説明

被覆貫通型圧縮コネクタ

【課題】被覆材を剥がずに被覆電線の接続が行えるという利便性を確保しつつ、不慮の外力にも導線の接続状態を損なうことなくこれを良好に維持し、圧縮工具を用いた圧縮を始めとする一連の接続作業を簡便に行うことのできる被覆貫通型圧縮コネクタを安価に提供する。
【解決手段】コネクタ本体4の内部に電線収容孔6aを設け、その外側に電線挿入口6bをコネクタ本体4の全長に亘って連設する。電線挿入口6bと電線収容孔6aとの両側に電線圧縮片4a,4aを設ける。電線収容孔6aの底壁に貫通刃4cをコネクタ本体4の長手方向に沿って突設する。電線収容孔6aに収容した被覆電線2を電線圧縮片4a,4aによって圧縮した際に、貫通刃4cを被覆材に貫通させて貫通刃4cの頂部を導線と線接触または面接触させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆電線の本線に他の被覆電線を分岐接続するのに用いる被覆貫通型圧縮コネクタに係り、詳しくは被覆材の剥離が不要で且つ信頼性の高い電気的接続が可能な被覆貫通型の圧縮コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、高圧本線から柱上の変圧器へ引下げ線を通して接続する場合に、高圧本線の被覆材を剥離しているが、この作業は、作業者が高所や狭隘な柱上で且つ電線に電圧が加わっている活線状態という厳しい状況下で行われるため、改善が望まれていた。
【0003】
この対策として、貫通方向が平行し、且つ被覆電線が挿入できる大きさに形成された2本の貫通孔を有するスリーブ本体と、前記2本の貫通孔を仕切る壁面にそれぞれ当接するように嵌入装着して設けられ、かつ、貫通刃がそれら各貫通孔側にそれぞれ向くように設けられた2本の貫通刃とからなる被覆貫通型の圧縮コネクタが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、被覆電線の被覆材を剥離した部分の導線が挿入できる大きさに形成された導線挿入孔、及びその導線挿入孔の挿入方向と平行し、かつ、その挿入方向と直交する一方側の側面がその被覆電線が挿入できる大きさに開口した被覆電線挿入溝を有するスリーブ本体と、前記導線挿入孔側の前記被覆電線挿入溝の壁面に当接するように嵌入装着して設けられ、かつ貫通刃がその被覆電線挿入溝側に対向するように設けられた貫通刃体とからなる被覆貫通型の圧縮コネクタも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平10−294136号公報
【特許文献2】特開平10−294137号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2の圧縮コネクタは、被覆材を剥がずに接続が確保できるという利点を有するが、一般にスリーブ本体は引き抜き成形されるため、引き抜き方向と交差する貫通刃をスリーブ本体に一体形成することはできず、スリーブ本体と貫通刃のそれぞれを成形したのちに、貫通刃をスリーブ本体に埋設するという構成となり、加工工数の増大とコスト高につながることから実用的に不利である。
また、特許文献1,2の圧縮コネクタは、貫通刃と導線とが直交方向に設けられていることから、貫通刃と導線との接触強度が充分に確保することができず、被覆電線が強風で煽られたり鳥獣がとまるなどして被覆電線に曲げや揺れ等の荷重が作用した場合には、圧縮コネクタが剛体性であるとはいえ被覆電線の撓み変形が若干でも圧縮コネクタ内部の導線まで作用し、貫通刃と導線との接触がゆるんだり、逆に貫通刃が導線に深く食い込んで導線を切断してしまうという虞を免れない。
【0007】
