説明

複数の着信通知手段を有する着信制御装置

【課題】通信端末の現在位置や時間に応じて適切な着信通知を行いたい。
【解決手段】着信制御装置は、ネットワークシステム内の中継器から取得した情報を基にした通信端末の現在位置の特定手段を有しており、利用者毎に通信端末の現在位置を管理する。利用者への着信要求があったならば、利用者が持つ複数端末の現在位置の組合せから着信通知する端末を選択し、選択された端末と時間により、適切な着信通知手段で通信端末へ着信通知を行う。また、通信端末の応答後は適切な会話手段にて通話を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は着信制御装置に係り、特に場所や時間に応じて自動的に最適な着信通知方法を選択する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、会社の業務においてパソコンが欠かせないものとなり、携帯電話と同様に自分の携帯用のパソコンを会社の会議室に持ち込むことが当たり前となってきた。
【0003】
これにより、社内で一個人が、机上の固定電話機、パソコン、携帯電話などの複数の通信端末を使用し、状況に応じて最適な通信手段を自動選択することが望まれるようになってきた。
【0004】
状況に応じて最適な通信手段を選択する従来技術として、特許文献1がある。特許文献1の技術は交換機がユーザのプレゼンス状態を取得し、ユーザのプレゼンスに応じた転送先を自動的に決定する。具体的には、利用者によって予め登録されたユーザ状態およびコールバックフラグの設定に応じてまたは、検知した利用者の「在席中」、「外出中」、「会議中」、「帰宅」のプレゼンスに応じて、着信端末を特定し着信を転送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−18194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1の技術のプレゼンスは、自机上のパソコンの操作状態と連動した出社/退社のみが自動的に変更されるが、例えば出社時であったとしても予め自装置に登録された行動予定表から端末位置を推定するので、離席中であった場合正確な行き先を特定することができず、不在の自席の端末を呼び出してしまうという問題があった。
【0007】
また、テキストを使った転送では、インスタントメッセージを携帯電話用Eメールに転送する方法で転送しており、即時性に欠ける。また着信があったことをユーザに通知するだけであり、返信ができないという問題点があった。
【0008】
そこで本発明の目的は、各通信端末の居場所から利用者の位置を正確に特定し、特定した位置や時間から、最適な通信手段を自動的に選択する技術を提供することにある。
【0009】
なお、状況に応じて電話機を使った音声の会話とパソコンやメッセージ送受信可能な携帯電話を使ったテキストによる会話を適宜選択することが可能な、会話手段を適切に切替える仕組みも提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する為に、本発明の第一の発明は、内線または外線を収容し着信先への複数の着信通知手段を備える着信制御装置は、前記内線に対応する通信端末が現在存在している位置を探索する通信端末位置探索手段と、前記通信端末と予め定められた場所と着信通知手段およびまたは会話手段を関連付けて登録する着信通知手段登録部と、を有し、前記内線のいずれかへの着信があった場合に、前記通信端末位置探索手段は当該内線に対応する通信端末が現在存在している位置を探索し、前記探索した位置が前記着信通知手段登録部に登録されているいずれかの場所と一致したならば、当該場所に関連付けられた着信通知手段およびまたは会話手段を選択することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第二の発明は前記着信制御装置の前記着信通知手段登録部は、場所または時間に応じて着信鳴動を禁止する着信通知手段を登録することを特徴とする複数の着信通知手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、通信端末の現在位置を探索する通信端末位置探索手段により、通信端末の現在位置を検知することができ、ノートパソコンやWi−Fi携帯端末等のモバイル端末を含む複数の通信端末を持ち歩く利用者へ電話の着信を通知する場合に、複数端末の現在位置の組合せから、最適な着信端末と着信通知方法を自動的に選択することが可能となる。
