説明

複合材料部材の形状寸法を制御するための方法及び装置

複合材料部材3の形状寸法を制御する方法である。この方法は、圧力伝達器6を使って複合材料部材に圧力を加える工程と、この圧力を加える工程の間に、複合材料部材を加熱する工程と、フィードバック信号を生成するために圧力伝達器の位置を計測する工程と、フィードバック信号の変化に応答して圧力伝達器を移動させる工程とを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材料部材の形状寸法を制御するための方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複合材料部材の形状寸法の比較的精確な制御は、レジンインジェクション成形(RTM)法を用いて達成することができる。乾燥補強プリフォームが成形型工具に置かれ、第2の成形型工具が第1の成形型工具の上でクランプされ、樹脂がキャビティ内に注入される。成形型工具の間隔(及びしたがって複合材料部材の厚さ)は、複合材料部材の縁の周囲における成形型工具間の相互の係合によって制御され得る。残念なことに、そのような成形型工具は、特に複合材料部材が航空機の翼又は胴体の外板のような大きな複合材料部材である場合に、その製造及び取扱いに費用がかかる。
【0003】
単一の成形型工具だけが必要とされる低コストな方法が利用できる。しかしながら、その場合には複合材料部材の形状寸法を精確に制御することは困難である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の様態は複合材料部材の形状寸法を制御する方法を提供し、この方法は、圧力伝達器を使って前記複合材料部材に圧力を加える工程と、該圧力を加える工程中における、前記複合材料部材を加熱する工程と、フィードバック信号を生成するために前記圧力伝達器の位置を計測する工程と、前記フィードバック信号の変化に応答して前記圧力伝達器を移動させる工程と、を含んでいる。
【0005】
本発明の第2の様態は、複合材料部材の形状寸法を制御する装置を提供し、この装置は、圧力伝達器と、フィードバック信号を生成するために前記圧力伝達器の位置を計測するように構成されたセンサーシステムと、前記センサーシステムに連結されたアクチュエータにして、前記フィードバック信号の変化に応答して前記圧力伝達器を移動させるように構成されたアクチュエータと、を具備している。
【0006】
複合材料部材は、熱可塑性の複合材料部材、又は加熱することにより少なくとも部分的に硬化される熱硬化性の複合材料部材である。複合材料部材は、限定するものではないが典型的には航空機の部材である。例えば、複合材料部材は、翼もしくは胴体の外板、又は翼桁もしくはリブ部材である。典型的には、複合材料部材は層状の構造を有している。
【0007】
センサーシステムは、圧力伝達器の位置を計測するための様々な方法を採用し得る。例えば、センサーシステムは、磁気アーマチュアの位置を計測する一組のコイルを備えるLVDT変位変換器である。代わりに、センサーシステムはレーザー照準を採用してもよい。しかしながら、レーザー照準に関連する問題は、複合材料部材の周囲の加熱された乱流空気によりレーザー光線の波長の変化が引き起こされることである。したがって好適には、フィードバック信号は、圧力伝達器の写真画像を二つ以上の異なる角度から撮影して、その画像を処理することにより生成される。典型的には、処理ステップは、圧力伝達器上の一つ以上の視標の画像を識別するステップを含んでおり、そのような視標は、圧力伝達器の一体部品であるか、又は例えば接着剤によって圧力伝達器に取り付けられたものである。
【0008】
典型的には、複合材料部材は成形型工具に係合され、センサーシステムはフィードバック信号を生成するために成形型工具と圧力伝達器との間の相対位置を計測する。
【0009】
センサーシステムは、様々な基準点に対する圧力伝達器の位置を計測する。例えば、基準点はセンサーそれ自身に設けられた点、又は圧力伝達器の初期位置、又はいくつかの外部構造物上の点であってよい。しかしながら、好適にはセンサーシステムは、成形型工具上の一つ以上の基準点に対する圧力伝達器の位置を計測し、その結果成形型工具と圧力伝達器との間の比較的正確な相対位置の計測を提供する。
【0010】
極端な例では、ただ一つの圧力伝達器が使用される。この場合圧力伝達器は、典型的には、成形型工具よりも小さい接触領域を有している。しかしながら好適には、そのような圧力伝達器がいくつか使用され、前記圧力伝達器の各々は独立に制御されるものである。
【0011】
