説明

複合型光学素子及びその製造方法

【課題】光硬化樹脂を充分に硬化させるとともに、太陽光による劣化を防止できる複合型光学素子を実現する。
【解決手段】ガラス基板1に、光学形状4を有する光硬化樹脂層2を積層した複合型光学素子10の製造工程において、光硬化樹脂層2を積層する前のガラス基板1に、270〜410nmの範囲の波長の光をカットするバンド反射フィルター3を設けておく。バンド反射フィルター3によって、光硬化樹脂層2を紫外光によって硬化させるときの光学特性の劣化を抑制するとともに、複合型光学素子10が太陽光に曝されたときの透過率の低下を防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形型により光硬化樹脂に成形型の成形面を転写して光学形状を得る、いわゆるレプリカ成形技術による複合型光学素子及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、回折光学素子や非球面レンズなどの複合型光学素子の成形技術の一つとして、大面積成形性と高転写性に優れ、その成形工程の簡易さから大量生産に適しているレプリカ成形技術が知られている。
【0003】
このレプリカ成形技術は、所望の光学形状の反転形状を有する成形型に光硬化樹脂を滴下し、ガラス基板を圧着させて押し広げ、所望の形状になったところで、光を照射して光硬化樹脂を硬化させて、ガラス基板とともに離型する。
【0004】
近年、複合型光学素子の光学性能を向上させることを目的として、光硬化樹脂の表面にナノレベルの微細形状を転写することや、光硬化樹脂を多層構造にするなどの複合型光学素子が開発されている。また、これらの複合型光学素子に用いるために、特異な光学特性や力学物性を発現する成形材料も開発されている。これらの成形材料の中には、低屈折率−高分散や、高屈折率−低分散などの光学特性を発現させるために、光硬化樹脂に硫黄化合物やフッ素樹脂や金属酸化物微粒子を含有した成形材料がある。
【0005】
光硬化樹脂は、紫外光による化学反応によって硬化するが、同時に可視光域の透過率が落ちるなどの光学特性の劣化も進行する。このように光学特性が劣化する現象は、一般的な光硬化樹脂で生じるが、光硬化樹脂中に硫黄化合物や金属酸化物微粒子を含有した場合には、より強く生じる。これは、光硬化樹脂中に含有する金属酸化物が紫外光のために容易に電子励起して、金属酸化物やこれに接する樹脂の構造を変化させるためと考えられる。
【0006】
このような、光硬化樹脂を成形材料としてカメラレンズなどの光学素子に用いた場合、紫外光を含む太陽光に曝されることで、その可視光域の透過率が大きく落ちてしまう。成形材料の可視光域の透過率の落ち込みが、複合型光学素子の光学性能を著しく低下させることは言うまでもない。
【0007】
従来は、紫外光による可視光域の透過率の落ち込みを改善するために、紫外光入射側に紫外光カットフィルターや紫外光吸収剤を配置する構成などが知られている。
【0008】
例えば、特許文献1に開示されたように、プラスチックレンズの紫外光による劣化防止を目的として、紫外光を反射又は吸収する手段を有する光学系が知られている。
【0009】
また、特許文献2においては、着色剤の紫外光による劣化防止を目的として、紫外光吸収剤を含有する層を有するハードコートフィルムの構成が開示されている。
【0010】
【特許文献1】特開平6−331889号公報
【特許文献2】特開2003−191366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来の技術によれば、以下のような未解決の課題がある。
【0012】
特許文献1の構成においては、紫外光を反射又は吸収する手段として、光学系とは別に紫外光吸収板などを設けることで、製造コストが高くなってしまう。また、紫外光を反射又は吸収する手段として、プラスチックレンズに紫外光カット膜などを設ける場合は、蒸着やスパッタやウェット成膜等の成膜行程によって、プラスチックレンズの光学形状が変形してしまう。紫外光を反射又は吸収する手段として、同じ光学系内の別のガラスレンズ等に紫外光カット膜などを設ける場合は、光学系の前面に複合型光学素子を配置する構成には適用できない。
【0013】
特許文献2に開示されたように、着色剤の紫外光による劣化防止のための紫外光吸収剤を含有する層を設けると、短波長側を含む紫外光が紫外光吸収剤を含有する層によって吸収されてしまい、硬化工程において、成形材料を十分に硬化させることができない。また一方で、紫外光吸収剤を含有する層が太陽光に含まれる比較的長波長側の紫外光を透過する場合、光硬化樹脂や金属酸化物が、長波長側の紫外光を吸収して電子励起するため、複合型光学素子の可視光域の透過率が落ちてしまう。
