説明

複数温度領域分割制御構造体

【課題】異なる温度に調整される2つ以上の領域を有する構造体であって、水平方向の熱伝導を抑制すると共に、垂直方向からの入熱に対してはスムーズな熱の移動を確保して熱的特異点の発生を抑制することができる複数領域温度分割制御構造体を提供する。
【解決手段】表面温度がそれぞれ異なる温度に制御されるセンターエリア51及びエッジエリア52と、その間に配置され、センターエリア51とエッジエリア52の配列方向に沿った熱伝導率が、配列方向に交差する方向における熱伝導率よりも小さく、水平方向の熱伝導に対して、例えば断熱材として機能し、且つ垂直方向の熱伝導に対して、例えば熱伝導材として機能する傾斜材56を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面を複数の温度領域に分割して各温度領域の温度を制御する複数温度領域分割制御構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
基板としての半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)にプラズマ処理を施す基板処理装置においてウエハを載置する載置台(サセプタ)として、載置面を複数の温度領域に分割して制御し、ウエハを各温度領域で支持するサセプタが知られている。
【0003】
ウエハを各温度領域で支持するサセプタのように、表面が複数の温度領域に分割される複数温度領域分割制御構造体、又は異なる温度に調整される複数の部材が組み立てられて複数の温度領域を有する組み立て構造体において、各領域の温度をそれぞれ調節する際、隣接する異なる温度領域の境界面又は連結面において熱の移動が発生し、熱効率が低下するという問題がある。また、領域相互間の温度差を確保できないという問題がある。
【0004】
そこで、かかる複数温度領域分割制御構造又は組み立て構造体における温度調節時の熱効率の低下を防止し、且つ領域相互間の温度差を確保するために、隣接する領域相互間に断熱材を配置させるか、又は隣接する領域を熱伝導率が異なる原材料で構成する技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−292297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、複数温度領域分割制御構造体における異なる温度に制御される複数の領域相互間に断熱材を配置させた場合、断熱材を介した領域相互間の熱の伝導を防止することはできるものの、各領域の配列方向と交差する方向からの入熱に対しては、断熱材の直上部の温度が回りの温度よりも高くなって温度的特異点(以下、「ホットスポット」という。)が形成されるという問題がある。ホットスポットは、所定温度に調整、制御される当該領域の温度均一性を阻害するだけでなく、熱効率を低下させる原因にもなる。
【0007】
本発明の目的は、異なる温度に制御される2つ以上の領域を有する構造体であって、各領域の配列方向に沿った熱伝導を抑制して温度差を保持すると共に、2つ以上の領域の配列方向に交差する方向からの入熱に対してはスムーズな熱の伝導を確保してホットスポットの発生を抑制することができる複数温度領域分割制御構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の複数温度領域分割制御構造体は、表面温度がそれぞれ異なる温度に制御される2つ以上の領域と、前記2つ以上の領域相互間に配置された熱伝導異方性材料層と、を有し、前記熱伝導異方性材料層は、前記2つ以上の領域の配列方向に沿った熱伝導率が、前記2つ以上の領域の配列方向に交差する方向における熱伝導率よりも小さいことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の複数温度領域分割制御構造体は、請求項1記載の複数温度領域分割制御構造体において、前記熱伝導異方性材料層は、前記2つ以上の領域の配列方向に沿った熱伝導と配列方向に交差する方向における熱伝導との相対的な関係において、前記2つ以上の領域の配列方向に沿った熱伝導に対しては断熱層として機能し、前記2つ以上の領域の配列方向に交差する方向における熱伝導に対しては熱伝導層として機能することを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の複数温度領域分割制御構造体は、請求項1又は2記載の複数温度領域分割制御構造体において、前記熱伝導異方性材料層における前記2つ以上の領域の配列方向に沿った熱伝導率に対する前記2つ以上の領域の配列方向に交差する方向における熱伝導率の比が7以上であることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の複数温度領域分割制御構造体は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の複数温度領域分割制御構造体において、前記熱伝導異方性材料層は、チタン−カーボン、アルミニウム−カーボンファイバ、チタン−アルミニウム及びガラス状カーボン−カーボンから選択される複合材からなることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の複数温度領域分割制御構造体