さらに、スリーブ本体の周壁に電線挿入口を持たない閉鎖型の特許文献1では、その使用が被覆電線の端部の接続のみに限られてしまうという制約があり、また電線挿入口がスリーブ本体の一側方に位置し、その上部を片フックが覆う形状の特許文献2では、被覆電線を挿入した圧縮コネクタを圧縮工具で圧縮する際に、フック部分に電線挿入口方向の旋回モーメントを生じて圧着が不安定となることがあり、特に被覆材に着雪防止用のヒレを持つ場合には、圧着時の挙動がことさら不安定となり易い。
【0008】
そこで本発明は、特許文献1,2の圧縮コネクタと同様に被覆材を剥がずに被覆電線の接続が行えるという利便性を確保しつつ、不慮の外力にも導線の接続状態を損なうことなくこれを良好に維持し、さらに張力のかかる本線の導線への圧接の際に導線の強度低下をさせにくく、圧縮工具を用いた圧縮を始めとする一連の接続作業を簡便に行うことのできる被覆貫通型圧縮コネクタを安価に提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的にしたがって、本発明の被覆貫通型圧縮コネクタは、所定の長さを有する導電性のコネクタ本体に、被覆電線を接続する電線取付け孔を前記コネクタ本体の全長に亘って設けた被覆貫通型圧縮コネクタにおいて、前記電線取付け孔を、前記コネクタ本体内部を貫通する電線収容孔と、該電線収容孔の外側で前記コネクタ本体の外部と連通する電線挿入口とを連続させて形成するとともに、該電線挿入口と前記電線収容孔との両側に一対の電線圧縮片を形成し、前記電線挿入口と対向する電線収容孔の底壁に、前記被覆電線の被覆材を貫通して該被覆材内部の導線と線接触または面接触する貫通刃を、前記コネクタ本体の長手方向に沿って該コネクタ本体から一体に突設したことを特徴としている。
【0010】
本発明の被覆貫通型圧縮コネクタは、貫通刃を1枚ないしは複数枚とすることができる。本発明のコネクタを用いた被覆電線の分岐接続作業を高めるために、被覆電線をコネクタに仮保持が可能となるよう、電線挿入口をこれに差し込まれる被覆電線の外径よりも幅狭に形成してもよい。さらに、電線圧縮片の中間部に、導線から剥離した被覆材を収容する被覆材収容溝を形成することも好ましい。
【0011】
本発明のコネクタ本体は、銅やステンレス鋼あるいはアルミニウム合金等の導電性と耐食性のある剛性体が用いられ、貫通刃をコネクタ本体の長手方向に沿って配設することから、コネクタ本体と貫通刃とを一体形成することが可能であり、特許文献1,2のような成形後の一体化加工が不要となる。
【0012】
本発明の被覆貫通型圧縮コネクタを用いて被覆電線を接続するには、外側に被覆材をつけたままの被覆電線を電線挿入口を通して電線収容孔に収容したのち、コネクタ本体を油圧圧縮工具で把持し、該油圧圧縮工具を加圧することにより、電線圧縮片を電線収容孔と電線挿入口方向に圧縮する。
この圧縮により、電線圧縮片は電線収容孔と電線挿入口の内部に入り込んで被覆電線外側の被覆材を圧壊し、また貫通刃は被覆電線の被覆材を突き破って、被覆材内部の導線と長手方向に線接触または面接触する。
【0013】
このように、貫通刃はコネクタ本体の電線収容孔に収容した被覆電線の導線と長手方向に線接触または面接触するため、引っ張りによる強度が強く、被覆電線に風雪害や鳥獣の荷重等による揺れや曲げあるいは撓み変形が作用しても、貫通刃と導線との接触状態をよく維持する。また、電線挿入口と電線収容孔の両側に一対の電線圧縮片が対向する対称形状となるため、圧縮工具を用いた圧縮力が偏荷重とならず圧縮作業が容易となる。
本発明は、2つの電線取付け孔のいずれか一方または双方に適用されるものであり、例えば、本発明の被覆貫通型圧縮コネクタを、高圧本線と引下げ線との接続に適用する場合には、少なくとも被覆材が経年変化により導線に貼り付いて剥きにくくなった高圧本線側に適用することが好ましいが、比較的小径で被覆材の剥きやすい引下げ線側に適用することも勿論妨げない。
【0014】
