説明

複合操作型入力装置

【目的】 本発明の目的は、第1、第2の操作体の操作の際に、第2、第1のスイッチ手段の誤作動を防止する複合操作型入力装置を提供する。
【構成】 複合操作型入力装置は、第1の面110と第2の面120とを有する基板100と、基板100の第1の面110に設けられ、第1の操作体200の押下によりオン/オフされる第1のスイッチ手段400と、第1のスイッチ手段100の周囲に配置される第2の操作体300と、基板100の第2の面120に配設される第2のスイッチ手段500と、第2の操作体300の回転を検出する回転検出手段600とを備える。第2の操作体300の傾動に応じて、基板100、第1のスイッチ手段400及び回転検出手段600が傾動し、当該基板100の第2の面120の第2のスイッチ手段配設部分が第2のスイッチ手段500をケースのベース板900との間でオン/オフする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押下操作、回転操作及び傾動操作が可能な複合操作型入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の複合操作型入力装置としては、第1の操作体の押下操作に応じて、回転検出手段及び基板が下方に移動することにより、当該基板の下面上の中心部に配設された第1のスイッチ手段をオン/オフする一方、第2の操作体の傾動操作に応じて、回転検出手段及び基板が傾動することにより、当該基板の下面上の周縁部に配設された第2のスイッチ手段をオン/オフするようになっているものがある(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−296006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、第1、第2のスイッチ手段が基板の同一面上(即ち、下面上)に設けられているため、第1の操作体の押下操作に応じて、回転検出手段及び基板が下方へに移動すると、第1のスイッチ手段だけでなく、第2のスイッチ手段もオン/オフされることがある。同様に、第2の操作体の傾動操作に応じて、回転検出手段及び基板が傾動すると、第2のスイッチ手段だけでなく、第1のスイッチ手段もオン/オフされることがある。
【0005】
即ち、前記複合操作型入力装置は、第1の操作体の押下操作の際に第2のスイッチ手段が誤作動する可能性があると共に、第2の操作体の傾動操作の際に第1のスイッチ手段が誤作動する可能性がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、第1、第2の操作体の操作の際に、第2、第1のスイッチ手段が誤作動を起こすのを防止することができる複合操作型入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の複合操作型入力装置は、第1の面とこの第1の面の反対側の面である第2の面とを有する基板と、この基板の第1の面に向けて押下操作可能な第1の操作体と、この第1の操作体の回りに配置され、回転操作及び傾動操作可能な環状の第2の操作体と、基板の第1の面に設けられており且つ第1の操作体の押下移動によりオン/オフされる第1のスイッチ手段と、基板の第2の面の第1の操作体配設部分の反対側部分の周囲に配設される複数の第2のスイッチ手段と、第2の操作体の回転を検出する回転検出手段と、基板、第1、第2のスイッチ手段及び回転検出手段を収容するケースとを備えており、第2の操作体の傾動に応じて、基板、第1のスイッチ手段及び回転検出手段が傾動することにより、当該基板の第2の面の複数の第2のスイッチ手段配設部分が、複数の第2のスイッチ手段をケースの底板部との間でオン/オフするようになっている。
【0008】
即ち、第1の操作体が押下操作されると、基板の第1の面上の第1のスイッチ手段をオン/オフする。一方、第2の操作体が傾動操作されると、基板、第1のスイッチ手段及び回転検出手段が傾動し、当該基板の第2の面の複数の第2のスイッチ手段配設部分がケースの底板部との間で複数の第2のスイッチ手段を各々オン/オフする。
【0009】
前記複合操作型入力装置は、回転検出手段を基板に取り付ける取付手段を更に備える構成とすることができる。この場合、回転検出手段は、第2の操作体に取り付けられ、第1の操作体の回りに配置される環状のロータと、第1の操作体を押下操作可能に保持すると共に、ロータを回転可能に保持するホルダと、ロータに設けられる第1の接点部と、ホルダに設けられており且つ第1の接点部に接触可能な接触子とを有しており、取付手段は、第1の操作体及びロータを保持したホルダを基板に取り付けるようになっている。
【0010】
このように、第1の操作体、回転検出手段及び基板が取付手段によりユニット化されるので、第1の操作体、回転検出手段及び基板の組み込みが容易になる。
【0011】
基板としてはフレキシブル基板を用いることができる。この場合、ホルダは、基板の第1の面の複数の第2のスイッチ手段配設部分の複数の反対側部分に各々面接触する平坦面を有していることが好ましい。
【0012】
この場合、第2の操作体の傾動操作の際に、ホルダの平坦面により基板の第1の面の複数の第2のスイッチ手段配設部分の反対側部分を押さえることができるので、前記基板が撓むことにより、第2のスイッチ手段をオン/オフすることができなくなるのを低減することができる。
【0013】
前記回転検出手段は、基板の第1の面に設けられており且つ前記接触子が接触する第2の接点部を更に有することが好ましい。この場合、回転検出手段が基板と共に傾動し、当該基板を通じて第2のスイッチ手段をオン/オフするようになっている。このため、基板の第1の面上に第2のスイッチ手段が配設されており、第2の操作体の傾動に応じて回転検出手段が傾動し、当該回転検出手段の接触子が前記基板上の第2の接点部に押しつけられる場合と比べて当該接触子のへたりを抑止することができる。
【0014】
前記回転検出手段は、ロータ又はホルダに設けられる凸凹面と、ホルダ又はロータに設けられており且つロータの回転に応じて凸凹面上を摺動する感触子とを更に有することが好ましい。このように感触子が凹凸面上を摺動することにより、第2の操作体の回転操作の操作感を発生させることができる。
【0015】
ホルダ又は第1の操作体には、第1の操作体又はホルダに係止し、当該第1の操作体の周方向の回転を防止する係止手段が設けられていることが好ましい。
【0016】
取付手段は、ロータをホルダに回転可能に取り付ける第1の取付フレームと、基板をホルダに取り付けると共に、基板の第2の面の第1の操作体配設部分の反対側部分に面接触する第2の取付フレームとを有することが好ましい。この場合、第1の操作体の押下移動の際に、第2の取付フレームが基板の第2の面の第1の操作体配設部分の反対側部分を支持する。このため、基板の撓みが防止される。
【0017】
