複屈折パターン認証装置
【課題】黒以外で複数の色が偏光板を介して視認される複屈折パターンであっても正確な認証が可能な複屈折パターン認証装置の提供。
【解決手段】光源と、該光源の光を偏光とする偏光子と、該偏光を被認証物に照射して生じる反射光または透過光を透過させて検出光とする偏光子と、該検出光を観察する手段とを有し、該光源が下記波長の単波長光を発する手段を含むか、該検出光を観察する手段に下記波長の単波長光のみを選択的に透過させる部位を含むフィルタが設けられている認証装置:複屈折パターンが偏光板を介して観察した際に異なる呈色を示す領域Xと領域Yとを含むとしたとき、(領域Xの偏光反射率)/(領域Yの偏光反射率)もしくは(領域Xの偏光透過率)/(領域Yの偏光透過率)、又は(領域Yの偏光反射率)/(領域Xの偏光反射率)もしくは(領域Yの偏光透過率)/(領域Xの偏光透過率)が1.5以上となる可視光波長領域から選択される波長。
【解決手段】光源と、該光源の光を偏光とする偏光子と、該偏光を被認証物に照射して生じる反射光または透過光を透過させて検出光とする偏光子と、該検出光を観察する手段とを有し、該光源が下記波長の単波長光を発する手段を含むか、該検出光を観察する手段に下記波長の単波長光のみを選択的に透過させる部位を含むフィルタが設けられている認証装置:複屈折パターンが偏光板を介して観察した際に異なる呈色を示す領域Xと領域Yとを含むとしたとき、(領域Xの偏光反射率)/(領域Yの偏光反射率)もしくは(領域Xの偏光透過率)/(領域Yの偏光透過率)、又は(領域Yの偏光反射率)/(領域Xの偏光反射率)もしくは(領域Yの偏光透過率)/(領域Xの偏光透過率)が1.5以上となる可視光波長領域から選択される波長。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複屈折パターン認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
偏光板を介した観察においてパターンが視認される複屈折パターンは、偽造又は変造がしにくく、真偽判定の手段として有用である。真偽判定のために複屈折パターン認証装置を用いれば、より正確な真偽判定が可能である。
複屈折パターンの潜像がマルチカラー潜像であると、偽造又は変造がさらに困難となり好ましいが、従来の複屈折パターン認証装置は、特にマルチカラー潜像への対応が考慮されていなかった。このため、単色光源が用いられている装置や、白色光源とカラーフィルタのない撮像素子が組み合わせられている装置に限られ、潜像の色によっては、像が視認しにくいことがあった。また、支持体が着色していると、真偽判定の妨げになるため、支持体の色に制約があった。
【0003】
特許文献1には、光源、受光部、偏光板を有する複屈折パターン認証システムの開示がある。また、特許文献2には、偏光照射手段を備え、被認証物からの反射光の光路上に偏光板を配置して、通過した光を観察する手段を備えた認証装置の記載がある。しかしいずれにおいても、光源が発する光の波長の選択方法、又は光源として二つ以上の単波長光を用いることについての記載はない。
【特許文献1】特開2007−1130号公報
【特許文献2】特開2004−354430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は偏光板を介した観察において、黒以外で複数の色が視認される複屈折パターンであっても正確な認証が可能である複屈折パターン認証装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題の解決のために鋭意研究を行った結果、被認証物に照射する光の波長を選択して偏光子を介した測定を行うことによって色の識別におけるS/N比が向上することを見出した。そして、選択された波長の単波長光を照射できる光源を用いるか、または、選択された波長を選択的に検出できるカラーフィルタが設けられた撮像素子を用いることによって、より正確な複屈折パターンの認証が可能であることを見出した。そしてこの知見を基に本発明を完成した。すなわち、本発明は下記[1]〜[14]を提供するものである。
【0006】
[1]偏光板を介して観察した際に異なる呈色を示す領域Xと領域Yとを有する複屈折パターンの認証装置であって、
該認証装置は、光源と、該光源の光を透過させて偏光とする偏光子と、該偏光を被認証物に照射して生じる反射光または透過光を透過させて検出光とする偏光子と、該検出光を観察する手段とを有し、かつ
該光源が下記波長の単波長光を発する手段を含むか、または該検出光を観察する手段に下記波長の単波長光のみを選択的に透過させる部位を含むフィルタが設けられている
認証装置:
(領域Xの偏光反射率)/(領域Yの偏光反射率)もしくは(領域Xの偏光透過率)/(領域Yの偏光透過率)、又は(領域Yの偏光反射率)/(領域Xの偏光反射率)もしくは(領域Yの偏光透過率)/(領域Xの偏光透過率)が1.5以上となる可視光波長領域から選択される波長。
【0007】
[2]前記領域X及び領域Yが、いずれも偏光板を介して観察した際に黒以外の色を呈する[1]に記載の認証装置
[3][1]又は[2]に記載の認証装置であって、光源が、前記波長の単波長光を発する手段と、他の波長の単波長光を発する手段の少なくとも1つとを含む認証装置。
[4]複屈折パターンの認証装置であって、
光源と、該光源の光を透過させて偏光とする偏光子と、該偏光を被認証物に照射して生じる反射光または透過光を透過させて検出光とする偏光子と、該検出光を観察する手段とを有し、
該光源が互いに異なる波長の単波長光を発する手段を2つ以上含む認証装置。
【0008】
[5]光源が、二種類以上の発光ダイオードを含む[3]または[4]に記載の認証装置。
[6]光源が、二種類以上の半導体レーザを含む[3]〜[5]の何れか一項に記載の認証装置。
[7]光源が、波長400nm〜500nmの光、波長500nm〜600nmの光、及び波長600nm〜700nmの単波長光からなる群より選択される2つ以上の単波長光を発する手段を含む[3]〜[6]の何れか一項に記載の認証装置。
[8]検出光を観察する手段が撮像素子である[1]〜[7]のいずれか一項に記載の認証装置。
【0009】
[9][1]又は[2]に記載の認証装置であって、検出光を観察する手段が、前記波長の光のみを選択的に透過させる部位と他の波長の光のみを選択的に透過させる部位の少なくとも1つとを含むフィルタが設けられた撮像素子である認証装置。
[10]複屈折パターンの認証装置であって、
光源と、該光源の光を透過させて偏光とする偏光子と、該偏光を被認証物に照射して生じる反射光または透過光を透過させて検出光とする偏光子と、該検出光を受光する撮像素子とを有し、
該撮像素子に互いに異なる波長の光のみをそれぞれ選択的に透過させる2つ以上の部位を含むフィルタが設けられている認証装置。
【0010】
[11]撮像素子に設けられているフィルタが、波長400nm〜500nmの光を選択的に透過させる部位、波長500nm〜600nmの光を選択的に透過させる部位、及び波長600nm〜700nmの単波長光を選択的に透過させる部位からなる群より選択される2つ以上の部位を含むフィルタである[9]又は[10]に記載の認証装置。
[12]撮像素子に設けられているフィルタが、波長500nm〜700nmの光を選択的に透過させる部位、波長400nm〜500nm及び600nm〜700nmの光を選択的に透過させる部位、及び波長400nm〜600nmの単波長光を選択的に透過させる部位からなる群より選択される2つ以上の部位を含むフィルタである[9]又は[10]に記載の認証装置。
【0011】
[13]偏光子を回転させる手段を有する[1]〜[12]のいずれか一項に記載の認証装置。
[14][1]〜[13]のいずれか一項の記載の装置と、
該装置を用いて真の複屈折パターンを観察して得られる画像を記憶する手段と、
被認証物につき、該装置を用いて画像を取得する手段と
記憶された画像と取得した画像との一致又は不一致を判別する手段と、
一致を真、不一致を偽として表示する手段とを含む、
複屈折パターンの認証を行うシステム。
【発明の効果】
【0012】
本発明により偏光板を介した観察において白又は黒以外の複数の色が視認される複屈折パターンであっても正確な認証が可能である複屈折パターン認証装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
【0014】
本明細書において、レターデーション又はReは面内のレターデーションを表す。面内のレターデーション(Re(λ))はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。本明細書におけるレターデーション又はReは、R、G、Bに対してそれぞれ611±5nm、545±5nm、435±5nmの波長で測定されたものを意味し、特に色に関する記載がなければ545±5nmまたは590±5nmの波長で測定されたものを意味する。なお、本明細書において、「可視光」とは、波長が400〜700nmの光のことをいう。
【0015】
本明細書において、複屈折パターンとは、複屈折が異なる領域を複数含む物品を意味する。具体的には、法線方向から偏光板を介して観察されたときに互いに異なる2色以上の色を示す領域を複数含む物品を意味する。この「異なる色」は通常、偏光板がない状態では認識されないが、偏光板を介して認識されるものを意味する。このとき、偏光板は、直線偏光板を意味し、偏光板の透過軸の向きは「異なる色」が認識される向きで配置されるものとする。上記の異なる色を示す領域はレターデーション及び/又は光軸方向が互いに異なる領域であればよい。なお、本明細書において「光軸」というとき、「遅相軸」又は「透過軸」を意味する。本明細書において「レターデーション及び/又は光軸方向が互いに異なる領域を2つ以上有する」ことを「レターデーション及び/又は光軸方向をパターン状に有する」又は「レターデーション及び/又は光軸方向がパターニングされている」という場合がある。複屈折パターンは異なる色を示す領域を3つ以上有することがさらに好ましい。上記の色が同一である個々の領域は連続的形状であっても非連続的形状であってもよい。複屈折パターンは通常平面(膜又はシート)状の形状を有していればよい。また、上記領域は平面の法線方向から複屈折パターンを観察した場合に認識されるものであるため、この平面の法線と平行な面により分割された領域となる。
