説明

被検査物の検査方法、検査用プログラム及び検査装置

【課題】本発明は、被検査物の欠陥を確度よく能率的に検査可能な被検査物の検査方法を提供することを目的としている。
【解決手段】本発明の一つの態様は、被検査物を探傷し得られた被検査物画像に基づき被検査物画像データを生成する被検査物画像生成ステップと、同一寸法を有する複数の画像を被検査物画像から抽出するように複数の抽出画像データを含む抽出画像データ群を生成する画像抽出ステップと、抽出画像データ群から一の抽出画像データを選択し、検査画像データとする検査画像選択ステップと、検査画像データとして選択された抽出画像データ以外の抽出画像データのうち二以上の抽出画像データを抽出画像データ群から選択し、その二以上の抽出画像データを平均化処理して基準画像データを生成する基準画像生成ステップと、検査画像データと基準画像データとを比較し欠陥を検出する欠陥検出ステップとを含む被検査物の検査方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物の欠陥検査を行う欠陥検査方法、検査用プログラム及び検査装置の技術分野に属する発明である。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野に属する従来技術の一例が下記特許文献1に開示されている。同一パターンを持つ薄板パターン製品について外観の良、不良の判定を能率的に精度よく行うという課題を解決する特許文献1の薄板パターン製品の外観検査装置は、パターンマッチング技術を応用した検査装置であり、「画像処理を用いて複数の同一パターンを持つ薄板パターン製品の外観検査をする外観検査装置であって、薄板パターン製品から抽出した同一パターン部の画像同士を比較して不良抽出処理を行う不良抽出処理手段を有」し、薄板パターン製品の表面を撮像し、撮像画像を画像処理して得られた処理画像から複数の同一パターンを抽出し、抽出された複数の同一パターンから選択された一の基準パターンと比較して比較パターンの良、不良判定を行うよう構成されている。かかる検査装置によれば、単一の薄板パターン製品内に同一パターン部が複数存在する場合について、その同一パターン部の画像同士の比較により薄板パターン製品の良、不良の判別を行えるので、予め1枚の良品薄板パターン製品を抽出しそのデータを憶え込ませておくといった手間が不要となって、薄板パターン製品の外観の良、不良判定を能率的に行うことが可能となると特許文献1には記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−48141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の検査装置は、複数の同一パターンから選択された一のみの基準パターンと比較して比較パターンの良否を判別するよう構成されているため、判別の確度について問題がある。すなわち、薄板パターン製品の表面形状や表面粗さなどのバラツキまたは検査における不可避の外乱に起因するノイズや欠陥データが撮像されたパターンの画像に存在する場合に、当該ノイズや欠陥データが重畳した基準パターンに基づいて良否判別を行うと、良品を不良品と判別し製造歩留りが低下したり、不良品を良品と判別し市場に不良品が流出するという問題が生じる。このノイズや欠陥データは、撮像された画像に適宜な画像処理を施すことにより低減できる可能性があるが、パターン間でノイズや欠陥データの態様が異なる場合には、パターン毎に除去すべきノイズや欠陥データを決定する工程を別途付加する必要があり、検査効率の低下を招く。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点を鑑みてなされた発明であり、被検査物の欠陥を確度よく能率的に検査可能な被検査物の検査方法、検査用プログラム及び検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様は、被検査物の欠陥を検査する方法であって、被検査物を探傷し得られた被検査物画像に基づき被検査物画像データを生成する被検査物画像生成ステップと、 同一寸法を有する複数の画像を被検査物画像から抽出するように被検査物画像データを処理し、複数の抽出画像データを含む抽出画像データ群を生成する画像抽出ステップと、抽出画像データ群から一の抽出画像データを選択し、検査画像データとする検査画像選択ステップと、検査画像データとして選択された抽出画像データ以外の抽出画像データのうち二以上の抽出画像データを抽出画像データ群から選択し、その二以上の抽出画像データを平均化処理して基準画像データを生成する基準画像生成ステップと、検査画像データと基準画像データとを比較し欠陥を検出する欠陥検出ステップとを含み、前記検査画像選択ステップ、基準画像生成ステップ及び欠陥検出ステップを順次繰り返し被検査物画像から欠陥を検出する被検査物の検査方法である。
【0007】
かかる検査方法によれば、被検査物画像生成ステップにおいて生成された被検査物画像データは、同一寸法を有する複数の画像が被検査物画像から抽出されるよう画像抽出ステップにおいて加工され、抽出された複数の抽出画像により抽出画像データ群が生成される。この抽出画像データ群に含まれる一の抽出画像データが検査の対象となる検査画像データとして検査画像選択ステップで選択される。さらに、この検査画像データとして選択された抽出画像データ以外の抽出画像データに基づいて基準画像生成ステップにおいて上記検査画像データと対比される基準画像データが生成され、欠陥検出ステップにおいて検査画像データと基準画像データとを比較することにより所定の欠陥が検出される。そして、上記検査画像選択ステップ、基準画像生成ステップ及び欠陥検出ステップを順次繰り返して全ての抽出画像データの欠陥を検出し、被検査物画像の全体を検査することが可能となる。
