説明

複合作業用のフレーム構造

【課題】 車体フレームにおける構造の複雑化やコストの高騰を招くことなくモーアの装着を可能にしながら、モーアの退避状態での他物との接触をより効果的に回避できるようにする。
【解決手段】 車体フレーム5の左右両外側部に、ローダ2の装着を可能にするローダフレーム45を連結し、ローダフレーム45に、バックホー3の装着を可能にするバックホーフレーム46を、車体フレーム5から左右方向に所定間隔を隔てる状態に連結し、ローダフレーム45とバックホーフレーム46との間に、モーア4の装着を可能にするモーアフレーム48を上下揺動可能に配備し、モーアフレーム48の揺動支点48Aを、ローダフレーム45及びバックホーフレーム46におけるモーアフレーム48が介在するフレーム部45A,46Aの下縁45a,46aよりも上方の位置に設けて構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行車体に対するローダやバックホーなどの装備を可能にする複合作業用のフレーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような複合作業用のフレーム構造としては、車体フレームの左右両外側部にローダフレームを連結し、そのローダフレームに、車体フレームから左右方向に所定間隔を隔てる状態にバックホーフレームを連結して、フロントローダ及びバックホーの装着を可能にする装着部を備えるとともに、それらの装着に耐え得る強度の高いフレーム構造に構成したものに、モーアの装着が可能となるように、車体フレームの左右両外側部に、モーアフレームを、その揺動支点がモーアフレームに隣接するローダフレーム及びバックホーフレームの各フレーム部の下縁よりも下位に位置する状態に連結したものがある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−26040号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の構成によると、車体フレームに対するモーアフレームの連結位置(揺動支点位置)を、ローダフレーム及びバックホーフレームの各フレーム部よりも下位の位置に設定したことで、車体フレームにローダフレームやバックホーフレームを連結したまま、モーアフレームやモーアの後付けを行える利点を有する。
【0004】
しかしながら、その利点を得るためには、モーアフレームの取り付けを可能にするための取付孔を、モーアを装着するしないにかかわらず、基本構造の車体フレームに前もって穿設しておく必要があることから、その穿設による強度の低下を考慮して車体フレームを構成しなければならず、その分、車体フレームにおける構造の複雑化やコストの高騰を招くことになる。
【0005】
又、モーアフレームの揺動支点位置が、ローダフレーム及びバックホーフレームの各フレーム部よりも下位であることで、モーアフレームの上昇揺動で引き上げたモーアの退避状態での地上高が、ローダフレーム及びバックホーフレームの各フレーム部よりも下位のモーアフレームの揺動支点や、その揺動支点を支持する車体フレーム部分などによって制限されることになり、モーアの退避状態での地上高を高くして他物との接触を回避する上において改善の余地がある。
【0006】
本発明の目的は、車体フレームにおける構造の複雑化やコストの高騰を招くことなくモーアの装着を可能にしながら、モーアの退避状態での他物との接触をより効果的に回避できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のうちの請求項1に記載の発明では、車体フレームの左右両外側部に、ローダの装着を可能にするローダフレームを連結し、前記ローダフレームに、バックホーの装着を可能にするバックホーフレームを、前記車体フレームから左右方向に所定間隔を隔てる状態に連結し、前記ローダフレームと前記バックホーフレームとの間に、モーアの装着を可能にするモーアフレームを上下揺動可能に配備し、前記モーアフレームの揺動支点を、前記ローダフレーム及び前記バックホーフレームにおける前記モーアフレームが介在するフレーム部の下縁よりも上方の位置に設けて構成してある。
【0008】
