説明

角度センサの検出信号補正方法

【課題】ホール素子に発生するオフセット電圧値を周囲温度に従って除去し、微小角度の測定精度を向上させる。
【解決手段】ホール素子から成る角度検出用センサ15は磁束密度検出面であるチップ面Tが、磁束方向と平行になる場合をθ=0となるように配置されている。センサ15の出力Vには、定電流Iを供給することで、角度変位θと無関係で内部抵抗に起因するオフセット電圧値O1が発生し、出力Vに重畳している。
オフセット電圧値O1を得るためには、オフラインにおいてセンサ15に無磁界状態で定電流Iを供給しながら温度Δtを変化させて、出力Vのデータを求める。データから温度Δtに対するオフセット電圧値O1のテーブルを作成する。
角度測定中では、周囲温度を測定し、オフセット電圧値O1を記憶したテーブルから求め出力Vから差し引けば、オフセット電圧値O1が除去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホール素子を用い微小角度の測定に適した角度センサの検出信号補正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なホール素子においては、図6に示すように、金属の薄片であるホール素子1の磁束密度検出面であるチップ面Tに対して、直交する磁界の磁束密度をBとし、ホール素子1に定電流Iを流すと、ホール素子1は磁束密度Bによりローレンツ力を受けて起電力を発生する。ホール素子1の起電力である出力Vは、Kをホール係数、dをホール素子の厚みとすると、次の(1)式となる。
V=(K/d)B・I …(1)
【0003】
このホール素子1を角度センサとして使用するには、チップ面Tが磁束方向と交叉する角度をホール素子1の出力として検出する。検出する角度が微小な場合に、ホール素子1のチップ面Tをマグネットによる磁束の向きと平行にしてホール素子1の感度を高める方法が、例えば特許文献1に開示されている。
【0004】
微小な角度変位θを検出する場合は、図7に示すようにホール素子1を磁束密度Bの磁界中に配置し、θ=0では、ホール素子1のチップ面Tが磁束の方向と平行、つまりチップ面Tに対する磁束の方向が0゜となるように配置する。
【0005】
このようにして、ホール素子1のチップ面Tを磁束と平行に配置すると、角度変位θに対する高い感度が得られる。配置したホール素子1が、図8に示すように磁束に対して傾くことで発生するホール素子1の出力Vを計測し、例えば1°の1000分の1程度の分解能を有する角度変位θを、次の(2)式により検出することができる。
V=(K/d)・B・I・sinθ …(2)
【0006】
なお、角度変位θが0°近傍の微小角度とすると、sinθ≒θとなり、(2)式は(2)' 式となる。
V=(K/d)・B・I・θ …(2)'
【0007】
一方、磁束密度Bの補正のために、図8に示すようにホール素子1と同種の基準用ホール素子2を同一磁界、又はその磁束密度に比例する成分が得られるように、そのチップ面Tが磁束の方向と直交するように配置する。基準用ホール素子2に定電流Iを加えると、基準用ホール素子2の出力Vsは、Ksをそのホール係数、厚みをdsとすると、(3)式が得られる。
Vs=(Ks/ds)・B・I …(3)
【0008】
これらの出力V、Vsについて、ホール素子1の出力Vを基準用ホール素子2の出力Vsで除すと、(4)式が得られる。
V/Vs=(K/d)・θ/(Ks/ds) …(4)
【0009】
ここで、K、d、Ks、dsは定数なので、(4)式から磁束密度Bの経時変化などの影響を受けない安定した微小な角度変位θを検出することができる。
【0010】
しかし、ホール素子1、2のホール係数K、Ksは温度の影響を受け易く温度依存性を有するので、多数のホール素子の中から温度特性が揃った一対のホール素子を選別し、ホール素子1、2として周囲温度の変動に対応している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−22485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このようにホール素子の選別を行っても、ホール素子に電流Iを供給することにより角度に依存しないオフセット電圧が発生することが知られている。しかし、図6に示すように配置して出力電圧を求める場合には、ローレンツ力による起電力が大きく、オフセット電圧値は極めて小さいので、一般にはオフセット電圧値は無視されている。
【0013】
