極)を示す。抵抗17は、第1物質の抵抗(R第1物質)を示す。抵抗18は、液体の抵抗(R液体)を示す。インピーダンス19は、第2物質の島状部12によって覆われた電極11の一部のインピーダンス(Z電極)を示す。駆動信号20が印加される。第2物質12および液体の被分析物の間に発生する反応は、インピーダンス19を変化させる。インピーダンス19が変化するにつれて、第1物質抵抗17を通過する電荷、またはそこを横切る電圧はこれにより変化する。これにより、第2物質12と液体の被分析物との間の反応が発生するとき、第1物質からの光信号が変化する。
【0044】
図5に、各センサ部位に対する単純化された等価回路を、被分析物と第2物質との間の電気化学的反応によって電流が生成される例を示す。インピーダンス21は、電極10のインピーダンス(Z電極)を示す。抵抗22は、第1物質の抵抗(R第1物質)を示す。抵抗23は、液体の抵抗(R液体)を示す。電流源24は、第2物質と液体の被分析物との間に発生する(インピーダンスZ第2物質と等価である)電気化学的反応による電流を示す。インピーダンス25は、電極11のインピーダンス(Z電極)を示す。駆動信号26が印加される。第1物質抵抗22を通過する電荷、またはそれを横切る電圧は、電気化学的反応24による電流が変化するときに変化する。このため、第1物質からの光信号は変化する。
【0045】
電荷フロー、または第一物質にわたって印加される電位に対して変化する第1物質の光学特性は、透過、反射、または蛍光であることが好ましい。これは、透過または反射の絶対値における変化、または蛍光の絶対強度における変化、または特性のスペクトル形態における変化であり得る。電荷フローまたは印加電位に対して変化し得る他の光学特性としては、拡散、分極した光の回転、第2および第3高調波の発生、および当該分野で知られる特性が挙げられる。
【0046】
図6に、透明電極に適したセンサチップを撮像する(interrogating)、1つの考えうる透過光形状を示す。画像センサ27は、光学式読み取り装置の一部を形成し、CCD(電荷結合装置)、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)撮像器、フォトダイオードアレイ、またはセンサアレイから発する光の強度を測定できる同様の撮像装置を有する。画像センサ27は、センサアレイを適切なサイズの検出器上において撮像するように一連のレンズを有してもよい。画像センサ27は、顕微鏡を有してもよい。画像センサ27は、アレイから発する光のスペクトル分解を行うためにフィルタまたは格子を有してもよい。
【0047】
光学式読み取り装置はまた、好ましい実施形態において、適切な強度の光と、第1物質の透過スペクトルによって可変的に減衰され得る、または第1物質の蛍光を励起し得るスペクトルを生成する光源28を有する。光源28は、LED(発光ダイオード)またはLEDアレイ、ランプ、レーザー、または上記アレイを点灯する他の適切な光源および適切な光学を有してもよい。光源28は、赤外線放射、可視光放射、および紫外線放射の少なくとも1つを含む光学放射の放射源を構成する。
【0048】
図7は、センサチップを撮像する(interrogating)、1つの考えうる反射光形状を示す。正面電極29は透明で、後部電極30は反射型である。各電極は第1物質で覆われていてもよい。光源28からの光は、第1物質の反射スペクトルによって減衰される、または、光が第1物質の蛍光を励起する。画像センサ27は、センサアレイの画像を記録する。光形状は、ここで示される2つに限定されず、他の適切な光形状を用いてもよい。
【0049】
光源28もしくは画像センサ27、またはその両方はスキャニング装置であってもよく、任意の時にアレイの一部のみを点灯および撮像してもよい。
【0050】
図8は、外部読み取り装置の一部を形成する画像センサ31を示す。画像センサは演算装置32によって制御されてもよい。演算装置は、画像センサに、センサアレイの1つ以上の画像を記録するように命令する。上記画像は映像の形態をとってもよい。そして、演算装置はアレイの画像を分析し、各ピクセルにおけるセンサ反応33を演算する。そして、必要に応じて液体の組成を判定するためにこの情報がさらに用いられる。
〔実施形態2〕
