説明

複合物品及びその複合物品を製作する方法

複合物品(例えば、研磨物品(例えば、研磨ホイール及びホーニング砥石)、切削工具、及び切削工具インサート)であって、セラミックマトリックス内に分散したガラスセラミックを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
セラミック複合材は当該技術分野において既知である。ある既知のセラミック複合材の用途には、研磨物品(例えば研磨ホイール及びホーニング砥石)、切削工具、及び切削工具インサートが挙げられる。
【0002】
複合材料(例えば研磨ホイール及びホーニング砥石)、切削工具、及び切削工具インサートの多数の用途に対し、マトリックスと分散相との境界面が、その望ましい特性(例えば強度及び一体性)を、使用中に遭遇する温度範囲全体にわたって維持することが一般に望ましい。例えば、マトリックスと分散相は、境界面における熱応力を最小化し、その結果として境界面の一体性を維持するように、類似した熱膨張係数を有することが望ましい。更に、多くの用途において、マトリックスと分散相が強固な境界面を形成するようにすることが望ましい。通常、境界面における反応を幾分か制限することで、より強固な結合が促進されるが、成分間での反応性が広範囲にわたると、一方又は双方の相の望ましい特性の劣化につながる傾向がある。従って、境界面の望ましい熱的、化学的及び機械的特性を得ると、複合物品に有用となる。
【0003】
物品(例えば、研磨ホイール及びホーニング砥石)、切削工具、及び切削工具インサートを含めたセラミック複合材の設計では、従来より、結合剤(即ちマトリックス)及び砥粒(即ち分散相)の化学成分、並びに複合物品の焼成条件(例えば、時間、温度、加熱及び冷却速度など)を制御することによって、セラミック砥粒の熱膨張係数に適合するマトリックス相(通常はシリカ系ガラス)を成長させ、同時に、強固な境界面を形成しようとすることが必要となっている。しかしながら、シリカ系マトリックスに添加される化学成分の多く(例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び酸化ホウ素)は、砥粒と不利益に反応する。そのような反応は、サブミクロンの結晶径を有する結晶性セラミックスでは更に問題となる。そのような反応を回避するために焼成温度又は焼成時間を減じると、マトリックス−分散相の境界面の強度が、又その結果として複合物品全体の強度が低下する傾向が生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セラミック複合材、研磨材、及び切削工具の業界では、新たな材料、研磨物品、切削工具、及び切削工具インサート、並びにそれらを製作するための方法が、引き続き望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様において、本発明は、第2の組成物のガラスを含んだセラミックマトリックス中に分散した第1の組成物のガラスセラミックを含んだ複合物品(例えば、研磨物品(例えば、研磨ホイール及びホーニング砥石)、切削工具、及び切削工具インサート)であって、第1の組成物と第2の組成物は各々、金属酸化物の混合物を含み、第1の組成物における、特定の金属酸化物の重量による量は、第2の組成物におけるその金属酸化物の重量パーセントの少なくとも90パーセント(いくつかの実施形態においては、少なくとも95パーセント、97パーセント、98パーセント、又は少なくとも99パーセント)であり、第1の組成物と第2の組成物の間で異なる金属酸化物の総量は、全ての第1の組成物と第2の組成物の金属酸化物の総重量の10%を超えることがなく(いくつかの実施形態においては、10%、5%、3%、2%を超えることがなく、又は1%を超えることがなく)、第1の組成物と第2の組成物は各々、第1組成物と第2の組成物の全重量を基準としてそれぞれ、少なくとも35重量パーセント(いくつかの実施形態においては、40重量パーセント、45重量パーセント、50重量パーセント、55重量パーセント、60重量パーセント、65重量パーセント、又は少なくとも70重量パーセント)のAlを含み、第1の組成物のガラスセラミックは、理論密度の少なくとも90パーセント(いくつかの実施形態においては、少なくとも93パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、又は少なくとも99パーセント)の密度を有する、複合物品を提供する。
【0006】
別の態様において、本発明は、第2の組成物のガラスセラミックを含んだセラミックマトリックス中に分散した第1の組成物のガラスセラミックを含んだ複合物品(例えば、研磨物品(例えば、研磨ホイール及びホーニング砥石)、切削工具、及び切削工具インサート)であって、第1の組成物と第2の組成物は各々、金属酸化物の混合物を含み、第1の組成物における、特定の金属酸化物の重量による量は、第2の組成物におけるその金属酸化物の重量パーセントの少なくとも90パーセント(いくつかの実施形態においては、少なくとも95パーセント、97パーセント、98パーセント、又は少なくとも99パーセント)であり、第1の組成物と第2の組成物の間で異なる金属酸化物の総量は、全ての第1の組成物と第2の組成物の金属酸化物の総重量の10%を超えることがなく(いくつかの実施形態においては、10%、5%、3%、2%を超えることがなく、又は1%を超えることがなく)、第1の組成物と第2の組成物は各々、第1組成物と第2の組成物の全重量を基準としてそれぞれ、少なくとも35重量パーセント(いくつかの実施形態においては、40重量パーセント、45重量パーセント、50重量パーセント、55重量パーセント、60重量パーセント、65重量パーセント、又は少なくとも70重量パーセント)のAlを含み、第1の組成物のガラスセラミック及び/又は第2の組成物は、理論密度の少なくとも90パーセント(いくつかの実施形態においては、少なくとも93パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、又は少なくとも99パーセント)の密度を有する、複合物品を提供する。
【0007】
いくつかの実施形態において、第1の組成物と第2の組成物は各々、それぞれの組成物の全重量を基準として、総じて10重量パーセント以下(いくつかの実施形態においては、9重量パーセント、8重量パーセント、7重量パーセント、6重量パーセント、5重量パーセント、4重量パーセント、3重量パーセント、2重量パーセント、1重量パーセント、又は0重量パーセント以下)のAs、Bi、B、GeO、P、SiO、TeO、V、アルカリ酸化物、及びアルカリ土類酸化物を含有している。
【0008】
いくつかの実施形態において、本発明による複合物品は、複合物品の全容量を基準として、30から90の範囲内(いくつかの実施形態においては、50から80、60から80、又は65から75の範囲内)の容量分率のセラミックマトリックスと、10から70の範囲内(いくつかの実施形態においては、20から50、20から40、又は25から35の範囲内)の容量分率の第1の組成物のガラスセラミックとを含んでいる。
【0009】
いくつかの実施形態において、ガラスセラミックは、第1の平均径を有する形にあり、ガラスを含んだ複数のセラミック粒子は、第2の平均径を有し、第1の平均径と第2の平均径との比は、1.4:1を超えるか又は1:1.4未満(いくつかの実施形態においては、1.5:1を超えるか若しくは1:1.5未満、又は2:1を超えるか若しくは1:2未満)である。
【0010】
別の態様において、本発明は、本発明による複合物品を製作するための方法であって、
第1の組成物を有するガラスセラミック粒子と、第2の組成物を有するガラスを含むセラミック粒子との混合物を用意するステップであって、第1の組成物と第2の組成物は各々、金属酸化物の混合物を含み、第1の組成物における、特定の金属酸化物の重量による量は、第2の組成物におけるその金属酸化物の重量パーセントの少なくとも90パーセント(いくつかの実施形態においては、少なくとも95パーセント、97パーセント、98パーセント、又は少なくとも99パーセント)であり、第1の組成物と第2の組成物の間で異なる金属酸化物の総量は、全ての第1の組成物と第2の組成物の金属酸化物の総重量の10%を超えることがなく(いくつかの実施形態においては、10%、5%、3%、2%を超えることがなく、又は1%を超えることがなく)、第1の組成物と第2の組成物は各々、第1組成物と第2の組成物の全重量を基準としてそれぞれ、少なくとも35重量パーセント(いくつかの実施形態においては、40重量パーセント、45重量パーセント、50重量パーセント、55重量パーセント、60重量パーセント、65重量パーセント、又は少なくとも70重量パーセント)のAlを含む、ステップと、
セラミック粒子のガラスが凝結して複合物品が得られるように、混合物を加熱するステップと、を含む方法を提供する。所望により、その方法は、ガラスの少なくとも一部分を結晶性セラミックスに変換しガラスセラミックスが得られる(即ちガラスの少なくとも一部分が結晶化する)ように、複合物品内に存在するガラスを熱処理するステップを更に含んでいる。
【0011】
本願において、
「非晶質材料」とは、溶融物及び/又は気相から誘導された材料であって、X線回折で判定される長距離結晶構造に欠け、及び/又は、本明細書において説明する「示差熱分析」と題された試験で判定されるように、DTA(示差熱分析)で判定される非晶質材料の結晶化に対応する発熱性のピークを有するものを指し、
「セル」とは、セラミック材料が結晶化される場合に少なくとも2つの別個の結晶相を形成するセラミック材料の最小の構造単位を指す。非晶質材料において、セルは、組成物中で本質的に均質であり、又、ミクロ構造の特徴(例えば粒界)を本質的に皆無にしている。本発明の状況において、個々のセルは一般に、複数の他の体と凝結してより大きな圧密化セラミック材料を形成する個々の体(例えば、粒子、ガラス体など)に対応する。セルの寸法は、当該技術分野において既知の金属組織学及び顕微鏡法(例えば、SEM、TEM)を使用して求めることができる。
【0012】
「セラミック」には、ガラス、結晶性セラミック、ガラスセラミック、及びそれらの組み合わせが含まれ、
「複合金属酸化物」とは、2つ以上の異なる金属元素と酸素とを含んだ金属酸化物(例えば、CeAl1118、DyAl12、MgAl、及びYAl12)を指し、
「複合Al・金属酸化物」とは、理論的な酸化物を基準として、Alと、Al以外の1つ以上の金属元素とを含んだ複合金属酸化物(例えば、CeAl1118、DyAl12、MgAl、及びYAl12)を指し、
「複合Al・Y」とは、理論的な酸化物を基準として、AlとYとを含んだ複合金属酸化物(例えば、YAl12)を指し、
「複合Al・REO」とは、理論的な酸化物を基準として、Alと希土類酸化物とを含んだ複合金属酸化物(例えば、CeAl1118及びDyAl12)を指し、
「ガラス」とは、ガラス転移温度を呈する非晶質材料を指し、
「ガラスセラミック」とは、ガラスを熱処理することによって形成された結晶を含んだセラミックを指し、
「T」とは、本明細書に記載の「示差熱分析」と題する試験によって求められるガラス転移温度を指し、
「T」とは、本明細書に記載の「示差熱分析」と題する試験によって求められる結晶化温度を指し、
「希土類酸化物」とは、酸化セリウム(例えばCeO)、酸化ジスプロシウム(例えばDy)、酸化エルビウム(例えばEr)、酸化ユーロピウム(例えばEu)、酸化ガドリニウム(例えばGd)、酸化ホルミウム(例えば、Ho)、酸化ランタン(例えばLa)、酸化ルテチウム(例えばLu)、酸化ネオジム(例えばNd)、酸化プラセオジム(例えばPr11)、酸化サマリウム(例えばSm)、酸化テルビウム(例えばTb)、酸化トリウム(例えばTh)、酸化ツリウム(例えばTm)、酸化イッテルビウム(例えばYb)、並びにそれらの組み合わせを指し、
「REO」とは、希土類酸化物(1つ又は複数)を指す。
【0013】
更に、本明細書において理解されたいこととして、金属酸化物(例えば、Al、複合Al・金属酸化物など)は、例えばガラスセラミック中で結晶質であるとの指定がない限り、そのガラスセラミックは、ガラスであっても、結晶質であっても、一部がガラスで一部が結晶質であってもよい。例えば、ガラスセラミックがAlとZrOとを含む場合、そのAlとZrOは各々、ガラス状態にあっても、結晶状態にあっても、一部がガラス状態にあり一部が結晶状態にあっても、別の金属酸化物(1つ又は複数)との反応生成物として存在してもよい(即ち、例えばAlは、結晶性のAl又はAlの特定の結晶相(例えばアルファAl)として存在するとの指定がない限り、結晶性のAl及び/又は1つ以上の結晶性の複合Al・金属酸化物の一部として存在してもよい)。
【0014】
