説明

触媒メタル担体

【課題】
従来、1000℃以上の高温で使用されることもある触媒メタル担体を構成する耐熱金属箔のハニカム体及び外筒の接合は、拡散接合、ロウ付け等、加熱炉全体を不活性ガス/真空中、800℃〜1,200℃の雰囲気で実施されることが必要であるため、極めて大きなエネルギーを消費していたので、必要なエネルギーを従来の1/2以下とすることを目的とする。
【解決手段】
耐熱金属箔の波板と平板を組合せた巻回型のハニカムブロック体が1個又は2個以上組合せられて外筒に収納された触媒メタル担体である。巻回型のハニカムブロック体2の端面開口部11には、ハニカムブロック体の半径に相当する長さの凹陥部7が設けられ、該凹陥部に嵌挿された腕板部材5(片持梁・Cantilever)で、夫々のハニカムブロック体と外筒1とが接合される。 即ち、腕板部材の長さは従来の接合部材の1/2でよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は自動車エンジン等排気ガス浄化用の三元触媒を担時するために用いられる耐熱金属箔より成る触媒メタル担体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来自動車の公害対策として排気ガスを浄化するために、排気管の途中に三元触媒コンバーターを介在させている。
この触媒コンバーターに使用される触媒担体の一つとして、ハニカム構造の触媒メタル担体がある。このものは、例えば3Fe−Cr20%−Al5%、フェライトス系テンレスの耐熱金属箔で製作された、通常厚さ0.02〜0.1mmの箔を波板に成形したものと、平板のものとを組合せ、これらを巴状に又は多層に巻回或いは積層して形成したハニカム体を外筒に収納されて成っている。
【0003】
該外筒に収納されているハニカム体にはエンジンの始動、停止の繰り返し、激しい振動、1,000℃以上に達する不均一で変動する高温とその高温度域、及び常に変化する排気ガスの流速等の苛酷な環境によって、大きな熱応力がハニカム体の各所に集積する。
【0004】
従ってハニカム体を構成する波板と平板を巻回又は積層して、その接点の多くを接合してなるハニカム体は、例えば図18に示すようなメタルハニカム全体及び外筒を固く接合した場合、その剛性のためハニカム体内部の熱応力によって軸方向の伸縮が交番に発生するためにハニカム体全体に大きな歪を生じる。即ち波板と平板との全ての接点、特に外筒と接合したハニカム体外層部付近の箔が破断しハニカム体が破壊に至る問題がある。
【0005】
この内、主として巻回型のハニカム体は構造上、巻回したテープ状の波板と平板の中心部分が螺旋状に回転しながら伸びて軸方向に繰り出され、望遠鏡のように抜け出す所謂スコーピング現象が生じ易く、このスコーピング現象のためにこれらの接合部が破壊されるばかりでなく、前記熱応力でハニカム体の波板と平板等が座屈したり亀裂を生じたりして触媒メタル担体の耐久性を低下させる問題がある。
【0006】
該ハニカム体は、形状及び構造を維持するために外筒と波板及び平板の接合部分をロウ付けするか、拡散接合するなどの方法が採られることが一般的である。
通常用いられる拡散接合は、接合されるハニカム体及び外筒だけではなく、熱容量の大きな電気炉全体をアルゴンなどの不活性ガス中又は真空中で800〜1,200℃の高温に加熱することが必要であるために設備費が嵩むばかりでなく、実施には大量の電気エネルギーを消費する大きな問題があった。
更に、拡散接合では上記雰囲気と同時に、接合面に適切な接合圧力が必要とされるが、
波板と平板を組合せた巻回型のハニカム体の波板と平板の各接点に、必要な接合圧力で加圧しこれを維持することは困難であった。そのため拡散接合部の接合強度が不揃となり、接合が不安定で、強度不足や、使用中の接合劣化を生じやすい問題があった。
【0007】
またロウ付けは、ロウ付けに前記真空炉や不活性ガスの環境が必要なばかりでなくNiベースの高温ロウ材自体が高価なために、更に費用が嵩む大きな問題がある。
更にロウ付け接合では、ロウ材成分とメタルハニカム体及び/又は外筒の成分のとの合金化反応により接合強度が劣化し、ハニカム体の耐熱耐久性が低下する問題があった。
【0008】
更にこれら、平板と波板とを巻回してなるハニカム体と、外筒の内側との拡散接合では設定位置が設定作業中に崩れ、互いに干渉してしまうと、ハニカム体の外周面に傷が生じる。またハニカム体の平板と波板及び外筒とロウ材でロウ付けする場合は、この設定作業中にハニカム体の外周面のロウ材が剥がれてしまう。
これらの場合、使用時に熱応力で座屈等を生じやすい触媒コンバーターを製造することになる。
【0009】
公開された特開平06−205988号、特開平06−205989号では、波板と平板を組合せて巻回又は積層されたメタルハニカム体の3個以上の構成要素(ハニカムブロック体)で構成されており、そしてこれらの接合は上記従来のハニカム体と同様、外筒の内壁等に真空ロウ付け又は拡散接合されたものである。
また特開平04−135644号、特開平62−273052号では、楕円形のほぼ中央で分割されて半円形をなす2個のハニカムブロック体を、外筒にロウ付けで接合されている。
【0010】
