複合材料のレーザ加工法
【課題】繊維強化プラスチック(FRP)及び繊維強化金属(FRM)の切断、穴あけ、溶接、曲げ加工、表面処理などのレーザ加工方法の提供。
【解決手段】材料の加熱・溶融・蒸発が可能かつ、材料内部への熱伝達はほとんどなく、熱歪みも生じにくい。10ピコ秒から100ナノ秒のパルス幅を持った超短パルスで、1mJから500Jのパルスエネルギーを持った固体レーザを用いて二重レーザ加工、カスケード加工を行うことで、さらに良好な加工面が得られる。
【解決手段】材料の加熱・溶融・蒸発が可能かつ、材料内部への熱伝達はほとんどなく、熱歪みも生じにくい。10ピコ秒から100ナノ秒のパルス幅を持った超短パルスで、1mJから500Jのパルスエネルギーを持った固体レーザを用いて二重レーザ加工、カスケード加工を行うことで、さらに良好な加工面が得られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明者は繊維強化複合材料のレーザ加工法および加工部材に関する。
本技術はこれらの難加工材であるCFRPやCFRMの複合材料を最新レーザ加工法で解決する手法を提案した。
【背景技術】
【0002】
自動車、航空機、船舶、鉄道車両などの産業が抱えている現在のエネルギー問題、環境問題、資源問題を解決するために、軽量化、高性能化、高効率化、省資源・リサイクル化を実現しうる新材料とその加工技術の開発が叫ばれている。
近年、軽量な輸送機器の開発が急務で、各種複合材料が採用されつつある。
CFRPはすでに航空機産業では 機体の多くの部分に適用されるようになった。その穴あけや切断にはダイヤモンドカッターやウオータジェット切断などが利用されているが、
CFRPやFRMなどの複合材料はマトリックスと強化繊維が異なる材質であるために、その切断、穴あけ、溝加工などの除去加工が困難であるばかりでなく、溶接・接合加工も非常に難しい。たとえば、ダイヤモンド切削時や研削時には炭素繊維が空中に飛散したりすると作業者が吸引し、人体に大きな問題となる。また、加工速度が遅く、加工費が高価ある。航空機以外の自動車、高速列車などの量産品への適用はレジャー品のゴルフクラブや釣り竿以外には十分適用されていないという課題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、複合材料はマトリックスに強化炭素繊維や強化ガラスなどの材料がプラスチックや金属のマトリッックスに複合化されており、その切断、穴あけ、溝加工および溶接、接合加工は非常に困難であり、ダイヤモンドカッターやウオータジェット切断などの機械加工では、小さい半径をもつ曲線切断やコーナー加工などは非常に困難である。特にミクロンオーダーの加工物になれば不可能である。また、切断面の繊維のほぐれの問題や加工コストが高いことがあり、その応用分野を限定している。とくにCFRP(炭素繊維強化プラスチック)材の切断時には、細かい炭素繊維が空中に飛散し、人体に問題があったり、材料費のみならず、加工費が高価あるという課題を解決する方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の2重レーザ切断法およびカスケードレーザ切断法は、上述の問題をこのような難加工材料をピコ秒パルスおよびナノ秒パルスレーザで1億分の1秒程度の超高速で材料を加熱除去できることにより、高品質に、高速で、熱影響なく、低コストで切断、穴あけ、溝加工を可能にする新レーザ加工法で解決するという手段をここでは提供する。
100ピコ秒から50ナノ秒のパルスでレーザを物体に照射すると、レーザ光が物体の原子構造中の電子と瞬時に作用し、物体の表面を数万度に加熱する。物質の熱拡散時間よりもパルスの時間幅が短いので、熱の蓄積が表面に生じて、材料(物質)の照射面近傍でのみ熱が発生し、その熱により材料は加熱、溶融、蒸発が起こり、イオン化・分解も起こる。この結果、材料内部への熱伝達はほとんどなく、熱歪みも生じないので、この特性をCFRPなどの複合材料に適用すると炭素繊維がまるでダイコンを包丁で輪切りしたように見事に切断できる。このように従来法ではできなかった加工法がピコ秒パルスレーザやナノ秒パルスレーザで可能となる。
【0005】
請求項1の発明で示す加工法は10ピコ秒から100ナノ秒の範囲のパルス幅を持つ超短パルスレーザで、そのパルスエネルギーが1mJ〜500Jの範囲のQースイッチ固体レーザを用いて、炭素繊維強化プラスチック(以下CFRPと呼ぶ)を含む繊維強化プラスティック(以下FRPと呼ぶ)材料および複合材料合板(金属や無機材と複合材料の合板)を、数10Hz〜数100kHzの高繰り返す数でアシストガスを用いてまたは用いないで実施することを特徴とするレーザ切断、穴あけ加工、マーキング加工、溝加工、彫刻加工を含むレーザ除去加工法を提案している。
【0006】
本発明請求項2のレーザ加工法は出力10W以上で20kWまでの範囲の高出力連続発振固体レーザを用いて、FRP材料及びFRM(繊維強化金属)材料を含む複合材料および複合材料合板を切断、穴あけ、溝加工および彫刻加工において粗加工した後に(直後の場合も含む)、その除去加工面の両面または片面をさらに上記請求項1に示す加工法で重ね(2重)加工することを特徴とするレーザ加工法、並びに高出力連続発振固体レーザの直後約1mm〜100mm後方に、1ピコ秒から100ナノ秒の範囲のパルス幅で連続発振固体レーザのビームスポット径より大きなビームスポット径を持つ超短パルスレーザビームを配置し、切断、穴あけ、溝加工面両面を同時に2重に加工する方法(図1参照)、および高出力連続発振固体レーザの直後約1mm〜100mm後方に、1ピコ秒から100ナノ秒の範囲のパルス幅で連続発振固体レーザのビームスポット径より小さいビームスポット径を持つ超短パルスレーザビームを配置し、切断、穴あけ、溝加工面片面を同時に2重に加工することを特徴とするレーザ加工法を提案した。(図2参照)。
【0007】
請求項3で示す2重レーザ切断法で用いる超短パルスレーザは、Q―スイッチYAGレーザ、YVO4レーザ、ピコ秒固体レーザを含む固体レーザであり、その基本波長は約800nm〜1080nmの範囲にあり、その2倍波(YAGレーザの場合、波長が532nm)、3倍波(YAGレーザの場合、波長が355nm)をも含むレーザで、これらを用いることを特徴とする加工法を提案した。
【0008】
請求項4に示す加工法は 前記請求項1、2および3において、複合材料とは 軽量で、高強度の複合材料である炭素繊維やガラス繊維で強化されたプラスチック(FRP)または これらで強化された金属(FRM)であり、マトリックスの材料(プラスチックまたは金属)と繊維材料(炭素繊維、ガラス繊維、ウイスカーなど)では著しく材料特性が異なるものを意味し、これらはレーザ吸収特性も異なり、融点も大きく異なるために、数億分の1秒というナノ秒で切断することにより、除去加工中の熱伝導を著しく抑制でき、レーザ切断、レーザ穴あけ、レーザマーキング、レーザ溝加工およびレーザ微細除去加工の除去(切断)面の品質を数段向上できるという特徴を有する。
また、この除去加工法はレーザの波長が800nmから1080nmの範囲にあるピコ秒またはナノ秒パルス固体レーザで、100ピコ秒から50ナノ秒の範囲の超短パルス幅で、0.1〜20GW/cm2の高出力密度を持ち、繰り返す数の大きい固体レーザを用いて空気中または水中で行うことを特徴としている。
【0009】
