説明

複数のテープフォーマットとの互換性を有する磁気テープドライブ及び磁気テープヘッド

本発明の実施形態は、現行の磁気テープフォーマット(1820)並びに1つ又は2つ以上の以前の磁気テープフォーマット(1802,1804)との読み出し/書き込み上の互換性を揺する後方互換磁気テープドライブ(102)の設計及び実施に関するものである。本発明の実施形態は、異なるフォーマットに従ってフォーマットされた磁気テープに対して磁気テープドライブが読み出し及び書き込みを行うことを可能にするリード/ライトテープヘッド構成(1902,1904,1906,1908-1923,1930,1932,1934,2102)及びそれに対応する磁気テープドライブ構成要素(518)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にテープドライブ技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明は、様々な異なるタイプの磁気テープ記憶装置に一般に適用可能なものであるが、以下では、所有権のある磁気テープ技術の代替となるオープンスタンダードとして1990年代後半に開発されたLTO(Linear Tape-Open)磁気テープストレージ技術に関して、実施形態を説明する。LTO磁気テープストレージ技術は、LTO磁気テープドライブに挿入し又は該ドライブから取り出されるシングルリールカートリッジ内に格納された1/2インチ磁気テープに基づくものである。LTO磁気テープドライブは、高いデータ転送速度を特徴とし、LTOテープカートリッジは非常に大きな記憶容量を提供する。LTO磁気テープ記憶装置は、様々なデータアーカイビング及びデータバックアップ用途において広範な用途を見出している。
【0003】
LTO磁気テープストレージ技術は、4世代の磁気テープフォーマット及び磁気テープドライブ実装(LTO-1,LTO-2,LTO-3,LTO-4と呼ばれる)を通して進化してきた。更に、LTO-5,LTO-6,LTO-7世代が現在様々な開発段階にある。LTO-1テープカートリッジは、最大100ギガバイト(GB)のデータを保持し、最大データ転送速度が15メガバイト(GB)/秒である。LTO-1磁気テープフォーマットは、384データトラック、8対のリード/ライト要素対/テープヘッド、及び線形データ密度4880bit/mmを提供する。現在のLTO-4磁気テープストレージ技術は、最大800GB/磁気テープカートリッジ及び最大データ転送速度120MB/秒を提供する。LTO-4磁気テープフォーマットは、896データトラック及び16リード/ライト要素対/ヘッドを提供し、及び線形データ密度13,520bit/mmを提供する。歴代の各LTO世代は、益々幅が狭くなっていくデータトラックを多数使用することにより著しく高いトラック密度を提供し、これに対応して、リード/ライトテープヘッド要素が一層幅の狭いものとなる。時折、LTO-3の場合に見られたことであるが、一層多数のデータトラックに対する同時アクセスを可能にし及び所与のテープスピードについて一層高いデータ転送速度を可能にするために、テープヘッドは一層多数のリード/ライトテープヘッド要素/テープヘッドを含むものとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
新しい世代のテープドライブの旧い世代の磁気テープとの後方互換性は、テープドライブに期待され商業的に必要不可欠な特徴である。一般に、世代nのテープドライブは、少なくとも世代n-1の磁気テープフォーマットと書き込み上の互換性を有する必要があり、及び世代n-1の磁気テープフォーマット及び世代n-2の磁気テープフォーマットと読み出し上の互換性を有する必要がある。最初の4つのLTO世代にわたり、後方互換性の問題は、主に、テープヘッド内の益々幅が狭くなっていくリード/ライト要素を開発することにより、テープヘッド内のリード/ライト要素の個数を増やすことにより、及び磁気テープドライブ内部の構成要素(サーボコントローラ、マイクロコントローラルーチン、及び内部信号経路を含む)を適宜修正することにより、取り扱われてきた。しかし、世代LTO-6に期待される磁気テープフォーマットの変更は大きなものであり、該変更は、LTO-6及びLTO-5/4の両磁気テープとの互換性を有するLTO-6磁気テープドライブヘッドの製造に対して大きな技術的課題を呈するものである。それ故、LTO-6世代のテープドライブを現在設計し実施している研究者及び開発者は、LTO-6磁気テープドライブがLTO-6フォーマット及びLTO-5/4フォーマットの両方に従ってフォーマットされた磁気テープの読み出し及び書き込みを行うことを可能にする設計及び技術を探索している。同様の課題が、LTO-7磁気テープドライブについて取り組まれている。これらの後方互換性の問題は、LTO磁気テープストレージ技術に関して生じたものであるが、互換性の問題は他の磁気テープストレージ技術においても同様に生じるものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の特定の実施形態は、複数の磁気テープフォーマットとの互換性を有する磁気テープドライブに関するものであり、該磁気テープドライブは、少なくとも2つの異なるフォーマットが行われた磁気テープの2つのサーボ帯域と複数のデータ帯域から選択された1つのデータ帯域内の各データ副帯域の1つのデータトラックとに並行してアクセスする。本発明の他の実施形態は、少なくとも2つの異なるフォーマットが行われた磁気テープの2つのサーボ帯域と複数のデータ帯域から選択された1つのデータ帯域内の各データ副帯域の1つのデータトラックとに並行してアクセスする磁気テープドライブ内の電気機械的なテープアクセス構成要素で使用される磁気テープヘッドに関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】磁気テープカートリッジ内に格納された磁気テープに対してデータの読み出し及び書き込みを行う磁気テープドライブの外観を示している。
【図2】磁気テープカートリッジの外観を示している。
【図3】磁気テープカートリッジを示しており、そのプラスチック製ハウジングの上部が取り外されて該カートリッジ内に巻かれた磁気テープが見えている。
【図4】磁気テープドライブの内部の構成要素を示している。
【図5】磁気テープカートリッジ内のテープ経路を示している。
【図6】磁気テープドライブの内部の構成要素のブロック図を示している。
【図7】テープヘッドを示している。
【図8】磁気テープの構造及びフォーマットを示している。
【図9A】長手方向の位置フレームの内容を示している。
【図9B】長手方向の位置フレームの内容を示している。
【図9C】長手方向の位置フレームの内容を示している。
【図10】1つのデータ帯域のフォーマット構造を示している。
【図11】LTO-4世代の磁気テープの1つのデータ帯域及び2つの境界サーボ帯域の上に配置された磁気テープヘッドを示している。
【図12A】LTO-4世代の磁気テープの1つのデータ帯域内の各副帯域の最初の2つのトラックの書き込みを示している。
【図12B】LTO-4世代の磁気テープの1つのデータ帯域内の各副帯域の最初の2つのトラックの書き込みを示している。
【図13】各データ帯域に関する14ラップを示している。
