説明

製袋充填機におけるシール温度制御装置

【課題】シール体の温度を目標シール温度付近で安定させるための設定を、極めて簡単に自動設定する。
【解決手段】製袋充填機は、シール体24,30による目標シール温度を包装品種ごとに設定する設定手段40と、シール体24,30の温度を検出する温度検出手段28,36と、シール体24,30の温度が、温度検出手段28,36により検出された温度に基づき、適正シール温度内になるように、ヒータ26,34で該シール体24,30を加熱する温度調節手段38を備えている。制御手段42は、フィルム14の搬送状況に応じて、温度調節手段38によって、温度検出手段28,36で検出しサンプリングした温度が包装品種ごとに設定された目標シール温度に対応した適正シール温度の範囲内になるように温度制御信号を生成して、シール体24,30を加熱する温度補正運転モードを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フィルムにシールを施す製袋充填機におけるシール温度制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フィルム供給源から引き出した帯状のフィルムを筒状に成形し、この筒状に成形したフィルム内に物品を供給してフィルムに所要のシールを施して包装品を得る製袋充填機においては、フィルムのシールを安定して行うために、シール体に配設したヒータ等の加熱手段による加熱温度を調節し、シール体を使用されるフィルムに適した温度に加熱するようにしている。このようなシール装置では、シール体がフィルムに接触することによってシール体表面の熱が奪われて、該シール体の温度が低下してシール不良が発生する場合がある。そこで、特許文献1に示された製袋充填機の温度調整手段では、運転前(待機状態)のシール体の目標温度を運転中の目標温度より高く設定して、運転開始前にシール体の温度を上昇させておくことで、運転開始に伴いシール体がフィルムに接触し熱量が奪われた際にも、シール不良が発生することがないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−193217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係る技術によれば、運転前の待機状態の時にシール体を加熱する目標温度の設定に際して、その温度値は作業者の経験則に依存せざるを得ないばかりでなく、新たな包装材など異なる包装条件においてこの目標温度を変更する際にはテスト運転を重ねて実施することで適正な目標温度を決定するなど熟練した作業者に委ねる必要がある。また包装品種の切り換えに伴いフィルムの材質が変更されるなどの包装条件の変化に対応して前記目標温度をその都度設定し直す必要が生ずる。
【0005】
すなわち本発明は、従来の技術に係る製袋充填機に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、製袋充填機の運転状態に依存することなく、シール体の温度を目標シール温度付近で安定させるための設定を、複数の包装品種に対応して設定し得ると共にその設定に際して熟練度を要することなく、極めて簡単に自動設定し得る製袋充填機におけるシール温度制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明の製袋充填機におけるシール温度制御装置は、
供給源から引出したフィルムを筒状に成形し、フィルム搬送手段によって搬送されるフィルムに加熱手段によって加熱されたシール体で所要のシールを施すよう制御する制御手段を備えた製袋充填機において、
前記シール体による目標シール温度を包装品種ごとに設定する設定手段と、
前記シール体の温度を検出する温度検出手段と、
前記シール体の温度が、前記温度検出手段により検出された温度に基づき、適正シール温度内になるように、前記加熱手段で該シール体を加熱する温度調節手段を備え、
前記制御手段は、前記フィルム搬送手段によるフィルムの搬送状況に応じて、前記温度調節手段によって、前記温度検出手段で検出しサンプリングした温度が前記包装品種ごとに設定された目標シール温度に対応した適正シール温度の範囲内になるように温度制御信号を生成して、前記シール体を加熱する温度補正運転モードを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明では、前記シール体は、前記フィルムを挟む両側に配設された一対のシール体であって、該シール体の夫々に設けた加熱手段を個別に温度調節可能であり、