いくつかの実施形態において、第1の組成物と第2の組成物は各々、第1の組成物と第2の組成物の全重量を基準としてそれぞれ、少なくとも35重量パーセント(いくつかの実施形態においては、少なくとも40重量パーセント、45重量パーセント、50重量パーセント、55重量パーセント、60重量パーセント、65重量パーセント、70重量パーセント、又は少なくとも75重量パーセント)のAlを個別に含んでおり、ここで、第1の組成物と第2の組成物は各々、第1の組成物と第2の組成物の全重量を基準としてそれぞれ、総じて10重量パーセント以下(いくつかの実施形態においては、5重量パーセント、4重量パーセント、3重量パーセント、2重量パーセント、1重量パーセント、0.5重量パーセント、0.1重量パーセント、又はゼロ重量パーセント以下)のAs、Bi、B、GeO、P、SiO、TeO、V、アルカリ酸化物、及びアルカリ土類酸化物を個別に含んでいる。いくつかの実施形態において、第1の組成物と第2の組成物はそれぞれ、Al以外の少なくとも1つの金属酸化物(例えば、BaO、CaO、CeO、CuO、Dy、Er、Eu、Gd、Ho、La、Lu、MgO、Nd、Pr11、Sm、Sc、SrO、Tb、Th、TiO、Tm、Yb、Y、ZrO、及びそれらの組み合わせ)を更に含んでいる。
【0015】
いくつかの実施形態において、第1の組成物と第2の組成物は各々、Alと、REO又はYの少なくとも一方と、ZrO又はHfOの少なくとも一方とを個別に含んでおり、ここで、第1の組成物と第2の組成物の全重量を基準としてそれぞれ、第1の組成物と第2の組成物の各々の少なくとも80重量パーセント(いくつかの実施形態においては、少なくとも85重量パーセント、90重量パーセント、95重量パーセント、97重量パーセント、98重量パーセント、99重量パーセント、又は100重量パーセント)は、総じて、Alと、REO又はYの少なくとも一方と、ZrO又はHfOの少なくとも一方とを個別に含んでいる。いくつかの実施形態において、第1の組成物と第2の組成物は各々、第1の組成物と第2の組成物の全重量を基準としてそれぞれ、少なくとも35重量パーセント、40重量パーセント、45重量パーセント、50重量パーセント、55重量パーセント、65重量パーセント、70重量パーセント、又は少なくとも75重量パーセントのAlを含んでいる。いくつかの実施形態において、第1の組成物と第2の組成物は各々、Al、REO、Y、HfO、及びZrO以外の少なくとも1つの金属酸化物(例えば、BaO、CaO、MgO、SrO、TiO、及びそれらの組み合わせから成る群から選択された金属酸化物)を個別に更に含んでいる。
【0016】
典型的には、第1の組成物は、第1の組成物の全容量を基準として、少なくとも50容量パーセント(いくつかの実施形態においては、55容量パーセント、60容量パーセント、65容量パーセント、70容量パーセント、75容量パーセント、80容量パーセント、85容量パーセント、90容量パーセント、又は99容量パーセント)の結晶性セラミックから成る。いくつかの実施形態において、第2の組成物は、第2の組成物の全容量を基準として、少なくとも1容量パーセント、2容量パーセント、3容量パーセント、5容量パーセント、10容量パーセント、15容量パーセント、20容量パーセント、25容量パーセント、30容量パーセント、35容量パーセント、40容量パーセント、45容量パーセント、50容量パーセント、55容量パーセント、60容量パーセント、65容量パーセント、70容量パーセント、75容量パーセント、80容量パーセント、85容量パーセント、90容量パーセント、95容量パーセント、97容量パーセント、98容量パーセント、99容量パーセント、又は100容量パーセントの結晶性セラミックを含んでいる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、第2の組成物のガラスを含んだセラミックマトリックス中に分散した第1の組成物のガラスセラミックを含んだ複合物品(例えば、研磨物品(例えばホイール及びホーニング砥石)、切削工具、及び切削工具インサート)、並びにその複合物品を製作するための方法に関する。第1及び第2の組成物のためのガラス及びガラスセラミックは、規定通りに、必要な原材料及び加工技術を選択することによって調製される。
【0018】
典型的には、第1及び第2の組成物は、Alと、少なくとも1つのBaO、CaO、Cr、CoO、CuO、Fe、GeO、HfO、LiO、MgO、MnO、NiO、NaO、REO、Sc、SrO、TiO、Y、ZnO、又はZrOとを含んでいる。第1及び第2の組成物は典型的には各々、Alを含んでいる。
商業的な原料を含めた、金属酸化物の原料には、酸化物自体、金属粉末、複合酸化物、鉱石、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、塩化物、水酸化物などが挙げられる。
【0019】
例えば、商業的な原料を含めた、Alの(理論上の酸化物を基準とした)原料には、ボーキサイト(自然に存在するボーキサイトと合成的に製造されたボーキサイトの双方を含む)、焼成ボーキサイト、水和アルミナ(例えばベーマイト及びギブサイト)、アルミニウム、バイヤー法アルミナ、アルミニウム鉱、ガンマアルミナ、アルファアルミナ、アルミニウム塩、硝酸アルミニウム、及びそれらの組み合わせが挙げられる。Alの原料は、Alを含有するものであっても、形成するものであってもよい。Alは又、Al並びにAl以外の1つ以上の金属酸化物(複合Al・金属酸化物の又はそれらを含有する材料(例えばDyAl12、YAl12、CeAl1118など)を含有するものであっても、形成するものであってもよい。
【0020】
商業的な原料を含めた希土類酸化物の原料には、希土類酸化物粉末、希土類金属、希土類含有鉱物(例えばバストネス石及びモナザイト石)、希土類塩、希土類硝酸塩、及び希土類炭酸塩が挙げられる。希土類酸化物(1つ又は複数)原料は、希土類酸化物(1つ又は複数)を含有するものであっても、単に形成するものであってもよい。希土類酸化物(1つ又は複数)原料は、希土類酸化物(1つ又は複数)並びに希土類酸化物(1つ又は複数)以外の1つ以上の金属酸化物(金属酸化物以外の複合希土類酸化物の又はそれらを含有する材料(例えば、DyAl12、CeAl1118など)を含有するものであっても、形成するものであってもよい。
【0021】
商業的な原料を含めた、Yの(理論上の酸化物を基準とした)原料には、酸化イットリウム粉末、イットリウム、イットリウム含有鉱石、及びイットリウム塩(例えば、イットリウムの炭酸塩、硝酸塩、塩化物、水酸化物、及びそれらの組み合わせ)が挙げられる。Y原料は、Yを含有するものであっても、単に形成するものであってもよい。Yは、Y並びにY以外の1つ以上の金属酸化物(複合Y・金属酸化物の又はそれらを含有する材料(例えばYAl12)を含有するものであっても、形成するものであってもよい。
【0022】
ZrOとHfOとを含む実施形態の場合、ZrO:HfOの重量比は、1:0(即ち、全てがZrOであり、HfOがない)から0:1、同様に、例えば、少なくとも約99部、98部、97部、96部、95部、90部、85部、80部、75部、70部、65部、60部、55部、50部、45部、40部、35部、30部、25部、20部、15部、10部、及び5部(重量で)のZrOとそれに対応する量のHfO(例えば、少なくとも約99部(重量で)のZrOと約1部以下のHfO)から、少なくとも約99部、98部、97部、96部rOと約1部以下のHfO)から、少な、95部、90部、85部、80部、75部、70部、65部、60部、55部、50部、45部、40部、35部、30部、25部、20部、15部、10部、及び5部のHfOとそれに対応する量のZrOの範囲内であってもよい。
【0023】
商業的な原料を含めた、ZrOの(理論上の酸化物を基準とした)原料には、酸化ジルコニウム粉末、ジルコン砂、ジルコニウム、ジルコニウム含有鉱石、及びジルコニウム塩(例えば、ジルコニウムの炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、塩化物、水酸化物、及びそれらの組み合わせ)が挙げられる。それに加えて又はそれに代わって、ZrO原料は、ZrO並びにハフニアなどの他の金属酸化物を含有するものであっても、形成するものであってもよい。商業的な原料を含めた、HfOの(理論上の酸化物を基準とした)原料には、酸化ハフニウム粉末、ハフニウム、ハフニウム含有鉱石、及びハフニウム塩が挙げられる。それに加えて又はそれに代わって、HfO原料は、HfO並びにZrOなどの他の金属酸化物を含有するものであっても、形成するものであってもよい。
【0024】
いくつかの実施形態において、酸化物生成のエンタルピーが負である少なくとも1つの金属(例えば、Al、Ca、Cu、Cr、Fe、Li、Mg、Ni、Ag、Ti、Zr、及びそれらの組み合わせ)Mを含んだ微粒子状の金属材料又はそれらの合金を溶融物に加えるか、或いは他の原材料と化合させることによって、金属酸化物原料の少なくとも一部分(いくつかの実施形態においては、10重量パーセント、15重量パーセント、20重量パーセント、25重量パーセント、30重量パーセント、35重量パーセント、40重量パーセント、45重量パーセント、50重量パーセント、55重量パーセント、60重量パーセント、65重量パーセント、70重量パーセント、75重量パーセント、80重量パーセント、85重量パーセント、90重量パーセント、95重量パーセント、又は100重量パーセント)を得ると有利となることもある。理論に束縛されるものではないが、金属の酸化に伴う発熱反応に起因する熱は、均質な溶融物及び結果として生じるガラスの形成に有益であると考えられている。例えば、原材料内での酸化反応によって発生する更なる熱によって、不十分な熱伝達が避けられるか、最小化されるか、又は少なくとも減じられ、それ故に溶融物の形成及び均質化が促進されると考えられる。又、更なる熱が利用可能であることは、多様な化学反応及び物理的プロセス(例えば、高密度化及び球状化)を成就させるのに役立つとも考えられる。更に、いくつかの実施形態については、酸化反応によって発生する更なる熱が存在することで、さもなければ材料の融点が高温であるがために困難であるか又は実用的でない、溶融物の形成が実際に可能となると考えられる。更に、酸化反応によって発生した更なる熱が存在することで、さもなければ成しえない又は所望の寸法範囲では成しえないガラスの形成が実際に可能となる。ガラスの形成における本発明の別の利点には、溶融、高密度化及び球状化など、化学的及び物理的プロセスの多くを短時間で達成することができ、その結果、非常に高度な急冷速度を達成しうることが挙げられる。更なる詳細については、2003年6月16日に公開された米国公開US2003−0110709A1を参照されたい。
【0025】
いくつかの実施形態において、例えば、原材料は個別に供給されて溶融混合物を形成する。いくつかの実施形態において、例えば、ある原材料は互いに混合され、一方で他の原材料は溶融混合物に個別に添加される。いくつかの実施形態において、例えば、原材料は、溶融に先立って互いに化合されるか又は混合される。原材料は、例えば、実質的に均質な混合物を形成するように、好適で且既知のいかなる方法で化合させてもよい。これらの化合法には、ボールミリング、混合、混転、その他同種のものが挙げられる。ボールミル内のミリング媒体は、金属ボールであっても、セラミックボールであっても、その他同種のものであってもよい。セラミックミリング媒体は、例えば、アルミナであっても、ジルコニアであっても、シリカであっても、マグネシアであっても、その他同種のものであってもよい。ボールミル粉砕は、水環境において、又は溶媒型(例えばイソプロピルアルコール)環境において、乾燥状態を発生させることがある。原材料バッチが金属粉末を含有している場合、溶媒をミリング中に使用することが一般に望ましい。この溶媒は、適当な引火点と原材料を分散させる能力とを有する、いかなる好適な材料であってもよい。ミリング時間は、数分から数日まで、一般には数時間から24時間の間となりうる。湿式の又は溶媒型のミリングシステムにおいて、液体媒体は、結果として生じる混合物が典型的には均質となり、実質的に水及び/又は溶媒が全くないものとなるように、典型的には乾燥させることによって除去される。溶媒型のミリングシステムを使用する場合、乾燥させる間、溶媒回収システムを用いて溶媒を回収してもよい。乾燥させた後、結果として生じる混合物は、「乾燥ケーク」の形であってもよい。次いで、このケーク様の混合物は、溶融に先立って、望ましい粒径へと分解又は粉砕してもよい。別法として、例えばスプレー乾燥法を使用してもよい。後者では典型的には、望ましい混合物の球状微粒子が得られる。又、前駆体物質は、沈殿法及びゾルゲル法を含めた湿式化学法によって調製してもよい。そのような方法は、極めて高度な均質性が望まれる場合に有益となる。
【0026】
微粒子状の原材料は典型的には、均質な溶融物の形成が迅速に達成されうるような粒径を有するように選択される。典型的には、比較的小さな平均粒径と限られた分布状態とを有する原材料が、この目的で使用される。いくつかの方法(例えば、火炎成形法及びプラズマ溶射法)において、特に望ましい微粒子状の原材料は、約5nmから約50マイクロメートルの範囲(いくつかの実施形態においては、約10nmから約20マイクロメートル、又は約15nmから約1マイクロメートルの範囲)の平均粒径を有するものであり、微粒子のうちの少なくとも90重量パーセント(いくつかの実施形態においては95重量パーセント、又は100重量パーセント)は原材料であるが、その寸法及び範囲外の寸法も又有用となりうる。寸法が約5nm未満である微粒子は、取り扱いが困難となる傾向がある(例えば、供給粒子の流動性は、その供給粒子が不十分な流動性を有する傾向があるため、望ましくないものとなる傾向がある)。約50マイクロメートルを越える微粒子を典型的な火炎成形又はプラズマ溶射プロセスにおいて使用すると、均質な溶融物及びガラス並びに/又は望ましい組成物を得ることが困難となる傾向がある。