は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の複数温度領域分割制御構造体において、前記2つ以上の領域は、熱伝導等方性材料で形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の複数温度領域分割制御構造体は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の複数温領域分割制御構造体において、前記複数温度領域分割制御構造体は、前記2つ以上の領域が連続して配列された板状体であり、前記熱伝導異方性材料層は、前記板状体を厚さ方向に貫通していることを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の複数温度領域分割制御構造体は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の複数温度領域分割制御構造体において、前記2つ以上の領域には、それぞれ温度調整手段が設けられており、前記熱伝導異方性材料層は、隣接する温度調整手段相互間に配置されていることを特徴とする。
【0015】
請求項8記載の複数温度領域分割制御構造体は、請求項7記載の複数温度領域分割制御構造体において、前記温度調整手段は、熱交換媒体が流通する媒体流路又はペルチェ素子もしくは抵抗加熱体であることを特徴とする。
【0016】
請求項9記載の複数温度領域分割制御構造体は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の複数温度領域分割制御構造体において、前記複数温度領域分割制御構造体は、基板処理装置の載置台、上部電極板及びデポジットシールドのうちのいずれか1つであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、表面温度がそれぞれ異なる温度に制御される2つ以上の領域と、2つ以上の領域相互間に配置された熱伝導異方性材料層と、を有し、熱伝導異方性材料層は2つ以上の領域の配列方向に沿った熱伝導率が、該2つ以上の領域の配列方向に交差する方向における熱伝導率よりも小さいので、2つ以上の領域の配列方向に沿った熱の移動を抑制して温度差を保持すると共に、2つ以上の領域の配列方向に交差する方向からの入熱に対してはスムーズな熱の伝導を確保してホットスポットの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明にかかる複数温度領域分割制御構造体を構成部材として適用する基板処理装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】複数温度領域分割制御構造体の一例の概略構成を示す断面図である。
【図3】図2における第1の温度領域及び第2の温度領域との間に配置される境界部材を示す説明図である。
【図4】図3の境界部材における水平方向の熱伝導に対する特性を示す図である。
【図5】図3の境界部材における垂直方向の熱伝導に対する特性を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る複数温度領域分割制御構造体としてのサセプタの概略構成を示す断面図である。
【図7】第1の実施の形態の変形例を示す断面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る複数温度領域分割制御構造体としてのデポジットシールドを示す断面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る複数温度領域分割制御構造体としての上部電極板を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明に係る複数温度領域分割制御構造体を構成部材として適用する基板処理装置の概略構成を示す断面図である。この基板処理装置は、ウエハに所定のプラズマエッチング処理を施すものである。
【0021】
図1において、基板処理装置10は、ウエハWを収容するチャンバ11を有し、チャンバ11内にはウエハWを載置する円柱状のサセプタ12が配置されている。チャンバ11の内側壁とサセプタ12の側面とによって側方排気路13が形成される。側方排気路13の途中には排気プレート14が配置されている。
【0022】
排気プレート14は多数の貫通孔を有する板状部材であり、チャンバ11の内部を上部と下部に仕切る仕切板として機能する。排気プレート14によって仕切られたチャンバ11内部の上部(以下、「処理室」という。)15には、後述するようにプラズマが発生する。また、チャンバ11内部の下部(以下、「排気室(マニホールド)」という。)16にはチャンバ11内のガスを排出する排気管17が接続されている。排気プレート14は処理室15に発生するプラズマを捕捉し、又は反射してマニホールド16への漏洩を防止する。
【0023】
排気管17には、TMP(Turbo Molecular Pump)及びDP(Dry Pump)(共に図示省略)が接続され、これらのポンプはチャンバ11内を真空引きして所定圧力まで減圧する。なお、チャンバ11内の圧力はAPCバルブ(図示省略)によって制御される。
【0024】