【0013】
また、通信端末位置探索手段により検出した複数の端末の現在位置に基づき、社員が会議中など着信音が鳴って欲しくない状況であることを自動的に検知し、着信鳴動せずに着信を通知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ネットワークシステムのハードウェア構成図である。
【図2】着信制御装置の機能ブロック図である。
【図3】中継器情報を管理するテーブルを説明する図である。
【図4】呼び出し優先端末を管理するテーブルを説明する図である。
【図5】呼び出し優先端末を決定するための呼び出しパターンを管理するテーブルを説明する図である。
【図6】呼び出し優先端末の着信方法を管理するテーブルを説明する図である。
【図7】着信制御装置の着信通知の動作を説明するフローチャートである。
【図8】着信制御装置が呼び出し優先端末を決定する動作を説明するフローチャートである。
【図9】着信制御装置の着信通知の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、実施例を用い図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
なお、実質同一部位には、同じ参照番号を振り、説明は繰り返さない。
【0017】
まず図1を参照して、ネットワークシステム500の構成を説明する。
【0018】
図1において、ネットワークシステム500は、LAN510に接続された本発明の対象である着信制御装置100、複数のHUB400および複数の無線AP410(以下、中継器と呼称)、チャット通信を行うチャットサーバ530、構内のLANと屋外の電話網とを接続するルータ520と、HUB400並びに無線AP410の配下に接続する複数の電話端末200、複数の携帯端末210、複数のPC端末220と、ルータ520の屋外側に接続された電話網800と、電話網800に接続された相手端末900、その配下に外出先へ持ち出した携帯端末210を接続できる無線基地局700とから構成される。
【0019】
着信制御装置100は、LAN510を介し、中継器であるHUB400、無線AP410に接続される。着信制御装置100は、中継器であるHUB400、無線AP410へ問合せを行い、各々の中継器であるHUB400、無線AP410からの応答から配下にどういった通信端末が接続されているかを端末情報として記憶する。着信制御装置100は、中継器に接続されている端末情報に基づき、社員に割り当てられた複数の通信端末の現在位置と、これら複数通信端末の現在位置の組合せパターンから、呼び出す通信端末を特定し、特定した通信端末を場所に応じたて適切な着信方法で呼出し、適切な会話方法で会話を行う。
【0020】
着信制御装置100は、電話端末200、携帯端末210、PC端末220の間で通話を実現するため、呼び出し、着信、応答、切断等の呼制御を行う。
【0021】
着信制御装置100は、LAN510を介し、チャットサーバ530に接続され、適切な会話方法として、接続された対向する端末間において一方の端末が音声会話、もう一方の端末がチャット会話で通話を行う片チャットが選択されたならば、通信端末より受信した音声をテキストに変換しこのテキストを前述のチャットサーバ530へ送信する。また、チャットサーバ530から受信したテキストを音声に変換し会話の相手となる通信端末へ音声を送信する。
【0022】
電話端末200は、一般的な機能を有するIP電話機である。有線LANで接続された固定電話機であって、事務所の机の上に設置される。電話端末200は、HUB400の配下に接続され、LAN510を介して着信制御装置100に接続される。
【0023】
携帯端末210は、携帯電話機能の他に無線LAN機能を有する携帯端末である。電話端末200とは音声通話により会話を行う。携帯端末210は、インスタントメッセージを利用したメッセンジャーソフトウェアがインストールされていて、ポップアップ着信やチャット会話に応じることができる。無線AP410の配下に接続され、LAN510を介して着信制御装置100に接続される。
【0024】
