説明

複合黒鉛粒子及びそれを用いたリチウム二次電池

本発明は、高い電池容量を示し、充放電サイクル特性が良好で、かつ充電特性に優れた二次電池負極用として有用な複合黒鉛粒子、並びにこの複合黒鉛を用いた負極用ペースト、負極及びリチウム二次電池を提供する。
本発明の複合黒鉛粒子は、d(002)面の層間距離(d値)が0.337nm以下の黒鉛であり、かつラマン分光スペクトルで測定される1300〜1400cm-1の範囲にあるピーク強度(ID)と1580〜1620cm-1の範囲にあるピーク強度(IG)との強度比ID/IG(R値)が0.01以上0.1以下である芯材と、ラマン分光スペクトルで測定される1300〜1400cm-1の範囲にあるピーク強度(ID)と1580〜1620cm-1の範囲にあるピーク強度(IG)との強度比ID/IG(R値)が0.2以上である炭素質表層とからなり、バインダーと混合して1.55〜1.65g/cm3の密度に加圧成形したものをXRD測定したとき、黒鉛結晶の(110)面のピーク強度(I110)と(004)面のピーク強度(I004)の比I110/I004が0.2以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合黒鉛粒子及びその用途に関するものであり、詳細には、充放電を行った際の特性が良好で、充放電サイクル特性が良好である二次電池負極用活物質として有用な複合黒鉛粒子、その製造方法、並びにこの複合黒鉛粒子を用いた負極用ペースト、負極及びリチウム二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯機器等の電源としてリチウム二次電池が広く使用されてきた。携帯電話が発売された当初は電池の容量が足りないとか、充放電サイクル寿命が短いといった課題が多くあった。現在ではそのような課題を一つずつ克服して、リチウム二次電池の用途は携帯電話やノートブック型パソコン、デジタルカメラといった用途から、電動工具、電動自転車といったパワーを必要とする用途にも適用が広がってきている。
今後は、自動車の動力源としても適用されることが検討されており、新しい材料開発、セルの新しい設計等が盛んに研究されている。
負極材には従来黒鉛をはじめとする炭素系材料が主として用いられてきたが、最近では金属系負極材の開発も行われている。しかし、サイクル寿命や安定性等の問題があり、未だ課題が多く残されているのが現状である。
【0003】
炭素系材料には大きく分けて結晶化度の高い黒鉛材料、結晶化度の低いアモルファス炭素材料があるが、いずれもリチウムの挿入脱離反応が可能であることから、負極活物質に用いることができる。
アモルファス炭素材料は急速充放電でも使用でき、電池容量が大きいことが知られているが、サイクル劣化が著しいという欠点を持つ。一方、高結晶性黒鉛材料はサイクル特性が安定であるが、充電特性はアモルファス材料と比較すれば低い。しかし、黒鉛の理論電池容量相等の容量を得ることができること、サイクル特性が安定していることなどから、現在は高結晶性の黒鉛材料が広く負極材として用いられている。
【0004】
急速充放電を行う際に問題となるのが、負極活物質側でのリチウムイオンの挿入脱離反応が間に合わず、電池の電圧が急激に下限値若しくは上限値まで達し、それ以上反応が進まなくなることである。これは高結晶性の黒鉛材料に顕著である。
急速充放電のみを鑑みればアモルファス材料を用いれば良いのであるが、サイクル特性なども考慮すると実用的ではない。
アモルファス材料と高結晶性黒鉛材を複合化させるなど、両方の特徴を持ち合わせた材料の開発研究が盛んに行われ、様々な技術が提案されている。
例えば、特開2005−285633号公報(特許文献1)には、天然黒鉛とピッチを混合して不活性ガス雰囲気下において、900〜1100℃で熱処理を行うことにより、天然黒鉛の表面を非晶質炭素で被覆させる技術が開示されている(後記比較例1)。
特許2976299号公報(特許文献2)には、芯材となる炭素材料をタールまたはピッチに浸漬させ、それを乾燥または900〜1300℃で熱処理する技術が開示されている。
特許3193342号公報(欧州特許第917228号)(特許文献3)には、天然黒鉛または鱗片状人造黒鉛を造粒させた黒鉛粒子の表面にピッチなど炭素前駆体を混合し、不活性ガス雰囲気下で700〜2800℃の温度範囲で焼成させる技術が開示されている(後記比較例3)。
さらに、特開2004−210634号公報(WO2004/056703号パンフレット)(特許文献4)には、d(002)が0.3356nm、R値が0.07前後、Lcが約50nmである鱗片状黒鉛を機械的外力で造粒球状化した球状黒鉛粒子に、フェノール樹脂などの樹脂の加熱炭化物を被覆してなる複合黒鉛粒子を負極活物質として用いることが開示されている。この複合黒鉛粒子は、窒素雰囲気下1000℃で前炭化処理し、3000℃で炭化処理することによって得られると開示している(後記比較例4)。
【0005】
