説明

親水性有機官能性シリコーンコポリマー

本発明は、それぞれ少なくとも1つの不飽和基を含む1つ以上のシリコーンマクロマーとそれぞれ少なくとも1つの不飽和基を有する1つ以上のポリエーテルと、これに加えて任意で、1つ以上のエチレン性不飽和モノマーの物質中又は溶液中におけるラジカル重合により得ることができる親水性有機官能性シリコーンコポリマーに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は親水性有機官能性シリコーンコポリマー、その生成方法、及びその使用に関する。
【0002】
親水性有機官能性シリコーンコポリマーはシリコーンポリエーテル、つまり、ポリアルキレンオキシドで変性したポリシロキサンである。こういった生成物は化粧品類におけるジメチコンコポリオール、保護コロイド及び乳化剤、消泡剤として、又は織物の仕上げ(親水性柔軟仕上げ)に用いられる。
【背景技術】
【0003】
こういった化合物の製造に関する今日までの従来技術は、H−シロキサンを不飽和ポリエーテル(ポリアルキレンオキシド)とのヒドロシリル化に供することであった。しかし、この目的にはプラチナ触媒の存在が必要とされるため、最終生成物に重金属が導入されてしまう。この反応のもう1つの欠点は、シリコーン鎖に不飽和ポリエーテルが十分に結合されないことから、反応後であっても生成物中に遊離ポリエーテルが存在したままとなることである。不飽和ポリエーテルがアリル基を有している場合のみ、結合はある程度まで満足のいくものとなるが、これでは不本意な転位反応や副生成物の生成が生じる。従って、通常、過剰量のアリルポリエーテルを使用する必要がある。ビニル又は(メタ)アクリロイル基では結合が一層悪化する。アクリロイル又はメタクリロイル官能基の場合、1,4−付加及び不安定なSi−O−C結合の形成、つまり、非常に変化し易く実質的に不安定な結合が生じることが非常に多い。この不十分な結合は生成物の非均質性(例えば、相分離)とその使用時の負の特性につながる。
【0004】
DE10020670A1はポリアルキレングリコールで変性され、かつH−シロキサンのビニル官能性ポリアルキレンオキシドとのヒドロシリル化により得られるオルガノシロキサニル誘導体について記載している。EP1097701A1とEP1284282A1は金属触媒の存在下でH−シロキサンと不飽和ポリエーテルとをヒドロシリル化することで得られ、かつ乳化剤又は消泡剤として使用されるポリオキシアルキレン−ポリシロキサンコポリマーを開示している。WO99/10412A1はヒドロシリル化により得ることのできるポリシロキサン−ポリアルキレンオキシドブロックコポリマーに関する。WO02/15853A1は頭髪用化粧品処方におけるビニルエステルコポリマーについて記載しており、ビニルエステルの重合はシリコーン部分を含有し得るポリエーテル含有化合物の存在下で行われる。JP2000−044639はコーティング材料及び接着剤用の水性合成樹脂エマルジョンの製造に関し、エチレン性不飽和モノマーは末端不飽和基を有するシリコーンとポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートとの反応により得られるマクロモノマーの存在下で水性溶媒中で重合される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は簡単な方法で親水性有機官能性シリコーンコポリマーを提供することであり、このコポリマーは親水性部分のシリコーン部分への安定かつ完全な結合により傑出している。
【0006】
本発明は各ケースで少なくとも1つの不飽和基を有する1つ以上のシリコーンマクロマーと、各ケースで少なくとも1つの不飽和基を有する1つ以上のポリエーテルと、任意の1つ以上のエチレン性不飽和モノマーの、溶媒の不在下或いは溶液中でのフリーラジカル重合により得ることができる親水性有機官能性シリコーンコポリマーに関する。
【0007】
本発明は、更に、各ケースで少なくとも1つの不飽和基を有する1つ以上のシリコーンマクロマーと、各ケースで少なくとも1つの不飽和基を有する1つ以上のポリエーテルと、任意の1つ以上のエチレン性不飽和モノマーの、溶媒の不在下或いは溶液中でのフリーラジカル重合による親水性有機官能性シリコーンコポリマーの生成方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
親水性有機官能性シリコーンコポリマーの生成に適したシリコーンマクロマーは、少なくとも5つの繰り返しシロキサン単位を有し、またフリーラジカル重合可能な少なくとも1つの官能基を有する直鎖、分岐、環状、三次元架橋ポリシロキサンである。好ましくは、鎖の長さは5から10000繰り返しシロキサン単位である。アルケニル基等のエチレン性不飽和基は重合性官能基として好ましい。
【0009】
好ましいシリコーンマクロマーは一般式R3−aSiO(SiRO)SiR3−aを有するシリコーンであり、ここでRは同一又は異なり、一価の、各ケースで1〜18C原子を有する任意で置換したアルキルラジカル又はアルコキシラジカルであり、Rは重合性基であり、aは0又は1であり、少なくとも1つのaが1であり、nは5〜10 000である。
【0010】
一般式R3−aSiO(SiRO)SiR3−aにおいて、ラジカルRの例はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、1−n−ブチル、2−n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル及びtert−ペンチルラジカル、n−ヘキシルラジカル等のヘキシルラジカル、n−ヘプチルラジカル等のヘプチルラジカル、n−オクチルラジカル等のオクチルラジカル、2,2,4−トリメチルペンチルラジカル等のイソオクチルラジカル、n−ノニルラジカル等のノニルラジカル、n−デシルラジカル等のデシルラジカル、n−ドデシルラジカル等のドデシルラジカル、n−オクタデシルラジカル等のオクタデシルラジカル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びメチルシクロヘキシルラジカル等のシクロアルキルラジカルである。ラジカルRは、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、アミル及びヘキシルラジカル等の1〜6個の炭素原子を有する一価の炭化水素ラジカルであり、メチルラジカルが特に好ましい。
【0011】
好ましいアルコキシラジカルRはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、n−ブトキシラジカル等の1〜6個の炭素原子を有するものであり、これらは任意でオキシエチレン又はオキシメチレンラジカル等のオキシアルキレンラジカルで置換することも可能である。メトキシ及びエトキシラジカルが特に好ましい。前記アルキルラジカル及びアルコキシラジカルRは、任意で、例えばハロゲン、メルカプト基、エポキシ官能基、カルボキシル基、ケト基、エナミン基、アミノ基、アミノエチルアミノ基、イソシアナート基、アリールオキシ基、アルコキシシリル基、ヒドロキシル基で置換することも可能である。
