説明

装飾用粘着シート

【課題】 本発明は、充分な金属光沢を有し且つ曲面への追従性、耐候性及び耐薬品性に優れた装飾用粘着シートを提供する。
【解決手段】 本発明の装飾用粘着シートAは、基材シート1の一面にウレタン系接着剤層2を介して金属薄膜層3が積層一体化されていると共に、上記金属薄膜層3上にはインキ受容シート4及びコーティング層5が積層一体化され、上記コーティング層5は、ヒンダードアミン骨格及びベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル系樹脂を含有し、上記基材シート1の他面には粘着剤層6が積層一体化されていることを特徴とするので、優れた金属光沢を有し且つ曲面への追従性、耐候性及び耐薬品性に優れている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、オートバイ、家電製品などの外面に貼着して使用される装飾用粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
装飾用粘着シートとしては、塩化ビニル樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂などからなる樹脂フィルムの一面に、粘着剤層が形成されてなるものが知られている。上記装飾用粘着シートは、その粘着剤層を装飾を施したい材料に貼着させて、上記樹脂フィルムの色や模様により装飾効果を発揮させるものであり、近年塗装に代わり、自動車、オートバイ、家電製品などの装飾分野、広告、看板、ラベル・ステッカー類などのディスプレイ分野、ラッピングバスなどのフリートマーキング分野などに使用されるようになっている。
【0003】
このような装飾用粘着シートとしては、保護フィルム層が、粘着剤層(1)を介してマーキングフィルム層に積層されてなることを特徴とするマーキングフィルム積層シートが提案されている。そして、このマーキングフィルム積層シートにおける、上記保護フィルム層がポリオレフィン系樹脂フィルムからなり、上記粘着剤層(1)がエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体及びエチレン−メチルアクリレート共重合体から選ばれた少なくとも一種の樹脂からなることが好ましいことが開示されている。
【0004】
しかしながら、上記マーキングフィルム積層シートは、外観を変化させることなく曲率の大きな面に追従させた状態で貼着するのが困難であるため、自動車やオートバイの車体などの曲率の大きな曲面を有する被着体への貼着に適していなかった。
【0005】
又、曲面への追従性に優れた装飾用粘着シートとしては、特許文献2に、ウレタン樹脂フィルム層を二層構成とし、その上層の架橋型ウレタン樹脂よりなるフィルム層表面に金属蒸着膜を形成した金属蒸着ウレタンフィルムであって、上記架橋型フィルム層の100%モジュラスが、5〜30MPaであることを特徴とする金属蒸着ウレタンフィルムが提案されている。
【0006】
しかしながら、上記金属蒸着ウレタンフィルムは、表面に傷がつきやすいため、装飾性が損なわれたり、汚れが落ちにくくなりやすいという問題点があった。又、上記金属蒸着ウレタンフィルムは、長期間ガソリン蒸気に曝されると、変色・変質したり、層間剥離が発生するため、自動車やオートバイ用の装飾用粘着シートには不適であった。
【0007】
そして、ガソリン蒸気の存在下での使用が可能で且つ曲面への追従性にも優れた装飾用粘着シートとしては、特許文献3に、塩化ビニル樹脂を含んでなる光透過性被覆フィルム、飽和ポリエステル又はアミノエチル化樹脂を含んでなる層と、シロキサン結合を分子内に有するポリエステル又はシロキサン結合を分子内に有するポリエステル単位を含むポリウレタン樹脂を含んでなる層とを含んでなる光透過性結合層及び金属層がこの順に積層一体化されてなる装飾性シートが提案されている。
【0008】
しかしながら、上記装飾性シートは、充分な金属光沢が得られず、装飾性に劣ることがあった。
【0009】
【特許文献1】特開平8−118531号公報
【特許文献2】特開2004−299190号公報
【特許文献3】特開平11−207863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、充分な金属光沢を有し且つ曲面への追従性、耐候性及び耐薬品性に優れた装飾用粘着シートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の装飾用粘着シートは、基材シートの一面にウレタン系接着剤層を介して金属薄膜層が積層一体化されていると共に、上記金属薄膜層上にはインキ受容シート及びコーティング層が積層一体化され、上記コーティング層は、ヒンダードアミン骨格及びベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル系樹脂を含有し、上記基材シートの他面には粘着剤層が積層一体化されていることを特徴とする。
【0012】
装飾用粘着シートは、上記装飾用粘着シートにおいて、上記コーティング層の厚みが0.5〜10μmであることを特徴とする。
【0013】
装飾用粘着シートは、上記装飾用粘着シートにおいて、インキ受容シートは、アクリル系樹脂、アクリルウレタン樹脂又はウレタン樹脂の少なくとも一つの樹脂を含有することを特徴とする。
【0014】
装飾用粘着シートは、上記装飾用粘着シートにおいて、基材シートが、塩化ビニル系樹脂を含有することを特徴とする。
【0015】
