説明

複数のセンサー素子に対するセンサーエレクトロニクスおよびセンサー素子における物体の位置を決定する方法

複数のセンサー素子に対する複数の接続を有している電子回路が提供される。電子回路は、少なくとも1つの多重化法において、センサー素子の少なくとも1つの観測範囲における物体の存在を検出することと、センサー素子を区別することとを行うように構成されている。センサー素子の少なくとも1つの観測範囲にある少なくとも1つの物体の位置をセンサー素子に対して決定する方法も提供される。多重化法において、それぞれの観測範囲における物体の存在を示す各センサー素子に対する電気的な変数が検出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
発明は、複数のセンサー素子に対して接続を有しているセンサーエレクトロニクス(特に、静電容量センサー素子)と、発明に従うセンサーエレクトロニクスに結合された複数のセンサー素子に対して物体(例えば、フィンガー)の位置を決定する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
(技術水準)
先行技術から、センサーエレクトロニクス(例えば、評価装置)に結合された多数のセンサーを有しているセンサーシステムが知られている。この点に関して、単一のセンサーを実行させるか、またはセンサー信号をテストするために、各センサーに自身のセンサー電子ユニットまたは評価装置が提供されなければならないことは、不都合である。センサー電子ユニットまたは評価装置が集積電子回路の形式で提供された場合は、全てのさらなるセンサーの接続は、非常に高価な材料および支出によってなされる。
【0003】
さらに、追加の高価な材料および支出は、集積されたコンポーネントに提供された追加のコネクターから生じる。
【0004】
複数の静電容量センサーを提供する静電容量センサーシステムにおいて、交番電場が隣接する静電容量センサーに結合することを妨げるために、静電容量センサー間に一定の距離が維持されなければならないことは、さらに不都合である。2つの隣接する静電容量センサーの距離を減少させるために、2つの隣接する静電容量センサーを互いから遮蔽するための追加の対策が必要である。したがって、対応する遮蔽手段が接続され得る十分な追加のコネクターが集積回路上に提供されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(発明の目的)
そのため、本発明の目的は、一方には、センサー電子ユニット上のセンサー素子の数を増加させることを可能にし、同時にセンサー電子ユニットのハードウェアコンポーネントを大きく増やす必要がなく、他方では、同時に、複数の静電容量センサー素子を互いに近い距離においてさえも確立し、動かすことを可能にし、同時に、静電容量センサー素子の観測範囲における物体の位置の検出を改善させる解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明に従う解決策)
この目的は、発明に従って、複数のセンサー素子に対して接続を有しているセンサー電子ユニットと、独立請求項に従うセンサー素子の少なくとも1つの観測範囲にある物体の位置を決定する方法とによって解決される。発明の有利な実施形態は、それぞれの独立請求項から決まる。
【0007】
そのため、複数のセンサー素子に対して、複数の接続を有している電子回路が提供される。電子回路の接続は、センサー素子を形成する少なくとも1つの送信電極、少なくとも1つの受信電極および少なくとも1つの補償電極に結合され得る。少なくとも1つの補償電極は、少なくとも1つの受信電極に静電容量的に結合され得る。センサー素子における少なくとも1つの交番電場は、センサー素子の観測範囲を形成する。電子回路は、少なくとも1つの多重化法において、センサー素子の少なくとも1つの観測範囲における少なくとも1つの物体の存在を検出することと、センサー素子を互いから区別することとを行うように構成されている。
【0008】
少なくとも1つの補償電極をセンサー素子の少なくとも1つの送信電極と少なくとも1つの受信電極との間に配列することが有利である。
【0009】
センサー素子における少なくとも1つの交番電場は、送信電極において放出された第一の交番電場と、補償電極において放出された第二の交番電場とによって形成され得る。第一の交番電場および第二の交番電場は、受信電極に結合され得る。
【0010】
送信電極において放出された第一の交番電場は、物体がセンサー素子の観測範囲に入った場合、受信電極に結合され得る。補償電極において放出された第二の交番電場は、センサー素子の観測範囲において、物体がない場合でも、受信電極に結合され得る。センサー素子への物体の接近は、送信電極において放出された第一の交番電場を受信電極に結合させ得る。第一の交番電場は、物体によって受信電極に結合され得る。送信電極において放出された第一の交番電場を物体によって受信電極に結合することによって、第一の交番電場は、補償電極において放出された第二の交番電場の領域から実質的に引き出される。次いで、第二の交番電場が実質的に「架橋」される(つまり、第一の交番電場は、第二の交番電場によっては、もはや削除されないか、または減衰の程度が弱い)。
【0011】
多重化によって、電子回路のハードウェアコンポーネントの特に有利な複数使用が可能である。なぜなら、電子回路における信号経路の一部が複数のセンサー素子に対して一度だけ提供される必要があるからである。
【0012】