これらを改良するものとして特開平09−141358号は、外周面に、軸方向に割れたスリットを持つ断面が略C字型の外筒を用い、該外筒内におけるハニカム体の周方向と軸方向の位置決めと溶接を容易にしている。
【0011】
然して、上記、波板と平板を組合せて多数回巻回して構成した所謂巻回型のハニカム体では、その構成から、波板と平板夫々一対の最小単位のものが外筒に当接、接合しているため、上記苛酷な環境によってハニカム体に生じる熱応力、熱疲労からの破壊やスコーピング現象が生じ易くその寿命に懸念があるために、特開平07−241478号ではハニカム体の全層接合部において周方向の複数箇所に、軸方向に前記接合部より長い切断部を設けたものがある。
又特開平06−226110号ではハニカム体と外筒との間に中間筒を設け、ハニカム体と一体に接合された中間筒の表面からハニカム体の中心に向かって切り込みを設けている。特公平05−045298号では図19に示すように、ハニカム体端面接合部42の外周強化層53の一部に外筒1との接合部55を設け、ハニカム体中間部60は非接合部としている。
【0012】
特開2003−211082号ではハニカム体の中で流路の全長にわたる連続した接合をせず、端面のみを接合するための、毛細管現象を利用した技術が開示されている。
【0013】
これに対して真空炉を必要としない方法として、ハニカム体の端面開口部に凹陥部を設けて接合部材を嵌挿し、これの少なくとも一部をレーザによって溶融して溶接する特開平05−228376号がある。
このものは、巻回されたハニカム体の端面開口部に設けられた凹陥部に嵌挿された接合部材に、レーザを照射するもので、安定した溶接をするには接合部材の厚さが1〜3mm必要となる。そしてレーザによって溶融された接合部材の溶融部は、幅5〜8mmの頂部の断面がT字形の紐状に広がって接合部材と凹陥部を確実に接合するが、同時にその広がり分だけ端面開口部を小さくすることになる。即ち触媒メタル担体の有効面積を減少せしめる問題が生じる。更にこのレーザ照射による接合部材の溶融溶接は、該レーザ光の焦点を接合部材の最も好ましい点に照準照射し、そして移動させることが困難なことである。
【0014】
一方上記巻回型と全く異なるタイプで特開62−273051号、特公表03−502544号などにS字状タイプが、特公03−502660号に巴状タイプがある。
これらS字状タイプ、巴状タイプのものは、波板と平板とを交互に多数段積層したスタック(stack)を、図17(イ)、(ロ)に示すようにS字状や巴状に巻き込んで構成し、その波板と平板の夫々多数段積層分の末端が外筒内壁に接合され、その端部で熱応力を吸収緩和することができるため、その安定さが前記巻回型よりも優れている。
【0015】
然しながらこれらS字状タイプ、巴状タイプに於いては、その中心部の強度が外周部に比べて低下することになる。
これを改良するものとして、Xラップタイプの特開平07−308589号、S字状タイプや巴状タイプの特開平09−029106号がある。
即ち、S字状タイプ、巴状タイプのものでも、真空ロウ付けや拡散接合が満足できるものではないのが実情である。・
【0016】
【特許文献1】特開2003−211082号
【特許文献2】特開平09−141358号
【特許文献3】特開平09−029106号
【特許文献4】特開平07−241478号
【特許文献5】特開平07−308589号
【特許文献6】特開平06−226110号
【特許文献7】特開平06−205989号
【特許文献8】特開平06−205988号
【特許文献9】特開平05−228376号
【特許文献10】特開平05−045298号
【特許文献11】特開平04−135644号
【特許文献12】特開平04−071581号
【特許文献13】特公表03−502660号
【特許文献14】特公表03−502544号
【特許文献15】特開昭62−273052号
【特許文献16】特開昭62−273051号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
この発明が解決しようとする課題は、従来のこれら耐熱金属箔製触媒メタル担体の上記問題点を解決することである。
即ち真空及び又は不活性ガス、と高温の電気炉を必要とすることでエネルギーを大量に消費する拡散接合。
更に加えて大量のエネルギーを消費し、主成分のニッケルがハニカム体成分のアルミと合金化反応を生じ、耐熱性及び接合強度を劣化させる高価なロウ材を多量に必要とするロウ付けではなく。
大気圧中、好ましくはアルゴンガス等不活性ガス雰囲気中、しかも最少のエネルギーで作成できる強固で安全な触媒メタル担体を開発せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明者は巻回型で、円柱状のハニカム体を固定するのに、該ハニカム体を構成する円周の夫々少なくとも一箇所を(例えば腕板部材で)外筒に固定することで円周全体、即ち円柱状のハニカム体全体を外筒に固定できることに着目しこの発明を完成するに至ったものである。
【0019】
更にこの発明では、前記固定手段として、接合部材(例えば腕板部材)の少なくとも一部にエレクトロ鞘管溶融溶接ができるものが使用できることである。
【0020】