前記ケースは、基板、第1のスイッチ手段及び回転検出手段を傾動自在に収容する環状のフレームと、このフレームに取り付けられ、当該ケースの底板部をなすベース板とを備える構成とすることができる。この場合、基板はフレキシブル基板である。第1のスイッチ手段は、基板の第1の面に設けられる一対の第1の固定接点部と、一方の第1の固定接点部上に配置されており且つ第1の操作体に押下されることにより弾性変形して他方の第1の固定接点部に接触する断面視略凹字状の第1の可動接点部とを有している。各第2のスイッチ手段は、基板の第2の面に設けられる一対の第2の固定接点部と、一方の第2の固定接点部上に配置されており且つ基板の第2のスイッチ手段配設部分に押下されることにより弾性変形して他方の第2の固定接点部に接触する断面視略凹字状の第2の可動接点部とを有しており、ベース板の面上には、基板の第2の面の第1の操作体配設部分の反対側部分に向けて凸の第1の凸部が設けられている。
【0018】
このため、第1の操作体所定以上の力で押下操作される又は第1、第2の操作体が押下操作されることにより、基板が第1のスイッチ手段及び回転検出手段と共にベース板に向けて移動したとしても、第1の凸部で基板の第2の面の第1の操作体配設部分の反対側部分を支持することができるので、当該基板の第2の面の複数の第2のスイッチ手段配設部分が複数の第2のスイッチ手段をオン/オフし、当該第2のスイッチ手段が誤作動するのを防止することができる。
【0019】
ベース板の面上の第1の凸部の回りには、複数の第2のスイッチ手段の第2の可動接点部の頂部に向けて凸の複数の第2の凸部が設けられていることが好ましい。この場合、第2のスイッチ手段の第2の可動接点部が、基板の傾動に応じて傾動すると、第2の凸部により押圧される。このため、第2のスイッチ手段の第2の可動接点部を弾性変形させ易くすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の複合操作型入力装置による場合、第1のスイッチ手段が基板の第1の面に、第2のスイッチ手段が基板の第2の面に設けられている。よって、第1の操作体の押下操作の際に、第2のスイッチ手段が第1の操作体の押下操作によりオン/オフされるのが防止される。また、第2の操作体の傾動操作の際に、第1のスイッチ手段が基板と共に傾動する。よって、第2の操作体の傾動操作により第1のスイッチ手段がオン/オフされるのが防止される。このため、第1、第2のスイッチ手段の誤作動を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係る複合操作型入力装置について図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施の形態に係る複合操作型入力装置の概略的斜視図であって、(a)が上方から見た図、(b)が下方から見た図、図2は(a)が同装置のA−A断面図、(b)が同装置のB−B断面図、図3は同装置の概略的分解斜視図、図4は同装置の第1の操作体の概略的斜視図であって、(a)が上方から見た図、(b)が下方から見た図、図5は同装置の第2の操作体の概略的斜視図であって、(a)が上方から見た図、(b)が下方から見た図、図6は同装置の回転検出手段の第1の接点部が埋設されたロータの概略的斜視図であって、(a)が上方から見た図、(b)が下方から見た図、図7は同装置の回転検出手段の第1の接点部の概略的斜視図、図8は同装置の回転検出手段の第1、第2の接触子が埋設されたホルダの概略的斜視図であって、(a)が上方から見た図、(b)が下方から見た図、図9は同装置の回転検出手段の第1、第2の接触子の概略的斜視図、図10は同装置の基板の概略的斜視図であって、(a)が上方から見た図、(b)が下方から見た図、図11は同装置の基板及び第1、第2のスイッチ手段を示す概略的分解斜視図、図12は同装置のフレームの概略的斜視図であって、(a)が上方から見た図、(b)が下方から見た図、図13は同装置のベース板を示す概略的斜視図であって、(a)が上方から見た図、(b)が下方から見た図、図14は同装置の設計変更例を示す概略的断面図である。
【0022】
図1及び図2に示す複合操作型入力装置は、図示しない携帯情報端末やDVD再生記録装置等のリモコン装置である電子機器に備えられる入力装置である。
【0023】
この複合操作型入力装置は、第1の面110(上面)とこの第1の面の反対側の面である第2の面120(下面)とを有する基板100と、この基板100の第1の面110に向けて押下操作可能な第1の操作体200と、この第1の操作体200の回りに配置され、回転操作及び4方向の傾動操作可能な環状の第2の操作体300と、基板100の第1の面110に設けられる第1のスイッチ手段400と、基板100の第2の面120の第1の操作体配設部分の反対側部分の周囲に位置するように設けられる4つの第2のスイッチ手段500と、基板100の第1の面110に設けられる回転検出手段600と、回転検出手段600を基板100に取り付ける取付手段700と、基板100、第1、第2のスイッチ手段400、500、回転検出手段600のホルダ620を収容するケースとを備えている。以下、各部を詳しく説明する。
【0024】
第1の操作体200は、図2、図3及び図4に示すように、略円柱状の樹脂成形品である。この第1の操作体200の下端部の周縁部には、板状のフランジ部210が設けられている。このフランジ部210には、2つの係止凹部211が180°間隔で設けられている。この係止凹部211は、回転検出手段600のホルダ620の係止凸部621aに係止され、第1の操作体200の周方向への回転を防止する。即ち、係止凹部211及び係止凸部621aが第1の操作体200の周方向への回転を防止する係止手段となる。
【0025】
また、第1の操作体200の下面の中心部には、円柱状の突起部220が設けられている。この突起部220は第1のスイッチ手段400の第1の可動接点部420の頂部上にセットされる。
【0026】
第2の操作体300は、図2、図3及び図5に示すように、中心部に第1の操作体200が嵌まり込む貫通孔部310が設けられた略円環状の樹脂成形品である。
【0027】
第2の操作体300の下面には、貫通孔部310の回りに同心円状に設けられるリング状の嵌合凹部320と、この嵌合凹部320の外側に同心円状に設けられるリング状の収容凹部330と、嵌合凹部320と収容凹部330との間に90°ピッチ間隔で設けられる4つの圧入凸部340とが設けられている。
【0028】
嵌合凹部320は、回転検出手段600のロータ610の嵌合凸部612が嵌合する。また、圧入凸部340は、回転検出手段600のロータ610の圧入孔部613に圧入される。
【0029】
収容凹部330は、取付手段700の第1の取付フレーム710の本体部711を収容するようになっている。
【0030】
また、第2の操作体300の上面には、操作され易くするための複数の長尺状の凸脈350が中心部から外周縁部に向けて放射状に設けられている。
【0031】
回転検出手段600は、図2、図3及び図10に示すように、第2の操作体300に取り付けられ、第1の操作体200の回りに配置される環状のロータ610と、第1の操作体200を押下操作可能に保持すると共に、ロータ610を回転可能に保持するホルダ620と、ロータ610にインサート成形により埋設される第1の接点部630と、基板100の第1の面110上に設けられる第2の接点部641、642、643と、ホルダ620に埋設される第1の接触子651及び2つの第2の接触子652と、ホルダ620に設けられる凹凸面660と、この凹凸面660上を摺動可能な感触子670とを備えている。
【0032】