電子回路は、多重化において、第一の交番電圧がセンサー素子の各送信電極に供給され、第二の交番電圧がセンサー素子の各補償電極に供給され、センサー素子のそれぞれの受信電極を通って流れる電流が検出されるように構成され得る。各センサー素子に対して、第一の交番電圧と第二の交番電圧とは、同じ周波数を有しており、互いに対して位相がずらされている。
【0013】
多重化法は、周波数多重化法であり得、センサー素子の送信電極に供給された第一の交番電圧は、各々、異なる周波数を有し得る。
【0014】
電子回路の接続は、センサー素子の受信電極に、共通の導線によって結合され得る。電子回路は、それぞれのセンサー素子における物体の存在を表す全ての受信電極に対する値を決定するために、それぞれの受信電極において流れる電流から生じる全電流が周波数分析に送られるように構成されている。
【0015】
多重化法は、時分割法であり得、電子回路は、センサー素子の送信電極に順々に第一の交番電圧を供給するように構成され得る。
【0016】
電子回路は、センサー素子のそれぞれの受信電極を通って流れる電流を加えるように構成され得る。
【0017】
電子回路は、電流が検出されない受信電極の電流をフェードアウトするようにさらに構成され得る。
【0018】
多重化法は、時分割法であり得、電子回路は、センサー素子のそれぞれの受信電極を通って流れる電流を、順次、検出することと、それぞれのセンサー素子における物体の存在を表す検出された電流から値を決定することとを行うように構成され得る。
【0019】
電子回路は、第一の交番電圧が供給されない送信電極および/または電流が検出されない受信電極を電子回路の集合電位に結合するように構成され得る。
【0020】
多重化法は、符号分割多重化法であり得、電子回路は、センサー素子の送信電極を供給され得る第一の交番電圧を毎回、異なる符号によって符号化するように構成されている。
【0021】
電子回路は、それぞれのセンサー素子における物体の存在を表す全ての受信電極に対する値を決定するために、それぞれの受信電極を通って流れる電流から生じる全電流の復号化を受けるように構成され得る。
【0022】
電子回路は、毎回、センサー素子の補償電極に第一の交番電圧の少なくとも一部を供給するように構成され得る。
【0023】
センサー素子の補償電極は、共通の補償電極によって形成され得、電子回路の接続が共通の補償電極を接続するために提供される。
【0024】
あるいは、または加えて、センサー素子の受信電極は、共通の受信電極によって形成され得、電子回路の接続が共通の受信電極を接続するために提供される。
【0025】
あるいは、または加えて、センサー素子の送信電極は、共通の送信電極によって形成され得、電子回路の接続が共通の送信電極を接続するために提供される。
【0026】
センサー素子を共通の送信電極、多数の受信電極および少なくとも1つの補償電極によって形成することは有利であると分かるはずである。少なくとも1つの補償電極は、共通の補償電極または多数の補償電極として形成され得る。
【0027】
少なくとも1つの物体の位置をセンサー素子の少なくとも1つの観測範囲にあるセンサー素子に対して決定する方法も提供される。電気的な変数は、多重化法において、それぞれの観測範囲における物体の存在を示す各センサー素子に対して検出される。
【0028】
センサー素子は、少なくとも1つの送信電極(SE)、少なくとも1つの受信電極(EE)および少なくとも1つの補償電極(KE)を含み得る。
【0029】
少なくとも1つの補償電極は、センサー素子の少なくとも1つの送信電極と少なくとも1つの受信電極との間に配列され得る。
【0030】
送信電極において放出された第一の交番電場と、補償電極において放出された第二の交番電場とによって形成される交番電場は、センサー素子の観測範囲を構成する。
【0031】
第一の交番電場および第二の交番電場は、受信電極に結合され得る。
【0032】
送信電極において放出された第一の交番電場は、物体がセンサー素子の観測範囲に入った場合、受信電極に結合され得る。
【0033】
少なくとも1つの物体のセンサー素子に対する補間された位置を決定するために、検出された電気的な変数間で補間が行われ得る。
【0034】
序数を各センサー素子に割り当てることが有利である。序数は、センサー素子間の隣接関係を記述する。補間は、
検出された電気的な変数の最も高い値を示す第一のセンサー素子の検出と、
すぐ隣りのセンサー素子からの、検出された電気的な変数の最も高い値を示す第二のセンサー素子の検出と、
第一および第二のセンサー素子の序数と、第一および第二のセンサー素子の検出された電気的な変数の値とからのセンサー素子に対する少なくとも1つの物体の補間された位置の計算とを含む。
【0035】
補間された位置は、式
(n1・v1+n2・v2)/(v1+v2)
に従って計算され得る。式中、n1は、第一のセンサー素子の序数であり、n2は、第二のセンサー素子の序数であり、v1は、第一のセンサー素子の検出された電気的な変数の値であり、v2は、第二のセンサー素子の検出された電気的な変数の値である。
【0036】
発明のさらなる詳細および特徴は、図面に関連する以下の記載から生じる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、複数のセンサー素子に対して接続を有しているセンサー電子回路であり、対応する接続が各センサー素子に提供される。
【図2】図2〜図4は、複数のセンサー素子に結合され得る発明に従うセンサーエレクトロニクスの実施形態であり、センサーエレクトロニクスの多数の接続が、異なる静電容量センサー素子の複数の電極の接続に提供される。
