観察装置
【課題】好適な照明条件で斜め観察が可能な観察装置を提供することである。
【解決手段】観察装置11の絞り21は、レンズの光軸23に対して偏心した位置に開口部21aを有する。リング照明部16は、複数の発光素子16aが環状に配置され、それぞれの発光素子16aの光軸は、観察光学系の光軸に対して斜めの方向に設定されている。斜め観察を行う場合には、絞り22の開口部22aを観察面に合った位置に移動し、斜照明の方向を変更して好適な照明方向を設定する。
【解決手段】観察装置11の絞り21は、レンズの光軸23に対して偏心した位置に開口部21aを有する。リング照明部16は、複数の発光素子16aが環状に配置され、それぞれの発光素子16aの光軸は、観察光学系の光軸に対して斜めの方向に設定されている。斜め観察を行う場合には、絞り22の開口部22aを観察面に合った位置に移動し、斜照明の方向を変更して好適な照明方向を設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品や加工物や金属表面などの観察に、顕微鏡やビデオマイクロスコープなどの観察装置が用いられている。顕微鏡やビデオマイクロスコープは、光軸に対して垂直な面の観察はできるが、光軸に対してほぼ平行な面、つまり試料の側面や穴の内周面などを観察することは困難であった。
【0003】
図16は、従来の観察装置の構成を示す図である。観察装置101は、対物レンズ102と結像レンズ103からなる観察光学系と、試料104を載せるステージ105と、同軸落射照明のための光源107と照明レンズ108とハーフミラー109と、絞り110と、撮像部106とからなる。ハーフミラー109と絞り110は、対物レンズ103と結像レンズ102の間に配置されている。
【0004】
次に、上記の観察装置101の動作を説明する。光源107から放射された照明光は、ハーフミラー109で光軸111上に合流して同軸落斜照明を構成する。この同軸落斜照明は、対物レンズ102の焦点位置にある試料104に照射される。試料104で反射された光は、対物レンズ102、絞り110等を介し、結像レンズ103により結像点11で結像される。この結像された像をCCD等からなる撮像素子106で撮像する。
【0005】
光源107から放射された光は、対物レンズ102の焦点位置にある試料上面104aに対して垂直に入射するが、試料104の側面104bは光軸111に対して平行であるため、試料104の側面を観察することはできない。
【0006】
試料104の内面や側面を観察するためには、光軸111に対して試料104を傾けるか、試料104に対して観察装置101の光軸111を傾ける必要がある。
しかしながら、非常に大きな試料104や、媒質中に試料104が浸されているものなどを傾けて固定することは困難である。他方、試料104を傾けずに観察するためには、観察装置101の光学系の光軸111を傾ける必要があり、そのためには観察装置101を動かす機構が必要となる。このような機構は構成が大掛かりになるという欠点がある。さらに、試料104の上面と側面を交互に観察する場合には、その都度、試料104または観察装置101の光軸111を動かす必要があり、操作上の煩わしさが生じる。
【0007】
上記のような問題を解決するために、特許文献1には、試料104の内面及び側面を観察可能な観察装置201について記載されている。
図17は、上記の観察装置201の構成を示す図である。以下、図16と同じ部材には同じ符号を付けてそれらの説明は省略する。
【0008】
図17の観察装置201の絞り202は、光軸111に対して偏心した位置に開口部202aが設けられている。
光源107から放射された光は、開口部202aが光軸111に対して偏心した位置にあるために、対物レンズ103と試料104の上面104aとの間で光軸111に対して角度を持つ。そのため、試料104の上面104aと側面104bが観察可能となる。
【0009】
このように光軸111に対して偏心した開口部202aを有する絞り202を設け、その開口部202aを光軸111に対して垂直な平面上で回転させることで、試料104も観察光学系も動かすことなく、試料104の側面や穴部の内面等を観察することができる。
【0010】
特許文献1の技術によれば、偏心した開口部202aを有する絞り202を用いることで、試料の側面や穴の内周面を、同軸落射照明によって観察することができるが、試料によってはこのような同軸落射照明が観察に適さない場合がある。例えば、試料の側面や穴の内周面上にある凹凸部分やエッジ部分などを観察する場合、同軸落射正面ではコントラストがつきにくいために試料の形状を把握しにくいという問題点があった。
【特許文献1】特開2007ー58199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、好適な照明条件で斜め観察が可能な観察装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の観察装置は、観察物の所定の部位の光学像を得るための観察光学系と、前記観察光学系の光軸から偏心した位置に開口部を有する絞りと、前記絞りを回転させて前記開口部の位置を変更する絞り位置変更手段と、前記光軸に対して傾斜した方向から前記観察物を照明する斜照明手段と、前記斜照明手段の照明の方向を変更する照明方向変更手段とを備える。
【0013】
上記の観察装置において、設定された前記絞りの前記開口部の位置と前記斜照明手段の照明方向の相対位置を示す情報を記憶する記憶手段と、前記絞りの前記開口部の位置が変更されたとき、前記記憶手段に記憶されている相対位置を示す前記情報に基づいて、前記開口部の位置の変更に連動して前記斜照明手段の照明方向を変更するよう前記照明方向変更手段を制御する制御手段を備える。
【0014】
上記の観察装置において、前記斜照明手段の一部の照明光を通過させる第2の開口部を有する遮光手段と、前記絞りの前記開口部の位置が設定されたとき、前記遮光手段の前記第2の開口部の位置を変更して前記斜照明手段から前記観察物に照射される照明の方向を変更する遮光位置変更手段とを備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、好適な照明条件で斜め観察を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。図1及び図2は、第1の実施の形態の観察装置11(例えば、顕微鏡)の構成を示す図である。
図1において、観察装置11は、対物レンズ12と結像レンズ13とからなる観察光学系と、試料(観察物)14を載せるステージ15と、環状に配置された複数の発光素子16aからなるリング照明部16と、撮像部17と、パーソナルコンピュータ(PC)18と、制御部19と、モニタ20とからなる。観察装置11の全体は、図示していないが、弾性体カバーで覆われており、その内部に光学系や照明系が配置されている。対物レンズ12と結像レンズ13の間には絞り21が挿入されている。
【0017】
リング照明部16から放射される斜め方向の照明光は、試料14で反射され対物レンズ12、絞り21、結像レンズ13を経て結像点26で結像され、結像された像がCCD等からなる撮像部17により撮像される。
【0018】
図1は、絞り21が光軸23上に配置されたときの状態を示している。絞り21は、レンズの光軸23に対して偏心した位置に開口部21aを有し、絞り22は、レンズの光軸23と同じ位置に開口部22aを有する。絞り21と絞り22は交換可能であり、モータ25により絞り21と絞り22の交換が行われる。
【0019】
モータ24は、絞り21を回転させて開口部21aの位置を変化させるものである。モータ24及び25は、制御部19により制御される。モータ24と制御部19は、絞り位置変更手段に対応する。
【0020】
リング照明部16は、複数の発光素子16aが環状に配置されており、それぞれの発光素子16aの光軸は、観察光学系の光軸23に対して斜め方向に設定されている。これにより、試料14を光軸23に対して斜め方向から照明することができる。リング照明部16は、斜照明手段に対応し、制御部19は、照明方向変更手段と制御手段に対応する。
【0021】
なお、図1は、絞り21の開口部21aが光軸23の右側の位置に配置され、リング照明部16の右側の発光素子16aが点灯して試料14に照明光L1を照射している場合の例を示し、図2は、リング照明部16の左右の発光素子16aが点灯して試料14に左右から照明光L2、L1を照射している場合の例を示している。
【0022】
図3は、リング照明部16の構成を示す図である。リング照明部16は、中心部に対物レンズ12が挿入できる程度の大きさの開口部16bを有し、その外周に環状に複数の発光素子16aが配置されている。複数の発光素子16aは、図3に示すようにS1〜S4の4つのブロックに分けられており、ブロック単位で点灯、非点灯を制御することができる。図3の状態は、右側のブロックS1の発光素子16aが点灯し、他のブロックS2、S3、S4の発光素子16aは消灯している状態を示している。
【0023】