【0014】
さらに、紫外光吸収剤は、時間が経つにつれて樹脂層から徐々にブリーズアウトしてくる。この紫外光吸収剤のブリーズアウトによって、光学性能の低下や層間剥離を生じる。
【0015】
本発明は、光学形状を転写した光硬化樹脂を紫外光により充分に硬化させることが可能であり、しかも太陽光などによる光硬化樹脂の劣化を防止することができる複合型光学素子及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の複合型光学素子は、ガラス基板と、前記ガラス基板に積層された、光学形状を有する光硬化樹脂層と、を有し、前記ガラス基板は、270〜410nmの範囲の波長の光を反射し、それ以外の光は透過するバンド反射フィルターを備えていることを特徴とする。
【0017】
本発明の複合型光学素子の製造方法は、ガラス基板に積層された、光学形状部を有する光硬化樹脂層を備えた複合型光学素子の製造方法において、270〜410nmの範囲の波長の光を反射し、それ以外の光は透過するバンド反射フィルターをガラス基板に形成する工程と、光学形状部の反転形状を有する成形型に光硬化樹脂を供給する工程と、前記成形型に供給された光硬化樹脂を前記ガラス基板に重ねて、270nmより波長の短い光によって光硬化樹脂を硬化させることで、光学形状部を有する光硬化樹脂層を形成する工程と、前記成形型を離型する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
複合型光学素子に入射する波長を制御する機能を設けることで、複合型光学素子を含む光学系の製造コストを安くすることができる。さらに、光硬化樹脂の硬化工程では、ガラス基板に設けたバンド反射フィルターを通して、270nm以下の波長の紫外光が透過するので、光学特性を劣化させることなく光硬化樹脂を充分に硬化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1に示すように、ガラス基板1の表面に、光硬化樹脂層2が積層された複合型光学素子10において、ガラス基板1の一方の面には、270〜410nmの範囲の波長の光を反射し、それ以外の光を透過するバンド反射フィルター3が形成されている。
【0021】
光硬化樹脂層2の光学形状部に光学形状4を転写する工程では、図2に示すように、光学形状4の反転形状を有する成形型5を用いる。そして、図3に示すように、光源(紫外光照射ランプ)8からの光によって、光学形状4を転写した光硬化樹脂層2を硬化させる。
【0022】
ここで、バンド反射フィルター3の波長の下限を270nmとした根拠は、光硬化樹脂を劣化させる地上での太陽光に含まれる紫外光が、波長270nm以上で分布しているからである。光硬化樹脂の紫外光による硬化の工程では、水銀ランプ等の光源8からの、270nm以下の短い波長の光を利用する。
【0023】
バンド反射フィルター3の波長の上限を410nmとした根拠は、波長410nm以上の光に曝されても光硬化樹脂や金属酸化物微粒子の劣化を生じないからである。また、波長410nm以上の光が透過することで、複合型光学素子の良好な光学性能が得られる。
【実施例1】
【0024】
図1に示す非球面レンズである複合型光学素子10をレプリカ技術によって製造する。図3に示すように、非球面の光学形状の反転形状を有する成形型5は固定されており、成形型5を嵌め込んでいるリング状の保持部材6上には、ガラス基板1が載置される。ガラス基板1の中心軸と成形型5の成形面の中心軸との合わせは、保持部材6の内周縁部に、成形型5の成形面の中心と軸を合わせた嵌合部を設け、ガラス基板1の外周部を嵌め込むことで実現する。
【0025】
ガラス基板1は、石英などのガラス材質からなり、光学面においては平面又は曲面を有する。リング状の保持部材6は上下動自在に保持されている。成形型5の成形面には不図示のディスペンサーにより光硬化樹脂7が適量供給され、ガラス基板1の上方には、光源8が成形型5の成形面に対して紫外光が入射するように設置されている。光硬化樹脂としては、光開始剤の紫外光の吸収からラジカルが生成されるアクリレート系又はメタクリレート系又はエポキシ等の光学用樹脂を使用する。光源8としては、高圧水銀ランプ又は超高圧水銀ランプあるいはキセノンランプなどの紫外光源を使用する。
【0026】
