説明

被洗浄部材内面の洗浄方法及び洗浄装置

【課題】洗浄したい被洗浄部材内に収まる長さの気泡発生部材を差し込み、気泡発生部材の泡発生部から発生する泡状現象を利用して被洗浄部材の内面を洗浄するようにした被洗浄部材内面の洗浄方法及び洗浄装置を提供する。
【解決手段】密閉された容器21と、容器に充填された洗浄液22と、容器の内圧を負圧にする真空ポンプ23と、容器内を負圧にしたときに気泡を発生する気泡発生部17cを有する気泡発生部材17を備え、容器内の洗浄液に浸漬され内面7cを洗浄すべき被洗浄部材7の内部にその内面7cと隙間を有した状態で気泡発生部材17を挿入し、気泡発生部17cから発生した泡により被洗浄部材の内面を積極的に洗浄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被洗浄部材内面を洗浄する被洗浄部材内面の洗浄方法及び洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種機器において管状に形成したシリコンチューブが広く使われている。シリコンチューブは、機械加工により円柱体を形成し、この円柱体の中心に軸方向に沿って貫通孔を穿設して形成されている。従って、加工後内面に切粉やワックスが付着しており、純水やアルコール、有機洗浄液等の洗浄液に浸漬して超音波洗浄を行っても容易に除去することができない。これは、シリコンチューブ内面は、内径(孔径)が小さいほど表面張力の影響を受け、洗浄液はシリコンチューブ内に入り込まず、気泡により空間が溜まってしまうためである。このようなシリコンチューブを用いたものが特許文献1に開示されている。
【0003】
そこで、洗浄液にシリコンチューブを浸漬した状態で真空下におけばシリコンチューブ内面の脱泡と洗浄液の浸透を行うことができる。更に真空度を増せば、加熱することなく常温で沸騰した状態となり洗浄効果が望めることが知られている。
【特許文献1】特開2003−42878号公報(3―4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、洗浄液にシリコンチューブを浸漬した状態で単に真空中においた場合、洗浄液から発生した泡による脱泡効果は望めてもシリコンチューブの内面を積極的に洗浄することはできない。これは、真空中において常温沸騰した洗浄液(例えば、純水)が泡状態になることで洗浄効果を得るが、内面部で積極的に泡状態を作ることが望めないためである。
【0005】
なお、シリコンチューブの内面を洗浄することは、シリコンチューブの内面の加工時に生じて付着したシリコンのパーティクル(粒子)を除去する点で特に重要となっている。
【0006】
本発明の目的は、洗浄したい被洗浄部材内に収まる長さの気泡発生部材を差し込み、気泡発生部材の泡発生部から発生する泡状現象を利用して被洗浄部材の内面を洗浄するようにした被洗浄部材内面の洗浄方法及び洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明に係る被洗浄部材内面の洗浄方法は、
内面を洗浄すべき被洗浄部材を密閉された容器内の洗浄液に浸漬し、真空ポンプにより前記容器の内圧を下げて気泡を発生させて前記被洗浄部材の内面を洗浄する被洗浄部材内面の洗浄方法であって、
前記被洗浄部材内の内面に気泡発生部を有する気泡発生部材を挿入し、前記容器の内圧を下げることにより前記気泡発生部材の気泡発生部から気泡を発生させて前記被洗浄部材の内面を洗浄することを特徴としている。
【0008】
また、本発明の請求項2に係る被洗浄部材内面の洗浄装置は、
密閉された容器と、
前記容器に充填された洗浄液と、
前記容器の内圧を負圧にする真空ポンプと、
前記容器内を負圧にしたときに気泡を発生する気泡発生部を有する気泡発生部材を備え、