前記設定手段は、シール体ごとの日標シール温度を設定可能であり、
前記温度調節手段は、前記サンプリング結果から得た温度が前記包装品種ごとに設定された目標シール温度に対応した適正シール温度の範囲内になるように前記温度制御信号を生成するようにしたことを要旨とする。
【0008】
請求項3に係る発明では、前記温度補正運転モードにおいて、前記温度制御信号が生成されるまでは前記温度検出手段によるサンプリングが未完了であることを報知することを要旨とする。
【0009】
請求項4に係る発明では、前記設定手段は、前記サンプリング前または前記サンプリング完了後における前記温度補正運転モードを適用するか否かを製袋充填機に配設した複数のシール体について切換設定する選択手段を備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、フィルムの搬送状況に応じて、温度検出手段で検出し、サンプリングした温度が、包装品種ごとの目標シール温度に対応した適正シール温度の範囲内になるように、温度制御信号を生成してシール体を加熱する温度補正運転モードを備えており、製袋充填機のシール体は補正された温度制御値によって加熱される。従って、製袋充填機の運転中と運転休止後の再開時などにおけるフィルム搬送手段の動作に伴うシール体による加熱動作に関連して、シール体によるフィルムへの加熱量が変化して適正シール温度範囲外になってしまうことがなく、フィルムへの加熱を安定してなし得る。特に、サンプリングによって事前に得た温度変化状況に対応した温度制御信号を生成しておき、シール体がフィルムに接触して熱が奪われた時などのシール体表面の温度変化した際に、その温度変化時点に合わせて温度調節時期が遅延することなく、シール体の温度を適正シール温度範囲内に維持することができる。また、温度補正運転モードを、包装品種毎に設定することで、包装品種が変更された際には、各包装品種に対して、使用されるフィルムの材質などの各種包装条件に応じて、各品種に対応して生成された温度制御信号に切換設定して自動適用することができる。このように、例えばタッチパネルなどの設定手段によって包装品種毎に設定され包装品種毎に、運転状況に対応したシール体のシール温度設定とシール温度調節とが自動的に行われるので、作業者の熟練度が要求されることはなく、極めて簡単な操作で切換設定することができる。
請求項2に係る発明によれば、フィルムを挟む両側に配設した一対のシール体に設けた各加熱手段の夫々に補正された温度制御信号を生成して適用するようにしたので、より高精度なシール温度管理を実施できシール状態を一層安定したものとすることが可能となる。
請求項3に係る発明によれば、温度検出手段によるサンプリングが未完了であることを例えば、「サンプリング中です」などの表示をディスプレイに表示して知らせるなどによって報知することで、作業者はサンプリングが終了しているか否かを判別することができる。
請求項4に係る発明によれば、サンプリング前またはサンプリング完了後において、温度補正運転モードを適用するか否かを製袋充填機に配設した複数のシール体について切換設定することができるので、製袋充填機に設けられた複数のシール体の構造、その他のシール条件の相違などに応じて、細かな温度調節設定が可能となり、より一層良好なシールをなし得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の好適な実施例に係る横形製袋充填機の概略構成図である。
【図2】実施例の縦シール手段を示す平面図である。
【図3】温度補正運転モードにおけるタッチパネルの設定表示画面である。
【図4】実施例のシール体の温度変化を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係る製袋充填機におけるシール温度制御装置につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
【実施例】
【0013】