【0008】
ここで、上記検査方法では、基準画像生成ステップにおいて、検査画像データとして選択された抽出画像データ以外、すなわち残余の抽出画像データの中で二以上の抽出画像データを選択し、その二以上の抽出画像データを平均化処理して基準画像データを生成するので、抽出画像データに重畳したノイズや欠陥データが平均化されて低減され欠陥検出の確度を高めることが可能となり、これらを除去するため特別な工程を付加することなく効率的に検査を行うことができる。
【0009】
上記検査方法は、コンピュータに下記ステップを実行させて被検査物の欠陥を検査するための本発明に係わる検査用プログラムにより好適に実施することができる。
(1)被検査物を探傷し得られた被検査物画像に基づき被検査物画像データを生成する被検査物画像生成ステップ
(2)同一寸法を有する複数の画像を前記被検査物画像から抽出するように前記被検査物画像データを処理し、複数の抽出画像データを含む抽出画像データ群を生成する画像抽出ステップ
(3)前記抽出画像データ群から一の抽出画像データを選択し、検査画像データとする検査画像選択ステップ
(4)前記検査画像データとして選択された抽出画像データ以外の抽出画像データのうち二以上の抽出画像データを前記抽出画像データ群から選択し、その二以上の抽出画像データに基づき基準画像データを生成する基準画像生成ステップ
(5)前記検査画像データと前記基準画像データとを比較し欠陥を検出する欠陥検出ステップ
(6)前記検査画像選択ステップ、基準画像生成ステップ及び欠陥検出ステップを順次繰り返し実行させるステップ
【0010】
また、上記検査方法は、被検査物の欠陥を検査する装置であって、被検査物を探傷し得られた被検査物画像が伝送される画像解析手段を備え、前記画像解析手段は、前記被検査物画像に基づき被検査物画像データを生成する被検査物画像生成部と、同一寸法を有する複数の画像を前記被検査物画像から抽出するように前記被検査物画像データを処理し、複数の抽出画像データを含む抽出画像データ群を生成する画像抽出部と、前記抽出画像データ群から一の抽出画像データを選択し、検査画像データとする検査画像選択部と、前記検査画像データとして選択された抽出画像データ以外の抽出画像データのうち二以上の抽出画像データを前記抽出画像データ群から選択し、その二以上の抽出画像データに基づき基準画像データを生成する基準画像生成部と、前記検査画像データと前記基準画像データとを比較し欠陥を検出する欠陥検出部とを含む被検査物の検査装置により好適に実施することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係わる被検査物の検査方法、検査用プログラム及び検査装置は上記説明のとおり構成されているので、被検査物の欠陥を確度よく能率的に検査可能な被検査物の検査方法、検査用プログラム及び検査装置を提供するという本発明の課題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る検査装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示す画像解析手段のブロック図である。
【図3】図1に示す画像解析手段の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】図1の検査装置の動作を説明するための図である。
【図5】図1の検査装置の動作を説明するための別の図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る検査装置の概略構成を示す図である。
【図7】図6に示す画像解析手段のブロック図である。
【図8】図6の検査装置の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明を、その第1実施形態および第2実施形態に基づき図面を参照しつつ説明する。なお、第1実施形態は平板状の被検査物、第2実施形態は円筒状の被検査物の表面を光学的に撮像し、その撮像画像を画像処理して当該表面に生じた欠陥を検出する検査装置を対象に説明するが、これら実施形態に本発明は限定されることなく、例えば超音波探傷やX線やγ線などの放射線探傷で得られた探傷画像を画像処理して欠陥を検出する検査装置その他これらに準ずる検査装置には同様に適用することができる。また、第1実施形態および第2実施形態の検査装置、検査方法および検査用プログラムの各構成要素は、本発明の要旨を逸しない範囲で適宜組み合わせて実施することができる。
【0014】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について図1〜5に基づいて説明する。図1に示す検査装置10は、表面に欠陥を有する平板状の被検査物W1がセットされるステージ20と、ステージ20にセットされた被検査物W1の上方に配置され被検査物W1を撮像し被検査物画像を取得する撮像手段(探傷手段)としてのCCDカメラ30と、CCDカメラ30に通信回線を介して接続されCCDカメラ30から伝送された被検査物画像に基づき被検査物の欠陥を検出する画像解析手段40を有している。水平移動軸であるX軸及びY軸に外周辺縁が沿うように被検査物W1がセットされたステージ20は、移動制御手段50により位置及び速度制御されつつ被検査物W1をX軸及びY軸方向に水平移動可能なように構成されている。CCDカメラ30のレンズ倍率・受光素子の画素数などの仕様は、検出すべき欠陥の大きさにより求められる分解能、検査効率、装置コストなどを考慮し適宜設定されうるが、第1実施形態のCCDカメラ30は、被検査物W1の一領域を撮像可能な視野を有し、もって、第1実施形態では被検査物W1をステージ20で適宜に送りながら撮像し、被検査物W1の全面を撮像するよう構成されている。なお、所望の分解能で広範囲の視野を持つCCDカメラであれば、被検査物W1の全体を一括して撮像しても構わない。