即ちこの課題は、耐熱金属箔の波板と平板、或いは波板と他の波板を組合せて多層に巻回して構成した柱状のハニカムブロック体に於いて、前記柱状ハニカムブロック体の外筒側にハニカムブロック体の直径の約1/2相当の長さに凹陥部が設けられ、外筒から該凹陥部に挿し込まれた腕板部材(片持梁・Cantilever)によって外筒とハニカムブロック体とが一体に接合されることによって解決される。(腕板部材方式)
【0021】
即ち、1個又は2個以上のハニカムブロック体が、単独で又は組合わされて円柱状、或いは楕円柱状に構成されて外筒に収納され、且つ前記ハニカムブロック体は1つ又は2つ以上の腕板部材によって、外筒に一体に固定されることによって解決される。(腕板部材方式)
【0022】
或いは、外筒の内腔を横断して支持壁が設けられ、該支持壁を挟んでその両側に半円形状に形成された巻回型のハニカムブロック体が2個背中合わせに外筒に収納され、該支持壁と巻回された2個のハニカムブロック体の直線部とを直角に横断して、ハニカムブロック体の径の半分以上の凹陥部が設けられ、該凹陥部に嵌挿された少なくとも外筒直径の1/2相当の長さの接合部材によって支持壁と共に2個のハニカムブロック体と外筒とが一体に接合されることによって解決される。(支持壁方式)
【0023】
然して、2個のハニカムブロック体を使用する場合は支持壁方式、腕板部材方式共に、必要に応じて外筒に軸方向に割れたスリット3を設けた断面が略C字形状の外筒に収納された前記耐熱金属箔製のハニカムブロック体は、できれば左巻きに巻回したハニカムブロック体aと、右巻きに巻回したハニカムブロック体bとを夫々1個、計2個背中合わせに左右対称に組合せられ、その一端は前記外筒のスリット3に嵌挿せしめられ、これらを前記外筒のスリット3と共に接合せしめられることが好ましい。
【0024】
或いは支持壁方式、腕板部材方式共、円柱状のハニカムブロック体を予め又は外筒に収納されてから、整形ダイスで中心に向かって圧縮され、前記ハニカムブロック体の凹陥部に嵌挿された接合部材、或いは腕板部材によって、ハニカムブロック体と外筒及び支持壁とが一体に接合されることが好ましい。
【0025】
この触媒メタル担体は、ハニカムブロック体が収納された外筒の、略央部に設けられた長窓穴からハニカムブロック体の胴部にハニカムの中心に向かって嵌入部材が差し込まれそしてこの嵌入部材によってハニカムブロック体と外筒とが接合される。
【発明の効果】
【0026】
この発明は、この発明者が先に提案した特開平5−332131号、特開平5−228376号を更に改良したものである。即ち、使用される接合部材の長さが半分でも良いことから、接合部材や腕板部材の占める面積が減少してハニカム体の有効面積が増加するばかりでなく、当然接合のために消費される電気エネルギーや高価なロウ材の使用量が大幅に低減される。(支持壁方式・腕板部材方式)
【0027】
外筒の内面から外筒直径の1/2、即ち半径の長さだけ内側に向かって設けられた腕板部材によって、当然ハニカムブロック体の中心部まで固定することができるから、ハニカムブロック体の中心部が飛び出すスコーピング現象が生じず、したがってハニカムブロック体の破壊がなく、ハニカムブロック体の中心部において充分に触媒メタル担体としての機能を発揮せしめる。(腕板部材方式)
【0028】
また複数のハニカムブロック体に対応して外筒の内壁から、外筒直径の1/4づつ内側に向かって設けられた腕板部材は流速が遅い排気ガスの域にあるために、実施例1と同様に排気ガスの進路を妨げず、ハニカム体の中心部において充分に触媒メタル担体としての機能を発揮せしめる。(腕板部材方式)
【0029】
更に、必要に応じてハニカムブロック体と腕板部材との数を増加させ、大きい口径や強度を増すことに対応できる。(腕板部材方式)
【0030】
また外周に軸方向に割れたスリット3を設けた、断面が略C字形状の外筒に収納され、左右対称で背中合わせになっているa.b、2個のハニカム体の外筒の中心部を通って直径方向に横断している直線部と、外筒中心部に設けられた支持壁とが、特開昭62−273052号の固定支持板に相当し、外筒に対してハニカム体(特に中心部)を強力に支える支持壁の構造となる。(支持壁方式)
【0031】
前記特開昭62−273052号の固定支持板は、平板と波板とを巻回して成るハニカム体の積層方向に切断された態様で、然もその切断部分が固定支持板の表面で無理に接合されたものであるため、接合が外れる場合があるが、この発明では平板と波板とを巻回したそのままのハニカム体の直線部と支持壁が前記の固定支持板となるため、極めて簡素で安定した触媒メタル担体が廉価に提供できる。(支持壁方式)
【0032】
然して、外筒から内側に向かって設けられた腕板部材によって、又はハニカム体中心部の直線部を直角に横断して設けられた支持壁と接合部材によって、ハニカムブロック体に設けられた凹陥部と外筒とが結合され、触媒メタル担体の最も苛酷な環境であっても、スコーピング現象を生じる易い該中心部が格段に強化される。(支持壁方式・腕板部材方式)
【0033】
