説明

複合粒子および複合粒子の製造方法

【課題】簡便に製造できる複合粒子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】金属M(Mは、Feと不可避不純物とからなるもの、または80wt%以上のFeと、Co、Ni、B、Mn、Si、Al、Cu、Cr、Ti、V、Mo、Zr、Nb、Gaから選ばれる少なくとも一種の元素と不可避不純物とを含むものである)からなる核6表面の一部または全部が、希土類R(RはCe、La、Y、Nd、Pr、Dy、Tb、Sm、Gd、Ybから選ばれる少なくとも一種)の酸化物5で被覆されている複合粒子とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合粒子および複合粒子の製造方法に関するものであり、特に、鉄を代表とする軟磁性体からなる核の表面の一部または全部が希土類の酸化物で被覆されてなる複合粒子および複合粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軟磁性体の金属からなる核の周囲を絶縁体である酸化物で被覆した複合粒子は、高い絶縁性と優れた磁気特性とを兼ね備えていることから、高周波帯での電磁波吸収材料、あるいは磁気センサや磁気抵抗といった分野への応用が有望視されている。
【0003】
このような複合粒子の製造方法としては、金属塩を含む溶液を噴霧して液滴にし、その液滴を金属塩の分解温度よりも高くし、酸化物の分解温度よりも高い温度で加熱する方法などが挙げられる(例えば特許文献1参照)。
しかし、特許文献1に記載の方法では、金属塩を含む液滴を金属塩の分解温度よりも高くしているため、金属塩の分解に多くのエネルギーが必要であった。また、特許文献1に記載の方法では、金属塩を含む溶液が蒸発することによって水蒸気雰囲気が形成されるので、金属が鉄などの酸化しやすい金属である場合には、十分な還元反応が行われないために複合粒子の製造が技術的に困難となる恐れがあった。
【0004】
このような問題を解決する技術として、化合物粉末に熱分解を施すことにより、複合粒子を得る方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2には、Feを主体とする単結晶からなる平均粒径0.1〜20μmの球状体であり、その表面にFeよりも酸素との親和力の強い元素を構成要素とする酸化物からなるコーティング層が形成された磁性金属粉末が記載されている。また、特許文献2には、原料酸化物粉体とコーティング層を構成する酸化物からなる粉体との混合物を、還元ガスおよび不活性ガスの供給された加熱処理工程に供給することにより磁性金属粉末を製造する方法が記載されている。さらに、特許文献2には、溶融することにより液滴となった生成物とし、表面張力により球体状を形成し、球状の磁性金属粉末を得る技術が開示されている。
【0005】
しかし、特許文献2に記載の方法では、粉末の大きさが小さい場合に、樹脂を代表例とするような基材への分散性が悪いという不都合があり、基材中に粉末を分散させて電磁波吸収材料として用いる際の課題となっている。
【0006】
また、大きいサイズの粒子を得る方法として、無機物粉末を1μm以上500μm以下の粒度に造粒した後、酸素−アセチレンバーナー火炎中に分散させて加熱溶融することにより球状無機物粒子を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
また、特許文献4には、スプレードライヤを用いて作製した融点の異なる複数の粉末を、酸化性ガスまたは/および不活性ガスとともに燃焼炎内に供給し、顆粒粉末を燃焼炎内で溶融させることにより、溶融処理物とし、溶融処理物を、コア体と被覆層とに分離させる複合粒子の製造方法が記載されている。
【0008】
また、特許文献5には、粒径1〜1000μmの金属粉末にセラミックスの微粉末と鱗片状の金属粉末を加え、強力な圧縮力を付与させた状態で摩砕混合させ、鱗片状の金属粉末を微粉末化させ、メカノケミカル作用を用いて前記金属粉末粒子を核として該表面に金属微粉末とセラミックスの微粉末との混合物による被覆層を形成させる複合粒子の製造方法が記載されている。
【0009】
また、従来から、金属間化合物を合成する技術として燃焼合成法が用いられている(例えば、特許文献6参照)。特許文献6には、原料として、発熱反応により金属間化合物を形成し得る複数種の金属粉末を用い、この複数種の金属粉末を混合する工程と、複数種の金属粉末の混合物を所定の形状に加圧成形する工程と、得られた成形体の一部に着火して、燃焼合成反応を起こさせる工程とを有する無機系多孔質材料の製造方法が記載されている。燃焼合成法では、化合物の合成及び焼結プロセスを同時に可能とし、秒単位の極めて短時間で金属間化合物を合成することができる。
【特許文献1】特開昭62−1807号公報
【特許文献2】特開2004−91928号公報
【特許文献3】特開平10−137574号公報
【特許文献4】特開2004−290730号公報
【特許文献5】特開平5−317679号公報