【0015】
上記画像解析手段40は、具体的にはキーボードやポインティングデバイスなどのデータ入力手段及び画像データその他各種のデータを表示する表示手段(いずれも不図示)を備えたコンピュータであり、図2で示す被検査画像生成部や画像抽出部などはメモリーに格納されたプログラムによりCPUでソフトウエア的に実現され、被検査物画像記憶部や抽出画像記憶部などはメモリー上に実現されている。なお、被検査物画像生成部や画像抽出部などは専用のCPUを用いハードウエア的に構成してもよい。以下、画像解析手段40の構成について、そのブロック図である図2に基づき詳細に説明する。また、本発明における画像解析手段40の主たる構成は、被検査物画像生成部40a、画像抽出部40b、検査画像選択部40d、基準画像生成部40eおよび欠陥検出部40f、並びに各部での処理に伴いデータが記憶される被検査物画像記憶部40l、抽出画像記憶部40m、検査画像記憶部40nおよび基準画像記憶部40oであり、図2に示された他の要素は本発明を実施するための好ましい構成であり、必要に応じ画像解析手段に組み込まれる要素であるが、第1態様および第2態様の検査装置では全て組み込まれている。
【0016】
被検査物画像生成部40aは、CCDカメラ30で撮像され伝送されてきた被検査物画像に基づき被検査物画像データを生成する要素である。被検査物画像生成部40aは、CCDカメラ30の受光素子の各画素が受光した光で形成される被検査物画像の光量をコンピュータで取り扱えるように多段階に量子化するため、組み込まれたA/D変換器で被検査物画像の光量をデジタル情報に変換し被検査物画像データを生成するよう構成されている。その結果、被検査物画像データは、図4(b)に示すように受光素子の各画素毎に量子化された光量値を有するデータ構造となる。そして、生成された被検査物画像データは被検査物画像記憶部40lに記憶される。
【0017】
画像抽出部40bは、同一寸法を有する複数の画像を被検査物画像から抽出するように上記被検査物画像データを処理し、複数の抽出画像データを含む抽出画像データ群を生成する要素である。具体的には、画像抽出部40bは、図4(a)に示すように、被検査物画像の左端から右端に向かいX軸方向においてL1、Y軸方向においてL2の同一寸法を有する矩形状の抽出画像a1〜a4の各画像領域を抽出し、図4(c)に示すように四の抽出画像a1〜a4からなる抽出画像データ群を生成する。生成された抽出画像データ群は抽出画像記憶部40mに記憶される。なお、同図に示すように、X軸方向において一列に抽出された抽出画像a1〜a4は、X軸方向において隣接する抽出画像同士の端が互いに接し並列した状態となるように抽出されているが、検査対象となる製品、部位または欠陥により、抽出画像同士が接することなく離散した状態となるように抽出してもよい。
【0018】
ここで、第1態様の画像解析手段40においては、図示するように、抽出画像が各々接する境界を跨り欠陥が存在する場合に当該欠陥を確実にかつ簡易な構成で検出するため、隣接する抽出画像ごとに重複する矩形状の重複領域e1〜e3が付加的に設けられている。重複領域e1〜e3は、X軸方向においてd1、Y軸方向においてL2の同一寸法を有し、例えばX軸方向において抽出画像a2の左端には抽出画像a1と重複する重複領域e1が付加され、抽出画像a3の左端には抽出画像a2と重複する重複領域e2が付加されている。そして、各抽出画像a1〜a4の寸法はこの重複領域e1〜e3を含み同一寸法となるよう設定されており、具体的には、抽出画像a1のX軸方向の長さは右端に重複領域e1を含みL1となるよう設定され、抽出画像a2の長さは左端に重複領域e1及び右端に重複領域e2を含みL1となるよう設定されている。なお、重複領域e1〜e3の幅d1は、予め入力され欠陥サイズ記憶部40gに記憶された検出すべき欠陥n1の大きさに基づき当該欠陥n1を含むことが可能な大きさとなるよう画像抽出部40bで算出され重複領域記憶部40hに記憶されている。
【0019】
欠陥強調部40cは、欠陥強調フィルタに抽出画像データを通し欠陥を強調し、欠陥が強調された抽出画像データを新たな抽出画像データとして抽出画像記憶部40mに記憶するように構成されている。なお、上記欠陥強調フィルタは欠陥強調フィルタ記憶部40iに予め記憶されており、例えば抽出画像データをフィーリエ変換し、被検査画像に一定周期で重畳している特定の周波数成分やノイズ成分に該当する特定の周波数成分を除去して欠陥を強調するフィルタを用いることができる。この欠陥強調フィルタは、被検査物画像記憶部40lに記憶されている被検査物画像データ、検査画像記憶部40nに記憶されている検査画像データまたは基準画像記憶部40oに記憶されている基準画像データに適用してもよい。
【0020】
検査画像選択部40dは、抽出画像データ群から一の抽出画像データを選択し、検査画像データとするする要素である。検査画像選択部40dは、画像抽出部40bで抽出され抽出画像記憶部40mに記憶された抽出画像データ群(抽出画像a1〜a4)の中から、図4(b)に示すように所定の一の抽出画像データ(図示の場合は抽出画像a1)を選択し、検査画像データr1とするよう構成されている。選択された検査画像データr1は検査画像記憶部40nに記憶される。