【図14】テープに書き込むためのホストデータのフォーマットを示している。
【図15】副データと2つの異なる誤り訂正符号の適用により生成された追加のパリティチェックバイトを含む64×480バイトのテーブルを示している。
【図16】物理的な磁気テープに対するデータサブセットの書き込みを示している。
【図17A】1つのデータ帯域内のテープヘッドの配置を示している。
【図17B】1つのデータ帯域内のテープヘッドの配置を示している。
【図17C】1つのデータ帯域内のテープヘッドの配置を示している。
【図18】LTO-4,LTO-5,LTO-6,LTO-7テープフォーマット世代にわたる磁気テープフォーマットの1つの考え得る進化を示している。
【図19A】一実施形態を表すテープヘッド構成を示している。
【図19B】一実施形態を表すテープヘッド構成を示している。
【図20A】LTO-6フォーマットテープの3つの異なるデータ帯域にわたって3つの異なる位置で重畳された一実施形態を表すテープヘッドを示している。
【図20B】LTO-6フォーマットテープの3つの異なるデータ帯域にわたって3つの異なる位置で重畳された一実施形態を表すテープヘッドを示している。
【図21A】第2のテープ-ヘッド構成の実施形態を示している。
【図21B】第2のテープ-ヘッド構成の実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の一層良好な理解のために、その様々な実施形態をその単なる実例として添付図面を参照して提供する。
【0008】
実施形態は、複数の磁気テープフォーマットと読み出し/書き込み上の互換性を有する磁気テープドライブに関するものである。該実施形態は、以下ではLTO磁気テープストレージ技術に関して説明するが、該実施形態は、広範な異なる磁気テープストレージ技術に適用可能なものである。
【0009】
図1は、磁気テープカートリッジ内に格納されている磁気テープに対して読み出し及び書き込みを行う磁気テープドライブの外観を示している。該磁気テープドライブ102は、電源ボタン106、小さな発光ダイオード(LED)表示パネル108、及び磁気テープカートリッジが挿入され及び磁気テープカートリッジが取り出される開口部110を有する、正面パネル104を備えている。図2は、磁気テープカートリッジの外観を示している。LTO-4磁気テープカートリッジ202は、10.2cmの長さ204、10.54cmの幅206、及び2.15cmの高さ208を有している。図3は、プラスチック製ハウジングの上部が取り外されて内部のテープが見えている、磁気テープカートリッジを示している。最長820メートルの単一のテープ302が単一のスプールに巻き付けられる。図4は、磁気テープドライブの内部の構成要素を示している。カートリッジ402は、モータ駆動式のローディング機構によってローダトレイ404内へとロードされる。カートリッジがロードされると、カートリッジハウジングが開き、テープリーダが引き出されてリーダブロック406を通過し、第1のガイドローラ408の周囲、テープヘッド(図4には図示せず)上、及び第2のガイドローラ410を通過して、巻き取りリール412へと供給される。以下で更に詳細に説明するように、テープへの書き込みは、マルチパスで蛇様に行われ、その各パスは、カートリッジから巻き取りリールへの順方向へのテープの巻き取り、又は巻き取りリールからカートリッジへの逆方向へのテープの巻き取りを伴うものである。例えば、LTO-4世代のテープは、28サイクルで完全な書き込みが行われ、その各サイクルは、16データトラックをユーザデータ領域の始めから該ユーザデータ領域の終わりまで順方向に書き込むこと、及び16データトラックをユーザデータ領域の終わりから該ユーザデータ領域の始めまで逆方向に書き込むことを含む。
【0010】
図5は、磁気テープカートリッジ内のテープ経路を示している。磁気テープは、最初は磁気テープカートリッジ506内で供給リール504上に巻かれている。磁気テープドライブ内にロードされると、機械的な機構が、カートリッジを開口させ、磁気テープのリーダ部分に取り付けられたリーダピンを把持し、第1のガイドローラ508の周囲、テープヘッド510上、第2のガイドローラ512の周囲、及び巻き取りリール514へとテープを通す。以下で更に詳細に説明するように、テープヘッド510は、磁気テープへのデータの書き込み及び該磁気テープからのデータの読み出しを行うリード/ライト要素のアレイを含む。テープヘッド510は、読み出し及び書き込みのために異なる組のトラックにアクセスするために、アクチュエータ516によって垂直(図面の平面と垂直な)方向に移動される。該アクチュエータ516はテープドライブコントローラ518によって制御され、該テープドライブコントローラ518は、1つ又は2つ以上のプロセッサ、電子メモリ、及び論理回路を含み、外部ホストコンピュータシステムからデータを受信し、該データを処理してデータセットにし、該データセットをテープヘッド510の電子機械的な制御によって磁気テープに書き込み、テープヘッド510の電子機械的な制御によって磁気テープからデータセットを読み出し、及び該データセットを処理して、ホストコンピュータシステムへ返すホストデータを取り出す。
【0011】
図6は、磁気テープドライブの内部の構成要素のブロック図である。該テープドライブは、SCSI(Small Computer System Interface)、FC(Fibre Channel)、又はSAS(Serial Attached SCSI)通信媒体602及びそれに適したホストインタフェイス604を介してホストコンピュータへ接続される。該通信インタフェイスを介して1つ又は2つ以上のホストコンピュータから受信したデータは、フォーマッタ構成要素606により後述する4つ一組のコードワードへと処理されフォーマットされ、該コードワードが内部通信媒体608を介して前置増幅器610のバンクへと転送され、該前置増幅器610がテープヘッド612のリード/ライト要素へアナログ信号を送出する。該アナログ信号は、テープヘッドのリード/ライト要素内で、テープの強磁性層の微小領域上に局所的な磁界を生成し、該領域の磁性状態を可逆的に変更してデータビットを格納する。同様に、磁気テープの微小領域内の局所的な磁界によってリード/ライト要素内に生成されるアナログ信号という形でデータがテープヘッド612により読み出される。該アナログ信号は、前置増幅器610のバンクに送り返され、次いで増幅された該信号がディジタル信号へと変換されてフォーマッタ606へ送り返されて、該データセットが処理されてホストデータ(通信媒体を介して外部ホストコンピュータへ転送するためにパックされたもの)へと戻される。該ドライブをテープドライブライブラリ内での動作のために調整することを可能にする別個の自動制御インタフェイス614が存在する。マイクロプロセッサ616で実行される制御プログラムは、通信媒体、フォーマッタ、サーボコントローラ618、及び内部データ転送の制御を含む、磁気テープドライブの全体的な制御を提供する。サーボコントローラ618は、テープヘッド上のサーボ要素からの信号を受信し、該信号に応じてテープヘッド位置決めアクチュエータ、駆動モータ、及びその他の電子機械的構成要素を制御する。サーボコントローラフィードバックシステムは、磁気テープ上のデータトラックの精確な追跡を(その磁気テープにおける不均一性にもかかわらず)提供する。テープヘッド上をテープが通過する速度は、磁気テープへデータを書き込む場合にはホストインタフェイスを介したデータ入力速度と一致するように、及び磁気テープからデータを読み出す場合にはホストインタフェイスを介した外部ホストコンピュータのデータ消費速度と一致するように、マイクロプロセッサにより制御される。
