説明

複合粒子の製造方法及び製造装置

【課題】構造上の均一性に優れた複合粒子を効率的に製造できる方法及び装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、コア粒子と、当該コア粒子の表面の少なくとも一部を覆うように設けられた被覆材とを備えた複合粒子の製造装置であって、コア粒子、被覆材及び当該被覆材を溶解させる溶媒を含有する混合流体を収容する容器と、容器内の混合流体を加圧する加圧手段と、直列に配置された2つ以上の絞り部を有し、加圧されて超臨界状態又は亜臨界状態となった混合流体を移送する流路と、この流路の先端に設けられ、当該流路を通じて移送された混合流体を噴射するノズルとを備える装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コア粒子と、当該コア粒子の表面の少なくとも一部を覆うように設けられた被覆材とを備えた複合粒子の製造方法及びこれに用いる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複合粒子は、金属材料や有機・無機材料などの複数の材料からなる微粒子であり、材料の選択によって微粒子の高機能化及び高付加価値化が期待される。複合粒子の具体例として、コア粒子の表面を被覆材でコートしてなるコアシェル型微粒子、あるいは、コア粒子の表面に更に細かな粒子が付着してなる表面担持型微粒子などが知られている。
【0003】
従来、被覆材を含有する液相とコア粒子とを接触させ、コア粒子の表面に被覆材を形成する手法が用いられていた。しかし、液相を用いた手法では、液体の表面張力が影響して乾燥時に被覆材が凝集し、構造的に十分に均一な複合粒子を得ることが困難であるという問題があった。そこで、乾燥時の凝集が生じない超臨界法と呼ばれる手法が検討されている(下記特許文献1−3を参照)。
【0004】
超臨界法は、被覆材が溶解した超臨界流体中にコア粒子を懸濁させ、この流体をノズルから噴射して急減圧させる工程を有する方法である。例えば、二酸化炭素は、超臨界状態又は亜臨界状態において、有機材料等を高度に溶解する性質を有するため、これをコア粒子の分散媒として用いると、分散媒中に多量の被覆材が溶解する。超臨界流体又は亜臨界状態の圧力を低下させることにより、被覆材の溶解度が低下してコア粒子の表面に被覆材が析出し、複合粒子が得られる。超臨界状態から液体の状態を経ることなく分散媒を気化させれば、表面張力による凝集を十分に抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−200032号公報
【特許文献2】特開平11−47681号公報
【特許文献3】特開2002−309124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、複合粒子に対して要求される性能が高まるに従い、より高度な均一性が要求されるようになってきており、従来の超臨界法では、その要求を満たす複合粒子を安定的に製造することが困難であった。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、構造上の均一性に優れた複合粒子を効率的に製造できる方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、コア粒子と、当該コア粒子の表面の少なくとも一部を覆うように設けられた被覆材とを備えた複合粒子の製造方法であって、コア粒子、被覆材及び当該被覆材を溶解させる溶媒を含有する混合流体を加圧する工程と、加圧されて超臨界状態又は亜臨界状態となった混合流体を、直列に配置された2つ以上の絞り部を有する流路で移送する工程と、この流路を通じて移送された混合流体を噴射して複合粒子を得る工程とを備える方法を提供する。
【0009】
本発明においては、超臨界状態又は亜臨界状態の混合流体が複数の絞り部を順次通過するため、その際、混合流体の圧力が段階的に変化する。これにより、被覆材の溶解度も段階的に変化し、コア粒子の表面に局所的に析出した被覆材が再度溶解するなどの現象が起こる。このような過程を経ることで、構造上の均一性に優れた複合粒子を安定的に製造できる。また、混合流体の圧力変動により、コア粒子の凝集が十分に解消され、コア粒子が凝集した二次粒子の表面に被覆材が付着してなる不均一な複合粒子の生成を十分に抑制できる。更に、複数の絞り部を通過させることで、混合流体の圧力を段階的に低下させることができ、圧力を急激に低下させた場合と比較し、被覆材のみからなる粒子の生成を十分に抑制できる。
【0010】
本発明に係る方法は、必ずしもコア粒子、被覆材及び溶媒を含有する混合流体を事前に調製しなくてもよい。例えばエジェクタ等を利用し、コア粒子含有流体を移送する流路内に被覆材含有流体を添加し、この流路内でこれらの流体を混合させてもよい。
【0011】
