説明

複数の無線局と通信する管理局、干渉回避方法及びシステム

【課題】様々な無線通信システムについての事前情報を多くは必要とせずに、無線局同士の通信が隠れ端末により干渉を受けてしまうおそれを低減すること。
【解決手段】波形特徴量が異なる信号を使用する複数の通信システムが共存している地域において使用される管理局は、
通信に使用する通信システム及びリソースの情報を含む第1の報告情報及び/又は検出した特定の通信システムの情報を含む第2の報告情報を、複数の無線局から受信し、
同一のリソースを使用する複数の無線局により使用される複数の通信システムが、複数の無線局とは異なる別の何れかの無線局により、何れも検出されているか否かを判定することで、複数の無線局各自の通信が干渉するおそれがあるか否か判定し、
干渉するおそれがある少なくとも1つの無線局に対して、干渉を回避するための指示信号を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無線局と通信する管理局、干渉回避方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムにおいて無線局同士が通信する場合、互いに干渉しないように、周波数や時間等のリソースを適切に管理する必要がある。このような管理を行うための技術として、協調センシングと呼ばれるものがある。従来の協調センシングについては、例えば特許文献1に記載されている。この技術の場合、複数のセンサノードである複数の無線局各々が、各自の周辺の状況をマスターノードに報告し、マスターノードが送信の可否を各無線局に指示する。
【0003】
一方、限られた通信資源(特に、周波数)を有効利用するため、複数の通信システムが同一の周波数帯域を利用できるようにすることが、現在検討されている。この場合、無線局は、自身が所属している通信システムだけでなく、他の通信システムからの干渉も被ってしまうおそれがある。しかしながら、特許文献1に記載の発明は、同一システムに属する多数のセンサノードをマスターノードが管理するものであり、異なるシステムに属する無線局同士の干渉を抑制することはできない。
【0004】
そのような干渉を抑制するには、その前提として、無線局は、同一の周波数帯域を利用する複数の通信システムを区別できる必要がある。すなわち、無線局周囲に存在する信号を認識する必要がある。周囲に存在する信号、すなわち通信システムを区別する信号認識技術の1つは、通信システムにおいて送信されている制御信号を復調し、その通信システムの情報を取得することである。しかしながら、そのようにして制御信号を復調するには、中心周波数、時間同期のための情報、周波数同期のための情報等の多くの情報が事前に既知でなければならない。さらに、制御信号を適切に受信するには、通信システムに同期し、パイロット信号を受信してチャネル補償を行い、復調を行う必要がある。すなわち、そのような処理に必要なハードウェアを通信システム毎に持つ必要があり、無線局が大規模になってしまうことが懸念される。
【0005】
また、マッチトフィルタ又は整合フィルタを用いて、通信システムに固有の既知信号と受信信号との相関をとることで、通信システムを識別することも考えられる。この方法は、通信システムを高精度に識別できる点で有利であるが、中心周波数、帯域幅、同期パターン等の多くの情報が事前に既知でなければならない。さらに、多数の同期パターンとの相関を計算する際の演算負担は軽くはない。
【0006】
逆に、中心周波数等の事前の情報を一切必要としない信号認識技術として、電力検出法(Energy Detection:ED)がある。電力検出法の代表例は、衝突回避を行うキャリアセンス多重接続法(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance:CSMA/CA)である。この方法は、所与の周波数帯域における信号の電力レベルに基づいて、信号の有無を検出するので、事前情報は不要であり、簡易に実行できる。しかしながら、ある周波数帯域において、何らかの信号の電力が検出された場合、その周波数帯域に複数の信号が含まれているか否かは識別できないし、複数の信号が含まれていた場合、如何なる信号が含まれているかも分からない。
【0007】
このような観点から、無線信号の波形についての統計的な特徴である波形特徴量(例えば、周期自己相関値)を用いて、通信システムを識別する方法も提案されている。この方法の場合、通信システムには固有の波形特徴量が存在する、という事実に基づくので、例えば、周期自己相関値のピーク位置のような簡易な情報が事前に既知であればよい。波形特徴量に基づいて通信システムを識別することについては、例えば特許文献2に記載されている。
【0008】
特許文献2に記載の発明は、バックボーンネットワークから取得した情報に基づいて、受信信号中のある波形特徴量のレベルを監視する。そのレベルが所定値を超えた場合、その波形特徴量の信号は、無線局から送信されないように制御される一方、そのレベルが所定値未満であった場合、送信は許可される。しかしながら、このようにして無線局の信号送信の可否を判断するだけでは、いわゆる隠れ端末による干渉を受けてしまうおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−258621号公報
【特許文献2】特開2010−213243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、様々な無線通信システムについての事前情報を多くは必要とせずに、無線局同士の通信が隠れ端末により干渉を受けてしまうおそれを低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施例による管理局は、