請求項5のレーザ切断法は 高出力連続発振固体レーザを用い、超短パルスレーザとしてナノ秒パルス固体レーザを用いて、重ね除去加工する場合、まず、高出力連続発振固体レーザを用いて複合材料をレーザ除去加工したところを数10μm〜数100μm進行方向に垂直にずらして、再度同じ切断線に沿って切断、穴あけ、溝加工のレーザ除去加工を超短パルス固体レーザでビームスポット径をより大きく(図1の場合)またはより小さくして(図2の場合)、両面または片面をそれぞれ仕上げ加工することにより、前の粗加工の切断面に露出した繊維およびマトリックスの樹脂を後加工で蒸発除去(アブレーション)することを特徴とする両面または片面2重レーザ切断(除去)加工法を提案した。
【0010】
請求項6に示す切断法は、板厚の厚い複合材料または複合材料合板を超短パルス固体レーザのみを用いて切断する場合、図3に示すようにカスケード状に表面より板底部に向かい順にレーザを照射し、多パス多層で蒸発・除去させ、深くまで切断することを特徴とするレーザ切断法を提案した。
【0011】
請求項7に示す溶接継手は、複合材料または複合材料合板の溶接継手を加工する方法として、請求項1、2、3、4,および5に示す方法を用いて、図4に示すように、開先の形状をジグザグとしたり、モザイク状に精密に開先加工することにより製作された複合材料または複合材料合板のモザイク(ファスナー状)継手を複合材料に適切な溶接継手として提案した。
【0012】
請求項8に示す溶接法は波長が532nmから1080nmの固体レーザを用いて、FRP部材及びFRM(繊維強化金属)などの複合材料および複合材料合板同志または複合材料と金属の異種材料継手の突合せ継手、重ね継手、へり継手、すみ肉継手の接合部に熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の混合物に強化繊維、強化ガラス、ウイスカーを含む強化材を数%〜80%重量%添加した溶加材(ワイヤ、棒、粉体、ペースト状のもの)を充填しつつ、複合材料および複合材料合板とをレーザ溶接することを特徴とする接合方法を提案している。図5は溶加材の充填方法の一例を示す。溶加材の充填方法として ワイヤまたは棒状のものを機械的に接合部に充填する方法、溶接継手の接合面または接合部上部に塗布または配置して置く方法、または 樹脂と強化繊維または樹脂と強化ガラスの混合物の粉体をアルゴンガスやシールドガスを送給ガスとして接合部に充填する方法を用いて行うなどの方法がある。
【0013】
請求項8における熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の混合物とは、熱可塑性樹脂に重量%で10%〜99%の範囲の熱硬化性樹脂を混合した樹脂で、高温での樹脂の特性を考慮して配合した混合物である。これにさらに炭素繊維やガラス繊維などの繊維強化材を添加することにより、複合材料溶接部の強度が向上する特徴を有する。
【0014】
請求項7に示しモザイク継手または複合材料を単層のプリプレグとし、これをさらに接着またはレーザ溶着することにより、多層に積層した板厚大きい高強度複合材料部材を図6のように製造することも可能である。
請求項10に示す加工法および部材は複合材料の単層部材または金属母材およびCFRP母材を上板および/または下板に用い、コルゲート板、チャンネル材または/及びコラム材をこれら上下平板の間に挟むコア材として用い、これらの部材を圧接または接合面に熱可塑性または熱硬化性の樹脂を塗布して、それぞれの可塑化温度または硬化温度以上に レーザまたはオーブンで加熱して圧接することを特徴とする軽量サンドイッチ部材の製造方法およびこの方法で製造したサンドイッチ部材を提案している。
【0015】
軽量部材のサンドウイッチパネルを複合材料および金属材料で構成して製作することにおいて、請求項7、8,9及び10に示す技術で製作したモザイク継手を持つ多層積層の複合材料部材として、図7のように上面板、中板(コンゲート板)または下面板として用いて、これらの面接合に接着剤を塗布して接着するか、または熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の混合物を塗布してそれぞれの可塑化温度または硬化温度以上にレーザまたはオーブンで加熱して圧接する方法でパネルを製作する方法および作成された高強度、高じん性および高疲労強度の軽量パネルを提案した。
【0016】
軽量部材のサンドウイッチパネルを複合材料および金属材料で構成して製作することにおいて、請求項7、8,9及び10に示す技術で製作したモザイク継手を持つ多層積層の複合材料部材を従来の複合材料と併用して、上面板、中板(コンゲート板)または下面板として用い、この上面板および下面板に所定の切り込みを請求項4,5及び6に示す切断法で入れ、その会合面を請求項8および9に示す接合方法で接合し、中板とこれら上面板および下面板の面接合は接着またはレーザ溶着法で溶接してパネルを作成する方法および作成される軽量パネル(図8)およびH型コラム(図9)を提案した。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、CFRPを含む複合材料が革新的なレーザ加工法により、精度良く、高品質で切断、穴あけ、溝加工、彫刻加工などの除去加工が可能となる。この精密な除去加工により、CFRPを含む複合材料の微細レーザ加工が可能になり、炭素粉体の飛散も防止でき、人体への影響も低減できる。さらに複合材料に適正な形状の溶接継手を製作でき、従来より困難であった複合材料の突合せ溶接がモザイク継手を利用することで可能となる。この接合法を用いて、さらに軽量なパネルやH型コラムを製作できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態を説明する説明図である。両面2重レーザ切断法を示す。
【図2】第1実施形態を説明する説明図である。片面2重レーザ切断法を示す。
【図3】第2実施形態を説明する説明図である。超短パルスレーザによるカスケード切断法を示す。
【図4】第3実施形態を説明する説明図である。モザイク継手の例を示す。
【図5】第4実施形態を説明する説明図である。溶加材を用いたレーザ溶接法を示す。
【図6】第3実施形態を説明する説明図である。モザイク継手の積層材の例を示す。
【図7】第5実施形態を説明する説明図である。複合材料を用いたサンドウイッチパネルの例を示す
【図8】第5実施形態を説明する説明図である。 差し込み継手のあるサンドウイッチパネルの例を示す。
【図9】第5実施形態を説明する説明図である。差し込み継手のあるH型コラムの製作例を示す。
【図10】第1実施形態を説明する説明図である。高出力連続発振固体レーザによるCFRPの切断面を示す。
【図11】第1実施形態を説明する説明図である。超短パルス固体レーザによるCFRPの切断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
