説明

解体作業機械

【課題】解体アタッチメントの解体目標位置への向きを容易に認識することができ、作業の手間を低減する。
【解決手段】解体作業機械のフロントアタッチメントの先端に設けられた解体アタッチメント9には、爪部23a,23bやそれを駆動する油圧シリンダ19a,19bを支持する表裏のフレーム18,18’に夫々収納部27,27’が取り付けられ、夫々にレーザポインタが収納されている。これら収納部27,27’では、その前面側が開口されており、これらレーザポインタから出射されるレーザ光は、収納部27,27’のかかる開口部27a,27a’を介して解体アタッチメント9の前方に照射される。これらレーザ光は、それらの光軸が解体アタッチメント9の中心軸Sに対して同じ角度となるように、照射されるものであって、これにより、これらレーザ光の照射位置の中心が解体アタッチメント9の向きの方向となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントアタッチメントの先端にカッターや破砕工具などの解体アタッチメントが取り付けられ、高層構造物や建造物などの高所での解体対象物の解体作業を行なう解体作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、構造物や建造物の高所部分を解体する解体作業機械には、その作業機本体の上部旋回体に取り付けられるフロントアタッチメントとして、比較的長いものが用いられる。かかるフロントアタッチメントは、この上部旋回体に回動可能にブームが取り付けられ、このブームの先端にアームが回動可能に取り付けられ、このアームの先端にカッターや破砕工具などの解体アタッチメントがアームに対して回動可能に取り付けられた構成をなしており、また、解体アタッチメントは、このアームの長手方向の軸を中心に回動することがてきる。
【0003】
高所の解体対象物の解体作業をする場合には、ブームを立ち上げ、アームの先端に取り付けられた解体アタッチメントが解体対象物に向くように、ブームに対してアームの角度を設定する。
【0004】
ところで、このように高所の解体対象物の解体作業を行なう場合、上部旋回体の運転室で作業操作する作業者がかかる高所の解体対象物を直接目視できなかったり、目視しにくかったりする場合があり、このため、従来かかる解体作業機械にビデオカメラを設置し、このビデオカメラの撮影画像を運転室の表示部で表示することにより、作業者が解体作業現場をこの表示部でモニタすることができるようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この特許文献1に記載の技術は、ブームに吊り下げられた解体アタッチメントとしてのコンクリート破砕機にカメラを取り付けるものであって、解体対象物としての煙突の側面を撮影できるようにし、その撮影画像をみながら解体対象物に対するコンクリート破砕機の位置決めができるようにするものである。
【0006】
かかるビデオカメラを用いた他の従来例としては、上部旋回体側にビデオカメラを配置し、解体作業をするときの解体アタッチメントまたはその近傍を撮像するようにした技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
この特許文献2は、このように、ビデオカメラを上部旋回体側に配置することによって解体作業の現場から離すことにより、作業に際してのビデオカメラの破損や損傷を防止し、ビデオカメラは見上げるようにして解体作業の現場を撮影するものであるから、運転者が見上げるようにしてこの現場をみるのと同様の画像をモニタできるようにするものであって、また、ビデオカメラが解体作業の現場から離れることから、その撮影方向(パン,チルト)やズーム動作の制御を可能としている。
【特許文献1】特公平4ー58548号公報
【特許文献2】特開2004ー132137号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、解体アタッチメントにより、高所の作業現場で解体作業を行なう場合、解体アタッチメントを解体対象物のこれからカットあるいは破砕しようとする個所(以下、解体目標位置という)に正しく位置合わせする必要がある。このためには、解体アタッチメントの解体目標位置に対する向きを正しく設定し、また、解体アタッチメントの解体目標位置への移動方向を正しく設定しなければならない。
【0009】
