説明

製造工程および中間体

本発明は、プロテアーゼ阻害剤、特にセリンプロテアーゼ阻害剤の製造に関して有用な化合物および製造方法に関するものである。該プロテアーゼ阻害剤は、HCV感染の処置に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条第(e)項のもと、2005年8月19日付、米国特許出願第60/709964号および2006年6月1日付、米国特許出願第60/810042号に対し優先権を主張するもので、それらについては各々出典明示で援用する。
【0002】
発明の分野
本発明は、プロテアーゼ阻害剤、特にセリンプロテアーゼ阻害剤の製造についての方法および中間体に関するものである。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
C型肝炎ウイルス(「HCV」)による感染は、人類を脅かす避けがたい医学的問題である。HCVは、非A型非B型肝炎の大部分の症例に関する病原体として認識されており、世界中でヒトの血清有病率は3%であると概算されている(A.Alberti et al., “Natural History of Hepatitis C”、J.Hepatology、31(補遺1)、17〜24頁(1999))。合衆国だけでも、400万人近くの個体が感染している可能性がある(M.J.Alter et al., “The Epidemiology of Viral Hepatitis in the United States”、Gastroenterol. Clin. North. Am., 23、437〜455頁(1994)、M.J.Alter “Hepatitis C Virus Infection in the United States”、J. Hepatology、31(補遺1)、88〜91頁(1999))。
【0004】
HCVへの初回暴露時に、臨床的急性肝炎を発現するのは感染個体の約20%に過ぎず、他は感染を自然に消散させていると思われる。しかしながら、症例のほぼ70%において、ウイルスは何十年も存続し得る慢性的感染を確立している(S.Iwarson、“The Natural Course of Chronic Hepatitis”、FEMS Microbiology Reviews、14、201〜204頁(1994);D.Lavanchy、“Global Surveillance and Control of Hepatitis C”、J.Viral Hepatitis、6、35〜47頁(1999))。長期に及ぶ慢性的感染は、再発性および進行性の肝炎悪化を誘発し得、その結果さらに深刻な病状、例えば肝硬変および肝細胞癌に至ることも多い。(M.C.Kew、“Hepatitis C and Hepatocellular Carcinoma”、FEMS Microbiology Reviews、14、211〜220頁(1994);I.Saito et al., “Hepatitis C Virus Infection is Associated with the Development of Hepatocellular Carcinoma”、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、87、6547〜6549(1990))。不運なことに、慢性HCVの進行を減衰させる広く有効な治療法は存在しない。
【0005】
HCV感染の処置に有用である、プロテアーゼ阻害剤、特にセリンプロテアーゼ阻害剤として報告された化合物は、第WO02/18369号に開示されている。また、ある一定の立体炭素中心のラセミ化に至る、これらの化合物の製造に関する工程および中間体もその公開公報に開示されている。例えば、223−22頁参照。しかしながら、これらの化合物の経済的な製造方法は依然として要望されている。
【発明の開示】
【0006】
発明の要旨
一局面において、本発明は、プロテアーゼ阻害剤の製造に有用である、式1
【化1】

で示される二環式ピロリジン誘導体の製造に関する工程および中間体を提供する。式1において、Rは、酸性、塩基性または水素化条件下で除去され得る酸保護基である。酸性条件下では、Rは、例えば、t−ブチルであり、塩基性条件下では、Rは、例えばメチルまたはエチルであり、水素化条件下では、Rは、例えば、ベンジルである。
【0007】
本発明の別の局面は、同じくプロテアーゼ阻害剤の製造に有用である、式2
【化2】

で示される化合物の製造についての工程および中間体を含む。式2において、
は、H、所望により置換されていてもよい脂肪族、所望により置換されていてもよい脂環式、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、または所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルであり、
'は、H、所望により置換されていてもよい脂肪族、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、または所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルであり、および
'は、所望により置換されていてもよい脂肪族、所望により置換されていてもよい脂環式、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、または所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルであるか、または
'およびR'は、それらが結合している原子と一緒になって、3〜7員の所望により置換されていてもよい脂環式環を形成し得る。
【0008】
ここに記載されている製造工程および中間体はまた、下記に示した式3で示されるプロテアーゼ阻害性化合物の製造方法にも有用である。
【化3】

式3において、
は、RW−、P−、P−L−P−、またはP−L−P−L−P−であり、
−は、
【化4】

であり、
−L−P−は、
【化5】

であり、
【0009】
−L−P−L−P−は、
【化6】

であり、
Wは、結合、−CO−、−O−CO−、−NR−、−NR−CO−、−O−または−S−であり、
Tは、−C(O)−、−O−C(O)−、−NHC(O)−、−C(O)C(O)−、または−SO−であり、
Rは、H、所望により置換されていてもよい脂肪族、所望により置換されていてもよい脂環式、所望により置換されていてもよいヘテロ環式脂肪族(heterocycloaliphatic)、所望により置換されていてもよいアリール、または所望により置換されていてもよいヘテロアリールであり、
は、H、脂肪族、脂環式、ヘテロ環式脂肪族、アリール、またはヘテロアリールであり、H以外は、各々所望により、J群から各々独立して選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよく、J群は、ハロ、脂環式、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アシル、ニトロ、シアノ、アミド、アミノ、スルホニル、スルフィニル、スルファニル、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソ、カルボキシ、カルバモイル、脂環式オキシ、ヘテロ環式脂肪族オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリールアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、およびヒドロキシを含み、
【0010】
は、所望により置換されていてもよい脂肪族、所望により置換されていてもよいヘテロアルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいフェニルであるか、またはRおよびRは、それらが結合している原子と一緒になって、5〜7員の、所望により置換されていてもよい単環式複素環、または6〜12員の、所望により置換されていてもよい二環式複素環を形成し得、各複素環の環は、所望により−O−、−S−、または−NR−から選択される追加のヘテロ原子を含んでいてもよく、
およびR'は各々、独立してH、所望により置換されていてもよい脂肪族、所望により置換されていてもよいヘテロアルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、または所望により置換されていてもよいフェニルであるか、またはRおよびR'は、それらが結合している原子と一緒になって、3〜7員脂環式またはヘテロ環式脂肪族環を形成し得るか、または
およびRは、それらが結合している原子と一緒になって、5〜7員の、所望により置換されていてもよい単環式複素環、5〜7員の、所望により置換されていてもよい単環式アリール、6〜12員の、所望により置換されていてもよい二環式複素環、または6〜12員の、所望により置換されていてもよい二環式アリールを形成し得、各複素環またはアリール環は、所望により−O−、−S−、または−NR−から選択される追加のヘテロ原子を含んでいてもよく、
およびRが、それらが結合している原子と一緒になって環を形成するとき、RおよびRおよびRにより形成される環系は、8〜14員の所望により置換されていてもよい二環式縮合環系を形成し得、二環式縮合環系は、さらに所望により置換されていてもよいフェニルと縮合することにより、所望により置換されていてもよい10〜16員三環式縮合環系を形成し得、
は、Hまたは保護基であり、
は、H、脂肪族、脂環式、(脂環式)脂肪族、アリール、芳香脂肪族、ヘテロ環式脂肪族、(ヘテロ環式脂肪族)脂肪族、ヘテロアリール、カルボキシ、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、(脂肪族)カルボニル、(脂環式)カルボニル、((脂環式)脂肪族)カルボニル、アリールカルボニル、(芳香脂肪族)カルボニル、(ヘテロ環式脂肪族)カルボニル、((ヘテロ環式脂肪族)脂肪族)カルボニル、(ヘテロアリール)カルボニル、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニルであり、
は、−(NH−CR'R'−C(O)−C(O))−NHRまたは−(NH−CR'R'−CH(OH)−C(O))−NHRであり、
は、H、所望により置換されていてもよい脂肪族、所望により置換されていてもよい脂環式、所望により置換されていてもよいヘテロ環式脂肪族、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキルまたは所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルであり、
'およびR'は各々、独立してH、所望により置換されていてもよい脂肪族、所望により置換されていてもよい脂環式、所望により置換されていてもよいヘテロ環式脂肪族、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアラルキル、または所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルであるか、またはR'およびR'は、それらが結合している原子と一緒になって、3〜7員の所望により置換されていてもよい脂環式環を形成し得る。
【0011】
幾つかの態様では、式3の化合物の製造工程は、式6
【化7】

(式中、R'は、C1−5アルキルである)
で示されるアザビシクロオクタンのカルボキシル化工程により、式7
【化8】

で示されるシス−およびトランス−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酸のラセミ混合物を製造することを含む。
【0012】
幾つかの態様において、P、PおよびPは、各々独立して、結合、H、所望により置換されていてもよい脂肪族、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいアルコキシ、所望により置換されていてもよいアルキルスルファニル、所望により置換されていてもよいアラルコキシ、所望により置換されていてもよいアラルキルスルファニル、所望により置換されていてもよいモノ−またはジアルキルアミノ、所望により置換されていてもよいモノ−またはジアリールアミノ、または所望により置換されていてもよいモノ−またはジヘテロアリールアミノである。
【0013】
幾つかの態様では、LおよびLは、各々独立して結合、−C(O)−、または−SO−である。
【0014】
幾つかの態様では、Rは、C1−6アルキル、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルキル−C1−12アルキル、C6−10アリール、C6−10アリール−C1−6アルキル、C3−10ヘテロシクリル、C6−10ヘテロシクリル−C1−6アルキル、C5−10ヘテロアリール、またはC5−10ヘテロアリール−C1−6アルキルであり、それらは各々、所望によりJ群から各々独立して選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよく、Rにおける3個以下の脂肪族炭素原子は、化学的に安定した配置でO、NH、S、SO、またはSOから選択されるヘテロ原子または基により独立して置換され得る。
【0015】
幾つかのさらなる態様では、Rは、
【化9】

である。
【0016】
幾つかの態様では、R'はHであり、Rは、C1−6アルキル、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルキル−C1−12アルキル、C6−10アリール、C6−10アリール−C1−6アルキル、C3−10ヘテロシクリル、C6−10ヘテロシクリル−C1−6アルキル、C5−10ヘテロアリール、またはC5−10ヘテロアリール−C1−6アルキルであり、Rは、所望によりJ群から各々独立して選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよく、Rにおける3個以下の脂肪族炭素原子は、化学的に安定した配置でO、NH、S、SO、またはSOから選択されるヘテロ原子または基により独立して置換され得る。
【0017】
幾つかのさらなる態様では、Rは、
【化10】

である。
【0018】
幾つかのさらなる態様では、RおよびR'は、それらが結合している原子と一緒になって、
【化11】

を形成する。
【0019】
幾つかの態様において、Rは、C6−10アリール、C6−10アリール−C1−12脂肪族、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルケニル、C3−10シクロアルキル−C1−12脂肪族、C3−10シクロアルケニル−C1−12脂肪族、C3−10ヘテロシクリル、C3−10ヘテロシクリル−C1−12脂肪族、C5−10ヘテロアリール、またはC5−10ヘテロアリール−C1−12脂肪族であり、これらは各々、所望によりJ群から各々独立して選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよい。
【0020】
幾つかのさらなる態様では、Rは、
【化12】

である。
【0021】
幾つかのさらなる態様では、Rは、
【化13】

である。
【0022】
さらに、幾つかのさらなる態様では、Rは、
【化14】

であり、R10は、H、C1−12脂肪族、C6−10アリール、C6−10アリール−C1−12脂肪族、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルケニル、C3−10シクロアルキル−C1−12脂肪族、C3−10シクロアルケニル−C1−12脂肪族、C3−10ヘテロシクリル、C3−10ヘテロシクリル−C1−12脂肪族、C5−10ヘテロアリール、またはC5−10ヘテロアリール−C1−12脂肪族である。
【0023】
幾つかのさらなる態様では、Rは、
【化15】

である。
【0024】
幾つかのさらなる態様では、Rは、
【化16】

である。
【0025】
幾つかのさらなる態様では、Rは、
【化17】

である。
【0026】
幾つかの態様では、式3で示される化合物の製造工程におけるカルボキシル化工程は、錯化剤の存在下での、式6
【化18】

で示される化合物の2−アニオンの形成、次いで二酸化炭素による2−アニオンの処理により、式7
【化19】

で示されるトランス−/シス−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酸のラセミ混合物を製造することを含む。
【0027】
幾つかのさらなる態様では、錯化剤および非プロトン溶媒の存在下、式6で示される化合物を強リチウム塩基で処理することにより、式6で示される化合物の2−アニオンを製造する。
【0028】
幾つかのさらなる態様では、2−アニオンの製造に使用する塩基は、sec−ブチルリチウムである。
【0029】
幾つかのさらなる態様では、2−アニオンの製造に使用する錯化剤は、テトラメチルエチレンジアミン、テトラエチルエチレンジアミン、テトラメチル−1,2−シクロヘキシルジアミン、スパルテイン、または3,7−ジ(C1−6アルキル)−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、例えば、3,7−ジ(n−プロピル)−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナンである。
【0030】
幾つかのさらなる態様では、錯化剤は、テトラメチルエチレンジアミン、テトラエチルエチレンジアミン、テトラメチル−1,2−シクロヘキシルジアミン、または3,7−ジ(C1−6アルキル)−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナンである。
【0031】
幾つかのさらなる態様では、錯化剤はD−スパルテインである。
幾つかの態様では、式7で示される化合物のラセミ混合物におけるトランス−/シス−比は1:2である。
幾つかの態様では、式7で示される化合物のラセミ混合物におけるトランス−/シス−比は40:60である。
幾つかのさらなる態様では、式7で示される化合物のラセミ混合物におけるトランス−/シス−比は1:1である。
【0032】
幾つかのさらなる態様では、トランス−/シス−比は60:40である。
幾つかのさらなる態様では、トランス−/シス−比は80:20である。
幾つかのさらなる態様では、トランス−/シス−比は90:10である。
幾つかのさらなる態様では、トランス−/シス−比は98:2より大である。
【0033】
幾つかの他の態様において、式3で示される化合物の製造工程では、さらに、適当な塩基の存在下、式7
【化20】

で示される化合物のトランス−/シス−混合物を平衡化させることにより、式8
【化21】

で示される主トランス−シスラセミ酸(ただし、トランス−/シス−比は80対20より大である)を製造する。
【0034】
幾つかの他の態様において、式3で示される化合物の製造工程では、さらに、適当な塩基の存在下、式7で示される化合物のトランス−/シス−混合物を平衡化させることにより、式8で示される主トランス−シスラセミ酸(ただし、トランス−/シス−比は90対10より大である)を製造する。
【0035】
幾つかの他の態様において、式3で示される化合物の製造工程では、さらに、適当な塩基の存在下、式7で示される化合物のトランス−/シス−混合物を平衡化させることにより、式8で示される主トランス−シスラセミ酸(ただし、トランス−/シス−比は98対2より大である)を製造する。
【0036】
幾つかのさらなる態様では、式7で示されるトランス−/シス−混合物を平衡化させるのに使用する塩基は、リチウムヘキサメチルジシラジド、リチウムジイソプロピルアミド、またはリチウム・2,2,6,6−テトラメチルピペリジドである。
幾つかのさらなる態様では、塩基は、リチウムヘキサメチルジシラジドである。
【0037】
幾つかのさらなる態様では、塩基はsec−ブチルリチウムであり、錯化剤は3,7−ジプロピル−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナンであり、式7で示されるラセミトランス−/シス−N−アルコキシカルボニル−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酸の混合物(ただし、トランス−/シス−比は90対10より大である)が得られる。
【0038】
幾つかのさらなる態様では、トランス−N−アルコキシカルボニル−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酸は、トランス−N−t−ブトキシカルボニル−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酸である。
【0039】
幾つかの他の態様において、式3で示される化合物の製造工程では、さらに、ラセミトランス−N−アルコキシカルボニル−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酸を分割することにより、(1S,2S,3R)トランス−N−アルコキシカルボニル−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酸を製造する。
【0040】
幾つかのさらなる態様では、化合物のラセミ混合物の分割に、i)光学活性塩基による塩の形成、およびii)工程i)により形成された塩の結晶化の工程により、式9
【化22】

で示される光学活性塩を得ることを含む。
【0041】
幾つかのさらなる態様において、化合物のラセミ混合物の分割で使用する光学活性塩基は、(R)α−アミノエチルベンゼンである。
【0042】
幾つかのさらなる態様では、光学活性塩基は、(S)1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミンである。
【0043】
幾つかのさらなる態様において、式3の化合物の製造工程では、さらにR基を含む化合物により式9のカルボン酸をエステル化し、−COOR'保護基を除去する工程を含むことにより、式1
【化23】

(式中、Rは、所望により置換されていてもよいアルキルまたはアラルキルである)
で示される化合物を製造する。
【0044】
幾つかのさらなる態様において、Rはt−ブチルである。
【0045】
幾つかの態様において、式3の化合物の製造工程では、さらにカップリング試薬の存在下、式1のアミノエステルをRCOOHと反応させることにより、式1a
【化24】

で示される化合物を製造する。
【0046】
幾つかの態様では、式1のアミノエステルとRCOOH間の反応を、カップリング試薬に加えて、さらにヒスタミン、グリシンまたはリシンの存在下で実施し得る。
【0047】
幾つかのさらなる態様では、RはP−である。
幾つかのさらなる態様では、RはP−L−P−である。
幾つかのさらなる態様では、RはP−L−P−L−P−である。
幾つかのさらなる態様では、RはRW−である。
【0048】
幾つかの態様において、式3の化合物の製造工程では、さらに、式1aの化合物のエステルを加水分解することによりカルボン酸を得、生成したカルボン酸を、カップリング試薬の存在下、R基(式中、Rは、−(NH−CR'R'−CH(OH)C(O))−NHRである)を含む化合物と反応させる工程を含むことにより、式3の化合物を製造する。
【0049】
幾つかのさらなる態様では、Rは、H、所望により置換されていてもよい脂肪族、所望により置換されていてもよい脂環式、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、または所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルであり、
'は、H、所望により置換されていてもよい脂肪族、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、または所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルであり、
'は、H、所望により置換されていてもよい脂肪族、所望により置換されていてもよい脂環式、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、または所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルであるか、または
'およびR'は、それらが結合している原子と一緒になって、3〜7員の所望により置換されていてもよい脂環式の環を形成する。
【0050】
幾つかのさらなる態様では、Rは、
【化25】

である。
【0051】
さらに本発明は、式4
【化26】

で示される化合物の製造方法に関するものである。
【0052】
幾つかの態様において、式4の化合物の製造方法は、
i)N−アルコキシカルボニル−3−アザビシクロ[3.3.0]オクタンを準備し、
ii)キレート剤の存在下でN−アルコキシカルボニル−3−アザビシクロ[3.3.0]オクタンの2−アニオンを形成させ、
iii)工程ii)のアニオンを二酸化炭素で処理することにより、N−アルコキシカルボニル−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酸のシス−/トランス−混合物を製造し、
iv)工程iii)の混合物を強塩基で処理することにより、本質的に純粋なトランス−N−アルコキシカルボニル−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酸を製造し、
v)光学活性アミンによりカルボン酸の塩を形成させ、
vi)塩を結晶化し、
vii)工程vi)で得られた塩をエステル化し、
viii)N−アルコキシカルボニル基を除去することにより、(1S,3aR,6aS)−t−ブチル−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酸t−ブチルエステルを製造し、
ix)工程viii)の二環式化合物を、カップリング試薬の存在下、式26
【化27】