【0027】
更に、場合によっては、例えば、微粒子状の材料を火炎又は熱又はプラズマ溶射装置に供給して溶融物を形成するとき、粒塊の形を含めて、微粒子状の原材料を、ある範囲の粒径で提供すると望ましいこともある。
【0028】
第1及び第2の組成物のガラスは、例えば、適当な金属酸化物原料を加熱して(火炎又はプラズマに入れて)、溶融物、望ましくは均質な溶融物を形成し、次いでその溶融物を急速に冷却してガラスを形成することによって製作することができる。ガラスのいくつかの実施形態は、例えば、金属酸化物原料を任意の好適な炉内で(例えば、誘導加熱若しくは電気加熱した炉、ガス焚き炉、又は電気アーク炉内で)溶融させることによって製作することができる。
【0029】
ガラスは典型的には、溶融材料(即ち溶融物)を比較的急速に冷却することによって得られる。ガラスを得るための急冷速度(即ち冷却時間)は、溶融物の化学的組成、成分のガラス形成能、溶融物及び結果として生じるガラスの熱的性質、加工技術(1つ又は複数)、結果として生じるガラスの大きさ及び質量、並びに冷却技術を含めて、多数の要因に依存する。一般に、より多量のAlを含んだガラスを、As、Bi、B、GeO、P、SiO、TeO、V、アルカリ酸化物、及びアルカリ土類酸化物などの既知のガラス形成剤の非存在下で形成するには、相対的により高い急冷速度が必要となる。同様に、熱を十分高速に除去するのがより困難となるため、溶融物をガラスへとより大きな寸法で冷却することはより困難となる。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態において、原材料は、微粒子の形で溶融状態へと加熱され、その後にガラス粒子へと冷却される。典型的には、粒子は25マイクロメートルを超える(いくつかの実施形態においては、50マイクロメートル、100マイクロメートル、150マイクロメートル、更には200マイクロメートルを超える)粒径を有している。
【0031】
本発明の方法に従ってガラスを作る上で達成される急冷速度は、10℃/秒、10℃/秒、10℃/秒、10℃/秒、又は10℃/秒を超える(即ち、溶融状態から、それぞれ10秒未満、1秒未満、10分の1秒未満、100分の1秒未満、更には1000分の1秒未満での1000℃の温度降下)と考えられる。溶融物を冷却するための技術には、溶融物を冷却媒体(例えば、高速のエアジェット、液体(例えば冷水)、金属プレート(冷却した金属ロールを含む)、金属ボール(冷却した金属ボールを含む)、その他同種のもの)に注ぐことが挙げられる。当該技術分野において既知の他の冷却技術には、ロール冷却が挙げられる。ロール冷却は、例えば、金属酸化物原料を、融点よりも典型的には20℃〜200℃高い温度で溶融させ、その溶融物を高圧下で(例えば、空気、アルゴン、窒素、又は同種のものを使用して)高速回転ロール(1つ又は複数)上に噴射して冷却/急冷することによって行うことができる。典型的には、ロールは金属でできており、水冷されるものである。又、金属のブックモールドも溶融物の冷却/急冷に有用となることがある。
【0032】
冷却速度は、急冷されたガラスの性質に影響を及ぼすと考えられる。例えば、ガラスのガラス転移温度、密度及び他の性質は典型的には、冷却速度と共に変化する。
【0033】
又、急速な冷却を還元性、中性、又は酸化性環境などの制御雰囲気下で実施して、冷却中に、望ましい酸化状態などを維持し及び/又は操作してもよい。その雰囲気は又、過冷却液体からの結晶加速度を操作することによって、ガラス形成を操作することができる。例えば、アルゴン雰囲気では、空気中での過冷却と比較して、Al溶融物が、結晶化することなく、より大幅に過冷却されることが報告されている。
【0034】
一方法において、第1及び第2の組成物のガラスは、例えば米国特許第6,254,981号(キャッスル(Castle))において報告されている火炎溶射を利用して作ることができる。この方法において、金属酸化物原料(1つ又は複数)は、直接バーナー(例えば、メタン−空気バーナー、アセチレン−酸素バーナー、水素−酸素バーナー、その他同種のもの)内へと(例えば、ときに「供給粒子」と呼ばれる粒子の形で)供給され、次いで、例えば水、冷却油、空気、又はその他同種のものの中で急冷される。供給粒子は、例えば、金属酸化物原料を細砕、凝集(例えば、スプレー乾燥)、溶融、又は焼結することによって形成することができる。一般に、火炎内へと供給される供給粒子の寸法によって、結果として生じる、ガラスを含んだ粒子の寸法が決まる。
【0035】
又、ガラスのいくつかの実施形態は、自由落下冷却を用いたレーザースピニング融解法(laser spining melt)、Taylorワイヤー法(Taylor wire technique)、プラズマトロン法、ハンマーアンビル法(hammer and anvil technique)、遠心急冷法、エアガンスプラット冷却法、シングルローラー及びツインローラー急冷法(single roller and twin roller quenching)、ローラープレート急冷法(roller-plate quenching)、並びにペンダントドロップ溶融急冷法(pendant drop melt extraction)(例えば、ブロックウェイ(Brockway)らの「セラミックスの急速凝固(Rapid Solidification of Ceramics)」、金属及びセラミック情報センター(Metals And Ceramics Information Center)、国防総省情報分析センター(A Department of Defense Information Analysis Center)、オハイオ州コロンバス(Columbus)、(1984年1月)を参照)など、他の技術によって得ることもできる。又、ガラスのいくつかの実施形態は、好適な前駆体の熱(火炎又はレーザー又はプラズマ支援型を含む)分解、金属前駆体の物理的気相合成(PVS)、及びメカノケミカル加工など、他の技法によって得ることもできる。溶融体を形成するための、溶融体を冷却/急冷するための、及び/又はガラスを形成するための他の技法には、溶融急冷法、及びガス又は遠心噴霧法が挙げられる。
【0036】
ガス噴霧法では、供給粒子を加熱して溶融体に変換させることが必要となる。そのような溶融体の細流は、分裂性のエアジェットとの接触を通じて噴霧される(即ち、流れは微小液滴へと分割される)。次いで、結果として生じる、相当に孤立した概ね楕円体のガラス粒子(例えばビーズ)が回収される。ビーズ径の例には、約5マイクロメートル〜約3mmの範囲の直径を有するものが挙げられる。溶融抽出は、例えば、米国特許第5,605,870号(ストロム・オルセン(Strom-Olsen)ら)において記載されている通りに行うことができる。例えば米国特許第6,482,758号(ウェーバー(Weber))に記載されているレーザービーム加熱を利用した、容器を用いないガラス形成法も又、本発明において有用なガラスを製作するのに有用となることがある。
【0037】
例示的な粉末供給装置を図1〜6に示す。粉末供給アセンブリ1000は、粉末1110を保持し、火炎溶融装置1500に送達する。火炎溶融装置1500は、粉末受容区間1510を含んでおり、この粉末受容区間1510は、粉末1110を受容して溶融し、本明細書で開示する材料などの別の材料(1つ又は複数)に変換するためのものである。粉末1110は、粉末供給アセンブリ1000の吐出し口1130を通じて粉末受容区間1510内へと送達される。接続管1900は、吐出し口1130と粉末受容区間1510との間に位置している。又、粉末1110の流れが吐出し口1130を去った後にその粉末1110の流れを受容し導くための漏斗1300が、吐出し口1130に近接して位置している。
【0038】
粉末供給アセンブリ1000は、粉末1110を保持するためのホッパー1100を含んでいる。典型的には、ホッパー1100は、円筒形壁によって画定された胴体1120を含んでいるが、他の胴体形状も可能である。又、ホッパー1100は、単一の部品又は複数の部品から製作することができる。図示した例示的な実施形態におけるホッパー1100は又、カバー区間1200を含んでいる。カバー区間1200は、粉末1110をホッパー1100内へと供給するための開口部1710を含んでいる。スクリューフィーダー、振動フィーダー、又はブラシフィーダーなど、ホッパー1100に粉末1110を充填するための、任意の商業的に入手可能な送達手段を使用することができる。カバー区間1200は又、シャフト受容口1422(図6に示す)を有する区間を含んでいる。
【0039】
ブラシアセンブリ1400が、ホッパー1100の胴体1120内に設けられている。ブラシアセンブリ1400は、モーター1800など、ブラシアセンブリ1400を回転させるための手段に、シャフト1420を介して連結されている。又、モーター1800は、モーター速度制御器1850など、モーター1800の速度を調節するための手段に接続することができる。ブラシアセンブリは、例えば、Nylon Strip Brush(例えば、全高2.5cm(1インチ)、剛毛の長さ0.8cm(5/16インチ)、直径5ミリメートル(0.02インチ)、部品番号74715T61、イリノイ州シカゴ(Chicago)のマクマスターカー社(McMaster-Carr)から入手可能)を使用することができる。ブラシアセンブリはシャフトに結合されており、このシャフトも又、DC Gear Motor(130ボルト、比60:1、トルク2.49N・m(22lb・in))(例えば、イリノイ州シカゴ(Chicago)のボディーンエレクトリックカンパニー社(Bodine Electric Company)から入手可能)に結合されており、このDC Gear Motorによって駆動される。モーターの速度は、可変モーター制御部(例えば、同様にボディーン社(Bodine)から入手可能な、Type−FPM Adjustable Speed PM Motor Control、モデル番号818)を使用して制御することができる。
【0040】
ブラシアセンブリ1400は、末端部1411と基端部1412とを有する剛毛要素1410を含んでいる。粉末1110が、火炎溶融装置1500に送達するためにホッパー1100に入れられると、ブラシアセンブリ1400がホッパー1100内で回転される。ブラシアセンブリ1400が回転されると、剛毛要素(1つ又は複数)1410は、ホッパー1100内の粉末1110を圧迫してふるい部材1600に通す。ブラシアセンブリ1400の回転速度を調節することによって、ふるい部材1600に通す粉末1110の供給量を制御することができる。
【0041】
ブラシアセンブリ1400はふるい部材1600と協働して、望ましい性質を有する粉末1110を吐出し口1130から火炎溶融装置1500の粉末受容区間1510に送達する。剛毛1410の末端部1411は、ふるい部材1600に近接して配置されている。剛毛1410の末端部1411とふるい部材1600との小さな間隙を使用することができる一方で、その間隙を、粉末の粒径と同じ程度の大きさに保つことが一般的であるが、その間隙は、取り扱う粉末の独特の性質に応じて更に大きいものにしうることが、当業者には理解されよう。又、剛毛1410の末端部1411は、ふるい部材1600とぴったりと重なるか、又は、ふるい部材1600内のメッシュ開口部1610内へと突出し、そのメッシュ開口部1610を通じて延びるように配置することができる。剛毛1410が開口部1610を通じて突出するには、剛毛1410のうちの少なくとも一部は、メッシュ寸法よりも小さな直径を有していることが必要である。剛毛要素1410は、異なる直径と長さとを有する剛毛の組み合わせを含むことができ、あらゆる具体的な組み合わせは、望ましい動作条件に依存する。
【0042】
剛毛1400の端部1411が開口部1610内へと、又開口部1610を通じて延びることにより、剛毛1410は、開口部1610同士にわたる橋を形成するいかなる粒子をも分割することができる。又、剛毛1410は、粉末供給では一般的に発生しうる他の種類の遮断物を分割する傾向もある。剛毛要素1410は、単一の部品とすることができ、又複数の剛毛区間から形成することもできる。又、剛毛要素が、メッシュ開口部内に及び/又はメッシュ開口部を通じて延びることが望ましい場合、剛毛1410の選択された寸法は、最も小さいメッシュ開口部1610よりも小さい必要がある。
【0043】
