説明

複合化粧パネル、及び複合化粧パネルにおける化粧縁部材の貼着方法

【課題】薄板状の表面材及び裏面材を用いた場合でも、十分な接着強度を得ることができ、化粧縁部材の剥がれを防止することが可能な複合化粧パネルを提供する。
【解決手段】波状部10及び平坦部11から構成された片面段ボール9を一つの層とし、複数の片面段ボール9が並設して一体化されたペーパーハニカム2と、その表面側に接着された表面材3と、裏面側に接着された裏面材4と、表面材3、ペーパーハニカム2、及び裏面材4からなるパネル体5の木口面に貼着された化粧縁部材7と、ペーパーハニカム2における第一木口面2aのうち、表面材3に隣接する表面側領域6a及び裏面材4に隣接する裏面側領域6bに対して溝状に形成され、内部に発泡性接着剤13が充填される充填用窪み部12とを具備し、化粧縁部材7は、内面に塗布された接着剤14、及び充填用窪み部12に充填された発泡性接着剤13を介してパネル体5の木口面に貼着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合化粧パネル、特に芯材としてペーパーハニカム等のハニカム構造材を備えた複合化粧パネル、及び該複合化粧パネルにおける化粧縁部材の貼着方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅内のドアや収納扉等に用いられる複合化粧パネルとして、例えばペーパーハニカムを芯材とし、その表面側に薄板状の化粧板を貼り合わせ、裏面側にMDF(中質繊維板)等の木質材を貼り合わせてなるサンドイッチ構造のパネル体が知られている(特許文献1参照)。これによれば、芯材としてハニカム構造材を用いることにより、軽量化を図るとともに反りを防止することが可能となる。
【0003】
また、ペーパーハニカムとしては、複数枚の片面段ボールを貼り合わせて一体化したものが知られている。詳しく説明すると、図5(a)に示すように、片面段ボール50は、長手方向に沿って波形に形成された波状部51と、波状部51の頂部に接着された平板状の平坦部52とから構成されており、平坦部52の幅Lと波状部51の幅とが等しく、且つ平坦部52の長さMと波状部51の長さとが等しくなっている。そして、図5(b)に示すように、片面段ボール50の幅方向が上下方向となるように片面段ボール50を立てた状態で、複数の片面段ボール50を平坦部52に直交する水平方向に並べて接合することでペーパーハニカム53を構成している。
【0004】
一方、パーティクルボード等の木質材の木口に、接着材を介して化粧縁部材を貼着したものも知られている(特許文献2参照)。これによれば、木質材の表面側や裏面側だけではなく、木口面においても意匠性を高めることができ、例えばテーブルの天板や棚板等として用いることも可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のようなペーパーハニカム53を芯材とするパネル体においては、木口面に化粧縁部材を接着しようとしても、十分な接着強度を得ることができず、例えば化粧縁部材に対して大きな引張り力を作用させた場合には、化粧縁部材が剥がれることが懸念されている。詳しく説明すると、ペーパーハニカム53を構成する片面段ボール50の波状部51及び平坦部52は、何れも帯状の紙材から形成されたものであるため、譬え化粧縁部材とペーパーハニカム53とが強固に接着されていても、化粧縁部材に対して大きな引張り力が作用した場合には、帯状の紙材を長手方向に引張ることとなり、その紙材が破断してしまう虞があった。すなわち、化粧縁部材の内面にペーパーハニカム53の一部が固着したまま剥がれる虞があった。さらに、ペーパーハニカム53の表面側及び裏面側に貼り合わせられた表面材及び裏面材は、薄板状であり、それらの木口面の面積が比較的小さいことから、十分な接着面積を確保することができず、ひいては表面材及び裏面材と化粧縁部材との間での接着強度を高めることが困難となっていた。なお、芯材に対する、表面材及び裏面材の割合を比較的大きくすれば(すなわち、表面材及び裏面材の厚みを大きくすれば)、十分な接着面積を確保することが可能となり、化粧縁部材の剥がれを防止することが可能になるが、これによれば、パネル体全体の重量が大幅に増加し、ハニカム構造材を用いた効果が半減してしまうことになる。
