説明

複合流体機械

【課題】圧縮機部の型式を特定の型式に制限しなくても、切替手段によって圧縮機部と膨張機部との接続状態を切り替え可能にすることができる複合流体機械を提供する。
【解決手段】複合流体機械40は、冷媒の膨張によって機械的エネルギーを出力する膨張機部85と、冷媒を圧縮する圧縮機部60と、発電機又は電動機として機能するモータ・ジェネレータ50とを備える。さらに、複合流体機械40は、対向して配置されたモータ・ジェネレータ50の駆動軸51と圧縮機部60の従動軸47とを接続状態又は切断状態に切り替える切替手段Cをハウジング41内に備える。そして、ハウジング41内では、圧縮機部60、切替手段C、モータ・ジェネレータ50、及び膨張機部85が、この順序で従動軸47及び駆動軸51の軸方向に沿って並設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランキンサイクル用作動流体の膨張によって機械的エネルギーを出力する膨張機部と、冷凍サイクル用作動流体を圧縮する圧縮機部と、発電機又は電動機として機能する回転電機と、回転電機の駆動軸と圧縮機部の従動軸とを接続状態又は切断状態に切り替える切替手段とをハウジング内に備えた複合流体機械に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の複合流体機械として、例えば特許文献1の流体機械が挙げられる。この流体機械は、流体を圧縮する圧縮機部と、外部駆動源の排熱エネルギーによって回転駆動力を発生する膨張機部と、電動機及び発電機の両機能を備える回転電機部とを有している。膨張機部は、圧縮機部及び回転電機部に接続されている。また、圧縮機部と膨張機部との間には、両者の接続状態を切断状態に切替え可能とする切替手段が設けられている。切替手段は、ハウジング内を軸方向全体に亘って延びる駆動軸の端部に固定された吸着板と、圧縮機部の圧縮機軸(従動軸)に固定されたコイルと、からなる電磁クラッチによって形成されている。圧縮機軸は、中空状に形成され、駆動軸が挿通されている。圧縮機軸の先端は、ハウジングの軸方向において吸着板より外側で吸着板に対向するように鍔状に形成されている。そして、駆動軸がハウジングの軸方向に沿って移動し、吸着板が圧縮機軸に吸着されることで駆動軸と圧縮機軸とが接続され、吸着板が圧縮機軸から離間することで駆動軸と圧縮機軸とが切断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−307951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の流体機械は、圧縮機軸が中空状に形成されるとともに、駆動軸が圧縮機軸に挿通されて圧縮機部を貫通する構造となっており、切替手段により圧縮機部と膨張機部との接続状態を切り替え可能とするために、圧縮機部の型式が制限されてしまっていた。
【0005】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、圧縮機部の型式を特定の型式に制限しなくても、切替手段によって圧縮機部と膨張機部との接続状態を切り替え可能にすることができる複合流体機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の複合流体機械は、ランキンサイクル用作動流体の膨張によって機械的エネルギーを出力する膨張機部と、冷凍サイクル用作動流体を圧縮する圧縮機部と、発電機又は電動機として機能する回転電機と、対向して配置された前記回転電機の駆動軸と前記圧縮機部の従動軸とを接続状態又は切断状態に切り替える切替手段と、をハウジング内に備える。そして、前記ハウジング内では、前記圧縮機部、前記切替手段、前記回転電機、及び前記膨張機部がこの順序で前記駆動軸及び従動軸の軸方向に沿って並設されている。
【0007】
これによれば、ハウジング内において、切替手段は圧縮機部と回転電機との間に介装されるとともに、切替手段は、対向する駆動軸と従動軸とを接続状態又は切断状態に切り替える。したがって、背景技術のように、切替手段に繋がる一方の軸が、他方の軸内に挿入されるとともに圧縮機部を貫通する構成と異なり、圧縮機部の型式を特定の型式に制限しなくても、切替手段により圧縮機部と膨張機部との接続状態を切り替え可能にすることができる。
【0008】
また、前記従動軸は第1軸受を介して前記ハウジングに支持され、前記駆動軸は一端側が前記従動軸を介して前記ハウジングに支持されるとともに他端側が第2軸受を介して前記ハウジングに支持され、前記駆動軸及び前記従動軸のうちいずれか一方に前記軸方向に沿って延びる挿入軸部が突設されるとともに、他方に前記軸方向に沿って凹み前記挿入軸部が挿入される凹部が形成され、さらに、前記凹部内には前記挿入軸部を回転可能に支持する第3軸受が設けられていてもよい。
【0009】
これによれば、例えば、駆動軸の一端側を、ハウジングに支持された軸受によって回転可能に支持するためには、この軸受用のボス部をハウジングから延設する必要がある。ボス部を延設すると、ハウジングにはボス部を延設するための部位を確保しなければならず、確保した分だけハウジングが駆動軸及び従動軸の軸方向へ大型化してしまう。本発明では、従動軸が第1軸受を介してハウジングに支持されているため、従動軸を安定した状態に支持することができる。また、駆動軸は他端側が第2軸受を介してハウジングに支持され、一端側が第3軸受で回転可能に支持されているため、駆動軸を安定した状態に支持することができる。したがって、駆動軸を支持するためにハウジングに支持された軸受を設ける必要が無くなる。その結果として、ハウジングからボス部を延設する必要が無くなり、ボス部の分だけハウジングを軸方向へ小型化することができる。