【図3】図2〜図4は、複数のセンサー素子に結合され得る発明に従うセンサーエレクトロニクスの実施形態であり、センサーエレクトロニクスの多数の接続が、異なる静電容量センサー素子の複数の電極の接続に提供される。
【図4】図2〜図4は、複数のセンサー素子に結合され得る発明に従うセンサーエレクトロニクスの実施形態であり、センサーエレクトロニクスの多数の接続が、異なる静電容量センサー素子の複数の電極の接続に提供される。
【図5】図5は、複数のセンサー素子を静電容量スライド制御器として有している発明に従うセンサーエレクトロニクスの適用の例である。
【図6】図6は、静電容量回転調整器の形式の別の適用の例である。
【図7】図7は、複数のセンサー素子に対する物体の位置の補間に対する例である。
【図8】図8は、物体の補間された位置を多数のセンサー素子に対して決定する方法のフローチャートである。
【図9】図9は、発明に従うセンサーエレクトロニクスの別の実施形態であり、センサー素子は、周波数多重化法において動作される。
【図10】図10は、発明に従うセンサーエレクトロニクスのさらなる実施形態であり、センサー素子の送信および補償電極は、時分割法によって動作され、受信電極の電流が加えられ、必要な場合にフェードアウトされる。
【図11】図11は、発明に従うセンサーエレクトロニクスのさらなる実施形態であり、センサー素子は、各々、時分割法によって動作され得る複数の送信電極を有している。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(発明の詳細な説明)
図1は、2つのセンサー素子Z1およびZ2が接続された、発明に従う電子回路Sを有している静電容量センサーシステムを示す。電子回路Sは、以下ではセンサー電子ユニットSとして呼ばれる。2つのセンサー素子の各々は、1つの送信電極SE、1つの補償電極KEおよび1つの受信電極EEを含む。電極は、センサーエレクトロニクスの接続Aによって、センサーエレクトロニクスに結合される。送信電極SEに、各々、第一の交番電圧が供給されることによって、各送信電極SEから、第一の交番電場が放出される。2つの補償電極KEに、各々、第二の交番電圧が供給されることによって、各補償電極KEにおいて、別の交番電場が放出される。
【0039】
第二の交番電圧は、好ましくは、第一の交番電圧に対して位相がずらされている。第一の交番電圧は、例えば、正弦信号(sinus signal)であり得、第二の交番電圧は、例えば、長方形信号(rectangular signal)であり得る。両信号は、長方形信号の形態も有し得る。第一および/または第二の交番電圧は、各センサー素子に対して異なり得る。
【0040】
第一の電気交番電圧の一部は、また、第二の交番電圧に加えられ得ることによって、補償電極KEに、第一の交番電圧の一部と、第二の交番電圧の一部との合計である電気交番電圧が供給される。この目的のために、センサー電子ユニットSにおける対応する信号経路が互いに結合され得る。第二の交番電圧への第一の交番電圧の一部のみの追加は、第一の交番電圧を、まず、減衰器に伝導することによって達成され得る。あるいは、送信電極SEと補償電極KEとがまた減衰器によって互いに結合され得る。
【0041】
送信電極SEまたは補償電極KEにおいて放出された交番電場は、受信電極EEに結合されることによって、電流が受信電極EEを通って流れる。受信電極EEを通って流れる電流は、センサー電子ユニットSのコンポーネントである評価装置によって検出され得る。
【0042】
図1に示されるセンサー素子Z1およびZ2は、例えば、時分割多重化法において動作され得る(つまり、毎回、2つのセンサー素子Z1、Z2のうちの1つのみが活性化する)。したがって、センサー電子ユニットSは、1つの信号発生器のみを提供しなければならない。信号発生器の信号は、送信電極SEまたは補償電極KEにおいて適用される。また、1つの評価装置のみが、受信電極EEにおいて流れる電極の評価または検出のために提供される必要がある。あるいは、センサー素子Z1、Z2も多重化に基づく周波数によって動作され得る(つまり、第一のセンサーアイテムZ1の送信電極および補償電極に、第二のセンサーアイテムZ2の送信電極SEおよび補償電極KEに供給された信号のものとは異なる周波数の信号が供給される)。
【0043】
図2は、2つの静電容量センサー素子Z1およびZ2が接続された、発明に従うセンサー電子ユニットを有している静電容量センサーシステムを示す。2つのセンサー素子Z1、Z2のそれぞれ1つは、1つの送信器電極SE、1つの補償電極KEおよび1つの受信電極EEを含む。
【0044】
センサー素子Z1、Z2は、各々、図2に従う実施形態および以下の図に記載されるように、複数の送信電極SEおよび/または複数の補償電極KEおよび/または複数の受信電極EEも含み得る。例えば、センサー素子は、1つの送信電極、1つの補償電極および複数の受信電極を含み得る。センサー素子は、複数の送信電極、複数の補償電極および共通の受信電極も含み得る。
【0045】
センサー電子ユニットSは、2つのセンサー素子Z1、Z2の送信電極SEが共通の送電線によって接続された接続を有している。センサー電子ユニットSは、2つのセンサー素子Z1、Z2の補償電極KEが共通の送電線によって接続されたさらなる接続を有している。センサー電子ユニットSは、毎回、2つのセンサー素子Z1、Z2の1つの受信電極EEが接続された2つのさらなる(two more)コネクターをさらに有している。
【0046】