組立てに際しては、図2(イ)に示すように断面が略C字形状の外筒の中、或いは図4(イ) (ロ)に示すよう扇形に3分割された、或いはそれ以上に分割された、或いは左右対称で、背中合わせになっている2個のハニカムブロック体を収納し、外筒の軸方向に割れたスリットを金型で締め付けることにより、又は外筒より大きくラッパ状に広がった補助具の入り口(図示しない)から前記複数個のハニカムブロック体を円柱状に整形してから外筒に圧入されることにより、前記断面が扇形に3分割された、又は複数或いは半円形の左右対称で背中合わせになっている2個のハニカムブロック体が圧縮整形されて1つの円柱形を構成し、強固に外筒に密着される。(支持壁方式・腕板部材方式)
【0034】
然してこの発明の請求項2〜8によると、このハニカムブロック体は丸ではなく半円形である。然も左右2個背中合わせに外筒の中に収納されている。
この非円形と、左右対称で背中合わせになっている2個のハニカム体の直線部の接合部材による接合が、このハニカム体にスコーピング現象を生じせしめない抑止力となる。
ハニカムブロック体が3個又はそれ以上の扇型であっても同様である。
そして前記腕板部材や、接合部材の長さが特開平05−228376号の1/2で良いため、ハニカム体の端面開口部の有効面積が増加する。
【0035】
以下、本発明の実施態様の詳細について図面を参照して詳しく説明するが、図示されたもの及び実施例に限定されものではない。
用途も自動車エンジンの触媒メタル担体に限定せず、また直径が30mmの小型のものから上には上限はなく、陸上、海上その他排気ガス等を浄化する触媒担体及びその他のハニカム体として適用できることは言うまでもない。
また詳細な説明で明らかなように、この発明は腕板部材によってハニカムブロック体が外筒と接合され、或いは支持壁を挟んでその両側に収納されたハニカム体の直線部を直角に横断して載置又は凹陥部に挿入された腕板部材によって接合された触媒メタル担体は全て包含される。
本発明はハニカムブロック体が3個又はそれ以上のハニカム体に於いても同様の効果を発揮する。
【0036】
又、熱応力の厳しい中央部が円盤状接合層で構成され、更に熱応力で伸縮差の激しい外筒との接合は腕板部材でなされているので過酷な使用環境に耐えるばかりでなく、使用されるロウ材の量が少なくて済み、製造のコストが下がる。更に腕板部材による円盤状接合層の接合は従来のロウ付けや拡散接合のような、厳しい接合の条件や精度を必ずしも必要としないために、製造がし易く不良品の発生が少ない。
更に、ハニカム体の排ガス入口端面開口部Mには腕板部方式、出口端面開口部Nには接合部材(逆でもよい)を夫々組合せて実施できることは言うまでもない。
本発明が溶接、特にエレクトロ鞘管溶融溶接によって構成されることが要旨であるが、必要に応じてロウ付け、拡散接合等も利用、併用できることは当然である。
【0037】
次に前記したエレクトロ鞘管溶融溶接の概略を説明する。
従来のエレクトロガスアーク溶接は、斜視図10(イ)と平面図(ロ)に示すように、部材Aと部材Bとを溶接するのに、部材Aと部材Bと、側板C、側板Cで囲われた柱状空間Dを設け、この柱状空間Dに炭酸ガス等の不活性ガスを充満させ、その中に溶接ワイヤE
を差し込み、電極を兼ねる(MIG溶接)、又は兼ねない(TIG溶接)溶接ワイヤEを連続的に供給しながらアークを発生させ、その熱で該溶接ワイヤEを溶融するアーク溶接である。図中Hはノズル、Iは不活性ガスの吹き込み管、Jは溶融金属が溜まる溶融池で、約1700℃の高温である。
このアークで溶融した溶融金属が柱状空間Dから漏れないことも、エレクトロガスアーク溶接の目的の一つである。
【0038】
これに対して、この発明で用いるエレクトロ鞘管溶融溶接は、アークで溶融した極めて表面張力の大きい溶融金属を柱状空間Dの周囲に漏れさせることを特徴としている。
即ち、図10に示すように前記柱状空間Dを接合部材の長孔(鞘管)30となし、該
鞘管30の全部を柱状空間Dの壁面Gのように溶融し、その溶融金属Jで鞘管30に接触する周囲の金属即ちメタルハニカムを溶接するものである。
この鞘管30の溶融は図11(イ)に示すように全部であっても、又図11(ロ)に示すように一部であってもよい。これらを制御するには、供給電力、溶接ワイヤEの太さ、位置、或いは鞘管の厚さ(溶融したいところを薄く)等の手段がある。
【0039】
エレクトロ鞘管溶融溶接の他の形態は、図12に示すように、縦長で扁平な鞘管31を使用し、この扁平鞘管31を斜め置き(例えば45°)することである。そしてこの扁平鞘管31の中に溶接ワイヤE、又はテープ状溶接ワイヤFを供給することである。
扁平鞘管31を斜め置きすることによって、アークで生成した溶融金属を流出させるだけでなく、溶融で生じるスラグを円滑に排出することができる。
この形態では、扁平鞘管31の厚さを変化させることや、供給するテープ状溶接ワイヤFの厚さや幅、送る速度等を変えることで扁平鞘管31の溶融位置、溶融量を制御することができる。
【0040】
図11以下ではノズルH、不活性ガス吹き込み管Iを示さず且つ説明を省略する。
【0041】
この発明のエレクトロ鞘管溶融溶接によれば、メタルハニカム、金属多孔体、炭素部材、炭素金属繊維集合体のように、隙間が多いことから衝撃に弱く、脆く、特にレーザ光やアーク等で溶融すると体積が極端に縮小する部材、構造材の所要箇所に差し込むなどして、部位をそのままの形で深くまで溶接ができ、一体化することができる。
【0042】
更に、このエレクトロ鞘管溶融溶接によれば、任意の位置に、任意の量の、希望する金属の溶融液が容易に溶滴として供給などすることができる。