装飾用粘着シートは、上記装飾用粘着シートにおいて、基材シートと金属薄膜層とがドライラミネート法によってウレタン系接着剤層を介して一体化されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の装飾用粘着シートは、基材シートの一面にウレタン系接着剤層を介して金属薄膜層が積層一体化されていると共に、上記金属薄膜層上にはインキ受容シート及びコーティング層が積層一体化され、上記コーティング層は、ヒンダードアミン骨格及びベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル系樹脂を含有し、上記基材シートの他面には粘着剤層が積層一体化されていることを特徴とするので、優れた金属光沢を有し且つ曲面への追従性、耐候性及び耐薬品性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の装飾用粘着シートの一例を図面を参照しながら説明する。装飾用粘着シートAは、基材シート1の一面にウレタン系接着剤層2を介して金属薄膜層3が積層一体化されていると共に、上記金属薄膜層3上にはインキ受容シート4及びコーティング層5が積層一体化され、上記コーティング層5は、ヒンダードアミン骨格及びベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル系樹脂を含有し、上記基材シートの他面には粘着剤層6が積層一体化されている。
【0018】
本発明の装飾用粘着シートAには、装飾用粘着シートの機械的強度を担保し、被着体に貼着させる際の作業性を向上させる目的で基材シート1を有している。この基材シート1としては、特に限定されず、例えば、塩化ビニル系樹脂シート、アクリル系樹脂シート、プロピレン系樹脂シートなどの合成樹脂シートが挙げられ、自動車やオートバイの車体などの曲率の大きな曲面を有する被着体への貼着が良好であることから、塩化ビニル系樹脂シートが好ましい。
【0019】
そして、上記塩化ビニル系樹脂シートを構成する塩化ビニル系樹脂としては、特に限定されず、例えば、塩化ビニルモノマーの単独重合体、塩化ビニルモノマーとこれと共重合可能な他のモノマーとの共重合体などが挙げられる。
【0020】
なお、上記塩化ビニルモノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、特に限定されず、例えば、酢酸ビニルモノマー、ウレタンモノマー、エチレンモノマーなどが挙げられる。
【0021】
又、上記塩化ビニル系樹脂シートには、その柔軟性を向上させる目的で、アジピン酸ポリエステル系可塑剤が含有されるのが好ましい。
【0022】
そして、上記塩化ビニル系樹脂シートに含有されるアジピン酸ポリエステル系可塑剤としては、特に限定されず、アジピン酸エステルモノマーを単独重合又は共重合してなるアジピン酸ポリエステル樹脂、アジピン酸エステルモノマーとこれと共重合可能な他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
【0023】
又、上記アジピン酸エステルモノマーは、アジピン酸をアルコール類でエステル化してなるものである。上記エステル化に用いられるアルコール類としては、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールなどが挙げられる。
【0024】
そして、上記アジピン酸ポリエステル系可塑剤の市販品としては、例えば、旭電化社から市販されている、商品名「アデカサイザーPN−250」、「アデカサイザーPN−260」、「アデカサイザーPN−280」、「アデカサイザーPN−310」、「アデカサイザーPN−350」、「アデカサイザーPN−400」、「アデカサイザーPN−446」、「アデカサイザーPN−606」、「アデカサイザーPN−650」、「アデカサイザーPN−1030」、「アデカサイザーPN−1430」、「アデカサイザーPN−3030」、「アデカサイザーPN−3130」などが挙げられる。これらのアジピン酸ポリエステル系可塑剤は、単独で用いられても、二種以上が併用されてもよい。
【0025】
なお、可塑剤としては、上記アジピン酸ポリエステル系可塑剤以外に、アゼライン酸、セバチン酸、フタル酸などの二塩基酸をエステル化してなる二塩基酸エステルモノマーを重合してなる可塑剤や、一塩基酸をエステル化してなる一塩基酸エステルモノマーを重合してなる可塑剤なども市販されているが、塩化ビニル系樹脂シートには、これらの可塑剤の中でも、後述する粘着剤層への移行が発生しにくいアジピン酸ポリエステル系可塑剤を用いるのが好ましい。
【0026】
即ち、上記アジピン酸ポリエステル系可塑剤は、塩化ビニル系樹脂シートから粘着剤層6へ移行しにくく、(1)塩化ビニル系樹脂シートの柔軟性が失われて、装飾用粘着シートの曲面への追従性が低下する、(2)粘着剤層が軟化されることにより、装飾用粘着シートの被着体に対する適度な粘着力が損なわれる、(3)粘着剤層が軟化されて凝集力が低下し、装飾用粘着シートを被着体から剥離させた際に被着体の表面に糊残りが生じるなどの問題を生じさせにくいため、塩化ビニル系樹脂シート中にアジピン酸ポリエステル系可塑剤が含有されてなる装飾用粘着シートは、被着体への適度な粘着力を有し、被着体から剥離させた際に被着体の表面に糊残りを生じにくいと共に、曲面への追従性に優れたものとなる。
【0027】
