説明

複合型生理学的センサのシステムおよび方法

被検者の生理学的状態を監視するためのシステムおよび方法が提供される。被検者の1つまたは複数の生理学的パラメータは、少なくとも1つのPPGセンサを用いて取得される(1つまたは複数の)光プレチスモグラフ(PPG)信号から決定されてもよい。実施形態によっては、電気生理学的信号(EPS)センサは、PPGセンサの内部または近くに配置されてもよい。PPGセンサおよびEPSセンサの双方を含むセンサ配置は、(1つまたは複数の)PPG信号を1つまたは複数のEPS信号と組み合わせて検出するために有利に用いられてもよい。EPSセンサとPPGセンサとの間の潜在的干渉を低減するために、光信号は、光ファイバ入力線および光ファイバ出力線を用いて光発生回路および光検出回路から送信されてもよい。実施形態によっては、発生回路および検出回路は互いから遠隔に配置されてもよく、さらには、EPSセンサ、PPGセンサまたはこれらの双方から遠隔に配置されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年11月12日に出願された、「SYSTEMS AND METHODS FOR COMBINED PHYSIOLOGICAL SENSORS」と題する米国仮特許出願第61/260,734号の優先権を主張するものであり、この仮特許出願は参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は信号処理のシステムおよび方法に関し、より具体的には、被検者の1つまたは複数の生理学的特徴を、複合型光プレチスモグラフ(PPG)および電気式生理学的パラメータの測定機能を有する1つまたは複数のセンサを用いて検出するためのシステムおよび方法に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
生理学的センサデバイスは、被検者の電気信号を受信するように構成される第1のセンサと、被検者との間で光信号を送受信するように構成される第2のセンサとを含んでもよい。例えば、第1のセンサは、脳波計(EEG)信号を受信するように構成されるEEGセンサ等の電気生理学的信号(EPS)センサであってもよいが、任意の適切なEPSセンサが使用され得ることは理解されるであろう。第2のセンサは、例えば、光センサ等のPPGセンサ(例えば、酸素濃度センサ)であってもよい。ある実施形態において、第2のセンサは、光信号を送受信するように構成される1つまたは複数の光学的開口を含んでもよい。発生される光信号は、単一波長または複数波長の光を含んでもよい。第2のセンサは、光信号を発生させ、かつ受信される光信号を電気信号に変換するための回路と結合されてもよい。この回路は、回路と第1のセンサとの間の電気的干渉を低減するために第1のセンサから遠隔に配置されてもよい。実施形態によっては、発生回路および検出回路のコンポーネントは互いから遠隔に配置されてもよく、また、発生回路および検出回路はさらに、第1のセンサ、第2のセンサまたはこれらの双方から遠隔に配置されてもよい。センサと、発生回路と、検出回路との間で光信号を伝送するために、1つまたは複数の光ファイバ線が使用されてもよい。
【0004】
本開示による方法およびシステムの説明は、生理学的信号(例えば、PPG信号またはEPS信号)の監視を参照して行うが、本開示が生理学的信号の監視に限定されず、また、幾つかの信号監視設定の範囲内で有効に適用されることが理解されるであろう。当業者は、本開示が、他の生体信号(例えば、胃筋電図、心拍信号、病理音、超音波、または他の任意の適切な生体信号)、状態監視信号、流体信号、電気信号、音響および音声信号、化学信号、他の任意の適切な信号、あるいはこれらの任意の組合せを含む、但しこれらに限定されない他の信号に対して広範な適用性を有することを認識するであろう。
【0005】
本開示の上述の特徴および他の特徴、その性質および様々な優位点は、添付の図面に関連して理解される以下の詳細な説明を考察すれば、より明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】ある例示的な配置による、被検者監視システムのセンサ構造を示すブロック図である。
【図2】ある例示的な配置による、被検者監視システムを示すブロック図である。
【図3】被検者の少なくとも2つの異なる生理学的パラメータを監視するための例示的なプロセスを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