図3を参照するが、図示した例示的な実施形態において、ホッパー1100は、円筒形の胴体1120を画定する壁を含むことができる。この形状は好都合にも、吐出し口1130からの粉末の流量をより制御されたものにしうる対称性をもたらしている。又、円筒形の形状は、回転するブラシアセンブリ1400と共に使用するのに十分に好適なものであるが、これは、剛毛要素1410が壁まで延びることができ、粉末を蓄積しうる領域がふるい部材上にほとんど残らないからである。しかしながら、特定の使用条件に従う限り、他の幾何学的形状も使用可能である。
【0044】
又、ホッパー1100は、カバー区間1200を含んでいる。カバー区間1200は、ホッパーの供給アセンブリ1700から粉末1110を受容するための開口部を有している。カバー区間1200は、胴体1120と協働して粉末チャンバ1160を形成している。又、カバー1200上の開口部1710は、省略するか又は密封可能にすることができ、その結果、雰囲気を中和するか、又は粉末若しくは粒子を火炎溶融装置に送達するために、窒素、アルゴン、又はヘリウムなどのガスをホッパー1100上のガス投入ライン1150に投入することができる。又、ガスは、このシステムにおいて、粉末又は粒子を囲む雰囲気を制御するために使用することができる。又、ガス投入ライン1910は、吐出し開口部1130の後に、例えば接続管1900の上に配置することもできる。
【0045】
粉末供給アセンブリ1000全体は、粉末の輸送を更に補助するために、振動させることができる。所望により、ふるい部材は、粉末供給アセンブリ1000を通じた粉末の輸送を補助するために、振動させることができる。考えられる他の振動手段を使用することができ、又、特定の使用条件に応じて利用可能な多数の商業的な振動システム及び装置が存在することは、当業者には理解されよう。
【0046】
図1〜6を参照するが、ホッパー1100がカバー1200と胴体1120とを含んでいる場合、取り外し可能なカバー1200によって、ふるい部材1600を洗浄したり取り換えたりするために、粉末チャンバ1160に容易にアクセスすることが可能となる。又、ブラシアセンブリ1400は、剛毛要素1410とふるい部材1600との望ましい係合をなすように配置することができる。ブラシアセンブリ1400が、回転するシャフト1420に取り付けられている場合、シャフト1420は、例えばモーター1800によって駆動するために、カバー1200内の開口部1422の外側に突出することができる。ブラシアセンブリ1400の速度は、速度制御部1850などの手段によって制御することができる。この例示的な粉末供給アセンブリに関する更なる詳細は、2005年6月23日に公開された米国特許公開US2005−013397A1において見出すことができる。
【0047】
ある金属酸化物を添加することで、本発明において利用するセラミックスの性質及び/又は結晶構造若しくはミクロ構造、並びに、セラミックを製作する上での原材料及び中間体の処理を変えることができる。例えば、MgO、CaO、Li、NaOなどの酸化物の添加によって、ガラスのTとTの双方が変わることが観察されている(ここで、Tは、結晶化温度である)。理論に束縛されるものではないが、そのような添加によってガラス形成が影響を受けると考えられる。更に、例えば、そのような酸化物の添加によって、系全体の溶融温度を低下させ(即ち、系をより融点の低い共晶に近いものにし)、ガラス形成を容易にすることができる。多成分系(四成分など)における複合共晶に基づいた組成物は、より良好なガラス形成能を有していることがある。又、液状溶融物の粘度及びガラスのその使用範囲における粘度は、必要とされる特定の酸化物(1つ又は複数)以外の金属酸化物の添加によっても影響を受けることがある。
【0048】
又、ガラスセラミックスを形成するための、ガラスとガラスを含んだセラミックスの結晶化も、材料の添加によって影響を受けることがある。例えば、ある金属、金属酸化物(例えばチタン酸塩及びジルコン酸塩)、及びフッ化物は、核生成剤として働き、結果として、結晶の有益な非均質核をもたらすことができる。又、いくつかの酸化物を添加することで、再加熱の際に不透明化する準安定相の性質を変化させることもできる。別の態様において、結晶質のZrOを含んだ、本発明によるセラミックスに対しては、正方晶/立方晶型のZrOを安定化させることが知られている金属酸化物(例えば、Y、TiO、CeO、CaO、及びMgO)を添加すると望ましい場合がある。
【0049】
本発明において利用するセラミックを製作するための金属酸化物の具体的な選択は、典型的には、例えば、望ましい組成物、ミクロ構造、結晶化度、物理的性質(例えば硬度及び靭性)、望ましくない不純物の存在、外観(例えば色合い)、並びに、セラミックスを調製するために使用する特定のプロセスの望ましい又は必要な特徴(設備、並びに、融解及び/又は凝固の前及び/又はその間における原材料の純化を含む)を考慮したものである。
【0050】
場合によっては、B、Bi、NaO、P、SiO、TeO、V、アルカリ酸化物、アルカリ土類酸化物、及びこれらの組み合わせから成る群から選択された、限られた量の金属酸化物を添合すると好ましいことがある。商業的な原料を含めた原料には、酸化物自体、複雑酸化物、複合酸化物、元素(例えばSi)粉末、鉱石、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、塩化物、水酸化物などが挙げられる。これらの金属酸化物は、例えば、結果として生じるガラスセラミックの物理的性質を修正し及び/又は加工度を改善するために添加してもよい。これらの金属酸化物は、使用するとき、典型的には、ガラスセラミックの総じて0重量%超〜20重量%まで(いくつかの実施形態においては、総じて0重量%超〜5重量%まで、更には総じて0重量%超〜2重量%まで)、例えば望ましい特性に応じて添加される。
【0051】
有用な調合(formulations)には、共晶の組成物(1つ又は複数)にあるか又はそれに近いもの(例えば、三元共晶の組成物)が挙げられる。本明細書において開示する組成物に加えて、四元及び他の更に高次の共晶の組成物を含めた、そのような他の組成物が、本開示を検討した後に当業者に明らかとなろう。
【0052】
材料のミクロ構造又は相組成(ガラス相/結晶相)は、光学顕微鏡法、電気顕微鏡法、示差熱分析法(DTA)、及びX線回折法(XRD)を含めた多数の方式で判定することができる。
【0053】
光学顕微鏡法を使用すると、非晶質材料は典型的には、結晶粒界などの光散乱中心がないことにより、大部分が透明となるが、一方で、結晶質材料は結晶構造を示し、光散乱効果により不透明となる。
【0054】
非晶質(又はガラス)が占めるパーセントを、−100+120のメッシュサイズの画分(即ち、150マイクロメートルの開口径のふるいと125マイクロメートル(μm)の開口径のふるい間で収集された画分)を使用した粒子(例えばビーズ)などに対して計算することができる。この測定は、以下の様式で行われる。一層の粒子、ビーズなどをガラススライドの上に塗り広げる。その粒子、ビーズなどを、光学顕微鏡を使用して観察する。光学顕微鏡の接眼レンズ内の十字線を指針として使用して、1本の直線に沿って位置する粒子、ビーズなどを、それらの明澄性に応じて非晶質又は結晶質(即ち、明澄であれば非晶質)として計数する。典型的には合計で500個の粒子、ビーズなどを計数するが、より少数の粒子、ビーズなどを使用してもよく、又、非晶質の粒子、ビーズなどの数を、計数した全ての粒子、ビーズなどで割ることによって、非晶質が占めるパーセントを求める。非晶質(又はガラス)を製作するための方法の実施形態では、少なくとも50パーセント、60パーセント、70パーセント、75パーセント、80パーセント、85パーセント、90パーセント、95パーセント、更には100パーセントの収率を得ることができる。
【0055】
全ての粒子が非晶質(又はガラス)となることが望まれており、結果として生じる収率が100%未満である場合、その非晶質(又はガラス)粒子を、非晶質でない(又は非ガラス)粒子から分離してもよい。そのような分離は、例えば、密度又は光学的明澄度に基づいて分離することを含めて、従来のいかなる技法によって行ってもよい。
【0056】
DTAを使用すると、材料は、その材料の対応するDTA線図が発熱性の結晶化現象(T)を含んでいる場合、非晶質として分類される。又、同じ線図がTよりも低い温度における吸熱性の現象(T)を含んでいる場合、その材料は、ガラス相から成るとみなされる。材料のDTA線図がそのような現象を含んでいない場合、その材料は、結晶相を含んでいるとみなされる。
【0057】
示差熱分析法(DTA)は、以下の方法を使用して実施することができる。DTAは、−140+170のメッシュサイズの画分(即ち、105マイクロメートル(μm)の開口径のふるいと90マイクロメートルの開口径のふるいとの間で収集された画分)を使用して(ドイツ国セルブ(Selb)のネッチインスツルメンツ社(Netzsch Instruments)から商標表記「NETZSCH STA 409 DTA/TGA」として入手されるものなどの計測器を使用して)実行することができる。ある量(典型的には約400ミリグラム(mg))のふるい分けした各試料を、100マイクロリットルのAlの試料保持器内に置く。各試料を静止大気中で10℃/分の割合で室温(約25℃)〜1100℃に加熱する。
【0058】
X線回折法、XRDを使用すると(1.54050オングストロームの銅のKα1線を用いた、ニュージャージー州モーウォー(Mahwah)のフィリップス社(Phillips)から商標表記「PHILLIPS XRG 3100」として入手されるものなどのX線回折計を使用して)、材料内に存在する相は、結晶化した材料のXRD線図内に存在するピークを、国際回折データセンター(International Center for Diffraction Data)によって公開されているJCPDS(Joint Committee on Powder Diffraction Standards)データベースに定められた結晶層のXRDパターンと比較することによって判定することができる。更に、XRDは、相の種類を判定するために定性的に使用することができる。広範な拡散強度のピークが存在すれば、材料の非晶質性を示すものとみなされる。広範なピークと鮮明なピークの双方の双方が存在すれば、ガラスマトリックス内に結晶質物質が存在することを示すものとみなされる。
【0059】
いくつかの実施形態において、非晶質の粒径は、凝結工程のために選択される。いくつかの実施形態において、非晶質材料は、3マイクロメートル未満(いくつかの実施形態においては、2マイクロメートル、1マイクロメートル、0.75マイクロメートル未満、又は0.5マイクロメートル未満)の平均気泡寸法を有するセラミックを製造するために、3マイクロメートル未満(いくつかの実施形態においては、2マイクロメートル、1マイクロメートル、0.75マイクロメートル未満、又は0.5マイクロメートル未満)の平均粒径を有している。理論に束縛されるものではないが、気泡寸法がより小さくなれば、圧密化したセラミックスの機械的特性の改善(例えば、強度の向上及び硬さの向上)につながると考えられる。
【0060】
最初に形成されたガラス又はセラミック(結晶化前のガラスを含む)は、所望のものよりも寸法が大きいことがある。例えば、マトリックスを形成するために使用されるガラスは、より寸法の小さい粒子であると望ましい場合もある。ガラスが、望ましい幾何学的形状及び/又は寸法にある場合、寸法減少は典型的には不要である。ガラス又はセラミックは、ロール粉砕、ジョー粉砕、ハンマーミリング、ボールミリング、ジェットミリング、インパクト粉砕、その他同種のものを含めた、当該技術分野において既知の粉砕及び/又は微粉砕法を使用して、より小さな破片へと変換することができる。場合によっては、2つ以上の粉砕工程を有することが望ましい。例えば、セラミックが形成された後(凝固された後、又は、セラミックマトリックス内に分散されたガラスセラミックの場合、いくつかの実施形態においては、ガラスセラミックへの変換の後)、そのセラミックは、望ましいものよりも大きな形となることもある。第1の粉砕工程は、これらの比較的大きな集合体、即ち「塊」を粉砕して、より小さな破片を形成することを含んでいてもよい。これらの塊のこの粉砕は、例えば、ハンマーミル、インパクト粉砕機又はジョー粉砕機を用いて達成してもよい。次いで、これらのより小さな破片は、望ましい粒径分布を生じるように、引き続き粉砕してもよい。望ましい粒径分布(ときにはグリットサイズ又は等級と呼ばれる)を生じるために、複数の粉砕工程を実施することが必要となる場合もある。一般に、粉砕条件は、望ましい粒形(1つ又は複数)及び粒径分布を達成するように最適化される。結果として生じた、望ましい寸法のものでない粒子は、それらが大きすぎる場合には再粉砕するか、又は「再利用」してもよく、それらが小さすぎる場合には再溶融するための原材料として使用してもよい。
【0061】
いくつかの実施形態において、最初に形成する非晶質材料(結晶化前のガラスを含む)は、望ましい平均粒径(例えば3マイクロメートル未満)で形成してもよい。より小さな粒径を形成するために、噴霧熱分解、プラズマ処理、及び蒸気からの凝縮を使用することができる。
【0062】
