説明

裏打ち用ガラス繊維不織布

【課題】本発明は、ポリ塩化ビニルゾル等が塗工され床材として使われる裏打ち用抄合わせガラス不織布に関し、クッション性、断熱性が良好な裏打ち用抄合わせガラス不織布を提供することを目的とする。
【解決手段】2層構造の裏打ち用抄合わせガラス不織布において、第1層はパルプ繊維と繊維状バインダーとを含み、第2層はガラス繊維、捲縮パルプ、パルプ繊維、繊維状バインダーを含むことを特徴とする裏打ち用抄合わせガラス不織布である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床材の裏打ち用ガラス繊維不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
床材の一般的な製造方法は次の通りである。裏打ち基材の表面にコンマコーター等で発泡性ポリ塩化ビニルゾルを塗工し、加熱により発泡性ポリ塩化ビニルゾルを一旦ゲル化させ、そのゲル化させた発泡性ポリ塩化ビニルゾル表面に木目柄等を印刷し、さらに、その印刷面の上に透明な非発泡性ポリ塩化ビニルゾルを塗工し、再加熱により一旦ゲル化させた発泡性ポリ塩化ビニルゾルを約4倍に発泡させることにより床材は作られている。
【0003】
そのため、裏打ち基材に求められる特性としては、コンクリート等の床の下地材への床材の貼り付け時の施工性が良好で、実用時の剥がれ等の問題がないこと、発泡性ポリ塩化ビニルゾルの塗工適性、夏と冬の温度差や湿度差でも変化しない寸法安定性、貼り替え時に綺麗に裏打ち基材の層間で剥がすことができること等が挙げられ、裏打ち用ガラス繊維不織布において、種々検討がなされてきた(例えば、特許文献1〜4参照)。しかし、裏打ち用ガラス繊維不織布においては、クッション性の向上や、断熱性を向上させて暖房・冷房効率を高めることによって環境に配慮するという検討は行われていなかった。
【特許文献1】特許第3349904号公報
【特許文献2】特許第3394404号公報
【特許文献3】特許第3396584号公報
【特許文献4】特許第3468994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は床材の裏打ち基材として用いられるガラス繊維不織布に関して、寸法安定性に問題がなく、断熱性やクッション性が付与された床材の裏打ち用ガラス繊維不織布を開発することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、この課題を解決するため研究を行った結果、2層構造の床材用の裏打ち用ガラス不織布において、第1層はパルプ繊維と繊維状バインダーとを含み、第2層はガラス繊維、捲縮パルプ、パルプ繊維、繊維状バインダーとを含むことを特徴とする裏打ち用ガラス不織布により顕著な効果が得られるという知見をもって本発明を完成するに至った。さらに、第2層の繊維状バインダーの一部または全てがポリビニルアルコール繊維(以下、PVA繊維という)である床材の裏打ち用ガラス繊維不織布、第2層表面に顔料が付与されている裏打ち用ガラス繊維不織布を見出した。
【発明の効果】
【0006】
本発明の裏打ち用ガラス不織布は、コンクリートや板等の下地材と裏打ち基材に塗工される発泡性ポリ塩化ビニル樹脂の間に存在するものである。断熱性を高めるためには、基本的には熱抵抗の大きなものが間に存在すればよく、熱抵抗が非常に大きいものとしては空気がある。この裏打ち基材に大きな空隙部(空気層)を設けることで、断熱性を高めることができる。特に冬場の場合、床下からの冷気で冷却された下地材と部屋の暖気に触れているポリ塩化ビニル樹脂等の間に位置する裏打ち基材である裏打ち用ガラス不織布の内部に保有される空気は動かないことから、効率的に断熱性を高めることができる。また、空気層を多く設けることによりクッション性も高めるものである。本発明によれば、第2層にガラス繊維と捲縮パルプ、パルプ繊維、繊維状バインダーを含んでなることから、厚みが増大して空隙部の大きな裏打ち基材となって、断熱性向上、クッション性向上が図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の裏打ち用ガラス繊維不織布について詳細に説明する。本発明の裏打ち用ガラス不織布の第1層は、コンクリートや板等の床の下地材に接着される面であり、第2層は発泡性ポリ塩化ビニルゾルが塗工されたり、柄が印刷されたりする面である。
【0008】
第1層に配合されるパルプ繊維は、植物繊維として、針葉樹パルプ、広葉樹パルプなどの木材パルプや藁パルプ、竹パルプ、リンターパルプ、ケナフパルプなどの木本類、草本類を含むものとする。これらの繊維は、本発明の性能を阻害しない範囲であれば、フィブリル化されていてもなんら差し支えない。さらに、古紙、損紙などから得られるパルプ繊維等を使用してもよい。パルプ繊維の叩解度は特に限定しないが、300〜700mlCSFの範囲が好ましい。叩解度が300mlCSF未満であると不織布の寸法安定性が低下する傾向になり、700mlCSFを超えると強度が低下する傾向にある。
【0009】