典型的には、増圧器は、複合材料部材上に真空バッグを敷いて、真空バッグの一方の側の空気を抜くことによって加えられる流体静力学的圧力を補う。増圧器は、真空バッグを介して複合材料部材に圧力を加えるか、又は複合材料部材に直接的に係合する。
【0012】
油圧式、空気圧式、及び電気式アクチュエータを含む様々なアクチュエータが使用されてよい。そのようなアクチュエータは、螺旋ねじによって回転運動を直線運動に変換するリニアモーターを採用してよい。空気圧式アクチュエータが用いられた場合、窒素の豊富な雰囲気で工程が典型的に実行されるので、好適には、それらは空気圧駆動媒体として窒素を使用する。しかしながら好適には、熱アクチュエータが使用されて、圧力伝達器を加熱することによって圧力伝達器を移動させる。そのような熱アクチュエータは、位置の小さな変化を正確に制御することができ、また比較的少数の可動部品を有している。
【0013】
圧力伝達器は、フィードバック信号の変化に応答して、回転及び/又はほぼ直線の経路に沿って移動される。
【0014】
典型的には、複合材料部材は繊維強化複合材料部材である。
【0015】
複合材料部材は、いわゆる“プリプレグ”のスタック、即ちエポキシ樹脂マトリックスで予備含浸された補強材料の層である。しかしながら、そのようなプリプレグは高価であり、したがってより好適には、複合材料部材は、補強材料層のスタックを具備しており、前記スタックは、複合材料部材が加熱されたとき溶解して補強材料層に染み込むマトリックスフィルムを任意選択的に挟み込まれたものである。
【0016】
複合材料部材は、注入段階の間に液体マトリックスを射出され、好適には圧力伝達器は、前記マトリックスの流れを妨げないように注入段階中は後退させられている。
【0017】
典型的には、増圧器は、中央部分と、この中央部分に比べて小さな剛性を有する一対の周辺部分とを備える境界面を有している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の実施例が添付図面を参照して説明される。
【図1】RFI成形型工具の左側の斜視図である。
【図2】RFI成形型工具の右の斜視図である。
【図3】第1の増圧器デザインの横断面図である。
【図4】第2の増圧器デザインの横断面図である。
【図5】第3の増圧器デザインの横断面図である。
【図6a】非コード化視標の図である。
【図6b】コード化視標の図である。
【図7】写真測量法システムを組み入れたオートクレーブ中の成形型工具の概略図である。
【図8】オートクレーブの温度(T)と時間(t)との関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
樹脂フィルム注入成形型工具1が図1及び2に示されている。成形型工具は、複合材料レイアップ3を支持する型表面2を有する。レイアップ3は乾燥織物補強層のスタックを型表面2上に置くことにより組み込まれる。補強層は、典型的には炭素繊維から形成されるが、ガラス繊維を含んだ任意の種類の補強材料が使用されてよい。成形型工具1は、翼の外板を形成するために用いられ、前記外板の外側空力表面は型表面2によって形作られる。図1及び2には示されないが、翼幅方向に走るストリンガが外板の内側表面に取り付けられ、また選択された領域における外板の厚さを増大させるために傾斜部が形成されている。
【0020】
レイアップ3が成形型工具において形成された後に、レイアップは、注入と硬化に備えて、真空バッグ(不図示)をレイアップの頂部に敷くことによって“バギング”される。
【0021】
一組の工具梁4が図示されるように成形型工具に枢設されている。たい積中及びバギング中において、梁4は、図1の左側の二つの梁により示される上昇位置にある。各梁4は一連の増圧器6を保持しており、前記増圧器の各々はレイアップのそれぞれの境界面領域8に圧力を加える。
【0022】
レイアップ3がバギングされた後に、梁4が図1の右側の三つの梁で示される位置へ下ろされて、係止継手5によって所定の場所で係止される。
【0023】
増圧器6の三種類の変更例が図3〜6に示される。明瞭にするために真空バッグは図3〜6では省略されている。
【0024】
図3に示される増圧器6aは、傾斜部又はストリンガが存在しない境界面領域8の厚さを制御するために用いられる。増圧器6aは熱アクチュエータを備えており、前記熱アクチュエータは熱膨張層21aに埋め込まれたコイル20aを具備している。熱アクチュエータは、一対のダンパ24aを有する圧力伝達器23aに取り付けられており、前記一対のダンパ24aは圧力伝達器23aの下側境界面の外周縁近くに取り付けられている。熱絶縁層23aが、圧力伝達器23aを熱膨張層21aから熱絶縁するために取り付けられている。