すなわち、本発明に係る方法は、コア粒子及び当該コア粒子を分散させる分散媒を含有するコア粒子含有流体を加圧する工程と、被覆材及び当該被覆材を溶解させる溶媒を含有する被覆材含有流体を加圧する工程と、直列に配置された2つ以上の絞り部を有する流路でコア粒子含有流体を移送する工程と、加圧されて超臨界状態又は亜臨界状態となった被覆材含有流体を、上記2つ以上の絞り部の少なくとも1つに設けられた開口から流路内に供給する工程と、当該流路内で混合されたコア粒子含有流体と被覆材含有流体との混合流体を噴射して複合粒子を得る噴射工程とを備えたものであってもよい。なお、上記コア粒子含有流体は、超臨界状態又は亜臨界状態となるまで加圧することが好ましい。
【0012】
かかる構成を採用することにより、予め混合流体を調製する上記方法の効果に加え、流路内に添加する被覆材含有流体の量を適宜調節することによってコア粒子と被覆材との比率を容易に変更できるという効果が奏される。
【0013】
本発明に係る方法は、上記と逆の構成を採用し、被覆材含有流体を移送する流路内にコア粒子含有流体を添加し、この流路内でこれらの流体を混合させてもよい。すなわち、本発明に係る方法は、コア粒子及び当該コア粒子を分散させる分散媒を含有するコア粒子含有流体を加圧する工程と、被覆材及び当該被覆材を溶解させる溶媒を含有する被覆材含有流体を加圧する工程と、加圧されて超臨界状態又は亜臨界状態となった被覆材含有流体を、直列に配置された2つ以上の絞り部を有する流路で移送する工程と、上記2つ以上の絞り部の少なくとも1つに設けられた開口から流路内にコア粒子含有流体を供給する工程と、当該流路内で混合されたコア粒子含有流体と被覆材含有流体との混合流体を噴射して複合粒子を得る工程とを備えたものであってもよい。なお、上記コア粒子含有流体は、超臨界状態又は亜臨界状態となるまで加圧することが好ましい。
【0014】
かかる構成を採用することにより、予め混合流体を調製する上記方法の効果に加え、流路内に添加する被覆材含有流体の量を適宜調節することによってコア粒子と被覆材との比率を容易に変更できるという効果が奏される。
【0015】
本発明は、コア粒子と、当該コア粒子の表面の少なくとも一部を覆うように設けられた被覆材とを備えた複合粒子の製造装置であって、コア粒子、被覆材及び当該被覆材を溶解させる溶媒を含有する混合流体を収容する容器と、この容器内の混合流体を加圧する加圧手段と、直列に配置された2つ以上の絞り部を有し、加圧されて超臨界状態又は亜臨界状態となった混合流体を移送する流路と、この流路の先端に設けられ、当該流路を通じて移送された混合流体を噴射するノズルとを備える装置を提供する。
【0016】
本発明に係る装置によれば、容器内で調製された混合流体から構造上の均一性に優れた複合粒子を安定的に製造できる。また、コア粒子の凝集に起因する不均一な粒子の生成、並びに、急激な圧力低下に起因する被覆材のみからなる粒子の生成を十分に抑制できる。
【0017】
本発明に係る装置は、コア粒子含有流体及び被覆材含有流体をそれぞれ収容する容器を備え、一方の流体を移送する流路内に他方の流体を添加し、この流路内でこれらの流体が混合される構成であってもよい。
【0018】
すなわち、本発明に係る装置は、複合粒子の製造に使用する第1の流体を収容する第1の容器と、複合粒子の製造に使用する第2の流体を収容する第2の容器と、第1の容器内の流体を加圧する第1の加圧手段と、第2の容器内の流体を加圧する第2の加圧手段と、直列に配置された2つ以上の絞り部を有し、加圧されて超臨界状態又は亜臨界状態となった第1の流体を移送する第1の流路と、上記2つ以上の絞り部の少なくとも1つに設けられた開口に連通し、加圧されて超臨界状態又は亜臨界状態となった第2の流体を第1の流路内に供給する第2の流路と、第1の流路の先端に設けられ、当該流路内で混合された第1及び第2の流体の混合流体を噴射するノズルとを備えたものであってもよい。
【0019】
かかる構成を採用することにより、予め調製した混合流体を移送する上記装置の効果に加え、一方の流体に添加する他方の流体の量を適宜調節することによってコア粒子と被覆材との比率を容易に変更できるという効果が奏される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、構造上の均一性に優れた複合粒子を効率的に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る装置の第1実施形態を示す模式図である。
【図2】図1に示す装置が備えるノズルの内部構造を示す模式断面図である。
【図3】本発明に係る装置の第2実施形態を示す模式図である。
【図4】本発明に係る装置の第3実施形態を示す模式図である。
【図5】図4に示す装置が備えるノズルの内部構造を示す模式断面図である。
【図6】本発明に係る装置の第4実施形態を示す模式図である。
【図7】(a)〜(c)は、3種類の試料の粒子径分布の測定結果をそれぞれ示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
本実施形態に係る方法及び装置よって製造される複合粒子は、コア粒子と当該コア粒子の表面の少なくとも一部を覆うように設けられた被覆材とを備える。
【0023】
