説明

解剖学的構造の3D斜交断面を特定の角度に画定して、多数の表示角度を同時に容易に修正することを可能にする方法

【課題】3D容積の1又は複数の断面画像又は積層画像において1又は複数の断面角度を同時に修正する。
【解決手段】各々のビューポート(110、120、130、140)は2D断面画像又は積層画像を含んでおり、全ての2D画像又は積層画像が同時に表示される。1又は複数のビューポートはまた、もう一つのビューポートに表示される2D画像又は積層画像の断面角度又は画像平面を表わす制御線(122、132)を含み得る。選択されたビューポートにおいて制御線(122、132)を移動させると、かかる制御線(122、132)の移動と同時に、もう一つのビューポートの2D画像又は積層画像の断面角度又は画像平面が呼応して変更される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には、幾つかの角度での医用画像の観察に関する。さらに具体的には、本発明は、解剖学的構造の三次元(「3D」)斜交断面を特定の角度に画定して、さらに他の表示角度を同時に修正することに関する。
【背景技術】
【0002】
現行のシステム及び方法は、3D容積の1又は複数の二次元(「2D」)断面画像又は断面積層画像における患者の解剖学的構造のような対象の3D容積の観察を可能にしている。2D断面画像での表示角度は利用者によって操作され得る。
【0003】
2D画像での表示角度は、2D画像に表示されている線(例えば制御線等)を中心として画像を回転させることにより操作され又は調節され得る。一般的には、第一の2D画像での制御線の移動は、続いて観察されるもう1枚の2D画像での2D画像の表示角度に影響を及ぼし得る。例えば、現行のシステムは、第一の2D断面画像に制御線を表示することができる。この制御線は、3D画像の像を後続の2D画像において表示するときの2D画像平面を表わすことができる。第一の2D画像において制御線を移動させることにより、第二の2D画像における2D画像平面(及び結果的に3D画像の2D画像表現)は、この第二の2D画像が表示されるときに変化する。さらに、現行のシステムは、利用者が次いで第二の2D画像の制御線を移動させて、次の後続の2D画像の2D画像平面を調節することを可能にしている。1枚の2D画像での制御線の移動は、後続の全ての2D画像での表示角度又は2D画像平面に影響を及ぼす。さらに、第一の2D画像の制御線を移動させると、後続の全ての2D画像での表示角度又は画像平面が調節される。換言すると、第一の2D画像において表示角度を変化させることは、後続の全ての2D画像での表示角度を変化させるドミノ効果を有する。
【0004】
多数の2D画像での表示角度を調節するような制御線の移動を利用して、利用者の必要に正確に即して配置された最終の2D画像を得る。後続の2D画像(最終の2D画像を含む)での表示角度又は断面角度に影響を及ぼすように1又は複数の2D画像の制御線を移動させることにより、利用者は、最終の2D画像において好ましい表示角度を得ることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現行のシステムは、一度に単一よりも多い2D画像を表示することはできるが、典型的には、二重の斜交工程では単一のステップしか表示しない。すなわち、現行のシステムは、1枚の画像に1本の制御線を表示し、もう1枚の画像にはこの制御線を移動させた結果を表示する。現行のシステムは多数の画像における多数の制御線を含んでおらず、これにより、二重の斜交工程の多段ステップの表示を阻んでいる。従って、利用者は、多数の2D画像において多数の制御線を移動させることができず、従って、二重の斜交工程の多段ステップを同時に見届けることができない。
【0006】
このように、現行のシステム及び方法は、多数のビューポート又は表示器における3D容積の多数の断面画像又は断面積層画像での表示角度又は断面角度の容易な操作を可能にしていない。例えば、3D最大強度ピクセル(「MIP」)/断面変換(「MPR」)モードで医用画像において解剖学的構造の特定の部分を観察しようとすると、自由回転すなわち単一の線を中心とした回転によって、後続のビューポートの1又は複数において正確に所望の解剖学的構造を配置することができるとは限らない。換言すると、特定の位置の解剖学的構造の部分を観察しようとするソフトウェア・アプリケーションの利用者は、多数のビューポートにおいて何本かの線を中心とした多数の回転を用いて解剖学的部分を配置する必要があり得る。
【0007】
例えば、側弯(彎曲脊柱)について患者の椎間板を通る像を得ようとするときに、利用者は既存の方法を用いて次の2段断面切断工程を完遂する必要がある。すなわち、
1.コロナル像で脊柱に沿った線を画定することにより擬サジタル像を設定する。
【0008】
2.擬サジタル像で線を画定することにより、椎間板を真直ぐに通る像を設定する。
【0009】
上述のように、既存の方法の大きな欠点は、利用者が一度に一つの設定された断面像しか見られないことである。このことは、利用者は最終の像を観察している間には最早コロナル像を見ることはできず、同様に、第一のステップを実行している間には最終の像を見ることはできないことを意味する。結果として、利用者が正確に椎間板を通る像を得ることができなければ、利用者は、第一のステップに戻って、コロナル画像から擬サジタル像を調節する必要があり得る。しかしながら、利用者は最早、行なわれた調節が最終の画像で正しいか否かを見ることができない。このため、典型的には、椎間板を通る正しい像を得るために多数回の繰り返しを必要とする。
【0010】
以上の例から、既存の斜交断面切断方法は、多数の断面を通して像を得るのに用いられる場合にはしばしば時間浪費的であることが分かる。従って、画像の多数の断面での像を得るさらに効率的な方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、3D容積の1又は複数の断面画像において1又は複数の断面角度を同時に修正する方法を提供する。この方法は、1又は複数の2D画像を表示するように各々構成されている複数のビューポートを設けるステップと、選択されたビューポートにおいて制御線を移動させるステップと、この制御線を移動させるステップと同時に、選択されたビューポート以外の少なくとも一つのビューポートにおいて2D画像の少なくとも1枚の断面角度を変更するステップとを含んでいる。2D画像は、3D容積の1又は複数の断面を表わすことができる。
【0012】
本発明はまた、コンピュータ用の命令セットを含むコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。この命令セットは、表示ルーチン及び断面角度を修正するルーチンを含んでいる。表示ルーチンは、複数のビューポートの各々に3D容積の断面を表わす2D画像を表示するように構成されている。修正するルーチンは、選択されたビューポートでの制御線の移動に基づいてこの移動と同時に、2D画像の少なくとも1枚の断面角度を変更するように構成されている。
【0013】
