説明

複数のLEDを有する照明装置

光発生装置20は、変化する大きさのDC入力電圧Vinを受ける入力端と、制御可能な電流源40と、複数の制御可能なスイッチS1〜SNを有するスイッチマトリクス30と、該スイッチマトリクス30の出力端子に接続されたn個のLED D1,D2…Dnと、上記DC入力電圧Vinの瞬時値に応じて上記スイッチを制御すると共に上記電流源により発生される電流を制御するコントローラ50とを有する。該コントローラは、少なくとも3つの異なる制御状態で動作することができる。第1制御状態において、全てのLEDは並列に接続される。第2制御状態において、全てのLEDは直列に接続される。第3制御状態において、前記LEDのうちの少なくとも2つは並列に接続される一方、前記LEDのうちの少なくとも2つは直列に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは、複数のLEDを有する照明装置に関する。本発明は、特には、自動車に使用するための、尾灯、ブレーキランプ又は方向指示灯を形成するのに適した装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照明目的でLEDを使用することが広く知られている。LEDに関する問題は、電源である。例えば、自動車における電源は、自動車用バッテリにより供給され、典型的には、6V又は12V又は24Vのオーダの電圧を供給する。LEDが光を発生するには、LEDを介して一方向に(陽極から陰極へ)電流を通過させることを要し、反対方向への電流の流れは阻止される。正しい方向を持つ電流により駆動された場合、当該LEDには電圧降下が生じ、該電圧降下はLED電流とは実質的に無関係である。許容範囲内において、LED電流は変化させることができ、この電流に光出力は実質的に比例する。1つのLEDが発生することができるものより多い光を発生させたい場合、複数のLEDを組み合わせることができる。LEDは直列接続に配置することができ、この配置は同一の電流に対して一層高い電圧降下を必要とする。又は、LEDは並列接続で配置することができ、この配置は同一の電圧降下に対して一層多くの電流を必要とする。このように、電源の費用は増加する。直列接続と並列接続との組み合わせも可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
複数のLEDに給電する相対的に簡単且つ安価な方法は、全LEDを直列に接続すると共に、この列(string)を、電流制限抵抗を直列に有して、バッテリに接続することである。LED又は複数のLEDの列を自動車用バッテリから直接的に給電する場合の問題は、供給電圧が時間に伴い大幅に変化し得るということである。図1は、供給電圧とLED電流との間の関係を示すグラフである。水平の点線11は、複数のLEDの列にまたがる所要の電圧降下(順方向電圧としても示される)を表している。曲線12は、バッテリ電圧を表す。水平軸は時間を表すと仮定する。期間Aにおいて当該自動車のエンジンはオフ状態であり、バッテリ電圧は通常値であり、上記所要の電圧降下よりも高いと仮定する。この場合、LEDは電流(曲線13)を通過させ、光が発生される。供給電圧と電圧降下との間の差は、前記直列抵抗により調整され、該抵抗における消散によるエネルギの損失を伴う。期間Bにおいて、当該自動車のエンジンが起動され、バッテリ電圧は低下して、前記所要の電圧降下よりも低くなると仮定する。この場合、当該LEDは電流を通過させることはできず、光を発生させることはできない。期間Cにおいて、当該エンジンは動作中であり、バッテリ電圧は通常値より高くなると仮定する。この場合、上記直列抵抗は一層大きな電圧を調整する必要があり、かくして、該抵抗において消散される電力は増加する。
【0004】
本発明の目的は、上述した課題に対する解決策を提供することである。
【0005】
ドイツ国特許出願公開第10.2006.024607号は、DC電源から給電される、直列に接続された複数のLEDの2つの列及び3つの制御可能なスイッチを有する回路を開示しており、該DC電源の実際の電圧は環境に応じて変化し得る。該電源電圧は測定され、閾値と比較される。電源電圧が閾値より高い場合、上記スイッチは、上記2つの列が直列に接続されるように制御される。電源電圧が閾値より低い場合、上記スイッチは、上記2つの列が並列に接続されるように制御される。当該LEDにおける電流が上記列が直列に又は並列に接続されるかに無関係に一定に留まることを保証するために、各列は当該列に直列に接続された専用の電流源を有さなければならない。更に、この既知の回路は2つの可能性のある構成しか有さない。