ロータ610は、図6に示すように、中心部に第1の操作体200が嵌まり込む中心孔部611が設けられた略円環状の樹脂成形品である。
【0033】
ロータ610の上面には、図6(a)に示すように、中心孔部611の回りにリング状の嵌合凸部612と、この嵌合凸部612に回りに90°ピッチ間隔で設けられる圧入孔部613とが設けられている。即ち、嵌合凸部612が嵌合凹部320に嵌合し、圧入凸部340が圧入孔部613に圧入されることにより、ロータ610が第2の操作体300の下面に取り付けられる。
【0034】
ロータ610の下面の中心部には、図6(b)に示すように、中心孔部611と連通する円形の凹部である収容部614が設けられている。この収容部614には、ホルダ620の円筒部621の上端部が第1の操作体200のフランジ部210を収容した状態で嵌まり込むようになっている。また、収容部614はホルダ620の円筒部621の上端部上を回転自在になっている。これにより、ロータ610及び第2の操作体300が周方向に回転可能になる。また、収容部614の中心孔部611の周縁部がフランジ部210に当接することにより、第1の操作体200の上方への抜けを防止している。
【0035】
また、ロータ610の下面の外周縁部には、感触子670の4つの取付孔部671に各々嵌合する取付凸部615が2つずつ180°間隔で設けられている。
【0036】
第1の接点部630は、図6(b)及び図7に示すように、円環接点部631と、この円環接点部631の外周部に180°間隔で設けられる2つの第1の円弧接点部632と、円環接点部631の外周部の2つの第1の円弧接点部632と90°位置ズレした箇所に設けられる2つの第2の円弧接点部633とを有する。
【0037】
円環接点部631はロータ610の下面の収容部614の回りの領域から露出する。
【0038】
各第1の円弧接点部632は、略矩形状の4つの切欠き部が等間隔で設けられている。この第1の円弧接点部632はロータ610の下面の円環接点部631の露出領域の外側領域から露出する。
【0039】
各第2の円弧接点部633は、略矩形状の3つの切欠き部が等間隔で設けられている。この第2の円弧接点部633もロータ610の下面の円環接点部631の露出領域の外側領域から露出する。
【0040】
ホルダ620は、図8に示すように、略円形のカップ状の樹脂成形品である。このホルダ620の内底部には、円筒部621と、この円筒部621と同心円状に設けられるリング状の凹部622と、円筒部621と凹部622とを繋ぐ4つの梁部623とが設けられている。
【0041】
4つの梁部623は、円筒部621と凹部622との間に90°間隔で設けられている。各梁部623の下面は、ホルダ620の凹部622の反対側の面(後述する平坦面625)よりも上方に窪んでいる。この窪みにより基板100の第1の面110上のテープ430との干渉を避けている。
【0042】
凹部622及び梁部623の上方空間は、ロータ610を回転自在に収容する収容空間となっている。凹部622の上面には凹凸面660が設けられている。また、凹部622の内側の縁部の上面及び梁部623の上面は同一高さのフラット面であり、第2の操作体300の傾動に応じてロータ610に押下されるようになっている。
【0043】
円筒部621の上端部は、ロータ610の収容部614に嵌まり込み、当該収容部614を回転自在に保持する。即ち、円筒部621の上端部がロータ610及び第2の操作体300の回転軸となっている。このようにロータ610及び第2の操作体300の回転軸が複合操作型入力装置の中心部に配設されることにより、前記回転軸が外側にある場合(例えば、第2の操作体の外周縁部がフレームの内周縁部に回転自在に保持される軸支構造である場合)と比べてロータ610及び第2の操作体300のトルクを小さくすることができ、回転操作の操作感の向上を図ることができる。
【0044】
円筒部621の内部は、図2に示すように、第1の接触子651のリング部651aにより2つのセクションに区切られている。
【0045】
上側のセクションは、円筒部621の上端部がロータ610の収容部614に収容されることにより、当該収容部614との間で第1の操作体200を上下動可能に保持する。また、上側のセクションには、内側に向けて凸の2つの係止凸部621aが180°間隔で設けられている。この係止凸部621aが第1の操作体200の係止凹部211に係止されることにより、当該第1の操作体200の周方向への回転を防止する。
【0046】
一方、下側のセクションは、第1のスイッチ手段400の第1の可動接点部420を収容する。
【0047】
ホルダ620の外壁部には、4つの取付部624が90°間隔で設けられている。また、ホルダ620の前記外壁部の下端部の4つの取付部624間には板状の4つのフランジが設けられている。
【0048】
各取付部624は、取付手段700の第1の取付フレーム710の第1の係止片712を係止する係止爪624aと、この係止爪624aの両側に配設される第2の取付フレーム720の第2の係止片722を係止する一対の係止突起624bとを有する。
【0049】
ホルダ620の凹部622の反対側の面には平坦面625が設けられている。この平坦面625上には2つの位置決め用のボス626が180°間隔で設けられている。
【0050】
平坦面625は、基板100の第1の面110の4つのの第2のスイッチ手段500の一対の第2の固定接点部511、512の配設部分の反対側部分の外側の略半分の領域に面接触する。即ち、平坦面625は、第2の操作体300の傾動に伴ってホルダ620が傾動するときに、基板100を通じて第2のスイッチ手段500の4つの第2の可動接点部520を各々押し下げる押下部として機能する。
【0051】
各位置決め用のボス626は、円柱状の突起であって、基板100の位置決め用の孔部140に嵌まり込む。これにより、ホルダ620が基板100の第1の面110上で位置決めされる。
【0052】
第2の接点部641は、図10(a)に示すように、基板100の第1の面110の第1のスイッチ手段400の第1の固定接点部412の外側に設けられる。第2の接点部642は、基板100の第1の面110の第2の接点部641の一端部の外側に設けられる。第2の接点部643は、基板100の第1の面110の第2の接点部641の他端部の外側に設けられる。
【0053】
第1の接触子651は、図9に示すように、リング部651aと、2つの半円弧状の第1の接触アーム651bと、リング部651aと2つの半円弧状の第1の接触アーム651bとを繋ぐ第1の接続部651cとを有する。
【0054】
リング部651aは、第1の操作体200の突起部220が上下動可能に嵌まり込むようになっている。
【0055】
各第1の接触アーム651bの中央部及び第1の接続部651cは、ホルダ620の梁部623の内側部にインサート成形により埋設される。
【0056】
この第1の接触アーム651bの一端部は、当該第1の接触アーム651bの中央部が埋設された梁部623とこの梁部623の隣の梁部623との間の空間に向けて延びている。この第1の接触アーム651bの一端部の先端部は、第1の接点部630の円環接点部631上を摺動可能とするために上方に向けて湾曲している。
【0057】