本発明はまた、複数の2D画像の少なくとも1枚において断面角度を調節する方法を提供する。この方法は、第一、第二及び最終のビューポートを含む複数のビューポートを設けるステップと、第一及び第二の制御線を含む複数の制御線を表示するステップと、第一の制御線を移動させるステップと、この第一の制御線を移動させるステップと同時に、第二の2D画像の第一の表示角度及び最終の2D画像の第二の表示角度を調節するステップとを含んでいる。第一、第二及び最終のビューポートは、それぞれ第一、第二及び最終の2D画像を表示するように構成されている。第一、第二及び最終の2D画像は各々、3D容積の1又は複数の断面を表わしている。第一の制御線は第一のビューポートに表示され、第二の制御線は第二のビューポートに表示される。第一の制御線は、第一の断面角度にある第二の2D画像の断面平面を表わすように構成され、第二の制御線は、第二の断面角度にある最終の2D画像の断面平面を表わすように構成されている。
【0014】
以上の概要、及び以下の本発明の幾つかの実施形態の詳細な説明は、添付図面と共に精読するとさらに十分に理解されよう。本発明を説明する目的で、図面に幾つかの実施形態を示す。しかしながら、本発明は、添付図面に示された構成及び手段に限定されないことを理解されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図5は、本発明の一実施形態による3D容積の1又は複数の断面画像又は断面積層画像において1又は複数の表示角度又は断面角度を同時に修正するシステム600を示す。システム600は、計算装置610及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体620を含んでいる。計算装置610は、1又は複数の命令セットに基づいて動作を実行することが可能な任意の1又は複数の相互接続された機械を含み得る。図5では装置610としてパーソナル・コンピュータが示されているが、本発明の様々な実施形態はパーソナル・コンピュータに限定されない。1又は複数の命令セットに基づいて動作を実行することが可能な任意の1又は複数の相互接続された機械が装置610を構成してよい。命令セットは例えば、ソフトウェア・アプリケーション又はプログラムを含んでいてよい。媒体620は、ローカル・メモリ及び/又はリモート・メモリのような任意のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含んでいてよい。例えば、媒体620は、コンピュータ・ハード・ドライブ(内部若しくは外部)、又はネットワーク接続を介してアクセス可能なサーバのメモリを含み得る。
【0016】
媒体620は、メモリ630と、表示ルーチン640及び断面角度を修正するルーチン650を含めた1又は複数の命令セットとを含んでいる。メモリ630は、1若しくは複数の命令セット(例えばソフトウェア・アプリケーション)、撮像検討項目及び/又は画像の記憶の専用の媒体620の任意の部分を含んでいてよい。表示ルーチン640は、1又は複数のタスクを実行するように計算装置610に指令することが可能な任意の命令セット(1又は複数)を含んでいてよい。同様に、修正するルーチン650は、1又は複数のタスクを実行するように計算装置610に指令することが可能な1又は複数の命令セットを含んでいてよい。当業者には理解されるように、表示ルーチン640及び修正するルーチン650は、任意の適当なコンピュータ・プログラミング言語で書かれて実行され得る。表示ルーチン640及び/又は修正するルーチン650は、例えばローカルで具現化されてもよい(すなわちコンピュータ又はワークステーションのプロセッサによって動作する)し、或いはリモートで具現化されてもよい(すなわち、遠隔のコンピュータ、ワークステーション又はサーバのプロセッサによって動作する)。
【0017】
利用者は、システム600を用いて、3D容積の複数の2D断面画像又は断面積層画像を観察することができる。本発明の一実施形態によれば、表示ルーチン640及び修正するルーチン650の少なくとも一つの技術的効果は、利用者が、3D容積の1又は複数の断面画像又は積層画像において1又は複数の表示角度又は断面角度を同時に修正し得るようにすることにある。例えば、利用者は、装置610を用いて患者の解剖学的構造の1又は複数の画像及び/又は撮像検討項目を入手することができる。これらの画像及び/又は撮像検討項目は、装置610のメモリ630にローカルで記憶されていてもよいし、或いは装置610の遠隔に位置し、例えば1又は複数のネットワーク接続を介してアクセス可能なメモリ630に記憶されていてもよい。
【0018】
利用者は、ソフトウェア・アプリケーションをロードし又は実行して、装置610で画像(1若しくは複数)及び/又は撮像検討項目(1若しくは複数)を検査することができる。本発明の一実施形態では、装置610は表示ルーチン640をロードして1又は複数の2D画像を表示する。これらの2D画像(1又は複数)は、1又は複数のビューポートに表示され得る。一つのビューポートが、装置610の表示画面の副画面又は副分割部を含み得る。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態による多数のビューポートのスクリーンショット100を示す。スクリーンショット100は、表示ルーチン640が装置610によって具現化され又は実行されているときに装置610に表示されるビューポートの視覚的表現である。例えば、スクリーンショット100は、装置610で実行されているコンピュータ・ソフトウェアの視覚的表現であり得る。スクリーンショット100は、多数のビューポート110、120、130及び140を含んでいる。図1には四つのビューポートを示しているが、本発明によれば任意の数のビューポートを用いてよい。例えば、本発明の実施形態によれば2以上のビューポートを用いてよい。
【0020】
ビューポート110、120、130、140の各々が、所与の表示角度にある3D撮像対象の2D断面画像を含み得る。本発明の一実施形態では、利用者は、各々のビューポートにいずれの2D画像を表示するかを選択することができる。本発明のもう一つの実施形態では、各々のビューポートに表示される2D画像(1又は複数)は予め設定されている。
【0021】
本発明の一実施形態では、第一のビューポート120に表示される2D画像は、予め設定されている表示角度で表示される。本発明のもう一つの実施形態では、第一のビューポート120に表示される2D画像の表示角度は、装置610の利用者によって任意の位置まで自由回転され得る。例えば、利用者は、装置610に接続されている入力装置を用いて、第一のビューポート120に表示される2D画像の表示角度を自由回転させることができる。
【0022】
表示ルーチン640の少なくとも一つの技術的効果は、全ての2D画像を同時に表示するのに十分な数のビューポートを作成することにある。換言すると、表示ルーチン640を用いて、装置610の利用者によって望まれる全ての2D画像を表示するのに十分な数のビューポートを表示することができる。
【0023】
本発明の一実施形態では、表示ルーチン640によって作成されるビューポートは一系列として設けられ得る。換言すると、例えばビューポート120は第一のビューポートであってよく、ビューポート130は第二のビューポートであってよく、ビューポート140は第三のビューポートであってよく、ビューポート110は最終のビューポートであってよい。
【0024】
各々の2D画像又は積層画像についての表示角度又は断面角度は、全てのビューポートで又はビューポートの任意の部分集合で等価であってもよいし異なっていてもよい。本発明の一実施形態では、利用者は、各々のビューポートに表示されている各々の2D画像について表示角度及び/又は平面を選択することができる。本発明のもう一つの実施形態では、1又は複数のビューポートにおいて画像を見るときの正確な角度及び/又は平面は予め設定されていてもよい。