社員が外出時に携帯端末210を持出せば、外出先では無線LAN方式又は携帯電話方式により無線基地局700に接続し、電話番号(社員)への呼び出しに対して、外出先で着信通知を受けその着信に応じることが可能である。
【0025】
PC端末220は、有線LAN機能又は無線LAN機能を有するパソコンである。インスタントメッセージを利用したメッセンジャーソフトウェアがインストールされていて、ポップアップ着信やチャット会話に応じることができる。PC端末220は、HUB400又は無線AP410の配下に接続され、LAN510を介して着信制御装置100に接続される。
【0026】
HUB400は、有線LAN用の中継器であり、電話端末200やPC端末220とLAN510で送受信されるデータを中継する。HUB400は、LLDP(link layer discovery protocol)機能に対応し、電話端末200やPC端末220がそれぞれHUB400どのポートに接続されているのかを、データベースに記憶する。
【0027】
また、HUB400は、LLDP−MIB(LLDP−Management information base)にも対応しており、着信制御装置100から端末情報の問合せに応じて、データベースに記憶した接続端末探索結果を着信制御装置100に報告する。
【0028】
無線AP410は、無線LAN用の中継器であり、携帯端末210や無線LAN対応のPC端末220とLAN510で送受信されるデータを中継する。無線AP410は、LLDP機能および無線環境下におけるLLDP−MIBであるIEEE802.11MIB(IEEE802.11 Management information base)に対応し、着信制御装置100から端末情報の問合せを受けたならば、着信制御装置100へ無線AP410内のデータベースに記憶した接続端末探索結果を報告する。
【0029】
チャットサーバ530は、着信制御装置100とPC端末220、携帯端末210間のインスタントメッセージの送受信を仲介することで、着信制御装置100が実現する電話端末200とPC端末220、携帯端末210間の片チャット通話の成立を補助したり、PC端末220、携帯端末210へポップアップ着信通知を行う。
【0030】
ルータ520は、屋外の電話網800と屋内のLAN510と、にそれぞれ接続され、電話網800とLAN510との間のルーティング制御を行なう。
【0031】
電話網800は、IP電話、携帯電話、加入者電話等の電話回線網である。
【0032】
相手端末900は、電話網800を経由して電話端末200と通話を行う、お客様、取引先、社内他事業所などの電話機である。
【0033】
無線基地局700は、公衆無線LANサーピスのアクセスポイント又は携帯電話用の基地局であり、外出先へ持出した携帯端末210が接続される。電話番号(社員)への呼び出しに対して、外出先へ持出した携帯端末210で着信通知を受けその着信に応じることが可能である。
【0034】
図2を参照して、着信制御装置100の機能ブロック構成について説明する。
【0035】
図2において、着信制御装置100は、LANインタフェース部101、通信制御部102、中継器情報管理部103、中継器情報問合せ部104、中継器応答受信部105、中継器情報記憶部106、呼び出し端末特定部107、呼び出しパターン記憶部108、呼び出し端末記憶部109、呼制御部110、呼び出し端末制御部111、呼び出し方法判定部112、着信方法記憶部113、スケジュール記憶部114、チャット制御部115、から構成される。
【0036】
LANインタフェース部101は、着信制御装置100をLAN510に接続する物理的なインタフェース回路である。LANインタフェース部101は、LAN510に対してデータフレームを送受信する。
【0037】
通信制御部102は、LANインタフェース部101から受信したデータフレームに含まれる情報要素を分析し適切な上位機能ブロックへ振り分ける。中継器であるHUB400、無線AP410が送信する端末情報が含まれていたならば中継器応答受信部105へその端末情報を送信する。通信端末である電話端末200、携帯端末210、PC端末220が送信する呼制御データが含まれていたならば呼制御部110へその呼制御データを送信する。チャットサーバ530が送信する呼制御や通話に相当するテキストデータが含まれていたならばチャット制御部115へそのテキストデータを送信する。