【0016】
なお、本発明の認証装置は、複屈折パターンが、前記領域として、偏光板を介して、好ましくは偏光板を介して法線方向から、観察されたときに黒ではない色を呈する、領域Xと領域Yとを少なくとも含むものである場合(カラー潜像)において特に有用であるが、複屈折パターンが偏光板を介して観察されたときに黒及び黒以外の1色のみからなる場合(モノクロ潜像)に本発明の認証装置を用いてもよい。
【0017】
本明細書において、「認証」は、「識別」、「有無の確認」または「真偽判定」の意味を含む。
本明細書において、単波長光とは、1つの波長に際立ったスペクトルピークを有する光を意味する。ピークの半値幅は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。また、本明細書において、単波長光の波長を示すとき、±50nmの誤差があってもよい
また、フィルタにおいて特定の波長の光のみを選択的に透過させるという場合も、透過させる光の波長は上記と同等の幅及び誤差があってもよい。
【0018】
複屈折パターンの例としてはレターデーション及び/又は光軸方向が面内でパターニングされた光学異方性層を含む物品が挙げられる。複屈折パターンの例を図1に示す。図1(a)はレターデーションがパターニングされている例である。図1(a)に示す例においてはa nm, b nm, c nm, 及びd nmで示されるレターデーションは互いに異なるものとする。図1(b)は光軸方向がパターニングされている例である。図1(b)において矢印は光軸方向を示す。
【0019】
このような複屈折パターンは、医薬品、家電製品、衣料品といった、各種商品のタグなどに設けることで、ブランドプロテクションに用いることができる。あるいは、クレジットカード、入退室管理カードといったIDカード、紙幣、小切手、商品券等の有価証券に用いることで、偽造防止効果が期待される。
レターデーションが面内でパターニングされた光学異方性層は、例えば、以下のような方法で作製することができる。まず、液晶性化合物を含む溶液を、塗布・乾燥して、液晶相を形成した後、濃度マスクを用いてパターン露光を行う、あるいは、異なる照射条件でのパターン露光を複数回行った後、ベーク処理を行うことによって作製することができる。光軸方向が面内でパターニングされた光学異方性層は、例えば、特表2001−525080号公報に記載の方法で得ることができる。
【0020】
本発明の認証装置は、光源と、該光源の光を透過させて偏光とする偏光子と、該偏光を被認証物に照射して生じる反射光または透過光を透過させて検出光とする偏光子と、該検出光を観察する手段とを有する。認証装置は被認証物を配置するための試料台を有していてもよい。
【0021】
光源としては、下記に説明するように選択される単波長光を発する手段を有する光源を用いる。単波長光を発する手段を有する光源としては、蛍光灯、白熱灯、冷陰極管などの白色光源にフィルタを設けた光源、可視光域ピーク波長を有する発光ダイオードを含む光源、あるいは、可視光域にピーク波長を有する半導体レーザを含む光源を好ましく用いることができる。さらに、光源は互いに波長(ピーク波長)の異なる2つ以上の単波長光を発することができることも好ましい。このような光源としては、白色光源に特定の波長のみを選択的に透過させる部位を2種以上含むフィルタを設けた光源を用いてもよいが、可視光域に互いに異なるピーク波長を有する2種類以上の発光ダイオード、あるいは、可視光域に互いに異なるピーク波長を有する2種類以上の半導体レーザを好ましく用いることができる。一度に異なる単波長光を発することができるようにアレイ構造の光源(LEDアレイなど)を用いてもよい。後述のように二色以上のカラーフィルタを有する撮像素子を検出光の観察のための手段として用いる場合には、光源は単波長光を発することができる必要性はなく、白色光であってもよい。また、認証される複屈折パターンにおいて偏光板を介して観察したときに視認される色が少ない(例えば、白と赤の二色パターンなど)場合は、後述のように選択された波長の単波長光であれば1つの単波長光のみを発する手段のみを含む光源を用いてもよい。
【0022】
また、光源として2つ以上の手段を用いる場合は、独立にオン、オフを切り替えられるものであることが好ましい。目視の認証に用いられる装置(撮像素子等を有しない装置)の場合等においては、被認証物の複屈折パターンに均一に照明できるよう、拡散面光源であることが好ましい。拡散面光源としては、蛍光灯面光源、ディスプレイ等に好適に用いられる冷陰極管、LED等を用いることができる。さらにこれらの光源に拡散シート、集光シート、輝度向上シート等を組み合わせてもよい。これらの面光源の上に色フィルタを設置することによって、分光分布を調整することができる。あるいは、LED光源を用いる場合には、発光波長の異なる複数種類のLED素子を配列させてもよい。撮像素子等を有する装置において、光源はライン状光源、点光源を用いて線状、点状に照射し、それを走査してもよい。ライン光源としては、LED、レーザをライン状に配置した光源を好適に用いることができる。その他に、適宜、色フィルタを設置した蛍光灯、ハロゲン、キセノン、メタルハライド等とスリット、シリンドリカルレンズなどの公知技術を組み合わせたライン照明を用いてもよい。また、光ファイバをライン光源としてもよい。光源と被検体の間には、適宜、集光レンズ、あるいは結像レンズを配置することが好ましい。
【0023】
光源の光を透過させて偏光とする偏光子と反射光または透過光を透過させて検出光とする偏光子は同一であっても別個(種類としては同一であるものを含む)のものであってもよい。後述のように透過型の場合は別個のものを用いる。後述のように反射型の場合は同一とすることができるが、別個のものを用いてもよい。同一のものを用いた場合は装置が簡素な構造になるという利点があり、別個のものを用いると個々に最適の透過軸方向の調整が可能であるとの利点がある。
偏光子としては、市販されているシート状の偏光子を好ましく用いることができる。
本発明の認証装置は偏光子の光軸と被認証物の光軸のなす角を調整できるように、それぞれの偏光子を回転させる機構を備えていてもよい。
【0024】
本発明の認証装置の例の概略図を図2及び図3に示す。図2及び図3において矢印は光の進行方向を示す。矢印の先の部分に検出光を観察するための手段を有する。
図2は、光源と、該光源の光を透過させて偏光とするとともに該偏光を被認証物に照射して生じた反射光を透過させて検出光とする偏光子からなる反射型の本発明の認証装置の例の概略図を示す。このような装置は図に示すように被認証物が反射支持体を有する場合に用いることができる。光源は、発する光が被認証物に効率的に照射されて検出光を観察する手段に反射するように配置される。偏光板は被認証物と光源との間に配置され、偏光板及び被認証物は光源からの光を複屈折パターンの識別に望ましい方向に偏光させるように配置される。通常複屈折パターン(被認証物)の各領域の光軸方向と偏光板の光軸方向が45°となるように配置することが好ましい。したがって、特に光軸方向が互いに異なる領域を2つ以上有する複屈折パターンの認証を行う場合には認証装置は偏光子を回転させる機構を備えていることが好ましい。
【0025】
例えば、偏光板を介さない反射光が白色である複屈折パターンを付与した被認証物では上述のように、複屈折パターンにおける少なくとも1つの領域の光軸方向と偏光板の光軸方向が45°となるように配置された場合、当該領域のレターデーションが0nm付近である場合に、反射光輝度は最も高くなり、「白」として観察される。一方で、当該領域のレターデーションがλ/4(通常137.5nm付近)である場合には、反射光輝度は低くなり、「黒」として観察され、コントラストが明確となる。さらに、上記のような配置において、前記領域につき、レターデーションが200nm付近においては青色、500nm付近においては緑色、650nm付近においては赤色の反射色が観察される。
【0026】
図3は、光源と、該光源の光を透過させて偏光とする偏光子と、該偏光子とは別の該偏光を被認証物に照射して生じた反射光を透過させて検出光とする偏光子からなる透過型の本発明の認証装置の例の概略図を示す。このような装置は図に示すように被認証物が透明支持体を有する場合に用いることができる。光源は、発する光が偏光板、被認証物、に効率的に照射されて検出光を観察する手段に反射するように配置される。2つの偏光板は被認証物がその間になるように配置され、偏光板及び被認証物は光源からの光を複屈折パターンの識別に望ましい方向に偏光させるように配置される。通常複屈折パターン(被認証物)の各領域の光軸方向と偏光板の光軸方向が45°となるように配置することが好ましく、2つの偏光子はクロスニコル又はパラニコルの配置となっていることが好ましい。
【0027】
例えば、偏光子を介さない透過光が白色である複屈折パターンを付与した被認証物では2つの偏光子がクロスニコルで配置された場合、複屈折パターンにおいてレターデーションが0nm付近であると、透過光輝度が最も低くなり、「黒」として観測される。レターデーションがλ/2付近である場合には、透過光輝度は最大となり、「白」として観測される。また、例えば、レターデーションが450nm、730nm、580nm付近においては、それぞれ、赤色、緑色、青色として観測される。
逆に、2つの偏光子がパラニコルで配置された場合、複屈折パターンにおけるレターデーションが0nm付近である場合に、透過光輝度は最も高くなり、「白」として観測される。レターデーションがλ/2付近である場合には、透過光輝度は最小となり、「黒」として好適に用いることができる。それ以外には、例えば、レターデーションが680nm、490nm、290nm付近においては、それぞれ、赤色、緑色、青色を呈するが、クロスニコルで配置された場合と比較すると、色の鮮やかさにおいて劣る。
【0028】
検出光を観察するための手段は、目視により観察するための光の表示部位(単なる窓)であってもよい。窓にフィルタを設けてもよい。また、検出光を観察するための手段として撮像素子を用いてもよい。
