説明

被搬送物仕分け装置及び被搬送物仕分け方法

【課題】スペース面、仕分け時間、ランニングコスト面のいずれにおいても有利な被搬送物仕分け装置及び被搬送物仕分け方法を提供する。
【解決手段】複数の被搬送物を一個ずつ搬送開始位置H1から搬送終了位置H2に渡る搬送経路に沿って搬送する搬送部Hと、該搬送部Hによって搬送される被搬送物を搬送経路から外れた位置で種別毎に一時保管する複数の第1保管部3と、搬送部Hによって搬送終了位置H2まで搬送されてきた所定種別の被搬送物を受け取って他の場所へ搬出するための第2保管部4とを備え、第1保管部3は、搬送経路に沿って配置され、第2保管部4は、搬送終了位置H2に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の被搬送物を複数の種別に仕分けるための被搬送物仕分け装置及び被搬送物仕分け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶の基板を製造している工場では、製造された基板は、品質に基づいてランク付けがされ、各基板に設けられたIDタグにランク情報が付与された後、カセットと言われる保管部に順次保管される。
このランク情報は、例えば品質毎に、Aランク、Bランク、…のように区別され、基板の種類や工程によっては80種類以上に及ぶ場合もある。
このため、保管部には色々な種別(ランク)の基板が混在して保管されることとなる。
従って、従来では、保管部に保管されている基板を種別毎に仕分けるために、該基板を種別毎に設けられた別の保管部に仕分けて保管し直していた。
例えば、特許文献1では、仕分けを行うための基板が混在して保管されたカセットと、仕分けたい種別分の空のカセットとを一列に配置し、それら一列に配置されたカセット群の前方にカセット群と平行に移動するように搬送ロボットを設置し、仕分けを行うための基板が混在して保管されたカセットの中から搬送ロボットが基板を一枚ずつ取り出し、その取り出した基板を保管したいカセットの位置まで搬送ロボットを移動させて保管する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平8−268512号公報(図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の構成では、複数のカセットを一列に配置するスペースの他に、搬送ロボットがカセットと平行に移動するための別の搬送ロボット用の移動スペースが必要になり、スペース効率が悪い不都合があった。
また、一枚の基板を搬送ロボットが空のカセットまで移動して保管した後、再度仕分けを行う基板が詰まったカセットまで搬送ロボットを移動させなければならず、仕分け時間が多くかかるだけでなく、搬送ロボットを往復移動させるためのランニングコストが多くかかる不都合があった。
【0004】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、スペース面、仕分け時間、ランニングコスト面のいずれにおいても有利な被搬送物仕分け装置及び被搬送物仕分け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、複数の被搬送物を種別に仕分けるための被搬送物仕分け装置であって、前記複数の被搬送物を一個ずつ搬送開始位置から搬送終了位置に渡る搬送経路に沿って搬送する搬送部を備え、該搬送部によって搬送される被搬送物を搬送経路から外れた位置で一時保管する複数の第1保管部を該搬送経路に沿って配置し、前記搬送部によって搬送終了位置まで搬送されてきた被搬送物を受け取って他の場所へ搬出するための第2保管部を備え、前記被搬送物の種別を記憶する記憶手段と、前記搬送部によって搬送される被搬送物の種別を該記憶手段に記憶されている種別情報に基づいて特定し該特定された種別に対応する前記第1保管部に該被搬送物を保管するための保管制御手段と、前記被搬送物が種別毎に順次保管される複数の第1保管部のうちの予め決められた設定保管数に達した第1保管部を検出する設定保管数検出手段と、該設定保管数検出手段によって検出された第1保管部に保管すべき被搬送物を該第1保管部へ保管することを止めて搬送終了位置まで搬送し該搬送された被搬送物を前記第2保管部へ保管する搬送制御手段とを備えていることを特徴としている。