【0021】
基準画像生成部40eは、検査画像選択部40dで選択された検査画像データr1と比較し検査する基準となる基準画像データを形成するため、検査画像選択部40dで検査画像データとして選択された抽出画像データ以外の抽出画像データのうち二以上の抽出画像データを抽出画像データ群から選択し、その二以上の抽出画像データを平均化処理して基準画像データを生成する要素である。基準画像生成部40eは、図4(c)に示すように、画像抽出部40bで抽出され抽出画像記憶部40mに記憶された抽出画像データ群(抽出画像a1〜a4)の中から、検査画像データr1として選択された抽出画像データa1以外の抽出画像データ(図示の場合は3の抽出画像a2〜4)を選択し、選択された抽出画像データa2〜a4を平均化処理して基準画像データを生成する。このように実際の被検査物の検査画像から抽出した複数の抽出画像を平均化処理して基準画像を形成することにより抽出画像中に存在するノイズや欠陥の影響を低減することができ、より確度の高い検査を行うことが可能となる。
【0022】
ここで、検査画像データと比較する基準画像データは、各抽出画像データの平均値であれば充分な場合も多いが、検査精度をより高めるため第1態様の検査装置10の基準画像データは、上限基準画像データと下限基準画像データとで構成されているので以下詳細に説明する。なお、以下の説明では平均化処理で得られた各抽出画像データの平均値に、各抽出画像データの標準偏差に基づき算出した第1の設定値または第2の設定値を加減して上限基準画像データおよび下限基準データを形成する場合を例として説明するが、平均値を処理し上限基準画像データおよび下限基準画像データを形成するための量は標準偏差に限らず例えば最大値、最小値などの量を適用することができる。
【0023】
基準画像生成部40eは、選択された抽出画像データa2〜a4の各画素毎に光量値の平均値および標準偏差を算出し、図4(c)に示すように、平均画像データr2および標準偏差画像データr3を生成する。この平均画像データr2および標準偏差画像データr3は、抽出画像データa2〜a4の各画素に対応し画素ごとに平均値および標準偏差を有している。そして、基準画像生成部40eは、第1設定値記憶部40jに予め記憶されている定数βを標準偏差データr3に乗じ画素ごとに第1の設定値を算出し、平均画像データr2の画素ごとに対応する画素の第1の設定値を加え上限基準値を求め、上限基準画像データr41を生成する(下記式1参照)。また、基準画像生成部40eは、平均画像データr2の画素ごとに対応する画素の第1の設定値を減じ下限基準値を求め、下限基準画像データr42を生成する(下記式2参照)。生成された上限基準画像データr41および下限基準画像データr42は基準画像記憶部40oに記憶される。
【0024】
上限基準値 = 平均値 + 第1の設定値 数式1
ここで、第1の設定値=β × 標準偏差、である。
【0025】
下限基準値 = 平均値 − 第1の設定値 数式2
ここで、第1の設定値=β × 標準偏差、である。
【0026】
なお、上記式1および式2中の定数βは経験的、実験的に求められる値であるが、基準画像データを構成する複数の抽出画像データ間のバラツキ、すなわち各抽出画像データ間の光量値の差が少ない場合には3前後の値を設定すれば充分である。一方で、被検査物の検査表面の状態および欠陥の発生状況により、抽出画像データの所定画素間における光量値の差が一定以上ある場合には標準偏差が異常値となるおそれがある。すると、上記式1、2の第1の設定値が大きくなり、誤検出が発生することが想定される。かかる事態に対応するため、第1態様の画像解析手段40においては、以下のように抽出画像データ間のバラツキが所定以上ある場合には第1の設定値に代え第2の設定値で上限および下限基準データを形成する、言い換えれば平均値と第1の設定値で構成された基準画像データを補正するように基準画像生成部40eが構成されている。すなわち、基準画像生成部40eは、第1の設定値である定数βおよび標準偏差の積と第2設定値記憶部40kに記憶されている第2の設定値である定数「α」とを比較し、第2の設定値が第1の設定値よりも小さい場合には、上記式1および2において第1の設定値に代えて第2の設定値を平均値に対し加減して上限基準画像データr41および下限基準画像データr42を生成するように構成されているのである。これにより、抽出画像データ間のバラツキが大きく標準偏差が過大となる場合でも、第2の設定値により適切な良否判別をすることが可能となる。なお、上記定数αは経験的、実験的に求められる値であるが、通常は10程度である。
【0027】
欠陥検出部40fは、検査画像データと基準画像データとを比較し欠陥を検出する要素であり、第1態様の検査装置10においては、上限基準画像データr41および下限基準画像データr42と検査画像データr1とを比較し、欠陥を検出するように構成されている。具体的には、欠陥検出部40fは、検査画像データr1の所定の画素と上限基準画像データr41および下限基準画像データr42の対応する画素の値を比較し、検査画像データr1の当該画素の値が上限基準画像データr41の対応画素の値を超え、または下限基準画像データr42の対応画素の値未満の場合には、その画素には異常が生じていると判断するよう構成されている。そして、欠陥検出部40fは、検査画像データr1の全ての画素について上限基準画像データr41および下限基準画像データr42と比較し、画素ごとに正常または異常の判断をし、画素ごとの判断情報を統合して欠陥の大きさや形態(点状、筋状)等を算出して、欠陥の良否判別を行う。