【0012】
図7はテープヘッドを示している。テープヘッド702の能動構成要素は、フォトリソグラフィー技術を用いてテープヘッドのセラミック基板上に作製される。能動データリード及びサーボヘッド要素は、磁気抵抗デバイスであり、半導体テープヘッド内で、テープヘッド要素がさらされる磁界に依存する可変抵抗を呈するものである。各データリード及びサーボヘッド要素は、データが磁気テープから読み出される際の抵抗変化の検出を可能にする小さなセンス電流を必要とする。各データライト要素は、磁気テープにデータが書き込まれる際に電流が供給された際に磁界を生成する微小銅コイルを含む。テープヘッドの表面は、図7に示すように、波形を有することが可能であり、一対の丸みを帯びた外側レール704、一対の中間レール706、及び一対の内側レール708を含むことが可能である。テープヘッドの能動部分710は、2つの内側レールの中央部分からなる。テープヘッド720の能動部分は、テープヘッド要素の2つの垂直方向アレイとして図7に示されている。第1の垂直方向アレイ722は、左手の中間レール上に作製され、第2の垂直方向アレイ724は、右手の中間レール上に作製される。LTO-4世代のテープヘッドでは、テープヘッド要素は、テープヘッド要素対を形成するよう水平方向に整列される。2種類のテープヘッド要素対が存在する。リード/ライト要素対726は、左手のリード/ライト要素728と右手のリード/ライト要素730とを含む。リード/ライト要素対726の拡大図732は、各リード/ライト要素がライトギャップ734及びリードギャップ736を含むことを示している。サーボ・テープヘッド要素対740は、一対のリード要素(図7の拡大図742に示す)からなる。磁気テープがテープヘッドを通過して左から右へ移動すると、各リード/ライト要素対の左手のリード/ライト要素(左手の垂直方向アレイ722内に配置されているもの)が磁気テープにデータを書き込み、次いで該データが、各リード/ライト要素対の対応する右手のリード/ライト要素(右手の垂直方向列724内に配置されているもの)によって誤り検出のために直ちに読み出される。磁気テープがテープヘッド上を逆方向に通過する際には、各リード/ライト要素対におけるリード/ライト要素の動作上の役割が逆転する。2つのサーボ・テープヘッド要素対740,746は、後述するように、フォーマットされた磁気テープ内の2つのサーボ帯域から情報を読み出し、16のリード/ライト要素対(リード/ライト要素対726を含む)の各々が、異なるデータトラックに対してデータを書き込み、及び/又は異なるデータトラックからデータを読み出す。
【0013】
図8は、磁気テープの構造及びフォーマットを示している。磁気テープ802は、LTO-4磁気テープ技術規格によるものであり、12.65mmの幅804と最長820mの長さを有するものである。該磁気テープは、適当なバインダ内に分散された強磁性材料層でコーティングされたポリエチレンテレフタレート等の基体からなる。テープは、図8においてテープ802上に示す7つの論理点LP0,LP1,..LP7によって7つの論理領域へと分割される。これらの領域は、順方向サーボ獲得領域806、較正領域808、ユーザデータ領域810、不使用データ領域812(磁気テープの構成によっては長さ0とすることが可能)、及び逆方向サーボ獲得領域814を含む。LTO-4世代テープは、その一部が図8に拡大図822として示されており、上側縁部保護帯域824及び下側縁部保護帯域826、及び5つのサーボ帯域840-844間に交互に配置された4つのデータ帯域830-833へと、水平方向に分割されたものである。各サーボ帯域は、一連の長手方向位置(LPOS)ワードからなる。図8では、サーボ帯域840の小部分850が拡大図852に示されている。各LPOSワード854は、36のLPOSフレーム(LPOSフレーム856等)からなる。各LPOSワードは、同期マーク、長手方向位置値、及び随意選択的な製造データを符号化するものである。各LPOSフレームは、1ビットデータを符号化するものである。サーボ帯域は、磁気テープの製造の一部として書き込まれる。
【0014】
図9A−9Cは、長手方向位置フレームの内容を示している。図9Aは、1つのLPOSワード内の2つの連続するLPOSフレームを示している。各フレーム(フレーム902等)は、4グループの傾斜したストライプ(ストライプ904等)を含む。該4グループのストライプは、Aグループ906、Bグループ908、Cグループ910、及びDグループ912を含む。二進値「1」は、図9Bに示すように、A組及びB組のストライプにおいて、A組及びB組における第2のストライプを第1のストライプに向かって移動させ、並びにA組及びB組における第4のストライプを第5のストライプに向かって移動させることにより符号化され、これを図9Bにおいて上記ストライプに対する矢印920-923で示す。二進値「0」は、図9Cに示すように、前記ストライプを逆方向に移動させることにより符号化される。該ストライプは、テープの表面上の磁化された領域である。該ストライプは、ストライプ間の間隔がテープの縁部と直交する方向で変動するように傾斜している。このストライプ間の間隔の変動は、サーボ帯域上に重畳された垂直軸に対するテープヘッドの位置を推測するためにサーボコントローラによって使用される。以下で詳述するように、LTO-4サーボコントローラは、サーボ帯域(該サーボ帯域間にデータ帯域を挟むもの)を参照することにより、該データ帯域の各副帯域内の14の異なるトラックに対応する14の異なる垂直方向位置にテープヘッドを精確に位置決めすることができる。
【0015】
図8を再び参照すると、LTO-4磁気テープのデータ帯域830-833は5つのサーボ帯域840-844と交互に配置されている。テープへの書き込みは該4つのデータ帯域の各々に順次データを書き込むことにより行われる。換言すれば、データ帯域0(830)が最初に書き込まれ、続いてデータ帯域1(831)、データ帯域2(832)、及び最後にデータ帯域3(833)が書き込まれる。
【0016】
図10は、1つのデータ帯域のフォーマット構造を示している。図10に示すように、サーボ帯域841,842によって両側に境界が形成されたデータ帯域831が、16の副帯域1002-1017へと分割される。また、図10に示すように、各副帯域(副帯域1003等)が、14の異なるデータトラック1020-1033へと分割される。図7を再び参照すると、データ帯域からデータを読み出し又は該データ帯域へデータを書き込むために該データ帯域(データ帯域831等)上にテープヘッドが位置決めされる場合、2つのサーボ・テープヘッド要素対722,746が、その境界を形成するサーボ帯域(サーボ帯域841,842等)上に位置決めされ、各リード/ライト要素対が異なる副帯域上に位置決めされる。換言すれば、16の副帯域1002-1017の各々は、テープヘッドの異なるリード/ライト要素にそれぞれ対応する。テープに対してデータが書き込まれ、又は該テープからデータが読み出される場合には、全ての16のリード/ライト要素対がアクティブになり、1つのデータ帯域内の16の全ての副帯域に対してデータが能動的に書き込まれ、又は該16の全ての副帯域からデータが読み出される。1つのデータ帯域内には、テープヘッドがとり得る14の異なる位置が存在し、該14の異なる位置は、該データ帯域の各副帯域内の14の異なるデータトラック1020-1033に対応するものである。