無線信号の波形の特徴を表す波形特徴量が異なる信号を使用する複数の通信システムが共存している地域において使用される管理局であって、
前記波形特徴量の監視結果に基づいて、通信に使用することに決定された通信システム及びリソースの情報を少なくとも含む第1の報告情報、及び/又は検出した特定の波形特徴量に対応する通信システムの情報を少なくとも含む第2の報告情報を、複数の無線局から受信する受信部と、
前記複数の無線局から受信した第1及び/又は第2の報告情報を格納する情報格納部と、
同一のリソースを使用する複数の無線局により使用される複数の通信システムが、該複数の無線局とは異なる別の何れかの無線局により、何れも検出されているか否かを判定することで、該複数の無線局各自の通信が干渉するおそれがあるか否か判定する干渉判定部と、
干渉するおそれがあると判定された前記複数の無線局の内、少なくとも1つの無線局に対して、干渉を回避するための指示信号を送信する送信部と
を有する管理局である。
【発明の効果】
【0012】
一実施例によれば、様々な無線通信システムについての事前情報を多くは必要とせずに、無線局同士の通信が隠れ端末により干渉を受けてしまうおそれを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例において使用される無線通信システムの概略図。
【図2】実施例において使用される無線局の機能ブロック図。
【図3】波形特徴量の一例を説明するための図。
【図4】実施例において使用されるセンシング専用局の機能ブロック図。
【図5】周期自己相関値のピークにより2つの通信システムが検出された様子を示す図。
【図6】実施例において使用される管理局の機能ブロック図。
【図7】図6の情報格納部62に格納される情報の具体例を示す図。
【図8】実施例における動作例を示す図。
【図9】通信システムの周波数帯域が固定的に割り当てられている場合に、2つの信号が検出された様子を示す図。
【図10】通信システムの周波数帯域が動的に割り当てられる場合に、2つの信号が検出された様子を示す図。
【図11】動作概要を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の観点から実施例を説明する。
【0015】
1.無線通信システム
2.無線局
3.センシング専用局
4.管理局
5.動作例
【実施例1】
【0016】
<1.無線通信システム>
図1は、実施例において使用される無線通信システムの概略図を示す。無線通信システムは、少なくとも一部の周波数帯域が共通する2つの通信システム1、2を含む。通信システム1、2のサービスエリアは、図中の楕円により示されている。通信システム1、2において、複数の無線局が通信を行う。
【0017】
通信システム1に属する無線局Aは、無線局A'又は無線局A"と無線通信を行う。通信システム2に属する無線局Bは、無線局B'と無線通信を行う。通信システム及び無線局の数は任意である。無線局A、B、Cは管理局Mに有線又は無線により接続されている。実際には、無線局A'、A"、B'も管理局Mに接続されるが、図示の簡明化のためそれらは省略されている。無線局A、A'、A"、B、B'、Cは、典型的には移動局であるが、固定局でもよい。無線局は、無線通信することが可能な適切な如何なる装置でもよく、例えば、ユーザ装置、携帯電話、情報端末、高機能携帯電話、スマートフォン、パーソナルディジタルアシスタント、携帯用パーソナルコンピュータ又はデスクトップコンピュータ等のようなユーザが使用する装置でもよいし、あるいは基地局又はアクセスポイント等のようにユーザの通信を可能にするための装置でもよいが、列挙された具体例に限定されない。
【0018】
無線局Cは、他の無線局A、A'、A"、B、B'とは通信せず、周辺の通信状況を監視するセンシング機能を有するセンシング専用局である。無線局Cが監視する領域は、図中、破線の楕円で示されている領域である。したがって、無線局Cは、無線局A"が通信システム1において通信していることを検出できる。また、無線局Cは、無線局B'が通信システム2において通信していることも検出できる。説明の便宜上、無線局Cは、他の無線局と通信する機能は備えていないが、センシング機能は備えているセンシング専用局であるとしているが、周辺の通信状況を監視するセンシング機能は、無線局A、A'、A"、B、B'にも備わっている。また、無線局Cがセンシング専用局であることは必須ではなく、無線局Cが他の無線局と通信する機能を備えていてもよい。
【0019】
管理局Mは、無線局及びセンシング専用局に有線又は無線により接続される。管理局Mは、他の無線局と通信する無線局から第1の報告情報を受信する。また、管理局Mは、他の無線局と通信しない無線局又はセンシング専用局から第2の報告情報を受信する。第1の報告情報は、後述するように、無線局が通信に使用することに決定した通信システム及びリソースを示す情報を少なくとも含む。また、第1の報告情報は、無線局が通信する際の通信の優先度の情報を含んでいてもよい。第2の報告情報は、無線局又はセンシング専用局が検出できた波形特徴量の通信システムを示す情報を少なくとも含む。管理局Mは、第1及び第2の報告情報を様々な無線局及びセンシング専用局から取得し、後述するように、干渉するおそれがある何れかの無線局に対して、干渉を回避するための指示情報を通知する。
【0020】
<2.無線局>
図2は、実施例において使用される無線局の機能ブロック図を示す。図示の無線局は、図1における無線局A、A'、A"、B、B'として使用することができる。図1における無線局Cがセンシング専用局でなく、センシングの機能に加えて、他の無線局との無線通信を行う機能も備えていた場合、図2に示す構成は、図1における無線局Cに使用されてもよい。図2には、無線局に備わる様々な機能の内、本実施例に特に関連する機能が示されている。具体的には、アンテナ20、送受分離部21、波形特徴量抽出部22、通信パラメータ制御部23、情報通知部24、情報取得部25、送信信号生成部26及び受信信号取得部27が示されている。