そして、上記アジピン酸ポリエステル系可塑剤の重量平均分子量は1700〜2500が好ましく、1800〜2400がより好ましい。これは、アジピン酸ポリエステル系可塑剤の重量平均分子量が小さいと、アジピン酸ポリエステル系可塑剤が粘着剤層へ移行し、(1)塩化ビニル系樹脂シートの柔軟性が失われて、装飾用粘着シートの曲面への追従性が低下する、(2)粘着剤層が軟化されることにより、装飾用粘着シートの被着体に対する適度な粘着力が損なわれる、(3)粘着剤層が軟化されて凝集力が低下し、装飾用粘着シートを被着体から剥離させた際に被着体の表面に糊残りが生じるなどの問題が生じることがあるからである。一方、アジピン酸ポリエステル系可塑剤の重量平均分子量が大きいと、アジピン酸ポリエステル系可塑剤の粘度が高くなり、塩化ビニル系樹脂シートの製膜時において、塩化ビニル系樹脂シートを構成する樹脂組成物が均一に混練しにくくなって、塩化ビニル系樹脂シートの製膜が困難になることがあるからである。
【0028】
ここで、上記アジピン酸ポリエステル系可塑剤の重量平均分子量は、光散乱法により測定された値をいう。なお、光散乱法とは、溶液中の分子に光が衝突した際に発生する光の散乱の強度が、その分子の質量に比例することを利用した重量平均分子量の分析方法である。上記光散乱法による重量平均分子量の測定には、光散乱光度計などが用いられる。
【0029】
そして、上記塩化ビニル系樹脂シート中におけるアジピン酸ポリエステル系可塑剤の含有量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、5〜100重量部が好ましく、10〜90重量部がより好ましく、15〜70重量部が特に好ましい。これは、上記塩化ビニル系樹脂シート中におけるアジピン酸ポリエステル系可塑剤の含有量が少ないと、塩化ビニル系樹脂シートの柔軟性が低下し、特に冬場などの低温条件下では、装飾用粘着シートに縮みが生じて装飾性が低下し、或いは、装飾用粘着シートの曲面への追従性が低下して装飾用粘着シートを被着体に貼着させる際の作業性が低下することがあるからである。一方、アジピン酸ポリエステル系可塑剤の含有量が多いと、塩化ビニル系樹脂シートが柔らかくなり過ぎて、特に夏場などの高温条件下では装飾用粘着シートに延びが生じて装飾性が低下し、或いは、被着体に対する位置決めが困難となって装飾用粘着シートを被着体に貼着させる際の作業性が低下することがあるからである。
【0030】
更に、上記塩化ビニル系樹脂シートには、その製膜時における変色を防止する目的で、下記式(1)で示されるアルキル錫メルカプト化合物が含有されるのが好ましい。
【0031】
(R1)n−Sn−(SCH2CH2COOR2)4-n ・・・式(1)
(式中、nは1又は2、R1は炭素数1〜8のアルキル基、R2は炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルキル基の誘導体)
【0032】
上記式(1)において、R1は炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、ノルマルオクチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基などが挙げられる。なお、上記式(1)において、nの値が2である場合、2つのR1は互いに同一でなくてもよい。
【0033】
又、上記式(1)において、R2は炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルキル基の誘導体である。炭素数1〜8のアルキル基としては、上記R1と同様のものが挙げられ、その誘導体としては、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルキルオキシ基などが挙げられる。なお、上記式(1)において複数個存在するR2は、互いに同一でなくてもよい。
【0034】
更に、上記塩化ビニル系樹脂シートには、その製膜時における変色を防止する目的で、有機亜リン酸エステルが含有されるのが好ましい。
【0035】
上記塩化ビニル系樹脂シートの製膜方法としては、特に限定されず、例えば、溶液キャスティング法、カレンダー成形法などが挙げられ、溶液キャスティング法が好ましい。
【0036】
そして、上記基材シート1の厚みは、薄いと、装飾用粘着シートの機械的強度が低下して、耐候性が低下することがある一方、厚いと、装飾用粘着シートの柔軟性が低下して、装飾用粘着シートの曲面への追従性が低下し、或いは、金属薄膜層にひび割れが生じることがあるので、20〜110μmが好ましく、30〜70μmがより好ましい。
【0037】
更に、上記基材シート1の一面には、装飾用粘着シートAに金属光沢を付与し、その装飾性を高める目的で、ウレタン系接着剤層2を介して金属薄膜層3が積層一体化されている。ここで、基材シート1の一面に金属薄膜層3を積層一体化させるにあたってウレタン系接着剤を用いているのは、ウレタン系接着剤以外の接着剤を用いた場合、耐薬品性が不充分となり、ガソリン蒸気などの薬品により劣化されて、基材シート1と金属薄膜層3との間で層間剥離が発生しやすくなるからである。
【0038】
上記ウレタン系接着剤としては、特に限定されず、例えば、ウレタンプレポリマーからなる主剤とポリイソシアネートからなる硬化剤とを混合させることにより、ウレタンプレポリマー中の水酸基とポリイソシアネート中のイソシアネート基がウレタン結合を形成して硬化する2液型ウレタン系接着剤などが挙げられる。
【0039】
なお、上記2液型ウレタン系接着剤の市販品としては、三井化学ポリウレタン社から市販されている、商品名「タケラックA−626」、「タケラックA−543」などが挙げられる。
【0040】
そして、金属薄膜層3を構成する金属としては、特に限定されず、例えば、アルミニウム、銀、クロム、金などが挙げられ、安価であることから、アルミニウムが好ましい。
【0041】
又、金属薄膜層3の厚みは、薄いと、装飾用粘着シートの金属光沢が不充分になって装飾性が低下することがある一方、厚いと、金属薄膜層にひび割れが生じることがあるので、200〜1000Åが好ましく、400〜800Åがより好ましい。