【0038】
また、通信制御部102は上位機能ブロックから受信した要求やデータに対応する適切な宛先を含むデータフレームを構築しLANインタフェース部101へ送信する。中継器情報問合せ部104から中継器であるHUB400、無線AP410宛の端末情報問合せ要求を受信したならば、その要求を情報要素とした中継器宛のデータフレームを構築しLANインタフェース部101へ送信する。呼制御部110から通信端末である電話端末200、携帯端末210、PC端末220宛の呼制御データを受信したならば、その呼制御データを情報要素とした通信端末宛のデータフレームを構築しLANインタフェース部101へ送信する。チャット制御部115からチャットサーバ530宛のテキストデータを受信したならば、そのテキストデータを情報要素としたチャットサーバ宛のデータフレームを構築しLANインタフェース部101へ送信する。
【0039】
中継器情報管理部103は、LAN510に接続される中継器であるHUB400、無線AP410各々の配下にどのような通信端末が接続されているかを中継器であるHUB400、無線AP410から受信した端末情報を基に管理する。定期的に、管理下にある全ての中継器へ端末情報の問合せを中継器情報問合せ部104へ要求する。中継器応答受信部105から管理下にある中継器からの端末情報を受信したならば、中継器情報記憶部106に記憶されている端末情報と比較し、端末情報が異なっている部分について中継器情報記憶部106へ更新を指示する。
【0040】
中継器情報問合せ部104は、管理下にある全ての中継器へ端末情報の問合せを中継器情報管理部103から要求されたならば、中継器毎の端末情報問合せ要求を通信制御部102へ送信する。
【0041】
中継器応答受信部105は、通信制御部102から受信した管理下にある中継器からの端末情報が一揃いしたならば、中継器情報管理部103へ端末情報を通知する。
【0042】
中継器情報記憶部106は、後述する中継器情報テーブル1060を持ち、中継器情報管理部103の指示に従い中継器の端末情報を記憶する。記憶内容を更新したならば、呼び出し端末特定部107へ更新した旨を通知する。
【0043】
図3を参照して、中継器情報記憶部106に記憶する中継器情報テーブル1060の構成を説明する。
【0044】
図3において、中継器情報テーブル1060には、中継器情報管理部の管理下にある中継器毎にレコード1064が記憶される。レコード1064は、中継器名称1061、接続端末1062、設置場所1063、を有する。
【0045】
中継器名称1061は、LAN510上に存在するHUB400や無線AP410等の中継器の名称であり、個々の中継器を識別できるユニークな名称が登録されている。接続端末1062は、中継器名称1061に登録された中継器の配下に接続されている通信端末の名称が記憶される。通信端末の名称は個々の通信端末を識別できるユニークな名称が割当てられている。中継器情報管理部103の指示により適宜記憶が更新される。設置場所1063は、中継器名称1061に登録された中継器が設置されている場所が登録されている。中継器名称1061並びに設置場所1063はネットワーク管理者が予め登録する。
【0046】
呼び出し端末特定部107は、中継器情報記憶部106の記憶内容から、電話番号(社員)毎に利用する複数通信端末の現在位置を管理し、呼び出しパターン記憶部108が記憶する呼び出しパターンと複数通信端末の現在位置を照合し、呼び出し端末を特定する。中継器情報記憶部106から更新が通知されたら、管理の更新を行い、呼び出し端末を特定が完了したならば、電話番号(社員)が利用する複数通信端末の現在位置と呼び出し端末の特定結果を呼び出し端末記憶部109へ送信し更新を指示する。
【0047】
呼び出しパターン記憶部108は、後述する呼び出しパターンテーブル1080を持ち、呼び出し候補端末の現在位置の組合せ毎に、最適な呼び出し端末を特定するパターンを予め記憶しておく。
【0048】
図5を参照して、呼び出しパターン記憶部108に記憶する呼び出しパターンテーブル1080の構成を説明する。
【0049】
図5において、呼び出しパターンテーブル1080は、呼び出しパターン毎にレコード1084が記憶される。レコード1084は、呼び出しパターン1081、各々の呼び出し候補の現在位置1082、呼び出し端末1083、を有する。