【0010】
また、前記従動軸に前記凹部が形成され、前記駆動軸に前記挿入軸部が突設されていてもよい。これによれば、第3軸受が従動軸内に収容されることになるため、第3軸受を、従動軸を支持する第1軸受に近づけて設けることができ、駆動軸の振れ等により第1軸受まわりに発生するモーメントや負荷を小さくすることができる。
【0011】
また、前記第1軸受及び第3軸受は、前記従動軸の軸線に対し直交する仮想平面と交わる位置に配置されていてもよい。これによれば、例えば、第1軸受と第3軸受とが仮想平面に交わることなく、軸線の延びる方向(軸方向)に位置ずれして配置されていると、軸方向に沿った両軸受間の距離が長くなり、この距離が長い程、駆動軸が振れやすくなって駆動軸の支持が不安定になってしまう。この場合、駆動軸の支持を安定させるために第1軸受を軸方向へ大型化させる必要が生じてしまう。しかし、本発明では、第1軸受及び第3軸受が仮想平面と交わる位置に配置されているため、第1軸受と第3軸受とが軸方向に近づいている。よって、第1軸受と第3軸受が離間することに基づく駆動軸の振れが抑制され、駆動軸を安定して支持することができる。さらに、駆動軸の支持を安定させるために第1軸受を軸方向へ大型化する必要もないため、ハウジングを軸方向へ小型化することができる。
【0012】
前記切替手段は、前記駆動軸及び従動軸のうちの一方から外径方向に延出されたクラッチハブと、前記駆動軸及び従動軸のうちの他方から外径方向に延出されたクラッチロータと、前記クラッチハブに一体化されるとともに前記軸方向において前記クラッチハブに対向して配置されたアーマチャと、からなり、前記クラッチハブと前記アーマチャとが電磁力によって結合されるように構成された電磁クラッチよりなり、前記クラッチハブと前記アーマチャの結合状態では前記クラッチハブと前記クラッチロータとが当接可能に形成されていてもよい。
【0013】
これによれば、電磁力によってクラッチハブとアーマチャが結合されると、駆動軸の回転が従動軸に伝達され、圧縮機部が駆動されると、圧縮機部からの圧縮反力が従動軸に作用する。この圧縮反力により従動軸が傾こうとするが、クラッチロータがクラッチハブに当接するため、従動軸の傾きが防止される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、圧縮機部の型式を特定の型式に制限しなくても、切替手段によって圧縮機部と膨張機部との接続状態を切り替え可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は第1の実施形態の複合流体機械を示す縦断面図、(b)は従動軸と駆動軸の支持構造を示す拡大図。
【図2】第1の実施形態の車両用排熱回収システムを示す模式図。
【図3】(a)は第2の実施形態の複合流体機械の一部を示す縦断面図、(b)はクラッチハブとクラッチロータを示す部分拡大図。
【図4】従動軸と駆動軸の支持構造の別例を示す拡大図。
【図5】(a)〜(c)はクラッチハブとクラッチロータの別例を示す部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図2にしたがって説明する。
まず、本実施形態の複合流体機械40を備えた車両用排熱回収システム11の全体構成について説明する。図2に示すように、車両用排熱回収システム11は、排熱源としてのエンジン12を備えるとともに、別々のサイクルで構成された冷凍サイクル装置30と、ランキンサイクル装置20とを併せ持つ。冷凍サイクル装置30の回路には、車両空調用のために冷凍サイクル用作動流体としての冷媒が循環し、ランキンサイクル装置20の回路には、エンジン12からの排熱によって加熱されるランキンサイクル用作動流体としての冷媒が循環する。そして、車両用排熱回収システム11において、複合流体機械40は、ランキンサイクル装置20の一部及び冷凍サイクル装置30の一部を構成している。
【0017】
次に、複合流体機械40について説明する。なお、以下の説明において、複合流体機械40の「前」及び「後」は、図1(a)に示す矢印Yの方向を前後方向とする。
図1(a)に示すように、複合流体機械40のハウジング41は、筒状をなすセンタハウジング42と、このセンタハウジング42の前端(一端)に接合されたフロントハウジング43と、センタハウジング42の後端(他端)に隔壁部44を介して接合されたリヤハウジング45を備えている。
【0018】
センタハウジング42内には回転電機としてのモータ・ジェネレータ50が収容されている。モータ・ジェネレータ50は駆動軸51を有する。駆動軸51には、モータロータ50aが駆動軸51と一体回転可能に固定されている。また、センタハウジング42の内周面には、ステータ50bがモータロータ50aを取り囲むように固定されている。そして、モータ・ジェネレータ50は、ステータ50bのコイル50cへの給電によりモータロータ50aを回転させる電動機としての機能と、モータロータ50aが回転されることでステータ50bのコイル50cに電力を生じさせる発電機としての機能とを併せ持つ。図2に示すように、モータ・ジェネレータ50にはインバータ90を介してバッテリ91が接続され、モータ・ジェネレータ50で生じた電力はインバータ90を介してバッテリ91に蓄電されるようになっている。また、インバータ90には、複合流体機械40を全般に亘って制御する制御部92が接続されている。