図1に示すように、実施例に係る横形製袋充填機(以下、包装機と称す)は、供給源12から引き出したアルミ素材を含んだ帯状のフィルム14を製袋手段16で筒状成形し、この筒状フィルム14中に供給コンベヤ18から所定間隔毎に物品Wを供給し、該フィルム14を搬送しつつシール手段を構成するシール体24,30で所要のシールを施すことで包装品を得るようになっている。包装機は、製袋手段16により筒状に成形されたフィルム14の搬送方向に延びる重合端部14aを挟持してサーボモータ23などの駆動手段によってフィルム14を搬送するフィルム搬送手段としての一対の送りローラ22,22と、該送りローラ22,22の下流側に配設されて、物品Wが供給されたフィルム14を載置した搬送ベッド20,20の間から下方に突き出した該フィルム14の重合端部14aを挟持してシールする一対の縦シール手段を構成するシール体24,24とを備えている。
【0014】
図1および図2に示すシール体24は、該シール体24の上部が、フィルム14の重合端部14aに対して当接または離間し得るように、アーム25を介して機枠10に対して水平に回動可能に支持されている。各シール体24は、ヒータ(加熱手段)26によって加熱され、上部のローラがサーボモータ(図示せず)などの駆動手段によって回転駆動されてフィルム14の重合端部14aを挟みながらシールを施すものであり、上部のローラ内部には、シール体24の温度を検出する熱電対等の感温素子からなる温度検出手段28が配設されている。なお、温度検出手段28による温度検出信号は、温度調節手段38に入力されるよう構成されている。そして、包装機は、各シール体24が予め設定手段40で設定された目標シール温度を挟む上下の幅を有する適正シール温度内になるように、PID制御などのフィードバック制御方式によって、温度検出手段28によって検出された温度に基づき温度調節手段38の制御下にヒータ26の加熱温度が調節され、一対のシール体24,24によってフィルム14の重合端部14aに適正な縦シール(センターシールともいう)が施される。
【0015】
図1に示すように、前記包装機は、シール体24のフィルム搬送方向下流側に配設され、水平なフィルム給送経路を挟んで上下に対向する一対の横シール手段を構成するシール体30,30を有している。一対のシール体30,30は、サーボモータ(図示せず)などの駆動手段によってフィルム14の搬送と位相が合うように所定の回転動作を行って筒状フィルム14内に置かれた物品Wを挟む前後のフィルム14に横シール(エンドシールとも云う)を施すと共に、該シール体30に配設したカッタ32により切断するよう構成されている。各シール体30には、温度調節可能な加熱手段としてのヒータ34が内蔵されている。また、各シール体30には、フィルム14を挟持するシール面に近接する内部に温度を検出する熱電対等の感温素子からなる温度検出手段36が配設されており、温度検出手段36による温度検出結果が温度調節手段38に入力されるようになっている。なお、シール体30は、予め設定手段40で設定された目標シール温度を挟む上下の幅を有する適正シール温度内になるように、PID制御などのフィードバック制御方式によって、温度検出手段36によって検出された温度に基づき温度調節手段38の制御下にヒータ34の加熱温度が調節される。
【0016】
前記設定手段40は、フィルム14へのシールやフィルム14の搬送などを行う制御部や温度調節手段38などを統括管理する制御手段42に対して目標シール温度や製品情報や包装処理速度などの包装仕様に関するデータ等を設定し得るよう構成されており、具体的な各種設定は、タッチパネルに表示される各種設定画面(図示せず)に各情報を入力することで、制御手段42に各種包装品種ごとに関連付けて、各シール体24や各シール体30の目標シール温度や包装処理速度などの情報が記憶される。更に、設定手段40は、図3に示す温度補正運転モードの設定画面や温度補正運転モードの使用有無の選択を行う画面(選択画面:図示せず)などの設定画面の表示切り換えを行い、それらの画面に各情報を入力することで制御手段42に各種包装品種ごとに関連付けて記憶される。両シール体24,30は、包装機の電源投入後などのシール体24,30の温度が低い場合に、対応のヒータ26,34がONされて該シール体24,30の温度が例えば目標シール温度や目標シール温度付近の所定温度まで立上がって安定した後に、温度調節手段38による前述した温度制御が行われる。なお、筒状のフィルム14の表裏が異なる材質である場合には、対をなすシール体24,24または30,30における夫々に対する目標シール温度を異ならせて設定できるように構成されている。