【0021】
送受分離部21は、アンテナ20を介して受信した信号と、アンテナ20を介して送信する信号とを適切に分離する。具体的には、送受分離部21は、アンテナ20から受信した信号を波形特徴量抽出部22又は受信信号取得部27へ与える一方、送信信号生成部26からの信号をアンテナ20へ与える。
【0022】
波形特徴量抽出部22は、アンテナ20及び送受分離部21を介して受信した信号から、波形特徴量を抽出する。波形特徴量は、信号波形の持つ統計的な特性に関する情報であり、二次の周期自己相関値によって得られる周期定常性や、信号振幅の分散値、周波数相関値等が利用されてもよい。
【0023】
以下、波形特徴量について説明する。
【0024】
信号の波形は、中心周波数、周波数帯域幅、送信電力、変調方式、送信情報シンボル等の様々なパラメータによって決定されるものであり、逆に言えば信号波形には上記のようなパラメータの特徴が含まれている。例えば、信号の周期自己相関値(Cyclic Autocorrelation Function:CAF)を計算することで、信号の持つ周期定常性の特徴量から、信号の存否を検出することができる。この場合、信号に用いられている変調方式等に起因して、ある固有のパラメータが周期自己相関値の計算に使用された場合にのみ、信号の周期自己相関値の値が大きくなる、という特徴が利用されている。また、同一の変調方式を用いる信号に対して異なる周期定常性の特徴量を付与することも提案されている。これらは一例に過ぎず、信号波形の特徴を表す特徴量は、信号の相関値や統計値等のような様々な観点から表現することができる。波形特徴量は、通信システムに固有の量であり、通信システムと波形特徴量との対応関係は、無線局及びセンシング専用局にとって既知である。このため、無線局及びセンシング専用局は、受信した信号における波形特徴量を調べることで、無線局の周囲にどのような通信システムが存在しているか、又は他の無線局がどのような通信システムにおいて通信をしているか等を知ることができる。
【0025】
図3は、信号の特徴量の一例として、フィルタの影響によって生じる周期定常性の特徴量を説明するための図である。図3の(1)は、理想フィルタを用いて帯域制限を行った帯域幅B[Hz]の信号の周波数スペクトルを表す。理想フィルタを用いた場合、周波数スペクトルを矩形とすることができるが、実際にはそのような急峻なスペクトルを実現することは難しい。このため、通常はある程度緩やかな傾斜の周波数スペクトルを有するフィルタが帯域制限用に用いられる。図3の(2)は通常の現実的なフィルタを用いて帯域制限を行った場合の周波数スペクトルを表している。図3の(2)に示すように、理想フィルタを用いた場合に比較して、通常に用いられている帯域制限フィルタでは、周波数帯域が若干広がる。この広がった周波数帯域において、右側に広がったPで示される領域は、左側のP'で示される領域と同一の信号成分を有し、左側に広がったQ'で示される領域は、右側のQと同一の信号成分を有するという性質がある。したがって、図3の(2)の信号をB[Hz]だけ周波数シフトした信号(3)におけるP'の部分は(2)のPと同一信号成分となり、(3)のQ'の部分は(2)のQと同一信号成分となるために高い相関値をもたらす。
【0026】
このように、フィルタにより帯域制限された信号は、元の信号と元の信号を周波数シフトした信号との間で高い相関(周期自己相関)が生じる。この相関値を、波形の特徴量として使用できる。図示の例では、ある信号とその信号を周波数方向にシフトした信号との相関が考察されたが、同様に時間方向にシフトすることも考えられる。
【0027】
ある信号とその信号を何らかの方向にシフトした信号との相関値を計算することで導出される周期定常性以外に、波形特徴量として利用可能な統計量として、信号振幅の分散値、すなわち二次キュムラント(Second order Cumulant)がある。概して二次キュムラントは振幅のとり得る値の分散に相当する。例えば、OFDM信号のようなピーク電力対平均電力比(PAPR)が非常に高い信号と、シングルキャリア信号のような定包絡線信号や雑音等とでは二次キュムラントの値が大きく異なる。前者は様々な振幅値をとるので分散が大きく、後者の分散は比較的小さい。このような性質を利用することで、受信信号中にOFDM信号が含まれているか否かを検出することができる。OFDM信号の場合、1つのシンボルは、ガードインターバルの部分と有効シンボルの部分とを含み、ガードインターバルの部分は有効シンボルの一部をコピーしたものである。したがって、OFDM信号と、そのOFDM信号を時間軸方向に有効シンボル長だけシフトした信号との相関値は、高いピークを示す。このような性質が波形特徴量として使用されてもよい。さらに、OFDM信号の周波数軸方向において、N個のサブキャリアと、一定の帯域幅だけ離れた別のN個のサブキャリアとが同じ内容であった場合、OFDM信号と、そのOFDM信号を周波数軸方向に一定の帯域幅だけ離した信号との相関値も、高いピークを示す。このような性質が波形特徴量として使用されてもよい。さらに、パイロットチャネルが一定の帯域幅だけ離れてマッピングされていた場合も、OFDM信号と、そのOFDM信号を周波数軸方向に一定の帯域幅だけ離した信号との相関値は、高いピークを示すので、この性質が波形特徴量として使用されてもよい。
【0028】
周期定常性、二次キュムラント以外に波形特徴量として利用可能な統計量として、信号の周波数相関特性等も同様に利用可能である。周波数相関特性を利用する場合、OFDM信号のサブキャリア周波数成分に信号電力の偏りを付与し、受信側において、信号の周波数相関値を計算し、そのピークの値やピーク数、複数ピーク間の周波数間隔等を波形特徴量として検出することが可能である。