上記特許文献1,2に記載の技術では、ビデオカメラを用いて解体目標位置や解体アタッチメントあるいは解体アタッチメントの近傍を撮影し、その撮影画像をモニタできるようにしているものであるから、解体対象物での解体目標位置の様子や解体アタッチメントの状態などは把握することができるものの、解体目標位置に対する解体アタッチメントの状態(即ち、解体アタッチメントが解体目標位置の方向に向いているか否かなど)を直接把握することができない。ビデオカメラで解体アタッチメントとこれから解体しようとする解体目標位置とが同時に撮影されたとしても、解体アタッチメントとその解体目標位置との関係は三次元空間内での関係であり、モニタで表示される撮影画像は二次元空間での関係であるから、モニタ画面で解体アタッチメントがその解体目標位置の方向に向いているとしても、必ずしも正しく向いているとは限らない。
【0010】
このために、従来の解体作業機械による解体作業では、モニタ画面を見ながら行なわれるとしても、解体アタッチメントの向きや移動方向を調整しながら解体アタッチメントを解体目標位置に近づける必要があり、手間のかかる操作を必要とするし、また、かかる操作に伴って作業に時間が掛かることになる。
【0011】
本発明の目的は、かかる問題を解消し、解体アタッチメントの解体目標位置への向きを容易に認識することができ、作業の手間を低減することを可能とした解体作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、フロントアタッチメントの先端部に解体アタッチメントが設けられた解体作業機械であって、解体アタッチメントに、この解体アタッチメントの前方にレーザ光を照射するレーザポインタを設けたことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明は、レーザポインタが、解体アタッチメントにおける爪部や該爪部を駆動する油圧シリンダを保持するフレーム上に設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明は、表側のフレームと裏側のフレームとに夫々レーザポインタが設けられ、表側のフレーム上に設けられたレーザポインタからのレーザ光の光軸と、裏側のフレーム上に設けられたレーザポインタからのレーザ光の光軸とが、解体アタッチメントの中心線に対して、同じ角度をなすことを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明は、レーザポインタが、解体アタッチメントにおける爪部や該爪部を駆動する油圧シリンダを保持する2つの表裏のフレーム間に設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明は、2つの表裏のフレーム間に設けられているレーザポインタが、解体アタッチメントの中心線に沿って1個、または、解体アタッチメントの中心線の両側に1個ずつ配置されていることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明は、フロントアタッチメントを構成するアームに、解体アタッチメントの前方のレーザポインタからのレーザ光の照射像を含む領域を撮像するビデオカメラを設け、ビテオカメラの撮影画像を運転室内での表示装置で表示することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、解体アタッチメントの向きの方向にレーザ光を出射するレーザポインタを設け、これにより、解体アタッチメントが向いている方向にレーザ光を照射するものであるから、このレーザ光が当たった対象物でのレーザ光の照射位置の方向が解体アタッチメントが向いている方向となり、解体アタッチメントの向きを容易にかつ確実に確認することができる。
【0019】
また、解体アタッチメントの前方を撮影するビデオカメラを設け、かかるビテーオカメラでレーザ光の照射像を含む領域を撮影し、その撮影画像を運転室の表示装置で表示するものであるから、解体アタッチメントの向きをその撮影画像で認識することができ、作業者が直接目視できない高所で解体作業が行なわれるものであっても、解体アタッチメントの向きを容易にかつ確実に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
【0021】
図1は本発明による解体作業機械の第1の実施形態を示す側面図であって、1は装置本体、2は下部走行体、3は上部旋回体、4は運転室、5はフロントアタッチメント、6はブーム、7は中間アーム、8はアーム、9は解体アタッチメント、10はブーム油圧シリンダ、11は中間アーム油圧シリンダ、12はアーム油圧シリンダ、13は解体アタッチメント油圧シリンダ、14はリンク機構、15はビデオカメラである。
【0022】