また、貫通刃の枚数を増加することにより、貫通刃と電線との接触長さが増大するので信頼性の増大につながる。さらに、電線挿入口をこれに挿入される被覆電線の外径よりも幅狭に形成しておくことにより、圧着作業の前に、電線収容孔に収容した被覆電線を電線挿入口両側の電線圧縮片が抜け止めする仮保持ができ、工具の変更や持ち替えあるいは作業者が姿勢を立て直す等の変化ができて利便性が高まる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の被覆貫通型圧縮コネクタによれば、被覆材を剥がすことなく電線の接続が行えるという利便性を確保しつつ、不慮の外力にも電線の接続状態を損なうことなくこれを良好に維持し、圧縮工具を用いた圧縮を始めとする一連の接続作業を簡便に行うことができる。また、貫通刃をコネクタ本体と一体成形できるので、生産性と経済性に優れる。
さらに、貫通刃の枚数を複数枚とすることにより、貫通刃と導線との接触長さをより長く確保できるので、本発明の被覆貫通型圧縮コネクタとこれを用いた接続作業に対する信頼性が一層高まる。
【0016】
また、電線挿入口をこれに挿入される被覆電線の外径よりも幅狭とすることにより、電線収容孔に収容した被覆電線を一対の電線圧縮片が抜け止めする仮保持が可能であり、工具の変更や持ち替えあるいは作業者が姿勢を立て直す等の変化ができるので利便性が高い。
さらに、電線圧縮片の中間部に被覆材収容溝を形成することにより、電線から剥離した被覆材が貫通刃と導線の接触の妨げとなる虞を極力回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明にかかる被覆貫通型圧縮コネクタを、高圧本線と引下げ線との接続に用いた各実施例を図面に基づいて説明する。
図中、図1〜図5は本発明の第1実施例を示し、図1は被覆貫通型圧縮コネクタの斜視図、図2は同じく被覆貫通型圧縮コネクタの一部断面側面図、図3は被覆電線を仮保持した被覆貫通型圧縮コネクタの正面図、図4は被覆貫通型圧縮コネクタを用いて高圧本線と引下げ線とを接続した状態の側面図、図5は図4のV−V断面図である。
図6及び図7は本発明の第2実施例を示し、図6は電線を仮保持した被覆貫通型圧縮コネクタの正面図、図7は被覆貫通型圧縮コネクタを用いて高圧本線と引下げ線とを接続した状態の側面図である。
図8及び図9は本発明の第3実施例を示し、図8は電線を仮保持した被覆貫通型圧縮コネクタの正面図、図7は高圧本線と引下げ線とを接続した被覆貫通型圧縮コネクタの要部断面図である。
図10及び図11は本発明の第4実施例を示し、図10は被覆電線を仮保持した被覆貫通型圧縮コネクタの正面図、図11は高圧本線と引下げ線とを接続した被覆貫通型圧縮コネクタの要部断面図である。
図12及び図13は本発明の第5実施例を示し、図12は被覆電線を仮保持した被覆貫通型圧縮コネクタの正面図、図13は高圧本線と引下げ線とを接続した被覆貫通型圧縮コネクタの要部断面図である。
【0018】
図1〜図5に示す第1実施例の被覆貫通型圧縮コネクタ1は、高圧本線用の被覆電線2と引下げ線用の被覆電線3の導線2b,3aを接続するためのもので、コネクタ本体4は、銅等の導電性の剛体を材料に、断面が長円形で且つ両被覆電線2,3の導線2b,3aを接続するのに足りる長さを持たせた略長円形柱体状に形成されている。コネクタ本体4の一方の円弧部側には被覆電線2用の第1電線取付け孔5が、またコネクタ本体4の他方の円弧部側には被覆電線3用の第2電線取付け孔7が、それぞれコネクタ本体4の全長に亘って設けられている。
被覆電線2用の第1電線取付け孔5は、コネクタ本体4の内部を貫通する電線収容孔6aと、該電線収容孔6aの外側でコネクタ本体4の外部と連通する電線挿入口6bとを連続させて形成され、また被覆電線3用の第2電線取付け孔7は、コネクタ本体4の内部を貫通する電線収容孔8aと、該電線収容孔8aの外側でコネクタ本体4の外部と連通する電線挿入口8bとを連続させて形成されている。
【0019】