実施例1では超短パルス固体レーザのみの切断法、両面2重レーザ切断法および片面2重レーザ切断法について説明する。通常、高出力連続発振固体レーザ1(例えばファイバーレーザ)でCFRPのような複合材料6をレーザ切断すると図10のように炭素繊維が剥き出て、かつその先端は溶融炭化して丸くなる。これを100ピコ秒から50ナノ秒超短パルスレーザ(例えば10ナノ秒のナノ秒パルスレーザ)3で切断すると、レーザ光が物体の原子構造中の電子と瞬時に作用し、物体の表面を数万度に加熱する。物質の熱拡散時間よりもパルスの時間幅が短いので、熱の蓄積が表面に生じて、材料(物質)の照射面近傍でのみ熱が発生し、その熱により材料は加熱、溶融、蒸発が起こり、イオン化・分解も起こる。この結果、材料内部への熱伝達はほとんどなく、熱歪みも生じないので、この特性をCFRPなどの複合材料に適用すると炭素繊維がまるでダイコンを包丁で輪切りしたように図11に示すように見事に切断できる。
【0021】
超短パルスのパルスエネルギーが6.5mJのQースウイッチYAGレーザ装置を用いて、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の板材(板厚:0.7mm)の除去加工(レーザ切断)を20Hzでアシストガスを用いないで大気中で実施したところで、従来のCO2レーザやファイバーレーザで切断した場合に切断部に見られる図11に示すような炭素繊維のむき出しが見られない。非常に良好な切断品質の切断面が得られた。このような切断面は従来のレーザでは得られなかった。レーザパルス幅がピコ秒やナノ秒になるとこのような切断が可能となる。
【0022】
他方、出力10W以上で20kWまでの範囲の高出力連続発振固体レーザを用いて、FRP材料及びFRM(繊維強化金属)材料を含む複合材料および複合材料合板を切断し、粗加工した後に、図1に示すように、その切断面5の両面を超短パルスレーザ3で、小出力で、高繰り返し数のレーザで切断する。集光レンズ(1)2で集光された先行のレーザ1と集光レンズ(2)4で集光された後行のレーザ3の間隔は約1mm〜100mmとし、100ピコ秒から50ナノ秒の範囲のパルス幅で高出力連続発振固体レーザ1のビームスポット径より大きなビームスポット径を持つ超短パルスレーザビームを配置し、切断面両面を同時に2重切断すると厚いCFRP材も高品質で切断できる。これを「両面2重レーザ切断法」とここでは呼ぶ。他方、図2に示すように高出力連続発振固体レーザのビームスポット径よりも小さいビームスポット径の超短パルスレーザビームを配置し、切断面5の片面を2重レーザ切断する方法を「片面2重レーザ切断法」と呼ぶ。その結果、図11に示すような切断面7が得られる。
【実施例2】
【0023】
実施例2は超短パルスレーザを用いたカスケード切断法について説明する。図3はレーザパスを全切断線の内、その数分の1に分けて、表面からカスケード切断第1パス8,カスケード切断第2パス9,カスケード切断第nパス10を切断し、次の部分をまたカスケード切断第(n+1)パス11,カスケード切断第(n+2)パス12、カスケー切断第(n+3)パス13と順次切断をして行く方法で厚い板厚の複合材料を切断する方法である。これを超短パルスレーザカスケード切断法とここでは呼ぶ。なぜなら、超短パルスレーザの1パスで除去される材料の量は数立方mmと少ないからである。しかし、それが故、切断面の品質は非常によく、図11に示すような切断面となる。このために、超短パルスレーザのパルス繰り返し数は数kHzから数100kHzの範囲のものが適切である。よって、多パス多層でCFRPなどを切断することになる。高出力連続発振固体レーザやCO2レーザを用いたレーザ切断にはアシストガスが通常用いられるが、超短パルスレーザによる切断では必ずしもアシストガスが必要でない。
【実施例3】
【0024】
図4はモザイク継手を示す。14は複合材料A、15は複合材料Bまたは金属材料、16は溶接開先面である。複合材料または複合材料合板の溶接継手の開先として、推奨されるもので、実施例1および2の技術により開先の形状をジグザグとしたり、モザイク状に精密に開先加工することができ、複合材料または複合材料合板の溶接継手として、適切な継手となる。
【0025】
図6はこのような継手を溶接してできたモザイク溶接継手の単層材および多層材を示す。
20はモザイク継手単層材、21はモザイク継手多層材、22はモザイク継手多層材(第1層)、23はモザイク継手多層材(第2層)、24はモザイク継手多層材(第3層)、25はモザイク継手多層材(第4層)、26はモザイク継手多層材(第5層)を示す。単層材をさらに接着材を塗布してオーブン加熱して面接合したり、レーザで加熱して溶着することにより、多層に積層した板厚の大きい高強度複合材料部材を製造することが可能となる。
【実施例4】
【0026】
図5は複合材料のための溶加材を用いたレーザ溶接法を示す。1は高出力連続発振固体レーザ、2は集光レンズ1、6は繊維強化プラスチック(FRP)または金属(FRM)、17は溶加材(ワイヤ)、18はシールドガスノズル、19はワイヤ送給装置(ローラー)である。
波長が532nmから1080nmの高出力連続発振固体レーザ1を用いて、FRP部材及びFRM(繊維強化金属)などの複合材料および複合材料合板6同志または複合材料と金属の異種材料継手の突合せ継手、重ね継手、へり継手、すみ肉継手の接合部に熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の混合したものに、強化繊維、強化ガラス、ウイスカーを含む強化材を数%〜80%重量%添加した溶加材17(ワイヤ、棒、粉体、ペースト状のもの)を充填しつつ、複合材料および複合材料合板6とをレーザ溶接する方法である。
【0027】
図5は溶加材の充填方法の一例であるワイヤ形態の実施例を示す。溶加材の充填方法として ワイヤまたは棒状のものを機械的に接合部に充填する方法、溶接継手の接合面または接合部上部に塗布または配置して置く方法、または 樹脂と強化繊維または樹脂と強化ガラスの混合物の粉体をアルゴンガスやシールドガスを送給ガスとして接合部に充填する方法などがあるが、どのような溶接姿勢でも供給が容易なワイヤ方式を示している。
【0028】
この実施例4における熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の混合物である溶加材は、熱可塑性樹脂に重量%で10%〜99%の範囲の熱硬化性樹脂を混合した樹脂をベース組成として、これにさらに炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、各種ウイスカーなどの繊維強化材を数%〜80%添加したものを用いる。それにより複合材料溶接部の強度やじん性が向上する。
【実施例5】
【0029】
比強度の硬いCFRPなどの複合材料をさらにサンドウイッチパネルやH型コラムにして構造物や部品に適用するとさらに軽くて、強度の高い部材を提供できる。図7は複合材料を用いたサンドウイッチパネルの例を示す。14は複合材料A、15は複合材料B(または金属材料)、16は溶接開先面、27はパネル接合面である。
複合材料14および複合材料または金属材料15を上板および/または下板に用い、コルゲート板、チャンネル材または/及びコラム材をこれら上下平板の間に挟むコア材として用い、これらの部材を圧接または接合面に熱可塑性または熱硬化性の樹脂を塗布して、それぞれの可塑化温度または硬化温度以上に レーザまたはオーブンで加熱して圧接することで軽量サンドイッチ部材を製造できる。
【0030】
図8は差し込み継手をもつ軽量サンドイッチ部材である。28は差し込み継手を示す。