【特許文献6】特開2002−356706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の技術では、生産性が不十分であり、火炎を使用する工程を行うことなく、簡便に製造できる複合粒子およびその製造方法が求められていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、簡便に製造できる複合粒子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、簡便に製造できる複合粒子を得るために、火花の出やすい金属である希土類金属に着目して鋭意研究を重ね、金属と希土類金属の酸化物とからなる合金を作製し、酸素濃度5vol%以上の雰囲気で合金を自己燃焼(自然発火)させることにより、金属を希土類金属の酸化物で被覆してなる複合粒子が得られることを見出し、本発明を想到した。すなわち、本発明は以下に関する。
【0012】
[1]強磁性を示す金属Mからなる核の表面の一部または全部が、希土類R(RはCe、La、Y、Nd、Pr、Dy、Tb、Sm、Gd、Ybから選ばれる少なくとも一種)の酸化物で被覆されていることを特徴とする、複合粒子。
[2]前記金属Mが、Feと不可避不純物とからなるもの、または80wt%以上のFeと、Co、Ni、B、Mn、Si、Al、Cu、Cr、Ti、V、Mo、Zr、Nb、Gaから選ばれる少なくとも一種の元素と不可避不純物とを含むものであることを特徴とする、[1]に記載の複合粒子。
[3]前記核の粒径が1μm〜500μmであることを特徴とする、[1]または[2]に記載の複合粒子。
[4]前記複合粒子の粒径が10〜1000μmであることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載の複合粒子。
[5]前記金属Mが、酸素濃度300〜15000ppm、炭素濃度100〜400ppmであるものであることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載の複合粒子。
[6]前記金属Mが、Mnを200〜1500ppm、Niを250〜800ppm、Siを100〜1400ppm、Cuを3000〜20000ppm、Crを150〜1500ppm、Coを300〜1200ppm含むことを特徴とする、[1]〜[5]のいずれかに記載の複合粒子。
【0013】
[7]強磁性を示す金属Mからなる核の表面の一部または全部が、希土類R(RはCe、La、Y、Nd、Pr、Dy、Tb、Sm、Gd、Ybから選ばれる少なくとも一種)の酸化物で被覆されている複合粒子の製造方法において、前記金属Mと希土類Rとからなる合金MRを、酸素濃度5vol%以上の雰囲気で自然発火させることにより、前記核の表面の一部または全部を前記希土類Rの酸化物で被覆することを特徴とする複合粒子の製造方法。
[8]前記金属Mが、Feと不可避不純物とからなるもの、または80wt%以上のFeと、Co、Ni、B、Mn、Si、Al、Cu、Cr、Ti、V、Mo、Zr、Nb、Gaから選ばれる少なくとも一種の元素と不可避不純物とを含むものであることを特徴とする[7]に記載の複合粒子の製造方法。
【0014】
さらに、本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、効率よくMR合金を自己燃焼(自然発火)させるためには、MR合金を破砕することにより、MR合金から多くの火花を発生させ、MR合金から発生した火花を着火源としてMR合金を自然発火させればよいことを見出した。
[9]前記合金MRを破砕することにより、前記合金MRを自然発火させることを特徴とする[7]または[8]に記載の複合粒子の製造方法。
[10]前記合金MRを粒径10〜1000μmに破砕することを特徴とする[9]に記載の複合粒子の製造方法。
[11]前記合金MRを破砕することにより、前記合金MRからなる粒径0.01〜5μmの微粉を発生させることを特徴とする[9]または[10]に記載の複合粒子の製造方法。
[12]前記合金MRを大気中で破砕することにより前記合金MRを自然発火させることを特徴とする[7]〜[11]のいずれかに記載の複合粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明の複合粒子は、強磁性を示す金属Mからなる核の表面の一部または全部が、希土類R(RはCe、La、Y、Nd、Pr、Dy、Tb、Sm、Gdから選ばれる少なくとも一種)の酸化物で被覆されているものであるので、金属Mと希土類Rとから構成される合金MRを自然発火させることにより、容易に製造できる生産性に優れたものとなる。
また、本発明の複合粒子の製造方法は、強磁性を示す金属Mと希土類Rとから構成される合金MRを、酸素濃度5vol%以上の雰囲気で自然発火させることにより、強磁性を示す金属Mからなる核の表面の一部または全部を希土類Rの酸化物で被覆する方法であるので、強磁性を示す金属Mからなる核の周囲の少なくとも一部が希土類Rの酸化物で被覆されている本発明の複合粒子を簡便に製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態である複合粒子およびその製造方法について図面を参照して説明する。