この構成によると、ローダフレーム又はバックホーフレームにモーアフレーム取付用の取付孔を穿設することで、モーアの装着を可能にすることができ、基本構造の車体フレームに穿設する必要がないことから、その穿設による強度の低下を考慮して車体フレームを構成する場合に比較して、車体フレームにおける構造の簡素化やコストの削減を図れる。
【0009】
又、モーアフレームの揺動支点位置が、ローダフレーム及びバックホーフレームの各フレーム部の下縁よりも上位であることで、各フレーム部よりも下位に設ける場合に比較して、モーアフレームの上昇揺動で引き上げたモーアの退避状態での地上高が高くなり、その分、モーアの退避状態での他物との接触をより効果的に回避できる。
【0010】
従って、基本構造の車体フレームにおいて構造の複雑化やコストの高騰を招くことなく、モーアの装着が可能なフレーム構造を構成できる上に、モーアの退避状態での他物との接触に起因した損傷をより効果的に回避できる。
【0011】
本発明のうちの請求項2に記載の発明では、上記請求項1に記載の発明において、前記モーアフレームの遊端が、前記フレーム部の下縁よりも上方の位置まで上昇揺動するように構成してある。
【0012】
この構成によると、モーアフレームの上昇揺動で引き上げたモーアの退避状態での地上高が更に高くなり、その分、モーアの退避状態での他物との接触をより一層効果的に回避できる。
【0013】
従って、モーアの退避状態での他物との接触に起因した損傷をより一層効果的に回避できる。
【0014】
本発明のうちの請求項3に記載の発明では、上記請求項1又は2に記載の発明において、前記ローダフレームに、前記揺動支点に設定される左右向きの支軸を挿通装備し、前記支軸の長さを、その一端部が前記車体フレームに隣接し、その他端部が前記バックホーフレームに隣接する長さに設定してある。
【0015】
この構成によると、ローダフレームに対する支軸の左右方向への移動が車体フレームとバックホーフレームとで規制されることから、ローダフレームに対する支軸の抜け止め構造を不要にできる。
【0016】
従って、モーアの装着が可能なフレーム構造を構成する上での構成の簡素化及びコストの削減を図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1には複合作業車の一例であるTLBM(トラクタ・ローダ・バックホー・モーア)の全体側面が示されており、このTLBMは、走行車体であるトラクタ1の前部にフロントローダ2を、トラクタ1の後部にバックホー3を、トラクタ1の腹部にモーア4を、それぞれ着脱可能に装着して構成してある。
【0018】
図1〜7に示すように、トラクタ1は、平鋼材などを連結して枠状に形成した車体フレーム5の前部にラジエータ6を立設するとともに水冷式のエンジン7を防振搭載し、そのエンジン7の後部に主クラッチ(図示せず)を内装したクラッチハウジング8を連結し、車体フレーム5の後部に静油圧式無段変速装置9やミッションケース10などを配備して、エンジン7からの動力を、主クラッチを介して主変速装置である静油圧式無段変速装置9に伝達し、この静油圧式無段変速装置9からの変速動力を、ミッションケース10に内装したギヤ式の副変速装置(図示せず)などからなる走行伝動系を介して、走行用として左右一対の前輪11及び後輪12に伝達する4輪駆動型に構成され、又、静油圧式無段変速装置9からの非変速動力を、ミッションケース10に内装した作業クラッチ(図示せず)などからなる作業伝動系を介して、作業用としてモーア4に伝達する。
【0019】
トラクタ1の後半部には、左右の前輪11を操舵するステアリングホイール13や、前向き姿勢と後向き姿勢とに姿勢切り換え可能に構成された運転座席14などを備えて搭乗運転部15が形成され、運転座席14の後方にはアーチ状の保護フレーム16が立設されている。
【0020】
ミッションケース10の上部には、左右一対のリフトアーム17が上下揺動可能に装備されるとともに、それらのリフトアーム17を揺動駆動する油圧式のリフトシリンダ18が一体装備され、又、ミッションケース10の後下部には、対応するリフトアーム17に連係ロッド19を介して連動連結された左右一対の昇降リンク20が上下揺動可能に連結装備され、更に、ミッションケース10の左右両側部には後車軸ケース21が連結されている。
【0021】