粒子の形状は、例えば、セラミックの組成及び/又はミクロ構造、セラミックを冷却する幾何学的形状、並びにセラミックを粉砕する様式(即ち、使用する粉砕法)に依存することがある。一般に、「がっしりとした」形状が好ましい場合、より多くのエネルギーが、この形状を達成するのに用いられることがある。逆に、「とがった」形状が好ましい場合、より少ないエネルギーが、この形状を達成するのに用いられることがある。又、粉砕法は、様々な望ましい形状を達成するために変更してもよい。ある粒子に対し、1:1から5:1の範囲に及ぶ平均縦横比が典型的には望ましく、又、いくつかの実施形態においては、1.25:1から3:1、又は1.5:1から2.5:1の範囲に及ぶ平均縦横比が望ましい。
【0063】
又、例えば直ちに物品を望ましい形状で成形することも、本発明の範囲内である。例えば、溶融物を金型に注入するか又は成形することによって、望ましい物品を成形してもよい(型どることを含む)。更に、例えば、2003年2月5日に出願された、米国出願番号10/358、772号を有する願書において記載された成形技術を参照されたい。
【0064】
望ましい粒径分布を裏付けるように、セラミック粒子を等級分けするか又は選別すると望ましい場合もある。例えば、研磨粒子は通常、使用前の所与の粒径分布に等級分けされている。そのような分布は典型的には、粗粒子から微粒子までのある範囲の粒径を有している。研磨の技術分野において、この範囲は、ときには「粗い」画分、「統制された」画分、及び「細かい」画分と呼ばれる。従って、第1の組成物のガラスセラミック粒子を、研磨業界公認の粒度基準に従って等級分けすると望ましい場合もある。研磨業界公認の粒度基準に従って粒度分けされた研磨粒子は、各公称粒度に対する粒径分布を数量的限界内で指定している。そのような業界公認の粒度分け基準(即ち、規定された公称等級)には、米国規格協会(ANSI)の規格、FEPA(Federation of European Producers of Abrasive Products)の規格、及び日本工業規格(JIS)の規格として知られるものが挙げられる。
【0065】
いくつかの実施形態において、マトリックス内に分散したガラスセラミック、又は少なくともその一部分は、2:1、2.5:1、又は3:1を超える縦横比を有している。
【0066】
いくつかの実施形態において、マトリックス用のガラス、及び/又はマトリックス内に分散するガラスセラミックを製作するために使用するガラスは、望ましいものよりも小さくてもよい。そのようなガラスの寸法は、例えばガラス転移温度を超える温度におけるガラスの圧密化によって増加することがある。この凝結工程は本質的には、2つ以上のより小さな粒子からより大きな寸法の体を形成するものである。例えば、ガラスは、吸熱(T)が発熱(T)よりも低い温度に存在することから明らかなように、著しい結晶化が発生する(T)前にガラス転移を受ける。凝結のために使用する温度及び圧力は、例えば、ガラスの組成及び結果として生じる材料の望ましい密度に依存していてもよい。その温度は、ガラス転移温度よりも高いものであるべきである。ある実施形態において、加熱は、約800℃〜1200℃(いくつかの実施形態においては、800℃〜1000℃、850℃〜1100℃、又は900℃〜1000℃)の範囲内の少なくとも1つの温度で行われる。
【0067】
典型的には、ガラスは、ガラスの凝結を支援するために、凝結の間、加圧下(例えばゼロ超GPa〜1GPa以上)にある。典型的には、その圧力は、100MPa(15,000psi)未満である。一実施形態において、粒子などの装填材料がダイの中に入れられ、熱間プレスが、ガラス転移を超える温度で実施され、その温度で、ガラスの粘性流れが凝結して比較的大きな要素になる。典型的な凝結法の例には、熱間プレス、熱間静水圧プレス、熱間押出し、熱間鍛造、その他同種のもの(例えば、焼結、プラズマ支援焼結)が挙げられる。例えば、ガラス(例えば粉砕によって得られる)(ビーズ及び微小球を含む)、繊維などを含んだ粒子は、より大きな粒径へと成形することができる。又、凝結の結果、体を望ましい形(例えば幾何学的形状)に付形することもできる。又、ガラスの凝結は、常圧又は加圧焼結、鍛造、熱間押出しなどを含めた多様な方法によって達成することができる。
【0068】
いくつかの実施形態において、ガラスの凝結は、1.0気圧の圧力の雰囲気中で行われる、後の加熱の間の圧力を除いて同じ方式で加熱される同じガラスと比較して、ガラスの高密度化の速度を増加させるのに十分な1.1気圧を超える圧力の(いくつかの実施形態においては、1.25気圧、1.5気圧、2気圧、5気圧を超える、又は10気圧をも超える圧力の)気体雰囲気(例えば窒素)中で行うことができ、又、1.1気圧を超える圧力の(いくつかの実施形態においては、1.25気圧、1.5気圧、2気圧、5気圧を超える、又は10気圧を超える圧力の)気体雰囲気は、圧密化されているガラスの少なくとも一部分の外面の少なくとも一部分と直接接触する(例えば、2004年7月29日に出願された米国公開番号2006−0022385−A1を参照)。
【0069】
一般に、マトリックス内のガラス及び/又はマトリックス内に分散したガラスセラミックを製作するために使用するガラスの熱処理は、ガラスセラミックスを形成するための熱処理として当該技術分野において既知であるものを含めて、多様な方式のうちのいずれかで成し遂げることができる。例えば、熱処理は、数回に分けて、例えば、電気加熱、誘導加熱、又はガス加熱炉を使用して行うことができる。或いは、例えば、粒子の熱処理(又はその一部分)は例えば、連続的に、例えば回転窯、流動床炉、又は振子窯を使用して行うことができる。回転窯又は振子窯の場合、材料は典型的には、高温で動作する窯の中に直接供給される。流動床炉の場合、熱処理するガラスは典型的には、気体(例えば、空気、不活性ガス、又は還元ガス)内で浮遊する。
【0070】
高温にある時間は、数秒間(いくつかの実施形態においては5秒未満)から、数分間、数時間の範囲に及ぶことがある。その温度は、典型的にはガラスのTから1600℃、より典型的には900℃から1600℃、又いくつかの実施形態においては1200℃から1500℃の範囲に及ぶ。又、熱処理のうちのいくつかを複数の工程(例えば、1つは核生成用、もう1つは結晶成長用であり、又、高密度化も典型的には結晶成長工程の間に発生する)で実施することも本発明の範囲に含まれる。複数工程の熱処理を実行する場合、典型的には、核生成速度と結晶成長速度の一方又は双方を制御することが望ましい。一般に、大部分のセラミック加工作業の間、相当な結晶成長を伴うことなく最大の高密度化を得ることが望ましい。理論に束縛されるものではないが、一般に、セラミックの技術分野において考えられていることとして、結晶径がより大きくなれば機械的特性が低下し、一方で、平均結晶径がより微細になれば機械的特性が改善される(例えば、強度が向上し、硬度が向上する)。特に、理論密度の少なくとも90パーセント、95パーセント、97パーセント、98パーセント、99パーセント、又は少なくとも100パーセントの密度を有し、平均結晶径が0.15マイクロメートル未満、又は0.1マイクロメートル未満であるセラミックスを形成することが非常に望ましい。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態において、ガラス又はガラスを含んだセラミックスは、熱処理に先立って焼きなまししてもよい。そのような場合、焼きなましは典型的には、ガラスのT未満の温度で、数秒間から数時間又は数日間の期間にわたってなされる。典型的には、焼きなましは、3時間未満、又は1時間未満の期間にわたってなされる。所望により、焼きなましは又、空気以外の雰囲気中で行ってもよい。更に、熱処理の様々な段階(即ち、核生成工程及び結晶成長工程)を、様々な雰囲気の下で行ってもよい。本発明によるガラスのT及びT並びにT−T線は、熱処理の間に使用する雰囲気に応じてシフトすることがある。
【0072】
当業者であれば、当該技術分野において既知の技法を使用して、ガラスの温度―時間変態曲線(TTT)を検討することにより、適当な条件を求めることができる。当業者であれば、本発明の開示内容を通読した後、本発明において利用するガラスセラミックスを製作するために使用するガラスのTTT曲線を実現し、本発明において利用するガラスセラミックスを形成するための適当な核生成及び/又は結晶成長条件を求めることができるであろう。
【0073】
熱処理は、例えば、材料を高温の炉に直接供給することによって発生させてもよい。或いは、例えば、材料は、より低い温度(例えば室温)の炉に供給し、次いで、望ましい温度に所定の加熱速度で加熱してもよい。空気以外の雰囲気中で熱処理を行うことは、本発明の範囲に含まれる。場合によっては、還元雰囲気(1つ又は複数)中で熱処理すると更に望ましいこともある。又、例えば、熱処理を、例えば熱間静水圧プレス又はガス圧炉などにおいて、ガス圧力下で熱処理すると望ましい場合もある。理論に束縛されるものではないが、雰囲気は、ガラス及びガラスセラミックスの成分の一部の酸化状態に影響を及ぼすことがあると考えられている。酸化状態におけるそのような変動は、ガラス及びガラスセラミックスの様々な色合いをもたらすことがある。加えて、核生成及び結晶化工程は、雰囲気によって影響を受けることがある(例えば、雰囲気は、ある種のガラスの原子移動性に影響を及ぼすことがある)。
【0074】
又、更なる熱処理を行って、材料の望ましい特性を更に改善することも本発明の範囲に含まれる。例えば、熱間静水圧プレスを(約900℃から約1400℃の温度で)行って、残留する多孔性を除去し、材料の密度を増加させてもよい。
【0075】
本発明による複合物品は、第1の組成分を有するガラスセラミック粒子と、第2の組成分を有する、ガラスを含んだセラミック粒子との混合物を用意することによって作ることができるが、その第1及び第2の組成物は本質的には同じものである。例えば、望ましい粒径分布にある第1の組成物のガラスセラミック粒子を、望ましい粒径分布にある第2の組成物のガラスを含んだセラミック粒子と混合させることができる。その混合物は、例えば、一般には望ましい複合物品の形状を有する金型内に置くことができ、又、圧密化したセラミック粒子のガラスを、例えば説明したように置いて複合物品を得ることができる。所望により、複合物品内に存在するガラスを熱処理して、例えば本明細書で説明したようにガラスの少なくとも一部分を結晶性セラミックスに変換しガラスセラミックスを得ることができる(即ちガラスの少なくとも一部分が結晶化する)。
【0076】
典型的には、ガラスセラミックスは、そのガラスセラミックスを形成する元となるガラスよりも強い。従って、材料の強度は、例えば、ガラスを結晶性セラミック相(1つ又は複数)に変換する程度によって調節することができる。それに代わって又はそれに加えて、材料の強度は又、例えば、生成された核生成域の数によっても影響を受けることがあり、この核生成域の数は、順に結晶相(1つ又は複数)の結晶の数に、次いで順にその結晶の数に影響を与えるために使用することができる。ガラスセラミックスの形成に関する更なる詳細については、例えば、「ガラスセラミックス(Glass-Ceramics)」、P.W.マクミラン(P.W. McMillan)、アカデミック・プレス(Academic Press)第2版、1979年を参照されたい。
【0077】
多数の他の種類のセラミック加工(例えば、焼成材料を焼結して、稠密な焼結セラミック材料にする)と比較して、ガラスが結晶化してガラスセラミックを形成する間の縮みは比較的小さなものである(典型的には30容量パーセント未満、いくつかの実施形態においては、20容量パーセント、10容量パーセント、5容量パーセント、又は3容量パーセント未満)。縮みの実際の量は、例えば、ガラスの組成、熱処理時間、熱処理温度、熱処理圧力、結晶化するガラスの密度、形成される結晶相の相対量(1つ又は複数)、及び結晶化度に依存する。縮みの量は、膨張率測定、アルキメデスの方法によるものを含めた当該技術分野において既知の従来の技法によって、又は、熱処理の前後に材料の寸法を測定することによって測定することができる。場合によっては、幾分かの揮発性種が熱処理中に発生することがある。
【0078】
いくつかの実施形態において、比較的縮みが小さいという特徴は、特に有利となることがある。例えば、物品は、ガラス相において、望ましい形状及び寸法に(即ち近似正味形状で)形成し、引き続き熱処理によってガラスを少なくとも部分的に結晶化させてもよい。結果として、結晶化材料の製造及び機械加工に関連する相当なコスト削減を実現することができる。
【0079】
別の態様において、例えば、本発明において利用するガラスセラミックスを作るためのいくつかの例示的なガラスの熱処理の間、LaZr、及び/又は、立方晶/正方晶ZrO、場合によっては単斜晶ZrOなどの相の形成が、約900℃を超える温度で発生することがある。理論に束縛されるものではないが、ジルコニア関連相は、ガラスから核生成する最初の相であると考えられている。Al、ReAlO(ここでReは少なくとも1つの希土類カチオンである)、ReAl1118、ReAl12、YAl12などの相の形成は、一般に、約925℃を超える温度で発生すると考えられている。典型的には、この核生成工程の間のクリスタリット径は、数ナノメートル程度である。例えば、10ナノメートル〜15ナノメートルほどの小さな結晶が観測されている。少なくとも一部の実施形態では、約1300℃での約1時間にわたる熱処理によって、完全な結晶化がもたらされる。一般に、核生成及び結晶成長工程の各々に対する熱処理時間は、数秒間(いくつかの実施形態においては5秒間未満)から、数分間、1時間又はそれ以上に及ぶことがある。