被検者の生理学的状態を、例えば被検者の1つもしくは複数の生理学的パラメータの決定、推定、および/または追跡によって監視することは、広範な医学的および非医学的アプリケーションにおける関心事であり得る。被検者の生理学的特徴を(例えば、血圧、酸素飽和度および特別な心臓の病気の存在等の1つまたは複数の生理学的パラメータの決定を介して)知ることは、潜在的に危険な健康状態の早期検出および/または警告、疾病の診断および治療、ならびに/あるいは予防薬の指導等、被検者にとって短期的および長期的な利点を提供する可能性がある。
【0008】
被検者の生理学的パラメータは、プレチスモグラフ信号または光プレチスモグラフ(PPG)信号から決定されることが可能であり、またこのような信号は、被検者からセンサを用いて取得されることが可能である。例えば、プレチスモグラフ信号は、被検者の手首部位へ固定され得る圧力トランスデューサ形式のセンサを用いて被検者から取得されることが可能である。あるいは、または追加的に、PPG信号は、指、付属体(例えば、耳)、または額等の被検者の他の部分(本明細書において、「指」は被検者の足指または手指を指す)へクリップで留められる、または固定される光センサ形式のPPGセンサを用いて取得されることが可能である。このようなPPGセンサは、被検者の血中酸素飽和度を決定するために使用される光を発し、また検出するために用いられてもよい。
【0009】
さらに、ある実施形態では、被検者へ第2のPPGセンサが取り付けられてもよく、これらの2つのPPGセンサの組合せが、例えば連続的な非侵襲的血圧(CNIBP)技術を用いる、被検者の血圧の決定を可能にする場合がある。例えば、ある配置では、2つのPPGベース光センサの使用が可能である。これらのセンサのうちの一方は、被検者の血中酸素飽和度を決定するために用いられてもよく、もう一方のセンサは、単独または組合せにより、非侵襲的技術を介して被検者の血圧推定値を決定するために用いられてもよい。
【0010】
例えば、酸素飽和度、血圧、および/または他の生理学的パラメータを測定するためのPPGセンサの使用は、1つまたは複数の他の電気生理学的信号の測定によって補足されてもよい。電気生理学的信号(本明細書では、EPSと略記)には、脳波(EEG)信号、心電図(ECGまたはEKG)信号、筋電図(EMG)信号、または他の任意の電気生理学的信号が含まれてもよい。例えば、ある配置において、EPSセンサ(例えば、電極)は、各PPGセンサ内に、または各PPGセンサの近くに置かれてもよい。例えば、ある配置において、各PPGセンサは光センサ(例えば、パルス酸素濃度センサ)であってもよく、EPSセンサはこれらのPPGセンサの各々のハウジング内に置かれてもよい。概して、PPGセンサおよびEPSセンサの双方を含むセンサ構成は、(1つまたは複数の)PPG信号を1つまたは複数のEPS信号と組み合わせて検出するために有利に用いられてもよく、また、被検者に関する広範な有益情報を提供してもよい。例えば、ある配置において、被検者の1つまたは複数の生理学的パラメータは、重み付き生体信号情報を与えるために、EPSセンサと組み合わされたPPGセンサ(パルス酸素濃度センサ、CNIBPセンサ等)を用いて決定されてもよい。ある配置において、これらのPPGセンサの各々によって行われる測定は、例えば、被検者の酸素飽和レベルを決定すべくゲート信号として使用されるために、EPSセンサによって行われる測定と組み合わされてもよい。ある配置において、フィルタリングプロセスは、例えば、測定されたPPG信号のうちの少なくとも2つの集合平均化をトリガするために用いられてもよく、これは、生理学的および/または生体信号パラメータの導出を向上させる場合がある。
【0011】
ある配置において、被検者にはPPGセンサが取り付けられてもよい。上述したように、このPPGセンサはパルス酸素濃度センサに相当する場合がある(また、血中酸素飽和レベルを決定するために単一のセンサとして用いられる場合もあり、かつ/または被検者の血圧を決定するために縦に並んだ2つのセンサのうちの1つとして用いられる場合もある)。PPGセンサは、被検者の組織を透過して、または被検者の組織により反射されて検出器により検出される光を発してもよい。組織を透過する、または組織により反射される光は、被検者の血液により、血中に存在する血液成分の量を表す量で吸収される1つまたは複数の波長であるように選択されてもよい。組織を透過する、または組織によって反射される光の量は、組織内の血液成分の変化量および関連する光吸収に従って変わる。赤の波長および赤外波長が使用される場合があるが、これは、酸素濃度が高い血液は、より低い酸素飽和度を有する血液に比べて赤色光をより少なく、かつ赤外光をより多く吸収することが観察されているためである。脈拍サイクルにおける異なるポイントで2つの波長の強度を比較すれば、動脈血におけるヘモグロビンの血中酸素飽和度を推定することが可能である。