軽量部材のサンドウイッチパネルを複合材料14および複合材料または金属材料15で構成して製作することにおいて、モザイク継手を持つ多層積層の複合材料14を従来の複合材料と併用して、上面板、中板(コンゲート板)または下面板として用い、この上面板および下面板に所定の切り込み28をレーザ切断法で入れ、その会合面をレーザ溶接で接合し、中板とこれら上面板および下面板の面接合は接着またはレーザ溶着法で溶接してパネルを作成すると 強度的にも高い、軽量の構造用パネルや図8で示すようなH型コラムを製造できる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は複合材料を航空機部材のみならず、自動車、高速列車、船舶、建築、産業機械、航空宇宙機器、駐車施設、圧力容器などの部材として利用すれば、それらを軽量化できる。非常に広い適用分野がある。
【符号の説明】
【0032】
1:高出力連続発振固体レーザ
2:集光レンズ1
3:超短パルスレーザ
4:集光レンズ2
5:切断溝(高出力連続発振レーザ切断後)
6:繊維強化プラスチック(FRP)または金属(FRM)
7:切断溝(超短パルスレーザ切断後)
8:カスケード切断第1パス
9:カスケード切断第2パス
10:カスケード切断第nパス
11:カスケード切断第(n+1)パス
12:カスケード切断第(n+2)パス
13:カスケード切断第(n+3)パス
14:複合材料A
15:複合材料B(または金属材料)
16:溶接開先面
17:溶加材(ワイヤ)
18:シールドガスノズル
19:ワイヤ送給装置(ローラー)
20:モザイク継手単層材
21:モザイク継手多層材
22:モザイク継手多層材(第1層)
23:モザイク継手多層材(第2層)
24:モザイク継手多層材(第3層)
25:モザイク継手多層材(第4層)
26:モザイク継手多層材(第5層)
27:パネル接合面
28:差し込み継手
【技術分野】
【0001】
本発明者は繊維強化複合材料のレーザ加工法および加工部材に関する。
本技術はこれらの難加工材であるCFRPやCFRMの複合材料を最新レーザ加工法で解決する手法を提案した。
【背景技術】
【0002】
自動車、航空機、船舶、鉄道車両などの産業が抱えている現在のエネルギー問題、環境問題、資源問題を解決するために、軽量化、高性能化、高効率化、省資源・リサイクル化を実現しうる新材料とその加工技術の開発が叫ばれている。
近年、軽量な輸送機器の開発が急務で、各種複合材料が採用されつつある。
CFRPはすでに航空機産業では 機体の多くの部分に適用されるようになった。その穴あけや切断にはダイヤモンドカッターやウオータジェット切断などが利用されているが、
CFRPやFRMなどの複合材料はマトリックスと強化繊維が異なる材質であるために、その切断、穴あけ、溝加工などの除去加工が困難であるばかりでなく、溶接・接合加工も非常に難しい。たとえば、ダイヤモンド切削時や研削時には炭素繊維が空中に飛散したりすると作業者が吸引し、人体に大きな問題となる。また、加工速度が遅く、加工費が高価ある。航空機以外の自動車、高速列車などの量産品への適用はレジャー品のゴルフクラブや釣り竿以外には十分適用されていないという課題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、複合材料はマトリックスに強化炭素繊維や強化ガラスなどの材料がプラスチックや金属のマトリッックスに複合化されており、その切断、穴あけ、溝加工および溶接、接合加工は非常に困難であり、ダイヤモンドカッターやウオータジェット切断などの機械加工では、小さい半径をもつ曲線切断やコーナー加工などは非常に困難である。特にミクロンオーダーの加工物になれば不可能である。また、切断面の繊維のほぐれの問題や加工コストが高いことがあり、その応用分野を限定している。とくにCFRP(炭素繊維強化プラスチック)材の切断時には、細かい炭素繊維が空中に飛散し、人体に問題があったり、材料費のみならず、加工費が高価あるという課題を解決する方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の2重レーザ切断法およびカスケードレーザ切断法は、上述の問題をこのような難加工材料をピコ秒パルスおよびナノ秒パルスレーザで1億分の1秒程度の超高速で材料を加熱除去できることにより、高品質に、高速で、熱影響なく、低コストで切断、穴あけ、溝加工を可能にする新レーザ加工法で解決するという手段をここでは提供する。
100ピコ秒から50ナノ秒のパルスでレーザを物体に照射すると、レーザ光が物体の原子構造中の電子と瞬時に作用し、物体の表面を数万度に加熱する。物質の熱拡散時間よりもパルスの時間幅が短いので、熱の蓄積が表面に生じて、材料(物質)の照射面近傍でのみ熱が発生し、その熱により材料は加熱、溶融、蒸発が起こり、イオン化・分解も起こる。この結果、材料内部への熱伝達はほとんどなく、熱歪みも生じないので、この特性をCFRPなどの複合材料に適用すると炭素繊維がまるでダイコンを包丁で輪切りしたように見事に切断できる。このように従来法ではできなかった加工法がピコ秒パルスレーザやナノ秒パルスレーザで可能となる。
【0005】
請求項1の発明で示す加工法は10ピコ秒から100ナノ秒の範囲のパルス幅を持つ超短パルスレーザで、そのパルスエネルギーが1mJ〜500Jの範囲のQースイッチ固体レーザを用いて、炭素繊維強化プラスチック(以下CFRPと呼ぶ)を含む繊維強化プラスティック(以下FRPと呼ぶ)材料および複合材料合板(金属や無機材と複合材料の合板)を、数10Hz〜数100kHzの高繰り返す数でアシストガスを用いてまたは用いないで実施することを特徴とするレーザ切断、穴あけ加工、マーキング加工、溝加工、彫刻加工を含むレーザ除去加工法を提案している。
【0006】
本発明請求項2のレーザ加工法は出力10W以上で20kWまでの範囲の高出力連続発振固体レーザを用いて、FRP材料及びFRM(繊維強化金属)材料を含む複合材料および複合材料合板を切断、穴あけ、溝加工および彫刻加工において粗加工した後に(直後の場合も含む)、その除去加工面の両面または片面をさらに上記請求項1に示す加工法で重ね(2重)加工することを特徴とするレーザ加工法、並びに高出力連続発振固体レーザの直後約1mm〜100mm後方に、1ピコ秒から100ナノ秒の範囲のパルス幅で連続発振固体レーザのビームスポット径より大きなビームスポット径を持つ超短パルスレーザビームを配置し、切断、穴あけ、溝加工面両面を同時に2重に加工する方法(図1参照)、および高出力連続発振固体レーザの直後約1mm〜100mm後方に、1ピコ秒から100ナノ秒の範囲のパルス幅で連続発振固体レーザのビームスポット径より小さいビームスポット径を持つ超短パルスレーザビームを配置し、切断、穴あけ、溝加工面片面を同時に2重に加工することを特徴とするレーザ加工法を提案した。(図2参照)。
【0007】
請求項3で示す2重レーザ切断法で用いる超短パルスレーザは、Q―スイッチYAGレーザ、YVO4レーザ、ピコ秒固体レーザを含む固体レーザであり、その基本波長は約800nm〜1080nmの範囲にあり、その2倍波(YAGレーザの場合、波長が532nm)、3倍波(YAGレーザの場合、波長が355nm)をも含むレーザで、これらを用いることを特徴とする加工法を提案した。
【0008】
