説明

製造物の誘電特性、特に、湿度及び/又は密度を計測するための測定装置及び測定方法

この出願は、製造物(12;312)、特に、たばこ、綿又はその他の繊維製品の誘電特性、特に、湿度及び/又は密度を計測するための測定装置(10)であって、測定用コンデンサ(11;311)と、測定装置(10)の測定空間(46)内に配置された製造物(12;312)により影響を受ける、測定用コンデンサ(11;311)内の高周波電磁界を生成する機器(13)と、製造物(12;312)により影響を受けた高周波電磁界の好適な測定変数を計測するように構成された、測定用コンデンサ(11;311)を備えた回路機器(28)とを有する測定装置に関し、回路機器(28)は、高周波電磁界の測定に使用される周波数では基本的に共振しない形に構成されるとともに、測定が、測定用コンデンサ(11;311)内に拡がる定常的な高周波にもとづき、回路機器(28)が、製造物(12;312)により影響を受けた高周波の振幅及び位相に依存する互いに独立した二つの測定変数を計測するように構成されていることを特徴とする。更に、この出願は、そのような装置に対応した測定方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、請求項1の上位概念にもとづく製造物、特に、たばこ、綿又はその他の繊維製品の誘電特性、特に、湿度及び/又は密度を計測するための測定装置に関する。更に、この発明は、そのような装置に対応した測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1により、材料の誘電特性を計測するために、マイクロ波測定装置を使用することが周知である。高い測定精度と高い使用周波数が必要なために、回路技術的な負担が大きい。
【0003】
高周波共振回路の周波数計測部分として測定用コンデンサとコイルを接続した、より低い周波数の高周波帯域でたばこの湿度又は質量を計測するための容量式測定装置が周知である(特許文献2〜6)。測定変数として、例えば、製造物により影響を受ける高周波電磁界の共鳴周波数と共鳴振幅を計測している。コンデンサとコイルの温度依存性は、測定精度に影響を与える。例えば、特許文献7により周知のような特に温度に対して安定した特殊なコンデンサとコイルは、負担がかかり高価である。更に、使用する測定用共鳴周波数を生成するためには、大きな容量と大きなインダクタンスを用いる必要が有り、そのことは、製造コストの上昇と測定用コンデンサ及びコイルの構造を大きくしてしまう。
【0004】
相異なる二つの周波数の高周波を測定用コンデンサに供給して、製造物により影響を受ける二つの周波数成分の振幅を測定変数として計測する、材料の湿度又は質量を計測するための容量式高周波測定装置も周知である。相異なる二つの周波数の高周波を生成することは、負担の上昇に繋がる。
【特許文献1】欧州特許公開第0902277号明細書
【特許文献2】米国特許公開第3979581号明細書
【特許文献3】ドイツ特許公開第2500299号明細書
【特許文献4】ドイツ特許公開第2441832号明細書
【特許文献5】ドイツ特許第3743216号明細書
【特許文献6】ドイツ特許公開第3825111号明細書
【特許文献7】ドイツ特許第3743216号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の課題は、測定精度が高く、温度による影響に対する安定性を改善した構造的に簡単でコンパクトな高周波測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、この発明にもとづき請求項1と29の特徴により解決される。定常的な高周波及び基本的に共振しない、即ち、測定用コンデンサが測定用共振回路の周波数計測部分ではない回路機器を使用することによって、温度の影響に対して敏感な共振回路用コイルを使用する必要性が無いようにすることができる。「基本的に」とは、測定原理が本質的に進行波に依存するという限りにおいて、共鳴する電磁界成分を排除しないということを意味する。測定用共振回路に関する共振条件を守る必要が無いので、測定用コンデンサの容量は、従来技術と比べて小さく、有利には、10pF未満とすることができ、そのことは、負担と構造サイズを低減するものである。特に、湿度を計測する場合の密度の補正及び/又は密度を計測する場合の湿度の補正を可能とするために、二つの独立した測定変数を測定するものと規定する。この場合、この発明では、高周波の振幅と位相に依存する二つの測定変数を計測する。従って、基本的には、一つの高周波を生成するだけで十分であり、そのことは、相異なる複数の周波数の高周波を使用することにもとづくような装置と比べて負担が軽減されることとなる。