同図において、解体作業装置の装置本体1は、前後に走行する下部走行体2とこの下部走行体3に水平面内で旋回可能で、かつ上昇・下降可能に取り付けられた上部旋回体3とから構成されており、この上部旋回体3に、垂直面内で回動可能に(即ち、上下に回動可能に)、フロントアタッチメント5が取り付けられている。
【0023】
このフロントアタッチメント5は、この上部旋回体3に垂直面内で上下に回動可能にブーム6が取り付けられ、このブーム6の先端に上記同じ垂直面内で上下に回動可能に中間アーム7が取り付けられ、さらに、この中間アーム7の先端に上記と同じ垂直面内で上下に回動可能にアーム8が取り付けられ、このアーム8の先端に、リンク機構14を介して、上記と同じ垂直面内で上下に回動可能に解体アタッチメント9が取り付けられた構成をなしている。
【0024】
ブーム6は、このブーム6と上部旋回体3との間に設けられたブーム油圧シリンダ10により、上部旋回体3に対して上下の回動が行なわれ、中間アーム7は、この中間アーム7とブーム6との間に設けられた中間アーム油圧シリンダ11により、ブーム6に対して上下の回動が行なわれ、アーム8は、このアーム8と中間アーム7との間に設けられたアーム油圧シリンダ12により、中間アーム7に対して上下の回動が行なわれ、さらに、解体アタッチメント9は、この解体アタッチメント9とアーム8との間に設けられた解体アタッチメント油圧シリンダ13により、アーム8に対して上下の回動が行なわれる。これらブーム油圧シリンダ10,中間アーム油圧シリンダ11,アーム油圧シリンダ12及び解体アタッチメント油圧シリンダ13は、上部旋回体3の運転室4に設けられた図示しないレバーなどの操作によって制御され、これにより、ブーム6や中間アーム7,アーム8,解体アタッチメント9が、上記のように、回動する。
【0025】
ここで、図示しないが、解体アタッチメント9には、その前方向にレーザ光を照射するレーザポインタが設けられており、また、アーム8には、このレーザポインタのレーザ光の照射方向に沿う方向を撮影方向とするビデオカメラ15が設けられている。従って、このビデオカメラ15は、解体アタッチメント9の向きの前方を撮像するように、その撮影方向が設定されている。なお、解体アタッチメント9は、解体アタッチメント油圧シリンダ13により、アーム8に対して上記の垂直面内で上下方向に回動するが、この回動量は小さいものであって、解体アタッチメント9の向きを調整するためのものである。従って、ビデオカメラ15の撮影方向は、解体アタッチメント9の向きの方向から大きくはずれることはない。
【0026】
ビデオカメラ15の撮影画像は、上部旋回体3の運転室4における図示しない運転席の前方に設けられた表示部で表示され、これにより、運転者は、この運転席に座った状態でこのビデオカメラ15の撮影画像をモニタすることができる。
【0027】
図2は図1に示す第1の実施形態が解体作業を行なう場合の一状態例を示す図であって、16はレーザ光、17は解体対象物、17aは解体目標位置であり、図1に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
【0028】
同図において、解体対象物17の解体目標位置17aを解体する場合、例えば、解体目標位置17aの高さがフロントアタッチメント5の中間アーム7までの高さであるときには、運転室4内で操作者が所定のレバー操作することにより、アーム用油圧シリンダ12を駆動して、中間アーム7に対してアーム8を下方向に回動させ、解体アタッチメント9の向きが解体対象物17の解体目標位置17aの方向になるようにする。
【0029】
ここで、解体アタッチメント9に設けられたレーザポインタ(図示せず)からレーザ光16が解体アタッチメント9の向きの方向に照射されており、また、ビデオカメラ15が解体アタッチメント9の前方を撮影している。解体対象物17での解体アタッチメント9の前方の部分にこのレーザ光16が照射されると、この照射部分がビデオカメラ15で撮影され、運転室4内の表示装置でこの撮影部分の画像が表示されるが、また、この画像内では、解体対象物17の側面とともに、レーザ光16の解体対象物17での照射像も表示される。そして、このことから、作業者は、解体アタッチメント9の向きが解体対象物17での照射像が現れている部分の方向であることを把握できる。
【0030】
そこで、運転室4内の操作者は、ビデオカメラ15の撮影画像を運転室内の表示装置でモニタし、解体対象物17での個所17aをこれから解体する解体目標位置とすると、所定のレバー操作を行なって、ブーム用油圧シリンダ10や中間アーム用油圧シリンダ11,アーム用油圧シリンダ12を駆動することにより、ブーム6や中間アーム7,アーム8の角度を調整して解体アタッチメント9の垂直方向の向きを調整し、また、上部旋回体3の回転用シリンダを駆動させて上部旋回体3の向き、従って、解体アタッチメント9の水平方向の向きを調整することにより、この解体目標位置17aにレーザ光16の照射像が一致させることができる。この場合、解体アタッチメント用油圧シリンダ13は、解体アタッチメント9の垂直方向の向きを微調整するために用いられる。