前記容器内の洗浄液に浸漬され内面を洗浄すべき被洗浄部材の内部にその内面と隙間を有した状態で前記気泡発生部材を挿入できるようになったことを特徴としている。
【0009】
洗浄液が貯溜された容器内に被洗浄部材に気泡発生部材を挿入した状態で被洗浄部材を収容して洗浄液に浸漬し、容器を密閉して真空ポンプにより容器の内圧を負圧(真空)にする。容器の内圧が低くなるに伴い洗浄液が沸騰して泡を発生する。更に気泡発生部材の気泡発生部から泡状現象により泡が積極的に発生する。気泡発生部材は被洗浄部材の内部にその内面と隙間を有した状態で挿入されていることで、被洗浄部材の内面は、洗浄液が沸騰して発生した泡と、気泡発生部材の気泡発生部から積極的に発生した泡とにより洗浄される。これにより、被洗浄部材の内面が良好に洗浄される。
【0010】
また、本発明の請求項3に係る柱状支持体基板は、請求項2に記載の被洗浄部材内面の洗浄装置において、
前記気泡発生部材は少なくとも先端部にエッジ部を備え、該エッジ部から気泡が発生することを特徴としている。
【0011】
泡状現象は気泡発生部材の先端部やエッジ部分から積極的に発生する。従って、少なくとも気泡発生部材の先端部にエッジ部を設けることにより当該エッジ部から積極的に泡を発生させることが可能となり、これに伴い洗浄効果が向上する。
【0012】
また、本発明の請求項4に係る被洗浄部材内面の洗浄装置法は、請求項2又は請求項3に記載の被洗浄部材内面の洗浄装置において、
前記気泡発生部材前記被洗浄部材内に収まる長さを有しているピンであることを特徴としている。
【0013】
気泡発生部材としてのピンの長さを被洗浄部材の内部に収まる長さ(高さ)とすることにより、ピンの先端部やエッジ部から泡状現象により発生した泡を被洗浄部材の内面に作用させることが可能となり、洗浄効果が得られる。また、ピンの長さ(高さ)を被洗浄部材内に収まる長さ(高さ)とすることにより、容器の内圧を負圧(真空)にするに伴い洗浄液が沸騰して発生する泡や、ピンの気泡発生部から発生した泡により被洗浄部材が動いてもピンから外れないようにすることができる。
【0014】
また、本発明の請求項5に係る被洗浄部材内面の洗浄装置は、請求項2乃至請求項4の何れかに記載の被洗浄部材内面の洗浄装置において、
前記気泡発生部材は基板に垂設され、前記被洗浄部材内が前記基板に垂直に載置されて前記気泡発生部材が垂直に挿入されるようになったことを特徴としている。
【0015】
基板に気泡発生部材を垂設して被洗浄部材内に気泡発生部材を挿入し、基板に被洗浄部材を垂直に支持する。この状態で真空容器に収容して洗浄液に浸漬する。そして、真空容器の内圧を負圧にして洗浄液を沸騰させて泡を発生させると共に、気泡発生部材の気泡発生部から泡を発生させる。洗浄液が沸騰して発生した泡は、気泡発生部材と被洗浄部材の内面との間の隙間を通して上昇しながら被洗浄部材の内面を洗浄する。また、気泡発生部材の気泡発生部から発生した泡は被洗浄部材の内面に直接作用して洗浄する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、洗浄液が貯溜された容器内に被洗浄部材に気泡発生部材を挿入した状態で被洗浄部材を収容して洗浄液に浸漬し、容器の内圧を負圧(真空)にすることにより、洗浄液が沸騰して発生する泡と泡状現象により気泡発生部材の先端部やエッジ部から発生する泡を利用して被洗浄部材の内面を積極的に洗浄する。これにより、被洗浄部材が、例えばシリコンチューブ等のように脆性部材からなる管状の部材であって、加工時に管の内面(内壁面)に切粉やワックスが付着したような場合でも内面を良好に洗浄することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る被洗浄部材内面の洗浄方法及び洗浄装置について図面に基づいて説明する。図1は被洗浄部材を形成した素材の一例を示す側面図で、素材1は、例えばシリコン(Si)ウエハ2により形成されており、上面2aに保護部材としての硼珪酸ガラス3がワックス11により貼着され、下面2bが基板としての例えば青板ガラス4にワックス12により貼着されている。尚、シリコンウエハ2は厚さ約7mm、保護部材としての硼珪酸ガラス3は厚さ約0.5mm、青板ガラス4は厚さ約7mmとされている。