リング照明部16の各ブロックを点灯または消灯状態にすることで、試料14の照明方向を変化させることができる。例えば、図3の右側のブロックS1を点灯させることで、図1の試料14の右斜め上方から照明することができる。また、図3の下側のブロックS2を点灯させることで、図1の試料14の手前側(試料14の正面14c側)の斜め上方から照明することができる。また、図3の左側のブロックS3を点灯させることで、図1の試料14の左斜め上方から照明することができる。さらに、図3の奥側のブロックS4を点灯させることで、図1の試料14の奥側の斜め上方から照明することができる。このように斜照明の方向を任意に変更できるので、任意の観察面に対して最適な照明条件を設定することができる。
【0024】
図4は、絞り21の構成を示す図である。絞り21は遮光性の材料からなり、中心から偏心した位置に開口部21aを有する。絞り21の中心軸をレンズの光軸23と一致させた状態で、絞り21を回転させることで開口部21aの光軸23に対する位置を任意に変化させることができる。光軸23に対して偏心した位置に開口部21aを配置することで、試料14で反射された光軸23方向の観察光を遮光し、開口部21aを通過した観察光のみを撮像部17に結像させることができる。
【0025】
図5は、制御部19の構成を示す図である。制御部19は、CPU31、ROM32,RAM33等からなる。CPU31、ROM32等はバス34で接続されている。
CPU31は、ROM32に格納されている制御プログラムに従ってリング照明部16の点灯制御、モータ24、25の制御等を行う。CPU31は、観察者による操作部38の操作を操作部I/F35を介して検出すると、照明I/F36とモータ駆動I/F37を介してリング照明部16及びモータ24、25を制御する。また、操作部38で設定されたデータ等をRAM33に格納する。
【0026】
図6は、モニタ20に表示されるGUIの操作画面40(操作部38に含まれる)の一例を示す図である。
画像表示部41には、撮像部17で撮影された試料14の観察画像が表示される。斜め観察ボタン42a、42bは、斜め観察のオン、オフを設定するためのボタンであり、初期状態では、斜め観察オフ状態を示す斜め観察ボタン42bが選択されている。図6の表示状態は、斜め観察がオンに設定された状態を示している。
【0027】
絞り位置バー43は、絞り21の偏心した開口部21aの位置を変更するためのものである。絞り位置バー43は、初期状態では0度の位置に設定されており、絞り位置バー43を右方向または左方向にスライドすることで、絞り21の開口部21aの位置を時計方向または反時計方向に任意の角度回転させることができる。
【0028】
照明位置ボタン44a〜44dはチェックボックス型のボタンであり、この照明位置ボタン44a〜44d内の1つまたは複数のボタンをチェック状態にすることで、リング照明部16の該当するブロックを点灯させることができる。
【0029】
照明位置ボタン44a〜44dは、図3のリング照明部16のブロックS1〜S4と1対1に対応付けられており、例えば、照明位置ボタン44aをチェック状態にすると、図3のリング照明部16のブロックS1の発光素子16aが点灯状態となる。また、照明位置ボタン44bをチェック状態にすると、リング照明部16のブロックS2の発光素子16aが点灯状態となる。
【0030】
図6の例は、照明位置ボタン44aと44dがチェック状態となっているので、図3のリング照明部16のブロックS4とブロックS3の表示素子16aが点灯状態となる。
なお、絞り位置と照明位置の指定は、GUI画面による表示を用いる方法に限らず、スイッチ等を直接操作しても良い。
【0031】
次に、斜め観察時の観察装置11の動作を、図7のフローチャートを参照して説明する。図7のフローチャートは、観察者の操作と制御部19が行う処理の両方を含んでいる。
試料14の側面を観察したい場合には、観察者は、モニタ20の設定画面40に表示される斜め観察ボタン42aをオン状態にする(図7、S11)。
【0032】
斜め観察ボタン42aがオン状態に設定されたことを検出すると、制御部19は、偏心した開口部21aを有する絞り21を光軸上に配置する指示をモータ24に出す(S12)。通常の観察時には、中心部に開口部22aを有する絞り22が光軸23上に配置されている。
【0033】
モータ24は、それまで光軸23の位置にあった絞り22を外し、代わりに偏心した開口部21aを有する絞り21を光軸23の位置に移動させる。
制御部19は、絞り21が光軸23の位置に移動完了したことを示す信号を検出したか否かを判定する(S13)。移動が完了したことを示す信号を検出したときには、次のステップS14において、絞り位置バー43の入力操作を有効にする。
【0034】
絞り位置バー43の操作を検出したときには、絞り位置バー43で指示される角度に絞り21を回転させる(S15)。
次に、制御部19は、照明位置ボタン44a〜44dで指定される位置の発光素子16aを点灯させ、指示された斜め方向から試料14を照明する(S16)。
【0035】
ここで、以上のような構成を有する観察装置11の動作を説明する。電源投入時の初期状態では、設定画面40(図6参照)の斜め観察ボタン42bが選択され、中心部に開口部22aを有する絞り22が光軸23の位置に挿入されている。また、初期状態では、照明位置ボタン44a〜44dが全てチェック状態となり、リング照明16は全てのブロックが点灯状態になっている。
【0036】
観察者が斜め観察ボタン42aを選択すると、絞り22の代わりに偏心した開口部21aを有する絞り21が光軸23の位置に挿入され、絞り位置バー43が有効となる。
次に、観察者は、斜め観察を行うために、絞り位置バー43を操作して絞り21の開口部21aの位置を指定する。
【0037】
絞り位置バー43の操作を検出すると、制御部19は、絞り位置バー43の操作量に応じた回転角をモータ25に指示する。
例えば、図1に示すように試料14の右側面14aを観察したい場合には、絞り位置バー43を0°の位置に設定し、絞り21の開口部21aの位置として光軸23に対して右側に偏心した位置を指定する。観察者の操作に従って、制御部19は、絞り21の開口部21aが光軸23の右側の位置に来るようにモータ24に指示する。
【0038】
絞り位置バー43による観察位置の設定が終了すると、次に観察者は、照明位置ボタン44a〜44d(以下、照明位置ボタン44a〜44dを総称して照明位置ボタン44と呼ぶ)を操作して照明方向を決定する。
【0039】
照明位置ボタン44の入力に応じて、制御部19は、リング照明部16の点灯位置を制御する。リング照明部16の各ブロックS1〜S4は独立に点灯制御が可能であり、任意の照明方向が選択可能である。
【0040】
試料14の材質や形状によってそれぞれ最適な照明方向が異なる場合でも、観察者は、画像表示部41で観察画像を確認しながら、観察したい部位に最適な照明方向を決めることができる。
【0041】
例えば、図1に示すように、開口部21aが光軸23の右側の位置で、リング照明部16の右側のブロックS1を点灯させたときには、試料14の右側面14bが斜め上方向から照明される。この場合、斜め上方向から照明しているので、光軸23と同じ方向から照明する場合に比べてコントラストが大きくなる。
【0042】
また、開口部21aの反対側のブロックS3を点灯させた場合には、試料14の左斜め上方向から試料14が照明されるので、試料14の上面14aは明るくなり、右側面14bは影となるのでエッジが強調された観察画像となる。
【0043】
このように試料14の任意の面を観察する場合に、リング照明部16の斜照明の方向を変化させることで、コントラストが大きい、あるいはエッジが強調された斜め観察画像を得ることができる。
【0044】
次に、試料14の観察方向を変更する場合について説明する。この場合、図6の設定画面で絞り位置バー43をスライドさせる。例えば、現在観察している試料14の右側面14bから正面14c(図1参照)に観察面を変更する場合には、絞り位置バー43を90°の位置までスライドさせ、絞り21の開口部21aの位置を時計方向に90°回転させる。制御部19は、絞り位置バー43の位置が0°から90°の位置に変更されたことを検出すると、モータ24に絞り21を+90°回転させる指示を出す。
【0045】
絞り位置バー43を操作して観察箇所を変更してもリング照明部16の照明方向は変化しない。そのため、目的とする観察面(この場合、正面14c)と照明方向は90度ずれている。この場合、観察者が照明位置ボタン44a〜44dを操作して所望の照明方向に変更する必要がある。
【0046】
例えば、観察面を右側面14bから正面14cに変更した場合には、リング照明部16の点灯するブロックを指定する照明位置ボタン44を、正面14cを観察するのに適した照明方向に切り替える。具体的には、それまで右側の照明位置ボタン44bがチェックされた状態から、手前側の照明位置ボタン44cがチェックされた状態に変更する。この結果、リング照明部16のブロックS1が点灯していた状態からブロックS2が点灯する状態に切り替わり照明方向が変化する。
【0047】