【0017】
両シール体24,30は、設定手段40を通じて入力された包装仕様に関するデータ等に基づき、制御手段42によって、フィルム14や物品Wの供給に同期し得るように夫々が駆動制御されると共に、温度調節手段38によってヒータ26,34の加熱温度を調節することで夫々のシール体24,30の表面温度の管理がなされる。なお、包装機にも、前記駆動制御などの開始または停止切り換えを行うための運転開始スイッチおよび運転停止スイッチ(何れも図示せず)が配設されており、それらのスイッチ切り換え信号(運転開始信号、運転停止信号)が制御手段42に入力され、それらの運転開始信号や運転停止信号等が温度調節手段38に与えられたり、温度調節手段38に入力された温度検出信号が制御手段42に与えられる等、制御手段42と温度調節手段38との間では、各種のデータのやり取りが行われるようになっている。包装機は、運転時に運転停止スイッチの操作や異常検出などによって運転停止信号が発生すると、該包装機の運転を全部あるいは一部停止し、この運転停止と略同時に一対のシール体24,24がフィルム14の重合端部14aから離間して、フィルム14の焼き付きを防止するようになっている。また、一対のシール体30,30も、運転停止時にフィルム14から離間させた状態で停止される。そして、包装機は、運転開始スイッチの操作によって運転開始信号が発生すると、包装機の運転を開始または再開し、この運転開始と略同時または所定タイミングで、シール体24は、フィルム14の重合端部14aに当接し、運転中に亘って当接状態が維持される。なお、包装機の運転開始時および運転停止時の各シール体24,30の温度を安定させるために、本包装機では、以下のような手順で温度補正運転モードによる包装が可能とされている。
【0018】
ここでは、シール体24の温度を安定させるための温度補正運転モードを適用するための操作手順について説明する。先ず、設定手段40を介して、包装する製品の情報や夫々のシール体24,30の目標シール温度などの包装仕様に関するデータを制御手段42に設定した後、設定手段40に図3に示す設定画面を表示させて、温度補正運転モードの適用対象とするシール体24,30を登録されたシール体(図3では、センタシーラ,エンドシーラ,シーラと表記)の中から選択するために、画面上に表示されているタイトル登録済みの4種類の選択キー(選択手段)のうち、一対のシール体24,24に対応したセンタシーラ手前HT01およびセンタシーラHT02の選択キーに触れて、同画面のティーチング開始キーに触れて確定させる。なお、設定手段40には、包装仕様などに対応して別のシール体(図3のシーラHT05〜HT12)を登録し、これらの別のシール体を選択可能になっている。
【0019】
各シール体24のヒータ26の温度が夫々、立上って安定していることを温度表示画面で確認し、運転開始スイッチ(不図示)を操作すると、送りローラ22やシール体24,30などの駆動制御(運転)が開始されると共に、設定手段40の画面に「サンプリング中です」または「ティーチング中です」など、サンプリング未完了である旨の表示を行い知らせしめる報知を開始する。この表示は後述する温度制御信号が生成されるまで継続的に行われる。このとき、運転開始信号に基づき、制御手段42が温度調節手段38に各シール体24の温度をサンプリングする指令を行っており、該各温度のサンプリングが開始されている。なお、本例では、運転開始時における前記温度のサンプリングは、温度調節手段38によって、運転開始信号の発生から、温度検出手段28が検出した温度の値が目標シール温度に対応した適正シール温度の範囲内で所定時間継続し安定していると判断されるまで実行され、その間にサンプリングした温度の値はデータとして逐次、温度調節手段38に記憶される。すなわち、サンプリングの完了は、運転開始に伴ってシール体24,24がフィルム14を挟持した際に、それまでのシール体24への加熱量を大きく上回る熱をフィルム14が奪うことに起因して、シール体24の温度が適正シール温度の範囲を越えて大きく低下することに始まり、温度調節手段38がシール体24を適正温度に回復完了させるまでの期間である。
【0020】