【0007】
「高周波」という用語は、基本的にマイクロ波帯の範囲内において100MHz未満の周波数の電磁界を意味するものとする。一般的に、10kHzを上回る、有利には、100kHzを上回る周波数である。周波数が低くなる程、より狭い測定帯域だけで十分に精確な測定が可能となるので、周波数を少なくとも1MHzとするのが更に有利であり、特に、たばこに関しては、少なくとも5MHzとするのが更に有利である。
【0008】
測定変数を計測する役割を果たす、回路機器の部分は、通常測定用コンデンサを備えた本来の測定回路の後に接続される。この測定回路は、通常製造物により影響を受けた高周波に関して一つの出力を有する一方、測定変数計測回路は、通常計測した測定変数に関して二つの出力を有する。測定回路と測定変数計測回路を一つのユニットとして構成することも可能である。測定変数計測回路は、製造物の誘電特性を計測するための本来の評価機器の前に接続される。測定変数計測回路と評価機器を一つのユニットとして構成することも可能である。
【0009】
有利な実施構成では、測定変数を計測する役割を果たす、回路機器の部分は、デジタル電子機器で実現される。そのことにより、所望の測定変数、例えば、測定回路の出力電圧値の容量成分と損失成分を計測するために簡単な方法を使用することが可能となる。特に簡単な、従って有利な方法は、正弦波成分と余弦波成分の直交性にもとづくものであり、高周波電磁界の共振周期毎にn個の数の離散的な測定値、例えば、電圧値を測定し、n個の測定値を相応の正弦値及び余弦値と個別に乗算して、これらの正弦値の積と余弦値の積を個別に合算することを有する。得られた合計は、測定変数であるか、或いは測定変数を算出するために更に処理することができる。
【0010】
測定回路の特に簡単な構成、即ち、回路機器の測定用コンデンサを備えた部分は、有利には、演算増幅器を備えたRC回路である。それは、有利には、RC微分回路であるが、例えば、RC積分回路を使用することもできる。
【0011】
有利な実施構成では、測定精度に対する温度変動の影響を出来る限り小さくするために、センサーの一部は、温度による膨張率が小さい材料から構成される。同じ目的のために、センサーは、測定用コンデンサの温度を一定に保持するために追加機器を備えることができる。測定信号を相応に補正することができるように、測定用コンデンサの温度を測定するための機器、例えば、温度プローブを追加することも考えられる。
【0012】
有利には、コンデンサは、製造物の移送方向に対してほぼ垂直に配置される。即ち、平行板コンデンサの場合、コンデンサ極板は、移送方向に対して垂直に配置される。そのことにより、電極を互いに短い間隔で、例えば、製造物の棒状体の厚さ以内で配置することが可能となる。そうすることによって、長手方向における製造物のプロフィルを測定する際の分解能の改善を実現することができる。
【0013】
製造物の出来る限り完全で均一な検出を可能とするために、センサーは、製造物が測定用コンデンサの電極の間で形成される空間を通って通過して行くように構成される。即ち、有利には、漏洩磁束センサーではない。
【0014】
別の有利な実施構成は、例えば、たばこ又はトウの束、綿のフリース、多くの並んだ製造物の棒状体などの比較的幅の広い製造物の測定に関する。この場合、センサーは、製造物の幅に渡って配置された多数の測定用コンデンサを有する。このような配置により、簡単な手法で製造物の幅に渡って製造物のプロフィルを測定することが可能となる。測定用コンデンサ間の干渉を最小化するために、高周波を供給される電極は、同じ電位に保持される、例えば、単純に短絡される。同じ目的のために、有利には、他方の電極も、それぞれ反転式演算増幅器を用いて、実質的に同じ電位に保持される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
その他の有利な特徴は、従属請求項及び以下の添付図面と関連した有利な実施例の記述から明らかとなる。
【0016】
図1〜6による容量式測定装置は、入力配線14を介して回路機器28に供給される高周波を生成するための高周波発生器13を有する。回路機器28は、測定用コンデンサ11を有し、それを通して、この例では棒状の測定すべき製造物12を移送している。高周波発生器13により生成された高周波は、測定用コンデンサ11の一方の電極15に送られて、そこで、製造物12と相互作用を起こす高周波電磁界が生成される。測定用コンデンサ11の他方の電極16から送出されて、測定用コンデンサ11内の製造物12により影響を受けた高周波が、回路機器28を用いて処理され、製造物12により影響を受けた高周波の振幅と位相に依存する互いに独立した二つの測定変数が計測される。それらは、有利には、測定用コンデンサ11の容量と損率に依存する二つの測定変数である。これらの測定変数に対応する測定信号は、評価機器21、例えば、相応にプログラミングされたコンピュータに送られ、そのコンピュータを用いて、計測した測定変数から、製造物12の所望の誘電特性、例えば、湿度及び/又は密度が計算される。この場合、互いに独立した二つの測定変数の評価にもとづき、例えば、製造物の湿度と独立した製造物の密度及び/又は製造物の密度と独立した製造物の湿度を検出することが可能である。この評価のために、予め校正手法で計測して、評価機器21内に保存した校正曲線を用いることができる。