撮像素子としては、CMOSイメージセンサ、CCD等を好適に用いることができる。二次元アレイを用いる他、ラインセンサや単独の受光素子を走査することで、撮像素子として、二次元画像を取得してもよい。受光素子としては、フォトダイオードなどを利用することができる。
また、特に、単波長光を発する手段を有する光源を用いない場合においては、フィルタが設けられた撮像素子を用いればよい。ここでフィルタは特定の波長のみを選択的に透過させる部位を含むフィルタ(いわゆるカラーフィルタ)を意味する。2種以上の上記部位(互いに異なる波長の光を透過させる部位)を含むフィルタが設けられていることも好ましい。フィルタは着脱可能な形態で設けられていてもよい。
撮像素子の入射側には、適宜、レンズを配置することが好ましい。
【0029】
認証装置は、外光の映り込みを防止する目的で、観察部以外は、遮光されていることが好ましい。
また、認証装置は、固定式でも、ハンディタイプでもよい。固定式の場合には、サンプル挿入口が設けられていてもよい。
【0030】
本発明の認証装置に用いられる光源に含まれる単波長光の波長の選択方法につき以下に説明する。
図4に、複屈折パターンの例を各領域のレターデーション値と観察される色とともに示す。以下、R、G、B、K、Wは、赤色、緑色、青色、黒色、白色を表す。
この複屈折パターンは、レターデーションの異なる5つの領域からなる光学異方性層が、アルミシート上に設けられたものである。この複屈折パターンAは、通常の目視では、パターンを識別することができない。しかし、この複屈折パターンA上に、光学異方性層の遅相軸と偏光板の吸収軸のなす角が45°となるように偏光板を重ねると、それぞれの領域は、図中に示す色に発色した。偏光板を重ねた状態における、それぞれの領域の反射スペクトルを図5に示す。
【0031】
Wの背景にK、あるいは、Kの背景にWのパターンのある場合、いずれの波長でも、反射率差が大きいため、コントラスト良く、パターンを識別することができる。しかし、例えば、Wの背景にRのパターンが施されている場合、パターンをS/N比高く識別するためには、Gの光で読み込むことが好ましい。なお、Gの光で「読み込む」とは、Gの単波長光(波長500〜600nm)を被認証物に照射するか、またはGの光のみ検出することを意味する。具体的には、緑色に発色する発光ダイオードを複屈折パターンに照射して、目視観察、あるいは、撮像素子で撮影するか、白色光を複屈折パターンに照射して、カラーCCDで撮影し、緑色の輝度情報を取り出せばよい。Rの光(波長600〜700nm)、Bの光(波長400〜500nm)についても同様である。
同様に、背景の色とパターンの色に応じて、読み込む光の色を選択することができる。代表的な背景とパターンの色と、それを読み込むのに適切な光の色を表1にまとめた。
【0032】
【表1】
【0033】
このように、光源の発する光の波長又は撮像素子において選択される波長は、潜像の色によって選択することが好ましい。例えば、図4に示す複屈折パターンにおいて、白背景上に描かれた赤いパターン(左半面のR)を読み取るには、反射率差の大きい535nm付近、あるいは430nm付近の波長の単波長光を用いると、読み取りやすい。逆に黒背景上に描かれた赤いパターン(右半面のR)を読み取るには、630nm付近、あるいは、475nm付近の波長の単波長光を用いると読み取りやすい。このように、潜像に応じて、光源に用いる波長を選択することで、読み取り易さが向上する。潜像が黒及び白以外の色を2色以上含むマルチカラー潜像である場合には、光の三原色である赤色、緑色、青色を光源の光の波長、または、撮像素子に用いられるフィルタが選択する波長として用いられることが好ましい。例えば、赤色、緑色、青色に発色する三種類の手段を含む光源を用いることができる。この場合、光源として、赤色、緑色、青色の発光ダイオードを配列したものを用いる方法や、赤色、緑色、青色に発色する面光源を3箇所から被認証物に照射する方法などが挙げられる。
【0034】
このように被認証物に照射する光の波長は認証される複屈折パターンに含まれる色(潜像における色)によって選択することが好ましい。上記のように領域ごとの反射スペクトル又は透過スペクトル(偏光板を介して測定されるもの)を可視光領域において比較し、領域間で偏光反射率又は偏光透過率の比が大きい波長を選ぶことが好ましい。偏光反射率又は偏光透過率とは、法線方向から偏光板を介したときの2つの領域の反射率又は透過率を意味する。具体的には、上記の2つの領域の偏光反射率又は偏光透過率は本発明の認証装置によって認証が行われる場合の条件と同様の条件で行われた測定により測定された値、または同様の条件であるとして計算された値であればよい。偏光反射率又は偏光透過率の比が大きい波長として、具体的には、偏光反射率の比又は偏光透過率の比(小さいほうの値で大きいほうの値を割った値)が1.5以上となる波長領域(可視光領域)から選択される波長であることが好ましく、2.0以上となる波長領域から選択される波長であることがより好ましい。すなわち、複屈折パターンにおける複屈折が異なる2つの領域を領域X及び領域Yとするとき、(領域Xの偏光反射率)/(領域Yの偏光反射率)もしくは(領域Xの偏光透過率)/(領域Yの偏光過率)、又は(領域Yの偏光射率)/(領域Xの偏光反射率)もしくは(領域Yの偏光透過率)/(領域Xの偏光透過率)が1.5以上、好ましくは2.0以上となる波長領域であればよい。
偏光反射率の比又は偏光透過率の比のどちらを用いて波長を選択してもよく、通常は、透過型の装置の場合は偏光透過率の比、反射型装置の場合は偏光反射率の比を用いて判断すればよい。
【0035】
例えば、複屈折パターンが偏光板を介して観察されたときに、実質的に黒及び「白」のみからなるモノクロ潜像の場合は、偏光反射率又は偏光透過率の比はいずれの波長においても大きく、(領域Xの偏光反射率)/(領域Yの偏光反射率)もしくは(領域Xの偏光透過率)/(領域Yの偏光透過率)、又は(領域Yの偏光反射率)/(領域Xの偏光反射率)もしくは(領域Yの偏光透過率)/(領域Xの偏光透過率)は、1.5以上であると考えることができる。一方で、複屈折パターンが複屈折パターンが偏光板を介して観察されたときに黒及び白以外の色を示す領域を含むカラー潜像である場合、または複屈折パターンが着色支持体を含む場合などにおいては、上記のような波長の選択により複屈折パターンの認証を可能にする、または精度を上げることができる。
なお、観察される領域は領域Xと領域Yの他に観察されるべき光が遮蔽されてなる黒色の領域や領域Xと領域Y以外の色を呈色する領域を含んでいてもよい。
【0036】
また、上記の特定の波長の選択を行わない場合であっても、光源が互いに異なる波長の単波長光を発する手段を2つ以上含む認証装置の構成とすることによって、複屈折パターンの各領域間で反射率又は透過率の比がより大きい波長を選択等することが可能になり、複屈折パターンの認証の精度を上げることができる。また、2つ以上の反射率又は透過率の組み合わせによって、より複雑な複屈折パターンの認証も可能になる。
【0037】
複屈折パターンは着色支持体を含むものであってもよい。すなわち、複屈折パターンは偏光板を介さない目視でも視認可能なパターンが描かれていてもよい。特定の色で複屈折パターンを読み込む場合は、それ以外の色の影響を受けないのでそれ以外の色で着色支持体を用いることができる。例えば、先の例のように、Gの光で複屈折パターンを読み込む場合は、赤色や青色の影響は受けないので、支持体に赤色や青色の着色があってもよいことになる。
あるいは、全面に着色した反射支持体を用いてもよい。例えば、赤い反射支持体を用いた場合、読み取り光は赤色である必要がある。この場合、K、または、G、またはBは反射率が低く、W、またはRは反射率が高いので、これを用いて潜像にオン・オフをつけることができる。
【0038】
本発明の認証装置の使用の利点として、潜像画像のSN比を向上させられることが挙げられる。また、真偽判定の手段として用いる複屈折パターンの潜像に使用する色(反射色、あるいは透過色)の選択肢を広げることができる、という利点がある。また、上記のように着色した支持体を用いたりすることも可能となる。
【0039】
複屈折パターン認証装置の例
(複屈折パターン認証装置例A:図6)
この例は光源として2種以上の単波長(可視光領域)光を発する手段を含む光源を用いている。偏光子は1つ設けられ、光源から偏光子を介して被認証物に照射された被認証物からの反射光を偏光子を介して観察部にて潜像として目視観察し、複屈折パターンを認証する装置例である。このような例においては、被認証物の複屈折パターンに均一に照明できるよう、拡散面光源であることが好ましい。
【0040】
(複屈折パターン認証装置B:図7)
この例は光源として2種以上の単波長(可視光領域)光を発する手段を含む光源を用いている。光源から偏光子を介して被認証物に照射され被認証物を透過した光を偏光子を介して観察部にて潜像として目視観察し、複屈折パターンを認証する装置の例である。被認証物の複屈折パターンに均一に照明できるよう、拡散面光源であることが好ましい。複屈折パターンにあらかじめ一層の偏光子が積層されている場合(図B左図)、認証装置は、偏光子を一枚有していればよい。偏光子が設けられていない場合には、複屈折パターンを挟むように、二枚の偏光子を配置する必要がある(図B右図)。一般的には、二枚の偏光子は、クロスニコルとなるように設置するのがコントラストの観点から好ましいが、複屈折パターンに応じて、偏光子の光軸角度を選択することができる。このため、偏光子の光軸角度を可変にしておくのが好ましい。また、偏光子は二枚配置できるようにしておいて、少なくとも一枚を着脱可能なようにしておくことが好ましい。
【0041】
(複屈折パターン認証装置C:図8)
この例は光源として2種以上の単波長(可視光領域)光を発する手段を含む光源を用いている。偏光子は1つ設けられ、光源から偏光子を介して被認証物に照射された被認証物からの反射光を偏光子を介したのち、撮像素子で受光し、複屈折パターンを認証する装置例である。本例では、照明光源としてLEDアレイをシリンドリカルレンズで集光して被認証物を照明し、照明された光をシリンドリカルレンズで結像して白色CCDに光を導き画像データを取得する。LED光源としては参考文献(FUJITSU.52,3,p.253-259(05,2001))Fig.1に示された3原色LEDアレイ等を使用すればよい。各色を切り替えて走査することで、各色に対応するデータを取得することができる。