【0012】
測定される血液パラメータがヘモグロビンの酸素飽和度である場合、便宜的な開始点は、ランベルト−ベールの法則に基づいて飽和度の計算を想定する。本明細書では、次の表記法が用いられる:
【数1】

(1)
但し、
λ=波長、
t=時間、
I=検出光の強度、
=透過光の強度、
s=酸素飽和度、
β、β=経験的に導出された吸収係数、および、
l(t)=濃度と、エミッタから検出器までの経路長さとの時間関数としての組合せである。
【0013】
光の吸収は2つの波長(例えば、赤および赤外(IR))において測定されてもよく、次に、下記のように「比の比」を解くことによって飽和度が算出されてもよい。
【0014】
1.まず、IRおよび赤について、式(1)の自然対数が求められる(「log」は、自然対数を表すのに用いられる)。
log I=log I−(sβ+(1−s)β)l (2)
【0015】
2.次に、式(2)が時間に関して微分される。
【数2】

(3)
【0016】
3.赤の(3)がIRの(3)で除される。
【数3】

(4)
【0017】
4.sについて解く。
【数4】

離散時間では、
【数5】

であることに注意されたい。
【0018】
logA−logB=logA/Bを用いれば、
【数6】

であり、よって、式(4)は、
【数7】

(5)
のように書き直されることが可能である。但し、Rは「比の比」を表す。式(5)を用いてsについて式(4)を解けば、
【数8】

となる。
【0019】
式(5)から、Rは、2つの点(例えば、PPGの最大値および最小値)または点ファミリを用いて計算されることが可能である。点ファミリを用いる一方法は、式(5)の変形バージョンを用いる。関係式、
【数9】

(6)
を用いれば、式(5)は、
【数10】

(7)
になる。これは、
【数11】

である場合に、そのx対yの勾配がRとなる点クラスタを画定する。
【0020】
Rが、例えば先に述べた技術を用いて決定または推定されれば、血中酸素飽和度は、血中酸素飽和度値をRと関連づけるための任意の適切な技術を用いて決定または推定されることが可能である。例えば、血中酸素飽和度はRの値によってインデックスされてもよい経験的データから決定されることが可能であり、かつ/または曲線の当てはめおよび/または他の内挿技術から決定されてもよい。
【0021】
ある配置において、被検者には少なくとも2つのPPGセンサが取り付けられてもよい。上述したように、これらのPPGセンサはパルス酸素濃度センサに相当してもよく、また被検者のCNIBPを決定するために用いられてもよい。各センサは、被検者の血圧および/または他の関連する生体信号パラメータを測定された(1つまたは複数の)信号から推定するために、被検者身体の異なる個々の位置に配置されてもよい。ある配置では、測定される信号の基準点が同定されてもよく(また、この基準点は、信号の前縁または後縁、あるいは信号のピークまたは谷の位置等の基準「特徴」に相当してもよく)、また、Tで示される、2つのセンサ(例えば、パルス酸素濃度センサ)におけるこの基準点の到達時間間の経過時間が決定されてもよい。次には、血圧とTとの間の任意の適切な関係式から、被検者の血圧の推定値pが決定されてもよい。例えば、ある配置では、経過時間から被検者の血圧の推定値を決定するために、次の数学的関係が用いられてもよい。
【数12】

但し、aおよびbは、較正プロセスから決定され得る、また、被検者の情況、および例えば被検者に取り付けられる信号検出器に依存し得る定数である。較正が、例えば非侵襲的血圧デバイスを用いて完了されると、被検者の血圧を決定するために、上述の1つに類似する、または等しい方程式が用いられることが可能である。上述の方程式は例示を旨とするものであり、被検者の推定血圧を導出するために他の適切な任意の(1つまたは複数の)方程式が用いられる場合もある。さらに、血圧推定値は、連続的または周期的に算出されてもよい。あるいは、または追加的に、ある実施形態において、Tは、ECG信号上の基準点とPPG信号上の基準点との間の時間差として求められてもよい。脈波伝播時間が、例えば血圧測定値を決定するために、上述の2つのPPG信号の到達時間差の代わりに用いられてもよい。