【0012】
適切な重合性基Rは2〜8個の炭素原子を有するアルケニルラジカルである。こういった重合性基の例はビニル、アリル、ブテニル、スチリル及びアクリロイルオキシアルキル及びメタクリロイルオキシアルキル基であり、アルキルラジカルは1〜4個の炭素原子を含有する。ビニル基、3−メタクリロイルオキシプロピル、3−アクリロイルオキシプロピル、メタクリロイルオキシメチル及びアクリロイルオキシメチル基が好ましい。
【0013】
α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ(3−アクリロイルオキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ(3−メタクリロイルオキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ(アクリロイルオキシメチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ(メタクリロイルオキシメチル)ポリジメチルシロキサンが好ましい。不飽和基で一置換しただけのシリコーンである場合、α−モノビニルポリジメチルシロキサン、α−モノ(3−アクリロイルオキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、α−モノ(アクリロイルオキシメチル)ポリジメチルシロキサン及びα−モノ(3−メタクリロイルオキシプロピル)ポリジメチルシロキサンが好ましい。単官能性ポリジメチルシロキサンの場合、アルキル又はアルコキシラジカル、例えばメチル又はブチル又はメトキシラジカルが鎖のもう一方の末端に存在する。
【0014】
EP−A614924に記載の重合性シリコーンマクロマーも好ましい。
【0015】
α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン、α−モノ(3−メタクリロイルオキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ(3−アクリロイルオキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ(3−メタクリロイルオキシプロピル)ポリジメチルシロキサンがシリコーンマクロマーとして最も好ましい。
【0016】
少なくとも3つの繰り返し単位と重合に適した1つ以上のアルケニル基を有するポリアルキレンオキシドが不飽和ポリエーテルとして適している。不飽和基はビニル、アリル、スチリル、メタクリロイル又はアクリロイル基であってもよく、好ましくは鎖の末端部に在る。ポリエーテルの親水性アルキレンオキシド単位は1〜8個の炭素原子を有するものであり、同一又は異なっていてもよく、ランダム又はブロック状に分布していてもよい。好ましいアルキレンオキシド単位はエチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドであり、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びその混合物が特に好ましい。3〜1000繰り返し単位の鎖長さが好ましい。α,ω−ジビニルポリエーテル、α,ω−ジアリルポリエーテル及びα,ω−ジ(メタ)アクリロイルポリエーテルが適切である。不飽和基で一置換しただけのポリエーテルの場合、α−モノビニルポリエーテル、α−モノアリルポリエーテル、α−モノ(メタ)アクリロイルポリエーテルが好ましい。単官能性ポリエーテルの場合、1〜6個の炭素原子を有するアルキルラジカル又はヒドロキシル基が鎖のもう一方の末端に在る。
【0017】
ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノアクリレート又はポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレートが不飽和ポリエーテルとして最も好ましい。
【0018】
1〜15個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキルカルボン酸のビニルエステル、1〜15個の炭素原子を有するアルコールの(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニル芳香族、オレフィン、ジエン、ハロゲン化ビニル、ビニルケトン、ビニルエーテル、重合性シラン、不飽和モノ−及びジカルボン酸又はその塩、エチレン性不飽和カルボキサミド及びカルボニトリル、フマル酸とマレイン酸のモノエステル及びジエステル、エチレン性不飽和スルホン酸又はその塩、エチレン性不飽和リン含有モノマー及びカチオン性モノマーから成る群のうちの1つ以上のモノマーがエチレン性不飽和モノマーとして適切である。
【0019】
適切なビニルエステルは1〜15個の炭素原子を有する直鎖又は分岐カルボン酸のビニルエステルである。好ましいビニルエステルは酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ビニル2−エチルヘキサノエート、ラウリン酸ビニル、1−メチルビニルアセテート、ピバル酸ビニル、及び5〜13個の炭素原子を有するα−分岐モノカルボン酸のビニルエステル、例えばVeoVa9(登録商標)又はVeoVa10(登録商標)(Resolution Performance Products社の商標名)である。酢酸ビニルが特に好ましい。
【0020】
アクリル酸又はメタクリル酸のエステルから成る群における適切なモノマーは1〜15個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルコールのエステルである。好ましいメタクリレート又はアクリレートはメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、n−、イソ−及びtert−ブチルアクリレート、n−、イソ−及びtert−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート及びノルボルニルアクリレートである。メチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−、イソ−及びtert−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート及びノルボルニルアクリレートが特に好ましい。
【0021】