温度検出手段28で検出した温度の値が適正シール温度の範囲内で継続して安定し、温度のサンプリングを終えると、温度調節手段38によって、サンプリングした温度のデータが分析されて、次回以降の運転開始時におけるシール体24の温度を、目標シール温度に対応した適正シール温度の範囲内にするための温度制御信号(温度制御値)が生成される。なお、温度制御信号は、サンプリングして得られた温度と目標シール温度の偏差から、不足する熱量を算出して、不足する熱量を補うようヒータ26によるサンプリング期間における加熱温度より高い加熱温度の値として、運転開始時から温度が安定する期間に対応させて時系列に生成される。
【0021】
温度制御信号の生成が完了すると、その温度制御信号が温度調節手段38に記憶され、設定手段40の画面には「運転開始時におけるサンプリング完了」または「運転開始時におけるティーチング完了しました」など、運転開始時におけるサンプリング完了の旨の表示と「運転停止スイッチを押してください」 など、運転停止を促す表示がなされる。
【0022】
運転停止を促す表示を確認したオペレータによって、運転停止スイッチ(不図示)が操作されると、運転停止信号に基づき、制御手段42が温度調節手段38に各シール体24の温度をサンプリングする指令を行い、該各温度のサンプリングが再度、開始されると共に、設定手段40の画面に「サンプリング中です」または「ティーチング中です」など、サンプリング未完了である旨の表示を行い知らせしめる報知を再度、開始する。運転停止時における温度のサンプリングは、運転開始時のサンプリングと同様に、温度調節手段38によって、運転停止信号の発生から、温度検出手段28が検出した温度の値が目標シール温度に対応した適正シール温度の範囲内で所定時間継続し安定していると判断されるまで実行され、その間にサンプリングした温度の値はデータとして逐次、温度調節手段38に記憶される。すなわち、サンプリングの完了は、運転停止に伴ってシール体24がフィルム14から離間した際に、フィルム14に熱を奪われることを見越した加熱量がシール体24に残ることに起因して、シール体24の温度が適正シール温度の範囲を越えて大きく上回ることに始まり、温度調節手段38がシール体24を適正温度に回復完了させるまでの期間である。
【0023】
温度検出手段28が検出した温度の値が適正シール温度の範囲内で継続して安定し、温度のサンプリングを終えると、温度度調節手段38によって、サンプリングした温度のデータが分析されて、次回以降の運転停止時におけるシール体24の温度を、目標シール温度に対応した適正シール温度の範囲内にするための温度制御信号(温度制御値)が生成される。なお、温度制御信号は、サンプリングして得られた温度と目標シール温度の偏差から、不足する熱量を算出して、不足する熱量を補うようヒータ26によるサンプリング期間における加熱温度より高い加熱温度の値として、運転開始時から温度が安定する期間に対応させて時系列に生成される。温度制御信号の生成が完了すると、その温度制御信号が温度調節手段38に記憶され、設定手段40の画面には「運転停止時におけるサンプリング完了」または「運転停止時におけるティーチング完了しました」など、運転停止時におけるサンプリング完了の旨の表示を行う。
【0024】
以上のサンプリングが終了した以降、運転が再開されると、生成された運転開始時における温度制御信号に基づき、ヒータ26によってシール体24が適正シール温度の範囲内になるように加熱されると共に、運転が停止されると、生成された運転停止時における温度制御信号による温度制御値に基づき、ヒータ26によってシール体24が適正シール温度の範囲内になるように加熱される温度補正運転モードにおける処理が継続される。なお、設定手段40の表示画面には、温度補正運転モードを適用するか否かを各種シール体24,30ごとに切り換え設定する継続選択キー(選択手段)が表示されており、適用しない旨のキーを選択すると、温度補正運転モードに移行する前の温度制御信号が生成されていない状態でシール体24の温度が適正シール温度内になるように、ヒータ26でシール体24が加熱される。
【0025】