【0022】
EPS測定は、隣接する、または近隣の電気デバイスからの電気駆動またはデータ信号等の他の形式の電気的干渉に対してかなり敏感である場合がある。例えば、被検者上のEEG電極は、近隣のPPGセンサの電気回路からの干渉を受けやすいことがある。EPSセンサと近隣のPPGセンサとの間の潜在的干渉を低減するために、PPG測定に必要とされる光信号を、実際のPPGセンサおよび近隣のEPSセンサから離れて配置され得る発生回路および検出回路から伝送すべく、光ファイバ入出力線が用いられる場合がある。実施形態によっては、発生回路および検出回路は、電気干渉を低減するために互いから遠隔に配置される場合がある。例えば、光検出回路はPPGセンサに近接して配置されても、PPGセンサ内に実質埋め込まれてもよく、光発生回路はPPGセンサおよびEPSセンサから遠隔に配置されてもよい。別の実施例として、光発生回路はPPGセンサに近接して配置されても、PPGセンサ内に実質埋め込まれてもよく、光検出回路はPPGセンサおよびEPSセンサから遠隔に配置されてもよい。どちらの配置も、例えば、発生回路および検出回路が異なるレベルの電気的干渉を生成するかどうかに依存して好適である場合がある。上述で説明したように、実施形態によっては、発生回路および検出回路は何れも、PPGセンサおよびEPSセンサから遠隔に配置されてもよい。このような実施形態では、発生回路および検出回路は、また、互いから遠隔に配置されてもよい。光ファイバ入出力線は、PPG測定に必要とされる光信号を、その回路が局所的に配置されるか遠隔的に配置されるかに関わらず、発生回路および検出回路から伝送するために用いられてもよい。
【0023】
図1は、ある例示的な配置による被検者監視システムのセンサ構造体100を示すブロック図である。センサ構造体100は、マウンティングデバイス102上へ配置される複数のセンサデバイスを含んでもよい。マウンティングデバイス102は被検者の頭部へ取り付けられるように構成されてもよく、また、例えば、ヘッドバンドであっても、ヘッドバンドの一部として包含されてもよい。他の配置において、センサ構造体100は、被検者の他の場所へ取り付けられるように構成されてもよい。センサ構造体100は、複数のEPSセンサデバイスを含んでもよい。図示されている配置では、センサ構造体100は3つのEPSセンサデバイス104、106および108を含んでいるが、他の配置では、これより少ない、または多いセンサデバイスが含まれてもよく、またセンサデバイスは、ECGまたはEMG信号等の被検者の他の電気生理学的信号を測定するために含まれてもよい。配置によっては、センサ構造体100は、被検者の複数の電気生理学的信号を測定することができる場合がある。例えば、センサ構造体100は、EEGおよびEMG信号を検出するためのセンサを含んでもよい。各EPSセンサデバイスは、マウンティングデバイス102へ取り付けられる電極(110、112および114)を含んでもよく、また、電極を1つまたは複数のセンサ入力ポート(図示せず)へ電気接続する電極線(116、118および120)を含んでもよい。電極104〜108は、関連するEPSをより良く検出すべく被検者に接触するように配置されてもよい。配置によっては、電極104〜108は被検者頭部の様々な位置に配置されてもよい。例えば、1つの電極は被検者の額中央に配置されてもよく、1つの電極は眉毛の上に配置されてもよく、また1つの電極はこの片方の眉毛に最も近いこめかみに配置されてもよい。配置によっては、EPSセンサデバイスは受動センサとして機能する。必要に応じて、センサデバイスの作動を必要とする生理学的信号を測定するために、1つまたは複数のEEGセンサデバイスが用いられてもよい。例えば、被検者のインピーダンスが測定される場合、電極線116〜120のうちの少なくとも1つは入力電流または入力電圧によって駆動されてもよく、また、他の電極において出力電流および/または出力電圧が測定されてもよい。配置によっては、センサ構造体100は、マウンティングデバイス102に取り付けられる接地122を含んでもよい。接地122は、EEGセンサデバイス104〜108のための接地を提供してもよく、また、接地線124を介して1つまたは複数の接地入力ポート(図示せず)へ電気接続されてもよい。配置によっては、接地122はマウンティングデバイス102から分離していてもよく、また被検者の鼻梁等の被検者頭部に配置されてもよい。他の実施形態では、接地122は被検者のその他の場所に配置される場合がある。例えば、接地122は指、付属体(例えば、耳)、被検者の他の適切な任意の部分、または適切な電気接地を提供し得るこれらの任意の組合せに配置されてもよい。