【0017】
図11は、LTO-4世代の磁気テープの1つのデータ帯域及び2つの境界サーボ帯域上に位置決めされた磁気テープヘッドを示している。テープヘッド1102は、18の異なるテープヘッド要素対を表す18の水平線分(水平線分1104等)を有する矩形のものとして示されている。該テープヘッドは、LTO-4世代の磁気テープの1つのデータ帯域(図10の符号831)の16の副帯域(図10の符号1002-1017)の各々の第1のデータトラックであるトラック0(図10の符号1020)の読み出し又は書き込みを行うよう位置決めされる。上述のように、データトラックに対するテープヘッドの位置決めはサーボコントローラによって制御され、該サーボコントローラは、サーボテープヘッド要素1104,1106により提供されるデータを使用して、サーボ帯域内のテープヘッドの垂直方向位置を検知する。上述のように、サーボテープヘッド要素により生成されるアナログ信号の周波数は、現在のテープヘッド位置におけるLPOSフレーム内の傾斜したストライプ間の距離に関係するものとなる。
【0018】
図12A及び図12Bは、LTO-4世代の磁気テープの1つのデータ帯域内の各副帯域の最初の2つのトラックの書き込みを示している。図12Aでは、磁気テープは、テープヘッド上で、カートリッジから巻き取りリールへと順方向に移動されており、該テープヘッドは図11に示すように位置決めされており、各リード/ライトテープヘッド要素対が、各副帯域内の最初のトラックであるトラック0と位置合わせされるようになっている。このため、図12Aでは、破線(破線1202等)は、テープヘッドのリード/ライト要素対に対するテープの軌道又は経路を表している。該テープのデータ部分の全長は、該テープの第1の順方向の通過を完了させるべく図11に示すよう位置決めされたテープヘッドを用いて順方向に書き込まれている。このため、16のデータトラック(16の副帯域の各々におけるデータトラック0)が1回の通過で最初から最後まで書き込まれる(これは「ラップ0」とも呼ばれる)。図12A及び図12Bでは、リード/ライトテープヘッド要素対の位置は、1つのデータ副帯域の14のデータトラック1204に対するものとしても示されている。書き込むべきデータが更に存在する場合には、図12Bに示すように、巻き取りリールからカートリッジのスプールへと磁気テープが巻き戻される第2の逆方向の通過時にデータ書き込みが続行される。この場合には、図12Bに示すように、各リード/ライト要素対が各データ副帯域の最終トラックであるトラック13(図10の符号1033)上に位置決めされるように、テープヘッドが再配置される。第2の逆方向の通過時には、図12Bに示すように、16のデータ副帯域全てのデータトラック13が、ユーザデータ領域の最後から該ユーザデータ領域の最初へと逆方向に書き込まれる。この第2の逆方向の通過は、第2のラップすなわち「ラップ1」を構成する。
【0019】
図13は、各データ帯域に関する14のラップを示している。図12A及び図12Bに関して上述したように、ラップ0(1302)は、順方向でアクセスされるデータ帯域0の各データ副帯域のデータトラック0を含む。ラップ1(1304)は、逆方向でアクセスされるデータ帯域0の各データ副帯域のデータトラック13を含む。ラップ2(1306)は、順方向でアクセスされるデータ帯域0の各データ副帯域のデータトラック1を含み、ラップ3(1308)は、逆方向でアクセスされるデータ帯域0の各データ副帯域のデータトラック12を含む。該ラップは、各データ副帯域の外側のトラックから内側のトラックへと蛇行する順序で続く。LTO-4世代の磁気テープには4つのデータ帯域が存在するため、全部で4×14=56のラップが存在し、又はテープ上の単方向の通過が存在するため、全部で4×14×16=896のデータトラックが存在する。
【0020】
図14は、テープに書き込むためのホストデータのフォーマットを示している。ホストデータは、基本的にシンボルストリーム(各シンボルが1バイトで表されるもの)へとフォーマットされる。次いで、これらのバイトが誤り訂正符号(ECC)の適用により符号化されて符号化シンボルストリームマトリクスになり、次いで該マトリクスがデータ帯域の副帯域にわたって書き込まれる。ホストファイルマーク1402及びホストデータレコード1404は、ホストコンピュータから通信媒体を介して受信される。受信したホストファイルマーク1402は、データセットに包含させるためのファイルマークシンボル1406へと処理される。4バイトCRCは、受信した各ホストデータレコード毎に計算されて該ホストデータレコードに追加され、これにより保護されたホストレコード1408が生成される。該保護されたホストレコードにデータ圧縮法が適用されて、処理済レコード1410が生成される。該処理済みレコード1410を随意選択的に暗号化して暗号化レコード1412を生成し、該暗号化レコード1412に更なる4バイトCRCを付加して保護された暗号化レコード1414を生成することが可能である。該保護された暗号化レコード1414が処理されてフォーマット済みレコード1416が生成される。暗号化が適用されない場合には、処理済みレコード1410がフォーマット済みレコード1416として使用される。該フォーマット済みレコードは、フォーマット済みシンボルストリームに追加される。該フォーマット済みシンボルストリームは、複数のデータセットへと区分化され、その各データセットは、1,589,300バイトのユーザデータからなり、これに460バイトのデータセット情報テーブル(DSIT)が追加される。次いで各データセットが64のデータサブセットへと区分化され、その各データサブセットは24,840バイトのユーザデータを含む。
【0021】
各データサブセットは、コードワードのマトリクスを形成するよう処理される。第1のECC符号化方法が460バイトの各グループに適用されて20バイトのパリティ情報が生成され、該パリティ情報が460バイトのユーザデータに追加されて、一対の240バイトECC-1コードワードからなる480バイトのコードワード対が形成される。54のECC-1コードワード対が整列されて54×480バイトマトリクスが生成される。このマトリクスの各列に第2の誤り訂正符号が適用されて、54バイトの平文と10のパリティチェックバイトとを組み合わせたECC-2コードワードが生成される。このため、54×480マトリクスの各列が10バイトだけ拡張されて最終的な64×480バイトテーブルが生成される。図15は、1つのデータサブセットと2つの異なる誤り訂正符号の適用により生成された追加のパリティチェックバイトとを含む64×480バイトテーブルを示している。該テーブルの各行(行0(1502)等)は、460バイトの平文ユーザ情報と20のパリティチェックバイトとを含む2つのECC-1コードワードからなる。該テーブルの各列(列1504等)は、1つのECC-2コードワードを形成する、54バイトの平文ユーザデータ及び追加の10バイトのECC-2パリティチェックデータを含む。該テーブル中の各対をなす行(一対の行1502,1506等)は、4つ一組のコードワード(Codeword Quad:CQ)を共に形成する。図15に示すように、1つのデータセット内には32のCQが存在する。データがテープに書き込まれる際、テープヘッドの各リード/ライト要素対は、1つのデータ帯域の各副帯域へCQを1つずつ書き込む。このため、2回の書き込み動作で、1つのデータサブセットが、1つの帯域の16の副帯域の全てにわたって書き込まれる。