また、複数の被搬送物を複数の種別に仕分けるための被搬送物仕分け方法であって、前記複数の被搬送物を一個ずつ搬送開始位置から搬送終了位置に渡る搬送経路に沿って搬送し、該搬送される被搬送物を種別毎に仕分けて一時保管し、種別毎に一時保管される被搬送物の保管数が予め設定された設定保管数に達すると、その達した種別の被搬送物を一時保管しないで搬送終了位置まで搬送し、該搬送終了位置まで搬送された被搬送物を受け取って保管することを特徴とする被搬送物仕分け方法であってもよい。
上記構成の被搬送物仕分け装置及び被搬送物仕分け方法によれば、複数の被搬送物を搬送経路に沿って搬送するだけで、それら被搬送物を複数の第1保管部へ振り分けて種別毎に一時保管することができる。前記被搬送物の保管中に、特定の第1保管部の保管数が設定保管数に達すると、設定保管数に達した特定の第1保管部への被搬送物の保管を止める。保管を止めた前記被搬送物が搬送部によって搬送されると、該被搬送物は搬送終了位置まで搬送された後、第2保管部に保管される。前記被搬送物が保管された第2保管部は他の場所へ搬出される。
【0006】
前記搬送制御手段によって被搬送物の保管が止められている第1保管部に保管されている被搬送物を一個ずつ搬送経路に送り出し、該送り出した被搬送物を搬送終了位置まで搬送して前記第2保管部に保管するための送出し制御手段を更に備えていてもよい。
上記のように、送出し制御手段が、第1保管部に保管されている被搬送物を一個ずつ送り出すことによって、該第1保管部内の被搬送物を少なくする又は該第1保管部内を空にすることができる。従って、第1保管部に被搬送物を再び保管することができ、被搬送物の仕分け作業を続行することができる。
また、前記被搬送物仕分け方法では、前記一次保管されている被搬送物の保管数が前記設定保管数に達すると、該一時保管されている被搬送物を一個ずつ搬送経路に送り出して搬送終了位置まで搬送し、該搬送された被搬送物と該一時保管しないで搬送終了位置まで搬送される同一の種別の被搬送物とを順次受け取って保管してもよい。
【0007】
前記搬送部は、被搬送物を搬送する搬送駆動部を備えた複数の搬送ユニットを搬送経路に沿って配設してなり、各搬送ユニットに前記第1保管部が設けられており、該第1保管部は、前記搬送駆動部にて搬送される被搬送物を下方から順次受け取って上方の保管位置まで移動させるとともに該移動された被搬送物を保管位置から下方の搬送位置まで移動させるための複数の受取部と、該受取部を上下動させるための昇降駆動部とを備えていてもよい。
上記のように、第1保管部を搬送経路上に位置させることができるから、複数の搬送ユニットを配置することができるスペースを確保するだけで、搬送部のスペース及び第1保管部のスペースの2つのスペースを平面内の同一位置に配置することができる。しかも、各搬送ユニットの駆動を独立して制御することができるから、被搬送物の搬送制御を的確に行うことができる。従って、スペース面及び制御面のいずれにおいても有利になる。
【0008】
前記搬送経路で隣り合う搬送ユニット間に補助搬送ユニットを備えていてもよい。
【0009】
複数の被搬送物を種別に仕分けるための被搬送物仕分け装置であって、前記複数の被搬送物を一個ずつ搬送開始位置から搬送終了位置に渡る搬送経路に沿って搬送する搬送部と、該搬送部によって搬送される被搬送物を搬送経路から外れた位置で前記種別毎に一時保管する複数の第1保管部と、前記搬送部によって搬送終了位置まで搬送されてきた所定種別の被搬送物を受け取って他の場所へ搬出するための第2保管部とを備え、前記第1保管部は、前記搬送経路に沿って配置され、前記第2保管部は、前記搬送終了位置に配置されていることを特徴とする被搬送物仕分け装置であってもよい。
前記被搬送物仕分け装置では、搬送される被搬送物を第1保管部に一時保管し、第1保管部に一時保管されずに搬送終了位置まで搬送されてきた所定種別の被搬送物を第2保管部で受け取って他の場所へ搬出することができる。前記所定種別の被搬送物とは、第1保管部に一時保管される複数の種別の被搬送物のうちの一部の種別の被搬送物をいう。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の被搬送物を搬送経路に沿って搬送するだけで、それら被搬送物を搬送経路内で複数の第1保管部へ振り分けて種別毎に一時保管することができるだけでなく、一時保管されずに搬送終了位置まで搬送されてきた所定種別の被搬送物を第2保管部で受け取り、受け取った所定種別の被搬送物を他の場所へ搬出することができる。