【0017】
図1による実施構成は、ほぼアナログ式の測定装置に関する。高周波発生器13は、高周波を生成するための高調波発振器22を有する。入力振幅の変動による影響を受けない測定を可能とするために、生成した高周波の電圧振幅Ue は、有利には、制御機器23〜26を用いて一定に保持される。この目的のために、高調波発振器22により生成された高周波は、制御可能な増幅器23に供給される。増幅器23の出力信号は、整流器24に供給され、その出力信号は、低域通過フィルター25を介してコントローラ26に転送される。コントローラ26は、高調波振動の振幅Ue が増幅器23の出力で一定の値となるように、増幅器23を制御する。
【0018】
測定回路27は、回路機器28の測定用コンデンサ11と直接接続された部分である。この場合、測定用コンデンサ11を通過する製造物12によって高周波の振幅と位相の十分な変動が生成されるように構成された測定回路であれば如何なるものでも適している。測定回路27の二つの有利な実施構成が図2と3に図示されており、その場合測定用コンデンサ11、抵抗29及び反転式演算増幅器30が、図2では微分器による構成として、或いは図3では積分器による構成として接続されている。この発明の目的に適うこととして、演算増幅器30の反転されない入力は接地される。図3による積分器構成では、場合によっては、出力信号が限界に達するのを防止するために、追加の抵抗31が配備される。送出された高周波に対応する測定回路27の出力信号は、製造物12との相互作用のために、入力振幅Ue と比べて変化した電圧振幅Ue と入力信号と比べてδの位相シフトを有する。
【0019】
製造物12により影響を受けた高周波は、測定回路27の出力配線17を介して測定変数計測機器18に送られる。測定変数計測機器18は、変更された高周波信号から好適な測定変数を計測する。そのために、図1による実施構成では、測定回路27の出力信号は、整流器32に供給されて、低域通過フィルター33で平滑化される。そのようにして得られた信号は、出力振幅Ua に比例する。更に、測定変数計測機器18には、高周波発生器13により生成された入力信号が配線34を介して供給される。この発明の目的に適うこととして、出力信号の位相シフトを計測するために入力信号の位相情報を使用することができるように、生成された高周波に依存する信号は、通常測定用コンデンサ11に対する測定配線に追加して配備された配線34,234を介して回路機器28に送られる。この例では、測定用コンデンサ11の入力信号は配線34を介して、測定用コンデンサ11又は測定回路27の出力信号は配線35を介して、乗算増幅器36に送られ、そこで、互いに乗算されて、低域通過フィルター37を用いて平滑化される。そのようにして得られた信号は、出力振幅Ua ×位相シフトδの正弦(又は余弦)に比例する。測定変数計測機器18を用いて計測した測定変数は、所定の手法で誘電率の実数部と虚数部、或いは製造物12の湿度と密度に関連するものである。相応に評価するために、計測された測定信号は、出力配線19,20を介して評価機器21に送られ、そこで、例えば、そこに保存されたコンピュータプログラムを用いた評価が行われる。
【0020】
高周波センサー38の有利な実施構成が、図4に図示されている。センサー38は、縦軸Lの周りに対してほぼ回転対称形に構成されている。製造物の棒状体12、例えば、たばこの棒状体は、センサー38の中央の縦方向の孔39を通して、縦方向Lと一致する移送方向Tに運ばれる。センサーは、縦方向Lに対して垂直な方向を向く回転対称で円板形状の二つの本体部40,41を有し、これらの本体部は、外側のリング形状の非導電性境界部44を用いて、互いに間隔を開けられるとともに、それぞれ中心に製造物の棒状体用の貫通孔39を有する。本体部40,41の縦方向Lに対して垂直な方向を向いた内面上には、それぞれ、例えば、金メッキによる金属コーティングなどの表面が金属製の形の測定用コンデンサ11の電極15,16が取り付けられている。従って、測定用コンデンサ11は、円板形状で、縦方向Lに対して垂直な方向を向き、中央に製造物の棒状体12用の貫通孔を有する平板形状の電極15,16を備えた平行板コンデンサとして実現されている。