【0006】
そこで、本発明は、上記の実状に鑑み、薄板状の表面材及び裏面材を用いた場合でも、十分な接着強度を得ることができ、化粧縁部材の剥がれを防止することが可能な複合化粧パネル、及び複合化粧パネルにおける化粧縁部材の貼着方法の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる複合化粧パネルは、「ハニカム構造材と、
該ハニカム構造材を芯材として、該ハニカム構造材の表面側に接着された表面材と、
前記ハニカム構造材の裏面側に接着された裏面材と、
前記表面材、前記ハニカム構造材、及び前記裏面材からなるサンドイッチ構造のパネル体の木口面に貼着された化粧縁部材と
を備え、
前記化粧縁部材は、前記ハニカム構造材における木口面のうち少なくとも前記表面材に隣接する表面側領域及び前記裏面材に隣接する裏面側領域に対して塊状に吹付けられた発泡性接着剤と、前記化粧縁部材の内面に塗布された接着剤とを介して前記パネル体の前記木口面に貼着されている」ことを特徴とするものである。
【0008】
ここで、「ハニカム構造材」の構成及び材質は特に限定されるものではないが、複数の片面段ボールが並設して一体化されたペーパーハニカムを例示することができる。具体的には、「所定幅の帯状の紙材からなり長手方向に沿って波形に形成された波状部と、波状部の頂部に接着され、幅が所定幅と同一であり且つ長さが波状部の長さに略一致する平板状の平坦部とから構成された片面段ボールを一つの層として有し、複数の片面段ボールが平坦部に直交する方向に並設して一体化されたものである。
【0009】
また、「表面材」及び「裏面材」の材質は特に限定されるものではないが、メラミン化粧板、またはMDF(中質繊維板)を例示することができる。また、「表面材」及び「裏面材」は、夫々一枚の部材から構成してもよいが、複数枚の薄板部材を貼り合わせて構成してもよい。例えば、表面材を、メラミン化粧板及び紙管原紙から構成し、メラミン化粧板が表面側(外側)となるように貼り合わせるようにしてもよい。また、「化粧縁部材」の材質も特に限定されるものではなく、ABS樹脂等の樹脂部材であってもよく、木材であってもよい。
【0010】
また、「発泡性接着剤」は、樹脂に発泡剤、触媒、及び整泡剤等を加えることで、塗布後に塊状に発泡するように設計された接着剤であり、比較的広い隙間でも充填することが可能なものである。接着剤の種類は特に限定されるものではないが、化粧縁部材の内面に塗布される「接着剤」と同じ成分のものが好ましい。
【0011】
本発明の複合化粧パネルによれば、パネル体は、サンドイッチ構造であり、ハニカム構造材を芯材として、その表面側に表面材が貼り合わせられ、裏面側に裏面材が貼り合わせられている。そして、パネル体の木口面(側面)には、接着剤を介して化粧縁部材が貼着されている。特に、本発明では、ハニカム構造材の木口面のうち、表面材に隣接する表面側領域及び裏面材に隣接する裏面側領域に対して発泡性接着剤が吹付けられ、さらに化粧縁部材の内面に接着剤が塗布された状態で、化粧縁部材がパネル体の木口面に貼着されている。ここで、ハニカム構造材には一般に多くの空隙が形成されているため、木口面に吹付けられた発泡性接着剤は空隙内に入り込み充填されるとともに塊状となる。つまり、木口面から盛り上がった状態となる。そして、表面側領域は、表面材に臨むハニカム構造材の木口部分であるため、充填され且つ塊状となった発泡性接着剤は、ハニカム構造材と、表面材の内面と、化粧縁部材の内面とに接することになる。また、同様に、裏面側領域は、裏面材に臨むハニカム構造材の木口部分であるため、充填された発泡性接着剤はハニカム構造材と、裏面材の内面と、化粧縁部材の内面とに接することになる。
【0012】