コア粒子としては、超臨界状態又は亜臨界状態となる流体に溶解しないものであれば、特に制限はない。コア粒子の具体例としては、ニッケル、銀、銅、錫及び鉄等、並びに各種合金等の金属粒子、チタン酸バリウム、酸化ケイ素及び酸化チタンフェライト等の金属酸化物等の無機材料粒子、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリスチレン等の有機材料粒子が挙げられる。なお、コア粒子は、平均粒径が0.01〜1000μmであることが好ましく、0.1〜1μmであることがより好ましい。平均粒径が0.01μm未満であると、コア粒子の凝集が生じやすくなる傾向があり、他方、1000μmを越えると、コア粒子の沈降等によって分散性が不十分となりやすい。
【0024】
被覆材としては、超臨界状態又は亜臨界状態となる流体に十分に溶解するものであれば、特に制限はない。被覆材の具体例としては、パラフィン、シリコーンオイル、ポリエチレングリコール、高級脂肪酸、グリコールエステル、アクリル樹脂などが挙げられる。
【0025】
複合粒子は、幅広い分野での適用が可能であり、例えば、電子材料、触媒、医薬品及び食品等の分野における適用が可能である。コア粒子の材質及び被覆材の材質は、用途に応じて適宜選択すればよい。例えば、電子材料の分野においては、所望の耐熱性を有する導電性材料を製造するため、ニッケル粒子(コア粒子)及びシリコーン(被覆材)からなる複合粒子が利用されている。
【0026】
本実施形態においては、超臨界状態又は亜臨界状態において被覆材を高度に溶解する溶媒を使用する。かかる溶媒としては、室温大気圧下で気体となる二酸化炭素、メタン、エタン、プロパンなどが挙げられる。これらのうち、臨界点の温度圧力条件及び溶解度の観点から、二酸化炭素、メタンが好ましく、二酸化炭素がより好ましい。なお、上記溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、溶解度を増大させるための添加剤(エントレーナ)を併用してもよい。かかる添加剤としては、メタノール、エタノールなどが挙げられる。
【0027】
(複合粒子の製造装置)
図1を参照しながら、溶媒として二酸化炭素を使用する場合を例に挙げて本実施形態に係る装置について説明する。同図に示す複合粒子製造装置10は、二酸化炭素ボンベ1と、超臨界状態の混合流体を調製する容器3,4と、混合流体を噴射するノズル9と、これらを接続するラインL1,L2,L3とを備える。二酸化炭素ボンベ1内の二酸化炭素は、ラインL1を通じて容器3に供給できるようになっている。ラインL1の途中には、チラー2、ポンプ(加圧手段)P及びバルブV1が配設されている。
【0028】
容器3は、二酸化炭素及び被覆材を含有する超臨界状態の混合流体を収容するためのものであり、超臨界流体を攪拌するための攪拌翼3aを有する。攪拌翼3aを作動させることにより、被覆材が超臨界流体に均一に溶解される。容器3は、超臨界流体の温度を保持するために恒温槽3b内に収容されている。容器3内の混合流体は、ラインL2を通じて容器4に移送されるようになっている。
【0029】
容器4は、二酸化炭素及び被覆材を含有する超臨界状態の混合流体と、コア粒子とを収容するためのものであり、超臨界流体を攪拌するための攪拌翼4aを有する。攪拌翼4aを作動させることにより、コア粒子の沈降や凝集が抑制される。容器4は、超臨界流体の温度を保持するために恒温槽4b内に収容されている。容器4内の混合流体は、ラインL3を通じてノズル9にまで移送されるようになっている。
【0030】
図2に示すように、ノズル9には、直列に配置された3つの絞り機構5,6,7を有する流路が設けられている。絞り機構5は、一定の内径で延在する直管部5aと、流路断面が急激に小さくなる縮径部(絞り部)5bとによって構成される。絞り機構6,7も絞り機構5と同様、直管部6a,7a及び縮径部(絞り部)6b,7bをそれぞれ有する。
【0031】
絞り機構5,6,7の周りには、流体の温度を保持するためのヒータ8が配設されている。ヒータ8として、絞り機構5,6,7の各段の温度をそれぞれ所望の温度に調節できる機構を有したものを採用してもよい。これにより、絞り機構5,6,7の各段において、被覆材の二酸化炭素に対する溶解度をより一層高度に制御することが可能となる。
【0032】
(複合粒子の製造方法)
次に、装置10を用いて複合粒子を製造する方法について説明する。ここでは、コア粒子としてニッケル粒子を使用し、被覆材としてシリコーンを使用して電子材料用の複合粒子を製造する場合を例示する。
【0033】
まず、容器3内に所定量のシリコーンを入れ、容器4に所定量のニッケル粒子及び必要に応じて他の添加剤を入れる。バルブV1を開いた状態とし、バルブV2を閉じた状態として、ポンプPを作動させることによって、ラインL1を通じて二酸化炭素を容器3内に供給する。攪拌翼3aで混合流体を攪拌しながら、混合流体が超臨界状態となるまで加圧を続ける。二酸化炭素の臨界圧力は、7.4MPaであるが、これよりも十分高い圧力にまで昇圧することが好ましく、到達圧力は8〜60MPaであることが好ましく、10〜30MPaであることがより好ましい。
【0034】
容器3内の圧力が所定の圧力に達し、温度が30〜300℃(より好ましくは40〜60℃)の範囲内で十分に安定した段階で、シリコーンが溶解平衡になるまで十分攪拌した後、バルブV2を開いてラインL2を通じて混合流体を容器4に導入する。容器4内の圧力が所定の圧力に達し、温度が30〜300℃(より好ましくは40〜60℃)の範囲内で十分に安定した段階で、バルブV3を開いて混合流体の噴射を開始する。バルブV3を開くことにより、容器4内の超臨界状態の混合流体がラインL2を通じてノズル9内の絞り機構5,6,7を通過し、噴射される。