【0022】
図16は、物理的な磁気テープに対するデータサブセットの書き込みを示している。図16における16の水平方向の行は16のデータ副帯域に対応するものであり、該データ副帯域の各々はテープヘッドのリード/ライト要素に1つずつ対応する。所与の時刻において、16のCQが、テープヘッドの16のリード/ライトテープヘッド要素により、16の副帯域の全てにわたってテープに書き込まれる。このため、磁気テープが順方向に書き込まれる際に、1つのデータサブセットの最初の16のCQが16の副帯域の全て(図16に列1602で示す)にわたって同時に書き込まれ、次の動作で、該データセットの残りの16のCQが16の副帯域の全て(図16に列1604で示す)にわたって同時に書き込まれる。
【0023】
図17Aないし図17Cは、1つのデータ帯域内に位置決めされたテープヘッドを示している。図17Aでは、テープヘッド1702は、1つのデータ帯域の16の副帯域の全てのトラック0を書き込むよう位置決めされている。図17Bでは、テープヘッド1702は、1つのデータ帯域の16の副帯域の全てのトラック13を書き込むよう位置決めされている。図17Cでは、テープヘッド1702は、1つのデータ帯域の16の副帯域の全てのトラック1を書き込むよう位置決めされている。図17Aないし図17Cを比較すれば、1つのデータ帯域内の14のラップの全てにアクセスするためには、テープヘッドは、サーボ帯域に対して一定範囲の位置1710にわたって移動する必要がある、ということは明らかである。換言すれば、1つのデータ帯域にアクセスするために用いられるテープヘッド位置の狭い範囲1710内には、各データ副帯域内の14のトラックに対応する14の異なるテープヘッド位置が存在する。
【0024】
図18は、LTO-4、LTO-5、LTO-6、及びLTO-7テープフォーマット世代にわたる磁気テープフォーマットの1つの考え得る進化を示している。LTO-4フォーマット1802については上記で詳細に説明した通りである。LTO-5 1804では、LTO-4の場合と同様に、5つのサーボ帯域1810-1813と交互に配置された4つのデータ帯域1806-1809(各データ帯域は16の副帯域を有する)が存在することが期待されている。しかし、LTO-5磁気テープフォーマットでは、各副帯域は20トラックを含むことが期待されており、トラック密度の大幅な増大が提供される。LTO-6データフォーマット1820は、それ以前の世代の磁気テープフォーマットとは大きく異なることが期待されている。LTO-6磁気テープフォーマット案では、12のデータ帯域1822-1833が13のサーボ帯域間に交互に配置される。各データ帯域は、16の副帯域を含むことが期待されている。LTO-7磁気テープフォーマットは、各データ帯域内の副帯域の数が2倍(LTO-6磁気テープフォーマットでは16の副帯域、LTO-7磁気テープフォーマットでは32の副帯域)になることを除き、LTO-6磁気テープフォーマット1820と同様のものであることが期待されている。
【0025】
LTO-5及びLTO-4磁気テープフォーマットの両方と互換性を有するテープヘッドを設計することは比較的容易である。図18に示すように、両方の磁気テープフォーマットは、同様のフォーマット構造を有しており、LTO-5磁気テープフォーマットは、各データ副帯域中に一層幅の狭いデータトラックを一層多く有するものである。しかし、データ帯域の幅及びデータ副帯域の幅は、LTO-4及びLTO-5磁気テープフォーマットでは同一である。このため、LTO-5互換テープヘッドは、単に一層幅の狭いリード/ライトテープヘッド要素対を有していればよい。リード/ライトテープヘッド要素対間の距離、及びリード/ライトテープヘッドとサーボ要素対との間の距離は、LTO-5互換テープヘッド及びLTO-4互換テープヘッドの両方の場合に同一である。ロードされた磁気テープのタイプを検出し、そのタイプに固有の適切な制御を提供するように、磁気テープドライブが実施された場合、及び該磁気テープドライブ内のサーボコントローラが、LTO-5テープの場合に各データ帯域内の20の異なる位置でテープヘッドの位置決めが可能となるように修正された場合には、該磁気テープドライブは、LTO-5磁気テープ及びLTO-4磁気テープの何れも読み書きすることができる。
【0026】
しかし、図18から明らかであるように、単にリード/ライトテープヘッド要素の幅を狭くし及びサーボコントローラによるテープの位置決め能力を向上させるだけでは、LTO-6互換テープヘッドがLTO-5又はLTO-4(LTO-5/4)磁気テープにアクセスすることを可能にするには不十分である。LTO-6磁気テープには(LTO-5/4磁気テープにおける4つのデータ帯域とは異なり)12のデータ帯域が存在する。それ故、該データ帯域の幅は、LTO-6磁気テープとLTO-5/4磁気テープとでは大きく異なり、その結果として、LTO-6テープヘッドにおけるリード/ライトテープヘッド要素は、各データ帯域内の16のデータ副帯域にアクセスするために、一層狭い間隔で共に隔置しなければならない。
【0027】
図19A及び図19Bは、本発明の一実施形態を表すテープヘッド構成を示している。図19Aは、本発明の一実施形態を表すテープヘッド構成を、図11及び図17Aないし図17Cで用いたものと同様の図示上の約束を用いて示した図である。既に説明した図の場合と同様に、矩形の列1902はテープヘッドを表しており、各水平線分(水平線分1904等)はテープヘッド要素対を表している。より長い線分(線分1904等)は、LTO-5/4サーボ帯域及びトラックにアクセスするために使用されるLTO-5/4及びLTO-6サーボ要素対及びリード/ライト要素対を表すために用いられている。図19では、各テープヘッド要素に英数字ラベルが付されており、該ラベルは該要素の機能を示している。例えば、要素1904にはラベル「G5 TS」が付されている。これは、該要素が、LTO-5/4サーボ帯域を読み出すための上側サーボ要素であることを示している。ラベル「G5 BS」が付された要素1906は、下側LTO-5/4サーボ要素である。ラベル「G5 D0」,「G5 D1」,..,「G5 D15」が付された16のLTO-5/4リード/ライトテープヘッド要素対が存在する。このため、LTO-5/4サーボ要素1904,1906並びにLTO-5/4リード/ライトテープヘッド要素対1908-1923は、図7に示す上述した18のテープヘッド要素に対応するものである。
【0028】