【0029】
このように信号波形の特徴を表す波形特徴量は、信号の相関値に基づいてもよいし、分散等の統計値に基づいてもよい。しかしながら、説明の便宜上、図2の波形特徴量抽出部22は、二次の周期自己相関関数(CAF)により表現された波形特徴量を算出するものとする。
【0030】
信号x(t)に対する二次の周期自己相関関数の値(CAF)は、以下の数式により算出される。
【0031】
【数1】

ここで、*は複素共役を表す。Iは観測時間長を表す。αはサイクリック周波数(cyclic frequency)を表す。τはラグパラメータ(lag parameter)を表す。
【0032】
CAFに関し、一般に、α≠0のときにRxα(τ)≠0ならば、x(t)は周期定常性を有する。
【0033】
また、式(1)の離散時間表現は次のようになる。
【0034】
【数2】

ここで、I0は観測サンプル数を表す。νはラグパラメータの離散時間表現を表す。なお、x[i]≡x(iTs)であり、Tsはサンプリング周期を表す。
【0035】
図2の通信パラメータ制御部23は、波形特徴量抽出部22による分析結果に基づいて、通信を行うか否か等を判断し、無線局が送受信する際の通信パラメータを制御する。上述したように、波形特徴量は、通信システムに固有の量であり、通信システムと波形特徴量との対応関係は、無線局及びセンシング専用局にとって既知である。波形特徴量が周期自己相関値CAFである場合、共存する複数の通信システム各々の周期自己相関値CAFが、どのサイクリック周波数αにおいてピークを有するか、という情報が既知である。例えば、サイクリック周波数α1の信号が検出された場合、通信システム1において無線通信を行っている無線局が、周囲に存在している。したがって、それを検出した無線局は、通信システム1における無線通信を速やかに開始すべきでないことが分かる。通信パラメータ制御部23は、そのような通信の可否の他、通信を行うための各種パラメータを制御する。各種パラメータは、例えば、通信に使用する無線アクセス方式、中心周波数、周波数帯域幅、周波数リソース、タイムスロット、送信電力、ビーム制御用のウェイト(重み係数)等であるが、これらに限定されない。
【0036】
情報通知部24は、波形特徴量抽出部22において検出された情報、及び通信パラメータ制御部23において通信に使用することに決定した通信システムの情報を、管理局(図1の管理局M)に通知する。他の無線局と通信する無線局が管理局に通知する第1の報告情報は、図中「使用リソースに関する情報」として示され、無線局が通信に使用することに決定した通信システム及びリソースを示す情報を少なくとも含む。また、第1の報告情報は、無線局が通信する際の通信の優先度の情報を含んでいてもよい。優先度の高低は、適切な如何なる基準により判断されてもよい。例えば、QoSの高低に基づいて判断されてもよい。例えば、音声パケット(VoIP)やリアルタイムデータのような通信の優先度は高く設定され、データ通信等には低い優先度が設定されてもよい。あるいは、災害情報のような緊急性の高い通信に高い優先度が設定されてもよい。他の無線局とは通信しない無線局が管理局に通知する第2の報告情報は、図中「センシング結果に関する情報」として示され、無線局が検出できた波形特徴量の通信システムを示す情報を少なくとも含む。なお、第1の報告情報が、自身の通信に使用する通信システム及びリソースの情報に加えて、自身の通信には関連しないが検出できた通信システムの情報を含んでもよい。
【0037】
情報取得部25は、管理局から通知された指示信号から、指示情報を取得する。指示情報は、図中「干渉制御動作に関する情報」として示されている干渉を回避するための情報を含む。具体的には、指示情報は、通信に使用するリソースを変更すべきこと、通信する際の送信電力を弱めること、及び通信する際のビームの指向性を制御すること等の内の1つ以上を含む。リソースは、周波数軸上における周波数リソースでもよいし、時間軸上におけるタイムスロット等でもよい。
【0038】
送信信号生成部26は、通信パラメータ制御部23により制御されたパラメータにしたがって、他の無線局に送信する信号を生成する。
【0039】
受信信号取得部27は、通信パラメータ制御部23により制御されたパラメータにしたがって、他の無線局から受信した信号を取得する。
【0040】
なお、無線局と管理局とが無線リンクによって接続されている場合、第1又は第2の報告情報は、送信信号生成部26、送受分離部21及びアンテナ20を介して送信され、指示情報は、アンテナ20、送受分離部21及び受信信号取得部27を介して取得される。無線局と管理局とが有線リンクにより接続されている場合、第1又は第2の報告情報は、情報通知部24のような有線インターフェースを介して送信され、指示情報は情報取得部25のような有線インターフェースを介して取得される。ただし、情報通知部24及び情報取得部25が有線インターフェースを形成することは必須ではなく、無線インターフェースを構成してもよい。
【0041】
<3.センシング専用局>
図4は、実施例において使用されるセンシング専用局の機能ブロック図を示す。図示の無線局は、図1における無線局Cとして使用することができる。図4には、センシング専用局に備わる様々な機能の内、本実施例に特に関連する機能が示されている。具体的には、アンテナ40、波形特徴量抽出部42及び情報通知部44が示されている。
【0042】
波形特徴量抽出部42は、アンテナ40に入力された信号(すなわち、受信信号)から、波形特徴量を抽出する。波形特徴量は、上述したように、信号波形の持つ統計的な特性に関する情報であり、二次の周期自己相関値によって得られる周期定常性や、信号振幅の分散値、周波数相関値等により表現される。上述したように、波形特徴量は、通信システムに固有の量であり、通信システムと波形特徴量との対応関係は、無線局及びセンシング専用局にとって既知である。波形特徴量が周期自己相関値CAFである場合、共存する複数の通信システム各々の周期自己相関値CAFが、どのサイクリック周波数αにおいてピークを有するか、という情報が既知である。