図4は、センタシーラ手前HT01の選択キーに対応したシール体24の温度変化を示す図であり、曲線(a)は、温度補正運転モードを適用しない場合のシール体24の温度変化を示しており、曲線(b)は、温度補正運転モードを適用した場合のシール体24の温度変化を示している。曲線(a)は、運転開始信号の発生時点(イ)の直後に適正シール温度の範囲から下方に外れて温度が適正シール温度内に継続安定するまで数分間かかっており、また、運転停止信号の発生時点(ロ)の直後に適正シール温度の範囲から上方に外れて温度が適正シール温度内に継続安定するまで同様に数分間かかっている。曲線(b)は、運転開始信号の発生時点(イ)の直後に温度が低下し、また、運転停止信号の発生時点(ロ)の直後に温度が上昇しているものの、何れの温度も適正シール温度内に保たれている。
【0026】
このように、運転開始信号または運転停止信号の発生をトリガーに、温度補正運転モードにおいては、生成した温度制御信号による温度制御値によってシール体24,30を加熱することから、製袋充填機の運転中と運転休止後の再開時などにおける送りローラ22,22などのフィルム搬送手段の動作に伴うシール体24,30による加熱動作に関連して、シール体24,30によるフィルム14への加熱量が変化して適正シール温度範囲外になってしまうことはなく、フィルム14への加熱を安定してなし得る。特に、サンプリングによって事前に得た温度変化状況に対応した温度制御信号を生成しておき、シール体24,30がフィルム14に接触して熱が奪われた時などのシール体24,30表面の温度変化した際に、その温度変化時点に合わせて温度調節時期が遅延することなく、シール体24,30の温度を適正シール温度範囲内に維持することができる。そして、何時起こるか予測できない、運転開始および運転停止のタイミング以降に、温度制御信号による制御温度値を用いてシール体24,30の温度を目標シール温度に近づくように加熱することから、運転待機中のシール体24,30の温度を、目標シール温度より高い状態にし続けなくてもよく、電力消費量を節約することができ、また運転開始時の高い熱によるフィルム14の焼き付きを防ぐことができる。また、温度補正運転モードを、包装品種毎に設定することで、包装品種が変更された際には、各包装品種に対して、使用されるフィルム14の材質などの各種包装条件に応じて、各包装品種に対応して生成された温度制御信号に切換設定して自動適用することができる。そして、例えばタッチパネルなどの設定手段40によって包装品種毎に設定され包装品種毎に、運転状況に対応したシール体24,30のシール温度設定とシール温度調節とが自動的に行われるので、作業者の熟練度が要求されることがなく、極めて簡単な操作で切換設定することができる。
【0027】
また、フィルム14を挟む両側に配設した一対のシール体24,24または30,30に設けた各ヒータ26,34の夫々に補正された温度制御信号を生成して適用するようにしたので、より高精度なシール温度管理を実施できシール状態を一層安定したものとすることが可能となる。温度検出手段28,36によるサンプリングが未完了であることを、例えば、「サンプリング中です」などの表示を設定手段40等に表示して知らせるなどによって報知することで、作業者はサンプリングが終了しているか否かを判別することができる。サンプリング前またはサンプリング完了後において、温度補正運転モードを適用するか否かを包装機に配設した複数のシール体24,30について切換設定することができるので、包装機に設けられた複数のシール体24,30の構造、その他のシール条件の相違などに応じて、細かな温度調節設定が可能となり、より一層良好なシールをなし得る。
【0028】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されるものではなく、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得るものであって、例えば、以下のようにも変更実施可能である。
(1)縦シール手段としては、特公平8−11576号公報に示されたシール手段のように、運転中は筒状フィルムの重合端部から離れた位置から、該重合端部に加熱エアーを継続して吹付けてシーラントを溶かした状態でフィルムを搬送し、その下流で重合端部をローラなどによって押えて重合端部をシールする構成であってもよい。この場合には、運転開始時に加熱エアーを吹付開始する際または運転停止時に加熱エアーを吹付停止する際に、シール体内を流通する冷えたエアーの流通量が変動することから、適正シール温度から外れるが、温度補正運転モードで温度制御信号を生成すれば、シール体の温度を適正シール温度範囲内に維持することが可能となる。