チャンバ11内のサセプタ12には第1の高周波電源18が第1の整合器19を介して接続され、且つ第2の高周波電源20が第2の整合器21を介して接続されており、第1の高周波電源18は比較的低い周波数、例えば、2MHzのバイアス用の高周波電力をサセプタ12に印加し、第2の高周波電源20は比較的高い高周波、例えば60MHzのプラズマ生成用の高周波電力をサセプタ12に印加する。これにより、サセプタ12は電極として機能する。また。第1の整合器19及び第2の整合器21は、サセプタ12からの高周波電力の反射を低減して高周波電力のサセプタ12への印加効率を最大にする。
【0025】
サセプタ12の上部には、静電電極板22を内部に有する静電チャック23が配置されている。静電チャック23は段差を有し、セラミックスなどで構成されている。
【0026】
静電電極板22には直流電源24が接続されており、静電電極板22に正の直流電圧が印加されると、ウエハWにおける静電チャック23側の面(以下、「裏面」という。)には負電位が発生して静電電極板22及びウエハWの裏面の間に電位差が生じ、この電位差に起因するクーロン力又はジョンソン・ラーベック力により、ウエハWは静電チャック23に吸着保持される。
【0027】
また、静電チャック23には、吸着保持されたウエハWを囲むように、フォーカスリング25が静電チャック23の段差における水平部へ載置される。フォーカスリング25は例えば、シリコン(Si)や炭化珪素(SiC)によって構成される。
【0028】
サセプタ12の内部には、例えば、後述する円周方向に延在する環状の媒体流路が設けられている。媒体流路には、チラーユニット(図示省略)から媒体用配管を介して低温の熱交換媒体、例えば、冷却水やガルデン(登録商標)が循環供給される。熱交換媒体によって冷却されたサセプタ12は静電チャック23を介してウエハW及びフォーカスリング25を冷却する。なお、媒体流路の用途は、冷却には限られず、常温での維持、又は加熱の場合もあり得る。したがって、媒体流路を流れる流通媒体は、一般的に熱交換媒体として用いられるものであれば良く、媒体流路は熱交換媒体流路として使用される。
【0029】
静電チャック23におけるウエハWが吸着保持されている部分(以下、「吸着面」という。)には、複数の伝熱ガス供給孔28が開口している。伝熱ガス供給孔28は、伝熱ガス供給ライン29を介して伝熱ガス供給部(図示省略)に接続され、伝熱ガス供給部は伝熱ガスとしてのHe(ヘリウム)ガスを、伝熱ガス供給孔28を介して吸着面及びウエハWの裏面の間隙に供給する。吸着面及びウエハWの裏面の間隙に供給されたHeガスはウエハWの熱を静電チャック23に効果的に伝達する。
【0030】
チャンバ11の天井部には、サセプタ12と処理室15の処理空間Sを介して対向するようにシャワーヘッド30が配置されている。シャワーヘッド30は、上部電極板31と、この上部電極板31を着脱可能に釣支するクーリングプレート32と、クーリングプレート32を覆う蓋体33とを有する。上部電極板31は厚さ方向に貫通する多数のガス孔34を有する円板状部材からなり、半導電体であるSiやSiCによって構成される。また、クーリングプレート32の内部にはバッファ室35が設けられ、バッファ室35にはガス導入管36が接続されている。
【0031】
また、シャワーヘッド30の上部電極板31は接地される。
【0032】
このような構成の基板処理装置10では、処理ガス導入管36からバッファ室35へ供給された処理ガスが上部電極板31のガス孔34を介して処理室15内部へ導入され、導入された処理ガスは、第2の高周波電源20からサセプタ12を介して処理室15内部へ印加されたプラズマ生成用の高周波電力によって励起されてプラズマとなる。プラズマ中のイオンは、第1の高周波電源18がサセプタ12に印加するバイアス用の高周波電源によってウエハWに向けて引き込まれ、ウエハWにプラズマエッチング処理を施す。
【0033】
基板処理装置10の各構成部材の動作は、基板処理装置10が備える制御部(図示省略)のCPUがプラズマエッチング処理に対応するプログラムに応じて制御する。
【0034】
このような基板処理装置において、処理空間Sにおけるラジカル密度の均一化を図るために、サセプタ12の表面をセンターエリアと、該センターエリアを取り巻くエッジエリアとに分割し、エッジエリアの温度がセンターエリアの温度よりも低くなるように調整される。このとき、サセプタ12のセンターエリアとエッジエリアの境界部で生じる熱伝導に起因する熱効率の低下を防止するために、センターエリアとエッジエリアとの境界部に断熱材を配置することが考えられる。断熱材は、センターエリアとエッジエリアとの間における熱の移動を防止することはできるが、処理空間Sにおけるプラズマの発生に伴う上方からの入熱に対しても断熱材として機能するので、当該断熱材の上部にホットスポットが形成され、これによって処理空間Sにおけるラジカル密度が均一にならず、ひいては熱効率を向上させることができないという問題がある。
【0035】
本発明者は、表面を複数の温度領域に分割して各温度領域を制御する複数温度領域分割制御構造体における隣接する温度領域相互間における各温度領域の配列方向に沿った熱伝導及び各温度領域の配列方向に交差する方向における熱伝導について鋭意研究した結果、複数の温度領域相互間に熱伝導異方性材層を配置することによって、複数の温度領域相互間における熱伝導を抑制して温度差を維持することができ、且つ複数の温度領域の配列方向に交差する方向における熱伝導を促進してホットスポットの形成を回避できることを見出し、本発明に到達した。