【0050】
呼び出しパターン1081は、呼び出しパターン名が登録されている。各々の呼び出し候補の現在位置1082は、社員が普段利用する呼び出し候補となる電話端末、PC端末、携帯端末各々の現在位置の組合せが登録されている。呼び出し端末1083は、各々の呼び出し候補の現在位置1082に登録された呼び出し候補通信端末の各々の現在位置の組合せに応じた、最適な呼び出し端末が登録されている。
【0051】
呼び出し端末記憶部109は、後述する呼び出し端末テーブル1090を持ち、呼び出し端末特定部107から受信した電話番号(社員)毎に利用する複数通信端末の現在位置と呼び出し端末の特定結果を記憶する。呼び出し端末制御部の111の要求に応じて呼び出し端末を通知する。
【0052】
図4を参照して、呼び出し端末記憶部109に記憶する呼び出し端末テーブル1090の構成を説明する。
【0053】
図4において、呼び出し端末テーブル1090には、呼び出し候補である通信端末毎にレコード1095が記憶される。レコード1095は、電話番号1091、呼び出し候補1092、現在位置1093、呼び出し端末1094、呼び出し候補毎のレコード1095、を有する。
【0054】
電話番号1091は、社員毎に個別に割当てられた電話番号であって、社員が利用する複数の通信端末に共通の内線番号として登録されている。呼び出し候補1092は、社員の電話番号を宛先として発呼した時に呼び出し候補と成り得る通信端末の名称が登録されている。現在位置1093は、呼び出し候補である通信端末の現在の所在地が記憶される。呼び出し端末1094は、呼び出す通信端末を特定した結果が記憶される。特定した結果は「◎」印により示される。
【0055】
現在位置1093と呼び出し端末1094は、呼び出し端末特定部107の指示により、適宜記憶が更新される。
【0056】
呼制御部110は、通信端末からの呼制御データを通信制御部102から受信したならば、呼制御データを分析し、発呼要求メッセージであった場合は、電話番号(社員)特定する。特定した電話番号(社員)を呼び出し端末制御部111へ送って、呼び出し端末と着信方法、会話方法を問い合わせ、呼び出し端末制御部111からの問合せ結果に従って、呼び出し端末と着信方法を指定し通信端末へ呼び出しを指示する。呼び出し端末が応答したならば、発呼要求端末、呼び出し端末双方へ会話方法を指示する。
【0057】
呼び出し端末制御部111は、呼制御部110から電話番号(社員)の、呼び出し端末と着信方法、会話方法を問い合わせされたならば、呼び出し端末記憶部109へ、電話番号(社員)の呼び出し端末の通知を要求する。また、呼び出し方法判定部112へ、着信方法と会話方法の通知を要求する。通知された、呼び出し端末と着信方法、会話方法、を問い合わせ先の呼制御部110へ返答する。
【0058】
呼び出し方法判定部112は、呼び出し端末制御部111から任意の呼び出し端末の、着信方法と会話方法の通知を要求されたならば、スケジュール記憶部114から該当する社員の現時点の時間帯を入手する。呼び出し端末、端末位置、時間帯の情報により着信方法記憶部113より着信方法と会話方法を入手する。
【0059】
着信方法記憶部113は、後述する呼び出し端末テーブル1130を持ち、呼び出し端末、端末位置と時間帯 に応じた「着信方法」と「会話方法」を予め記憶しておく。
【0060】
図6を参照して、着信通方法記憶部113に記憶する着信方法テーブル1130の構成を説明する。
【0061】
図6において、着信方法テーブル1130は、呼び出し端末と端末位置、時間帯の組合せ毎にレコード1136が記憶される。レコード1136は、呼び出し端末1131、端末位置1132、時間帯1133、着信方法1134、会話方法1135、を有する。
【0062】
呼び出し端末1131は、呼び出し端末として電話端末、PC端末、携帯端末のいずれかが登録されている。現在位置1132は、呼び出し端末の現在位置の候補が登録されている。時間帯1133は呼び出される電話番号(社員)のスケジュールの候補が登録されている。時間帯に関わらず最適な着信方法、会話方法が一つである通信端末の場合は「ALL」と登録される。
【0063】