図9は、センサチップの構成を示す。電極34は、第1物質または第2物質によって被覆されない。電極35は、第1物質の層によって被覆される。電極35上の第1物質の層の上面には、第2物質の島状部36が複数堆積され、センサ部位を形成している。図4および図5の等価回路から、任意のセンサ部位における第2物質の位置は、センサ部位の機能を変化させないことが明らかである。
〔実施形態3〕
図10は、センサチップの構成を示す。電極37および電極38の少なくとも1つは、第1物質によって被覆されている。電極37および電極38の少なくとも1つは、センサ部位を形成するために堆積された第2物質の島状部39を複数有する。図4および図5の等価回路から、任意のセンサ部位における第1物質または第2物質の位置は、センサ部位の機能を変化させないことは明らかである。
〔実施形態4〕
図11は、センサチップの構成を示す。電極40は、導電性物質の一片を備え、センサ部位を形成するために堆積された第2物質の島状部41を複数有する。電極42は2つ以上の分離した電極を有する。電極42は第1物質によって被覆される。各電極42の上の第1物質層の正確な組成は異なってもよい。
【0051】
代わりとして、電極40は第1物質によって被覆されてもよく、電極42はそれらの上に堆積した第2物質の島状部を有してもよい。
【0052】
代わりとして、第2物質の島状部は、電極の上面に堆積されてもよく、電極は上記代わりの構成のいずれかにおける第1物質を有する。
〔実施形態5〕
図12は、センサチップの構成を示す。電極43はパターニングされず、第1物質によって被覆される。電極44は、センサ部位を区切るように、フォトリソグラフィー、マスク蒸着、スクリーンプリンティング、または他の技術を用いてパターニングされ、第2物質は、電極44上で区切られたセンサ部位において堆積する。
【0053】
代わりとして、第1物質を有する電極43はまた、ピクセルを区切るためにパターニングされる。
〔実施形態6〕
図13は、センサチップの構成を示す。電極45は、センサ部位を区切るためにパターニングされ、第2物質は、区切られたセンサ部位において堆積する。電極46は、センサ部位を区切るためにパターニングされる。2つ以上の異なる第1物質は、異なるセンサ部位上において被覆される(例えば47および48)。
〔実施形態7〕
図14は、センサチップの構成を示す。プレート49は、ガラス、プラスティック、または同様の物質からなるプレートを有する。電極50は、センサ部位を区切るためにパターニングされる。各センサ部位51は互いに入り込んでいる電極を有するのが好ましい。各センサ部位において、1つの電極(例えば52)は第1物質によって被覆される。もう一方の電極(例えば53)は、その上に堆積した第2物質を有する。この場合の第1電極はまた、第1物質上に堆積した第2物質を有してもよい。
【0054】
第1物質52を有する電極は互いに接続され、オフチップコンタクト54に接続される。第2物質53を有する電極は互いに接続され、オフチップコンタクト55に接続される。
【0055】
プレート49および電極50は、不活性プラスティックのスペーサーによって、フレームに堅く支持されることによって、または他の任意の方法によって、一定の距離を有して分離した状態で支持されてもよい。分析される被分析物含有液体は、電極とプレートとの間に導入される。
【0056】
代わりに、プレート49は省略されてもよく、センサチップは電極50のみを有してもよい。被分析物含有液体はチップ上に垂らしてもよく、チップを液体に浸してもよく、または、液体とチップとを接触させるための他の方法を用いてもよい。
〔実施形態8〕
図15は、センサチップの構成を示す。電極56は第1物質によって被覆される。電極57は、センサ部位を区切るためにパターニングされている。そして、第2物質はセンサ部位の上に堆積する。電極57の上のセンサ部位は複数のオフチップ相互接続部58に接続される。各部位はその相互接続部を有してもよく、または、複数部位は同じ相互接続部に接続されてもよい。上記複数相互接続部によって、異なるセンサ部位において異なる駆動信号を用いることができる。
【0057】
代わりとして、第1物質を有する電極56はまた、パターニングされ、1つ以上のオフチップ相互接続部を有してもよい。
〔実施形態9〕
図16は、センサチップの構成を示す。プレート59は、ガラス、プラスティック、または同様の材料からなるプレートを有する。電極60は、センサ部位を区切るためにパターニングされる。各センサ部位61は、互いに入り込んでいる電極を有することが好ましい。各センサ部位において、1つの電極が第1物質によって被覆される。もう一方の電極は、その上に堆積した第2物質を有する。この場合の第1電極はまた、第1物質上に堆積した第2物質を有してもよい。