【0036】
すなわち、本発明に係る複数温度領域分割制御構造体は、表面温度がそれぞれ異なる温度に制御される2つ以上の領域と、該2つ以上の領域相互間に配置された熱伝導異方性材料層と、を有し、熱伝導異方性材料層は、2つ以上の領域の配列方向に沿った熱伝導率が、2つ以上の領域の配列方向に交差する方向における熱伝導率よりも小さいことを特徴とする。
【0037】
次に、図面を用いて本発明の原理について説明する。
【0038】
図2は、複数温度領域分割制御構造体の一例の概略構成を示す断面図である。
【0039】
図2において、複数温度領域分割制御構造体40は、図2中、水平方向に隣接して配置された第1の温度領域41及び第2の温度領域42を有する構造体本体45と、第1の温度領域41内に設けられた第1の温度調整手段としての第1の媒体流路43と、第2の温度領域42内に設けられた第2の温度調整手段としての第2の媒体流路44と、第1の温度領域41及び第2の温度領域42との間に配置された境界部材46(熱伝導異方性材料層)とから主として構成されている。構造体本体45は熱伝導等方性材料、例えばカーボンで構成されている。なお、以下、便宜上、表面温度が異なる温度に調整される温度領域の配列方向を水平方向といい、温度領域の配列方向に交差する方向を垂直方向という。
【0040】
境界部材46は、媒体流路43及び44における熱交換媒体の流通方向に直交する断面がT字型を呈しており、断面T字型の垂直部分(以下、「仕切部分」という。)が第1温度領域41と第2温度領域42との間に配置され、断面T字型の水平部分の両端部が第1の媒体流路43及び第2の媒体流路44の上部に架かるように配置されている。
【0041】
このような構成の複数温度領域分割制御構造体40において、境界部材46として図3に示す4つの境界部材46a〜46dをそれぞれ適用したシミュレーションモデルを想定する。
【0042】
図3は、図2における第1の温度領域41及び第2の温度領域42との間に配置される境界部材を示す説明図である。
【0043】
図3において、図3(A)の境界部材46aは、例えば断面T字型の水平部分の長さが10mm、幅が5mm、仕切部分の全長が10mm、幅が1.7mmである。境界部材46aは、断面T字型の全体が等方的に熱伝導性を示す熱伝導等方性材料、例えばカーボンで構成されている。
【0044】
図3(B)の境界部材46bは、例えば断面T字型の水平部分の長さが10mm、幅が5mm、仕切部分の全長が10mm、幅は0.5mmである。境界部材46bは、仕切部分の全てが断熱材、例えばチタンで構成されている。
【0045】
図3(C)の境界部材46cは、断面T字型の各寸法が図3(A)の境界部材46aと同様である。この境界部材46cが、図3(A)の境界部材46aと異なるところは、仕切部分に所定間隔、例えば0.3mm間隔で所定幅、例えば0.1mm幅の断熱材層を、仕切部分の幅方向(水平方向)に関して、例えば5層設けたものである。断熱材としては、図3(B)の仕切部分に適用したチタンが使用される。この境界部材46cの仕切部分は熱伝導異方性材(以下、「傾斜材」という。)としての性質を有し、水平方向の熱伝導に対して、例えば断熱材として機能し、垂直方向の熱伝導に対して、例えば熱伝導材として機能する。
【0046】
図3(D)の境界部材46dは、断面T字型の各寸法が図3(A)の境界部材46aと同様であり、この境界部材46dが、図3(A)の境界部材46aと異なるところは、水平部分及び仕切部分の全体に、所定間隔、例えば0.3mm間隔で所定幅、例えば0.1mm幅の断熱材層を水平方向に関して多数設けた点である。この境界部材46dは、断面T字型の全体が傾斜材としての性質を有し、水平方向の熱伝導に対して、例えば断熱材として機能し、垂直方向の熱伝導に対して、例えば熱伝導材として機能する。
【0047】
図2の複数温度領域分割制御構造体40における境界部材46として、図3の各境界部材46a〜46dをそれぞれ適用したシミュレーションモデルを想定し、第1の温度領域41の第1の媒体流路43が308(K)(ケルビン)になるような熱交換媒体を流通させると共に、第2の温度領域42の第2の媒体流路44が323(K)になるような熱交換媒体を流通させた場合の第1の温度領域41及び第2の温度領域42の表面における図2中、水平方向の温度分布を求め、結果を図4に示した。
【0048】
また、第1の媒体流路43及び第2の媒体流路44が共に308(K)になるような熱交換媒体を流した状態で、上部から28000(W/m)の電力を印加することによって生成されたプラズマに起因して発生する熱を照射し、第1の温度領域41及び第2の温度領域42の表面における図2中、水平方向の温度分布を求め、結果を図5に示した。
【0049】
図4は、図3の境界部材における水平方向の熱伝導に対する特性を示す図である。図4中、縦軸は領域の温度(K)を示し、横軸は、第1の温度領域41と第2の温度領域42との境界面(0)からの距離を示す。
【0050】