【0042】
この装置例では認証装置例Aの観察部の代わりに、撮像素子が設置されている。光源としては、2種類以上の光源を配列したライン光源を用いることが好ましい。あるいは、二種類以上の点光源にガルバノミラーやポリゴンミラーを組み合わせてサンプル全面をスキャンする走査光学系を用いることも好ましい。また、光源の種類としては、先に挙げたものの他、半導体レーザなどを用いてもよい。
【0043】
全面をスキャンするためには、被認証物に対し、光源と撮像素子とを含む撮像系を相対的に移動させることが好ましい。この場合被認証物、または撮像系の、どちらを移動させてもよい。被認証物を固定し、光源・撮像素子を走査するフラットベッド型、あるいは、光源と撮像素子とを一体化させた小型ボディを手でスキャンさせるハンディスキャン型でもよい。ハンディスキャン型の場合、被認証物はシート状でなくてもよい。被認証物が紙やプラスチックフィルムのようなものである場合には、光源・撮像素子を固定して、自動原稿送り装置、あるいはドラムスキャナにより被認証物を搬送させることもできる。
【0044】
(複屈折パターン認証装置D:図9)
この例は光源として2種以上の単波長(可視光領域)光を発する手段を含む光源を用いている。光源から偏光子を介して被認証物に照射され被認証物を透過した光を偏光子を介ししたのち撮像素子で受光することにより、複屈折パターンを認証する装置の例である。透明支持体上に形成された複屈折パターンを認証するのに、好適である。その他の装置の詳細は、複屈折パターン認証装置Cと同様である。
【0045】
(複屈折パターン認証装置E:図10)
撮像素子にカラーフィルタを備える以外は概ね複屈折パターン認証装置Cと同様の装置構成で、複屈折パターン認証装置Eを作製することができる。光源は一種類でよく、白色光であることが好ましい。また、センサとしては、2色以上のカラーフィルタの設けられたカラーCCDを用いる。カラーフィルタはRの光のみを選択的に透過させるフィルタ、Gの光のみを選択的に透過させるフィルタ、及びBの光のみを選択的に透過させるフィルタを含むことが好ましい。
【0046】
(複屈折パターン認証装置F:図11)
撮像素子にカラーフィルタを備える以外は概ね複屈折パターン認証装置Dと同様の、装置構成で、複屈折パターン認証装置Fを作製することができる。光源は一種類でよく、白色光であることが好ましい。また、センサとしては、2色以上のカラーフィルタの設けられたカラーCCDを用いることが特徴である。カラーフィルタはRの光のみを選択的に透過させるフィルタ、Gの光のみを選択的に透過させるフィルタ、及びBの光のみを選択的に透過させるフィルタを含むことが好ましい。
【0047】
複屈折パターン認証装置は、複屈折パターンの認証(真偽判別)のためのシステムの一部として用いることもできる。
真偽判定を行うためには、まず、撮像素子を通して、認証したい真の複屈折パターンから得られた画像信号をデジタル化する必要がある。その後、必要に応じて、ノイズを除去したり、あるいは、拡大、縮小、回転などの補正を行ったりすることが好ましい。取得画像は、ディスプレイ等に表示してもよい。このようにして真の複屈折パターンの画像はシステムに記憶される。
その後、被認証物を同様に認証して得られた画像が、記憶された真の複屈折パターンの画像と一致するかが判定される。この判定はシステムのパターンマッチング機能により行われる。
パターンマッチングの方法としては、被認証物の画像と真の画像(テンプレート)の、各画素における輝度データの相関から真偽判定を行うテンプレートマッチングが好適に用いられる。
このようにして、画像が一致する場合には真、画像が一致しない場合には、偽として得られた真偽判定ができる。この結果の表示を可能とするために、システムはディスプレイ又はランプやブザー等の表示手段を有することが好ましい。
【0048】
複屈折パターン潜像が文字データを含む場合には、システムは光学文字認識(OCR)機能を有していてもよい。この場合には、認識された文字をそのままディスプレイ等に表示してもよい。あるいは、認識された文字が予め入力しておいた真の文字と一致したかの真偽判定結果のみを、前記の方法で表示してもよい。
【0049】
複屈折パターンによっては、偏光板の光軸と複屈折パターン(光学異方性層)の光軸とのなす角を調整する必要がある。幅寄せローラー等を用いて、これらの光軸が適切な関係となるように調整してもよいが、被認証物の形状によっては、それが困難な場合もある。あるいは、複屈折パターンを更新した場合、偏光板の光軸を変更したい場合もある。
この観点からも上記のように偏光板は回転機構を有していることが好ましい。更に、偏光板の固定機構を有していてもよい。これらの機構は手動でも自動でもよい。自動で行う場合には、前述のパターンマッチングとの組み合わせにより、偏光子の光軸を検出し、適切な角度となるように調整することが好ましい。
【実施例】
【0050】
市販のCCDタイプのスキャナを用意し、ガラス台に偏光板を貼り付けた。複屈折パターンAの複屈折パターン面を読み取り面側になるように置いた。このとき、複屈折パターンの光軸と偏光板の光軸が概ね45度となるように配置した。この状態でスキャンを行った結果、それぞれの文字が所望の色で読み込まれていることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】複屈折パターンの例を示す図である。
【図2】本発明の認証装置(反射型)の例の概略図である。
【図3】本発明の認証装置(透過型)の例の概略図である。
【図4】複屈折パターンの例を各部のレターデーション値と観察される色とともに示す図である。
【図5】図4に示す複屈折パターンの例の各領域の反射スペクトルを示す図である。
【図6】複屈折パターン認証装置の例(複屈折パターン認証装置A)を示す図である。
【図7】複屈折パターン認証装置の例(複屈折パターン認証装置B)を示す図である。
【図8】複屈折パターン認証装置の例(複屈折パターン認証装置C)を示す図である。
【図9】複屈折パターン認証装置の例(複屈折パターン認証装置D)を示す図である。
【図10】複屈折パターン認証装置の例(複屈折パターン認証装置E)を示す図である。
【図11】複屈折パターン認証装置の例(複屈折パターン認証装置F)を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1 複屈折パターン
2 光源
3 偏光子
4 被認証物
5 観察部
6 ライン光源
7 ラインセンサ
8 ハンドル
9 シリンドリカルレンズ
10 画像データ取得部
11 発光色切替信号
12 RGB画像データ取得部
【技術分野】
【0001】
本発明は複屈折パターン認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
偏光板を介した観察においてパターンが視認される複屈折パターンは、偽造又は変造がしにくく、真偽判定の手段として有用である。真偽判定のために複屈折パターン認証装置を用いれば、より正確な真偽判定が可能である。
複屈折パターンの潜像がマルチカラー潜像であると、偽造又は変造がさらに困難となり好ましいが、従来の複屈折パターン認証装置は、特にマルチカラー潜像への対応が考慮されていなかった。このため、単色光源が用いられている装置や、白色光源とカラーフィルタのない撮像素子が組み合わせられている装置に限られ、潜像の色によっては、像が視認しにくいことがあった。また、支持体が着色していると、真偽判定の妨げになるため、支持体の色に制約があった。
【0003】
特許文献1には、光源、受光部、偏光板を有する複屈折パターン認証システムの開示がある。また、特許文献2には、偏光照射手段を備え、被認証物からの反射光の光路上に偏光板を配置して、通過した光を観察する手段を備えた認証装置の記載がある。しかしいずれにおいても、光源が発する光の波長の選択方法、又は光源として二つ以上の単波長光を用いることについての記載はない。
【特許文献1】特開2007−1130号公報
【特許文献2】特開2004−354430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は偏光板を介した観察において、黒以外で複数の色が視認される複屈折パターンであっても正確な認証が可能である複屈折パターン認証装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題の解決のために鋭意研究を行った結果、被認証物に照射する光の波長を選択して偏光子を介した測定を行うことによって色の識別におけるS/N比が向上することを見出した。そして、選択された波長の単波長光を照射できる光源を用いるか、または、選択された波長を選択的に検出できるカラーフィルタが設けられた撮像素子を用いることによって、より正確な複屈折パターンの認証が可能であることを見出した。そしてこの知見を基に本発明を完成した。すなわち、本発明は下記[1]〜[14]を提供するものである。
【0006】
[1]偏光板を介して観察した際に異なる呈色を示す領域Xと領域Yとを有する複屈折パターンの認証装置であって、
該認証装置は、光源と、該光源の光を透過させて偏光とする偏光子と、該偏光を被認証物に照射して生じる反射光または透過光を透過させて検出光とする偏光子と、該検出光を観察する手段とを有し、かつ
該光源が下記波長の単波長光を発する手段を含むか、または該検出光を観察する手段に下記波長の単波長光のみを選択的に透過させる部位を含むフィルタが設けられている
認証装置:
(領域Xの偏光反射率)/(領域Yの偏光反射率)もしくは(領域Xの偏光透過率)/(領域Yの偏光透過率)、又は(領域Yの偏光反射率)/(領域Xの偏光反射率)もしくは(領域Yの偏光透過率)/(領域Xの偏光透過率)が1.5以上となる可視光波長領域から選択される波長。
【0007】
[2]前記領域X及び領域Yが、いずれも偏光板を介して観察した際に黒以外の色を呈する[1]に記載の認証装置
[3][1]又は[2]に記載の認証装置であって、光源が、前記波長の単波長光を発する手段と、他の波長の単波長光を発する手段の少なくとも1つとを含む認証装置。
[4]複屈折パターンの認証装置であって、