これら従来の黒鉛材料はいずれも高い電池容量を示すが、特許文献2から4のケースではサイクル特性が不十分であった。また、充電特性はいずれも低かった。
【0006】
そこで、本発明者らは先に、高い電池容量を示し、充放電サイクル特性が良好で、かつ充電特性に優れた二次電池負極用として有用な、d(002)面の層間距離(d値)が0.337nm以下の黒鉛からなる芯材と、ラマン分光スペクトルで測定される1300〜1400cm-1の範囲にあるピーク強度(ID)と1580〜1620cm-1の範囲にあるピーク強度(IG)との強度比ID/IG(R値)が0.3以上である黒鉛からなる表層とからなる複合黒鉛粒子であって、バインダーと混合して1.55〜1.65g/cm3の密度に加圧成形したものをXRDで測定したとき、黒鉛結晶の(110)面のピーク強度(I110)と(004)面のピーク強度(I004)の比I110/I004(結晶が0.15以上である複合黒鉛粒子を提案した(WO2007/072858号パンフレット;特許文献5)。
【0007】
【特許文献1】特開2005−285633号公報
【特許文献2】特許2976299号公報
【特許文献3】特許3193342号公報(欧州特許第917228号)
【特許文献4】特開2004−210634号公報(WO2004/056703号パンフレット)
【特許文献5】WO2007/072858号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、先に本発明者らが提案した特許文献5に記載のものよりも、さらに、急速充放電時の特性が良好で、かつ充放電サイクル特性が優れたリチウム二次電池負極用として有用な複合黒鉛、並びにこの複合黒鉛を用いた負極用ペースト、負極及びリチウム二次電池を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するために検討した結果、特定の層間距離を有する黒鉛からなる芯材と、ラマン散乱分光法より得られるR値が特定値以上の低結晶性炭素である炭素質表層とからなり、結晶配向性(I110/I004)が特許文献5に記載のものよりも高い複合黒鉛を負極活物質として用いることによって、急速充放電が特許文献5に記載のものよりも一層良好で充放電サイクル特性に優れたリチウム二次電池を得ることができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成にするに至った。
すなわち、本発明は以下の構成からなる複合黒鉛粒子及びその用途を提供するものである。
【0010】
[1]d(002)面の層間距離(d値)が0.337nm以下の黒鉛であり、かつラマン分光スペクトルで測定される1300〜1400cm-1の範囲にあるピーク強度(ID)と1580〜1620cm-1の範囲にあるピーク強度(IG)との強度比ID/IG(R値)が0.01以上0.1以下である芯材と、ラマン分光スペクトルで測定される1300〜1400cm-1の範囲にあるピーク強度(ID)と1580〜1620cm-1の範囲にあるピーク強度(IG)との強度比ID/IG(R値)が0.2以上である炭素質表層とからなる複合黒鉛粒子。
[2]バインダーと混合して1.55〜1.65g/cm3の密度に加圧成形したときのXRD測定から得られる黒鉛結晶の(110)面のピーク強度(I110)と(004)面のピーク強度(I004)の比I110/I004が0.2以上である前記1に記載の複合黒鉛粒子。
[3]表層の表面に気相法炭素繊維が接着している前記1または2に記載の複合黒鉛粒子。
[4]芯材の黒鉛のc軸方向の結晶子サイズLcが50nm以上である前記1〜3のいずれかに記載の複合黒鉛粒子。
[5]芯材の黒鉛が、人造黒鉛である前記1〜4のいずれかに記載の複合黒鉛粒子。
[6]芯材の粒子径が、レーザー回折法による粒度分布測定において平均粒子径が2〜40μmの範囲内である前記1〜5のいずれかに記載の複合黒鉛粒子。
[7]BET比表面積が0.5〜6m2/gである前記1〜6のいずれかに記載の複合黒鉛粒子。
[8]d(002)面の層間距離が0.337nm以下であり、かつc軸方向の結晶子サイズLcが50nm以上である前記1〜7のいずれかに記載の複合黒鉛粒子。
[9]レーザー回折法による粒度分布測定において平均粒子径が2〜40μmの範囲内である前記1〜8のいずれかに記載の複合黒鉛粒子。
[10]炭素質表層は、有機化合物を500℃以上2000℃以下の温度で熱処理して得られたものである前記1〜9のいずれかに記載の複合黒鉛粒子。
[11]有機化合物が、石油系ピッチ、石炭系ピッチ、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、フラン樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂及びエポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である前記10に記載の複合黒鉛粒子。