【0024】
センサ構造体100は、マウンティングデバイス102に取り付けられる少なくとも1つの光センサデバイス126(例えば、PPGまたは酸素濃度計センサデバイス)を含んでもよい。光センサデバイス126は、1つまたは複数の光ファイバ入力線130〜132および光ファイバ出力線134を備える光センサ128を含んでもよい。光センサ128は、酸素濃度測定および/または血圧測定を実施するために被検者身体上に配置されてもよい。前述で説明したように、EEG測定等の敏感な測定は、近隣の電気的活動からの干渉を受けやすい場合がある。故に、光センサシステムの電気−光変換回路をセンサ構造体100から離して配置し、かつ光ファイバ線を用いて光信号を搬送することは、EEG電極110〜114が検出する干渉またはノイズの量を減らす場合がある。光ファイバ入力線130〜132は、1つまたは複数のエミッタ(図示せず)から関心のあるサイトへ光信号を搬送してもよい。搬送される光信号は、レーザからの光等のコヒーレント光であっても、非コヒーレント光であってもよい。配置によっては、光ファイバ入力線130および132は各々、異なる波長の光を搬送してもよい。例えば、光ファイバ線130は赤色光を搬送してもよく、光ファイバ線132はIR光を搬送してもよい。他の配置において、1つまたは複数の光ファイバ線130〜132は複数の波長の光を搬送してもよい。例えば、赤色およびIR光は互いに混合され、単一の光ファイバ線を介して搬送されてもよい。これらの配置では、含まれる光ファイバ入力線が1つだけであってもよい。
【0025】
光ファイバ入力線130〜132は、光センサ128内に配置される1つまたは複数の入力ポート136へ光を搬送してもよい。入力ポート136は、光が光センサ128を出ることができるようにするための1つまたは複数の出口開口(図示せず)を含んでもよい。光ファイバ入力線は各々固有の出口開口を有する場合もあれば、複数の光ファイバ入力線が1つまたは複数の出口開口を共用する場合もある。
【0026】
入力ポート136を出る光は被検者内へ搬送されて、1つまたは複数の内部表面または内部構造体から反射される場合がある。配置によっては、反射された光信号は、1つまたは複数の生理学的信号に関する情報を含むことがある。光センサ128は、被検者から反射される光信号を受信するための1つまたは複数の出力ポート138を含んでもよい。出力ポート138は、反射される光信号を受信するための1つまたは複数の入口開口(図示せず)を含んでもよい。配置によっては、各入口開口は、ある特定の光波長を受信するように構成されてもよい。例えば、入口開口は、特定の光波長を濾波するためのフィルタを含んでもよい。他の配置では、入口開口は、複数の波長の光を受信するように構成されてもよい。出力ポート138内の入口開口は、1つまたは複数の光ファイバ出力線134へ結合されてもよく、光ファイバ出力線134は、受信される反射された光信号を1つまたは複数の受信器(図示せず)へ搬送してもよい。
【0027】
図2は、ある例示的な配置による被検者監視システム200を示すブロック図である。監視システム200は、図1に関連して前述したセンサ構造体100を含む。また監視システム200は、光ファイバ変換器202、プロセッサ204、記憶装置206、ユーザインタフェース208およびネットワークインタフェース210も含んでもよい。電極線116〜120および接地線124は、電極110〜114および接地122をプロセッサ204へ電気接続してもよい。光ファイバ入力線130〜132および光ファイバ出力線134は、光ファイバ変換器202との間で光を搬送してもよい。実施形態によっては、プロセッサ204、記憶装置206、ユーザインタフェース208およびネットワークインタフェース210のうちの1つまたは複数がモニタ212内に配置されてもよい。図示されているように、光ファイバ変換器202は、センサ構造体100またはモニタ212の一部としては含まれない。例えば、光ファイバ変換器202は、センサ構造体100とモニタ212との間に配置されるケーブル布線または相互接続に組み込まれてもよい。他の配置では、光ファイバ変換器202の一部または全てがモニタ212内に、またはセンサ構造体100内に(例えば、光センサ128の一部として)含まれてもよい。