「複合粒子」
図1は、本発明の複合粒子の一例を説明するための模式図である。
図1(a)〜図1(c)に示す複合粒子は、金属M(Mは、Feと不可避不純物とからなるもの、または80wt%以上のFeと、Co、Ni、B、Mn、Si、Al、Cu、Cr、Ti、V、Mo、Zr、Nb、Gaから選ばれる少なくとも一種の元素と不可避不純物とを含むものである)からなる核6の表面の一部または全部が、希土類R(RはCe、La、Y、Nd、Pr、Dy、Tb、Sm、Gd、Ybから選ばれる少なくとも一種)の酸化物5で被覆されているものである。
【0017】
本発明の複合粒子は、図1(a)に示すように、金属Mからなる複数の核6が希土類Rの酸化物5によって一体化されたものであってもよいし、図1(b)および図1(c)に示すように、1つの核6を有するものであってもよい。また、本発明の複合粒子は、図1(a)および図1(c)に示すように、金属Mからなる核6の表面の全部が、希土類Rの酸化物5によって被覆されたものであってもよいし、図1(b)に示すように、核6の表面の一部のみが希土類Rの酸化物5によって被覆されたものであってもよい。
【0018】
金属Mからなる核6の粒径(本明細書において「核の粒径」とは、核の粒径の平均値のことを意味する)は1μm〜500μmであることが好ましい。核6の粒径が上記範囲未満であると、相対的な希土類Rの酸化物5の体積率が高くなりすぎて、所定の磁気特性が得られない場合がある。また、核6の粒径が上記範囲を超えると、軟磁性体の表面積が小さくなり、所定の電磁波吸収特性が得られない場合がある。
【0019】
金属Mは、Feと不可避不純物とからなるもの、または主成分である80wt%以上のFeと、Co、Ni、B、Mn、Si、Al、Cu、Cr、Ti、V、Mo、Zr、Nb、Gaから選ばれる少なくとも一種の元素と、不可避不純物とを含むものである。金属Mの原料としては、それぞれの元素の純メタルの他、Fe−B、Fe−V、Fe−Cr、Fe−Zr、Fe−Nb、Fe−Moなどの鉄合金を用いることもできる。これらの合金は高融点金属の溶け残りを防止するために有用である。
本実施形態においては、金属Mの組成を変化させることにより、複合粒子の磁気特性を調整することできる。
【0020】
また、金属Mは、Mnを200〜1500ppm、Niを250〜800ppm、Siを100〜1400ppm、Cuを3000〜20000ppm、Crを150〜1500ppm、Coを300〜1200ppm含むものであることが好ましい。このような金属Mとすることで、高価な材料を用いることなく、優れた磁気特性を有する複合粒子とすることができる。
【0021】
また、金属Mは、酸素濃度が300〜15000ppmであり、炭素濃度が100〜400ppmであることが好ましい。酸素濃度に関しては、低いほうが磁気特性が向上するため、より好ましい。
酸素濃度および炭素濃度が上記範囲内である場合、容易に所定の磁気特性を有する複合粒子とすることができる。
【0022】
希土類Rとしては、Ce、La、Y、Nd、Pr、Dy、Tb、Sm、Gd、Ybから選ばれる少なくとも一種を用いることが出来る。希土類Rの原料としては、それぞれの元素の純メタルの他、Ce−Laのミッシュメタル、Nd−Prのジジム合金、Dy−Fe合金などを用いることもできる。これらの合金は、純メタルを用いるよりも安価に入手できるので製造コスト低減に有用である。
【0023】
また、複合粒子中における金属Mと希土類Rとの割合は、特に限定されないが、複合粒子中に希土類Rが10〜80wt%含まれているものであることが好ましい。複合粒子中における希土類Rの割合が上記範囲未満であると、金属Mからなる核6の表面を被覆する希土類Rの酸化物5の量が少なくなって、金属Mを希土類Rの酸化物5で被覆することによって得られる絶縁性などの機能が十分に得られない場合がある。また、複合粒子中における希土類Rの割合が上記範囲を超えると、十分な磁気特性を有する複合粒子が得られない場合がある。
【0024】
また、複合粒子の粒径(本明細書において「複合粒子の粒径」とは、複合粒子の粒径の平均値のことを意味する)は、10〜1000μmであることが好ましい。複合粒子の粒径が上記範囲よりも小さいと、樹脂との混錬時に不均一となりやすいものとなるため好ましくない。また、複合粒子の粒径が上記範囲よりも大きいと、樹脂中に複合粒子を分散させて電磁波吸収材料として用いる場合に、樹脂に占める複合粒子の体積率が小さくなりすぎて所定の磁気特性が得られない恐れがある。
【0025】
「複合粒子の製造方法」
次に、本発明の複合粒子の製造方法を説明する。
本発明の複合粒子の製造方法は、金属Mと希土類Rとから構成される合金MRを、酸素濃度5vol%以上の雰囲気で自然発火させることにより、金属Mからなる核6の表面の一部または全部を希土類Rの酸化物5で被覆する工程を含む製造方法である。
合金MRは、例えば、以下に示す真空誘導炉を用いる方法を用いて製造できる。まず、真空誘導炉内を真空にし、金属Mと希土類Rとをアルミナ坩堝中に装填する。その後、真空誘導炉内をAr雰囲気もしくはAr減圧雰囲気とし、高周波誘導によって金属Mと希土類Rとを1200〜1500℃に加熱して溶融し、溶湯とする。その後、溶湯を銅製の単ロール上あるいは鋳型に注いで凝固させることにより合金MRが得られる。