【0006】
従って、本発明の目的は、前記従来技術を更に改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、本発明は、少なくとも3つの状態のうちの何れかに切り換えられることが可能な制御可能なスイッチにより一緒に結合される少なくとも3つの群のLEDのシステムを提供し、上記3つの状態のうち、
第1状態においては、全ての群が直列に接続され、
第2状態においては、全ての群が並列に接続され、
第3状態においては、少なくとも2つの群が直列に接続されると共に、少なくとも2つの群が並列に接続される。
【0008】
第2態様において、上記システムは、全てのLEDに対して、制御可能な電流源を共通に有する。該電流源の電流設定は、個々のLEDの電流を実質的に一定に保つ等のために、前記スイッチの状態に関連して変更される。
【0009】
更に有利な熟慮例は、従属請求項に記載されている。
【0010】
ドイツ国特許出願公開第10.2007.006438号が、複数の列のLEDを有する回路であって、2つの直列のLEDを備える一層多くの列から、より多くの直列のLEDを備える一層少ない列へ変更するためのスイッチを備える回路を開示していることに注意されたい。しかしながら、この文献の提案においては、各列に対して常に1つの電流源が存在するのに対し、本発明の提案においては、1つの共通の電流源しか存在しない。更に、スイッチング状態に依存して、LEDと直列のスイッチの数は、異なる列の間において変化し得、これは、各スイッチが或る電圧降下を有し、従ってLEDの間の電流の分布は、LEDと直列のスイッチの数が変化すると変化するので不利である。
【0011】
本発明は、これらの欠点を克服することも目的とする。
【0012】
本発明の上記及び他の態様、フィーチャ並びに利点を、図面を参照する1以上の好ましい実施例の下記記載により更に説明するが、これら図面において同一の符号は同一又は同様の部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、従来の技術による解決策の供給電圧とLED電流との間の関係を示すグラフである。
【図2】図2は、本発明による照明装置を概略図示するブロック図である。
【図3】図3は、スイッチマトリクスのブロック図である。
【図4A】図4Aは、或るスイッチ状態を示す。
【図4B】図4Bは、他のスイッチ状態を示す。
【図4C】図4Cは、他のスイッチ状態を示す。
【図4D】図4Dは、他のスイッチ状態を示す。
【図5】図5は、本発明による照明装置の動作を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図2は、本発明による照明装置20を概略図示するブロック図である。該装置20は、12VDCを供給する自動車用バッテリ22(又は、実際には、該バッテリに接続された電源バス)に接続するための入力端21を有している。
【0015】
D1、D2、…Dnは、LEDの各群を示している。各群は、1つのLEDのみからなることができる。また、各群は直列及び/又は並列に接続された複数のLEDを有することもできる。各群は相互に同一であることが好ましいが、これは必須ではない。簡略化のために、以下では、各群は単一のLEDと同一であるかのように説明される。
【0016】
LED D1、D2、…Dnは、スイッチマトリクス30の出力端子A1及びK1、A2及びK2、…An及びKnに接続された端子を有し、該スイッチマトリクスは後述するように複数の、即ちN個のスイッチS1〜SNを有している。スイッチマトリクス30は、前記バスのDC電圧を入力するための、前記入力端21に結合された入力端31を有している。
【0017】
装置20は、スイッチマトリクス30に直列に結合された制御可能な電流源40を更に有している。
【0018】
装置20は、前記バスのDC電圧を入力するための、前記入力端21に結合された入力端51を有するコントローラ50を更に有している。該コントローラ50は、スイッチマトリクス30の制御入力端35に結合された第1出力端53を有し、該スイッチマトリクス30におけるスイッチの構成を後述するように制御する。コントローラ50は、前記制御可能な電流源40の制御入力端45に、電流の大きさを制御するために結合された第2出力端54を有している。当業者にとっては明らかなように、上記の個々のスイッチは個々の制御端子を各々有し、第1出力端53は、実際には、各々が上記スイッチの各々の制御端子に結合された複数の出力端子(図示略)を有することに注意されたい。このように、コントローラ50は、上記スイッチマトリクスにおける個々のスイッチの状態を個別に制御することができる。