第1の接触アーム651bの他端部は、当該第1の接触アーム651bの中央部が埋設された梁部623とこの梁部623の別の隣の梁部623との間の空間に向けて延びている。この第1の接触アーム651bの他端部の先端部は、基板100の第1の面110上の第2の接点部641の端部に接触するために下方に向けて湾曲している。
【0058】
2つの第2の接触子652は、図9に示すように、半円弧状の第2の接触アーム652aを各々有する。
【0059】
第2の接触子652は第2の接触アーム652aの両端部を除く大部分が、ホルダ620の梁部623の外側部にインサート成形により各々埋設される。
【0060】
第2の接触アーム652aの一端部は、当該第2の接触アーム652aの中央部が埋設された梁部623とこの梁部623の隣の梁部623との間の空間に向けて各々延びている。この第2の接触アーム652aの一端部の先端部は、二股に分かれており且つ第1の接点部630の2つの第1の円弧接点部632及び第2の円弧接点部633上を摺動可能とするために上方に向けて各々湾曲している。
【0061】
第2の接触アーム652aの他端部は、当該第2の接触アーム652aの中央部が埋設された梁部623とこの梁部623の別の隣の梁部623との間の空間に向けて各々延びている。
【0062】
一方の第2の接触アーム652aの他端部の先端部は、基板100の第1の面110上の第2の接点部642に接触するために下方に向けて湾曲している。他方の第2の接触アーム652aの他端部の先端部は、基板100の第1の面110上の第2の接点部643に接触するために下方に向けて湾曲している。
【0063】
即ち、ロータ610の回転に応じて、第1の接触子651の2つの第1の接触アーム651bの一端部の先端部がロータ610の下面から露出する第1の接点部630の円環接点部631上を各々摺動する一方、2つの第2の接触子652の第2の接触アーム652aの一端部の先端部が当該第1の接点部630の2つの第1の円弧接点部632及び第2の円弧接点部633上を各々選択的に摺動する。
【0064】
感触子670は、図3に示すように、リング状の板バネである。この感触子670には、ロータ610の4つの取付凸部615に嵌合する取付孔部671が180°間隔で2つずつ設けられている。換言すると、4つの取付孔部671がロータ610の4つの取付凸部615に嵌合することにより、感触子670がロータ610の下面に取り付けられるようになっている。
【0065】
また、感触子670は、2つの取付孔部671と90°間隔位置ずれした2箇所が下方に向けて半円弧状に湾曲している。この湾曲部分が、第2の操作体300及びロータ610の回転に応じて、凹凸面660上を摺動する摺動凸部672となる。このように摺動凸部672が凹凸面660上を摺動することにより第2の操作体300の操作感が生じる。
【0066】
基板100としては、図10に示すように、フレキシブル基板を用いる。この基板100は、その円形部分の上面である第1の面110と、前記円形部分の下面である第2の面120と、前記円形部分に連続して設けられる略矩形状の接続部130と、前記円形部分に設けられる2つの位置決め用の孔部140と、前記円形部分の外周部に90°間隔で設けられる4つの切欠き部150とを有する。
【0067】
接続部130は、フレーム800の導出口850から外部に引き出され、上記電子機器の基板に接続される。
【0068】
各孔部140は、ホルダ620のボス626が嵌まり込む。これにより、ホルダ620が基板100の第1の面110上に位置決めされる。
【0069】
各切欠き部150は、取付手段700の第2の取付フレーム720の第2の係止片722との干渉を避けるためのものである。
【0070】
第1のスイッチ手段400は、図2及び図11に示すように、基板100の第1の面110上に設けられる一対の第1の固定接点部411、412と、基板100の第1の面110上の一方の第1の固定接点部411上にセットされるドーム状の第1の可動接点部420を有している。
【0071】
第1の可動接点部420は、基板100の第1の面110上の一方の第1の固定接点部411上に接触した状態で、第1のテープ430で当該第1の面110上に取り付けられる。この第1の可動接点部420は、第1の面110上に取り付けられた状態でホルダ620の円筒部621の下側セクションに収容され、その頂部上に第1の操作体200の突起部220が載置される。
【0072】
即ち、第1の可動接点部420は、前記頂部が第1の操作体200の突起部220に押下されることにより、弾性変形して反転し、他方の第1の固定接点部412に接触する。このようにして第1のスイッチ手段400がオフからオンになる。
【0073】
取付手段700は、図2及び図3に示すように、ロータ610をホルダ620に回転可能に取り付ける第1の取付フレーム710と、基板100をホルダ620に取り付ける第2の取り付けフレーム720とを有する。
【0074】
第1の取付フレーム710は、板状のリング体である第1の本体部711と、この第1の本体部711に90°間隔で略直角に設けられる4つの第1の係止片712とを有する。
【0075】
各第1の係止片712はホルダ620の係止爪624aを係止する係止孔を有する。
【0076】
第1の本体部711の内径は、ロータ610の外径よりも小さく且つロータ610の嵌合凸部612の外径よりも大きくなっている。第1の本体部711の外径は、ホルダ620の外壁部の外径よりも若干大きくなっている。即ち、第1の係止片712が係止爪624aに係止された状態で、第1の本体部711がロータ610の上面の外周縁部及びホルダ620の外壁部の上面を覆う。このようにして第1の取付フレーム710が、ロータ610をホルダ620に回転自在に取り付ける。
【0077】
第2の取付フレーム720は、十字状の板状体である第2の本体部721と、第2の本体部721の4つの先端部に略直角に設けられる4つの第2の係止片722とを有する。
【0078】
各第2の係止片722は、ホルダ620の係止爪624aとの干渉を避けるための孔部と、その先端部の両端部に設けられる2つの爪部とを有する。前記爪部がホルダ620の一対の係止突起624bに係止される。
【0079】
第2の本体部721は、第2の係止片722がホルダ620の一対の係止突起624bに係止された状態で、基板100の第2の面120に面接触する。このとき、第2の本体部721の4つの腕部が基板100の第2の面120の4つの第2のスイッチ手段配設部の間に位置する。このように第2の取付フレーム720が基板100がホルダ620に取り付ける。
【0080】
また、第2の本体部721は、基板100の第2の面120の中心部に面接触することにより第1の操作体200の押下操作の際に、当該基板100の中心部が撓むのを防止する機能を有する。
【0081】
即ち、第1の操作体200及び第1のスイッチ手段400がロータ610とホルダ620とに保持され、感触子670が取り付けられたロータ610及び基板100が第1、第2の取付フレーム710、720によりホルダ620に取り付けられることにより、感触子670が取り付けられたロータ610、基板100、ホルダ620、第1の操作体200及び第1のスイッチ手段400がユニット化される(以下、これをユニットαと称する。)。
【0082】
前記ケースは、フレーム800と、このフレーム800に取り付けられるベース板900とを有している。
【0083】