本発明の裏打ち用ガラス不織布の第1層に配合されるパルプ繊維の比率は、第1層全体に対して50〜97質量%が好ましく、60〜95質量%がより好ましく、70〜93質量%がさらに好ましい。50質量%未満の場合、強度維持、寸法安定性は良好であるが、下地材への貼り付け時に糊の必要量が増すことがある。一方、97質量%を超えると、糊によって湿潤状態となった場合での強度維持が困難になることがある。さらに、寸法安定性が得られないこともある。
【0010】
第1層に配合される繊維状バインダーは、断面が扁平なパルプ繊維とは異なり、真円状または真円状に近い形状であり、パルプ繊維同士の間に存在させることによって、空隙部を増す働きをすると共に、耐水性に乏しいパルプ繊維同士を接着させることによって湿潤状態においても強度を維持し、糊が塗工されたときの伸びや施工されて乾燥した後の収縮等の寸法変化を抑える働きがある。また、コンクリート等の床の下地材に施工された床材をリフォーム時に剥がす際には、床の下地材と床材の間に存在する糊層で剥離させずに、床材の裏打ち基材の層間で剥離することが重要である。本発明では、繊維状バインダーを第1層に配合していることで、裏打ち基材の下地材に接着される面における表面強度を高めることによって、層間で剥離することが可能となっている。本発明において、第1層に配合される繊維状バインダーの比率は、第1層全体に対して3〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、7〜30質量%がさらに好ましい。3質量%未満の場合、糊によって湿潤状態となった場合での強度維持が困難になることがある。また、寸法安定性が得られない場合もある。一方、50質量%を超えると、強度維持、寸法安定性は良好であるが、下地材への貼り付け時に糊の必要量が増すこともある。
【0011】
繊維状バインダーの繊度は0.1〜5.6デシテックスが好ましく、0.6〜3.3デシテックスがより好ましく、1.1〜2.2デシテックスがさらに好ましい。0.1デシテックス未満の場合、不織布が緻密で薄いものになってしまうことがある。一方、5.6デシテックスを超えた場合、パルプ繊維との接点が少なくなり、湿潤状態での強度維持が困難になることがあるばかりでなく、均一な地合いが取れないことがある。繊維状バインダーの繊維長は1〜20mmが好ましく、2〜15mmがより好ましく、3〜10mmがさらに好ましい。1mm未満の場合、抄造時に抄紙ワイヤーから抜け落ちることがあり、十分な強度が得られないことがある。一方、20mmを超えた場合、水に分散する際にもつれ等を起こすことがあり、均一な地合いが得られないことがある。
【0012】
繊維状バインダーとしては、単成分からなる単繊維のほか、芯鞘繊維(コアシェルタイプ)、並列繊維(サイドバイサイドタイプ)、放射状分割繊維などの複合繊維が挙げられる。複合繊維は皮膜を形成しにくいので、不織布の空隙部を保持したまま、耐水強度を向上させることができる。繊維状バインダーとしては、例えば、ポリプロピレンの短繊維、ポリエステルの短繊維、ポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)の組み合わせ、ポリプロピレン(芯)とエチレンビニルアルコール(鞘)の組み合わせ、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組み合わせが挙げられる。また、ポリエチレン等の低融点樹脂のみで構成される単繊維(全融タイプ)や、PVA繊維のような繊維状バインダーも使用することができる。
【0013】
本発明において、第1層には、パルプ繊維、繊維状バインダーに加えて、必要に応じて、性能を阻害しない範囲で、バインダー性能を有しないパルプ繊維以外の繊維を配合することができ、その結果、さらに空隙部を増すことができる。パルプ繊維以外の繊維としては、レーヨン、キュプラ、リヨセル繊維等の再生繊維、アセテート、トリアセテート、プロミックス等の半合成繊維、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリアクリル系、ビニロン系、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル系、ベンゾエート、ポリクラール、フェノール系などの繊維等の合成繊維を加えることができる。
【0014】
本発明の裏打ち用ガラス不織布の第2層は、断熱性を高めることができるように内部により多くの空気を保有させるため、ガラス繊維、捲縮パルプ、繊維状バインダー、パルプ繊維を含む。この第2層表面は、発泡性ポリ塩化ビニルゾルが表面に塗工されたり、印刷がなされたりする面であることから、第2層はガラス繊維、繊維状バインダーで寸法安定性を保たせつつ、ガラス繊維と捲縮パルプを併用することにより、両繊維を程よく絡みあわせて空隙部を保持することによって、断熱性、クッション性を出し、さらに、パルプ繊維と繊維状バインダーで目を詰めて塗工や印刷時の過剰な浸透を押さえて、平坦性を良好なものに保たせている。さらに、繊維状バインダーの一部または全部をPVA繊維にすることによって、毛羽立ちのより少ない平坦な表面が得られることから、塗工や印刷後の表面も平滑になる。