【0042】
そして、金属薄膜層3上にはインキ受容シート4が積層一体化されている。このインキ受容シート4に所望の文字や図柄を印刷することができる。インキ受容シート4は、このインキ受容シート4を透して金属薄膜層3を視認可能な程度の光透過性を有しており、好ましくは、透明であることが好ましく、無色透明であることがより好ましい。なお、本発明において「透明」とは、JIS K7105に準拠して測定した全光線透過率が30%以上であることをいう。
【0043】
インキ受容シート4を構成する合成樹脂としては、その表面に汎用のインキを用いて印刷を施すことができれば、特に限定されないが、柔軟性及び透明性を有しており、金属薄膜層を金属蒸着によって形成することができることから、アクリル系樹脂、アクリルウレタン樹脂、ウレタン樹脂が好ましい。
【0044】
インク受容シート4の厚みは、薄いと、装飾用粘着シートを曲面に貼り合せる際にクラックが入ってしまう場合があり、厚いと、装飾用粘着シートが光沢性不足になることがあるので、0.6〜20μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。
【0045】
インキ受容シート4を構成するアクリル系樹脂としては、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを単独重合又は共重合してなる(メタ)アクリル酸アルキルエステル樹脂や、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとこれと共重合可能な他のビニルモノマーとの共重合体などが挙げられ、(メタ)アクリル酸アルキルエステル樹脂が好ましい。なお、本発明において「(メタ)アクリル酸」とは、「メタクリル酸又はアクリル酸」を意味する。
【0046】
又、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとしては、特に限定されないが、アルキル基の炭素数が1〜12の一級又は二級のアルキルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化反応により得られるものが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチルなどが挙げられ、(メタ)アクリル酸オクチルがより好ましい。なお、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーは、単独で用いられても、二種以上が併用されてもよい。
【0047】
インキ受容シート4としてアクリル系樹脂シートを用いると、装飾用粘着シートAは、アクリル系樹脂シート4を透して金属薄膜層3を充分に視認することができ優れた金属光沢を有していると共に、曲面への追従性に優れ、耐候性にも優れたものとすることができる。
【0048】
インキ受容シート4を構成するアクリルウレタン樹脂としては、特に限定されず、例えば、アクリルポリオールとポリイソシアネート架橋剤とを反応させて得られるものが挙げられ、アクリルポリオール100重量部とポリイソシアネート架橋剤30〜100重量部とを反応させたものが好ましい。アクリルポリオールとしては、得られるアクリルウレタン樹脂が耐熱性に優れることから、重量平均分子量が1000〜200000で且つガラス転移温度が0〜100℃であることが好ましい。
【0049】
又、ポリイソシアネート架橋剤としては、得られるアクリルウレタン樹脂が耐熱性に優れることから、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、ビウレット体、イソシアヌレート体又はこれらの混合物若しくは縮合物が好ましい。ポリイソシアネート架橋剤としては、架橋点間距離(ポリイソシアネートの重量平均分子量/ポリイソシアネートのNCO基数)が200〜400であることが好ましい。
【0050】
インキ受容シート4を構成するウレタン樹脂としては、特に限定されず、例えば、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、ポリイソシアネートとポリオールとの反応によって得られた直鎖構造型のポリウレタン樹脂などが挙げられる。
【0051】
上記アクリル系樹脂には、アクリル系樹脂を架橋させて装飾用粘着シートAの耐熱性を向上させる目的で、光硬化剤、熱硬化剤などの硬化剤が含有されるのが好ましい。
【0052】
そして、上記光硬化剤としては、特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサントンとp−ジメチルアミノ安息香酸エチルとの混合物、イソプロピルチオキサントンとp−ジメチルアミノ安息香酸エチルとの混合物などが挙げられる。なお、光硬化剤は、単独で用いられても、二種以上が併用されてもよい。
【0053】
又、上記熱硬化剤としては、特に限定されないが、アミン及び/又はチオール基を含有する熱硬化剤が好ましい。上記アミン及び/又はチオール基を含有する熱硬化剤としては、例えば、1,3−ビス[ヒドラジノカルボノエチル−5−イソプロピルヒダントイン]やアジピン酸ジヒドラジドなどの有機酸ジヒドラジド化合物;ジシアンジアミド、グアニジン誘導体、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、N−[2−(2−メチル−1−イミダゾリル)エチル]尿素、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、N,N’−ビス(2−メチル−1−イミダゾリルエチル)尿素、N,N’−(2−メチル−1−イミダゾリルエチル)−アジポアミド、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−イミダゾリン−2−チオール、2−2’−チオジエタンチオールなどのイミダゾール化合物;酸無水物と各種アミンとエポキシ樹脂との付加生成物などが挙げられる。なお、熱硬化剤は、単独で用いられても、二種以上が併用されてもよい。