【0019】
図3は、4つのLED D1,D2,D3,D4を有する装置20の一実施例に対するスイッチマトリクス30の可能性のある実施例のブロック図である。明瞭化のために、これらのLEDも図3に示されている。この実施例において、スイッチマトリクス30は9個の制御可能なスイッチS1〜S9を有している。各スイッチはバイポーラトランジスタ、FET等として実施化することができるが、スイッチをリレーとして実施化することもできる。このようなスイッチ自体は既知であるので、ここでは詳細な説明は必要でないであろう。各スイッチはコントローラ50により個別にアドレス指定される個別の制御端子を有するであろうが、これらの個別の制御端子及びコントローラ50に接続する対応する制御ラインは簡略化のために図示されていないことに注意されたい。
【0020】
LED D1〜D4の陽極に接続するための陽極端子は、A1〜A4に各々示されている。LED D1〜D4の陰極に接続するための陰極端子は、K1〜K4に各々示されている。入力端31で入力される電圧が正であると仮定する場合、該電圧入力端子31は第1陽極端子A1に接続される。第1スイッチS1は、第1陽極端子A1と第2陽極端子A2との間に接続される。
【0021】
第2スイッチS2は、第1陰極端子K1と第2陽極端子A2との間に接続される。
【0022】
第3スイッチS3は、第1陰極端子K1と第2陰極端子K2との間に接続される。
【0023】
第4スイッチS4は、第2陽極端子A2と第3陽極端子A3との間に接続される。
【0024】
第5スイッチS5は、第2陰極端子K2と第3陽極端子A3との間に接続される。
【0025】
第6スイッチS6は、第2陰極端子K2と第3陰極端子K3との間に接続される。
【0026】
第7スイッチS7は、第3陽極端子A3と第4陽極端子A4との間に接続される。
【0027】
第8スイッチS8は、第3陰極端子K3と第4陽極端子A4との間に接続される。
【0028】
第9スイッチS9は、第3陰極端子K3と第4陰極端子K4との間に接続される。
【0029】
電流源40に接続する電流入力端子34は、第4陰極端子K4に接続される。
【0030】
以下においては、スイッチは導通状態にある場合に"閉"として示され、非導通状態にある場合に"開"として示される。
【0031】
コントローラ50は、少なくとも4つの異なる制御状態で動作することができる。第1制御状態において、コントローラ50はスイッチS1〜S9に対し、スイッチS1、S4、S7、S3、S6、S9が閉じられ、スイッチS2、S5、S8が開かれるように制御信号を発生する。この状態においては、全てのLEDは図4Aに示されるように並列に接続される。各LEDに対して、端子31から端子34への電流経路を考えることができる。即ち、このような各電流経路は、常に、直列の3つの閉じたスイッチを含むことが容易に分かる。
【0032】
第2制御状態において、コントローラ50はスイッチS1〜S9に対し、スイッチS1、S3、S5、S7、S9が閉じられ、スイッチS2、S4、S6、S8が開かれるように制御信号を発生する。この状態においては、図4Bに示されるように、LED D1及びD2が並列に接続され、LED D3及びD4が並列に接続され、これら並列接続が直列に接続される。この場合も、各LEDに対して、端子31から端子34への対応する電流経路が、常に、直列の3つの閉じたスイッチを含むことが容易に分かる。
【0033】
第3制御状態において、コントローラ50はスイッチS1〜S9に対し、スイッチS2、S5、S9が閉じられ、スイッチS1、S3、S4、S6、S8が開かれるように制御信号を発生する。この状態においては、図4Cに示されるように、LED D1、D2、D3が直列に接続される。D4に関しては、2つの可能な変形例が存在する。第1変形例においては、図4Cに示されるようにS7は開状態である。この変形例では、3つのLED D1、D2、D3全てが同一の電流を受け、従って全てが結果的に同じ量の光を放出する。一方、第4のLED D4は如何なる電力も受けない。第2変形例では、図4CにおいてD3及びD4の陽極の間に点線により示されるように、S7が閉じられ、従って、D3及びD4は並列に接続される。この第2の変形例では、全てのLEDが光を放出するが、LED D3及びD4は、D1及びD2と比較して各々半分の電流を受け、従って、D1及びD2が放出するものの約半分の光を放出する。しかしながら、上記第2変形例は、当該LEDが所謂垂下効果(droop effect)を被る(これは、光出力が電流に比例するよりも少ないことを意味する)場合に、改善された全体の光出力を生じ得ることに注意されたい。