【0019】
図1(a)に示すように、センタハウジング42内の前側(一側)には、ハウジング41の一部を構成する支持ブロック42bが固設されている。支持ブロック42bには、従動軸47の軸方向中央部が第1軸受48によって回転可能に支持されている。よって、従動軸47は、第1軸受48を介してハウジング41に支持されている。なお、第1軸受48は、転動体48aが従動軸47の軸方向へ複数列並設されてなる複列タイプである。この従動軸47と駆動軸51とは、従動軸47の中心軸L1と駆動軸51の中心軸L2とが同軸上に位置するように対向して配置されている。
【0020】
そして、図1(b)に示すように、駆動軸51及び従動軸47のうちのいずれか一方としての駆動軸51の前端面からは、駆動軸51の軸方向に沿って延びる挿入軸部51aが突設されている。また、駆動軸51及び従動軸47のうちの他方としての従動軸47の後端面には、凹部47aが、従動軸47の軸方向に沿って前方へ凹むように形成されるとともに、この凹部47a内には第3軸受47bが装着されている。そして、凹部47a内に挿入軸部51aが挿入されるとともに、挿入軸部51aは第3軸受47bによって回転可能に支持されている。
【0021】
よって、図1(a)に示すように、駆動軸51は、前端側(軸方向一端側)が、第1軸受48によって支持された従動軸47を介してハウジング41に支持されている。また、駆動軸51は、後端側(軸方向他端側)が、隔壁部44に設けられた第2軸受44bを介してハウジング41に支持されている。したがって、駆動軸51は、第3軸受47bと第2軸受44bとによって軸方向の両端側が回転可能に支持されている。
【0022】
駆動軸51及び従動軸47のうちの一方としての駆動軸51の前端部には、クラッチハブ52が駆動軸51の外径方向に延出されるとともに駆動軸51と一体回転可能に固定されている。クラッチハブ52は、駆動軸51に固着される筒部52aと、この筒部52aに一体化され駆動軸51と同心円状に延びる円板状のハブ部52bとから形成されている。クラッチハブ52は、筒部52aの一部が、モータ・ジェネレータ50におけるコイル50cの内側に入り込むとともに、ハブ部52bがコイル50cより僅かに前側へ離れるように駆動軸51に固定されている。
【0023】
ハブ部52bの外周面にはスプリングクラッチ53の一端が止着されている。このスプリングクラッチ53は、駆動軸51の回転方向に巻締められてなるコイルばねである。また、ハブ部52bの前端面には磁性材よりなる円環状のアーマチャ54が支持されるとともに、スプリングクラッチ53の他端は、アーマチャ54に止着されている。そして、ハブ部52bの外周にスプリングクラッチ53が巻装されている。
【0024】
駆動軸51及び従動軸47のうちの他方としての従動軸47の後端部にはクラッチロータ49が、従動軸47の外径方向に延出されるとともに従動軸47と一体回転可能に固定されている。クラッチロータ49は磁性材よりなり、従動軸47から前方に向かって傾斜して延びる腕部49aと、この腕部49aの先端側に形成された連結部49bと、この連結部49bを介して腕部49aに連結された連結筒部49cとからなる。クラッチロータ49において、連結筒部49cより内側には電磁コイル55が収容されている。電磁コイル55は、クラッチロータ49内に遊嵌状態で収容され、電磁コイル55はクラッチロータ49と一体に回転しないようになっている。また、電磁コイル55は支持ブロック42bを介してセンタハウジング42に固定されている。
【0025】
そして、クラッチハブ52は、クラッチロータ49の連結筒部49cによって取り囲まれるとともに、スプリングクラッチ53の外周面は連結筒部49cの内周面に相対向する位置に配設されている。また、アーマチャ54がスプリングクラッチ53によって支持された状態では、アーマチャ54はクラッチロータ49におけるスプリングクラッチ53側の端面(前端面)に対向配置されている。
【0026】
スプリングクラッチ53は、アーマチャ54がクラッチロータ49に吸引されていない状態では、クラッチハブ52の外周面の外径より大径をなすとともに連結筒部49cの内周面の内径より小径をなし、スプリングクラッチ53は両周面から離間している。そして、電磁コイル55が励磁されると、その電磁力に基づく吸引力がアーマチャ54に作用される。すると、アーマチャ54は、従動軸47の軸方向に沿ってクラッチロータ49側へ移動し、クラッチロータ49とアーマチャ54とが吸着(結合)されると同時に、アーマチャ54はハブ部52bに対して相対回動する。
【0027】
その結果、スプリングクラッチ53が拡径し、スプリングクラッチ53の外周面が連結筒部49cの内周面に圧接する。すると、スプリングクラッチ53を介してクラッチハブ52とクラッチロータ49とが結合され、従動軸47と駆動軸51とが対向する端部同士で接続状態となり、駆動軸51の回転が従動軸47に伝達されるようになっている。
【0028】
一方、電磁コイル55への給電が停止されると、アーマチャ54は、ハウジング41の軸方向に沿ってクラッチロータ49から離間する方向へ移動する。このとき、スプリングクラッチ53は拡径状態から縮径するように巻締められる。その結果、連結筒部49cの内周面に対するスプリングクラッチ53の圧接状態が解除され、クラッチハブ52とクラッチロータ49が非結合状態となる。よって、従動軸47と駆動軸51とが切断状態となり、駆動軸51の回転が従動軸47へ伝達不可能となる。そして、本実施形態では、クラッチハブ52と、スプリングクラッチ53と、アーマチャ54と、クラッチロータ49と、電磁コイル55とから、従動軸47と駆動軸51とを接続状態又は切断状態に切り替える切替手段Cが構成されている。