フレーム800は、図12に示すように、円筒状のフレーム本体810と、このフレーム本体810の外周面の下端部に90°間隔で設けられる4つの取付台820と、フレーム本体810の内周面の上端部に内側に向けて設けられる鍔部830と、この鍔部830に取付台820と同間隔で設けられる4つのガイド部840と、フレーム本体810の2つの取付台820の間の下端部に設けられる導出口850とを有する。
【0084】
フレーム本体810の内径はホルダ620の前記フランジの外径よりも若干大きくなっている。鍔部830内径は、その内周面とホルダ620の前記外壁部との間に隙間を有する大きさとなっている。即ち、フレーム本体810は、ホルダ620の下端部及び基板100を上下動可能(即ち、押下操作移動)且つ傾動可能に収容する。
【0085】
更に、鍔部830の内径は、ホルダ620の前記フランジの外径よりも小さくなっており、ホルダ620の上方への抜けを防止している。
【0086】
ガイド部840はホルダ620の取付部624を上下動可能にガイドする。また、ガイド部840は、取付部624の周方向への移動を防止し、ホルダ620の周方向への回転を防止している。
【0087】
各取付台820の下面には、ベース板900の孔部930に溶着される突起821が設けられている。
【0088】
導出口850は、基板100の接続部130を外部に導出するための凹部である。
【0089】
ベース板900は、図13に示すように、矩形状の板金である。このベース板900は、中心部に設けられる第1の凸部910と、この第1の凸部910の回りに設けられる4つの第2の凸部920と、4つの角部に設けられる4つの溶着用の孔部930とを有する。
【0090】
各孔部930はフレーム800の突起821が溶着される。このようにしてベース板900上にフレーム800が取り付けられ、前記ケースの底板部として機能する。
【0091】
第1の凸部910は、第2の取付フレーム720の第2の本体部721との間に隙間を有している。この第1の凸部910は、第1の操作体200の押下操作の際に、第2の本体部721の中心部を支持する。このようにしてユニットαが第1の操作体200に所定以上押し下げられることにより、当該ユニットαがベース板900との間で第2の可動接点部520を弾性変形させ、他方の固定接点部512に接触するのを防止する。
【0092】
各第2の凸部920は第2の可動接点部520の頂部に当接している。この第2の凸部920は、第2の操作体300の傾動の際に、第2の可動接点部520の頂部を他方の第2の固定接点部512に向けて押圧し、当該第2の可動接点部520を弾性変形させる。
【0093】
各第2のスイッチ手段500は、基板100の第2の面120上に設けられる一対の第2の固定接点部511、512と、基板100の第2の面120上の一方の第2の固定接点部511上にセットされる第2の可動接点部520とを有している。
【0094】
4つの第2の可動接点部520は、基板100の第2の面120上の4つの一方の第2の固定接点部511上に各々セットされた状態で、第2のテープ530で当該第2の面120上に取り付けられる。これにより、4つの第2のスイッチ手段500がユニットαに含められ、一体化される。この状態で、4つの第2の可動接点部520の頂部がベース板900の4つの第2の凸部920に各々当接する。これにより、ユニットα及び第2の操作体300がベース板900に対して平衡状態で保持される。
【0095】
即ち、第2の操作体300の前記平衡状態からの傾動により、第2の可動接点部520がユニットα(即ち、ホルダ620の平坦面625及び基板100)に押下されると、当該第2の可動接点部520の頂部がベース板900の第2の凸部920に押しつけられる。これにより第2の可動接点部520が弾性変形して反転し、他方の第2の固定接点部512に接触する。このようにして第2のスイッチ手段500がオフからオンになる。
【0096】
以下、このような構成の複合操作型入力装置の組み立てて順について説明する。まず、ロータ610の4つの取付凸部615に、感触子670の4つの取付孔部671を位置合わせしつつ嵌合させる。これにより、感触子670がロータ610の下面の外周縁部に取り付けられる。
【0097】
そして、ホルダ620の係止凸部621aを第1の操作体200の係止凹部211に位置合わせしつつ係止させる。すると、第1の操作体200のフランジ部210がホルダ620の円筒部621の上側のセクションに入り込むと共に、当該第1の操作体200の突起部220がホルダ620に埋設された第1の接触子651のリング部651a内に入り込む。
【0098】
その後、ロータ610の中心孔部611に第1の操作体200を挿入しつつ、当該ロータ610をホルダ620の凹部622及び梁部623の上方空間に収容させる。
【0099】
すると、ロータ610の収容部614内に、ホルダ620の円筒部621の上端部及び第1の操作体200のフランジ部210が嵌まり込む。
【0100】
このとき、ホルダ620に埋設された第1の接触子651の第1の接触アーム651bの一端部の先端部が、ロータ610に埋設された第1の接点部630の円環接点部631に接触する。これと共に、ホルダ620に埋設された2つの第2の接触子652の第2の接触アーム652aの一端部の先端部が、ロータ610の下面、当該ロータ610に埋設された第1の接点部630の2つの第1の円弧接点部632又は第2の円弧接点部633に各々接触する。
【0101】
その後、第1の取付フレーム710の第1の本体部711をロータ610が収容されたホルダ620に上方から被せる。そして、第1の取付フレーム710の4つの第1の係止片712をホルダ620の4つの取付部624の係止爪624aに各々係止させる。すると、第1の取付フレーム710の第1の本体部711がロータ610の上面の外周縁部及びホルダ620の外壁部の上面を覆う。これにより、第1の操作体200がロータ610の収容部614とホルダ620の円筒部621の上側のセクションとの間で上下動可能に保持されると共に、ロータ610、第1、第2の接触子651、652及び感触子670がホルダ620に回転自在に取り付けられる。
【0102】
その後、基板100の第1の面110上の一方の第1の固定接点部411上に第1の可動接点部420を第1のテープ430を用いて取り付ける。そして、基板100の第2の面120上の4つの一方の第2の固定接点部511上に4つの第2の可動接点部520を第2のテープ530を用いて取り付ける。
【0103】
その後、第1の可動接点部420をホルダ620の円筒部621の下側のセクションに位置合わせしつつ挿入する。これと共に、ホルダ620の2つのボス626を基板100の2つの孔部140に嵌め込む。すると、基板100の第1の面110がホルダ620の平坦面625に面接触する。
【0104】
このとき、第1の接触子651の一方の第1の接触アーム651bの他端部の先端部が、基板100の第1の面110上の第2の接点部641の一端部に接触し、当該第1の接触子651の他方の第1の接触アーム651bの他端部の先端部が第2の接点部641の他端部に接触する。これと共に、一方の第2の接触子652の第2の接触アーム652aの他端部の先端部が、基板100の第1の面110上の第2の接点部642に接触する。他方の第2の接触子652の第2の接触アーム652aの他端部の先端部が基板100の第1の面110上の第2の接点部643に接触する。