上記のような操作を繰り返すことで、斜め観察時に試料14の任意の観察箇所に対して最適な照明条件で観察することができる。
また、絞りの位置と照明方向は独立に設定可能であるので、照明方向を決定した後、絞り21の開口部21aの位置を変更して観察することもできる。
【0048】
上述した第1の実施の形態によれば、光軸23に対して偏心した開口部21aを有する絞り21を用いて試料14の任意の面を観察する場合に、試料14の斜照明の方向を変化させることで、観察面に対して最適な照明条件を設定することができる。これにより、試料14のコントラストが高い観察画像、あるいは凹凸部分やエッジ部分などが強調された観察画像を取得することができる。
【0049】
次に、図8は、第2の実施の形態の観察装置51の構成を示す図である。以下、図1と同じ部材には、同じ符号を付けてそれらの説明は省略する。この第2の実施の形態は、観察方向を変更したときに、変更された方向に連動して斜照明の照明方向が自動的に変更されるものである。
【0050】
観察装置51の絞り52は光軸23を中心に回転可能に取り付けられ、光軸23に対して偏心した位置に開口部52aを有する。絞り52の近傍には、開口部52aの原点位置を検出するための位置センサ53が設けられている。位置センサ53には、フォトインタラプタ等のセンサを用いることができる。位置センサ53は、接触式、非接触式のセンサが使用可能であり、光学式のセンサに限らず磁気式等の他のセンサでも良い。
【0051】
絞り52を回転させるモータ24には、絞り52の回転角度を検出するための回転角度センサ54が設けられている。回転角度センサ54には、ロータリーエンコーダ等を用いることができる。
【0052】
制御部19は、位置センサ53により絞り52が原点位置にあるか否かを検出すると共に、回転角度センサ54によりモータ24の回転角度を検出し、原点位置を基準にした開口部52aの回転角度を算出する。そして、絞り52の開口部52aの位置に合わせてリング照明部16の点灯位置を制御する。
【0053】
図9は、絞り52の構成を示す図である。絞り52は遮光部材からなり、その所定の位置に、原点位置を示す切り欠き部52bが設けられている。位置センサ53は、絞り52を光軸23を中心に回転させたときに、切り欠き部52bが通過する位置に配置されている。位置センサ53は、切り欠き部52bが検出位置に来たとき、制御部19に検出信号を出力する。
【0054】
図10は、モニタ20に表示される操作画面40の一例を示す図である。図10の構成は、基本的には図6と同じであり、異なる点は、観察者が設定した開口部52aの位置とリング照明部16の照明方向を登録する登録ボタン45を有する点である。
【0055】
斜め観察ボタン42aが選択されると、制御部19は、モータ25を駆動し、中央に開口部22がある絞り22を外し、偏心した開口部52を有する絞り52を光軸23の位置に挿入する。次に、モータ24を駆動して絞り52を回転させ、絞り52の切り欠き部52bが位置センサ53の位置に来たといモータ24を停止させる。これにより、絞り52の開口部52aが原点位置に配置される。このとき、絞り位置バー43は0°の位置に設定される。
【0056】
絞り位置バー43の操作が有効になると、観察者は、絞り位置バー43を操作して所望の観察方向を決める。絞り位置バー43が右方向(図10の右矢印方向)にスライドされると、制御部19は、絞り位置バー43の角度に応じてモータ24を回転させる。このときのモータ24の回転角度は、回転角度センサ54により検出され、検出角度が制御部19に通知される。制御部19は、検出角度が目的とする角度となるようにモータ24を制御する。
【0057】
次に、観察者は、照明位置ボタン44を操作して照明方向を決める。特定の照明ボタン44が操作されると、制御部19は、操作された照明ボタン44に対応するブロックの表示素子16aを点灯させ、他のブロックの表示素子16を消灯させる。
【0058】
これにより、観察者は、試料の材質や形状によって、観察したい部位に最適な照明方向を選択することができる。観察者は、絞り位置と照明方向を決めたなら登録ボタン45を操作する。制御部19は、登録ボタン45の操作を検出すると、そのとき設定されている絞り位置と照明方向の相対位置を算出し、相対位置を示す情報をRAM33に格納する。
【0059】
ここで、登録ボタン45が操作されたときの制御部19の処理動作を、図11及び図12のフローチャートを参照して説明する。図11及び図12のフローチャートには、観察者が行う操作も含めて記載してある。
【0060】
最初に、絞り位置と照明位置を登録する場合の処理内容を、図11を参照して説明する。絞り位置と照明位置の設定が終了したなら、観察者は登録ボタン45を操作する(図11、S21)。
【0061】
制御部19は、絞り位置バー43の設定位置を取得し、絞り52の開口部52aの位置を認識する(S22)。次に、照明位置ボタン44a〜44dの選択状態からリング照明部16の点灯位置情報を取得する(S23)。このステップS23の処理では、例えば、リング照明部16の4つのブロックS1〜S4の内のどのブロックが点灯状態に設定されているかを示す情報を取得する。
【0062】
次に、絞り位置と照明方向の相対位置を示すオフセット値を算出し(S24)、そのオフセット値をメモリに記録する(S25)。オフセット値とは、開口部52aの角度とリング照明部16の点灯状態に設定されているブロックとの角度差である。上記の処理では、オフセット値を絞り位置と照明方向の相対位置を示す情報としてメモリに記憶したが、絞り位置と照明方向を示す1組のデータを相対位置を示す情報としてメモリに記憶しても良い。
【0063】
次に、観察者が、登録ボタン45を押下した後に、絞り位置バー43を再調整した場合の処理動作を、図12を参照して説明する。
観察者が絞り位置バー43を変更すると(図12、S31)、制御部19は、絞り位置バー43の変更量に対応する角度だけ絞り52を回転させるようにモータ24に指示する(S32)。
【0064】
次に、メモリからオフセット値を読み込み(S33)、リング照明部16の新たな点灯位置を、絞り52の回転角度(絞り位置バー43の変更量)とオフセット値から算出する(S34)。そして、算出した照明範囲をリング照明部16に指示する(S35)。
【0065】
ステップS34及び35の処理では、例えば、オフセット値が「0」であれば、絞り位置バー43の変更量(開口部52aの角度の変化量)だけリング照明部16の点灯位置を移動させる。また、オフセット値が「+90」であれば、絞り52の開口部52aの位置との差がオフセット値「+90°」となる位置をリング照明部16の点灯位置として指示する。
【0066】
ここで、絞り52の開口部52aを、図8の光軸23の右側の位置に配置し、そのときリング照明部16のブロックS2とブロックS4を点灯状態に設定した場合を例にとり、観察装置51の動作を説明する。
【0067】
この状態で登録ボタン45が押下されると、制御部19は、初期状態(0°)からの開口部52aの位置の変化量を取得し、さらに、リング照明部16の点灯位置を取得する。この場合、ブロックS2とブロックS4が点灯しているので、開口部52aに対してそれぞれ時計回りに90°の位置と、反時計回りに90°の位置のブロックを照明方向として取得する。そして、それらの相対位置関係を示す角度差をオフセット値としてメモリに記録する。
【0068】
次に、斜め観察の方向を変更するために絞り位置バー43を90°の位置に変更する。絞り位置バー43が90°の位置に変更されると、絞り52の開口部52aは、図1の右側から正面の位置に移動する。このときの観察側面は、試料14の正面14c(図8参照)となる。
【0069】
制御部19は、絞り52の回転角度である90°とオフセット値から新たな照明方向を計算する。この場合、絞り52の変更された開口部52aの位置にオフセット値の+90°と−90°を加算した位置になるブロックS3、S1を新たな照明方向として設定する(図3参照)。この照明方向の変更に応じて、制御部19は、設定画面40のブロックS3、S1に対応する照明位置ボタン44a、44bを選択状態に変更する。
【0070】
このように、絞り52の開口部52aの位置と、リング照明部16の点灯位置の角度差をオフセット値として記憶しておくことで、観察方向を変更するために絞り52の位置を変更したときに、リング照明部16の照明の方向を絞り位置の変更に連動して自動的に変更することができる。
【0071】
上述した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加え以下の効果が得られる。斜め観察の方向を変更したときに、その変更に連動して斜照明の照明方向(リング照明部16の照明の方向)を自動的に変更することができるので、観察者が観察方向を変える毎に照明方向を変更する操作を行う必要が無くなり作業性が向上する。特に、同じ形状の複数の試料の特定部位を観察方向を切り替えて繰り返し観察するルーチン検査などにおいて、観察者の操作上の負担を大幅に軽減することができる。
【0072】