【0043】
このエレクトロ鞘管溶融溶接は前記したエレクトロガスアーク溶接だけでなく、エレクトロスラグ溶接、被覆溶接棒、或いは真空、プラズマ、その他の雰囲気中、その他の溶接方法が適宜併用して利用できることはいうまでもない。
尚実施例では便宜上、図13.14.15に示すエレクトロ鞘管溶融溶接の鞘管を横向きとしたが、図11.12のように上下にしたほうがよい。
【実施例1】
【0044】
実施例1は巻回型(腕板部材方式)のものである。
図1に示すように耐熱金属箔で、厚さが0.02mm、幅が120mmの平板と波板とを巻回したハニカムブロック体2が、厚さが2mm、内径が100mm、長さが120mmの外筒1に収納されている。
外筒1はその一部に幅が2.2mm長さ60mmの溝4 が構成される。
外筒1に収納されるハニカムブロック体2には前記溝4に対応する位置に、幅が0.5mm、長さ60mmの、中心部6を超える凹陥部7が切られ、該凹陥部7と溝4には、該凹陥部7の大きさに適合し、中心部6に達する長さの、厚さが2mmの腕板部材5が差し込まれる。即ち腕板部材5が、幅0.5mmのハニカムブロック体2の凹陥部7を倒伏させて差し込まれる。
この腕板部材5はその溶接強度、耐久性からもニッケルが少なく耐熱性に優れたSUS410Lの使用が好ましい。そして先端8は差し込が容易なように尖っているとよい。
凹陥部7はハニカムブロック体2の所定位置を軸方向に厚さ0.5mmの円盤状丸刃カッター(図示しない)で所定量切り込みを入れることで形成される。
この実施例に於いて、腕板部材5は、ハニカムブロック体2の端面開口部11から2mmだけ突き出た状態で組み立てられ、この突き出た2mmの部分をレーザ9で溶融し、その溶融液10によって、腕板部材5に倒伏接触しているハニカムブロック体2の凹陥部7が接合(溶接)される。
腕板部材5は外筒1の溝4と溶接接合される。
【0045】
然して外筒1に溶接された腕板部材5は、内に向かって構成された外筒1の一部として機能し、所謂・片持梁(Cantilever・建築用語)としてハニカムブロック体2の端面開口部11を支えると同時に外筒1及びハニカム体全体が一体化される。
該凹陥部7は直径方向に長くても良く、腕板部材5の直径方向の長さはハニカムブロック体2の直径の1/2以上でもよい。
【実施例2】
【0046】
この実施例は実施例1の巻回型(腕板部材方式)の仕様で、レーザ9で溶接された腕板部材5に更にロウ材を併用するものである。
又はロウ材単独でも良い。
即ち、厚さ2mmの腕板部材5の両面には、予め日本非晶質金属株式会社の厚さ0.04mmのNi系ロウ材を重ね、前記ハニカムブロック体2の幅0.5mmの凹陥部7を倒伏せしめる状態で強制的に嵌挿組立てられる。
そして
1.該組立てられたハニカム体の腕板部材5と少なくともその周辺が1,100℃になるように高周波加熱で前記ロウ材を熔融してロウ付けする。(アルゴンガス等不活性ガスの雰囲気が好ましい)
2.組立てられたハニカム体を真空炉でロウ付けする。
外筒1と腕板部材5とは実施例1と同様に溶接される。
3.組立てられたハニカム体を拡散接合する。
【実施例3】
【0047】
この実施例(腕板部材方式)は図3に示すように実施例1と同様に巻回型のハニカムブロック体を用いている。即ち耐熱金属箔で厚さが0.02mm、幅が120mmの波板と平板を重ね、多層に巻回してから夫々直径80mmに巻回したハニカムブロック体a.bを夫々半円形で左右対称に背中合わせに組合せられ、図2(イ)に示すように外周が軸方向に割られたスリット3が設けられ、断面が略C字形状の外筒1に収納されて直線部14と、円弧部分17が構成される。外筒1には2箇所対称の位置に、幅が2.2mm長さ60mmの溝4が構成される。
この略C字形状の外筒1は図2(ロ)に示すように、ダイス12で締められスリット3が閉じられる。
外筒1内に挿入されていたハニカムブロック体a.bはダイス12が閉じられることによって押圧、円柱状に整形され、内径が100mmで、300セル/inch2のハニカム体が形成される。
このとき左右対称に構成されたハニカムブロック体a.bの平板の一端15と、波板の一端16は、図2(イ)→(ロ)に示すように軸方向設けられたスリット3から外筒1より外に引出されることが好ましい。そして外筒1のスリット3で一体に溶接接合される。
【0048】
然して、外筒1と接している半円形のハニカムブロック体a.bの円弧部分17には、前記溝4と対応して凹陥部7が切られる。
即ち、腕板部材5の軸方向の長さは夫々30mmであり,直径方向の長さは半円形であるハニカムブロック体a.bの半円形部分には図3に示すように腕板部材5が嵌挿される。
【0049】
外筒1、溝4、ハニカムブロック体2、腕板部材5の接合は実施例1、実施例2と同様である。
【実施例4】
【0050】
この実施例(腕板部材方式)は実施例1と同様ハニカムブロック体は巻回型のもので、図4(イ、ロ)に示すように波板と平板を多層に巻回して、直径62mmのハニカムブロック体(a.b.c)として3個が組合せられ、整形ダイス21で円柱状に圧縮整形され、内径が100mmの外筒1に収納される。
このハニカムブロック体(a.b.c)は扇型で、円弧17の部分が外筒1に接している。