適切なジエンは1,3−ブタジエンとイソプレンである。共重合性オレフィンの例はエテンとプロペンである。スチレンとビニルトルエンはビニル芳香族として共重合可能である。ハロゲン化ビニルから成る群において、塩化ビニル、塩化ビニリデン又はフッ化ビニルが通常使用され、好ましくは塩化ビニルである。
【0022】
適切なエチレン性不飽和モノ及びジカルボン酸又はその塩は、例えば、クロトン酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、及びマレイン酸である。適切なエチレン性不飽和カルボキサミド及びカルボニトリルはアクリルアミドとアクリロニトリルである。ジエチル及びジイソプロピルエステル及び無水マレイン酸をフマル酸及びマレイン酸のモノ及びジエステルとして使用することが可能である。エチレン性不飽和スルホン酸及びその塩は、好ましくはビニルスルホン酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸である。ビニルホスホネートをエチレン性不飽和リン含有モノマーとして使用可能である。例えば、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド(DADMAC)、3−トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドクロライド(MAPTAC)及び2−トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートクロライドをカチオン性モノマーとして用いる。
【0023】
適切な重合性シランは、γ−アクリロイル及びγ−メタクリロイルオキシプロピルトリ(アルコキシ)シラン、α−(メタ)アクリロイルオキシメチルトリ(アルコキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジ(アルコキシ)シラン、ビニルアルキルジ(アルコキシ)シラン及びビニルトリ(アルコキシ)シランであり、例えば、メトキシ、エトキシ、メトキシエチレン、エトキシエチレン、メトキシプロピレングリコールエーテル及びエトキシプロピレングリコールエーテルラジカルをアルコキシ基として用いることが可能である。これらの例はビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリス(1−メトキシ)イソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、トリスアセトキシビニルシラン及び3−(トリエトキシシリル)プロピル(無水コハク酸)シランである。
【0024】
更に適切なモノマーは官能化(メタ)アクリレート及び官能化アリル又はビニルエーテル、特にはエポキシ官能性のもの、例えばグリジシルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル又はビニルグリシジルエーテル、又はヒドロキシアルキル官能性のもの、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、又は置換又は非置換アミノアルキル(メタ)アクリレート、又は環状モノマー、例えばN−ビニルピロリドン;又はN−ビニルホルムアミド又はN−ビニルアセトアミドである。
【0025】
適切なモノマーの更に別の例はポリエチレン性不飽和コモノマー等のプレ架橋コモノマー、例えばアジピン酸ジビニル、ジビニルベンゼン、マレイン酸ジアリル、アリルメタクリレート、ブタンジオールジアクリレート又はシアヌル酸トリアリル、又はポスト架橋コモノマー、例えばアクリルアミドグリコール酸(AGA)、メチルアクリルアミドグリコール酸メチルエステル(MAGME)、N−メチロールアクリルアミド(NMA)、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールアリルカルバメート、アルキルエーテル、例えばイソブトキシエーテル又はN−メチロールアクリルアミドの、N−メチロールメタクリルアミドの、又はN−メチロールアリルカルバメートのエステルである。
【0026】
上記の有機モノマーの使用により多数の良好な性質が得られる。このため、その移動性の高さにより、これらはシリコーンマクロマーと不飽和ポリエーテルとの間の結合において架橋を効果的に更に補助するものとなる。更に、有機官能性シリコーンコポリマーの親水性及び疎水性特性は特定のモノマーを選択することで更に制御することができる。有機モノマーにより親水性有機官能性シリコーンコポリマーに(陰イオン及び陽イオン双方の)電荷を導入することも可能である。更に、モノマーの導入と使用により、特にモノマーが官能基を有している場合は基材への接着性が実質的に向上する。互いに反応して結合を形成可能な異なる官能基を有する複数のモノマーを使用する場合は、親水性有機官能性シリコーンコポリマーも架橋可能である。これには強度が増大し得るという利点があり、織物分野で使用する場合、例えば洗濯に対する高い性能を得ることも可能である。そのため、シリコーンマクロマーと不飽和親水性ポリエーテルに加えて有機モノマーを使用することが強く推奨される。
【0027】
通常、1〜99重量%、好ましくは5〜60重量%、特に好ましくは10〜45重量%のシリコーンマクロマーを共重合する。通常、1〜99重量%、好ましくは30〜90重量%、特に好ましくは50〜80重量%の不飽和ポリエーテルを共重合する。通常、0〜98重量%、好ましくは5〜50重量%、特に好ましくは10〜30重量%のエチレン性不飽和モノマーを共重合する。重量%表記のデータは各ケースにおいて、モノマー(シリコーンマクロマー、不飽和ポリエーテル、エチレン性不飽和モノマー)の総重量に基づいたものであり、各ケースとも合計100重量%である。
【0028】
親水性有機官能性シリコーンコポリマーは溶媒の不在下或いは溶媒中で、フリーラジカル開始剤の存在下で調製される。重合温度は、通常、20℃〜150℃、好ましくは40℃〜90℃である。通常、重合は大気圧で行う。エチレン等の室温でガス状であるモノマーの共重合において、この手順は加圧下、通常は1〜100barで行う。通常、重合は固形分で10〜100%、好ましくは20〜60%になるまで行われる。
【0029】
適切なフリーラジカル開始剤は油溶性開始剤、例えばtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、過酸化ジベンゾイル、tert−アミルパーオキシピバレート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカルボネート、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン及びジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカルボネートである。アゾ開始剤、例えばアゾビスイソブチロニトリルも適している。開始剤の使用量は、通常、総モノマー量に対して0.005〜5.0重量%、好ましくは0.1〜3.0重量%である。