従って、被搬送物の仕分けから搬出までを搬送ロボットを用いることなく、連続して行うことができるだけでなく、搬送ロボットが移動するための移動スペースを不要にすることができるとともに、搬送ロボットをカセット間で往復移動させるためのランニングコストも不要になる。このことから、スペース面、仕分け時間、ランニングコスト面のいずれにおいても有利な被搬送物仕分け装置及び被搬送物仕分け方法を提供することができる。
また、第1保管部に保管する被搬送物が設定保管数になると、その達した種別の被搬送物を一時保管することを止めて搬送終了位置まで搬送し該搬送された被搬送物を前記第2保管部へ保管することによって、例えば第1保管部が満杯状態になった場合でも、第2保管部へ保管することができるから、被搬送物の仕分け作業を続行することができる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の被搬送物仕分け装置の一実施形態について図面を参酌しつつ説明する。
前記被搬送物仕分け装置は、複数の被搬送物を種別毎に仕分ける装置である。前記被搬送物として、クリーンルーム内で製造・仕分け作業を行う液晶の基板を例に挙げて説明するが、その他の仕分けが必要となる電気機器などであってもよい。
【0012】
図1は、無人工場内に、前記被搬送物仕分け装置Sが設置されている平面図を示す。
製造された液晶の基板は、品質が判定され、各基板に設けられたIDタグに種別(ランク)情報が付されてからカセット1へ順番に保管される。このとき、カセット1にどの種別の基板がどの順番で保管されたかを後述するIDリーダーで読み取り、保管情報を後述する記憶手段に記憶する。
そして、図1において、カセット1は直線状の搬送路2によって搬送され、2点鎖線で示す位置に来た場合に矢印Xのように移動され搬送開始位置H1に並設された状態となる。また、搬送終了位置H2に配置している後述する第2保管部4(A),4(B)が基板で満杯になった場合には、第2保管部4は矢印Yのように移動され2点鎖線で示す位置まで移動すると、前記搬送路2によって所定の場所まで搬送される。
【0013】
前記被搬送物仕分け装置Sは、前記カセット1からの基板を搬送開始位置H1から搬送終了位置H2に渡る搬送経路に沿って搬送する搬送部Hと、搬送部Hにて搬送される被搬送物を搬送経路から外れた位置(搬送経路の上方位置)にて一時保管する18個の第1保管部3と、前記搬送部Hにて搬送終了位置まで搬送されてきた被搬送物を受け取って他の場所へ搬出するための2個の第2保管部4とを備えている。尚、前記18個の第1保管部3はそれぞれ、対応する種別、具体的には、ランクA〜ランクRのうちの対応するランクの基板を保管できるようになっている。また、前記第2保管部4(A),4(B)には、何れかの第1保管部3に保管されている基板が保管されるようになっており、この実施形態ではランクAの基板及びランクBの基板がそれぞれ保管される。
【0014】
前記搬送部Hは、図1において搬送始端部H1に位置する前記カセット1から送り出された基板を第1番目に位置する第1保管部3(A)まで搬送する3台のローラコンベア5,6,7と、前記第1番目の第1保管部3(A)から数えて9番目に位置する第1保管部3(I)から10番目に位置する第1保管部3(J)まで搬送する2台のローラコンベア8,9と、第18番目に位置する第1保管部3(R)からの基板を第2保管部4(A)又は4(B)まで搬送する3台のローラコンベア10,11,12とを備えている。
そして、各第1保管部3は、側面図を図7(a)に示すように、基板Zを搬送する搬送駆動部を構成する4本の駆動ローラ13を搬送幅方向の軸芯回りに駆動回転自在に備えた搬送ユニット14を備えており、これら搬送ユニット14によって、第1保管部3にて形成される搬送経路に沿って基板Zを搬送することができるようになっている。前記各搬送ユニット14に第1保管部3を備えることによって、搬送ユニット14と第1保管部3とを上下方向で重複する状態で一体化している。つまり、搬送ユニット14のスペースと第1保管部3のスペースの2つのスペースを平面内の同一位置に設置することができる。前記各駆動ローラ13は、図6に示すように、第1保管部3の両側に立設された左右一対の固定部材13B,13Bに駆動回転自在に支持された回転軸13Aと、この回転軸13Aの長手方向に間隔をおいて回転軸13Aに一体回転自在に取り付けられた3個の回転体13aとからなっている。