【0025】
本発明の一実施形態では、一つのビューポートに表示される2D画像の表示角度又は画像平面は、前のビューポートに表示されている2D画像の表示角度又は画像平面に直交する。もう一つの実施形態では、一つのビューポートに表示される2D画像の表示角度又は画像平面は、前のビューポートに表示されている2D画像の表示角度又は画像平面及び次のビューポートに表示されている2D画像の表示角度又は画像平面に直交する。
【0026】
本発明の一実施形態では、あるビューポートに表示される2D画像は、前のビューポートに表示されている2D画像の制御線を中心とする。
【0027】
上述のように、各々の制御ビューポート120、130、140が3D容積の断面像を表示することができる。例えば、図1では、ビューポート120は患者の脊柱の3D容積のコロナル(前から見た)像を表示することができる。加えて、例えばビューポート130は同じ3D容積の斜交断面像を表示することができ、ビューポート140は同じ3D画像のサジタル(左から見た)断面像を表示することができる。図1のスクリーン・ショット100のもう一つのビューポート(例えばビューポート110)は、3D容積の最終の像を表示することができる。最終のビューポート110は、制御ビューポート120、130での制御線122、132の移動によって画定されるもう1枚の断面画像(3D画像のもう1枚の斜交断面画像等)を含むことができ、このことについては後にあらためて詳述する。
【0028】
表示ルーチン640によって作成される1又は複数のビューポートは、制御線を含むことができる。例えば、スクリーンショット100のビューポート120及び130は各々、制御線122及び132をそれぞれ含んでいる。制御線122、132は、3D画像の像を次の制御ビューポート及び/又は最終のビューポート110に表示するときの平面を表わすことができる。例えば、第一の制御ビューポート120の制御線122は、第二の制御ビューポート130に表示されている3D容積の2D画像平面を表わすことができ、第二の制御ビューポート130の制御線132は、最終のビューポート110に表示されている3D容積の2D画像平面を表わすことができる。
【0029】
本発明の一実施形態では、表示ルーチン640によって表示されるビューポートの部分集合の各々のビューポートが制御線を含んでいる。
【0030】
本発明の一実施形態では、各々のビューポートが、利用者が配向を知る助けになるさらに他の標識を含んでいてもよい。例えば、ビューポートが方向標識124、134を含んでいてもよい。方向標識124、134は、3D容積を最終のビューポート110において2D画像として表示するときの方向を表わすことができる。換言すると、ビューポート120の制御線122は、3D容積を最終のビューポート110に表示するときの2D断面を表わす。ビューポート120に方向標識124が存在しなければ、画像平面(制御線122によって画定される)を見る方向が判然としなくなる場合がある。例えば、制御ビューポート120の左下向きに指している方向標識124が存在しなければ、最終のビューポート110に表示されているときの制御線122によって画定されている2D画像平面を右から見ているのか左から見ているのかが判然としなくなる場合がある。しかしながら、方向標識124を含めると、最終のビューポート110の2D画像が、制御線122の右側から見たときの制御線122によって画定される2D画像平面を表わしていることが判然とする。
【0031】
もう一つの例では、ビューポート130の方向標識134は、制御線132によって画定される画像平面を(最終のビューポート110において)制御線132の下側から見ているものと利用者が判定するのを支援することができる。
【0032】
本発明の一実施形態では、方向標識124、134は三角形によって表わされている。しかしながら、他の実施形態では、方向標識124、134は、制御線によって画定される画像平面を見るときの方向を伝達するその他任意の記号又は標識によって表わされていてよい。例えば、方向標識124、134が矢印又は線によって表わされていてもよい。
【0033】
方向標識124、134はまた、制御線中心点を含んでいてもよい。中心点は、制御線に沿った中心点を表わすことができる。換言すると、方向標識124が、例えば制御線122の中心を指示する円を含み得る。もう一つの例では、方向標識134が、例えば制御線132の中心を指示する例えば円を含み得る。方向標識124、134の中心点のために円が用いられているが、制御線の中心点を指示するために任意の点、線又は幾何学的物体を用いてよい。
【0034】
制御線の中心点はまた、図1の参照番号116、146によって表わされている中心点によって表わされていてもよい。換言すると、参照番号116を付した最終のビューポート110の「×」及び参照番号146を付した第三の制御ビューポート140の「×」が各制御線の中心点を表わしている。但し、中心点116、146として「×」が用いられているが、任意の点、線又は幾何学的物体をこの位置に用いてよい。
【0035】
利用者は、装置610に接続され又は含まれている入力装置を用いて、1又は複数のビューポートにおいて1又は複数の制御線を移動させることができる。一つのビューポートの制御線を移動させると、修正するルーチン650によって、もう一つのビューポートに表示されている2D画像又は積層画像の表示角度又は断面角度が呼応して修正され又は変更される。換言すると、本発明の一実施形態によれば、修正するルーチン650の少なくとも一つの技術的効果は、2D画像又は積層断面画像の表示角度又は断面角度を、もう1枚の2D画像における制御線の移動に基づいてこの移動と同時に、修正し又は変更することにある。
【0036】
前述のように、一つのビューポートの制御線は、所与の表示角度で少なくとも一つの他のビューポートに表示されている少なくとも1枚の他の2D画像の画像平面を表わしている。制御線を移動させると、この少なくとも一つの他のビューポートに表示されている少なくとも1枚の他の2D画像の画像平面が同時に変化する。
【0037】
前述のように、修正するルーチン650の少なくとも一つの技術的効果は、対応する制御線が移動するにつれて2D画像又は積層画像の表示角度又は断面角度を変更することを装置610に行なわせることにある。換言すると、利用者が第一のビューポート120に表示されている制御線122を移動させるにつれて、修正するルーチン650は、例えば制御線が移動するのと同時に、もう一つのビューポート(第二、第三又は最終のビューポート130、140、110等)のもう1枚の2D画像の表示角度又は断面角度が対応する変化を生ずるようにする。これにより、修正するルーチン650は、一つのビューポートにおいて制御線を移動させることが、少なくとも一つの他のビューポートの少なくとも1枚の他の2D画像の表示角度又は断面角度に対して及ぼす実時間的効果を利用者が見届けることを可能にする。かかる同時的変化は、一つの制御ビューポートにおいて制御線を移動させることを1又は複数の後続のビューポートにおいて観察する効果を奏する。
【0038】