更に、本発明の一実施形態を示すテープヘッド1902は、2つのLTO-6サーボ要素対1930,1932と、該LTO-6サーボ要素1930,1932間に配列された16のLTO-6リード/ライトテープヘッド要素対とを含むものである。これらLTO-6リード/ライトテープヘッド要素対のうちの1つ(LTO-6リード/ライトテープヘッド要素対1934等)がLTO-6データトラックのために専ら使用され、これは相対的に短い線分を用いて表されている。それ以外は、LTO-6並びにLTO-5/4データトラックの両方に使用される二重用途のリード/ライトテープヘッド要素対(リード/ライトテープヘッド要素対1913を含む)であり、これは相対的に長い線分で表されている。図19Bは、LTO-5/4データ帯域上に重畳された本発明の一実施形態を表すテープヘッド1902を示している。LTO-5/4テープヘッド要素の全ては、それらに対応するサーボ帯域又はデータ副帯域上に位置するよう示されている。
【0029】
図20Aは、本発明の一実施形態を表すテープヘッドのためのテープヘッド構成を示している。図20Bは、LTO-6フォーマットテープの3つの異なるデータ帯域において3つの異なる位置で重畳された本発明の一実施形態を表すテープヘッドを示している。第1の位置2002では、18のLTO-6テープヘッド要素が、データ帯域C 2004のトラック及び該データ帯域C 2004の境界を画定するサーボ帯域2006,2008上に位置している。第2の位置2010では、該テープヘッドは、データ帯域B 2012のトラックにアクセスするよう位置決めされている。第3の位置2014では、該テープヘッドは、データ帯域A 2016のデータトラックにアクセスするよう位置決めされている。
【0030】
テープヘッド構成(図19Aないし図20Bにおけるテープヘッド構成1902等)に影響を与える多数の設計上の制約が存在する。第1に、テープヘッド要素の数を最小限にする必要がある。一例として、代替的な構成は、テープヘッドの第1の位置に16のLTO-5/4テープヘッド要素を配設し、テープヘッドの第2の位置に16のLTO-6テープヘッド要素を配設するものである。しかし、かかる構成は、テープヘッドを大幅に長くし、更なる製造上の課題(要素の総数の増大に起因して歩留まりが低下する蓋然性を含む)を与えるものとなる。テープヘッドの長さ及び縦横比もまた重要な考慮事項である。テープヘッドは、機械的な安定性を有する必要があり、及び急速に移動する磁気テープによる常時の摩耗の結果として生じ得る不規則的な摩耗を回避するようバランスのとれたものである必要がある。LTO-6テープの最上部の帯域及び最下部の帯域にアクセスする際に、本発明の一実施形態を表すテープヘッドは、その長さの約1/3だけテープの縁部を越えて延びる。テープヘッドがテープの縁部を越えて延びる場合には、テープヘッドが不均一に摩耗する可能性、及び不均一なテープヘッドの摩耗の増大により磁気テープに損傷を与える可能性が高くなる。このため、最上部の帯域及び最下部の帯域に対して読み出し及び/又は書き込みを行う際にテープヘッドがテープを越えて延びる度合いは、最小限にする必要がある。上述その他の理由により、本発明のテープヘッドの実施形態は、LTO-6テープヘッド要素をLTO-5テープヘッド要素と交互に配置し、及びデュアルフォーマットテープヘッド要素を採用し、可能であれば、磁気テープの縁部を越えるテープヘッドの不必要な延長を回避する。LTO-5/4互換のLTO-6磁気テープヘッドの場合には、磁気テープの縁部を越える最大の延長は、テープヘッドの全長の約1/3であり、厳密には、テープヘッド長の36%未満である。ここで、該テープヘッド長とは、図7に関して説明したようにテープヘッドの能動領域の長さである。
【0031】
図21A及び図21Bは、本発明のテープヘッド構成の第2の実施形態を示している。図21Aは、LTO-6フォーマットテープと互換性を有するLTO-7テープヘッドのためのテープヘッド構成2102を示している。この場合、テープヘッドは、LTO-7及びLTO-6サーボ帯域との互換性を有する2つのサーボ要素2104,2106を有している。該2つのサーボ要素間には、32のリード/ライトテープヘッド要素対2106が存在する。これらのリード/ライトテープヘッド要素対のうちリード/ライトテープヘッド要素対2107を含む半分は、LTO-7及びLTO-6フォーマットデータトラックの両方に対して読み出し及び書き込みを行う二重用途リード/ライト要素であり、リード/ライトテープヘッド要素対2108を含む他の半分のリード/ライトテープヘッド要素対は、LTO-7フォーマットデータトラックにのみアクセスする。前記二重用途リード/ライトテープヘッド要素対は、テープヘッドの長さに沿って、LTO-7専用のリード/ライトテープヘッド要素対と交互に配置されている。図21中の略図2110は、3つのLTO-7データ帯域2116-2118のデータトラックにアクセスするために3つの異なる位置に位置決めされたLTO-7テープヘッド2102と共にLTO-7磁気テープ2111の一部を示したものである。この場合、LTO-6及びLTO-7磁気テープのデータ帯域が同じ幅を有しているため、そのテープヘッド構成は二重用途サーボ要素を提供し、該テープヘッドはLTO-6又はLTO-7磁気テープの最上部又は最下部のデータ帯域にアクセスする場合であっても該磁気テープの縁部を越えて延びないものである。。
【0032】
後方互換性を有する磁気テープドライブを提供するために、修正されたテープヘッド構成を用いることに加えて、該磁気テープドライブの1つ又は2つ以上のマイクロプロセッサ上で実行されるプログラム、サーボコントローラ、及びおそらくは論理回路及び内部信号経路を本発明の実施形態に従って修正する。該磁気テープドライブは、テープのタイプを識別し、及びアクセスされるテープのタイプに従ってアクセス動作を制御する必要がある。信号は、磁気テープの各タイプ毎に、適切なテープヘッド要素へ送られ、及び適切なテープヘッド要素から返される必要がある。二重用途テープヘッド要素は、アクセス対象となる最も狭いデータトラックにアクセスすることが可能となるよう適切な大きさにする必要がある。
【0033】
特定の実施形態に関して本発明を説明したが、これら実施形態に本発明を限定する意図はない。修正は当業者には自明である。例えば、本発明の実施形態に従って、互換性が所望される磁気テープフォーマットの全てについてのサーボ帯域及びデータトラックを網羅するために十分なテープヘッド要素(シングルフォーマット要素及びマルチフォーマット要素の両方)を導入することにより、様々な異なる磁気テープフォーマット間の互換性を提供するようにテープヘッド構成を実施することが可能である。本発明の様々な異なる実施形態の何れも、プログラミングパラメータ(制御及びデータ構造及びモジュール構造を含む)、論理回路設計パラメータ、及びその他の設計パラメータを変更することにより、実施することが可能である。マルチフォーマット互換テープヘッドについて上述したが、同様の考慮事項は、前方互換性を有するテープヘッド及び磁気テープドライブの作成にも適用可能なものである。例えば、追加のテープヘッド要素及び間隔を用いて未画定の将来の磁気テープフォーマットとの潜在的な前方互換性を提供することが可能である。本発明の特定の実施形態では、テープヘッドは、3つ又は4つ以上の異なる磁気テープフォーマットと互換性を有するよう構成することが可能である。
【0034】