【0015】
前記第1保管部3は、図6及び図7(a)〜(d)に示すように、前記駆動ローラ13にて搬送される基板Zを下方から支持可能な受取部15と、基板Zを受取部15で支持したまま前記第1保管部3を上下動させるための昇降駆動部16とを備えている。なお、本実施例では受取部15を9本のワイヤで構成し、昇降駆動部16はリンク式で構成している。
【0016】
前記昇降駆動部16は、前記第1保管部3の下端と床面上に設置された固定部材13Cとの間に配設されたパンタグラフからなっている。
このパンタグラフは、図7(a)〜(d)の側面図において、X字リンクの2組を上下方向で連結し、これら上下方向で連結されたリンク体を図6に示すように左右方向に間隔を置いて配置すると共に両リンク体を連結した構成になっている。前記X字リンクは、2本のリンク16A,16Aの中間部がピン16Pを介して連結され、又、両リンク体は、6本の連結ロッド16Rを介して連結されている。
なお、前記上側の2本のリンク16A,16Aの上端それぞれが、前記第1保管部3の下端の搬送方向前後に配設された一対のブラケット16C,16Cに前記連結ロッド16Rを介して軸支され、又下側の2本のリンク16A,16Aの下端それぞれが、前記固定部材13Cの上面の前後に配設された一対のブラケット16D,16Dに前記連結ロッド16Rを介して軸支されている。
【0017】
また、前記第1保管部3は、その枠体が図5に示すように、下部に所定間隔を置いて平行に配置した2組のフレーム17a,17b、17c,17dからなる矩形状の下枠17と、上部に所定間隔を置いて平行に配置した2組のフレーム18a,18b、18c,18dからなる矩形状の上枠18と、上枠18と下枠17との対向する角部同士をそれぞれ連結する縦フレーム19a,19b,19c,19dと、縦フレーム19a,19b,19c,19dに平行で、かつ、搬送幅方向に所定の間隔で並んでフレーム17aと18a及び17cと18cをそれぞれ連結する縦フレーム20a,20b,20c及び21a,21b,21cと、から構成される。なお、枠体の上枠18及び下枠17は、基板Zよりも外周寸法が大きく、また、縦フレーム20a,20b,20c及び21a,21b,21cは互いに平行であり、前記所定の間隔は搬送ローラ13が干渉しないよう搬送ローラ13の直径よりも充分広くなっている。
そして、前記第1保管部3は、前記搬送幅方向の両側に位置する縦フレーム19a,20a、19b,20b、19c,20c間にそれぞれ、3本の前記ワイヤ15を上下3箇所に同一高さ位置となるように張設して、合計9本のワイヤ15を備えている。
このように前記枠体の搬送幅方向両端に位置するフレーム19a,20a,20b,20c,19b及び19d,21a,21b,21c,19cが駆動ローラ13にて搬送される基板Zの搬送幅方向両端よりも外側に位置しているため、基板Zの搬送時に後述のように枠体が昇降しても基板Zが枠体に当接するようなことがなく、スムーズな搬送を行うことができるようになっている。
【0018】
従って、図7(a)に示すように、基板Zが駆動ローラ13上で停止した状態で、昇降駆動部16を設定時間駆動して上昇させることにより、図7(b)に示すように、前記枠体に備えさせた3本のワイヤ15にて基板Zを上方の保管位置まで持ち上げるようにしている。
そして、3本のワイヤ15が基板Zの搬送経路から少し上方に位置していることから、ワイヤ15が基板Zの搬送に支障を来たすことがなく、良好な搬送が行えるようになっている。図7(c)では、2枚目の基板Zを保管するために、前記同様に駆動ローラ13上で基板Zが停止した状態で、更に昇降駆動部16を設定時間駆動して上昇させることにより、2段目に備える3本のワイヤ15にて基板Zを上方の保管位置まで持ち上げた場合を示している。又、図7(d)では、3枚目の基板Zを保管するために、前記同様に駆動ローラ13上で基板Zが停止した状態で、更に昇降駆動部16を設定時間駆動して上昇させることにより、3段目に備える3本のワイヤ15にて基板Zを上方の保管位置まで持ち上げた場合を示している。ここでは、3段階に枠体を昇降させることにより、3枚の基板Zを保管することができるようにしている。尚、図7(a),(b),(c)に示すように、駆動ローラ13の上面よりもワイヤ15が少し下がった位置に位置していることにより、ワイヤ15が基板Zに干渉することがなく、基板Zを良好に搬送することができるようになっている。