【0105】
この状態で、第2の取付フレーム720の第2の本体部721を基板100の円形部分に下方から被せ、当該第2の本体部721の4つの腕部を基板100の第2の面120上の4つの第2の可動接点部520の間に位置させる。そして、第2の取付フレーム720の4つの第2の係止片722をホルダ620の4つの取付部624の一対の係止突起624bに各々係止させる。これにより基板100がホルダ620に取り付けられる。このようにして基板100、第1の操作体200、第1のスイッチ手段400、第2のスイッチ手段500及び回転検出手段600がユニット化される。即ち、第1の操作体200、第1のスイッチ手段400、第2のスイッチ手段500及び回転検出手段600がユニットαとなる。
【0106】
その後、ユニットαをフレーム800のフレーム本体810内に下方から挿入する。そして、ユニットαのホルダ620の4つの取付部624をフレーム800の4つのガイド部840に位置合わせしつつ挿入する。
【0107】
この状態で、フレーム800の4つの突起821をベース板900の4つの孔部930に溶着させる。すると、基板100の第2の面120上の4つの第2の可動接点部520がベース板900の4つの第2の凸部920上に載置される。
【0108】
その後、第2の操作体300の貫通孔部310に第1の操作体200を位置合わせしつつ挿入する。そして、第2の操作体300の圧入凸部340を、ロータ610の圧入孔部613に圧入すると共に、当該第2の操作体300の嵌合凹部320にロータ610の嵌合凸部612を嵌合させる。これにより、第2の操作体300がロータ610に取り付けられる。
【0109】
以下、このようにして組み立てられる複合操作型入力装置の使用方法及び各部の動作について説明する。
【0110】
第1の操作体200が押下操作されると、第1の操作体200の突起部220が第1のスイッチ手段400の第1の可動接点部420の頂部を押下する。すると、第1の可動接点部420が弾性変形して反転し、前記頂部が基板100の第1の面110上の他方の固定接点部412に接触する。これにより、第1のスイッチ手段400がオンになり、その出力信号が基板100を通じて前記電子機器に入力される。
【0111】
このとき、基板100が第2の取付フレーム720の第2の本体部721に支えられる。これにより、第1の可動接点部420を通じて第1の操作体200に押下されることにより基板100の中心部(第1のスイッチ手段配設部分)を中心とする撓みが防止される。
【0112】
また、第1の操作体200が所定以上押下操作される、又は第1の操作体200及び第2の操作体300が所定以上押下操作されると、ユニットαが下方に移動し、ベース板900の第1の凸部910に当接する。これにより、ユニットαの下方への移動が阻止され、第2の可動接点部520が弾性変形して他方の固定接点部512に接触するのが防止される。即ち、第2のスイッチ手段500の誤作動を防止される。
【0113】
第2の操作体300が傾動操作されると、ユニットαが操作方向に向けて傾動する。すると、傾動方向に位置する第2のスイッチ手段500の第2の可動接点部520がユニットαのホルダ620の平坦面625及び基板100により押下される(即ち、基板100の第2の面120の前記第2のスイッチ手段配設部分に押下される)。これにより、第2の可動接点部520の頂部がベース板900の傾動方向に位置する第2の凸部920に押しつけられ、当該第2の可動接点部520が弾性変形して反転する。そして、第2の可動接点部520の頂部が基板100の第2の面120上の他方の固定接点部512に接触する。これにより、第2のスイッチ手段500がオンになり、その出力信号が基板100を通じて前記電子機器に入力される。
【0114】
このとき、ユニットαのホルダ620の平坦面625が第2のスイッチ手段500の第2の可動接点部520を基板100を通じて押下することにより、当該基板100の前記第2のスイッチ手段配設部分を中心とする撓みが防止される。
【0115】
第2の操作体300が回転操作されると、ロータ610の収容部614が円筒部621の上端部上を回転する。これにより、ロータ610及び第2の操作体300が回転する。すると、ホルダ620に埋設された第1の接触子651の2つの第1の接触アーム651bの一端部の先端部がロータ610の下面から露出する第1の接点部630の円環接点部631上を各々摺動する。これと共に、2つの第2の接触子652の第2の接触アーム652aの一端部の先端部が第1の接点部630の2つの第1の円弧接点部632及び第2の円弧接点部633上を各々選択的に摺動する。これにより、ロータ610の回転を示す回転信号が基板100を通じて前記電子機器に入力される。
【0116】
このとき、ロータ610と共に回転する感触子670の摺動凸部672が凹凸面660上を摺動する。これにより、第2の操作体300の回転操作の操作感が生じる。
【0117】
このような複合操作型入力装置による場合、第1のスイッチ手段400が基板100の第1の面110上に設けられ、4つの第2のスイッチ手段500が基板100の第2の面120上に設けられている。このため、第1の操作体200の押下移動により、基板100の第1の面110上の第1のスイッチ手段400の第1の可動接点部420が押下されるが、基板100の第2の面120上の第2のスイッチ手段500の第2の可動接点部520が押下されることがない。よって、第1の操作体200を押下操作の際の第2のスイッチ手段500の誤作動を防止することができる。また、第2の操作体300と共に傾動するユニットαにより、基板100の第2の面120上の第2のスイッチ手段500の第2の可動接点部520が押下されるが、基板100の第1の面110上の第1のスイッチ手段400の第1の可動接点部420が押下されることがない。よって、第2の操作体300の傾動操作の際の第1のスイッチ手段400の誤作動を防止することができる。
【0118】
しかも、第1の操作体200、又は第1の操作体200及び第2の操作体300が所定以上押下操作され、ユニットαが下方に移動したとしても、ベース板900の第1の凸部910がユニットαを支持する。即ち、ユニットαの所定以上の下方への移動が防止されるので、ユニットαの所定以上の下方への移動により第2のスイッチ手段500の第2の可動接点部520が押下され、当該第2のスイッチ手段500が誤作動を起こすのを防止することができる。
【0119】
更に、回転検出手段600が基板100と共に傾動し、当該基板100を通じて第2のスイッチ手段500をオン/オフするようになっている。このため、基板の第1の面上に第2のスイッチ手段が配設されており、第2の操作体の傾動に応じて回転検出手段が傾動し、当該回転検出手段の接触子が前記基板上の第2の接点部に押しつけられる場合と比べて当該接触子のへたりを抑止することができる。
【0120】