【0028】
ここで、第1態様の検査装置10の場合には、上記で説明したように画像抽出部40bにおいて抽出画像データを抽出する際、各抽出画像データには重複領域が設定されるよう抽出画像データを形成しているので、重複領域e1〜e3については重複して検査がされることとなる。すなわち、例えば重複領域e1については抽出画像データa1と抽出画像データa2を検査画像データr1とした際に検査が実施され、かつ重複領域e1は目的とする欠陥を含む大きさに設定されているので、少なくとも一部が重複領域e1に含まれる欠陥は抽出画像データa1又はa2のいずれかを検査画像データr1とする検査で検出される。
【0029】
なお、図5に示すように、重複領域を設けず互いに接するように同一寸法を有するように抽出画像データb1〜4を抽出するよう画像抽出部40bを構成しても良い。このように抽出画像データを抽出すると、隣接する抽出画像データb1〜b4の境界上に欠陥n2が存在し、例えば同図に示すように抽出画像データb1およびb2に欠陥n2がn21およびn22のように分かれてしまうことも生じる。この場合には、抽出画像データb1〜b4を被検査物の全体の画像である被検査物画像データとして再構成し、抽出画像データb1およびb2にn21およびn22として分割された欠陥n2を一体のものとし、その後良否判別すればよい。
【0030】
上記構成の検査装置10の動作について図3〜5を参照して説明する。なお、以下の説明では、抽出画像データa1からa4の順に被検査物画像の検査が行われる。
【0031】
被検査物画像生成部40aは、CCDカメラ30で撮像され伝送されてきた被検査物画像の光量をA/D変換器でデジタル情報に変換し被検査物画像データを生成し、被検査物画像データを被検査物画像記憶部40lに記憶する(ステップS1)。
【0032】
画像抽出部40bは、図4(a)に示すように、被検査物画像の左端から右端に向かいX軸方向においてL1、Y軸方向においてL2の同一寸法を有する矩形状の抽出画像a1〜a4の各画像領域を抽出するように被検査物画像記憶部40lに記憶された被検査物画像データを処理し、複数の抽出画像データa1〜a4を含む抽出画像データ群を生成し、抽出画像記憶部40mに記憶する(ステップS2)。なお、上記説明のとおり、第1態様においては、隣接する抽出画像毎に重複する矩形状の重複領域e1〜e3が付加的に設けられ、各抽出画像a1〜a4の寸法はこの重複領域e1〜e3を含み同一寸法となるよう設定されている。
【0033】
欠陥強調部40cは、欠陥強調フィルタ記憶部40iに予め記憶されている欠陥強調フィルタに抽出画像データa1〜a4を通し欠陥を強調し、欠陥が強調された抽出画像データを新たな抽出画像データとして抽出画像記憶部40mに記憶する(ステップS3)。
【0034】
以下より抽出画像データa1を検査画像データr1とする検査である。検査画像選択部40dは、抽出画像記憶部40mに記憶されている抽出画像データ群(抽出画像a1〜a4)の中から、図4(b)に示すように抽出画像データa1を選択し、検査画像データr1と設定し、検査画像記憶部40nに記憶する(ステップS4)。
【0035】
基準画像生成部40eは、検査画像選択部40dで選択された検査画像データr1と比較し検査する基準となる基準画像データを形成する(ステップS5)。すなわち、基準画像生成部40eは、図4(c)に示すように、画像抽出部40bで抽出され抽出画像記憶部40mに記憶された抽出画像データ群(抽出画像a1〜a4)の中から、検査画像データr1として選択された抽出画像データa1以外の抽出画像データa2〜a4を選択する。そして、基準画像生成部40eは、選択された抽出画像データa2〜a4の各画素毎に光量値の平均値および標準偏差を算出し、平均画像データr2および標準偏差画像データr3を生成する。
【0036】
次いで、基準画像生成部40eは、第1設定値記憶部40jに予め記憶されている定数βを標準偏差データr3に乗じ画素ごとに第1の設定値を算出し、平均画像データr2の画素ごとに対応する画素の第1の設定値を加え上限基準値を求め、上限基準画像データr41を生成する(上記式1参照)。また、基準画像生成部40eは、平均画像データr2の画素ごとに対応する画素の第1の設定値を減じ下限基準値を求め、下限基準画像データr42を生成する(上記式2参照)。基準画像生成部40eは、上限基準画像データr41および下限基準画像データr42を基準画像記憶部40oに記憶する。
【0037】
なお、基準画像生成部40eは、第1の設定値である定数βおよび標準偏差の積と第2設定値記憶部40kに記憶されている第2の設定値である定数「α」とを比較し、第2の設定値(α)が第1の設定値(β×標準偏差)よりも小さい場合には、上記式1および2において第1の設定値に代えて第2の設定値を平均値に対し加減して上限基準画像データr41および下限基準画像データr42を生成する。
【0038】
欠陥検出部40fは、上限基準画像データr41および下限基準画像データr42と検査画像データr1とを比較し、欠陥を検出する(ステップS6〜S9)。具体的には、欠陥検出部40fは、検査画像データr1の所定の画素と上限基準画像データr41および下限基準画像データr42の対応する画素の値を比較し、検査画像データr1の当該画素の値が上限基準画像データr41の対応画素の値を超え、または下限基準画像データr42の対応画素の値未満の場合には、その画素には異常が生じていると判断する。欠陥検出部40fは、重複領域e1を含み検査画像データr1の全ての画素について上限基準画像データr41および下限基準画像データr42と比較し、画素ごとに正常または異常の判断をし、さらに画素ごとの判断情報を統合して欠陥の大きさや形態(点状、筋状)等を算出し、欠陥の良否判別を行う。
