説明

補強された土構造内での使用が意図された補強安定化ストリップ

補強土構造中で使用するように意図された補強安定化ストリップ(10)であって、長手部分(12)を備えており、前記長手部分(12)が、ほぼ縦に配置され、前記長手部分のバルクの中に埋め込まれた少なくとも1本のコード(14)を、前記長手部分(12)の長さの少なくとも一部分に沿って備えている補強安定化ストリップ(10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補強された土構造(補強土構造)または強化された土壌構造(強化土壌構造)内での使用が意図された補強された安定化ストリップ(補強安定化ストリップ)、および、補強土構造または強化土壌構造を構築するためのこのようなストリップの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
補強土構造は、締め固められた裏込め、フェーシング、およびそのフェーシングに接続されたまたは接続されていない補強物、を組み合わせる。
【0003】
さまざまなタイプの補強物を使用することができる:金属、例えば亜鉛めっき鋼、または安定化ストリップ、例えばポリエステル繊維ベースの安定化ストリップ。これらは、その構造に対して加わると思われる応力に応じた密度で土中に置かれ、土と補強物との間の摩擦によって地盤のスラスト応力が吸収される。
【0004】
フェーシングは、通常、スラブまたはブロックの形態のプレキャストコンクリート要素から形成され、構造の前面を覆うため並置される。
【0005】
ほとんどの場合、補強物は、長さ約3から10メートルのストリップの形態で提供されるが、これよりも短いストリップまたはこれよりも長いストリップを使用することもできる。ストリップの幅は一般に4から6センチメートルだが、幅10から25センチメートルまたはそれ以上のストリップを使用することもできる。ストリップの厚さは、例えば約1ミリメートルから数センチメートル、一般に1から6ミリメートルである。
【0006】
補強されていないストリップが存在し、また、金属棒で補強されたストリップ、平行繊維で補強されたストリップ、ヤーンのストランドによって補強されたストリップ、が存在する。
【0007】
安定化ストリップの狙いは、力を土壌または土の中へ伝え、したがって応力を分散させることである。
【0008】
具体的には、ストリップとその中にストリップが置かれた裏込めとの間で力を伝達する必要がある。したがってストリップは、摩擦によって必要な単位長あたりの剪断強度を発生させる十分な表面積を有していなければならない。
【0009】
さらに、ストリップは、その全長に沿って応力を伝達することができ、したがって高い引張強度を有することが好ましい。
【0010】
当業者に知られている1つの解決策は、引張力に耐えるため中心部分の形態の長手部分を備えるストリップを使用することからなり、その中央部分は土と擦れ合うために両側から横に突き出た2つの横部分を有するとともに、引張強度を増大させるような方式で互いに平行に配置された一組の繊維を有しているストリップを有している。
【0011】
他の解決策は、前記ストリップのバルク中に互いに平行に配置されたポリエステル繊維で補強された平行六面体ポリエチレンストリップを使用することからなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来技術では、ストリップの内部の補強物が、互いにほぼ平行なヤーンのストランドのほぼ平行な束で作られている。繊維のこのような配置は、繊維の間(および、繊維のグループとストリップとの間)で滑りが生じる危険性をもたらし、したがって、土とストリップの引張強度を有する部分との間の応力の伝達の低減につながる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の1つの目的は、ストリップと、ストリップがその中に置かれた裏込めと、の間で力を伝達することができ、高い引張強度を有し、繊維の間(および、繊維のグループとストリップとの間)で滑りが生じる危険性を制限する、別の解決策を提案することにある。
【0014】
したがって本発明は、
補強された土構造内での使用を意図された補強安定化ストリップであって、
長手部分を備えており、
前記長手部分が、ほぼ長手方向に配置され、前記長手部分のバルクの中に埋め込まれた少なくとも1本のコードを、前記長手部分の長さの少なくとも一部分に沿って備えている、補強安定化ストリップを提案する。
【0015】