したがって、化粧縁部材の内面に対し、表面材の木口面及び裏面材の木口面は、化粧縁部材の内面に塗布された接着剤によって直接接着され、一方、表面材における木口面近傍の内面、及び裏面材における木口面近傍の内面は、充填された塊状の発泡性接着剤を介して接着されることになる。換言すれば、塊状の発泡性接着剤を設けることにより、表面材及び裏面材の内面と、それらに直交する化粧縁部材の内面とが接着された状態となる。したがって、譬え表面材及び裏面材が薄板状であっても、パネル体と化粧縁部材との接着面積を大きくし、化粧縁部材の剥がれを防止することが可能になる。
【0013】
また、本発明にかかる複合化粧パネルにおいて「前記表面側領域及び前記裏面側領域に対して夫々溝状に形成され、内部に前記発泡性接着剤が充填される充填用窪み部をさらに備える」ように構成することができる。
【0014】
ところで、ハニカム構造材として、片面段ボールを複数個並べて一体化したものを採用すると、その木口面に発泡性接着剤を吹付けても、発泡性接着剤が空隙内に円滑に入り込まない場合がある。詳しく説明すると、このハニカム構造体は、波状部及び平坦部から構成された片面段ボールを積層させた形態となっているため、所定の大きさのパネル体を製造する際に、平坦部と並行に切断した場合、その木口面における空隙の大きさ(奥行き)は、切断する位置によって異なってしまう。つまり、平坦部から比較的離れた位置で波状部を切断した場合には、空隙の奥行を大きくすることが可能であるが、平坦部の近傍の位置(すなわち波状部の頂部付近)で切断した場合には、木口面から平坦部までの長さが極めて短くなり、木口面において空隙が殆ど形成されない状態となる。すなわち、発泡性接着剤を吹付けても、平坦部によって発泡性接着剤の進入が阻止され、発泡性接着剤を充填させることができなくなる。
【0015】
これに対し本発明では、表面材に隣接する表面側領域及び裏面材に隣接する裏面側領域において溝状の充填用窪み部が形成され、この充填用窪み部に発泡性接着剤が充填されるようになっている。このため、ハニカム構造材の切断位置にかかわらず、発泡性接着剤が充填され得る空間を確保することができ、表面材及び裏面材の内面と、それらに直交する化粧縁部材の内面とを、発泡性接着剤を介して確実に接着させることができる。
【0016】
また、本発明の複合化粧パネルにおける化粧縁部材の貼着方法は、「ハニカム構造体と、
該ハニカム構造材を芯材として、該ハニカム構造材の表面側に接着された表面材と、
前記ハニカム構造材の裏面側に接着された裏面材と
からなるサンドイッチ構造のパネル体に対し、該パネル体の木口面に化粧縁部材を貼着する複合化粧パネルにおける縁部材の貼着方法であって、
前記ハニカム構造材における木口面のうち、前記表面材に隣接する表面側領域及び前記裏面材に隣接する裏面側領域に対して夫々溝状の窪み部を形成する窪み部形成工程と、
前記窪み部に発泡性接着剤を充填させる接着剤充填工程と、
前記化粧縁部材の内面に接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、
前記化粧縁部材を、該化粧縁部材の内面に塗布された接着剤、及び前記窪み部に充填された塊状の前記発泡性接着剤を介して前記パネル体の前記木口面に圧着させる圧着工程と
を有する」ことを特徴とするものである。
【0017】
本発明の複合化粧パネルにおける化粧縁部材の貼着方法によれば、化粧縁部材をパネル体の木口に貼着させる際、窪み部形成工程、接着剤充填工程、接着剤塗布工程、及び圧着工程が順に行われる。なお、接着剤塗布工程は、接着剤充填工程と同時、あるいは接着剤充填工程よりも先に行うことも可能である。まず窪み部形成工程では、ハニカム構造材における木口面のうち、表面材に隣接する表面側領域及び裏面材に隣接する裏面側領域に対して溝状の窪み部を形成する。なお、溝状の窪み部は、例えば回転刃を木口面に沿って相対的に移動させることで切削してもよく、あるいはプレス機等で圧力をかけ押し潰すことにより形成してもよい。接着剤充填工程では、窪み部に発泡性接着剤を充填させる。具体的には、窪み部に向って発泡性接着剤をノズルから噴射させ発泡させることで窪み部内に充填させる。一方、接着剤塗布工程では化粧縁部材の内面に接着剤を塗布する。具体的には、接着剤を供給しながら塗布ロール等によって塗布する。そして、圧着工程では、接着剤が塗布された化粧縁部材と、窪み部に塊状の発泡性接着剤が充填されたパネル体の木口面とを突き合わせ圧着させる。このような工程を経て化粧縁部材を貼着させることにより、化粧縁部材の接着強度を大幅に高めた複合化粧パネルを製造することが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