光源と、該光源の光を透過させて偏光とする偏光子と、該偏光を被認証物に照射して生じる反射光または透過光を透過させて検出光とする偏光子と、該検出光を観察する手段とを有し、
該光源が互いに異なる波長の単波長光を発する手段を2つ以上含む認証装置。
【0008】
[5]光源が、二種類以上の発光ダイオードを含む[3]または[4]に記載の認証装置。
[6]光源が、二種類以上の半導体レーザを含む[3]〜[5]の何れか一項に記載の認証装置。
[7]光源が、波長400nm〜500nmの光、波長500nm〜600nmの光、及び波長600nm〜700nmの単波長光からなる群より選択される2つ以上の単波長光を発する手段を含む[3]〜[6]の何れか一項に記載の認証装置。
[8]検出光を観察する手段が撮像素子である[1]〜[7]のいずれか一項に記載の認証装置。
【0009】
[9][1]又は[2]に記載の認証装置であって、検出光を観察する手段が、前記波長の光のみを選択的に透過させる部位と他の波長の光のみを選択的に透過させる部位の少なくとも1つとを含むフィルタが設けられた撮像素子である認証装置。
[10]複屈折パターンの認証装置であって、
光源と、該光源の光を透過させて偏光とする偏光子と、該偏光を被認証物に照射して生じる反射光または透過光を透過させて検出光とする偏光子と、該検出光を受光する撮像素子とを有し、
該撮像素子に互いに異なる波長の光のみをそれぞれ選択的に透過させる2つ以上の部位を含むフィルタが設けられている認証装置。
【0010】
[11]撮像素子に設けられているフィルタが、波長400nm〜500nmの光を選択的に透過させる部位、波長500nm〜600nmの光を選択的に透過させる部位、及び波長600nm〜700nmの単波長光を選択的に透過させる部位からなる群より選択される2つ以上の部位を含むフィルタである[9]又は[10]に記載の認証装置。
[12]撮像素子に設けられているフィルタが、波長500nm〜700nmの光を選択的に透過させる部位、波長400nm〜500nm及び600nm〜700nmの光を選択的に透過させる部位、及び波長400nm〜600nmの単波長光を選択的に透過させる部位からなる群より選択される2つ以上の部位を含むフィルタである[9]又は[10]に記載の認証装置。
【0011】
[13]偏光子を回転させる手段を有する[1]〜[12]のいずれか一項に記載の認証装置。
[14][1]〜[13]のいずれか一項の記載の装置と、
該装置を用いて真の複屈折パターンを観察して得られる画像を記憶する手段と、
被認証物につき、該装置を用いて画像を取得する手段と
記憶された画像と取得した画像との一致又は不一致を判別する手段と、
一致を真、不一致を偽として表示する手段とを含む、
複屈折パターンの認証を行うシステム。
【発明の効果】
【0012】
本発明により偏光板を介した観察において白又は黒以外の複数の色が視認される複屈折パターンであっても正確な認証が可能である複屈折パターン認証装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
【0014】
本明細書において、レターデーション又はReは面内のレターデーションを表す。面内のレターデーション(Re(λ))はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。本明細書におけるレターデーション又はReは、R、G、Bに対してそれぞれ611±5nm、545±5nm、435±5nmの波長で測定されたものを意味し、特に色に関する記載がなければ545±5nmまたは590±5nmの波長で測定されたものを意味する。なお、本明細書において、「可視光」とは、波長が400〜700nmの光のことをいう。
【0015】
本明細書において、複屈折パターンとは、複屈折が異なる領域を複数含む物品を意味する。具体的には、法線方向から偏光板を介して観察されたときに互いに異なる2色以上の色を示す領域を複数含む物品を意味する。この「異なる色」は通常、偏光板がない状態では認識されないが、偏光板を介して認識されるものを意味する。このとき、偏光板は、直線偏光板を意味し、偏光板の透過軸の向きは「異なる色」が認識される向きで配置されるものとする。上記の異なる色を示す領域はレターデーション及び/又は光軸方向が互いに異なる領域であればよい。なお、本明細書において「光軸」というとき、「遅相軸」又は「透過軸」を意味する。本明細書において「レターデーション及び/又は光軸方向が互いに異なる領域を2つ以上有する」ことを「レターデーション及び/又は光軸方向をパターン状に有する」又は「レターデーション及び/又は光軸方向がパターニングされている」という場合がある。複屈折パターンは異なる色を示す領域を3つ以上有することがさらに好ましい。上記の色が同一である個々の領域は連続的形状であっても非連続的形状であってもよい。複屈折パターンは通常平面(膜又はシート)状の形状を有していればよい。また、上記領域は平面の法線方向から複屈折パターンを観察した場合に認識されるものであるため、この平面の法線と平行な面により分割された領域となる。
【0016】
なお、本発明の認証装置は、複屈折パターンが、前記領域として、偏光板を介して、好ましくは偏光板を介して法線方向から、観察されたときに黒ではない色を呈する、領域Xと領域Yとを少なくとも含むものである場合(カラー潜像)において特に有用であるが、複屈折パターンが偏光板を介して観察されたときに黒及び黒以外の1色のみからなる場合(モノクロ潜像)に本発明の認証装置を用いてもよい。
【0017】
本明細書において、「認証」は、「識別」、「有無の確認」または「真偽判定」の意味を含む。
本明細書において、単波長光とは、1つの波長に際立ったスペクトルピークを有する光を意味する。ピークの半値幅は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。また、本明細書において、単波長光の波長を示すとき、±50nmの誤差があってもよい
また、フィルタにおいて特定の波長の光のみを選択的に透過させるという場合も、透過させる光の波長は上記と同等の幅及び誤差があってもよい。
【0018】
複屈折パターンの例としてはレターデーション及び/又は光軸方向が面内でパターニングされた光学異方性層を含む物品が挙げられる。複屈折パターンの例を図1に示す。図1(a)はレターデーションがパターニングされている例である。図1(a)に示す例においてはa nm, b nm, c nm, 及びd nmで示されるレターデーションは互いに異なるものとする。図1(b)は光軸方向がパターニングされている例である。図1(b)において矢印は光軸方向を示す。
【0019】
このような複屈折パターンは、医薬品、家電製品、衣料品といった、各種商品のタグなどに設けることで、ブランドプロテクションに用いることができる。あるいは、クレジットカード、入退室管理カードといったIDカード、紙幣、小切手、商品券等の有価証券に用いることで、偽造防止効果が期待される。
レターデーションが面内でパターニングされた光学異方性層は、例えば、以下のような方法で作製することができる。まず、液晶性化合物を含む溶液を、塗布・乾燥して、液晶相を形成した後、濃度マスクを用いてパターン露光を行う、あるいは、異なる照射条件でのパターン露光を複数回行った後、ベーク処理を行うことによって作製することができる。光軸方向が面内でパターニングされた光学異方性層は、例えば、特表2001−525080号公報に記載の方法で得ることができる。
【0020】
本発明の認証装置は、光源と、該光源の光を透過させて偏光とする偏光子と、該偏光を被認証物に照射して生じる反射光または透過光を透過させて検出光とする偏光子と、該検出光を観察する手段とを有する。認証装置は被認証物を配置するための試料台を有していてもよい。
【0021】
光源としては、下記に説明するように選択される単波長光を発する手段を有する光源を用いる。単波長光を発する手段を有する光源としては、蛍光灯、白熱灯、冷陰極管などの白色光源にフィルタを設けた光源、可視光域ピーク波長を有する発光ダイオードを含む光源、あるいは、可視光域にピーク波長を有する半導体レーザを含む光源を好ましく用いることができる。さらに、光源は互いに波長(ピーク波長)の異なる2つ以上の単波長光を発することができることも好ましい。このような光源としては、白色光源に特定の波長のみを選択的に透過させる部位を2種以上含むフィルタを設けた光源を用いてもよいが、可視光域に互いに異なるピーク波長を有する2種類以上の発光ダイオード、あるいは、可視光域に互いに異なるピーク波長を有する2種類以上の半導体レーザを好ましく用いることができる。一度に異なる単波長光を発することができるようにアレイ構造の光源(LEDアレイなど)を用いてもよい。後述のように二色以上のカラーフィルタを有する撮像素子を検出光の観察のための手段として用いる場合には、光源は単波長光を発することができる必要性はなく、白色光であってもよい。また、認証される複屈折パターンにおいて偏光板を介して観察したときに視認される色が少ない(例えば、白と赤の二色パターンなど)場合は、後述のように選択された波長の単波長光であれば1つの単波長光のみを発する手段のみを含む光源を用いてもよい。
【0022】
また、光源として2つ以上の手段を用いる場合は、独立にオン、オフを切り替えられるものであることが好ましい。目視の認証に用いられる装置(撮像素子等を有しない装置)の場合等においては、被認証物の複屈折パターンに均一に照明できるよう、拡散面光源であることが好ましい。拡散面光源としては、蛍光灯面光源、ディスプレイ等に好適に用いられる冷陰極管、LED等を用いることができる。さらにこれらの光源に拡散シート、集光シート、輝度向上シート等を組み合わせてもよい。これらの面光源の上に色フィルタを設置することによって、分光分布を調整することができる。あるいは、LED光源を用いる場合には、発光波長の異なる複数種類のLED素子を配列させてもよい。撮像素子等を有する装置において、光源はライン状光源、点光源を用いて線状、点状に照射し、それを走査してもよい。ライン光源としては、LED、レーザをライン状に配置した光源を好適に用いることができる。その他に、適宜、色フィルタを設置した蛍光灯、ハロゲン、キセノン、メタルハライド等とスリット、シリンドリカルレンズなどの公知技術を組み合わせたライン照明を用いてもよい。また、光ファイバをライン光源としてもよい。光源と被検体の間には、適宜、集光レンズ、あるいは結像レンズを配置することが好ましい。