請求項4に示す加工法は 前記請求項1、2および3において、複合材料とは 軽量で、高強度の複合材料である炭素繊維やガラス繊維で強化されたプラスチック(FRP)または これらで強化された金属(FRM)であり、マトリックスの材料(プラスチックまたは金属)と繊維材料(炭素繊維、ガラス繊維、ウイスカーなど)では著しく材料特性が異なるものを意味し、これらはレーザ吸収特性も異なり、融点も大きく異なるために、数億分の1秒というナノ秒で切断することにより、除去加工中の熱伝導を著しく抑制でき、レーザ切断、レーザ穴あけ、レーザマーキング、レーザ溝加工およびレーザ微細除去加工の除去(切断)面の品質を数段向上できるという特徴を有する。
また、この除去加工法はレーザの波長が800nmから1080nmの範囲にあるピコ秒またはナノ秒パルス固体レーザで、100ピコ秒から50ナノ秒の範囲の超短パルス幅で、0.1〜20GW/cm2の高出力密度を持ち、繰り返す数の大きい固体レーザを用いて空気中または水中で行うことを特徴としている。
【0009】
請求項5のレーザ切断法は 高出力連続発振固体レーザを用い、超短パルスレーザとしてナノ秒パルス固体レーザを用いて、重ね除去加工する場合、まず、高出力連続発振固体レーザを用いて複合材料をレーザ除去加工したところを数10μm〜数100μm進行方向に垂直にずらして、再度同じ切断線に沿って切断、穴あけ、溝加工のレーザ除去加工を超短パルス固体レーザでビームスポット径をより大きく(図1の場合)またはより小さくして(図2の場合)、両面または片面をそれぞれ仕上げ加工することにより、前の粗加工の切断面に露出した繊維およびマトリックスの樹脂を後加工で蒸発除去(アブレーション)することを特徴とする両面または片面2重レーザ切断(除去)加工法を提案した。
【0010】
請求項6に示す切断法は、板厚の厚い複合材料または複合材料合板を超短パルス固体レーザのみを用いて切断する場合、図3に示すようにカスケード状に表面より板底部に向かい順にレーザを照射し、多パス多層で蒸発・除去させ、深くまで切断することを特徴とするレーザ切断法を提案した。
【0011】
請求項7に示す溶接継手は、複合材料または複合材料合板の溶接継手を加工する方法として、請求項1、2、3、4,および5に示す方法を用いて、図4に示すように、開先の形状をジグザグとしたり、モザイク状に精密に開先加工することにより製作された複合材料または複合材料合板のモザイク(ファスナー状)継手を複合材料に適切な溶接継手として提案した。
【0012】
請求項8に示す溶接法は波長が532nmから1080nmの固体レーザを用いて、FRP部材及びFRM(繊維強化金属)などの複合材料および複合材料合板同志または複合材料と金属の異種材料継手の突合せ継手、重ね継手、へり継手、すみ肉継手の接合部に熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の混合物に強化繊維、強化ガラス、ウイスカーを含む強化材を数%〜80%重量%添加した溶加材(ワイヤ、棒、粉体、ペースト状のもの)を充填しつつ、複合材料および複合材料合板とをレーザ溶接することを特徴とする接合方法を提案している。図5は溶加材の充填方法の一例を示す。溶加材の充填方法として ワイヤまたは棒状のものを機械的に接合部に充填する方法、溶接継手の接合面または接合部上部に塗布または配置して置く方法、または 樹脂と強化繊維または樹脂と強化ガラスの混合物の粉体をアルゴンガスやシールドガスを送給ガスとして接合部に充填する方法を用いて行うなどの方法がある。
【0013】
請求項8における熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の混合物とは、熱可塑性樹脂に重量%で10%〜99%の範囲の熱硬化性樹脂を混合した樹脂で、高温での樹脂の特性を考慮して配合した混合物である。これにさらに炭素繊維やガラス繊維などの繊維強化材を添加することにより、複合材料溶接部の強度が向上する特徴を有する。
【0014】
請求項7に示しモザイク継手または複合材料を単層のプリプレグとし、これをさらに接着またはレーザ溶着することにより、多層に積層した板厚大きい高強度複合材料部材を図6のように製造することも可能である。
請求項10に示す加工法および部材は複合材料の単層部材または金属母材およびCFRP母材を上板および/または下板に用い、コルゲート板、チャンネル材または/及びコラム材をこれら上下平板の間に挟むコア材として用い、これらの部材を圧接または接合面に熱可塑性または熱硬化性の樹脂を塗布して、それぞれの可塑化温度または硬化温度以上に レーザまたはオーブンで加熱して圧接することを特徴とする軽量サンドイッチ部材の製造方法およびこの方法で製造したサンドイッチ部材を提案している。
【0015】
軽量部材のサンドウイッチパネルを複合材料および金属材料で構成して製作することにおいて、請求項7、8,9及び10に示す技術で製作したモザイク継手を持つ多層積層の複合材料部材として、図7のように上面板、中板(コンゲート板)または下面板として用いて、これらの面接合に接着剤を塗布して接着するか、または熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の混合物を塗布してそれぞれの可塑化温度または硬化温度以上にレーザまたはオーブンで加熱して圧接する方法でパネルを製作する方法および作成された高強度、高じん性および高疲労強度の軽量パネルを提案した。
【0016】
軽量部材のサンドウイッチパネルを複合材料および金属材料で構成して製作することにおいて、請求項7、8,9及び10に示す技術で製作したモザイク継手を持つ多層積層の複合材料部材を従来の複合材料と併用して、上面板、中板(コンゲート板)または下面板として用い、この上面板および下面板に所定の切り込みを請求項4,5及び6に示す切断法で入れ、その会合面を請求項8および9に示す接合方法で接合し、中板とこれら上面板および下面板の面接合は接着またはレーザ溶着法で溶接してパネルを作成する方法および作成される軽量パネル(図8)およびH型コラム(図9)を提案した。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、CFRPを含む複合材料が革新的なレーザ加工法により、精度良く、高品質で切断、穴あけ、溝加工、彫刻加工などの除去加工が可能となる。この精密な除去加工により、CFRPを含む複合材料の微細レーザ加工が可能になり、炭素粉体の飛散も防止でき、人体への影響も低減できる。さらに複合材料に適正な形状の溶接継手を製作でき、従来より困難であった複合材料の突合せ溶接がモザイク継手を利用することで可能となる。この接合法を用いて、さらに軽量なパネルやH型コラムを製作できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態を説明する説明図である。両面2重レーザ切断法を示す。
【図2】第1実施形態を説明する説明図である。片面2重レーザ切断法を示す。
【図3】第2実施形態を説明する説明図である。超短パルスレーザによるカスケード切断法を示す。
【図4】第3実施形態を説明する説明図である。モザイク継手の例を示す。
【図5】第4実施形態を説明する説明図である。溶加材を用いたレーザ溶接法を示す。
【図6】第3実施形態を説明する説明図である。モザイク継手の積層材の例を示す。
【図7】第5実施形態を説明する説明図である。複合材料を用いたサンドウイッチパネルの例を示す
【図8】第5実施形態を説明する説明図である。 差し込み継手のあるサンドウイッチパネルの例を示す。
【図9】第5実施形態を説明する説明図である。差し込み継手のあるH型コラムの製作例を示す。
【図10】第1実施形態を説明する説明図である。高出力連続発振固体レーザによるCFRPの切断面を示す。