このように、本発明によれば、ハニカム構造材の木口面に対して塊状に吹付けられた発泡性接着剤を介して接着されることで、表面材または裏面材の内面と、それらに直交する化粧縁部材の内面とを確実に接着させることができる。したがって、譬え表面材及び裏面材が薄板状であっても、パネル体と化粧縁部材との接着強度を高め、化粧縁部材の剥がれを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態の複合化粧パネルの構成を示す分解斜視図である。
【図2】(a)は複合化粧パネルにおける短手方向の断面図であり、(b)は複合化粧パネルにおける長手方向の断面図である。
【図3】複合化粧パネルにおける化粧縁部材の製造工程の流れを示す概念図である。
【図4】化粧縁部材の貼着方法等を模式的に示す説明図である。
【図5】従来から周知のペーパーハニカムの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態である複合化粧パネルについて、図1及び図2に基づき説明する。本実施形態の複合化粧パネル1は、テーブルの天板、棚板、テレビ台、収納扉、または住宅の仕切壁やドア等として用いることが可能なものであり、図1に示すようにペーパーハニカム2を芯材とし、その表面側に貼り付けられた表面材3と、裏面側に貼り付けられた裏面材4とからサンドイッチ構造のパネル体5を構成している。また、パネル体5の木口面5aには、化粧縁部材7が全周に亘って貼着されており、パネル体5の表面及び裏面だけでなく木口面5aにおいても意匠性を高めている。ここで、ペーパーハニカム2が本発明のハニカム構造材に相当する。
【0021】
各部材について詳しく説明する。ペーパーハニカム2は、図5を基に説明したペーパーハニカム53と基本的な構成はほぼ等しく、長手方向に沿って波形に形成された波状部10と、その波状部10の頂部に接着され、幅及び長さが波状部10と等しい平板状の平坦部11と、から構成された片面段ボール9を一つの層として有している。そして、複数の片面段ボール9が平坦部11に直交する水平方向に並設し互いに接着されることで一体化された板状のハニカム構造を構成している。このようなペーパーハニカム2は、紙を原材料として使用し、しかも内部に多くの空隙を有するため、パーティクルボード等の木質材と比べると軽量化が可能となり、しかもハニカム構造を有するため、反りや捩れを防止することが可能となっている。また、ペーパーハニカム2は、複数の片面段ボール9を水平方向に並べて構成されていることから、片面段ボール9の平坦部11に並行な第一木口面2aと、平坦部11に直角な第二木口面2bとでは、端面形状が互いに異なっている。つまり、所定の大きさのパネル体5を形成するにあたって、平坦部11と並行に波状部10を切断した場合に現れる第一木口面2aでは、波状部10の切断面が空隙を介して一定の間隔で配置されるとともに、その空隙の奥側に平坦部11が配置された形態となる。一方、平坦部11に対して垂直に(すなわち片面段ボール9の積層方向に沿って)切断した場合に現れる第二木口面2bでは、平坦部11の切断面が空隙を介して一定の間隔で配置されるとともに、その空隙内に波状部10が配置された形態となる。なお、本例のペーパーハニカム2には、特徴的な構成として、発泡性接着剤13を充填させるための充填用窪み部12が第一木口面2aに形成されているが、これについては後述する。
【0022】