【0034】
勿論、もっと多くの変形例が存在する。S2、S6、S8を閉じ、S1、S3、S4、S5、S7、S9を開くことにより、D1、D2、D4が直列に接続されると共にオプションとしてS4を閉じることによりD3がD2に並列に結合されるようにするか、又はS2、S5、S7を閉じ、S1、S3、S4、S6、S8、S9を開くことにより、D1、D2、D4が直列に接続されると共にオプションとしてS9を閉じることによりD3がD4に並列に結合されるようにすることも可能である。また、S3、S5、S8を閉じ、S1、S2、S4、S6、S7、S9を開くことにより、D1、D3、D4が直列に接続されると共にオプションとしてS1を閉じることによりD2がD1に並列に結合されるようにするか、又はS2、S4、S8を閉じ、S1、S3、S5、S6、S7、S9を開くことにより、D1、D3、D4が直列に接続されると共にオプションとしてS6を閉じることによりD2がD3に並列に結合されるようにすることもできる。また、S1、S5、S8を閉じ、S2、S3、S4、S6、S7、S9を開くことにより、D2、D3、D4が直列に接続されると共にオプションとしてS3を閉じることによりD1がD2に並列に結合されるようにすることもできる。LEDのアレイが見るものに対し均一に点っているように見えるのが好ましい場合、前記コントローラが、一定の順序又はランダムな順序の何れかで上記のような変形例を高速で入れ換えることも可能である。
【0035】
ここでも、これら変形例の全てに関し、各LEDに対して、端子31から端子34への対応する電流経路が、常に、直列の3つの閉じたスイッチを含むことが容易に分かる。
【0036】
第4制御状態において、コントローラ50はスイッチS1〜S9に対し、スイッチS2、S5、S8が閉じられ、スイッチS1、S4、S7、S3、S6、S9が開かれるように制御信号を発生する。この状態においては、図4Dに示されるように、全てのLEDが直列に接続される。この場合も、端子31から端子34への電流経路が、常に、直列の3つの閉じたスイッチを含むことが容易に分かる。
【0037】
所望なら、前記コントローラは、全てのスイッチが開かれ、従って全LEDがオフとなるような第5の制御状態で動作することができることも可能であるが、このような効果を、例えばスイッチS1、S2、S3を開かせることにより達成することも可能である(この場合、残りのスイッチの状態は重要ではない)。
【0038】
コントローラ50の動作を説明するために、図5を参照するが、該図は当該システムの挙動をスイッチマトリクス30の電圧入力端31で入力される電圧Vinの関数として示すグラフである。以下の説明においては、コントローラ50は電圧入力端51において同じ電圧Vinを受けるものと仮定されるが、該コントローラ50がVinに比例する測定電圧Vmを受ける場合も自明な修正を伴う同様の説明が当てはまる。このような測定電圧はVinより高くてもよいが、該測定電圧はVinより低いことが好ましく、Vm=μ・Vin(但し、0<μ<1)と表すことができる。更に、全てのLEDは、Vfとして示される同一の順方向電圧を有するものと仮定される。
【0039】
Vinが相対的に低く、特にはVfより低い、即ち如何なるLEDを駆動するにも低すぎる、と仮定する。LEDの個々の許容誤差が不規則な挙動を生じさせないことを保証するために、コントローラ50は、例えば全てのスイッチS1〜S9が開状態であることにより、全てのLEDがオフ状態であるような基底状態にあることが好ましい。
【0040】
コントローラ50にはメモリ60が設けられ、該メモリは4つの閾レベルU1、U2、U3、U4を定める情報を含んでいる。第1閾レベルU1は、1つのLEDを駆動するために要する電圧に対応する。この電圧は、例えば当該LEDのうちの何れかに常に直列に接続される3つのスイッチにまたがる電圧降下及び当該電流を測定するためのシャント抵抗(図示略)の間の電圧降下も含む故に、典型的にはVfよりも高いことに注意されたい。同様にして、第2閾電圧U2は2つの直列のLEDを駆動するために要する電圧に対応し、該電圧は典型的には2・Vfよりも幾らか高い。同様にして、第3閾電圧U3は3つの直列のLEDを駆動するために要する電圧に対応し、該電圧は典型的には3・Vfよりも幾らか高い。同様にして、第4閾電圧U4は4つの直列のLEDを駆動するために要する電圧に対応し、該電圧は典型的には4・Vfよりも幾らか高い。一般的に、i番目の閾電圧Uiは、