2つのセンサー素子Z1、Z2の送信電極SEに、各々、第一の交番電圧が供給されることによって、各送信電極SEから交番電場が放出される。2つの補償電極KEに、各々、第二の交番電圧Uが供給されることによって、各補償電極KEにおいて、別の交番電場が放出される。補償電極KEに供給された第二の交番電圧は、送信電極SEに供給された第一の交番電圧に対して、好ましくは位相がずらされている。この目的のためのセンサー電子ユニットSは、信号発生器を提供し得、この信号発生器は、送信電極SEが接続された第一の接続に結合され、補償電極KEが接続された第二の接続を越えた移相器によって、結合されている。あるいは、移相器は、信号発生器と第一の接続との間にも提供され得る。
【0047】
センサー電子ユニットSは、受信電極EEが接続された接続にマルチプレクサによって結合された評価回路をさらに含む。したがって、信号受信電極EEは、順次、クエリされ得る(つまり、受信電極EEの電気的な変数が順次、検出され得る)。受信電極の電気的な変数は、送信電極SEおよび補償電極KEにおいて放出された交番電場が受信電極EEに結合された場合に流れる電流であり得る。物体が、センサー素子の観測範囲に入った場合、送信電極SEにおいて放出された交番場が受信電極EEに単に結合されるような方法で、第一の交番電圧Uおよび第二の交番電圧Uが、好ましくは、選択される。あるいは、小さい結合がシステム監視にとって通常の状態で存在し得る。値は、それぞれのセンサー素子Z1、Z2における物体の存在を表すそれぞれの受信電極EEにおいて検出された電流に付与され得る。
【0048】
発明に従って、送信電極SEおよび補償電極KEをセンサー電子ユニットSの各接続に接続することと、それぞれの受信電極EEにおける電気的な変数を多重化において検出することとによって、センサー電子ユニットにおけるコネクターの数は、少なく維持され得る。コネクターの最大数は、センサー素子に送信電極または補償電極に対する2つのコネクターを加えた数から決まる(つまり、コネクターの数=センサー素子の数+2)。受信電極EEが順次、センサー電子ユニットの評価装置に結合されるので、センサー素子Z1、Z2の全ての送信電極SEまたは全ての補償電極KEに、各々、識別可能な第一の交番電圧Uまたは識別可能な第二の交番電圧Uが供給された場合でも、全てのセンサー素子は、また、明確に識別され得る。
【0049】
図3は、2つのセンサー素子Z1、Z2が接続された、発明に従うセンサー電子ユニットSの別の実施形態を示す。図3に示された実施形態に従って、センサー電子ユニットSは、各送信電極SEに接続を提供する。また、センサー電子ユニットSは、各補償電極KEに接続を提供する。しかし、センサー素子Z1、Z2の受信電極EEは、共通の送電線によって、センサー電子ユニットSの特定の接続に接続される。
【0050】
図3に示される実施形態の変形例において、第一のセンサー素子Z1の送信電極SE、および第二のセンサー素子Z2の時分割多重化の送信電極SEに、第一の電気交番電圧Uが供給され得る。また、第一のセンサー素子Z1の補償電極KE、および第二のセンサー素子Z2の時分割多重化の補償電極KEに、好ましくは、第一の交番電圧に対して位相がずらされた第二の交番電圧が供給される。第一の交番電圧U1に対する第二の交番電圧Uの移相シフトは、ここで、移相器の助けを用いてなされ得る。
【0051】
送信電極SEおよび補償電極KEに、各々、対応する交番電圧が順次、供給されると、センサー素子Z1、Z2の全ての受信電極EEが接続されたセンサー電子ユニットSの評価装置は、検出されたセンサー信号を、それぞれのセンサー素子Z1、Z2に正確に帰属させ始め得る。
【0052】
図3に従うセンサー電子ユニットSの第二の変形例において、送信電極SEに、各々、異なる周波数の第一の交番電圧が供給され得る。それぞれの補償電極に、ここで、第一の交番電圧に対して位相がずらされた、等しい周波数の第二の交番電圧が供給される。移相シフトは、再び、移相器を用いてなされ得る。センサー素子の送信電極SEおよび補償電極KEに、各々、異なる周波数の交番電圧が供給されるので、異なる周波数の交番電場は、また、送信電極の各々および補償電極の各々において形成される。したがって、対応する受信電極EEにおいて結合された交番電場によって発生させられた電流も異なる周波数を有している。受信電極EEが接続された接続における周波数スペクトルは、センサー電子ユニットSの評価ユニットにおいて、周波数分析(例えば、高速フーリエ変換またはGoertzelアルゴリズム)の助けを用いて、単一の周波数成分に分割され得る。周波数分析から生じた電流は、再びセンサー素子Z1、Z2に正確に割り当てられ得る。
【0053】
図3に示されるセンサー電子ユニットの第三の変形例において、符号によって符号化された信号発生器によって、交番信号が提供され得る。符号は、各送信電極SEに対して異なる。符号化された交番信号は、送信電極に供給される。符号化された交番信号に対して、位相がずらされた交番信号は、対応する補償電極に供給される。センサー電子ユニットSの入口における信号は、再び符号によって復号化され得る。復号化から生じる電流は、再び正確に、それぞれのセンサー素子Z1、Z2に割り当てられ得る。
【0054】
図3に従う実施形態において、複数のセンサー素子を接続するために必要な接続の最大数は、センサー素子に1つの接続を加えた数から決まる(つまり、2×センサー素子の数+1)。
【0055】