着信方法1134には、呼び出し端末1131と端末位置1132と時間帯1133との組合せに対応した適切な着信方法が登録されている。会話方法1135には、呼び出し端末1131と端末位置1132と時間帯1133との組合せに対応した適切な会話方法が登録されている。
【0064】
着信方法1134の登録内容には、例えば、着信鳴動、ポップアップ(鳴動禁止)があり、「着信鳴動」が登録されていると、着信音(いわゆる電話の呼び出しベル音)で通信端末に着信を通知する。「ポップアップ(鳴動禁止)」が登録されていると、通信端末のディスプレイ画面上に文字で着信を通知する。着信通知時は無音もしくはうるさく感じない程度の短時間のアラーム音がを通知音として鳴らしても良い。会話方法1135の登録内容には、例えば、音声通話、片チャットがあり、「音声通話」が登録されていると、発呼側通信端末と呼び出し側通信端末と、がどちらも音声による会話を行う。「片チャット」が登録されていると、発呼側通信端末は音声で、呼び出し側通信端末はインスタントメッセージで会話を行う。
【0065】
スケジュール記憶部114は、後述するスケジュール表1140を持ち、社員毎に日毎のスケジュールが登録されている。また、登録されたスケジュールに対応する時間帯が記憶されている。
【0066】
図7を参照して、スケジュール記憶部114に記憶するスケジュール表1140の構成を説明する。
【0067】
図7において、スケジュール表1140は、社員一人毎に当日分のスケジュールが登録される。スケジュール表1140は、時間1141、スケジュール1142、時間帯1143、を有する。
【0068】
時間1141は、時刻が表示されている。スケジュール1142は、対象となる社員の会議の予定等のスケジュールが登録されている。スケジュール毎の開始、終了は、時間1141に表示されている時刻に合わせて、正確に明示される。時間帯1143は、登録されたスケジュール毎に、予め定義されたどの時間帯に当てはまるのかが登録されている。
【0069】
チャット制御部115は、通信制御部102を介して呼制御部110から通知された呼び出し方法がポップアップであったならば、呼び出し端末宛の呼び出しインスタントメッセージをチャットサーバ530へ送信する。チャットサーバ530よりチャット先通信端末からの呼制御データに相当するインスタントメッセージを受信したならば、呼制御部110へ呼制御データに変換し送信する。
【0070】
また、チャット制御部115は、会話方法が片チャットの通話が開始されたならば、音声とテキストを変換し通信端末間の通話を中継する。
【0071】
図8のフローチャートを参照して、着信制御装置100の呼び出し端末特定部107が呼び出し端末テーブル1030に現在位置と呼び出し端末を登録する動作を説明する。
【0072】
このフローチャートは、着信制御装置100の電源が投入され初期設定が行われると動作を開始、又は 中継器情報テーブル1060が前回のテーブル更新から予め定められた時間が経過した時に動作を開始する。
【0073】
まず、中継器情報管理部103の指示により中継器情報問合せ部104が、任意の中継器(HUB400または無線AP410)へ通信端末の接続状況を問合せる(S101)。
【0074】
中継器応答受信部105が、対象の中継器から接続端末情報の応答を受信するとし中継器情報管理部103へ受信結果を通知したならば(S102)、中継器情報管理部103は、中継器情報テーブル1060の中継器名称の対象となる中継器のレコードに記憶されている接続端末の端末名称と中継器から受信した接続端末情報の端末名称とを照合する(S103)。
【0075】
照合結果が不一致であれば更新ありと判断し(A104:YES)中継器情報テーブル1060の接続端末を更新し、更新フラグをセットする(S105)。照合結果が一致すれば更新なしと判断する(A104:NO)。
【0076】
着信制御装置の管理下にある全ての中継器の調査が完了するまでステップ101からステップ105の処理を繰り返す(S106)。
【0077】
全ての中継器の調査が完了していれば(S106:YES)中継器情報テーブル1060の内容が更新されたかどうかを判定する為、更新フラグの値を調査する(S107)。
【0078】
更新フラグがセットされていなければ中継器情報テーブル1060の内容が更新されていないと判定し(S107:NO)、このフローチャートの動作を終了する。
【0079】