(式中、Zはアミン保護基である)
で示される保護アミノ酸と反応させることにより、式27
【化28】

で示されるアミド−エステルを製造し、
【0053】
x)工程ix)のアミド−エステルから保護基Zを除去することにより、式28
【化29】

で示されるアミノ化合物を製造し、
xi)式28で示されるアミノ化合物を、カップリング試薬の存在下、式29
【化30】

で示される保護アミノ酸と反応させることにより、式30
【化31】

で示されるトリペプチドを製造し、
【0054】
xii)式30で示されるトリペプチドにおける保護基Zを除去することにより、式31
【化32】

で示される遊離アミノ−トリペプチドを製造し、
xiii)式31で示されるアミノ−トリペプチドを、カップリング試薬の存在下、ピラジン−2−カルボン酸と反応させることにより、式33
【化33】

で示されるアミド−トリペプチドエステルを製造し、
xiv)式33で示されるアミド−トリペプチドエステルのエステルを加水分解することにより、式34
【化34】

で示されるアミド−トリペプチド酸を製造し、
【0055】
xv)式34で示されるアミド−トリペプチド酸を、カップリング試薬の存在下、式18
【化35】

で示されるアミノヒドロキシ−アミドと反応させることにより、式35
【化36】

で示されるヒドロキシ−テトラペプチドを製造し、
xvi)式35のヒドロキシ基を酸化することにより、式4
【化37】

で示される化合物を製造する
工程を含む。
【0056】
幾つかの態様では、上記工程xvi)で使用される酸化試薬は次亜塩素酸ナトリウムであり、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシ遊離基(TEMPO)の存在下で酸化を行う。
【0057】
幾つかの態様では、上記工程xvi)で使用される酸化試薬は1,1−ジヒドロ−1,1,1−トリアセトキシ−1,2−ベンゾヨードオキソール−3(1H)−オンである。
【0058】
幾つかのさらなる態様では、さらに式4の化合物を有機溶媒に溶かして、その溶液を得、次いで溶液に酸を加える製造工程を含む。適当な有機溶媒は、式4の化合物が溶解するものであれば、いかなる溶媒でもよく、例えば塩化メチレンであり得る。酸は、無機または有機酸、例えば酢酸またはプロピオン酸であり得る。
【0059】
幾つかのさらなる態様では、さらに式4で示される化合物の溶液を濃縮することにより、化合物を固体形態で得る製造工程を含む。上記濃縮工程は、例えば、溶媒の自然蒸発による減圧(例えば、真空)下での溶媒の蒸留であり得る。式4の化合物が得られる固体形態は、例えば結晶性または半結晶性であり得、前記の有機溶媒中に溶かし、次いで酸性条件で濃縮する場合より高純度であり得る。
【0060】
したがって、本発明はまた、式4
【化38】

の化合物の精製方法に関するものである。
【0061】
幾つかの態様では、製造工程に、まず、式4の化合物を有機溶媒に溶かしてその溶液を得、式4の化合物の溶液に酸を加え、次いで、式4の化合物の溶液を濃縮することにより、化合物を固体形態で得る工程を含む。適当な有機溶媒、酸および固体形態の例は、上記に示している。
【0062】
さらに、本発明は、式1a
【化39】

[式中、
はP−であり、
−は、
【化40】

であり、
は、H、脂肪族、脂環式、ヘテロ環式脂肪族、アリール、またはヘテロアリールであり、H以外は、各々所望により、ハロ、脂環式、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アシル、ニトロ、シアノ、アミド、アミノ、スルホニル、スルフィニル、スルファニル、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソ、カルボキシ、カルバモイル、脂環式オキシ、ヘテロ環式脂肪族オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリールアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、およびヒドロキシから成るJ群から各々独立して選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよく、
は、所望により置換されていてもよい脂肪族、所望により置換されていてもよいヘテロアルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいフェニルであるか、またはRおよびRは、それらが結合している原子と一緒になって、5〜7員の、所望により置換されていてもよい単環式複素環、または6〜12員の、所望により置換されていても二環式複素環を形成し得、各複素環の環は、所望により−O−、−S−、または−NR−から選択される追加のヘテロ原子を含んでいてもよく、
は、H、脂肪族、脂環式、(脂環式)脂肪族、アリール、芳香脂肪族、ヘテロ環式脂肪族、(ヘテロ環式脂肪族)脂肪族、ヘテロアリール、カルボキシ、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、(脂肪族)カルボニル、(脂環式)カルボニル、((脂環式)脂肪族)カルボニル、アリールカルボニル、(芳香脂肪族)カルボニル、(ヘテロ環式脂肪族)カルボニル、((ヘテロ環式脂肪族)脂肪族)カルボニル、(ヘテロアリール)カルボニル、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニルであり、
は、Hまたは保護基であり、
は、所望により置換されていてもよいアルキルである]
で示される化合物に関するものである。
【0063】
幾つかの態様では、Rはt−ブチルである。
他の幾つかの態様では、P−は
【化41】

である。
【0064】
幾つかのさらなる態様では、P−は、
【化42】

である。
【0065】
さらに本発明は、上記式1a[式中、
は、P−L−P−であり、
−L−P−は、
【化43】

であり、
は、H、脂肪族、脂環式、ヘテロ環式脂肪族、アリール、またはヘテロアリールであり、H以外は、各々所望により、ハロ、脂環式、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アシル、ニトロ、シアノ、アミド、アミノ、スルホニル、スルフィニル、スルファニル、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソ、カルボキシ、カルバモイル、脂環式オキシ、ヘテロ環式脂肪族オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリールアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、およびヒドロキシから成るJ群から各々独立して選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよく、
は、所望により置換されていてもよい脂肪族、所望により置換されていてもよいヘテロアルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいフェニルであるか、またはRおよびRは、それらが結合している原子と一緒になって、5〜7員の、所望により置換されていてもよい単環式複素環、または6〜12員の、所望により置換されていてもよい二環式複素環を形成し得、各複素環の環は、所望により−O−、−S−、または−NR−から選択される追加のヘテロ原子を含んでいてもよく、
は、H、所望により置換されていてもよい脂肪族、所望により置換されていてもよいヘテロアルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、または所望により置換されていてもよいフェニルであるか、または
およびRは、それらが結合している原子と一緒になって、5〜7員の、所望により置換されていてもよい単環式複素環、5〜7員の、所望により置換されていてもよい単環式アリール、6〜12員の、所望により置換されていてもよい二環式複素環、または6〜12員の、所望により置換されていてもよい二環式アリールを形成し得、各複素環またはアリール環は、所望により−O−、−S−、または−NR−から選択される追加のヘテロ原子を含んでいてもよく、
およびRが、それらが結合している原子と一緒になって環を形成するとき、RおよびRおよびRにより形成される環系は、8〜14員の所望により置換されていてもよい二環式縮合環系を形成し得、二環式縮合環系は、さらに所望により置換されていてもよいフェニルと縮合することにより、所望により置換されていてもよい10〜16員三環式縮合環系を形成し得、
は、H、脂肪族、脂環式、(脂環式)脂肪族、アリール、芳香脂肪族、ヘテロ環式脂肪族、(ヘテロ環式脂肪族)脂肪族、ヘテロアリール、カルボキシ、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、(脂肪族)カルボニル、(脂環式)カルボニル、((脂環式)脂肪族)カルボニル、アリールカルボニル、(芳香脂肪族)カルボニル、(ヘテロ環式脂肪族)カルボニル、((ヘテロ環式脂肪族)脂肪族)カルボニル、(ヘテロアリール)カルボニル、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニルであり、
は、Hまたは保護基であり、
は、所望により置換されていてもよいアルキルである]
で示される化合物に関するものである。
【0066】
幾つかの態様において、Rはt−ブチルである。
幾つかの態様において、P−L−P−は、
【化44】