図4は、2つのセンサー素子Z1、Z2が接続された、発明に従うセンサー電子ユニットSの実施形態を示す。2つのセンサー素子Z1、Z2の各送信電極SEに、センサー電子ユニットSへの接続が提供される。補償電極KEは、共通の送電線によって、センサー電子ユニットSの特定の接続に接続される。また、2つのセンサー素子の受信電極EEは、共通の送電線によって、センサー電子ユニットSの特定の接続に接続される。
【0056】
図4に示される実施形態に従って、2つのセンサー素子Z1、Z2は、例えば、時分割多重化によって動作され得る(つまり、センサー素子の送信電極SEに、各々、順次、交番電圧が供給される)。そのため、交番電場も順次、それぞれの受信電極EEに結合された両送信電極SEにおいて放出されるので、電流がそれぞれの受信電極において流れる。送信電極SEに順次、交番電圧を供給することによって、評価装置Aによって検出された電流は、正確に受信電極EEに割り当てられ得、したがって、センサー素子にも割り当てられ得る。
【0057】
図5は、センサー電子ユニットSおよび複数のセンサー素子を有している静電容量センサー装置の適用を示す。図5に示される適用は、8つのセンサー素子を含む静電容量スライド制御器SRであり、8つのセンサー素子は、共通の受信電極EEを用いる。センサー電子ユニットSへのセンサー素子の結合は、実質的に図3に示される結合に対応する。
【0058】
センサー電子ユニットSは、この局面において、スライド制御器SRにおけるフィンガーの位置を検出または確立するために、図3に関して記載される多重化を実装し得る。
【0059】
既に図2に関して記載したが、第一の交番電場は、各送信電極SEにおいて放出され、受信電極EEに結合される。また、第二の交番電場は、各補償電極KEにおいて放出され、受信電極EEに結合される。受信電極EEにおける結合された交番電場は、受信電極EEにおいて、センサー電子ユニットSによって検出および分析され得る電流を発生させる。
【0060】
センサー電子ユニット上のスライド制御器の静電容量スライド制御器SRまたはセンサー素子の接続のためには、1つのみの接続が受信電極EEの接続のために必要とされるセンサー電子ユニットSにおいて、ここで示される8つのセンサー素子に17のコネクターが提供されなければならない。センサー電子ユニットは、ここで、受信電極EEにおいて適用された信号および/または受信電極EEに流れ込む電流を評価し、1つ以上のデジタル信号を変換し、マイクロコントローラーμCを供給するアナログフロントエンド(AFE)を保有している。マイクロコントローラーは、デジタル信号を処理し得、結果に基づき、静電容量スライド制御器に結合された電気装置において行動を誘導し得る。
【0061】
フィンガーがスライド制御器SRに沿って動いた場合、フィンガーは、受信電極EEにおける電流の変化を引き起こす、それぞれの交番電場に影響を与える。この電流の変化は、センサー電子ユニットSによって評価される。センサー電子ユニットSにおいて、既に図3に関して記載されたように、スライド制御器SRに対するフィンガーの位置は、この評価によって決定され得る。この局面において、フィンガーがセンサーに接触することは必要ない。フィンガーがセンサー素子の観測範囲中の静電容量スライド制御器に沿って動くことで十分である。センサー素子は、多重化方法を適切に選ぶことによって、互いに非常に近接して配列され得るので、非常に小型な静電容量スライド制御器SRが提供され得、そうでない場合、高解像度を含む(つまり、スライド制御器SRに対するフィンガーの位置は、特にはっきりと規定され得る)。多重化センサー素子の相互作用は、適切な選択によって回避されるか、または、それに応じて、センサー電子ユニットSによって認識されるので、このことが可能である。
【0062】
複数のフィンガーの位置をスライド制御器上で検出することも可能である。この目的のために、受信電極が接続された入口におけるセンサー信号を、信号分析に誘導することが提供される。信号分析は、例えば、周波数多重化の適用の場合、センサー信号を、振幅を有している周波数成分に分解し得る。周波数成分の振幅から、静電容量スライド制御器上に置かれたのは、1本のフィンガーのみ(振幅は、1つのピーク値のみを示す)または複数のフィンガー(振幅は、複数のピーク値を示す)かが推定され得る。
【0063】
あるいは、送信電極、補償電極及び複数の受信電極を有している、図5に示されるスライド制御器も実装され得る。
【0064】
図6において、センサー電子ユニットSおよびセンサー電子ユニットSに接続された複数のセンサー素子を有している静電容量センサーの別の適用が示される。この場合、その適用は静電容量回転調整器である。ここで再び、センサー素子の接続は、図3に示される実施形態に対応する(つまり、センサー素子は、共通の受信電極EEを有している)。ここで再び、センサー電子ユニットSは、センサー電子ユニットSへのセンサー素子の接続のために、17のコネクターを有している。なぜなら、静電容量回転調整器に8つのセンサー素子が提供されるからである。
【0065】
あるいは、送信電極、補償電極および多数の受信電極を有している図6に示される回転制御器も実装され得る。複数のセンサー素子に対するフィンガーの位置のさらに良質な解像度を達成するためには、本発明によって提供される補間法を用いることは有利である。
【0066】
図7において、一次補間法の結果が示され、8つのセンサー素子に対して、8つのセンサー素子に対するフィンガーの位置の補間を示す。序数に基づいて、8つのセンサー素子がX軸に沿って適用される。好ましくは、センサー素子の隣接関係は、序数によって規定される(つまり、例えば、序数4を有しているセンサー素子は、序数3または序数5を有しているセンサー素子をすぐ隣りのセンサー素子として有している)。