外筒1には図5に示すように、夫々のハニカムブロック体(a.b.c)の密着面(e.f.g)に対応した位置(h.i.j)に幅2.2mmの溝4が設けられ、該溝4に厚さが2mmの腕板部材5が嵌挿接合されて固定される。そして実施例1〜3と同様に腕板部材5は内に向かって構成された外筒1の一部として一体化して機能する。そして実施例1と同様に外筒1の溝4に対応する位置(h.i.j)に幅が0.5mmの凹陥部7が切られ、該ハニカムブロック体の凹陥部7に前記厚さが2mmの腕板部材5が凹陥部7を倒伏せしめて嵌挿される。
【0051】
然して外筒1内に収納された ハニカムブロック体(a.b.c)は実施例1と同様に腕板部材5のハニカムブロック体の端面側11をレーザー9で溶融することで凹陥部7を共に溶融溶接することができる。即ち、ハニカムブロック体が腕板部材5によって外筒1と溶接で一体化される。
【実施例5】
【0052】
この実施例(支持壁方式)は図6に示すように、実施例3と同様に巻回型のハニカムブロック体a.b、2個を背中合わせにして用いている。この実施例の特徴は、該2個のハニカムブロック体a.b、の間に厚さが0.5mmの支持壁18が設けられていることである。
即ち支持壁18を挟んで背中合わせに組込まれた、半円形のハニカムブロック体a.b、の直線部分14を直角に横断して軸方向に厚さ0.5mm、直径100mmの円盤状丸刃カッター(図示せず)で端面開口部11から30mmの深さに切込みを入れて軸方向に幅0.5mmの凹陥部7を設け、そして該凹陥部7に最大幅20mm、長さ50mm、厚さ2mmの接合部材19を嵌挿してから該接合部材19の上端をレーザ9で溶融し、その溶融液10でハニカムブロック体a.b、の直線部14を支持壁18と一体に溶接される。 支持壁18の中心部には予め幅が2.2mm深さ20mmの溝が設けられている。
【実施例6】
【0053】
この実施例は図7に示す。
(イ)は実施例1に対応し、外筒1の一端をL字状に内側に折り曲げて腕板部材5の機能を付与したものである。
(ロ)実施例4に対応し、外筒1の切曲げ部20の一部を切欠いてL字状に内側に折曲げ腕板部材5としたものである。
切欠かれた切曲げ部20は同じ形状の部材で埋められる。
然しながら、腕板部材5を外筒1に、先に溶接しておいても良い。
【実施例7】
【0054】
この実施例は図8に示す。
このものは複合型で、ハニカムブロック体a.bと外筒1を接合するのに腕板部材5に併せて接合部材19を使用したものである。
即ち、端面開口部Mには外筒1側に腕板部材5が用いられ、他の端面開口部Nの中心部には接合部材19が用いられる。この場合、支持壁26は必ずしも必要としない。
そして腕板部材5と接合部材19とは同一平面上、対称の位置に設けられることが好ましい。またこの図では接合部材19がハニカムブロック体に凹陥部を設けて嵌挿しているが、凹陥部を設けないでこの位置に接合部材19を載置し、そしてレーザで溶融溶接してもよい。
【0055】
この例は、ハニカム体の端面開口部Mには腕板部材5を、端面開口部Nには接合部材19を夫々用いたもので、この発明の趣旨である少量の部材を使用しながら接合を更に確実なものとする。
【0056】
技術的構成は実施例1〜7全て同様である。
そしてこれらの溶接にはレーザ溶接の他、アルゴン溶接、TIG溶接、MIG溶接、その他が利用できる。ロウ付けも真空炉、高周波、電気抵抗、及び拡散接合その他何でも利用又併用できることは言うまでもない。
更に端面開口部Mには腕板部材,端面開口部Nには接合部材等、夫々互い補完する部位の接合ができる。
【実施例8】
【0057】
この実施例は基本的には実施例7と同様である。
然して中央部6をより強化するために、図8の接合部材19の代わりに、図9(イ)に示すように端面開口部Bの中央部6に円盤状接合層35が設けられる。
この円盤状接合層35はロウ付けによって形成されることが好ましい。
【0058】
円盤状接合層35は図9(イ)の他、端面開口部Mの中央部に設けた(ロ)、端面開口部M.Nの両面に設けた(ハ)、端面開口部Mの全面に設けた(ニ)等がある。
【実施例9】
【0059】
この実施例はエレクトロ鞘管溶融溶接を示す。
図13(イ)に示すように、実施例1と同じ態様の外筒1の中に、耐熱金属箔を巻回して作られたハニカムブロック体2が収納されている。そしてハニカムブロック体2の開口端縁11に設けられた凹陥部7に嵌挿される腕板部材5にエレクトロ鞘管溶融溶接ができる鞘管30が設けられることを特徴としている。
即ち、この実施例の腕板部材5は図13(ロ)に示すように、Niが少なく耐熱鋼であるSUS410Lで、厚さが1mmの板を折り曲げ、その折り目が直径5mmくらいになるように少し膨出28させる。この折り目の膨出で出来た孔に直径が3mmの錐を通して仕上げると、エレクトロ鞘管溶融溶接の鞘管30となる。
腕板部材5の平板部分はスポット溶接29で固定される。
この腕板部材5は、図13(ハ)に示すように平板部分が1枚であってもよい。
【0060】
即ち、図13(ロ)の腕板部材5を図13(イ)に示すように、実施例1と同じ態様の外筒1とハニカムブロック体2の凹陥部7に差し込み、図示しない送気管から炭酸ガスと同時に太さが1mmの溶接ワイヤEをノズルから送り込んでエレクトロガスアーク溶接をすると、腕板部材5の鞘管30の溶接ワイヤEはそれ自体をアークの熱で先端から溶融しながら鞘管30を構成する腕板部材5の外に膨出部分28の一部又は全部が溶融金属となって、腕板部材5とハニカムブロック体2、外筒1が溶接される。