【0043】
図5は、波形特徴量抽出部42が、受信した信号について、周期自己相関値CAFにより表現される波形特徴量を分析した結果を示す。図示されているように、サイクリック周波数αが、α1及びα2の場合に、相対的に強いピークが生じている。例えば、サイクリック周波数α1は、第1の通信システムの波形特徴量に対応し、サイクリック周波数α2は、第2の通信システムの波形特徴量に対応する。この場合、センシング専用局の周辺に、第1の通信システムにおいて通信する無線局が存在すること、及び第2の通信システムにおいて通信する無線局が存在することが分かる。
【0044】
図4の情報通知部44は、波形特徴量抽出部42において検出された情報を管理局(図1の管理局M)に通知する。センシング専用局が管理局に通知する情報は、上記の第2の報告情報に該当し、図中「センシング結果に関する情報」として示されている。この場合における第2の報告情報は、センシング専用局が検出できた波形特徴量の通信システムを示す情報を少なくとも含む。情報通知部44は、有線インターフェースを構成してもよいし、無線インターフェースを構成してもよい。
【0045】
<4.管理局>
図6は、実施例において使用される管理局の機能ブロック図を示す。図示の管理局は、図1における管理局Mとして使用することができる。図6には、管理局に備わる様々な機能の内、本実施例に特に関連する機能が示されている。具体的には、受信部61、情報格納部62、干渉判定部63及び送信部64が示されている。
【0046】
受信部61は、上記の第1及び第2の報告情報を、様々な無線局及びセンシング専用局から収集する。他の無線局と通信する無線局から通知される第1の報告情報は、図中「使用リソースに関する情報」として示され、無線局が通信に使用することに決定した通信システム、リソースを示す情報、通信の優先度等の情報を含む。他の無線局とは通信しない無線局又はセンシング専用局から通知される第2の報告情報は、図中「センシング結果に関する情報」として示され、無線局又はセンシング専用局が検出できた波形特徴量の通信システムを示す情報を少なくとも含む。
【0047】
情報格納部62は、受信部61が収集した第1及び第2の報告情報を格納する記憶部、データベース又はストレージである。
【0048】
図7は、情報格納部62が格納する情報の具体例を示す。説明の便宜上、第1の報告情報と第2の報告情報とをそれぞれまとめているが、このことは必須ではなく、第1及び第2の報告情報が区別されずに情報が格納されてもよい。第1及び第2の報告情報は、左列から順に、報告を行った無線局、無線局が通信に使用する通信システム、無線局が通信に使用するリソース、通信の優先度、無線局が検出できた通信システム等を示す。
【0049】
例えば、無線局Aが報告した第1の報告情報は、第1の通信システムにおいて、CH1のリソースを使って優先度が1の通信を行うことを示す。1が最優先であり、数が増えるほど優先順位が低い。無線局Bが報告した第1の報告情報は、第2の通信システムにおいて、CH1のリソースを使って優先度が2の通信を行うことを示す。無線局Dが報告した第1の報告情報は、第3の通信システムにおいて、CH2のリソースを使って優先度が1の通信を行うことを示すことに加えて、無線局Dが第2の通信システムを検出していることも示す。無線局Cが報告した第2の報告情報は、無線局Cが第1及び第2の通信システムの信号を検出したことを示す。無線局Eが報告した第2の報告情報は、無線局Eが、どの通信システムも検出できなかったことを示す。無線局Dのように、自身の通信に関する情報に加えて、自身の通信には関連しないが検出できた通信システムの情報も、管理局に報告されてもよい。
【0050】
干渉判定部63は、情報格納部62に格納されている第1及び第2の報告情報に基づいて、干渉するおそれがある無線局を判別する。例えば、図1に示されるような状況において、図7に示されるような情報が情報格納部62に格納されたとする。ただし、説明及び図示の簡明化のため、無線局D、Eは図1には示されていない。干渉判定部63は、同一のリソースを使用する複数の無線局により使用される複数の通信システムが、その複数の無線局とは異なる別の何れかの無線局により、何れも検出されているか否かを判定する。これにより、その複数の無線局による通信が干渉するおそれがあるか否かが判定される。図7において太枠で示されているように、無線局A及び無線局Bは、CH1という同じリソースを用いて通信する。図1に示されているように、無線局A及び無線局Bは、互いに電波が直接及ぶ範囲内に存在しないので、センシングの結果、周波数リソースCH1を用いて通信できる、とそれぞれが判断する。無線局Aの通信相手が無線局A'であった場合、リソースCH1を用いて適切に通信できる。しかしながら、無線局Aの通信相手が無線局A"であった場合、無線局A"の場所に無線局Bの電波が及ぶので、無線局A及びA"の通信は、無線局Bから干渉を受けるおそれがある。
【0051】
無線局A及び無線局Bがこのような位置関係にあることは、各自のセンシング結果(第1の報告情報)からは不明である。本実施例の場合、第1の報告情報だけでなく、第2の報告情報も考慮に入れられる。図7において、無線局Cは第1及び第2の通信システムを何れも検出できている。したがって、無線局Cのセンシング結果(第2の報告情報)を考慮すると、無線局A及び無線局Bの間に無線局Cが存在することが分かる。無線局A及び無線局B各自の通信相手が、無線局Cから離れていた場合、例えば無線局Aの通信相手が無線局A'の位置にいた場合、干渉は生じない。しかしながら、無線局A及び無線局B各自の通信相手が、無線局Cのような位置にいた場合、例えば無線局A'が無線局A"の位置に移動した場合、干渉が生じてしまう。図6の干渉判定部63は、このように、同一のリソースを使用する無線局A、Bにより使用される第1、第2の通信システムが、別の無線局Cにより、何れも検出されていることに基づいて、無線局Aの通信又は無線局Bの通信が、干渉を受けるおそれがあることを検出する。