である。
【0067】
幾つかの態様において、P−L−P−は、
【化45】

である。
【0068】
また、3,7−ジピロピル−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、および3,7−ジピロピル−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン−9−オンの化合物も本発明の範囲内に含まれる。
【0069】
発明の記載
I.定義
本発明の目的の場合、化学元素は、元素の周期表、CAS バージョン、Handbook of Chemistry and Physics、第75版にしたがって示されている。さらに、有機化学の一般原則は、Thomas SorrellによりOrganic Chemistry 、University Science Books、サウサリト(1999)、および M.B. Smith および J.March により、Advanced Organic Chemistry、第5版、John Wiley & Sons、ニューヨーク(2001)に記載されており、これらの内容については出典明示により援用する。
【0070】
本明細書に記載されている本発明化合物は、所望により1個またはそれ以上の置換基、例えば上記で概略的に例を示したものにより、または本発明の特定クラス、サブクラスおよび種類により例示した形で置換され得る。
【0071】
本明細書に記載されている「脂肪族」の語は、アルキル、アルケニル、およびアルキニルの語を包含し、それらは各々所望により下記要領で置換されていてもよい。
【0072】
本明細書に記載されている「アルキル」基とは、1〜8個(例えば、1〜6個または1〜4個)の炭素原子を含む飽和脂肪族炭化水素基をいう。アルキル基は、直鎖または分枝状であり得る。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘプチル、または2-エチルヘキシルがあるが、これらに限定されるわけではない。アルキル基は、ハロ、脂環式(例えば、シクロアルキルまたはシクロアルケニル)、ヘテロ環式脂肪族(例えば、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルケニル)、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アシル(例えば、(脂肪族)カルボニル、(脂環式)カルボニル、または(ヘテロ環式脂肪族)カルボニル)、ニトロ、シアノ、アミド(例えば、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ アルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクロアルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、またはヘテロアリールアミノカルボニル)、アミノ(例えば、脂肪族アミノ、脂環式アミノ、またはヘテロ環式脂肪族アミノ)、スルホニル(例えば、脂肪族−SO−)、スルフィニル、スルファニル、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソ、カルボキシ、カルバモイル、脂環式オキシ、ヘテロ環式脂肪族オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリールアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、およびヒドロキシから成るJ群(「J群」)から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換され得る(すなわち、置換されていてもよい)。制限は無いが、置換アルキルの例には、カルボキシアルキル(例えばHOOC−アルキル、アルコキシカルボニルアルキル、およびアルキルカルボニルオキシアルキル)、シアノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アシルアルキル、アラルキル、(アルコキシアリール)アルキル、(スルホニルアミノ)アルキル(例えば(アルキル−SO−アミノ)アルキル)、アミノアルキル、アミドアルキル、(脂環式)アルキル、またはハロアルキルが含まれる。
【0073】
本明細書で使用されている「アルケニル」基は、2〜8個(例えば、2〜6個または2〜4個)の炭素原子および少なくとも1個の二重結合を含む脂肪族炭素基をいう。アルキル基と同じく、アルケニル基も直鎖または分枝状であり得る。アルケニル基の例には、アリル、イソプレニル、2−ブテニルおよび2−ヘキセニルがあるが、これらに限定されるわけではない。アルケニル基は、所望によりJ群から選択される1個またはそれ以上の置換基、例えばハロ、脂環式(例えば、シクロアルキルまたはシクロアルケニル)、ヘテロ環式脂肪族(例えば、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルケニル)、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アシル(例えば、(脂肪族)カルボニル、(脂環式)カルボニル、または(ヘテロ環式脂肪族)カルボニル)、ニトロ、シアノ、アミド(例えば、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクロアルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、またはヘテロアリールアミノカルボニル)、アミノ(例えば、脂肪族アミノ、脂環式アミノ、ヘテロ環式脂肪族アミノ、または脂肪族スルホニルアミノ)、スルホニル(例えば、アルキル−SO−、脂環式−SO−、またはアリール−SO−)、スルフィニル、スルファニル、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソ、カルボキシ、カルバモイル、脂環式オキシ、ヘテロ環式脂肪族オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、またはヒドロキシにより置換され得る。制限は無いが、置換アルケニルの例には、シアノアルケニル、アルコキシアルケニル、アシルアルケニル、ヒドロキシアルケニル、アラルケニル、(アルコキシアリール)アルケニル、(スルホニルアミノ)アルケニル(例えば、(アルキル−SO−アミノ)アルケニル)、アミノアルケニル、アミドアルケニル、(脂環式)アルケニル、またはハロアルケニルが含まれる。
【0074】
本明細書で使用されている「アルキニル」基は、2〜8個(例えば、2〜6個または2〜4個)の炭素原子を含み、少なくとも1個の三重結合を有する脂肪族炭素基をいう。アルキニル基は、直鎖または分枝状であり得る。アルキニル基の例には、プロパルギルおよびブチニルがあるが、これらに限定されるわけではない。アルキニル基は、所望によりJ群から選択される1個またはそれ以上の置換基、例えばアロイル、ヘテロアロイル、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ニトロ、カルボキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、スルホ、メルカプト、スルファニル(例えば、脂肪族スルファニルまたは脂環式スルファニル)、スルフィニル(例えば、脂肪族スルフィニルまたは脂環式スルフィニル)、スルホニル(例えば、脂肪族−SO−、脂肪族アミノ−SO−、または脂環式−SO−)、アミド(例えば、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクロアルキルアミノカルボニル、シクロアルキルカルボニルアミノ、アリールアミノカルボニル、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノまたはヘテロアリールアミノカルボニル)、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、脂環式、ヘテロ環式脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アシル(例えば、(脂環式)カルボニルまたは(ヘテロ環式脂肪族)カルボニル)、アミノ(例えば、脂肪族アミノ)、スルホキシ、オキソ、カルボキシ、カルバモイル、(脂環式)オキシ、(ヘテロ環式脂肪族)オキシ、または(ヘテロアリール)アルコキシにより置換され得る。
【0075】
本明細書で使用されている「アミド」は、「アミノカルボニル」および「カルボニルアミノ」の両方を包含する。これらの語は、単独または別の基と共に使用され、末端での使用時には、例えば−N(R)−C(O)−Rまたは−C(O)−N(R)−といったアミド基をいい、内部での使用時には、例えば−C(O)−N(R)−または−N(R)−C(O)−といったアミド基(式中、RおよびRは下記の意味である)をいう。アミド基の例には、アルキルアミド(例えばアルキルカルボニルアミノまたはアルキルアミノカルボニル)、(ヘテロ環式脂肪族)アミド、(ヘテロアラルキル)アミド、(ヘテロアリール)アミド、(ヘテロシクロアルキル)アルキルアミド、アリールアミド、アラルキルアミド、(シクロアルキル)アルキルアミド、またはシクロアルキルアミドがある。
【0076】
本明細書で使用されている「アミノ」基は−NRをいい、式中のRおよびRは各々、独立して水素、脂肪族、脂環式、(脂環式)脂肪族、アリール、芳香脂肪族、ヘテロ環式脂肪族、(ヘテロ環式脂肪族)脂肪族、ヘテロアリール、カルボキシ、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、(脂肪族)カルボニル、(脂環式)カルボニル、((脂環式)脂肪族)カルボニル、アリールカルボニル、(芳香脂肪族)カルボニル、(ヘテロ環式脂肪族)カルボニル、((ヘテロ環式脂肪族)脂肪族)カルボニル、(ヘテロアリール)カルボニル、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニルであり、これらは各々本明細書記載の意味であり、所望により置換されていてもよい。アミノ基の例には、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、またはアリールアミノがある。「アミノ」の語が末端基ではないとき(例えば、アルキルカルボニルアミノ)、それは−NR−により表される。Rは、上記と同じ意味を有する。
【0077】
本明細書で使用されている「アリール」基は、単独または「アラルキル」、「アラルコキシ」または「アリールオキシアルキル」のように大きな部分の一部として使用され、単環式(例えば、フェニル)、二環式(例えば、イデニル、ナフタレニル、テトラヒドロナフチル、テトラヒドロインデニル)、および三環式(例えば、フルオレニル、テトラヒドロフルオレニル、またはテトラヒドロアントラセニル、アントラセニル)環系を包含するもので、単環式の環系は芳香族であるか、または二環式または三環式環系における環の少なくとも1個は芳香族である。二環式および三環式基は、ベンゾ縮合2〜3員炭素環を包含する。例えば、ベンゾ縮合基は、2個またはそれ以上のC4−8炭素環状部分と縮合したフェニルを含む。アリールは、所望により1個またはそれ以上の置換基、例えば脂肪族(例えば、アルキル、アルケニルまたはアルキニル)、脂環式、(脂環式)脂肪族、ヘテロ環式脂肪族、(ヘテロ環式脂肪族)脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、(脂環式)オキシ、(ヘテロ環式脂肪族)オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(芳香脂肪族)オキシ、(ヘテロ芳香脂肪族)オキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アミノ、オキソ(ベンゾ縮合二環式または三環式アリールの非芳香族炭素環における)、ニトロ、カルボキシ、アミド、アシル(例えば、脂肪族カルボニル、(脂環式)カルボニル、((脂環式)脂肪族)カルボニル、(芳香脂肪族)カルボニル、(ヘテロ環式脂肪族)カルボニル、((ヘテロ環式脂肪族)脂肪族)カルボニル、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニル)、スルホニル(例えば、脂肪族−SO−またはアミノ−SO−)、スルフィニル(例えば、脂肪族−S(O)−または脂環式−S(O)−)、スルファニル(例えば、脂肪族−S−)、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、またはカルバモイルにより置換されていてもよい。また、アリールは非置換の場合もあり得る。
【0078】
置換アリールの非限定的な例には、ハロアリール(例えば、モノ−、ジ−(例えばp、m−ジハロアリール)または(トリハロ)アリール)、(カルボキシ)アリール(例えば、(アルコキシカルボニル)アリール、((アラルキル)カルボニルオキシ)アリール、または(アルコキシカルボニル)アリール)、(アミド)アリール(例えば、(アミノカルボニル)アリール、(((アルキルアミノ)アルキル)アミノカルボニル)アリール、(アルキルカルボニル)アミノアリール、(アリールアミノカルボニル)アリール、または(((ヘテロアリール)アミノ)カルボニル)アリール)、アミノアリール(例えば、((アルキルスルホニル)アミノ)アリールまたは((ジアルキル)アミノ)アリール)、(シアノアルキル)アリール、(アルコキシ)アリール、(スルファモイル)アリール(例えば、(アミノスルホニル)アリール)、(アルキルスルホニル)アリール、(シアノ)アリール、(ヒドロキシアルキル)アリール、((アルコキシ)アルキル)アリール、(ヒドロキシ)アリール、((カルボキシ)アルキル)アリール、(((ジアルキル)アミノ)アルキル)アリール、(ニトロアルキル)アリール、(((アルキルスルホニル)アミノ)アルキル)アリール、((ヘテロ環式脂肪族)カルボニル)アリール、((アルキルスルホニル)アルキル)アリール、(シアノアルキル)アリール、(ヒドロキシアルキル)アリール、(アルキルカルボニル)アリール、アルキルアリール、(トリハロアルキル)アリール、p−アミノ−m−アルコキシカルボニルアリール、p−アミノ−m−シアノアリール、p−ハロ−m−アミノアリール、または(m−(ヘテロ環式脂肪族)−o−(アルキル))アリールがある。
【0079】
本明細書で使用されている「芳香脂肪族」基、例えば「アラルキル」は、アリール基により置換された脂肪族基(例えば、C1−4アルキル基)をいう。「脂肪族」、「アルキル」および「アリール」は本明細書で定義されている。芳香脂肪族、例えばアラルキル基の一例はベンジルである。
【0080】
本明細書で使用されている「アラルキル」基は、アリール基により置換されたアルキル基(例えば、C1−4アルキル基)をいう。「アルキル」および「アリール」は両方とも上記で定義されている。アラルキル基の一例はベンジルである。アラルキルは、所望により1個またはそれ以上の置換基、例えば脂肪族(例えば、置換または非置換アルキル、アルケニルまたはアルキニル、例えばカルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、またはハロアルキル、例えばトリフルオロメチルを含む)、脂環式(例えば、置換または非置換シクロアルキルまたはシクロアルケニル)、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アロイル、ヘテロアロイル、ニトロ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミド(例えば、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、またはヘテロアラルキルカルボニルアミノ)、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、アシル、メルカプト、アルキルスルファニル、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソまたはカルバモイルにより置換されていてもよい。
【0081】
本明細書で使用されている「二環式環系」は、二環を形成する8〜12(例えば、9、10または11)員構造を含み、二環は少なくとも1個の共通した原子(例えば、共通した2原子)を有する。二環式環系は、二環式脂肪族(例えば、ビシクロアルキルまたはビシクロアルケニル)、ヘテロ二環式脂肪族(bicycloheteroaliphatic)、二環式アリール、および三環式ヘテロアリールを包含する。
【0082】
本明細書で使用されている「脂環式」基は、「シクロアルキル」基および「シクロアルケニル」基を包含し、各々、所望により下記の形で置換されていてもよい。
【0083】
本明細書で使用されている「シクロアルキル」基は、3〜10(例えば、5〜10)個の炭素原子の飽和炭素環状単または二環式(縮合または架橋)環をいう。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、ノルボルニル、クビル、オクタヒドロ−インデニル、デカヒドロ−ナフチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[3.3.2]デシル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、アザシクロアルキル、または((アミノカルボニル)シクロアルキル)シクロアルキルがある。本明細書で使用されている「シクロアルケニル」基は、1個またはそれ以上の二重結合を有する3〜10個(例えば、4〜8個)の炭素原子の非芳香族炭素環をいう。シクロアルケニル基の例には、シクロペンテニル、1,4−シクロヘキサ−ジ−エニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、ヘキサヒドロ−インデニル、オクタヒドロ−ナフチル、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、ビシクロ[2.2.2]オクテニル、またはビシクロ[3.3.1]ノネニルがある。シクロアルキルまたはシクロアルケニル基は、所望によりJ群から選択される1個またはそれ以上の置換基、例えば脂肪族(例えば、アルキル、アルケニルまたはアルキニル)、脂環式、(脂環式)脂肪族、ヘテロ環式脂肪族、(ヘテロ環式脂肪族)脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、(脂環式)オキシ、(ヘテロ環式脂肪族)オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(芳香脂肪族)オキシ、(ヘテロ芳香脂肪族)オキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アミノ、アミド(例えば、(脂肪族)カルボニルアミノ、(脂環式)カルボニルアミノ、((脂環式)脂肪族)カルボニルアミノ、(アリール)カルボニルアミノ、(芳香脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロ環式脂肪族)カルボニルアミノ、((ヘテロ環式脂肪族)脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロアリール)カルボニルアミノ、または((ヘテロ芳香脂肪族)カルボニルアミノ)、ニトロ、カルボキシ(例えば、HOOC−、アルコキシカルボニル、またはアルキルカルボニルオキシ)、アシル((例えば、(脂環式)カルボニル、(脂環式)脂肪族)カルボニル、(芳香脂肪族)カルボニル、(ヘテロ環式脂肪族)カルボニル、((ヘテロ環式脂肪族)脂肪族)カルボニル、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニル)、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、スルホニル(例えば、アルキル−SO−およびアリール−SO−)、スルフィニル((例えば、アルキル−S(O)−)、スルファニル(例えば、アルキル−S−)、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソ、またはカルバモイルにより置換され得る。
【0084】
本明細書で使用されている「環状部分」は、脂環式、ヘテロ環式脂肪族、アリール、またはヘテロアリールを包含し、各々先に定義されている。
【0085】
本明細書で使用されている「ヘテロ環式脂肪族」の語は、ヘテロシクロアルキル基およびヘテロシクロアルケニル基を包含し、各々、所望により下記の形で置換されていてもよい。
【0086】
本明細書で使用されている「ヘテロシクロアルキル」基は、3〜10員単または二環式(縮合または架橋)(例えば、5〜10員単または二環式)飽和環構造をいい、その環原子の1個またはそれ以上はヘテロ原子である(例えば、N、O、Sまたはその組合せ)。ヘテロシクロアルキル基の例には、ピペリジル、ピペラジル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフリル、1,4−ジオキソラニル、1,4−ジチアニル、1,3−ジオキソラニル、オキサゾリジル、イソオキサゾリジル、モルホリニル、チオモルホリル、オクタヒドロベンゾフリル、オクタヒドロクロメニル、オクタヒドロチオクロメニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロピリンジニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロベンゾ[b]チオフェネイル、2−オキサ−ビシクロ[2.2.2]オクチル、1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクチル、3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクチル、および2,6−ジオキサ−トリシクロ[3.3.1.03,7]ノニルがある。単環式ヘテロシクロアルキル基は、フェニル部分、例えばテトラヒドロイソキノリンと縮合され得る。本明細書で使用されている「ヘテロシクロアルケニル」基は、1個またはそれ以上の二重結合を有する単または二環式(例えば、5〜10員単または二環式)非芳香族環構造をいい、環原子の1個またはそれ以上はヘテロ原子(例えば、N、OまたはS)である。単環式および二環式ヘテロ脂肪族については、標準化学命名法にしたがって番号付けしている。
【0087】
ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルケニル基は、所望によりJ群から選択される1個またはそれ以上の置換基、例えば脂肪族(例えば、アルキル、アルケニル、またはアルキニル)、脂環式、(脂環式)脂肪族、ヘテロ環式脂肪族、(ヘテロ環式脂肪族)脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、(脂環式)オキシ、(ヘテロ環式脂肪族)オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(芳香脂肪族)オキシ、(ヘテロ芳香脂肪族)オキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アミノ、アミド(例えば、(脂肪族)カルボニルアミノ、(脂環式)カルボニルアミノ、((脂環式)脂肪族)カルボニルアミノ、(アリール)カルボニルアミノ、(芳香脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロ環式脂肪族)カルボニルアミノ、((ヘテロ環式脂肪族)脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロアリール)カルボニルアミノ、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニルアミノ)、ニトロ、カルボキシ(例えば、HOOC−、アルコキシカルボニル、またはアルキルカルボニルオキシ)、アシル((例えば、(脂環式)カルボニル、((脂環式)脂肪族)カルボニル、(芳香脂肪族)カルボニル、(ヘテロ環式脂肪族)カルボニル、((ヘテロ環式脂肪族)脂肪族)カルボニル、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニル)、ニトロ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、スルホニル(例えば、アルキルスルホニルまたはアリールスルホニル)、スルフィニル(例えば、アルキルスルフィニル)、スルファニル(例えば、アルキルスルファニル)、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソ、またはカルバモイル))により置換され得る。
【0088】
本明細書で使用されている「ヘテロアリール」基は、4〜15個の環原子を有する単環式、二環式、または三環式環系をいい、環原子の1個またはそれ以上はヘテロ原子(例えば、N、O、Sまたはそれらの組み合わせ)であり、単環式環系は芳香族であるかまたは二環式または三環式環系における環の少なくとも1個は芳香族であるものとする。ヘテロアリール基は、2〜3個の環を有するベンゾ縮合環系を含む。例えば、ベンゾ縮合基は、1個または2個の4〜8員ヘテロ環式脂肪族部分(例えば、インドリジル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フリル、ベンゾ[b]チオフェニル、キノリニル、またはイソキノリニル)と縮合したベンゾを含む。ヘテロアリールの例には、アゼチジニル、ピリジル、1H−インダゾリル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフリル、イソキノリニル、ベンゾチアゾリル、キサンテン、チオキサンテン、フェノチアジン、ジヒドロインドール、ベンゾ[1,3]ジオキソール、ベンゾ[b]フリル、ベンゾ[b]チオフェニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、プリル、シンノリル、キノリル、キナゾリル、シンノリル、フタラジル、キナゾリル、キノキサリル、イソキノリル、4H−キノリジル、ベンゾ−1,2,5−チアジアゾリル、または1,8−ナフチリジルがある。
【0089】
限定はされないが、単環式ヘテロアリールには、フリル、チオフェニル、2H−ピロリル、ピロリル、オキサゾリル、タゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、2H−ピラニル、4H−プラニル(pranyl)、ピリジル、ピリダジル、ピリミジル、ピラゾリル、ピラジル、または1,3,5−トリアジルがある。単環式ヘテロアリールについては、標準化学命名法にしたがって番号付けする。
【0090】
限定はされないが、二環式ヘテロアリールには、インドリジル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フリル、ベンゾ[b]チオフェニル、キノリニル、イソキノリニル、インドリジル、イソインドリル、インドリル、ベンゾ[b]フリル、ベキソ[b]チオフェニル、インダゾリル、ベンゾイミダジル、ベンゾチアゾリル、プリニル、4H−キノリジル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、フタラジル、キナゾリル、キノオキサリル、1,8−ナフチリジル、またはプテリジルがある。二環式ヘテロアリールについては、標準化学命名法にしたがって番号付けする。
【0091】
ヘテロアリールは、所望により1個またはそれ以上の置換基、例えば脂肪族(例えば、アルキル、アルケニルまたはアルキニル)、脂環式、(脂環式)脂肪族、ヘテロ環式脂肪族、(ヘテロ環式脂肪族)脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、(脂環式)オキシ、(ヘテロ環式脂肪族)オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(芳香脂肪族)オキシ、(ヘテロ芳香脂肪族)オキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アミノ、オキソ(二環式または三環式ヘテロアリールの非芳香族炭素環または複素環における)、カルボキシ、アミド、アシル(例えば、脂肪族カルボニル、(脂環式)カルボニル、((脂環式)脂肪族)カルボニル、(芳香脂肪族)カルボニル、(ヘテロ環式脂肪族)カルボニル、((ヘテロ環式脂肪族)脂肪族)カルボニル、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニル)、スルホニル(例えば、脂肪族スルホニルまたはアミノスルホニル)、スルフィニル(例えば、脂肪族スルフィニル)、スルファニル(例えば、脂肪族スルファニル)、ニトロ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、またはカルバモイルにより置換されていてもよい。また、ヘテロアリールは非置換の場合もあり得る。
【0092】
置換ヘテロアリールの非限定的な例としては、(ハロ)ヘテロアリール(例えば、モノ−およびジ−(ハロ)ヘテロアリール)、(カルボキシ)ヘテロアリール(例えば、(アルコキシカルボニル)ヘテロアリール)、シアノヘテロアリール、アミノヘテロアリール(例えば、((アルキルスルホニル)アミノ)ヘテロアリールおよび((ジアルキル)アミノ)ヘテロアリール)、(アミド)ヘテロアリール(例えば、アミノカルボニルヘテロアリール、((アルキルカルボニル)アミノ)ヘテロアリール、((((アルキル)アミノ)アルキル)アミノカルボニル)ヘテロアリール、(((ヘテロアリール)アミノ)カルボニル)ヘテロアリール、((ヘテロ環式脂肪族)カルボニル)ヘテロアリール、または((アルキルカルボニル)アミノ)ヘテロアリール)、(シアノアルキル)ヘテロアリール、(アルコキシ)ヘテロアリール、(スルファモイル)ヘテロアリール(例えば、(アミノスルホニル)ヘテロアリール)、(スルホニル)ヘテロアリール((例えば、(アルキルスルホニル)ヘテロアリール)、(ヒドロキシアルキル)ヘテロアリール、(アルコキシアルキル)ヘテロアリール、(ヒドロキシ)ヘテロアリール、((カルボキシ)アルキル)ヘテロアリール、(((ジアルキル)アミノ)アルキル)ヘテロアリール、(ヘテロ環式脂肪族)ヘテロアリール、(脂環式)ヘテロアリール、(ニトロアルキル)ヘテロアリール、(((アルキルスルホニル)アミノ)アルキル)ヘテロアリール、((アルキルスルホニル)アルキル)ヘテロアリール、(シアノアルキル)ヘテロアリール、(アシル)ヘテロアリール(例えば、(アルキルカルボニル)ヘテロアリール)、(アルキル)ヘテロアリール、および(ハロアルキル)ヘテロアリール(例えば、トリハロアルキルヘテロアリール)がある。
【0093】
本明細書で使用されている「ヘテロ芳香脂肪族」(例えばヘテロアラルキル基)は、ヘテロアリール基により置換された脂肪族基(例えば、C1−4アルキル基)をいう。「脂肪族」、「アルキル」および「ヘテロアリール」は、前記の意味である。
【0094】
本明細書で使用されている「ヘテロアラルキル」基は、ヘテロアリール基により置換されたアルキル基(例えば、C1−4アルキル基)をいう。「アルキル」および「ヘテロアリール」は両方とも、前記の意味である。ヘテロアラルキルは、所望により1個またはそれ以上の置換基、例えばアルキル(カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、およびハロアルキル、例えばトリフルオロメチルを含む)、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アロイル、ヘテロアロイル、ニトロ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、アシル、メルカプト、アルキルスルファニル、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソまたはカルバモイルにより置換されていてもよい。
【0095】
本明細書で使用されている「アシル」基は、ホルミル基またはR−C(O)−(例えばアルキル−C(O)−、「アルキルカルボニル」とも称す)をいい、式中、Rおよび「アルキル」は前記の意味である。アセチルおよびピバロイルはアシル基の例である。
【0096】
本明細書で使用されている「アロイル」または「ヘテロアロイル」は、アリール−C(O)−またはヘテロアリール−C(O)−をいう。アロイルまたはヘテロアロイルのアリールおよびヘテロアリール部分は、所望により前記の形で置換されていてもよい。
【0097】
本明細書で使用されている「アルコキシ」基は、アルキル−O−基をいい、式中、「アルキル」は前記の意味である。
【0098】
本明細書で使用されている「カルバモイル」基は、構造−O−CO−NRまたはNR−CO−O−R(式中、RおよびRは、前記の意味であり、Rは、脂肪族、アリール、芳香脂肪族、ヘテロ環式脂肪族、ヘテロアリール、またはヘテロ芳香脂肪族であり得る)を有する基をいう。
【0099】
本明細書で使用されている「カルボキシ」基は、末端基として使用されるときには−COOH、−COOR、−OC(O)H、−OC(O)R、または内部基として使用されるときには、−OC(O)−または−C(O)O−をいう。
【0100】
本明細書で使用されている「ハロ脂肪族」基は、1〜3個のハロゲンにより置換された脂肪族基をいう。例えば、ハロアルキルの語は基−CFを含む。
【0101】
本明細書で使用されている「メルカプト」基は、−SHをいう。
本明細書で使用されている「スルホ」基は、末端で使用されるときには−SOHまたは−SO、内部で使用されるときには−S(O)−をいう。
【0102】
本明細書で使用されている「スルファミド」基は、末端で使用されるときには構造−NR−S(O)−NR、内部で使用されるときには−NR−S(O)−NR−(式中、R、RおよびRは、前記の意味である)をいう。
【0103】
本明細書で使用されている「スルホンアミド」基は、末端で使用されるときには構造−S(O)−NRまたは−NR−S(O)−R、または内部で使用されるときには−S(O)−NR−または−NR−S(O)−(式中、R、RおよびRは、前記の意味である)をいう。
【0104】
本明細書で使用されている「スルファニル」基は、末端で使用されるときには−S−R、内部で使用されるときには−S−をいい、式中、Rは前記の意味である。スルファニルの例には、脂肪族−S−、脂環式−S−、アリール−S−などがある。
【0105】
本明細書で使用されている「スルフィニル」基は、末端で使用されるときには−S(O)−R、内部で使用されるときには−S(O)−をいい、式中、Rは前記の意味である。スルフィニル基の例には、脂肪族−S(O)−、アリール−S(O)−、(脂環式(脂肪族))−S(O)−、シクロアルキル−S(O)−、ヘテロ環式脂肪族−S(O)−、ヘテロアリール−S(O)−などがある。
【0106】
本明細書で使用されている「スルホニル」基は、末端で使用されるときには−S(O)−R、内部で使用されるときには−S(O)−をいい、式中、Rは前記の意味である。スルホニル基の例には、脂肪族−S(O)−、アリール−S(O)−、(脂環式(脂肪族))−S(O)−、脂環式−S(O)−、ヘテロ環式脂肪族−S(O)−、ヘテロアリール−S(O)−、(脂環式(アミド(脂肪族)))−S(O)−などがある。
【0107】
本明細書で使用されている「スルホキシ」基は、末端で使用されるときには−O−SO−Rまたは−SO−O−R、内部で使用されるときには−O−S(O)−または−S(O)−O−をいい、式中、Rは前記の意味である。
【0108】
本明細書で使用されている「ハロゲン」または「ハロ」基は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素をいう。
【0109】
本明細書で使用されている「アルコキシカルボニル」基は、「カルボキシ」により包含され、単独または別の基と組み合わせて使用される基で、例えばアルキル−O−C(O)−といった基を指す。
本明細書で使用されている「アルコキシアルキル」基は、アルキル基、例えばアルキル−O−アルキル−(式中、アルキルは前記の意味である)をいう。
【0110】
本明細書で使用されている「カルボニル」基は−C(O)−をいう。
本明細書で使用されている「オキソ」基は=Oをいう。
本明細書で使用されている「アミノアルキル」基は、構造(R)N−アルキル−をいう。
本明細書で使用されている「シアノアルキル」基は、構造(NC)−アルキル−をいう。
【0111】
本明細書で使用されている「尿素」基は、構造−NR−CO−NRを指し、「チオ尿素」基は、末端で使用されるときには構造−NR−CS−NR、内部で使用されるときには−NR−CO−NR−または−NR−CS−NR−をいい、式中、R、RおよびRは、前記の意味である。
【0112】
本明細書で使用されている「グアニジン」基は、構造−N=C(N(R))N(R)または−NR−C(=NR)NRをいい、式中、RおよびRは、前記の意味である。
【0113】
本明細書で使用されている「アミジノ」基は、構造−C=(NR)N(R)をいい、式中、RおよびRは、前記の意味である。
【0114】
一般に、「ビシナル」の語は、2個またはそれ以上の炭素原子を含む基上の置換基の位置関係に関するもので、置換基は隣接炭素原子に結合している。
【0115】
一般に、「ゼミナル」の語は、2個またはそれ以上の炭素原子を含む基上の置換基の位置関係に関するもので、置換基は同一炭素原子に結合している。
【0116】
「末端に」および「内部に」の語は、置換基内における基の位置をいう。基が化学構造の残部にそれ以上結合されていない置換基の端部に存在するとき、基は末端である。カルボキシアルキル、すなわち、RO(O)C−アルキルは、末端使用されているカルボキシ基の一例である。基が化学構造の残部に結合された置換基の端部で、置換基の中間に存在するとき、基は内部である。アルキルカルボキシ(例えば、アルキル−C(O)−O−またはアルキル−O−C(O)−)およびアルキルカルボキシアリール(例えば、アルキル−C(O)−O−アリール−またはアルキル−O−C(O)−アリール−)は、内部使用されているカルボキシ基の例である。
【0117】
本明細書で使用されている「環状」基は、単、二および三環式環系、例えば脂環式、ヘテロ環式脂肪族、アリール、またはヘテロアリールを包含するもので、それらは各々前記の意味である。
【0118】
本明細書で使用されている「架橋二環式環系」は、環が架橋されている二環式ヘテロ環式脂肪族環系または二環式脂環式環系をいう。架橋二環式環系の例には、アダマンタニル、ノルボルナニル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[3.2.3]ノニル、2−オキサビシクロ[2.2.2]オクチル、1−アザビシクロ[2.2.2]オクチル、3−アザビシクロ[3.2.1]オクチル、および2,6−ジオキサ−トリシクロ[3.3.1.03,7]ノニルがあるが、これらに限定はされない。架橋二環式環系は、所望により1個またはそれ以上の置換基、例えばアルキル(カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、およびハロアルキル、例えばトリフルオロメチルを含む)、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アロイル、ヘテロアロイル、ニトロ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、アシル、メルカプト、アルキルスルファニル、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソまたはカルバモイルにより置換され得る。
【0119】
本明細書で使用されている「脂肪(族)鎖」は、分枝または直鎖脂肪族基(例えば、アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基)をいう。直鎖脂肪族基は構造−(CH)−(式中、vは1〜6である)を有する。分枝脂肪族鎖は1個またはそれ以上の脂肪族基により置換された直鎖脂肪族基である。分枝脂肪族鎖は構造−(CHQ)−(式中、Qは水素または脂肪族基である)を有する。しかしながら、Qは少なくとも一事例では脂肪族基となる。脂肪族鎖の語は、アルキル鎖、アルケニル鎖、およびアルキニル鎖を包含し、この場合アルキル、アルケニルおよびアルキニルは前記の意味である。
【0120】
「所望により置換されていてもよい」の語は、「置換または非置換である」の語と互換的に使用される。本明細書の記載によると、本発明化合物は、所望により1個またはそれ以上の置換基、例えば上記で例示したものにより、または本発明の特定クラス、サブクラスおよび種類により典型的に示した形で置換され得る。本明細書の記載によると、可変記号R、RおよびR、および他の可変記号は、特定の基、例えばアルキルおよびアリールを包含する。特に断らなければ、記号R、RおよびR、およびそこに含まれる他の記号に関する特定基の各々は、所望により本明細書記載の1個またはそれ以上の置換基により置換され得る。特定基の各置換基は、さらに所望によりハロ、シアノ、オキソ、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アリール、脂環式、ヘテロ環式脂肪族、ヘテロアリール、ハロアルキルおよびアルキルのうちの1〜3個により置換されていてもよい。例えば、アルキル基は、アルキルスルファニルにより置換され得、アルキルスルファニルは、所望によりハロ、シアノ、オキソ、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アリール、ハロアルキルおよびアルキルのうちの1〜3個により置換され得る。追加例として、(シクロアルキル)カルボニルアミノのシクロアルキル部分は、所望によりハロ、シアノ、アルコキシ、ヒドロキシ、ニトロ、ハロアルキル、およびアルキルのうちの1〜3個により置換され得る。2個のアルコキシ基が同一原子または隣接原子に結合しているとき、2個のアルコキシ基は、それらが結合している原子(複数も可)と一緒になって環を形成し得る。
【0121】
一般に、「置換された」の語は、「所望により」の語が先行するにせよ、しないにせよ、所定の構造における水素基を特定された置換基の基により置き換えることをいう。特定置換基は、上記の定義および下記の化合物およびその実施例の記載の項で記載されている。特に断らなければ、所望により置換されていてもよい基は、基の置換可能な各位置に置換基を有し得、所定の構造における複数の位置が、特定された基から選択される複数の置換基により置換され得る場合、置換基はいずれの位置であっても同一または異なるものであり得る。環置換基、例えばヘテロシクロアルキルは、別の環、例えばシクロアルキルに結合されることにより、スピロ−二環式環系を形成し得、例えば両環とも共通の一原子を共有する。本発明により想定される置換基の組み合わせは、安定した、または化学的に適した化合物の形成をもたらす組み合わせである。
【0122】
本明細書で使用されている「安定した、または化学的に適した」の語は、その化合物の製造、検出、および好ましくはそれらの回収、精製、および本明細書で開示された目的の一つまたはそれ以上に関する使用を可能にする条件下に置かれたときに実質的に改変されることのない化合物をいう。幾つかの態様では、安定した化合物または化学的に適した化合物は、少なくとも1週間、水分または他の化学的反応条件の非存在下、40℃またはそれ未満の温度で保たれたとき実質的に改変されないものである。
【0123】
本明細書で使用されている有効量は、治療されている患者に対し治療効果をもたらすのに必要とされる量として定義され、典型的には患者の年齢、体表面積、体重および状態に基づいて決定される。動物およびヒトに関する投薬量(体表面積1平方メートル当たりのミリグラム数に基づく)の相互関係は、Freireich et al., Cancer Chemother.Rep., 50:219(1966)で報告されている。体表面積は、患者の身長および体重からほぼ推定され得る。例えば、Scientific Tables, Geigy Pharmaceuticals、アーズレー、ニューヨーク、537(1970)参照。本明細書で使用されている「患者」は、ヒトを含む哺乳類を包含する。
【0124】
特に断らなければ、本明細書で描かれている構造は、構造のあらゆる異性体(例えば、鏡像体、ジアステレオマー、および幾何(または配座))形態、例えば各不斉中心についてのRおよびS立体配置、(Z)および(E)二重結合異性体、および(Z)および(E)配座異性体を全て包含するものとする。したがって、本発明化合物の単一立体化学異性体および鏡像体、ジアステレオマー、および幾何(または配座)異性体混合物も本発明の範囲内に含まれる。特に断らなければ、本発明化合物の互変異性体形態も全て、本発明の範囲内に含まれる。さらに、特に断らなければ、本明細書で描かれている構造は、1個またはそれ以上の同位体標識原子の存在のみが異なる化合物も包含するものとする。例えば、重水素またはトリチウムによる水素の置換、または13C−または14C−標識炭素による炭素の置換があるのみで、他は本構造を有する化合物も本発明の範囲内に含まれる。上記化合物は、例えば生物学的検定における分析ツールまたはプローブとして有用である。
【0125】
本明細書で使用されているEDCは、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドであり、HOBtは1−ヒドロキシベンゾトリアゾールであり、HOSucはN−ヒドロキシスクシンイミドであり、THFはテトラヒドロフランであり、TFAはトリフルオロ酢酸であり、DCMはジクロロメタンであり、DMAPは4−ジメチルアミノピリジンであり、DIPEAはジイソプロピルエチルアミンであり、DMFはジメチルホルムアミドであり、TFAはトリフルオロ酢酸であり、CBZはベンジルオキシカルボニルであり、TEMPOは2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシである。
【0126】
本明細書で使用されているH NMRは、プロトン核磁気共鳴を表し、TLCは薄層クロマトグラフィーを表す。
【0127】
II. 製造工程および中間体
本発明は、スキームIで概略を示した式1の化合物の製造工程およびその中間体を提供する。
【化46】