しかし、磁束の方向とチップ面Tを平行にした微小角度の測定においては、ホール素子の内部抵抗による無視できない第1のオフセット電圧値が発生する。この第1のオフセット電圧値は周囲温度により変化し、出力V、Vsに重畳して角度測定に誤差を与えており、特に周囲温度が広範囲で変化する場合には対処が必要となる。
【0014】
また、磁束の方向とホール素子1のチップ面Tを平行にした場合には、チップ面Tと直交し磁束に対向するカット面Cでローレンツ力に基づく起電力が発生し、温度変化に応じてホール素子1の出力Vに重畳し、同様に角度測定に誤差を与えていることが分った。
【0015】
本発明の第1の目的は、周囲温度に対応して変動し、ホール素子が有する内部抵抗に基づく電流による第1のオフセット電圧値を演算により除去することにより、微小角度の信号値の誤差を良好に補正する角度センサの検出信号補正方法を提供することにある。
【0016】
本発明の第2の目的は、上述の第1のオフセット電圧値を含み、周囲温度に対応して変動し、ホール素子のカット面によるローレンツ力に起因する第2のオフセット電圧値を演算により除去することにより、微小角度の信号値の誤差を更に良好に補正する角度センサの検出信号補正方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するための本発明に係る角度センサの検出信号補正方法は、磁束を一様に発生する磁界発生機構に対し相対的に回転可能とした軸に取り付け、前記磁界発生機構の磁界方向に対する相対角度を検出するホール素子から成る角度検出用センサを備え、測定角度が0°の零位角度において前記角度検出用センサの磁束密度検出面であるチップ面を前記磁界発生機構からの磁束の方向と平行に配置する角度検出用センサの検出信号補正方法において、オフラインにおいて、無磁界状態で定電流を前記角度検出用センサに供給して、前記角度検出用センサの複数の周囲温度による内部抵抗に起因する第1のオフセット電圧値をそれぞれ測定し、前記第1のオフセット電圧値の温度特性を求める第1のステップと、オンラインでの角度測定中に、温度検出用センサによる周囲温度の測定を行い、前記角度検出用センサの出力から前記温度特性に該当する前記第1のオフセット電圧値を除去する補正を行う第2のステップとを有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る角度センサの検出信号補正方法は、磁束を一様に発生する磁界発生機構に対し相対的に回転可能とした軸に取り付け、前記磁界発生機構の磁界方向に対する相対角度を検出するホール素子から成る角度検出用センサを備え、測定角度が0°の零位角度において前記角度検出用センサの磁束密度検出面であるチップ面を前記磁界発生機構からの磁束の方向と平行に配置する角度検出用センサの検出信号補正方法において、オフラインにおいて、前記角度検出用センサを磁界方向と前記角度検出用センサのチップ面が並行になるように前記零位角度に固定し、所定の磁束を発生させた有磁界状態で、定電流を前記角度検出用センサに供給して、前記角度検出用センサの複数の周囲温度による内部抵抗に起因する第1のオフセット電圧値に前記角度検出用センサのカット面によるローレンツ力に起因する起電力を加えた第2のオフセット電圧値をそれぞれ測定し、前記第2のオフセット電圧値の温度特性を求める第1のステップと、オンラインでの角度測定中に、温度検出用センサによる周囲温度の測定を行い、前記角度検出用センサの出力から前記温度特性に該当する前記第2のオフセット電圧値を除去する補正を行う第2のステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る角度センサの検出信号補正方法によれば、ホール素子に発生する第1のオフセット電圧値を周囲温度に従って除去し、微小角度の測定精度を向上させる。
【0020】
また、本発明に係る角度センサの検出信号補正方法によれば、第1のオフセット電圧値を含み、ホール素子のカット面に対する磁束により発生する第2のオフセット電圧値を周囲温度に従って除去し、微小角度の測定精度を更に向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例の縦断面図である。
【図2】実施例の横断面図である。
【図3】軸が回転した状態の説明図である。
【図4】実施例1の温度に対する誤差のグラフ図である。
【図5】実施例2の温度に対する誤差のグラフ図である。
【図6】一般的なホール素子の原理的説明図である。
【図7】ホール素子の磁束密度検出面を磁束と平行に配置した場合の説明図である。