【0018】
これらのシリコンウエハ2、硼珪酸ガラス3及び青板ガラス4は、図2に示すように円板状をなし、シリコンウエハ2と硼珪酸ガラス3は同径の円板をなし、青板ガラス4はシリコンウエハ2よりも一回り大径の円板をなしている。シリコンウエハ2の上面2aは、鏡面処理を施されて鏡面化されている。ここで、鏡面化された平面とは接合すべき相手側部材例えば前述した圧力センサの平板状をなす台座の下面に直接接合又は陽極接合を行うことが可能でかつ接合部に気密性が得られる状態となった平面をいう。
【0019】
尚、本発明では硼珪酸ガラス3として熱膨張率がシリコンの熱膨張率に近いパイレックス(登録商標)ガラスが使用されている。因みにシリコンウエハ2の熱膨張率は2.4×10−6/℃、パイレックス(登録商標)ガラスの熱膨張率は3.3×10−6/℃、青板ガラス4の熱膨張率は8.7×10−6/℃である。従って、シリコンウエハ2の熱膨張率とパイレックス(登録商標)ガラスの熱膨張率が近似しているため、これらの接合部の熱応力に起因する歪みを少なくすることができて好ましい。
【0020】
そして、基板としての青板ガラス4が図示しない加工機械の加工台5に載置されてワックス13により固定され、図2に示すように硼珪酸ガラス3及びシリコンウエハ2に加工が施されて複数の円筒形状の部材6(以下「円筒部材6」という)が形成される。従って、この状態において各円筒部材6の周りにはシリコンウエハ2、硼珪酸ガラス3が蜂の巣状の枠をなして青板ガラス4上に残っている。
【0021】
円筒部材6は、青板ガラス4の上面に垂設固定された円筒形状のシリコン(以下「シリコンチューブ」という)7とシリコンチューブ7の上面に同径の環状の硼珪酸ガラス8が貼着された構造をなしている。従って、円筒部材6の外径及び内径は、シリコンチューブ7の外径及び内径と同径である。そして、このシリコンチューブ7が本発明においては内面を洗浄すべき被洗浄部材とされる。
【0022】
以下にシリコンチューブ7の内面の洗浄方法について説明する。先ず、図1に示した青板ガラス4を加工台5に固定しているワックス13を溶かして当該加工台5から青板ガラス4を取り外す。シリコンウエハ2と硼珪酸ガラス3は、青板ガラス4の上面に固定されたままの状態になっている。そして、一体になっている青板ガラス4とシリコンウエハ2と硼珪酸ガラス3を図3(a)に示すように上下逆にして、即ち青板ガラス4を上に硼珪酸ガラス3を下にして治具15に載置する。
【0023】
治具15は、青板ガラス4と略同径の円板状の基板16と、この基板16に垂設された気泡発生部材としての複数のピン17とにより形成されて剣山状をなしている。気泡発生部材としてのピン(以下単に「ピン」という)17は、基板16にシリコンウエハ2と硼珪酸ガラス3に形成されている各円筒部材6と対応して配置されている。ピン17は、例えば図6に示すように円柱形状をなし上端面17aの周縁部(外周面17bとの境界部)17cがエッジ部となっている(以下「エッジ部17c」という)。そして、このエッジ部17cが気泡発生部とされる。
【0024】
このピン17は、その太さ(外径)が円筒部材6(シリコンチューブ7)の内径よりも細く、その高さ(長さ)がシリコンチューブ7の高さ(長さ)よりも短い例えば略半分程度の高さとされている。これにより、ピン17は、外周面がシリコンチューブ7の内面との間に環状の隙間を有しかつエッジ部17cがシリコンチューブ7の略半分の高さに位置するように収容可能とされる。
【0025】