【0030】
分子量と重合度の調整は当業者に周知であり、例えば、調整剤の添加、溶媒量、開始剤濃度の変更、温度の変更などにより行うことが可能である。調整剤つまり連鎖移動剤は、例えば、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド又はドデシルメルカプタン等のメルカプト基を含有する化合物である。
【0031】
適切な有機溶媒は、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、石油エーテル、ヘプタン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸メチル、イソプロパノール、エタノール、メタノール、tert−ブタノール、アセトン、トルエン、ベンゼン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル又はp−ジオキサンである。別の適切な溶媒としては水が挙げられるが、適切な有機溶媒との混合物としてのみ用いられる。上記記載の溶媒は単体でも、或いは重合を目的とした様々な比率の混合物としても使用可能である。好ましい溶媒は酢酸エチル、酢酸メチル、アセトン、メチルエチルケトン、エタノール及びイソプロパノールである。イソプロパノールとの溶媒混合物が特に好ましく、酢酸エチルとイソプロパノールとの混合物が最も好ましい。
【0032】
重合は、まず最初に反応混合物の全て又は個々の構成成分を導入する又はまず一部のみ導入し、続いて反応混合物の個々の構成成分をメータリングする、或いは最初の導入を行うことなくメータリングする方法にて行うことができる。好ましい手順において、モノマー総重量に対してモノマー(a)(=シリコーンマクロマー)、(b)(=不飽和ポリエーテル)及び任意の(c)(=有機モノマー)の混合物の3〜40重量%を所望の比率でまず導入し、残りのモノマー(a)、(b)及び任意の(c)を混合物としてメータリングする。まず最初に開始剤の一部、好ましくは3〜50重量%を導入し、残りをメータリングすることが更に好ましい。重合中にその比が常に一定となるようにモノマー(a)、(b)及び任意の(c)を添加することが特に好ましい。
【0033】
重合終了後、公知の方法を用いて後重合を行うことで残留モノマーを除去することが可能である。揮発性残留モノマーと更に別の揮発性構成成分も留去により、好ましくは減圧下にて除去することが可能である。
【0034】
親水性有機官能性シリコーンコポリマーの調製はその組成とそれに伴うその特性に応じて行う。親水性有機官能性シリコーンコポリマーは100%の系として単離、つまり溶媒を全て除去することが可能である。また、親水性有機官能性シリコーンコポリマーを溶液中で使用することが可能である。この場合、重合ですでに用いた溶媒(混合物)を用いる、或いは溶媒を交換して行うことのいずれかが可能である。水溶性又は水分散性親水性有機官能性シリコーンコポリマーの場合、後者が好ましい。ここでは、有機溶媒を留去し、溶媒全てが水に置き換わるまで徐々に水と交換していく。
【0035】
本発明の親水性有機官能性シリコーンコポリマーの組成と疎水性シリコーン鎖に付加された親水性ポリエーテルブロックという独特の組み合わせには幅広い可能性があることから、これらの生成物は実に多くの用途に適している。
【0036】
親水性有機官能性シリコーンコポリマーは分散剤及び乳化剤、好ましくは安定剤又は保護コロイドとして使用される。このため、例えば、シリコーンオイルエマルジョンをこの親水性有機官能性シリコーンコポリマーを用いて安定させることができ、或いはポリウレタンフォームの安定性を劇的に向上させることができる。エマルジョン重合の場合も、親水性有機官能性シリコーンコポリマーを安定剤又は保護コロイドとして添加することが可能である。
【0037】
親水性有機官能性シリコーンコポリマーはヘアスプレー、クリーム、ローション、ジェル、ヘアコンディショナー又は整髪用組成物等の化粧品類の構成成分又は添加物としても適している。
【0038】
親水性有機官能性シリコーンコポリマーは、更に、離型剤及びコーティング材料、例えば離型コーティング分野における滑り性のある(非粘着性)被覆物の製造に適している。これらは、例えば保護コーティング又は汚染防止コーティングとして織物、紙、木材、プラスチック、又はシート及び金属のコーティングにも適している。
【0039】
更に別の使用可能分野としては建築分野においてのセメント含有及びセメント非含有系における添加剤としての使用、及び構造物の保護、特には耐候性コーティング又はシーリング化合物の製造が挙げられる。
【0040】
親水性有機官能性シリコーンコポリマーの研磨剤分野での使用も非常に有益である。親水性有機官能性シリコーンコポリマーは組成によっては消泡効果を有することから、消泡剤の添加物としても使用される。このことから、親水性有機官能性シリコーンコポリマーの塗料及び仕上げ剤における消泡剤としての使用も示唆することができる。親水性有機官能性シリコーンコポリマーは、その組成と使用する系に応じて、変性剤、親水化剤又は撥水剤としても非常に適している。
【0041】
しかしながら、親水性有機官能性シリコーンコポリマーは織物用の親水化柔軟剤として特に適している。合成繊維(例えばポリエステル、ポリアミド又はポリオレフィン繊維)は疎水性が高いことが多いため、水または汗が吸収されない。こういった織物の着用者にとって非常に不快なこの特性は、本発明の親水性有機官能性シリコーンコポリマーで織物繊維または織物を処理することで完全に排除することができる。これにより織物は親水性となり、汗を吸収可能となり、更には織物は心地よい柔らかな肌触りとなる。また、親水性有機官能性シリコーンコポリマーは織物分野においてシワ防止剤としても適しており、つまり織物のシワがこれにより回避される。親水性有機官能性シリコーンコポリマーは例えばティッシュ分野における紙の処理にも推奨され、ティッシュペーパーに柔らかさを付与する。
【0042】
以下の実施例は本発明を更に説明するためのものであり、いかなる場合も本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0043】