上記の解説では、説明上、本発明の実施形態の完全な理解を提供すべく特定の術語を使用した。しかし、かかる特定の細部は本発明を実施するために必要なものではないことが当業者には自明であろう。本発明の特定の実施形態に関する上記説明は、例示及び解説のために提示したものである。それらは、本発明を網羅すること又は本発明を本開示の詳細な形態に限定することを意図したものではない。上記教示に鑑み多くの修正及び変更が可能である。本発明の原理及びその実際の用途を最も良く説明するために実施形態を図示し説明した。これにより、他の当業者が、意図する特定の用途に合うよう様々な修正を加えて本発明及びその様々な実施形態を最もよく利用することが可能となる。本発明の範囲が下記の特許請求の範囲及びそれと等価なものによって画定されることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気テープドライブ(102)内の電子機械的なテープアクセス構成要素で使用される磁気テープヘッド(702)であって、
基板と、
該基板の能動部分(710)上に作製された一列のシングルフォーマットテープヘッド要素対(722,724)及びマルチフォーマットテープヘッド要素対であって、
第1の磁気テープフォーマットF1に従ってフォーマットされた第1の磁気テープ(1802)の2つのサーボ帯域(841,842)と複数のデータ帯域(830-833)から選択された1つのデータ帯域(831)内の各データ副帯域(1002-1017)の1つのデータトラック(1020-1033)とに並行してアクセスし、該アクセス時に該磁気テープヘッドの長さの1/3を超える長さだけ前記第1の磁気テープの縁部を越えて延びることがなく、
第2の磁気テープフォーマットF2に従ってフォーマットされた第2の磁気テープ(1820)の2つのサーボ帯域と複数のデータ帯域から選択された1つのデータ帯域内の各データ副帯域の1つのデータトラックとに並行してアクセスし、該アクセス時に該磁気テープヘッドの前記能動部分の長さの1/3を超える長さだけ前記第2の磁気テープの縁部を越えて延びることがない、
一列のシングルフォーマットテープヘッド要素対(722,724)及びマルチフォーマットテープヘッド要素対とを備えている、磁気テープヘッド(702)。
【請求項2】
5つのサーボ帯域間に交互に配置された4つのデータ帯域を指定する前記第1の磁気テープフォーマットF1に従ってフォーマットされた前記第1の磁気テープ(1802)との互換性を有し、及び13のサーボ帯域間に交互に配置された12のデータ帯域を指定する前記第2の磁気テープフォーマットF2に従ってフォーマットされた前記第2の磁気テープ(1820)との互換性を有する、請求項1に記載の磁気テープヘッド(702)。
【請求項3】
上側のF1サーボ帯域にアクセスするための第1のF1サーボテープヘッド要素対(1904)と、
上側のF1サーボ帯域にアクセスするための第1のF2サーボテープヘッド要素対(1930)と、
各F1データ帯域内のデータ副帯域の数と等しい数の複数のF1及びF1/F2リード/ライトテープヘッド要素対(1908-1923)と、
各F2データ帯域内のデータ副帯域の数とF1/F2リード/ライトテープヘッド要素対の数との差に等しい数の複数のF2リード/ライトテープヘッド要素対(1934)と、
下側のF2サーボ帯域にアクセスするための第2のF2サーボテープヘッド要素対(1933)と、
下側のF1サーボ帯域にアクセスするための第2のF1サーボテープヘッド要素対(1906)と
を含む、請求項1又は請求項2に記載の磁気テープヘッド(702)。
【請求項4】
前記第1のF1サーボテープヘッド要素対と、第1の間隔だけ隔置された前記第2のF1サーボテープヘッド要素対との間に、10のF1リード/ライトテープヘッド要素対及び6のF1/F2リード/ライトテープヘッド要素対(1908-1923)を含み、
前記第1のF2サーボテープヘッド要素対と前記第2のF2サーボテープヘッド要素対との間に、10のF2リード/ライトテープヘッド要素対(1934)を含む、
請求項3に記載の磁気テープヘッド(702)。
【請求項5】
前記10のF2リード/ライトテープヘッド要素対及び6のF1/F2リード/ライトテープヘッド要素対(1908-1923)が第2の間隔だけ隔置されており、各対をなす該F1/F2リード/ライトテープヘッド要素対の間に2つのF2リード/ライトテープヘッド要素対(1934)を含む、請求項4に記載の磁気テープヘッド(702)。
【請求項6】
13のサーボ帯域間に交互に配置された12のデータ帯域を指定する第1の磁気テープフォーマットF1に従ってフォーマットされた第1の磁気テープ(1820)との互換性を有し、及び13のサーボ帯域間に交互に配置された12のデータ帯域を指定する第2の磁気テープフォーマットF2に従ってフォーマットされた第2の磁気テープ(2111)との互換性を有する、請求項1に記載の磁気テープヘッド(702)。
【請求項7】
上側のF1サーボ帯域又は上側のF2サーボ帯域にアクセスするための第1のF1/F2サーボテープヘッド要素対(2104)と、
各F1データ帯域内のデータ副帯域の数と等しい数の複数のF1及びF1/F2リード/ライトテープヘッド要素対(2107)と、
各F2データ帯域内のデータ副帯域の数とF1/F2リード/ライトテープヘッド要素対の数との差に等しい数の複数のF2リード/ライトテープヘッド要素対(2108)と、
下側のF1サーボ帯域又は下側のF2サーボ帯域にアクセスするための第2のF1/F2サーボテープヘッド要素対(2106)と
を含む、請求項1ないし請求項6の何れか一項に記載の磁気テープヘッド(702)
【請求項8】
前記第1のF1/F2サーボテープヘッド要素対と、第1の間隔だけ隔置された前記第2のF1/F2サーボテープヘッド要素対との間に、16のF1/F2リード/ライトテープヘッド要素対(2107)を含み、
前記第1のF1/F2サーボテープヘッド要素対と前記第2のF1/F2サーボテープヘッド要素対との間に16のF2リード/ライトテープヘッド要素対(2108)を含む、
請求項7に記載の磁気テープヘッド(702)。
【請求項9】
前記16のF2リード/ライトテープヘッド要素対(2108)が、第1の間隔で隔置されており、及び前記16のF1/F2リード/ライトテープヘッド要素対(2107)と交互に配置されている、請求項8に記載の磁気テープヘッド(702)。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9の何れか一項に記載の磁気テープヘッド(702)を含む、マルチ磁気テープフォーマット互換の磁気テープドライブ(102)であって、
磁気テープカートリッジ(404)をロードし、該カートリッジから磁気テープを引き出し、及び該磁気テープをガイドローラ(406,410,508,512)に対して位置決めするための機械的な構成要素及び電子機械的なテープアクセス構成要素(510,516)と、
プロセッサ(616)、フォーマッタ(606)、電子メモリ、前置増幅器バンク(610)、及びサーボコントローラ(618)を含む、電気的な構成要素(518)と、
前記電子機械的なテープアクセス構成要素の磁気テープヘッド副構成要素(702)と
を含む、マルチ磁気テープフォーマット互換の磁気テープドライブ(102)。
【請求項11】
前記電気的な構成要素(518)が、ロードされた磁気テープのフォーマットタイプを識別し、及び該識別されたフォーマットタイプに従って前記ロードされた磁気テープ(802)のデータ帯域(830-833)のデータトラック(1020-1033)にアクセスするよう前記電子機械的なテープアクセス構成要素を制御する、請求項10に記載のマルチ磁気テープフォーマット互換の磁気テープドライブ(102)。