【0080】
平均結晶径は、ASTM規格E 112−96「平均粒径を測定するための標準試験法(Standard Test Methods for Determining Average Grain Size)」による線インターセプト法によって求めることができる。試料は、典型的には直径が約2.5cmで高さが約1.9cmの樹脂の円筒内にある装着樹脂(イリノイ州レークブラフ(Lake Bluff)のビューラー社(Buehler)から商標表記「TRASOPTIC POWDER」として入手されるものなど)に装着する。装着区間は、ポリッシャ(イリノイ州レークブラフ(Lake Bluff)のビューラー社(Buehler)から商標表記「EPOMET 3」として入手されるものなど)を使用する従来の研磨法を使用して調製する。試料は、約3分間にわたってダイヤモンドホイールで研磨し、引き続き、45マイクロメートル、30マイクロメートル、15マイクロメートル、9マイクロメートル、3マイクロメートル、及び1マイクロメートルのスラリーの各々で5分間研磨する。装着され研磨された試料は、金−パラジウムの薄層でスパッタリングし、走査電子顕微鏡(マサチューセッツ州ピーボディ(Peabody)のJOEL社によるモデルJSM 840Aなど)を使用して観察する。試料に見出されるミクロ構造の典型的な後方散乱電子(BSE)顕微鏡写真を使用して、以下のように平均結晶径を求める。顕微鏡写真全体にわたって描かれた不規則な直線の単位長さ(N)ごとに、交差する結晶の個数を数える。平均結晶径は、以下の式を使用して、この個数から求められる。
【0081】
【数1】

【0082】
上式で、Nは、単位長さごとに交差した結晶の個数であり、Mは顕微鏡写真の倍率である。
【0083】
別の態様において、本発明で利用するガラスセラミックスは、少なくとも1容量パーセント、2容量パーセント、3容量パーセント、5容量パーセント、10容量パーセント、15容量パーセント、20容量パーセント、25容量パーセント、30容量パーセント、35容量パーセント、40容量パーセント、45容量パーセント、50容量パーセント、55容量パーセント、60容量パーセント、65容量パーセント、70容量パーセント、75容量パーセント、80容量パーセント、85容量パーセント、90容量パーセント、95容量パーセント、97容量パーセント、98容量パーセント、99容量パーセント、又は100容量パーセントのクリスタリットを含んでいてもよい。本発明で利用するガラスセラミックス内に存在するクリスタリットは、1マイクロメートル未満、0.5マイクロメートル未満、0.3マイクロメートル未満、0.2マイクロメートル未満、又は0.15マイクロメートル未満の平均寸法を有していてもよい。
【0084】
本発明によるセラミックス内に存在しうる結晶層の例には、アルミナ(例えばアルファアルミナ及び遷移アルミナ)、REO、Y、HfO、ZrO(例えば立方晶ZrO及び正方晶ZrO)、1つ以上の他の金属酸化物(BaO、CaO、Cr、CoO、CuO、Fe、GeO、LiO、MgO、MnO、NiO、NaO、P、Sc、SiO、Bi、SrO、TeO、TiO、V、ZnOなど)、並びに、「複合金属酸化物」(複合Al・金属酸化物(例えば、複合Al・REO(例えば、ReAlO(例えば、GdAlO、LaAlO)、ReAl1118(例えば、LaAl1118)、及びReAl12(例えば、DyAl12))、複合Al・Y(例えば、YAl12)、及び複合ZrO・REO(例えば、LaZr))及びそれらの組み合わせが挙げられる。典型的には、本発明によるセラミックスは、共晶ミクロ構造の特徴を皆無にしている。
【0085】
いくつかの実施形態において、本発明によるセラミックスは、セラミックの全重量を基準として、最大で30重量パーセントのZrO及び/又はHfO(いくつかの実施形態においては、15重量パーセント〜30重量パーセントの範囲のZrO及び/又はHfO)を更に含んでいる。
【0086】
複合Al・金属酸化物(例えば、複合Al・REO及び/又は複合Al・Y(例えば、ガーネットの結晶構造を呈するアルミン酸イットリウム))内のアルミニウムカチオンの一部分を置換することも又、本発明の範囲に含まれる。例えば、複合Al・Y内のAlカチオンの一部分を、Cr、Ti、Sc、Fe、Mg、Ca、Si、Co、及びそれらの組み合わせから成るから成る群から選択された元素の少なくとも1つのカチオンで置換してもよい。例えば、複合Al・Y内のYカチオンの一部分を、Ce、Dy、Er、Eu、Gd、Ho、La、Lu、Nd、Pr、Sm、Th、Tm、Yb、Fe、Ti、Mn、V、Cr、Co、Ni、Cu、MG、Ca、Sr、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される元素の少なくとも1つのカチオンで置換してもよい。更に、例えば、複合Al・REO内の希土類カチオンの一部分を、Y、Fe、Ti、Mn、V、Cr、Co、Ni、Cu、MG、Ca、Sr、及びそれらの組み合わせから成る群から選択された元素の少なくとも1つのカチオンで置換してもよい。上述したカチオンの置換は、セラミックの特性(例えば、硬度、靭性、強度、熱伝導率など)に影響を及ぼしうる。
【0087】
本発明で利用するガラスセラミックスの実施形態を得るためにガラスを熱処理することによって形成された結晶は、例えば、針状の等軸の形体、円柱状の形体、又は平坦な薄板状の形体となりうる。
【0088】
本発明で利用するガラス及びガラスセラミックスのいくつかの実施形態、並びにそのようなガラスセラミックスを製作するために使用するいくつかのガラスは、ガラス又はガラスセラミックスの全重量を基準としてそれぞれ、少なくとも75重量パーセント(いくつかの実施形態においては少なくとも80重量パーセント、85重量パーセント、又は少なくとも90重量パーセント、いくつかの実施形態においては75重量パーセント〜90重量パーセントの範囲内)のAlと、少なくとも0.1重量パーセント(いくつかの実施形態においては少なくとも1重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、又は23.9重量パーセント、いくつかの実施形態においては10重量パーセント〜23.9重量パーセント又は15重量パーセント〜23.9重量パーセントの範囲内)のLaと、少なくとも1重量パーセント(いくつかの実施形態においては少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、又は24.8重量パーセント、いくつかの実施形態においては10重量パーセント〜24.8重量パーセント、15重量パーセント〜24.8重量パーセントの範囲内)のYと、少なくとも0.1重量パーセント(いくつかの実施形態においては少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも3重量パーセント、少なくとも4重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも6重量パーセント、少なくとも7重量パーセント、又は8重量パーセント、いくつかの実施形態においては0.1重量パーセント〜8重量パーセント又は0.1重量パーセント〜5重量パーセント又は0.1重量パーセント〜2重量パーセントの範囲内)のMgOとを含んでいる。
【0089】
本発明で利用するガラス及びガラスセラミックスのいくつかの実施形態、並びにそのようなガラスセラミックスを作るために使用するいくつかのガラスは、ガラス又はガラスセラミックスの全重量を基準としてそれぞれ、少なくとも75重量パーセント(いくつかの実施形態においては少なくとも80重量パーセント、85重量パーセント、又は少なくとも90重量パーセント、いくつかの実施形態においては75重量パーセント〜90重量パーセントの範囲内)のAlと、少なくとも1重量パーセント(いくつかの実施形態においては少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、又は25重量パーセント、いくつかの実施形態においては10重量パーセント〜25重量パーセント、15重量パーセント〜25重量パーセントの範囲内)のYとを含んでいる。
【0090】
本発明で利用するガラス及びガラスセラミックスのいくつかの実施形態、並びにそのようなガラスセラミックスを作製するために使用するいくつかのガラスは、ガラスセラミックス又はガラスの全重量を基準としてそれぞれ、少なくとも75重量パーセント(いくつかの実施形態においては少なくとも80重量パーセント、85重量パーセント、又は少なくとも90重量パーセント、いくつかの実施形態においては75重量パーセント〜90重量パーセントの範囲内)のAlと、少なくとも10重量パーセント(いくつかの実施形態においては少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、又は25重量パーセント)のYとを含んでいる。
【0091】
本発明で利用するガラス及びガラスセラミックスのいくつかの実施形態、並びに、ZrO及び/又はHfOを含んだそのようなガラスセラミックスを製作するために使用するいくつかのガラスに対し、存在するZrO及び/又はHfOの量は、ガラスセラミックス又はガラスの全重量を基準として、それぞれ、少なくとも5重量パーセント、10重量パーセント、15重量パーセント、又は少なくとも20重量パーセントであってよい。
【0092】
本発明による特定のガラスは、例えば、約750℃から約950℃の範囲内のTを有していてもよい。
【0093】
本発明で利用するセラミックスの平均硬度は、以下のようにして求めることができる。材料の各区間は、典型的には直径が約2.5cmで高さが約1.9cmの樹脂の円筒内にある装着樹脂(イリノイ州レークブラフ(Lake Bluff)のビューラー社(Buehler)から商標表記「TRASOPTIC POWDER」として入手した)に装着する。装着区間は、ポリッシャ(イリノイ州レークブラフ(Lake Bluff)のビューラー社(Buehler)から商標表記「EPOMET 3」として入手されるものなど)を使用する従来の研磨法を使用して調製する。試料は、約3分間にわたって、125マイクロメートルのダイヤモンドを具備したダイヤモンドホイールで研磨し、引き続き、45マイクロメートル、30マイクロメートル、15マイクロメートル、9マイクロメートル、3マイクロメートル、及び1マイクロメートルのスラリーの各々で5分間研磨する。微小硬度の測定は、ビッカース圧子を取り付けた通常の微小硬度試験機(日本国東京都のミツトヨ社から商標表記「MITUTOYO MVK−VL」として入手されるものなど)を使用して、100グラムの押込み荷重で行う。微小硬度の測定は、ASTM試験法E384の「材料の微小硬度の試験法(Test Methods for Microhardness of Materials)」(1991)に記載された指針に従って行う。平均硬度は、10回の測定の平均値である。
【0094】
本発明で利用する特定のガラスは、例えば、少なくとも5GPa(いくつかの実施形態においては少なくとも6GPa、7GPa、8GPa、又は9GPa、典型的には約5GPaから約10GPaの範囲内)の平均硬度を有することができ、又、本発明によるガラスセラミックス、又は、ガラスと結晶セラミックとを含んだ、本発明で利用するセラミックスは、少なくとも5GPa(いくつかの実施形態においては少なくとも6GPa、7GPa、8GPa、9GPa、10GPa、11GPa、12GPa、13GPa、14GPa、15GPa、16GPa、17GPa、又は18GPa(又はそれ以上)、典型的には約5GPaから約18GPaの範囲内)の平均硬度を有することができる。通常、研磨機能をもたらすセラミックス(例えば研磨粒子)は典型的には、少なくとも15GPa、いくつかの実施形態においては少なくとも16GPa、少なくとも17GPa、又は少なくとも18GPaの平均硬度を有している。
【0095】
本発明で利用する特定のガラスは、例えば、約5×10−6/Kから約11×10−6/Kの範囲内の熱膨張計数を、少なくとも25℃から約900℃の温度範囲にわたって有することができる。
【0096】
典型的には、複合物品のマトリックスは、理論密度の少なくとも40%(いくつかの実施例においては少なくとも45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、95%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は100%)である、ときに比重と呼ばれる(真)密度を有している。切削工具及び切削工具インサートの場合、マトリックスの(真)密度は、典型的には理論密度の少なくとも90%(いくつかの実施形態においては少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は100%)である。典型的には、マトリックス内に分散したガラスセラミックの(真)密度は、典型的には理論密度の少なくとも85%(いくつかの実施形態においては少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は100%)である。