酢酸エチル1100.00g、イソプロパノール176.51g、20EO単位と20PO単位を有するポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート22.89g、メチルアクリレート17.17g、及び鎖長(SiOMe繰り返し単位の数)が135のα,ω−ジ(3−メタクリロイルオキシプロピル)ポリジメチルシロキサン17.17gとPPV(tert−ブチルパーピバレート、脂肪族化合物中の75%強度溶液)3.05gをまず3リットルのイカリ型攪拌棒、還流冷却器、メータリング装置を備えたガラスるつぼに導入した。次に、最初に導入した混合物を攪拌棒速度200rpmで70℃まで加熱した。内部温度70℃に到達したら、開始剤(酢酸エチル85.83g及びPPV(脂肪族化合物中の75%強度溶液)12.21gのメータリングを速度21.37ml/時間で開始した。開始剤のメータリング開始から10分後、モノマーメータリング1(メチルアクリレート77.24g及び鎖長(SiOMe繰り返し単位の数)が135のα,ω−ジ(3−メタクリロイルオキシプロピル)ポリジメチルシロキサン154.49g)を速度60.54ml/時間で開始し、モノマーメータリング2(20EO単位と20PO単位を有するポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート205.98gとメチルアクリレート77.24g)を速度72.26ml/時間で開始した。開始剤のメータリングは310分にわたり、2つのモノマーメータリングは240分にわたって行われた(連続して)。メータリング終了後、更に60分間にわたって70℃で後重合を行った。得られた重合体溶液を次に完全に蒸発させた、つまり溶媒を完全に除去した。ほぼ透明のオイル状の親水性有機官能性シリコーンコポリマーが後に残った。
【0044】
親水性有機官能性シリコーンコポリマー(純粋な形)の分析:固形分:99.9%、粘度(ホップラー、酢酸エチル中の10%強度溶液)=2.4mPa・s、DSC測定:融点/結晶点なし、ガラス転移温度Tg=−60.4℃;GPCによる重量平均分子量:M=133 800g/モル。
1H−NMR分光法:遊離の二重結合は検出されなかった。NMRにより求められた親水性有機官能性シリコーンコポリマーの組成は、原材料の組成(ポリエーテルの割合約40重量%、シリコーンの割合約30重量%、ポリメチルアクリレートの割合約30重量%)と測定精度範囲内で一致した。
親水性有機官能性シリコーンコポリマーの水溶液の性質:固形分:34.22%;コロイド状の混濁溶液;ブルックフィールド粘性20(スピンドル2):83mPa・s;平均粒径(ナノサイザー):165nm;コールター:Dn(数平均粒径)0.091μm;Dv(体積平均粒径)0.145μm;表面積47.8m;1%強度水溶液の静的表面張力σ:27.5mN/m。
【実施例2】
【0045】
酢酸エチル431.47g、イソプロパノール208.00g、平均鎖長が168のα,ω−ジ(3−メタクリロイルオキシプロピル)ポリジメチルシロキサン20.04g、10EOを有するポリエチレングリコールモノメタクリレート21.05g、9POを有するポロプロピレングリコールモノメタクリレート21.05g、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)14.03g、グリシジルメタクリレート(GMA)4.01g、及びPPV(脂肪族化合物中の75%強度溶液)5.92gをまず3リットルのイカリ型攪拌棒、還流冷却器、メータリング装置を備えた攪拌ガラスるつぼに導入した。次に、最初に導入した混合物を攪拌棒速度200rpmで70℃まで加熱した。内部温度が70℃に到達したら、開始剤(酢酸メチル53.87g及びPPV22.97g(脂肪族化合物中の75%強度溶液))のメータリングを速度17.35ml/時間で開始した。開始剤のメータリング開始から10分後、モノマーメータリング(平均鎖長が168のα,ω−ジ(3−メタクリロイルオキシプロピル)ポリジメチルシロキサン160.52g、10EOを有するポリエチレングリコールモノメタクリレート168.55g、9POを有するポリプロピレングリコールモノメタクリレート168.55g、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)112.37gとグリシジルメタクリレート(GMA)32.10g)を速度160.52g/時間で開始した。開始剤のメータリングは310分にわたり、モノマーメータリングは240分にわたって行われた。メータリング終了後、更に60分間にわたって70℃で後重合を行った。得られた重合体溶液を次に完全に蒸発させた、つまり溶媒を完全に除去した。ほぼ透明のオイル状の親水性有機官能性シリコーンコポリマーが後に残った。
【0046】
親水性有機官能性シリコーンコポリマー(純粋な形)の分析:固形分:99.8%、粘度(ホップラー、酢酸エチル中の10%強度溶液)=2.6mPa・s、DSC測定:融点/結晶点なし、ガラス転移温度Tg=−40.6℃;GPCによる重量平均分子量:M=120 000g/モル。
1H−NMR分光法:遊離の二重結合は検出されなかった。NMRにより求められた親水性有機官能性シリコーンコポリマーの組成は、原材料の組成と測定精度範囲内で一致した。
親水性有機官能性シリコーンコポリマーの水溶液の性質:固形分:30.5%;コロイド状の若干混濁した溶液(ほぼ透明);ブルックフィールド粘性20(スピンドル2):96mPa・s;平均粒径(ナノサイザー):121nm;コールター:Dn0.041μm;Dv0.105μm;表面積69.8m
1%強度水溶液の静的表面張力σ:31.8mN/m。
備考:親水性有機官能性シリコーンコポリマーは非常に迅速に水中に溶解/分散可能であった。
【実施例3】
【0047】
酢酸エチル730.36g、イソプロパノール117.68g、20EOと20POを有し、末端アリル基により官能化されたポリグリコールエーテル152.58g、酢酸ビニル19.07g、SiOMe繰り返し単位を約133個有するα,ω−ジビニル−官能化ポリジメチルシロキサン114.43g、PPV(脂肪族化合物中の75%強度溶液)2.03gをまず2リットルのイカリ型攪拌棒、還流冷却器、メータリング装置を備えた攪拌ガラスるつぼに導入した。次に、最初に導入した混合物を攪拌棒速度200rpmで70℃まで加熱した。内部温度70℃に到達したら、開始剤(酢酸エチル57.22g及びPPV(脂肪族化合物中の75%強度溶液)8.14g)のメータリングを速度14.25ml/時間で開始した。開始剤のメータリング開始から10分後、モノマーメータリング(酢酸ビニル95.36g)を速度25.64ml/時間で開始した。開始剤のメータリングは310分にわたりモノマーメータリングは240分にわたって行われた。メータリング終了後、更に60分間にわたって70℃で後重合を行った。得られた重合体溶液を次に完全に蒸発させた、つまり溶媒を完全に除去した。混濁した、わずかに透明なオイル状の親水性有機官能性シリコーンコポリマーが後に残った。
【0048】
親水性有機官能性シリコーンコポリマー(純粋な形)の分析:固形分:99.8%、DSC測定:融点/結晶点なし、ガラス転移温度Tg=−55.9℃;GPCによる重量平均分子量:M=18 700g/モル。