【0028】
光ファイバ変換器202は、1つまたは複数の光エミッタと、1つまたは複数の光検出器(図示せず)とを含んでもよい。光ファイバ変換器202内の光エミッタは、光ファイバ入力線130〜132へ結合されてもよい。例えば、入力線130は1つの光エミッタへ結合されてもよく、入力線132は別の光エミッタへ結合されてもよい。所定の配置では、ある特定の入力線が2つ以上の光エミッタへ結合されてもよい。例えば、2つ以上の光エミッタは異なる波長の光を発してもよく、これらの光エミッタは混合されて入力線へ結合されてもよい。他の配置では、1つの光エミッタが2つ以上の入力線へ結合されてもよい。
【0029】
また、光ファイバ変換器202内の1つまたは複数の光検出器は、光ファイバ出力線134へ結合されてもよい。例えば、出力線134は、光ファイバ変換器202内の1つの光検出器へ結合されてもよい。他の配置において、出力線134は変換器202内の2つ以上の光検出器へ結合されてもよい。
【0030】
光ファイバ変換器202内の光エミッタおよび光検出器は、電気信号を光信号へ、またその逆の変換を行うように構成されてもよい。例えば、変換器202内の光エミッタは電気信号をある特定波長の光へ変換してもよく、また変換器202内の光検出器は特定波長の光を特定の周波数または振幅を有する電気信号へ変換してもよい。配置によっては、変換器202内の各光検出器は、所定の波長の光のみに反応するように構成されてもよい。他の配置では、ある特定の光検出器が幾つかの光波長に対して感応してもよい。
【0031】
ある実施形態において、光ファイバ変換器202内の光エミッタおよび光検出器等の光エミッタおよび光検出器は、互いから遠隔に配置されてもよい。例えば、実施形態によっては、光ファイバ変換器はエミッタまたは、検出器の何れかを含んでもよい。光ファイバ変換器は、一方の光ファイバ変換器が光エミッタを含み、またもう一方の光ファイバ変換器が光検出器を含む、少なくとも2つが与えられてもよい(図示せず)。これらの光ファイバ変換器は、次に、互いから遠隔に配置されてもよい。あるいは、または追加的に、光エミッタおよび光検出器の少なくとも一つは光ファイバ変換器から分離して配置されてもよい。
【0032】
光ファイバ変換器202は、プロセッサ204と通信可能式に結合されてもよい。例えば、プロセッサ204は、変換器202内の光エミッタへ光に変換する電気駆動信号を提供してもよく、また変換器202内の光検出器から変換された電気信号を受信してもよい。他の配置において、光ファイバ変換器202は、その光エミッタのための駆動信号を独立して生成することができてもよく、また、プロセッサ204は、変換器の光検出器から変換された電気信号を受信しながら変換器202へは命令を供給するだけであってもよい。
【0033】
プロセッサ204は、信号を処理するための、または様々なPPGおよびEPS測定に関連する処理タスクを実施するための任意の適切なソフトウェア、ファームウェアおよび/またはハードウェア、ならびに/あるいはこれらの組合せであってもよい。例えば、プロセッサ204は、関連の生理学的パラメータを決定するために、受信される電気信号を処理するように構成されてもよい。プロセッサ204は、1つまたは複数のハードウェアプロセッサ(例えば、集積回路)、1つまたは複数のソフトウェアモジュール、メモリ等のコンピュータ読取り可能媒体、ファームウェア、またはこれらの任意の組合せを含んでもよい。プロセッサ204は、例えばコンピュータであってもよく、1つまたは複数のチップ(即ち、集積回路)であってもよい。プロセッサ204は、任意の適切な帯域通過フィルタリング、適応フィルタリング、閉ループフィルタリング、および/または他の適切な任意のフィルタリング、ならびに/あるいはこれらの任意の組合せ等の任意の適切な信号処理を実施してもよい。
【0034】
また、プロセッサ204は記憶装置206へリンクされてもよく、または任意の適切な揮発性メモリデバイス(例えば、RAM、レジスタ、他)、不揮発性メモリデバイス(例えば、ROM、EPROM、磁気記憶デバイス、光記憶デバイス、フラッシュメモリ、他)または双方の1つまたは複数のメモリデバイスを組み込んでもよい。メモリはプロセッサ204によって、例えば生理学的パラメータに対応するデータを格納するために用いられてもよい。記憶装置206は1つまたは複数の記憶デバイスを含んでもよく、また、関連する生理学的データを収容する1つまたは複数のデータベースを含んでもよい。また記憶装置206は、プロセッサ204の動作命令およびソフトウェアも格納してもよい。