[12]表層の黒鉛の原料である有機化合物の被覆量が、芯材に対して0.1〜10質量%である前記10または11に記載の複合黒鉛粒子。
[13]d(002)面の層間距離(d値)が0.337nm以下である黒鉛からなる芯材と有機化合物を混合する工程と、500℃以上2000℃以下の温度で熱処理を行う工程とを含む、前記1〜12のいずれかに記載の複合黒鉛粒子の製造方法。
[14]前記1〜12のいずれかに記載の複合黒鉛粒子とバインダーと溶媒とを含む負極用ペースト。
[15]前記14に記載の負極用ペーストを集電体上に塗布し、乾燥し、加圧成形して得られる負極。
[16]前記15に記載の負極を構成要素として含むリチウム二次電池。
[17]非水系電解液及び/または非水系ポリマー電解質を用い、前記非水系電解液及び/または非水系ポリマー電解質に用いられる非水系溶媒にエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、及びビニレンカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種が含まれる前記16に記載のリチウム二次電池。
【発明の効果】
【0011】
本発明の複合黒鉛粒子は、急速充放電での特性が高く、リチウムイオンの受入性が高いので、サイクル特性良好で急速充電が可能なリチウム二次電池の負極用活物質として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
(複合黒鉛)
本発明の負極活物質として有用な複合黒鉛粒子は、黒鉛からなる芯材と、炭素質からなる表層とからなる。
【0013】
本発明の複合黒鉛粒子を構成する芯材に用いる黒鉛は、d(002)面の層間距離(d値)が0.337nm以下、好ましくは0.336nm以下である。また芯材に用いるのに好適な黒鉛は、c軸方向の結晶子サイズLcが50nm以上である。このd値及びLcは、粉末X線回折によって求めることができる。
本発明で芯材に用いる黒鉛は、ラマン分光スペクトルで測定される1300〜1400cm-1の範囲にあるピーク強度(ID)と1580〜1620cm-1の範囲にあるピーク強度(IG)との強度比ID/IG(R値)が0.01以上0.1以下である。
【0014】
芯材に用いるのに好適な黒鉛粒子は、そのBET比表面積が0.5〜10m2/g、より好ましくは0.5〜7m2/gである。
芯材に用いる黒鉛としては人造黒鉛、天然黒鉛が挙げられるが、人造黒鉛が好ましい。この原料としては石油系コークス等を用いることができる。
この人造黒鉛は2000〜3200℃の熱処理をされたものであることが好ましい。この熱処理は不活性雰囲気下で行うことが好ましいが、従来あるアチソン式黒鉛化炉などで行っても良い。
【0015】
複合化は、公知の方法に従って行うことができる。例えば、黒鉛粉末を先ず粉砕し、微粉化し、芯材を得る。次いで微粉化された黒鉛にバインダー等を噴きかけながら撹拌する。バインダーとしては、例えば、ピッチ、フェノール樹脂などの各種樹脂を使用することができ、その使用量は黒鉛100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましい。
また、(株)奈良機械製作所製ハイブリダイザー等の装置により黒鉛微粉とピッチ、フェノール樹脂を混合し、その後、熱処理をかける段階で自然に黒鉛微粉表面に付着させ複合化することもできる。
【0016】
芯材の平均粒子径は、好ましくは2〜40μmである。細かい粒子が多いと電極密度を上げ難くなり、また大きな粒子が多いと電極スラリー塗工時に塗り斑が発生し、電池特性を著しく低下させる恐れがある。このことから、芯材に用いる黒鉛の粒子径は全体の90%以上の個数の粒子が1〜50μmの範囲にあることが望ましい。
本発明の複合黒鉛粒子の粒子径は芯材の粒子径とほぼ同等であり、表層が設けられても数十nmの増加しかない。複合黒鉛となった粒子の平均粒子径も同様に2〜40μmが望ましい。
【0017】
本発明の複合黒鉛粒子を構成する表層は、ラマン分光スペクトルで測定される1300〜1400cm-1の範囲にあるピーク強度(ID)と1580〜1620cm-1の範囲にあるピーク強度(IG)との強度比ID/IG(R値)が0.20以上の炭素からなるものである。R値の大きな表層を設けることにより、黒鉛層間へのリチウムイオンの挿入・脱離が容易になり、二次電池の電極材としたときの急速充電性が改善する。なお、R値が大きいほど結晶性が低いことを示す。
【0018】
表層に用いる好適な炭素質は、有機化合物を200℃以上2000℃以下、好ましくは500℃以上1500℃以下、より好ましくは900℃以上1200℃以下で熱処理して得られたものである。
最終の熱処理温度は、低すぎると炭素化が十分に終了せず水素や酸素が残留し電池特性に悪影響を及ぼす可能性があることから、900℃以上が望ましい。また、処理温度が高すぎると黒鉛結晶化が進みすぎて充電特性が低下する恐れがあることから、1200℃以下が望ましい。