【0058】
電極60は、オフチップ電気相互接続部を有しない。その代わり、空中線またはアンテナ62が、例えば電磁結合のためのコイルの形態を有し、チップにパターニングされ、または取り付けられる。上記空中線は駆動信号および入力電圧を外部装置から無線手段によって受信する。上記チップは上記外部装置に電磁結合されることが好ましい。
〔実施形態10〕
図17は、センサチップの構成を示す。電極63は第1物質によって被覆される。電極64は、その上に堆積された第2物質の島状部65を複数有する。電極64はオフチップ電気相互接続部を有さない。空中線66は、駆動信号および入力電圧を外部装置から無線手段によって受信する。上記チップは上記外部装置に電磁結合されることが好ましい。
【0059】
ワイヤ67は空中線66の一端を他の電極63に接続する。このように、両電極は空中線から駆動信号を受信する。ワイヤ67は自由な状態にあってもよく、プラスティックフレームまたは他の位置に埋め込まれてもよい。
【0060】
代わりとして、電極63および電極64のいずれか、または両方はパターニングされてもよく、上記電極のいずれか、または両方は第1物質または第2物質のいずれかによって被覆されてもよい。
〔実施形態11〕
図18は、センサチップの構成を示す。電極68は第1物質によって被覆される。電極69は、その上に堆積された第2物質の島状部70を複数有する。1つ、または両方の電極は、被分析物含有液体がチップ内部へ入り込み得るように多孔性である、または複数の孔71を有する。
【0061】
被分析物含有液体が電極69を通じて入り込み得るので、電極68および電極69の端部は互いに封止されてもよい。
【0062】
代わりとして、電極68および電極69の一方または両方は、パターニングされてもよく、上記電極の一方または両方は、第1物質または第2物質のいずれかによって被覆されても良い。
〔実施形態12〕
図19は、センサチップの構成を示す。電極72は第1物質によって被覆される。電極73は、その上に堆積された第2物質の島状部74を複数有する。
【0063】
電極72および電極73の間のギャップは、電解質を保持できる、または、電解質特性を有するゲルまたは固形物75によって満たされる。ゲルまたは固形物は、高分子電解質、ゾルゲル物質、ポリマー薄膜、その他を含む物質を有してもよい。ゲルまたは固形物の存在によって、空中の被分析物がゲルに拡散し、センサアレイに検出されるようにすることが可能である。
【0064】
代わりとして、電極72および電極73の一方または両方は、パターニングされてもよいし、上記電極の一方または両方は、第1物質または第2物質のいずれかによって被覆されてもよい。
〔実施形態13〕
図20は、液体セルにおいて使用されるセンサチップの構成を示す。電極76は第1物質によって被覆される。電極77は、その上に堆積された第2物質の島状部78を複数有する。
【0065】
2つの電極は、不活性プラスティックのスペーサーによって、フレームに堅く支持されることによって、または他の任意の方法によって、一定の距離を有して分離した状態で支持される。検知される被分析物含有液体79は、セルを通じて流され、センサ部位を通り過ぎる。
【0066】
代わりとして、電極76および電極77の一方または両方は、パターニングされてもよく、上記電極の一方または両方は、第1物質または第2物質のいずれかによって被覆されてもよい。
〔実施例1〕
本実施例は、第1物質によって被覆された電極を有するセンサピクセルの操作に関する。センサアレイは、多くのこのようなピクセルから組み立てられると考えてもよい。図21は、センサピクセルの設計を示す。被分析物含有液体は、インジウム酸化錫からなる電極80と、銀の表面を有する電極82との間に含まれる。電極80は透明で、電極82は、内部で機械加工された穴83を有する。ガラスプレート84によってピクセルは完成する。
【0067】
電極80は、第1物質81の層によって被覆され、ポリアニリン(エメラルジン塩-Sigma Aldrich社より入手)を含む。電極82は、このピクセルにおいて化学反応第2物質である銀の表面を有する。
【0068】
LED86からの赤色光85は、セルを透過し、透過光の強度を測定するフォトダイオード87に到達する。駆動エレクトロニクス88は、200mV(電極80において陽極)の方形波電圧を電極の間に3Hzで印加する。駆動エレクトロニクス88はまた、ピクセルの電気インピーダンスを測定する。