【0035】
絞り機構5,6,7は、急激な圧力低下により過飽和が生じて被覆材の粒子が生成しないように、絞り部の孔径を適宜設定する。例えば、容器3及び容器4内の圧力を20MPaとし、ノズル9内の絞り部5b,6b,7bの孔径をそれぞれφ0.2mm,φ0.15mm,φ0.1mmとした場合、直管部5a,6a,7aの圧力は、それぞれ20MPa、18MPa、12MPa程度となる。ノズル9内の温度は、ヒータ8によって二酸化炭素の臨界温度(31.1℃)以上に保温することが好ましい。かかる観点から、ヒータ8の設定温度は、40〜100℃が好ましく、50〜80℃がより好ましい。
【0036】
気化した二酸化炭素とともにノズル9から排出される複合粒子は、捕集板等で回収される。本実施形態に係る方法によれば、構造上の均一性に優れた複合粒子を効率的に製造できる。つまり、超臨界状態の混合流体が絞り機構5,6,7を順次通過することで、被覆材の溶解度も段階的に変化し、コア粒子の表面に局所的に析出した被覆材が再度溶解するなどの現象が起き、構造上の均一性に優れた複合粒子を安定的に製造できる。また、コア粒子の二次凝集に起因する不均一な複合粒子の生成、並びに、急激な圧力低下に起因する被覆材のみからなる粒子の生成を十分に抑制できる。
【0037】
<第2実施形態>
本実施形態に係る装置20は、図3に示すように、二つの容器3,4の代わりに、一つの容器13を有する点、並びに、絞り機構5,6,7の代わりにオリフィス機構15,16,17を備える点において、上述の装置10と相違する。装置20は、予め調製した混合流体を容器13内で超臨界状態とするとともに、当該流体の圧力を段階的に下げて複合粒子を製造するためのものである。以下、本実施形態について、上記相違点に係る構成について主に説明する。
【0038】
容器13は、二酸化炭素、コア粒子及び被覆材を含有する超臨界状態の混合流体を収容するためのものであり、超臨界流体を攪拌するための攪拌翼13aを有する。攪拌翼13aを作動させることにより、コア粒子の沈降や凝集が抑制される。容器13は、超臨界流体の温度を保持するために恒温槽13b内に収容されている。容器13内の混合流体は、ラインL2を通じてノズル19にまで移送されるようになっている。ラインL2の途中には、バルブV2が配設されている。
【0039】
ラインL2のバルブV2の下流側には、直列に配置された3つのオリフィス機構15,16,17を有する流路が設けられている。オリフィス機構15は、流路断面から不連続的に拡大した後、流路断面が徐々に小さくなる縮径部(絞り部)15aと、縮径部15aと連通しており一定の内径で延在する直管部15bと、直管部15bに配設された圧力調整弁15cとを有する。オリフィス機構16,17もオリフィス機構15と同様、縮径部(絞り部)16a,17a、直管部16b,17b及び圧力調整弁16c,17cをそれぞれ有する。
【0040】
オリフィス機構15,16,17の周りには、流体の温度を保持するためのヒータ18が配設されている。ヒータ18として、オリフィス機構15,16,17の各段の温度をそれぞれ所望の温度に調節できる機構を有したものを採用してもよい。これにより、オリフィス機構15,16,17の各段において、被覆材の二酸化炭素に対する溶解度をより一層高度に制御することが可能となる。
【0041】
(複合粒子の製造方法)
ニッケル粒子とこれを被覆するシリコーンとによって構成される複合粒子を装置20を用いて製造する方法について説明する。
【0042】
まず、容器13内に所定量のニッケル粒子、メチルフェニルシリコーン及び必要に応じて他の添加剤を入れる。バルブV1を開いた状態とし、バルブV2を閉じた状態として、ポンプPを作動させることによって、ラインL1を通じて二酸化炭素を容器13内に供給する。攪拌翼13aで混合流体を攪拌しながら、混合流体が超臨界状態となるまで加圧を続ける。二酸化炭素の臨界圧力は、7.4MPaであるが、これよりも十分高い圧力にまで昇圧することが好ましく、到達圧力は8〜60MPaであることが好ましく、10〜30MPaであることがより好ましい。
【0043】
容器13内の圧力が所定の圧力に達し、温度が30〜300℃(より好ましくは40〜60℃)の範囲内で十分に安定した段階で、バルブV2を開いて混合流体の噴射を開始する。バルブV2を開くことにより、容器3内の超臨界状態の混合流体がラインL2内のオリフィス機構15,16,17を通過し、ノズル19から噴射される。オリフィス機構15,16,17がそれぞれ有する圧力調整弁15c,16c,17cは、急激な圧力低下により過飽和が生じて被覆材の粒子が生成しないように、圧力を適宜設定する。
【0044】
気化した二酸化炭素とともにノズル19から排出される複合粒子は、捕集板等で回収される。本実施形態に係る方法によれば、第1実施形態と同様の作用により、構造上の均一性に優れた複合粒子を効率的に製造できる。
【0045】
<第3実施形態>
(複合粒子の製造装置)