【0029】
複合流体機械40において、センタハウジング42内における支持ブロック42bより前側の空間と、フロントハウジング43との間には、スクロール式の圧縮機部60が設けられている。圧縮機部60において、従動軸47の前端には、従動軸47の中心軸L1に対して偏心した位置に偏心軸61が設けられるとともに、偏心軸61は従動軸47の回転により従動軸47の中心軸L1の周りを公転するようになっている。偏心軸61にはブッシュ62が固定されるとともに、ブッシュ62は偏心軸61と共に従動軸47の中心軸L1の周りを公転するようになっている。このブッシュ62には軸受装置63を介して可動スクロール64が回転可能に支持されるとともに、カウンタウェイト65が固定されている。
【0030】
可動スクロール64は、軸受装置63に支持された円盤状をなす可動側端板64aと、この可動側端板64aから突設された渦巻状の可動側渦巻壁64bとからなる。また、センタハウジング42内には固定スクロール67が可動スクロール64と対向するように固設されている。固定スクロール67は、円盤状をなす固定側端板67aと、この固定側端板67aから可動スクロール64に向けて突設された渦巻状の固定側渦巻壁67bとを一体に備えている。そして、可動スクロール64の可動側渦巻壁64bと、固定スクロール67の固定側渦巻壁67bとは互いに噛み合わされて容積変更可能な作動室68を区画する。
【0031】
また、固定スクロール67における固定側端板67aの中央部には吐出口67cが形成されるとともに、この吐出口67cは吐出弁69により開閉可能になっている。固定側端板67aとフロントハウジング43との間には、吐出チャンバ70が区画されるとともに、この吐出チャンバ70には吐出口67cを介して圧縮後の作動室68に連通している。また、フロントハウジング43には、吐出チャンバ70に連通する吐出ポート43aが形成されている。さらに、固定スクロール67の内周面と、可動スクロール64における可動側渦巻壁64bの最外周面との間には吸入チャンバSが区画形成されるとともに、フロントハウジング43には吸入チャンバSに連通する吸入ポート(図示せず)が形成されている。
【0032】
リヤハウジング45内には、隔壁部44に対向するように第1サイドプレート71が固設されるとともに、第2サイドプレート72が第1サイドプレート71と対向するように、ハウジング41の後側(軸方向他側)へ間隔を空けて固設されている。そして、駆動軸51は、隔壁部44及び第1サイドプレート71を貫通している。また、隔壁部44と第1サイドプレート71との間にはポンプ室74が区画されるとともに、ポンプ室74内にはポンプ従動軸(図示せず)に取着された従動ギヤ(図示せず)と、駆動軸51に取着された主動ギヤ73が配設されている。そして、ポンプ室74と、従動ギヤと、主動ギヤ73とからギヤポンプ75が形成されている。
【0033】
複合流体機械40のリヤハウジング45内には膨張機部85が設けられている。リヤハウジング45において、第1サイドプレート71と第2サイドプレート72の間には筒状をなすシリンダブロック77が収容されている。シリンダブロック77内において、駆動軸51には円筒状をなすロータ79が駆動軸51と一体回転可能に止着されるとともに、ロータ79の外周面には、ロータ79の軸方向全体に亘って延びるベーン80が出没可能に収容されている。そして、駆動軸51の回転に伴うロータ79の回転によってベーン80の先端面がシリンダブロック77の内周面に接触すると、ロータ79の外周面と、シリンダブロック77の内周面と、隣り合うベーン80と、第1及び第2サイドプレート71,72との間に作動室81が区画されるようになっている。
【0034】
また、膨張機部85において、リヤハウジング45と第2サイドプレート72との間には吐出空間86が区画されるとともに、リヤハウジング45には吐出空間86に連通する吐出ポート87が形成されている。また、膨張機部85において、リヤハウジング45には作動室81に連通する吸入ポート(図示せず)が形成されている。
【0035】
そして、上記構成の複合流体機械40において、ハウジング41内では、従動軸47及び駆動軸51の中心軸L1,L2の延びる方向(軸方向)に沿って前側から後側に向かって圧縮機部60、切替手段C、モータ・ジェネレータ50、及び膨張機部85の順序で並設されている。すなわち、圧縮機部60とモータ・ジェネレータ50の間に切替手段Cが介装されている。
【0036】
次に、上記複合流体機械40を備えた車両用排熱回収システム11におけるランキンサイクル装置20及び冷凍サイクル装置30について説明する。図2に示すように、冷凍サイクル装置30は、複合流体機械40における圧縮機部60、凝縮器34、膨張弁39、及び、蒸発器35とを順次接続してなる回路を備える。
【0037】
上記冷凍サイクル装置30において、圧縮機部60の吐出ポート43aには圧縮側吐出流路32を介して凝縮器34が接続されている。そして、圧縮機部60で高温高圧に圧縮された冷媒は圧縮側吐出流路32を介して凝縮器34に導入され、凝縮器34で冷却される。凝縮器34の吐出側には流路33を介して蒸発器35が接続されるとともに、流路33上には膨張弁39が設けられている。そして、膨張弁39は、凝縮器34で冷却された冷媒を減圧膨張させ、蒸発器35は膨張弁39によって減圧された冷媒を蒸発させる。