【0054】
そして、上記アクリル系樹脂中における硬化剤の含有量は、少ないと、インキ受容シートの硬さが不充分となって、装飾用粘着シートの耐熱性が低下することがある一方、多いと、インキ受容シートが硬くなり過ぎて、装飾用粘着シートの曲面への追従性が低下することがあるので、アクリル系樹脂100重量部に対して、0.1〜3重量部が好ましく、0.5〜2重量部がより好ましい。
【0055】
なお、上記硬化剤として、光硬化剤と熱硬化剤とが併用されてもよい。そして、光硬化剤と熱硬化剤とが併用された場合におけるアクリル系樹脂シート中の硬化剤の含有量は、光硬化剤と熱硬化剤の合計量とする。
【0056】
そして、インキ受容シート4の製膜方法としては、特に限定されず、例えば、インキ受容シートを構成する合成樹脂を含有する溶液を離型フィルムの離型処理面に塗布した後、好ましくは加熱することなく乾燥させて溶剤を蒸発、除去し、離型フィルムの離型処理面上にインキ受容シートを形成した後、離型フィルムを剥離、除去することによって製膜する方法が挙げられる。
【0057】
更に、インキ受容シート4上にはコーティング層5が積層一体化されている。コーティング層5は、ヒンダードアミン骨格及びベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル系樹脂を含有し、ヒンダードアミン骨格及びベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル系樹脂を50〜100重量%含有していることが好ましい。
【0058】
コーティング層5が上述のアクリル系樹脂を含有していることから、コーティング層5は、透明性及び曲面追従性に優れており、インキ受容シート4と強固に一体化させることができ、コーティング層5とインキ受容シート4との間の層間剥離を確実に防止することができる。
【0059】
コーティング層5を構成するアクリル系樹脂はヒンダードアミン骨格を有しており、このヒンダードアミン骨格は、紫外線に曝露された際に生成し得るラジカル種を補足するため、紫外線の照射によってもコーティング層5は変色などの変質をしない。
【0060】
更に、コーティング層5を構成するアクリル系樹脂はベンゾトリアゾール骨格も有しており、このベンゾトリアゾール骨格は、紫外線を吸収して光エネルギーを熱エネルギーに変換してラジカル種や低分子成分などの生成を抑制し、コーティング層5が変色などの変質をするのを防止する。
【0061】
このように、コーティング層5は、ヒンダードアミン骨格及びベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル系樹脂を含有しており、コーティング層に別途、紫外線安定剤や紫外線吸収剤を添加する場合と比較して、コーティング層5中にヒンダードアミン骨格及びベンゾトリアゾール骨格を均一に分散させることができる。
【0062】
従って、コーティング層5は優れた透明性を有しており、この優れた透明性によって装飾用粘着シートは優れた外観を有していると共に、コーティング層5は、均一に分散されたヒンダードアミン骨格及びベンゾトリアゾール骨格によって優れた耐候性をも有している。
【0063】
ヒンダードアミン骨格及びベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル系樹脂としては、ヒンダードアミン骨格を有するモノマーと、ベンゾトリアゾール骨格を有するモノマーと、(メタ)アクリル系モノマーとの共重合体が好ましい。なお、モノマーの重合は、従来公知の重合方法を用いればよく、例えば、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、分散重合などが挙げられ、溶液重合が好ましい。
【0064】
ヒンダードアミン骨格を有するモノマーとしては、ヒンダードアミン骨格とラジカル重合性二重結合とを有するモノマーが好ましい。このようなモノマーとしては、例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどが挙げられ、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0065】
ベンゾトリアゾール骨格を有するモノマーとしては、ベンゾトリアゾール骨格とラジカル重合性二重結合とを有するモノマーが好ましい。このようなモノマーとしては、例えば、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシメチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシヘキシル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチル−3’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−シアノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−t−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−ニトロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(β−メタクリロイルオキシエトキシ)−3’−t−ブチルフェニル]−4−t−ブチル−2H−ベンゾトリアゾールが挙げられ、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0066】