【0039】
次いで抽出画像データa2を検査画像データr1とする検査である。検査装置10は、ステップS4を実施して抽出画像データa2を選択し、検査画像データr1と設定し、検査画像記憶部40nに記憶し、その後上記と同様にステップ5〜9を実行する。ここで、欠陥検出部40fは、検査画像データr1として選択された抽出画像データa2と、抽出画像データa1、a3およびa4に基づいてステップS5で形成された上限基準画像データr41および下限基準画像データr42とを比較するが、上記抽出画像データa1の検査時において検査された重複領域e1についても、抽出画像データa2を検査画像データr1とする検査の際に検査が行われる。これにより、少なくとも一部が重複領域e1に含まれる欠陥は抽出画像データa1又はa2のいずれかを検査画像データr1とする検査で検出することが可能となる。
【0040】
以下、上記と同様にして抽出画像データa3およびa4の領域の検査を行う。
【0041】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態について図6〜8に基づいて説明する。なお、上記第1態様の検査装置10と同一構成の要素については同一符号を付しており、詳細な説明を省略する。図6に示す検査装置60は、同一形状の矩形凹部p1〜p4が円周面上に等間隔に配置された円筒状の被検査物W2を検査する検査装置であって、軸心を水平にして被検査物W2がセットされ軸心回りに被検査物W2を回転させる回転ステージ70と、回転ステージ70にセットされた被検査物W2の外周面の頂部上方に配置され被検査物画像を撮像するCCDカメラ30と、CCDカメラ30に通信回線を介して接続されCCDカメラ30から伝送された被検査物画像に基づき被検査物の欠陥を検出する画像解析手段40を有している。回転ステージ70は、移動制御手段50により速度制御されつつ軸心回りに被検査物W2を回転移動可能なよう構成されている。第2実施形態のCCDカメラ30は、被検査物W2の軸心に沿う方向(以下Y軸方向という。)は被検査物W2の幅全体を撮像することができるが回転方向に沿う方向(以下θ軸方向という)は一部分を撮像可能な視野を有し、もって、第2実施形態では被検査物W2を回転ステージ70で一定の回転速度で連続回転させながら撮像し、被検査物W2の外周面を一周分撮像する。
【0042】
第2態様の検査装置60は、基本的に第1態様の検査装置10と同様であるが、被検査物画像から抽出画像を抽出する際にパターンマッチング技術を用いている点のみが異なっているので、以下第2態様の画像解析手段の構成およびその動作について詳細に説明する。
【0043】
第2態様の検査装置60は、パターンマッチング技術を用いて被検査物画像から抽出画像を抽出するため、図7に示すように、画像抽出部40bと接続されるパターン画像記憶部40pを別個有している。そして、第2態様における画像抽出部bは、上記パターン画像記憶部40pに予め記憶されている画像データに基づきパターンマッチングにより同一寸法を有する複数の画像を被検査物画像から抽出するように被検査物画像データを処理し、複数の抽出画像データを含む抽出画像データ群を生成する要素である。
【0044】
すなわち、第2態様の検査装置60においては、CCDカメラ30により被検査物W2の外周面の画像が撮像され、図8(a)に示すように、被検査物画像生成部40aにより矩形凹部p1〜p4の画像を含む被検査物画像データが生成される。パターン画像記憶部40pには、上記矩形凹部の画像に対応するパターンマッチング用画像データが記憶されており、画像抽出部40bは、このパターンマッチング用画像データを参照して被検査物画像データからパターンマッチングにより矩形凹部p1〜p4を認識し、その中心点z1〜z4を算出するように構成されている。
【0045】
そして、画像抽出部40bは、図8(a)に示すように、上記算出された中心点z1〜z4に基づき被検査物画像の左端から右端に向かい、θ軸方向において寸法S1、Y軸方向においてS2の寸法を有する同一寸法の矩形状の抽出画像データc1〜c4を抽出し、図8(b)に示すように四の抽出画像c1〜c4からなる抽出画像データ群を生成するように構成されている。ここで、θ軸方向における抽出画像データc1〜c4の抽出方法を詳述すると、パターンマッチングにより算出された矩形凹部p1〜p4の中心点z1〜z4を基準として被検査物画像の左端に向いS11の寸法、右端に向いS12の寸法でこれらの和がS1の寸法となるよう抽出画像データc1〜c4は抽出される。
【0046】
なお、第2態様の画像抽出部40bにおいても、図8(a)に示すように、隣接する抽出画像c1〜c4ごとに重複する矩形上の重複領域f1〜f3が付加的に設けられている。重複領域f1〜f3は、θ軸方向においてg1、Y軸方向においてS2の同一寸法を有し、画像抽出部40bで算出され重複領域記憶部40lに記憶される。
【0047】
以下第1態様のステップ2に対応する第2態様の検査装置60の抽出画像データを生成するステップを中心について説明する。被検査物画像生成部40aは、CCDカメラ30で撮像され伝送されてきた矩形凹部p1〜p4の画像を含む被検査物W2の外周面の被検査物画像の光量をA/D変換器でデジタル情報に変換し被検査物画像データを生成し、被検査物画像データを被検査物画像記憶部40lに記憶する(ステップS1)。