当業者には理解されるように、「実時間」、「同時に」及び「同時の」等の語句は、装置610による画像並びに/又は命令セット(例えば表示ルーチン640及び/若しくは修正するルーチン650)の処理に内在する微小の遅延を排除するものではない。そうではなく、本発明の様々な実施形態は、利用者が、第一の2D画像において制御線を移動させることが他の2D画像に対して及ぼす効果を第一及び他の2D画像の両方を全体的に観察しながら見届ける能力を提供するものである。例えば、第一、第二及び最終の2D画像を全て同時に観察している利用者は、第一及び/又は第二の画像において(多数回で、また任意の順序で)制御線を移動させることができ、制御線(1又は複数)を移動させることが第一及び/又は第二及び/又は最終の2D画像の表示に対して及ぼす効果を全て同時に見届けることができる。
【0039】
本発明の一実施形態では、表示ルーチン640によって表示されるビューポートの各々は、一つのビューポートの制御線が、もう一つのビューポートに表示されているもう1枚の2D画像又は積層画像での表示角度又は断面角度を制御するように、関連付けられていてよい。例えば、第一のビューポート120での第一の制御線122の移動が第二のビューポート130に表示されている2D画像の表示角度を制御るように、また第二の制御線132の移動が最終のビューポート110に表示されている2D画像の表示角度を制御するように、第一のビューポート120が第二のビューポート130に関連付けられ、第二のビューポート130が最終のビューポート110に関連付けられていてよい。
【0040】
本発明の一実施形態では、修正するルーチン650は、制御線を移動させたビューポートの後続のビューポートに表示されている全ての2D画像の表示角度又は断面角度を変更する。換言すると、第一の制御ビューポート120の制御線122を移動させると、例えば、修正するルーチン650は、第二の制御ビューポート130に表示されている2D画像の表示角度を変更し、結果的に第三の制御ビューポート140に表示されている2D画像の表示角度が修正するルーチン650によって変更され、すると、結果的に最終のビューポート110に表示されている2D画像の表示角度が修正するルーチン650によって変更される。従って、ビューポートの系列の一つのビューポートでの制御線の移動は、後続の全てのビューポートに表示されている2D画像における表示の角度(1又は複数)に対してドミノ的な効果を奏する。
【0041】
本発明の一実施形態では、修正するルーチン650は、利用者によって選択された任意の順序で複数の2D画像において複数の表示角度を修正することが可能である。例えば、利用者は先ず、第一のビューポート120の制御線122を移動させることができ、これにより、修正するルーチン650は第二、第三及び最終のビューポート130、140、110に表示されている2D画像の表示角度を変更する。次に、例えば利用者は第二のビューポート130の制御線132を移動させることができ、すると、これにより、修正するルーチン650は第三及び最終のビューポート140、110に表示されている2D画像の表示角度又は断面角度を変更する。最後に、例えば利用者は第一の制御ビューポート120の制御線122を再び移動させることができ、これにより、修正するルーチン650は第二、第三及び最終のビューポート130、140、110に表示されている2D画像の表示角度を変更する。このようにして、システム600の利用者は、最終のビューポートの2D画像に所望の表示角度又は断面角度を達成するために、多数のビューポートの多数の制御線を繰り返し移動させることができる。換言すると、本発明は、異なる画像処理ステップ同士の間で前後に頁めくりをしないでも2枚以上の断面画像又は積層画像を同時に調節する能力を利用者に与える。従って、本発明はまた、2D断面画像において所望の解剖学的構造を正しく観察するのに必要な繰り返しの回数を最小限にする。
【0042】
本発明の一実施形態では、1又は複数のビューポートの1又は複数の制御線がさらに他の標識又は制御を含んでいてもよい。図4は、本発明の一実施形態によるさらに他の制御標識126を備えた第一の制御ビューポート120を示す。本発明の一実施形態によれば、表示ルーチン640の少なくとも一つの技術的効果は、線124のような制御線を(例えば)図4に示す制御標識126の破線のような1又は複数の標識と共に表示してスライス厚を表わすことにある。スライス厚は、2D画像がどの程度「厚い」かに関するものである。例えば、利用者は、一定枚数の2D画像を互いに重ね合わせて最終の2D画像の表示がこれらの画像の結合となるかのようにした1枚の2D画像をどの程度の厚みにするかを設定することができる。複数のピクセルを結合するためには幾つかの方法がある。例えば、最終の2D画像の各々のピクセルが2D画像の積層の最大値ピクセルであってよい。もう一つの例では、最終の2D画像の各々のピクセルが2D画像の積層の全てのピクセルの平均であってもよい。2D画像の積層を「スラブ」と呼ぶ。スライス厚はこのスラブの厚みを言う。医用画像では、スライス厚はmmで測定することができる。すなわち、スライス厚は実世界空間で測定することができる。
【0043】
図4ではさらに他の制御標識126として破線を用いているが、本発明の一実施形態によれば、スライス厚を指示するために任意の幾何学的形状又は物体を用いてよい。加えて、図4では標識126を第一の制御ビューポート120に表示されているものとして示しているが、標識126は、表示ルーチン640によって表示される任意の1又は複数のビューポートに表示されていてよい。
【0044】
本発明の一実施形態では、標識126によって指示されるスライス厚は、装置610の利用者によって調節され得る。例えば、利用者は、装置610に接続されている入力装置を用いて、標識126を移動させることにより2D画像のスライス厚を調節することができる。
【0045】
本発明の一実施形態では、1又は複数のビューポートの1又は複数の制御線が、制御線の移動を支援するさらに他の標識又は制御を含んでいてもよい。図6は、本発明の一実施形態によってさらに他の回転制御標識128、138を備えた第一及び第二の制御ビューポート120、130を示す。本発明の一実施形態によれば、表示ルーチン640の少なくとも一つの技術的効果は、図6に示すように、制御線122、132の1又は複数の端部に回転制御標識128、138を表示することにある。回転制御標識128、138を用いて、利用者が制御線を回転するのを支援することができる。例えば、利用者は、マウス又はスタイラスのような入力装置によって、制御標識128、138の一方をクリックし又は選択することができる。一旦、制御標識128、138が選択されたら、利用者は入力装置を移動させて対応する制御線を回転させることができる。図6では回転制御標識128、138として円が用いられているが、本発明の一実施形態によれば、任意の幾何学的形状又は物体を用いてよい。加えて、図6では、標識128、138は制御線122、132と共に第一及び第二の制御ビューポート120、130に表示されるものとして示されているが、標識128、138は任意の制御線と共に、表示ルーチン640によって表示される任意の1又は複数のビューポートに表示されてよい。
【0046】
図2は、本発明の一実施形態による解剖学的構造の3D斜交断面を特定の角度に画定して、多数の表示角度を同時に容易に修正することを可能にする方法200の流れ図を示す。方法200は、本発明の一実施形態では図1のスクリーンショット100と共に用いることができる。