本実施形態に係る装置30は、図4,5に示すように、容器3,4が並列に配置されている点、並びに、絞り機構5,6,7の代わりにオリフィス機構25,26,27をノズル29内に備える点において、上述の装置10と相違する。装置30は、コア粒子含有流体を移送する流路内に被覆材含有流体を添加し、この流路内でこれらの流体を混合できるようになっている。以下、本実施形態について、上記相違点に係る構成について主に説明する。
【0046】
容器(第1の容器)3は、コア粒子及び当該コア粒子を分散させる分散媒を含有するコア粒子含有流体(第1の流体)を収容している。二酸化炭素ボンベ1A内の二酸化炭素は、ラインL1Aを通じて容器3に供給される。ラインL1Aの途中には、チラー2A、ポンプ(第1の加圧手段)PA及びバルブV1Aが配設されている。容器3内のコア粒子含有流体は、ライン(第1の流路)L2Aを通じてノズル29にまで移送されるようになっている。ラインL2Aの途中には、バルブV2Aが配設されている。
【0047】
容器(第2の容器)4は、被覆材及び当該被覆材を溶解させる溶媒を含有する被覆材含有流体(第2の流体)を収容している。二酸化炭素ボンベ1B内の二酸化炭素は、ラインL1Bを通じて容器4に供給される。ラインL1Bの途中には、チラー2B、ポンプ(第2の加圧手段)PB及びバルブV1Bが配設されている。容器4内の被覆材含有流体は、ライン(第2の流路)L2Bを通じてノズル29にまで移送されるようになっている。ラインL2Bの途中には、バルブV2Bが配設されている。
【0048】
ラインL2A,L2BはバルブV3に接続され、バルブV3からラインL3を通じて混合流体がノズル29へと移送される。ノズル29内には直列に配置された3つのオリフィス機構25,26,27が設けられている。オリフィス機構25は、図5に示すように、流路断面から不連続的に拡大した後、一定の内径で延在する直管部25aと、直管部25aと連通しており流路断面が徐々に小さくなる縮径部(絞り部)25bとを有する。オリフィス機構26,27もオリフィス機構25と同様、直管部26a,27a、縮径部(絞り部)26b,27bをそれぞれ有する。
【0049】
オリフィス機構25,26,27の周りには、流体の温度を保持するためのヒータ28が配設されている。ヒータ28として、オリフィス機構25,26,27の各段の温度それぞれ所望の温度に調節できる機構を有したものを採用してもよい。これにより、オリフィス機構25,26,27の各段において、被覆材の二酸化炭素に対する溶解度をより一層高度に制御することが可能となる。
【0050】
容器3内のコア粒子含有流体と,容器4内の被覆材含有流体とは、V3を通じてノズル9内に供給できるようになっている。ポンプPA,PBの流量を制御することにより、被覆材の添加量を調整できるようになっている。容器4及びラインL2Bは、超臨界流体の温度を保持するために恒温槽24b内に収容されている。
【0051】
(複合粒子の製造方法)
ニッケル粒子とこれを被覆するシリコーンとによって構成される複合粒子を装置30を用いて製造する方法について説明する。
【0052】
容器3内に所定量のニッケル粒子及び必要に応じて他の添加剤を入れる。バルブV1Aを開いた状態とし、バルブV2Aを閉じた状態として、ポンプPAを作動させることによって、ラインL1Aを通じて二酸化炭素を容器3内に供給する。攪拌翼3aでコア粒子含有流体を攪拌しながら、この流体が超臨界状態となるまで加圧を続ける。到達圧力は8〜60MPaであることが好ましく、10〜30MPaであることがより好ましい。
【0053】
他方、容器4内に所定量のメチルフェニルシリコーン及び必要に応じて他の添加剤を入れる。バルブV1Bを開いた状態とし、バルブV2Bを閉じた状態として、ポンプPBを作動させることによって、ラインL1Bを通じて二酸化炭素を容器4内に供給する。攪拌翼4aで被覆材含有流体を攪拌しながら、この流体が超臨界状態となるまで加圧を続ける。到達圧力は8〜60MPaであることが好ましく、10〜30MPaであることがより好ましい。
【0054】
容器3,4内の圧力が所定の圧力に達し、温度が30〜300℃(より好ましくは40〜100℃)の範囲内で十分に安定した段階で、バルブV2A,V2B及びV3を開く。コア粒子含有流体及び被覆材含有流体がノズル9内に供給される。これらの流体は、ノズル29の流路内で混合された後、ノズル29の先端から噴射される。オリフィス機構25,26,27は、急激な圧力低下により過飽和が生じて被覆材の粒子が生成しないように、絞り部の孔径を適宜設定する。例えば、容器3及び容器4内の圧力を20MPaとし、ノズル9内の絞り部25b,26b,27bの孔径をそれぞれφ0.2mm,φ0.15mm,φ0.1mmとした場合、直管部25a,26a,27aの圧力は、それぞれ20MPa、18MPa、12MPa程度となる。ノズル29内の温度は、ヒータ28によって二酸化炭素の臨界温度(31.1℃)以上に保温することが好ましい。かかる観点から、ヒータ28の設定温度は、40〜100℃が好ましく、50〜80℃がより好ましい。
【0055】