【0025】
コイル20aは、(図7に示される)アクチュエータ制御システム46にケーブル25aによって接続されている。電流がコイル20aを流れると、コイルは発熱して熱膨張層21aを膨張させ、圧力伝達器23aを(真空バッグを介して)複合材料レイアップ3に押し付ける。ダンパ24aは、圧力伝達器23aの境界面の中央部分に比べて小さな剛性を有する発泡材から形成されている。ダンパ24aは圧縮されて、レイアップにおける繊維ひずみ及びうねりの形成を低減する。
【0026】
図4に示される増圧器6bは、全体的形態において増圧器6aに同様であり、その同様の構成要素に同一の参照符号が与えられている。平坦な圧力伝達器23aとは対照的に、圧力伝達器23bはレイアップ3の表面上のストリンガ26に嵌合するように輪郭が形成されている。
【0027】
図5に示される圧力伝達器23cは、全体的形態において増圧器6a及び6bに同様であり、その同様の構成要素に同一の参照符号が与えられている。この場合には、圧力伝達器23cは枢軸27を介して梁4に取り付けられており、また一対の熱アクチュエータが備えられていて、前記一対の熱アクチュエータの各一つが枢軸27の各々の側に設けられている。熱アクチュエータの各々は、熱アクチュエータと圧力伝達器23cとの間に転動境界面を提供する回転手段28を含んでいる。一対の熱アクチュエータは、圧力伝達器を上下に移動させるために共に、又は圧力伝達器を回転させるために別々に駆動されることが可能である。図5は、レイアップ3の傾斜区画29に係合している増圧器6cを示している。
【0028】
写真測量法視標が、図1に示されるように成形型工具1に、及び図3〜5に示されるように増圧器6の圧力伝達器部に取り付けられている。前記視標は接着剤によって取り付けられている。そのような視標の例示的な一対が、図1において参照符号9及び10を付番されており、また図6a及び6bで詳細に示されている。視標9は、対照的な黒色背景9b上に印刷された光反射円9aを備える非コード化視標である。視標10は、対照的な黒色背景10b上に印刷された一組の光反射標識10aを備えるコード化視標である。光反射標識10aの数量と位置は読み取られて、二次元バーコードと同様のやり方で視標10に固有のコードを提供することができる。適切な視標は、米国フロリダ州メルボーン(Melboume)のジオデティックシステム株式会社(Geodetic Systems Inc.)により提供されるブイ・スターズ(V-STARS(登録商標))システムの一部分として入手可能である。
【0029】
図1に示されるように、コード化及び非コード化視標は成形型工具1の二辺に沿う選択された基準位置に取り付けられている。図1ではコード化視標は同一のコードを有するものとして示されているが、実際にはコード化視標はそれぞれ異なるコードを提供するだろう。目盛定め棒11及び12も成形型工具及び梁4の一つに取り付けられている。各目盛定め棒11及び12は、一対の非コード化視標を保持しており、一対の視標の間の間隙は基準長さを提供するために正確に知られているものである。
【0030】
図3〜5に示されるように、写真測量法システムの測定点を提供するために非コード化視標30a〜30cもまた圧力伝達器23a〜23cに貼り付けられている。
【0031】
梁4が所定の場所で係止された後に、成形型工具1は、(図1及び2に示される)車輪13によって(図7に示される)オートクレーブ室40内に運ばれる。次にレイアップ3は、注入されて、図8を参照して以下に説明されるように加熱システム47を使用してオートクレーブ室40を加熱する間に硬化される。流体静力学的にレイアップを圧縮するために、窒素をオートクレーブ室内に導入することによってオートクレーブ内の圧力を高めることが可能である。真空バッグの一方の側の空気を抜くために真空システム41も設けられている。離散した境界面領域8に追加的な圧力を一連の増圧器6によって加えることも可能である。樹脂は、硬化サイクルの間に、樹脂射出システム48によってレイアップの中に射出される。
【0032】
図7に示される写真測量法システムは、硬化サイクルの間に、成形型工具1と増圧器6との間の相対位置を計測するために用いられる。写真測量法システムは、例えば米国フロリダ州メルボーン(Melboume)のジオデティックシステム株式会社(Geodetic Systems Inc.)により提供されるブイ・スターズ(V-STARS(登録商標))システムである。前記システムの作動原理の詳細な説明に関しては「http://www.geodetic.com/v-stars/info.asp?whatis」を参照されたい。