図2に示す成形型5の光学面の非球面形状は、光学有効径φ54mmにおいて、中心への凸形状で形成されている。この光学面の非球面形状は、成形型母材への切削法や研磨等により形成される。
【0027】
非球面レンズである複合型光学素子10は、φ60mmのガラス基板1の片面に、硫黄化合物を含有するメタクリレート系の光硬化樹脂層2を積層したもので、成形型5の反転形状として、中心への凹形状で同心円状に形成された光学形状4を有する。また、ガラス基板1のもう一方の片面には、波長270nm以下の紫外光を透過し、波長270〜410nmの紫外光を反射して、波長410nm以上の紫外光を透過するバンド反射フィルター3が形成されている。
【0028】
次に、本実施例よる複合型光学素子10の製造方法を説明する。
【0029】
まず、ガラス基板1の光学有効域の片面に、上記の反射特性を有するバンド反射フィルター3を蒸着法により形成する。
【0030】
本実施例におけるバンド反射フィルター3は、誘電体多層反射膜であり、蒸着法によって低屈折率材と高屈折率材とを交互に積層して成膜される。低屈折率材としては、SiOやMgFや微細な空孔を有するポーラス材などがある。高屈折率材としては、TiOやZnSやZrOなどがある。
【0031】
バンド反射フィルター3の反射特性は、図8に示すように、270〜410nmの波長の光を反射し、それ以外の光は透過する。
【0032】
次に、図3(a)に示すように、成形型5の成形面の中央付近に不図示のディスペンサーにて、硫黄化合物を含有するメタクリレート系の光硬化樹脂7を適量供給する。
【0033】
次に、あらかじめ光硬化樹脂7との密着性を強くするためのシランカップリング処理を施したガラス基板1を、カップリング処理面を下にしてリング状の保持部材6の内周に設けられた嵌合部に嵌め込む。この際に、芯だし用チャックやベルクランプ方式等、さらにガラス基板1を保持するための機構を備えてもよい。
【0034】
次に、図3(b)に示すように、リング状の保持部材6を下降させ、成形型5とガラス基板1を重ねて、相対的に接近させ、光硬化樹脂7が所望の厚みになり、かつ光学有効径外周まで満たすように押し広げる。この時、光硬化樹脂7の気泡混入や光学有効面への未充填を防止するために、光硬化樹脂7の粘度や成形型5の成形面の濡れ性を考慮して、接液速度を調整しなければならない。
【0035】
次に、充填された光硬化樹脂7に対して、光源8による紫外光を20J(40[mW/cm]×500秒)照射する。このとき、ガラス基板1上のバンド反射フィルター3によって、光硬化樹脂7には、波長270nm以下の紫外光が照射されている。バンド反射フィルター3を透過する紫外光のスペクトルとしては、波長254nm、185nmなどが挙げられる。
【0036】
次に、光硬化樹脂7の重合硬化が完了した後、リング状の保持部材6を上昇させることで、硬化した光硬化樹脂7とガラス基板1からなる非球面レンズである複合型光学素子10を離型する。
【0037】
このように、本実施例によれば、バンド反射フィルターによって、紫外光照射ランプ等の波長270nm以下の紫外光が透過するので、光硬化樹脂を十分に硬化させることができる。また、バンド反射フィルターによって、太陽光に含まれる波長410nm以下の紫外光を反射するので、光硬化樹脂の紫外光劣化を防止することができる。
【0038】
さらに、複合型光学素子自体にバンド反射フィルターを設けるので、紫外光吸収板を別に設けた従来の光学系に比べて、製造コストを安くすることができる。
【実施例2】
【0039】
図4は、回折光学素子である複合型光学素子20を示すもので、ガラス基板11と、回折格子形状である光学形状14を有する光硬化樹脂層12と、を備える。光学形状14を有する光学形状部は、図5に示すように、回折格子形状の反転形状を設けた成形型15の成形面を転写することによって形成される。
【0040】
図6は、光硬化樹脂層12を形成する工程を示すもので、成形型15は固定されており、成形型15を嵌め込んでいるリング状の保持部材16にはガラス基板11が載置される。ガラス基板11の中心軸と成形型15の成形面の中心軸との合わせは、保持部材16の内周縁部に、成形型15の成形面の中心と軸を合わせた嵌合部を設け、ガラス基板11の外周部を嵌め込むことで実現する。
【0041】
ガラス基板11は、石英などのガラス材質からなり、光学面においては平面又は曲面を有する。リング状の保持部材16は上下動自在に保持されている。成形型15の成形面上には不図示のディスペンサーにより光硬化樹脂17が適量供給され、ガラス基板11の上方には光源18が成形型15の成形面に対して紫外光が入射するように設置されている。