第1電線取付け孔5の電線収容孔6aは、被覆電線2の断面形状よりも大きな細長に形成され、この電線収容孔6aの外側に電線挿入口6bが連続していて、電線挿入口6bを通して電線収容孔6aがコネクタ本体4の外部と連通しており、また電線収容孔6aと電線挿入口6bの両側に一対の電線圧縮片4a,4aが対称に設けられる。
第2電線取付け孔7の電線収容孔8aは、被覆電線2用の電線収容孔6aよりも小さな円形に形成され、この電線収容孔8aの外側に幅狭な電線挿入口8bが連続していて、電線挿入口8bを通して電線収容孔8aがコネクタ本体4の外部と連通しており、また電線収容孔8aと電線挿入口8bの両側に一対の電線圧縮片4b,4bが対称に設けられる。
【0020】
被覆電線2用の電線圧縮片4a,4aは、コネクタ本体4と電線収容孔6aの断面方向の中心軸O1を挟んで対称形で、且つ被覆電線2の被覆材2aを圧壊するのに足りる所要の厚さで形成されている。電線挿入口6bを画成する電線圧縮片4a,4aの先端部は、被覆電線2を円滑に差し込めるよう外側に向けてハの字状に拡開しており、先端部内側の間隔C1は、被覆電線2の外径D1よりもやや幅狭に絞られている。
【0021】
被覆電線2用の電線収容孔6aを挟んで電線挿入口6bと対向する電線収容孔6aの底壁には、貫通刃4cがコネクタ本体4の全長に亘って一体に突設されている。この貫通刃4cは、断面二等辺三角形状で、別途の油圧圧縮工具(図示せず)を用いて被覆電線2を接続する際に、被覆電線2の被覆材2aを突き破って内部の導線2bと良好に線接触または面接触できるよう、その頂部は前記中心軸O1上に配設されている。
【0022】
本実施例の被覆貫通型圧縮コネクタ1は、以上のように構成されており、上部に位置する第1電線取付け孔5には、高圧本線用の被覆電線2が電線挿入口6bから電線収容孔6aに収容され、また下部に位置する他方の第2電線取付け孔7には、引下げ線用の被覆電線3の導線3aが被覆材3bを剥いだ状態で電線挿入口8bから電線収容孔8aに収容される。
図3に示すように、高圧本線用の被覆電線2は、被覆材2aの外側に着雪防止用のヒレ2c,2cを有しており、このヒレ2c,2cが差し込みの邪魔にならないよう上下方向へ向けて被覆電線2が電線挿入口6bに差し込まれるが、電線圧縮片4a,4aの先端部内側の間隔C1が、被覆電線2の外径D1よりもやや幅狭であるため、被覆電線2は電線圧縮片4a,4aの先端側を外側に押し退けながら電線挿入口6bを通過し、被覆電線2が電線挿入口6bを通過して電線収容孔8aに収容されると、電線圧縮片4a,4aの先端側が原形に復帰する。
電線収容孔8aに収容された被覆電線2は、外周面の抜け方向側に電線圧縮片4a,4aの幅狭な先端部が接触して抜け止めされ、コネクタ本体4に仮保持される。この状態において、作業者は被覆電線2やコネクタ本体4から手を離すことが可能となり、工具の変更や持ち替えあるいは作業姿勢を立て直す等の対応をとることができる。
【0023】
つぎに、図3の被覆貫通型圧縮コネクタ1を図示しない油圧圧縮工具で把持し、油圧圧縮工具からの圧縮力がコネクタ本体4上下の円弧部に加えられ、上部側の電線圧縮片4a,4aは電線収容孔6aと電線挿入口6b方向に圧縮され、下部側の電線圧縮片4b,4bも電線収容孔8aと電線挿入口8b方向に圧縮される。
【0024】
図4に示すように、油圧圧縮工具を用いた圧縮は、コネクタ本体4の端部近傍の2箇所で行われ、当該部分に圧縮変形部9,9を生じる。この圧縮変形部9,9において、上部側の電線圧縮片4a,4aは、電線収容孔6aと電線挿入口6bを狭めながら被覆電線2の被覆材2aを圧壊して内部の導線2bを露出させ、被覆材2aの一部をコネクタ本体4の外部に膨出させながら導線2bを包持し、貫通刃4cも被覆材2aの下側を突き破ってその頂部が導線2bと長手方向に線接触あるいは面接触する(図5参照)。