【0061】
腕板部材5に設けられる鞘管30には必要に応じて、図13(ハ)に示すように折り曲げと平行な鞘管30、及び又は腕板部材5の斜縁27に沿って設けられた鞘管30であってもよい。この場合ガイド穴26が設けられる。
【実施例10】
【0062】
この実施例はMIG溶接によるエレクトロ鞘管溶融溶接の代わりに被覆アーク溶接棒を鞘管30に差し込み、通電してその先端から溶融せしめ、同時に腕板部材5の鞘管30も溶融して前記と同じ溶融金属となし、その溶融金属によって鞘管30の周縁にあるハニカムブロック体2を溶接する。
【実施例11】
【0063】
この実施例では図14に示す実施例1の溝4に直径5mmのガイド穴33が設けられ、該溝4からハニカムブロック体2の開口端縁11に設けられた凹陥部7に、鞘管30が設けられた腕板部材5が差し込まれる。そして該鞘管30が溶融されることによって、外筒1とハニカムブロック体2が溶接される。
【実施例12】
【0064】
この実施例では図15(イ)に示すようにハニカムブロック体2を収めた厚さ2mm×直径100mm×長さ120mmの外筒1の、軸方向の略央部に幅3mm長さ40mmの長窓穴32が設けられ、該長窓穴32にはガイド穴26が設けられている。この長窓穴32から鞘管溶融溶接ができる図15(ロ)に示す嵌入部材33がハニカムブロック体2の胴部中心に向かって差し込まれ、そして溶接ワイヤEがMIG溶接のアークで溶融され、その溶融金属で周縁のハニカムブロック体2が嵌入部材33と溶接される。
図15(ハ)に嵌入部材33の他の例を示す。
【実施例13】
【0065】
この実施例は図16に示すように、前記ハニカムブロック体2を収めた厚さ2mm×直径100mm×長さ120mmの外筒1の、軸方向の略央部に幅4mm長さ40mmの長窓穴32が設けられ、該長窓穴32から中心に向かって鞘管溶融溶接ができる扁平鞘管31か差し込まれ、そして扁平鞘管31の中に挿入されている溶接ワイヤE又は溶接テープFがMIGのアークで溶融され、その溶融金属で周縁のハニカムブロック体2、扁平鞘管31、更に外筒1が溶接される。
この溶融溶接は扁平鞘管31の向きが上下又は45°の斜め置きで行われることが好ましく、生成したスラグは上部から排出される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は実施例1の構成の一部を裁除し、斜視図で示す説明図である。
【図2】(イ)は実施例3の外筒1にスリット3を設けた態様を示す平面図である。 (ロ)はスリット2を閉じる態様を示す平面図である。
【図3】図3は実施例3の態様を示す一部を裁除し、斜視図で示す説明図である。
【図4】(イ)は実施例4の整形前の、(ロ)は整形後の平面図である。
【図5】図5は実施例4の平面図である。
【図6】図6は実施例5の一部を裁除して示す説明図である。
【図7】図7は実施例6の一部を裁除して示す説明図で、(イ)は実施例1に対応し、(ロ)は実施例4に対応する。
【図8】図8は複合型である実施例7の一部を裁除して示す説明図である。
【図9】(イ)は実施例 を斜視図で示す説明図、(ロ)は実施例 の他の例を示す断面図、(ハ)は実施例 の更に他の例を示す断面図、(ニ)は実施例 の更に他の例を示す断面図である。
【図10】(イ)はエレクトロガス溶接の説明図、(ロ)はその平面図である。
【図11】(イ)エレクトロ鞘管溶融の説明図、(ロ)は他の説明図である。
【図12】図12は扁平鞘管を示す説明図である。
【図13】(イ)は腕板部材にエレクトロ鞘管溶融溶接を用いた斜視図。(ロ)は腕板部材とエレクトロ鞘管との説明図、(ハ)は他のエレクトロ鞘管の説明図である。
【図14】(イ)は腕板部材の他の実施例の説明図、(ロ)は腕板部材とエレクトロ鞘管との他の説明図である。
【図15】(イ)は実施例12の斜視図による説明図、(ロ)は嵌入部材の斜視図、(ハ)は他の例の斜視図である。
【図16】図16は扁平鞘管を用いた実施例13の説明図である。
【図17】(イ)はS字型、(ロ)は巴状ハニカム体を示す平面図である。
【図18】図18は外筒及びハニカム体全体が接合された例を示す断面図である。
【図19】図19は中間部が接合されていないハニカム体の例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0067】
a.b.c. ハニカムブロック体(2〜3分割)
e.f.g. ハニカムブロック体の密着面(3分割)
h.i.j. ハニカムブロック体の密着面と対応の溝(3分割)
A. 部材
B. 部材
C. 側板
D. 空間
E. 溶接ワイヤ
F. テープ状溶接ワイヤ
G. 壁面
H. ノズル
I. 送気管
J. 溶融池 ・溶融金属
1.外筒
2.ハニカムブロック体
3.スリット
4.溝
5.腕板部材
6.中心
7.凹陥部
8.先端
9.レーザ
10.溶融液
11.端面開口部 M. 端面開口部 N.端面開口部
12.ダイス
13.溶接ノズル
14.直線部
15.平板の端部
16.波板の端部
17.円弧
18.支持壁部材
19.接合部材
20.切曲げ部
21.整形ダイス
26.ガイド穴
27.斜縁
28.膨出部