【図11】第1実施形態を説明する説明図である。超短パルス固体レーザによるCFRPの切断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
実施例1では超短パルス固体レーザのみの切断法、両面2重レーザ切断法および片面2重レーザ切断法について説明する。通常、高出力連続発振固体レーザ1(例えばファイバーレーザ)でCFRPのような複合材料6をレーザ切断すると図10のように炭素繊維が剥き出て、かつその先端は溶融炭化して丸くなる。これを100ピコ秒から50ナノ秒超短パルスレーザ(例えば10ナノ秒のナノ秒パルスレーザ)3で切断すると、レーザ光が物体の原子構造中の電子と瞬時に作用し、物体の表面を数万度に加熱する。物質の熱拡散時間よりもパルスの時間幅が短いので、熱の蓄積が表面に生じて、材料(物質)の照射面近傍でのみ熱が発生し、その熱により材料は加熱、溶融、蒸発が起こり、イオン化・分解も起こる。この結果、材料内部への熱伝達はほとんどなく、熱歪みも生じないので、この特性をCFRPなどの複合材料に適用すると炭素繊維がまるでダイコンを包丁で輪切りしたように図11に示すように見事に切断できる。
【0021】
超短パルスのパルスエネルギーが6.5mJのQースウイッチYAGレーザ装置を用いて、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の板材(板厚:0.7mm)の除去加工(レーザ切断)を20Hzでアシストガスを用いないで大気中で実施したところで、従来のCO2レーザやファイバーレーザで切断した場合に切断部に見られる図11に示すような炭素繊維のむき出しが見られない。非常に良好な切断品質の切断面が得られた。このような切断面は従来のレーザでは得られなかった。レーザパルス幅がピコ秒やナノ秒になるとこのような切断が可能となる。
【0022】
他方、出力10W以上で20kWまでの範囲の高出力連続発振固体レーザを用いて、FRP材料及びFRM(繊維強化金属)材料を含む複合材料および複合材料合板を切断し、粗加工した後に、図1に示すように、その切断面5の両面を超短パルスレーザ3で、小出力で、高繰り返し数のレーザで切断する。集光レンズ(1)2で集光された先行のレーザ1と集光レンズ(2)4で集光された後行のレーザ3の間隔は約1mm〜100mmとし、100ピコ秒から50ナノ秒の範囲のパルス幅で高出力連続発振固体レーザ1のビームスポット径より大きなビームスポット径を持つ超短パルスレーザビームを配置し、切断面両面を同時に2重切断すると厚いCFRP材も高品質で切断できる。これを「両面2重レーザ切断法」とここでは呼ぶ。他方、図2に示すように高出力連続発振固体レーザのビームスポット径よりも小さいビームスポット径の超短パルスレーザビームを配置し、切断面5の片面を2重レーザ切断する方法を「片面2重レーザ切断法」と呼ぶ。その結果、図11に示すような切断面7が得られる。
【実施例2】
【0023】
実施例2は超短パルスレーザを用いたカスケード切断法について説明する。図3はレーザパスを全切断線の内、その数分の1に分けて、表面からカスケード切断第1パス8,カスケード切断第2パス9,カスケード切断第nパス10を切断し、次の部分をまたカスケード切断第(n+1)パス11,カスケード切断第(n+2)パス12、カスケー切断第(n+3)パス13と順次切断をして行く方法で厚い板厚の複合材料を切断する方法である。これを超短パルスレーザカスケード切断法とここでは呼ぶ。なぜなら、超短パルスレーザの1パスで除去される材料の量は数立方mmと少ないからである。しかし、それが故、切断面の品質は非常によく、図11に示すような切断面となる。このために、超短パルスレーザのパルス繰り返し数は数kHzから数100kHzの範囲のものが適切である。よって、多パス多層でCFRPなどを切断することになる。高出力連続発振固体レーザやCO2レーザを用いたレーザ切断にはアシストガスが通常用いられるが、超短パルスレーザによる切断では必ずしもアシストガスが必要でない。
【実施例3】
【0024】
図4はモザイク継手を示す。14は複合材料A、15は複合材料Bまたは金属材料、16は溶接開先面である。複合材料または複合材料合板の溶接継手の開先として、推奨されるもので、実施例1および2の技術により開先の形状をジグザグとしたり、モザイク状に精密に開先加工することができ、複合材料または複合材料合板の溶接継手として、適切な継手となる。
【0025】
図6はこのような継手を溶接してできたモザイク溶接継手の単層材および多層材を示す。
20はモザイク継手単層材、21はモザイク継手多層材、22はモザイク継手多層材(第1層)、23はモザイク継手多層材(第2層)、24はモザイク継手多層材(第3層)、25はモザイク継手多層材(第4層)、26はモザイク継手多層材(第5層)を示す。単層材をさらに接着材を塗布してオーブン加熱して面接合したり、レーザで加熱して溶着することにより、多層に積層した板厚の大きい高強度複合材料部材を製造することが可能となる。
【実施例4】
【0026】
図5は複合材料のための溶加材を用いたレーザ溶接法を示す。1は高出力連続発振固体レーザ、2は集光レンズ1、6は繊維強化プラスチック(FRP)または金属(FRM)、17は溶加材(ワイヤ)、18はシールドガスノズル、19はワイヤ送給装置(ローラー)である。
波長が532nmから1080nmの高出力連続発振固体レーザ1を用いて、FRP部材及びFRM(繊維強化金属)などの複合材料および複合材料合板6同志または複合材料と金属の異種材料継手の突合せ継手、重ね継手、へり継手、すみ肉継手の接合部に熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の混合したものに、強化繊維、強化ガラス、ウイスカーを含む強化材を数%〜80%重量%添加した溶加材17(ワイヤ、棒、粉体、ペースト状のもの)を充填しつつ、複合材料および複合材料合板6とをレーザ溶接する方法である。
【0027】
図5は溶加材の充填方法の一例であるワイヤ形態の実施例を示す。溶加材の充填方法として ワイヤまたは棒状のものを機械的に接合部に充填する方法、溶接継手の接合面または接合部上部に塗布または配置して置く方法、または 樹脂と強化繊維または樹脂と強化ガラスの混合物の粉体をアルゴンガスやシールドガスを送給ガスとして接合部に充填する方法などがあるが、どのような溶接姿勢でも供給が容易なワイヤ方式を示している。
【0028】
この実施例4における熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の混合物である溶加材は、熱可塑性樹脂に重量%で10%〜99%の範囲の熱硬化性樹脂を混合した樹脂をベース組成として、これにさらに炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、各種ウイスカーなどの繊維強化材を数%〜80%添加したものを用いる。それにより複合材料溶接部の強度やじん性が向上する。
【実施例5】
【0029】
比強度の硬いCFRPなどの複合材料をさらにサンドウイッチパネルやH型コラムにして構造物や部品に適用するとさらに軽くて、強度の高い部材を提供できる。図7は複合材料を用いたサンドウイッチパネルの例を示す。14は複合材料A、15は複合材料B(または金属材料)、16は溶接開先面、27はパネル接合面である。