図1に示すように、フロントローダ2は、左右一対の支柱22、対応する支柱22の上端部から上下揺動可能に延設された左右一対のブーム23、これらのブーム23の延出端部に上下揺動可能に連結されたバケット24、左右の対応する支柱22とブーム23とにわたって架設された左右一対のブームシリンダ25、左右の各ブーム23とバケット24とにわたって架設された左右一対のバケットシリンダ26、十字揺動式で中立復帰型の操縦レバー27などを備えた操作ユニット(図示せず)、及び、操縦レバー27の操作に基づいて左右のブームシリンダ25やバケットシリンダ26に対する作動油の流動状態を切り換えるバルブユニット(図示せず)などを備え、操縦レバー27の操作に基づくバルブユニットの油圧制御で、左右のブームシリンダ25やバケットシリンダ26が伸縮作動してブーム23やバケット24を揺動駆動することで、しゃくり動作や掬い動作あるいは下ろし動作などを行う油圧式に構成されている。
【0022】
又、フロントローダ2には、トラクタ1から取り外した際に使用するスタンド28が、2つ折りにしてブーム23の延出端側に沿う姿勢に揺動変位させた格納状態と、一直線状に伸ばしてその下端部がブーム23の延出端側から離れる姿勢に揺動変位させた使用状態とに姿勢切り換え可能に装備されている。
【0023】
バックホー3は、左右一対のアウトリガー29を備えた基台30、基台30に左右揺動可能に連結されたスウィングブラケット31、スウィングブラケット31から起伏揺動可能に延設されたブーム32、ブーム32の延出端部から前後揺動可能に延設されたアーム33、アーム33の延出端部に前後揺動可能に連結されたバケット34、基台30とスウィングブラケット31とにわたって架設されたスウィングシリンダ35、スウィングブラケット31とブーム32とにわたって架設されたブームシリンダ36、ブーム32とアーム33とにわたって架設されたアームシリンダ37、アーム33とバケット34とにわたって架設されたバケットシリンダ38、基台30の操縦塔39に装備した左右一対の十字揺動式で中立復帰型の操縦レバー40などを備えた操作ユニット(図示せず)、及び、それらの操縦レバー40の操作に基づいて各シリンダ35〜38に対する作動油の流動状態を切り換えるバルブユニット(図示せず)などを備え、左右の操縦レバー40の操作に基づくバルブユニットの油圧制御で、対応するシリンダ35〜38が伸縮作動してブーム32やアーム33あるいはバケット34などを揺動駆動することで、掘削動作や掻き込み動作あるいは下ろし動作などを行う油圧式に構成されている。
【0024】
モーア4は、右端部に排出口(図示せず)が形成されたモーアデッキ41、モーアデッキ41の内部に縦軸心周りに回転可能な状態で左右に並列配備された3枚の回転ブレード42、モーアデッキ41の前後左右に配備された計4つのゲージ輪43、及び、静油圧式無段変速装置9からの非変速動力を各回転ブレード42に分配伝達するようにモーアデッキ41の上部に配備した動力分配機構44などを備え、静油圧式無段変速装置9からの非変速動力で各回転ブレード42を回転駆動することで、草を刈り取って右端部の排出口から排出するサイドディスチャージ式に構成されている。
【0025】
図2〜8に示すように、車体フレーム5は、ラジエータ6やエンジン7などを支持する前部フレーム5A、クラッチハウジング8からミッションケース10にわたって架設されるとともに前部フレーム5Aに連結される中間フレーム5B、及び、中間フレーム5Bに連結されるとともにミッションケース10を支持する後部フレーム5Cなどを備えて構成されている。
【0026】
図1〜6に示すように、車体フレーム5の左右両外側部には、フロントローダ2の装着を可能にするローダフレーム45が着脱可能にボルト連結され、このローダフレーム45は、前部フレーム5Aの左右両外側部に一体装備した連結ブロック5Dと中間フレーム5Bの外側面とにわたって架設される左右一対の板状フレーム45A、各板状フレーム45Aから横外方に向けて延設された左右一対のパイプフレーム45B、各パイプフレーム45Bの左右中間部に垂下装備された左右一対の連結ブラケット45C、各パイプフレーム45Bの延出端に立設された平面視コの字状で左右一対の連結フレーム45D、各連結フレーム45Dの下部に左右向きに装備された左右一対の支持ピン45E、及び、各連結フレーム45Dの上部に左右方向に抜き差し可能に挿通装備された左右一対の連結ピン45Fなどを備えて構成されている。