【0038】
また、蒸発器35の吐出側には、圧縮側吸入流路31を介して圧縮機部60が接続されるとともに圧縮側吸入流路31上には逆止弁37が設けられ、逆止弁37は蒸発器35側から圧縮機部60側のみに冷媒が流れることを許容する。そして、冷媒は、圧縮機部60で圧縮された後、凝縮器34、膨張弁39、蒸発器35、及び逆止弁37を通過して圧縮機部60に吸入され、冷凍サイクル装置30の回路を循環するようになっている。
【0039】
一方、ランキンサイクル装置20は、複合流体機械40の膨張機部85、凝縮器23、複合流体機械40のギヤポンプ75、蒸発器としての第1ボイラ26、及び第2ボイラ27を、順次接続してなる回路を備えている。
【0040】
ランキンサイクル装置20を詳細に説明すると、ギヤポンプ75におけるポンプ室74の吐出側には第1流路21aを介して第1ボイラ26の吸熱器26aが接続されている。第1ボイラ26は、吸熱器26aに加え放熱器26bを備える。この放熱器26bは、エンジン12に接続された冷却水循環経路13上に設けられている。冷却水循環経路13上にはラジエータ13aが設けられている。そして、車両のエンジン12を冷却した冷却水(高温流体)は、冷却水循環経路13を循環して放熱器26b及びラジエータ13aで放熱する。
【0041】
第1ボイラ26の吸熱器26aの吐出側には接続通路21cを介して第2ボイラ27の吸熱器27aが接続されている。第2ボイラ27は、吸熱器27aに加え放熱器27bを備える。この放熱器27bは、エンジン12に接続された排気通路14上に設けられている。そして、エンジン12からの排気は、放熱器27bで放熱した後、マフラ15から排気される。よって、ギヤポンプ75から吐出された冷媒は、第1及び第2ボイラ26,27の吸熱器26a,27aと放熱器26b,27bとの間での熱交換によりエンジン12からの排熱によって加熱される。
【0042】
第2ボイラ27の吸熱器27aの吐出側には、膨張側吸入流路22aを介して膨張機部85における吸入ポートが接続され、第1及び第2ボイラ26,27で加熱された高温高圧の冷媒は膨張側吸入流路22aを介して膨張機部85に導入されるようになっている。膨張機部85の吐出ポート87には、膨張側吐出流路22bを介して凝縮器23が接続されている。そして、膨張機部85で膨張した低圧の冷媒は、膨張側吐出流路22bを介して凝縮器23へ吐出されるようになっている。凝縮器23の吐出側には第2流路21bを介してギヤポンプ75のポンプ室74が接続されている。
【0043】
そして、ランキンサイクル装置20では、冷媒は、ギヤポンプ75のポンプ作用により、膨張機部85、凝縮器23、ポンプ室74、第1ボイラ26、及び第2ボイラ27を通過してランキンサイクル装置20の回路を循環するようになっている。
【0044】
次に、上記車両用排熱回収システム11の作用について説明する。
さて、車両のエンジン12が駆動されると、第1ボイラ26及び第2ボイラ27において、吸熱器26a,27aと放熱器26b,27bとの間での熱交換により、冷媒がエンジン12からの排熱によって加熱される。加熱後の高圧の冷媒は、膨張側吸入流路22aを介して吸入ポート(図示せず)から膨張機部85の作動室81に導入されて膨張し、この膨張により膨張機部85が機械的エネルギー(駆動力)を出力する。すなわち、この駆動力によってロータ79が回転し、モータ・ジェネレータ50の駆動軸51が回転されるとともにギヤポンプ75が駆動される。
【0045】
このとき、エンジン12からの排熱量が大きく、膨張機部85からの出力により、駆動軸51が予め設定された所定回転数を越えて回転する場合には、モータ・ジェネレータ50を発電機として機能させて駆動軸51の回転数を抑えるようにする。そして、所定回転数を越える出力は電力に変換され、インバータ90を介してバッテリ91に充電される。
【0046】
膨張を終えて圧力が低下した冷媒は、吐出空間86に吐出された後、吐出ポート87を介して膨張側吐出流路22bへ吐出される。膨張側吐出流路22bへ吐出された冷媒は、凝縮器23を通過し、第2流路21bを介してポンプ室74に導入される。そして、膨張機部85からの出力により駆動されるギヤポンプ75により、ポンプ室74に導入された冷媒は第1ボイラ26及び第2ボイラ27へ供給される。したがって、エンジン12が駆動されている間は、冷媒はランキンサイクル装置20の回路を循環する。
【0047】
ランキンサイクル装置20の回路を冷媒が循環している状態において、エアコンスイッチ(図示せず)をONする。すると、制御部92は、電磁コイル55を励磁させ、スプリングクラッチ53によりクラッチロータ49とクラッチハブ52とを結合させ、従動軸47と駆動軸51とを接続状態とする。すると、圧縮機部60が駆動される。従動軸47と駆動軸51とを接続状態としたとき、その接続による負荷によりモータ・ジェネレータ50の回転数が低下しようとする。このとき、エアコン要求を満たすため、従動軸47を要求された回転数で回転させるために、制御部92はバッテリ91からインバータ90を介してモータ・ジェネレータ50に給電し、モータ・ジェネレータ50を電動機として機能させる。
【0048】