ペーパーハニカム2の表面側に接着剤を介して貼り付けられた表面材3は、メラミン化粧板16及び紙管原紙17から構成されている。メラミン化粧板16は、家具やドア等の仕上面として一般に使用されているものであり、表面硬度が高いため傷がつき難く、また耐水性に優れ掃除がしやすいものとなっている。さらに、色や木目等様々な種類があるため、テーブルの天板としても装飾性の優れたものに仕上げることが可能である。一方、紙管原紙17は、古紙を再生した再生紙であり、紙、箔、織物等を巻く芯棒の製造に用いられているものである。厚さは特に限定されるものではないが、本例では1mmの紙管原紙17を用いている。
【0023】
ペーパーハニカム2の裏面側に接着剤を介して貼り付けられた裏面材4は、MDF(中質繊維板)から構成されている。MDFは、木材を繊維状にほぐし接着剤を配合してボード状に成形したものであり、安定した強度を得るとともに、反りや捩れが生じにくく加工しやすいものとなっている。
【0024】
化粧縁部材7は、ペーパーハニカム2、表面材3、及び裏面材4からなるパネル体5の木口面5a全体に貼着されており、ABS樹脂で形成された帯状の形状を呈している。なお、ABS樹脂以外の合成樹脂または木材で形成することも可能である。化粧縁部材7は、パネル体5の木口面5aに対し接着剤を介して貼着されている。特に、本例では、図2に示すようにペーパーハニカム2の第一木口面2a及び第二木口面2b(詳細には後述する)のうち、表面材3に隣接する表面側領域6a及び裏面材4に隣接する裏面側領域6bに対して発泡性接着剤13が吹付けられている。なお、発泡性接着剤13は、樹脂に発泡剤、触媒、及び整泡剤等を加えることで、塗布後に発泡するように設計された接着剤であり、比較的広い隙間でも充填することが可能なものである。接着剤の種類は特に限定されるものではないが、化粧縁部材7の内面に塗布される接着剤14と同じ種類のものが用いられている。接着剤の具体例としては、エチレンビニルアルコール(EVA)と酢酸ビニルを共重合させた樹脂を主成分とするエチレン−酢酸ビニル樹脂ホットメルト接着剤や、非結晶性ポリプロピレン樹脂(APP)を主成分とするポリオレフィン樹脂ホットメルト接着剤を挙げることができる。
【0025】
ところで、ペーパーハニカム2には多くの空隙が形成されているため、図2(a)に示すように、ペーパーハニカム2の第二木口面2bに吹付けられた発泡性接着剤13は空隙内に入り込み充填されることになる。そして、表面側領域6aは、表面材3に臨むペーパーハニカム2の木口部分であるため、充填された発泡性接着剤13は、ペーパーハニカムと、表面材3の内面と、化粧縁部材7の内面とで囲まれた空間内で発泡することとなり、それらを互いに接着させることが可能である。また、同様に、裏面側領域6bは、裏面材4に臨むペーパーハニカム2の木口部分であるため、充填された発泡性接着剤13は、ペーパーハニカム2と、裏面材4の内面と、化粧縁部材7の内面とで囲まれた空間内で発泡することとなり、それらを互いに接着させることが可能である。つまり、空隙内に発泡性接着剤13を充填させることにより、表面材3及び裏面材4の内面と、それらに直交する化粧縁部材7の内面とが塊状の発泡性接着剤13を介して互いに接着した状態となり、表面材3及び裏面材4が薄板状であっても、パネル体5と化粧縁部材7との接着面積を大きくし、化粧縁部材7の剥がれを防止することが可能になっている。
【0026】
さらに、本例では、化粧縁部材7の内面側に塗布された接着剤14によって、化粧縁部材7の内面が、表面材3及び裏面材4の木口面3a,4aと、ペーパーハニカム2の第二木口面2bに直接接着されている。つまり、発泡性接着剤13と接着剤14を併用することで、化粧縁部材7の接着強度を大幅に高めている。
【0027】
ところで、上記の第二木口面2bでは、平坦部11の間に配置された波状部10が奥方に向って波形に変形していることから、どの位置で切断しても、隣接する平坦部11同士の間に空隙が形成されることになる。つまり、第二木口面2bでは、発泡性接着剤13が吹付けられると空隙内で充填させることが可能となっている。これに対し、第一木口面2aでは、空隙の大きさ(奥行き)が、切断する位置によって異なってしまい、例えば平坦部11の近傍の位置(すなわち波状部10の頂部付近)で切断した場合には、第一木口面2aから平坦部11までの長さ(深さ)が極めて短くなり、第一木口面2aにおいて空隙が殆ど形成されない状態となる。すなわち、発泡性接着剤13を吹付けても、平坦部11によって発泡性接着剤13の進入が阻止され、発泡性接着剤13を充填させることができなくなる。