【0052】
送信部64は、干渉判定部62により、干渉を受けるおそれがあると判定された複数の無線局の内、少なくとも1つの無線局に対して、干渉を回避するための指示情報を通知する。具体的には、指示情報は、通信に使用するリソースを変更すべきこと、通信する際の送信電力を弱めること、及び通信する際のビームの向きを制御すること等の内の1つ以上を含む。干渉を回避する場合、干渉のおそれがある無線局A及び無線局Bの一方又は双方に指示情報を送信することが可能である。何れか一方に指示情報を通知する場合、優先度が低い通信を行う無線局Bに指示情報を通知することが好ましい。通信の優先度が何れも同程度であった場合、任意に選択された無線局に対して、指示情報が通知されてもよいし、あるいは、より新しい通信システムで通信している方の無線局に指示情報が通知されてもよい。
【0053】
<5.動作例>
図8は、図1に示すような状況における無線局A、B、C及び管理局Mにより行われる動作例を示す。説明の便宜上、無線局Cはセンシング専用局であるとするが、センシングだけでなく、他の無線局と通信する機能を備えていてもよい。
【0054】
ステップS81において、無線局A、B、Cは各自の周辺の状況を認識するため、センシングを行う。センシングは、受信した信号にどのような波形特徴量の信号が含まれているかを分析すること等を含む。センシングは、如何なる方法で行ってもよいが、例えば、次の2つの方法が考えられる。
【0055】
(方法1)
第1の方法は、様々な通信システム各々に周波数帯域が固定的に割り当てられていた場合に使用される。この場合、無線局は、各通信システムの帯域毎に、波形特徴量を分析することで、どのような通信システムの信号が存在するかを検出できる。
【0056】
図9は、様々な通信システム各々に周波数帯域が固定的に割り当てられている様子を模式的に示す。図示の例の場合、第1の通信システム1において、無線局Aが通信しており、第2の通信システム2において、無線局Bが通信している。したがって、第1の通信システムの周波数帯域において、第1の通信システム1の波形特徴量(例えば、周期自己相関値α=α1)が検出された場合、第1の通信システム1において通信している無線局が存在することが分かる。また、第2の通信システム2の周波数帯域において、第2の通信システム2の波形特徴量(例えば、周期自己相関値α=α2)が検出された場合、第2の通信システムにおいて通信している無線局が存在することが分かる。このように、通信システム毎に周波数帯域が固定的に割り当てられていた場合、波形特徴量ではなく、CSMA/CAのような電力検出による方法によって、信号の存否を検出することもできる。
【0057】
このような周波数の利用状況を調査した結果、何れかの通信システムにおいて通信する無線局は第1の報告情報を、他の無線局と通信しない無線局又はセンシング専用局は第2の報告情報を管理局に送信する。
【0058】
(方法2)
第2の方法は、様々な通信システム各々に周波数帯域が固定的には割り当ておらず、使用される周波数帯域が変動する場合に使用される。使用可能な周波数帯域の帯域幅が、可変であった場合、使用される可能性のある帯域幅全体について、波形特徴量を分析することで、信号の存否を検出できる。
【0059】
図10は、fminからfmaxに至る周波数帯域の全域に対して、波形特徴量を分析することで、信号の存否を検出する様子を示す。図示の例の場合、周期自己相関値CAFを分析することで、サイクリック周波数α=α1である第1の通信システムの信号が存在すること、サイクリック周波数α=α2である第2の通信システムの信号が存在すること、及びそれらの信号は周波数領域ではfLからfHの間にあることが検出されている。なお、波形特徴量を分析した時点では、図10の下側に示されるように、第1及び第2の2つの通信システムの信号の存在は確認できるが、それらの信号がどの周波数帯域に存在しているかは、直ちには分からない。周波数領域における各信号の場所は、CSMA/CAのような電力検出法によって確認できる。
【0060】
波形特徴量による信号検出法を適用する周波数範囲を限定することも可能である。例えば、fminからfmaxまでの全周波数範囲について、信号の電力をCSMA/CAにより調べ、fLからfHまでの周波数範囲内に何らかの信号が存在することを突き止める。そして、fLからfHまでの周波数範囲内に限って波形特徴量の分析を行うことで、この狭い範囲内に第1及び第2の通信システムの2つの信号が含まれていることを突き止めてもよい。この方法の場合、fminからfmaxまでの全周波数範囲にわたって波形特徴量の分析を行わなくてよい点で、演算負担を軽減できる。
【0061】
このような周波数の利用状況を調査した結果、何れかの通信システムにおいて通信する無線局は第1の報告情報を、他の無線局と通信しない無線局又はセンシング専用局は第2の報告情報を管理局に送信する。
【0062】
図8のステップS82において、無線局Aはセンシング結果を管理局Mに報告する(第1の報告情報)。同様に、ステップS83において、無線局Cはセンシング結果を管理局Mに報告する(第2の報告情報)。ステップS84において、無線局Bはセンシング結果を管理局Mに報告する(第1の報告情報)。説明及び図示の便宜上、ステップS81を無線局A、B、Cが同時に行い、無線局A、C、Bの順に報告がなされているが、センシング処理及び報告のタイミングは図示のとおりでなくてもよい。無線局各々から管理局Mへセンシング結果が報告されていればよいからである。