(メタ)アクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーが挙げられ、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーが好ましく、アルキル基の炭素数が1〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーがより好ましい。具体的には、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチルなどが挙げられ、(メタ)アクリル酸オクチルがより好ましい。なお、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーは、単独で用いられても、二種以上が併用されてもよい。
【0067】
更に、上記モノマー以外にも、本発明の趣旨を損なわない範囲で、例えば、スチレン、ブタジエン、イソプレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどを共重合してもよい。これらモノマーは単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0068】
なお、ヒンダードアミン骨格及びベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル系樹脂は、日本触媒社から商品名「ハルスハイブリッドUV−G」にて市販されている。
【0069】
ヒンダードアミン骨格及びベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル系樹脂は架橋されていてもよい。このアクリル系樹脂を架橋する架橋剤としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、p−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの多官能ビニル化合物、イソシアネート化合物(ブロックイソシアネートを含む)、エポキシ化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物、多官能酸無水物などを用いてもよく、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0070】
コーティング層5の厚みは、薄いと、装飾用粘着シートの耐候性が低下することがあり、厚いと、装飾用粘着シートの曲面追従性が低下し、装飾用粘着シートを曲げた際にコーティング層にひび割れが生じることがあるので、0.5〜10μmが好ましく、1〜5μmがより好ましい。
【0071】
コーティング層5の製膜方法としては、特に限定されず、例えば、コーティング層を構成する合成樹脂を含有する溶液を離型フィルムの離型処理面に塗布した後、好ましくは加熱することなく乾燥させて溶剤を蒸発、除去し、離型フィルムの離型処理面上にコーティング層を形成した後、離型フィルムを剥離、除去することによって製膜する方法が挙げられる。
【0072】
基材シート1の他面には、装飾用粘着シートAを被着体に貼着させるための粘着剤層6が積層一体化されている。上記粘着剤層6を構成する粘着剤としては、特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが挙げられ、光や酸素に対して安定であることから、アクリル系粘着剤が好ましい。
【0073】
上記粘着剤層6の厚みは、少ないと、装飾用粘着シートの被着体への粘着力が不充分になることがあり、多いと、装飾用粘着シートを被着体から剥離させた際に、粘着剤層が凝集破壊を起こして、被着体の表面に糊残りが生じることがあるので、10〜50μmが好ましい。
【0074】
次に、本発明の装飾用粘着シート製造方法の一例を説明する。先ず、インキ受容シートを上述の要領で製膜し、このインキ受容シートの他面に金属を蒸着させて金属薄膜層3を形成する。
【0075】
続いて、上記金属薄膜層の他面にウレタン系接着剤を塗布した後、乾燥させることにより、金属薄膜層の他面にウレタン系接着剤層2を形成させる。
【0076】
ここで、上記金属薄膜層の裏面に塗布するウレタン系接着剤の量は、少ないと、金属薄膜層と基材シートとが層間剥離してしまうことがあり、多いと、金属薄膜層にひび割れが発生することがあるので、乾燥後のウレタン系接着剤の重量にして0.5〜5.0g/m2が好ましい。
【0077】
そして、インキ受容シート、金属薄膜層及びウレタン系接着剤層がこの順に積層一体化されてなる重合シートと、予め製膜しておいた基材シートとを、重合シートのウレタン系接着剤層が基材シートに対向した状態となるように重ね合わせ、一対のローラ間に供給して厚み方向に加圧する、所謂ドライラミネート法により、インキ受容シート、金属薄膜層、ウレタン系接着剤層及び基材シートがこの順に積層一体化されてなる第一積層シートを作製する。
【0078】
そして、第一積層シートの基材シートの他面にリバースコータ法やホットメルトコート法などの汎用の方法により粘着剤を塗布、乾燥させて粘着剤層6を形成して第二積層シートを作製する。
【0079】