【0019】
有機化合物は特に限定されないが、等方性ピッチ、異方性ピッチ、樹脂または樹脂前駆体若しくはモノマーが好ましい。樹脂前駆体若しくはモノマーを用いた場合は、樹脂前駆体若しくはモノマーを重合して樹脂にすることが好ましい。好適な有機化合物としては、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、フラン樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂及びエポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の化合物が挙げられる。
【0020】
熱処理は、非酸化性雰囲気で行うことが好ましい。非酸化性雰囲気としては、アルゴンガス、窒素ガスなどの不活性ガスを充満させた雰囲気が挙げられる。
さらに本発明においては熱処理の後、解砕することが好ましい。前記熱処理によって、複合黒鉛同士が融着して塊になるので、電極活物質として用いるために微粒化するのである。本発明の微粒化された複合黒鉛の粒子径は、先述のとおり全体の90%以上の個数の粒子が5〜50μmの範囲にあることが望ましい。
【0021】
複合黒鉛のBET比表面積は、0.5〜10m2/g、好ましくは0.5〜6.0m2/gである。
【0022】
本発明の複合黒鉛粒子を構成する芯材と表層との割合は、特に限定されないが、芯材と炭素質表層との割合は、本発明の複合黒鉛を得る際に用いる有機化合物の量として、芯材100質量部に対して、0.1〜10質量部である。有機化合物の割合が少ないと、十分な効果が得られない。また、多すぎると電池容量が低下するおそれがある。
【0023】
本発明の複合黒鉛粒子は、その表層表面に気相法炭素繊維が結着していてもよい。使用できる気相法炭素繊維の平均繊維径は10〜500nmが好ましく、より好ましくは50〜300nm、さらに好ましくは70〜200nm、特に好ましくは100〜180nmである。平均繊維径が10nm未満だとハンドリング性が低下する。
【0024】
気相法炭素繊維のアスペクト比は特段の制約は無いが5〜1000が好ましく、より好ましくは5〜500であり、さらに好ましくは5〜300、特に好ましくは5〜200である。アスペクト比が5以上であれば、繊維状導電材としての機能を発揮し、アスペクト比が1000以下であればハンドリング性が良好である。
【0025】
気相法炭素繊維は、原料であるベンゼン等の有機化合物を、触媒としてフェロセン等の有機遷移金属化合物とともに、キャリアーガスを用いて高温の反応炉に導入、気相熱分解させて製造することができる。製造方法としては、例えば基板上に熱分解炭素繊維を生成させる方法(特開昭60−27700号公報)、浮遊状態で熱分解炭素繊維を生成させる方法(特開昭60−54998号公報)、反応炉壁に熱分解炭素繊維を成長させる方法(特許第2778434号公報)等があり、本発明で使用する気相法炭素繊維はこれらの方法により製造することができる。
【0026】
このようにして製造される気相法炭素繊維は、このまま原料として用いることができるが、気相成長後のそのままの状態では、表面に原料の有機化合物等に由来する熱分解物が付着していたり、炭素繊維を形成する繊維構造の結晶性が不十分であることがある。したがって、熱分解物などの不純物を除いたり、炭素繊維としての結晶構造を向上させるために、不活性ガス雰囲気下で熱処理を行うことができる。原料に由来する熱分解物等の不純物を処理するためには、アルゴン等の不活性ガス中で約800〜1500℃の熱処理を行うことが好ましい。また、炭素構造の結晶性を向上させるためには、アルゴン等の不活性ガス中で約2000〜3000℃の熱処理を行うことが好ましい。
その際に、炭化ホウ素(B4C)、酸化ホウ素(B23)、元素状ホウ素、ホウ酸(H3BO3)、ホウ酸塩等のホウ素化合物を黒鉛化触媒として混合することができる。ホウ素化合物の添加量は、用いるホウ素化合物の化学的特性、物理的特性に依存するため一概に規定できないが、例えば炭化ホウ素(B4C)を使用した場合には、気相法炭素繊維に対して0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%の範囲がよい。
このように処理された気相法炭素繊維は、例えばVGCF(登録商標;昭和電工(株)製)として市販されている。
【0027】
表層表面に気相法炭素繊維を結着(接着)させる方法に特に制限はない。例えば、複合化の際に芯材及び表層炭素質の原料と一緒に気相法炭素繊維を混合して熱処理を行えば、熱処理で表層炭素質原料が重合、炭化する過程で、気相法炭素繊維を表層部分に結着させることができる。
気相法炭素繊維の配合量は、芯材100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、さらに好ましくは0.1〜15質量部である。0.1質量部以上用いることで、表層表面を広く覆うことができる。