【図8】ホール素子を傾けた場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を図1〜図5に図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0023】
図1において、透磁性材料から成るハウジング11には貫通孔12が設けられ、この貫通孔12には、同様に透磁性材料から成る軸13がベアリング14を介して回転可能に保持されている。軸13には、ホール素子から成る角度検出用センサ15が切欠部等に取り付けられており、軸13には例えば液面計のフロートが連結され、フロートの液位が軸13の微小角度の回転に変換されるようになっている。
【0024】
図2に示すように、貫通孔12の両側には軸13を挟み込むように、磁界発生機構である一対のマグネット16、16’が固定され、貫通孔12内ではN極からS極に向けて磁束密度Bの磁束が一様に発生している。角度検出用センサ15と同種のホール素子から成る基準用センサ17が、ハウジング11の外側又は内側のマグネット16、16’による磁界内に固定され、チップ面Tはマグネット16、16’の磁束方向と直交するように配置されされている。なお、この基準用センサ17は背景技術で説明した基準となるホール素子2に相当している。
【0025】
またハウジング11内には、周囲温度を検出するための例えば測温抵抗体から成る温度検出用センサ18が配置されている。そして、角度検出用センサ15、基準用センサ17、温度検出用センサ18はリード線を介して信号処理部19に接続されている。
【0026】
なお実施例においては、ハウジング11を固定し軸13が回転しているが、ハウジング11が回転し軸13を固定してもよく、磁界方向に対する相対角度を測定すればよい。
【0027】
図3に示すように、角度検出用センサ15はホール素子の磁束密度検出面であるチップ面Tが、マグネット16、16’の磁束方向と平行になる場合をθ=0となる零位角度に配置されている。また、温度検出用センサ18は角度検出用センサ15、基準用センサ17の周囲温度を検出する。信号処理部19は角度検出用センサ15、基準用センサ17に定電流Iを供給し、角度検出用センサ15の出力V、基準用センサ17の出力Vs、温度検出用センサ18の温度信号を検出し、後述するように演算処理して微小な角度変位θを算出する。
【0028】
軸13が回転すると、先に説明した(4)式に従って、2つのセンサ15、17の出力V、Vsを基に、信号処理部19において角度変位θを演算する。
【0029】
しかし、角度検出用センサ15は定電流Iを供給することで、次の(5)式のような角度変位θと無関係で内部抵抗に起因する第1のオフセット電圧値O1、つまり微小な角度変位θの測定においては無視し難い電圧が発生し、出力Vに重畳しているので補正が必要となる。
V=(K/d)・B・I・θ+O1 …(5)
【0030】
この(5)式において、第1のオフセット電圧値O1の影響を受けない出力Vを得るためには、第1のオフセット電圧値O1を出力Vから差し引く処理を行わねばならない。
【0031】
第1のオフセット電圧値O1は定電流Iに比例して発生し、かつこの第1のオフセット電圧値O1を発生させる内部抵抗Rは温度係数αを有しているので、第1のオフセット電圧値O1は基準温度25℃に対する温度変化幅である温度Δtに依存する一次式として近似した(6)式が成立する。
O1=I・R・(1+α・Δt) …(6)
【0032】
この第1のオフセット電圧値O1を得るためには、オフラインにおいて恒温槽などで角度検出用センサ15に無磁界状態、つまりB=0で定電流Iを供給しながら温度Δtを変化させて、出力Vを求める。得られた温度特性のデータから、第1のオフセット電圧値O1を発生する内部抵抗R、温度係数αを算出する。或いは、温度Δtに対する第1のオフセット電圧値O1のテーブルを作成してもよい。なお、このデータを求める場合に、無磁界状態では(5)式の第1項は関係がなくなるので、角度変位θの大きさは何れでもよい。
【0033】
また、基準用センサ17においても、同様にその出力Vsに次の(7)式のように第1の第1のオフセット電圧値O1sが重畳されている。
Vs=(Ks/ds)・B・I+O1s …(7)
【0034】
基準用センサ17のチップ面Tによる内部抵抗をRr、温度係数をαsと
すると、第1のオフセット電圧値O1sは次の(8)式のように表せる。
O1s=I・Rr・(1+αs・Δt) …(8)
【0035】
