説明

複数の装置の遠隔制御

遠隔制御装置105によって複数の装置150を制御するためのシステム及び方法が記載されている。前記遠隔制御装置105は、前記複数の装置150の各々に、それのパラメータの或る値による相対的な増大又は減少を実行するよう、同じコマンドのシーケンスを個々に送信する。前記遠隔制御装置105と前記装置150との間には双方向通信がある。前記装置150は、確認メッセージを前記遠隔制御装置105に送信することによって、コマンドの適切な受信を通知する。前記遠隔制御装置105は、装置150へのコマンドの送信を、前記装置150から確認メッセージを受信していない場合には繰り返す。このようにして、全ての制御される装置150が、同じコマンドを受信し、それらの制御される前記パラメータが同期している状態に保たれることが、保証される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔制御の分野に関し、より詳細には、或る範囲にわたってのパラメータの遠隔制御に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの制御アプリケーションは、一定の状態制御(オン/オフ)から、光強度(減光)、色、ボリュームなどのような有意な範囲を持つパラメータの連続的な制御を供給する値ベースのレベル制御に移ってきている。従来の一方通行の制御システムは、ほとんど一定のステップの相対制御を用いる、即ち、それらは、制御される装置に、パラメータの値を一定のステップで増大又は減少させるよう指示するコマンドを送信する。しかしながら、このような一定のステップの制御は、同時に制御される多数の装置の同期の制御を供給しない。前記同期は、例えば、伝送状態が悪い場合に、例えば、前記装置のうちの1つが、制御コマンドのうちの1つ以上を、他の装置が正しく受信している間に、正しく受信しない場合に、失われ得る。これが生じる場合、多数の制御される装置は、パラメータの最小値又は最大値に到達するときにしか同期を回復しない。
【0003】
この不利な点を解決するため、他の制御システムは、絶対値制御を用いる、即ち、制御される装置に、直ちに、制御動作のパラメータの期待終点が供給される。しかしながら、絶対制御は、例えば、多数の照明装置から成るシーンを減光することを困難にする。なぜなら、それらが、全て、シーンにはまれである同じレベルになければならないか、又は各装置が、パラメータの古い値に対し個々にポーリングされなければならず、且つコマンドが、古い値に基づかなければならないからである。これは、コマンドを送信するための広帯域幅低遅延ネットワークの使用を必要とし、遠隔制御装置は、制御される装置のパラメータ範囲を理解しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の装置の同期された相対値制御を可能にするシステム及び方法を提供することは有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この問題により良く対処するため、本発明の或る態様によれば、複数の装置を制御するための遠隔制御装置であって、
− 前記複数の装置の各々に同じコマンドのシーケンスを個々に送信するための送信機であって、前記シーケンスの前記コマンドの各々が、各々の装置に、前記各々の装置のパラメータの或る値による相対的な増大又は減少を実行するよう指示する送信機と、
− 前記コマンドを生成し、前記コマンドのシーケンスの前記送信を制御するための制御装置であって、装置へのコマンドの送信を、前記装置から確認メッセージを受信していない場合には繰り返すよう前記送信機を制御する制御装置とを有する遠隔制御装置を有するシステムが提供される。
【0006】
前記システムは、遠隔制御装置によって制御される複数の装置であって、前記装置の各々が、
− 前記装置に、前記装置のパラメータの或る値による相対的な増大又は減少を実行するよう指示するコマンドのシーケンスを、前記遠隔制御装置から受信するための受信機と、
− 送信機と、
− 前記シーケンスの前記コマンドの各々の値に従って、前記パラメータの前記相対的な増大又は減少の実行を制御し、コマンドを適切に受信している場合に前記送信機によって送信されるべき確認メッセージを生成するための制御装置とを有する複数の装置を更に有する。
【0007】