すると、モータ・ジェネレータ50の駆動力によって駆動軸51が回転するとともに従動軸47がエアコン要求を満たすための回転数で回転し圧縮機部60が駆動される。すなわち、圧縮機部60が駆動される際、必要とされる動力の一部がモータ・ジェネレータ50により負担される。なお、膨張機部85からの出力により、圧縮機部60がエアコン要求を満たすための回転数で回転可能になると、制御部92はモータ・ジェネレータ50への給電を停止し、その後、圧縮機部60は膨張機部85からの出力により駆動される。
【0049】
そして、圧縮機部60が駆動されると、可動スクロール64が固定スクロール67に対して旋回して圧縮側吸入流路31から吸入チャンバS内に冷媒が吸入され、さらに、可動スクロール64の旋回に伴い作動室68の冷媒が圧縮される。そして、圧縮機部60の作動室68で圧縮された冷媒は、所定の圧力まで圧縮されると吐出弁69を押し退けて吐出口67cから吐出チャンバ70に吐出される。さらに、圧縮された冷媒は、圧縮側吐出流路32を介して凝縮器34へ吐出され、凝縮器34で凝縮された後、膨張弁39で減圧される。さらに、膨張弁39を通過した冷媒は、蒸発器35で気化され、逆止弁37を経由して圧縮側吸入流路31から圧縮機部60の吸入チャンバSに吸入される。
【0050】
エアコンスイッチがOFFされる、又はエアコンによる圧縮機部60の駆動要求がない場合は、制御部92は電磁コイル55への給電を停止し、クラッチロータ49とクラッチハブ52との結合状態が切断状態となる。すると、圧縮機部60の駆動が停止される。
【0051】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)複合流体機械40のハウジング41内には、従動軸47及び駆動軸51の軸方向に沿って前側から後側に向けて圧縮機部60、切替手段C、モータ・ジェネレータ50、及び膨張機部85の順序で並設されている。そして、切替手段Cは、従動軸47の後端部に設けられたクラッチロータ49と駆動軸51の前端部に設けられたクラッチハブ52とで両軸47,51を接続状態又は切断状態に切り替える。このため、背景技術のように、切替手段に繋がる一方の軸が、他方の軸内に挿入されるとともに圧縮機部60を貫通する構成と異なり、圧縮機部60の型式を特定の型式に制限しなくても、切替手段Cにより圧縮機部60と膨張機部85とを切替え可能にすることができる。また、切替手段に繋がる一方の軸が、他方の軸内の全体に亘って挿入される構成と比べると、切替手段Cを両軸47,51の径方向へ小型化することができ、その切替手段Cを収容するハウジング41を両軸47,51の径方向へ小型化することができる。その結果として、複合流体機械40の車両への搭載性を向上させることができる。
【0052】
(2)切替手段Cにおいて、クラッチハブ52は、筒部52aがモータ・ジェネレータ50のコイル50c内に一部が入り込むように駆動軸51に固定されている。さらに、クラッチロータ49は、腕部49aが前側へ傾斜するように延びるように形成されている。よって、圧縮機部60とモータ・ジェネレータ50との間に切替手段Cが介装されていても、クラッチハブ52の駆動軸51への固定位置、及びクラッチロータ49の形状を調整することで、ハウジング41を従動軸47及び駆動軸51の軸方向へ小型化することができる。
【0053】
(3)従動軸47は第1軸受48を介してハウジング41に回転可能に支持されている。この従動軸47の後端面には凹部47aが形成されるとともに、凹部47aには第3軸受47bが設けられている。そして、駆動軸51は、その前端側に突設された挿入軸部51aが、凹部47a内の第3軸受47bによって回転可能に支持されることにより前端側が支持されるとともに、後端側が第2軸受44bを介してハウジング41に回転可能に支持されている。このため、ハウジング41には、駆動軸51の前端側を支持する軸受用のボス部を延設する必要がなく、ボス部を形成した場合と比較して、ハウジング41を従動軸47及び駆動軸51の軸方向へ小型化することができる。
【0054】
(4)従動軸47は、その後端より前端寄りが第1軸受48によって回転可能に支持されている。そして、駆動軸51の前端面に形成された挿入軸部51aが、従動軸47の後端面に凹設された凹部47aに挿入されている。このため、挿入軸部51aを支持する第3軸受47bを、従動軸47を支持する第1軸受48に近づけて設けることができ、駆動軸51の振れ等により第1軸受48まわりに発生するモーメントや負荷を小さくすることができる。
【0055】
(5)切替手段Cは、クラッチハブ52とクラッチロータ49とをスプリングクラッチ53によって結合する。このスプリングクラッチ53は、その拡径によりクラッチロータ49とクラッチハブ52とを連結し、縮径によりクラッチロータ49とクラッチハブ52の連結を解除するが、径方向への大きさが不変の連結筒部49c内でスプリングクラッチ53が拡径又は縮径する。よって、切替手段Cは、その構成部材が従動軸47及び駆動軸51の径方向及び軸方向へ大きく移動するタイプではないため、径方向さらには軸方向へのハウジング41の小型化に寄与することができる。
【0056】
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施形態を図3にしたがって説明する。なお、以下の説明では、既に説明した実施形態と同一構成について同一符号を付すなどし、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0057】