1H−NMR分光法:遊離の二重結合は検出されなかった。NMRにより求められた親水性有機官能性シリコーンコポリマーの組成は、原材料の組成と測定精度範囲内で一致した。親水性有機官能性シリコーンコポリマーの水溶液の性質:固形分:28.1%;コロイド状の混濁した溶液;ブルックフィールド粘性20(スピンドル2):20mPa・s;平均粒径(ナノサイザー):126nm;コールター:Dn0.074μm;Dv0.100μm;表面積67.5m
1%強度水溶液の静的表面張力σ:28.8mN/m。
【実施例4】
【0049】
酢酸エチル733.36g、イソプロパノール118.16g、20EOと20POを有し、末端アリル基により官能化されたポリグリコールエーテル153.21g、酢酸ビニル25.55g、SiOMe繰り返し単位を約100個有するα,ω−ジビニル−官能化ポリジメチルシロキサン76.6g、PPV(脂肪族化合物中の75%強度溶液)2.04gをまず2リットルのイカリ型攪拌棒、還流冷却器、メータリング装置を備えた攪拌ガラスるつぼに導入した。次に、最初に導入した混合物を攪拌棒速度200rpmで70℃まで加熱した。内部温度70℃に到達したら、開始剤(酢酸エチル57.45g及びPPV(脂肪族化合物中の75%強度溶液)8.17g)のメータリングを速度14.31ml/時間で開始した。開始剤のメータリング開始から10分後、モノマーメータリング(酢酸ビニル127.66g)を速度34.32ml/時間で開始した。開始剤のメータリングは310分にわたり、モノマーメータリングは240分にわたって行われた。メータリング終了後、更に60分間にわたって70℃で後重合を行った。得られた重合体溶液を次に完全に蒸発させた、つまり溶媒を完全に除去した。混濁したオイル状の親水性有機官能性シリコーンコポリマーが後に残った。
【0050】
親水性有機官能性シリコーンコポリマー(純粋な形)の分析:固形分:99.9%、DSC測定:融点/結晶点なし、ガラス転移温度Tg=−49.6℃;GPCによる重量平均分子量:M=14 400g/モル。
1H−NMR分光法:遊離の二重結合は検出されなかった。NMRにより求められた親水性有機官能性シリコーンコポリマーの組成は、原材料の組成と測定精度範囲内で一致した。親水性有機官能性シリコーンコポリマーの水溶液の性質:固形分:28.8%;コロイド状の混濁した溶液;ブルックフィールド粘性20(スピンドル2):24mPa・s;平均粒径(ナノサイザー):165nm;コールター:Dn0.088μm;Dv0.138μm;表面積50.3m
1%強度水溶液の静的表面張力σ:29.7mN/m。
【実施例5】
【0051】
酢酸エチル721.49g、イソプロパノール116.25g、20EOと20POを有し、末端アリル基により官能化されたポリグリコールエーテル301.45g、SiOMe繰り返し単位を約133個有するα,ω−ジビニル−官能化ポリジメチルシロキサン75.36g、PPV(脂肪族化合物中の75%強度溶液)2.01gをまず2リットルのイカリ型攪拌棒、還流冷却器、メータリング装置を備えた攪拌ガラスるつぼに導入した。次に、最初に導入した混合物を攪拌棒速度200rpmで70℃まで加熱した。内部温度70℃に到達したら、開始剤(酢酸エチル56.52g及びPPV(脂肪族化合物中の75%強度溶液)8.04g)のメータリングを速度14.07ml/時間で開始した。開始剤のメータリングは310分にわたって行われた。メータリング終了後、更に60分間にわたって70℃で後重合を行った。得られた重合体溶液を次に完全に蒸発させた、つまり溶媒を完全に除去した。混濁したオイル状(わずかに透明)の親水性有機官能性シリコーンコポリマーが後に残った。
【0052】
親水性有機官能性シリコーンコポリマー(純粋な形)の分析:固形分:99.7%、DSC測定:融点/結晶点なし、ガラス転移温度Tg=−71.5℃;GPCによる重量平均分子量:M=10 000g/モル。
1H−NMR分光法:不飽和シリコーンマクロマーの二重結合は重合により完全に取り込まれた。NMRにより求められた親水性有機官能性シリコーンコポリマーの組成は、原材料の組成と測定精度範囲内で一致した。親水性有機官能性シリコーンコポリマーの水溶液の性質:固形分:28.6%;乳白色の混濁した溶液;ブルックフィールド粘性20(スピンドル2):17mPa・s;平均粒径(ナノサイザー):247nm;コールター:Dn0.118μm;Dv1.178μm;表面積17.9m
1%強度水溶液の静的表面張力σ:34.6mN/m。
備考:安定した溶液又は分散液;水中での溶解性/分散性は概して良好。
【実施例6】
【0053】
酢酸エチル667.39g、イソプロパノール116.67g、20EOと20POを有し、末端アリル基により官能化されたポリグリコールエーテル245.82g、アクリル酸0.95g、SiOMe繰り返し単位を約133個有するα,ω−ジビニル−官能化ポリジメチルシロキサンを113.46g、PPV(脂肪族化合物中の75%強度溶液)2.02gをまず2リットルのイカリ型攪拌棒、還流冷却器、メータリング装置を備えた攪拌ガラスるつぼに導入した。次に、最初に導入した混合物を攪拌棒速度200rpmで70℃まで加熱した。内部温度70℃に到達したら、開始剤(酢酸エチル56.73g及びPPV(脂肪族化合物中の75%強度溶液)8.07g)のメータリングを速度14.13ml/時間で開始した。開始剤のメータリング開始から10分後、モノマーメータリング(アクリル酸17.96gと酢酸エチル56.73g)を速度20.01ml/時間で開始した。開始剤のメータリングを310分にわたって行い、モノマーメータリングを240分間行った。メータリング終了後、更に60分間にわたって70℃で後重合を行った。得られた重合体溶液を次に完全に蒸発させた、つまり溶媒を完全に除去した。混濁したオイル状の親水性有機官能性シリコーンコポリマーが後に残った。
【0054】
親水性有機官能性シリコーンコポリマー(純粋な形)の分析:固形分:99.8%、DSC測定:融点/結晶点なし、ガラス転移温度Tg=−68.2℃;GPCによる重量平均分子量:M=17 500g/モル。
1H−NMR分光法:遊離の二重結合は検出されなかった。NMRにより求められた親水性有機官能性シリコーンコポリマーの組成は、原材料の組成と測定精度範囲内で一致した。親水性有機官能性シリコーンコポリマーの水溶液の性質:固形分:25.2%;コロイド状のわずかに混濁した溶液;ブルックフィールド粘性20(スピンドル2):15mPa・s;平均粒径(ナノサイザー):135nm;コールター:Dn0.090μm;Dv0.117μm;表面積67.9m
1%強度水溶液の静的表面張力σ:38.6mN/m。
備考:安定した溶液又は分散液;水中での溶解性/分散性は概して非常に良好。
【実施例7】
【0055】
アクリル酸の代わりに同量のジアリルジメチルアンモニウムクロライド(DADMAC)を水中の64%強度溶液の形で使用したことを除き、手順は実施例6と同様であった。