【0027】
そして、左右の各支持ピン45Eで受け止め支持されるように、フロントローダ2の左右の支柱22を、対応する連結フレーム45Dに内嵌させ、左右の連結ピン45Fで対応する連結フレーム45Dに連結固定することで、フロントローダ2を装着できるようになっている。
【0028】
図1〜4及び図6に示すように、フロントローダ2には、バックホー3の装着を可能にするバックホーフレーム46が着脱可能にボルト連結され、このバックホーフレーム46は、車体フレーム5から左右方向に所定間隔を隔てるようにフロントローダ2の左右の連結ブラケット45Cと左右の後車軸ケース21とにわたって架設される左右一対の板状フレーム46A、各板状フレーム46Aの後端下部に一体装備された左右一対の受金具46B、及び、各板状フレーム46Aの後端上部に左右方向に抜き差し可能に挿通装備された左右一対の連結ピン46Cなどを備えて構成されている。
【0029】
そして、バックホー3の基台30に備えた左右向きの連結軸(図示せず)を、左右の受金具46Bに受け止め支持させた後、左右の板状フレーム46Aに基台30を左右の連結ピン46Cで連結固定することで、バックホー3を装着できるようになっている。
【0030】
図2〜4に示すように、車体フレーム5の後部フレーム5Cには、バックホー3の基台30を下方から受け止め支持するように後方に向けて延出する支持フレーム47が装備されている。
【0031】
図2〜6に示すように、ローダフレーム45とバックホーフレーム46との間には、モーア4の装着を可能にするモーアフレーム48が上下揺動可能に配備され、このモーアフレーム48は、ローダフレーム45の板状フレーム45Aと各板状フレーム45Aに一体装備された支持具45Gとにわたって左右方向に抜き差し可能に挿通装備される左右一対の支軸48A、各支軸48Aに相対回動可能に外嵌する左右一対のボス48B、各ボス48Bから延設された左右一対のモーアリンク48C、及び、各モーアリンク48Cの遊端に装備された連結部(図示せず)などを備えて構成されている。
【0032】
モーアフレーム48の揺動支点となる左右の支軸48Aは、ローダフレーム45とバックホーフレーム46のそれぞれにおけるモーアフレーム48が介在するフレーム部の下縁、つまり、ローダフレーム45における左右の板状フレーム45Aの下縁45a、及び、バックホーフレーム46の左右の板状フレーム46Aにおける前部側の下縁46aよりも上方の位置に配備され、又、その左右長さが、その一端部が車体フレーム5の中間フレーム5Bに近接し、その他端部がバックホーフレーム46の板状フレーム46Aに近接する長さに設定されている。
【0033】
左右のボス48Bは、その左右長さが、その一端部がローダフレーム45の板状フレーム45Aに近接し、その他端部がローダフレーム45の支持具45Gに近接する長さに設定されている。
【0034】
図示は省略するが、左右の連結部は、モーアリンク48Cの遊端に一体装備される支持金具、この支持金具に左右方向に摺動可能に挿通装備されたL字状の連結ピン、及び、この連結ピンを連結方向に摺動付勢する押しバネなどを備えて、連結ピンの摺動操作で、モーアデッキ41の後上部に立設した左右の連結具41Bに対するモーアフレーム48の着脱を簡単に行えるように構成されている。
【0035】
図2に示すように、モーアデッキ41は、その左右中央の前端部に左右向きの連結軸41Cを備え、この連結軸41Cに、長さ調節可能に構成された左右一対の連係ロッド49Aなどからなる連結フレーム49が上下揺動可能に連結され、その連結フレーム49の遊端部に装備した左右向きの連結軸49Bが、車体フレーム5の前端部に垂下装備した左右一対のブラケット5Eに、連結部5Fを介して着脱可能に連結されている。
【0036】
連結部5Fは、左右のブラケット5Eにわたって相対回動可能に架設された左右向きの支軸5a、この支軸5aに一体装備される左右一対のフック金具5bと操作アーム5c、左側のフック金具5bに左右方向に摺動可能に挿通装備されたL字状の連結ピン5d、及び、この連結ピン5dを左側のブラケット5Eに向けて挿通付勢する押しバネ(図示せず)などを備えて、操作アーム5cによる支軸5aを支点にした回動操作で、左右のフック金具5bが連結フレーム49の連結軸49Bを受け止め支持する支持姿勢とその支持を解除する解除姿勢とに姿勢切り換え可能で、かつ、連結ピン5dの摺動による支持姿勢での固定保持と固定解除とが可能となるように構成されている。