【0048】
ついで、画像抽出部40bは、パターン画像記憶部40pに記憶されたパターンマッチング用画像データを参照して被検査物画像データからパターンマッチングにより矩形凹部p1〜p4を認識し、その中心点z1〜z4を算出する。そして、画像抽出部40bは、図8(a)に示すように、上記算出された中心点z1〜z4に基づき被検査物画像の左端から右端に向かい、θ軸方向において寸法S1、Y軸方向においてS2の寸法を有する同一寸法の矩形状の抽出画像データc1〜c4を抽出するように、検査物画像記憶部40lに記憶された被検査物画像データを処理し、複数の抽出画像データc1〜c4を含む抽出画像データ群を生成し、抽出画像記憶部40mに記憶する(ステップS2)。なお、上記説明のとおり、第2態様においても、隣接する抽出画像毎に重複する矩形状の重複領域f1〜f3が付加的に設けられ、各抽出画像c1〜c4の寸法はこの重複領域f1〜f3を含み同一寸法となるよう設定されている。
【0049】
以後、第1態様と同様にステップS3〜S9が実行され、被検査物W2の外周面の検査が行われる。
【符号の説明】
【0050】
10(60) 検査装置
20(70) テーブル
30 CCDカメラ
40 画像解析手段
50 制御手段
W1(W2) 被検査物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物の欠陥を検査する方法であって、
被検査物を探傷し得られた被検査物画像に基づき被検査物画像データを生成する被検査物画像生成ステップと、
同一寸法を有する複数の画像を前記被検査物画像から抽出するように被検査物画像データを処理し、複数の抽出画像データを含む抽出画像データ群を生成する画像抽出ステップと、
前記抽出画像データ群から一の抽出画像データを選択し、検査画像データとする検査画像選択ステップと、
前記検査画像データとして選択された抽出画像データ以外の抽出画像データのうち二以上の抽出画像データを前記抽出画像データ群から選択し、その二以上の抽出画像データを平均化処理して基準画像データを生成する基準画像生成ステップと、
前記検査画像データと前記基準画像データとを比較し欠陥を検出する欠陥検出ステップとを含み、
前記検査画像選択ステップ、基準画像生成ステップ及び欠陥検出ステップを順次繰り返し被検査物画像から欠陥を検出する被検査物の検査方法。
【請求項2】
前記画像抽出ステップは、抽出された複数の画像が互いに接し並列した状態となるよう抽出画像データ群を生成するステップを含む請求項1に記載の被検査物の検査方法。
【請求項3】
前記画像抽出ステップでは、抽出された複数の画像が並列した状態となるよう抽出画像データ群を生成するとともに予め定められた重複領域データに基づいて隣接する画像に重複する領域を形成する請求項1に記載の被検査物の検査方法。
【請求項4】
前記重複領域データは、検出すべき欠陥を含むことが可能な大きさである請求項3に記載の被検査物の検査方法。
【請求項5】
前記基準画像生成ステップは、基準画像データを生成する二以上の抽出画像データのうち、一の抽出画像データの特徴量が他の抽出画像データの特徴量と一定以上の差異がある場合には、基準画像データを補正するステップを含む請求項1乃至4のいずれかに記載の被検査物の検査方法。
【請求項6】
前記基準画像データは上限基準画像データと下限基準画像データとで構成され、前記基準画像生成ステップは、基準画像データに第1の設定値を加え上限基準画像データを生成し、当該第1の設定値を減じ下限基準画像データを生成するステップを含む請求項1乃至4のいずれかに記載の被検査物の検査方法。
【請求項7】
前記基準画像生成ステップは、基準画像データを生成する二以上の抽出画像データのうち、一の抽出画像データの特徴量が他の抽出画像データの特徴量と一定以上差異がある場合には、第1の設定値に代えて第2の設定値により上限基準画像データ又は下限基準画像データを生成するステップを含む請求項6に記載の被検査物の検査方法。
【請求項8】
前記被検査物画像データは一定のパターンで配置された画像データを含み、前記画像抽出ステップは、その画像データに基づいて抽出画像データ群を生成するステップを含む請求項1乃至7のいずれかに記載の被検査物の検査方法。
【請求項9】
前記被検査物画像データ、抽出画像データ、検査画像データまたは基準画像データを欠陥強調フィルタに通す欠陥強調ステップを含む請求項1乃至8のいずれかに記載の被検査物の検査方法。
【請求項10】
コンピュータに下記ステップを実行させて被検査体の欠陥を検査するための検査用プログラム。
(1)被検査物を探傷し得られた被検査物画像に基づき被検査物画像データを生成する被検査物画像生成ステップ
(2)同一寸法を有する複数の画像を前記被検査物画像から抽出するように前記被検査物画像データを処理し、複数の抽出画像データを含む抽出画像データ群を生成する画像抽出ステップ
(3)前記抽出画像データ群から一の抽出画像データを選択し、検査画像データとする検査画像選択ステップ
(4)前記検査画像データとして選択された抽出画像データ以外の抽出画像データのうち二以上の抽出画像データを前記抽出画像データ群から選択し、その二以上の抽出画像データを平均化処理して基準画像データを生成する基準画像生成ステップ
(5)前記検査画像データと前記基準画像データとを比較し欠陥を検出する欠陥検出ステップ
(6)前記検査画像選択ステップ、基準画像生成ステップ及び欠陥検出ステップを順次繰り返し実行させるステップ
【請求項11】