前記遠隔制御装置と前記装置との間の2地点間双方向通信の結果として、前記遠隔制御装置が前記装置の制御される前記パラメータの現在の値についての情報を持っている必要なしに、全てのアドレス指定された装置が同期している状態に保たれる。本発明によるシステムは、例えば、照明シーンの減光、カーテン又は日光ブラインド制御などのための、制御される装置間の同期が問題となるホーム・オートメーションのために有利に利用され得る。パラメータの相対的な制御は、前記遠隔制御装置と前記制御される装置との間の「抽象化」を供給する、即ち、前記遠隔制御装置は、それが制御するパラメータについての情報を持っている必要がない。その結果として、本発明によるシステムは、前記遠隔制御装置を適応させる必要なしに、容易に、新しいタイプの制御される装置に拡張可能である。
【0008】
更に、前記遠隔制御装置から複数の前記制御される装置に前記コマンドを送信するために用いられる伝送媒体の帯域幅及び待ち時間に関する要件は、個々のポーリングを用いる絶対値制御の場合ほど高くなく、前記コマンドを送信するために無線伝送媒体を用いることを可能にする。
【0009】
本発明の実施例によれば、前記遠隔制御装置の前記制御装置は、前記複数の装置の各々に対して、前記シーケンスのコマンドを、前記シーケンスの次のコマンドの送信を開始する前に送信するよう、前記送信機を制御する前記コマンドの送信後に前記装置のうちの1つ以上から確認応答を受信していない場合には、まず、前記コマンドがまだ送信されていない全ての装置に前記コマンドが送信され、その後、前記1つ以上の装置であって、前記1つ以上の装置の確認応答が受信されていない前記1つ以上の装置への前記コマンドの送信が繰り返される。その結果として、前記装置であって、前記装置から確認応答が受信される前記装置への前記コマンドの前記送信の待ち時間は、最小限にされる。
【0010】
本発明の他の実施例によれば、前記遠隔制御装置の前記制御装置は、前記複数の装置の各々に前記コマンドのシーケンスの1つ以上のコマンドを送信するのに必要とされる期間の関数として、前記コマンドによって指示される前記増大又は減少の値を制御する。この期間は、前記コマンドの送信のために用いられる前記伝送媒体の状態に依存する。伝送状態が悪い場合には、コマンドの反復送信がより頻繁に生じ、それ故、前記複数の装置の各々に前記1つ以上のコマンドを送信するのに必要とされる時間はより長くなるだろう。前記期間は、更に、制御される装置の総数に依存する。
【0011】
前記相対的な増大又は減少の値は、前記期間に比例し得る。それ故、前記期間が長い場合には、前記相対的な増大又は減少の値は大きく、前記期間が短い場合には、前記相対的な増大又は減少の値は小さい。その結果として、制御される前記パラメータの値は、前記複数の装置の各々に前記1つ以上のコマンドを送信するのに必要とされる期間とは無関係に、ほとんど所定の傾斜に従って、時間の関数として、増大又は減少する。それ故、前記制御は、相対的に、前記コマンドの送信のために用いられる伝送媒体の状態の変動、及び制御される装置の総数の影響を受けない。
【0012】
最初のコマンドの場合には、制御される全ての装置にコマンドを送信するのに必要とされる期間の入手可能な測定値がまだない。それ故、前記制御装置は、前記コマンドによって指示される前記相対的な増大又は減少の値を、伝送媒体であって、前記伝送媒体によって前記コマンドが送信されるだろう伝送媒体の状態(統計に基づく又は測定された現在の伝送状態)と、前記コマンドが送信されるだろう装置の総数とに基づいて、制御する。
【0013】
前記最初のコマンドの後のコマンドの場合には、前記制御装置は、好ましくは、前記相対的な増大又は減少の値を、モニタした、前記複数の装置に1つ以上の前のコマンドを送信するのに必要とした期間に基づいて、制御する。
【0014】
他の実施例によれば、最後のコマンドの場合には、前記制御装置は、前記相対的な増大又は減少を、所定の値、例えば零に設定する。このようにして、前記制御される装置は、制御動作が終わったことと、当分の間は、前記遠隔制御装置によって更なるコマンドが送信されることはないだろうこととを知る。
【0015】
更に他の実施例によれば、前記コマンドは、これが、例えばボタンを押すことによって、ユーザによって要求される限り、送信される。この結果は、前記ユーザによる自然な制御方法をもたらす。
【0016】
前記コマンドに従った前記相対的な増大又は減少の値が、しきい値より大きい場合には、前記制御される装置の制御装置は、前記相対的な増大又は減少を平滑化し得る。これによって、より大きな値のジャンプは、前記ユーザに対して隠される。
【0017】