この構成では、電気力線は、運搬方向とほぼ平行に延びている。本体部40,41の間には、境界部44により半径方向に対して外向きに閉鎖され、電磁界で満たされる空間45が形成されている。高周波電磁界は、中央の製造物の空間46内に拡がって、そこで製造物12と相互作用する。高周波電磁界がセンサーの周辺部に流出するのを防止するために、平板15,16の半径は、本体部40,41よりも小さい。縦方向Lにおける測定分解能を改善するとともに、縦方向における製造物のプロフィルの精確な測定を可能とするために、平行板コンデンサ11の平板15,16は、互いに小さい間隔dで配置することができる。間隔dは、特に、製造物の棒状体12の直径よりも小さく、例えば、8mm以内、有利には、4mm以内とすることができる。更に、電極15,16と外部電気端子との導電接続部42,43が配備されている。本体部40,41は、それぞれ軸方向に対して外向きに延びる、製造物の棒状体を取り囲むパイプ形状の突出部47,48を有する。これらの突出部47,48は、内壁側の金属製表面又はコーティング49を有し、それは、この発明の目的に適うこととして、電極15,16と接続される。金属製コーティング49は、金属製の煙突を形成して、コンデンサ11の製造物が貫通する開口部から電磁界が漏れるのを防止している。更に、製造物の棒状体12を直接取り囲むとともに、それを誘導する、センサーの全長に渡って延びる、非導電性の材料から成る管50が配備されており、製造物の残骸によりセンサー内部が汚染されるのを防止している。別の実施構成では、電磁界の推移に良い影響を与えるために、電極15,16の間に形成された、電磁界で満たされる空間45は、製造物の空間を除いて部分的又は完全に誘電材料で満たすことができる。
【0021】
センサー38の構造体40,41,44は、温度による影響に対するセンサー38の向上された形状安定性を達成するために、有利には、温度による膨張率が非常に小さい非導電性材料、例えば、Zerodur(登録商標)から構成される。測定用コンデンサ11の容量特性の周囲温度への依存性が低減されたことにより、測定精度の改善を実現することができる。同じ目的のために、有利には、センサーの温度を一定に保持するための制御機器(図示されていない)が配備される。センサー38の本体部40,41を完全又は部分的に金属から構成することも考えられる。
【0022】
センサー38の別の実施構成が、図5に図示されており、そこでは互いに対応する部分が、当該の番号に100を加えた符号で表示されている。電極15,16は、紙面に対して垂直な方向を向いた運搬方向と平行に配置された平板から構成されている。この例では、電気力線は、運搬方向に対してほぼ垂直に延びている。平板15,16は、有利には、製造物の棒状体12の周りに配置されており、その目的のために、有利には、湾曲した形状で構成されている。
【0023】
測定装置10の有利な実施構成が、図6に図示されており、そこでは互いに対応する部分が、当該の番号に200を加えた符号で表示されている。図1の実施構成と比べて、この測定変数計測機器18は、特に、デジタル電子機器で実現されている。この目的のために、測定変数計測機器18は、A/D変換器66を有し、そこには、測定回路27から出力された測定信号が送られる。A/D変換器66は、高周波の周波数よりn倍(nは1より大きい自然数である)高い走査周波数でクロックを供給される。A/D変換器66用のクロック信号は、水晶発振器222を用いて、例えば、50MHzの周波数を持つ方形発振信号の形で生成され、その結果この例では、n=10である。従って、一般的に、測定装置10は、高周波の周波数よりn倍高い走査周波数を持つ走査信号を生成するための機器222を有する。走査信号は、配線70を介してA/D変換器66に送られる。
【0024】
A/D変換器66を用いて走査された測定値は、互いに独立した好適な測定変数を検出するようにプログラミングされたデジタル処理機器67に送られる。有利な測定変数検出方法では、走査された各測定値は、一方では正弦関数の相応の値と、他方では余弦関数の相応の値と乗算される。この目的のために、走査信号は、配線70を介して処理機器67に送られる。正弦値及び余弦値は、例えば、相応の表形式メモリ68,69から読み出すことができる。このようにして得られたn個の正弦値とn個の余弦値は、次に別々に高周波電磁界の周期に渡って合算され、その結果二つの合計が得られる。この目的のために、高周波入力信号は、配線234を介して処理機器67に送られ、その結果この機器は、高周波発生器13と同じ位相で動作することとなる。得られた合計から、計測された直交性の関係にもとづき、製造物12により影響を受けた測定信号の振幅と位相に依存する所望の二つの測定変数を一義的に検出することができる。相応に評価するために、計測した測定信号は、出力配線19,20を介して評価機器21に送られて、そこで、例えば、そこに保存されたコンピュータプログラムを用いた評価が行われる。