【0031】
以上のようなレバー操作により、解体目標位置17aにレーザ光16の照射像が一致すると、解体アタッチメント9の向きがこの解体対象物17の解体目標位置17aの方向に正確に向いていることになる。
【0032】
このようにして、解体対象物17のこれから作業する解体目標位置17aが目視できなくとも、あるいは目視しなくとも、表示装置でビデオカメラ15の撮影画像をモニタするだけで、解体アタッチメント9の向きをこの解体目標位置17aの方向に一致させることができ、解体アタッチメント9を確実にこの解体目標位置17aに移動させることができる。
【0033】
図3は図1,図2における解体アタッチメント9の一具体例を示す図であって、同図(a)は上面図、同図(b)は右側面図であり、18,18’はフレーム、19a,19bは油圧シリンダ、20a,20b,20b’はロッド、21a,21bは支持部、22a,22bは回転軸、23a,23bは爪部、24a,24bは回転軸、25a,25bは支持ピン、26,26’はカバー,27,27’はレーザポインタの収納部、27a,27a’は開口である。
【0034】
図3(a)において、解体アタッチメント9の図示される側を表側とし、この表側とは反対の面側を裏側とする。
【0035】
同図(a),(b)において、解体アタッチメント9では、表側のフレーム18と裏側のフレーム18’とは平板状をなし、互いに平行に設けられている。これらフレーム18,18’の先端部間に2個の平板状をなす爪部23a,23bが同一平面状に配置されており、表側のフレーム18の先端部の一方の角部とこれに対向する裏側のフレーム18’の先端部の一方の角部との間に設けられた回転軸24aに一方の爪部23aが回転可能に取り付けられ、表側のフレーム18の先端部の他方の角部とこれに対向する裏側のフレーム18’の先端部の他方の角部との間に設けられた回転軸24bに他方の爪部23ab回転可能に取り付けられている。即ち、爪部23a,23bは夫々、これら回転軸24a,24bを中心に、矢印θa,θbで示すように、回転可能にフレーム18,18’間に取り付けられている。
【0036】
また、このフレーム18,18’の根元部間には、これらフレーム18,18’にわたって取り付けられた支持ピン25aによって油圧シリンダ19aの支持部21aが、この支持ピン25aを中心に回転可能に、支持されており、また、これらフレーム18,18’にわたって取り付けられた他の支持ピン25bによって油圧シリンダ19bの支持部21bが、この支持ピン25bを中心に、回転可能に支持されている。
【0037】
ここで、油圧シリンダ19bには、図3(b)から明らかなように、表側と裏側となるように、2つのロッド20b,20b’が互いに平行に設けられており、これらロッド20b,20b’間において、爪部23bの縁部がこれらロッド20b,20b’間にわたって設けられた回転軸22bに回転可能に取り付けられている。また、同様にして、油圧シリンダ19aには、表側となるロッド20aとこれに平行な裏側となるロッド(図示しないが、これをロッド20a’とする)との2つのロッドが設けられており、これらロッド20aと裏側となるロッド20a’との間において、爪部23aの縁部がこれらロッド20a,20a’間にわたって設けられた回転軸22aに回転可能に取り付けられている。
【0038】
以上の構成により、爪部23a,23bや油圧シリンダ19a,19bなどが表裏のフレーム18,18’によって保持されている。
【0039】
なお、以下では、説明を簡略化するために、図3(a)に示す表側のロッド20a,20bについて説明するが、ロッド20a’,20b’も、同時にこれらロッド20a,20bと同じ動作を行なう。
【0040】
そこで、油圧シリンダ19aが駆動されてそのロッド20aが矢印Xa方向に伸縮すると、爪部23aが、回転軸22a,24aを夫々中心にして、矢印ψa,θa方向に回動し(このとき、油圧シリンダ19aの支持部21aも、支持ピン25aを中心に回動する)、また、油圧シリンダ19bが駆動されてそのロッド20bが矢印Xb方向に伸縮すると、爪部23bが、回転軸22b,24bを中心にして、矢印ψb,θb方向に回動に回動する(このとき、油圧シリンダ19bの支持部21bも、支持ピン25bを中心に回動する)。油圧シリンダ19a,19bは同時に駆動されて、油圧シリンダ19aのロッド20aと油圧シリンダ19bのロッド20bとが同時に伸長し、また、同時に圧縮する。これにより、ロッド20a,20bが伸長したときには、爪部23a,23bは同時に互いに近づく方向に回動することにより、爪部23a,23b間が閉じて図示しない解体対象物を挟み込む状態となり、また、これとは反対の離れる方向に回動することにより、爪部23a,23b間が開いた状態となる。