【0097】
本発明による複合物品の実施形態は、約0容量パーセント〜75容量パーセント(いくつかの実施形態においては、10容量パーセント〜65容量パーセント、又は35容量パーセント〜55容量パーセント)の範囲内の多孔度を有している。本発明による研磨物品の実施形態は、約25容量パーセント〜75容量パーセント(いくつかの実施形態においては、35容量パーセント〜65容量パーセント、又は45容量パーセント〜55容量パーセント)の範囲内の多孔度を有している。多孔性は、典型的には連続する孔として示される。孔は、アルミナ又はガラスバブルなどの多孔質物質及び/又は有機材料などの不安定物質(fugitive materials)の添加を使用することを含めて、当該技術分野において既知の技法によって誘導してもよい。本発明による切削工具及び切削工具インサートの実施形態は、約0容量パーセント〜10容量パーセント(いくつかの実施形態においては、0容量パーセント〜5容量パーセント、0容量パーセント〜3容量パーセント、又は0容量パーセント〜2容量パーセント)の範囲内の多孔度を有している。
【0098】
例示的な研磨ホイールを図7に示す。研磨ホイール70は、(第2の組成物の)マトリックス74内に分散した(第1の組成物の)ガラスセラミック研磨粒子72と孔73とを有している。
【0099】
例示的なホーニング砥石を図8に示す。ホーニング砥石80は、(第2の組成物の)マトリックス84内に分散した(第1の組成物の)ガラスセラミック研磨粒子82を有している。
【0100】
例示的な切削工具を図9に示す。切削工具90は、(第2の組成物の)マトリックス94内に分散した(第1の組成物の)ガラスセラミック研磨粒子92を有する、切削工具インサート91を含んでいる。
【0101】
本発明の利点及び実施形態について以下の非限定的な実施例によって更に説明するが、これらの実施例において記載した特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に限定するように解釈されるべきではない。全ての部及びパーセンテージは、別段の指定がない限り重量によるものである。別段の定めがない限り、全ての実施例は、相当な量のAs、Bi、B、GeO、P、SiO、TeO、V、アルカリ酸化物、及びアルカリ土類酸化物を含有しないものである。
【0102】
供給粉末の調製
スプレー乾燥供給粉末を調製するために、溶媒と、結合剤と、分散剤とを含めた原材料を、以下の表1に従って量り分けた。
【0103】

【0104】
表1に記載した原材料の供給元を以下の表2に示す。
【0105】

【0106】
それぞれの原材料を、2750グラムのアルミナミリング媒体(1.27cm、コロラド州ゴールデン(Golden)のクアーズ社(Coors)から入手)を部分的に充填したアルミナジャー(直径27cm×高さ23cm、クアーズ社(Coors)から入手)の中に装填した。ジャーの内容物を、3時間にわたって33rpmでミリングした。ミリングが完了した後、結果として生じたスラリーを取り出し、ミリング媒体から分離した。次いで、雰囲気制御されたスプレー乾燥機内で、乾燥ガスとしての高温窒素及びガス噴霧ノズルを使用して、スラリーをスプレー乾燥させた。噴霧ガスも又、窒素であった。スプレー乾燥させた粉末を回収し、70メッシュ(212マイクロメートルの開口径)のロータップふるい(オハイオ州メンター(Mentor)のタイラー社(Tyler)から入手)でふるい分けした。
【0107】
ガラスビーズの調製
スプレー乾燥供給粉末(「供給粉末の調製」の節(上記)で記載したように調製した)を使用して、ガラスビーズを調製した。スプレー乾燥供給粉末を水素/酸素トーチの火炎の中に約10グラム/分で送り込んだ。より具体的には、振動粉末フィーダーに取り付けたガラス漏斗を通じて粉末を火炎の中に送り込んだ。結果として生じた溶融した原材料を、19リットル(5ガロン)の角形の容器(縦41センチメートル(cm)、横53cm、高さ18cm)に入れた水の中で急冷して、溶融液滴を急冷した。この水は約20℃であり、連続的に循環していた。トーチは、ペンシルバニア州ヘラータウン(Hellertown)のベスヘレムアパレイタス社(Bethlehem Apparatus Co.)から商標表記「BETHLEHEM BENCH BURNER PM2D、MODEL B」として入手した。トーチは中央供給ポート(内径0.475cm(3/16インチ))を有しており、この中央供給ポートを通じて、供給粒子を火炎の中に導いた。トーチに対する水素及び酸素の流量は、それぞれ42標準リットル毎分(SLPM)及び18SLPMであった。火炎が水に当たる確度は、約90°であった。火炎と水面との距離は、約38cmであった。結果として生じた(急冷された)粒子を受皿に収集し、乾燥するまで(約30分間)電気加熱炉内で110℃で加熱した。
【0108】
結晶が占めるパーセントを、結果として生じた、火炎で形成したビーズから計算した。測定を以下のようにして行った。一層のビーズをガラススライドの上に塗り広げた。光学顕微鏡を使用して、ビーズを32倍で観察した。光学顕微鏡の接眼レンズ内の十字線を指針として使用して、1本の直線に沿って十字線と水平方向に一致して位置する粒子を、それらの光学的明澄度に応じて透明であるか不透明(即ち結晶性)であるとして計数した。合計で500個のビーズを計数し、不透明なビーズの個数を全ビーズ数で割って100を掛けることにより、結晶が占めるパーセントを求めた。粒子は大部分(個数で95%超)が透明であった。
【0109】
以下の方法を使用して、示差熱分析法(DTA)をビーズに対して行った。−140+170のメッシュサイズの画分(即ち、105マイクロメートルの開口径のふるいと90マイクロメートルの開口径のふるいとの間で収集した画分)を使用して、(ドイツ国セルブ(Selb)のネッチインスツルメンツ社(Netzsch Instruments)から商標表記「NETZSCH STA 409 DTA/TGA」として入手した計測器を使用して)DTAを実行した。ある量のふるい分けした各試料を、100マイクロリットルのAlの試料保持器内に置いた。各試料を静止大気中で10℃/分の割合で室温(約25℃)から1100℃に加熱した。
【0110】
調製したビーズのDTA線図が、線図の曲線における下向きの変化から明らかなように、吸熱性の現象を呈した場合、その現象は、ビーズのガラス転移(T)に起因するものと考えられる。従って、その材料はガラスであると判定した。同じ材料が、線図における鋭いピークによって明らかとなるように、発熱性の現象を呈した場合、その現象は、材料の結晶化(T)に起因するものと考えられる。
【0111】
粉末X線回折、XRD(商標表記「PHILLIPS XRG 3100」としてニュージャージー州モーウォー(Mahwah)のフィリップス社(Phillips)から入手した)を、1.54050オングストロームの銅のKα1線と共に使用して、結晶相に対応する識別可能なピークが存在しない(即ちビーズが非晶質である)ことを確認した。
【0112】
ガラスビーズの結晶化
ガラス(ガラスビーズを含む)の結晶化のために、ガラスの対応する組成物の結晶化温度Tを超える熱処理計画を行った。
【0113】
ガラスビーズの場合、ガラスビーズの吸着床(深さ約0.5cm)が白金のるつぼ(直径9cm、高さ2.5cm)内に形成された。次いで、白金のるつぼを、電気加熱炉(ニュージャージー州ブルームフィールド(Bloomfield)のCMファーネス社(CM Furnaces)から商標表記「RAPID TEMP FURNACE」として入手)内に置き、1350℃に10℃/分の加熱速度で空気中で加熱した。次いで、ビーズを1350℃に30分間にわたって保ち、その後に電源を切り、炉を室温に冷却させた。熱処理の後、全てのビーズが不透明となり、それらのビーズが結晶質であることが示唆された。
【0114】
粉末X線回折、XRD(商標表記「PHILLIPS XRG 3100」としてニュージャージー州モーウォー(Mahwah)のフィリップス社(Phillips)から入手した)を、1.54050オングストロームの銅のKα1線と共に使用して、材料の結晶化度を確認した。
【0115】
砥粒の調製
大量のガラスビーズ(望ましい組成を有する)を取り出し、そのガラスビーズをステンレス鋼箔に封入(即ち缶詰)することによって、実施例を製作するのに使用するための砥粒を調製し、真空下で密封した。次いで、封入したビーズを熱間静水圧プレス機(HIP)(オハイオ州コロンバス(Columbus)のアメリカンイソスタティックプレス社(American Isostatic Presses, Inc.)から商標表記「IPS EAGLE−6」として入手した)内に置いた。1000℃のピーク温度で、又約3000気圧のアルゴンガス圧力で、HIPを実行した。HIP炉を、まず750℃まで10℃/分で、次いで750℃から980℃に25℃/分で逓増させた。温度を980℃で20分間にわたって保ち、次いで1000℃に上昇させた。1000℃での10分後に電源を切り、炉を冷却させた。アルゴンガスの圧力を37.5気圧/分の速度で作用させた。炉の温度が750℃となったとき、アルゴンガスの圧力は3000気圧に達した。炉の温度が約750℃に低下するまで、この圧力を維持した。圧力を30気圧/分の速度でゆるめた。結果として生じた円板は、約直径10cm、厚さ4.5cmであったが、この円板を、まずハンマーを使用して約1cmの寸法の破片に粉砕し、次いで「Chipmunk」ジョー粉砕機(カリフォルニア州バーバンク(Burbank)のBICO社(BICO Inc.)によって製造されているタイプVD)を使用してより小さな粒子に粉砕し、ふるい分けして、177マイクロメートルから850マイクロメートルの範囲に及ぶ粒径に対応する−20+80メッシュの画分を得た。粉砕しふるい分けした粒子は透明性を維持し、ビーズのHIP並びに円板の粉砕及びふるい分けの間、著しい結晶化現象が発生しなかったことが示唆された。
【0116】
−25+70メッシュのガラスビーズ粒子の、深さ約0.5cmの吸着床が、白金のるつぼ(直径9cm、高さ2.5cm)内に形成された。次いで、白金のるつぼを、電気加熱炉(「RAPID TEMP FURNACE」)内に置き、1350℃まで10℃/分の加熱速度で空気中で加熱した。次いで、ビーズを1350℃に30分間にわたって保ち、その後に電源を切り、炉を室温に冷却させた。熱処理の後、粉砕したガラス粒子の全ては、光学顕微鏡を使用して観察したとき不透明となり(熱処理の前、粒子は透明であった)、粒子が結晶質であることが示唆された。
【0117】
各熱処理による複数の結晶化粒子を、直径が約2.5cmで高さが約1.9cmの樹脂の円筒内にある装着樹脂(商標表記「TRASOPTIC POWDER」としてイリノイ州レークブラフ(Lake Bluff)のビューラー社(Buehler)から入手した)に装着した。装着区間は、ポリッシャ(イリノイ州レークブラフ(Lake Bluff)のビューラー社(Buehler)から商標表記「EPOMET 3」として入手されるものなど)を使用する従来の研磨法を使用して調製した。試料を、約3分間にわたってダイヤモンドホイールで研磨し、引き続き、45マイクロメートル、30マイクロメートル、15マイクロメートル、9マイクロメートル、3マイクロメートル、及び1マイクロメートルのスラリーの各々で5分間研磨した。微小硬度の測定は、ビッカース圧子を取り付けた通常の微小硬度試験機(日本国東京都のミツトヨ社から商標表記「MITUTOYO MVK−VL」として入手した)を使用して、100グラムの押込み荷重で行う。微小硬度の測定は、ASTM試験法E384の「材料の微小硬度の試験法(Test Methods for Microhardness of Materials)」(1991)に記載された指針に従って行う。
【0118】
硬度の測定に使用した、装着し研磨した試料を、金−パラジウムの薄層でスパッタリングし、走査電子顕微鏡(SEM)(マサチューセッツ州ピーボディ(Peabody)のJOEL社によるモデルJSM 840A)を使用して観察した。
【0119】
(実施例1)
実施例1の複合物品は、15グラムの組成物1(ALZ)の結晶性ビーズ(研磨粒子)(「ガラスビーズの調製」及び「ガラスビーズの結晶化」と題した上記の節で説明したように調製した)と、15グラムの組成物1(ALZ)のガラスビーズ(「ガラスビーズの調製」と題した上記の節で説明したように調製した)との混合物から調製した。結晶性ビーズをふるい分けして、−100+150メッシュサイズの画分(即ち、100マイクロメートルの開口径のふるいと150マイクロメートルの開口径のふるいとの間で収集される画分)を得た。ガラスビーズをふるい分けして、−50+70メッシュサイズの画分(即ち、300マイクロメートルの開口径のふるいと212マイクロメートルの開口径のふるいとの間で収集される画分)を得た。結晶性ビーズの平均径とガラスビーズの平均径との比は、0.49:1であった。