Ui=i・Vf+γ (1)
と近似することができ、ここで、i=1〜nであり、nはLED群の数を示し、γはγ=3α+β+δと近似することができる定数であり、αはスイッチにまたがる電圧降下であり、βはシャント抵抗にまたがる電圧降下であり、δは制御状態に留まるために前記電流源により必要とされる最小電圧降下を表す。尚、メモリ60はVf及びα及びβ及びδのみを含み、前記コントローラがUiを計算することができるようにすることもできることに注意されたい。更に、γは、上述した説明から当業者によれば明らかであるように、前記スイッチマトリクスの実際の構成に依存すると共に、制御状態にさえも依存し得ることに注意されたい。
【0041】
コントローラ50は、Vinを上記閾レベルUiと比較する。Vin>U1の場合、当該電圧は少なくとも1つのLEDを駆動するのに充分なだけ高い。Vin>U2の場合、当該電圧は少なくとも2つの直列のLEDを駆動するのに充分なだけ高い。Vin>U3の場合、当該電圧は少なくとも3つの直列のLEDを駆動するのに充分なだけ高い。Vin>U4の場合、当該電圧は少なくとも4つの直列のLEDを駆動するのに充分なだけ高い。一般的に、Vin>Uiの場合、当該電圧は少なくともi個の直列のLEDを駆動するのに充分なだけ高い。
【0042】
上記コントローラがU1≦Vin<U2である(t〜tの場合である)ことを見出した場合、該コントローラは、図4Aに示されたように、全てのLEDを並列に切り換えるように第1制御状態に切り換わる。更に、この第1制御状態において、該コントローラは、制御可能な電流源40に対して、該電流源40が電流I=4・ILED(ILEDは公称LED電流を示す)を供給し、かくして各LEDがILEDを受けるように制御信号を発生する。
【0043】
上記コントローラがU2≦Vin<U3である(t〜tの場合である)ことを見出した場合、該コントローラは、図4Bに示されたように、前記LEDを2つのLED群の直列接続(各群は並列の2つのLEDを含む)に切り換えるように第2制御状態に切り換わる。これは、各LED列が2つの直列のLEDを含むような、2つのLED列の並列接続と等価である。更に、この制御状態において、該コントローラは、制御可能な電流源40に対して、該電流源40が電流I=2・ILEDを供給し、かくして各LED列がILEDを受けるように制御信号を発生する。
【0044】
上記コントローラがU3≦Vin<U4である(t〜tの場合である)ことを見出した場合、該コントローラは、図4Cに示されたように、前記LEDを3つのLEDの直列接続に切り換えるように第3制御状態に切り換わる。更に、この制御状態において、該コントローラは、制御可能な電流源40に対して、該電流源40が電流I=ILEDを供給するように制御信号を発生する。前述したように、第4LED D4は第3LED D3と並列に結合されるようにしてもよい。
【0045】
上記コントローラがU4≦Vinである(tの以降の場合である)ことを見出した場合、該コントローラは、図4Dに示されたように、全てのLEDを直列に切り換えるように第4制御状態に切り換わる。更に、この第4制御状態において、該コントローラは、制御可能な電流源40に対して、該電流源40が電流I=ILEDを供給するように制御信号を発生する。
【0046】
これも前述したように、第3制御状態は、3つのLEDが直列に結合された他の群を備える変形例を含むことができる。何れの場合においても、オン状態の3つのLEDのみが常に存在し、第4のものがオフ状態であるか、又は第4のものが隣接するものと並列に結合され、これら両者が半分の電流で動作されるかであり、ここでも基本的に、公称光出力の3倍となる。これは、全光出力の25%の減少に相当する。全光出力が実質的に一定に留まることが望ましい場合、当該コントローラが、図5において期間t〜tの点線により示されたように、LED電流を33%増加させることも可能である。
【0047】