【0026】
合金MRの溶融温度は、合金MRの融点から200℃程度高い温度とすることが好ましい。このような温度とすることで、鋳造途中にタンディッシュを用いる場合において、タンディッシュでの合金MRの凝固を防止することができ好ましい。また、このような温度とすることで、坩堝から水冷している銅製の単ロールにタンディッシュを介して供給することが可能となり、単ロール急冷合金として合金MRを作製することが可能となる。
【0027】
合金MRを単ロール急冷合金として製造する場合、例えば、タンディッシュの材質としてWO99/67187号公報に示されている70wt%以上のAl及び30wt%以下のSiOから実質的になるもの、あるいは70wt%以上のZrO及び30wt%以下のY、Ce、CaO、MgO、Al、TiOまたはSiOの1種以上から実質的になるものであり、嵩密度が1g/cm以下、1200〜1400℃の温度範囲における熱伝導率が0.5kcal/(mh℃)以下、1400℃、1時間の加熱条件における灼熱減量率が0.5wt%以下になる耐火物を使用することが好ましい。このような材質のタンディッシュを用いることで、坩堝から単ロールへ供給する途中の溶湯が、タンディッシュにおいて凝固することを効果的に防止することができ、好ましい。
【0028】
また、水冷している銅製の単ロールを用いる場合、単ロールの周速度を0.5〜2.0m/sとし、合金MRの厚みが0.1〜0.5mmになるように坩堝から単ロールに注湯することが好ましい。この場合、安定した鋳造が可能となり、均一な組織の合金MRを製造できる。これに対し、合金MRの厚みが0.1mm未満である場合には、合金MRの輸送に多大なコストがかかる上、合金MRからなる多量の微粉が発生して危険であるため好ましくない。また、合金MRの厚みが0.5mmを超えると、単ロールに過剰に溶着する恐れがあり、合金組織の均一性が失われる場合がある。
【0029】
また、水冷している銅製の単ロールから剥離した後の合金MRは、例えば、特許03561692号公報に開示されているように、金属製の冷却板の間に落下させて冷却することが好ましい。この場合、合金組織の制御を容易に行うことが可能となる上、生産性を向上させることができる。
また、単ロールから剥離した後の合金MRの冷却媒体としては、合金MRの酸化を防止するために、Ar、Heといった不活性ガスを用いることが好ましい。
【0030】
また、溶湯を鋳型に注いで合金MRを製造する場合、合金MRの厚みを決定する鋳型の間隔を1〜5cmとすることで、生産性を向上させることができる。鋳型の間隔が上記範囲を超えると、得られた合金MRの厚みが厚くなり、合金MRを破砕するときに多大なエネルギーを要するために好ましくない。また、鋳型の間隔が上記範囲未満であると、鋳型の下部まで溶湯が到達する前に、溶湯が凝固してしまう場合があるため、鋳型に均一に溶湯を供給することが難しくなり生産性が悪くなる。
【0031】
その後、このようにして得られた合金MRを、酸素濃度5vol%以上の雰囲気で自然発火させる。合金MRを自然発火させる方法としては、特に限定されないが、破砕装置を用いて合金MRを破砕することにより、合金MRから発生された火花を着火源として自然発火させる方法を用いることが好ましい。合金MRを破砕するときの雰囲気は、酸素濃度5vol%以上の雰囲気であればよく、大気雰囲気であってもよいし、酸素の他に不活性ガスとしてArあるいは窒素が含まれる雰囲気であってもよい。
【0032】
本実施形態において、合金MRの破砕に用いられる破砕装置としては、金属や鉱石などを粗粉砕するために一般的に用いられる破砕機を用いることができる。具体的には、破砕装置として、ジョークラッシャー、ディスクミル、ハンマーミル、ロールクラッシャーなどが挙げられる。
合金MRを破砕することにより、合金MRを自然発火させるためには、合金MRから火花が発生しやすい破砕条件とすることが好ましい。このような破砕条件としては、合金MR同士の間や、破砕装置の破砕歯と合金MRとの間に強い摩擦を生じさせる破砕条件にすることが好ましい。
【0033】
また、合金MRを破砕することによって合金MRから発生した火花を、合金MRの着火源として有効に利用するためには、合金MRを破砕することにより、合金MRからなる破砕片とともに合金MRからなる微粉を生成することが好ましい。ここで生成される微粉の大きさ(本明細書において「微粉の大きさ」とは、微粉の粒径の平均値のことを意味する)は、粒径0.01〜5μmであることが好ましく、粒径0.01〜3μmであることがより好ましい。微粉の粒径を上記範囲とすることで、合金MRから発生した火花によって合金MRからなる微粉が着火する確率が高くなり、複合粒子の生産性をさらに向上させることができ、好ましい。
【0034】