しかる後、ヒンダードアミン骨格及びベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル系樹脂をリバースコータ法、マイクログラビア印刷などの汎用の要領で第二積層シートのインキ受容シートの一面に塗布し乾燥させることによってコーティング層を形成して本発明の装飾用粘着シートを作製することができる。
【0080】
なお、上記装飾用粘着シートAを巻回状態にして保存する場合、コーティング層シートと粘着剤層とがくっついて、装飾用粘着シートAを繰出すのが困難になることがあるので、コーティング層5の一面に離型処理を施しておくのが好ましい。
【実施例】
【0081】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0082】
(実施例1)
塩化ビニル樹脂(鐘淵化学社製 商品名「PSH10」)100重量部、アジピン酸ポリエステル系可塑剤(旭電化社製 商品名「アデカサイザーPN−446」、重量平均分子量:1800)30重量部、アルキル錫メルカプト化合物(勝田化工社製 商品名「TM−181FSJ」、モノメチル錫トリス(ノルマルオクチル−3−メルカプトプロピオネート){(CH3)−Sn− (SCH 2CH 2COOC817)3}及びジメチル錫ビス(ノルマルオクチル−3−メルカプトプロピオネート){(CH3)2−Sn− (SCH 2CH 2COOC817)2}の混合物)5重量部、有機亜リン酸エステル(勝田化工社製)2重量部及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤(旭電化社製 商品名「Mark1413」)4重量部を均一に混練し、溶液キャスティング法により、厚み50μmの塩化ビニル樹脂シートを得た。なお、塩化ビニル樹脂シートの他面には離型シートが剥離可能に積層されていた。
【0083】
次に、溶剤使用型のウレタン系樹脂接着主剤(三井化学ポリウレタン社製 商品名「タケラックA−626」)と脂肪族硬化剤(三井化学ポリウレタン社製 商品名「タケネートA−50」)とを混合して、ウレタン系接着剤溶液を作製した。
【0084】
続いて、アクリル系樹脂(亜細亜工業社製 商品名「エクセロール910)100重量部、熱硬化剤(亜細亜工業社製 商品名「エクセルハードナーD」)1重量部を均一に混練し、溶液キャスティング法により、厚み5μmのアクリル系樹脂シート(全光線透過率:70%)を得た。
【0085】
アクリル系樹脂シートにアルミニウムを蒸着させて、アルミニウム蒸着シートを作製した。このアルミニウム蒸着シートのアルミニウム薄膜層上に、上記のようにして得られたウレタン系樹脂接着剤溶液を塗布し、乾燥させて溶剤を除去することにより、アルミニウム蒸着シートのアルミニウム薄膜層上にウレタン系接着剤層を積層一体化した。
【0086】
そして、上記アルミニウム蒸着シートを、そのウレタン系接着剤層が上記塩化ビニル樹脂シートの一面に対向した状態に塩化ビニル樹脂シート上に重ね合わせ、アルミニウム蒸着シートのアルミニウム薄膜層を接着剤層を介して塩化ビニル樹脂シートに積層一体化させた後、塩化ビニル樹脂シートの離型シートを剥離させることにより、塩化ビニル樹脂シートの一面にウレタン系接着剤層を介してアルミニウム薄膜層及びアクリル系樹脂シートがこの順序で積層一体化されてなる第一積層シートを得た。
【0087】
次に、アクリル系樹脂粘着剤(積水化学工業社製 商品名「NM2」)100重量部を溶剤に溶解させてアクリル系樹脂粘着剤溶液を作製し、このアクリル系樹脂粘着剤溶液にイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製 商品名「コロネートL−28E」)2重量部を添加し、均一になるように攪拌した。
【0088】
続いて、表面にシリコーン系樹脂離型剤により離型処理が施された離型シートを用意し、この離型シートの離型処理面に、コンマコーターを用いて上記アクリル系樹脂粘着剤溶液を塗布し、乾燥させて溶剤を除去することにより、厚み30μmの粘着剤層を形成した。
【0089】
そして、上記離型シートの離型処理面に形成させた粘着剤層を、上記第一積層シートの塩化ビニル樹脂シートの他面に重ね合わせることにより、アクリル系樹脂シート、アルミニウム薄膜層、ウレタン系接着剤層、塩化ビニル樹脂シート及び粘着剤層がこの順に積層一体化されてなる第二積層シートを得た。なお、粘着剤層上には、離型シートが剥離可能に積層されていた。
【0090】
次に、ヒンダードアミン骨格及びベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル系樹脂(日本触媒社製 商品名「UV−G301」)をアクリル系樹脂シート上にマイクログラビア印刷によって塗布し乾燥させて、アクリル系樹脂シート上にコーティング層を積層一体化させて装飾用粘着シートを得た。
【0091】
(実施例2)
アクリル系樹脂シートの厚みを5μmの代わりに15μmとしたこと以外は実施例1と同様の要領で装飾用粘着シートを得た。
【0092】
(実施例3)
塩化ビニル樹脂シートの厚みを50μmの代わりに150μmとしたこと以外は実施例1と同様の要領で装飾用粘着シートを得た。
【0093】
(実施例4)
アクリル系樹脂シートの厚みを5μmの代わりに0.5μmとしたこと以外は実施例1と同様の要領で装飾用粘着シートを得た。
【0094】
(比較例1)
コーティング層を形成しなかった以外は実施例1と同様にして装飾用粘着シートを得た。
【0095】
(比較例2)