次に、図13は、第3の実施の形態の観察装置61の構成を示す図である。図13において、図1と同じ部材には同じ符号を付けてそれらの説明は省略する。この第3の実施の形態は、遮光部材62によりリング照明部16の照明方向を制限するものである。
【0073】
遮光部材62は、薄い円形の板でできており、光軸23と同心の開口部62aと、光軸23と偏心した位置にある開口部62bを有する。
モータ63は、絞り62を着脱するためのものである。モータ64は、遮光部材62を光軸23を中心に回転させるためのものである。モータ64には、遮光部材62の回転角度を検出するための回転角度センサ65が取り付けられている。モータ64及び64は、制御部19により制御される。モータ64と制御部19は、遮光位置変更手段に対応する。
【0074】
遮光部材62の近傍には、遮光部材62の原点位置を検出するための位置センサ66が設けられている。
図14は、遮光部材62を下方向(図13の垂直下方向)から見た図であり、図14にはリング照明部16の発光素子16aも合わせて示してある。
【0075】
リング照明部16は、円周上に環状に複数の発光素子16aが配置されており、その下部に遮光部材62が配置されている。遮光部材62は、中心部の開口部62aと、光軸23に対して偏心した位置にある開口部62bとを有する。また、遮光部材62の外周には、基準位置を検出するための突き出し部62cが設けられている。遮光部材62を回転させたときに突き出し部62cが位置センサ65の検出部を通過するように位置センサ65が配置されている。
【0076】
図15は、モニタ20に表示される第3の実施の形態の操作画面40の一例を示す図である。以下、図6と同じ要素には同じ符号を付けてそれらの説明は省略する。
図15は、斜め照明ボタン46aがオン、斜照明ボタン46aがオンに設定されたときの状態を示している。
【0077】
照明位置バー47は、遮光部材62の偏心した開口部62bの位置を指定するためのものである。この照明位置バー47を右矢印方向にスライドさせると、遮光部材62の開口部62bの時計方向の回転角度が大きくなり、左矢印方向にスライドさせると、反時計方向の回転角度が大きくなる。
【0078】
図15の例は、照明位置バー47が270°の位置に設定されている場合を示しており、この場合の遮光部材62の開口部62bは、図13の正面から見て裏側の位置にある。
次に、絞り位置の調整を行った後、照明の方向を調整する場合の動作を説明する。観察者は、斜照明ボタン46aをオンに設定して斜照明の方向を調整する状態にする。斜照明ボタン46aが選択されると、制御部19はモータ63を駆動して遮光部材62を光軸23上に挿入する。遮光部材62が光軸23上に配置されると、制御部19はモータ64を駆動して遮光部材62を回転させる。そして、遮光部材62の突き出し部62cが位置センサ53の検出位置まで回転したならモータ24を停止させる。この位置が遮光部材62の原点位置である。遮光部材62が原点位置に移動すると、制御部19は、照明位置バー47を0°の位置に設定する。原点位置への移動が完了した時点で、照明位置バー47が有効となる。
【0079】
遮光部材62が原点位置にあるとき、リング照明部16からの照明光は、遮光部材62の開口部62bを通過した照明光のみとなる。これにより照明方向が制限され斜照明が行われる。図13の例では、遮光部材62の開口部62bが光軸23の右側にあるため、リング照明部16の右側のブロックの照明光L1は、開口部62bを通過して試料14に照射されるが、他の方向からの照明光は遮光部材62により遮られている。
【0080】
観察者が、照明位置バー47の位置を変更すると、制御部19は、照明位置バー47の変更量に応じてモータ64を回転させる。これにより、遮光部材62の開口部62bの位置が変化し、試料14に対する照明方向を変えることができる。
【0081】
次に、操作画面40の登録ボタン45を操作すると、制御部19は、絞り位置バー43の位置から絞り52の開口部52aの位置を取得し、同時に照明位置バー47の位置から照明方向を取得する。そして、絞り52の開口部52aの位置と照明方向の相対位置関係を算出し、両者の差をオフセット値としてメモリに記録する。
【0082】
登録が完了した後、絞り位置バー43が変更されると、制御部19は、変更量に応じてモータ24を駆動して絞り52を回転させる。制御部19は、絞り位置バー43の設定角度と、メモリに記憶してあるオフセット値に基づいて、遮光部材62の開口部62bの角度を算出する。そして、モータ64をその角度分だけ回転させる。
【0083】
上記のように観察方向を変えるために絞り52の開口部52aの位置が変更されると、その位置の変更に連動して遮光部材62の開口部62bの位置が自動的に変更され、斜照明の照明方向が変更される。
【0084】
上述した第3の実施の形態は、第1の実施の形態の効果に加え以下のような効果を有する。斜め観察の観察方向の変更に連動して斜照明の方向を自動的に変更することができるので、観察方向を変更する毎に、観察者が照明方向を変更する必要がなくなり、観察の作業性が向上する。
【0085】
本発明は上述した実施の形態に限らず、例えば、以下のように構成しても良い。
(1)上述した実施の形態では、環状に発光素子16が配置されたリング照明部16を用いているが、リング状の照明部に限らず、複数個のスポット照明であっても良い。その場合、複数個のスポット照明を光軸中心に同一円周上で等間隔に配置し、発光面の光軸の角度が同一になるように配置し、複数個のスポット照明を個別に点灯制御する。
(2)実施の形態は、パーソナルコンピュータ18と制御部19を別の装置で構成したが、1つの装置で構成しても良い。
(3)リング照明部16のブロック数は4つに限らず、5以上または3以下でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】第1の実施の形態の観察装置の構成を示す図である。
【図2】第1の実施の形態の観察装置の構成を示す図である。
【図3】リング照明部の構成を示す図である。
【図4】絞りの構成を示す図である。
【図5】制御部の構成を示す図である。
【図6】操作画面の一例を示す図である。
【図7】第1の実施の形態の観察装置の処理動作を示すフローチャートである。
【図8】第2の実施の形態の観察装置の構成を示す図である。
【図9】絞りの構成を示す図である。
【図10】操作画面の一例を示す図である。
【図11】第2の実施の形態の観察装置の処理動作を示すフローチャートである。
【図12】第2の実施の形態の観察装置の処理動作を示すフローチャートである。
【図13】第3の実施の形態の観察装置の構成を示す図である。
【図14】遮光部材の構成を示す図である。
【図15】操作画面の一例を示す図である。
【図16】従来の観察装置の構成を示す図である。
【図17】従来の観察装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0087】
11、51、61 観察装置
12 対物レンズ
13 結像レンズ
14 試料
15 ステージ
16 リング照明部
17 撮像部
18 PC
19 制御部
20 モニタ
21、52 絞り
62 遮光部材−
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品や加工物や金属表面などの観察に、顕微鏡やビデオマイクロスコープなどの観察装置が用いられている。顕微鏡やビデオマイクロスコープは、光軸に対して垂直な面の観察はできるが、光軸に対してほぼ平行な面、つまり試料の側面や穴の内周面などを観察することは困難であった。
【0003】
図16は、従来の観察装置の構成を示す図である。観察装置101は、対物レンズ102と結像レンズ103からなる観察光学系と、試料104を載せるステージ105と、同軸落射照明のための光源107と照明レンズ108とハーフミラー109と、絞り110と、撮像部106とからなる。ハーフミラー109と絞り110は、対物レンズ103と結像レンズ102の間に配置されている。
【0004】
次に、上記の観察装置101の動作を説明する。光源107から放射された照明光は、ハーフミラー109で光軸111上に合流して同軸落斜照明を構成する。この同軸落斜照明は、対物レンズ102の焦点位置にある試料104に照射される。試料104で反射された光は、対物レンズ102、絞り110等を介し、結像レンズ103により結像点11で結像される。この結像された像をCCD等からなる撮像素子106で撮像する。
【0005】
光源107から放射された光は、対物レンズ102の焦点位置にある試料上面104aに対して垂直に入射するが、試料104の側面104bは光軸111に対して平行であるため、試料104の側面を観察することはできない。
【0006】
試料104の内面や側面を観察するためには、光軸111に対して試料104を傾けるか、試料104に対して観察装置101の光軸111を傾ける必要がある。