【0042】
光硬化樹脂としては、光開始剤の紫外光の吸収からラジカルが生成されるアクリレート系又はメタクリレート系又はエポキシ等の光学用樹脂を使用する。また、光硬化樹脂には、ITO、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニアなどの金属酸化物微粒子を添加する。光源18としては、高圧水銀ランプ又は超高圧水銀ランプ又はキセノンランプなどの紫外光源を使用する。
【0043】
図5に示す成形型15の成形面の微細形状は、光学有効径φ28mmにおいて、平面上に格子高さ5〜20μm、格子幅0.1〜3mmのブレーズ型回折格子を有し、中心への凹形状で同心円状に配置されている。成形面の微細形状は、成形型15のメッキ層の切削により形成される。
【0044】
φ35mmのガラス基板11の片面には、ITO微粒子を含有する光硬化樹脂層12があり、回折格子の微細形状は成形型15の反転形状として、中心への凸形状で同心円状に形成されている。また、ガラス基板11と光硬化樹脂層12との間には、波長270nm以下の紫外光を透過し、波長270〜410nmの紫外光を反射して、波長410nm以上の紫外光を透過するバンド反射フィルター13が形成されている。
【0045】
本実施例におけるバンド反射フィルター13は、誘電体多層反射膜であり、スパッタ法によって低屈折率材と高屈折率材とを交互に積層して成膜される。低屈折率材としては、SiOやMgFや微細な空孔を有するポーラス材などがある。高屈折率材としては、TiOやZnSやZrOなどがある。
【0046】
バンド反射フィルター13の反射特性は、図8に示すように270〜410nmの波長の光を反射し、それ以外の光は透過する。
【0047】
本実施例における回折光学素子である複合型光学素子20の製造方法を以下に説明する。
【0048】
まず、ガラス基板11の光学有効域の片面に、上記の反射特性を有するバンド反射フィルター13をスパッタリング法により形成する。
【0049】
次に、成形型15の成形面の中央付近に不図示のディスペンサーにて、ITO微粒子を含有する光硬化樹脂17を適量供給する。
【0050】
次に、あらかじめ光硬化樹脂17との密着性を強くするためのカップリング処理をバンド反射フィルター13の面に施したガラス基板11を、カップリング処理面を下にしてリング状の保持部材16の内周に設けられた嵌合部に嵌め込む。この際に、芯だし用チャックやベルクランプ方式等、さらにガラス基板11を保持するための機構を備えてもよい。
【0051】
次に、リング状の保持部材16を下降させ、成形型15とガラス基板11を重ねて、相対的に接近させ、光硬化樹脂17が所望の厚みになり、かつ光学有効径外周まで満たすように押し広げる。この時、光硬化樹脂17の気泡混入や光学有効面形状への未充填を防止するために、光硬化樹脂17の粘度や成形型15の成形面の濡れ性を考慮して、接液速度を調整しなければならない。
【0052】
次に、充填された光硬化樹脂17に対して、光源18による紫外光を12J(100[mW/cm]×2分)照射する。このとき、ガラス基板11上のバンド反射フィルター13によって、光硬化樹脂17には、波長270nm以下の紫外光が照射されている。具体的には、バンド反射フィルター13を透過する紫外光のスペクトルとしては、波長254nm、185nmなどが挙げられる。
【0053】
光硬化樹脂17の重合硬化が完了した後、リング状の保持部材16を上昇させることで、成形型15から、硬化した光硬化樹脂層12とガラス基板11からなる複合型光学素子20を離型する。
【0054】
このように、本実施例によれば、バンド反射フィルターによって、紫外光照射ランプ等の波長270nm以下の紫外光が透過するので、光硬化樹脂を十分に硬化させることができる。また、バンド反射フィルターによって、太陽光に含まれる波長410nm以下の紫外光を反射するので、光硬化樹脂と金属酸化物微粒子の紫外光劣化を防止することができる。
【0055】
さらに、複合型光学素子自体にバンド反射フィルターを設けるので、紫外光吸収板を別に設けるた従来の光学系に比べて、製造コストを安くすることができる。
【実施例3】
【0056】
図7は、実施例3による複合型光学素子を用いた光学系であるレンズ系を示す。このレンズ系は、2枚のガラス基板21a、21bの間に積層された複数層の光硬化樹脂層22a、22bを有する複合型光学素子30を備える。複合型光学素子30は、光硬化樹脂層22a、22bの間に、回折格子形状である光学形状24を有する光学形状部を形成した回折光学素子である。