【0028】
そこで、本例では、図2(b)に示すように、第一木口面2aでは、表面材3に隣接する表面側領域6a及び表面材3に隣接する裏面側領域3aにおいて溝状の充填用窪み部12が水平方向に形成され、この充填用窪み部12に発泡性接着剤13が充填されるようになっている。このため、ペーパーハニカム2の切断位置にかかわらず、発泡性接着剤13が充填され得る空間を確保することができ、表面材3及び裏面材4の内面と、それらに直交する化粧縁部材7の内面とを、発泡性接着剤13を介して確実に接着させることができるようになっている。しかも、表面側領域6a及び裏面側領域3a以外の第一木口面2aでは、充填用窪み部12が形成されていないため、化粧縁部材7の内面側に塗布された接着剤14によって、化粧縁部材7の内面がペーパーハニカム2の第一木口面2a(特に波状部10)に直接接着されており、化粧縁部材7及びペーパーハニカム2の間での接着強度を高めている。
【0029】
次に、複合化粧パネル1の製造方法、特に複合化粧パネル1における化粧縁部材7の貼着方法について、図3及び図4を基に説明する。図3に示すように、製造ライン9には、コンベア(図示しない)で搬送されるパネル体5に対して化粧縁部材7を貼着させる四つの工程、すなわち窪み部形成工程20、接着剤充填工程21、接着剤塗布工程22、及び圧着工程23と、その後、化粧縁部材7を加工する四つの工程、すなわちエンドカット工程24、トリミング工程25、スクレーパ工程26、及びラウンドトリミング工程27とが設けられており、紙面右側から左側に向って順に行われるようになっている。
【0030】
なお、パネル体5は平面視長方形であるため、全周に亘って化粧縁部材7を貼着する場合には、四つの木口面2a,2bに対して夫々化粧縁部材7を貼着させる必要があり、上記の製造ライン9における一連の処理が4回繰り返されることになる。但し、ペーパーハニカム2の第二木口面2bに対しては、充填用窪み部12を形成しないことから窪み部形成工程20が省かれるようになっている。また、最後のラウンドトリミング工程27は、全ての木口面2a,2bに化粧縁部材7を貼着した後に、一回だけ行われるようになっている。
【0031】
各工程について説明する。窪み部形成工程20では、図4(a),(b)に示すように、ペーパーハニカム2における第一木口面2aのうち、表面材3に隣接する表面側領域6a及び裏面材4に隣接する裏面側領域6bに対して回転刃物30を当接させるとともに、その回転刃物30を第一木口面2aの長手方向に相対的に移動させることで、溝状の充填用窪み部12を形成する。なお、本例の回転刃物30は、厚みが5mmである一対の切削刃30aを有しており、これにより、幅が5mmで深さが2mmの充填用窪み部12を二本同時に形成している。
【0032】
接着剤充填工程21では、図4(c),(d)に示すように、夫々の充填用窪み部12に向ってノズル31から発泡性接着剤13を噴射させ、充填用窪み部12内で発泡させる。なお、第二木口面2bに対して発泡性接着剤13を噴射させた場合には、第二木口面2bに形成された空隙内(波状部10内の空間)に入り込み、空隙内で発泡することになる。これにより、充填用窪み部12内または空隙内に発泡性接着剤13が充填された状態となる。なお、発泡性接着剤13の発泡倍率は二倍程度が好ましく、三倍以上にすると接着強度が低下する虞がある。
【0033】
接着剤塗布工程22では、図4(e)に示すように、タンク(図示しない)に貯留された接着剤14を化粧縁部材7の内面に供給しながら、塗布ローラ32を転動させることにより、化粧縁部材7の内面全体に接着剤14を均一の厚さで塗布する。なお、化粧縁部材7は、図示しない繰出し装置によって連続して繰出されるようになっており、接着剤塗布工程22では、パネル体5の寸法に応じた必要長さの化粧縁部材7に対して接着剤14が塗布される。なお、図4(e)では便宜上、塗布ローラ32の回転軸を水平方向とし上下方向に転動させるように示したが、回転軸を垂直方向として水平方向に(ラインに沿って)転動させるようにしてもよい。