また、合金MRを破砕することにより生成される微粉の生成量は、合金MRの0.001wt%〜0.1wt%の範囲であることが好ましい。微粉の生成量が上記範囲未満であると、合金MRを破砕することによって火花が発生しても合金MRが十分に燃焼せず、複合粒子が得られない恐れがある。また、微粉の生成量が上記範囲を超えると、破砕装置内に合金MRからなる微粉が固着して、収率が低下するため好ましくない。また、微粉による燃焼の作用が働きすぎて、金属Mの酸化物が生成されてしまい、目的とする複合粒子が製造できなくなる恐れがある。
【0035】
また、合金MRは、破砕することにより粒径10〜1000μmとの破砕片(本明細書において「破砕片の粒径」とは、破砕片の粒径の平均値のことを意味する)とされることが好ましく、粒径10〜200μmとすることがより好ましい。破砕片の粒径が上記範囲未満であると、自然発火による燃焼の作用が強くなりすぎて、金属Mが酸化物となってしまい、目的とする複合粒子が製造できなくなる恐れがある。また、破砕片の粒径が上記範囲を超えると、十分なテルミット反応が行われなくなり、合金MRの組織が肥大化するのみで目的とする複合粒子が製造されない場合がある。
【0036】
ここで、合金MRを自然発火させることにより複合粒子を製造する工程を、図面を用いて説明する。図2(a)〜図2(c)は、合金MRを自然発火させることにより複合粒子が製造される工程を説明するための模式図である。図2において、符号1は破砕前の合金MRを示し、符号2は火花を示し、符号3は破砕によって生成した合金MRからなる微粉を示し、符号4は破砕によって生成した合金MRからなる破砕片を示している。
【0037】
図2(a)に示すように、合金MR1は、酸素濃度5vol%以上の雰囲気で破砕されることによって、火花2を発生しながら微粉3を含む破砕片4とされる。ここで発生した火花2は、図2(b)に示すように、まず、着火されやすい微粉3に着火する。そして、着火した微粉3は、図2(c)に示すように、自己燃焼により高温で酸化されながら破砕片4に付着し、破砕片4を加熱して破砕片4を構成する合金MRを発火・燃焼させる。このような破砕片4の発火・燃焼により、破砕片4を構成する合金MRは酸化還元反応され、合金MR中に含まれる希土類Rは、微粉3および破砕片4の燃焼による加熱と雰囲気中の酸素とによって酸化されて酸化物となり、金属Mと分離される。また、破砕片4を構成する合金MRに含まれる金属Mは、微粉3の燃焼による加熱および破砕片4を構成する合金MRの発火・燃焼によって溶解し、球状に凝集する。このような合金MRのテルミット反応により、図1(a)〜(c)に示すように、金属Mと希土類Rとが分離され、溶解した金属Mが球状の核6となり、金属Mからなる核6の表面の一部または全部が希土類Rの酸化物5で被覆された複合粒子が得られる。
【0038】
なお、このような製造工程においては、図1(a)〜(c)に示す複合粒子とともに、図3(a)に示される金属Mから構成される核6のみからなる粒子や、図3(b)に示される希土類Rの酸化物5のみからなる粒子も製造される場合がある。図3(a)に示される金属Mのみからなる粒子は、破砕片4を構成する合金MRの酸化還元反応によって希土類Rと分離され、合金MRの発火・燃焼によって金属Mが溶解し、凝集することによって形成される。また、図3(b)に示される希土類Rの酸化物5のみからなる粒子は、破砕片4を構成する合金MRの酸化還元反応により、合金MR中に含まれる希土類Rが酸化物となって金属Mと分離されることによって得られる。図3(a)および図3(b)に示される金属Mのみ、または希土類Rの酸化物5のみからなる粒子は、必要に応じて、図1(a)〜(c)に示す複合粒子と分離できる。
【0039】
図2(a)〜図2(c)に示す製造工程において、合金MR1を構成する金属Mに酸素が含まれている場合には、金属M中に含まれている酸素が、金属Mの周囲を取り囲むように生成される希土類Rの酸化物5への酸素の供給源となる。すなわち、金属M中に含まれていた酸素は、酸化されやすい希土類Rによって奪われて金属M中から分離除去されるとともに、酸素の除去された金属Mの表面に希土類Rの酸化物5を生成する。なお、酸素の除去された金属Mの一部または全部は、図1(a)〜(c)に示すように、希土類Rの酸化物5で囲まれるため、酸素の除去された金属Mからなる核6に新たに酸素が供給されることが防止される。このように、合金MR1を構成する金属Mに酸素が含まれている場合であっても、合金MRを酸素濃度5vol%以上の雰囲気で破砕することにより金属Mが還元されるので、酸化物ではなく金属Mからなる核6が生成される。また、合金MR1を構成する金属Mに酸素が含まれている場合、酸素の除去された金属Mの表面に、除去された酸素を供給源として希土類Rの酸化物5が生成されるので、図3(a)および図3(b)に示される金属Mのみ、または希土類Rの酸化物5のみからなる粒子の生成量が少なくなり、金属Mからなる核6の表面の一部または全部が希土類Rの酸化物5で被覆された複合粒子をより一層効率よく製造できる。
【0040】