【0128】
スキーム1について述べると、公知方法を用いて、式5で示される3−アザビシクロ[3.3.0]オクタン(R.Griot、Helv.Chim.Acta., 42、67、(1959)を、式6(式中、R'は例えばt−ブチルまたはイソブチルである)で示される適当なアルキルカルバメートに変換する。例えば、T.W.Greene および P.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley & Sons, Inc.(1999)参照。
【0129】
まず、式6の2−アニオンを、類似アニオン形成用のキレート剤の存在下で形成させることにより、式6のN−アルコキシカルボニル−3−アザビシクロ[3.3.0]オクタンのカルボキシル化を達成する。例えば、Daniel.J.Pippel et al., J.Org.Chem., 1998、63、2;Donald J. Gallagher et al., J.Org.Chem., 1995、60(22)、7092−7093;Shawn T.Kerrick et al., J.Am.Chem.Soc., 1991、113(25)、9708−9710;Donald J. Gallagher et al., J.Org.Chem., 1995、60(25)、8148−8154;および Peter Beak et al., J.Am.Chem.Soc., 1994、116(8)、3231−3239参照。式6で示されるアルキルカルバメートの2−アニオン(スキームIでは示さず)を、適当な非プロトン溶媒中、錯化剤(例えば、テトラメチルエチレンジアミン、テトラエチルエチレンジアミン、テトラメチル−1,2−シクロヘキシルジアミン、または3,7−ジプロピル−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン)の存在下において、強リチウム塩基(例えば、t−ブチルリチウムまたはsec−ブチルリチウム)で式6の化合物を処理することにより製造する。適当な非プロトン溶媒には、例えばt−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、およびジメトキシエタンがある。それに続いて、式6で示される2−アニオンを二酸化炭素で処理することにより、式7で示されるトランス−/シス−2−カルボン酸のラセミ混合物(ただし、トランス−/シス−比は、30対70、40対60、50対50、60対40、80対20、90対10、95対5または98対2より大である)を生成し得る。
【0130】
幾つかの態様では、錯化剤は、光学活性、例えばスパルテインの光学異性体であり得る。光学活性錯化剤は、不斉カルボキシル化を誘導することにより、約10%〜約95%の鏡像体過剰(e.e.)を有する生成物を形成させ得る(例えば、Beak et al., J.Org.Chem., 1995、60、8148−8154参照)。トランス−/シス−混合物を平衡化させることにより、適当な塩基の存在下で、式8の主トランス酸(ただし、トランス−/シス−比は、80対20、90対10、95対5、または98対2より大である)を生成させ得る。適当な塩基には、例えばリチウムヘキサメチルジシラジド、リチウムジイソプロピルアミド、またはリチウム2,2,6,6−テトラメチルピペリジンがある。
【0131】
別の態様では、錯化ジアミンとして3,7−ジプロピル−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナンを使用することにより、異性体のトランス−/シス−比が90対10、95対5、または98対2より大である式8のカルボン酸を直接得るため、平衡化工程は不要となる。
【0132】
式8の化合物のラセミ混合物を分割することにより、式9の単一鏡像体が得られる。ラセミアミノ酸の公知分割方法が使用され得、例えば光学活性アミン塩の結晶化、光学活性アルコールによる2−カルボン酸エステルの製造、それに次ぐ結晶化またはクロマトグラフィー分離、および光学活性N−アルコキシカルボニル誘導体の製造、それに次ぐ結晶化またはクロマトグラフィーがあるが、これらに限定されるわけではない。一態様では、式8の(R)α−アミノエチルベンゼンまたは(S)1−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン塩を結晶化することにより、式9で示されるアミン塩を生成する。
【0133】
例えば重硫酸ナトリウム水溶液の抽出により得られる、式9で示される塩の遊離酸を、例えばジ−t−ブチル−ジカーボネート(BocO)でエステル化することにより、式10で示されるエステルを得る。例えば、有機溶媒、例えばt−ブチルメチルエーテルまたはテトラヒドロフラン中のメタンスルホン酸といった公知条件下で、−COOR'保護基を除去することにより、式1で示される化合物を得る。
【0134】
別の態様では、式3で示される二環式ピロリジニル化合物(下記で示した化合物17により実例を示す)がスキームIIで概略を示した要領で製造され得る。
【化47】

【0135】
スキームIIによると、ルイス酸、例えば三フッ化ホウ素エーテラートの存在下における、式11のグリシンt−ブチルエステルと(1S)−(−)カンファーの反応により、式12で示されるカンファーイミンを製造する。シクロペンテンカルボン酸メチルへの式12で示されるアミンのミカエル付加により、式13の付加物を得る。イソプロパノールおよび水の混合物から粗生成物を再結晶化することにより、示された化合物13の単一異性体を得る。酢酸ナトリウムの存在下においてヒドロキシルアミンでカンファーイミンを除去し、それに続いて閉環することにより、式14のラクタムエステルを得る。所望により、反応混合物を無水コハク酸で処理することにより、式14で示される目的生成物および式15で示されるカンファー誘導体の回収が容易になり得る。式14で示されるラクタムを、塩基、例えば水素化ナトリウム、ついでベンジルクロロホルメートで処理することにより式16で示されるそのベンジルオキシカルボニル誘導体に変換する。式16のラクタムを水素化物還元剤、例えばボラン−ジメチルスルフィド−ピペリジンで還元することにより、式17で示されるカルバミン酸エステルを得る。ベンジルオキシカルボニル保護基の除去は、例えばパラジウム触媒、例えば水酸化パラジウムの存在下における水素といった還元的条件下で達成され得、式17で示される所望の二環式ピロリジンエステルを得る。所望により、塩、例えば式1aで示されるシュウ酸塩の形成を通して式17のエステルの単離を行ってもよい。
【0136】
さらに本発明は、式2の化合物の製造方法を提供する。式2(式中、R'はHであり、R'はn−プロピルであり、Rはシクロプロピルである)の化合物の一具体例を下記式18で示す。
【化48】

【0137】
一局面において、化合物18は、スキームIIIにおいて概略を示した要領で製造され得る。
【化49】

【0138】
スキームIIIでは、カップリング試薬、例えばEDCの存在下で式19のCbz−ノルバリンをメトキシメチルアミンと反応させることにより、式20のCbz−ノルバリンのメトキシメチルアミドを製造する。−20℃〜10℃の温度で、式20の化合物を水素化物試薬、例えば水素化アルミニウムリチウムまたは水素化ジイソブチルアルミニウムで還元することにより、式21で示されるノルバリン化合物を得る。アルカリ金属チオ亜硫酸塩、例えばチオ亜硫酸ナトリウムの存在下、式21の化合物をアルカリ金属シアン化物、例えばシアン化カリウムと反応させることにより、式22の対応するシアノヒドリンを製造する。約50℃〜110℃の高温で適当な溶媒、例えばジオキサン中、HClの存在下における式22の化合物の加水分解により、対応する3−アミノ−2−ヒドロキシヘキサン酸(示さず)を誘導し、これをCbz−ヒドロキシスクシンイミドとの反応により、式23のCbz誘導体に変換する。式24のシクロプロピルアミドを、カップリング試薬、例えばEDCの存在下におけるシクロプロピルアミンとの反応により化合物23から製造する。例えばパラジウム触媒の存在下における水素といった公知還元条件下で、Cbz基を除去して式18の化合物を得る。
【0139】
下記スキームIVで示されている、別の態様では、パッセリーニ(Passerini)反応(例えば、A.Doemling et al., Angew.Chem., 2000、112、3300−3344参照)を用いて、式18のシクロプロピルアミドを製造する。
【化50】

【0140】
スキームIVに関して述べると、トリフルオロ酢酸の存在下、さらに所望により不斉触媒の存在下で、Cbz−バリナル21と式25のシクロプロピルイソシアニド(Oakwood Products, Inc.から入手可能、ウエスト・コロンビア、SC29172、米国)の反応により、式24で示されるシクロプロピルアミドを得る。例えば、Schreiber et al., Org.Lett., 2004、6、4231参照。中間体トリフルオロアセテート(示さず)を単離中に加水分解することにより、化合物24を直接得る。前記と同じ還元的条件下でCbz保護基を除去することにより、式18の化合物を得る。
【0141】
別の態様では、米国特許第6020518号、同第6087530号および同第6639094号(これらについては、各々出典明示で援用する)記載の方法にしたがって、式23のヒドロキシ−酸化合物を製造し得る。
【0142】
上記スキームIIIおよびIVで示した製造工程は、(式18の)特定化合物の合成について説明しているが、スキームIIIおよびIVにおける製造工程を用いて式2で示される他の化合物を製造することは可能である。
【0143】
スキームVで概略が示されている別の態様において、本発明はさらに式4の化合物の製造工程および中間体を提供する。
【化51】

【0144】
スキーム5について述べると、式1(式中、Rはt−ブチルである)で示される二環式アミノエステルを、カップリング試薬の存在下で式26(式中、Zはアミン保護基であり、R保護基の除去に使用した条件とは異なる酸性、塩基性または水素化条件下で除去され得る)の保護アミノ酸と反応させることにより、式27のアミド−エステルを得る。保護基Zを式27のアミド−エステルから除去することにより、式28のアミン−エステル化合物を得る。
【0145】
カップリング試薬の存在下で、式28のアミノ−含有化合物を保護アミノ酸29と反応させることにより、式30のトリペプチドを得る。
【0146】
式30のトリペプチドにおける保護基Zを除去することにより、式31の遊離アミノ−トリペプチドを得る。
【0147】
カップリング試薬の存在下で、式31のアミノ−トリペプチドを式32のピラジン−2−カルボン酸と反応させることにより、式33のアミド−トリペプチドエステルを得る。
【0148】
式33のアミド−トリペプチドエステルのエステルを加水分解することにより、式34のアミド−トリペプチド酸を得る。
【0149】
カップリング試薬の存在下で式34のアミド−トリペプチド酸を式18のアミノ−ヒドロキシアミドと反応させることにより、式35のヒドロキシ−ペプチドを得る。
【0150】
最終工程では、式35の化合物のヒドロキシ基を酸化することにより、式4の化合物を得る。
【化52】

多様な公知酸化試薬、例えばアセトン中クロム酸、デス−マーチン−ペルヨージナン(1,1−ジヒドロ−1,1,1−トリアセトキシ−1,2−ベンゾヨードオキソール−3(1H)−オン)、TEMPOおよび所望によるアルカリ金属ハロゲン化物、例えば臭化ナトリウムの存在下における次亜塩素酸ナトリウムにより、化合物35の酸化を達成し得る。
【0151】
幾つかの態様では、35のヒドロキシ基の立体配置は、比が約90対10〜約10〜90、典型的には比が約60対40〜約40対60のRおよびS異性体の混合物である。
【0152】
別の態様では、化合物35のヒドロキシ基は、約90%eeの鏡像体過剰であるR立体配置を有する。
【0153】
さらなる態様では、化合物35のヒドロキシ基は、約90%eeの鏡像体過剰であるS立体配置を有する。
【0154】
本明細書記載の手順で得られた中間体はいずれも、反応混合物からの単離をしてもしなくても使用され得る。所望のプロテアーゼ阻害剤は、適当なRW−、P−、P−L−P、またはP−L−P−L−P−部分を結合することにより誘導され得る。アミンと上記部分のカップリングは、標準アミド結合−形成またはカップリング条件下で、対応するカルボン酸、またはその反応性均等内容物を用いて実施され得る。典型的なカップリング反応は、適当な溶媒、約0.01〜10M、好ましくは約0.1〜約4.0Mの濃度範囲のアミン、必要なカルボン酸、塩基およびペプチドカップリング試薬を含む。
【0155】
アミンを単離せずに使用する場合、カップリングは、アミンの製造で使用される反応混合物の溶媒、または異なる溶媒中in situで実施され得る。この反応混合物に、必要なカルボン酸を加え、反応を約0℃〜100℃、好ましくは約20℃〜約40℃間の温度で維持させ得る。次いで、塩基およびペプチドカップリング試薬を混合物に加え、これを約0℃〜60℃、好ましくは約20℃〜約40℃間の温度範囲で維持する。塩基は、典型的には第3級アミン塩基、例えばトリエチルアミン、ジ−イソ−プロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、DBU、DBN、N−メチルイミダゾール、好ましくはトリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンである。使用塩基の量は、一般にアミン1当量あたり約20当量以下、好ましくは少なくとも約3当量の塩基である。ペプチドカップリング試薬の例には、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)、DIC(ジイソプロピルカルボジイミド)、ジ−p−トルオイルカルボジイミド、BDP(1−ベンゾトリアゾール ジエチルリン酸−1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリニルエチル)カルボジイミド)、EDC(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩)、シアヌル酸フルオリド、シアヌル酸クロリド、TFFH(テトラメチルフルオロホルムアミジニウムヘキサフルオロホスホスフェート)、DPPA(ジフェニルホスホラジデート)、BOP(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)、HBTU(O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)、TBTU(O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート)、TSTU(O−(N−スクシンイミジル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート)、HATU(N−[(ジメチルアミノ)−1−H−1,2,3−トリアゾロ[4,5,6]−ピリジン−1−イルメチレン]−N−メチルメタナミニウムヘキサフルオロホスフェートN−オキシド)、BOP−Cl(ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド)、PyBOP((1−H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)−トリス(ピロリジノ)ホスホニウムテトラフルオロホスフェート)、BrOP(ブロモトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)、DEPBT(3−(ジエトキシホスホリルオキシ)−1,2,3−ベンゾトリアジン−4(3H)−オン)、またはPyBrOP(ブロモトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)がある。EDC、HOAT、BOP−ClおよびPyBrOPは、好ましいペプチドカップリング試薬である。ペプチドカップリング試薬の量は、約1.0〜約10.0当量の範囲である。アミド結合−形成反応で使用され得る所望による試薬は、DMAP(4−ジメチルアミノピリジン)または活性エステル試薬、例えばHOBT(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)、HOAT(ヒドロキシアザベンゾトリアゾール)、HOSu(ヒドロキシスクシンイミド)、HONB(エンド−N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキサミド)を、約1.0〜約10.0当量の範囲の量で含む。
【0156】
別法としては、アミンを、Rカルボン酸の反応性均等内容物、例えばRW−C(=O)X、P−C(=O)X、P−L−P−C(=O)X、またはP−L−P−L−P−C(=O)X(式中、C(=O)Xは、カップリング反応においてCOOHより反応性の高い基である)で処理し得る。−C(=O)X基の例には、XがCl、F、OC(=O)R(Rは、例えば脂肪族またはアリールである)、−SH、−SR、−SArまたは−SeArである基がある。
【0157】
本明細書で使用する酸およびアミン保護基は、当業界では公知である(例えば、T.W.Greene および P.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley & Sons, Inc.(1999)、およびこの本の以前の版を参照)。酸に適当な保護基の例には、t−ブトキシ、ベンジルオキシ、アリルオキシ、およびメトキシメトキシがある。アミンに適当な保護基の例には、9−フルオレニルメチルカルバメート、t−ブチルカルバメート、ベンジルカルバメート、トリフルオロアセトアミドおよびp−トルエンスルホンアミドがある。プロテアーゼ阻害剤のRW−、P−、P−L−P、またはP−L−P−L−P−部分として使用され得る若干の化学基が知られている。上記の基の例は、以下の公報で報告されており、それらについては出典明示により援用する:第WO97/43310号、米国特許第20020016294号、第WO01/81325号、第WO02/08198号、第WO01/77113号、第WO02/08187号、第WO02/08256号、第WO02/08244号、第WO03/006490号、第WO01/74768号、第WO99/50230号、第WO98/17679号、第WO02/48157号、米国特許第20020177725号、第WO02/060926号、米国特許第20030008828号、第WO02/48116号、第WO01/64678号、第WO01/07407号、第WO98/46630号、第WO00/59929号、第WO99/07733号、第WO00/09588号、米国特許第20020016442号、第WO00/09543号、第WO99/07734号、米国特許第6018020号、米国特許第6265380号、米国特許第6608027号、米国特許第20020032175号、米国特許第20050080017号、第WO98/22496号、米国特許第5866684号、第WO02/079234号、第WO00/31129号、第WO99/38888号、第WO99/64442号、第WO2004072243号、および第WO02/18369号。
【0158】
スキームVでは式4の化合物に関して一つの立体異性体についてのみ概略を示したが、本発明は、表Iに示した式4の立体異性体を全て包含するものとする。これらの立体異性体は全て、異なる立体化学配置の炭素原子(複数も可)を含む試薬(複数も可)を用いることにより、同じ方法で製造され得る。例えば:
【化53】