【0015】
本発明の第2層に用いられるガラス繊維は、寸法安定性、断熱性を高めるものであり、折れ難く、繊維シート能力があればいずれのガラス繊維でもよい。通常、繊維径6〜13μm、繊維長6〜25mmが適当である。繊維径が6μm未満のガラス繊維は高価であるばかりでなく、強度が出ない場合がある。一方、13μmを超えると平坦性が得られにくい傾向にある。また、コンクリート等の床面に施工される可能性があるので、耐アルカリ性のあるEガラスを使用するのが好ましい。第2層へのガラス繊維の配合量は特に限定しないが、第2層全体に対して10〜60質量%であり、好ましくは20〜55質量%、より好ましくは30〜50質量%である。10質量%未満の場合は寸法安定性が得られない場合がある。一方、60質量%を超えた場合は十分な強度が得られない場合がある。
【0016】
本発明における捲縮パルプは、裏打ち基材に空隙部を持たせることにより、断熱性、クッション性を付与するために配合するものである。捲縮パルプとは、形態的にはその長い繊維にカールやネジレのような変形が架橋反応による化学結合によって恒久的に付与されて曲折し、元の繊維の長さと比べて見掛けの長さが小さいパルプ繊維のことをいう。捲縮パルプとしては公知のものが本発明のために使用できる。例えば、ジアルデヒド並びに酸官能基を有するモノアルデヒドを使用してセルロース系繊維の内部を架橋させた平均保水度28〜50%のセルロース系架橋繊維(特公平5−71702号公報)、ポリカルボン酸を用いてセルロース系繊維に内部架橋させた保水度約25〜60%の架橋繊維(特開平3−206174号公報、特開平3−206175号公報、特開平3−206176号公報、特開2004−92015号公報)が挙げられる。市販品としては、例えば、ウェアハウザー社製、商品名:HBA等が挙げられる。
【0017】
架橋結合を有する捲縮パルプは、架橋処理によりセルロース分子の水酸基(−OH)が減少している。そのため、捲縮パルプ単独でスラリーとしてシートを形成し、次いで脱水・乾燥しても繊維同士の絡みあいが弱く、水酸基による水素結合も生成し難いので、そのシートの強度や寸法安定性は著しく弱く、実用に供することができない。しかしながら、捲縮パルプにガラス繊維、パルプ繊維、繊維状バインダーを添加して用いることにより、厚みが厚く、断熱性、クッション性に優れた裏打ち用ガラス不織布を製造することができることが判明した。密度と強度のバランスは、捲縮パルプとパルプ繊維、ガラス繊維、繊維状バインダーの混合比率を変えてコントロールすることができる。第2層に配合される捲縮パルプの配合比率は、第2層全体に対して3〜30質量%、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは10〜20質量%である。3質量%未満の場合、空隙部を確保することが困難な場合がある。一方、30質量%を超えた場合、強度や寸法安定性が得られにくい場合がある。
【0018】
第2層に配合されるパルプ繊維は、ガラス繊維、捲縮パルプが有する嵩高性を活かしつつ、これらの繊維に絡めることにより抄造の際にウェットの状態での湿強度を発現させる役割がある。また、乾燥後の強度発現にも寄与するものである。パルプ繊維は、植物繊維として、針葉樹パルプ、広葉樹パルプなどの木材パルプや藁パルプ、竹パルプ、リンターパルプ、ケナフパルプなどの木本類、草本類を含むものとする。これらの繊維は、本発明の性能を阻害しない範囲であれば、フィブリル化されていてもなんら差し支えない。さらに、古紙、損紙などから得られるパルプ繊維等を使用してもよい。パルプ繊維の叩解度は特に限定しないが、300〜700mlCSFの範囲が好ましい。叩解度が300mlCSF未満であると不織布の寸法安定性が低下する傾向になり、700mlCSFを超えると強度が低下する傾向にある。本発明の裏打ち用ガラス不織布の第2層に配合されるパルプ繊維の比率は、第2層全体に対して20〜70質量%が好ましく、25〜60質量%がより好ましく、30〜50質量%がさらに好ましい。20質量%未満の場合、湿強度が得にくい場合がある。一方、70質量%を超えると、空隙部が得られないこともあり、断熱性、クッション性が乏しくなることがある。
【0019】
第2層で使用する繊維状バインダーとしては、上記の第1層に用いる繊維状バインダーを使用できる。捲縮パルプは水酸基が減少していて不織布の強度や寸法安定性を弱くするという欠点があるが、PVA繊維のような水酸基を含有する繊維状バインダーを用いることで、不織布の強度や寸法安定性を高めることができる。また、PVA繊維は、適当な原料PVAを用いて適当な条件で製造した繊維であり、常温の水ではほとんど溶解しないで繊維形態を保っているが、抄紙後のヤンキードライヤー面に第2層表面が接して加熱されると容易に溶解し始め、その瞬間にタッチロールのごとき設備で加圧することにより、繊維間にまたがって繊維状バインダーとなり、その後の脱水乾燥によって再凝固し、芯鞘繊維のみでは得られない毛羽立ちの少ない平滑な面が得られる。また、高温水中でなければ容易に離れない強力な紙層構成繊維となることから好ましい。