【0019】
前記基板Zの保管状態が、図2に示されている。図2では、搬送経路に沿って配置された枠体が、基板Zの搬送ラインLRに対して昇降した状態を示している。そして、3枚の基板Zが保管された状態になっているのが、第10番目に位置する第1保管部3(J)、第14番目に位置する第1保管部3(N)、第16番目に位置する第1保管部3(P)である。
又、2枚の基板Zが保管された状態になっているのが、第11番目に位置する第1保管部3(K)、第13番目に位置する第1保管部3(M)、第15番目に位置する第1保管部3(O)、第18番目に位置する第1保管部3(R)である。
又、基板Zが全く保管されていない状態になっているのが、第12番目に位置する第1保管部3(L)、第17番目に位置する第1保管部3(Q)である。なお、図2では、基板Zの搬送ラインLRに対する枠体の上下位置を単に例示しているだけであり、図4のフローチャートによる基板Zの保管動作との関連性はないものとする。
【0020】
また、前記第1保管部3は、それに保管されている3枚の基板Zを前記駆動ローラ13にて搬送経路に送り出すことができるように構成されている。つまり、前記昇降駆動部16を前記とは反対方向に設定時間駆動することにより枠体を前記のように一段ずつ下降させて、一枚ずつ基板Zを駆動ローラ13の下面に接触させることで搬送経路に送り出すことができるようにしている。なお、図7では基板Zは3枚だけ保管可能となっているが、基板Zの最大保管数は、枠体の大きさやワイヤ15の本数を変えることにより適宜変更が可能である。
【0021】
前記被搬送物仕分け装置は、複数の基板Zをその種別毎に仕分けるために必要となる制御部Uを備えている。この制御部Uは、図3に示すように、製造後の基板Zの品質を判定し、その判定結果に基づいて決定された基板Zの種別(ランク)を記憶する記憶手段22と、該記憶手段22に記憶されている種別情報に基づいて前記搬送部Hにて搬送される基板Zの種別を特定し該特定された種別に対応する前記第1保管部3に該基板Zを保管するための保管制御手段23と、前記基板Zが種別毎に順次保管される複数の第1保管部3のうちの設定保管数に達した第1保管部3を検出する設定保管数検出手段24と、該設定保管数検出手段24によって検出された第1保管部3へ新たに基板Zを保管することを防止し、かつ、搬送終了位置まで基板Zを搬送し、前記第2保管部4へ保管する搬送制御手段25とを備えている。
前記搬送部Hにて搬送される基板Zの種別を特定するには、前記ローラコンベア5,6に備えているIDリーダー26(図1参照)によって搬送される基板Zに付加されたID番号や種別情報を読み取ることになる。尚、前記第2保管部4は、前記第1保管部3と同一構成(図5及び図6で示す構成と同一)であり、第1保管部3と同様に図3に示す昇降駆動部28及びローラコンベア(図7参照)を備えている。
【0022】
また、制御部Uは、設定保管数(ここでは3枚)に達している第1保管部3に保管されている基板Zを一枚ずつ搬送経路に送り出し、搬送終了位置まで搬送して前記第2保管部4に保管するための送出し制御手段27を更に備えている。
【0023】
従って、基板Kを種別毎に各第1保管部3に保管する場合には、保管制御手段23は、ローラコンベア5〜9及び第1保管部3のローラコンベア13の駆動及び駆動停止を制御し、基板Zが例えば図7(a)のように保管すべき種別の第1保管部3に搬送されると、ローラコンベア13の駆動を停止させる。そして、昇降駆動部16を作動させて、第1保管部3を図7(b)のように駆動させて基板下側をワイヤ15で支持することによって基板Zを保管する。
また、特定の第1保管部3の基板Zが設定保管数(3枚)に達すると、該設定保管数に達した第1保管部3へ該基板Zを保管することを止めて第2保管部4まで搬送する。この搬送されてきた基板Zは、前記第2保管部4に受け取られて保管する。この場合、搬送制御手段25は、前記ローラコンベア5〜9及び第1保管部3のローラコンベア13を駆動する他、搬送終端側のローラコンベア10,11,12及び第2保管部4のローラコンベアを駆動する。そして、前記第2保管部4に基板Zが移動すると、第2保管部4のローラコンベア(図示せず)の駆動を停止してから、第1保管部3と同様に第2保管部4の昇降駆動部28を作動させて基板Zを保管する。実際には、前記ローラコンベア5〜12及び第1保管部3並びに第2保管部4には、搬送される基板Zが位置したことを検出するセンサ(図示せず)が設けられており、それらセンサからの検出情報が前記制御部Uに入力されることにより、昇降駆動部16,28及びローラコンベア5〜12及び第1保管部3のローラコンベア13並びに第2保管部4のローラコンベア(図示せず)の駆動を制御するようにしている。