【0041】
なお、油圧シリンダ19a,爪部23aと油圧シリンダ19b,爪部23bとは、解体アタッチメント9の中心軸Sに沿う垂直中心面SAに関して対称な位置関係で配置されている。この中心軸Sは解体アタッチメント9の向きの方向に沿うものである。
【0042】
表裏側のフレーム18,18’の根元部には、垂直中心面SAが横切る位置に夫々図示しないメンテナンス孔が設けられており、これらは夫々カバー26,26’で覆われている。そして、これらのカバー26,26’上に、レーザポインタ(図示せず)を収納した収納部27,27’が設けられている。
【0043】
収納部27,27’の前面側(即ち、フレーム18,18’の先端側)は開口しており、これら収納部27,27’内に収納されているレーザポインタからのレーザ光16(図2)がその開口部27a,27a’から外部に出射され、外部、即ち、解体アタッチメント9の前方に照射される。この場合、収納部27からのレーザ光16の光軸の解体アタッチメント9の中心軸Sに対する傾斜角度と収納部27’からのレーザ光16の光軸の中心軸Sに対する傾斜角度とが等しくなるようにする。一例として、これらレーザ光の光軸を中心軸Sに平行となるようにしてもよいし、また、収納部27,27’のレーザ光の光軸が中心軸Sと交差する場合には、夫々のレーザ光光軸が中心軸Sの同じ位置で交差するようにする。このようにすることにより、この解体アタッチメント9からは、2つのレーザ光16がこの解体アタッチメント9の向きの方向に照射されることになり、これら2つのレーザ光16の解体対象物17での照射位置でのレーザ照射像の中心が解体アタッチメント9の向きの方向となる。
【0044】
なお、図示しないが、解体アタッチメント9には、旋回モータが設けられており、この旋回モータを駆動することにより、図3に示す部分を中心軸Sを中心に回転させることができる。これを爪部23a,23bの並び方向を水平面に対して平行にしたり、垂直にしたり、任意の傾斜角で傾斜させることもできる。
【0045】
図4は図3におけるレーザポインタの収納部27をその開口部27a側から見た正面図であって、28はレーザポインタ、28aはレーザ発光素子、29はカバー、29aは天井部、29bは取付部、30〜32はボルトであり、図3に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
【0046】
同図において、収納部27では、そのカバー29の内部の天井部29aに、ボルト30により、レーザポインタ28が固定されている。このカバー29の下部には、開口部27a以外の部分に鍔状の取付部29bが設けられており、この取付部29bがボルト31によってカバー26に固定されることにより、かかる収納部27がカバー26に取り付けられている。そして、このカバー26は、ボルト32によってフレーム18(図3)に固定されている。
【0047】
ここで、レーザポインタ28は、複数のレーザ発光素子28aが配列されてなる全体として縦長の矩形状の発光面を有しており、カバー29の開口部27aから出射されるレーザ光16(図2)は、その断面が縦長のほぼ矩形状をなす光線である。
【0048】
なお、解体アタッチメント9の裏側に設けられる収納部27’についても、同様である。
【0049】
また、レーザポインタ28の発光面の形状としては、縦長の矩形状に限るものではなく、例えば、横長の線状,円形(点)状などの他の形状であってもよい。また、レーザ光16としては、白色光であってもよいし、また、所定の着色光であってもよい。
【0050】
図3で説明したように、この第1の実施形態では、レーザポインタ28が解体アタッチメント9の2個の爪部23a,23bを保持するフレーム18の表側と裏側とに収納部27,27’のカバー29で保護されて設けられており、これらレーザポイント28から出射されるレーザ光16が解体アタッチメント9が向いている方向にある解体対象物17(図2)に照射される。このレーザ光16で照射された部分が解体アタッチメント9の向きの方向である。
【0051】
図5は図2における上部旋回体3の運転室4に設けられた表示装置に表示されるビデオカメラ15の撮影画像の一具体例を模式的に示す図であって、33はこの表示装置の表示画面、34は解体対象物16の画像、35はこの解体対象物16の画像(解体対象物画像)34でのレーザ光16の照射画像である。