【0069】
上記ピクセルは、pH4の0.1Mリン酸緩衝液の水溶液によって満たされる。この実験の間、専用化学物質C1の5μM溶液が導入される。C1は銀の第2物質に結合することが知られていて、電極の電気インピーダンスにおける変化を引き起こす。図22は、化学物質C1(90)が導入される前(89)、C1が導入された直後(91)、およびC1と電極82の銀の表面との間の反応が完了してから長時間経過後(92)の電極表面82を示す。上記反応が完了するまで電極82の表面において蓄積されるC1の量は増加し、その電気インピーダンスを変化させる。
【0070】
駆動エレクトロニクス88によって印加される方形波電圧によって、電極が帯電および放電するときに電流がセルを通過して流れる。この電流に伴う電荷によって、第1物質はその色を変化させ、これによってその透過スペクトルを変化させる。透過スペクトルにおけるこの変化によって、フォトダイオード87に注がれる光85の強度は変化する。
【0071】
図23における曲線93は、実験中に駆動エレクトロニクス88によって測定される、ピクセルにおける電気抵抗Rを示す。これは、以下のようなインピーダンスを示すピクセルを仮定して算出される。
【0072】
【数1】
【0073】
Zはインピーダンスを表し、Cは電気容量を表し、ωは駆動信号の周波数を表す。
【0074】
図23における曲線94は、合計した光強度が得られる実験の間、フォトダイオード87によって記録される光強度の同相成分を示す。
【0075】
【数2】
【0076】
図23では、線95の左側の時間において、センサピクセルにはリン酸緩衝液しかなく、抵抗および光同相データは時間とともに大きく変化するわけではない。線95の右側について、化学物質C1が導入され、ピクセル抵抗R(数1)および光強度a(数2)の両方は、同様の特徴形状を有して変化する。これは、C1と銀の第2物質との反応が、セル電流を電気的に測定する代わりに、第1物質の光透過率によって監視できることを示している。
【0077】
図24において、曲線96は、第1物質からの光透過率信号a(数2)の同相成分がピクセルの電気抵抗R(数1)に対応することを示している。図25において、曲線97は、異相光透過率信号b(数2)がセルの電気容量C(数1)に対応することを示している。C1と銀の第2物質との間の結合反応は、ピクセルの電気的特性を記録する代わりに、第1物質の光学特性を記録することによってはっきりと監視することができる。
【0078】
本発明は、上記実施形態の説明に限定されず、当業者によって請求項の範囲内で変更が可能である。異なる実施形態に開示された技術的手段の適切な組み合わせに基づく実施形態は、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0079】
発明の詳細な説明の項において説明した実施形態および具体的な実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような実施形態および具体的実施形態にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する特許請求の範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのサンプルの少なくとも1つの被分析物を検知する、少なくとも1つのセンサ部位を備えるセンサであって、
上記少なくとも1つのセンサ部位は、少なくとも1つの第1電極と少なくとも1つの第2電極(11、35、38、40、44、45、53、57、64、69、73、77、82)との間に配置された第1物質および第2物質を備え、上記少なくとも1つの第1電極および上記少なくとも1つの第2電極は、電流を受け取るように構成されており、
上記第2物質(12、36、39、41、65、70、74、78、82)は、上記サンプルと接触し、受け取った上記電流に応じて、上記サンプル中の上記被分析物の存在または量に従って、上記第2物質を通過する電荷または上記第2物質の電位を変化させるように構成されており、
上記第1物質(47、48、81)は、上記第1物質を通過する電荷または上記第1物質の電位の関数で示される光学特性を有することを特徴とするセンサ。
【請求項2】