【0037】
つまり、モーア4は、モーアフレーム48と連結フレーム49とを介して、トラクタ1の腹部に着脱可能に吊り下げ装備されている。
【0038】
図2〜4及び図7に示すように、モーアフレーム48は、左右のリフトアーム17の揺動駆動に連動して上下揺動するように、その左右のモーアリンク48Cが対応する昇降リンク20に、接地追従用の長孔50aが形成された連係リンク50、車体フレーム5の左右両側部に連結した左右向きの支軸5Gに揺動可能に支持されたクランクアーム51、長さ調節可能に構成された連係ロッド52、及び、連係リンク20の支軸53に揺動可能に支持されるとともに連係リンク20の上縁に接当する接当片54aを備えた連係アーム54などを介して連動連結されている。
【0039】
左右のリフトアーム17は、運転座席14の右側方に配備した操作レバー55(図1参照)の操作に基づく昇降バルブ(図示せず)の油圧制御で、リフトシリンダ18を伸縮作動させることで揺動する。
【0040】
つまり、モーア4は、操作レバー55の操作による左右のリフトアーム17の揺動駆動で、接地する作業位置と車体フレーム5側に退避する退避位置とにわたって昇降するように構成されている。
【0041】
そして、モーア4を退避位置まで上昇させた状態では、モーアフレーム48の遊端が、ローダフレーム45における左右の板状フレーム45Aの下縁45a、及び、バックホーフレーム46の左右の板状フレーム46Aにおける前部側の下縁46aよりも上方に位置するように設定されている。又、各板状フレーム45A,46Aの下縁45a,46aは、車体フレーム5の下縁5fよりも上方に位置するように設定されている。
【0042】
図3、図5、図6及び図8に示すように、車体フレーム5の中間フレーム5Bには、退避位置まで上昇するモーア4の上部に備えた動力分配機構44の入力部44Aとの干渉を防止する凹部5gが形成され、ローダフレーム45の左右の板状フレーム45Aには、退避位置まで上昇するモーア4の入力部44Aとの干渉を防止する段差部45bが備えられ、バックホーフレーム46の左右の板状フレーム46Aには、モーア4を退避位置まで上昇させるモーアフレーム48の連結部との干渉を防止する凹部46bが形成されている。
【0043】
要するに、車体フレーム5の左右両外側部に、その前部フレーム5Aと中間フレーム5Bとにわたる状態にローダフレーム45をボルト連結し、そのローダフレーム45に、その左右の連結ブラケット45Cから左右の後車軸ケース21にわたる状態にバックホーフレーム46を連結することで、フロントローダ2及びバックホー3の連結装備が可能になるとともに、車体フレーム5を、それらの連結装備や作動に耐え得る強度の高いフレーム構造に補強することができる。
【0044】
又、ローダフレーム45に、モーアフレーム48を着脱可能に装備することで、基本構造の車体フレーム5や、連結される作業装置の関係から比較的高い強度を要するバックホーフレーム46にモーアフレーム取り付け用の取付孔を穿設する必要がないことから、その穿設による強度の低下を考慮して車体フレーム5やバックホーフレーム46を構成する場合に比較して、フレーム構造の簡素化やコストの削減を図れる。
【0045】
その上、モーアフレーム48に隣接する車体フレーム5の下縁5fよりも、ローダフレーム45及びバックホーフレーム46におけるモーアフレーム48に隣接するフレーム部45A,46Aの各下縁45a,46aを上位に設定したことで、車体フレーム5に対するローダフレーム45及びバックホーフレーム46の連結にかかわらず、モーア4を、車体フレーム5に干渉しない高さ位置まで上昇させることができ、又、車体フレーム5及びローダフレーム45に、モーア4の入力部44Aとの干渉を防止する凹部5g又は段差部45bを設け、バックホーフレーム46に、モーアフレーム48の連結部との干渉を防止する凹部46bを形成し、モーアフレーム48の揺動支点48Aを、ローダフレーム45及びバックホーフレーム46におけるモーアフレーム48に隣接するフレーム部45A,46Aの各下縁45a,46aよりも上位に配備し、かつ、モーア4の退避位置では、モーアフレーム48の遊端が、ローダフレーム45及びバックホーフレーム46におけるモーアフレーム48に隣接するフレーム部45A,46Aの各下縁45a,46aよりも上位に位置するように設定したことで、モーア4を退避位置まで上昇させた際の地上高をより高くすることができ、モーア4の退避位置での他物との接触を効果的に回避できる。