混濁したオイル状の親水性有機官能性シリコーンコポリマーが後に残った。
親水性有機官能性シリコーンコポリマーの分析(純粋な形)の分析:固形分:99.7%、DSC測定:融点/結晶点なし、ガラス転移温度Tg=−71.5℃;GPCによる重量平均分子量:M=21 600g/モル。
親水性有機官能性シリコーンコポリマーの水溶液の性質:固形分:30.0%;コロイド状の混濁した溶液;ブルックフィールド粘性20(スピンドル2):16mPa・s;平均粒径(ナノサイザー):301nm;コールター:Dn0.267μm;Dv0.443μm;表面積67.9m
1%強度水溶液の静的表面張力σ:16.7mN/m。
備考:安定した溶液又は分散液;水中での溶解性/分散性は概して非常に良好。
【実施例8】
【0056】
酢酸エチル842.92g、イソプロパノール131.52g、20EOと20POを有し、末端アリル基により官能化されたポリグリコールエーテル198.7g、SiOMe繰り返し単位を約177個有するα,ω−ジビニル−官能化ポリジメチルシロキサン24.84g、PPV(脂肪族化合物中の75%強度溶液)1.32gをまず2リットルのイカリ型攪拌棒、還流冷却器、メータリング装置を備えた攪拌ガラスるつぼに導入した。次に、最初に導入した混合物を攪拌棒速度200rpmで70℃まで加熱した。内部温度70℃に到達したら、開始剤(酢酸エチル37.26g及びPPV(脂肪族化合物中の75%強度溶液)5.30g)のメータリングを速度9.28ml/時間で開始した。開始剤のメータリング開始からT分後、モノマーメータリング(SiOMe繰り返し単位を約177個有するα,ω−ジビニル−官能化ポリジメチルシロキサンを24.84g)を速度8.28ml/時間で開始した。開始剤のメータリングを310分にわたって行い、モノマーメータリングを180分間行った。メータリング終了後、更に60分間にわたって70℃で後重合を行った。得られた重合体溶液を次に完全に蒸発させた、つまり溶媒を完全に除去した。ほぼ透明なオイル状の親水性有機官能性シリコーンコポリマーが後に残った。
【0057】
親水性有機官能性シリコーンコポリマー(純粋な形)の分析:固形分:99.9%、DSC測定:融点/結晶点なし、ガラス転移温度Tg=−71.4℃;GPCによる重量平均分子量:M=11 200g/モル。
1H−NMR分光法:遊離の二重結合は検出されなかった。NMRにより求められた親水性有機官能性シリコーンコポリマーの組成は、原材料の組成と測定精度範囲内で一致した。親水性有機官能性シリコーンコポリマーの水溶液の性質:固形分:28.4%;ほぼ透明な溶液(最低限のコロイド状濁度);ブルックフィールド粘性20(スピンドル2):19mPa・s;平均粒径(ナノサイザー):168nm;コールター:Dn0.082μm;Dv0.13μm;表面積54.3m
1%強度水溶液の静的表面張力σ:34.5mN/m。
備考:安定した溶液又は分散液;水中での溶解性/分散性は概して非常に良好。
【実施例9】
【0058】
ブチルアルデヒド32.99g、20EOと20POを有し、末端アリル基により官能化されたポリグリコールエーテル577.37g、SiOMe繰り返し単位を約133個有するα,ω−ジビニル−官能化ポリジメチルシロキサン49.49g、酢酸ビニル4.12g、PPV(脂肪族化合物中の75%強度溶液)2.20gをまず2リットルのイカリ型攪拌棒、還流冷却器、メータリング装置を備えた攪拌ガラスるつぼに導入した。次に、最初に導入した混合物を攪拌棒速度200rpmで70℃まで加熱した。内部温度70℃に到達したら、開始剤(PPV(脂肪族化合物中の75%強度溶液)19.8g)のメータリングを速度4.89ml/時間で開始した。開始剤のメータリング開始から10分後、モノマーメータリング1(SiOMe繰り返し単位を約133個有するα,ω−ジビニル−官能化ポリジメチルシロキサンを197.96g)を速度68.03ml/時間で開始し、モノマーメータリング2(ブチルアルデヒド49.49g及び酢酸ビニル37.12g)を速度34.37ml/時間で開始した。開始剤のメータリングを300分にわたって行い、2つのモノマーメータリングを180分間行った。開始剤のメータリング終了後、更に60分間にわたって70℃で後重合を行った。最後に、開始剤の安定剤等の揮発性部分を排出するために真空下で留去を行った。混濁したオイル状の親水性有機官能性シリコーンコポリマーが後に残った。
【0059】
親水性有機官能性シリコーンコポリマー(純粋な形)の分析:固形分:99.8%、DSC測定:融点/結晶点なし、ガラス転移温度Tg=−67.8℃;GPCによる重量平均分子量:M=15 900g/モル。
1H−NMR分光法:遊離の二重結合は検出されなかった。NMRにより求められた親水性有機官能性シリコーンコポリマーの組成は、原材料の組成と測定精度範囲内で一致した。水への溶解性については調査を行わなかった。
【実施例10】
【0060】
酢酸エチル344.39g、イソプロパノール69.14g、20EOと20POを有し、末端アリル基により官能化されたポリグリコールエーテル51.36g、SiOMe繰り返し単位を約177個有するα,ω−ジビニル−官能化ポリジメチルシロキサン15.80g、酢酸ビニル11.85g、PPV(脂肪族化合物中の75%強度溶液)4.21gをまず2リットルのイカリ型攪拌棒、還流冷却器、メータリング装置を備えた攪拌ガラスるつぼに導入した。次に、最初に導入した混合物を攪拌棒速度200rpmで70℃まで加熱した。内部温度70℃に到達したら、開始剤(酢酸エチル118.53g及びPPV(脂肪族化合物中の75%強度溶液)16.86g)のメータリングを速度29.51ml/時間で開始した。開始剤のメータリング開始から10分後、モノマーメータリング1(SiOMe繰り返し単位を約177個有するα,ω−ジビニル−官能化ポリジメチルシロキサン142.23g及び酢酸ビニル106.68g)を速度64.24ml/時間で開始し、モノマーメータリング2(20EOと20POを有し、末端アリル基により官能化されたポリグリコールエーテルを462.26g)を速度115.56ml/時間で開始した。開始剤のメータリングを310分にわたって行い、2つのモノマーメータリングを240分間行った。開始剤のメータリング終了後、更に60分間にわたって70℃で後重合を行った。得られた重合体溶液を次に完全に蒸発させた、つまり溶媒を完全に除去した。わずかに混濁したオイル状の親水性有機官能性シリコーンコポリマーが後に残った。
【0061】
親水性有機官能性シリコーンコポリマー(純粋な形)の分析:固形分:99.8%、DSC測定:融点/結晶点なし、ガラス転移温度Tg=−67.0℃;GPCによる重量平均分子量:M=21 400g/モル。