【0023】
光源の光を透過させて偏光とする偏光子と反射光または透過光を透過させて検出光とする偏光子は同一であっても別個(種類としては同一であるものを含む)のものであってもよい。後述のように透過型の場合は別個のものを用いる。後述のように反射型の場合は同一とすることができるが、別個のものを用いてもよい。同一のものを用いた場合は装置が簡素な構造になるという利点があり、別個のものを用いると個々に最適の透過軸方向の調整が可能であるとの利点がある。
偏光子としては、市販されているシート状の偏光子を好ましく用いることができる。
本発明の認証装置は偏光子の光軸と被認証物の光軸のなす角を調整できるように、それぞれの偏光子を回転させる機構を備えていてもよい。
【0024】
本発明の認証装置の例の概略図を図2及び図3に示す。図2及び図3において矢印は光の進行方向を示す。矢印の先の部分に検出光を観察するための手段を有する。
図2は、光源と、該光源の光を透過させて偏光とするとともに該偏光を被認証物に照射して生じた反射光を透過させて検出光とする偏光子からなる反射型の本発明の認証装置の例の概略図を示す。このような装置は図に示すように被認証物が反射支持体を有する場合に用いることができる。光源は、発する光が被認証物に効率的に照射されて検出光を観察する手段に反射するように配置される。偏光板は被認証物と光源との間に配置され、偏光板及び被認証物は光源からの光を複屈折パターンの識別に望ましい方向に偏光させるように配置される。通常複屈折パターン(被認証物)の各領域の光軸方向と偏光板の光軸方向が45°となるように配置することが好ましい。したがって、特に光軸方向が互いに異なる領域を2つ以上有する複屈折パターンの認証を行う場合には認証装置は偏光子を回転させる機構を備えていることが好ましい。
【0025】
例えば、偏光板を介さない反射光が白色である複屈折パターンを付与した被認証物では上述のように、複屈折パターンにおける少なくとも1つの領域の光軸方向と偏光板の光軸方向が45°となるように配置された場合、当該領域のレターデーションが0nm付近である場合に、反射光輝度は最も高くなり、「白」として観察される。一方で、当該領域のレターデーションがλ/4(通常137.5nm付近)である場合には、反射光輝度は低くなり、「黒」として観察され、コントラストが明確となる。さらに、上記のような配置において、前記領域につき、レターデーションが200nm付近においては青色、500nm付近においては緑色、650nm付近においては赤色の反射色が観察される。
【0026】
図3は、光源と、該光源の光を透過させて偏光とする偏光子と、該偏光子とは別の該偏光を被認証物に照射して生じた反射光を透過させて検出光とする偏光子からなる透過型の本発明の認証装置の例の概略図を示す。このような装置は図に示すように被認証物が透明支持体を有する場合に用いることができる。光源は、発する光が偏光板、被認証物、に効率的に照射されて検出光を観察する手段に反射するように配置される。2つの偏光板は被認証物がその間になるように配置され、偏光板及び被認証物は光源からの光を複屈折パターンの識別に望ましい方向に偏光させるように配置される。通常複屈折パターン(被認証物)の各領域の光軸方向と偏光板の光軸方向が45°となるように配置することが好ましく、2つの偏光子はクロスニコル又はパラニコルの配置となっていることが好ましい。
【0027】
例えば、偏光子を介さない透過光が白色である複屈折パターンを付与した被認証物では2つの偏光子がクロスニコルで配置された場合、複屈折パターンにおいてレターデーションが0nm付近であると、透過光輝度が最も低くなり、「黒」として観測される。レターデーションがλ/2付近である場合には、透過光輝度は最大となり、「白」として観測される。また、例えば、レターデーションが450nm、730nm、580nm付近においては、それぞれ、赤色、緑色、青色として観測される。
逆に、2つの偏光子がパラニコルで配置された場合、複屈折パターンにおけるレターデーションが0nm付近である場合に、透過光輝度は最も高くなり、「白」として観測される。レターデーションがλ/2付近である場合には、透過光輝度は最小となり、「黒」として好適に用いることができる。それ以外には、例えば、レターデーションが680nm、490nm、290nm付近においては、それぞれ、赤色、緑色、青色を呈するが、クロスニコルで配置された場合と比較すると、色の鮮やかさにおいて劣る。
【0028】
検出光を観察するための手段は、目視により観察するための光の表示部位(単なる窓)であってもよい。窓にフィルタを設けてもよい。また、検出光を観察するための手段として撮像素子を用いてもよい。
撮像素子としては、CMOSイメージセンサ、CCD等を好適に用いることができる。二次元アレイを用いる他、ラインセンサや単独の受光素子を走査することで、撮像素子として、二次元画像を取得してもよい。受光素子としては、フォトダイオードなどを利用することができる。
また、特に、単波長光を発する手段を有する光源を用いない場合においては、フィルタが設けられた撮像素子を用いればよい。ここでフィルタは特定の波長のみを選択的に透過させる部位を含むフィルタ(いわゆるカラーフィルタ)を意味する。2種以上の上記部位(互いに異なる波長の光を透過させる部位)を含むフィルタが設けられていることも好ましい。フィルタは着脱可能な形態で設けられていてもよい。
撮像素子の入射側には、適宜、レンズを配置することが好ましい。
【0029】
認証装置は、外光の映り込みを防止する目的で、観察部以外は、遮光されていることが好ましい。
また、認証装置は、固定式でも、ハンディタイプでもよい。固定式の場合には、サンプル挿入口が設けられていてもよい。
【0030】
本発明の認証装置に用いられる光源に含まれる単波長光の波長の選択方法につき以下に説明する。
図4に、複屈折パターンの例を各領域のレターデーション値と観察される色とともに示す。以下、R、G、B、K、Wは、赤色、緑色、青色、黒色、白色を表す。
この複屈折パターンは、レターデーションの異なる5つの領域からなる光学異方性層が、アルミシート上に設けられたものである。この複屈折パターンAは、通常の目視では、パターンを識別することができない。しかし、この複屈折パターンA上に、光学異方性層の遅相軸と偏光板の吸収軸のなす角が45°となるように偏光板を重ねると、それぞれの領域は、図中に示す色に発色した。偏光板を重ねた状態における、それぞれの領域の反射スペクトルを図5に示す。
【0031】
Wの背景にK、あるいは、Kの背景にWのパターンのある場合、いずれの波長でも、反射率差が大きいため、コントラスト良く、パターンを識別することができる。しかし、例えば、Wの背景にRのパターンが施されている場合、パターンをS/N比高く識別するためには、Gの光で読み込むことが好ましい。なお、Gの光で「読み込む」とは、Gの単波長光(波長500〜600nm)を被認証物に照射するか、またはGの光のみ検出することを意味する。具体的には、緑色に発色する発光ダイオードを複屈折パターンに照射して、目視観察、あるいは、撮像素子で撮影するか、白色光を複屈折パターンに照射して、カラーCCDで撮影し、緑色の輝度情報を取り出せばよい。Rの光(波長600〜700nm)、Bの光(波長400〜500nm)についても同様である。
同様に、背景の色とパターンの色に応じて、読み込む光の色を選択することができる。代表的な背景とパターンの色と、それを読み込むのに適切な光の色を表1にまとめた。
【0032】
【表1】
【0033】
このように、光源の発する光の波長又は撮像素子において選択される波長は、潜像の色によって選択することが好ましい。例えば、図4に示す複屈折パターンにおいて、白背景上に描かれた赤いパターン(左半面のR)を読み取るには、反射率差の大きい535nm付近、あるいは430nm付近の波長の単波長光を用いると、読み取りやすい。逆に黒背景上に描かれた赤いパターン(右半面のR)を読み取るには、630nm付近、あるいは、475nm付近の波長の単波長光を用いると読み取りやすい。このように、潜像に応じて、光源に用いる波長を選択することで、読み取り易さが向上する。潜像が黒及び白以外の色を2色以上含むマルチカラー潜像である場合には、光の三原色である赤色、緑色、青色を光源の光の波長、または、撮像素子に用いられるフィルタが選択する波長として用いられることが好ましい。例えば、赤色、緑色、青色に発色する三種類の手段を含む光源を用いることができる。この場合、光源として、赤色、緑色、青色の発光ダイオードを配列したものを用いる方法や、赤色、緑色、青色に発色する面光源を3箇所から被認証物に照射する方法などが挙げられる。
【0034】
このように被認証物に照射する光の波長は認証される複屈折パターンに含まれる色(潜像における色)によって選択することが好ましい。上記のように領域ごとの反射スペクトル又は透過スペクトル(偏光板を介して測定されるもの)を可視光領域において比較し、領域間で偏光反射率又は偏光透過率の比が大きい波長を選ぶことが好ましい。偏光反射率又は偏光透過率とは、法線方向から偏光板を介したときの2つの領域の反射率又は透過率を意味する。具体的には、上記の2つの領域の偏光反射率又は偏光透過率は本発明の認証装置によって認証が行われる場合の条件と同様の条件で行われた測定により測定された値、または同様の条件であるとして計算された値であればよい。偏光反射率又は偏光透過率の比が大きい波長として、具体的には、偏光反射率の比又は偏光透過率の比(小さいほうの値で大きいほうの値を割った値)が1.5以上となる波長領域(可視光領域)から選択される波長であることが好ましく、2.0以上となる波長領域から選択される波長であることがより好ましい。すなわち、複屈折パターンにおける複屈折が異なる2つの領域を領域X及び領域Yとするとき、(領域Xの偏光反射率)/(領域Yの偏光反射率)もしくは(領域Xの偏光透過率)/(領域Yの偏光過率)、又は(領域Yの偏光射率)/(領域Xの偏光反射率)もしくは(領域Yの偏光透過率)/(領域Xの偏光透過率)が1.5以上、好ましくは2.0以上となる波長領域であればよい。