【0020】
このPVA繊維の接着力に及ぼす影響は色々考えられるが、大別して水中軟化点、繊度、繊維長の3点から考えることができる。まず、水中軟化点について説明する。水中軟化点は、実際抄紙の場合、湿紙がドライヤーにより熱を受け、繊維状バインダーが溶け始めて接着機能を示す温度を大体示している。水中軟化点の低いPVA繊維を使用する程、接着の前提条件である繊維状バインダーの溶解が容易となり接着効果が大きくなる。水中軟化点の低い方が、接着効果の点からはよいが、ドライヤーへの付着は起こり易い。PVA繊維が溶解するためには、その水中軟化点以上に湿紙の温度が高くなる必要があり、従って乾燥温度が高い程接着効果が大きく、強度は向上する。湿紙中の水温がPVA繊維の水中軟化点以下では、繊維状バインダーの溶解が起こらず、従ってバインダー効果はまったく失われる。ヤンキードライヤーの場合、ドライヤーのスチーム温度は100〜160℃程度で、これに接触している湿紙の温度は60〜90℃と考えられるから、PVA繊維の水中軟化点として65〜85℃のものを選定すると十分な接着力を得ることができる。
【0021】
次に、繊度については、細くなるに従って不織布の強度や寸法安定性は向上する。このことは同一質量比で添加した場合、細い繊維を用いると、添加本数が多くなって接着点の数が増えるため、接着力が大きくなるからである。但し、あまり繊度が小さくなりすぎると、不織布が緻密になりすぎることがある。PVA繊維の繊度は特に限定しないが、0.1〜5.6デシテックスが好ましく、0.3〜3.3デシテックスがより好ましく、0.6〜2.2デシテックスがさらに好ましい。最後に、PVA繊維の繊維長は1〜20mmが好ましく、2〜15mmがより好ましく、3〜10mmがさらに好ましい。1mm未満の場合、抄造時に抄紙ワイヤーから抜け落ちることがあり、十分な強度が得られないことがある。一方、20mmを超えた場合、水に分散する際にもつれ等を起こすことがあり、均一な地合いが得られないことがある。
【0022】
第2層において、繊維状バインダーの比率は、第二層全体に対して2〜30質量%、好ましくは4〜25質量%、より好ましくは6〜20質量%である。2質量%未満であると強度が不足する場合があり、30質量%を超えると十分な強度は得られるものの、空隙が確保されない場合がある。
【0023】
第2層には、ガラス繊維、捲縮パルプ、パルプ繊維、繊維状バインダー以外に、有機繊維を配合することが可能である。有機繊維は、パルプ繊維と繊維状バインダー以外の合成繊維であり、空隙部を埋め易い断面形状が扁平な繊維を除く。有機繊維を配合することによって、さらに空隙部を増やすことができる。有機繊維としては、再生繊維としてのレーヨン、キュプラ、リヨセル繊維等が、半合成繊維としては、アセテート、トリアセテート、プロミックスが、合成繊維としては、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリアクリル系、ビニロン系、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル系、ナイロン系、ベンゾエート、ポリクラール、フェノール系などの繊維が挙げられる。有機繊維の他に、金属繊維、岩石繊維等の無機繊維も性能を阻害しない範囲で加えることができる。
【0024】
本発明において得られた裏打ち用ガラス繊維不織布の第2層表面には、発泡性ポリ塩化ビニルゾルや印刷の目止め、毛羽立ちの抑制といった目的で、さらに顔料を付与することができる。顔料の付与は、顔料とバインダーを含む塗液を第2層表面に含浸または塗工することによって可能である。顔料としては、バインダーとの親和性があり、塗工後の顔料脱落が少なく、ガラス繊維不織布表面にバインダーを留める作用があればよく、クレー、カオリン、焼成カオリン、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン等を使用できる。また、自己消火性を持たせるために、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等も使用できる。裏打ち用ガラス繊維不織布100質量%に対して、付与する顔料の割合は3〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、7〜30質量%がさらに好ましい。顔料としては、経済的な面では炭酸カルシウムが好ましいが、目止め効果も考慮するとデラミ・クレーが最も好ましい。デラミ・クレーは被膜性がよいため、発泡性ポリ塩化ビニルゾルの過剰な浸透によるガラス繊維不織布の裏汚れに対する抑制効果が高い。
【0025】
バインダーは、ポリ塩化ビニルゾルの浸透抑制が高く、発泡性ポリ塩化ビニルゾルとの接着性がよいことが望まれ、かつ、ガラス繊維不織布表面の目止め効果もあるラテックスがよい。発泡性ポリ塩化ビニルゾルとの接着性のよいラテックスとしては、ポリ塩化ビニル系ラテックス、スチレンブタジエン系ラテックス、アクリル系ラテックス、酢酸ビニル系ラテックス等がある。その中でもスチレンアクリル系ラテックスは発泡性ポリ塩化ビニルゾルとの接着性がよく、かつ、発泡性ポリ塩化ビニルゾルの浸透抑制効果もあり、基材と発泡性ポリ塩化ビニルとの界面接着強度が強くなるので最適である。従って、スチレンアクリル系ラテックスとデラミ・クレーの組み合わせが最適である。