【0067】
それぞれのセンサー素子に対して検出された別々の信号値がY軸上に適用される。信号値は、例えば、それぞれのセンサー素子の受信電極EEにおける電流に対応し得る。
【0068】
図7に示されるマークMは、ここで、8つのセンサー素子に対する物体の補間された位置に対応する。これらの8つのセンサー素子は、図5または図6に関して示される8つのセンサー素子であり得る。図7から認識され得るが、位置決定の解像度は、明確に増加され得るので、センサー素子を互いに特に近接して配列し得るという図5を用いて既に記載した可能性に加えて、解像度はさらに強化され得、さらに正確な静電容量スライドコントローラーが提供され得る。
【0069】
ここで示される一次補間法の代わりに、より高級な補間法(例えば、二乗補間またはスプライン補間)も提供され得る。
【0070】
図8において、発明に従う一次補間法の例がフローチャートの形式で示される。第一の工程S1において、単一センサー素子間の近傍関係が決定される(つまり、序数が各センサー素子に割り当てられる)。例えば、この第一の工程S1は、静電容量センサーまたはセンサー電子ユニットSの初期化処理中に一度実行され得る。序数は、また、センサー電子ユニットにおける不揮発性メモリ中に格納され得る。
【0071】
センサーが稼働している場合、全てのセンサー素子のセンサー値がクエリされるS2。センサー値は、それぞれのセンサー素子の観測範囲における物体の存在を示し得る。観測範囲における物体の存在は、例えば、センサー素子に対する物体の距離であり得る。
【0072】
クエリされたセンサー値は、格納装置または複数のレジスタにおけるさらなる処理のために、評価装置に格納され得る。
【0073】
さらなる工程S3において、最も高いセンサー値(例えば、最も高い電流)を示すセンサー素子が決定される。この検出されたセンサー素子に対して、序数およびセンサー値がバッファされる。
【0074】
次の工程S4において、最も高いセンサー値を示す隣接するセンサーが決定される。図7における例において、序数6を有しているセンサー素子は、最も大きいセンサー値(つまり、45)を示すセンサー素子である。そのため、序数6を有しているセンサー素子に隣接するセンサー素子は、序数5および7を有しているセンサー素子である。序数5および7を有しているセンサー素子の中から、最も大きいセンサー値を示すセンサー素子が選択される(つまり、序数5を有しているセンサー素子が選択される)。検出された隣接するセンサー素子に対する序数およびセンサー値も格納装置にバッファされる。
【0075】
次の工程S5において、ここで、補間された位置が決定または計算される。発明の一実施形態において、補間された位置は、以下の式に基づいて計算され得る。
【0076】
【数1】

式中、nは、第一のセンサー素子の序数であり、nは、第二のセンサー素子の序数であり、vは、第一のセンサー素子の検出された電気的な変数の値であり、vは、第二のセンサー素子の検出された電気的な変数の値である。これは、センサー素子に対する物体の補間された位置Mとなり、この場合、位置Mは、序数5または6を有しているセンサー素子の2つの離散位置の間にある。
【0077】
発明に従って、さらに隣接するセンサー素子が補間に含まれ得、一般化された補間式は、
【0078】
【数2】

となる。式中、nは、i番目のセンサー素子の序数であり、vは、i番目のセンサー素子の検出された電気的な変数の値である。このようにして、センサー素子に対する物体の位置の精度をさらに増加させることが可能である。
【0079】
図9は、2つのセンサー素子Z1およびZ2が接続された発明に従うセンサー電子ユニットの実施形態を示す。センサー電子ユニットSへのセンサー素子Z1、Z2の接続は、図3に関して示すセンサー電子ユニットSへのセンサー素子の接続に対応する。図9に示される実施形態において、センサー素子Z1、Z2は、周波数多重化法のみによって動作される。この局面において、各送信電極SEに、毎回、異なる周波数fまたはfを含む電気交番信号が供給される。電気交番信号の振幅U、Uは、同一であり得るが、異なることもあり得る。2つのセンサー素子の補償電極KEにも、電気交番信号が供給され、それぞれの信号の周波数は、センサー素子のそれぞれの送信電極SEにおいて供給された交番信号の周波数に対応する。補償電極KEにおける電気交番信号は、それぞれの送信電極SEにおける電気交番信号に対して位相がずらされている。
【0080】
2つのセンサー素子Z1、Z2の受信電極EEは、センサー電子ユニットSの入口を有している共通の送電線によって結合される。受信電極EEに適用されたセンサー信号(つまり、受信電極EEを通って流れる電流)は、全電流中の様々な周波数を分離するために、信号分析に導かれる。次いで、分離された周波数は、正確に受信電極EEまたはセンサー素子Z1、Z2に再び割り当てられ得る。あるいは、受信電極EEに適用されたセンサー信号は、信号分析に導かれる前に増幅され得る。
【0081】
図10は、発明に従うセンサー電子ユニットSのさらなる実施形態を示す。センサー電子ユニットSへのセンサー素子Z1、Z2の接続は、図1におけるセンサー素子の接続に対応する。
【0082】
送信電極SEおよび補償電極EEに電気交番信号が時分割によって供給される(つまり、センサー素子Z1、Z2には、順次、電気交番信号が供給される)。ここでも、補償電極KEにおいて適用された電気交番信号は、それぞれの送信電極SEに供給された電気交番信号に対して位相がずらされている。
【0083】