そして、これらの各ピン17を対応する円筒部材6の孔に挿入させて下側に位置する硼珪酸ガラス3を基板16の上面に当接させて載置する。次いで、図3(b)に示すように容器(例えば、ステンレスバット)18の中にワックス12を溶解する溶液、例えばメタノール19を入れて一体になっている青板ガラス4とシリコンウエハ2と硼珪酸ガラス3を浸漬してシリコンウエハ2の下面、円筒部材6のシリコンチューブ7の下面を青板ガラス4から剥がし、青板ガラス4と蜂の巣状をなすシリコンウエハ2及び硼珪酸ガラス3の枠を取り外す。これにより、図3(c)及び図4に示すように各円筒部材6が治具15の対応するピン17に支持されて基板16上に垂直に載置される。
【0026】
次いで、円筒部材6を支持している治具15を図3(d)に示すように密閉容器(例えば、真空チャンバ)21に収容し、洗浄液としての例えば純水22を密閉容器21に充填してこの純水中に円筒部材6を浸漬させる。そして、容器18を密閉した後真空ポンプ23により密閉容器21内の空気を抜いて圧力を下げて負圧(真空)にする。
【0027】
密閉容器21内の純水22は、圧力が下がるとこれに伴い加熱しないでも沸騰状態になる。ピン17は、図5に示すように円筒部材6の内面、即ちシリコンチューブ7の内面7cとの間に管状の隙間を有して挿入されており、純水22が沸騰状態において発生した泡により内面7cが洗浄される。
【0028】
更に、図5に示すようにピン17の気泡発生部としてのエッジ部17cから矢印で示すように泡状現象により泡が積極的に発生する。ピン17は、シリコンチューブ7の高さの略半分の高さに設定されており、かつシリコンチューブ7の内面7cとの間に環状の隙間を有していることにより、純水22がエッジ部17cから泡状態になりシリコンチューブ7の内面7cを積極的に洗浄することが可能となる。
【0029】
これにより、純水22が沸騰状態において発生した泡によるシリコンチューブ7の内面7cの洗浄効果と、泡状現象によりピン17のエッジ部17cから積極的に発生する泡とにより、シリコンチューブ7の内面7c全体を良好に洗浄することが可能となる。尚、ピン17の高さをシリコンチューブ7の高さの半分程度とすることにより、洗浄時に発生する泡に起因してシリコンチューブ7が揺れ動いた際にピン17から外れることを防止することができる。
【0030】
図7は気泡発生部材としてのピン17の変形例を示し、図7(a)は気泡発生部材としての円柱状のピン25の先端部を多角錐、例えば四角錐状に形成したものである。このような形状とすることにより気泡発生部としてのエッジ部が多くなり、多数のエッジ部から泡が発生する。具体的には先端部25a、四角錐状をなす各エッジ部(稜)25b、及び四角錐状をなす部分の下部と円柱状の外周部との境界の円弧状のエッジ部25c等から泡状現象により泡が発生して洗浄効果が増大する。
【0031】
また、図7(b)は気泡発生部材としてのピン26を四角柱とし、先端部を四角錐状に形成したものである。このピン26においてもピン25と同様に泡発生部としてのエッジ部が多くなり、多数のエッジ部から泡状現象が発生する。即ち、先端部26a、四角錐状をなす各エッジ部(稜)26b、四角錐状をなす部分と四角柱の外周部との境界のエッジ部26c、及び四角柱の隣り合う面の交差部としてのエッジ部26d等から泡状現象により泡が発生して洗浄効果が増大する。
【0032】
尚、気泡発生部材としてのピン26に関しては、この上面を平面とした角柱状のピンとしても良い。この場合、先端の四角錐を形成する先端部26a、4つのエッジ部(稜)26bの分だけエッジ部が少なくなるが、図6に示した円柱状のピン17よりもエッジ部が多くなり有効である。
【0033】