上記例において、装置20は4つの(群の)LED D1〜D4を有している。しかしながら、本発明は如何なる数の(群の)LED D1〜Dnに対しても実施することができる。前記スイッチマトリクスの一層複雑な設計も可能であるが、より大きな数のLEDは、モジュール的である図3のマトリクス設計を拡張することにより容易に対処することができ、式(1)の対応する修正は当業者にとり明らかであろう。追加される各LEDに対して、3つの追加のスイッチが必要である。一般的に、nがLEDの(群の)数を示し、nが2以上であり、Nがスイッチの数を示し、Nが3n−3に等しい場合、m番目のLED(但し、2≦m≦n)に対して下記が成り立つ:
a)制御可能なスイッチSxは、LED Dmの陽極AmをLED D(m-1)の陽極A(m-1)に接続し;
b)制御可能なスイッチSyは、LED Dmの陽極AmをLED D(m-1)の陰極K(m-1)に接続し;
c)制御可能なスイッチSzは、LED Dmの陰極KmをLED D(m-1)の陰極K(m-1)に接続し;
ここで、x=3(m−2)+1,y=3(m−2)+2,z=3(m−2)+3である。
nの値に依存して、n個の並列のLED(即ち、各列が1つの"直列の"LEDを持つn個の列の並列接続)、n個の直列のLEDの1つの列、n−1個の直列のLEDの1つの列、n−2個の直列のLEDの1つの列、n/2個の(又はそれより少ない数の)直列のLEDの2つの列、n/3個の(又はそれより少ない数の)直列のLEDの3つの列等々を備える状態で動作することが可能である。更に、各LEDに関する各電流経路に対して、直列の閉じたスイッチの数は常にn−1に等しい。
【0048】
例えば、n=10の場合、10個の並列なLEDを有することが可能であり、前記コントローラは前記電流源を10・ILEDを供給するように設定する。電圧が増加した場合、2つの直列のLEDを5つ有することができるようになり、前記コントローラは前記電流源が5・ILEDを供給するように設定する。電圧が更に増加した場合、3つの直列のLEDを3つ有することができるようになる。当該LEDのうちの1つは非動作状態とすることができるが、前述したのと同様に、3つの並列なLEDの2つの群と、4つの並列なLEDの1つの群とを有することも可能である。前記コントローラは前記電流源を3・ILEDを供給するように設定するか、又は、オプションとして、全体の光出力を一定に維持するために電流を10%増加させることもできる。
【0049】
電圧が更に増加した場合、4つの直列のLEDを2つ有することができるようになる。ここでも、当該LEDのうちの2つは非動作状態とすることができるが、前述したのと同様に、2つの並列なLEDの2つの群と、3つの並列なLEDの2つの群とを有することも可能である。前記コントローラは前記電流源を2・ILEDを供給するように設定するか、又は、オプションとして、全体の光出力を一定に維持するために電流を20%増加させることもできる。
【0050】
電圧が更に増加した場合、5つの直列のLEDを2つ有することができるようになる。前記コントローラは前記電流源が2・ILEDを供給するように設定する。電圧が更に増加した場合、6個の直列のLEDを1つ有することができるようになり、前記コントローラは前記電流源を1・ILEDを供給するように設定する。これは、更なる電圧の上昇にも当てはまり、7、8、9及び10個のLEDを直列に接続することができる(3、2、1及び0個のLEDは非動作状態とするか、又は、オプションとして、並列に接続される)。
【0051】
全ての場合において、前記コントローラは、前記スイッチマトリクスを、各列がn個の直列のLEDから形成され、nが入力電圧に鑑みて可能な最大数となるように制御する。即ち、n・Vf≦Vin<(n+1)・Vfである(ここで、α及びβ及びδは簡略化のために無視されている)。更に、このような列の数nは可能な限り大きくする。即ち、n・n≦n<(n+1)・nとし、前記コントローラは前記電流源を電流I=n・ILEDを供給するように制御する。
【0052】
要約すると、本発明は、
−変化する大きさのDC入力電圧Vinを受ける入力端と、
−制御可能な電流源40と、
−複数の制御可能なスイッチS1〜SNを有するスイッチマトリクス30と、
−該スイッチマトリクス30の出力端子に接続される複数(n個)のLED D1,D2,…Dnと、
−上記DC入力電圧Vinの瞬時値に依存して上記スイッチを制御すると共に上記電流源により発生される電流を制御するコントローラ50と、