気化した二酸化炭素とともにノズル9から排出される複合粒子は、捕集板等で回収する。本実施形態に係る方法によれば、第1実施形態の方法と同様の作用により、構造上の均一性に優れた複合粒子を効率的に製造できる。また、流路内に添加する被覆材含有流体の量を適宜調節することによってコア粒子と被覆材との比率を容易に変更できるという効果が奏される。
【0056】
<第4実施形態>
(複合粒子の製造装置)
本実施形態に係る装置40は、図6に示すように、オリフィス機構25,26,27の代わりにエジェクタ機構35,36,37を備える点において、上述の装置30と相違する。装置40は、コア粒子含有流体を移送する流路内に被覆材含有流体を添加し、この流路内でこれらの流体を混合できるようになっている。以下、本実施形態について、上記相違点に係る構成について主に説明する。
【0057】
容器3は、コア粒子及び当該コア粒子を分散させる分散媒を含有するコア粒子含有流体(第1の流体)を収容している。容器3内のコア粒子含有流体は、ライン(第1の流路)L2Aを通じてノズル39にまで移送されるようになっている。ラインL2Aの途中には、バルブV2Aが配設されている。
【0058】
ラインL2AのバルブV2Aの下流側には、直列に配置された3つのエジェクタ機構35,36,37が設けられている。エジェクタ機構35は、流路断面から不連続的に拡大した後、流路断面が徐々に小さくなる縮径部(絞り部)35aと、縮径部35aと連通しており一定の内径で延在する直管部35bと、直管部35bに配設された圧力調整弁35cとを有する。縮径部35aには、容器34から供給される被覆材含有流体をラインL2A内に供給するための開口35dが形成されている。エジェクタ機構36,37もエジェクタ機構35と同様、縮径部(絞り部)36a,37a、直管部36b,37b、圧力調整弁36c,37c及び開口36d,37dをそれぞれ有する。
【0059】
エジェクタ機構35,36,37の周りには、流体の温度を保持するためのヒータ38が配設されている。ヒータ38として、エジェクタ機構35,36,37の各段の温度それぞれ所望の温度に調節できる機構を有したものを採用してもよい。これにより、エジェクタ機構35,36,37の各段において、被覆材の二酸化炭素に対する溶解度をより一層高度に制御することが可能となる。
【0060】
容器(第2の容器)4は、被覆材及び当該被覆材を溶解させる溶媒を含有する被覆材含有流体(第2の流体)を収容している。容器4内の被覆材含有流体は、途中で3方に分岐したライン(第2の流路)L2Bを通じて開口35d,36d,37dからラインL2A内に供給できるようになっている。分岐前のラインL2Bには、バルブV2Bが設けられている。分岐後のラインL2Bには、バルブV25,V26,V27がそれぞれ配設されている。バルブV25,V26,V27の流量を制御することにより、被覆材の添加量を調整できるようになっている。容器34及びラインL2Bは、超臨界流体の温度を保持するために恒温槽4b内に収容されている。
【0061】
(複合粒子の製造方法)
ニッケル粒子とこれを被覆するシリコーンとによって構成される複合粒子を装置40を用いて製造する方法について説明する。
【0062】
容器3内に所定量のニッケル粒子及び必要に応じて他の添加剤を入れる。バルブV1Aを開いた状態とし、バルブV2Aを閉じた状態として、ポンプPAを作動させることによって、ラインL1Aを通じて二酸化炭素を容器3内に供給する。攪拌翼3aでコア粒子含有流体を攪拌しながら、この流体が超臨界状態となるまで加圧を続ける。到達圧力は8〜60MPaであることが好ましく、10〜30MPaであることがより好ましい。
【0063】
他方、容器4内に所定量のメチルフェニルシリコーン及び必要に応じて他の添加剤を入れる。バルブV1Bを開いた状態とし、バルブV2Bを閉じた状態として、ポンプPBを作動させることによって、ラインL1Bを通じて二酸化炭素を容器4内に供給する。攪拌翼4aで被覆材含有流体を攪拌しながら、この流体が超臨界状態となるまで加圧を続ける。到達圧力は8〜60MPaであることが好ましく、10〜30MPaであることがより好ましい。
【0064】
容器3,4内の圧力が所定の圧力に達し、温度が30〜300℃(より好ましくは40〜100℃)の範囲内で十分に安定した段階で、バルブV2A,V2B等を開く。コア粒子含有流体がエジェクタ機構35,36,37を高速で通過することによる流体の圧力低下によって開口35d,36d,37dから被覆材含有流体がラインL2A内に供給される。これらの流体は、ラインL2A内で混合された後、ノズル39から噴射される。エジェクタ機構35,36,37がそれぞれ有する圧力調整弁35c,36c,37cは、急激な圧力低下により過飽和が生じて被覆材の粒子が生成しないように、圧力を適宜設定する。
【0065】
気化した二酸化炭素とともにノズル39から排出される複合粒子は、捕集板等で回収する。本実施形態に係る方法によれば、第1実施形態の方法と同様の作用により、構造上の均一性に優れた複合粒子を効率的に製造できる。また、流路内に添加する被覆材含有流体の量を適宜調節することによってコア粒子と被覆材との比率を容易に変更できるという効果が奏される。
【0066】
<第5実施形態>