更に他の実施例によれば、前記制御される装置の前記制御装置は、前記シーケンスの前記コマンドの各々の値とスケーリングファクタ(scaling factor)とに従って、前記相対的な増大又は減少の実行を制御する。これは、異なる値域を持つパラメータ(例えば、照明シーン及び日光ブラインド)の制御のために単一の遠隔制御装置を用いることを可能にする。
【0018】
本発明の他の態様によれば、遠隔制御装置によって複数の装置を制御するための方法であって、前記遠隔制御装置によって実施される以下のステップ、即ち、
− 前記複数の装置の各々へ同じコマンドのシーケンスを個々に送信させるステップであって、前記シーケンスの前記コマンドの各々が、各々の装置に、前記各々の装置のパラメータの或る値による相対的な増大又は減少を実行するよう指示するステップと、
− 装置へのコマンドの送信を、前記装置から確認メッセージを受信していない場合には繰り返すステップとを有する方法が、提供される。
【0019】
実施例によれば、前記方法は、前記複数の装置のうちの1つによって実施される以下のステップ、即ち、
− 前記装置に、前記装置のパラメータの或る値による相対的な増大又は減少を実行するよう指示するコマンドのシーケンスを、前記遠隔制御装置から受信するステップと、
− 前記シーケンスの前記コマンドの各々の値に従って、前記パラメータの前記相対的な増大又は減少の実行を制御するステップと、
− コマンドを適切に受信している場合に確認メッセージを送信するステップとを有する。
【0020】
好ましくは、本発明による方法は、コンピュータプログラムを用いて実施される。
【0021】
前記コンピュータプログラムは、コンピュータ可読媒体において実施されてもよく、又は担体媒体が、前記コンピュータプログラムを担持してもよい。
【0022】
下記の実施例を参照して、本発明のこれら及び他の態様を説明し、明らかにする。
【0023】
以下の図面を添付の明細書と共に参照することで、本発明は、より良く理解され、本発明の数多くの目的及び利点が、当業者にとってより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の例示的実施例による遠隔制御システムのブロック図を示す。
【図2】コマンドのパラメータの増大又は減少の値を設定するためのステップの、本発明の例示的実施例によるフローチャートを示す。
【図3】遠隔制御装置から制御される装置へコマンドを送信するためのステップの、本発明の例示的実施例によるフローチャートを示す。
【図4】2つの異なる状況のための、本発明の例示的実施例による、時間の関数として制御されるパラメータの値を示す。
【図5】本発明の他の例示的実施例による、時間の関数として制御されるパラメータの値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図の全体を通して、同様の参照符号は、同様の要素を指す。
【0026】
図1は、本発明の例示的実施例によるシステム100のブロック図を示している。前記システムは、制御装置110、好ましくは、適切なコンピュータプログラムがロードされる関連メモリを備えるプロセッサと、無線送信機115と、無線受信機120と、キーなどのユーザ入力手段125と、LED又はディスプレイであり得るユーザ出力手段130とを有する遠隔制御装置105を有する。前記システムは、複数の制御される装置150を更に有する。前記複数の制御される装置150は、この明細においては、更に、アクチュエータと呼ばれる。前記複数の制御される装置150のうちの1つしか示されていない。アクチュエータ150は、各々、制御装置155、好ましくは、適切なコンピュータプログラムがロードされる関連メモリを備えるプロセッサと、無線受信機160と、パラメータの調節を実行するための手段165と、無線送信機170とを有する。手段165は、例えば、照明装置を減光するための回路、カーテン又は日光ブラインドを動かすためのエンジンなどを含む。
【0027】
遠隔制御装置及びアクチュエータの無線送信機及び無線受信機は、例えば868MHz帯の、無線リンクによって双方向に通信する。
【0028】
図2は、パラメータを増大又は減少の値を決定する例示的な方法を示している。値は、制御されるアクチュエータの各々に送信されるコマンドに挿入される。ユーザパラメータ制御イベントが発生すると、例えば、ユーザによってボタンが押されると(ステップ200)、あり得る繰り返しを含む、制御されるアクチュエータの各々にコマンドを送信するための予想期間が推定される。前のコマンドを全てのアクチュエータに送信するのに必要とした期間の入手可能な測定値がないことから、期間は、通信すべきアクチュエータの総数、及び/又は最新の既知のこれらのアクチュエータへの伝送状態に基づいて予測される。予測期間に基づいて、増大又は減少の初期値(ステップサイズ)が計算される(ステップ220)。この値を備えるコマンドが、全ての制御されるアクチュエータに送信される(ステップ230)。