【0026】
本発明において、顔料とバインダーとを含有する組成物の塗工量は、好ましくは固形分で5g/m2以上であることが好ましい。5g/m2未満の場合、ガラス繊維不織布表面の被覆が不充分になり、発泡性ポリ塩化ビニルゾル浸透抑制効果が不足し、発泡性ポリ塩化ビニルゾル塗工後の平坦性が劣下する傾向がある。組成物のうち、ラテックスを固形分で1.5g/m2以上塗工することが好ましい。1.5g/m2未満では、発泡性ポリ塩化ビニルゾルとガラス繊維不織布との界面接着強度が低下する傾向になる。
【0027】
特に、デラミ・クレーとスチレンアクリル系ラテックスを組み合わせた樹脂組成物をガラス繊維不織布の表面に5g/m2以上(そのうち、スチレンアクリル系ラテックスを1.5g/m2以上)塗工することにより、ガラス繊維不織布表面の被覆が良好となり、発泡性ポリ塩化ビニルゾルの浸透を抑制し、発泡性ポリ塩化ビニルゾル塗工後の表面平坦性が向上した上に、発泡性ポリ塩化ビニルゾルと裏打ち用ガラス繊維不織布との界面接着性を十分付与する。
【0028】
本発明の裏打ち用ガラス不織布の坪量は、特に限定しないが55〜200g/m2であることが好ましく、より好ましくは60〜150g/m2であり、さらに好ましくは80〜130g/m2である。55g/m2未満では、引張強度、硬さに問題があり、塗工や印刷の際にカールの発生や断紙を起こす恐れがある。一方、カールや断紙の抑制効果は、坪量が200g/m2を超えた領域ではほとんど変わらないため、坪量は200g/m2以下とすることが好ましく、150g/m2以下としてもよい。坪量比率は、特に限定されないが、裏打ち材としての印刷適性、塗工適性、ボリューム感を付与することを考慮して、第1層より第2層の坪量を大きくすることが好ましい。
【0029】
第1層の坪量は5〜50g/m2が好ましく、より好ましくは10〜30g/m2である。5g/m2未満の場合、第2層に配合したガラス繊維を十分に覆うことが困難となり、床材の運搬や作業時にガラス繊維によるチクチク感を感じる場合がある。一方、チクチク感を抑制する効果は、坪量が50g/m2を超えた領域ではほとんど変わらないため、第1層の坪量は50g/m2以下とすることが好ましく、30g/m2以下としてもよい。
【0030】
第2層の坪量は50g/m2以上が好ましく、60g/m2以上がより好ましい。50g/m2未満の場合、十分な厚みの確保が困難となることにより空隙が少ないために十分な断熱性、クッション性が得られない恐れがある。一方、150g/m2を超えた領域では、厚みが十分であり空隙が確保されるので断熱性、クッション性を確保できるが、床材としての厚みが厚すぎて作業性が損なわれる恐れがあるため、第2層の坪量は150g/m2以下とすることが好ましく、120g/m2以下としてもよい。
【0031】
本発明の裏打ち用ガラス繊維不織布には、必要に応じてサイズ剤を配合することができる。サイズ剤としては、本発明の所望の効果を損なわないものであれば、強化ロジンサイズ剤、ロジンエマルジョンサイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、合成サイズ剤、中性ロジンサイズ剤、アルキルケテンダイマー(AKD)など公知のサイズ剤のいずれをも用いることができる。
【0032】
この他に、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、従来から使用されている各種アニオン性、ノニオン性、カチオン性、あるいは両性の歩留り向上剤、濾水剤、分散剤、紙力向上剤や粘剤が必要に応じて適宜選択して使用される。なお、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添助剤を目的に応じて適宜添加することも可能である。
【0033】
また、必要に応じて、クレー、カオリン、焼成カオリン、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン等の填料や、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の自己消火性を有する填料等も配合できる。これら填料の添加量は、隠蔽性、難燃性、強度等を考慮して、裏打ち用ガラス繊維不織布100質量%に対し、5〜30質量%である。
【0034】
本発明の裏打ち用ガラス繊維不織布は、例えば、以下のようにして製造することができる。水にガラス繊維、捲縮パルプ、パルプ繊維、繊維状バインダー、必要に応じてサイズ剤等を混合分散してスラリーを調製した後、貯蔵タンクに送り、第2層用として一定量ずつ抄紙機に送り、目標の坪量となる様に第2層を先に抄造する。次に、水にパルプ繊維、繊維状バインダー、必要に応じてサイズ剤等を混合分散してスラリーを調製した後、貯蔵タンクに送り、このスラリーを第1層用として一定量ずつ抄紙機に送り、先に抄造した第2層に第1層の目標の坪量となる様に抄合わせる。さらに、この抄合わせたシートをプレス後、第2層面がヤンキードライヤー面に当たる様にして乾燥し、本発明の裏打ち用ガラス繊維不織布を製造することができる。