【0057】
鏡筒31の内部には、複数の光学素子である光学レンズ32、33及び複合型光学素子30が並列に配置される。
【0058】
ガラス基板21aに配置したバンド反射フィルター23が、太陽光に含まれる紫外光を反射させるので、光硬化樹脂や金属酸化物微粒子の紫外光による劣化を防止することができる。さらに、バンド反射フィルター23が、可視光を透過させるので、複合型光学素子30の可視光域における良好な光学性能を得ることができる。
【0059】
270〜410nmの波長の光を反射し、それ以外の光を透過するバンド反射フィルター23は、レンズ系の入射光側の前面、すなわち、光学系の最も外側に配置され、大気と接触する側に位置するガラス基板21aの表面に形成されている。
【0060】
複合型光学素子30の製造方法は、実施例2と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】実施例1による複合型光学素子を示すもので、(a)はその平面図、(b)は断面図である。
【図2】実施例1に係る成形型を示すもので、(a)はその平面図、(b)は断面図である。
【図3】実施例1に係る成形工程を説明する工程図である。
【図4】実施例2による複合型光学素子を示すもので、(a)はその平面図、(b)は断面図である。
【図5】実施例2に係る成形型を示すもので、(a)はその平面図、(b)は断面図である。
【図6】実施例2に係る成形工程を説明する工程図である。
【図7】実施例3による光学系を説明する図である。
【図8】バンド反射フィルターの反射特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0062】
1、11、21a、21b ガラス基板
2、12、22a、22b 光硬化樹脂層
3、13、23 バンド反射フィルター
5、15 成形型
6、16 保持部材
7、17 光硬化樹脂
8、18 光源
10、20、30 複合型光学素子
31 鏡筒
32、33 光学レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板と、
前記ガラス基板に積層された、光学形状部を有する光硬化樹脂層と、を有し、
前記ガラス基板は、270〜410nmの範囲の波長の光を反射し、それ以外の光は透過するバンド反射フィルターを備えていることを特徴とする複合型光学素子。
【請求項2】
2枚のガラス基板と、
前記2枚のガラス基板の間に積層された、光学形状部を有する複数層の光硬化樹脂層と、を有し、
前記2枚のガラス基板のうちの大気と触れる側のガラス基板は、270〜410nmの範囲の波長の光を反射し、それ以外の光は透過するバンド反射フィルターを備えていることを特徴とする複合型光学素子。
【請求項3】
前記光硬化樹脂層は、硫黄化合物を含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合型光学素子。
【請求項4】
前記光硬化樹脂層は、金属酸化物微粒子を含有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の複合型光学素子。
【請求項5】
複数の光学素子が並列に配置された光学系において
前記複数の光学素子のうちで、前記光学系の最も外側に位置する光学素子は、請求項1ないし4のいずれかに記載の複合型光学素子であることを特徴とする光学系。
【請求項6】
ガラス基板に積層された、光学形状部を有する光硬化樹脂層を備えた複合型光学素子の製造方法において、
270〜410nmの範囲の波長の光を反射し、それ以外の光は透過するバンド反射フィルターをガラス基板に形成する工程と、
光学形状部の反転形状を有する成形型に光硬化樹脂を供給する工程と、
前記成形型に供給された光硬化樹脂を前記ガラス基板に重ねて、270nmより波長の短い光によって硬化させることで、光学形状部を有する光硬化樹脂層を形成する工程と、
前記成形型を離型する工程と、を有することを特徴とする複合型光学素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−139532(P2010−139532A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312918(P2008−312918)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】