しかしながら、非常に大きな試料104や、媒質中に試料104が浸されているものなどを傾けて固定することは困難である。他方、試料104を傾けずに観察するためには、観察装置101の光学系の光軸111を傾ける必要があり、そのためには観察装置101を動かす機構が必要となる。このような機構は構成が大掛かりになるという欠点がある。さらに、試料104の上面と側面を交互に観察する場合には、その都度、試料104または観察装置101の光軸111を動かす必要があり、操作上の煩わしさが生じる。
【0007】
上記のような問題を解決するために、特許文献1には、試料104の内面及び側面を観察可能な観察装置201について記載されている。
図17は、上記の観察装置201の構成を示す図である。以下、図16と同じ部材には同じ符号を付けてそれらの説明は省略する。
【0008】
図17の観察装置201の絞り202は、光軸111に対して偏心した位置に開口部202aが設けられている。
光源107から放射された光は、開口部202aが光軸111に対して偏心した位置にあるために、対物レンズ103と試料104の上面104aとの間で光軸111に対して角度を持つ。そのため、試料104の上面104aと側面104bが観察可能となる。
【0009】
このように光軸111に対して偏心した開口部202aを有する絞り202を設け、その開口部202aを光軸111に対して垂直な平面上で回転させることで、試料104も観察光学系も動かすことなく、試料104の側面や穴部の内面等を観察することができる。
【0010】
特許文献1の技術によれば、偏心した開口部202aを有する絞り202を用いることで、試料の側面や穴の内周面を、同軸落射照明によって観察することができるが、試料によってはこのような同軸落射照明が観察に適さない場合がある。例えば、試料の側面や穴の内周面上にある凹凸部分やエッジ部分などを観察する場合、同軸落射正面ではコントラストがつきにくいために試料の形状を把握しにくいという問題点があった。
【特許文献1】特開2007ー58199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、好適な照明条件で斜め観察が可能な観察装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の観察装置は、観察物の所定の部位の光学像を得るための観察光学系と、前記観察光学系の光軸から偏心した位置に開口部を有する絞りと、前記絞りを回転させて前記開口部の位置を変更する絞り位置変更手段と、前記光軸に対して傾斜した方向から前記観察物を照明する斜照明手段と、前記斜照明手段の照明の方向を変更する照明方向変更手段とを備える。
【0013】
上記の観察装置において、設定された前記絞りの前記開口部の位置と前記斜照明手段の照明方向の相対位置を示す情報を記憶する記憶手段と、前記絞りの前記開口部の位置が変更されたとき、前記記憶手段に記憶されている相対位置を示す前記情報に基づいて、前記開口部の位置の変更に連動して前記斜照明手段の照明方向を変更するよう前記照明方向変更手段を制御する制御手段を備える。
【0014】
上記の観察装置において、前記斜照明手段の一部の照明光を通過させる第2の開口部を有する遮光手段と、前記絞りの前記開口部の位置が設定されたとき、前記遮光手段の前記第2の開口部の位置を変更して前記斜照明手段から前記観察物に照射される照明の方向を変更する遮光位置変更手段とを備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、好適な照明条件で斜め観察を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。図1及び図2は、第1の実施の形態の観察装置11(例えば、顕微鏡)の構成を示す図である。
図1において、観察装置11は、対物レンズ12と結像レンズ13とからなる観察光学系と、試料(観察物)14を載せるステージ15と、環状に配置された複数の発光素子16aからなるリング照明部16と、撮像部17と、パーソナルコンピュータ(PC)18と、制御部19と、モニタ20とからなる。観察装置11の全体は、図示していないが、弾性体カバーで覆われており、その内部に光学系や照明系が配置されている。対物レンズ12と結像レンズ13の間には絞り21が挿入されている。
【0017】
リング照明部16から放射される斜め方向の照明光は、試料14で反射され対物レンズ12、絞り21、結像レンズ13を経て結像点26で結像され、結像された像がCCD等からなる撮像部17により撮像される。
【0018】
図1は、絞り21が光軸23上に配置されたときの状態を示している。絞り21は、レンズの光軸23に対して偏心した位置に開口部21aを有し、絞り22は、レンズの光軸23と同じ位置に開口部22aを有する。絞り21と絞り22は交換可能であり、モータ25により絞り21と絞り22の交換が行われる。
【0019】
モータ24は、絞り21を回転させて開口部21aの位置を変化させるものである。モータ24及び25は、制御部19により制御される。モータ24と制御部19は、絞り位置変更手段に対応する。
【0020】
リング照明部16は、複数の発光素子16aが環状に配置されており、それぞれの発光素子16aの光軸は、観察光学系の光軸23に対して斜め方向に設定されている。これにより、試料14を光軸23に対して斜め方向から照明することができる。リング照明部16は、斜照明手段に対応し、制御部19は、照明方向変更手段と制御手段に対応する。
【0021】
なお、図1は、絞り21の開口部21aが光軸23の右側の位置に配置され、リング照明部16の右側の発光素子16aが点灯して試料14に照明光L1を照射している場合の例を示し、図2は、リング照明部16の左右の発光素子16aが点灯して試料14に左右から照明光L2、L1を照射している場合の例を示している。
【0022】
図3は、リング照明部16の構成を示す図である。リング照明部16は、中心部に対物レンズ12が挿入できる程度の大きさの開口部16bを有し、その外周に環状に複数の発光素子16aが配置されている。複数の発光素子16aは、図3に示すようにS1〜S4の4つのブロックに分けられており、ブロック単位で点灯、非点灯を制御することができる。図3の状態は、右側のブロックS1の発光素子16aが点灯し、他のブロックS2、S3、S4の発光素子16aは消灯している状態を示している。
【0023】
リング照明部16の各ブロックを点灯または消灯状態にすることで、試料14の照明方向を変化させることができる。例えば、図3の右側のブロックS1を点灯させることで、図1の試料14の右斜め上方から照明することができる。また、図3の下側のブロックS2を点灯させることで、図1の試料14の手前側(試料14の正面14c側)の斜め上方から照明することができる。また、図3の左側のブロックS3を点灯させることで、図1の試料14の左斜め上方から照明することができる。さらに、図3の奥側のブロックS4を点灯させることで、図1の試料14の奥側の斜め上方から照明することができる。このように斜照明の方向を任意に変更できるので、任意の観察面に対して最適な照明条件を設定することができる。
【0024】
図4は、絞り21の構成を示す図である。絞り21は遮光性の材料からなり、中心から偏心した位置に開口部21aを有する。絞り21の中心軸をレンズの光軸23と一致させた状態で、絞り21を回転させることで開口部21aの光軸23に対する位置を任意に変化させることができる。光軸23に対して偏心した位置に開口部21aを配置することで、試料14で反射された光軸23方向の観察光を遮光し、開口部21aを通過した観察光のみを撮像部17に結像させることができる。
【0025】
図5は、制御部19の構成を示す図である。制御部19は、CPU31、ROM32,RAM33等からなる。CPU31、ROM32等はバス34で接続されている。
CPU31は、ROM32に格納されている制御プログラムに従ってリング照明部16の点灯制御、モータ24、25の制御等を行う。CPU31は、観察者による操作部38の操作を操作部I/F35を介して検出すると、照明I/F36とモータ駆動I/F37を介してリング照明部16及びモータ24、25を制御する。また、操作部38で設定されたデータ等をRAM33に格納する。
【0026】
図6は、モニタ20に表示されるGUIの操作画面40(操作部38に含まれる)の一例を示す図である。
画像表示部41には、撮像部17で撮影された試料14の観察画像が表示される。斜め観察ボタン42a、42bは、斜め観察のオン、オフを設定するためのボタンであり、初期状態では、斜め観察オフ状態を示す斜め観察ボタン42bが選択されている。図6の表示状態は、斜め観察がオンに設定された状態を示している。
【0027】
絞り位置バー43は、絞り21の偏心した開口部21aの位置を変更するためのものである。絞り位置バー43は、初期状態では0度の位置に設定されており、絞り位置バー43を右方向または左方向にスライドすることで、絞り21の開口部21aの位置を時計方向または反時計方向に任意の角度回転させることができる。
【0028】
照明位置ボタン44a〜44dはチェックボックス型のボタンであり、この照明位置ボタン44a〜44d内の1つまたは複数のボタンをチェック状態にすることで、リング照明部16の該当するブロックを点灯させることができる。