【0159】
【表1】

【0160】
【表2】

【0161】
【表3】

【0162】
【表4】

【実施例】
【0163】
III.実施例
以下、本発明に対する理解をさらに深めるために製造例を示す。これらの実施例は、単に説明を目的としているものであって、いかなる点でも本発明の範囲を制限するものとみなすべきではない。
【0164】
製造例1:3,7−ジプロピル−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン
【化54】

方法1
窒素雰囲気下、メカニカルスターラー、熱電対、冷却器、および滴下漏斗を備えた三口5Lフラスコに、1−プロピル−4−ピペリドン(100g、0.71mol)、パラホルムアルデヒド(50g、1.67mol)、およびエチルアルコール(2.0L)を攪拌しながら注入した。酢酸(90mL、1.56mol)を注入し、混合物を40℃に温めた。別のフラスコで、エチルアルコール(500mL)にプロピルアミン(64mL、0.78mol)を溶かした。この溶液を7〜8時間にわたって上記混合物に加えた。混合物を40℃でさらに1.5時間攪拌し、次いで周囲温度に冷却した。混合物を Celite(セライト、登録商標)のパッドにより濾過し、Celite(登録商標)をエチルアルコール(2回、各々100mL)ですすいだ。溶液を真空中で濃縮し、ジエチレングリコール(1.0L)を加えた。別のフラスコで、水酸化カリウム(160g)を水(190mL)に溶かした。溶液をジエチレングリコール混合物に攪拌しながら加え、次いで混合物を85℃に温めた。ヒドラジン一水和物(96mL)を2時間にわたって加え、生成した混合物をさらに1時間85℃で攪拌した。窒素噴霧下、留出液をディーン−スターク・トラップに集めながら、混合物を160℃の浴温に温めた。下部水相を反応フラスコに戻し、上部生成物相を集めた。水との共沸混合物として生成物がそれ以上留出しなくなるまで、この工程を反復した。ポット温度は、この工程中135〜160℃の範囲で変動した。集めた上部相フラクションを合わせ、ヘプタン(160mL)に溶かした。溶液を水(2回、各々120mL)で洗浄し、水相を合わせ、ヘプタン(2回、各々100mL)で抽出した。有機相を合わせ、濃縮することにより、標記化合物を得た(85.3g、57%収率)。
1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz): δ 2.60 (dd, J = 10.88, 2.04 Hz, 4H), 2.23 (dd, J = 10.88, 4.58 Hz, 4H), 2.12 (t, J = 7.74 Hz, 4H), 1.91 - 1.84 (m, 2H), 1.44 - 1.35 (m, 6H), 0.85 (t, J = 7.25 Hz, 6H)
【0165】
方法2
窒素雰囲気下、メカニカルスターラー、熱電対および冷却器を備えた四口12Lフラスコで、酢酸(260mL、4.67mol)を、1−プロピル−4−ピペリドン(300g、2.12mol)、パラホルムアルデヒド(150g、5.00mol)、およびエチルアルコール(6.00L)の混合物に加えた。不均一な混合物を40℃に温め、エチルアルコール(1.50L)中のプロピルアミン(192mL、2.34mol)の溶液を7.5時間にわたって加えた。添加完了後、混合物を1.5時間40℃で維持した。混合物を22〜25℃に冷却し、濾過した。固体を集め、エチルアルコール(2回、各々200mL)で洗浄し、濾液を合わせ、真空蒸留下(90mmHg、50〜55℃)で約1.0Lに濃縮した。ジエチレングリコール(2.60L)を加え、次いで水(570mL)中の水酸化カリウム(477g)の溶液を加えた。反応混合物を85℃に加熱し、ヒドラジン一水和物(279mL)を2時間にわたって加えた。添加完了後、85℃での加熱を1時間続行し、次いで2層を形成する留出液を集めながら、混合物を155℃に加熱した。下部の層を周期的に反応混合物に戻した。上部層の留出が止まるまで、155〜165℃での加熱を続行した。上部生成物層をヘプタン(480mL)で希釈し、水(2回、各々240mL)で洗浄した。水相を合わせ、ヘプタン(2回、各々300mL)で抽出した。ヘプタン抽出物を合わせ、濃縮することにより、淡黄色液体として標記化合物(233g、52%収率)を得た。
【0166】
製造例2:(S)−3−アミノ−N−シクロプロピル−2−ヒドロキシヘキサンアミド(18)
【化55】

オーバーヘッドスターラー、滴下漏斗、熱電対、および窒素/水素引入れ口を備え付けた250mL丸底フラスコを、窒素で数分間パージした。保護アミノ−ヒドロキシ酸(10.0g、0.035mol)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(9.0g、0.078mol、2.2モル当量)、次いで105mLのDMFをフラスコに加えた。澄明な溶液が得られるまで(約15分間)混合物を20±5℃で攪拌した。フラスコを−9.8℃(氷/アセトン浴)に冷却した。EDC・HCl(13.6g、0.071mol、2.0モル当量)を1度にフラスコに加えた。フラスコの内容物をそのまま3時間−5±5℃で攪拌した。反応フラスコの内容物を−10±3℃に冷却し、5±3℃の温度範囲を維持しながらシクロプロピルアミン(4.89g、0.085mol、2.4モル当量)を滴下漏斗により加えた。反応混合物を60分間5±5℃で攪拌し、次いでゆっくりと室温に温め、一晩攪拌した。反応混合物を大きな丸底フラスコに移し、室温で水(270mL)を加えることによりクエンチングした。DMF/水層を35〜40℃で3回分量のEtOAc(150mL)により抽出し、EtOAc抽出物を合わせ、水(2回、各々300mL)、次いで10%NaHCO溶液(300mL)、および最後に水(300mL)で洗浄した。EtOAc層を大気圧で濃縮し、ヘプタン(100mL)を加えた。80±5℃での蒸留を続行し、追加のヘプタン(50mL)を加えることにより、溶液から生成物を結晶化させた。混合物を2時間85℃で保ち、ゆっくりと室温に冷却し、1時間保った。生成物を真空濾過し、30℃で一晩、25mmHgで乾燥することにより、粗生成物(12.86g)を得た。11.44g分量の粗生成物を250mL丸底フラスコに入れ、50mLのMTBEを加え、濃厚なスラリーを室温で3時間攪拌した。生成物を濾過し、ケークをMTBE(50mL)で洗浄した。乾燥した生成物(6.4g)を、wt%検定(92.2wt%)およびHPLC A%(100A%)用に試料採取した。
【0167】
オーバーヘッドスターラー、バラストタンク、熱電対、および窒素/水素引入れ口を備え付けた1.0Lの Buchi 水素添加容器に、数分間窒素をパージした。保護アミノ−ヒドロキシアミド(49.9g、0.156mol、上記要領で製造)、および20%Pd(OH)・炭素(2.85g、0.002mol、50重量%の水)、次いで700mLのMeOHを、容器に充填した。出発物質が溶解するまで(約15分間)混合物を40℃で攪拌した。容器およびバラストタンクを窒素により2回40psigにパージし、窒素により大気圧に排気し、水素により2回40psigに加圧し、毎回大気に排気した。最後にバラストタンクを400psigに加圧し、バラストタンクを介して容器を30psigに加圧した。水素添加容器を2時間40℃および30psig水素(バラストタンクを介した調節による)で保った。容器を窒素により大気圧に排気し、スラリーを、残留出発材料についてHPLC分析用に試料採取した(1.8%;限界=0.5%両ジアステレオマー)。容器を再パージし、水素により30psigに再加圧し、さらに30分間40℃で保った。容器を窒素により大気圧に排気し、スラリーの試料を、残留アミノ−アミドについてHPLC分析にかけた(1.1%;限界=0.5%両ジアステレオマー)。容器を再パージし、水素により再加圧し、さらに40分間40℃で保った。容器を大気圧に排気し、窒素雰囲気下で一晩保った。
【0168】
試料を、残留保護アミノ−ヒドロキシアミドについてHPLC分析にかけた(何も検出されず;限界≦0.5%両ジアステレオマー)。一晩攪拌中に溶液から結晶化した生成物の一部分および追加の300mLのMeOHを加えて、生成物を溶解させた。スラリーを45℃に温めて溶解を確実にし、次いで45℃で Celite(登録商標)のベッドにより濾過した。湿った濾過ケークをMeOH(250mL)ですすぎ、濾液を大気圧で蒸留して、約150mLの容量にした。酢酸エチル(300mL)を加え、蒸留を大気圧で続行し、再び150mLの容量とした。この手順をさらに2回反復した。ヘプタン(150mL)を75℃でフラスコに加え、内容物を室温に冷却し、最終的に氷/水浴中で5℃にした。結晶化した生成物を集め、湿ったケークをヘプタン(75mL)で洗浄し、40℃、減圧下で一晩乾燥した。遊離アミノ−アミドをオフホワイト固体(21.2g、0.114mol、73.1%収率)として分離したところ、HPLC純度は98.5A%およびwt/wt検定法は94.2wt%であった。
【0169】
実施例1:N−t−ブチルオキシカルボニル−3−アザビシクロ[3.3.0]オクタン(6)
【化56】

方法1
窒素下、メカニカルスターラー、500mLの滴下漏斗、および温度計を備えた2Lの三口丸底フラスコに、3−アザビシクロ[3.3.0]ノナン塩酸塩(100g、0.677mol)、炭酸カリウム(187g、1.35mol)、t−ブチルメチルエーテル(220mL)および水(160mL)を攪拌しながら注入した。混合物を14〜16℃に冷却した。別の500mLのエルレンマイヤーフラスコには、BocO(ジ−t−ブチルジカーボネート)(145g、0.644mol)およびt−ブチルメチルエーテル(190mL)を充填した。完全な溶解が達成されるまで、混合物を攪拌した。溶液を滴下漏斗に注ぎ、反応温度を25℃未満に保ちながら、上記反応混合物に加えた。水(290mL)を加えて固体を溶解し、混合物を10〜15分間攪拌した。下部の水相を分離後、有機相を5%NaHSO水溶液(2回、各々145mL)、次いで水(145mL)で洗浄した。有機相を濃縮し、メチルt−ブチルエーテルを加えることにより(1.3L)、t−ブチルメチルエーテル中の標記化合物の溶液を得た。例えば、R.Griot、Helv.Chim.Acta., 42、67(1959)参照。
【0170】
方法2
水(160mL)中の炭酸カリウム(187g、1.35mol)の溶液を、3−アザビシクロ[3.3.0]オクタン塩酸塩(100g、0.677mol)およびt−ブチルメチルエーテル(220mL)の混合物に加え、生成した混合物を14〜16℃に冷却した。温度を35℃未満に維持しながら、t−ブチルメチルエーテル(190mL)中のBocO(145g、0.644mol)の溶液を加えた。加えた後、混合物を1時間攪拌し、次いで濾過した。固体をMTBE(50mL)で洗浄した。相を分離し、有機相を5%NaHSO水溶液(2回、各々145mL)および水(145mL)で洗浄し、真空下で300mLに濃縮した。MTBE(300mL)を加え、混合物を濃縮して水分を550ppm未満になるまで除去した。濃縮物をMTBE(400mL)で希釈することにより、MTBE中の標記化合物の溶液を得た。
【0171】
実施例2:rac−2−(t−ブトキシカルボニル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酸(7)
【化57】

方法1
実施例1、方法1からの溶液を、メカニカルスターラー、滴下漏斗、ReactIRプローブ、および温度計を備え付けた5Lの四口フラスコに充填した。3,7−ジプロピル−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン(183g、0.88mol)をフラスコに注入した。データ収集をReactIR装置で開始し、溶液を−72〜−75℃に冷却した。反応温度を−69℃未満に保ちながら、sec−ブチルリチウム(600mL、シクロヘキサン中1.6M)を、反応混合物にゆっくりと滴下した。滴下をReactIR装置でモニターし、1698cm−1での吸光度が消失し、1654cm−1での吸光度が3連続(consectutive)走査の間(2分間隔)増加を停止した後、滴下を止めた。溶液を3時間、−75〜−72℃で攪拌した。反応温度を−70℃未満に保ちながら、窒素中COの10%混合物を注意深く反応混合物に噴霧した。COについての吸光度がReactIRスペクトルで現れた後(2350cm−1)、噴霧を停止した。混合物を0〜5℃に温め、30wt%NaHSOの溶液(1.4L)を加えた。混合物を22〜25℃に温め、30分間攪拌した。水相を分離し、有機相を水(700mL)で洗浄した。水相を傾しゃし、有機相を濃縮することにより、標記化合物を得た。
【0172】
方法2
MTBE(300mL)中の3,7−ジプロピル−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン(183g、0.87mol)の溶液を、メカニカルスターラー、滴下漏斗、ReactIRプローブ、および温度計を備え付けたフラスコ中で実施例1、方法2からのN−t−ブチルオキシカルボニル−3−アザビシクロ[3.3.0]オクタン溶液に加え、混合物を−75〜−72℃に冷却した。反応温度を−70℃未満に保ちながら、1698cm−1での吸光度が消失し、1654cm−1での吸光度が増加を止めるまでsec−ブチルリチウム(510mL、1.6M)の溶液を加えた。溶液を3時間−75〜−72℃で攪拌した。反応温度を−70℃未満に保ちながら、反応混合物にN中10%のCOを噴霧した。COについての吸光度がReactIRスペクトルで現れたとき(2339cm−1)噴霧を停止した。混合物を0〜5℃に温め、30wt%NaHSO溶液(1.4L)を加え、混合物を22〜25℃に温め、次いで30分間攪拌した。相を分離し、pHが3より低いことを確認するため水相をチェックした。有機相を水(700mL)で洗浄し、次いで300mLに濃縮した。酢酸エチル(1.7L)を加え、混合物を2回300mLに濃縮し、酢酸エチル中の標記化合物の溶液を得た。
【0173】
実施例3:(S)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−アミニウム(1S,3aR,6aS)−2−(t−ブトキシカルボニル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボキシレート(9a)
【化58】

方法1
酢酸エチル(2.3L)を実施例2、方法1の残渣に加え、混合物をCelite(登録商標)のパッドにより濾過した。(S)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン(56.7g、0.385mol)を加え、溶液を3〜4時間22〜25℃で攪拌した。混合物を濾過し、固体を酢酸エチル(200mL)ですすいだ。固体を真空下20〜30℃で4時間乾燥することにより、99.02gの生成物(73%収率、キラルHPLCにより90%ee)を得た。
【0174】
温度制御装置、メカニカルスターラー、還流冷却器、および窒素バブラーを備え付けた三口RBFに、(S)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアンモニウム塩(88.98g、0.22mol)、酢酸エチル(712mL)、および2−プロパノール(666mL)を注入した。混合物を攪拌しながら70〜75℃に温めた。混合物を15〜30分間攪拌し、次いで1時間かけて−5〜−10℃に冷却した。生成したスラリーを濾過し、固体を冷酢酸エチル(180mL)ですすいだ。固体を35〜40℃で真空乾燥することにより、7.37gの白色固体を得た(83%収率、98%ee)。
【0175】
方法2
実施例2、方法2からのラセミ体N−t−ブチルオキシカルボニル−3−アザビシクロ[3.3.0]オクタン−2−カルボン酸の酢酸エチル溶液を、酢酸エチル(300mL)中の(S)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン(56.7g、0.385mol)の溶液に加えた。混合物を3〜4時間22〜25℃で攪拌し、次いで濾過し、固体を酢酸エチル(200mL)で洗浄した。生成物を20〜30℃で4時間真空乾燥することにより、95対5のジアステレオマー比で標記化合物(99.02g、36%収率)を得た。
【0176】
上記手順で製造した塩(89.0g)、酢酸エチル、および2−プロパノールの混合物を完全に溶解するまで70〜75℃に温めた。混合物を2時間にわたって−5〜−10℃に冷却し、3〜4時間攪拌した。混合物を濾過し、生成物を35〜40℃で乾燥することにより、標記化合物(73.7g、83%収率、>99.5%ee)を得た。
【0177】
実施例4:(R)−1−フェニルエタナミニウム(1S,3aR,6aS)−2−(t−ブトキシカルボニル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボキシレート(9b)
【化59】

酢酸エチル(100mL)中のラセミ体N−t−ブチルオキシカルボニル−3−アザビシクロ[3.3.0]オクタン−2−カルボン酸(4.66g)の溶液に、(R)−α−メチルベンジルアミン(56.7g)を加え、溶液を22〜25℃で16時間攪拌した。混合物を濾過し、固体を酢酸エチルですすいだ。固体を20〜30℃で4時間真空乾燥することにより、1.47gの生成物を得た(43%、82%ee、92:8のエキソ:エンドジアステレオマー比)。
【0178】
実施例5:(1S,3aR,6aS)−t−ブチル・オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酸、t−ブチルエステル、オキサレート
【化60】