図4において、破線で示すように、図3(A)の境界部材46aを用いた構造体は、第1の温度領域41の表面温度が第2の温度領域42の表面温度に引っ張られて上昇する一方、第2の温度領域42の表面温度が第1の温度領域41の表面温度に引っ張られて低下しており、第1の温度領域41の表面温度と第2の温度領域42の表面温度との境界が不明りょうとなっている。なお、第1の温度領域41と第2の温度領域42は、上述のように共に、熱伝導等方性材料で構成されているので、各領域における表面温度と内部温度とは均一と考えられる。従って、以下、各領域の表面温度と内部温度を特に区別しないで、単に領域の温度ということがある。
【0051】
一点鎖線で示すように、図3(B)の境界部材46bを用いた構造体は、第1の温度領域41と第2の温度領域42との温度の境界が明りょうであり、境界部材46bが第1の温度領域41と第2の温度領域42との配列方向に沿った熱伝導に対して断熱材として機能していることが分かる。
【0052】
また、実線で示すように、図3(C)の境界部材46cを用いた構造体は、図3(B)の境界部材46bを用いた構造体と同様、第1の温度領域41と第2の温度領域42との温度の境界が明りょうであり、境界部材46cが領域配列方向に沿った熱伝導に対して断熱材として機能していることが分かる。
【0053】
一方、二点鎖線で示すように、図3(D)の境界部材46dを用いた構造体は、第1の温度領域41と第2の温度領域42との温度差が境界部材46b及び46cを用いた構造体に比べて大きくなっており、領域配列方向に沿った熱伝導に対する断熱材としての機能が増大していることが分かる。これによって、境界部材46dを用いた場合は、第1の媒体流路43を流れる第1の熱交換媒体及び第2の媒体流路44を流れる第2の熱交換媒体の冷却作用が有効に発現されていることになる。
【0054】
図4の結果から、第1の温度領域41と第2の温度領域42との温度差を維持する境界部材として、境界部材46b、境界部材46c及び境界部材46dが好適であることが分かる。
【0055】
一方、図5は、図3の境界部材における垂直方向の熱伝導に対する特性を示す図である。図5中、縦軸は領域の温度(K)を示し、横軸は、第1の温度領域41と第2の温度領域42との境界面(0)からの距離を示す。
【0056】
図5において、破線で示すように、境界部材46aを適用した構造体は、垂直方向の熱の移動がスムーズとなり、構造体本体45の表面温度は309(K)でほぼ均一になっている。これは、境界部材46a全体が熱伝導等方性材料で構成されており、等方的に熱伝導性が発現されるからである。
【0057】
これに対して、一点鎖線で示すように、境界部材46bを適用した構造体は、境界部材46bの上部がまわりの温度よりも高いホットスポットとなっている。これは、仕切部分に配置した断熱材層が垂直方向の熱伝導に対しても断熱材として機能し、境界部材46bの上部に温度的な特異点が形成されるからである。
【0058】
また、実線で示すように、境界部材46cを適用した構造体は、境界部材46cの上部に若干周りの部分よりも温度が高い部分が見られるものの、46bの該当箇所における温度に比べれば十分に低いといえる。従って、境界部材46cを適用した構造体では、仕切部分を構成する傾斜材が垂直方向の熱伝導に対して断熱材ではなく、熱伝導材として機能していることが分かる。
【0059】
一方、二点差線で示すように、境界部材46dを適用した構造体は、ホットスポットの発生は見られないが、垂直方向の熱の拡散が全体的に阻害され、構造体本体45の表面全体の温度が他の境界部材を適用した構造体に比べて上昇している。これによって、境界部材46dは、垂直方向の熱伝導に対して弱い断熱材として機能していることが分かる。
【0060】
図4及び図5の結果の評価を下記表1にまとめて示す。
【0061】
表1は、図3の境界部材46a〜46dにおける水平方向の断熱性及び垂直方向の熱伝導性の評価をまとめて示したものである。ここで、「○」は、その性質が良好であることを示し、△は、良好ではないが不良でもないことを示し、×は、不良であることを示す。なお、本実施の形態における断熱性は、熱が伝わり難いことを意味しており、全く熱が伝わらないことを意味するものではない。
【0062】
【表1】

【0063】
表1から、水平方向の熱伝導に対し断熱材として機能し、垂直方向の熱伝導に対し熱伝導材として機能する境界部材としては、仕切部分に傾斜材を適用した図3(C)の境界部材46cが有効であることが分かる。
【0064】
すなわち、第1の温度領域41及び第2の温度領域42を有する図2の複数温度領域分割制御構造体40において、第1の温度領域41と第2の温度領域42との温度差を維持しつつ上部からの入熱に対し、ホットスポットの発生を抑制するためには、第1の温度領域41と第2の温度領域42との間に、水平方向に沿った熱伝導率が、垂直方向における熱伝導率よりも小さい傾斜材、換言すれば、水平方向の熱伝導に対して断熱材として機能し、垂直方向の熱伝導に対して熱伝導材として機能する傾斜材を配置すれば良いことが分かる。
【0065】
従って、本発明においては、表面温度がそれぞれ異なる温度に制御される2つ以上の領域を備えた複数温度領域分割制御構造体において、各領域相互間に、水平方向に沿った熱伝導率が垂直方向に沿った熱伝導率よりも小さい傾斜材が配置される。
【0066】
以下、本発明の第1の実施の形態に係る複数温度領域分割制御構造体について説明する。
【0067】