【0047】
先ず、ステップ210では、ワークステーション又はコンピュータの表示器で観察したい1又は複数の画像を選択する。次に、ステップ220では、第一の制御ビューポート120を選択し又は画定する。第一の制御ビューポート120は、2D断面画像又は積層画像のような3D画像の断面像を含んでいる。利用者は、第一の制御ビューポート120において画像を観察するときの正確な角度及び/又は平面を選択することができる。もう一つの実施形態では、ビューポート120において画像を観察するときの正確な角度及び/又は平面は予め設定されていてもよい。
【0048】
次に、ステップ230では、第二の制御ビューポート130を選択し又は画定する。第二の制御ビューポート130は3D画像の第二の断面像を含んでいる。利用者は、第二の制御ビューポート130において画像を観察するときの正確な角度及び/又は平面を選択することができる。もう一つの実施形態では、第二の制御ビューポート130において画像を観察するときの正確な角度及び/又は平面は予め設定されていてもよい。
【0049】
次に、ステップ240では、さらに他の制御ビューポートを選択し又は画定するか否かを判定する。さらに他の制御ビューポートを選択し又は画定したい場合には、方法200はステップ265に進み、さらに他の制御ビューポートを選択し又は画定する。さらに他の制御ビューポートは、例えば第三の制御ビューポート140を含み得る。第三の制御ビューポート140は3D容積の第三の断面像を含んでいる。利用者は、第三の制御ビューポート140において画像を観察するときの正確な角度及び/又は平面を選択することができる。もう一つの実施形態では、第三の制御ビューポート140において画像を観察するときの正確な角度及び/又は平面は予め設定されていてもよい。
【0050】
前述のように、各々の制御ビューポート120、130、140が3D容積の断面像を表示することができる。例えば、制御ビューポート120は患者の脊柱の3D容積のコロナル(前から見た)像を表示することができる。加えて、例えば制御ビューポート130は、同じ3D容積の斜交断面像を表示することができ、制御ビューポート140は同じ3D容積のサジタル(左から見た)断面像を表示することができる。図1のスクリーン・ショット100のもう一つのビューポート(例えば最終のビューポート110)は、3D容積の最終の像を表示することができる。最終のビューポート110は、制御ビューポート120、130の制御線122、132の移動によって画定されるもう1枚の断面画像(3D容積のもう一つの斜交断面画像等)を含んでいてよい。
【0051】
ステップ265でさらに他の制御ビューポートすなわち第Nの制御ビューポートを画定し又は選択した後に、方法200はステップ240に進み、さらに他の制御ビューポートを選択し又は画定すべきか否かを再び判定する。このようにして、方法200は、全ての第Nの制御ビューポートを画定し又は選択するまでステップ240とステップ265との間をループ式で進行する。一旦、総数分の制御ビューポートを画定し又は選択したら、方法200はステップ240からステップ260へ進む。利用者は制御ビューポートの総数を選択することができる。もう一つの実施形態では、制御ビューポートの総数は予め設定されていてもよい。
【0052】
ステップ260では、制御ビューポートの1又は複数において制御線122、132を画定し又は選択する。例えば、図1では、制御ビューポート120において制御線122を選択し若しくは画定し、且つ/又は制御ビューポート130において制御線132を選択し若しくは画定することができる。制御線122、132は、3D容積の像を後続の制御ビューポート及び/又は最終のビューポート110において表示するときの断面平面を表わすことができる。例えば、第一の制御ビューポート120の制御線122は、第二の制御ビューポート130に表示されている3D容積の2D画像平面又は断面を表わすことができ、第二の制御ビューポート130の制御線132は、最終のビューポート110に表示されている3D容積の2D画像平面又は断面を表わすことができる。
【0053】
次に、ステップ270では、第一の制御ビューポート120の制御線122が移動している最中である又は移動した直後であるか否かを判定する。制御線122が移動している最中である又は移動した直後である(例えば利用者がビューポート120においてマウス又はスタイラスのような入力装置によって線122を選択して移動させることにより)場合には、方法200はステップ275に進む。
【0054】
ステップ275では、第一のビューポートでの制御線の移動に基づいて、後続の制御ビューポート及び最終のビューポートに表示されている制御線及び3D容積の2D像を移動させる。例えば、第一の制御ビューポート120の制御線122が移動するにつれて、制御線122によって画定される断面平面が変化する。従って、制御線122が移動するにつれて、第二の制御ビューポート130に表示されている2D画像又は積層画像が対応する変化を生ずる。加えて、後続のビューポート(例えば第二及び第三の制御ビューポート130、140、並びに最終のビューポート110)に表示されている2D画像並びに/又は後続のビューポート130、140の制御線132、142も対応する変化を生ずることができる。かかる同時変化は、一つの制御ビューポートでの制御線の移動を1又は複数の後続のビューポートで観察する効果を奏する。ステップ275の後に、方法200はステップ280に進む。
【0055】
第一の制御ビューポート120の制御線122が移動している最中でない又は移動した直後でないと判定されたら、方法200はステップ280に進む。
【0056】
ステップ280では、第二の制御ビューポート130の制御線132が移動している最中である又は移動した直後であるか否かを判定する。制御線132が移動している最中である又は移動した直後である(例えば利用者がビューポート130においてマウス又はスタイラスのような入力装置によって線132を選択して移動させることにより)、方法200はステップ285に進む。
【0057】
ステップ285では、第二のビューポートでの制御線の移動に基づいて、後続の制御ビューポート及び/又は最終のビューポートに表示されている3D容積の2D像を移動させる。例えば、第二の制御ビューポート130の制御線132が移動するにつれて、制御線132によって画定される断面平面が変化する。従って、第二の制御ビューポート130の制御線132が移動するにつれて、後続の制御ビューポート(例えば第三の制御ビューポート140)及び/又は最終のビューポート110に表示されている2D画像が対応する変化を生ずる。加えて、後続のビューポート(例えば第三の制御ビューポート140の制御線142)の制御線も対応する変化を生ずることができる。換言すると、第二の制御ビューポート130の制御線132の如何なる移動も、前の第一の制御ビューポート120に表示されている画像又は制御線122には影響を及ぼさない。何らかの制御線132の移動は、後続の制御ビューポート及び最終のビューポート110での画像の表示にのみ影響を及ぼす。ステップ285の後に、方法200はステップ290に進む。
【0058】
ステップ280において第二の制御ビューポート130の制御線132が移動している最中でない又は移動した直後でないと判定されたら、方法200はステップ290に進む。
【0059】