図3(a)に示すように、第1軸受48は、転動体48aが従動軸47の軸方向へ1列だけ設けられてなる単列タイプである。従動軸47の凹部47a内には、駆動軸51の挿入軸部51aが挿入されるとともに、挿入軸部51aは凹部47a内の第3軸受47bによって回転可能に支持されている。凹部47aは、その内底面が第1軸受48の前端面(一端面)と同一平面上に位置するように形成されている。
【0058】
第3軸受47bは、凹部47aにおいて第1軸受48の内周面と対応する位置に配設されている。そして、第1軸受48と第3軸受47bとは、従動軸47の中心軸L1の延びる方向に沿った長さが同じになっている。ここで、中心軸L1に対し直交する平面を仮想平面Hとした場合、第1軸受48と第3軸受47bは、仮想平面Hが第1軸受48の転動体48aの中心点及び第3軸受47bにおける軸方向の中間点を通過する位置に配置されている。
【0059】
切替手段Cにおいて、クラッチハブ52のハブ部52bには、第1の実施形態におけるスプリングクラッチ53が設けられず、アーマチャ54のみが支持されている。アーマチャ54は円環状をなすとともにクラッチロータ49に対向配置されている。また、図3(b)に示すように、クラッチロータ49における連結筒部49cは、その内周面49dがクラッチハブ52におけるハブ部52bの外周面52dと対向するように形成されている。
【0060】
そして、電磁コイル55が励磁されると、その電磁力に基づく吸引力がアーマチャ54に作用する。すると、アーマチャ54は、従動軸47の軸方向に沿ってクラッチロータ49側へ移動し、クラッチロータ49とアーマチャ54とが吸着(結合)される。その結果、クラッチハブ52とクラッチロータ49とが結合され、従動軸47と駆動軸51とが接続状態となり、駆動軸51の回転が従動軸47に伝達されるようになっている。切替手段Cにおいて、クラッチハブ52とクラッチロータ49とが結合された状態では、従動軸47が傾こうとしたとき、連結筒部49cの内周面49dがハブ部52bの外周面52dに当接するようになっている。
【0061】
一方、電磁コイル55への給電が停止されると、アーマチャ54は、ハウジング41の軸方向に沿ってクラッチロータ49から離間する方向へ移動する。その結果、クラッチハブ52とクラッチロータ49が非結合状態となる。よって、従動軸47と駆動軸51とが切断状態となり、駆動軸51の回転が従動軸47へ伝達不可能となる。
【0062】
したがって、上記第2の実施形態によれば、第1の実施形態の(1)〜(4)と同様の記載に加え、以下のような効果を得ることができる。
(6)第1軸受48と第3軸受47bとは、転動体48aの中心点と第3軸受47bの中間点に仮想平面Hが交わるように配置されている。よって、第1軸受48と第3軸受47bとは、仮想平面Hに対し交わることがないように従動軸47の軸方向に位置ずれしていない(第1軸受48と第3軸受47bとが軸方向へ離間していない)。よって、第1軸受48と第3軸受47bとが軸方向へ離間していることに基づく駆動軸51の振れが抑制され、駆動軸51を安定して支持することができる。さらに、駆動軸51の支持を安定させるために第1軸受48を軸方向へ大型化する必要もないため、第1軸受48を単列タイプとすることができ、複列タイプとする場合と比べてハウジング41を軸方向へ小型化することができる。
【0063】
(7)クラッチハブ52とアーマチャ54とが結合され、従動軸47と駆動軸51とが接続状態とされたとき、従動軸47には圧縮機部60からの圧縮反力が作用し、従動軸47は駆動軸51に対し傾こうとする。すると、クラッチロータ49(連結筒部49c)の内周面49dがクラッチハブ52(ハブ部52b)の外周面52dに当接する。このようなクラッチロータ49とアーマチャ54との結合により、従動軸47及び駆動軸51の傾きを防止することができる。
【0064】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 各実施形態では、駆動軸51及び従動軸47のうちの一方としての駆動軸51にクラッチハブ52を設けるとともに、他方としての従動軸47にクラッチロータ49を設けたが、一方としての従動軸47にクラッチハブ52を設けるとともに、他方としての駆動軸51にクラッチロータ49を設けてもよい。
【0065】
○ 第1の実施形態では切替手段Cをスプリングクラッチ53に具体化したが、従動軸47及び駆動軸51のうちのいずれか一方に固定された第1クラッチ板と、他方に固定された第2クラッチ板とを、電磁コイルの励磁によって吸着させる電磁クラッチに具体化してもよい。又は切替手段Cを、スプリングクラッチ53及び電磁クラッチの他のタイプのクラッチに具体化してもよい。
【0066】
○ 第1の実施形態では、従動軸47に凹部47aを形成するとともに凹部47a内に第3軸受47bを設け、駆動軸51の挿入軸部51aを凹部47aに挿入するとともに、第3軸受47bに支持させたが、これに限らない。図4に示すように、駆動軸51及び従動軸47のうちのいずれか一方として、従動軸47の後端面に軸方向に沿って延びる挿入軸部47cを突設するとともに、他方としての駆動軸51の前端面に軸方向に沿って凹み挿入軸部47cが挿入される凹部51bを形成する。さらに、駆動軸51の凹部51b内に第3軸受51cを設け、挿入軸部47cを第3軸受51cによって回転可能に支持してもよい。
【0067】
○ 図5(a)に示すように、クラッチロータ49において、クラッチハブ52に対向する端面(後端面49e)が、クラッチハブ52のクラッチロータ49に対向する端面(前端面52e)に対向配置されるように形成する。そして、圧縮機部60からの圧縮反力により従動軸47が傾こうとしたとき、連結筒部49cの後端面49eをハブ部52bの前端面52eに当接させるようにしてもよい。