偏光反射率の比又は偏光透過率の比のどちらを用いて波長を選択してもよく、通常は、透過型の装置の場合は偏光透過率の比、反射型装置の場合は偏光反射率の比を用いて判断すればよい。
【0035】
例えば、複屈折パターンが偏光板を介して観察されたときに、実質的に黒及び「白」のみからなるモノクロ潜像の場合は、偏光反射率又は偏光透過率の比はいずれの波長においても大きく、(領域Xの偏光反射率)/(領域Yの偏光反射率)もしくは(領域Xの偏光透過率)/(領域Yの偏光透過率)、又は(領域Yの偏光反射率)/(領域Xの偏光反射率)もしくは(領域Yの偏光透過率)/(領域Xの偏光透過率)は、1.5以上であると考えることができる。一方で、複屈折パターンが複屈折パターンが偏光板を介して観察されたときに黒及び白以外の色を示す領域を含むカラー潜像である場合、または複屈折パターンが着色支持体を含む場合などにおいては、上記のような波長の選択により複屈折パターンの認証を可能にする、または精度を上げることができる。
なお、観察される領域は領域Xと領域Yの他に観察されるべき光が遮蔽されてなる黒色の領域や領域Xと領域Y以外の色を呈色する領域を含んでいてもよい。
【0036】
また、上記の特定の波長の選択を行わない場合であっても、光源が互いに異なる波長の単波長光を発する手段を2つ以上含む認証装置の構成とすることによって、複屈折パターンの各領域間で反射率又は透過率の比がより大きい波長を選択等することが可能になり、複屈折パターンの認証の精度を上げることができる。また、2つ以上の反射率又は透過率の組み合わせによって、より複雑な複屈折パターンの認証も可能になる。
【0037】
複屈折パターンは着色支持体を含むものであってもよい。すなわち、複屈折パターンは偏光板を介さない目視でも視認可能なパターンが描かれていてもよい。特定の色で複屈折パターンを読み込む場合は、それ以外の色の影響を受けないのでそれ以外の色で着色支持体を用いることができる。例えば、先の例のように、Gの光で複屈折パターンを読み込む場合は、赤色や青色の影響は受けないので、支持体に赤色や青色の着色があってもよいことになる。
あるいは、全面に着色した反射支持体を用いてもよい。例えば、赤い反射支持体を用いた場合、読み取り光は赤色である必要がある。この場合、K、または、G、またはBは反射率が低く、W、またはRは反射率が高いので、これを用いて潜像にオン・オフをつけることができる。
【0038】
本発明の認証装置の使用の利点として、潜像画像のSN比を向上させられることが挙げられる。また、真偽判定の手段として用いる複屈折パターンの潜像に使用する色(反射色、あるいは透過色)の選択肢を広げることができる、という利点がある。また、上記のように着色した支持体を用いたりすることも可能となる。
【0039】
複屈折パターン認証装置の例
(複屈折パターン認証装置例A:図6)
この例は光源として2種以上の単波長(可視光領域)光を発する手段を含む光源を用いている。偏光子は1つ設けられ、光源から偏光子を介して被認証物に照射された被認証物からの反射光を偏光子を介して観察部にて潜像として目視観察し、複屈折パターンを認証する装置例である。このような例においては、被認証物の複屈折パターンに均一に照明できるよう、拡散面光源であることが好ましい。
【0040】
(複屈折パターン認証装置B:図7)
この例は光源として2種以上の単波長(可視光領域)光を発する手段を含む光源を用いている。光源から偏光子を介して被認証物に照射され被認証物を透過した光を偏光子を介して観察部にて潜像として目視観察し、複屈折パターンを認証する装置の例である。被認証物の複屈折パターンに均一に照明できるよう、拡散面光源であることが好ましい。複屈折パターンにあらかじめ一層の偏光子が積層されている場合(図B左図)、認証装置は、偏光子を一枚有していればよい。偏光子が設けられていない場合には、複屈折パターンを挟むように、二枚の偏光子を配置する必要がある(図B右図)。一般的には、二枚の偏光子は、クロスニコルとなるように設置するのがコントラストの観点から好ましいが、複屈折パターンに応じて、偏光子の光軸角度を選択することができる。このため、偏光子の光軸角度を可変にしておくのが好ましい。また、偏光子は二枚配置できるようにしておいて、少なくとも一枚を着脱可能なようにしておくことが好ましい。
【0041】
(複屈折パターン認証装置C:図8)
この例は光源として2種以上の単波長(可視光領域)光を発する手段を含む光源を用いている。偏光子は1つ設けられ、光源から偏光子を介して被認証物に照射された被認証物からの反射光を偏光子を介したのち、撮像素子で受光し、複屈折パターンを認証する装置例である。本例では、照明光源としてLEDアレイをシリンドリカルレンズで集光して被認証物を照明し、照明された光をシリンドリカルレンズで結像して白色CCDに光を導き画像データを取得する。LED光源としては参考文献(FUJITSU.52,3,p.253-259(05,2001))Fig.1に示された3原色LEDアレイ等を使用すればよい。各色を切り替えて走査することで、各色に対応するデータを取得することができる。
【0042】
この装置例では認証装置例Aの観察部の代わりに、撮像素子が設置されている。光源としては、2種類以上の光源を配列したライン光源を用いることが好ましい。あるいは、二種類以上の点光源にガルバノミラーやポリゴンミラーを組み合わせてサンプル全面をスキャンする走査光学系を用いることも好ましい。また、光源の種類としては、先に挙げたものの他、半導体レーザなどを用いてもよい。
【0043】
全面をスキャンするためには、被認証物に対し、光源と撮像素子とを含む撮像系を相対的に移動させることが好ましい。この場合被認証物、または撮像系の、どちらを移動させてもよい。被認証物を固定し、光源・撮像素子を走査するフラットベッド型、あるいは、光源と撮像素子とを一体化させた小型ボディを手でスキャンさせるハンディスキャン型でもよい。ハンディスキャン型の場合、被認証物はシート状でなくてもよい。被認証物が紙やプラスチックフィルムのようなものである場合には、光源・撮像素子を固定して、自動原稿送り装置、あるいはドラムスキャナにより被認証物を搬送させることもできる。
【0044】
(複屈折パターン認証装置D:図9)
この例は光源として2種以上の単波長(可視光領域)光を発する手段を含む光源を用いている。光源から偏光子を介して被認証物に照射され被認証物を透過した光を偏光子を介ししたのち撮像素子で受光することにより、複屈折パターンを認証する装置の例である。透明支持体上に形成された複屈折パターンを認証するのに、好適である。その他の装置の詳細は、複屈折パターン認証装置Cと同様である。
【0045】
(複屈折パターン認証装置E:図10)
撮像素子にカラーフィルタを備える以外は概ね複屈折パターン認証装置Cと同様の装置構成で、複屈折パターン認証装置Eを作製することができる。光源は一種類でよく、白色光であることが好ましい。また、センサとしては、2色以上のカラーフィルタの設けられたカラーCCDを用いる。カラーフィルタはRの光のみを選択的に透過させるフィルタ、Gの光のみを選択的に透過させるフィルタ、及びBの光のみを選択的に透過させるフィルタを含むことが好ましい。
【0046】
(複屈折パターン認証装置F:図11)
撮像素子にカラーフィルタを備える以外は概ね複屈折パターン認証装置Dと同様の、装置構成で、複屈折パターン認証装置Fを作製することができる。光源は一種類でよく、白色光であることが好ましい。また、センサとしては、2色以上のカラーフィルタの設けられたカラーCCDを用いることが特徴である。カラーフィルタはRの光のみを選択的に透過させるフィルタ、Gの光のみを選択的に透過させるフィルタ、及びBの光のみを選択的に透過させるフィルタを含むことが好ましい。
【0047】
複屈折パターン認証装置は、複屈折パターンの認証(真偽判別)のためのシステムの一部として用いることもできる。
真偽判定を行うためには、まず、撮像素子を通して、認証したい真の複屈折パターンから得られた画像信号をデジタル化する必要がある。その後、必要に応じて、ノイズを除去したり、あるいは、拡大、縮小、回転などの補正を行ったりすることが好ましい。取得画像は、ディスプレイ等に表示してもよい。このようにして真の複屈折パターンの画像はシステムに記憶される。
その後、被認証物を同様に認証して得られた画像が、記憶された真の複屈折パターンの画像と一致するかが判定される。この判定はシステムのパターンマッチング機能により行われる。
パターンマッチングの方法としては、被認証物の画像と真の画像(テンプレート)の、各画素における輝度データの相関から真偽判定を行うテンプレートマッチングが好適に用いられる。
このようにして、画像が一致する場合には真、画像が一致しない場合には、偽として得られた真偽判定ができる。この結果の表示を可能とするために、システムはディスプレイ又はランプやブザー等の表示手段を有することが好ましい。
【0048】
複屈折パターン潜像が文字データを含む場合には、システムは光学文字認識(OCR)機能を有していてもよい。この場合には、認識された文字をそのままディスプレイ等に表示してもよい。あるいは、認識された文字が予め入力しておいた真の文字と一致したかの真偽判定結果のみを、前記の方法で表示してもよい。
【0049】
複屈折パターンによっては、偏光板の光軸と複屈折パターン(光学異方性層)の光軸とのなす角を調整する必要がある。幅寄せローラー等を用いて、これらの光軸が適切な関係となるように調整してもよいが、被認証物の形状によっては、それが困難な場合もある。あるいは、複屈折パターンを更新した場合、偏光板の光軸を変更したい場合もある。
この観点からも上記のように偏光板は回転機構を有していることが好ましい。更に、偏光板の固定機構を有していてもよい。これらの機構は手動でも自動でもよい。自動で行う場合には、前述のパターンマッチングとの組み合わせにより、偏光子の光軸を検出し、適切な角度となるように調整することが好ましい。
【実施例】
【0050】
市販のCCDタイプのスキャナを用意し、ガラス台に偏光板を貼り付けた。複屈折パターンAの複屈折パターン面を読み取り面側になるように置いた。このとき、複屈折パターンの光軸と偏光板の光軸が概ね45度となるように配置した。この状態でスキャンを行った結果、それぞれの文字が所望の色で読み込まれていることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】複屈折パターンの例を示す図である。