を有する光発生装置20を提供する。上記コントローラは、少なくとも3つの異なる制御状態で動作することができる。第1制御状態において、全てのLEDは並列に接続される。第2制御状態において、全てのLEDは直列に接続される。第3制御状態において、前記LEDのうちの少なくとも2つは並列に接続される一方、前記LEDのうちの少なくとも2つは直列に接続される。
【0053】
他の実施例において、当該装置は、過度に上昇する前記入力電圧に対して保護される。自動車バッテリの場合、上記入力電圧が16Vより高く上昇することが起こり得る。本発明によれば、上記コントローラは上記入力電圧を、例えば16Vなる所定の最大閾電圧Vmaxと比較することができる。上記入力電圧が該閾電圧より低い限り、動作は上述したようになる。上記入力電圧が閾電圧Vmaxより高い場合、上記コントローラは、電流源40の電流の大きさを、一定の電流というよりも、当該装置により消費される全電力が一定となるように制御する。言い換えると、該コントローラは電流源40の電流の大きさIを、I=P/Vin(但し、Pは所定の定数)に従い計算する。
【0054】
以上、本発明を図面及び上記記載において詳細に図示及び説明したが、当業者によれば、このような図示及び説明は解説的又は例示的なもので、限定するものではないと見なされるべきであることが明らかであろう。即ち、本発明は開示された実施例に限定されるものではなく、むしろ、幾つかの変形例及び変更例が、添付請求項に記載された本発明の保護範囲内で可能である。
【0055】
例えば、整流された電圧は負極性のものとすることもできる。
【0056】
当業者によれば、開示された実施例の他の変形例は、請求項に記載された発明を実施化する際に、図面、開示内容及び添付請求項の精査から理解され実施することができる。尚、請求項において、"有する"なる用語は他の構成要素及びステップを排除するものではなく、単数形は複数を排除するものではない。また、単一のプロセッサ又は他のユニットは、請求項に記載された幾つかの構成品目の機能を満たすことができる。また、特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これら手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。また、コンピュータプログラムは、光記憶媒体又は他のハードウェアと一緒に若しくは斯かるハードウェアの一部として供給される固体媒体等の適切な媒体に記憶し/斯かる媒体上で分配することができるが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介して等の他の形態で分配することもできる。また、請求項における如何なる符号も、範囲を限定するものと見なしてはならない。
【0057】
上記において、本発明はブロック図を参照して説明されたが、斯かるブロック図は本発明による装置の機能ブロックを示すものである。これらの機能ブロックの1以上はハードウェアで実施化することができ、その場合において、斯様な機能ブロックの機能は個々のハードウェア部品により実行されるが、これら機能ブロックの1以上はソフトウェアで実施化することもでき、その場合、斯様な機能ブロックの機能はコンピュータプログラムの1以上のプログラムライン又はマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ等のプログラマブル装置により実施することができると理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変化し得るDC入力電圧(Vin)のDC電圧源に接続するための装置入力端と、
制御可能な電流源と、
複数の制御可能なスイッチを有すると共に、前記DC入力電圧(Vin)を受けるための前記装置入力端に結合される電圧入力端子を有し、且つ、前記電流源に結合される電流入力端子を有するスイッチマトリクスと、
各群が直列に及び/又は並列に接続された複数のLEDを有する複数の(n個の)LED群であって、各LED群が前記スイッチマトリクスの出力端子に接続される複数のLED群と、
前記DC入力電圧(Vin)の瞬時値を示す信号を受けるための前記装置入力端に結合される入力端を有すると共に、前記スイッチのスイッチ状態を制御するために前記スイッチマトリクスの前記スイッチに結合される第1制御出力端を有し、且つ、前記電流源により発生される電流を制御するために前記制御可能な電流源に結合される第2制御出力端を有するコントローラと、
を有する光発生装置であって、
前記コントローラは、前記DC入力電圧(Vin)の前記瞬時値に依存して、前記スイッチのスイッチ状態及び前記電流源により発生される電流を制御し、