【0052】
同図において、レーザポインタ28(図4)からのレーザ光16(図2)が解体対象物17(図2)に照射された状態では、表示装置の表示画面33に表示されるビデオカメラ15の撮影画面では、解体対象物画像34とともに、この解体対象物画像34と重なり可能に、この解体対象物17でのレーザ光16の照射位置に対応する位置にレーザ光の照射画像35が表示される。
【0053】
作業者は、この表示される撮影画像を見て、解体対象物17の解体対象位置17a(図2)を通る縦方向の中心軸SBを解体対象物画像34で想定し、また、照射画像35の中心を通る中心軸SCを想定することにより、これら中心軸SC,SBのずれΔEを認識することができ、これにより、解体アタッチメント9の向きが解体対象物17の解体目標位置17aの方向からずれていることを認識することができる。この認識のもとに、中心軸SC,SBが重なるように、操作者がレバー操作することにより、解体アタッチメント9の向きを解体対象物17の解体目標位置17aの方向に一致させることができる。
【0054】
なお、ここでは、収納部27,27’からのレーザ光16によって1つの照射画像が得られた場合であるが、解体アタッチメント9が解体対象物17に近接している場合には、解体対象物17では、収納部27からのレーザ光16の照射画像と収納部27’からのレーザ光16の照射像とが別々に現われることになるが、この場合には、これら2つのレーザ光の照射像の間の中心が解体アタッチメント9の向きの方向となる。
【0055】
以上のように、この第1の実施形態では、解体アタッチメント9の向きの方向にレーザ光を出射するレーザポインタを設け、これにより、解体アタッチメント9が向いている方向にレーザ光を照射するものであるから、このレーザ光が当たった対象物でのレーザ光の照射位置の方向が解体アタッチメント9が向いている方向となり、解体アタッチメント9の向きを容易に確認することができる。
【0056】
非常に高所での解体作業を行なう場合には、この作業場所でのレーザ光の照射位置を作業者が目視することは非常に難しいものとなるが、この第1の実施形態では、フロントアタッチに、特に、実際に解体作業を行なう解体アタッチメントに近いアームに解体アタッチメントの前方を撮影するビデオカメラを設けることにより、その撮影画像をモニタすることにより、解体アタッチメントの向きを容易に確認することができ、解体アタッチメントを解体対象物の解体目標位置に容易にかつ確実に移動させることができる。
【0057】
図6は本発明による解体作業機械の第2の実施形態を示す図であって、同図(a)はその正面図、同図(b)は図3(a)での垂直中心面SAに沿う断面図であり、20a’はロッド、36a,36bはレーザポインタである。前出図面に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
【0058】
この第2の実施形態は、先の第1の実施形態とはレーザポインタの設置位置が異なるものであり、これ以外については、先の第1の実施形態と同様である。
【0059】
図6(a),(b)において、表側のフレーム18と裏側のフレーム18’との間のスペース内で、垂直中心面SAの両側に夫々収納部が設けられ、夫々の収納部にレーザポインタ36a,36bが収納されている。これらレーザポインタ36a,36bも、先の第1の実施形態でのレーザポインタと同様、これらから出射されるレーザ光が、垂直中心面SAに垂直な水平面(図示せず)に平行で、かつこの垂直中心面SAに対して同じ角度となるように、配置されている。
【0060】
レーザポインタ36a,36bのかかる配置により、爪部23a,23bが互いに離れて開いているときには、レーザポインタ36a,36bが解体アタッチメント9の向きの方向に照射され、この解体アタッチメント9の前方の解体対象物17(図2)に当てられ、その照射像がビデオカメラ15(図2)で撮影されることになる。従って、この第2の実施形態でも、先の第1の実施形態と同様、このビデオカメラ15の撮影画像をモニタすることにより、操作者は解体アタッチメント9の向きを確認することができる。
【0061】
これに対し、解体アタッチメント9が解体対象物17に対して解体作業をするときには、爪部23a,23bが当接してレーザポインタ36a,36bの前面が閉じた状態になり、これらレーザポインタ36a,36bからのレーザ光が遮断されることになるが、このとき、解体アタッチメント9は解体対象物17の解体目標位置に到達しているので、作業に支障を来すことがない。また、この場合には、レーザポインタ36a,36bの発行を停止させるようにしてもよい。