芯材と気相法炭素繊維の間には導電性のある炭素質表層により繋がっているので、接触抵抗が少なく、気相法炭素繊維を単純に電極へ添加することよりも効果が大きい。
【0028】
本発明の複合黒鉛粒子は、バインダーを用いて電極密度1.55〜1.65g/cm3に加圧成形した時のXRD測定から得られる黒鉛結晶の(110)面のピーク強度(I110)と(004)面のピーク強度(I004)の比I110/I004が0.2以上である。このピーク強度比が0.2未満になると、充電特性が低くなる。比I110/I004は、その値が大きいほど電極内での結晶配向性が低いことを表し、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.4以上である。
【0029】
本発明の好ましい複合黒鉛は、d(002)面の層間距離が0.337nm以下であり、かつc軸方向の結晶子サイズLcが50nm以上である。
【0030】
(負極用ペースト)
本発明の負極用ペーストは、前記複合黒鉛とバインダーと溶媒とを含むものである。この負極用ペーストは、前記複合黒鉛とバインダーと溶媒とを混練することによって得られる。負極用ペーストは、シート状、ペレット状等の形状に成形することができる。
バインダーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンターポリマー、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、イオン伝導率の大きな高分子化合物等が挙げられる。イオン伝導率の大きな高分子化合物としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリエピクロルヒドリン、ポリファスファゼン、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。複合黒鉛とバインダーとの混合比率は、複合黒鉛100質量部に対して、バインダーを0.5〜20質量部用いることが好ましい。
【0031】
溶媒は、特に制限はなく、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、イソプロパノール、水等が挙げられる。溶媒として水を使用するバインダーの場合は、増粘剤を併用することが好ましい。溶媒の量は集電体に塗布しやすいような粘度となるように調整される。
【0032】
(負極)
本発明の負極は前記負極用ペーストを集電体上に塗布し、乾燥し、加圧成形して得られる。
集電体としては、例えばニッケル、銅等の箔、メッシュなどが挙げられる。ペーストの塗布方法は特に制限されない。ペーストの塗布厚は、通常50〜200μmである。塗布厚が大きくなりすぎると、規格化された電池容器に負極を収容できなくなることがある。
加圧成形法としては、ロール加圧、プレス加圧等の成形法を挙げることができる。加圧成形するときの圧力は約100MPa〜約300MPa(1〜3t/cm2程度)が好ましい。このようにして得られた負極は、リチウム二次電池に好適である。
【0033】
(リチウム二次電池)
本発明のリチウム二次電池は、前記本発明の負極を構成要素として含む。
本発明のリチウム二次電池の正極には、リチウム二次電池に従来から使われていたものを用いることができる。正極活物質としては、LiNiO2、LiCoO2、LiMn24等が挙げられる。
【0034】
リチウム二次電池に用いられる電解液は、特に制限されない。例えば、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiBF4、LiSO3CF3、CH3SO3Li、CF3SO3Li等のリチウム塩を、例えばエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、アセトニトリル、プロピロニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン等の非水系溶媒に溶かしたいわゆる有機電解液や、固体若しくはゲル状のいわゆるポリマー電解質を挙げることができる。
【0035】
また、電解液には、リチウム二次電池の初回充電時に分解反応を示す添加剤を少量添加することが好ましい。添加剤としては例えば、ビニレンカーボネート、ビフェニール、プロパンスルトン等が挙げられる。添加量としては0.01〜5質量%が好ましい。
【0036】
本発明のリチウム二次電池には正極と負極との間にセパレーターを設けることができる。セパレーターとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを主成分とした不織布、クロス、微孔フィルムまたはそれらを組み合わせたものなどを挙げることができる。
【実施例】
【0037】