上記第1物質および上記第2物質は、上記第1電極および上記第2電極の間において、電気的に直列であることを特徴とする請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
上記第1電極および上記第2電極の少なくとも1つは透明であることを特徴とする請求項1または2に記載のセンサ。
【請求項4】
上記第1電極および上記第2電極は、無線電気受信機に接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項5】
上記無線受信機は、電源に対して電磁結合するためのコイル(62,66)を備えていることを特徴とする請求項4に記載のセンサ。
【請求項6】
上記サンプルは、液体サンプルであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項7】
複数のセンサ部位を備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項8】
上記複数のセンサ部位は、上記サンプル中の複数の異なる被分析物に対して感度を有することを特徴とする請求項7に記載のセンサ。
【請求項9】
上記少なくとも1つの第1電極は、複数の上記第1電極を備えており、上記第1電極の少なくともいくつかは、互いに接続されていることを特徴とする請求項7または8に記載のセンサ。
【請求項10】
上記第1電極の少なくともいくつかは、共通のパターニングされていない電極の部分を備えていることを特徴とする請求項9に記載のセンサ。
【請求項11】
上記第1物質および上記第2物質の一方は、上記共通のパターニングされていない電極上に形成されている層を備えていることを特徴とする請求項10に記載のセンサ。
【請求項12】
上記第1物質および上記第2物質の他方は、上記第1物質および上記第2物質の一方の上に、上記複数のセンサ部位を形成する島状部として形成されていることを特徴とする請求項11に記載のセンサ。
【請求項13】
上記第1電極および上記第2電極(52、53)は、上記少なくとも1つのセンサ部位において、互いに入り込んでいることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項14】
上記第1電極および上記第2電極はそれぞれ、上記第1物質および上記第2物質によって被覆されていることを特徴とする請求項13に記載のセンサ。
【請求項15】
上記第1電極および上記第2電極は、上記サンプルが上記第2物質に対して接近できるよう隔てて設けられていることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項16】
上記第1電極および上記第2電極の少なくとも1つは、上記サンプルが通過する複数の穴(71)を有することを特徴とする請求項15に記載のセンサ。
【請求項17】
上記被分析物それぞれが拡散するように、上記第1電極と上記第2電極との間に配置されるゲルまたは固体(75)を備えていることを特徴とする請求項15または16に記載のセンサ。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1項に記載のセンサと、光学特性の値を読み取る光学式読み取り装置との組み合わせ。
【請求項19】
上記光学式読み取り装置は、上記第1物質に光学放射を照射する放射源(28)と、上記光学特性の値を検出する検出器(27)とを備えていることを特徴とする請求項18に記載の組み合わせ。
【請求項20】
上記光学放射は、赤外線放射、可視光放射、および紫外線放射の少なくとも1つであることを特徴とする請求項19に記載の組み合わせ。
【請求項1】
1つのサンプルの少なくとも1つの被分析物を検知する、少なくとも1つのセンサ部位を備えるセンサであって、
上記少なくとも1つのセンサ部位は、少なくとも1つの第1電極と少なくとも1つの第2電極(11、35、38、40、44、45、53、57、64、69、73、77、82)との間に配置された第1物質および第2物質を備え、上記少なくとも1つの第1電極および上記少なくとも1つの第2電極は、電流を受け取るように構成されており、
上記第2物質(12、36、39、41、65、70、74、78、82)は、上記サンプルと接触し、受け取った上記電流に応じて、上記サンプル中の上記被分析物の存在または量に従って、上記第2物質を通過する電荷または上記第2物質の電位を変化させるように構成されており、
上記第1物質(47、48、81)は、上記第1物質を通過する電荷または上記第1物質の電位の関数で示される光学特性を有することを特徴とするセンサ。