1H−NMR分光法:遊離の二重結合は検出されなかった。NMRにより求められた親水性有機官能性シリコーンコポリマーの組成は、原材料の組成と測定精度範囲内で一致した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各ケースで少なくとも1つの不飽和基を有する1つ以上のシリコーンマクロマーと、各ケースで少なくとも1つの不飽和基を有する1つ以上のポリエーテルと、任意の1つ以上のエチレン性不飽和モノマーの、溶媒の不在下或いは溶液中でのフリーラジカル重合により得ることができる親水性有機官能性シリコーンコポリマー。
【請求項2】
使用するシリコーンマクロマーが少なくとも5つの繰り返しシロキサン単位を有し、かつフリーラジカル重合可能な少なくとも1つの官能基を有する直鎖、分岐、環状、三次元架橋ポリシロキサンであることを特徴とする、請求項1に記載の親水性有機官能性シリコーンコポリマー。
【請求項3】
使用するシリコーンマクロマーが一般式R3−aSiO(SiRO)SiR3−aを有するシリコーンであり、ここでRは同一又は異なり、一価の、各ケースで1〜18個の炭素原子を有する任意で置換したアルキルラジカル又はアルコキシラジカルであり、Rは重合性基であり、aは0又は1であり、少なくとも1つのaが1であり、nは5〜10 000であることを特徴とする、請求項1に記載の親水性有機官能性シリコーンコポリマー。
【請求項4】
使用するシリコーンマクロマーがα,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ(3−アクリロイルオキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ(3−メタクリロイルオキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ(アクリロイルオキシメチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ(メタクリロイルオキシメチル)ポリジメチルシロキサン、α−モノビニルポリジメチルシロキサン、α−モノ(3−アクリロイルオキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、α−モノ(アクリロイルオキシメチル)ポリジメチルシロキサン及びα−モノ(3−メタクリロイルオキシプロピル)ポリジメチルシロキサンから成る群の1つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の親水性有機官能性シリコーンコポリマー。
【請求項5】
少なくとも3つの繰り返し単位と重合に適した1つ以上のアルケニル基を有するポリアルキレンオキシドを少なくとも1つの不飽和基を有するポリエーテルとして使用することを特徴とする、請求項1〜4に記載の親水性有機官能性シリコーンコポリマー。
【請求項6】
ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタアクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノアクリレート及びポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレートから成る群の1つ以上のポリエーテルを少なくとも1つの不飽和基を有するポリエーテルとして使用することを特徴とする、請求項5に記載の親水性有機官能性シリコーンコポリマー。
【請求項7】
使用するエチレン性不飽和モノマーが1〜15個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキルカルボン酸のビニルエステル、1〜15個の炭素原子を有するアルコールの(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニル芳香族、オレフィン、ジエン、ハロゲン化ビニル、ビニルケトン、ビニルエーテル、重合性シラン、不飽和モノ−及びジカルボン酸又はその塩、エチレン性不飽和カルボキサミド及びカルボニトリル、フマル酸とマレイン酸のモノエステル及びジエステル、エチレン性不飽和スルホン酸又はその塩、エチレン性不飽和リン含有モノマー及びカチオン性モノマーから成る群の1つ以上のモノマーであることを特徴とする、請求項1〜6に記載の親水性有機官能性シリコーンコポリマー。
【請求項8】
5〜60重量%のシリコーンマクロマーと、30〜90重量%の少なくとも1つの不飽和基を有するポリエーテルと、任意で5〜50重量%のエチレン性不飽和モノマーとを共重合し、重量%表記のデータはモノマーの総重量に基づいたものであり、各ケースとも合計100重量%であることを特徴とする、請求項1〜7に記載の親水性有機官能性シリコーンコポリマー。
【請求項9】
各ケースで少なくとも1つの不飽和基を有する1つ以上のシリコーンマクロマーと、各ケースで少なくとも1つの不飽和基を有する1つ以上のポリエーテルと、任意の1つ以上のエチレン性不飽和モノマーの、溶媒の不在下或いは溶液中でのフリーラジカル重合による、請求項1〜8に記載の親水性有機官能性シリコーンコポリマーの生成方法。
【請求項10】
請求項1〜8に記載の親水性有機官能性シリコーンコポリマーの分散剤及び乳化剤としての使用。
【請求項11】
請求項1〜8に記載の親水性有機官能性シリコーンコポリマーの化粧品類の構成成分或いは添加剤としての使用。
【請求項12】
請求項1〜8に記載の親水性有機官能性シリコーンコポリマーの離型剤及びコーティング材としての使用。
【請求項13】
請求項1〜8に記載の親水性有機官能性シリコーンコポリマーのセメント含有及びセメント非含有系における添加剤としての、及び構造体の保護における使用。
【請求項14】
請求項1〜8に記載の親水性有機官能性シリコーンコポリマーの研磨分野における、及び消泡剤における添加剤としての使用。
【請求項15】
請求項1〜8に記載の親水性有機官能性シリコーンコポリマーの変性剤、親水化剤又は撥水剤としての使用。
【請求項16】
請求項1〜8に記載の親水性有機官能性シリコーンコポリマーの織物分野における親水化柔軟剤及びシワ防止剤としての使用。
【請求項17】
請求項1〜8に記載の親水性有機官能性シリコーンコポリマーの紙の処理への使用。

【公表番号】特表2008−542462(P2008−542462A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512851(P2008−512851)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【国際出願番号】PCT/EP2006/065802
【国際公開番号】WO2007/028740
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(507303435)ウァッカー ケミー アーゲー (17)
【Fターム(参考)】