【図2】本発明の認証装置(反射型)の例の概略図である。
【図3】本発明の認証装置(透過型)の例の概略図である。
【図4】複屈折パターンの例を各部のレターデーション値と観察される色とともに示す図である。
【図5】図4に示す複屈折パターンの例の各領域の反射スペクトルを示す図である。
【図6】複屈折パターン認証装置の例(複屈折パターン認証装置A)を示す図である。
【図7】複屈折パターン認証装置の例(複屈折パターン認証装置B)を示す図である。
【図8】複屈折パターン認証装置の例(複屈折パターン認証装置C)を示す図である。
【図9】複屈折パターン認証装置の例(複屈折パターン認証装置D)を示す図である。
【図10】複屈折パターン認証装置の例(複屈折パターン認証装置E)を示す図である。
【図11】複屈折パターン認証装置の例(複屈折パターン認証装置F)を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1 複屈折パターン
2 光源
3 偏光子
4 被認証物
5 観察部
6 ライン光源
7 ラインセンサ
8 ハンドル
9 シリンドリカルレンズ
10 画像データ取得部
11 発光色切替信号
12 RGB画像データ取得部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光板を介して観察した際に異なる呈色を示す領域Xと領域Yとを有する複屈折パターンの認証装置であって、
該認証装置は、光源と、該光源の光を透過させて偏光とする偏光子と、該偏光を被認証物に照射して生じる反射光または透過光を透過させて検出光とする偏光子と、該検出光を観察する手段とを有し、かつ
該光源が下記波長の単波長光を発する手段を含むか、または該検出光を観察する手段に下記波長の単波長光のみを選択的に透過させる部位を含むフィルタが設けられている
認証装置:
(領域Xの偏光反射率)/(領域Yの偏光反射率)もしくは(領域Xの偏光透過率)/(領域Yの偏光透過率)、又は(領域Yの偏光反射率)/(領域Xの偏光反射率)もしくは(領域Yの偏光透過率)/(領域Xの偏光透過率)が1.5以上となる可視光波長領域から選択される波長。
【請求項2】
前記領域X及び領域Yが、いずれも偏光板を介して観察した際に黒以外の色を呈する請求項1に記載の認証装置
【請求項3】
請求項1又は2に記載の認証装置であって、光源が、前記波長の単波長光を発する手段と、他の波長の単波長光を発する手段の少なくとも1つとを含む認証装置。
【請求項4】
複屈折パターンの認証装置であって、
光源と、該光源の光を透過させて偏光とする偏光子と、該偏光を被認証物に照射して生じる反射光または透過光を透過させて検出光とする偏光子と、該検出光を観察する手段とを有し、
該光源が互いに異なる波長の単波長光を発する手段を2つ以上含む認証装置。
【請求項5】
光源が、二種類以上の発光ダイオードを含む請求項3または4に記載の認証装置。
【請求項6】
光源が、二種類以上の半導体レーザを含む請求項3〜5のいずれか一項に記載の認証装置。
【請求項7】
光源が、波長400nm〜500nmの光、波長500nm〜600nmの光、及び波長600nm〜700nmの単波長光からなる群より選択される2つ以上の単波長光を発する手段を含む請求項3〜6の何れか一項に記載の認証装置。
【請求項8】
検出光を観察する手段が撮像素子である請求項1〜7のいずれか一項に記載の認証装置。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の認証装置であって、検出光を観察する手段が、前記波長の光のみを選択的に透過させる部位と他の波長の光のみを選択的に透過させる部位の少なくとも1つとを含むフィルタが設けられた撮像素子である認証装置。
【請求項10】
複屈折パターンの認証装置であって、
光源と、該光源の光を透過させて偏光とする偏光子と、該偏光を被認証物に照射して生じる反射光または透過光を透過させて検出光とする偏光子と、該検出光を受光する撮像素子とを有し、
該撮像素子に互いに異なる波長の光のみをそれぞれ選択的に透過させる2つ以上の部位を含むフィルタが設けられている認証装置。
【請求項11】
撮像素子に設けられているフィルタが、波長400nm〜500nmの光を選択的に透過させる部位、波長500nm〜600nmの光を選択的に透過させる部位、及び波長600nm〜700nmの単波長光を選択的に透過させる部位からなる群より選択される2つ以上の部位を含むフィルタである請求項9又は10に記載の認証装置。
【請求項12】
撮像素子に設けられているフィルタが、波長500nm〜700nmの光を選択的に透過させる部位、波長400nm〜500nm及び600nm〜700nmの光を選択的に透過させる部位、及び波長400nm〜600nmの単波長光を選択的に透過させる部位からなる群より選択される2つ以上の部位を含むフィルタである請求項9又は10に記載の認証装置。
【請求項13】
偏光子を回転させる手段を有する請求項1〜12のいずれか一項に記載の認証装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項の記載の装置と、
該装置を用いて真の複屈折パターンを観察して得られる画像を記憶する手段と、
被認証物につき、該装置を用いて画像を取得する手段と
記憶された画像と取得した画像との一致又は不一致を判別する手段と、
一致を真、不一致を偽として表示する手段とを含む、
複屈折パターンの認証を行うシステム。
【請求項1】
偏光板を介して観察した際に異なる呈色を示す領域Xと領域Yとを有する複屈折パターンの認証装置であって、
該認証装置は、光源と、該光源の光を透過させて偏光とする偏光子と、該偏光を被認証物に照射して生じる反射光または透過光を透過させて検出光とする偏光子と、該検出光を観察する手段とを有し、かつ
該光源が下記波長の単波長光を発する手段を含むか、または該検出光を観察する手段に下記波長の単波長光のみを選択的に透過させる部位を含むフィルタが設けられている
認証装置:
(領域Xの偏光反射率)/(領域Yの偏光反射率)もしくは(領域Xの偏光透過率)/(領域Yの偏光透過率)、又は(領域Yの偏光反射率)/(領域Xの偏光反射率)もしくは(領域Yの偏光透過率)/(領域Xの偏光透過率)が1.5以上となる可視光波長領域から選択される波長。
【請求項2】
前記領域X及び領域Yが、いずれも偏光板を介して観察した際に黒以外の色を呈する請求項1に記載の認証装置
【請求項3】
請求項1又は2に記載の認証装置であって、光源が、前記波長の単波長光を発する手段と、他の波長の単波長光を発する手段の少なくとも1つとを含む認証装置。
【請求項4】
複屈折パターンの認証装置であって、
光源と、該光源の光を透過させて偏光とする偏光子と、該偏光を被認証物に照射して生じる反射光または透過光を透過させて検出光とする偏光子と、該検出光を観察する手段とを有し、
該光源が互いに異なる波長の単波長光を発する手段を2つ以上含む認証装置。
【請求項5】
光源が、二種類以上の発光ダイオードを含む請求項3または4に記載の認証装置。
【請求項6】
光源が、二種類以上の半導体レーザを含む請求項3〜5のいずれか一項に記載の認証装置。
【請求項7】
光源が、波長400nm〜500nmの光、波長500nm〜600nmの光、及び波長600nm〜700nmの単波長光からなる群より選択される2つ以上の単波長光を発する手段を含む請求項3〜6の何れか一項に記載の認証装置。
【請求項8】
検出光を観察する手段が撮像素子である請求項1〜7のいずれか一項に記載の認証装置。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の認証装置であって、検出光を観察する手段が、前記波長の光のみを選択的に透過させる部位と他の波長の光のみを選択的に透過させる部位の少なくとも1つとを含むフィルタが設けられた撮像素子である認証装置。
【請求項10】
複屈折パターンの認証装置であって、
光源と、該光源の光を透過させて偏光とする偏光子と、該偏光を被認証物に照射して生じる反射光または透過光を透過させて検出光とする偏光子と、該検出光を受光する撮像素子とを有し、
該撮像素子に互いに異なる波長の光のみをそれぞれ選択的に透過させる2つ以上の部位を含むフィルタが設けられている認証装置。
【請求項11】
撮像素子に設けられているフィルタが、波長400nm〜500nmの光を選択的に透過させる部位、波長500nm〜600nmの光を選択的に透過させる部位、及び波長600nm〜700nmの単波長光を選択的に透過させる部位からなる群より選択される2つ以上の部位を含むフィルタである請求項9又は10に記載の認証装置。
【請求項12】
撮像素子に設けられているフィルタが、波長500nm〜700nmの光を選択的に透過させる部位、波長400nm〜500nm及び600nm〜700nmの光を選択的に透過させる部位、及び波長400nm〜600nmの単波長光を選択的に透過させる部位からなる群より選択される2つ以上の部位を含むフィルタである請求項9又は10に記載の認証装置。
【請求項13】
偏光子を回転させる手段を有する請求項1〜12のいずれか一項に記載の認証装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項の記載の装置と、
該装置を用いて真の複屈折パターンを観察して得られる画像を記憶する手段と、
被認証物につき、該装置を用いて画像を取得する手段と
記憶された画像と取得した画像との一致又は不一致を判別する手段と、
一致を真、不一致を偽として表示する手段とを含む、
複屈折パターンの認証を行うシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−234146(P2009−234146A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−85384(P2008−85384)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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