前記画像抽出ステップは、抽出された複数の画像が互いに接し並列した状態となるよう抽出画像データ群を生成するステップを含む請求項10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記画像抽出ステップは、抽出された複数の画像が並列した状態となるよう抽出画像データ群を生成するとともに予め定められた重複領域データに基づいて隣接する画像に各々重複する領域を形成する請求項10に記載の検査用プログラム。
【請求項13】
前記重複領域データは、検出すべき欠陥を含むことが可能な大きさである請求項12に記載の検査用プログラム。
【請求項14】
前記基準画像生成ステップは、前記基準画像データを生成する二以上の抽出画像データのうち、一の抽出画像データの特徴量が他の抽出画像データの特徴量と一定以上差異がある場合には、前記基準画像データを補正するステップを含む請求項10乃至13のいずれかに記載の検査用プログラム。
【請求項15】
前記基準画像データは上限基準画像データと下限基準画像データとで構成され、前記基準画像生成ステップは、前記基準画像データに第1の設定値を加え上限基準画像データを生成し、当該第1の設定値を減じ下限基準画像データを生成するステップを含む請求項10乃至13のいずれかに記載の検査用プログラム。
【請求項16】
前記基準画像生成ステップは、前記基準画像データを生成する二以上の抽出画像データのうち、一の抽出画像データの特徴量が他の抽出画像データの特徴量と一定以上差異がある場合には、第1の設定値に代えて第2の設定値により上限基準画像データ又は下限基準画像データを生成するステップを含む請求項15に記載の検査用プログラム。
【請求項17】
前記被検査物画像データは一定のパターンで配置された画像データを含み、前記画像抽出ステップは前記画像データに基づいて前記抽出画像データ群を生成するステップを含む請求項10乃至16のいずれかに記載の検査用プログラム。
【請求項18】
前記被検査物画像データ、抽出画像データ、検査画像データまたは基準画像データを欠陥強調フィルタに通す欠陥強調ステップを含む請求項10乃至17のいずれかに記載の検査用プログラム。
【請求項19】
被検査物の欠陥を検査する装置であって、被検査物を探傷し得られた被検査物画像が伝送される画像解析手段を備え、
前記画像解析手段は、
前記被検査物画像に基づき被検査物画像データを生成する被検査物画像生成部と、
同一寸法を有する複数の画像を前記被検査物画像から抽出するように前記被検査物画像データを処理し、複数の抽出画像データを含む抽出画像データ群を生成する画像抽出部と、
前記抽出画像データ群から一の抽出画像データを選択し、検査画像データとする検査画像選択部と、
前記検査画像データとして選択された抽出画像データ以外の抽出画像データのうち二以上の抽出画像データを前記抽出画像データ群から選択し、その二以上の抽出画像データを平均化処理して基準画像データを生成する基準画像生成部と、
前記検査画像データと前記基準画像データとを比較し欠陥を検出する欠陥検出部とを含む、
被検査物の検査装置。
【請求項20】
前記画像抽出部は、抽出された複数の画像が互いに接し並列した状態となるよう抽出画像データ群を生成する請求項19に記載の被検査物の検査装置。
【請求項21】
前記画像抽出部は、抽出された複数の画像が並列した状態となるよう抽出画像データ群を生成するとともに予め定められた重複領域データに基づいて隣接する画像に各々重複する領域を形成する請求項19に記載の被検査物の検査装置。
【請求項22】
前記重複領域データは、検出すべき欠陥を含むことが可能な大きさである請求項21に記載の被検査物の検査装置。
【請求項23】
前記基準画像生成部は、前記基準画像データを生成する二以上の抽出画像データのうち、一の抽出画像データの特徴量が他の抽出画像データの特徴量と一定以上差異がある場合には、前記基準画像データを補正する請求項19乃至22のいずれかに記載の被検査物の検査装置。
【請求項24】
前記基準画像データは上限基準画像データと下限基準画像データとで構成され、前記基準画像生成部は、前記基準画像データに第1の設定値を加え上限基準画像データを生成し、当該第1の設定値を減じ下限基準画像データを生成する請求項19乃至22のいずれかに記載の被検査物の検査装置。
【請求項25】
前記基準画像生成部は、前記基準画像データを生成する二以上の抽出画像データのうち、一の抽出画像データの特徴量が他の抽出画像データの特徴量と一定以上差異がある場合には、第1の設定値に代えて第2の設定値により上限基準画像データ又は下限基準画像データを生成する請求項24に記載の被検査物の検査装置。
【請求項26】
前記被検査物画像データは一定のパターンで配置された画像データを含み、前記画像抽出部は、前記画像データに基づいて前記抽出画像データ群を生成する請求項19乃至25のいずれかに記載の被検査物の検査装置。
【請求項27】
前記被検査物画像データ、抽出画像データ、検査画像データまたは基準画像データを欠陥強調処理する欠陥強調フィルタを有する請求項19乃至26のいずれかに記載の被検査物の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−158367(P2011−158367A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20897(P2010−20897)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(000005083)日立金属株式会社 (2,051)
【Fターム(参考)】