上記の第4実施形態においては、装置40の容器3内にコア粒子含有流体を収容し、容器4内に被覆材含有流体を収容する場合を例示したが、容器3,4に収容する流体を逆にしてもよい。すなわち、容器3内に被覆材含有流体(第1の流体)を収容し、容器4内にコア粒子含有流体(第2の流体)を収容して複合粒子の製造を行ってもよい。
【0067】
(複合粒子の製造方法)
容器3内に所定量のメチルフェニルシリコーン及び必要に応じて他の添加剤を入れる。バルブV1Aを開いた状態とし、バルブV2Aを閉じた状態として、ポンプPAを作動させることによって、ラインL1Aを通じて二酸化炭素を容器3内に供給する。攪拌翼3aで被覆材含有流体を攪拌しながら、この流体が超臨界状態となるまで加圧を続ける。到達圧力は8〜60MPaであることが好ましく、10〜30MPaであることがより好ましい。
【0068】
他方、容器4内に所定量のニッケル粒子及び必要に応じて他の添加剤を入れる。バルブV1Bを開いた状態とし、バルブV2Bを閉じた状態として、ポンプPBを作動させることによって、ラインL1Bを通じて二酸化炭素を容器4内に供給する。攪拌翼4aでコア粒子含有流体を攪拌しながら、この流体が超臨界状態となるまで加圧を続ける。到達圧力は8〜60MPaであることが好ましく、10〜30MPaであることがより好ましい。
【0069】
容器3,4内の圧力が所定の圧力に達し、温度が30〜300℃(より好ましくは40〜100℃)の範囲内で十分に安定した段階で、バルブV2A,V2B等を開く。被覆材含有流体がエジェクタ機構35,36,37を高速で通過することによる圧力低下によって開口35d,36d,37dからコア粒子含有流体がラインL2A内に供給される。これらの流体は、ラインL2A内で混合された後、ノズル39から噴射される。エジェクタ機構35,36,37がそれぞれ有する圧力調整弁35c,36c,37cは、急激な圧力低下により過飽和が生じて被覆材の粒子が生成しないように、圧力を適宜設定する。
【0070】
気化した二酸化炭素とともにノズル39から排出される複合粒子は、捕集板等で回収する。本実施形態に係る方法によれば、第1実施形態の方法と同様の作用により、均一性に優れた複合粒子を効率的に製造できる。また、流路内に添加するコア粒子含有流体の量を適宜調節することによってコア粒子と被覆材との比率を容易に変更できるという効果が奏される。
【0071】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、液相から気相への相転移がない点で特に好ましいとして、各流体を超臨界状態とする場合を例示したが、表面張力の影響を十分に小さくできる場合には、超臨界状態にまで昇温せず、亜臨界状態の流体を利用してもよい。
【0072】
また、溶媒及び分散媒として二酸化炭素を使用する場合を例示したが、二酸化炭素以外を使用してもよい。また、使用する溶媒及び分散媒は、選択する物質の種類によっては、溶媒及び分散媒として互いに異なる物質を使用してもよい。
【0073】
上記実施形態においては、絞り機構、オリフィス機構及びエジェクタ機構のいずれも3段のものを例示したが、2段以上であれば、特に制限されない。装置の製造コストと効果とのバランスの観点から、7段以下であることが好ましく、5段以下であることがより好ましい。
【0074】
流路に設ける絞り部は、オリフィスやエジェクタに限定されず、ベンチュリやリングノズルであってもよい。更に、直列に配置する複数の絞り部は、必ずしも同一の種類の機構で構成しなくてもよく、例えば、オリフィス、エジェクタ、ベンチュリ及びリングノズルから選ばれる2種以上を組み合わせて構成してもよい。
【0075】
<凝集状態の評価>
以下の3種類の試料(a)〜(c)について粒子径分布を測定することによって凝集状態の評価を行った。
(a)Ni粒子(コア粒子)、
(b)従来の装置(絞り段数:1段)を使用し、Ni粒子の表面にシリコーンをコートした複合粒子、
(c)本発明に係る装置(絞り段数:3段)を使用し、Ni粒子の表面にシリコーンをコートした複合粒子。
【0076】
試料(b)及び試料(c)は、絞り段数が異なるノズルを使用したことの他は、同様の条件下で調製したものである。製造装置として、図1,2に示す装置と同様の構成のものを使用し、条件は以下のように設定した。
容器3:到達圧力30MPa,温度60℃、
容器4:到達圧力30MPa,温度60℃、
ヒータ8:設定温度80℃。
【0077】
図7(a)〜(c)は、試料(a)〜(c)の粒子径分布の測定結果をそれぞれ示すグラフである。粒径分布測定は、気流式分散ユニット付きのレーザー回折式粒子径分布測定装置(Sympatec社製、商品名HELOS)を用いて行った。試料の導入量は0.2gとした。また、試料を分散させるための圧縮空気の圧力を0.1MPa又は0.2MPaに調整し、これらの圧力条件で分散処理が施された試料の粒度分布をグラフに示した。

【0078】
図7(a)のグラフを参照すると、分散圧力が0.1MPaの場合は粒径0.9μm付近及び10μm付近にピークが出現しているのに対し、分散圧力が0.2MPaの場合は10μm付近のピークが消えている。この結果から、10μm付近のピークは粒子の凝集によるものであり、Ni粒子の凝集は分散圧力を0.2MPaとすることで解消すると考えられる。
【0079】