【0035】
顔料を付与する方法としては、抄紙工程の中間に設置された2ロールサイズプレス、ゲートロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、コンマコーター、バーコーター、グラビアコーター、キスコーター等の含浸または塗工装置による処理が可能であるが、これに限定されるものではない。また、抄紙後にオフマシン装置での含浸または塗工処理も可能である。
【実施例】
【0036】
以下実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、特にことわりのない限り、実施例中の部数や百分率は質量基準である。
【0037】
[実施例1]
パルパー分散タンク中の水に市販のチョップドストランドガラス繊維(繊維径9μm、繊維長6mm)、500mlCSFに叩解したNBKP(パルプ繊維)、繊維状バインダー(商品名:VPB107、クラレ社製、1.1デシテックス×3mm、PVA繊維)、捲縮パルプ(商品名:HBA−TR993、ウェアハウザー社製)をそれぞれ40:47:10:3の比率で投入して10分間混合分散した後、第一貯蔵タンクに送り、第2層用として一定量ずつ第一抄紙ヘッドに送り、坪量85g/m2となる様に第2層を先に抄造した。
【0038】
別のパルパー分散タンク中の水に500mlCSFに叩解したNBKP(パルプ繊維)、繊維状バインダー(商品名:VPB107、クラレ社製、1.1デシテックス×3mm、PVA繊維)を90:10の比率で投入して10分間混合分散した後、第二貯蔵タンクに送り、第1層用として一定量ずつ第二抄紙ヘッドに送り、坪量15g/m2となる様に抄造する。先に抄造した第2層と第1層を湿紙の状態で抄合わせた後にプレスを行い、第2層表面がヤンキードライヤー面に当たる様にして乾燥し、坪量100g/m2の裏打ち用ガラス繊維不織布を得た。
【0039】
[実施例2]
第2層の配合をチョップドストランドガラス繊維(繊維径9μm、繊維長6mm)、500mlCSFに叩解したNBKP(パルプ繊維)、繊維状バインダー(商品名:VPB107、クラレ社製、1.1デシテックス×3mm、PVA繊維)、捲縮パルプ(商品名:HBA−TR993、ウェアハウザー社製)とし、その比率を40:40:10:10に変えた以外は、実施例1と同様にして実施例2の裏打ち用ガラス繊維不織布を得た。
【0040】
[実施例3]
第2層の配合をチョップドストランドガラス繊維(繊維径9μm、繊維長6mm)、300mlCSFに叩解したNBKP(パルプ繊維)、繊維状バインダー(商品名:VPB107、クラレ社製、1.1デシテックス×3mm、PVA繊維)、捲縮パルプ(商品名:HBA−TR993、ウェアハウザー社製)とし、その比率を40:30:10:20に変えた以外は、実施例1と同様にして実施例3の裏打ち用ガラス繊維不織布を得た。
【0041】
[実施例4]
第2層の配合をチョップドストランドガラス繊維(繊維径9μm、繊維長6mm)、300mlCSFに叩解したNBKP(パルプ繊維)、繊維状バインダー(商品名:VPB107、クラレ社製、1.1デシテックス×3mm、PVA繊維)、捲縮パルプ(商品名:HBA−TR993、ウェアハウザー社製)とし、その比率を40:20:10:30に変えた以外は、実施例1と同様にして実施例4の裏打ち用ガラス繊維不織布を得た。
【0042】
[実施例5]
第2層の配合をチョップドストランドガラス繊維(繊維径9μm、繊維長6mm)、700mlCSFに叩解したNBKP(パルプ繊維)、繊維状バインダー(商品名:VPB107、クラレ社製、1.1デシテックス×3mm、PVA繊維)、捲縮パルプ(商品名:HBA−TR993、ウェアハウザー社製)とし、その比率を20:40:10:30に変えた以外は、実施例1と同様にして実施例5の裏打ち用ガラス繊維不織布を得た。
【0043】
[実施例6]
第2層の配合をチョップドストランドガラス繊維(繊維径9μm、繊維長6mm)、700mlCSFに叩解したNBKP(パルプ繊維)、繊維状バインダー(商品名:VPB107、クラレ社製、1.1デシテックス×3mm、PVA繊維)、捲縮パルプ(商品名:HBA−TR993、ウェアハウザー社製)とし、その比率を10:50:10:30に変えた以外は、実施例1と同様にして実施例6の裏打ち用ガラス繊維不織布を得た。
【0044】
[実施例7]
第2層の配合をチョップドストランドガラス繊維(繊維径9μm、繊維長6mm)、300mlCSFに叩解したNBKP(パルプ繊維)、繊維状バインダー(商品名:VPB107、クラレ社製、1.1デシテックス×3mm、PVA繊維)、捲縮パルプ(商品名:HBA−TR993、ウェアハウザー社製)、繊維状バインダー(商品名:メルティー4080、ユニチカ社製、2.2デシテックス×5mm、ポリエステル繊維)とし、その比率を40:25:5:20:10に変えた以外は、実施例1と同様にして実施例7の裏打ち用ガラス繊維不織布を得た。