複合材料14および複合材料または金属材料15を上板および/または下板に用い、コルゲート板、チャンネル材または/及びコラム材をこれら上下平板の間に挟むコア材として用い、これらの部材を圧接または接合面に熱可塑性または熱硬化性の樹脂を塗布して、それぞれの可塑化温度または硬化温度以上に レーザまたはオーブンで加熱して圧接することで軽量サンドイッチ部材を製造できる。
【0030】
図8は差し込み継手をもつ軽量サンドイッチ部材である。28は差し込み継手を示す。
軽量部材のサンドウイッチパネルを複合材料14および複合材料または金属材料15で構成して製作することにおいて、モザイク継手を持つ多層積層の複合材料14を従来の複合材料と併用して、上面板、中板(コンゲート板)または下面板として用い、この上面板および下面板に所定の切り込み28をレーザ切断法で入れ、その会合面をレーザ溶接で接合し、中板とこれら上面板および下面板の面接合は接着またはレーザ溶着法で溶接してパネルを作成すると 強度的にも高い、軽量の構造用パネルや図8で示すようなH型コラムを製造できる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は複合材料を航空機部材のみならず、自動車、高速列車、船舶、建築、産業機械、航空宇宙機器、駐車施設、圧力容器などの部材として利用すれば、それらを軽量化できる。非常に広い適用分野がある。
【符号の説明】
【0032】
1:高出力連続発振固体レーザ
2:集光レンズ1
3:超短パルスレーザ
4:集光レンズ2
5:切断溝(高出力連続発振レーザ切断後)
6:繊維強化プラスチック(FRP)または金属(FRM)
7:切断溝(超短パルスレーザ切断後)
8:カスケード切断第1パス
9:カスケード切断第2パス
10:カスケード切断第nパス
11:カスケード切断第(n+1)パス
12:カスケード切断第(n+2)パス
13:カスケード切断第(n+3)パス
14:複合材料A
15:複合材料B(または金属材料)
16:溶接開先面
17:溶加材(ワイヤ)
18:シールドガスノズル
19:ワイヤ送給装置(ローラー)
20:モザイク継手単層材
21:モザイク継手多層材
22:モザイク継手多層材(第1層)
23:モザイク継手多層材(第2層)
24:モザイク継手多層材(第3層)
25:モザイク継手多層材(第4層)
26:モザイク継手多層材(第5層)
27:パネル接合面
28:差し込み継手
【特許請求の範囲】
【請求項1】
10ピコ秒から100ナノ秒の範囲のパルス幅を持つ超短パルスレーザで、そのパルスエネルギーが1mJ〜500Jの範囲のQースイッチ固体レーザを用いて、炭素繊維強化プラスチック(以下CFRPと呼ぶ)を含む繊維強化プラスティック(以下FRPと呼ぶ)材料および複合材料合板(金属や無機材と複合材料の合板)を、数10Hz〜数100kHzの高繰り返す数でアシストガスを用いてまたは用いないで実施するレーザ切断、穴あけ加工、マーキング加工、溝加工、彫刻加工を含むレーザ除去加工法
【請求項2】
出力10W以上で20kWまでの範囲の高出力連続発振固体レーザを用いて、FRP材料及びFRM(繊維強化金属)材料を含む複合材料および複合材料合板を切断、穴あけ、溝加工および彫刻加工において粗加工した後に(直後の場合も含む)、その除去加工面の両面または片面をさらに上記請求項1に示す加工法で重ね(2重)加工することを特徴とするレーザ加工法、並びに高出力連続発振固体レーザの直後約1mm〜100mm後方に、1ピコ秒から100ナノ秒の範囲のパルス幅で連続発振固体レーザのビームスポット径より大きなビームスポット径を持つ超短パルスレーザビームを配置し、切断、穴あけ、溝加工面両面を同時に2重に加工する方法、および高出力連続発振固体レーザの直後約1mm〜100mm後方に、1ピコ秒から100ナノ秒の範囲のパルス幅で連続発振固体レーザのビームスポット径より小さいビームスポット径を持つ超短パルスレーザビームを配置し、切断、穴あけ、溝加工面片面を同時に2重に加工する方法。
【請求項3】
前記請求項1および2の超短パルスレーザは、Q―スイッチYAGレーザ、YVO4レーザ、ピコ秒固体レーザを含む固体レーザであり、その基本波長は約800nm〜1080nmの範囲にあり、その2倍波(YAGレーザの場合、波長が532nm)、3倍波(YAGレーザの場合、波長が355nm)をも含むレーザを用いることを特徴とする加工法。
【請求項4】
前記請求項1、2および3において、複合材料および複合材料合板のレーザ除去加工における加工条件としては 100ピコ秒から50ナノ秒の範囲の超短パルス幅で、0.1〜20GW/cm2の範囲の高エネルギー密度のレーザビームを用いて空気中または水中で行う加工法
【請求項5】
前記請求項1、および2における10W〜20kW高出力連続発振固体レーザとしてファイバーレーザを用い、超短パルスレーザとしてQースイッチYAGレーザを用いて、重ね加工する場合、ファイバーレーザでCFRPなどの複合材料をレーザ除去加工したところを数10μm〜数100μm進行方向に垂直にずらして、再度切断線に沿って切断、穴あけ、溝加工のレーザ除去加工を超短パルス固体レーザのビームスポット径をより大きくまたはより小さくして、両面または片面をそれぞれ仕上げ加工することにより、前の粗加工の切断面に露出した繊維およびマトリックスの樹脂を後加工で除去することを特徴とする両面または片面2重レーザ切断加工法。
【請求項6】
前記請求項1および3において、板厚の厚い複合材料または複合材料合板を超短パルス固体レーザのみを用いて切断する場合、カスケード状に表面より多層で蒸発・除去させ、深くまで多パスで切断するレーザ切断法
【請求項7】
複合材料または複合材料合板の溶接継手を加工する方法として、前記請求項1、2、3、4および5に示す方法を用いて、開先の形状をジグザグとしたり、モザイク状に精密に開先加工することに製作された複合材料または複合材料合板のモザイク(ファスナー状)継手
【請求項8】
波長が532nmから1070nmの固体レーザを用いて、FRP部材及びFRM(繊維強化金属)などの複合材料および複合材料合板同志または複合材料と金属の異種材料継手の突合せ継手、重ね継手、へり継手、すみ肉継手の接合部に熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の混合したものに、強化繊維、強化ガラス、ウイスカーを含む強化材を数%〜80%重量%添加した溶加材(ワイヤ、棒、粉体、ペースト状のもの)を充填しつつ、複合材料および複合材料合板とをレーザ溶接することを特徴とする接合方法
【請求項9】
前記請求項8における熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の混合物が、熱可塑性樹脂に重量%で10%〜99%の範囲の熱硬化性樹脂を混合した樹脂で、高温での樹脂の特性を考慮して配合した混合樹脂で、これにさらに繊維強化材を数重量%から最大50重量%添加したことを特徴とする溶加材。
【請求項10】
前記請求項7に示しモザイク継手または複合材料を単層のプリプレグとし、これをさらに接着またはレーザ溶着することにより、積層して多層板を作製する方法および作製する高強度複合材料部材
【請求項11】
軽量部材のサンドウイッチパネルを複合材料および金属材料で構成して製作することにおいて、前記請求項7、8,9及び10に示す技術で製作したモザイク継手を持つ多層積層の複合材料部材として、上面板、中板(コンゲート板)または下面板として用いて、これらの面接合を接着技術またはレーザ透過溶着法で行いパネルを製作する方法および作成された高強度、高じん性および高疲労強度の軽量パネル