以下に実施例、比較例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、黒鉛特性、負極特性及び電池特性は以下の方法で測定し評価した。
【0038】
(1)比表面積
BET法により測定した。
【0039】
(2)粒子径
黒鉛を極小型スパーテル2杯分、及び非イオン性界面活性剤(トリトン−X)2滴を水50mlに添加し、3分間超音波分散させた。この分散液をCILAS社製レーザー回折式粒度分布測定器に投入し、粒度分布を測定し、全粒子の90%以上の粒子が含まれる粒子径範囲を算出した。
【0040】
(3)d値及びLc
学振法に従って粉末X線回折法により、d(002)面の層間距離、及びc軸方向の結晶子サイズを求めた。
【0041】
(4)I004及びI110
(株)クレハ製KF−ポリマー(L#9210;10質量%ポリ弗化ビニリデンのN−メチル−2−ピロリドン溶液)をポリ弗化ビニリデンの固形分が5質量%となるように、黒鉛に少量ずつ加えながら混練した。次いで、(株)日本精機製作所製脱泡ニーダー(NBK−1)を用いて500rpmで5分間混練を行い、ペーストを得た。自動塗工機とクリアランス250μmのドクターブレードを用いて、前記ペーストを集電体上に塗布した。
ペーストが塗布された集電体を約80℃のホットプレート上に置いて水分を除去した。その後、真空乾燥機にて120℃で6時間乾燥させた。乾燥後、黒鉛とバインダーの合計質量と体積とから割り出される電極密度が1.60±0.05g/cm3になるように一軸プレスにより加圧成形し、負極を得た。
得られた負極を適当な大きさに切り取り、XRD測定用のガラスセルに貼り付け、(004)面、及び(110)面に帰属されるXRDスペクトルを測定し、それぞれのピーク強度からピーク強度比を算出した。
【0042】
(5)電池の放電容量
露点−80℃以下の乾燥アルゴンガス雰囲気下に保ったグローブボックス内で下記の操作を実施した。
ポリプロピレン製のねじ込み式フタ付きのセル(内径約18mm)内で、負極をセパレーター(ポリプロピレン製マイクロポーラスフィルム(セルガード2400;東燃(株)))で挟み込んで積層した。さらにリファレンス用の金属リチウム箔(50μm)を同様に積層した。上記セルに電解液を注入しフタをして試験用3極式セルを得た。なお、電解液は、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとが体積比で2:3の割合で混合された溶媒に、電解質LiPF6を1Mの濃度で溶解させた溶液である。
得られた3極式セルに、レストポテンシャルから2mVまで0.2mA/cm2でCC(コンスタントカレント:定電流)充電を行った。次に2mVでCV(コンスタントボルト:定電圧)充電を行い、電流値が12.0μAに低下した時点で充電を停止させた。充電後、0.2mA/cm2でCC放電を行い、電圧1.5Vでカットオフした。この充放電における放電容量を「放電容量」として評価した。
【0043】
(6)電池のサイクル特性
露点−80℃以下の乾燥アルゴンガス雰囲気下に保ったグローブボックス内で下記の操作を実施した。
アルミ箔上に日本化学工業(株)製正極材C−10をバインダー(ポリフッ化ビニリデン:PVDF)3質量%を用いて塗布して正極を作製した。円筒形をしたSUS304製の受け外装材の中に、スペーサー、板バネ、並びに上記負極と正極とをセパレーター(ポリプロピレン製マイクロポーラスフィルム「セルガード2400」東燃(株)製)を介して積層した。該積層物の上に円筒形をしたSUS304製の上蓋外装材を載せた。次に、これを電解液の中に浸して、真空含浸を5分間行った。この後、コインかしめ機を用いてかしめることで、評価用のコインセルを得た。
このコインセルを用いて以下のような定電流定電圧充放電試験を行った。
初回と2回目の充放電サイクルは、次のようにして行った。レストポテンシャルから4.2Vまで0.2mA/cm2でCC(コンスタントカレント:定電流)充電し、次に4.2VでCV(コンスタントボルト:定電圧)充電を行い、電流値が25.4μAに低下した時点で充電を停止させた。次いで、0.2mA/cm2でCC放電を行い、電圧2.7Vでカットオフした。
3回目以降の充放電サイクルは、次のようにして行った。レストポテンシャルから4.2Vまで1.0mA/cm2(0.5Cに相当)でCC(コンスタントカレント:定電流)充電し、次に4.2VでCV(コンスタントボルト:定電圧)充電を行い、電流値が25.4μAに低下した時点で充電を停止させた。次いで、2.0mA/cm2(1.0Cに相当)でCC放電を行い、電圧2.7Vでカットオフした。
そして、3回目の放電容量に対する100回目の放電容量の割合を、「サイクル容量保持率」として評価を行った。
【0044】
(7)電池の充電特性(Li受入性)
放電容量を評価する際と同じ3極式セルを用いて、以下の方法で評価を行った。