図8は内面を洗浄すべき被洗浄部材の他の例を示す。被洗浄部材27は、例えば有底円筒形状(袋穴)をなしており、底部27aを上にして治具28に載置され、内部に気泡発生部材としてのピン29が収容配置されている。このピン29は、前述したピン17と同様に被洗浄部材27の深さよりも短く、かつ内面27cとの間に環状の隙間を有している。勿論、被洗浄部材27は、前述と同様に図示しない密閉容器に収容されて洗浄液としての純水に浸漬されている。このように有底円筒形状(袋穴)をなす洗浄部材27の内部にピン29を収容させて配置することにより、内面27cの洗浄効果を向上させることが可能である。
【0034】
このような有底円筒形状(袋穴)をなす被洗浄部材27でも、真空下では純水から発生した気泡は、開口端面(下端面)27bと治具28との間に僅かな隙間さえあれば矢印で示すように容易に通過する。
【0035】
以上説明したように本発明では、洗浄液が貯溜された容器内に被洗浄部材に気泡発生部材を挿入した状態で被洗浄部材を収容して洗浄液に浸漬し、容器を密閉して真空ポンプにより容器の内圧を負圧(真空)にする。容器の内圧が低くなるに伴い洗浄液が沸騰して泡を発生する。更に気泡発生部材の気泡発生部から泡状現象により泡が積極的に発生する。そして、気泡発生部材は被洗浄部材の内部にその内面と隙間を有した状態で挿入されていることで、被洗浄部材の内面は、洗浄液が沸騰して発生した泡と、気泡発生部材の気泡発生部から積極的に発生した泡とにより洗浄される。これにより、被洗浄部材の内面が良好に洗浄され、加工時に内面に付着した切粉やワックス等の汚れを取り除くことができる。
【0036】
また、気泡発生部材の先端部等にエッジ部を設けることにより、当該エッジ部から積極的に泡を発生させることが可能となり、これに伴い洗浄効果が向上する。具体的には気泡発生部材としてのピン26を四角柱とし、先端部を四角錐状に形成しても良い。更に。気泡発生部材としてのピン29の上面を平面とした角柱状のピンとしても良い。この場合、先端の四角錐を形成する先端部、4つのエッジ部(稜)分だけエッジ部が少なくなるが、円柱状のピンよりもエッジ部が多くなり有効である。
【0037】
また、気泡発生部材を被洗浄部材の内部に収まる長さ(高さ)とすることにより、気泡発生部材の先端部やエッジ部から泡状現象により発生した泡を被洗浄部材の内面に作用させることが可能となり、より洗浄効果が得られる。また、気泡発生部材の長さ(高さ)を被洗浄部材内に収まる長さ(高さ)とすることにより、容器の内圧を負圧(真空)にするに伴い洗浄液が沸騰して発生する泡や、気泡発生部材の気泡発生部から発生した泡により被洗浄部材が揺れ動いたときに気泡発生部材としてのピン26を四角柱とし、先端部を四角錐状に形成したものである。から外れることを防止することができる。
【0038】
また、基板にピンを垂設して被洗浄部材内に気泡発生部材を挿入し、基板に被洗浄部材を垂直に支持し、真空容器に収容して洗浄液に浸漬する。そして、真空容器の内圧を負圧にして洗浄液を沸騰させて泡を発生させると共に、気泡発生部材の気泡発生部から泡を発生させる。洗浄液が沸騰して発生した泡は、気泡発生部材と被洗浄部材の内面との間の隙間を通して上昇しながら被洗浄部材の内面を洗浄する。また、気泡発生部材の気泡発生部から発生した泡は被洗浄部材の内面に直接作用して積極的に洗浄する。これにより、被洗浄部材の内面が良好に洗浄される。
【0039】
尚、上述した実施形態においては被洗浄部材としてシリコンチューブの場合について記述したが、これに限るものではなく他の部材、例えば硼珪酸ガラスや石英ガラス等の円筒部材の内面の洗浄でも良い。また、本発明にかかる柱状支持体基板は、圧力センサチップの支持体基板に適用する場合に限るものではなく、他の製品にも適用することが可能である。更に、上述した実施形態では気泡発生部材として柱状のピンを用いたが、これに限らず例えば錘状の部材を用いても構わないし、特に図8に示す形態において、台座状の部材をピンの代わりに設け、これを洗浄部材27で覆うような構造としても構わない。また、気泡発生部材の側面に突起等の凹凸を設け、側面からの気泡発生を図るように構成しても構わない。要は洗浄部材の内面を気泡の発生によって洗浄できるよう、適宜な気泡発生部材を設ければ良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係る洗浄部材内面の洗浄装置により内面を洗浄すべき被洗浄部材を形成した素材の一例を示す側面図である。