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る複数温度領域分割制御構造体としてのサセプタの概略構成を示す断面図である。
【0068】
図6において、このサセプタ12は、第1の温度領域としてのセンターエリア51及び第2の温度領域としてのエッジエリア52を有するサセプタ本体55と、サセプタ本体55のセンターエリア51内に設けられた第1の媒体流路53及びエッジエリア52内に設けられた第2の媒体流路54と、第1の媒体流路53及び第2の媒体流路54との間に配置された熱伝導異方性材料からなる傾斜材56とから主として構成されている。なお、サセプタ本体55は熱伝導等方性材料である、例えば金属アルミニウムで構成されている。
【0069】
サセプタ12は円板状を呈しており、その直径は、例えば320〜400mm、厚さは、20〜50mmであるが、これらの数値はサセプタ12に載置するウエハWのサイズに応じて変わることは言うまでもない。サセプタ12の上部表面には、静電チャック57を介してウエハWが載置されており、静電チャック57に吸着保持されたウエハWを囲むようにフォーカスリング58が配置されている。サセプタ12のセンターエリア51は、第1の媒体流路53を流れる比較的高温の熱交換媒体によって冷却され、エッジエリア52は、第2の媒体流路54を流れる比較的低温の熱交換媒体によって冷却される。
【0070】
傾斜材56は、第1の媒体流路53と第2の媒体流路54との間であって、センターエリア51とエッジエリア52との境界部に、サセプタ本体55をその厚さ方向に貫通するように配置されている。従って、傾斜材56は、円板状のセンターエリア51と円環状のエッジエリア52との間に配置された円環状を呈している。
【0071】
このような構成のサセプタ12に載置されるウエハWの温度は、サセプタ12の表面におけるセンターエリア51及びエッジエリア52の温度、ひいてはセンターエリア51内の第1の媒体流路53を流通する媒体温度及びエッジエリア52内の第2の媒体流路54を流通する媒体温度によって決まる。
【0072】
図6のサセプタ12を図1の基板処理装置10のチャンバ11内に配置し、第1の媒体流路53に、例えば323(K)の熱交換媒体を流通させ、第2の媒体流路54に、例えば308(K)の熱交換媒体を流通させ、処理室15内へ処理ガスを導入すると共に、第2の高周波電源20からサセプタ12を介してプラズマ生成用の高周波電力を印加し、処理ガスを励起することによってプラズマを発生させた場合、サセプタ12のセンターエリア51の表面は、323(K)よりもわずかに高い、例えば324(K)となり、エッジエリア52の表面は、308(K)よりもわずかに高い、例えば309(K)となる。また、このとき、プラズマに起因する処理空間Sからの入熱は、サセプタ12の全表面に均等に伝達され、傾斜材56の上部にホットスポットが形成されることはい。ウエハWの上方の矢印は、プラズマの発生に伴う入熱を示すものである。
【0073】
本実施の形態によれば、異なる温度に調整、制御されるセンターエリア51とエッジエリア52を有するサセプタ12における水平方向に沿った熱の伝導を抑制して両エリアの温度差を保持すると共に、垂直方向からの入熱に対してはスムーズな熱の移動を確保してホットスポットの発生を防止することができ、ひいては熱効率を向上させることができる。
【0074】
また、本実施の形態によれば、傾斜材56を、サセプタ本体55の厚さ方向に貫通するものとしたので、水平方向の熱伝導に対して大きな断熱効果が得られ、これによって、熱交換媒体の相互干渉を最小にできるのでエネルギーの損失を抑制することができる。本実施の形態におけるサセプタ12はサセプタ表面のセンターエリア51とエッジエリア52との温度差を維持すると共に、サセプタ全体の熱効率を向上させたい場合に有効である。
【0075】
本実施の形態において、傾斜材56の水平方向の厚みは、センターエリア51とエッジエリア52との間に要求される断熱の程度によって決定される。すなわち、強い断熱性が要求される場合は、傾斜材56の厚みは厚くされ、弱い断熱性が得られれば十分である場合は、傾斜材56の厚みは薄くされる。傾斜材56の厚みを厚くした結果として傾斜材56の側面が第1の媒体流路53及び第2の媒体流路54の側面に当接した状態にすることもできる。傾斜材56を第1の媒体流路53及び第2の媒体流路54の両方又はいずれか一方に当接させることによってサセプタ全体として物理的強度を保つことが困難となる場合は、第1の媒体流路53の側面及び第2の媒体流路54の側面の両方もしくはいずれか一方、又はサセプタ本体55自体を強化することが好ましい。なお、傾斜材56は、熱膨張率がサセプタ本体55と同等の材料、又は隣接部材との熱膨張差を吸収できる材料で形成されることが好ましい。
【0076】
本実施の形態において、異なる温度に調整、制御される温度領域を、センターエリア51とエッジエリア52の2つとしたが、異なる温度領域は2つに限定されるものではなく、3つ以上であってもよい。
【0077】
本実施の形態において、傾斜材56は、水平方向の熱伝導に対して断熱材として機能し、垂直方向の熱伝導に対して熱伝導材として機能するものであり、例えば、チタン(Ti)とカーボン(C)、アルミニウム(Al)とカーボンファイバ、チタン−アルミニウム及びガラス状カーボン−カーボンから選択される複合材からなることが好ましい。
【0078】