【0068】
○ 図5(b)に示すように、クラッチロータ49において、連結筒部49cの内周面49fを外周縁から内周縁に向けて傾斜するように形成するとともに、クラッチハブ52の外周面52fを外周縁から内周縁に向けて傾斜するように形成してもよい。そして、圧縮機部60からの圧縮反力により従動軸47が傾こうとしたとき、連結筒部49cの内周面49fをハブ部52bの外周面52fに当接させるようにしてもよい。
【0069】
○ 図5(c)に示すように、クラッチロータ49を、連結筒部49cの内周面49gが、アーマチャ54の外周面54aに対向配置されるように形成し、圧縮機部60からの圧縮反力により従動軸47が傾こうとしたとき、連結筒部49cの内周面49gをアーマチャ54の外周面54aに当接させるようにしてもよい。このとき、連結筒部49cの当接によりアーマチャ54が従動軸47の径方向へ移動することを防止するため、アーマチャ54を付勢部材B(例えば、板バネ)により従動軸47の外径方向へ向けて付勢しておくのが好ましい。
【0070】
○ 実施形態において、ポンプはギヤポンプ75の他の形態のポンプとしてもよい。
○ 実施形態において、圧縮機部60はスクロール型式とは他の型式の圧縮機構であってもよい。
【0071】
○ 実施形態において、膨張機部85はベーン式とは他の形式の膨張機構であってもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
【0072】
(イ)前記切替手段は、前記駆動軸及び従動軸のうちのいずれか一方と一体回転するクラッチハブと、他方と一体回転するクラッチロータと、前記クラッチハブに連結されたスプリングクラッチと、前記クラッチハブの前記クラッチロータ側に対向配置されるとともに前記スプリングクラッチが連結されたアーマチャと、前記アーマチャを前記クラッチロータに対し接離させる電磁コイルとから形成されている請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の複合流体機械。
【0073】
(ロ)前記クラッチハブは、前記駆動軸及び従動軸のうちのいずれか一方に固着される筒部と、該筒部から延設されたハブ部とからなり、前記筒部の一部が前記回転電機のコイルの内側に収容されている技術的思想(イ)に記載の複合流体機械。
【符号の説明】
【0074】
C…切替手段、H…仮想平面、40…複合流体機械、41…ハウジング、44b…第2軸受、47…従動軸、47a,51b…凹部、47b,51c…第3軸受、47c,51a…挿入軸部、48…第1軸受、49…クラッチロータ、50…回転電機としてのモータ・ジェネレータ、51…駆動軸、52…クラッチハブ、54…アーマチャ、60…圧縮機部、85…膨張機部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランキンサイクル用作動流体の膨張によって機械的エネルギーを出力する膨張機部と、
冷凍サイクル用作動流体を圧縮する圧縮機部と、
発電機又は電動機として機能する回転電機と、
対向して配置された前記回転電機の駆動軸と前記圧縮機部の従動軸とを接続状態又は切断状態に切り替える切替手段と、
をハウジング内に備え、
前記ハウジング内では、前記圧縮機部、前記切替手段、前記回転電機、及び前記膨張機部がこの順序で前記駆動軸及び従動軸の軸方向に沿って並設されている複合流体機械。
【請求項2】
前記従動軸は第1軸受を介して前記ハウジングに支持され、前記駆動軸は一端側が前記従動軸を介して前記ハウジングに支持されるとともに他端側が第2軸受を介して前記ハウジングに支持され、前記駆動軸及び前記従動軸のうちいずれか一方に前記軸方向に沿って延びる挿入軸部が突設されるとともに、他方に前記軸方向に沿って凹み前記挿入軸部が挿入される凹部が形成され、さらに、前記凹部内には前記挿入軸部を回転可能に支持する第3軸受が設けられている請求項1に記載の複合流体機械。
【請求項3】
前記従動軸に前記凹部が形成され、前記駆動軸に前記挿入軸部が突設されている請求項2に記載の複合流体機械。
【請求項4】
前記第1軸受及び第3軸受は、前記従動軸の軸線に対し直交する仮想平面と交わる位置に配置されている請求項2又は請求項3に記載の複合流体機械。
【請求項5】
前記切替手段は、前記駆動軸及び従動軸のうちの一方から外径方向に延出されたクラッチハブと、前記駆動軸及び従動軸のうちの他方から外径方向に延出されたクラッチロータと、前記クラッチハブに一体化されるとともに前記軸方向において前記クラッチハブに対向して配置されたアーマチャと、からなり、前記クラッチハブと前記アーマチャとが電磁力によって結合されるように構成された電磁クラッチよりなり、前記クラッチハブと前記アーマチャの結合状態では前記クラッチハブと前記クラッチロータとが当接可能に形成されている請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の複合流体機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−99432(P2011−99432A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69711(P2010−69711)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】