【0033】
写真測量法システムは、オートクレーブ室40内に設置された一組の写真測量法カメラと、オートクレーブ室40外の写真測量法制御システム45とを具備している。そのようなカメラの一つが図7において参照符号42で示されており、また追加のカメラがオートクレーブ室40の長さに沿って設けられているだろう。各カメラ42は、熱と温度の影響からカメラを保護するために密閉断熱室43内に搭載されている。各カメラ42はフラッシュライト(不図示)を含んでおり、前記フラッシュライトは、制御システム45よって作動されて、視野を白色光で照射することができる。カメラ42の視野は図7の破線44により示される。各カメラ42は、そのそれぞれの視野の写真画像を撮影し、前記画像は処理のために制御システム45に伝送される。
【0034】
制御システム45は成形型工具1及び増圧器6上の写真測量法視標の画像を識別し、そしてカメラの異なる視角に起因して、制御システム45は、成形型工具上の視標により規定される基準位置に対する増圧器上の視標のXYZ座標を三角測量の処理により推定することができる。視標の相対位置がわかると、各増圧器に対するフィードバック信号を生成するために成形型工具1と各増圧器6との間隔が推定され得る。制御システム45は、各カメラの視野内の視標を識別するためにコード化視標10上のコードを使用すると共に、画像に尺度を与えるために目盛定め棒11及び12を使用する。次いで、フィードバック信号はアクチュエータ制御システム46に供給され、前記アクチュエータ制御システム46は、境界面領域8内の外板の厚さを正確に制御するように、増圧器のそれぞれのフィードバック信号の変化に応答して図8に示されるように各増圧器を独立に移動させるように構成されている。換言すると、前記間隔が(所望の間隔に比較して)過小であるとフィードバック信号が指示したなら、各増圧器は上方へ移動させられ、前記間隔が過大であるなら各増圧器は下方へ移動させられる。
【0035】
図8は、オートクレーブの温度(T)と時間(t)との関係を示すグラフである。初期加熱段階50の間において、オートクレーブ室は注入温度51まで加熱されると共に、空気が真空システム41によって乾燥織物から除去される。初期加熱段階50の間に、増圧器6は図8に示される後退位置にあり、前記後退位置では圧力伝達器と真空バッグとの間に間隙58が生じている。
【0036】
注入段階52の間において、増圧器はそれらの後退位置にとどまり、エポキシ樹脂が、樹脂射出システム48によって成形型工具と真空バッグとの間に射出される。樹脂は、成形型工具1の一方の側から樹脂射出システム48によって射出されて、他方の側から真空システム41によって吸い出される。注入中に増圧器をそれらの後退位置に維持することによって、樹脂は妨げられることなく流れることが可能である。注入段階52の最後で、レイアップへの注入は完了して、参照符号59で示される圧力を加えるために増圧器が下方へ移動される。
【0037】
第2加熱段階54の間に、オートクレーブ室は約180℃の硬化温度55まで加熱される。第2加熱段階54の間及び硬化段階56の間に、写真測量法制御システム45からのフィードバック信号がアクチュエータ制御システム46に供給され、前記アクチュエータ制御システム46は、成形型工具と増圧器との間の所望の間隔を維持(及びそれ故それぞれの境界面領域8内の部分の厚さを制御)するために参照符号60で示されるように各増圧器を上方に及び/又は下方に移動させる。
【0038】
冷却段階57の間に、増圧器は所定の位置で保持されるか、又は参照符号61で示されるように後退させられる。
【0039】
硬化後に、外板はウイングボックス(wingbox)の組立体に使用される。一対のそのような外板はウイングボックスの上側表面及び下側表面を形成する。ウイングボックスの全域で翼弦方向に走る一連のリブは、リブの基部で上側外板及び下側外板に取り付けられる。図1及び2に示される成形型工具では、境界面領域8は、外板の比較的小さな領域であり、前記領域がリブの基部と接触する。しかしながら、ウイングボックスの根端に近接したギアリブ(gear rib)との境界面のようなより広い他の重要な境界面領域の厚さを制御するために同様の増圧器が用いられてもよい。境界面領域の間の外板の厚さはそれほど重要ではなく、したがってそれを厳密に制御する必要性はない。
【0040】