有利には、このコードが高い引張強度を有し、繊維間の内部凝集力を増大させる。さらに、コードまたはロープの形態の繊維またはヤーンの配置は、長手部分の内側での繊維またはヤーンのより良好な固定を可能にする。
【0016】
本発明による安定化ストリップはさらに、任意選択の以下の特性のうちの1つまたは複数の特性を、個別にまたは可能な任意の組合せで含むことができる。
・前記長手部分を形成する材料が、ポリマーベース、例えばポリエチレンベースの材料である。
・コードの繊維またはヤーンを形成する材料が、ポリマーベース、例えばポリエステルベースの材料である。
・前記長手部分は、土と擦れ合うために長手部分に沿って横に突き出た少なくとも1つの横部分を有する少なくとも1つの中心部分の形態で提供されている。
・横部分が長手方向に延びている。
・長手部分は、横部分によって互いに接続されたいくつかの中心部分を備えている。
・コードは、少なくとも3本の繊維から、特に少なくとも6本の繊維から編まれたコードである。
・コードは、少なくとも3本の繊維から、特に少なくとも6本の繊維から撚られたコードである。
・コードは中心コアを備えている。
【0017】
本発明の他の目的は、補強土構造を構築するための本発明による安定化ストリップの使用である。
【0018】
本発明はさらに、本発明による安定化ストリップを少なくとも1本備えている補強土構造に関する。
【0019】
本発明の他の目的は、補強された土構造の構築方法であって、
埋め戻される容積の境界を画定する前記構造の前面の全体にわたってフェーシングが配置され、
補強物が前記容積の1つのゾーンに配置され、
裏込め材料が前記容積内に配置され、
その裏込め材料が締め固められる方法において、
前記補強物が本発明による安定化ストリップを少なくとも1本備えている方法である。
【0020】
添付図面に関して、単なる一例として書かれた以下の説明を読むと、本発明がよりいっそう理解される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】撚られたコードを有する第1の実施形態の透視図である。
【図2】編まれたコードを有する第2の実施形態の透視図である。
【図3】2つの異なるコードを有する第3の実施形態の透視図である。
【図4】構築中の本発明による補強された土構造の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の意味において、「コード」は、例えば、ヤーンの複数のストランドからなる少なくとも3本の繊維を撚りもしくは編むことによって得られたアセンブリを意味し、または、ヤーンの少なくとも3本のストランドを直接に撚りもしくは編むことによって得られたアセンブリを意味し、その繊維またはヤーンは、織物、合成、プラスチックまたは金属材料、あるいはこれらの異なる繊維またはヤーンの組合せからなる。コードを構成する少なくとも3本の繊維を、安定した構造を形成するような方式で組み合わせることは当業者に知られている。
【0023】
本発明の意味において、ヤーンは、モノフィラメントのグループ、および/または、不連続繊維、および/または、まとめられて撚られたフィブリル化されたヤーンからなる。
【0024】
本発明によるコードは、それぞれが安定した構造を形成するような方式で組み合わされた複数の繊維からなる少なくとも3本のストランドを含むことができる。
【0025】
本発明によるコードは、規格NF EN ISO 1968の意味における編まれたコード、すなわち、解けない安定した構造を形成するためにストランドを一緒に編むことによって得られたコードとすることができる。
【0026】
本発明によるコードは、規格NF EN ISO 1968の意味における撚られたコード、すなわち、解けない安定した構造を形成するためにストランドを撚ることによって得られたコードとすることができる。
【0027】
本発明によるコードは、安定した構造を形成する方式で組み合わされた平行な繊維のグループを結合したいくつかの繊維のグループ、例えば、編まれたまたは撚られた繊維によって取り囲まれたいくつかの繊維のグループを含むことができる。
【0028】
選択するコードは例えば、直径約1ミリメートルの細いものとすることができ、または、直径約1センチメートルのより太いものとすることができる。
【0029】
分かりやすくするため、図に示されたさまざまな構成要素は必ずしも一定の尺度では描かれていない。
【0030】
「長手部分」は、上記ストリップの長手軸に沿って長さ方向に伸びる安定化ストリップの部分を意味する。
【0031】
図1は、本発明による安定化ストリップの第1の実施形態の透視図を示している。
【0032】