【0035】
またプロセッサ204は、ユーザインタフェース208、および/またはネットワークインタフェース210へもリンクされてもよい。ユーザインタフェース208は、例えば、1つまたは複数の医療デバイス(例えば、様々な生理学的パラメータを表示する医療用モニタ、医療用アラーム、あるいは生理学的パラメータを表示するかまたはプロセッサ204の出力を入力として用いる他の任意の適切な医療デバイス)、1つまたは複数のディスプレイデバイス(例えば、モニタ、PDA、携帯電話、他の適切な任意のディスプレイデバイス、またはこれらの任意の組合せ)、1つまたは複数のオーディオデバイス、1つまたは複数の印刷デバイス、他の適切な任意の出力デバイス、あるいはこれらの任意の組合せ等の任意の適切な出力デバイスを含んでもよい。またユーザインタフェース208は、ユーザがそれを用いてプロセッサ204に関する情報または命令を入力し得るキーボードまたはマウス等の1つまたは複数のユーザ入力デバイスも含んでもよい。ネットワークインタフェース210は、プロセッサ204を1つまたは複数のネットワークとリンクしてもよい。
【0036】
図3は、被検者の少なくとも2つの異なる生理学的パラメータを監視するための例示的なプロセス300を示す流れ図である。ステップ302では、1つまたは複数の光信号が、例えば光ファイバ変換器202(図2)によって送信および/または受信されてもよく、この光ファイバ変換器202は、次に、ステップ304において、受信された光信号(例えば、PPGまたは酸素濃度計信号)を1つまたは複数の電気信号へ変換してもよい。ある実施形態において、送信器および受信器は互いから遠隔に配置されてもよい。例えば、送信器を有する第1の光ファイバ変換器、および受信器を有する第2の光ファイバ変換器が与えられてもよく、あるいは、送信器または受信器の少なくとも一方が光ファイバ変換器から遠隔に配置されてもよい。ステップ306では、1つまたは複数のEEG電気信号、あるいは他の電気的な生理学的信号が、例えば、EEGセンサデバイス104〜108(図1)によって受信されてもよい。ステップ308では、EEG電気信号および電気的PPG信号が、例えばプロセッサ204によって受信されてもよい。ステップ310では、受信された信号が、例えばプロセッサ204によって処理されてもよい。プロセッサ204によって実施される処理は、ノイズ除去、アナログ−デジタル変換、あるいは他の任意のアナログまたはデジタル信号処理を含んでもよい。ステップ312では、処理された信号から、例えばプロセッサ204によって1つまたは複数の生理学的パラメータが算出または決定されてもよい。算出される生理学的パラメータの実施例には、意識指数、脈拍数、血中酸素飽和度、血圧、呼吸数、呼吸努力、血管運動、血管コンプライアンス、心拍出量または他の任意の適切な生理学的パラメータが含まれてもよい。
【0037】
以上は、本開示の原理の単なる例示であり、当業者によって本開示の範囲および精神を逸脱することなく様々な修正形態が行われることが可能である。上述した実施形態は、限定ではなく、例示を目的として提示されたものである。本開示は、本明細書において明示的に記述されているもの以外の多くの形式を取ることもできる。したがって、本開示は明示的に開示された方法、システムおよび装置に限定されず、添付の特許請求の範囲の精神の範囲内にある変形形態およびその修正形態を包含することが意図される点を強調しておく。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的センサデバイスであって、
被検者の第1の電気信号を受信するように構成される第1のセンサと、
被検者へ第1の光信号を送信し、かつ被検者から第1の光信号を受信するように構成される第2のセンサとを備え、第2のセンサは、
第1の光信号を送信または受信するように構成される光学的開口を備え、第2のセンサは、第1の光信号を発生させるための回路、または第1の光信号を第2の電気信号に変換するための回路と結合されることが可能であり、かつ回路は、回路と第1のセンサとの間の電気的干渉を低減するために第1のセンサから遠隔に配置される、生理学的センサデバイス。
【請求項2】
光学的開口が第1のセンサの近くに配置される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