【0029】
照明位置ボタン44a〜44dは、図3のリング照明部16のブロックS1〜S4と1対1に対応付けられており、例えば、照明位置ボタン44aをチェック状態にすると、図3のリング照明部16のブロックS1の発光素子16aが点灯状態となる。また、照明位置ボタン44bをチェック状態にすると、リング照明部16のブロックS2の発光素子16aが点灯状態となる。
【0030】
図6の例は、照明位置ボタン44aと44dがチェック状態となっているので、図3のリング照明部16のブロックS4とブロックS3の表示素子16aが点灯状態となる。
なお、絞り位置と照明位置の指定は、GUI画面による表示を用いる方法に限らず、スイッチ等を直接操作しても良い。
【0031】
次に、斜め観察時の観察装置11の動作を、図7のフローチャートを参照して説明する。図7のフローチャートは、観察者の操作と制御部19が行う処理の両方を含んでいる。
試料14の側面を観察したい場合には、観察者は、モニタ20の設定画面40に表示される斜め観察ボタン42aをオン状態にする(図7、S11)。
【0032】
斜め観察ボタン42aがオン状態に設定されたことを検出すると、制御部19は、偏心した開口部21aを有する絞り21を光軸上に配置する指示をモータ24に出す(S12)。通常の観察時には、中心部に開口部22aを有する絞り22が光軸23上に配置されている。
【0033】
モータ24は、それまで光軸23の位置にあった絞り22を外し、代わりに偏心した開口部21aを有する絞り21を光軸23の位置に移動させる。
制御部19は、絞り21が光軸23の位置に移動完了したことを示す信号を検出したか否かを判定する(S13)。移動が完了したことを示す信号を検出したときには、次のステップS14において、絞り位置バー43の入力操作を有効にする。
【0034】
絞り位置バー43の操作を検出したときには、絞り位置バー43で指示される角度に絞り21を回転させる(S15)。
次に、制御部19は、照明位置ボタン44a〜44dで指定される位置の発光素子16aを点灯させ、指示された斜め方向から試料14を照明する(S16)。
【0035】
ここで、以上のような構成を有する観察装置11の動作を説明する。電源投入時の初期状態では、設定画面40(図6参照)の斜め観察ボタン42bが選択され、中心部に開口部22aを有する絞り22が光軸23の位置に挿入されている。また、初期状態では、照明位置ボタン44a〜44dが全てチェック状態となり、リング照明16は全てのブロックが点灯状態になっている。
【0036】
観察者が斜め観察ボタン42aを選択すると、絞り22の代わりに偏心した開口部21aを有する絞り21が光軸23の位置に挿入され、絞り位置バー43が有効となる。
次に、観察者は、斜め観察を行うために、絞り位置バー43を操作して絞り21の開口部21aの位置を指定する。
【0037】
絞り位置バー43の操作を検出すると、制御部19は、絞り位置バー43の操作量に応じた回転角をモータ25に指示する。
例えば、図1に示すように試料14の右側面14aを観察したい場合には、絞り位置バー43を0°の位置に設定し、絞り21の開口部21aの位置として光軸23に対して右側に偏心した位置を指定する。観察者の操作に従って、制御部19は、絞り21の開口部21aが光軸23の右側の位置に来るようにモータ24に指示する。
【0038】
絞り位置バー43による観察位置の設定が終了すると、次に観察者は、照明位置ボタン44a〜44d(以下、照明位置ボタン44a〜44dを総称して照明位置ボタン44と呼ぶ)を操作して照明方向を決定する。
【0039】
照明位置ボタン44の入力に応じて、制御部19は、リング照明部16の点灯位置を制御する。リング照明部16の各ブロックS1〜S4は独立に点灯制御が可能であり、任意の照明方向が選択可能である。
【0040】
試料14の材質や形状によってそれぞれ最適な照明方向が異なる場合でも、観察者は、画像表示部41で観察画像を確認しながら、観察したい部位に最適な照明方向を決めることができる。
【0041】
例えば、図1に示すように、開口部21aが光軸23の右側の位置で、リング照明部16の右側のブロックS1を点灯させたときには、試料14の右側面14bが斜め上方向から照明される。この場合、斜め上方向から照明しているので、光軸23と同じ方向から照明する場合に比べてコントラストが大きくなる。
【0042】
また、開口部21aの反対側のブロックS3を点灯させた場合には、試料14の左斜め上方向から試料14が照明されるので、試料14の上面14aは明るくなり、右側面14bは影となるのでエッジが強調された観察画像となる。
【0043】
このように試料14の任意の面を観察する場合に、リング照明部16の斜照明の方向を変化させることで、コントラストが大きい、あるいはエッジが強調された斜め観察画像を得ることができる。
【0044】
次に、試料14の観察方向を変更する場合について説明する。この場合、図6の設定画面で絞り位置バー43をスライドさせる。例えば、現在観察している試料14の右側面14bから正面14c(図1参照)に観察面を変更する場合には、絞り位置バー43を90°の位置までスライドさせ、絞り21の開口部21aの位置を時計方向に90°回転させる。制御部19は、絞り位置バー43の位置が0°から90°の位置に変更されたことを検出すると、モータ24に絞り21を+90°回転させる指示を出す。
【0045】
絞り位置バー43を操作して観察箇所を変更してもリング照明部16の照明方向は変化しない。そのため、目的とする観察面(この場合、正面14c)と照明方向は90度ずれている。この場合、観察者が照明位置ボタン44a〜44dを操作して所望の照明方向に変更する必要がある。
【0046】
例えば、観察面を右側面14bから正面14cに変更した場合には、リング照明部16の点灯するブロックを指定する照明位置ボタン44を、正面14cを観察するのに適した照明方向に切り替える。具体的には、それまで右側の照明位置ボタン44bがチェックされた状態から、手前側の照明位置ボタン44cがチェックされた状態に変更する。この結果、リング照明部16のブロックS1が点灯していた状態からブロックS2が点灯する状態に切り替わり照明方向が変化する。
【0047】
上記のような操作を繰り返すことで、斜め観察時に試料14の任意の観察箇所に対して最適な照明条件で観察することができる。
また、絞りの位置と照明方向は独立に設定可能であるので、照明方向を決定した後、絞り21の開口部21aの位置を変更して観察することもできる。
【0048】
上述した第1の実施の形態によれば、光軸23に対して偏心した開口部21aを有する絞り21を用いて試料14の任意の面を観察する場合に、試料14の斜照明の方向を変化させることで、観察面に対して最適な照明条件を設定することができる。これにより、試料14のコントラストが高い観察画像、あるいは凹凸部分やエッジ部分などが強調された観察画像を取得することができる。
【0049】
次に、図8は、第2の実施の形態の観察装置51の構成を示す図である。以下、図1と同じ部材には、同じ符号を付けてそれらの説明は省略する。この第2の実施の形態は、観察方向を変更したときに、変更された方向に連動して斜照明の照明方向が自動的に変更されるものである。
【0050】
観察装置51の絞り52は光軸23を中心に回転可能に取り付けられ、光軸23に対して偏心した位置に開口部52aを有する。絞り52の近傍には、開口部52aの原点位置を検出するための位置センサ53が設けられている。位置センサ53には、フォトインタラプタ等のセンサを用いることができる。位置センサ53は、接触式、非接触式のセンサが使用可能であり、光学式のセンサに限らず磁気式等の他のセンサでも良い。
【0051】
絞り52を回転させるモータ24には、絞り52の回転角度を検出するための回転角度センサ54が設けられている。回転角度センサ54には、ロータリーエンコーダ等を用いることができる。
【0052】
制御部19は、位置センサ53により絞り52が原点位置にあるか否かを検出すると共に、回転角度センサ54によりモータ24の回転角度を検出し、原点位置を基準にした開口部52aの回転角度を算出する。そして、絞り52の開口部52aの位置に合わせてリング照明部16の点灯位置を制御する。
【0053】
図9は、絞り52の構成を示す図である。絞り52は遮光部材からなり、その所定の位置に、原点位置を示す切り欠き部52bが設けられている。位置センサ53は、絞り52を光軸23を中心に回転させたときに、切り欠き部52bが通過する位置に配置されている。位置センサ53は、切り欠き部52bが検出位置に来たとき、制御部19に検出信号を出力する。
【0054】
図10は、モニタ20に表示される操作画面40の一例を示す図である。図10の構成は、基本的には図6と同じであり、異なる点は、観察者が設定した開口部52aの位置とリング照明部16の照明方向を登録する登録ボタン45を有する点である。
【0055】