この第1の実施形態において、本発明による補強安定化ストリップ10は長手部分12を備え、この長手部分12はその全長に沿ってコード14を有しており、そのコード14は該長手部分12のバルク中に埋め込まれている。
【0033】
長手部分は、ポリエチレン、ポリプロピレン、PVCなどのプラスチック材料から製作することができる。
【0034】
この実施形態では、コードは、撚られた3本の繊維16のアセンブリである。コード14を形成する繊維16は、金属繊維、合成繊維、ポリマー繊維、例えばポリエステル、ポリアミドもしくはポリオレフィンでできた繊維、または天然繊維、例えば麻ベースの繊維、あるいはこれらの異なる繊維の組合せとすることができる。
【0035】
図2に示された他の実施形態では、本発明による安定化ストリップ10の長手部分12は中心部分17の形態をとり、この中心部分17は、横に突き出た羽根の形態で土と擦れ合う2つの横部分18を有している。
【0036】
長手部分12は両側で横方向に延びているが、片側にだけ同様に延びることもできる。
【0037】
この実施形態では、コード14は6本の繊維16から編まれている。
【0038】
土との摩擦相互作用を改善するため、羽根18が、リブおよび/またはうねり(undulation)および/または穴(perforation)、あるいは当業者に知られている他の任意の手段、を備えることができる。
【0039】
図3に示された他の実施形態によれば、本発明によるストリップは、同じタイプまたは異なるタイプのいくつかのコードを備えることができ、それらはストリップの長手部分12のバルク中に埋め込まれる。
【0040】
各コード14は、安定化ストリップ10の全長の一部分だけに沿って延びることができる。
【0041】
コード14の直径を増大させ、それにより接触面積(外側の繊維と安定化ストリップ10の長手部分を形成する材料との間の接触面積)を増大させるために、コード14は中心コアを含むことができる。
【0042】
本発明によるストリップはさらに、多数のコード、例えばバルク全体にほぼ一様に分布した細いコードで補強された長手部分を備えることができる。
【0043】
本発明によるストリップは例えば、押出成形、共押出、圧延、または金属もしくはポリマーストリップを製造する当業者に知られている他の任意の技法によって製造することができる。
【0044】
本発明はさらに補強された土構造の構築方法に関する。
【0045】
図4はこのような方法を示している。締め固められた裏込め20は、本発明による安定化ストリップ10がその中に配分されており、構造前面の境界はフェーシング23(プレキャスト要素24を並べて置くことにより形成されている)によって画定され、後面の境界は擁壁を建設する対象の地盤25によって画定される。
【0046】
擁壁の密着を保証するため、安定化ストリップ10をフェーシング要素24に接続することができ、裏込め21内においてある距離にわたって延ばすことができる。これらの安定化ストリップ10は、フェーシング23の背後の補強ゾーンZ内に位置する土の補強に寄与する。
【0047】
この補強ゾーンZでは、安定化ストリップ10によって補強されているため裏込め材料21が非常に強固である。したがって、安定化ストリップ10が受ける引張力によって加えられる剪断応力に耐えることができる。当然ながら、この補強ゾーンZは、フェーシング23を支持する十分な厚さを有していなければならない。
【0048】
フェーシング要素24の裏面への安定化ストリップの簡単な接続によって、大きな容積となりうる裏込めに対してフェーシングを保持することができる。
【0049】
可能な一実施形態では、フェーシング要素24が製造されるときに、安定化ストリップ10が組み込まれる。要素24がプレキャストコンクリートから作られるよくあるケースでは、型に入れられた、要素24のコンクリートの中に、安定化ストリップ10の部分を埋め込むことができる。図4に示された構成例では、安定化ストリップ10は、構造の高さにわたって、交互に重ね合わされた複数の水平層として配置されている。
【0050】
図4に示された構造は、以下のステップに従って構築することができる。
a)その後ある高さまで裏込め材料を追加することができるように、いくつかのフェーシング要素24を配置する。公知の方法では、フェーシング要素の間に締結具(ファスナー)を配置することにより、それらの組立および配置を手助けできる。
b)既に存在する裏込めの上に、安定化ストリップ10を設置し、安定化ストリップ10にわずかに引張力をかける。