第1のセンサがEEGセンサであり、かつ第1の電気信号がEEG信号である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
第2のセンサがPPGセンサである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
光学的開口と回路とが少なくとも1つの光ファイバ線によって結合される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
第1の光信号が第2のセンサによって被検者内へ送信され、かつ第2のセンサが被検者から第2の光信号を受信するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
第1の光信号が回路によって発生され、かつ第2の光信号は回路によって第2の電気信号に変換される、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
第1の光信号が少なくとも1つの波長の光を含む、請求項6に記載のデバイス。
【請求項9】
第1の光信号が複数の波長の光を含む、請求項6に記載のデバイス。
【請求項10】
回路が第2のセンサの一部として含まれる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
回路が第2のセンサから遠隔に存在するモニタ内に含まれる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
生理学的信号を受信するための方法であって、
被検者の第1の電気信号を第1のセンサによって受信するステップと、
第1の光信号を被検者内へ第2のセンサによって送信するステップとを含み、第2のセンサは、
第1の光信号を送信するように構成される光学的開口を備え、第2のセンサは、第1の光信号を発生させるための回路と結合されることが可能であり、かつ回路は、回路と第1のセンサとの間の電気的干渉を低減するために第1のセンサから遠隔に配置される、方法。
【請求項13】
光学的開口が第1のセンサの近くに配置される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第1のセンサがEEGセンサであり、かつ第1の電気信号がEEG信号である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
第2のセンサがPPGセンサである、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
光学的開口と回路とが少なくとも1つの光ファイバ線によって結合される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
第1の光信号が少なくとも1つの波長の光を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
第1の光信号が複数の波長の光を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
回路が第2のセンサから遠隔に存在するモニタ内に含まれる、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
生理学的信号を受信するための方法であって、
被検者の第1の電気信号を第1のセンサによって受信するステップと、
被検者の第1の光信号を第2のセンサによって受信するステップとを含み、第2のセンサは、
第1の光信号を受信するように構成される光学的開口を備え、第2のセンサは、第1の光信号を第2の電気信号に変換するための回路と結合されることが可能であり、かつ回路は、回路と第1のセンサとの間の電気的干渉を低減するために第1のセンサから遠隔に配置される、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−510678(P2013−510678A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538999(P2012−538999)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/056452
【国際公開番号】WO2011/060220
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(591191572)ネルコー ピューリタン ベネット エルエルシー (22)
【Fターム(参考)】