【図2】図1に示した素材の上面図である。
【図3】図2に示した素材に形成された被洗浄部材の内面を洗浄する洗浄方法の手順を示す説明図である。
【図4】図3(c)に示した治具に被洗浄部材を取付けた状態の上面図である。
【図5】図3(d)に示した被洗浄部材の内面を洗浄する場合の説明図である。
【図6】図3(a)に示した治具のピンの斜視図である。
【図7】図6に示したピンの変形例を示し、図7(a)は、円柱の先端部を四角錐状に形成したものであり、図7(b)は、四角柱の先端部を四角錐状に形成したものである。
【図8】被洗浄部材の変形例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0041】
1 素材
2 シリコン(Si)ウエハ
2a 上面
2b 下面
3 硼珪酸ガラス
4 青板ガラス(基板)
5 加工台
6 円筒部材
7 シリコンチューブ
7c 内面
8 環状の硼珪酸ガラス
11,12,13 ワックス
15 治具
16 基板
17 ピン(気泡発生部材)
17a 上端面
17b 外周面
17c エッジ部(泡発生部)
18 容器
19 メタノール(溶液)
21 密閉容器(真空チャンバ)
22 純水(洗浄水)
23 真空ポンプ
25 先端が四角錐状をなす円柱状のピン
25a 先端部(泡発生部)
25b,25c エッジ部(泡発生部)
26 先端が四角錐状をなす四角柱状のピン(気泡発生部材)
26a 先端部(泡発生部)
26b,26c,26d エッジ部(泡発生部)
27 被洗浄部材
27a 底部
27b 開口端面
27c 内面
28 治具
29 ピン(気泡発生部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面を洗浄すべき被洗浄部材を密閉された容器内の洗浄液に浸漬し、真空ポンプにより前記容器の内圧を下げて気泡を発生させて前記被洗浄部材の内面を洗浄する被洗浄部材内面の洗浄方法であって、
前記被洗浄部材内の内面に気泡発生部を有する気泡発生部材を挿入し、前記容器の内圧を下げることにより前記気泡発生部材の気泡発生部から気泡を発生させて前記被洗浄部材の内面を洗浄することを特徴とする被洗浄部材内面の洗浄方法。
【請求項2】
密閉された容器と、
前記容器に充填された洗浄液と、
前記容器の内圧を負圧にする真空ポンプと、
前記容器内を負圧にしたときに気泡を発生する気泡発生部を有する気泡発生部材を備え、
前記容器内の洗浄液に浸漬され内面を洗浄すべき被洗浄部材の内部にその内面と隙間を有した状態で前記気泡発生部材を挿入できるようになったことを特徴とする被洗浄部材内面の洗浄装置。
【請求項3】
前記気泡発生部材は少なくとも先端部にエッジ部を備え、該エッジ部から気泡が発生することを特徴とする、請求項2に記載の被洗浄部材内面の洗浄装置。
【請求項4】
前記気泡発生部材は前記被洗浄部材内に収まる長さを有しているピンであることを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の被洗浄部材内面の洗浄装置。
【請求項5】
前記気泡発生部材は基板に垂設され、前記被洗浄部材内が前記基板に垂直に載置されて前記気泡発生部材が垂直に挿入されるようになったことを特徴とする、請求項2乃至請求項4の何れかに記載の被洗浄部材内面の洗浄装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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