c)設置したばかりの安定化ストリップ10の層の上に、裏込め材料を、フェーシング要素24の後面の安定化ストリップ10の次の高さまで追加する。追加するときにこの裏込め材料を締め固める。
d)裏込めの上面に達するまで、ステップa)からc)を繰り返す。
【0051】
前述の構造およびその実現方法に多数の変形を加えることができることに留意しなければならない。
【0052】
ジグザグパターンに配置されたストリップを用いて本発明による方法を実現することもできる。例えば、壁26に釘で留められた鉤または輪を使用して、もしくは当業者に知られている他の任意の手段によって、土の壁26に取り付けてフェーシング24を壁に固定するのに上記ストリップを使用してもよい。
【0053】
本発明は、これらのタイプの実施形態に限定されず、非限定的に解釈しなければならず、一切の等価の実施形態を包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
補強された土構造内での使用が意図された補強安定化ストリップ(10)であって、
長手部分(12)を備えており、
前記長手部分(12)が、ほぼ長手方向に配置され、前記長手部分のバルクの中に埋め込まれた少なくとも1本のコード(14)を、前記長手部分(12)の長さの少なくとも一部分に沿って備えている、補強安定化ストリップ(10)。
【請求項2】
前記長手部分を形成する材料が、ポリマーベース、例えばポリエチレンベースの材料であることを特徴とする、
請求項1に記載の安定化ストリップ(10)。
【請求項3】
前記コードの繊維またはヤーンを形成する材料が、ポリマーベース、例えばポリエステルベースの材料であることを特徴とする、
請求項1または2に記載の安定化ストリップ(10)。
【請求項4】
前記長手部分(12)が、少なくとも1つの中心部分(17)の形態で提供されており、該中心部分(17)は、土と擦れ合うために前記長手部分に沿って横に突き出た少なくとも1つの横部分(18)を有していることを特徴とする、
前記請求項のいずれか一項に記載の安定化ストリップ(10)。
【請求項5】
前記横部分(18)が長手方向に延びている、請求項4に記載の安定化ストリップ(10)。
【請求項6】
前記長手部分(12)が、横部分によって互いに接続されたいくつかの中心部分(17)を備えている、
前記請求項のいずれか一項に記載の安定化ストリップ(10)。
【請求項7】
前記コード(14)が、少なくとも3本の繊維(16)から、特に少なくとも6本の繊維(16)から編まれたコードである、
前記請求項のいずれか一項に記載の安定化ストリップ(10)。
【請求項8】
前記コード(14)が、少なくとも3本の繊維(16)から、特に少なくとも6本の繊維(16)から撚られたコードである、
請求項1から6のいずれか一項に記載の安定化ストリップ(10)。
【請求項9】
前記コード(14)が中心コアを備えている、
前記請求項のいずれか一項に記載の安定化ストリップ(10)。
【請求項10】
補強土構造を構築するための前記請求項のいずれか一項に記載の安定化ストリップ(10)の使用。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載の安定化ストリップ(10)を少なくとも1本備えている補強された土構造。
【請求項12】
補強された土構造の構築方法であって、
埋め戻される容積の境界を画定する前記構造の前面の全体にフェーシング(24)が配置され、
補強物(複数)(10)が前記容積の1つのゾーンに配置され、
裏込め材料(21)が前記容積内に配置され、
前記裏込め材料(21)が締め固められる、補強された土構造の構築方法において、
前記補強物(10)が、請求項1から9のいずれか一項に記載の安定化ストリップ(10)を少なくとも1本備えていることを特徴とする、補強された土構造の構築方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−535299(P2010−535299A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518719(P2010−518719)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際出願番号】PCT/FR2008/051397
【国際公開番号】WO2009/024700
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(508058228)テール アルメ アンテルナショナル (3)
【氏名又は名称原語表記】TERRE ARMEE INTERNATIONALE
【Fターム(参考)】