斜め観察ボタン42aが選択されると、制御部19は、モータ25を駆動し、中央に開口部22がある絞り22を外し、偏心した開口部52を有する絞り52を光軸23の位置に挿入する。次に、モータ24を駆動して絞り52を回転させ、絞り52の切り欠き部52bが位置センサ53の位置に来たといモータ24を停止させる。これにより、絞り52の開口部52aが原点位置に配置される。このとき、絞り位置バー43は0°の位置に設定される。
【0056】
絞り位置バー43の操作が有効になると、観察者は、絞り位置バー43を操作して所望の観察方向を決める。絞り位置バー43が右方向(図10の右矢印方向)にスライドされると、制御部19は、絞り位置バー43の角度に応じてモータ24を回転させる。このときのモータ24の回転角度は、回転角度センサ54により検出され、検出角度が制御部19に通知される。制御部19は、検出角度が目的とする角度となるようにモータ24を制御する。
【0057】
次に、観察者は、照明位置ボタン44を操作して照明方向を決める。特定の照明ボタン44が操作されると、制御部19は、操作された照明ボタン44に対応するブロックの表示素子16aを点灯させ、他のブロックの表示素子16を消灯させる。
【0058】
これにより、観察者は、試料の材質や形状によって、観察したい部位に最適な照明方向を選択することができる。観察者は、絞り位置と照明方向を決めたなら登録ボタン45を操作する。制御部19は、登録ボタン45の操作を検出すると、そのとき設定されている絞り位置と照明方向の相対位置を算出し、相対位置を示す情報をRAM33に格納する。
【0059】
ここで、登録ボタン45が操作されたときの制御部19の処理動作を、図11及び図12のフローチャートを参照して説明する。図11及び図12のフローチャートには、観察者が行う操作も含めて記載してある。
【0060】
最初に、絞り位置と照明位置を登録する場合の処理内容を、図11を参照して説明する。絞り位置と照明位置の設定が終了したなら、観察者は登録ボタン45を操作する(図11、S21)。
【0061】
制御部19は、絞り位置バー43の設定位置を取得し、絞り52の開口部52aの位置を認識する(S22)。次に、照明位置ボタン44a〜44dの選択状態からリング照明部16の点灯位置情報を取得する(S23)。このステップS23の処理では、例えば、リング照明部16の4つのブロックS1〜S4の内のどのブロックが点灯状態に設定されているかを示す情報を取得する。
【0062】
次に、絞り位置と照明方向の相対位置を示すオフセット値を算出し(S24)、そのオフセット値をメモリに記録する(S25)。オフセット値とは、開口部52aの角度とリング照明部16の点灯状態に設定されているブロックとの角度差である。上記の処理では、オフセット値を絞り位置と照明方向の相対位置を示す情報としてメモリに記憶したが、絞り位置と照明方向を示す1組のデータを相対位置を示す情報としてメモリに記憶しても良い。
【0063】
次に、観察者が、登録ボタン45を押下した後に、絞り位置バー43を再調整した場合の処理動作を、図12を参照して説明する。
観察者が絞り位置バー43を変更すると(図12、S31)、制御部19は、絞り位置バー43の変更量に対応する角度だけ絞り52を回転させるようにモータ24に指示する(S32)。
【0064】
次に、メモリからオフセット値を読み込み(S33)、リング照明部16の新たな点灯位置を、絞り52の回転角度(絞り位置バー43の変更量)とオフセット値から算出する(S34)。そして、算出した照明範囲をリング照明部16に指示する(S35)。
【0065】
ステップS34及び35の処理では、例えば、オフセット値が「0」であれば、絞り位置バー43の変更量(開口部52aの角度の変化量)だけリング照明部16の点灯位置を移動させる。また、オフセット値が「+90」であれば、絞り52の開口部52aの位置との差がオフセット値「+90°」となる位置をリング照明部16の点灯位置として指示する。
【0066】
ここで、絞り52の開口部52aを、図8の光軸23の右側の位置に配置し、そのときリング照明部16のブロックS2とブロックS4を点灯状態に設定した場合を例にとり、観察装置51の動作を説明する。
【0067】
この状態で登録ボタン45が押下されると、制御部19は、初期状態(0°)からの開口部52aの位置の変化量を取得し、さらに、リング照明部16の点灯位置を取得する。この場合、ブロックS2とブロックS4が点灯しているので、開口部52aに対してそれぞれ時計回りに90°の位置と、反時計回りに90°の位置のブロックを照明方向として取得する。そして、それらの相対位置関係を示す角度差をオフセット値としてメモリに記録する。
【0068】
次に、斜め観察の方向を変更するために絞り位置バー43を90°の位置に変更する。絞り位置バー43が90°の位置に変更されると、絞り52の開口部52aは、図1の右側から正面の位置に移動する。このときの観察側面は、試料14の正面14c(図8参照)となる。
【0069】
制御部19は、絞り52の回転角度である90°とオフセット値から新たな照明方向を計算する。この場合、絞り52の変更された開口部52aの位置にオフセット値の+90°と−90°を加算した位置になるブロックS3、S1を新たな照明方向として設定する(図3参照)。この照明方向の変更に応じて、制御部19は、設定画面40のブロックS3、S1に対応する照明位置ボタン44a、44bを選択状態に変更する。
【0070】
このように、絞り52の開口部52aの位置と、リング照明部16の点灯位置の角度差をオフセット値として記憶しておくことで、観察方向を変更するために絞り52の位置を変更したときに、リング照明部16の照明の方向を絞り位置の変更に連動して自動的に変更することができる。
【0071】
上述した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加え以下の効果が得られる。斜め観察の方向を変更したときに、その変更に連動して斜照明の照明方向(リング照明部16の照明の方向)を自動的に変更することができるので、観察者が観察方向を変える毎に照明方向を変更する操作を行う必要が無くなり作業性が向上する。特に、同じ形状の複数の試料の特定部位を観察方向を切り替えて繰り返し観察するルーチン検査などにおいて、観察者の操作上の負担を大幅に軽減することができる。
【0072】
次に、図13は、第3の実施の形態の観察装置61の構成を示す図である。図13において、図1と同じ部材には同じ符号を付けてそれらの説明は省略する。この第3の実施の形態は、遮光部材62によりリング照明部16の照明方向を制限するものである。
【0073】
遮光部材62は、薄い円形の板でできており、光軸23と同心の開口部62aと、光軸23と偏心した位置にある開口部62bを有する。
モータ63は、絞り62を着脱するためのものである。モータ64は、遮光部材62を光軸23を中心に回転させるためのものである。モータ64には、遮光部材62の回転角度を検出するための回転角度センサ65が取り付けられている。モータ64及び64は、制御部19により制御される。モータ64と制御部19は、遮光位置変更手段に対応する。
【0074】
遮光部材62の近傍には、遮光部材62の原点位置を検出するための位置センサ66が設けられている。
図14は、遮光部材62を下方向(図13の垂直下方向)から見た図であり、図14にはリング照明部16の発光素子16aも合わせて示してある。
【0075】
リング照明部16は、円周上に環状に複数の発光素子16aが配置されており、その下部に遮光部材62が配置されている。遮光部材62は、中心部の開口部62aと、光軸23に対して偏心した位置にある開口部62bとを有する。また、遮光部材62の外周には、基準位置を検出するための突き出し部62cが設けられている。遮光部材62を回転させたときに突き出し部62cが位置センサ65の検出部を通過するように位置センサ65が配置されている。
【0076】
図15は、モニタ20に表示される第3の実施の形態の操作画面40の一例を示す図である。以下、図6と同じ要素には同じ符号を付けてそれらの説明は省略する。
図15は、斜め照明ボタン46aがオン、斜照明ボタン46aがオンに設定されたときの状態を示している。
【0077】
照明位置バー47は、遮光部材62の偏心した開口部62bの位置を指定するためのものである。この照明位置バー47を右矢印方向にスライドさせると、遮光部材62の開口部62bの時計方向の回転角度が大きくなり、左矢印方向にスライドさせると、反時計方向の回転角度が大きくなる。
【0078】
図15の例は、照明位置バー47が270°の位置に設定されている場合を示しており、この場合の遮光部材62の開口部62bは、図13の正面から見て裏側の位置にある。
次に、絞り位置の調整を行った後、照明の方向を調整する場合の動作を説明する。観察者は、斜照明ボタン46aをオンに設定して斜照明の方向を調整する状態にする。斜照明ボタン46aが選択されると、制御部19はモータ63を駆動して遮光部材62を光軸23上に挿入する。遮光部材62が光軸23上に配置されると、制御部19はモータ64を駆動して遮光部材62を回転させる。そして、遮光部材62の突き出し部62cが位置センサ53の検出位置まで回転したならモータ24を停止させる。この位置が遮光部材62の原点位置である。遮光部材62が原点位置に移動すると、制御部19は、照明位置バー47を0°の位置に設定する。原点位置への移動が完了した時点で、照明位置バー47が有効となる。