レストポテンシャルから2mVまで0.2mA/cm2でCC(コンスタントカレント:定電流)充電を行った。次に2mVでCV(コンスタントボルト:定電圧)充電を行い、電流値が12.0μAに低下した時点で充電を停止させた。充電後、0.2mA/cm2でCC放電を行い、電圧1.5Vでカットオフした。この充放電を二回繰り返した。
次いで、レストポテンシャルから2mVまで2mA/cm2でCC(コンスタントカレント:定電流)充電を行った。次に2mVでCV(コンスタントボルト:定電圧)充電を行い、電流値が12.0μAに低下した時点で充電を停止させた。この際の全充電容量の内、CC充電の容量が占める割合を下記式
【数1】

で算出して充電特性を評価した。この占める割合が大きいほど、充電特性が良好であることを意味する。
【0045】
実施例1
石油系コークスを原料に用い、平均粒子径5μm以下となるように粉砕を行った。これをアチソン炉にて3000℃の熱処理を行い、d値が0.3359nmの芯材を得た。これに粉末状の等方性ピッチを芯材に対して1質量%を混合し、アルゴン雰囲気下で3000℃にて熱処理を行って本発明の複合黒鉛を得た。得られた黒鉛材料の評価結果を表1に示した。
【0046】
実施例2
石油系コークスを原料に用い、平均粒子径15μm以下となるように粉砕を行った。これをアチソン炉にて3000℃の熱処理を行い、d値が0.3359nmの芯材を得た。これに粉末状の等方性ピッチを芯材に対して1質量%を混合し、アルゴン雰囲気下で1100℃にて熱処理を行って本発明の複合黒鉛を得た。得られた黒鉛材料の評価結果を表1に示した。
【0047】
実施例3
石油系コークスを原料に用い、平均粒子径30μm以下となるように粉砕を行った。これをアチソン炉にて3000℃の熱処理を行い、d値が0.3359nmの芯材を得た。これに粉末状の等方性ピッチを芯材に対して1質量%を混合し、アルゴン雰囲気下で1100℃にて熱処理を行って本発明の複合黒鉛を得た。得られた黒鉛材料の評価結果を表1に示した。
【0048】
実施例4
石油系コークスを原料に用い、平均粒子径5μm以下となるように粉砕を行った。これをアチソン炉にて3000℃の熱処理を行い、d値が0.3359nmの芯材を得た。これに粉末状の等方性ピッチを芯材に対して1質量%と気相法炭素繊維(昭和電工(株)社製VGCF(登録商標)、平均繊維径150nm、平均アスペクト比47)を芯材に対して2質量%を混合し、アルゴン雰囲気下で1100℃にて熱処理を行って本発明の複合黒鉛を得た。得られた黒鉛材料の評価結果を表1に示した。
【0049】
比較例1
特開2005−28563号公報の記載に従い、以下の方法で黒鉛粒子を調製した。
日本黒鉛工業(株)製の球状化加工された天然黒鉛に軟化点300℃の石油ピッチを粉砕したものを3質量%混合し、アルゴンガス雰囲気下1000℃で焼成を行った。その後、軽く解砕して黒鉛材料を得た。得られた黒鉛材料の評価結果を表1に示した。
【0050】
比較例2
特許第2976299号明細書の記載に従い、以下の方法で黒鉛粒子を調製した。
日本黒鉛工業(株)製の球状化加工された天然黒鉛1に対して、軟化点80℃のコールタールピッチを2質量比加え、200℃に加温しながら混合した。一度室温まで冷却後、40℃のヘキサン中に入れて撹拌洗浄を行い、余分な油分を取り除いた。その後、ろ過によりヘキサンと混合物を分離させ、自然乾燥させた。次に、アルゴンガス雰囲気下1000℃で熱処理を行って黒鉛材料を得た。得られた黒鉛材料の評価結果を表1に示した。
【0051】
比較例3
特許第3193342号明細書の記載に従い、以下の方法で黒鉛粒子を調製した。人造黒鉛SFG44を原料に用いて(株)奈良機械製作所製ハイブリダイザーを用いて加工・凝集させ、円形度を0.941までに球形化させた。次いで、この粒子の表面に市販の石炭系ピッチを15質量%添加して500℃に加熱しながら混練を行った。次に、アルゴンガス雰囲気下1500℃で熱処理を行い、それを小型ミキサーで解砕して黒鉛材料を得た。得られた黒鉛材料の評価結果を表1に示した。
【0052】
比較例4
特開2004−210604号公報の記載に従い、以下の方法で黒鉛粒子を調製した。
鱗片状黒鉛SFG44を原料に用いて(株)奈良機械製作所製ハイブリダイザーにより凝集・球形化加工を行った。
この粉体に60質量%フェノール樹脂エタノール溶液を固形分で10質量%となるように加えて混練した。次いで、空気中270℃まで5時間かけて昇温し、さらに270℃で2時間保持して熱処理を行った。次に、窒素雰囲気中1000℃で熱処理し、その後、アルゴンガス雰囲気下3000℃で熱処理を行うことで、黒鉛材料を得た。得られた黒鉛材料の評価結果を表1に示した。
【0053】
【表1】

【0054】
以上の結果から、本発明の複合黒鉛粒子は、芯材黒鉛のd値が0.337nm以下で、表層黒鉛のR値が0.2以上で、バインダーとともに充填したときにI110/I004が0.2以上になる。このような特性を持つ複合黒鉛(実施例1〜3)は、高い初期放電容量を持ち、100回目のサイクル容量保持率が78%以上であり、さらに充電特性(Li受入性)が60%以上であることがわかる。また、表面に気相法炭素繊維を付着させた複合黒鉛(実施例4)では充電特性及びサイクル容量保持率がさらに向上している。