2つのセンサー素子の受信電極EEは、各々、評価装置にセンサー電子ユニットSの入口によって結合される。評価装置は、信号分析を含み得る。両入口にセンサー信号(つまり、両受信電極EEを通って流れる電流)が加えられ、信号分析に導かれる。入力信号を加えることは、センサー素子の観測範囲における物体の検出が非常に速く行われ得るという利点を有する。なぜなら、毎回、評価経路の動作範囲を再較正する必要がないからである。
【0084】
センサー電子ユニットSの入口に適用されたセンサー信号(つまり、電極電流)は、加算器に伝導される前に、増幅器に伝導され得る。増幅器は、時分割によって作動されたセンサー素子のため、一時、活性していない受信電極EEの電極電流をフェードアウトさせるために提供される。図10に示されるように、センサー素子Z2が活性している(つまり、センサー素子Z2の送信電極および補償電極に、各々、電気交番信号が供給されている)。送信電極または補償電極において放出された交番電場は、第二のセンサー素子Z2の受信電極EEにおいて結合されることによって、電流が受信電極EEを通って流れ、センサー電子ユニットSの評価ユニットによって検出される。
【0085】
第一のセンサー素子Z1が活性化していないとき、第一のセンサー素子の受信電極EEを通って流れる電流もフェードアウトされ得る。これは、調節可能な増幅器によって行われ得る。増幅器は、対応するセンサー素子の活性化した状態における電流が実質的にゼロに減少されるような方法によって形成される。調節可能な増幅器の代わりに、単一段増幅器も提供され得る。
【0086】
それぞれの非活性化センサー素子の電極電流をフェードアウトさせることによって、全電流に対するそれらの電極電流の影響が回避または減少される。
【0087】
図11は、発明に従うセンサー電子ユニットの別の実施形態を示す。この実施形態において、センサー素子Z1およびZ2は、2つの対応する送信電極SE1およびSE2と、対応する補償電極KEと、対応する受信電極EEとを含む。センサー素子Z1およびZ2は、例えば、図1または図10に関して、既に記載したように、多重化法に従って、動作され得る。
【0088】
単一のセンサー素子の電極も多重化法において動作され得る。図11に示される実行の変形例において、送信電極SE1およびSE2に時分割多重化(つまり、順次)によって電気交番信号が供給され得る。毎回、補償電極KEに電気交番信号が伝導され、その周波数は、電極SE1またはSE2において適用された電気交番信号に対応するが、補償電極KEに伝導された電気交番信号は、電極SE1またはSE2に適用された電気交番信号に対して、位相がずらされている。第一のセンサー素子Z1の受信電極は、センサー電子ユニットSの入口に接続され、センサー電子ユニットSの入口によって、信号評価に結合される。ここでも、入口におけるセンサー信号は、まず、増幅器に伝導され得る。送信電極SE1またはSE3に電気交番信号を連続して(つまり、順次)供給するので、入口に適用されたセンサー信号(つまり、受信電極EEの入口を通って流れる電極電流)も正確に送信電極に関連付けられ得る。
【0089】
複数の対応する補償電極KEおよび/または受信電極EEも各センサー素子に提供され得る。複数の補償電極および/または複数の受信電極の送信電極および/または複数の送信電極との一緒の動作は、図1〜図4ならびに図9および図10に関して記載した多重化のうちの1つに従って動作され得る。
【0090】
図1〜図6および図9〜図11に正確に示すように、補償電極は、毎回、送信電極と受信電極との間に配列される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセンサー素子(Z1 Z2)に対して複数の接続(A)を有している電子回路(S)であって、
該電子回路(S)の接続(A)は、センサー素子(Z1、Z2)を形成する少なくとも1つの送信電極(SE)、少なくとも1つの受信電極(EE)および少なくとも1つの補償電極(KE)に結合可能であり、該少なくとも1つの補償電極(KE)は、該少なくとも1つの受信電極(EE)に静電容量的に結合可能可能であり、該少なくとも1つの補償電極(KE)は、該センサー素子の少なくとも1つの送信電極(SE)と少なくとも1つの受信電極(EE)との間に配列され、該センサー素子における少なくとも1つの交番電場は、該センサー素子の観測範囲を形成し、
該電子回路(S)は、少なくとも1つの多重化法において、該センサー素子(Z1、Z2)の少なくとも1つにおける観測範囲における物体の存在を検出することと、該センサー素子を互いから区別することとを行うように構成されている、電子回路。
【請求項2】
前記センサー素子における少なくとも1つの交番電場は、前記送信電極(SE)において放出された第一の交番電場と、前記補償電極(KE)において放出された第二の交番電場とによって形成され、該第一の交番電場および該第二の交番電場は、前記受信電極(EE)に結合可能である、請求項1に記載の電子回路。
【請求項3】
前記送信電極(SE)において放出された前記第一の交番電場は、物体が前記センサー素子の観測範囲に入った場合、前記受信電極(EE)に結合可能である、請求項2に記載の電子回路。
【請求項4】
前記電子回路(S)は、前記多重化法において、
第一の交番電圧(U)を前記センサー素子(Z1、Z2)の各送信電極(SE)に供給することと、
第二の交番電圧(U)を該センサー素子(Z1、Z2)の各補償電極(KE)に供給することと、
該センサー素子(Z1、Z2)のそれぞれの受信電極(EE)における電流を検出することと