【0063】
ステップS85において、管理局Mは、各無線局から収集したセンシング結果(第1及び第2の報告情報)から、干渉のおそれがある無線局を判定する。
【0064】
ステップS86において、管理局Mは、干渉のおそれがある無線局の内、何れかの無線局に、干渉を回避するための指示信号を送信する。
【0065】
ステップS87において、指示信号を受信した無線局Bは、指示信号にしたがって、リソース、送信電力及び/又はビームの指向性を変更し、干渉のおそれを低減させる。
【0066】
図11は、実施例における動作の概要を示す。図1の上側には、無線局A、B、C、D、Eが無線局A'、B'、C'、D'、E'とそれぞれ通信を行い、かつ各自が管理局Mにセンシング結果を報告している様子が、示されている。図1の下側には、このような状況において、各無線局がリソースCH1、CH2、CH3をどのように使用するかを示す。無線局A、B、C、D、Eの各々は、図示の状態において、隣接する無線局には電波が直接及ぶが、隣接していない無線局には電波が及ばないものとする。例えば、無線局Aの電波は無線局Cには届くが、無線局Bには及ばない。無線局Bの電波は無線局B、Dに及ぶが、無線局A、Eには及ばない。電波が直接及ぶ範囲は、1ホップの範囲と言及されてもよい。
【0067】
無線局Aは、センシング結果に基づいて、CH1のリソースは空いていると判断し、時刻t1において通信を開始する。無線局Aから2ホップ離れている無線局Bも、センシング結果に基づいて、CH1のリソースは空いていると判断し、時刻t2において通信を開始する。この場合、無線局Aの通信相手A'又は無線局Bの通信相手B'が、無線局C付近にいた場合、干渉を生じるおそれがある。時刻t2以降において、無線局Cは、無線局A、Bの双方の信号を検出したことを、センシング結果として管理局Mに報告する。これにより、管理局Mは、無線局A、B各自の通信が干渉するおそれがあることを検知し、優先度が低い通信を行っている無線局Bに対して、干渉を回避するための指示信号を通知する。その結果、時刻t4において、無線局Bの通信のリソースが、CH1からCH3に変更される。
【0068】
時刻t5以降において、CH2のリソースを無線局EとCが共に使用しているが、無線局CとEの位置関係は、2ホップより多い3ホップ離れた関係なので、いずれもCH2のリソースをそのまま使用し続けてよい。
【0069】
時刻t7において、CH2のリソースを無線局CとDが使用し始める。無線局CとDの位置関係は、2ホップ離れた関係なので、リソースが同じ場合、干渉が生じるおそれがある。時刻t7以降において、無線局Bは、無線局C、Dの双方の信号を検出したことを、センシング結果として管理局Mに報告する。これにより、管理局Mは、無線局C、D各自の通信が干渉するおそれがあることを検知し、優先度が低い通信を行っている無線局Dに対して、干渉を回避するための指示信号を通知する。その結果、時刻t8において、無線局Dの通信のリソースが、CH2からCH3に変更される。
【0070】
時刻t9以降において、CH1のリソースを無線局AとEが使用しているが、無線局AとEの位置関係は、2ホップ多い4ホップ離れた関係なので、いずれもCH1のリソースをそのまま使用し続けてよい。
【0071】
このように、干渉のおそれがある通信を行っている無線局のリソースを適宜変更させることで、簡易かつ効果的に干渉を回避することができる。従来の周期定常性信号を用いた識別技術の場合、センシング結果を自身の送信可否やパラメータの決定に用いていたに過ぎない。このため、自身(例えば、無線局A)が通信している間に、周囲のリソース使用状況が変わった場合(時刻t2以降)、次にセンシングを行うタイミング(時刻t6)まで、周囲のリソース使用状況を知ることができず、隠れ端末(無線局B)から干渉を受けてバースト誤りを引き起こすおそれが懸念される。本実施例では、自身(無線局A)が通信中であっても、他局(無線局C)のセンシングによって、自身(無線局A)の通信が隠れ端末(無線局B)から干渉を受けるかもしれないことを管理局が把握できる。これにより、干渉を回避する対応策を速やかに実行でき、干渉によるバースト誤りを顕著に軽減することができる。また、センシングに周期定常性信号を用いることで、複数の信号が同じ帯域に重畳していた場合でも、複数の信号の存在を適確に認識できる。様々な無線局からのセンシング結果を管理局において一括管理し、無線局が通信中であっても、干渉のおそれがあれば、管理局が無線局に指示信号を通知することで、干渉を回避するための対応策を速やかに実行できる。
【0072】
以上本発明は特定の実施例を参照しながら説明されてきたが、それらは単なる例示に過ぎず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。例えば、本発明は、同一の周波数帯域を共有する複数の通信システムが存在する適切な如何なる状況において使用されてもよい。発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてもよい。実施例又は項目の区分けは本発明に本質的ではなく、2以上の項目に記載された事項が必要に応じて組み合わせて使用されてよいし、ある項目に記載された事項が、別の項目に記載された事項に(矛盾しない限り)適用されてよい。説明の便宜上、本発明の実施例に係る装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウェアで、ソフトウェアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。ソフトウェアは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、EPROM、EEPROM、レジスタ、ハードディスク(HDD)、リムーバブルディスク、CD−ROM、データベース、サーバその他の適切な如何なる記憶媒体に用意されてもよい。本発明は上記実施例に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が本発明に包含される。