(2)温度補正運転モードにおいて、運転開始時のシール体24,30の温度をサンプリングする前に、ヒータ温度が立ち上がっていることをオペレータが設定手段等の画面などで確認することなく、自動的にヒータ温度の立ち上がり安定を判断してサンプリングするようにしてもよい。
(3)横シール手段にも適用可能であり、また、横形製袋充填機以外に、縦形製袋充填機や三方シール装置などの様々なシール手段を有する製袋充填機などに適用可能である。
(4)横シール手段においては、シール体30を駆動するサーボモータに付設されたエンコーダなどのパルスに基づき、シール体30がフィルム14を挟持するタイミングをサンプリングによって得られたシール体30の温度の値に関連付けて記憶させること、およびその記憶した温度の値に基づく温度制御信号を生成することが可能である。
(5)温度検出手段28,36は、シール体24,30の表面に配設してもよく、非接触方式によるものなどでもよい。
(6)ボタンやダイヤルなどのスイッチ等で設定手段における入力機能を構成してもよい。
(7)サンプリングの未完了などの状況について、画面表示、音や音声などで報知してもよい。
【符号の説明】
【0029】
14 フィルム,14a 重合端部,24,30 シール体,
26,34 ヒータ(加熱手段),28,36 温度検出手段,38 温度調節手段,
40 設定手段,42 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給源(12)から引出したフィルム(14)を筒状に成形し、フィルム搬送手段(22)によって搬送されるフィルム(14)に加熱手段(26,34)によって加熱されたシール体(24,30)で所要のシールを施すよう制御する制御手段(42)を備えた製袋充填機において、
前記シール体(24,30)による目標シール温度を包装品種ごとに設定する設定手段(40)と、
前記シール体(24,30)の温度を検出する温度検出手段(28,36)と、
前記シール体(24,30)の温度が、前記温度検出手段(28,36)により検出された温度に基づき、適正シール温度内になるように、前記加熱手段(26,34)で該シール体(24,30)を加熱する温度調節手段(38)を備え、
前記制御手段(42)は、前記フィルム搬送手段(22)によるフィルム(14)の搬送状況に応じて、前記温度調節手段(38)によって、前記温度検出手段(28,36)で検出しサンプリングした温度が前記包装品種ごとに設定された目標シール温度に対応した適正シール温度の範囲内になるように温度制御信号を生成して、前記シール体(24,30)を加熱する温度補正運転モードを備えた
ことを特徴とする製袋充填機におけるシール温度制御装置。
【請求項2】
前記シール体は、前記フィルム(14)を挟む両側に配設された一対のシール体(24,24,30,30)であって、該シール体(24,24,30,30)の夫々に設けた加熱手段(26,26,34,34)を個別に温度調節可能であり、
前記設定手段(40)は、シール体(24,24,30,30)ごとの日標シール温度を設定可能であり、
前記温度調節手段(38)は、前記サンプリング結果から得た温度が前記包装品種ごとに設定された目標シール温度に対応した適正シール温度の範囲内になるように前記温度制御信号を生成するようにした請求項1記載の製袋充填機におけるシール温度制御装置。
【請求項3】
前記温度補正運転モードにおいて、前記温度制御信号が生成されるまでは前記温度検出手段(28,36)によるサンプリングが未完了であることを報知する請求項1または2記載の製袋充填機におけるシール温度制御装置。
【請求項4】
前記設定手段(40)は、前記サンプリング前または前記サンプリング完了後における前記温度補正運転モードを適用するか否かを製袋充填機に配設した複数のシール体(24,30)について切換設定する選択手段を備える請求項1〜3の何れか一項に記載の製袋充填機におけるシール温度制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−81984(P2012−81984A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230001(P2010−230001)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)
【Fターム(参考)】