基準用センサ17の第1のオフセット電圧値O1sについても、無磁界状態において、基準用センサ17に対し温度Δtを変化させてデータを求め、(8)式の内部抵抗Rr、温度係数αsを算出したり、温度Δtに対する第1のオフセット電圧値O1sのテーブルを作成すればよい。
【0036】
オンラインでの角度測定中では、周囲温度を温度検出用センサ18により測定し、第1のオフセット電圧値O1、O1sを算出、又は記憶したテーブルから求めることにより、信号処理部19においてこれらを(5)、(7)式から差し引けば、第1のオフセット電圧値O1、O1sが除去された出力V、Vsが得られる。
【0037】
このような補正をした後に、(4)式と同じ(9)式により、出力V、Vsを演算すれば、温度変動の影響を受けない安定した微小な角度変位θが信号処理部19により得られる。
V/Vs=(K/d)・θ/(Ks/ds) …(9)
【0038】
図4は実施例1の第1のオフセット電圧値O1、O1sを除去した温度Δtの±50℃の範囲における実測したフルスケールに対する誤差(%:フルスケール 1°)の特性E1のグラフ図であり、特性E0は従来例の実測した誤差を示し、特性E1は特性E0と比べて第1のオフセット電圧値O1、O1sによる誤差が補正されている。
【0039】
なお、基準用センサ17については、ローレンツ力に起因する(7)式の第1項の値は、第1のオフセット電圧値O1sよりも十分に大きく、微小な第1のオフセット電圧値O1sは無視することができるので、第1のオフセット電圧値O1sは求めずに、演算においても使用しなくともよい。
【実施例2】
【0040】
角度検出用センサ15により、図3に示すようにチップ面Tが磁束とほぼ平行になるようにして微小の角度変位θを測定する際に、チップ面Tと直交するカット面Cについても磁束密度Bによる影響を受けて、僅かながらも起電力が発生し出力Vに重畳する。本明細書では、第1のオフセット電圧値O1にこの起電力を加えて、第2のオフセット電圧値O2と定義することにする。
【0041】
カット面Cにおける厳密な意味でのローレンツ力は、電流Iと磁束の方向が平行であるために発生しないと考えられるが、ホール素子内では定電流は三次元的に流れ、磁束と直交する方向にも一部の電流が流れると推測され、ローレンツ力による微小な起電力が発生し、この起電力はホール素子特有の温度依存性を有している。
【0042】
なお、カット面Cに対する角度変位θの影響はcosθとして表されるが、角度変位θが極めて小さい範囲においてはcosθ=1とみなすことができる。
【0043】
図4において特性E1として残留している誤差は、主としてこのカット面Cに起因する起電力によるものであり、この起電力は図4からも温度Δtに対し直線的である。従って、この起電力は一定の磁束密度B内において、温度係数をβ、一定値をDとすると、温度Δtに関し一次式であるβ・Δt+Dと近似することができ、角度検出用センサ15の出力Vは、(5)式にこの起電力であるβ・Δt+Dを加えた次の(10)式とすることができる。
V=(K/d)・B・I・θ+O1+β・Δt+D …(10)
【0044】
そして、第2のオフセット電圧値O2は温度係数をγ、一定値をFとすると、次の一次式(11)となる。
O2=O1+β・Δt+D=I・R・(1+α・Δt)+β・Δt+D
=γ・Δt+F …(11)
【0045】
実施例1においては、オフラインで無磁界状態において第1のオフセット電圧値O1、O1sを求めたが、実施例2では第2のオフセット電圧値O2は磁束により変動するので有磁界状態でデータを求める必要があり、更に(10)式の第1項を除去するためにはθ=0とする必要があり、第2のオフセット電圧値O2をこの状態求める。
【0046】
即ち、オフラインで角度検出用センサ15に対し、恒温槽内でθ=0で磁束密度Bの有磁界状態において定電流Iを供給し、温度Δtを変化させて第2のオフセット電圧値O2のデータを求める。このデータから、温度Δtに対する第2のオフセット電圧値O2の一次式の定数γ、Fを算出し、或いは温度Δtに対する第2のオフセット電圧値O2のテーブルを作成する。
【0047】
なお、基準用センサ17の出力Vsではカット面Cによる起電力は生ぜず、また実施例1で説明したように第1のオフセット電圧値O1sは小さいので、実施例1のように求めることもできるが、この実施例2では無視してもよい。
【0048】
オンラインでの角度測定時には、温度検出用センサ18により周囲温度Δtを測定し、記憶している一次式やテーブルを用いて、周囲温度Δtを基に第2のオフセット電圧値O2を求め、角度検出用センサ15の出力Vに重畳している誤差要因である第2のオフセット電圧値O2を除去する補正を信号処理部19により行うことにより、(9)式を基に精度の良い角度変位θが得られる。