【0029】
図3においては、全てのアドレス指定されたアクチュエータへの単一のコマンドの送信が、詳細に示されている。ユーザパラメータ制御イベントが発生すると(ステップ300)、最初の送信シーケンスが実行される(ステージ305)。まず、リトライ・カウンタが、クリアされる(ステップ310)。伝送媒体が空いているかどうかを評価した後(ステップ310)、アクチュエータのリスト内の最初のアクチュエータにコマンドが送信される(ステップ320)。コマンドがアクチュエータによって確認されているかどうかがチェックされる(ステップ325)。そうでない場合には、アドレス指定されたアクチュエータのリスト内に、コマンドがまだ送信されていない何らかのアクチュエータが残されているかどうかが決定される(ステップ130)。コマンドが確認されている場合には、アクチュエータに対するコマンド送信が、確認されているとマークされ(ステップ330)、フローは、ステップ335へジャンプする。アドレス指定されたアクチュエータのリスト内に、コマンドがまだ送信されていない何らかのアクチュエータが残されている場合には、リスト内の次のアクチュエータが選択され、ステップ315、320、325、330及び335が繰り返される。リスト内の全てのアクチュエータにコマンドが送信されるまで、これが続く。
【0030】
ここで、反復送信シーケンスが開始される(ステージ337)。まず、確認されているとマークされていない、リスト内の何らかのアクチュエータがあるかどうかがチェックされる(ステップ340)。そうでない場合には、制御フローは終了される(ステップ385)。確認されているとマークされていないアクチュエータが残されている場合には、リトライ・カウンタがインクリメントされる(ステップ345)。伝送媒体が空いているかどうかを評価した後(ステップ350)、確認されているとマークされていないアクチュエータのリスト内の最初のアクチュエータにコマンドが送信される(ステップ355)。コマンドがアクチュエータによって確認されているかどうかがチェックされる(ステップ360)。そうでない場合には、アドレス指定されたアクチュエータのリスト内に、コマンドがまだ送信されていない、確認されているとマークされていない何らかのアクチュエータが残されているかどうかが決定される(ステップ370)。コマンドが確認されている場合には、アクチュエータに対するコマンド送信が、確認されているとマークされ(ステップ365)、フローは、ステップ370へジャンプする。アドレス指定されたアクチュエータのリスト内に、コマンドがまだ送信されていない、確認されているとマークされていない何らかのアクチュエータが残されている場合には、リスト内の確認されているとマークされていない次のアクチュエータが選択され、ステップ350、355、360、365及び370が繰り返される。リスト内の全ての確認されているとマークされていないアクチュエータにコマンドが再送信されるまで、これが続く。
【0031】
次いで、確認されているとマークされていない何らかのアクチュエータがまだ残されているかどうかが決定される(ステップ375)。そうでない場合には、制御フローが終了される(ステップ385)。確認されているとマークされていないアクチュエータが残されている場合には、リトライ・カウンタの値がリトライの最大数より小さいかどうかが決定される(ステップ380)。そうである場合には、フロー・ループはステップ345に戻る。リトライの最大数に到達している場合には、フローはエラーで中止される(ステップ385)。
【0032】
ここで、再び図2を参照すると、全てのアドレス指定されたアクチュエータへの最初のコマンドの送信の完了後(ステップ230)、ユーザによって始められたアクチュエータのパラメータ調節が継続すべきかどうかが決定される(ステップ240)。例えば、ユーザがボタンを押し続けていることから、そうである場合には、実時間が、ステップ210において計算された予測時間と比較される(ステップ250)。それに基づき、且つ(図4を参照してより詳細に説明する)制御されるパラメータの目標傾斜に基づいて、次のコマンドに挿入されるべき値(ステップサイズ)が計算される(ステップ260)。実時間が予測時間より大きい場合には、ステップサイズが増大される。実時間が予測時間より小さい場合には、ステップサイズが減少される。全ての制御されるアクチュエータに次のコマンドが送信される(ステップ230)。