本実施の形態において、傾斜材56の水平方向の熱伝導率と垂直方向の熱伝導率は互いの相対的関係により決まる。具体的には、傾斜材として用いる材料がチタン−カーボンの場合には難熱伝達方向の熱伝導率は10(W/(m・K))と易熱伝達方向の熱伝導率は200(W/(m・K))となり、アルミニウム−カーボンファイバの場合には同じくそれぞれが150(W/(m・K))と1000(W/(m・K))、グラシーカーボンとカーボンの場合はそれぞれが10(W/(m・K))と200(W/(m・K))、チタンとアルミニウムの場合にはそれぞれが10(W/(m・K))と150(W/(m・K))となる。これにより、傾斜材56の水平方向の熱伝導率に対する垂直方向の熱伝導率の比が概ね7以上となるように選択されれば良い。
【0079】
本実施の形態において、センターエリア51とエッジエリア52内に設けられる温度調整手段が、熱交換媒体が流通する媒体流路である場合について説明したが、本実施の形態において温度調整手段は、媒体流路に限定されるものではなく、熱電素子(例えばペルチェ素子)、その他のヒータ、例えば抵抗加熱体であってもよい。温度調節手段として、媒体流路、熱電素子、抵抗加熱体等を採用することにより、制御が容易で、且つ長寿命を確保することができる。
【0080】
以下に、第1の実施の形態の変形例について説明する。
【0081】
図7は、第1の実施の形態の変形例を示す断面図である。
【0082】
図7において、このサセプタ62が図6のサセプタ12と異なるところは、サセプタ本体55の厚さ方向に貫通する傾斜材56に代えて、サセプタ本体55の上部表面からその厚さ方向の中間点まで延びる傾斜材66を設けた点である。
【0083】
本実施の形態の変形例によれば、上記実施の形態と同様、センターエリア51とエッジエリア52との境界面における水平方向に沿った熱伝導を抑制して温度差を保持すると共に、プラズマに起因するサセプタ62の上方からの入熱に対してはスムーズな熱の移動を確保して傾斜材66の上部におけるホットスポットの発生を防止することができる。
【0084】
本実施の形態のサセプタ62は、サセプタ全体における熱効率はある程度低下してもサセプタ表面におけるセンターエリア51とエッジエリア52との温度差を確保したい場合に有効である。
【0085】
以下、本発明の第2の実施の形態に係る複数温度領域分割制御構造体について説明する。
【0086】
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る複数温度領域分割制御構造体としてのデポジットシールド(以下、「デポシールド」という。)を示す断面図である。
【0087】
デポシールドは、基板処理装置のチャンバ内に設けられ、その表面温度をある程度高く設定することによってデポの付着を防止するためのものであり、通常、表面温度は、400(K)〜450(K)に設定される。しかしながら、例えば、デポシールドに設置されたセンサ等を保護するために、センサの設置位置に対応する部分だけを覆うようにデポを付着させたい場合がある。かかる場合は、センサの設置位置に対応する部分だけが周りの温度よりも低温になるように制御されてデポの付着が促進される。このように適用されるデポシールドは複数温度領域分割制御構造体である。
【0088】
図8において、基板処理装置10のチャンバ11の側壁にデポシールド75が設けられている。デポシールド75は、等方的な熱伝導性を示す、例えばアルミニウム材で構成されている。デポシールド75は、低温エリア71と高温エリア72に区画され、低温エリア71には低温用の媒体流路73が設けられており、高温エリア72には高温用の媒体流路72が設けられている。低温エリア71と高温エリア72との境界部分には、デポシールト75の厚さ方向に貫通する傾斜材76が配設されている。
【0089】
このような構成のデポシールド75を備えた基板処理装置10を用いてサセプタ12の上部表面に静電チャック23を介して載置されたウエハWに所定のプラズマ処理を施し、デポシールド75の低温用の媒体流路73に、例えば308(K)の熱交換媒体を流通させ、高温用の媒体流路74に、例えば400(K)の熱交換媒体を流通させると、低温エリア71の表面温度は、例えば310(K)、高温エリア72の表面温度は、例えば398(K)となり、両者の温度差は良好に保持される。また、このとき、プラズマに起因する処理空間Sからの入熱に対し、傾斜材76の上部にホットスポットが形成されることもない。
【0090】
本実施の形態によれば、低温エリア71と高温エリア72との温度差を確保し、且つプラズマに起因する処理空間Sからの入熱に対してもホットスポットを形成することなく、全エリアに均一に伝導させることができる。
【0091】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る複数温度領域分割制御構造体について説明する。
【0092】
図9は、本発明の第3の実施の形態に係る複数温度領域分割制御構造体としての上部電極板を示す断面図である。
【0093】
上部電極板は、処理空間Sに処理ガスを供給するシャワーヘッドの構成部材であり、処理空間S内に高周波電力を印加し、処理ガスを励起してプラズマを発生させる際の電極であり、センター部分とエッジ部分とで温度差を設ける場合は、複数温度領域分割制御構造体となる。
【0094】