また、下部側の電線圧縮片4b,4bは、油圧圧縮工具を用いた上記の圧縮操作により、圧縮変形部9,9において、電線収容孔8aと電線挿入口8bを狭めながら被覆電線3の導線3aを包持する(図5参照)。
【0025】
高圧本線用の被覆電線2と引下げ線用の被覆電線3の導線2b,3aは、このように導電性の被覆貫通型圧縮コネクタ1を通して接続され、特に高圧本線用の被覆電線2では、コネクタ本体4と一体の貫通刃4cが被覆電線2の導線2bとコネクタ本体4の全長に亘る長さで強固に線接触または面接触し、この接触関係を長期間良好に維持する。
【0026】
次に、本発明の第2〜第5実施例を図6〜図13に基づいて説明する。なお、これら第2〜第5実施例において、上記第1実施例と同一構成部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0027】
図6及び図7の第2実施例に示す被覆貫通型圧縮コネクタ10のコネクタ本体4は、電線収容孔6aと電線挿入口6bの両側に位置する電線圧縮片4a,4aの中間部に、被覆材収容溝11,11を凹設した点で第1実施例と異なっている。
被覆材収容溝11,11は、油圧圧縮工具を用いてコネクタ本体4の両端部近傍を圧縮した際に、電線圧縮片4a,4aで圧壊された被覆材2aの一部を収容するためのもので、被覆材2aの一部を被覆材収容溝11,11に収容することにより、コネクタ本体4の内部に圧壊された被覆材2aが残留して、貫通刃4cと被覆電線2の導線2bとの接触を妨げることがないようにしている。
【0028】
図8及び図9の第3実施例に示す被覆貫通型圧縮コネクタ20は、コネクタ本体4の電線収容孔6aの底壁に、一対の貫通刃4d,4dが並行溝21を隔てて突設されている点で、前述の第1実施例と異なっている。
図9に示すように、一対の貫通刃4d,4dは、コネクタ本体4に対する油圧圧縮工具からの圧縮によって被覆電線2の被覆材2aを突き破り、それぞれの頂部が被覆電線2内部の導線2bとコネクタ本体4の全長に亘って線接触または面接触する。
【0029】
図10及び図11の第4実施例に示す被覆貫通型圧縮コネクタ30は、コネクタ本体4の電線収容孔6aの底壁に、一対の貫通刃4e,4eがV字溝31を隔てて突設されている点で、前述の第1実施例と異なっている。
図11に示すように、一対の貫通刃4e,4eは、コネクタ本体4に対する油圧圧縮工具からの圧縮によって被覆電線2の被覆材2aを突き破り、それぞれの頂部が被覆電線2内部の導線2bとコネクタ本体4の全長に亘って線接触または面接触する。
【0030】
図12及び図13の第5実施例に示す被覆貫通型圧縮コネクタ40は、コネクタ本体4の電線収容孔6aの底壁に3つの貫通刃4f,4g,4gを突設した点で、前述の第1実施例と異なっている。
貫通刃4f,4g,4gは大小の二等辺三角形に形成されており、このうち小さな二等辺三角形の貫通刃4fは、コネクタ本体4と電線収容孔6aの断面方向の中心軸O1上に配設され、これよりも大きな二等辺三角形の貫通刃4g,4gは貫通刃4fの両側に配設されており、これらの貫通刃4f,4g,4gは、コネクタ本体4に対する油圧圧縮工具からの圧縮によって被覆電線2の被覆材2aを突き破り、それぞれの頂部が被覆電線2内部の導線2bとコネクタ本体4の全長に亘って線接触または面接触する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施例を示す被覆貫通型圧縮コネクタの斜視図である。
【図2】本発明の第1実施例を示す被覆貫通型圧縮コネクタの一部断面側面図である。
【図3】本発明の第1実施例を示す被覆電線を仮保持した被覆貫通型圧縮コネクタの正面図である。
【図4】本発明の第1実施例を示す被覆貫通型圧縮コネクタを用いて高圧本線と引下げ線とを接続した状態の側面図である。
【図5】本発明の第1実施例を示す図4のV−V断面図である。