【0045】
[実施例8]
第2層の配合をチョップドストランドガラス繊維(繊維径9μm、繊維長6mm)、500mlCSFに叩解したNBKP(パルプ繊維)、捲縮パルプ(商品名:HBA−TR993、ウェアハウザー社製)、繊維状バインダー(商品名:メルティー4080、ユニチカ社製、2.2デシテックス×5mm、ポリエステル繊維)とし、その比率を40:20:10:30に変えた以外は、実施例1と同様にして実施例8の裏打ち用ガラス繊維不織布を得た。
【0046】
[実施例9]
パルパー分散タンク中の水に市販のチョップドストランドガラス繊維(繊維径9μm、繊維長6mm)、500mlCSFに叩解したNBKP(パルプ繊維)、繊維状バインダー(商品名:VPB107、クラレ社製、1.1デシテックス×3mm、PVA繊維)、捲縮パルプ(商品名:HBA−TR993、ウェアハウザー社製)を40:40:10:10の比率で投入して10分間混合分散した後、第一貯蔵タンクに送り、第2層用として一定量ずつ第一抄紙ヘッドに送り、坪量85g/m2となる様に第2層を先に抄造した。
【0047】
別のパルパー分散タンク中の水に500mlCSFに叩解したNBKP(パルプ繊維)、繊維状バインダー(商品名:VPB107、クラレ社製、1.1デシテックス×3mm、PVA繊維)を90:10の比率で投入して10分間混合分散した後、第二貯蔵タンクに送り、第1層用として一定量ずつ第二抄紙ヘッドに送り、坪量5g/m2となる様に抄造する。先に抄造した第2層と第1層を湿紙の状態で抄合わせた後にプレスを行い、第2層表面がヤンキードライヤー面に当たる様にして乾燥し、坪量90g/m2の裏打ち用ガラス繊維不織布を得た。
【0048】
[実施例10]
パルパー分散タンク中の水に市販のチョップドストランドガラス繊維(繊維径9μm、繊維長6mm)、500mlCSFに叩解したNBKP(パルプ繊維)、繊維状バインダー(商品名:VPB107、クラレ社製、1.1デシテックス×3mm、PVA繊維)、捲縮パルプ(商品名:HBA−TR993、ウェアハウザー社製)を40:40:10:10の比率で投入して10分間混合分散した後、第一貯蔵タンクに送り、第2層用として一定量ずつ第一抄紙ヘッドに送り、坪量85g/m2となる様に第2層を先に抄造した。
【0049】
別のパルパー分散タンク中の水に500mlCSFに叩解したNBKP(パルプ繊維)、繊維状バインダー(商品名:VPB107、クラレ社製、1.1デシテックス×3mm、PVA繊維)を90:10の比率で投入して10分間混合分散した後、第二貯蔵タンクに送り、第1層用として一定量ずつ第二抄紙ヘッドに送り、坪量30g/m2となる様に抄造する。先に抄造した第2層と第1層を湿紙の状態で抄合わせた後にプレスを行い、第2層表面がヤンキードライヤー面に当たる様にして乾燥し、坪量115g/m2の裏打ち用ガラス繊維不織布を得た。
【0050】
[比較例1]
パルパー分散タンク中の水に市販のチョップドストランドガラス繊維(繊維径9μm、繊維長6mm)、500mlCSFに叩解したNBKP(パルプ繊維)、繊維状バインダー(商品名:VPB107、クラレ社製、1.1デシテックス×3mm、PVA繊維)を40:50:10の比率で投入して10分間混合分散した後、第一貯蔵タンクに送り、第2層用として一定量ずつ第一抄紙ヘッドに送り、坪量85g/m2となる様に第2層を先に抄造した。
【0051】
別のパルパー分散タンク中の水に500mlCSFに叩解したNBKP(パルプ繊維)、繊維状バインダー(商品名:VPB107、クラレ社製、1.1デシテックス×3mm、PVA繊維)を90:10の比率で投入して10分間混合分散した後、第二貯蔵タンクに送り、第1層用として一定量ずつ第二抄紙ヘッドに送り、坪量15g/m2となる様に抄造する。先に抄造した第2層と第1層を湿紙の状態で抄合わせた後にプレスを行い、第2層表面がヤンキードライヤー面に当たる様にして乾燥し、坪量100g/m2の裏打ち用ガラス繊維不織布を得た。
【0052】
[比較例2]
第2層の配合を700mlCSFに叩解したNBKP(パルプ繊維)、繊維状バインダー(商品名:VPB107、クラレ社製、1.1デシテックス×3mm、PVA繊維)、捲縮パルプ(商品名:HBA−TR993、ウェアハウザー社製)とし、その比率を50:10:40の比率に変えた以外は、実施例1と同様にして比較例2の裏打ち用ガラス繊維不織布を得た。
【0053】
[比較例3]
第2層の配合をチョップドストランドガラス繊維(繊維径9μm、繊維長6mm)、300mlCSFに叩解したNBKP(パルプ繊維)、繊維状バインダー(商品名:VPB107、クラレ社製、1.1デシテックス×3mm、PVA繊維)とし、その比率を80:10:10の比率に変えた以外は、実施例1と同様にして比較例3の裏打ち用ガラス繊維不織布を得た。
【0054】
試験1(厚さ)
JIS L 1096に準じ、不織布用の厚さ計により厚さを測定した。測定した結果を表1に示す。