【0034】
圧着工程23では、図4(f)に示すように、内面に接着剤14が塗布された化粧縁部材7と、ペーパーハニカム2の表面側領域6a及び裏面側領域6bに発泡性接着剤13が充填されたパネル体5の木口面5aとを突き合わせ、その後、化粧縁部材7の外面上で押えローラ33を転動させることにより、化粧縁部材7とパネル体5を圧着させる。この際、化粧縁部材7の幅(上下方向の長さ)は、パネル体5の厚みよりも大きくなっており、パネル体5の木口面5aに対する化粧縁部材7の貼着位置が上下方向にずれても、パネル体5の木口面5aを確実に覆うことが可能になっている。なお、図4(f)では便宜上、押えローラ33の回転軸を水平方向とし上下方向に転動させるように示したが、回転軸を垂直方向として水平方向に(ラインに沿って)転動させるようにしてもよい。
【0035】
なお、圧着工程23の終了後に行われるエンドカット工程24〜ラウンドトリミング工程27は、従来から実施されている周知の工程であるため、ここでは詳細な説明を省略するが、エンドカット工程24では、繰出し装置によって連続して繰出される化粧縁部材7を貼着後に切断する。また、トリミング工程25は、図4(g)に示すように、パネル体5の上面または下面からはみ出した化粧縁部材7の余剰部分を刃物(図示しない)によって切除する。スクレーパ工程26は、図4(h)に示すように、化粧縁部材7における上下の縁部34に対し刃物(図示しない)を長手方向に摺接させることで、縁部34の面取りを行う。また、ラウンドトリミング工程27では、化粧縁部材7の端面同士の突き合わせ部分35に対して刃物(図示しない)を上下方向に摺接させることで、部分35の面取りを行う。
【0036】
このように、本実施形態の複合化粧パネル1によれば、表面材3の木口面3a及び裏面材4の木口面4aは、化粧縁部材7の内面に塗布された接着剤14によって化粧縁部材7の内面に直接接着され、一方、表面材3における木口面3a近傍の内面、及び裏面材4における木口面4a近傍の内面は、充填された塊状の発泡性接着剤13を介して化粧縁部材7の内面に接着されているため、譬え表面材3及び裏面材4が薄板状であっても、パネル体5と化粧縁部材7との接着面積を広くし、化粧縁部材7の剥がれを防止することができる。
【0037】
また、本実施形態の複合化粧パネル1によれば、表面材3に隣接する表面側領域6a及び裏面材4に隣接する裏面側領域6bに対して溝状の充填用窪み部12が形成され、この充填用窪み部12に対して発泡性接着剤13が充填されるようになっているため、ペーパーハニカム2の切断位置にかかわらず、発泡性接着剤13が充填され得る空間を確保することができ、表面材3及び裏面材4の内面と、それらに直交する化粧縁部材7の内面とを、発泡性接着剤13を介して確実に接着させることができる。
【0038】
また、充填用窪み部12は、ペーパーハニカム2の第一木口面2aに対してのみ形成され、第二木口面2bに対しては発泡性接着剤13を波状部10の空隙に直接充填させるようになっているため、全体の工数を短縮することが可能である。また、第二木口面2bには溝状の充填用窪み部12が形成されないことから、第二木口面2bでは表面側領域6a及び裏面側領域6bにおいても平坦部11が残されたままとなり、発泡性接着剤13を平坦部11に接触させることもでき、ひいてはペーパーハニカム2と表面材3及び裏面材4との接着強度を高めることができる。
【0039】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0040】
すなわち、上記実施形態では、表面材3として、メラミン化粧板16及び紙管原紙17を用いるものを示したが、裏面材4と同様、MDF等の木質材を用いるようにしてもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、ペーパーハニカム2の第一木口面2aにのみ充填用窪み部12を形成するものを示したが、第二木口面2bにも充填用窪み部12を形成するようにしてもよい。また、上記実施形態では、表面側領域6a及び裏面側領域6bに対して発泡性接着剤13を吹付けるものを示したが、ペーパーハニカム2の第一木口面2a及び第二木口面2b全体に発泡性接着剤13を吹付けるようにしてもよい。これによれば、化粧縁部材7及びペーパーハニカム2の間の接着強度をさらに高めることが可能になる。