を行うように構成されており、各センサー素子(Z1、Z2)に対して、該第一の交番電圧(U)および該第二の交番電圧(U)は、同じ周波数を有しており、互いに対して位相がずらされている、請求項1〜3のうちの一項に記載の電子回路。
【請求項5】
前記多重化法は、周波数多重化法であり、前記センサー素子(Z1、Z2)の送信電極(SE)に供給された前記第一の交番電圧(U)は、毎回、異なる周波数(f)を含む、請求項4に記載の電子回路。
【請求項6】
前記電子回路(S)の接続(A)は、共通の送電線によって、前記センサー素子(Z1、Z2)の受信電極(EE)に結合可能であり、前記対応するセンサー素子における前記物体の存在を表す全ての前記受信電極(EE)に対する値を決定するために、該電子回路は、それぞれの受信電極(EE)において流れる電流から生じる全電流を周波数分析に送る、請求項5に記載の電子回路。
【請求項7】
前記多重化法は、時分割法であり、前記電子回路(S)は、前記センサー素子(Z1、Z2)の送信電極(SE)に順次、前記第一の交番電圧(U)を供給するように構成されている、請求項4〜6のうちの一項に記載の電子回路。
【請求項8】
前記多重化法は、時分割法であり、前記電子回路(S)は、前記センサー素子(Z1、Z2)のそれぞれの受信電極(EE)を通って流れる電流を順次、検出することと、それぞれのセンサー素子における前記物体の存在を表す検出された電流から値を決定することとを行うように構成されている、請求項4〜6のうちの一項に記載の電子回路。
【請求項9】
前記多重化法は、符号分割多重化法であり、前記電子回路(S)は、前記センサー素子(Z1、Z2)の送信電極(SE)に供給された前記第一の交番電圧(U)を毎回、異なる符号によって符号化するように構成されている、請求項4〜8のうちの一項に記載の電子回路。
【請求項10】
前記電子回路(S)は、それぞれのセンサー素子における前記物体の存在を表す各受信電極(EE)に対する値を決定するために、それぞれの受信電極(EE)を通って流れる電流から生じる全電流を復号化処理に送るように構成されている、請求項9に記載の電子回路。
【請求項11】
前記センサー素子(Z1、Z2)の補償電極(KE)は、共通の補償電極によって形成され、前記電子回路(S)の接続(A)は、該共通の補償電極を接続するために提供される、請求項1〜10のうちの一項に記載の電子回路。
【請求項12】
前記センサー素子(Z1、Z2)の受信電極(EE)は、共通の受信電極によって形成され、前記電子回路(S)の接続(A)は、該共通の受信電極を接続するために提供される、請求項1〜11のうちの一項に記載の電子回路。
【請求項13】
前記センサー素子(Z1、Z2)の送信電極(SE)は、共通の送信電極によって形成され、前記電子回路(S)の接続(A)は、該共通の送信電極を接続するために提供される、請求項1〜12のうちの一項に記載の電子回路。
【請求項14】
前記センサー素子(Z1、Z2)は、共通の送信電極、複数の受信電極および少なくとも1つの補償電極によって形成され、該少なくとも1つの補償電極は、共通の補償電極または複数の補償電極として形成される、請求項1〜13のうちの一項に記載の電子回路。
【請求項15】
センサー素子(Z1、Z2)の少なくとも1つの観測範囲における該センサー素子(Z1、Z2)に対する少なくとも1つの物体の位置を決定する方法であって、
多重化法において、各センサー素子(Z1、Z2)に対して、それぞれの観測範囲における該物体の存在を示す電気的な変数が検出され、センサー素子は、少なくとも1つの送信電極(SE)、少なくとも1つの受信電極(EE)および少なくとも1つの補償電極(KE)を含み、該少なくとも1つの補償電極(KE)は、該センサー素子の少なくとも1つの送信電極(SE)と少なくとも1つの受信素子(EE)との間に配列される、方法。
【請求項16】
前記送信電極(SE)において放出された第一の交番電場と、前記補償電極(KE)において放出された第二の交番電場とによって形成される交番電場は、前記センサー素子の観測範囲を構成する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第一の交番電場および前記第二の交番電場は、前記受信電極(EE)に結合される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記送信電極(SE)において放出された前記第一の交番電場は、物体が前記センサー素子の観測範囲に入った場合、前記受信電極(EE)に結合される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
補間は、前記少なくとも1つの物体の補間された位置を前記センサー素子(Z1、Z2)に対して決定するために、補間が、前記検出された電気的な変数間で行われる、請求項15〜18のうちの一項に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2013−511080(P2013−511080A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538338(P2012−538338)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/067318
【国際公開番号】WO2011/058116
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(511242328)アイデント・テクノロジー・アーゲー (6)
【Fターム(参考)】