なお、本発明の複合操作型入力装置は、第1の面とこの第1の面の反対側の面である第2の面とを有する基板と、この基板の第1の面に向けて押下操作可能な第1の操作体と、この第1の操作体の回りに配置され、回転操作及び傾動操作可能な環状の第2の操作体と、基板の第1の面に設けられており且つ第1の操作体の押下移動によりオン/オフされる第1のスイッチ手段と、基板の第2の面の第1の操作体配設部分の反対側部分の周囲に配設される複数の第2のスイッチ手段と、第2の操作体の回転を検出する回転検出手段と、基板、第1、第2のスイッチ手段及び回転検出手段を収容するケースとを備えており、第2の操作体の傾動に応じて、基板、第1のスイッチ手段及び回転検出手段が傾動することにより、当該基板の第2の面の複数の第2のスイッチ手段配設部分が、複数の第2のスイッチ手段をケースの底板部との間でオン/オフするようになっている限り任意に設計変更することが可能である。
【0121】
基板100の形状については任意に設計変更することが可能である。また、基板100はフレキシブル基板であるとしたが、これに限定されるものではない。
【0122】
第1の操作体200は、略円柱状の樹脂成形品であるとしたが、前記第1のスイッチ手段をオン/オフし得るものである限り任意に設計変更することが可能である。例えば、図14に示すように、第1の操作体200’を上下の2ピース201’、202’で構成するように設計変更することもできる。この場合、上側のピース201’は、ロータ610及びホルダ620への組み込みを考慮する必要がない。即ち、上側のピース201’の外径を、下側のピースの外径202’に比べて大きくすることができるので、第1の操作体200’を操作し易くすることができる。
【0123】
また、第1の操作体200は、フランジ部210に2つの係止凹部211に変えて係止凸部を設けることが可能である。この場合、ホルダ620に前記係止凸部を係止する係止凹部を設けると良い。なお、係止凹部211は、第1の操作体200のフランジ部210以外の部分に設けても良い。
【0124】
第2の操作体300は、第1の操作体の回りに配置され、回転操作及び傾動操作可能な環状体である限り任意に設計変更することが可能である。
【0125】
回転検出手段600については、ロータ610、ホルダ620、第1の接点部630、第2の接点部641、642、643と、第1の接触子651と、2つの第2の接触子652と、凹凸面660及び感触子670を備えるとしたが、第2の操作体300の周方向への回転を検出し得るものである限りどのようなもの用いても構わない。
【0126】
例えば、前記回転検出手段は、接触子を第2の操作体300の下面に設け、基板100上の接点上を摺動させるように構成することができる。また、前記回転検出手段としては、基板100の第1の面110上に第2の接点部641、642、643の代わりに抵抗パターンを設け、接触子を摺動させる可変抵抗器を用いることもできるし、第2の操作体300の傾動に応じて回転する金属板の磁界の変化を掲出する磁気検出手段を用いることもできる。
【0127】
ロータ610については、上述の如く、接触子や金属板を第2の操作体に直接取り付ける場合には、省略することが可能である。ホルダ620についても、同様である。
【0128】
ホルダ620の平坦面625については、基板100の第1の面110の第2のスイッチ手段配設部分の反対側部分に面接触するように設け設けられていれば良い。例えば、基板100の第1の面110の第2のスイッチ手段配設部分の反対側部分(即ち、4箇所)に平坦面625を設けることもできる。
【0129】
第1の接点部630については、接触子が摺動し得る限り任意に設計変更することが可能である。第2の接点部641、642、643については、接触子が接触し得る限り任意に設計変更することが可能である。なお、前記第2の接点部は、第1の接点部が基板100の第1の面上に設けられる場合には、省略可能である。
【0130】
第1の接触子651は、一端部が第1の接点部630上を摺動可能であり、他端部が基板100の第1の面110上の第2の接点部641に接触し得る限り任意に設計変更することが可能である。
【0131】
第2の接触子652は、一端部が第1の接点部630上を摺動可能であり、他端部が、基板100の第1の面110上の第2の接点部642に接触し得る限り任意に設計変更することが可能である。
【0132】
感触子670及び凹凸面660は省略することが可能である。また、前記感触子をホルダに設ける一方、前記凹凸面をロータに設けることも可能である。また、前記ロータを省略する場合には、第2の操作体に感触子又は凹凸面を設けるようにすれば良い。
【0133】
感触子670の形状としては、凹凸面上を摺動可能なものである限りどのような形状のものを用いても構わない。また、感触子670の取付方法としては、4つの取付孔部671がロータ610の4つの取付凸部615に嵌合することにより、ロータ610の下面に取り付けられるとして説明したが、ロータ、ホルダ又は第2の操作体に同様に取り付けられる限り任意に設計変更することが可能である。例えば、取付凸部615を溶着し、感触子670をロータ610の下面に取り付けることができる。
【0134】
取付手段700については、設けるか否かは任意である。即ち、第2の操作体300の傾動に応じて前記基板、第1のスイッチ手段及び回転検出手段が傾動可能になっている場合には、取付手段700によりユニット化されている必要はない。なお、取付手段700は、第1の操作体及びロータを保持したホルダを基板に取り付け得るものである限りどのようなものを用いても構わない。
【0135】
第1のスイッチ手段400については、第1の操作体の押下操作によりオン/オフされ得るものである限りどのようなものを用いても構わない。
【0136】
第1の可動接点部420については、一対の第1の固定接点部411、412に接触し、両者を導通させうるものであれば良い。また、第1の可動接点部420にバネ性を持たせる場合には、ドーム状に限定されることなく、断面視略逆凹字状であれば良い。なお、第2の可動接点部520も同様である。
【0137】
第2のスイッチ手段500についても、第1の操作体の傾動と共に傾動する基板により、オン/オフされ得るものである限りどのようなものを用いても構わない。なお、第2のスイッチ手段500は4つであると説明したが、これに限定されるものではなく、第2のスイッチ手段が少なくとも2以上あれば良い。
【0138】
前記ケースは、基板、第1、第2のスイッチ手段及び回転検出手段を傾動自在に収容し得るものである限り任意に設計変更することが可能である。
【0139】
フレーム800については、少なくとも基板、回転検出手段、第1、第2のスイッチ手段を収容し得るものである限り任意に設計変更することが可能である。
【0140】
ベース板900については設けるか否かは任意である。ベース板900を設ける場合には、少なくとも基板の第2の面の第1の操作体配設部分の反対側部分に向けて凸の第1の凸部が設けられていれば良い。
【0141】
上記実施例では、本発明の複合操作型入力装置は、携帯情報端末やDVD再生記録装置等のリモコン装置である電子機器に備えられる入力装置であるとして説明したが、その他の電子機器に備えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】本発明の実施の形態に係る複合操作型入力装置の概略的斜視図であって、(a)が上方から見た図、(b)が下方から見た図である。
【図2】(a)が同装置のA−A断面図、(b)が同装置のB−B断面図である。
【図3】同装置の概略的分解斜視図である。