29.スポット溶接
30.鞘管
31.扁平鞘管
32.長窓穴
33.嵌入部材
35.円盤状接合層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐熱金属箔の波板と平板、或いは波板と他の波板を組合せて多層に巻回されて成る巻回型の触媒メタル担体であって、前記触媒メタル担体は円柱状又は楕円柱状にハニカムブロック体で構成されており、且つ前記ハニカムブロック体には巻回されたハニカムブロック体の直径の約1/2、即ち半径相当長さの凹陥部が設けられ、外筒と前記凹陥部に嵌挿された少なくとも半径相当長さの腕板部材(片持梁・Cantilever)によって、外筒とハニカムブロック体とが一体に接合されることを特徴とする触媒メタル担体。(腕板部材方式)
【請求項2】
前記触媒メタル担体は2個のハニカムブロック体が半円形状で、互いに背中合わせになって外筒に収納される態様で構成され、且つ前記ハニカムブロック体には夫々巻回されたハニカムブロック体の直径の1/2、即ちハニカムブロック体の半径相当長さの凹陥部が外筒側に設けられ、外筒から内に向かって設けられた少なくともハニカムブロック体の半径相当長さの2個の腕板部材が前記凹陥部に嵌挿接合されることによって外筒とハニカムブロック体とが一体に接合されることを特徴とする触媒メタル担体。(腕板部材方式)
【請求項3】
触媒メタル担体は、3個又はそれ以上の扇形のハニカムブロック体が外筒に収納される態様で構成され、且つ前記ハニカムブロック体には夫々巻回されたハニカムブロック体の直径の1/2、即ちハニカムブロック体半径相当長さの凹陥部が外筒側に設けられ、該外筒から内に向かって前記凹陥部に対応して設けられた腕板部材が、前記凹陥部に挿し込まれて接合されることによって外筒とハニカムブロック体とが一体に接合されることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の触媒メタル担体。(腕板部材方式)
【請求項4】
触媒メタル担体は2個の半円形状のハニカムブロック体が背中合わせに外筒に収納された態様で構成され、該外筒の内腔を横断して設けられた支持壁を挟んでその両側に半円形状に形成された前記ハニカムブロック体の直径の1/2、少なくともハニカムブロック体半径相当の長さの凹陥部が中心部に設けられ、該凹陥部と支持壁に挿し込まれた少なくともハニカムブロック体の半径×2、相当の長さ接合部材によってハニカムブロック体と外筒とが一体に接合されることを特徴とする請求項1に記載の触媒メタル担体。(腕板部材・支持壁方式)
【請求項5】
前記触媒メタル担体は1個又は2個以上のハニカムブロック体が外筒に収納された態様で構成され、且つ前記ハニカムブロック体の一つの端面開口部Mは腕板部材によって外筒と一体に接合され、端面開口部M及び又は反対側の端面開口部Nの少なくとも一部が円盤状接合層又は接合部材によって接合されていることを特徴とする請求項1.2.3.6のいずれかに記載の触媒メタル担体。(腕板部材・接合部材方式)
【請求項6】
触媒メタル担体は1個又は2個以上のハニカムブロック体で構成されており、且つ前記ハニカムブロック体と外筒は腕板部材に、或いはハニカムブロック体の開口端縁を横断する接合部材の少なくとも一部に設けられたエレクトロ鞘管溶融で溶接されることを特徴とする請求項1.2.3.4のいずれかに記載の触媒メタル担体。(鞘管溶融溶接・腕板部材・接合部材方式)
【請求項7】
外筒の中に1個又は2個以上のハニカムブロック体を収納してなる触媒メタル担体であって、該外筒の略央部に軸方向に1個以上の長窓穴を設け、この長窓穴からハニカムブロック体の胴部に内部に向かって少なくとも一部に鞘管溶融溶接ができる鞘管を設けた嵌入部材が一部挿入又は貫通され、該嵌入部材がエレクトロ鞘管溶融によって外筒とハニカムブロック体とが一体に接合されることを特徴とする触媒メタル担体。(鞘管溶融溶接・嵌入部材方式)
【請求項8】
外筒の中に1個又は2個以上のハニカムブロック体を収納してなる触媒メタル担体であって、該外筒の略央部に軸方向に1個以上の長窓穴を設け、この長窓穴からハニカムブロック体の胴部の少なくとも一部にエレクトロ鞘管溶融溶接ができる扁平鞘管が差し込まれ、そして外筒とハニカムブロック体がこの扁平鞘管のエレクトロ鞘管溶融で溶接されて一体に接合されることを特徴とする触媒メタル担体。(鞘管溶融溶接・扁平鞘管方式)
【請求項9】
腕板部材、嵌入部材或いは接合部材を適用する前記触媒メタル担体は、1個またはそれ以上のハニカムブロック体が、外筒が軸方向に割れた少なくとも1個のスリットを設けた断面が略C字形状の外筒に収納され、これ等を前記外筒のスリットと共に圧縮してハニカムブロック体とせしめることを特徴とする請求項1〜8に記載の触媒メタル担体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−68725(P2006−68725A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−177825(P2005−177825)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(000130798)松本技研株式会社 (8)
【Fターム(参考)】