【請求項12】
軽量部材のサンドウイッチパネルを複合材料および金属材料で構成して製作することにおいて、前記請求項7、8,9及び10に示す技術で製作したモザイク継手を持つ多層積層の複合材料部材を従来の複合材料と併用して、上面板、中板(コンゲート板)または下面板として用い、この上面板および下面板に所定の切り込みを前記請求項4,5及び6に示す切断法で入れ、その会合面を前記請求項8および9に示す接合方法で接合し、中板とこれら上面板および下面板の面接合は接着技術またはレーザ透過溶着法で溶接してパネルを作成する方法および作成される軽量パネルおよびH型コラム
【請求項1】
10ピコ秒から100ナノ秒の範囲のパルス幅を持つ超短パルスレーザで、そのパルスエネルギーが1mJ〜500Jの範囲のQースイッチ固体レーザを用いて、炭素繊維強化プラスチック(以下CFRPと呼ぶ)を含む繊維強化プラスティック(以下FRPと呼ぶ)材料および複合材料合板(金属や無機材と複合材料の合板)を、数10Hz〜数100kHzの高繰り返す数でアシストガスを用いてまたは用いないで実施するレーザ切断、穴あけ加工、マーキング加工、溝加工、彫刻加工を含むレーザ除去加工法
【請求項2】
出力10W以上で20kWまでの範囲の高出力連続発振固体レーザを用いて、FRP材料及びFRM(繊維強化金属)材料を含む複合材料および複合材料合板を切断、穴あけ、溝加工および彫刻加工において粗加工した後に(直後の場合も含む)、その除去加工面の両面または片面をさらに上記請求項1に示す加工法で重ね(2重)加工することを特徴とするレーザ加工法、並びに高出力連続発振固体レーザの直後約1mm〜100mm後方に、1ピコ秒から100ナノ秒の範囲のパルス幅で連続発振固体レーザのビームスポット径より大きなビームスポット径を持つ超短パルスレーザビームを配置し、切断、穴あけ、溝加工面両面を同時に2重に加工する方法、および高出力連続発振固体レーザの直後約1mm〜100mm後方に、1ピコ秒から100ナノ秒の範囲のパルス幅で連続発振固体レーザのビームスポット径より小さいビームスポット径を持つ超短パルスレーザビームを配置し、切断、穴あけ、溝加工面片面を同時に2重に加工する方法。
【請求項3】
前記請求項1および2の超短パルスレーザは、Q―スイッチYAGレーザ、YVO4レーザ、ピコ秒固体レーザを含む固体レーザであり、その基本波長は約800nm〜1080nmの範囲にあり、その2倍波(YAGレーザの場合、波長が532nm)、3倍波(YAGレーザの場合、波長が355nm)をも含むレーザを用いることを特徴とする加工法。
【請求項4】
前記請求項1、2および3において、複合材料および複合材料合板のレーザ除去加工における加工条件としては 100ピコ秒から50ナノ秒の範囲の超短パルス幅で、0.1〜20GW/cm2の範囲の高エネルギー密度のレーザビームを用いて空気中または水中で行う加工法
【請求項5】
前記請求項1、および2における10W〜20kW高出力連続発振固体レーザとしてファイバーレーザを用い、超短パルスレーザとしてQースイッチYAGレーザを用いて、重ね加工する場合、ファイバーレーザでCFRPなどの複合材料をレーザ除去加工したところを数10μm〜数100μm進行方向に垂直にずらして、再度切断線に沿って切断、穴あけ、溝加工のレーザ除去加工を超短パルス固体レーザのビームスポット径をより大きくまたはより小さくして、両面または片面をそれぞれ仕上げ加工することにより、前の粗加工の切断面に露出した繊維およびマトリックスの樹脂を後加工で除去することを特徴とする両面または片面2重レーザ切断加工法。
【請求項6】
前記請求項1および3において、板厚の厚い複合材料または複合材料合板を超短パルス固体レーザのみを用いて切断する場合、カスケード状に表面より多層で蒸発・除去させ、深くまで多パスで切断するレーザ切断法
【請求項7】
複合材料または複合材料合板の溶接継手を加工する方法として、前記請求項1、2、3、4および5に示す方法を用いて、開先の形状をジグザグとしたり、モザイク状に精密に開先加工することに製作された複合材料または複合材料合板のモザイク(ファスナー状)継手
【請求項8】
波長が532nmから1070nmの固体レーザを用いて、FRP部材及びFRM(繊維強化金属)などの複合材料および複合材料合板同志または複合材料と金属の異種材料継手の突合せ継手、重ね継手、へり継手、すみ肉継手の接合部に熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の混合したものに、強化繊維、強化ガラス、ウイスカーを含む強化材を数%〜80%重量%添加した溶加材(ワイヤ、棒、粉体、ペースト状のもの)を充填しつつ、複合材料および複合材料合板とをレーザ溶接することを特徴とする接合方法
【請求項9】
前記請求項8における熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の混合物が、熱可塑性樹脂に重量%で10%〜99%の範囲の熱硬化性樹脂を混合した樹脂で、高温での樹脂の特性を考慮して配合した混合樹脂で、これにさらに繊維強化材を数重量%から最大50重量%添加したことを特徴とする溶加材。
【請求項10】
前記請求項7に示しモザイク継手または複合材料を単層のプリプレグとし、これをさらに接着またはレーザ溶着することにより、積層して多層板を作製する方法および作製する高強度複合材料部材
【請求項11】
軽量部材のサンドウイッチパネルを複合材料および金属材料で構成して製作することにおいて、前記請求項7、8,9及び10に示す技術で製作したモザイク継手を持つ多層積層の複合材料部材として、上面板、中板(コンゲート板)または下面板として用いて、これらの面接合を接着技術またはレーザ透過溶着法で行いパネルを製作する方法および作成された高強度、高じん性および高疲労強度の軽量パネル
【請求項12】
軽量部材のサンドウイッチパネルを複合材料および金属材料で構成して製作することにおいて、前記請求項7、8,9及び10に示す技術で製作したモザイク継手を持つ多層積層の複合材料部材を従来の複合材料と併用して、上面板、中板(コンゲート板)または下面板として用い、この上面板および下面板に所定の切り込みを前記請求項4,5及び6に示す切断法で入れ、その会合面を前記請求項8および9に示す接合方法で接合し、中板とこれら上面板および下面板の面接合は接着技術またはレーザ透過溶着法で溶接してパネルを作成する方法および作成される軽量パネルおよびH型コラム
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−247206(P2010−247206A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101211(P2009−101211)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(501417549)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(501417549)
【Fターム(参考)】
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