ステップ290では、次の制御ビューポートの制御線が移動している最中である又は移動した直後であるか否かを判定する。次の制御ビューポートの制御線が移動している最中である又は移動した直後である(例えば利用者がマウス又はスタイラスのような入力装置によって第三の制御ビューポート140の線142を選択してビューポート140において線142を移動させることにより)場合には、方法200はステップ295に進む。
【0060】
ステップ295では、前の制御ビューポートでの制御線の移動に基づいて、後続の制御ビューポート及び/又は最終のビューポートに表示されている3D容積の2D画像又は積層画像を移動させる。加えて、前の制御ビューポートでの制御線の移動に基づいて、後続のビューポートの制御線も移動する。例えば、第三の制御ビューポート140の制御線142が移動するにつれて、制御線142によって画定される断面が変化する。従って、第三の制御ビューポート140において断面又は2D画像平面が変化する(この場合にも制御線142によって画定される)につれて、後続の制御ビューポート及び最終のビューポート110に表示されている2D画像が対応する変化を生ずる。加えて、後続の制御ビューポートに表示されている制御線も対応する変化を生ずる。換言すると、第三の制御ビューポート140の制御線142の如何なる移動も、前の第一及び第二の制御ビューポート120、130に表示されている画像又は制御線122、132には影響を及ぼさない。何らかの制御線142の移動は、後続の制御ビューポート及び最終のビューポート110での画像及び制御線の表示にのみ影響を及ぼす。
【0061】
ステップ290及び/又はステップ295の後に、方法200はステップ297に進み、1又は複数の制御線の今までの移動に基づいて、所望の解剖学的構造が正確に利用者に見えているか否かを判定する。所望の解剖学的構造が利用者の所望に応じて正確に見えている場合には、方法200はステップ299に進み、利用者は解剖学的構造を観察する。所望の解剖学的構造が正確に見えていない場合には、方法200はステップ270に戻り、利用者のために解剖学的構造を正確に配置するために制御線の1又は複数を移動させることができる。
【0062】
所望の解剖学的構造が利用者の好む態様で配置されるまで(すなわち所望の解剖学的構造が見えるまで)ステップ270からステップ297までがループ式で続行する。
【0063】
一実施形態では、方法200はステップ280、285、290及び295の任意の1又は複数からステップ270、280又は290へ進むことができる。加えて、方法200は、ステップ290及び295の任意の1又は複数からステップ280へ進むことができる。換言すると、方法200は、後続の制御ビューポートにおいて制御線が移動した直後である又は移動している最中であるか否かを判定し(例えばステップ280又は290において。また次いで、それぞれステップ285又は295では該当制御ビューポートに続く全てのビューポートにおいて像を変化させる)、次いで、前のビューポート制御における制御線が移動した直後である又は移動している最中であるか否かを判定する(例えばステップ270又は280に戻ることにより)ことにより進行することができる。例えば、第(N−1)の制御ビューポートの制御線を移動させて、これにより、前述のように、後続の全ての制御ビューポート(例えば第Nのビューポート及び最終のビューポート)の像を変化させることができる。次に、前の制御ビューポート(例えば第(N−2)、第(N−3)、第(N−4)及び以下同様の制御ビューポート)の制御線を移動させて、これにより、前述のように、後続の全てのビューポートの像を変化させることができる。
【0064】
図3は、本発明のもう一つの実施形態による解剖学的構造の3D斜交断面を特定の角度に画定して、多数の表示角度を同時に容易に修正することを可能にする方法400の流れ図を示す。方法400は、本発明の実施形態では図1のスクリーンショット100と共に用いることができる。
【0065】
先ず、ステップ410では、前述のように、ワークステーション又はコンピュータの表示器で観察したい1又は複数の画像を選択する。次に、ステップ420では、前述のように、第一の制御ビューポート120を選択し又は画定する。第一の制御ビューポート120は3D容積の断面像を含んでいる。利用者は、第一の制御ビューポート120で画像を観察するときの正確な角度及び/又は平面を選択することができる。もう一つの実施形態では、第一の制御ビューポート120で画像又は積層画像を観察するときの正確な角度及び/又は断面平面は予め設定されていてもよい。
【0066】
ステップ430では、前述のように、第一の制御ビューポート120において制御線122を画定し又は選択する。例えば、図1では、制御ビューポート120において制御線122を選択し若しくは画定し、且つ/又は制御ビューポート130において制御線132を選択し若しくは画定することができる。
【0067】
次に、ステップ440では、前述のように、第一の制御ビューポート120の制御線122が移動している最中である又は移動した直後であるか否かを判定する。制御線122が移動している最中である又は移動した直後である(例えば利用者がビューポート120においてマウス又はスタイラスのような入力装置によって線122を選択して移動させることにより)場合には、方法400はステップ445に進む。
【0068】
ステップ445では、前述のように、第一のビューポートでの制御線の移動に基づいて、後続の制御ビューポート及び最終のビューポートに表示されている制御線及び3D容積の断面画像又は積層画像を移動させる。例えば、第一の制御ビューポート120の制御線122が移動するにつれて、制御線122によって画定される断面平面が変化する。従って、第一の制御ビューポート120において断面平面が変化する(この場合にも制御線122によって画定される)につれて、後続の制御ビューポート(例えば第二及び第三の制御ビューポート130、140)並びに最終のビューポート110に表示されている断面画像又は積層画像が対応する変化を生ずる。加えて、後続のビューポート130、140での任意の制御線132、142も対応する変化を生ずることができる。ステップ445の後に、方法400はステップ450に進む。
【0069】
ステップ440において、第一の制御ビューポート120の制御線122が移動している最中でない又は移動した直後でないと判定されたら、方法400はステップ450に進む。
【0070】
ステップ450では、前述のように、第二の制御ビューポート130を選択し又は画定する。第二の制御ビューポート130は3D容積の第二の断面画像又は積層画像を含んでいる。利用者は、第二の制御ビューポート130において画像又は積層画像を観察するときの正確な角度及び/又は断面平面を選択することができる。もう一つの実施形態では、第二の制御ビューポート130において画像を観察するときの正確な角度及び/又は断面平面は予め設定されていてもよい。
【0071】
ステップ460では、前述のように、第二の制御ビューポート130の制御線132が移動している最中である又は移動した直後であるか否かを判定する。制御線132が移動している最中である又は移動した直後である(例えば利用者がビューポート130においてマウス又はスタイラスのような入力装置によって線132を選択して移動させることにより)場合には、方法400はステップ465に進む。
【0072】