【0046】
しかも、モーアフレーム48における支軸48Aの長さを、その一端部が車体フレーム5に近接し、その他端部がバックホーフレーム46に近接する長さに設定したことで、ローダフレーム45に対する支軸48Aの左右方向への移動が車体フレーム5とバックホーフレーム46とで規制されることから、ローダフレーム45に対する支軸48Aの抜け止めを行う専用の抜け止め構造を不要にでき、その分、構成の簡素化及びコストの削減を図れる。
【0047】
又、モーアフレーム48におけるボス48Bの長さを、その一端部がローダフレーム45の板状フレーム45Aに近接し、その他端部がローダフレーム45の支持具45Gに近接する長さに設定したことで、支軸48Aに対するボス48Bの左右方向への移動が板状フレーム45Aと支持具45Gとで規制されることから、支軸48Aに対するボス48Bの移動を規制する専用の規制構造を不要にでき、結果、構成の簡素化及びコストの削減を図りながら、支軸48Aに対してモーアフレーム48が左右方向に摺動変位することに起因したモーア4の振れを回避できる。
【0048】
そして、図示は省略するが、バックホー3が不必要な場合には、バックホーフレーム46を取り外して、ローダフレーム45の左右の連結ブラケット45Cに、支軸48Aの抜け止めを行うプレートを連結することで、複合作業車の一例であるTLM(トラクタ・ローダ・モーア)に容易に仕様変更することができ、又、支軸48Aの車体フレーム側に抜け止めピンの装着を可能にするピン孔を穿設しておけば、抜け止め用のプレートを不要にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】TLBMの全体側面図
【図2】TLBMのフレーム構造を示す側面図
【図3】TLBMのフレーム構造を示す要部の側面図
【図4】TLBMのフレーム構造を示す要部の平面図
【図5】車体フレーム及びローダフレームの構成を示す要部の一部分解側面図
【図6】TLBMのフレーム構造を示す要部の一部分解側面図
【図7】モーアの昇降構造を示す要部の側面図
【図8】車体フレームの構成を示す要部の一部分解斜視図
【符号の説明】
【0050】
2 ローダ
3 バックホー
4 モーア
5 車体フレーム
45 ローダフレーム
45A フレーム部
45a 下縁
46 バックホーフレーム
46A フレーム部
46a 下縁
48 モーアフレーム
48A 揺動支点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームの左右両外側部に、ローダの装着を可能にするローダフレームを連結し、前記ローダフレームに、バックホーの装着を可能にするバックホーフレームを、前記車体フレームから左右方向に所定間隔を隔てる状態に連結し、前記ローダフレームと前記バックホーフレームとの間に、モーアの装着を可能にするモーアフレームを上下揺動可能に配備し、前記モーアフレームの揺動支点を、前記ローダフレーム及び前記バックホーフレームにおける前記モーアフレームが介在するフレーム部の下縁よりも上方の位置に設けて構成してある複合作業用のフレーム構造。
【請求項2】
前記モーアフレームの遊端が、前記フレーム部の下縁よりも上方の位置まで上昇揺動するように構成してある請求項1に記載の複合作業用のフレーム構造。
【請求項3】
前記ローダフレームに、前記揺動支点に設定される左右向きの支軸を挿通装備し、前記支軸の長さを、その一端部が前記車体フレームに隣接し、その他端部が前記バックホーフレームに隣接する長さに設定してある請求項1又は2に記載の複合作業用のフレーム構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−271294(P2006−271294A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−97374(P2005−97374)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】