更新フラグがセットされていたならば(S107:YES)、呼び出し端末特定部107は、中継器情報テーブル1060の接続端末1062に記憶された端末名称と設置場所1063に登録された場所情報を取得し、取得した端末名称と場所情報の関係に合わせて、呼び出し端末テーブル1090の各々のレコード1095の呼び出し候補1092に登録されている端末名称に対応した場所情報を現在位置1093に記憶する(S108)。
【0080】
そして、呼び出し端末特定部107は、現在位置1093の更新が完了したら、呼び出し端末テーブル1090の電話番号1091毎に複数の呼び出し候補端末の現在位置の組合せを取得し、取得した現在位置の組合せが、呼び出しパターンテーブル1080の各々の呼び出し候補の現在位置1082に登録されている組合せと一致する呼び出しパターン1081のレコード1084を特定する(S109)。呼び出し端末特定部107は、特定した呼び出しパターン1081のレコード1084の呼び出し端末1083に登録されている端末情報を調査する(S110)。呼び出し端末特定部107は、調査した端末情報を基に、呼び出し端末テーブル1090の対応する呼び出し候補1092のレコード1095を特定する(S111)。呼び出し端末特定部107は、特定したレコード1095の呼び出し端末1094欄に◎印を登録し呼び出し端末を更新し(S112)このフローチャートの動作を終了する。
【0081】
以上のように、着信制御装置100の呼び出し端末特定部107は、呼び出し端末テーブル1090の現在位置1093を登録し、また、呼び出し端末1094を登録する。
【0082】
図9のフローチャートを参照して、着信制御装置100が内線通信端末を呼び出して通話を開始するまでの動作を説明する。
【0083】
このフローチャートは着信制御装置100が、特定の電話番号(社員)宛の着信を受付けた時に、着信制御装置100の呼制御部110が内線呼び出し要求メッセージを受信し、呼び出し端末制御部111へ内線呼び出し要求メッセージの受信を通知するとこのフローチャートの動作を開始する。
【0084】
呼び出し端末制御部111は、通知された内線呼び出し内線呼び出し要求メッセージの内容を調査し、呼び出し先の電話番号を特定し、この電話番号を呼び出し端末記憶部109へ通知する。呼び出し端末記憶部109は、通知された電話番号を基に呼び出し端末テーブル1090を調査し(S501)、通知された電話番号に対応する電話番号1091の複数のレコード1095から、呼び出し端末1094に◎印がマーキングされているレコード1095を特定し、特定したレコード1095の呼び出し候補1092に登録されている通信端末名称を呼び出し端末制御部111へ返答し、呼び出し端末制御部111は、この通信端末名称を呼び出し方法判定部112へ通知する(S502)。呼び出し方法判定部112は、通信端末名称を基に、着信方法テーブル1130の呼び出し端末1131の内容を照合し調査すべきレコード1136を特定する(S503)。特定されたレコード1136の端末位置1132の登録内容を調査する(S504)。
【0085】
調査した端末位置1132の登録内容が「ANY」であったならば(S505:YES)、このレコードを着信方法を参照するレコードとして選択する(S506)。
【0086】
調査した端末位置1132の登録内容が「ANY」でなければ(S505:NO)、このレコードの時間帯1133を調査する(S507)。
【0087】
調査した時間帯1133の登録内容が「ALL」であったならば(S508:YES)、このレコードを着信方法を参照するレコードとして選択する(S509)。
【0088】
調査した時間帯1133の登録内容が「ALL」でなければ(S508:NO)、呼び出し方法判定部112は、スケジュール表1140を調査し、現在時刻に対応する「時間帯」を取得する(S510)。取得した「時間帯」を基に、時間帯1133の登録内容と取得した「時間帯」とが一致するレコードを着信方法を参照するレコードとして選択する(S511)。
【0089】
着信方法を参照するレコード1136が選択されたならば、呼び出し方法判定部112は、着信方法テーブル1130の選択されたレコードの着信方法1134の登録内容を調査し呼び出し端末制御部111へ報告する(S512)。
【0090】