【0033】
計算のために、予測時間を直接使用し、実時間と予測時間との間の差を使用しない、次のコマンドのステップサイズを決定する他の方法は、当業者には容易に思い当たる。
【0034】
例えば、ユーザがボタンを押すのをやめていることから、ユーザによって始められたアクチュエータのパラメータ調節が継続すべきでない場合には、制御終了のために最後のステップサイズが設定される(ステップ270)。このステップサイズは、アクチュエータが、この制御動作のためのこれ以上のコマンドはないだろうことを知るように、所定の値、例えば零を持つ。このステップサイズを持つコマンドが、全ての制御されるアクチュエータに送信される(ステップ280)。
【0035】
図2及び3に示されている機能は、好ましくは、プロセッサ110の関連メモリにロードされる適切なコンピュータプログラムによって実施される。
【0036】
各アクチュエータのプロセッサ155は、遠隔制御装置105から或るステップサイズを持つコマンドを受信すると、送信機170によって遠隔制御装置に送信し返される確認メッセージを生成する。更に、プロセッサは、制御されるパラメータの調節がコマンドのステップサイズに従って実行されるように手段165を制御する。
【0037】
アクチュエータの制御されるパラメータの調節速度は、制御されるパラメータの値Pを時間tの関数として示している図4に示されているように、正規化され得る。制御されるアクチュエータの総数が限定されており、且つ伝送状態が良い場合は、あり得る反復送信を含む、コマンドを全ての制御されるアクチュエータに送信するために必要とされる期間は、相対的に短い。これは、小さなステップでの多くの調節をもたらす(曲線410)。制御されるアクチュエータのグループがより大きい、且つ/又は(多くの反復送信をもたらす)伝送状態が悪い状態では、コマンドを全ての制御されるアクチュエータに送信するために必要とされる期間は、相対的に長い。これは、より粗いステップでのより少ない調節をもたらす(曲線420)。しかしながら、曲線410、420の両方とも、パラメータの正規化された調節速度を表わす傾斜の経路430をほぼたどる。それ故、調節速度は、極端な状況下を除き、ほぼ一定のままである。
【0038】
ステップサイズは、コマンドを全ての制御されるアクチュエータに送信するために必要とされる期間に、正規化された調節速度を乗算したものと等しい。
【0039】
全ての制御されるアクチュエータは、同じコマンドを受信する。これは、異なるアクチュエータに対しては伝送状態が異なる場合でも、出力においてそれらを同期された状態に保つ。例えば、日光ブラインド又は調光器にとっては、この同期動作が重要である。
【0040】
制御されるパラメータの範囲の上限及び下限が既知であることから、下限から上限への所望の総遷移時間を得るために、スケーリングが利用され得る。0x20乃至0xFFの範囲を持つ調光器の例を見てみる。それは、224ユニットの全範囲を持つ。正規化された速度が50ユニット/秒である場合には、スケーリングなしのアクチュエータの全範囲にわたる遷移時間は、約4.5秒だろう。しかしながら、アクチュエータにおいてスケーリングを利用することによって、たとえどんな機器(例えば、調光器、カーテン制御装置など)のアクチュエータが制御していても、あらゆる遷移時間及びあらゆる所望の範囲が選択され得る。
【0041】
調光器のような、大きなグループにおいて動作するよう設計されるアクチュエータの場合は、ステップサイズは、大きくなり、ユーザにはっきり見えるようになり得る。この問題は、正規化された調節速度430より速い又は等しいランプ速度(ramping speed)を用いて(所定のしきい値より大きい)著しく大きいステップサイズを和らげるよう平滑化することによって、部分的に解決され得る。平滑化の効果は、図5において、平滑化なしのパラメータ調節に対応する曲線510及び平滑化ありのパラメータ調節に対応する曲線520で示されている。
【0042】
平滑化は、制御されるパラメータの調節における周期的な中止を依然としてもたらし得るが、より大きな値のジャンプをユーザに対して隠す。
【0043】
アクチュエータの総数が非常に多い、且つ/又伝送状態が非常に悪いなどの、極端な状況下では、ステップサイズが容認できないほど大きくなることがあり得る。それ故、最大ステップサイズを、或る値、例えば、単一のコマンドを全ての制御されるアクチュエータに送信するための0.5秒の期間に対応する値までに制限することが好ましい。