方法1
実施例3、方法1で製造した(S)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアンモニウム塩(81.7g、0.203mol)、t−ブチルメチルエーテル(400mL)および5%NaHSO−HO(867mL、0.304mol)の混合物を、固体が溶解するまで30分間攪拌した。有機相を水(334mL)で洗浄し、次いで259mLに濃縮した。t−ブチルメチルエーテル(334mL)を添加し、溶液を再び259mLに濃縮した。添加−濃縮工程をさらに2回反復した。最終濃縮後、t−BuOH(158mL)およびジメチルアミノピリジン(5.04g、41.3mmol)を加えた。t−ブチルメチルエーテル(52.0mL)中のBocO(67.6g、0.31mol)の溶液を加えた。周囲温度で5時間攪拌後、t−ブチルメチルエーテル(158mL)および5%NaHSO−HO水溶液(260mL)を加え、生成した混合物を攪拌した。有機相を5%NaCl水溶液(2回、各々260mL)で洗浄した。有機相を320mLに濃縮し、テトラヒドロフラン(320mL)を加えた。有機相を再び320mLに濃縮し、テトラヒドロフラン(320mL)を加えた。もう1回320mLに濃縮後、メタンスルホン酸(80.1g、0.62mol)を加え、溶液を周囲温度で4.5時間攪拌した。反応混合物をKCOの30%水溶液(571mL)に加え、攪拌した。水相を酢酸イソプロピル(320mL)で抽出した。有機相を合わせ、320mLに濃縮し、酢酸イソプロピル(320mL)を加えた。有機溶液を再び320mLに濃縮した。有機相を水(320mL)で洗浄した。酢酸イソプロピル(320mL)を有機相に加え、溶液を192mLに濃縮した。酢酸イソプロピル(320mL)を再度加え、有機溶液を192mLに濃縮した。酢酸イソプロピル(448mL)中のシュウ酸(24.1g、267mmol)の溶液を、2時間にわたって有機溶液に加えた。混合物を2〜4時間攪拌し、スラリーを濾過した。白色固体を酢酸イソプロピル(100mL)ですすぎ、35〜40℃で真空乾燥することにより、52.6gの標記化合物を得た(85%収率)。
【0179】
方法2
実施例3、方法2の方法により製造した(S)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアンモニウム塩(148g、0.609mol)、t−ブチルメチルエーテル(726mL)および5%NaHSO−HO(1.58L、0.913mol)の混合物を、固体が全て溶解するまで30分間攪拌した。相を分離し、有機相を水(726mL)で洗浄した。有機相を約400mLに濃縮した。t−ブチルメチルエーテル(726mL)を加え、混合物を590mLに濃縮した。t−ブチルメチルエーテルの添加および濃縮を反復することにより、最終容量は350mLとなった。ジメチルアミノピリジン(8.42g、68.9mmol)およびt−ブチルアルコール(260mL)を加え、次いで0.5時間にわたってMTBE(88mL)中のBocO(112g、0.52mol)の溶液を加えた。混合物を22〜25℃で5時間攪拌した。水中5%の重亜硫酸ナトリウムの溶液を加え、混合物を0.5時間攪拌した。有機相を5%塩化ナトリウム(2回、各々440mL)により洗浄し、270mLに濃縮した。テトラヒドロフラン(540mL)を加え、混合物を270mLに濃縮した。この手順をさらに2回反復することにより、最終容量は270mLとなった。30℃未満の温度を維持しながら、メタンスルホン酸(67mL)を0.5時間にわたって加え、混合物を12時間22〜25℃で攪拌した。22〜25℃の温度を維持しながら、混合物を炭酸カリウムの30%水溶液(478mL)に加えた。混合物を濾過し、相を分離し、水相を酢酸イソプロピル(2回、各々540mL)で抽出した。有機相を270mLに濃縮し、次いで2回酢酸イソプロピル(540mL)と共に蒸発させることにより、最終容量540mLとした。有機相を水(2回、540mL)洗浄し、次いで2回酢酸イソプロピル(320mL)と共に蒸発させることにより、最終容量320mLとした。追加の酢酸イソプロピル(429mL)を加え、次いで22〜25℃の温度を維持しながら2時間にわたってt−ブチルメチルエーテル(321mL)中のシュウ酸(40.4g、0.448mol)の溶液を加えた。混合物を22〜25℃で3時間攪拌し、次いで濾過した。濾過ケークを酢酸イソプロピル(100mL)で洗浄し、生成物を35〜40℃で真空乾燥することにより、白色固体として標記化合物を得た(88.4g、81%)。
【0180】
実施例6:(1S,3aR,6aS)−t−ブチル・2−((S)−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3,3−ジメチルブタノイル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボキシレート(27)
【化61】

方法1
オーバーヘッドスターラー、冷却器、熱電対、および窒素引入れ口を備えた3−L三口丸底フラスコに、数分間窒素でパージした。別のフラスコで、硫酸(46.2mL、0.867mol)を442mLの水により希釈した。溶液を僅かに放冷した。Cbz−L−tert−ロイシンジシクロヘキシルアミン塩(330.0g、0.739mol)を反応フラスコに充填した。t−ブチルメチルエーテル(1620mL)を反応器に加え、混合物を攪拌して塩を懸濁した。20±5℃の温度を保ちながら、上記要領で製造した酸溶液を、約10分間にわたって反応器に加えた。混合物を室温で約1時間攪拌し、次いで水(455mL)によりゆっくりと希釈した。攪拌を止め、層を放置した。下部(水)相を抜くことにより、pH1の無色溶液1100mLを得た。フラスコに残る有機相に、追加の水(200mL)を注入した。混合物を室温で約1時間攪拌した。攪拌を停止し、層を放置した。下部(水)相を抜くことにより、pH2の無色溶液500mLを得た。有機相を約35℃に加熱し、DMF(300mL)で希釈し、蒸留が著しく緩慢になる時点まで減圧下濃縮すると、約500mLの濃縮物が残った。濃縮物を洗浄せずに1−LのSchott 瓶に移した。濃縮物である澄明な無色溶液を秤量すると511.6gであった。溶液定量分析および溶液重量に基づくと、溶液は187.2g(0.706mol)のCbz−L−tert−ロイシンを含有していた。
【0181】
オーバーヘッドスターラー、熱電対、滴下漏斗および窒素引入れ口を備え付けた5−Lの4口丸底フラスコに、HOBT・HO(103.73g、0.678mol、1.20モル当量)、EDC・HCl(129.48g、0.675mol、1.20モル当量)およびDMF(480mL)を注入した。スラリーを0〜5℃に冷却した。温度を0〜5℃に保ちながら、DMF(491.3g、0.745mol、1.32モル当量)中のCbz−L−tert−ロイシンの酸の36.6wt%溶液を、47分間にわたって反応混合物に加えた。反応混合物を1時間27分攪拌した。反応温度を0〜5.1℃に保ちながら、酢酸イソプロピル中の3−アザビシクロ(3.3.0)オクタン−2−カルボン酸t−ブチルエステルの溶液(28.8wt%、414.3g、0.564mol)を、53分間にわたって加えた。反応混合物を約1時間にわたって20±5℃に温めた。4−メチルモルホリン(34.29g、0.339mol、0.60モル当量)を5分間かけて加えた。反応混合物を16時間攪拌し、次いで酢酸イソプロピル(980mL)を反応溶液に加えた。水(53.02g)中のヒスタミン・2HCl(41.58g、0.226mol、0.40モル当量)の溶液を4分以内に反応混合物に加え、次いで4−メチルモルホリン(45.69g、0.45mol、0.80モル当量)を加えた。反応混合物について3.5時間後に試料採取した。水(758mL)を加え、混合物を約20分間攪拌し、次いで11分間放置した。相を分離した。水相を酢酸イソプロピル(716mL)で抽出し、有機相を合わせた。37wt%塩酸(128.3mL)を水(1435mL)に加えることにより、1NのHCl水溶液を調製した。有機相を約20分間1N塩酸で洗浄した。KCO(171g、1.23mol、2.19モル当量)を水(1540mL)に溶かすことにより、10wt%KCO水溶液を調製した。有機相を約20分間10wt%のKCO水溶液で洗浄した。最終的な澄明な僅かに黄色を帯びた有機溶液、重量1862.1gについて試料採取し、溶液検定法にかけた。溶液検定法および溶液の重量に基づくと、溶液は238.3g(0.520mol)の標記化合物の生成物を含有していた。
1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz): δ 7.37 ppm (5 H, s), 7.25-7.33 ppm (1 H, m), 5.03 ppm (2 H, s), 4.17 ppm (1 H, d), 3.98 ppm (1 H, d), 3.67-3.75 ppm (2 H, m), 2.62-2.74 ppm (1 H, m), 2.48-2.56 ppm (1 H, m), 1.72-1.89 ppm (2 H, m), 1.60-1.69 ppm (1 H, m), 1.45-1.58 ppm (2 H, m), 1.38 ppm (9 H, s), 1.36-1.42 ppm (1 H, m), 0.97 ppm (9 H, s)
【0182】
方法2
約20℃の温度を維持しながら、水(220mL)中の炭酸カリウム(73.3g)の溶液を、酢酸イソプロピル(400mL)中の(1S,2S,5R)3−アザビシクロ[3.3.0]オクタン−2−カルボン酸t−ブチルエステル、オキサレート(80.0g)の懸濁液に加えた。混合物を0.5時間攪拌し、相を分離し、有機相を25%w/w炭酸カリウム水溶液(80mL)で洗浄することにより、遊離塩基の溶液を得た。別のフラスコで、約20℃の温度を維持しながら、硫酸水溶液(400mL、0.863M)を、t−ブチルメチルエーテル(640mL)中のCbz−t−ロイシンジシクロヘキシルアミン塩(118.4g)の懸濁液に加えた。混合物を0.5時間攪拌し、相を分離し、有機相を水(200mL)で洗浄した。相を分離し、N−メチルモルホリン(80mL)を有機相に加え、これを減圧下40℃で80mLに濃縮することにより、N−メチルモルホリン中の溶液として遊離酸を得た。この溶液を0〜10℃でN−メチルモルホリン(280mL)中のEDC・HCl(50.8g)HOBt水和物(40.6g)の混合物に加えた。混合物を約5℃で1時間攪拌した。上記による3−アザビシクロ[3.3.0]オクタン−2−カルボン酸t−ブチルエステルの溶液、次いでN−メチルモルホリン(32mL)を0〜20℃で加えた。混合物を6時間攪拌し、次いで酢酸イソプロピル(600mL)、次いで1NのHCl(400mL)により希釈した。0.5時間攪拌後、相を分離し、有機相を25%w/w炭酸カリウム水溶液(400mL)および水(80mL)で洗浄した。混合物を約1時間攪拌し、相を分離することにより、酢酸イソプロピル中の標記化合物の溶液を得た。
【0183】
方法3
(1S,2S,5R)3−アザビシクロ[3.3.0]オクタン−2−カルボン酸t−ブチルエステル、オキサレート(1.0当量)を、酢酸イソプロピル(6容量)に懸濁し、水(3.5容量)中の炭酸カリウム(3.0当量)の溶液を20〜25℃で加えた。混合物を3時間攪拌し、次いで相を分離した。有機相を水(2容量)で洗浄した。
【0184】
Cbz−t−ロイシンジシクロヘキシルアミン塩(1.05当量)を、酢酸イソプロピル(6容量)に懸濁し、水(5容量)中の硫酸(1.3当量)を20〜25℃で加えた。混合物を30分間攪拌し、相を分離し、有機相を水で2回(各々2.5容量)洗浄した。
【0185】
上記による2溶液を合わせ、次いで0〜5℃に冷却した。HOBt水和物(1.1当量)およびEDC(1.1当量)を、混合物に懸濁し、混合物を6時間攪拌した。混合物を水(5容量)で洗浄し、生成した有機相を、20〜25℃でL−リシン(1当量)およびN−メチルモルホリン(NMM)(2当量)で処理することにより、過剰の活性化エステルを破壊した。次いで混合物を5%炭酸カリウム(5容量)、1N塩酸(5容量)、5%炭酸カリウム(5容量)および2回水(各々5容量)で洗浄することにより、酢酸イソプロピル中の標記化合物の溶液を得た。
【0186】
実施例7:(1S,3aR,6aS)−t−ブチル・2−((S)−2−アミノ−3,3−ジメチルブタノイル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボキシレート(28)
【化62】

方法1
1LのBuchi 水素添加装置に3回窒素をパージした。酢酸イソプロピル(39.39g、0.086mol)中の(1S,3aR,6aS)−t−ブチル・2−((S)−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3,3−ジメチルブタノイル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボキシレート(実施例6、方法1の方法により製造)の12.8wt%溶液307.8g分量を反応器に充填した。酢酸イソプロピル(100mL)を反応器に加えた。酢酸イソプロピル(168mL)中の50%水および湿性20%Pd(OH)/炭素(3.97g)のスラリーを調製し、反応器に充填し、攪拌を開始した。反応器を窒素ガスにより30psigに加圧し、大気圧に排気した。これを2回反復した。反応器を水素により30psigに加圧し、大気圧に排気した。これを2回反復した。反応器を水素により30psigに加圧し、周囲温度で1時間攪拌した。Buchner 漏斗を用いて Whatman #1濾紙により混合物を濾過し、触媒を除いた。濾過ケークを酢酸イソプロピル(80mL)で洗浄した。出発Cbz化合物の12.8wt%溶液617gおよび290.6gを用いてこの手順をさらに2回反復した。3回の水素添加から得られた物質を合わせ、減圧下(28”Hg)で蒸留した。生成した溶液(468.68g)を標記化合物について分析した(23.2%、98.9%純度)。
1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz): δ 3.96 ppm (1 H, d), 3.67 ppm (1 H, dd), 3.53 ppm (1 H, dd), 3.19 ppm (1 H, s), 2.66-2.75 ppm (1 H, m), 2.49-2.53 ppm (1 H, m), 1.75-1.92 ppm (2 H, m), 1.66-1.74 ppm (1 H, m), 1.48-1.60 ppm (4 H, m), 1.38 ppm (9 H, s), 1.36-1.42 ppm (1 H, m), 0.91 ppm (9 H, s)
【0187】
方法2
実施例6、方法2からのCbz誘導体27の溶液を、水素添加装置中の20%Pd(OH)/水(50%、12.2g)に加えた。装置を水素により30psiに加圧し、次いで約20℃で2時間攪拌した。混合物を濾過することにより、触媒を除去し、濾過ケークを酢酸イソプロピル(160mL)で洗浄した。濾液を合わせ、約4容量のヘプタンと40℃で2〜3回蒸発させることにより、酢酸イソプロピルを除去した。生成したスラリーを0℃に冷却し、濾過し、生成物を真空乾燥することにより、標記化合物を得た(78.8g、98.3%純度)。
【0188】
方法3
実施例6、方法3からの酢酸イソプロピル中の(1S,3aR,6aS)−t−ブチル・2−((S)−2−アミノ−3,3−ジメチルブタノイル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボキシレートの溶液を、20%Pd(OH)(2wt%ローディング、50%湿度)に加え、混合物を2barおよび20〜25℃で2時間水素添加した。触媒を濾過により除去し、酢酸イソプロピル(2容量)で洗浄した。濾液を減圧下40℃で10容量に濃縮することにより、酢酸イソプロピル中の標記化合物の溶液を得た。
【0189】
実施例8:(1S,3aR,6aS)−t−ブチル・2−((S)−2−((S)−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−2−(シクロヘキシルアセトアミド)−3,3−ジメチルブタノイル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボキシレート(30)
【化63】

方法1
オーバーヘッドスターラー、熱電対、滴下漏斗、窒素引入れ口および氷/水浴を備え付けた3Lの三口丸底フラスコに、HOBT・HO(51.74g、0.338mol、1.05モル当量)、EDC・HCl(64.8g、0.338mol、1.05モル当量)、次いでDMF(197.1g、208.8mL)を充填し、攪拌を開始した。スラリーを0〜5℃に冷却し、次いでDMF(172.4g;182.9mL)中の酸29(98.45g、0.338mol、1.05モル当量)の溶液を調製し、滴下漏斗に充填した。0〜5℃の温度を維持しながら、これを約30分間にわたってバッチに滴下した。滴下が完了すると、反応混合物を0〜5℃で2時間攪拌した。酢酸イソプロピル中のアミン28の溶液(450g溶液;104.4gの酸29含有、0.322mol)を滴下漏斗に注入し、0〜5℃の温度を維持しながら1時間にわたって滴下した。試料分析結果が不完全な反応を示したので、追加のEDC塩酸塩(3.89g)を加えた。3時間後、試料分析結果は、1.8%アミン28の残存を示した。HOBT・HO(2.59g、0.0169mol)およびEDC・HCl(3.24g、0.0169mol)のスラリーをDMF(10.44mL)中で調製し、0〜5℃に冷却した。DMF(10.44mL)中の酸29(4.92g;0.169mol)の溶液を調製し、反応温度を0〜5℃に維持しながら、30分間にわたってDMF中のEDC・HClおよびHOBTのスラリーに加えた。混合物を0〜5℃で1時間攪拌し、次いで0〜5℃を維持しながらもとの混合物に加えた。混合物を14時間約25℃で攪拌した。水(8.9mL)中のヒスタミン・2HCl(11.84g;0.064mol)の溶液を調製し、5〜10分間にわたって反応混合物に加えた。バッチ温度を20±5℃に維持しながら、4−メチルモルホリン(13.01g;0.129mol)の投入量を約10分間かけてバッチに加えた。反応混合物を酢酸イソプロピル(443mL)、次いで水(585mL)により希釈した。水(585mL)中の炭酸カリウム(57.8g)の溶液を加え、混合物を0.5時間攪拌した。層を分離し、水層を酢酸イソプロピル(2回、各々235mL)で2回抽出した。有機相を合わせ、18%HCl水溶液(585mL)、次いで水(585mL)中のNaHCO(43.25g)で洗浄した。層を分離することにより、酢酸イソプロピル中16.0w/w%の30を含有する酢酸イソプロピル中の生成物30の明黄色溶液、重量1159.3g(1275mL)を得た。
1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz): δ 7.74 (1H, d), 7.36 (5H, m), 7.34-7.26 (1H, m), 5.01 (2H, s), 4.51 (1H, d), 4.02 (1H, t), 3.96 (1H, d), 3.73 (1H, m), 3.66 (1H, m), 3.68 (1H, m), 2.53 (1H, m), 1.86-1.76 (2H, m), 1.70-1.30 (10H, m), 1.39 (9H, s), 1.15-0.85 (5H, m), 0.96 (9H, s)。
【0190】
方法2
約0℃の温度を維持しながら、N−メチルピロリドン(126mL)中のCbz酸29(59.62g)の溶液を、N−メチルピロリドン(221mL)中のEDC.HCL(39.23g)HOBt水和物(31.34g)の懸濁液に加えた。加えた後、混合物を約0℃で1.5時間攪拌した。約0℃の温度を維持しながら、酢酸イソプロピル(632mL)中のアミン28(63.24g、実施例7、方法2で製造)の溶液を、混合物に加えた。加えた後、混合物をそのまま室温に温め、5時間攪拌した。約20℃の温度を維持しながら、水(316mL)中の炭酸カリウム(20.17g)の溶液を加えた。混合物を0.5時間激しく攪拌した。相を分離し、有機相を水(316mL)中の炭酸カリウム(105.3g)と激しく攪拌した。有機相を分離し、1NのHCl(316mL)、次いで水(158mL)で洗浄し、酢酸イソプロピル中の標記化合物30の12.7%w/w溶液を得た。
【0191】
方法3
酢酸イソプロピル(10容量)中の(1S,3aR,6aS)−t−ブチル・2−((S)−2−アミノ−3,3−ジメチルブタノイル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボキシレート(1当量)の溶液に、NMP(5容量)、次いでEDC(1.15当量)、HOBT水和物(1.0当量)および(S)−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−2−シクロヘキシル酢酸(29、1.05当量)を加え、懸濁液を20〜25℃で4時間攪拌した。混合物を5%炭酸カリウム(5容量)で洗浄した。グリシン(1当量)、NMM(2当量)および水(1容量)の混合物を加え、混合物を4時間攪拌した。次いで、混合物を5%炭酸カリウム(5容量)、1N塩酸(5容量)、5%炭酸カリウム(5容量)および2回水(各々5容量)で洗浄することにより、酢酸イソプロピル中の標記化合物の溶液を得た。
【0192】
実施例9:(1S,3aR,6aS)−tert−ブチル・2−((S)−2−((S)−2−アミノ−2−シクロヘキシルアセトアミド)−3,3−ジメチルブタノイル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボキシレート(31)
【化64】