【0025】
この発明の目的に適うこととして、高周波源222により生成された信号は、同じく測定のために用いられる高周波を生成するために使用される。この目的のために、高周波源222により生成された信号は、分周器段60を用いて、この例では5MHzの測定周波数の位相の同期した方形波として1/nに逓減され、その次にPLL回路61を用いて同じ周波数の位相の同期した正弦波信号に変換される。
【0026】
増幅器223から出力された高周波の電圧振幅Ue を一定に保持するための制御機器223,62〜64,226も、デジタル電子機器で実現することができる。その場合、増幅器223の出力信号は、配線65を介して50MHzの走査信号で駆動されるA/D変換器62に供給され、それによって、周期毎に増幅器223から出力された信号のn個の走査値が生成されることとなる。A/D変換器62を用いて走査された測定値は、デジタル処理機器63に送られる。有利な方法では、走査された各電圧値は、余弦関数の相応の値と乗算される。この目的のために、走査信号は、配線65を介して処理機器63に送られる。余弦値は、例えば、相応の表形式メモリ64から読み出すことができる。次に、このようにして得られたn個の余弦値は、高周波電磁界の周期に渡って合算される。この目的のために、高周波入力信号は、配線71を介して処理機器63に送られ、その結果この機器は、高周波発生器13と同じ位相で動作することとなる。処理機器63の出力信号は、コントローラ26に転送され、このコントローラは、処理機器63の出力信号とそのため増幅器223の出力における振動の振幅Ue が一定の値となるように、増幅器223を制御する。
【0027】
図7による実施構成は、特に、幅Bが高さHよりも著しく、例えば、少なくとも3倍大きい、幅の広い帯状の製造物312、例えば、たばこの帯状体、トウの帯状体、綿のフリースなどを測定する役割を果たす。別の用途は、多くの並んだ製造物の棒状体、例えば、たばこの棒状体の測定に関する。運搬機器は、紙面に対して垂直に延びている。互いに対応する部分は、当該の番号に300を加えた符号で表示されている。この実施構成では、多くの、例えば、ここでは6個の測定用コンデンサ311A,311B,・・・ が使用されており、製造物の幅に渡って配置されている。この構成により、プロフィル、例えば、密度のプロフィルの測定が製造物の幅に渡って可能である。この発明の目的に適うこととして、測定用コンデンサ311A,311B,・・・ は、同じ高周波発生器13から供給される。有利には、測定用コンデンサ311A,311B,・・・ の全ての入力電極315には、最も簡単な手法として図7に図示されている通り電極を短絡することによって、同じ電位が印加される。そうすることによって、測定用コンデンサ311A,311B,・・・ 間の干渉が最小化される。各測定用コンデンサ311A,311B,・・・ の出力電極316A,316B,・・・ は、それぞれ測定回路80A,80B,・・・ と接続される。測定回路80A,80B,・・・ は、有利には、図8に図示されている通りに実現され、各測定用コンデンサ311A,311B,... と共に、図2に図示されている通りの微分器式測定回路27を構成する。この実施例では、それぞれ測定用コンデンサ311A,311B,... の後に接続された反転式演算増幅器330を使用することが、それによって、全ての測定用コンデンサ311A,311B,... の出力電極316A,316B,... に実質的に同じ電位、特に、接地電位を印加することとなるので有利である。そのため、測定用コンデンサ311A,311B,... 間の干渉が最小化される。この発明の目的に適うこととして、各測定回路80A,80B,... の出力は、それぞれ、例えば、図6に図示されている通り、特に、デジタル電子機器で実現することができる測定変数計測機器18A,18B,... と接続される。この発明の目的に適うこととして、測定変数計測機器18A,18B,... は、評価機器21と接続される。この測定装置に対応する測定変数及び誘電変数を計測する方法は、有利には、前述した通りに行われる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】ほぼアナログ式の測定装置の模式的な回路図
【図2】測定装置用の微分器式測定回路
【図3】測定装置用の積分器式測定回路
【図4】容量式センサーの縦断面図