【0024】
図4に示すフローチャートに基づいて前記のように構成された制御部Uにて基板Zを仕分けして所定の第1保管部3に保管する動作を説明する。
まず、図1に示す状態、つまり、基板Zを一時保管するための2台のカセット1,1が搬送開始位置H1に配置され、基板Zを他の場所に搬出するための2台の第2保管部4,4が搬送終了位置H2に配置された状態にする。
この状態になると、制御部Uは、仕分け開始であるか否かを判別し(ステップS1)、仕分け開始であると判別した場合には、搬送部Hの駆動を開始する(ステップS2)。そして、例えば、図1の2台のカセット1,1のうちの一方のカセット1から保管されている基板Zを一枚ずつローラコンベア5に送り出す(ステップ3)。送り出された基板Zは、ローラコンベア5によって次のローラコンベア6まで搬送される。搬送されてきた基板Zの種別情報が、IDリーダー26によって読み取られ、読み取られた種別情報は制御部Uに出力され、出力された種別情報が制御部Uによって確認される(ステップS4)。前記確認した種別情報に基づいて18個の第1保管部3の中から該種別情報を有する基板Zを保管する第1保管部3を特定する。
そして、特定された第1保管部3に基板Zが到着したことが判別されると(ステップ5)、基板Zの搬送を停止し(ステップS6)、前述のように昇降駆動部16を作動させて基板Zを上方の保管位置へ移動させて保管する(ステップS7)。このとき、前記設定保管数検出手段24を用いて保管された第1保管部3における基板Zの保管数を検出し、前記特定の第1保管部3が満杯になったか否かを確認し(ステップS8)、満杯ではない場合には、停止している搬送部Hの駆動を再開して(ステップS9)、前述のように確認した種別情報に基づいて基板Zを第1保管部3に保管する。
【0025】
前記特定の第1保管部3、例えば種別がランクAの基板Zを保管している第1保管部3(搬送方向第1番目に位置する保管部)が満杯になると、搬送制御手段25によって、前記その満杯になった第1保管部3へのランクAの基板Zの保管を止め、搬送経路に沿って搬送されてくるランクAの基板Zを搬送終了位置まで搬送する制御を行う。そして、ランクA以外の他の基板Zについては、種別に応じた第1保管部3へ保管するべく搬送部Hの駆動を再開して(ステップS10)、次の基板Zの搬送を行う。このとき、前記送出し制御手段27を作動させて、満杯になった特定の第1保管部3、即ち種別がランクAの基板Zを保管している第1保管部3からランクAの基板Zを搬送経路へ送り出す(ステップS11)。前記送り出されたランクAの基板Z及びカセット1からランクAの基板Zが搬送されると、前記搬送制御手段25は、前記のように第1保管部3へのランクAの基板Zの保管を止めるとともに、ランクAの基板Zを第2保管部4まで搬送し、ランクAの基板Zが第2保管部4に到着する(ステップS12)。
ランクAの基板Zが第2保管部4に到着すると、ランクAの基板Zの搬送を停止し(ステップS13)、第2保管部4の昇降駆動部28を駆動して(ステップS14)、第2保管部4にランクAの基板Zを保管する。
【0026】
このとき、第2保管部4におけるランクAの基板Zの保管数を、前記設定保管数検出手段24と同一構成の設定保管数検出手段(図示せず)を用いて検出し、前記特定の第2保管部4が満杯になったか否かを確認し(ステップS15)、満杯ではない場合には、第1保管部3からのランクAの基板Zの送り出し及びカセット1からの基板Zの搬送を再開して(ステップS9)、次に保管する基板Zを前述同様に特定された第1保管部3へ保管するように基板Zを搬送する。
【0027】