一方、比較例に示すように従来の製法で得られる黒鉛は、いずれも放電容量は大きいが、良好なサイクル特性と充電特性を得ることができていない(比較例1〜4)ことがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
d(002)面の層間距離(d値)が0.337nm以下の黒鉛であり、かつラマン分光スペクトルで測定される1300〜1400cm-1の範囲にあるピーク強度(ID)と1580〜1620cm-1の範囲にあるピーク強度(IG)との強度比ID/IG(R値)が0.01以上0.1以下である芯材と、ラマン分光スペクトルで測定される1300〜1400cm-1の範囲にあるピーク強度(ID)と1580〜1620cm-1の範囲にあるピーク強度(IG)との強度比ID/IG(R値)が0.2以上である炭素質表層とからなる複合黒鉛粒子。
【請求項2】
バインダーと混合して1.55〜1.65g/cm3の密度に加圧成形したときのXRD測定から得られる黒鉛結晶の(110)面のピーク強度(I110)と(004)面のピーク強度(I004)の比I110/I004が0.2以上である請求項1に記載の複合黒鉛粒子。
【請求項3】
表層の表面に気相法炭素繊維が接着している請求項1に記載の複合黒鉛粒子。
【請求項4】
芯材の黒鉛のc軸方向の結晶子サイズLcが50nm以上である請求項1に記載の複合黒鉛粒子。
【請求項5】
芯材の黒鉛が、人造黒鉛である請求項1または4に記載の複合黒鉛粒子。
【請求項6】
芯材の粒子径が、レーザー回折法による粒度分布測定において平均粒子径が2〜40μmの範囲内である請求項1、4、または5に記載の複合黒鉛粒子。
【請求項7】
BET比表面積が0.5〜6m2/gである請求項1に記載の複合黒鉛粒子。
【請求項8】
d(002)面の層間距離が0.337nm以下であり、かつc軸方向の結晶子サイズLcが50nm以上である請求項1に記載の複合黒鉛粒子。
【請求項9】
レーザー回折法による粒度分布測定において平均粒子径が2〜40μmの範囲内である請求項1に記載の複合黒鉛粒子。
【請求項10】
炭素質表層が、有機化合物を500℃以上2000℃以下の温度で熱処理して得られたものである請求項1に記載の複合黒鉛粒子。
【請求項11】
有機化合物が、石油系ピッチ、石炭系ピッチ、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、フラン樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂及びエポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である請求項10に記載の複合黒鉛粒子。
【請求項12】
表層の黒鉛の原料である有機化合物の被覆量が、芯材に対して0.1〜10質量%である請求項10に記載の複合黒鉛粒子。
【請求項13】
d(002)面の層間距離(d値)が0.337nm以下である黒鉛からなる芯材と有機化合物を混合する工程と、500℃以上2000℃以下の温度で熱処理を行う工程とを含む、請求項1〜12のいずれかに記載の複合黒鉛粒子の製造方法。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれかに記載の複合黒鉛粒子とバインダーと溶媒とを含む負極用ペースト。
【請求項15】
請求項14に記載の負極用ペーストを集電体上に塗布し、乾燥し、加圧成形して得られる負極。
【請求項16】
請求項15に記載の負極を構成要素として含むリチウム二次電池。
【請求項17】
非水系電解液及び/または非水系ポリマー電解質を用い、前記非水系電解液及び/または非水系ポリマー電解質に用いられる非水系溶媒にエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、及びビニレンカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種が含まれる請求項16に記載のリチウム二次電池。

【公表番号】特表2012−519124(P2012−519124A)
【公表日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−528107(P2011−528107)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【国際出願番号】PCT/JP2009/054356
【国際公開番号】WO2010/100764
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【出願人】(511038879)
【Fターム(参考)】