上述の実施例では、単一の連続真空バッグが圧力伝達器とレイアップとの間に敷かれ、その結果圧力伝達器はレイアップに直接に係合しない。これは問題を起こすとは考えられない、というのも真空バッグの厚さは比較的正確に制御されることが可能であるからである。代替実施例(不図示)では、真空バッグはずらりと並んだ穴を有し、前記穴の各々はそれぞれの圧力伝達器の縁の周囲でシールされている。この場合、圧力伝達器はレイアップに直接係合する。さらに別の代替実施例(不図示)では、真空バッグは梁が下げられた後に梁の上に敷かれる。やはりこの場合に圧力伝達器はレイアップに直接係合する。
【0041】
上述の実施例では、レイアップ3は乾燥繊維層だけのスタックから構成されている。代替実施例では、乾燥繊維層には半固体エポキシ樹脂フィルムが差し挟まれ、前記半固体エポキシ樹脂フィルムは、注入温度が到達されたとき、溶解しそして空気の無い織物層の中に流入する。これは、樹脂の無い空洞が注入後に存在しないことを保証する。
【0042】
樹脂フィルムがレイアップ内に準備される場合には、注入段階中に追加の樹脂が射出されても射出されなくてもよい。
【0043】
写真測量法制御システム45及びアクチュエータ制御システム46は図7において別個のハードウエアユニットとして示されているが、前記二つのシステムの機能が単一ユニットによりソフトウエアで実現され得ることが理解されるであろう。
【0044】
本発明は、一つ以上の好適な実施例を参照して上で説明されてきたが、様々な変更または改良が、添付の特許請求の範囲で規定された本発明の範囲から外れることなく実施され得ることが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材料部材の形状寸法を制御する方法であって、
圧力伝達器を使って前記複合材料部材に圧力を加える工程と、該圧力を加える工程中における、
前記複合材料部材を加熱する工程と、
フィードバック信号を生成するために前記圧力伝達器の位置を計測する工程と、
前記フィードバック信号の変化に応答して前記圧力伝達器を移動させる工程と、を含む複合材料部材の形状寸法を制御する方法。
【請求項2】
前記複合材料部材を成形型工具に係合させる工程と、
前記フィードバック信号を生成するために前記成形型工具と前記圧力伝達器との間の相対位置を計測する工程と、をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フィードバック信号は、前記圧力伝達器の写真画像を二以上の異なる角度で撮影して前記画像を処理することによって生成される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記処理の工程は、前記圧力伝達器上の一つ以上の視標の画像を識別する工程を含んでいる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記視標を圧力伝達器に取り付ける工程をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
二つ以上の圧力伝達器を使って前記複合材料部材に圧力を同時に加える工程と、該圧力を同時に加える工程中における、
前記複合材料部材を加熱する工程と、
それぞれの前記圧力伝達器に各々が関連付けられた二つ以上のフィードバック信号を生成するために各圧力伝達器の位置を計測する工程と、
前記二つ以上の圧力伝達器をそれぞれのフィードバック信号の変化に応答して移動させる工程と、を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
真空バッグを前記複合材料部材上に敷く工程と、前記真空バッグの一方の側の空気を抜く工程とをさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記圧力伝達器が、該圧力伝達器を加熱することによって移動される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記フィードバック信号の変化に応答して前記圧力伝達器が回転される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記フィードバック信号の変化に応答して前記圧力伝達器がほぼ直線の経路に沿って移動される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記複合材料部材が熱硬化性の複合材料部材である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記複合材料部材が繊維強化複合材料部材である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記複合材料部材が航空機の外板である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記複合材料部材が補強材層のスタックを具備している、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