図7(b)のグラフを参照すると、分散圧力が0.1MPaの場合、凝集した粒子(粒径1〜10μm)が残存していると認められる。更に、分散圧力を0.2MPaに高めてもその凝集状態が十分に解消しない。この結果から、従来の方法によって調製された複合粒子は、Ni粒子が凝集したままシリコーンがコートされた粒子を多く含んでいると考えられる。
【0080】
図7(c)のグラフを参照すると、分散圧力が0.1MPa及び0.2MPaのいずれの場合も、粒径0.9μm付近のみにピークが出現し、凝集を示すピークが存在しない。この結果から、本発明に係る方法によれば、Ni粒子が凝集したままシリコーンがコートされた粒子を極めて少なくできることが示された。
【符号の説明】
【0081】
3,4,13…容器、5,6,7…絞り機構、9,19,29,39…ノズル、10,20,30,40…複合粒子製造装置、15,16,17,25,26,27…オリフィス機構、35,36,37…エジェクタ機構、L2…ライン(流路)、L2A…ライン(第1の流路)、L2B…ライン(第2の流路)、P…ポンプ(加圧手段)、PA…ポンプ(第1の加圧手段)、PB…ポンプ(第2の加圧手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア粒子と、当該コア粒子の表面の少なくとも一部を覆うように設けられた被覆材とを備えた複合粒子の製造方法であって、
前記コア粒子と、前記被覆材と、当該被覆材を溶解させる溶媒とを含有する混合流体を加圧する工程と、
加圧されて超臨界状態又は亜臨界状態となった前記混合流体を、直列に配置された2つ以上の絞り部を有する流路で移送する工程と、
前記流路を通じて移送された混合流体を噴射して複合粒子を得る工程と、
を備える方法。
【請求項2】
コア粒子と、当該コア粒子の表面の少なくとも一部を覆うように設けられた被覆材とを備えた複合粒子の製造方法であって、
前記コア粒子と、当該コア粒子を分散させる分散媒とを含有するコア粒子含有流体を加圧する工程と、
前記被覆材と、当該被覆材を溶解させる溶媒とを含有する被覆材含有流体を加圧する工程と、
直列に配置された2つ以上の絞り部を有する流路で前記コア粒子含有流体を移送する工程と、
加圧されて超臨界状態又は亜臨界状態となった前記被覆材含有流体を、前記2つ以上の絞り部の少なくとも1つに設けられた開口から前記流路内に供給する工程と、
前記流路内で混合された前記コア粒子含有流体と前記被覆材含有流体との混合流体を噴射して複合粒子を得る噴射工程と、
を備える方法。
【請求項3】
コア粒子と、当該コア粒子の表面の少なくとも一部を覆うように設けられた被覆材とを備えた複合粒子の製造方法であって、
前記コア粒子と、当該コア粒子を分散させる分散媒とを含有するコア粒子含有流体を加圧する工程と、
前記被覆材と、当該被覆材を溶解させる溶媒とを含有する被覆材含有流体を加圧する工程と、
加圧されて超臨界状態又は亜臨界状態となった前記被覆材含有流体を、直列に配置された2つ以上の絞り部を有する流路で移送する工程と、
前記2つ以上の絞り部の少なくとも1つに設けられた開口から前記流路内に前記コア粒子含有流体を供給する工程と、
前記流路内で混合された前記コア粒子含有流体と前記被覆材含有流体との混合流体を噴射して複合粒子を得る工程と、
を備える方法。
【請求項4】
コア粒子と、当該コア粒子の表面の少なくとも一部を覆うように設けられた被覆材とを備えた複合粒子の製造装置であって、
前記コア粒子と、前記被覆材と、当該被覆材を溶解させる溶媒とを含有する混合流体を収容する容器と、
前記容器内の前記混合流体を加圧する加圧手段と、
直列に配置された2つ以上の絞り部を有し、加圧されて超臨界状態又は亜臨界状態となった前記混合流体を移送する流路と、
前記流路の先端に設けられ、当該流路を通じて移送された混合流体を噴射するノズルと、
を備える装置。
【請求項5】
コア粒子と、当該コア粒子の表面の少なくとも一部を覆うように設けられた被覆材とを備えた複合粒子の製造装置であって、
前記複合粒子の製造に使用する第1の流体を収容する第1の容器と、
前記複合粒子の製造に使用する第2の流体を収容する第2の容器と、
前記第1の容器内の流体を加圧する第1の加圧手段と、
前記第2の容器内の流体を加圧する第2の加圧手段と、
直列に配置された2つ以上の絞り部を有し、加圧されて超臨界状態又は亜臨界状態となった前記第1の流体を移送する第1の流路と、
前記2つ以上の絞り部の少なくとも1つに設けられた開口に連通し、加圧されて超臨界状態又は亜臨界状態となった前記第2の流体を前記第1の流路内に供給する第2の流路と、
前記第1の流路の先端に設けられ、当該流路内で混合された前記第1及び第2の流体の混合流体を噴射するノズルと、
を備える装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−36785(P2011−36785A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185880(P2009−185880)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【出願人】(304023318)国立大学法人静岡大学 (416)
【Fターム(参考)】