前記制御部Uは、前記特定の第2保管部4、つまりランクAの基板Zを保管する第2保管部4が満杯になったことを判別すると、搬送部Hの駆動を一旦停止(ステップS16)して制御を終了する。そして、前記満杯になった第2保管部4を前記搬送路2を介して他の場所まで移動するとともに、空の第2保管部4を搬送終了位置H2に補充することによって、前記仕分け作業を再開する。尚、前記説明では、一種類の基板Z(ランクAの基板Z)を第2保管部4に保管して他の場所へ搬出する場合のみを説明したが、図1に示す第2番目の第1保管部3(B)がランクBの基板Zで満杯になり、ランクAの基板Zに続いてランクBの基板Zを第2保管部4(B)に保管し、該第2保管部4(B)がランクBの基板Zで満杯になると、この第2保管部4(B)を前記のように他の場所まで移動することによって、2種類の基板を他の場所へ移動することができるが、1種類又は3種類以上の基板Zを他の場所へ移動させる構成であってもよい。
【0028】
前記搬送経路において隣り合う搬送ユニット間、つまり第1保管部3,3間に補助搬送ユニット(図示せず)を備えて実施することによって、補助搬送ユニットを移動させて搬送ユニット間に隙間を持たせることでメンテナンスする上において有利になるだけでなく、制御の精度も多少ラフにしても基板の停止時において基板とのスリップ等に起因する基板同士の当接などが発生することを抑制し易い利点がある。前記補助搬送ユニットとして、例えば搬送ユニットよりも搬送長さが短い搬送ユニットから構成し、その補助搬送ユニットをフリーローラ等の非駆動式の案内ユニットで構成することが好ましいが、駆動ローラ等からなる駆動案内装置で構成することもできる。
【0029】
図3及び図4では、満杯になった第1保管部3の基板Zを仕分け制御中に送出し制御手段27によって送り出す場合を示したが、図8に示すように、仕分け制御中に送出し制御を行わず(図4のステップS11を省略している)、制御が一旦終了した時点で満杯になった第1保管部3の基板Zを第2保管部4へ送り出すようにしてもよい。尚、第1保管部3が満杯になった場合の制御について説明したが、満杯ではなく、設定数の基板Zが第1保管部3に保管された場合に、前記のように設定数になった第1保管部3への基板Zの保管を止めるようにしてもよい。また、満杯又は設定数となる具体的な数については特に限定されない。
【0030】
また、前記第1保管部3に設定数の基板Zが保管されることにより、設定数となった第1保管部3への基板Zの保管を止める搬送制御手段25を備えたが、搬送制御手段25を省略してもよい。つまり、前記搬送経路に沿って配置された複数の第1保管部3と、搬送終了位置H2に配置された第2保管部4とを備え、第1保管部3に基板Zを一時保管しながら、この一時保管する基板Zのうちの所定種別の基板Zを第2保管部4へも順次保管するように構成してもよい。例えば第1保管部3とこれと同一種別の基板Zを保管する第2保管部4とに基板Zを交互に保管する制御であってもよい。また、第2保管部4を先に基板Zで満杯にしてから、この第2保管部4と同一種別の基板Zを保管する第1保管部3に保管するような制御をするようにしてもよい。この場合、仕分けたい総数に対して多い種別の基板Zを制御する前に制御部によって把握しておき、その多い種別の基板Zから第2保管部4に保管することによって、仕分け作業を効率よく行うことができる利点がある。
【0031】
前記カセット1及び第2保管部4のそれぞれを、第1保管部3と同一構成のものから構成したが、異なる構成のものから構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】被搬送物仕分け装置の概略平面図である。
【図2】被搬送物仕分け装置の概略側面図である。
【図3】制御ブロック図である。
【図4】被搬送物仕分け装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】第1保管部の上部の構成を示す概略図である。
【図6】第1保管部を基板の搬送方向から見た概略図である。
【図7】(a),(b),(c),(d)は第1保管部の昇降状態を示す説明図である。
【図8】被搬送物仕分け装置の別の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0033】
1…カセット、2…搬送路、3…第1保管部、4…第2保管部、5〜12…ローラコンベア、13…駆動ローラ、13A…回転軸、13a…回転体、13B…固定部材、14…搬送ユニット、15…ワイヤ(受取部)、16,28…昇降駆動部、16A…リンク、16C,16D…ブラケット、16P…ピン、16R…連結ロッド、17…下枠、17a,17b,17a,17c…フレーム、18…上枠、18a,17a…フレーム、19a,19b,19c,19d…縦フレーム、19a,20a,20b,20c,19b…フレーム、22 …記憶手段、23…保管制御手段、24…設定保管数検出手段、25…搬送制御手段、26…IDリーダー、27…制御手段、H…搬送部、Z…基板、S…被搬送物仕分け装置、U…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被搬送物を種別に仕分けるための被搬送物仕分け装置であって、