【請求項2】
上記第1物質および上記第2物質は、上記第1電極および上記第2電極の間において、電気的に直列であることを特徴とする請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
上記第1電極および上記第2電極の少なくとも1つは透明であることを特徴とする請求項1または2に記載のセンサ。
【請求項4】
上記第1電極および上記第2電極は、無線電気受信機に接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項5】
上記無線受信機は、電源に対して電磁結合するためのコイル(62,66)を備えていることを特徴とする請求項4に記載のセンサ。
【請求項6】
上記サンプルは、液体サンプルであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項7】
複数のセンサ部位を備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項8】
上記複数のセンサ部位は、上記サンプル中の複数の異なる被分析物に対して感度を有することを特徴とする請求項7に記載のセンサ。
【請求項9】
上記少なくとも1つの第1電極は、複数の上記第1電極を備えており、上記第1電極の少なくともいくつかは、互いに接続されていることを特徴とする請求項7または8に記載のセンサ。
【請求項10】
上記第1電極の少なくともいくつかは、共通のパターニングされていない電極の部分を備えていることを特徴とする請求項9に記載のセンサ。
【請求項11】
上記第1物質および上記第2物質の一方は、上記共通のパターニングされていない電極上に形成されている層を備えていることを特徴とする請求項10に記載のセンサ。
【請求項12】
上記第1物質および上記第2物質の他方は、上記第1物質および上記第2物質の一方の上に、上記複数のセンサ部位を形成する島状部として形成されていることを特徴とする請求項11に記載のセンサ。
【請求項13】
上記第1電極および上記第2電極(52、53)は、上記少なくとも1つのセンサ部位において、互いに入り込んでいることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項14】
上記第1電極および上記第2電極はそれぞれ、上記第1物質および上記第2物質によって被覆されていることを特徴とする請求項13に記載のセンサ。
【請求項15】
上記第1電極および上記第2電極は、上記サンプルが上記第2物質に対して接近できるよう隔てて設けられていることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項16】
上記第1電極および上記第2電極の少なくとも1つは、上記サンプルが通過する複数の穴(71)を有することを特徴とする請求項15に記載のセンサ。
【請求項17】
上記被分析物それぞれが拡散するように、上記第1電極と上記第2電極との間に配置されるゲルまたは固体(75)を備えていることを特徴とする請求項15または16に記載のセンサ。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1項に記載のセンサと、光学特性の値を読み取る光学式読み取り装置との組み合わせ。
【請求項19】
上記光学式読み取り装置は、上記第1物質に光学放射を照射する放射源(28)と、上記光学特性の値を検出する検出器(27)とを備えていることを特徴とする請求項18に記載の組み合わせ。
【請求項20】
上記光学放射は、赤外線放射、可視光放射、および紫外線放射の少なくとも1つであることを特徴とする請求項19に記載の組み合わせ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2010−185872(P2010−185872A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−10957(P2010−10957)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10957(P2010−10957)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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