【0042】
また、上記実施形態では、ペーパーハニカム2に対して表面材3及び裏面材4を直接接着するものを示したが、ペーパーハニカム2の表面側及び裏面側に段ボール等の紙部材を予め貼着してなるペーパーハニカムボードに対して表面材3及び裏面材4を接着するようにしてもよい。
【0043】
さらに、上記実施形態では、化粧縁部材7をパネル体5の全周(4つの木口面)にわたって装着するものを示したが、一部の木口面にのみ装着させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 複合化粧パネル
2 ペーパーハニカム(ハニカム構造材)
2a 第一木口面
2b 第二木口面
3 表面材
3a 木口面
4 裏面材
4a 木口面
5 パネル体
5a 木口面
6a 表面側領域
6b 裏面側領域
7 化粧縁部材
9 片面段ボール
10 波状部
11 平坦部
12 充填用窪み部(窪み部)
13 発泡性接着剤
14 接着剤
20 窪み部形成工程
21 接着剤充填工程
22 接着剤塗布工程
23 圧着工程
【先行技術文献】
【特許文献】
【0045】
【特許文献1】特開平10−711号
【特許文献2】特開2006−168158号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハニカム構造材と、
該ハニカム構造材を芯材として、該ハニカム構造材の表面側に接着された表面材と、
前記ハニカム構造材の裏面側に接着された裏面材と、
前記表面材、前記ハニカム構造材、及び前記裏面材からなるサンドイッチ構造のパネル体の木口面に貼着された化粧縁部材と
を備え、
前記化粧縁部材は、前記ハニカム構造材における木口面のうち少なくとも前記表面材に隣接する表面側領域及び前記裏面材に隣接する裏面側領域に対して塊状に吹付けられた発泡性接着剤と、前記化粧縁部材の内面に塗布された接着剤とを介して前記パネル体の前記木口面に貼着されている
ことを特徴とする複合化粧パネル。
【請求項2】
前記表面側領域及び前記裏面側領域に対して夫々溝状に形成され、内部に前記発泡性接着剤が充填される充填用窪み部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の複合化粧パネル。
【請求項3】
ハニカム構造体と、
該ハニカム構造材を芯材として、該ハニカム構造材の表面側に接着された表面材と、
前記ハニカム構造材の裏面側に接着された裏面材と
からなるサンドイッチ構造のパネル体に対し、該パネル体の木口面に化粧縁部材を貼着する複合化粧パネルにおける縁部材の貼着方法であって、
前記ハニカム構造材における木口面のうち、前記表面材に隣接する表面側領域及び前記裏面材に隣接する裏面側領域に対して夫々溝状の窪み部を形成する窪み部形成工程と、
前記窪み部に発泡性接着剤を充填させる接着剤充填工程と、
前記化粧縁部材の内面に接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、
前記化粧縁部材を、該化粧縁部材の内面に塗布された接着剤、及び前記窪み部に充填された塊状の前記発泡性接着剤を介して前記パネル体の前記木口面に圧着させる圧着工程と
を有することを特徴とする複合化粧パネルにおける縁部材の貼着方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−208269(P2010−208269A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59383(P2009−59383)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(391034488)イビケン株式会社 (29)
【Fターム(参考)】