【0120】
30グラムの混合物をグラファイトダイ内に置き、一軸加圧装置(商標表記「HP−50」としてカリフォルニア州ブレア(Brea)のサーマルテクノロジー社(Thermal Technology Inc.)から入手した)を使用して熱間圧縮した。熱間圧縮を、正圧(約0.07MPa(10psi))の窒素雰囲気及び5MPa(0.75psi))の圧力で実行した。試料を920℃に25℃/分で加熱し、15分間にわたって保ち、次いで室温に冷却した。
【0121】
結果として生じた試料を、直径が約2.5cmで高さが約1.9cmの樹脂の円筒内にある装着樹脂(商標表記「TRANSOPTIC POWDER」としてイリノイ州レークブラフ(Lake Bluff)のビューラー社(Buehler)から入手した)に装着した。装着区間は、ポリッシャ(イリノイ州レークブラフ(Lake Bluff)のビューラー社(Buehler)から商標表記「EPOMET 3」として入手した)を使用する従来の研磨法を使用して調製した。試料を、約3分間にわたってダイヤモンドホイールで研磨し、引き続き、45マイクロメートル、30マイクロメートル、15マイクロメートル、9マイクロメートル、3マイクロメートル、及び1マイクロメートルのスラリーの各々で5分間研磨した。装着し研磨した試料を金−パラジウムの薄層でスパッタリングし、走査電子顕微鏡(SEM)(マサチューセッツ州ピーボディ(Peabody)のJOEL社によるモデルJSM 840A)を使用して観察した。
【0122】
実施例1のSEM顕微鏡写真を図10に示すが、ここで、試料は、結晶性ビーズ(粒子)11と孔13とをマトリックス12内に有している。
【0123】
(実施例2)
(a)複合混合物が、18グラムの組成物1(ALZ)の結晶性ビーズと、12グラムの組成物1(ALZ)のガラスビーズとを含有していたこと、(b)ガラスビーズを10ミクロンサイズの平均粒径にジェットミリングしたことを除き、実施例1で説明した通りに、実施例2を調製した。結晶性ビーズの平均径とガラスビーズの平均径との比は、12.5:1であった。
【0124】
実施例2のSEM顕微鏡写真を図11に示すが、ここで、試料は、結晶性ビーズ(粒子)21と孔23とをマトリックス22内に有している。
【0125】
(実施例3)
(a)組成物1(ALZ)の砥粒をふるい分けして−35+45メッシュの画分を残留させたこと、及び(b)組成物1(ALZ)のガラスビーズを10ミクロンサイズの平均粒径にジェットミリングしたことを除き、実施例1で説明した通りに、実施例3を調製した。結晶性ビーズの平均径とガラスビーズの平均径との比は、43:1であった。
【0126】
実施例3のSEM顕微鏡写真を図12に示すが、ここで、試料は、結晶性ビーズ(粒子)31をマトリックス32内に有している。
【0127】
比較例A
15グラムの組成物1(ALZ)の結晶性ビーズ(「ガラスビーズの調製」及び「ガラスビーズの結晶化」と題した上記の節で説明したとおりに調製した)と、商業的に入手可能な15グラムのガラスフリット(オハイオ州クリーブランド(Cleveland)のフェロ社(Ferro Corporation)から入手したFerro Frit #3227)との混合物を使用して、比較例Aを調製した。組成物1(ALZ)の結晶性ビーズをふるい分けして、−35+45のメッシュサイズの画分(即ち、500マイクロメートルの開口径のふるいと355マイクロメートルの開口径のふるいとの間で収集される画分)を得た。結晶性ビーズの平均径とガラスフリットの平均径との比は、5.7:1であった。
【0128】
30グラムの混合物をグラファイトダイ内に置き、一軸加圧装置(「HP−50」)を使用して熱間圧縮した。熱間圧縮を、正圧(約0.07MPa(10psi))の窒素雰囲気及び5MPa(0.75psi))の圧力で実行した。試料を920℃に25℃/分で加熱し、15分間にわたって保ち、次いで室温に冷却した。
【0129】
結果として生じた、比較例Aによる試料を装着し、実施例1で説明したSEMで観察した。
【0130】
比較例AのSEM顕微鏡写真を図13に示すが、ここで、試料は、結晶性ビーズ(粒子)41と、マトリックス42と、境界域44とを有している。
【0131】
比較例B
ガラスフリットをフェロ社(Ferro Corporation)から商標表記「FERRO FRIT 3227」として入手したこと、(b)組成物1の結晶性ビーズをふるい分けして−70+100のメッシュサイズの画分(即ち、212マイクロメートルの開口径のふるいと150マイクロメートルの開口径のふるいとの間で収集される画分)を残留させたことを除き、比較例Aに関して説明した通りに比較例Bを調製した。結晶性ビーズの平均径とガラスフリットの平均径との比は、2.4:1であった。
【0132】
比較例BのSEM顕微鏡写真を図14に示すが、ここで、試料は、結晶性材料51と、境界/反応域54と、ガラスマトリックス52とを有している。
【0133】
本発明の様々な修正形態及び変更形態が、当業者には、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく明らかとなろう。又、理解されたいこととして、本発明は、本明細書に記載した例示的な実施形態に不当に限定されるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】火炎溶融装置用の粉末供給アセンブリを含んだ装置の例示的な実施形態の側面図。
【図2】図1の装置の断面図。
【図3】図1の装置の分解断面図。
【図4】図1の粉末供給アセンブリの一部分の側面図。
【図5】図1の粉末供給アセンブリの一部分の斜視図。
【図6】図1の粉末供給アセンブリの一部分の横断面図。
【図7】例示的な研磨ホイールの斜視図。
【図8】例示的なホーニング砥石の斜視図。
【図9】例示的な切削工具の斜視図。
【図10】実施例1〜3のSEM顕微鏡写真である。
【図11】実施例1〜3のSEM顕微鏡写真である。
【図12】実施例1〜3のSEM顕微鏡写真である。
【図13】比較例A及びBのSEM顕微鏡写真である。
【図14】比較例A及びBのSEM顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2の組成物のガラスを含んだセラミックマトリックス中に分散した第1の組成物のガラスセラミックを含んだ複合物品であって、前記第1の組成物と第2の組成物は各々、金属酸化物の混合物を含み、前記第1の組成物における、特定の金属酸化物の重量による量は、前記第2の組成物におけるその金属酸化物の重量パーセントの少なくとも90パーセントであり、前記第1の組成物と第2の組成物の間で異なる金属酸化物の総量は、全ての第1の組成物と第2の組成物の金属酸化物の総重量の10%を超えることがなく、前記第1の組成物と第2の組成物は各々、前記第1組成物と第2の組成物の全重量を基準としてそれぞれ、少なくとも35重量パーセントのAlを含み、前記第1の組成物の前記ガラスセラミックは、理論密度の少なくとも90パーセントの密度を有する、複合物品。
【請求項2】
研磨物品である、請求項1に記載の複合物品。
【請求項3】
研磨ホイールである、請求項1に記載の複合物品。
【請求項4】
前記研磨物品は、35容量パーセント〜65容量パーセントの範囲内の多孔度を有する、請求項3に記載の複合物品。
【請求項5】
ホーニング砥石である、請求項1に記載の複合物品。
【請求項6】
切削工具又は切削工具インサートの一方である、請求項1に記載の複合物品。
【請求項7】
前記切削工具又は前記切削工具インサートは、0容量パーセント〜5容量パーセントの範囲内の多孔度を有する、請求項6に記載の複合物品。
【請求項8】
前記切削工具又は前記切削工具インサートは、0容量パーセント〜2容量パーセントの範囲内の多孔度を有する、請求項6に記載の複合物品。
【請求項9】
前記第1の組成物の前記ガラスセラミックは、200ナノメートル以下の平均径を有するクリスタリットを含む、請求項1に記載の複合物品。
【請求項10】
前記第1の組成物と第2の組成物は各々、前記第1の組成物と第2の組成物の全重量をそれぞれ基準として、総じて10重量パーセント以下のAs、Bi、B、GeO、P、SiO、TeO、V、アルカリ酸化物、及びアルカリ土類酸化物を含有する、請求項1に記載の複合物品。
【請求項11】
前記複合物品の全容量を基準として、30から90の範囲内の容量分率の前記セラミックマトリックスと、10から70の範囲内の容量分率の前記第1の組成物の前記ガラスセラミックとを含む、請求項1に記載の複合物品。
【請求項12】
請求項1に記載の複合物品を製作するための方法であって、
前記第1の組成物を有するガラスセラミック粒子と、前記第2の組成物を有するガラスを含むセラミック粒子との混合物を用意するステップと、
前記複合物品を形成するために、前記セラミック粒子のガラスを圧密化するステップと、を含む方法。
【請求項13】
前記ガラスの圧密化は、800℃から1200℃の範囲内の温度で行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ガラスの圧密化は、100MPaの圧力で行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
第2の組成物のガラスセラミックを含んだセラミックマトリックス中に分散した第1の組成物のガラスセラミックを含んだ複合物品であって、前記第1の組成物と第2の組成物は各々、金属酸化物の混合物を含み、前記第1の組成物における、特定の金属酸化物の重量による量は、前記第2の組成物におけるその金属酸化物の重量パーセントの少なくとも90パーセントであり、前記第1の組成物と第2の組成物の間で異なる金属酸化物の総量は、全ての第1の組成物と第2の組成物の金属酸化物の総重量の10%を超えることがなく、前記第1の組成物と第2の組成物は各々、前記第1組成物と第2の組成物の全重量を基準としてそれぞれ、少なくとも35重量パーセントのAlを含み、前記第1の組成物の前記ガラスセラミックは、理論密度の少なくとも90パーセントの密度を有する、複合物品。
【請求項16】
研磨物品である、請求項15に記載の複合物品。
【請求項17】
研磨ホイールである、請求項15に記載の複合物品。
【請求項18】
前記研磨物品は、35容量パーセント〜65容量パーセントの範囲内の多孔度を有する、請求項17に記載の複合物品。
【請求項19】
ホーニング砥石である、請求項15に記載の複合物品。
【請求項20】
切削工具又は切削工具インサートの少なくとも一方である、請求項15に記載の複合物品。
【請求項21】
前記切削工具又は前記切削工具インサートは、0容量パーセント〜5容量パーセントの範囲内の多孔度を有する、請求項20に記載の複合物品。
【請求項22】
前記切削工具又は前記切削工具インサートは、0容量パーセント〜2容量パーセントの範囲内の多孔度を有する、請求項20に記載の複合物品。
【請求項23】
前記第1の組成物の前記ガラスセラミックは、200ナノメートル以下の平均径を有するクリスタリットを含む、請求項15に記載の複合物品。
【請求項24】
前記第1の組成物と第2の組成物は各々、前記第1の組成物と第2の組成物の全重量をそれぞれ基準として、総じて10重量パーセント以下のAs、Bi、B、GeO、P、SiO、TeO、V、アルカリ酸化物、及びアルカリ土類酸化物を含有する、請求項15に記載の複合物品。
【請求項25】
前記複合物品の全容量を基準として、30から90の範囲内の容量分率の前記セラミックマトリックスと、10から70の範囲内の容量分率の前記第1の組成物の前記ガラスセラミックとを含む、請求項15に記載の複合物品。
【請求項26】
請求項15に記載の複合物品を製作するための方法であって、
前記第1の組成物を有するガラスセラミック粒子と、前記第2の組成物を有するガラスを含むセラミック粒子との混合物を用意するステップと、
前記セラミック粒子のガラスを圧密化するステップと、
前記ガラスの少なくとも一部分を結晶性セラミックに変換し、ガラスセラミックを得て、前記複合物品を得るために、前記圧密化したガラスを熱処理するステップと、を含む方法。
【請求項27】
前記ガラスの圧密化が、800℃〜1200℃の範囲内の温度で行われる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記ガラスの圧密化が、100MPaの圧力で行われる、請求項27に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2009−522196(P2009−522196A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548597(P2008−548597)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/048245
【国際公開番号】WO2007/078914
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】