【0055】
試験2(密度)
JIS P 8118に準じ、密度を算出した。裏打ち用ガラス繊維不織布の密度が0.4g/cm3未満である場合、不織布の空隙が多く、クッション性、断熱性に優れる。結果を表1に示す。
【0056】
試験3(寸法安定性)
ガラス繊維不織布サンプルを温度20℃湿度65%の環境下で24時間以上調湿し、サンプルの長さを正確に測定する。このサンプルを温度200℃の恒温熱風中へ3分間放置後サンプルの長さを測定し原寸に対する収縮率を求めた。0に近い程寸法安定性がよい。従来の経験則より収縮率は0.1%以内が望ましく、悪くとも0.2%以内が必要である。結果を表1に示す。
【0057】
試験4(塩ビ面の平坦性)
<塗液の調製>
水に分散剤(商品名:アロンT−50、東亞合成社製)0.3部を添加し、引き続いて炭酸カルシウム(商品名:ソフトン#2200、白石カルシウム社製)59部、カオリン(商品名:UW−90、エンゲルハード社製)41部を混合し攪拌分散し、固形分濃度70%の分散クレーを調製し攪拌しながらタンクに貯蔵した。ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセノールAH17、日本合成化学社製)を水に混合、攪拌しながら水温90℃迄加熱し、濃度10%のポリビニルアルコール溶解液を調製してタンクに貯蔵した。分散クレーとポリビニルアルコール溶解液とポリ塩化ビニルラテックス(商品名:ビニブラン654W、日信化学工業社製)をそれぞれ固形分で100:5:8の割合となる様に混合し、濃度48%に調製し、さらに、増粘剤アルギン酸ソーダ(商品名:ケルギンHV、三晶社製)を上記分散クレー100部に対し3.6部添加し、粘度1.2Pa・s(B型粘度計)の塗液とし攪拌しながら貯蔵した後、エアナイフコーター用の塗液として用いた。
【0058】
実施例及び比較例の裏打ち用ガラス繊維不織布の第2層の表面に上記塗液をエアナイフコーターで固形分20g/m2になるように塗工した後に乾燥させて、第2層表面に顔料が付与されている裏打ち用ガラス繊維不織布を作製した。
【0059】
塗工後の裏打ち用ガラス繊維不織布を幅25cm長さ30cmに断裁し、110℃の恒温熱風乾燥器で30秒間プレヒートした後、ガラス板の上に第1層の面が下になる様に載せた。第2層の表面に床材用の発泡性ポリ塩化ビニルゾルをギャップ0.4mmのアプリケーターバーで塗工し、200℃恒温熱風乾燥器で20秒加熱しゲル化させた。冷却させた後、さらに非発泡性の透明ポリ塩化ビニルゾルをギャップ0.6mmアプリケーターバーで塗工(塗工ギャップは0.2mm)し、200℃恒温熱風乾燥器で15秒加熱して、発泡性ポリ塩化ビニルゾルを発泡させ、非発泡性の透明ポリ塩化ビニルゾルはゲル化させて床材を作製した。
【0060】
上記の方法で作製した床材の塩ビ表面の凹凸を目視で観察した。最も凹凸の小さいものをランク1とし、最も凹凸の大きなものをランク8として、8段階評価した。ランク1が最良であり、従来の経験則よりランクは1から4までが良好で、悪くともランク5までが望ましい。結果を表1に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
表1の結果から明らかな様に、本発明の実施例1〜10の裏打ち用ガラス繊維不織布は寸法安定性、平坦性、密度の全てが良好であり、床材の裏打ち用として有用に活用できる。繊維状バインダーとしてポリエステル繊維を用いた実施例8より、PVA繊維を用いた実施例2の方が寸法安定性及び平坦性に優れていた。比較例1は、捲縮パルプを配合していないために、密度が高かった。比較例2は、ガラス繊維を配合していないことから、密度は良好であるものの寸法安定性が悪く、また、平坦性も悪くなっていた。比較例3は、ガラス繊維を非常に多く配合していることから、密度と寸法安定性は優れているが、平坦性が悪かった。また、抄造する際に湿紙の状態での強度が弱く、紙切れが発生した。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の活用例として、寸法安定性、断熱性、クッション性が良好な床材等が挙げられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2層構造の裏打ち用ガラス繊維不織布において、第1層はパルプ繊維と繊維状バインダーとを含み、第2層はガラス繊維、捲縮パルプ、パルプ繊維、繊維状バインダーを含むことを特徴とする裏打ち用ガラス繊維不織布。
【請求項2】
繊維状バインダーの一部または全てがポリビニルアルコール繊維である請求項1に記載の裏打ち用ガラス繊維不織布。
【請求項3】
さらに、第2層表面に顔料が付与されている請求項1または2に記載の裏打ち用ガラス繊維不織布。

【公開番号】特開2009−228138(P2009−228138A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−71240(P2008−71240)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】