方法1
60ガロン Hasteloy 水素添加反応器に、酢酸イソプロピル(109kg)中のCbzペプチド30(15.1kg)の溶液を充填した。この溶液を真空下50℃で68Lに濃縮した。次いで、混合物を25±5℃に冷却し、MeOH(15.4kg)を加えた。この混合物を容器へ流し入れ、反応器を乾燥した。乾燥した反応器に、Pd(OH)/C(20%、1.51kg)を充填した。Cbzペプチド30を含有する溶液を反応器に加え、水素(30psi)で覆った。反応物を20±5℃および150〜220rpmで2時間攪拌した。完了後、酢酸イソプロピル(6.8kg)中の活性炭(0.97kg)のスラリーをバッチに加え、混合物を15分間攪拌した。混合物を、Sparkler フィルターを介し、0.1μmカートリッジフィルターを通して Celite(登録商標)(2.0kg)で濾過した。反応器を酢酸イソプロピル(33.0kg)ですすぎ、すすぎ液を反応混合物と合わせた。系をさらに酢酸イソプロピル(25.6kg)およびMeOH(5.73kg)の混合物ですすいだ。有機物を合わせ、真空下65℃で30Lに濃縮した。溶液を20〜30℃に冷却し、ヘプタンを加えた(30.8kg)。蒸留を再び始め、混合物を30Lに濃縮した。この手順を、合計4回のヘプタン添加(上記)および溶媒濃縮(上記)について反復した。混合物を0〜5℃に冷却し、生成物を濾過し、ヘプタン(12.6kg)で洗浄した。湿った固体(14.0kg)を15〜20℃で恒量になるまで真空乾燥することにより、標記化合物(10.17kg)を得た。
1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz): δ 7.97 (1H, d), 4.49 (1H, d), 3.96 (1H, d), 3.76 (1H, m), 3.67 (1H, m), 3.05 (1H, d), 2.70 (1H, m), 2.53 (1H, m), 1.87-1.77 (2H, m), 1.7-1.3 (10H, m), 1.39 (9H, s), 1.2-0.85 (5H, m), 0.96 (9H, s)。
【0193】
方法2
実施例8、方法1からの化合物30の溶液を、加圧反応器中の50%湿性20wt%Pd(OH)・炭素(3.16g)に加えた。反応器を水素により30psiで加圧し、混合物を約1時間攪拌した。触媒を濾過し、フィルターを酢酸イソプロピルで洗浄し、有機物を合わせ、蒸留して約65mLにした。分析結果が<0.5%酢酸イソプロピルを示すまで、混合物をヘプタン(316mL)と数回蒸発させた。生成したスラリーを約320mLに希釈し、次いで還流温度に温めた。溶液をゆっくりと約5℃に冷却し、懸濁液を1時間攪拌し、次いで濾過した。濾過ケークを約65mLのヘプタンで洗浄し、生成物を30℃で真空乾燥することにより、白色固体として標記化合物(80.16g)を得た。
【0194】
方法3
実施例9、方法3からの酢酸イソプロピル中の(1S,3aR,6aS)−t−ブチル・2−((S)−2−((S)−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−2−(シクロヘキシルアセトアミド)−3,3−ジメチルブタノイル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボキシレートの溶液を、20%Pd(OH)(2wt%ローディング、50%水分)に加え、混合物を2barおよび20〜25℃で2時間水素添加した。触媒を濾過により除去し、酢酸イソプロピル(1容量)で洗浄した。溶媒を還流温度で蒸留により2回ヘプタン(8.6容量)と交換した。混合物を1時間かけて78℃に、次いで2時間かけて22℃に冷却した。22℃で1時間後、懸濁液を濾過し、ケークをヘプタン(3.2容量)で洗浄し、生成物を窒素パージにより30℃で真空乾燥することにより、標記化合物を得た。
【0195】
実施例10:(1S,3aR,6aS)−t−ブチル・2−((S)−2−((S)−2−シクロヘキシル−2−(ピラジン−2−カルボキサミド)アセトアミド)−3,3−ジメチルブタノイル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボキシレート(33)
【化65】

方法1
100mLの丸底フラスコに、ピラジン−2−カルボン酸32(1.6070g、12.95mmol)およびDMF(4mL)を加えた。スラリーを20〜25℃で攪拌した。その間、25mLフラスコ中でCDI(2.1012g、12.96mmol、1モル当量)およびDMF(8.80g、9.3mL)を合わせることにより、CDIの溶液を調製した。緩やかに加熱(30℃)して溶解を促した。CDI溶液を20〜25℃に冷却し、ピラジン−2−カルボン酸のスラリーに加えた。攪拌を1.5時間続行すると、二酸化炭素が副産物として発生されるため酸の完全な活性化が確認された。その間、物質の溶解を促すため緩やかに30℃に加熱しながら、アミン31(5.0002g、10.78mmol)をDMF(14.15g、15mL)に溶解した。この溶液を20〜25℃に冷却した。活性化ピラジン溶液もまた約15℃に冷却した。約1時間温度を30℃に維持しながら、化合物31の溶液を活性化ピラジンカルボン酸に加えた。溶液を20〜25℃に放冷し、次いで0℃で水(100mL)中の炭酸カリウム(0.25g)の溶液に加えた。混合物を濾過し、水で洗浄した(4回、各々50mL)。濾過ケークを20〜25℃から始めて真空乾燥し、24時間後ケークが恒量になるまで30℃に温めることにより、標記化合物(5.99g)を得た。
1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz): δ 9.19 ppm (1 H, d, J =1.3 Hz), 8.90 ppm (1 H, d, J = 2.5 Hz), 8.76 ppm (1 H, dd, J = 2.4 Hz, 1.5 Hz), 8.50 ppm (1 H, d, J = 9.2 Hz), 8.22 ppm (1 H, d, J = 9.0 Hz), 4.68 ppm (1 H, dd, J = 9.1 Hz, 6.6 Hz), 4.53 ppm (1 H, d, J = 9.0 Hz), 3.96 ppm (1 H, d, J = 4.2 Hz), 3.73 ppm (1 H, dd, J = 10.5 Hz, 7.5 Hz), 3.68 ppm (1 H, dd, J = 10.6 ppm, 3.4 ppm), 2.68-2.74 ppm (1 H, m), 2.52-2.58 ppm (1 H, m), 1.70-1.88 ppm (3 H, m), 1.51-1.69 ppm (7 H, m), 1.31-1.44 ppm (2 H, m), 1.39 ppm (9 H, s), 1.00-1.19 ppm (4 H, m), 0.97 ppm (9 H, s), 0.91-0.97 ppm (1 H, m)
【0196】
方法2
オキサリルクロリド(11.29mL)を、約30℃で塩化メチレン(150mL)中のピラジン−2−カルボン酸32およびN−メチルモルホリン(59.28mL)の溶液に加えた。混合物を0.5時間攪拌し、次いで塩化メチレン(150mL)中のアミン31(50.0g)の溶液を約30℃で加えた。0.5時間後、混合物を水(250mL)で洗浄した。水相を塩化メチレン(100mL)で抽出することにより、塩化メチレン中の標記化合物の溶液を得、次の工程(実施例11、方法2)で直接使用した。
【0197】
実施例11:(1S)−2−((S)−2−((S)−2−シクロヘキシル−2−(ピラジン−2−カルボキサミド)アセトアミド)−3,3−ジメチルブタノイル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酸(34)
【化66】

方法1
濃HCl(150g、0.015mol、1.2モル当量)を、0℃で蟻酸(100.0g)中のピラジニルペプチド33(50.0g)の攪拌溶液にゆっくりと加えた。3.3時間後、反応混合物を166.5gの氷水で希釈した。塩化メチレン(100mL)を加え、反応物を10分間攪拌することにより、生成物を溶解させた。相を分離し、水層を塩化メチレン(100mL)で抽出した。有機相を合わせ、水(75mL)で洗浄し、次いで50℃、1atmで約1/3容量になるまで濃縮した。トルエン(100mL)を室温で加え、均一溶液を真空下で約1/3容量になるまで≦56℃で濃縮した。混合物を20〜25℃に冷却すると、沈殿が形成された。ヘプタン(75mL)をゆっくりと加え、スラリーを10〜15分間攪拌した。スラリーを濾過し、濾過ケークをヘプタン(50mL)で洗浄した。固体を20〜25℃で真空乾燥することにより、標記化合物(15.19g)を得た。
【0198】
方法2
実施例10、方法2からの出発化合物33の塩化メチレン溶液を0〜5℃に冷却し、次いで温度を10℃未満に維持しながら、濃HCl(200mL)を加えた。混合物を3時間攪拌し、次いで温度を10℃未満に維持しながら水(200mL)で希釈した。相を分離し、水相を塩化メチレン(100mL)で抽出した。有機相を合わせ、水(100mL)で洗浄し、水性洗浄相を塩化メチレンで抽出した。有機抽出物を合わせ、逆ディーン−スターク・トラップ下で共沸混合物の水に還流させた。混合物を蒸留により最小限の容量に濃縮し、次いでトルエン(500mL)で希釈し、次いで大気圧で蒸留により250mLに濃縮した。混合物を約6時間かけて20℃にゆっくりと冷却した。生成したスラリーを濾過し、濾過ケークをトルエン(100mL)で洗浄し、次いで真空オーブン中約45℃で乾燥することにより、約17%トルエンを含有する淡黄色粉末として標記化合物(64.7g)を得た。
【0199】
実施例12:(1S,3aR,6aS)−2−((S)−2−((S)−2−シクロヘキシル−2−(ピラジン−2−カルボキサミド)アセトアミド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((3S)−1−(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソヘキサン−3−イル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボキサミド(35)
【化67】

方法1
オーバーヘッドスターラー、冷却器、熱電対、および窒素引入れ口を備え付けた500mLの三口丸底フラスコに数分間窒素でパージした。ペプチド−酸34(25.0g、0.049mol)、EDC-HCl(10.35g、0.054mol、1.1モル当量)、およびHOBt−HO(8.27g、0.054mol、1.1モル当量)、次いで175mLの塩化メチレンをフラスコに充填した。混合物を室温で1時間攪拌し、次いで温度を10℃未満に維持しながら、20分間にわたって塩化メチレン(75mL)中のヒドロキシアミド−アミン18(11.1g、0.054mol、1.1モル当量)の懸濁液に加えた。完全に加え終えたとき、N−メチルモルホリン(5.94mL、0.054mol、1.1モル当量)を2回分量で加えた。混合物をそのまま室温に温め、3時間攪拌した。水200mL中のNaHCO(8.0g)の添加により、反応をクエンチングした。相を分離し、有機層を水(175mL)、0.5NのHCl水溶液(200mL)、水(3回、各々200mL)および飽和NaCl(200mL)で洗浄することにより、100A%純度の標記化合物35の16重量%塩化メチレン溶液を得た(モル収率100%)。
【0200】
方法2
N−メチルモルホリン(38.19mL、347.3mmol)を、30分間にわたって温度を0〜5℃に維持しながら、塩化メチレン中のペプチド−酸34(100.0g、89.2wt%、173.7mmol)、HOBt水和物(26.79g、87.6wt%、173.7mmol)、EDCI(36.62g、191.04mmol)およびヒドロキシアミド−アミン18の混合物に加えた。加えた後、混合物を20℃に温め、5時間攪拌した。次いで、混合物を水(500mL)で希釈し、約0.5時間攪拌した。相を分離し、有機相を1NのHCl(500mL)、5wt%重炭酸ナトリウム水溶液(500mL)で洗浄することにより、塩化メチレン中の標記化合物の溶液を得た、98.5%AUC純度、95%溶液収率。
【0201】
方法3
ペプチド酸34(1.00当量)、EDCI(1.10当量)、HOBt水和物(1.00当量)、およびヒドロキシアミン18・HCl(1.05当量)を、CHCl(5容量)に懸濁し、混合物を0〜5℃に冷却した。反応温度を5℃未満に維持しながら、NMM(2.0当量)を30〜60分間にわたって加えた。反応混合物を30分間にわたって20〜25℃に温め、さらに5時間攪拌した。反応物を水(5容量)、1NのHCl(5容量)、および5wt%のNaHCO水溶液(5容量)で洗浄することにより、CHCl中の標記化合物の溶液を得た。
【0202】
実施例13:(1S,3aR,6aS)−2−((S)−2−((S)−2−シクロヘキシル−2−(ピラジン−2−カルボキサミド)アセトアミド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボキサミド(4)
【化68】

方法1
オーバーヘッドスターラー、冷却器、熱電対および窒素引入れ口を備え付けた500mLの三口丸底フラスコを数分間窒素でパージした。塩化メチレン中のヒドロキシアミドペプチドアミド35(128.64g、16〜17wt%、20.6gおよび30mmolの35)の塩化メチレン溶液を、反応フラスコに加え、次いで15%w/wNaBr水溶液(13mL)および7.5%w/wNaHCO水溶液(52mL)を加えた。溶液を氷浴中で5±3℃に冷却した。塩化メチレン(3mL)に溶かしたTEMPO(0.7g)を、反応混合物に加えた。別々のエルレンマイヤーフラスコで、10〜13%NaOCl溶液(23.25mL、力価=108mg/mL、2.51g、33.7mmol、1.12モル当量)を水(70mL)で希釈した。滴下漏斗を介して温度を8℃未満に維持する速度でNaOCl溶液を反応混合物に注入した。反応混合物を1時間5±3℃で攪拌し続けた。層を分離し、有機層を10%(w/w)NaSO水溶液(100mL)でクエンチングし、水(100mL)で洗浄した。有機相を減圧で濃縮乾固し、固体を酢酸エチル(100mL)で磨砕し、Buchner 漏斗で濾過した。固体をA%分析にかけた(>99A%)。分離した湿ったケークを秤量すると16.6gであり、モル収率は80%(湿性)であった。使用−試験目的に必要とは思われないので湿ったケークについては乾燥しなかった。
【0203】
方法2
TEMPO(1.09g、6.95mmol)を、実施例12、方法2からの35の塩化メチレン溶液に加え、次いで水(400mL)中の重炭酸ナトリウム(21.89g、260.5mmol)の溶液を加え、混合物を0〜5℃に冷却した。0〜5℃の温度を維持しながら、次亜塩素酸ナトリウム(122.17g、11.64wt%、191.04mmol)の溶液を2時間にわたって加えた。混合物を1時間0〜5℃で攪拌し、次いで相を分離した。有機相を、水(500mL)、1wt%重亜硫酸ナトリウム水溶液および水(500mL)で洗浄し、次いで研磨(polish)濾過した。混合物を38〜42℃、710mmHgで約320mLの容量になるまで蒸留した。酢酸エチル(44mL)を加え、それに続いて4の種晶1.5gを加え、混合物を38〜42℃で15分間攪拌した。38〜42℃の温度を維持しながら、酢酸エチル(800mL)を3時間にわたって加えた。次いで、混合物を38〜42℃、200〜250mmHgで約400mLの容量となるまで蒸留した。追加の酢酸エチル(200mL)を0.5時間にわたって加えた。生成したスラリーを1時間にわたって20〜25℃に冷却し、さらに1時間同温度で攪拌した。混合物を濾過し、濾過ケークを酢酸エチル(2回、各々300mL)で洗浄し、45〜55℃で窒素抽気により真空乾燥し、ヒドロキシアミドペプチドアミド35から白色固体(102.4g、99.7%AUC純度、85%収率)として標記化合物4を得た。
【0204】
方法3
TEMPO(0.06当量)を、実施例12、方法3からの35のCHCl溶液に加え、TEMPOが全て溶解するまで溶液を20〜25℃で攪拌した。この溶液に、水(4容量)中のNaHCO(1.5当量)の溶液を加えた。生成した2相混合物を0〜5℃に冷却した。反応温度を0〜5℃に維持しながら、10〜13wt%NaOCl溶液(1.10当量)を2〜3時間にわたって加え、混合物をさらに1時間攪拌した。層を分離し、有機層を0〜5℃でHO(5容量)、1wt%NaSO(5容量)およびHO(5容量)により洗浄した。CHCl中の化合物4の溶液に氷酢酸(0.12当量)を加えることにより、化合物4を安定させた。
【0205】
実施例14:式4で示される化合物の再結晶化
実施例13、方法3からの化合物4の溶液を、セライトで濾過し、濾液を20℃より低温で真空蒸留により3.1〜3.3容量に濃縮した。蒸留後、溶液を38〜42℃にした後、EtOAc(0.80容量)を加え、次いで化合物4種晶(34に対して1.5wt%、実施例12)を加えた。生成した混合物を38〜42℃で15分間攪拌した。38〜42℃の温度を維持しながら、EtOAc(8容量)を3時間にわたってこの混合物に加えた。次いで、スラリーの総容量を、38〜42℃で真空蒸留により3.9〜4.1容量に濃縮した。バッチ温度を38〜42℃に維持しながら、この混合物に、30分間にわたってEtOAc(2容量)を加えた。次いで、生成したスラリーを1時間にわたって20〜25℃に冷却し、さらに1時間20〜25℃で攪拌した。スラリーを濾過した。濾過ケークをEtOAc(2回、各々3容量)で洗浄し、45〜55℃で6時間窒素抽気により真空乾燥した。
【0206】
乾燥した濾過ケークに、2.2〜2.4容量のCHClを加えて合計3.1〜3.3容量とした。混合物を38〜42℃にすることにより、均一溶液を得た。EtOAc(0.80容量)を加え、次いで化合物4種晶(34に対して1.5wt%、実施例12)を加えた。生成した混合物を15分間38〜42℃で攪拌した。38〜42℃の温度を維持しながら、EtOAc(8容量)を3時間にわたってこの混合物に加えた。次いで、スラリーの総容量を、38〜42℃での真空蒸留により3.9〜4.1容量に濃縮した。バッチ温度を38〜42℃に維持しながら、EtOAc(2容量)を30分間にわたってこの混合物に加えた。次いで、生成したスラリーを1時間かけて20〜25℃に冷却し、20〜25℃でさらに1時間攪拌した。スラリーを濾過し、濾過ケークをEtOAc(2回、各々3容量)で洗浄し、45〜55℃で12時間、窒素流で真空乾燥することにより、精製化合物4を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式3
【化1】