【0044】
2つの制御装置によって同時に同じアクチュエータ値を制御することは、両方の制御装置によって値が同じ方向に調節される場合には、2倍の制御速度をもたらすかもしれず、又はこれらの制御装置が値を反対方向に調節する場合には、制御ストリームのおおよその相殺をもたらすかもしれない。このような挙動は容認できないアプリケーションの場合は、これを回避するための予防策がとられるべきである。例えば、制御装置によって送信されるコマンドに、識別子フィールドが設けられてもよく、又はアクチュエータが、或る遠隔制御装置による制御動作の開始後には、制御動作が完了されるまで、他の遠隔制御装置からのコマンドを無視するよう構成されてもよい。
【0045】
ここで上に記載されているアクチュエータの機能は、好ましくは、プロセッサ155の関連メモリにロードされる適切なコンピュータプログラムによって実施される。
【0046】
本発明を、図面において図示し、上記の説明において詳細に説明しているが、このような図及び説明は、説明的なもの又は例示的なものとみなされるべきであって、限定するものとみなされるべきではない。本発明は、開示されている実施例に限定されない。
【0047】
この点において、遠隔制御装置とアクチュエータとの間の通信には、無線リンク、無線周波数ネットワーク、バス、有線ネットワークなどのようなあらゆる適切な伝送媒体が用いられ得ることに注意されたい。
【0048】
請求項に記載の発明を実施する当業者は、図面、明細及び添付の請求項の研究から、開示されている実施例に対する他の変形を、理解し、達成し得る。請求項において、「有する」という用語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数の存在を除外しない。請求項において列挙されている幾つかのアイテムの機能を単一のプロセッサ又は他のユニットが実現してもよい。特定の手段が、相互に異なる従属請求項において引用されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利になるように使用されることができないと示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又はそれの一部として供給される光記憶媒体又は固体媒体などの適切な媒体に記憶/分散されてもよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線電気通信システムなどを介して、他の形態で分散されてもよい。請求項におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されてはならない。
【0049】
本発明は、以下のように、即ち、遠隔制御装置によって複数の装置を制御するためのシステム及び方法と要約され得る。遠隔制御装置は、複数の装置の各々に、それのパラメータの或る値による相対的な増大又は減少を実行するよう、同じコマンドのシーケンスを個々に送信する。異なる制御される装置を互いと同期している状態に保つために、遠隔制御装置と装置との間には双方向通信がある。装置は、確認メッセージを遠隔制御装置に送信することによって、コマンドの適切な受信を通知する。遠隔制御装置は、装置へのコマンドの送信を、装置から確認メッセージを受信していない場合には繰り返す。このようにして、全ての制御される装置が、同じコマンドを受信し、同期している状態に保たれることが、保証される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の装置を制御するための遠隔制御装置であって、
前記複数の装置の各々に同じコマンドのシーケンスを個々に送信するための送信機であって、前記シーケンスの前記コマンドの各々が、各々の装置に、前記各々の装置のパラメータの或る値による相対的な増大又は減少を実行するよう指示する送信機と、
前記コマンドを生成し、前記コマンドのシーケンスの前記送信を制御するための制御装置であって、装置へのコマンドの送信を、前記装置から確認メッセージを受信していない場合には繰り返すよう前記送信機を制御する制御装置とを有する遠隔制御装置。
【請求項2】
前記制御装置が、前記複数の装置の各々に対して、前記シーケンスのコマンドを、前記シーケンスの次のコマンドの送信を開始する前に送信し、前記コマンドの送信後、1つ以上の装置から前記確認メッセージを受信していない場合には、まず、前記コマンドがまだ送信されていない全ての装置に前記コマンドを送信し、その後、前記1つ以上の装置であって、前記1つ以上の装置からの確認メッセージが受信されていない前記1つ以上の装置への前記コマンドの送信を繰り返すよう前記送信機を制御する請求項1に記載の遠隔制御装置。