【0049】
図5は実施例2の温度Δtに対する角度変位θの実測した誤差(%:フルスケール 1°)の特性E2のグラフ図である。この特性E2は実施例1で得られた特性E1よりも更に良好な補正がなされている。
【符号の説明】
【0050】
11 ハウジング
12 貫通孔
13 軸
14 ベアリング
15 角度検出用センサ
16、16’マグネット
17 基準用センサ
18 温度検出用センサ
19 信号処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁束を一様に発生する磁界発生機構に対し相対的に回転可能とした軸に取り付け、前記磁界発生機構の磁界方向に対する相対角度を検出するホール素子から成る角度検出用センサを備え、測定角度が0°の零位角度において前記角度検出用センサの磁束密度検出面であるチップ面を前記磁界発生機構からの磁束の方向と平行に配置する角度検出用センサの検出信号補正方法において、
オフラインにおいて、無磁界状態で定電流を前記角度検出用センサに供給して、前記角度検出用センサの複数の周囲温度による内部抵抗に起因する第1のオフセット電圧値をそれぞれ測定し、前記第1のオフセット電圧値の温度特性を求める第1のステップと、
オンラインでの角度測定中に、温度検出用センサによる周囲温度の測定を行い、前記角度検出用センサの出力から前記温度特性に該当する前記第1のオフセット電圧値を除去する補正を行う第2のステップとを有することを特徴とする角度センサの検出信号補正方法。
【請求項2】
磁束を一様に発生する磁界発生機構に対し相対的に回転可能とした軸に取り付け、前記磁界発生機構の磁界方向に対する相対角度を検出するホール素子から成る角度検出用センサを備え、測定角度が0°の零位角度において前記角度検出用センサの磁束密度検出面であるチップ面を前記磁界発生機構からの磁束の方向と平行に配置する角度検出用センサの検出信号補正方法において、
オフラインにおいて、前記角度検出用センサを磁界方向と前記角度検出用センサのチップ面が並行になるように前記零位角度に固定し、所定の磁束を発生させた有磁界状態で、定電流を前記角度検出用センサに供給して、前記角度検出用センサの複数の周囲温度による内部抵抗に起因する第1のオフセット電圧値に前記角度検出用センサのカット面によるローレンツ力に起因する起電力を加えた第2のオフセット電圧値をそれぞれ測定し、前記第2のオフセット電圧値の温度特性を求める第1のステップと、
オンラインでの角度測定中に、温度検出用センサによる周囲温度の測定を行い、前記角度検出用センサの出力から前記温度特性に該当する前記第2のオフセット電圧値を除去する補正を行う第2のステップとを有することを特徴とする角度センサの検出信号補正方法。
【請求項3】
前記相対角度は、補正した前記角度検出用センサの出力を、前記磁界発生機構の固定し磁束密度検出面であるチップ面を前記磁束の方向と直交するように配置した基準用センサの出力で除することにより算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の角度センサの検出信号補正方法。
【請求項4】
オフラインにおいて、無磁界状態で定電流を前記基準用センサに供給して、前記基準用センサの複数の周囲温度による内部抵抗に起因する基準用センサのオフセット電圧値をそれぞれ測定し、前記基準用センサのオフセット電圧値の温度特性を求め、
オンラインでの角度測定中に、前記温度検出用センサによる周囲温度の測定を行い、前記基準用センサの出力から前記温度特性に該当する前記基準用センサのオフセット電圧値を除去する補正を行うことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つの請求項に記載の角度センサの検出信号補正方法。
【請求項5】
前記軸は液面計のフロートに連結したことを特徴とする請求項1〜4の何れか1つの請求項に記載の角度センサの検出信号補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−198048(P2012−198048A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60879(P2011−60879)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(390026996)東京計装株式会社 (57)
【Fターム(参考)】