図1(a)〜図1(c)に示す複合粒子の大きさや核6の大きさは、合金MRの酸化還元反応の継続時間や最高温度、破砕片4の大きさによって変化する。したがって、希土類Rや金属Mの組成、合金MRの破砕条件を変化させて、合金MRの酸化還元反応の継続時間や最高温度、破砕片4の大きさを制御することで、複合粒子の粒径を例えば、10μm〜1000μmの範囲に制御できるとともに、核6の粒径を例えば、1μm〜500μmの範囲に制御できる。核6の大きさが、10μm以下の小さいものであると、優れた電磁波吸収特性を示すものとなるため好ましい。また、複合粒子を20μm以上の大きなものとした場合、複合粒子を樹脂中に添加して混練したときに凝集が起こりにくく、分散させやすいものとなり、樹脂中に均一に分布させることができるものとなるため、複合粒子を樹脂中に分散させてなる電磁波吸収材料に好適に用いられるものとなる。
【0041】
例えば、希土類Rとして、酸素との活性が高いCe、La、Pr、Ndを用いると、合金MRが自己燃焼する温度が比較的高温となり、金属Mからなる核6が大きく成長する。このため、大きな複合粒子が得られる。また、希土類Rとして、Ce、La、Pr、Ndと比較して酸素との活性が低いDy、Tb、Gdを用いると、合金MRが自己燃焼する温度が比較的低温となり、金属Mからなる核6の大きさが小さくなる。このため、小さな複合粒子が得られる。
【0042】
また、金属M中に高融点金属を含有させて合金MRの融点を上昇させると、金属Mが溶解して凝集する時間が短くなり、金属Mからなる核6の成長する時間が充分に得られなくなる。このため、核6の大きさが小さくなり、小さな複合粒子となる。反対に、金属M中に低融点金属を含有させて合金MRの融点を低くすると、金属Mが溶解して凝集する時間が長くなり、金属Mからなる核6の成長する時間が長くなる。このため、核6の大きさが大きくなり、大きな複合粒子となる。
【0043】
また、本実施形態の複合粒子は、樹脂中に分散させて混練することにより電磁波吸収材料として用いることができる。ここで用いられる樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。本実施形態の複合粒子を分散させて得られた電磁波吸収材料は、本実施形態の複合粒子が金属Mとして鉄を主成分として含むものであるので、高周波帯での吸収特性が良好で電子部品の保護用として有用なものとなる。
【0044】
本実施形態の複合粒子は、金属Mからなる核の表面の一部または全部が、希土類Rの酸化物で被覆されているものであるので、金属Mと希土類Rとから構成される合金MRを自然発火させることにより、容易に製造できる生産性に優れたものである。
また、本実施形態の複合粒子によれば、核6を構成する金属Mの組成を変更することにより、容易に電磁波吸収特性および磁気特性の調整ができる。
【0045】
また、本実施形態の複合粒子の製造方法は、金属Mと希土類Rとから構成される合金MRを酸素濃度が5vol%以上の雰囲気で自然発火させることにより、金属Mからなる核の表面の一部または全部を希土類Rの酸化物で被覆する工程を含む方法であるので、火炎を使用する工程を行うことなく、金属Mからなる核の周囲の少なくとも一部が希土類Rの酸化物で被覆されている本実施形態の複合粒子を簡便に製造できる。
また、合金MRを破砕することにより合金MRを自然発火させる場合には、合金MRを破砕することにより合金MRから発生された火花を着火源として、容易に合金MRを自然発火させることができる。
また、合金MRを大気中で破砕することにより合金MRを自然発火させる場合には、合金MRを破砕する雰囲気の制御が容易となり、より一層簡便に複合粒子を製造できる。
【0046】
また、本実施形態の複合粒子の製造方法によれば、複合粒子の大きさを容易に制御することができるので、例えば、核6の大きさを10μm以下の小さいものとすることで、優れた電磁波吸収特性を示す複合粒子を容易に提供できる。また、例えば、複合粒子の大きさを20μm以上の大きなものとすることで、樹脂中に添加して混練したときに凝集が起こりにくく、分散しやすく、樹脂中に均一に分布させることができるものとなる。
【0047】
次に、実施例を示して、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
「実験例1」
金属MがFe(96.6wt%)、Co(1.5wt%)、B(1.5wt%)、Al(0.3wt%)、Cu(0.1wt%)から構成され、希土類RがNd(78.1wt%)、Pr(18.8wt%)、Dy(2.8wt%)、Tb(0.3wt%)から構成され、合金MRの組成がFe(65.7wt%)、Co(1.0wt%)、B(1.0wt%)、Al(0.20wt%)、Cu(0.1wt%)、Nd(25wt%)、Pr(6wt%)、Dy(0.9wt%)、Tb(0.1wt%)となるように、鉄、Fe−B合金(B含有量21wt%)、Alメタル、Cuメタル、Coメタル、Ndメタル、Prメタル、Dyメタル、Tbメタルを秤量してアルミナ坩堝中に入れ、高周波真空誘導炉を用いてAr雰囲気中で1500℃まで加熱して溶湯とし、ロール周速度1.0m/sの水冷銅ロールに平均厚みが0.3mmとなるように注湯し、急冷合金からなる合金MRを作製した。
【0048】