前記複数の被搬送物を一個ずつ搬送開始位置から搬送終了位置に渡る搬送経路に沿って搬送する搬送部を備え、該搬送部によって搬送される被搬送物を搬送経路から外れた位置で一時保管する複数の第1保管部を該搬送経路に沿って配置し、前記搬送部によって搬送終了位置まで搬送されてきた被搬送物を受け取って他の場所へ搬出するための第2保管部を備え、
前記被搬送物の種別を記憶する記憶手段と、前記搬送部によって搬送される被搬送物の種別を該記憶手段に記憶されている種別情報に基づいて特定し該特定された種別に対応する前記第1保管部に該被搬送物を保管するための保管制御手段と、前記被搬送物が種別毎に順次保管される複数の第1保管部のうちの予め決められた設定保管数に達した第1保管部を検出する設定保管数検出手段と、該設定保管数検出手段によって検出された第1保管部に保管すべき被搬送物を該第1保管部へ保管することを止めて搬送終了位置まで搬送し該搬送された被搬送物を前記第2保管部へ保管する搬送制御手段とを備えていることを特徴とする被搬送物仕分け装置。
【請求項2】
前記搬送制御手段によって被搬送物の保管が止められている第1保管部に保管されている被搬送物を一個ずつ搬送経路に送り出し、該送り出された被搬送物を搬送終了位置まで搬送して前記第2保管部に保管するための送出し制御手段を更に備えている請求項1記載の被搬送物仕分け装置。
【請求項3】
前記搬送部は、被搬送物を搬送する搬送駆動部を備えた複数の搬送ユニットを搬送経路に沿って配設してなり、各搬送ユニットに前記第1保管部が設けられており、該第1保管部は、前記搬送駆動部にて搬送される被搬送物を下方から順次受け取って上方の保管位置まで移動させるとともに該移動された被搬送物を保管位置から下方の搬送位置まで移動させるための複数の受取部と、該受取部を上下動させるための昇降駆動部とを備えている請求項2記載の被搬送物仕分け装置。
【請求項4】
前記搬送経路で隣り合う搬送ユニット間に補助搬送ユニットを備えている請求項3記載の被搬送物仕分け装置。
【請求項5】
複数の被搬送物を種別に仕分けるための被搬送物仕分け装置であって、
前記複数の被搬送物を一個ずつ搬送開始位置から搬送終了位置に渡る搬送経路に沿って搬送する搬送部と、該搬送部によって搬送される被搬送物を搬送経路から外れた位置で前記種別毎に一時保管する複数の第1保管部と、前記搬送部によって搬送終了位置まで搬送されてきた所定種別の被搬送物を受け取って他の場所へ搬出するための第2保管部とを備え、
前記第1保管部は、前記搬送経路に沿って配置され、前記第2保管部は、前記搬送終了位置に配置されていることを特徴とする被搬送物仕分け装置。
【請求項6】
複数の被搬送物を複数の種別に仕分けるための被搬送物仕分け方法であって、
前記複数の被搬送物を一個ずつ搬送開始位置から搬送終了位置に渡る搬送経路に沿って搬送し、該搬送される被搬送物を種別毎に仕分けて一時保管し、
種別毎に一時保管される被搬送物の保管数が予め設定された設定保管数に達すると、その達した種別の被搬送物を一時保管しないで搬送終了位置まで搬送し、該搬送終了位置まで搬送された被搬送物を受け取って保管することを特徴とする被搬送物仕分け方法。
【請求項7】
前記一次保管されている被搬送物の保管数が前記設定保管数に達すると、該一時保管されている被搬送物を一個ずつ搬送経路に送り出して搬送終了位置まで搬送し、該搬送された被搬送物と該一時保管しないで搬送終了位置まで搬送される同一の種別の被搬送物とを順次受け取って保管することを特徴とする請求項6記載の被搬送物仕分け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−70328(P2010−70328A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−240304(P2008−240304)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】