【0079】
遮光部材62が原点位置にあるとき、リング照明部16からの照明光は、遮光部材62の開口部62bを通過した照明光のみとなる。これにより照明方向が制限され斜照明が行われる。図13の例では、遮光部材62の開口部62bが光軸23の右側にあるため、リング照明部16の右側のブロックの照明光L1は、開口部62bを通過して試料14に照射されるが、他の方向からの照明光は遮光部材62により遮られている。
【0080】
観察者が、照明位置バー47の位置を変更すると、制御部19は、照明位置バー47の変更量に応じてモータ64を回転させる。これにより、遮光部材62の開口部62bの位置が変化し、試料14に対する照明方向を変えることができる。
【0081】
次に、操作画面40の登録ボタン45を操作すると、制御部19は、絞り位置バー43の位置から絞り52の開口部52aの位置を取得し、同時に照明位置バー47の位置から照明方向を取得する。そして、絞り52の開口部52aの位置と照明方向の相対位置関係を算出し、両者の差をオフセット値としてメモリに記録する。
【0082】
登録が完了した後、絞り位置バー43が変更されると、制御部19は、変更量に応じてモータ24を駆動して絞り52を回転させる。制御部19は、絞り位置バー43の設定角度と、メモリに記憶してあるオフセット値に基づいて、遮光部材62の開口部62bの角度を算出する。そして、モータ64をその角度分だけ回転させる。
【0083】
上記のように観察方向を変えるために絞り52の開口部52aの位置が変更されると、その位置の変更に連動して遮光部材62の開口部62bの位置が自動的に変更され、斜照明の照明方向が変更される。
【0084】
上述した第3の実施の形態は、第1の実施の形態の効果に加え以下のような効果を有する。斜め観察の観察方向の変更に連動して斜照明の方向を自動的に変更することができるので、観察方向を変更する毎に、観察者が照明方向を変更する必要がなくなり、観察の作業性が向上する。
【0085】
本発明は上述した実施の形態に限らず、例えば、以下のように構成しても良い。
(1)上述した実施の形態では、環状に発光素子16が配置されたリング照明部16を用いているが、リング状の照明部に限らず、複数個のスポット照明であっても良い。その場合、複数個のスポット照明を光軸中心に同一円周上で等間隔に配置し、発光面の光軸の角度が同一になるように配置し、複数個のスポット照明を個別に点灯制御する。
(2)実施の形態は、パーソナルコンピュータ18と制御部19を別の装置で構成したが、1つの装置で構成しても良い。
(3)リング照明部16のブロック数は4つに限らず、5以上または3以下でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】第1の実施の形態の観察装置の構成を示す図である。
【図2】第1の実施の形態の観察装置の構成を示す図である。
【図3】リング照明部の構成を示す図である。
【図4】絞りの構成を示す図である。
【図5】制御部の構成を示す図である。
【図6】操作画面の一例を示す図である。
【図7】第1の実施の形態の観察装置の処理動作を示すフローチャートである。
【図8】第2の実施の形態の観察装置の構成を示す図である。
【図9】絞りの構成を示す図である。
【図10】操作画面の一例を示す図である。
【図11】第2の実施の形態の観察装置の処理動作を示すフローチャートである。
【図12】第2の実施の形態の観察装置の処理動作を示すフローチャートである。
【図13】第3の実施の形態の観察装置の構成を示す図である。
【図14】遮光部材の構成を示す図である。
【図15】操作画面の一例を示す図である。
【図16】従来の観察装置の構成を示す図である。
【図17】従来の観察装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0087】
11、51、61 観察装置
12 対物レンズ
13 結像レンズ
14 試料
15 ステージ
16 リング照明部
17 撮像部
18 PC
19 制御部
20 モニタ
21、52 絞り
62 遮光部材−
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察物の所定の部位の光学像を得るための観察光学系と、
前記観察光学系の光軸から偏心した位置に開口部を有する絞りと、
前記絞りを回転させて前記開口部の位置を変更する絞り位置変更手段と、
前記光軸に対して傾斜した方向から前記観察物を照明する斜照明手段と、
前記斜照明手段の照明の方向を変更する照明方向変更手段とを備える観察装置。
【請求項2】
設定された前記絞りの前記開口部の位置と前記斜照明手段の照明方向の相対位置を示す情報を記憶する記憶手段と、
前記絞りの前記開口部の位置が変更されたとき、前記記憶手段に記憶されている相対位置を示す前記情報に基づいて、前記開口部の位置の変更に連動して前記斜照明手段の照明方向を変更するよう前記照明方向変更手段を制御する制御手段を備える請求項1記載の観察装置。
【請求項3】
前記絞りの前記開口部の位置と前記斜照明手段の照明方向を指示する操作部と、
前記操作部で指示された前記開口部の位置と前記斜照明手段の照明方向の相対位置を示す前記情報を登録する登録手段とを備える請求項2記載の観察装置。
【請求項4】
前記斜照明手段の一部の照明光を通過させる第2の開口部を有する遮光手段と、
前記絞りの前記開口部の位置が設定されたとき、前記遮光手段の前記第2の開口部の位置を変更して前記斜照明手段から前記観察物に照射される照明の方向を変更する遮光位置変更手段とを備える請求項1記載の観察装置。
【請求項5】
前記斜照明手段は、環状に配列された複数の発光素子からなり、
前記照明方向変更手段は、前記複数の発光素子の内の所定の位置の発光素子を点灯させることで照明方向を変更する請求項1記載の観察装置。
【請求項6】
前記斜照明手段は、円周方向に複数のブロックに分割された複数の発光素子を有し、
前記照明方向変更手段は、前記ブロック単位で点灯を制御することで照明方向を変更する請求項1記載の観察装置。
【請求項1】
観察物の所定の部位の光学像を得るための観察光学系と、
前記観察光学系の光軸から偏心した位置に開口部を有する絞りと、
前記絞りを回転させて前記開口部の位置を変更する絞り位置変更手段と、
前記光軸に対して傾斜した方向から前記観察物を照明する斜照明手段と、
前記斜照明手段の照明の方向を変更する照明方向変更手段とを備える観察装置。
【請求項2】
設定された前記絞りの前記開口部の位置と前記斜照明手段の照明方向の相対位置を示す情報を記憶する記憶手段と、
前記絞りの前記開口部の位置が変更されたとき、前記記憶手段に記憶されている相対位置を示す前記情報に基づいて、前記開口部の位置の変更に連動して前記斜照明手段の照明方向を変更するよう前記照明方向変更手段を制御する制御手段を備える請求項1記載の観察装置。
【請求項3】
前記絞りの前記開口部の位置と前記斜照明手段の照明方向を指示する操作部と、
前記操作部で指示された前記開口部の位置と前記斜照明手段の照明方向の相対位置を示す前記情報を登録する登録手段とを備える請求項2記載の観察装置。
【請求項4】
前記斜照明手段の一部の照明光を通過させる第2の開口部を有する遮光手段と、
前記絞りの前記開口部の位置が設定されたとき、前記遮光手段の前記第2の開口部の位置を変更して前記斜照明手段から前記観察物に照射される照明の方向を変更する遮光位置変更手段とを備える請求項1記載の観察装置。
【請求項5】
前記斜照明手段は、環状に配列された複数の発光素子からなり、
前記照明方向変更手段は、前記複数の発光素子の内の所定の位置の発光素子を点灯させることで照明方向を変更する請求項1記載の観察装置。
【請求項6】
前記斜照明手段は、円周方向に複数のブロックに分割された複数の発光素子を有し、
前記照明方向変更手段は、前記ブロック単位で点灯を制御することで照明方向を変更する請求項1記載の観察装置。
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図15】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図8】
【図13】
【図14】
【図16】
【図17】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図15】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図8】
【図13】
【図14】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−175316(P2009−175316A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−12399(P2008−12399)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]