このようにして得られた合金MRを大気雰囲気中でロールクラッシャーを用いて破砕し、着火源となる火花を発生させるとともに合金MRからなる粒径0.1〜5μmの微粉を含む粒径10〜800μmの破砕片を発生させることにより合金MRを自然発火させた。その結果、金属M(Fe、B、Al、Cu、Co)からなる球状の核の表面の一部または全部が、希土類R(Nd、Pr、Dy、Tb)の酸化物で被覆された実験例1の複合粒子が得られた。
【0049】
図4は、実験例1において合金MRを自然発火させた後に得られた生成物の断面の反射電子像である。図4においては、濃い灰色部分が金属Mを示しており、薄い灰色部分が希土類Rの酸化物5を示している。
図4に示すように、実験例1においては、金属Mからなる球状の核6の表面の一部または全部が希土類Rの酸化物5で被覆された複合粒子が得られた。なお、図4に示すように、実験例1においては、得られた複合粒子として、複数の核6が希土類Rの酸化物5によって一体化されたものと、1つの核6を有するものとが含まれていた。また、図4に示すように、実験例1においては、得られた複合粒子として、核6の表面の全部が希土類Rの酸化物5によって被覆されたものと、核6の表面の一部のみが希土類Rの酸化物5によって被覆されたものとが混在していた。さらに、実験例1においては、複合粒子だけでなく、図4に示すように、金属Mから構成される核6のみからなる粒子や、希土類Rの酸化物5のみからなる粒子も混在して生成されていた。
【0050】
「実験例2」
実験例1と同様の溶湯を作製し、合金MRの厚みを決定する間隔が2cmである銅鋳型に注湯して合金MRを作製した。
このようにして得られた合金MRを実験例1と同様にして破砕し、合金MRを自然発火させた。その結果、金属M(Fe、B、Al、Cu、Co)からなる球状の核の表面の一部または全部が、希土類R(Nd、Pr、Dy、Tb)の酸化物で被覆された実験例2の複合粒子が得られた。
【0051】
「実験例3」
金属MがFe(87.5wt%)、Co(6.3wt%)、Ni(5.6wt%)、Si(0.6wt%)から構成され、希土類RがCe(60.0wt%)、La(25.0wt%)、Y(15.0wt%)から構成され、合金MRの組成がFe(70wt%)、Co(5.0wt%)、Ni(4.5wt%)、Si(0.5wt%)、Ce(12wt%)、La(5wt%)、Y(3wt%)となるように、鉄、Coメタル、Niメタル、Siメタル、Ceメタル、Laメタル、Yメタルを秤量してアルミナ坩堝中に入れ、高周波真空誘導炉を用いてAr雰囲気中で1400℃まで加熱して溶湯とし、ロール周速度1.0m/sの水冷銅ロールに平均厚みが0.3mmとなるように注湯し、急冷合金からなる合金MRを作製した。
【0052】
このようにして得られた合金MRを実験例1と同様にして破砕し、合金MRを自然発火させた。その結果、金属M(Fe、Co、Ni、Si)からなる球状の核の表面の一部または全部が、希土類R(Ce、La、Y)の酸化物で被覆された実験例3の複合粒子が得られた。
【0053】
「実験例4」
金属MがFe(66.7wt%)、Co(26.7wt%)、Ni(2.7wt%)、Ti(2.7wt%)、Mo(1.3wt%)から構成され、希土類RがSm(80.0 wt%)、Gd(20.0wt%)から構成され、合金MRの組成がFe(50wt%)、Co(20wt%)、Ni(2wt%)、Ti(2wt%)、Mo(1wt%)、Sm(20wt%)、Gd(5wt%)となるように、鉄、Coメタル、Niメタル、Tiメタル、Fe−Mo(Mo含有量63wt%)、Smメタル、Gdメタルを秤量してアルミナ坩堝中に入れ、高周波真空誘導炉を用いてAr雰囲気中で1600℃まで加熱して溶湯とし、ロール周速度1.0m/sの水冷銅ロールに平均厚みが0.3mmとなるように注湯し、急冷合金からなる合金MRを作製した。
【0054】
このようにして得られた合金MRを実験例1と同様にして破砕し、合金MRを自然発火させた。その結果、金属M(Fe、Co、Ni、Ti、Mo)からなる球状の核の表面の一部または全部が、希土類R(Sm、Gd)の酸化物で被覆された実験例4の複合粒子が得られた。
【0055】
「実験例5〜実験例8」
実験例1〜実験例4と同様にして実験例5〜実験例8の合金MRをそれぞれ作製し、合金MRを破砕するときの雰囲気を酸素濃度2vol%の雰囲気としたこと以外は、実験例1と同様にして実験例5〜実験例8の合金MRを破砕した。その結果、実験例5〜実験例8の合金MRを破砕することによって火花は発生したが、実験例5〜実験例8の合金MRは、いずれも燃焼には至らず、得られた粒子はいずれも合金MRのままであった。
【0056】
「実験例9〜実験例12」
実験例1〜実験例4と同様にして実験例9〜実験例12の合金MRをそれぞれ作製し、合金MRを破砕するときに風速16m/sの空気を流通させて微粉を除去しながら破砕したこと以外は、実験例1と同様にして実験例9〜実験例12の合金MRを破砕した。その結果、実験例9〜実験例12の合金MRを破砕することによって火花は発生したが、実験例9〜実験例12の合金MRは、いずれも燃焼には至らず、得られた粒子は合金MRのままであった。
【0057】
「実験例13〜実験例16」