【0062】
以上のようにこの第2の実施形態においても、先の実施形態と同様の効果が得られることになる。
【0063】
なお、この第2の実施形態では、2個のレーザポインタ36a,36bを用いているが、レーザポインタを1個用いるようにしてもよい。
【0064】
また、以上の実施形態では、作業者が運転室から容易に目視できる低い個所で解体作業を行なうことを目的とする解体作業機械では、必ずしもビデオカメラを設ける必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明による解体作業機械の第1の実施形態を示す側面図である。
【図2】図1に示す第1の実施形態が解体作業を行なう場合の一状態例を示す図である。
【図3】図1,図2における解体アタッチメントの一具体例を示す図である。
【図4】図3におけるレーザポイントのカバーをその開口部側から見た正面図である。
【図5】図2における上部旋回体の運転室に設けられた表示装置に表示されるビデオカメラの撮影画像の一具体例を模式的に示す図である。
【図6】本発明による解体作業機械の第2の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
1 装置本体
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 運転室
5 フロントアタッチメント
6 ブーム
7 中間アーム
8 アーム
9 解体アタッチメント
10 ブーム油圧シリンダ
11 中間アーム油圧シリンダ
12 アーム油圧シリンダ
13 解体アタッチメント油圧シリンダ
14 リンク機構
15 ビデオカメラ
16 レーザ光
17 解体対象物
17a 解体目標位置
18 フレーム
19a,19b 油圧シリンダ
20a,20b,20a’,20b’ ロッド
21a,21b 支持部
22a,22b 回転軸
23a,23b 爪部
24a,24b 回転軸
25a,25b 支持ピン
26,26’ カバー
27,27’ 収納部
27a,27a’ 開口部
28 レーザポインタ
28a レーザ発光素子
29 カバー
29a 天井部
29b 取付部
30〜32 ボルト
33 表示画面
34 解体対象物画像
35 レーザ光の照射画像
36a,36b レーザポインタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントアタッチメントの先端部に解体アタッチメントが設けられた解体作業機械であって、
該解体アタッチメントに、該解体アタッチメントの前方にレーザ光を照射するレーザポインタを設けたことを特徴とする解体作業機械。
【請求項2】
請求項1において、
前記レーザポインタは、前記解体アタッチメントにおける爪部や該爪部を駆動する油圧シリンダを保持するフレーム上に設けられていることを特徴とする解体作業機械。
【請求項3】
請求項2において、
表側の前記フレームと裏側の前記フレームとに夫々前記レーザポインタが設けられ、
表側の前記フレーム上に設けられた前記レーザポインタからのレーザ光の光軸と、裏側の前記フレーム上に設けられた前記レーザポインタからのレーザ光の光軸とが、前記解体アタッチメントの中心線に対して、同じ角度をなすことを特徴とする解体作業機械。
【請求項4】
請求項1において、
前記レーザポインタは、前記解体アタッチメントにおける爪部や該爪部を駆動する油圧シリンダを保持する2つの表裏のフレーム間に設けられていることを特徴とする解体作業機械。
ことを特徴とする解体作業機械。
【請求項5】
請求項4において、
前記レーザポインタは、前記解体アタッチメントの中心線に沿って1個、または、前記解体アタッチメントの中心線の両側に1個ずつ設けられていることを特徴とする解体作業機械。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つにおいて、
前記フロントアタッチメントを構成するアームに、前記解体アタッチメントの前方の前記レーザポインタからのレーザ光の照射像を含む領域を撮像するビデオカメラを設け、
該ビテオカメラの撮影画像を運転室内での表示装置で表示することを特徴とする解体作業機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−189932(P2009−189932A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−32203(P2008−32203)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】