【符号の説明】
【0073】
20 アンテナ
21 送受分離部
22 波形特徴量抽出部
23 通信パラメータ制御部
24 情報通知部
25 情報取得部
26 送信信号生成部
27 受信信号取得部
40 アンテナ
42 波形特徴量抽出部
44 情報通知部
61 受信部
62 情報格納部
63 干渉判定部
64 送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号の波形の特徴を表す波形特徴量が異なる信号を使用する複数の通信システムが共存している地域において使用される管理局であって、
前記波形特徴量の監視結果に基づいて、通信に使用することに決定された通信システム及びリソースの情報を少なくとも含む第1の報告情報、及び/又は検出した特定の波形特徴量に対応する通信システムの情報を少なくとも含む第2の報告情報を、複数の無線局から受信する受信部と、
前記複数の無線局から受信した第1及び/又は第2の報告情報を格納する情報格納部と、
同一のリソースを使用する複数の無線局により使用される複数の通信システムが、該複数の無線局とは異なる別の何れかの無線局により、何れも検出されているか否かを判定することで、該複数の無線局各自の通信が干渉するおそれがあるか否か判定する干渉判定部と、
干渉するおそれがあると判定された前記複数の無線局の内、少なくとも1つの無線局に対して、干渉を回避するための指示信号を送信する送信部と
を有する管理局。
【請求項2】
前記第1の報告情報が、通信の優先度の情報をさらに含む、請求項1記載の管理局。
【請求項3】
前記送信部が、前記干渉するおそれがあると判定された前記複数の無線局の内、相対的に低い優先度の通信を行う無線局に対して、前記指示信号を送信する、請求項2記載の管理局。
【請求項4】
前記指示信号が、
通信に使用するリソースを変更すること、
通信する際の送信電力を弱めること、及び
通信する際のビームの向きを制御すること
の内の1つ以上を示す、請求項1ないし3の何れか1項に記載の管理局。
【請求項5】
前記受信部が、他の無線局と通信を行う無線局から前記第1の報告情報を受信する、請求項1ないし4の何れか1項に記載の管理局。
【請求項6】
前記受信部が、他の無線局と通信を行う無線局から前記第2の報告情報を受信する、請求項1ないし5の何れか1項に記載の管理局。
【請求項7】
前記受信部が、周辺の状況を専ら監視するセンシング専用局である無線局から前記第2の報告情報を受信する、請求項1ないし5の何れか1項に記載の管理局。
【請求項8】
前記リソースが、周波数のリソース又は時間のリソースである、請求項1ないし7の何れか1項に記載の管理局。
【請求項9】
無線信号の波形の特徴を表す波形特徴量が異なる信号を使用する複数の通信システムが共存している地域において使用される干渉回避方法であって、
前記波形特徴量の監視結果に基づいて、通信に使用することに決定された通信システム及びリソースの情報を少なくとも含む第1の報告情報、及び/又は検出した特定の波形特徴量に対応する通信システムの情報を少なくとも含む第2の報告情報を、複数の無線局から受信して格納し、
同一のリソースを使用する複数の無線局により使用される複数の通信システムが、該複数の無線局とは異なる別の何れかの無線局により、何れも検出されているか否かを判定することで、該複数の無線局による通信が干渉するおそれがあるか否かを判定し、
干渉するおそれがあると判定された前記複数の無線局の内、少なくとも1つの無線局に対して、干渉を回避するための指示信号を送信するステップ
を有する干渉回避方法。
【請求項10】
複数の無線局と、該複数の無線局と通信する管理局とを含むシステムであって、
前記複数の無線局の各々は、
無線信号の波形の特徴を表す波形特徴量を監視し、通信に使用することに決定された通信システム及びリソースの情報を少なくとも含む第1の報告情報、又は検出した特定の波形特徴量に対応する通信システムの情報を少なくとも含む第2の報告情報を生成する生成部と、
前記第1の報告信号又は前記第2の報告信号を前記管理局に通知する通知部とを有し、
前記管理局は、
前記第1の報告情報及び/又は前記第2の報告情報を、複数の無線局から受信する受信部と、
前記複数の無線局から受信した第1及び/又は第2の報告情報を格納する情報格納部と、
同一のリソースを使用する複数の無線局により使用される複数の通信システムが、該複数の無線局とは異なる別の何れかの無線局により、何れも検出されているか否かを判定することで、該複数の無線局各自の通信が干渉するおそれがあるか否か判定する干渉判定部と、
干渉するおそれがあると判定された前記複数の無線局の内、少なくとも1つの無線局に対して、干渉を回避するための指示信号を送信する送信部と
を有し、前記指示信号を受信した無線局は、前記指示信号にしたがって、リソース、送信電力又はビームの指向性を変更する、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−169938(P2012−169938A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30261(P2011−30261)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度 総務省「同一周波数帯における複数無線システム間無線リソース制御技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】