ヒンダードアミン骨格及びベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル系樹脂の代わりに、アクリル系樹脂(亜細亜工業社製 商品名「エクセロール170」)100重量部、熱硬化剤(亜細亜工業社製 商品名「エクセルハードナーD」)1重量部、紫外線安定剤(チバ・スペシャルティ・ケミカル社製 商品名「CHIMASSORB944」)0.5重量部及び紫外線吸収剤(チバ・スペシャルティ・ケミカル社製 商品名「TINUVIN326」)0.05重量部からなる樹脂組成物を用いてコーティング層を形成したこと以外は実施例1と同様にして装飾用粘着シートを得た。
【0096】
(比較例3)
ヒンダードアミン骨格及びベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル系樹脂の代わりに、ヒンダードアミン骨格を有するがベンゾトリアゾール骨格を有さないアクリル系樹脂(日本触媒社製 商品名「UWS−2816」)を用いてコーティング層を形成したこと以外は実施例1と同様にして装飾用粘着シートを得た。
【0097】
次に、上記実施例1〜4、及び、比較例1〜3で得られた装飾用粘着シートについて、初期装飾性、アルミニウム薄膜層のひび割れ、促進耐候性及び耐ガソリン性を下記の要領で評価し、その結果を表1に示した。
【0098】
(初期装飾性)
得られた装飾用粘着シートに光を照射し、装飾用粘着シートの反射光による色の鮮明さ及び光沢感を目視観察し、下記基準により、装飾用粘着シートの初期装飾性を評価した。
◎:装飾用粘着シートは、色が非常に鮮明であり且つ優れた光沢感を有していた。
○:装飾用粘着シートは、色が鮮明で且つ光沢感を有していた。
×:装飾用粘着シートは、色が鮮明でない或いは光沢感を有していなかった。
【0099】
(アルミニウム薄膜層のひび割れ)
得られた装飾シートから離型フィルムを25mm/secの速度で剥離させた後、この装飾用粘着シートのアルミニウム薄膜層を目視観察し、下記基準により評価を行った。
◎:アルミニウム薄膜層にひび割れが全くなかった。
○:アルミニウム薄膜層にひび割れが若干発生したが使用上問題ないレベルであった。
×:アルミニウム薄膜層にひび割れが全面的に発生して使用上問題があった。
【0100】
(促進耐候性)
サンシャインウェザオメーター(スガ試験機社製)を使用し、JIS D0205(自動車部品の耐候性試験)に準拠して、装飾用粘着シートの耐候性についての試験を行い、試験開始から400時間、1000時間、及び1500時間経過時における装飾用粘着シートの外観を目視観察して、下記基準により装飾用粘着シートの促進耐候性を評価した。なお、外観の判断は、光沢感及び色の鮮明さの総合判断で行った。
◎:1500時間経過時において装飾用粘着シートの装飾性に変化は認められなかった。
○:400時間経過時において、装飾用粘着シートの装飾性に変化は認められなかったが
1000時間経過時において、装飾用粘着シートの装飾性が極僅かに低下していた。
△:400時間経過時において、装飾用粘着シートの装飾性が極僅かに低下していた。
×:400時間経過時において、装飾用粘着シートの装飾性が低下していた。
【0101】
(耐ガソリン性)
得られた装飾用粘着シートを、20℃の市販のハイオクガソリンに60分間浸漬し、装飾用粘着シートをハイオクガソリンから取り出して、23℃の温度下で3分間静置した。次に、この装飾用粘着シートに付着しているハイオクガソリンを未使用のガーゼで拭き取った後、装飾用粘着シートの外観を目視観察して、下記基準により装飾用粘着シートの耐ガソリン性を評価した。
○:装飾用粘着シートに変色及び層間剥離が認められなかった。
×:装飾用粘着シートに変色或いは層間剥離が認められた。
【0102】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の装飾用粘着シートを示した縦断面図である。
【符号の説明】
【0104】
1 基材シート
2 ウレタン系接着剤層
3 金属薄膜層
4 インキ受容シート
5 コーティング層
6 粘着剤層
A 装飾用粘着シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートの一面にウレタン系接着剤層を介して金属薄膜層が積層一体化されていると共に、上記金属薄膜層上にはインキ受容シート及びコーティング層が積層一体化され、上記コーティング層は、ヒンダードアミン骨格及びベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル系樹脂を含有し、上記基材シートの他面には粘着剤層が積層一体化されていることを特徴とする装飾用粘着シート。
【請求項2】
コーティング層の厚みが0.5〜10μmであることを特徴とする請求項1に記載の装飾用粘着シート。
【請求項3】
インキ受容シートは、アクリル系樹脂、アクリルウレタン樹脂又はウレタン樹脂の少なくとも一つの樹脂を含有することを特徴とする請求項1に記載の装飾用粘着シート。
【請求項4】
基材シートは、塩化ビニル系樹脂を含有することを特徴とする請求項1に記載の装飾用粘着シート。
【請求項5】
基材シートと金属薄膜層とがドライラミネート法によってウレタン系接着剤層を介して一体化されていることを特徴とする請求項1に記載の装飾用粘着シート。

【図1】
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【公開番号】特開2009−202367(P2009−202367A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−44784(P2008−44784)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】