【図6】本発明の第2実施例を示す電線を仮保持した被覆貫通型圧縮コネクタの正面図である。
【図7】本発明の第2実施例を示す被覆貫通型圧縮コネクタを用いて高圧本線と引下げ線とを接続した状態の側面図である。
【図8】本発明の第3実施例を示す電線を仮保持した被覆貫通型圧縮コネクタの正面図である。
【図9】本発明の第3実施例を示す被覆貫通型圧縮コネクタを用いて高圧本線と引下げ線とを接続した状態の要部断面図である。
【図10】本発明の第4実施例を示す電線を仮保持した被覆貫通型圧縮コネクタの正面図である。
【図11】本発明の第4実施例を示す被覆貫通型圧縮コネクタを用いて高圧本線と引下げ線とを接続した状態の要部断面図である。
【図12】本発明の第5実施例を示す電線を仮保持した被覆貫通型圧縮コネクタの正面図である。
【図13】本発明の第5実施例を示す被覆貫通型圧縮コネクタを用いて高圧本線と引下げ線とを接続した状態の要部断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1,10,20,30,40…被覆貫通型圧縮コネクタ
2…高圧本線用の被覆電線
2a…被覆電線2の被覆材
2b…被覆電線2の導線
2c…着雪防止用のヒレ
3…引下げ線用の被覆電線
3a…被覆電線3の導線
3b…被覆電線3の被覆材
4…コネクタ本体
4a,4b…電線圧縮片
5…第1電線取付け孔
6a…電線収容孔
6b…電線挿入口
7…第2電線取付け孔
8a…電線収容孔
8b…電線挿入口
9…圧縮変形部
C1…電線圧縮片4a,4aの先端部内側の間隔
D1…被覆電線2の外径
O1…コネクタ本体4と電線収容孔6aの断面方向の中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の長さを有する導電性のコネクタ本体に、被覆電線を接続する電線取付け孔を前記コネクタ本体の全長に亘って設けた被覆貫通型圧縮コネクタにおいて、
前記電線取付け孔を、前記コネクタ本体内部を貫通する電線収容孔と、該電線収容孔の外側で前記コネクタ本体の外部と連通する電線挿入口とを連続させて形成するとともに、該電線挿入口と前記電線収容孔との両側に一対の電線圧縮片を形成し、
前記電線挿入口と対向する電線収容孔の底壁に、前記被覆電線の被覆材を貫通して該被覆材内部の導線と線接触または面接触する貫通刃を、前記コネクタ本体の長手方向に沿って該コネクタ本体から一体に突設した
ことを特徴とする被覆貫通型圧縮コネクタ。
【請求項2】
前記貫通刃が複数枚設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の被覆貫通型圧縮コネクタ。
【請求項3】
前記電線挿入口は、前記被覆電線の外径よりも幅狭に形成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の被覆貫通型圧縮コネクタ。
【請求項4】
前記電線圧縮片の中間部に、前記導線から剥離した前記被覆材を収容する被覆材収容溝を形成した
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の被覆貫通型圧縮コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−266505(P2009−266505A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113294(P2008−113294)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(000222037)東北電力株式会社 (228)
【出願人】(591160268)北日本電線株式会社 (41)
【出願人】(508125184)古河パワーコンポーネンツ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】