着信方法1134の登録内容が「ポップアップ」であったならば(S513:YES)、呼び出し端末制御部111は、呼制御部110へ通知された電話番号に対する呼び出し端末と着信方法を報告し、呼制御部110は、通信制御部102を介して、チャット制御部115に対して呼び出し先端末へのチャット着信を指示し、チャット制御部115は、チャットサーバ530に対して指定の電話番号へのチャット着信通知を送信する(S514)。呼制御部110が、呼び出し先端末から応答を受信したならば、通信制御部102を介して、チャット制御部115に対して呼び出し先端末との片チャット通話指示し、発信側端末からの音声通話路をチャット制御部115へ接続し、チャット制御部115は音声とテキストデータの変換を開始し、片チャット通話を開始し(S515)このフローチャートの動作を終了する。
【0091】
着信方法1134の登録内容が「ポップアップ」でなければ(S513:NO)、呼び出し端末制御部111は、呼制御部110へ通知された電話番号に対する呼び出し端末と着信方法を報告し、呼制御部110は、呼び出し端末に対して着信鳴動による呼び出しを行う(S516)。呼制御部110が、呼び出し先端末から応答を受信したならば、呼び出し先端末と発信側端末との音声通話路を接続し、音声通話を開始し(S517)このフローチャートの動作を終了する。
【0092】
以上のように、着信制御装置100の呼制御部110は、着信方法テーブル1130の登録内容に基づき、対象の電話番号の最適な呼び出し端末を選択し、最適な着信方法により呼び出しを行い、最適な会話方法により通話を行う。
【0093】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。
【0094】
本実施の形態によって着信制御装置100は、電話番号(社員)への着信があった場合に、その電話番号の社員が利用する通信端末の現在位置や時間によって、最適な着信方法を自動的に選択して呼び出すことが可能となり、最適な会話方法でコミュニケーションをとることが可能となる。
【符号の説明】
【0095】
100…着信制御装置、101…LANインタフェース部、102…通信制御部、103…中継器情報管理部、104…中継器情報問合せ部、105…中継器応答受信部、106…中継器情報記憶部、107…呼び出し端末特定部、108…呼び出しパターン記憶部、109…呼び出し端末記憶部、110…呼制御部、111…呼び出し端末制御部、112…呼び出し方法判定部、113…着信方法記憶部、114…スケジュール記憶部、115…チャット制御部、200…電話端末、210…携帯端末、220…PC端末、400…中継器(HUB)、410…中継器(無線AP)、500…ネットワークシステム、510…構内LAN構成、520…ゲートウェイ(ルータ)、530…チャットサーバ、700…無線基地局、800…電話網、900…相手端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内線または外線を収容し着信先への複数の着信通知手段を備える着信制御装置であって、
前記内線に対応する通信端末が現在存在している位置を探索する通信端末位置探索手段と、
前記通信端末と予め定められた場所と着信通知手段およびまたは会話手段を関連付けて登録する着信通知手段登録部と、を有し、
前記内線のいずれかへの着信があった場合に、前記通信端末位置探索手段は当該内線に対応する通信端末が現在存在している位置を探索し、前記探索した位置が前記着信通知手段登録部に登録されているいずれかの場所と一致したならば、当該場所に関連付けられた着信通知手段およびまたは会話手段を選択することを特徴とする複数の着信通知手段を有する着信制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の着信制御装置において、
前記着信通知手段登録部は、場所または時間に応じて着信鳴動を禁止する着信通知手段を登録することを特徴とする複数の着信通知手段をさらに有する着信制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−120022(P2012−120022A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269261(P2010−269261)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】