前記コントローラは少なくとも3つの異なる制御状態で動作することができ、前記制御状態のうちの第1のものにおいて前記スイッチは前記LED群の全てが相互に並列に接続される状態に置かれ、前記制御状態のうちの第2のものにおいて前記スイッチは前記LED群の全てが相互に直列に接続される状態に置かれ、前記制御状態のうちの第3のものにおいて前記スイッチは前記LED群のうちの少なくとも2つが相互に並列に接続される一方、前記LED群のうちの少なくとも2つが相互に直列に接続される状態に置かれ、
前記装置はn個の閾レベル(U1<U2<…<Un)を定める情報を含むメモリを更に有し、
前記コントローラは、前記DC入力電圧(Vin)の前記瞬時値を前記閾レベルと比較し、
前記コントローラは、前記スイッチを常に前記n個のLED群が相互に並列に結合されたn個の列の構成に切り換えられるように制御し、各列は相互に直列に結合されたn個のLED群を含み、ここで、nはn番目の閾レベルU(n)が前記DC入力電圧(Vin)の前記瞬時値よりも低い一方、(n+1)番目の閾レベルU(n+1)が前記DC入力電圧(Vin)の前記瞬時値よりも低くなるように選定された整数であり、従ってU(n)≦Vin<U(n+1)であり、
は、n・n≦n<(n+1)・nが成り立つように選定された整数であり、
前記スイッチマトリクスは、前記複数の(n個の)LED群に接続するための複数の(n対の)陽極端子及び陰極端子を有すると共に、前記電圧入力端子と前記電流入力端子との間に接続され且つ前記陽極端子及び前記陰極端子に接続された複数の(3(n−1)個の)個別に制御可能なスイッチを有し、
最初のLED群の陽極端子は前記電圧入力端子に接続され、
n番目のLED群の陰極端子は前記電流入力端子に接続され、
2とnとの間のmの全ての値に対して、
m番目のLED群の陽極端子と(m−1)番目のLED群の陽極端子との間には制御可能なスイッチが配置され、
m番目のLED群の陽極端子と(m−1)番目のLED群の陰極端子との間には制御可能なスイッチが配置され、
m番目のLED群の陰極端子と(m−1)番目のLED群の陰極端子との間には制御可能なスイッチが配置される、
光発生装置。
【請求項2】
各LED群が順方向電圧Vfを有し、i番目の閾レベルUiはUi=i・Vf+γと近似することができ、ここで、γは前記LED群と直列な前記スイッチにまたがる電圧降下と、シャント抵抗及び前記電流源にまたがる電圧降下との和を表す定数である請求項1に記載の装置。
【請求項3】
各LED群が公称LED電流ILEDを有し、前記コントローラが前記電流源を、該電流源により供給される電流Iが常にI=n・ILEDなる関係を満足するように制御する請求項1に記載の装置。
【請求項4】
各LED群が公称LED電流ILEDを有し、前記コントローラが前記電流源を、該電流源により供給される電流Iが常にI=n・ILEDxn/(n・n)なる関係を満足するように制御する請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記列の何れにも属さないn−n・n個のLED群が非動作状態である請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記コントローラが前記スイッチマトリクスを、前記列の何れにも属さないn−n・n個のLED群のうちの少なくとも1つが前記列の1つにおける前記n・n個のLED群の1つと並列に結合されるように制御する請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記DC入力電圧(Vin)が所定の最大閾電圧(Vmax)より高い場合に、前記コントローラが前記電流源を、当該装置により消費される全電力が一定となるように制御する請求項1に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−529419(P2011−529419A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520635(P2011−520635)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際出願番号】PCT/IB2009/053198
【国際公開番号】WO2010/013177
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】