【請求項12】
フォーマットF1,F2を含む2つ又は3つ以上の異なるフォーマットのうちの1つに従ってフォーマットされた磁気テープにアクセスするための方法であって、
マルチ磁気テープフォーマット互換の磁気テープドライブ(102)を配設し、該磁気テープドライブ(102)が、
磁気テープカートリッジ(404)をロードし、該カートリッジから磁気テープを引き出し、及び該磁気テープをガイドローラ(406,410,508,512)に対して位置決めするための機械的な構成要素及び電子機械的なテープアクセス構成要素(510,516)と、
プロセッサ(616)、フォーマッタ(606)、電子メモリ、前置増幅器バンク(610)、及びサーボコントローラ(618)を含む、電気的な構成要素(518)と、
前記電子機械的なテープアクセス構成要素の磁気テープヘッド副構成要素(702)と
を備えており、該磁気テープヘッド副構成要素(702)が、
基板と、
該基板の能動部分(710)上に作製された一列のシングルフォーマットテープヘッド要素対(722,724)及びマルチフォーマットテープヘッド要素対であって、第1の磁気テープフォーマットF1に従ってフォーマットされた第1の磁気テープ(1802)の2つのサーボ帯域(841,842)と複数のデータ帯域(830-833)から選択された1つのデータ帯域(831)内の各データ副帯域(1002-1017)の1つのデータトラック(1020-1033)とに並行してアクセスし、該アクセス時に該磁気テープヘッド副構成要素の長さの1/3を超える長さだけ前記第1の磁気テープの縁部を越えて延びることがなく、第2の磁気テープフォーマットF2に従ってフォーマットされた第2の磁気テープ(1820)の2つのサーボ帯域と複数のデータ帯域から選択された1つのデータ帯域内の各データ副帯域の1つのデータトラックとに並行してアクセスし、該アクセス時に該磁気テープヘッド副構成要素の前記能動部分の長さの1/3を超える長さだけ前記第2の磁気テープの縁部を越えて延びることがない、一列のシングルフォーマットテープヘッド要素対(722,724)及びマルチフォーマットテープヘッド要素対とを備えており、
前記マルチ磁気テープフォーマット互換の磁気テープドライブの前記電気的な構成要素(518)により、ロードされた磁気テープのフォーマットタイプを識別し、
該識別されたフォーマットタイプに従って、前記ロードされた磁気テープ(802)のデータ帯域(830-833)のデータトラック(1020-1033)にアクセスするよう前記電子機械的なテープアクセス構成要素を制御する、
という各ステップを含む、フォーマットF1,F2を含む2つ又は3つ以上の異なるフォーマットのうちの1つに従ってフォーマットされた磁気テープにアクセスするための方法。
【請求項13】
前記ロードされた磁気テープのフォーマットタイプがF1である場合に、該ロードされた磁気テープ(802)のデータ帯域(830-833)のデータトラック(1020-1033)にアクセスするよう前記電子機械的なテープアクセス構成要素を制御する前記ステップが、
前記磁気テープヘッド副構成要素を、上側のF1サーボ帯域及び下側のF1サーボ帯域により境界が形成されるF1データ帯域上に位置決めし、
前記上側のF1サーボ帯域にアクセスするための第1のF1サーボテープヘッド要素対(1904)と、
各データ副帯域内のデータトラックにアクセスするための、前記F1データ帯域内のデータ副帯域の数と等しい数の複数のF1及びF1/F2リード/ライトテープヘッド要素対(1908-1923)と、
前記下側のF1サーボ帯域にアクセスするための第2のF1サーボテープヘッド要素対(1906)とを用いることにより前記ロードされた磁気テープにアクセスする、
という各ステップを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ロードされた磁気テープのフォーマットがF2である場合に、該ロードされた磁気テープ(1820)のデータ帯域(1822-1833)のデータトラック(1020-1033)にアクセスするよう前記電子機械的なテープアクセス構成要素を制御する前記ステップが、
前記磁気テープヘッド副構成要素を、上側のF2サーボ帯域及び下側のF2サーボ帯域により境界が形成されるF2データ帯域上に位置決めし、
前記上側のF2サーボ帯域にアクセスするための第1のF2サーボテープヘッド要素対(1930)と、
前記F2データ帯域の各データ副帯域内のデータトラックにアクセスするための複数のF1/F2リード/ライトテープヘッド要素対(1913-1918)及び複数のF2リード/ライトテープヘッド要素対(1934)と、
下側のF2サーボ帯域にアクセスするための第2のF2サーボテープヘッド要素対(1933)と
を用いることにより前記ロードされた磁気テープにアクセスする、
という各ステップを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記ロードされた磁気テープのフォーマットタイプがF1である場合に、該ロードされた磁気テープ(1820)のデータ帯域(1822-1833)のデータトラック(1020-1033)にアクセスするよう前記電子機械的なテープアクセス構成要素を制御する前記ステップが、
前記磁気テープヘッド副構成要素を、上側のF1サーボ帯域及び下側のF1サーボ帯域により境界が形成されるF1データ帯域上に位置決めし、
前記上側のF1サーボ帯域にアクセスするための第1のF1/F2サーボテープヘッド要素対(2104)と、
前記F1データ帯域の各データ副帯域内の1つのデータトラックにアクセスするための、各F1データ帯域内のデータ副帯域の数と等しい数の複数のF1及びF1/F2リード/ライトテープヘッド要素対(2107)と、
前記下側のF1サーボ帯域にアクセスするための第2のF1/F2サーボテープヘッド要素対(2106)と
を用いることにより前記ロードされた磁気テープにアクセスする、
という各ステップを更に含む、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21A】
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【図21B】
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【公表番号】特表2012−506599(P2012−506599A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533144(P2011−533144)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/012131
【国際公開番号】WO2010/047679
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(511076424)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (155)
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
【Fターム(参考)】