図9において、基板処理装置10のチャンバ11内に設けられたシャワーヘッド30の構成部材である上部電極板85は、熱伝導等方性材料である、例えばSiからなる直径300〜500mmφ、厚さ5〜10mmの円板状を呈しており、処理空間Sを介してサセプタ12の上部表面に静電チャック23を介して載置されたウエハWと対向している。上部電極板85は、サセプタ12の図6に示したセンターエリア51及びエッジエリア52にそれぞれ対向する電極板センターエリア81及び電極板エッジエリア82を有しており、電極板センターエリア81及び電極板エッジエリア82の境界部に傾斜材86が、その厚さ方向に貫通するように配置されている。
【0095】
このような構成の上部電極板85における電極板センターエリア81及び電極板エッジエリア82は、図6のサセプタ12のセンターエリア51及びエッジエリア52と同様、それぞれ異なる温度に調整され、且つ処理空間Sにおけるプラズマの発生に伴う図9中、下方からの入熱を受けるが、電極板センターエリア81及び電極板エッジエリア82の間に傾斜材86を配置したので、電極板センターエリア81及び電極板エッジエリア82の温度をそれぞれ異なる温度に保持しつつ、処理空間Sにおけるプラズマ発生に伴う入熱を上部電極板85の図9中、下方表面で均等に受け入れることができ、これによって、ホットスポットの形成を回避することができる。
【0096】
以上、本発明について、実施の形態を用いて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0097】
10 基板処理装置
40 複数温度領域分割制御構造体
41 第1の温度領域
42 第2の温度領域
43、53 第1の媒体流路
44、54 第2の媒体流路
45 構造体本体
51 センターエリア
52 エッジエリア
55サセプタ本体
56、66、76、86 傾斜材(熱伝導異方性材料層)
75 デポジットシールド
85 上部電極板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面温度がそれぞれ異なる温度に制御される2つ以上の領域と、
前記2つ以上の領域相互間に配置された熱伝導異方性材料層と、を有し、
前記熱伝導異方性材料層は、前記2つ以上の領域の配列方向に沿った熱伝導率が、前記2つ以上の領域の配列方向に交差する方向における熱伝導率よりも小さいことを特徴とする複数温度領域分割制御構造体。
【請求項2】
前記熱伝導異方性材料層は、前記2つ以上の領域の配列方向に沿った熱伝導と配列方向に交差する方向における熱伝導との相対的な関係において、前記2つ以上の領域の配列方向に沿った熱伝導に対しては断熱層として機能し、前記2つ以上の領域の配列方向に交差する方向における熱伝導に対しては熱伝導層として機能することを特徴とする請求項1記載の複数温度領域分割制御構造体。
【請求項3】
前記熱伝導異方性材料層における前記2つ以上の領域の配列方向に沿った熱伝導率に対する前記2つ以上の領域の配列方向に交差する方向における熱伝導率の比が7以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の複数温度領域分割制御構造体。
【請求項4】
前記熱伝導異方性材料層は、チタン−カーボン、アルミニウム−カーボンファイバ、チタン−アルミニウム及びガラス状カーボン−カーボンから選択される複合材からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の複数温領域分割制御構造体。
【請求項5】
前記2つ以上の領域は、熱伝導等方性材料で形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の複数温度領域分割制御構造体。
【請求項6】
前記複数温度領域分割制御構造体は、前記2つ以上の領域が所定方向に配列された板状体であり、前記熱伝導異方性材料層は、前記板状体を厚さ方向に貫通していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の複数温度領域分割制御構造体。
【請求項7】
前記2つ以上の領域には、それぞれ温度調整手段が設けられており、前記熱伝導異方性材料層は、隣接する温度調整手段相互間に配置されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の複数温度領域分割制御構造体。
【請求項8】
前記温度調整手段は、熱交換媒体が流通する媒体流路又はペルチェ素子もしくは抵抗加熱体であることを特徴とする請求項7記載の複数温度領域分割制御構造体。
【請求項9】
前記複数温度領域分割制御構造体は、基板処理装置の載置台、上部電極板及びデポジットシールドのうちのいずれか1つであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の複数温度領域分割制御構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−204812(P2011−204812A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69083(P2010−69083)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】