注入段階の間に液体マトリックスを前記複合材料部材に射出する工程をさらに含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記圧力伝達器は、前記注入段階中は後退している、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
複合材料部材の形状寸法を制御する装置であって、
圧力伝達器と、
フィードバック信号を生成するために前記圧力伝達器の位置を計測するように構成されたセンサーシステムと、
前記センサーシステムに連結されたアクチュエータにして、前記フィードバック信号の変化に応答して前記圧力伝達器を移動させるように構成されたアクチュエータと、を具備する複合材料部材の形状寸法を制御する装置。
【請求項18】
中央部分と、前記中央部分に比べて小さな剛性を有する一対の周辺部分とを備える境界面を増圧器が有する、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記センサーシステムは、一つ以上のカメラと、写真画像を前記カメラから受け取って前記フィードバック信号を生成するために前記画像を処理するように構成されたプロセッサと、を具備している、請求項17又は18に記載の装置。
【請求項20】
二つ以上の圧力伝達器と二つ以上のアクチュエータとを具備する請求項17〜19のいずれか一項に記載の装置であって、前記センサーシステムは、各圧力伝達器の位置を計測すると共に、それぞれの圧力伝達器に各々関連付けられた二つ以上のフィードバック信号を生成するように構成されており、前記二つ以上のアクチュエータの各々は、前記センサーシステムに連結されていて、前記圧力伝達器のそれぞれのフィードバック信号の変化に応答してそれぞれの圧力伝達器を移動させるように構成されている、請求項17〜19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
真空バッグと、前記真空バッグの一方の側の空気を抜くための真空システムと、をさらに具備する請求項17〜20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記アクチュエータが発熱体を具備する、請求項17〜21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記アクチュエータが、前記圧力伝達器を前記発熱体から熱的に絶縁するように構成された熱絶縁層を具備する、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記アクチュエータが、前記フィードバック信号の変化に応答して前記圧力伝達器を回転させるように構成されている、請求項17〜23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記アクチュエータが、前記フィードバック信号の変化に応答して前記圧力伝達器をほぼ直線の経路に沿って移動させるように構成されている、請求項17〜24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記センサーシステムが、成形型工具と前記圧力伝達器との間の相対位置を計測するように構成されている、請求項17〜25のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−509105(P2010−509105A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536804(P2009−536804)
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【国際出願番号】PCT/GB2007/050684
【国際公開番号】WO2008/059286
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(508305926)エアバス ユーケー リミティド (38)
【Fターム(参考)】