実験例1と同様にして実験例13〜実験例16の合金MRをそれぞれ作製し、合金MRを破砕するときの雰囲気をAr雰囲気としたこと以外は、実験例1と同様にして実験例13〜実験例16の合金MRを破砕して粒径200μm以下の破砕粉とした。その後、得られた破砕粉をプロパン−酸素のバーナーで加熱した。その結果、実験例13〜実験例16のいずれにおいても、得られた粒子は金属Mからなる球状の核の表面の一部または全部が、希土類Rの酸化物で被覆された複合粒子ではなかった。
【0058】
図5は、実験例13において得られた粒子の断面の反射電子像である。実験例13の粒子は、図5に示すように、金属Mからなる核が形成されていなかった。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は、本発明の複合粒子の一例を説明するための模式図である。
【図2】図2(a)〜図2(c)は、合金MRを自然発火させることにより複合粒子が製造される工程を説明するための模式図である。
【図3】図3は、複合粒子とともに生成される粒子を説明するための模式図である。
【図4】図4は、実験例1において合金MRを自然発火させた後に得られた生成物の断面の反射電子像である。
【図5】図5は、実験例13において得られた粒子の断面の反射電子像である。
【符号の説明】
【0060】
1…合金MR、2…火花、3…微粉、4…破砕片、5…希土類Rの酸化物、6…核。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
強磁性を示す金属Mからなる核の表面の一部または全部が、希土類R(RはCe、La、Y、Nd、Pr、Dy、Tb、Sm、Gd、Ybから選ばれる少なくとも一種)の酸化物で被覆されていることを特徴とする、複合粒子。
【請求項2】
前記金属Mが、Feと不可避不純物とからなるもの、または80wt%以上のFeと、Co、Ni、B、Mn、Si、Al、Cu、Cr、Ti、V、Mo、Zr、Nb、Gaから選ばれる少なくとも一種の元素と不可避不純物とを含むものであることを特徴とする、請求項1に記載の複合粒子。
【請求項3】
前記核の粒径が1μm〜500μmであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の複合粒子。
【請求項4】
前記複合粒子の粒径が10〜1000μmであることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の複合粒子。
【請求項5】
前記金属Mが、酸素濃度300〜15000ppm、炭素濃度100〜400ppmであるものであることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の複合粒子。
【請求項6】
前記金属Mが、Mnを200〜1500ppm、Niを250〜800ppm、Siを100〜1400ppm、Cuを3000〜20000ppm、Crを150〜1500ppm、Coを300〜1200ppm含むことを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の複合粒子。
【請求項7】
強磁性を示す金属Mからなる核の表面の一部または全部が、希土類R(RはCe、La、Y、Nd、Pr、Dy、Tb、Sm、Gd、Ybから選ばれる少なくとも一種)の酸化物で被覆されている複合粒子の製造方法において、
前記金属Mと希土類Rとからなる合金MRを、酸素濃度5vol%以上の雰囲気で自然発火させることにより、前記核の表面の一部または全部を前記希土類Rの酸化物で被覆することを特徴とする複合粒子の製造方法。
【請求項8】
前記金属Mが、Feと不可避不純物とからなるもの、または80wt%以上のFeと、Co、Ni、B、Mn、Si、Al、Cu、Cr、Ti、V、Mo、Zr、Nb、Gaから選ばれる少なくとも一種の元素と不可避不純物とを含むものであることを特徴とする請求項7に記載の複合粒子の製造方法。
【請求項9】
前記合金MRを破砕することにより、前記合金MRを自然発火させることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の複合粒子の製造方法。
【請求項10】
前記合金MRを粒径10〜1000μmに破砕することを特徴とする請求項9に記載の複合粒子の製造方法。
【請求項11】
前記合金MRを破砕することにより、前記合金MRからなる粒径0.01〜5μmの微粉を発生させることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の複合粒子の製造方法。
【請求項12】
前記合金MRを大気中で破砕することにより前記合金MRを自然発火させることを特徴とする請求項7〜請求項11のいずれかに記載の複合粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−13713(P2010−13713A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176286(P2008−176286)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】