ステップ465では、前述のように、第二のビューポートでの制御線の移動に基づいて、後続の制御ビューポート及び最終のビューポートに表示されている3D容積の断面画像又は積層画像を移動させる。例えば、第二の制御ビューポート130の制御線132が移動するにつれて、制御線132によって画定される断面画像又は積層画像の表示角度又は断面角度が変化する。従って、第二の制御ビューポート130において断面平面が変化する(この場合にも制御線132によって画定される)につれて、後続の制御ビューポート(例えば第三の制御ビューポート140)及び最終のビューポート110に表示されている2D画像又は積層画像が対応する変化を生ずる。加えて、後続のビューポートの制御線も(例えば第三の制御ビューポート140の制御線142)対応する変化を生じ得る。換言すると、第二の制御ビューポート130の制御線132の如何なる移動も、前の第一の制御ビューポート120に表示されている画像又は制御線122には影響を及ぼさない。何らかの制御線132の移動は、後続の制御ビューポート140及び最終のビューポート110での画像の表示にのみ影響を及ぼす。ステップ465の後に、方法400はステップ470に進む。
【0073】
ステップ460において、第二の制御ビューポート130の制御線132が移動している最中でない又は移動した直後でないと判定されたら、方法400はステップ470に進む。
【0074】
次に、ステップ470では、前述のように、さらに他の制御ビューポートを選択し又は画定するか否かを判定する。さらに他の制御ビューポートを選択し又は画定したい場合には、方法400はステップ480に進み、前述のように、さらに他の制御ビューポートを選択し又は画定する。さらに他の制御ビューポートは、例えば第三の制御ビューポート140を含み得る。第三の制御ビューポート140は3D容積の第三の断面画像又は積層画像を含んでいる。利用者は、第三の制御ビューポート140において画像又は積層画像を観察するときの正確な角度及び/又は断面平面を選択することができる。もう一つの実施形態では、第三の制御ビューポート140において画像又は積層画像を観察するときの正確な角度及び/又は断面平面は予め設定されていてもよい。
【0075】
ステップ480でさらに他の制御ビューポートすなわち第Nの制御ビューポートを画定し又は選択した後に、方法400はステップ485に進み、前述のように、ステップ480で画定され又は選択されたさらに他の制御ビューポートにおいて制御線を画定し又は選択する。ステップ485から、方法400はステップ470へ戻り、前述のように、さらに他の制御ビューポートを選択し又は画定すべきか否かを再び判定する。このようにして、方法400は、全ての第Nの制御ビューポートを画定し又は選択するまでステップ470、480及び485の間をループ式で進行する。一旦、総数分の制御ビューポートを画定し又は選択したら、方法400はステップ470からステップ490へ進む。利用者は制御ビューポートの総数を選択することができる。もう一つの実施形態では、制御ビューポートの総数は予め設定されていてもよい。
【0076】
ステップ490では、前述のように、任意の制御ビューポートの制御線が移動している最中である又は移動した直後であるか否かを判定する。次の制御ビューポートの制御線が移動している最中である又は移動した直後である(例えば利用者がマウス又はスタイラスのような入力装置によって第三の制御ビューポート140において線142を選択してビューポート140において線142を移動させることにより)場合には、方法400はステップ495に進む。
【0077】
ステップ495では、前述のように、前の制御ビューポートでの制御線の移動に基づいて、後続の制御ビューポート及び最終のビューポートに表示されている3D容積の断面画像又は積層画像を移動させる。加えて、前の制御ビューポートでの制御線の移動に基づいて、後続のビューポートの制御線も移動してよい。例えば、第三の制御ビューポート140の制御線142が移動するにつれて、制御線142によって画定される断面平面が変化する。従って、第三の制御ビューポート140において断面平面が変化する(この場合にも制御線142によって画定される)につれて、後続の制御ビューポート及び最終のビューポート110に表示されている2D画像又は積層画像が対応する変化を生ずる。加えて、後続の制御ビューポートに表示されている制御線も対応する変化を生ずる。換言すると、第三の制御ビューポート140の制御線142の如何なる移動も、前の第一及び第二の制御ビューポート120、130に表示されている画像又は制御線122、132には影響を及ぼさない。何らかの制御線142の移動は、後続のビューポート及び最終のビューポート110での画像及び制御線の表示にのみ影響を及ぼす。
【0078】
ステップ490において、制御ビューポートのいずれにおいても制御線は移動していないと判定されたら、方法400はステップ497に進み、利用者は解剖学的構造を観察する。
【0079】
ステップ490及び495は、ステップ470及び480において画定され又は選択された全ての制御ビューポートが、各々のビューポートの制御線が移動したか否かを判定するように検査され終わるまでループ式で続行する。例えば、利用者は先ず、第一の制御ビューポートの制御線を移動させ、続いて第二の制御ビューポートの制御線を移動させ、続いて第一の制御ビューポートの制御線をさらに移動させることができる。
【0080】
本発明は多段のステップを同時に視覚化することにより、特定の解剖学的構造を視覚化するのに必要な繰り返しの回数を最小限にする。
【0081】
この問題に対する現行の解決法は、多数回の繰り返しをしばしば要求する多段アプローチを必要としている。第一の角度を調節した後に、第二の角度を調節するために第二頁へ進み、以下同様に続く。第二の角度を調節している間に第一の角度をさらに調節する必要があると利用者が判断した場合には、元の画像まで戻る必要があり、すると第二の斜交角度を最早見ることができない。本発明は、利用者が、元の画像、第一の斜交画像及び第二の斜交画像(所望があれば第三の斜交画像も)を見て、他の画像を観察しながら各々の画像を調節することを可能にする。
【0082】
本発明の特定の要素、実施形態及び応用について図示して説明したが、特に以上の教示に照らせば当業者は改変を施し得るため、本発明は所載の要素、実施形態及び応用に限定されないことを理解されたい。従って、特許請求の範囲は、かかる改変を網羅し、本発明の要旨及び範囲に含まれる特徴を盛り込んでいるものとする。また、図面の符号に対応する特許請求の範囲中の符号は、単に本願発明の理解をより容易にするために用いられているものであり、本願発明の範囲を狭める意図で用いられたものではない。そして、本願の特許請求の範囲に記載した事項は、明細書に組み込まれ、明細書の記載事項の一部となる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の一実施形態による多数のビューポートのスクリーンショットを示す図である。
【図2】本発明の一実施形態による解剖学的構造の3D斜交断面を特定の角度に画定して、多数の表示角度を同時に容易に修正することを可能にする方法の流れ図である。
【図3】本発明のもう一つの実施形態による解剖学的構造の3D斜交断面を特定の角度に画定して、多数の表示角度を同時に容易に修正することを可能にする方法の流れ図である。
【図4】本発明の一実施形態によるさらに他の制御標識を有する第一の制御ビューポートを示す図である。