【図4】同装置の第1の操作体の概略的斜視図であって、(a)が上方から見た図、(b)が下方から見た図である。
【図5】同装置の第2の操作体の概略的斜視図であって、(a)が上方から見た図、(b)が下方から見た図である。
【図6】同装置の回転検出手段の第1の接点部が埋設されたロータの概略的斜視図であって、(a)が上方から見た図、(b)が下方から見た図である。
【図7】同装置の回転検出手段の第1の接点部の概略的斜視図である。
【図8】同装置の回転検出手段の第1、第2の接触子が埋設されたホルダの概略的斜視図であって、(a)が上方から見た図、(b)が下方から見た図である。
【図9】同装置の回転検出手段の第1、第2の接触子の概略的斜視図である。
【図10】同装置の基板の概略的斜視図であって、(a)が上方から見た図、(b)が下方から見た図である。
【図11】同装置の基板及び第1、第2のスイッチ手段を示す概略的分解斜視図である。
【図12】同装置のフレームの概略的斜視図であって、(a)が上方から見た図、(b)が下方から見た図である。
【図13】同装置のベース板を示す概略的斜視図であって、(a)が上方から見た図、(b)が下方から見た図である。
【図14】同装置の設計変更例を示す概略的断面図である。
【符号の説明】
【0143】
100 基板
110 第1の面
120 第2の面
200 第1の操作体
300 第2の操作体
400 第1のスイッチ手段
411 一方の第1の固定接点部
412 他方の第1の固定接点部
420 第1の可動接点部
500 第2のスイッチ手段
511 一方の第2の固定接点部
512 他方の第2の固定接点部
520 第2の可動接点部
600 回転検出手段
610 ロータ
620 ホルダ
630 第1の接点部
641 第2の接点部
642 第2の接点部
643 第2の接点部
651 第1の接触子
652 第2の接触子
660 凹凸面
670 感触子
800 フレーム
900 ベース板(ケースの底板部)
910 第1の凸部
920 第2の凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面とこの第1の面の反対側の面である第2の面とを有する基板と、
この基板の第1の面に向けて押下操作可能な第1の操作体と、
この第1の操作体の回りに配置され、回転操作及び傾動操作可能な環状の第2の操作体と、
基板の第1の面に設けられており且つ第1の操作体の押下移動によりオン/オフされる第1のスイッチ手段と、
基板の第2の面の第1の操作体配設部分の反対側部分の周囲に配設される複数の第2のスイッチ手段と、
第2の操作体の回転を検出する回転検出手段と、
基板、第1、第2のスイッチ手段及び回転検出手段を収容するケースとを備えており、
第2の操作体の傾動に応じて、基板、第1のスイッチ手段及び回転検出手段が傾動することにより、当該基板の第2の面の複数の第2のスイッチ手段配設部分が、複数の第2のスイッチ手段をケースの底板部との間でオン/オフするようになっていることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項2】
請求項1記載の複合操作型入力装置において、
回転検出手段を基板に取り付ける取付手段を更に備えており
回転検出手段は、
第2の操作体に取り付けられ、第1の操作体の回りに配置される環状のロータと、
第1の操作体を押下操作可能に保持すると共に、ロータを回転可能に保持するホルダと、
ロータに設けられる第1の接点部と、
ホルダに設けられており且つ第1の接点部に摺接可能な接触子とを有しており、
取付手段は、第1の操作体及びロータを保持したホルダを基板に取り付けるようになっていることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項3】
請求項2記載の複合操作型入力装置において、
基板はフレキシブル基板であり、
ホルダは、基板の第1の面の複数の第2のスイッチ手段配設部分の反対側部分に各々面接触する平坦面を有していることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項4】
請求項2記載の複合操作型入力装置において、
回転検出手段は、
基板の第1の面に設けられており且つ接触子が接触する第2の接点部を更に有することを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項5】
請求項2記載の複合操作型入力装置において、
回転検出手段は、
ロータ又はホルダに設けられる凸凹面と、
ホルダ又はロータに設けられており且つロータの回転に応じて凸凹面上を摺動する感触子とを更に有することを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項6】
請求項2記載の複合操作型入力装置において、
ホルダ又は第1の操作体には、第1の操作体又はホルダに係止し、当該第1の操作体の周方向の回転を防止する係止手段が設けられていることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項7】
請求項3記載の複合操作型入力装置において、
取付手段は、
ロータをホルダに回転可能に取り付ける第1の取付フレームと、
基板をホルダに取り付けると共に、基板の第2の面の第1の操作体配設部分の反対側部分に面接触する第2の取付フレームとを有することを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項8】
請求項1記載の複合操作型入力装置において、
ケースは、基板、第1のスイッチ手段及び回転検出手段を傾動自在に収容する環状のフレームと、このフレームに取り付けられ、当該ケースの底板部をなすベース板とを備えており、
基板はフレキシブル基板であり、
第1のスイッチ手段は、
基板の第1の面に設けられる一対の第1の固定接点部と、
一方の第1の固定接点部上に配置されており且つ第1の操作体に押下されることにより弾性変形して他方の第1の固定接点部に接触する断面視略凹字状の第1の可動接点部とを有しており、
各第2のスイッチ手段は、
基板の第2の面に設けられる一対の第2の固定接点部と、
一方の第2の固定接点部上に配置されており且つ基板の第2のスイッチ手段配設部分に押下されることにより弾性変形して他方の第2の固定接点部に接触する断面視略凹字状の第2の可動接点部とを有しており、
ベース板の面上には、基板の第2の面の第1の操作体配設部分の反対側部分に向けて凸の第1の凸部が設けられていることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項9】
請求項8記載の複合操作型入力装置において、
ベース板の面上の第1の凸部の回りには、複数の第2のスイッチ手段の第2の可動接点部の頂部に向けて凸の複数の第2の凸部が設けられていることを特徴とする複合操作型入力装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2008−311007(P2008−311007A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155996(P2007−155996)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】