【請求項3】
前記制御装置が、前記複数の装置の各々に前記コマンドのシーケンスの1つ以上のコマンドを送信するのに必要とされる期間の関数として、前記コマンドによって指示される前記増大又は減少の値を制御する請求項1に記載の遠隔制御装置。
【請求項4】
前記相対的な増大又は減少の値が、前記期間に比例する請求項3に記載の遠隔制御装置。
【請求項5】
前記制御装置が、最初のコマンドのためには、前記コマンドによって指示される前記相対的な増大又は減少の値を、伝送媒体であって、前記伝送媒体によって前記コマンドが送信されるだろう伝送媒体の状態と、前記コマンドが送信されるだろう装置の総数とに基づいて、制御する請求項3に記載の遠隔制御装置。
【請求項6】
前記制御装置が、前記最初のコマンドの後のコマンドのためには、前記相対的な増大又は減少の値を、モニタした、前記複数の装置に1つ以上の前のコマンドを送信するのに必要とした期間に基づいて、制御する請求項3に記載の遠隔制御装置。
【請求項7】
前記制御装置が、最後のコマンドのためには、前記相対的な増大又は減少を、所定の値に設定する請求項1に記載の遠隔制御装置。
【請求項8】
前記コマンドが、これがユーザによって要求される限り、送信される請求項1に記載の遠隔制御装置。
【請求項9】
請求項1に記載の遠隔制御装置と、前記遠隔制御装置によって制御される複数の装置とを有するシステムであって、前記装置が、
前記装置に、前記装置のパラメータの或る値による相対的な増大又は減少を実行するよう指示するコマンドのシーケンスを、前記遠隔制御装置から受信するための受信機と、
送信機と、
前記シーケンスの前記コマンドの各々の値に従って、前記パラメータの前記相対的な増大又は減少の実行を制御し、コマンドを適切に受信している場合に前記送信機によって送信されるべき確認メッセージを生成するための制御装置とを有するシステム。
【請求項10】
前記コマンドに従った前記相対的な増大又は減少の値が、しきい値より大きい場合には、前記制御装置が、前記相対的な増大又は減少を平滑化する請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記制御装置が、前記シーケンスの前記コマンドの各々の値とスケーリングファクタとに従って、前記相対的な増大又は減少の実行を制御する請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
遠隔制御装置によって複数の装置を制御するための方法であって、前記遠隔制御装置によって実施される以下のステップ、即ち、
前記複数の装置の各々へ同じコマンドのシーケンスを個々に送信させるステップであって、前記シーケンスの前記コマンドの各々が、各々の装置に、前記各々の装置のパラメータの或る値による相対的な増大又は減少を実行するよう指示するステップと、
装置へのコマンドの送信を、前記装置から確認メッセージを受信していない場合には繰り返すステップとを有する方法。
【請求項13】
前記複数の装置のうちの1つによって実施される以下のステップ、即ち、
前記装置に、前記装置のパラメータの或る値による相対的な増大又は減少を実行するよう指示するコマンドのシーケンスを、前記遠隔制御装置から受信するステップと、前記シーケンスの前記コマンドの各々の値に従って、前記パラメータの前記相対的な増大又は減少の実行を制御するステップと、
コマンドを適切に受信している場合に確認メッセージを送信するステップとを有する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
コンピュータプログラムであって、前記プログラムがコンピュータにおいて走らされる場合に請求項12又は13に記載のステップを実施するよう適合されるコンピュータプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−503538(P2013−503538A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526159(P2012−526159)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際出願番号】PCT/IB2010/053747
【国際公開番号】WO2011/024106
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】