【図5】本発明の一実施形態による3D容積の1又は複数の断面画像又は断面積層画像における1又は複数の表示角度又は断面角度を同時に修正するシステムを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態によるさらに他の回転制御標識を有する第一及び第二の制御ビューポートを示す図である。
【符号の説明】
【0084】
100 スクリーンショット
110、120、130、140 ビューポート
116、146 中心点
122、132 制御線
124、134 方向標識
126 制御標識
128、138 回転制御標識
200、400 方法の流れ図
600 システム
610 計算装置
620 コンピュータ読み取り可能な記憶媒体
630 メモリ
640 表示ルーチン
650 断面角度を修正するルーチン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元(「3D」)容積の1又は複数の断面画像において1又は複数の断面角度を同時に修正する方法であって、
二次元(「2D」)画像を表示するように各々構成されている複数のビューポート(110、120、130、140)を設けるステップであって、各々の前記2D画像は前記3D容積の一つの断面を表わしている、設けるステップと、
前記複数のビューポート(110、120、130、140)の選択されたビューポート(110、120、130、140)において制御線(122、132)を移動させるステップと、
該移動させるステップと同時に、前記選択されたビューポート(110、120、130、140)以外の少なくとも一つのビューポート(110、120、130、140)において前記2D画像の少なくとも1枚の前記断面の角度を変更するステップと、
を備えた方法。
【請求項2】
前記制御線(122、132)は、前記選択されたビューポート(110、120、130、140)に表示されている前記2D画像以外の前記2D画像の少なくとも1枚において前記3D容積の断面平面を表わすように構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記設けるステップは、前記複数のビューポート(110、120、130、140)の各々を一系列として設けるステップを含んでおり、前記変更するステップは、前記選択されたビューポート(110、120、130、140)に続く前記ビューポート(110、120、130、140)に表示されている前記2D画像の各々において前記断面の角度を変更するステップを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第二の選択されたビューポート(110、120、130、140)において第二の制御線(122、132)を移動させるステップであって、前記第二の選択されたビューポート(110、120、130、140)は、前記ビューポート(110、120、130、140)の系列内の前記選択されたビューポート(110、120、130、140)の前に位置している、移動させるステップと、
該第二の制御線(122、132)を移動させるステップと同時に、前記第二の選択されたビューポート(110、120、130、140)に続く前記ビューポート(110、120、130、140)に表示されている前記2D画像の各々において前記断面の角度を変更するステップと、
をさらに含んでいる請求項3に記載の方法。
【請求項5】
複数のビューポート(110、120、130、140)の各々に三次元(「3D」)容積の断面を表わす二次元(「2D」)画像を表示するように構成されている表示ルーチン(640)と、
選択されたビューポート(110、120、130、140)での制御線(122、132)の移動に基づいて該移動と同時に、前記2D画像の少なくとも1枚の前記断面の角度を変更するように構成されている断面角度を修正するルーチン(650)と、
を含むコンピュータ用の命令セットを含んでいるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項6】
前記制御線(122、132)は、前記選択されたビューポート(110、120、130、140)に表示されている前記2D画像以外の前記2D画像の少なくとも1枚において前記3D容積の断面平面を表わすように構成されている、請求項5に記載の命令セット。
【請求項7】
前記複数のビューポート(110、120、130、140)の各々は一系列として構成され、前記修正するルーチン(650)は、前記選択されたビューポート(110、120、130、140)に続く前記ビューポート(110、120、130、140)の各々に表示されている前記2D画像の各々において前記断面の角度を変更するように構成されている、請求項5に記載の命令セット。
【請求項8】
前記修正するルーチン(650)は、前記ビューポート(110、120、130、140)の系列内の前記選択されたビューポート(110、120、130、140)の前に位置する第二の選択されたビューポート(110、120、130、140)の第二の制御線(122、132)を移動させたときに、前記第二の選択されたビューポート(110、120、130、140)に続く前記ビューポート(110、120、130、140)に表示されている前記2D画像の各々の前記断面の角度を変更するように構成されている、請求項7に記載の命令セット。
【請求項9】
複数の二次元(「2D」)画像の少なくとも1枚において断面の角度を調節する方法であって、
第一の2D画像を表示するように構成されている第一のビューポート(120)、第二の2D画像を表示するように構成されている第二のビューポート(130)、及び最終の2D画像を表示するように構成されている最終のビューポート(110)を含む複数のビューポート(110、120、130、140)を設けるステップであって、前記第一、第二及び最終の2D画像は各々、三次元(「3D」)容積の1又は複数の断面を表わしている、設けるステップと、
前記第一のビューポート(120)に表示されている第一の制御線(122)及び前記第二のビューポート(130)に表示されている第二の制御線(132)を含む複数の制御線(122、132)を表示するステップであって、前記第一の制御線(122)は、第一の断面角度での前記第二の2D画像の断面平面を表わすように構成されており、前記第二の制御線(132)は、第二の断面角度での前記最終の2D画像の断面平面を表わすように構成されている、表示するステップと、
前記第一の制御線(122)を移動させるステップと、
該移動させるステップと同時に、前記第二の2D画像の前記第一の断面角度及び前記最終の2D画像の前記第二の断面角度を調節するステップと、
を備えた方法。
【請求項10】
前記第一(120)、第二(130)及び最終(110)のビューポート、並びに前記第一、第二及び最終の2D画像の各々は、前記移動させるステップの間に同時に観察されることが可能である、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−627(P2007−627A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−170843(P2006−170843)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】