【図5】別の実施構成の容量式センサーの横断面図
【図6】ほぼデジタル式の測定装置の模式的な回路図
【図7】幅の広い製造物を測定するための測定装置の模式的な回路図
【図8】図7の測定装置用の微分器式測定回路の演算増幅器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造物(12;312)、特に、たばこ、綿又はその他の繊維製品の誘電特性、特に、湿度及び/又は密度を計測するための測定装置(10)であって、測定用コンデンサ(11;311)と、測定装置(10)の測定空間(46)内に配置された製造物(12;312)により影響を受ける、測定用コンデンサ(11;311)内の高周波電磁界を生成する機器(13)と、製造物(12;312)により影響を受けた高周波電磁界の好適な測定変数を計測するように構成された、測定用コンデンサ(11;311)を備えた回路機器(28)とを有する測定装置において、
回路機器(28)は、高周波電磁界の測定に使用される周波数では基本的に共振しない形に構成されるとともに、測定が、測定用コンデンサ(11;311)内に拡がる定常的な高周波にもとづき、回路機器(28)が、製造物(12;312)により影響を受けた高周波の振幅及び位相に依存する互いに独立した二つの測定変数を計測するように構成されていることを特徴とする測定装置。
【請求項2】
当該の測定変数を計測する役割を果たす、回路機器(28)の部分が、デジタル電子機器で実現されていることを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
測定変数計測機器(18)が、当該の高周波の周波数よりn倍高い走査周波数で測定信号を走査するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
測定変数計測機器(18)が、走査したn個の測定値を相応の正弦値及び余弦値と別々に乗算して、これらの正弦値及び余弦値との積を別々に合算するためのデジタル処理機器(67)を有することを特徴とする請求項3に記載の測定装置。
【請求項5】
測定用コンデンサ(11;311)を備えたセンサー(38)が、少なくとも部分的に温度による膨張率が小さい材料から構成されていることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載の測定装置。
【請求項6】
測定用コンデンサ(11;311)を備えたセンサー(38)が、測定用コンデンサの温度を一定に保持するための機器を有することを特徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載の測定装置。
【請求項7】
測定用コンデンサ(11;311)が、製造物(12;312)の移送方向に対してほぼ垂直に配置されていることを特徴とする請求項1から6までのいずれか一つに記載の測定装置。
【請求項8】
測定用コンデンサ(11;311)を備えたセンサー(38)が、測定用コンデンサ(11;311)の電極(15,16;315,316)の間に形成された空間を通して製造物(12;312)を通過させるように構成されていることを特徴とする請求項1から7までのいずれか一つに記載の測定装置。
【請求項9】
測定用コンデンサ(11)の電極(15,16)が、それぞれ中央に製造物を貫通させるための開口部を有することを特徴とする請求項1から8までのいずれか一つに記載の測定装置。
【請求項10】
各電極(15,16)には、外向き延びる、製造物(12)を取り囲むパイプ形状の導電性の表面(49)が配備されていることを特徴とする請求項9に記載の測定装置。
【請求項11】
測定用コンデンサ(11)の電極(15,16)が、金属製のコーティングにより構成されていることを特徴とする請求項1から10までのいずれか一つに記載の測定装置。
【請求項12】
測定用コンデンサ(11)を備えたセンサー(38)が、測定用コンデンサ(11)の電磁界で満たされる空間(45)の境界を画定するための非導電性部分(44;144)を有することを特徴とする請求項1から11までのいずれか一つに記載の測定装置。
【請求項13】
測定用コンデンサ(11;311)を備えたセンサー(38)が、製造物(12)を直接取り囲む非導電性の管(50;150)を有することを特徴とする請求項1から12までのいずれか一つに記載の測定装置。
【請求項14】
測定用コンデンサ(11)の電極(15,16)の間に形成された、電磁界で満たされる空間(45)が、部分的又は完全に誘電材料で満たされていることを特徴とする請求項1から13までのいずれか一つに記載の測定装置。
【請求項15】
回路機器(28)が、測定用コンデンサ(11;311)の容量に依存する測定変数を計測するように構成されていることを特徴とする請求項1から14までのいずれか一つに記載の測定装置。