[式中、
は、RW−、P−、P−L−P−、またはP−L−P−L−P−であり、
−は、
【化2】

であり、
−L−P−は、
【化3】

であり、
−L−P−L−P−は、
【化4】

であり、
Wは、結合、−CO−、−O−CO−、−NR−、−NR−CO−、−O−または−S−であり、
Tは、−C(O)−、−O−C(O)−、−NHC(O)−、−C(O)C(O)−、または−SO−であり、
Rは、H、所望により置換されていてもよい脂肪族、所望により置換されていてもよい脂環式、所望により置換されていてもよいヘテロ環式脂肪族(heterocycloaliphatic)、所望により置換されていてもよいアリール、または所望により置換されていてもよいヘテロアリールであり、
は、H、脂肪族、脂環式、ヘテロ環式脂肪族、アリール、またはヘテロアリールであり、H以外は、各々所望により、J群から各々独立して選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよく、J群は、ハロ、脂環式、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アシル、ニトロ、シアノ、アミド、アミノ、スルホニル、スルフィニル、スルファニル、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソ、カルボキシ、カルバモイル、脂環式オキシ、ヘテロ環式脂肪族オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリールアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、およびヒドロキシを含み、
は、所望により置換されていてもよい脂肪族、所望により置換されていてもよいヘテロアルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいフェニルであるか、またはRおよびRは、それらが結合している原子と一緒になって、5〜7員の、所望により置換されていてもよい単環式複素環、または6〜12員の、所望により置換されていてもよい二環式複素環を形成し得、各複素環の環は、所望により−O−、−S−、または−NR−から選択される追加のヘテロ原子を含んでいてもよく、
およびR'は各々、独立してH、所望により置換されていてもよい脂肪族、所望により置換されていてもよいヘテロアルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、または所望により置換されていてもよいフェニルであるか、またはRおよびR'は、それらが結合している原子と一緒になって、3〜7員脂環式またはヘテロ環式脂肪族環を形成し得るか、または
およびRは、それらが結合している原子と一緒になって、5〜7員の、所望により置換されていてもよい単環式複素環、5〜7員の、所望により置換されていてもよい単環式アリール、6〜12員の、所望により置換されていてもよい二環式複素環、または6〜12員の、所望により置換されていてもよい二環式アリールを形成し得、各複素環またはアリール環は、所望により−O−、−S−、または−NR−から選択される追加のヘテロ原子を含んでいてもよく、
およびRが、それらが結合している原子と一緒になって環を形成するとき、RおよびRおよびRにより形成される環系は、8〜14員の所望により置換されていてもよい二環式縮合環系を形成し得、二環式縮合環系は、さらに所望により置換されていてもよいフェニルと縮合することにより、所望により置換されていてもよい10〜16員三環式縮合環系を形成し得、
は、Hまたは保護基であり、
は、H、脂肪族、脂環式、(脂環式)脂肪族、アリール、芳香脂肪族、ヘテロ環式脂肪族、(ヘテロ環式脂肪族)脂肪族、ヘテロアリール、カルボキシ、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、(脂肪族)カルボニル、(脂環式)カルボニル、((脂環式)脂肪族)カルボニル、アリールカルボニル、(芳香脂肪族)カルボニル、(ヘテロ環式脂肪族)カルボニル、((ヘテロ環式脂肪族)脂肪族)カルボニル、(ヘテロアリール)カルボニル、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニルであり、
は、−(NH−CR'R'−C(O)−C(O))−NHRまたは−(NH−CR'R'−CH(OH)−C(O))−NHRであり、
は、H、所望により置換されていてもよい脂肪族、所望により置換されていてもよい脂環式、所望により置換されていてもよいヘテロ環式脂肪族、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキルまたは所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルであり、
'およびR'は各々、独立してH、所望により置換されていてもよい脂肪族、所望により置換されていてもよい脂環式、所望により置換されていてもよいヘテロ環式脂肪族、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアラルキル、または所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルであるか、またはR'およびR'は、それらが結合している原子と一緒になって、3〜7員の所望により置換されていてもよい脂環式環を形成し得る]
で示される化合物の製造方法であって、
式6
【化5】

(式中、R'は、C1−5アルキルである)
で示されるアザビシクロオクタンのカルボキシル化工程により、式7
【化6】

で示されるシス−およびトランス−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酸のラセミ混合物を製造することを含む、方法。
【請求項2】
が、C1−6アルキル、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルキル−C1−12アルキル、C6−10アリール、C6−10アリール−C1−6アルキル、C3−10ヘテロシクリル、C6−10ヘテロシクリル−C1−6アルキル、C5−10ヘテロアリール、またはC5−10ヘテロアリール−C1−6アルキルであり、それらは各々、所望によりJ群から各々独立して選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよく、Rにおける3個以下の脂肪族炭素原子が、化学的に安定した配置でO、NH、S、SOまたはSOから選択されるヘテロ原子または基により独立して置換され得る、請求項1記載の方法。
【請求項3】
が、
【化7】

である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
'がHであり、
が、C1−6アルキル、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルキル−C1−12アルキル、C6−10アリール、C6−10アリール−C1−6アルキル、C3−10ヘテロシクリル、C6−10ヘテロシクリル−C1−6アルキル、C5−10ヘテロアリール、またはC5−10ヘテロアリール−C1−6アルキルであり、
が、所望によりJ群から各々独立して選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよく、Rにおける3個以下の脂肪族炭素原子が、化学的に安定した配置でO、NH、S、SOまたはSOから選択されるヘテロ原子により置換され得る、請求項1記載の方法。
【請求項5】
が、
【化8】

である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
およびR'が、それらが結合している原子と一緒になって、
【化9】

を形成する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
Rが、C6−10アリール、C6−10アリール−C1−12脂肪族、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルケニル、C3−10シクロアルキル−C1−12脂肪族、C3−10シクロアルケニル−C1−12脂肪族、C3−10ヘテロシクリル、C3−10ヘテロシクリル−C1−12脂肪族、C5−10ヘテロアリール、またはC5−10ヘテロアリール−C1−12脂肪族であり、それらは各々、所望により、J群から各々独立して選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよい、請求項1記載の方法。
【請求項8】
Rが、
【化10】

である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
Rが、
【化11】

である、請求項7記載の方法。
【請求項10】
Rが、
【化12】

であり、
10が、H、C1−12脂肪族、C6−10アリール、C6−10アリール−C1−12脂肪族、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルケニル、C3−10シクロアルキル−C1−12脂肪族、C3−10シクロアルケニル−C1−12脂肪族、C3−10ヘテロシクリル、C3−10ヘテロシクリル−C1−12脂肪族、C5−10ヘテロアリール、またはC5−10ヘテロアリール−C1−12脂肪族である、請求項7記載の方法。
【請求項11】
Rが、
【化13】

である、請求項7記載の方法。
【請求項12】
Rが、
【化14】

である、請求項7記載の方法。
【請求項13】
Rが、
【化15】

である、請求項7記載の方法。
【請求項14】
カルボキシル化工程が、錯化剤の存在下における、式6
【化16】

で示される化合物の2−アニオンの形成、および二酸化炭素による2−アニオンの処理により、式7
【化17】

で示されるトランス−/シス−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酸のラセミ混合物を製造することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
錯化剤および非プロトン溶媒の存在下、式6の化合物を強リチウム塩基で処理することにより、2−アニオンを製造する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
塩基がsec−ブチルリチウムである、請求項15記載の方法。
【請求項17】
錯化剤が、テトラメチルエチレンジアミン、テトラエチルエチレンジアミン、テトラメチル−1,2−シクロヘキシルジアミン、スパルテイン、または3,7−ジプロピル−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナンである、請求項16記載の方法。
【請求項18】
錯化剤が、テトラメチルエチレンジアミン、テトラエチルエチレンジアミン、テトラメチル−1,2−シクロヘキシルジアミン、または3,7−ジプロピル−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナンである、請求項14記載の方法。
【請求項19】
トランス−/シス−比が1対1である、請求項14記載の方法。
【請求項20】
トランス−/シス−比が60対40である、請求項14記載の方法。
【請求項21】
トランス−/シス−比が80対20である、請求項14記載の方法。
【請求項22】
トランス−/シス−比が90対10である、請求項14記載の方法。
【請求項23】
トランス−/シス−比が98対2より大である、請求項14記載の方法。
【請求項24】
錯化剤がD−スパルテインである、請求項14記載の方法。
【請求項25】
さらに、適当な塩基の存在下で、式7
【化18】

で示される化合物のトランス−/シス−混合物を平衡化させることにより、式8
【化19】

で示される主トランス−シスラセミ酸(ただし、トランス−/シス−比は80対20より大である)を製造する、請求項1記載の方法。
【請求項26】
さらに、適当な塩基の存在下、式7で示される化合物のトランス−/シス−混合物を平衡化させることにより、式8で示される主トランス−シスラセミ酸(ただし、トランス−/シス−比は90対10より大である)を製造する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項27】
さらに、適当な塩基の存在下、式7で示される化合物のトランス−/シス−混合物を平衡化させることにより、式8で示される主トランス−シスラセミ酸(ただし、トランス−/シス−比は98対2より大である)を製造する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項28】
塩基が、リチウムヘキサメチルジシラジド、リチウムジイソプロピルアミド、またはリチウム・2,2,6,6−テトラメチルピペリジドである、請求項27記載の方法。
【請求項29】
塩基が、リチウムヘキサメチルジシラジドである、請求項28記載の方法。
【請求項30】
リチウム塩基がsec−ブチルリチウムであり、錯化剤が3,7−ジプロピル−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナンであることにより、式7で示されるラセミトランス−/シス−N−アルコキシカルボニル−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酸の混合物が生成され、トランス−/シス−比が90対10より大である、請求項15記載の方法。
【請求項31】
トランス−N−アルコキシカルボニル−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酸が、トランス−N−t−ブトキシカルボニルオクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酸である、請求項30記載の方法。
【請求項32】
さらに、ラセミトランス−N−アルコキシカルボニル−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酸を分割することにより、(1S,2S,3R)トランス−N−アルコキシカルボニル−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酸を製造する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項33】
分割が、
i)光学活性塩基との塩を形成し、
ii)工程i)により形成された塩を結晶化することにより、式9
【化20】

で示される光学活性塩を得る
工程を含む、請求項32記載の方法。
【請求項34】
光学活性塩基が(R)α−アミノエチルベンゼンである、請求項33記載の方法。
【請求項35】
光学活性塩基が、(S)1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミンである、請求項33記載の方法。
【請求項36】
さらに、
i)R基を含む化合物により式9で示されるカルボン酸をエステル化し、
ii)−COOR'保護基を除去することにより、式1
【化21】

(式中、Rは、所望により置換されていてもよいアルキルまたはアラルキルである)
で示される化合物を製造する
工程を含む、請求項33記載の方法。
【請求項37】
Rがt−ブチルである、請求項36記載の方法。
【請求項38】
さらに、式1で示されるアミノ−エステルを、カップリング試薬の存在下、RCOOHと反応させることにより、式1a
【化22】

で示される化合物を製造する工程を含む、請求項36記載の方法。
【請求項39】
式1で示されるアミノエステルとRCOOH間の反応が、さらにヒスタミン、グリシンまたはリシンの存在下で実施される、請求項38記載の方法。
【請求項40】
がP−である、請求項38記載の方法。
【請求項41】
がP−L−P−である、請求項38記載の方法。
【請求項42】
がP−L−P−L−P−である、請求項38記載の方法。
【請求項43】
がRW−である、請求項38記載の方法。
【請求項44】
さらに、
iii)式1aで示される化合物のエステルを加水分解し、
iv)工程iii)のカルボン酸を、カップリング試薬の存在下、R基(ここで、Rは、−(NH−CR'R'−CH(OH)C(O))−NHRである)を含む化合物と反応させることにより、式3の化合物を製造する
工程を含む、請求項38記載の方法。
【請求項45】
が、H、所望により置換されていてもよい脂肪族、所望により置換されていてもよい脂環式、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、または所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルであり、
'が、H、所望により置換されていてもよい脂肪族、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、または所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルであり、
'が、H、所望により置換されていてもよい脂肪族、所望により置換されていてもよい脂環式、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、または所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルであるか、または
'およびR'が、それらが結合している原子と一緒になって、3〜7員の所望により置換されていてもよい脂環式の環を形成している、
請求項44記載の方法。
【請求項46】
が、
【化23】

である、請求項44記載の方法。
【請求項47】
式4
【化24】

で示される化合物の製造方法であって、
i)N−アルコキシカルボニル−3−アザビシクロ[3.3.0]オクタンを準備し、
ii)キレート剤の存在下でN−アルコキシカルボニル−3−アザビシクロ[3.3.0]オクタンの2−アニオンを形成させ、
iii)工程ii)のアニオンを二酸化炭素で処理することにより、N−アルコキシカルボニル−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酸のシス−/トランス−混合物を製造し、
iv)工程iii)の混合物を強塩基で処理することにより、本質的に純粋なトランス−N−アルコキシカルボニル−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酸を製造し、
v)光学活性アミンにより塩を形成させ、
vi)塩を結晶化し、
vii)工程vi)で得られた酸をエステル化し、
viii)N−アルコキシカルボニル基を除去することにより、(1S,3aR,6aS)−t−ブチル−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酸t−ブチルエステルを製造し、
ix)工程viii)の二環式アミノエステルを、カップリング試薬の存在下、式26
【化25】

(式中、Zはアミン保護基である)
で示される保護アミノ酸と反応させることにより、式27
【化26】

で示されるアミド−エステルを製造し、
x)工程ix)のアミド−エステルから保護基Zを除去することにより、式28
【化27】

で示されるアミノ化合物を製造し、
xi)式28で示されるアミノ化合物を、カップリング試薬の存在下、式29
【化28】

で示される保護アミノ酸と反応させることにより、式30
【化29】

で示されるトリペプチドを製造し、
xii)式30で示されるトリペプチドにおける保護基Zを除去することにより、式31
【化30】

で示される遊離アミノ−トリペプチドを製造し、
xiii)式31で示されるアミノ−トリペプチドを、カップリング試薬の存在下、ピラジン−2−カルボン酸と反応させることにより、式33
【化31】

で示されるアミド−トリペプチドエステルを製造し、
xiv)式33で示されるアミド−トリペプチドエステルのエステルを加水分解することにより、式34
【化32】

で示されるアミド−トリペプチド酸を製造し、
xv)式34で示されるアミド−トリペプチド酸を、カップリング試薬の存在下、式18
【化33】

で示されるアミノヒドロキシ−アミドと反応させることにより、式35
【化34】

で示されるヒドロキシ−テトラペプチドを製造し、
xvi)式35のヒドロキシ基を酸化することにより、式4
【化35】

で示される化合物を製造する
工程を含む方法。
【請求項48】
工程xvi)で使用される酸化試薬が次亜塩素酸(hyopochlorite)ナトリウムであり、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシ遊離基(TEMPO)の存在下で酸化を行う、請求項47記載の方法。
【請求項49】
工程xvi)で使用される酸化試薬が1,1−ジヒドロ−1,1,1−トリアセトキシ−1,2−ベンゾヨードオキソール−3(1H)−オンである、請求項47記載の方法。
【請求項50】
さらに、式4の化合物を有機溶媒に溶かして、式4の化合物の溶液を得、次いで溶液に酸を加える工程を含む、請求項47記載の方法。
【請求項51】
有機溶媒が塩化メチレンであり、酸が酢酸である、請求項50記載の方法。
【請求項52】
さらに、式4で示される化合物の溶液を濃縮する工程を含むことにより、化合物を固体形態で得る、請求項50記載の方法。
【請求項53】
xvii)式4
【化36】

の化合物を有機溶媒に溶かして式4の化合物の溶液を得、
xviii)式4の化合物の溶液に酸を加え、
xix)式4の化合物の溶液を濃縮することにより、化合物を固体形態で得る
工程を含む、式4で示される化合物の精製方法。
【請求項54】
有機溶媒が塩化メチレンであり、酸が酢酸である、請求項53記載の方法。
【請求項55】
式1a
【化37】

[式中、
がP−であり、
−が、
【化38】

であり、
は、H、脂肪族、脂環式、ヘテロ環式脂肪族、アリール、またはヘテロアリールであり、H以外は、各々所望により、ハロ、脂環式、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アシル、ニトロ、シアノ、アミド、アミノ、スルホニル、スルフィニル、スルファニル、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソ、カルボキシ、カルバモイル、脂環式オキシ、ヘテロ環式脂肪族オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリールアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、およびヒドロキシから成るJ群から各々独立して選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよく、
は、所望により置換されていてもよい脂肪族、所望により置換されていてもよいヘテロアルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいフェニルであるか、またはRおよびRは、それらが結合している原子と一緒になって、5〜7員の、所望により置換されていてもよい単環式複素環、または6〜12員の、所望により置換されていても二環式複素環を形成し得、各複素環の環は、所望により−O−、−S−、または−NR−から選択される追加のヘテロ原子を含んでいてもよく、
は、H、脂肪族、脂環式、(脂環式)脂肪族、アリール、芳香脂肪族、ヘテロ環式脂肪族、(ヘテロ環式脂肪族)脂肪族、ヘテロアリール、カルボキシ、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、(脂肪族)カルボニル、(脂環式)カルボニル、((脂環式)脂肪族)カルボニル、アリールカルボニル、(芳香脂肪族)カルボニル、(ヘテロ環式脂肪族)カルボニル、((ヘテロ環式脂肪族)脂肪族)カルボニル、(ヘテロアリール)カルボニル、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニルであり、
は、Hまたは保護基であり、
は、所望により置換されていてもよいアルキルである]
で示される化合物。
【請求項56】
がt−ブチルである、請求項55記載の化合物。
【請求項57】
−が
【化39】

である、請求項56記載の化合物。
【請求項58】
−が、
【化40】

である、請求項56記載の化合物。
【請求項59】
式1a
【化41】

[式中、
は、P−L−P−であり、
−L−P−は、
【化42】

であり、
は、H、脂肪族、脂環式、ヘテロ環式脂肪族、アリール、またはヘテロアリールであり、H以外は、各々所望により、ハロ、脂環式、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アシル、ニトロ、シアノ、アミド、アミノ、スルホニル、スルフィニル、スルファニル、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソ、カルボキシ、カルバモイル、脂環式オキシ、ヘテロ環式脂肪族オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリールアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、およびヒドロキシから成るJ群から各々独立して選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよく、
は、所望により置換されていてもよい脂肪族、所望により置換されていてもよいヘテロアルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいフェニルであるか、またはRおよびRは、それらが結合している原子と一緒になって、5〜7員の、所望により置換されていてもよい単環式複素環、または6〜12員の、所望により置換されていてもよい二環式複素環を形成し得、各複素環の環は、所望により−O−、−S−、または−NR−から選択される追加のヘテロ原子を含んでいてもよく、
は、H、所望により置換されていてもよい脂肪族、所望により置換されていてもよいヘテロアルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、または所望により置換されていてもよいフェニルであるか、または
およびRは、それらが結合している原子と一緒になって、5〜7員の、所望により置換されていてもよい単環式複素環、5〜7員の、所望により置換されていてもよい単環式アリール、6〜12員の、所望により置換されていてもよい二環式複素環、または6〜12員の、所望により置換されていてもよい二環式アリールを形成し得、各複素環またはアリール環は、所望により−O−、−S−、または−NR−から選択される追加のヘテロ原子を含んでいてもよく、
およびRが、それらが結合している原子と一緒になって環を形成するとき、RおよびRおよびRにより形成される環系は、8〜14員の所望により置換されていてもよい二環式縮合環系を形成し得、二環式縮合環系は、さらに所望により置換されていてもよいフェニルと縮合することにより、所望により置換されていてもよい10〜16員三環式縮合環系を形成し得、
は、H、脂肪族、脂環式、(脂環式)脂肪族、アリール、芳香脂肪族、ヘテロ環式脂肪族、(ヘテロ環式脂肪族)脂肪族、ヘテロアリール、カルボキシ、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、(脂肪族)カルボニル、(脂環式)カルボニル、((脂環式)脂肪族)カルボニル、アリールカルボニル、(芳香脂肪族)カルボニル、(ヘテロ環式脂肪族)カルボニル、((ヘテロ環式脂肪族)脂肪族)カルボニル、(ヘテロアリール)カルボニル、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニルであり、
は、Hまたは保護基であり、
は、所望により置換されていてもよいアルキルである]
で示される化合物。
【請求項60】
がt−ブチルである、請求項59記載の化合物。
【請求項61】
−L−P−が、
【化43】

である、請求項59記載の化合物。
【請求項62】
−L−P−が、
【化44】

である、請求項59記載の化合物。
【請求項63】
3,7−ジピロピル−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナンである化合物。
【請求項64】
3,7−ジピロピル−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン−9−オンである化合物。

【公表番号】特表2009−504780(P2009−504780A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527189(P2008−527189)
【出願日】平成18年8月18日(2006.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/032481
【国際公開番号】WO2007/022459
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】