【請求項16】
回路機器(28)が、測定用コンデンサ(11;311)の損率に依存する測定変数を計測するように構成されていることを特徴とする請求項1から15までのいずれか一つに記載の測定装置。
【請求項17】
回路機器(28)が、製造物(12;312)により影響を受ける高周波の振幅に依存する測定変数を計測するように構成されていることを特徴とする請求項1から16までのいずれか一つに記載の測定装置。
【請求項18】
回路機器(28)が、製造物(12;312)により影響を受ける高周波の位相シフトに依存する測定変数を計測するように構成されていることを特徴とする請求項1から17までのいずれか一つに記載の測定装置。
【請求項19】
測定用コンデンサ(11;311)が、RC回路(11,29;311,329)、有利には、RC微分回路の一部であることを特徴とする請求項1から18までのいずれか一つに記載の測定装置。
【請求項20】
回路機器(28)が、演算増幅器(30;330)、有利には、反転式演算増幅器を備えていることを特徴とする請求項1から19までのいずれか一つに記載の測定装置。
【請求項21】
当該の高周波の周波数が、100MHz未満であることを特徴とする請求項1から20までのいずれか一つに記載の測定装置。
【請求項22】
当該の高周波の周波数が、1MHzを上回る、有利には、5MHzを上回ることを特徴とする請求項1から21までのいずれか一つに記載の測定装置。
【請求項23】
測定用コンデンサ(11;311)の容量が、10pF未満であることを特徴とする請求項1から22までのいずれか一つに記載の測定装置。
【請求項24】
高周波電磁界発生器(13)が、生成された高周波の振幅を一定に保持するための制御機器(23〜26;223,62〜64,226)を備えていることを特徴とする請求項1から23までのいずれか一つに記載の測定装置。
【請求項25】
この測定装置が、特に、製造物の横方向のプロフィルを測定するために製造物(312)の幅に渡って配置された多数の測定用コンデンサ(311A,311B,... )を備えていることを特徴とする請求項1から24までのいずれか一つに記載の測定装置。
【請求項26】
測定用コンデンサ(311A,311B,... )の高周波を供給される電極(315)が、同じ電位に保持されていることを特徴とする請求項25に記載の測定装置。
【請求項27】
他方の電極(316A,316B,... )が、それぞれ反転式演算増幅器(330)を用いて実質的に同じ電位に保持されていることを特徴とする請求項25又は26に記載の測定装置。
【請求項28】
他方の電極(316A,316B,... )が、それぞれ製造物(312)により影響を受けた高周波電磁界の好適な測定変数を計測するための回路機器(80A,80B,... )と接続されていることを特徴とする請求項25から27までのいずれか一つに記載の測定装置。
【請求項29】
測定用コンデンサを用いて、製造物、特に、たばこ、綿又はその他の繊維製品の誘電特性、特に、湿度及び/又は密度を計測するための測定方法であって、測定空間内に配置された製造物により影響を受ける高周波電磁界を測定用コンデンサ内に生成させて、製造物により影響を受けた高周波電磁界の好適な測定変数を計測する測定方法において、
測定用コンデンサ内の定常的な高周波を用いて共振しない形で測定を実行するとともに、製造物により影響を受けた高周波の振幅及び位相に依存する互いに独立した二つの測定変数を計測することを特徴とする測定方法。
【請求項30】
当該の高周波の周波数よりn倍高い走査周波数で測定信号を走査することを特徴とする請求項29に記載の測定方法。
【請求項31】
走査したn個の測定値を、それぞれ相応の正弦値及び余弦値と別々に乗算して、これらの正弦値及び余弦値との積を別々に合算することを特徴とする請求項30に記載の測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−524614(P2008−524614A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547352(P2007−547352)
【出願日】平成17年12月17日(2005.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2005/013831
【国際公開番号】WO2006/069721
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(595112018)ハウニ・マシイネンバウ・アクチエンゲゼルシヤフト (123)
【Fターム(参考)】