説明

触媒処理のための制御システム

【解決手段】触媒処理のための制御システムを提供する。制御システムは,a)触媒層を有する電気伝導性支持体と,b)触媒層に対しては一方の極性で,電気伝導性支持体に対しては他方の極性でDC電流を適用する手段と,c)DC電流の適用を制御し,変化させる手段と,d)触媒層および電気伝導性支持体に対する分極インピーダンスを測定する手段と,e)測定された分極インピーダンスを基準値と比較する手段と,f)測定された分極インピーダンスが基準値と異なるとき,触媒層および電気伝導性支持体へのDC電流の適用を変化させる手段とを含む。制御システムはさらにg)電気伝導性支持体を加熱する手段と,h)加熱を制御し,変化させる手段と,i)測定された分極インピーダンスが基準値と異なるとき,触媒層および電気伝導性支持体への加熱を変化させる手段とを含む。システムの触媒を軽炭化水素または燃焼排ガスのストリーム流に接触させる方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は触媒処理のための制御システムに関する。本発明はさらに,炭化水素流の改変または排ガス流の汚染除去の処理のための制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
触媒システムは,軽炭化水を改変すること,すなわちメタンや他の軽炭化水素を水素に改変し,さらに排ガス流の汚染除去,すなわち内燃機関の排気ガスを無毒な化合物に酸化還元するために,広範囲にわたって採用されている。
【0003】
触媒システムに関連した問題が触媒の有毒化である。このような有毒化の一つの原因は,炭化水素のような酸素を含む種の吸収/浸透である。一酸化炭素は触媒機構を妨害する。有毒化の他の原因は,炭素の堆積である。
【0004】
触媒の有毒化の対処方法は,触媒に直流(DC)電場を適用すること,および/または触媒を上昇した温度,すなわち約300°Cから約800°Cに加熱することを含む。一般的に,電場および熱は同時に適用される。DC電場の適用は,触媒から酸素を含む分子種を放出させ,または排出させる。DC電流および/または熱の適用は,特許文献1ないし7に説明されている。これらの応用例はまた,以下の非特許文献1ないし3に記載されている。
【特許文献1】米国特許公開番号第2001/0000889号A1明細書
【特許文献2】米国特許公開番号第2002/0045076号A1明細書
【特許文献3】米国特許第4,318,708号明細書
【特許文献4】米国特許第5,006,425号明細書
【特許文献5】米国特許第5,232,882号明細書
【特許文献6】米国特許第6,214,195号明細書
【特許文献7】米国特許第6,267,864号明細書
【非特許文献1】Effect of Oxygen-containing Species on the Impedance of the Pt/YSZ interface, Solid State Ionics, 100, 17 to 22 (1997)
【非特許文献2】Transient and Permanent Effects of Direct Current on Oxygen Transfer across YSZ-Electrode Interface, Journal of the Electrochemical Society, 2479 to2485, vol. 144, No. 7 (1997)
【非特許文献3】Thermodynamics Stability and Interfacial Impedance of Solid-Electrolyte Cells with Noble-Metal Electrodes, Journal of Electroceramics 33:, 279 to 299 (1999) これら文献はここに参考文献として組み込まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
DC電場を触媒システムに適用することについての問題が,触媒の毒化レベルを,リアルタイムまたは連続的にモニターし,検知する手段を欠いていることである。リアルタイムで,触媒の毒化レベルをモニターし検知する手段を欠いていることは,DC電場の正確で,適切な適用の妨げとなる。DC電場の正確で,適切な適用は,その電場が非常に僅かで,酸素を含む種の放出割合が非常に低く,このような種が堆積するときには,重大となる。DC電場が非常に強いときは,触媒における触媒の有効な場所の範囲が減少するであろう。
【0006】
触媒システムへの加熱はリアルタイムでの制御手段が欠けていることの問題があり,触媒の挙動および物理的構成についての温度の効果が不正確となる。触媒の温度があまりにも低いと,触媒は汚れたもの(汚いもの)となり,触媒作用の反応速度が悪い方に変わる。温度が非常に高いと,触媒作用の反応速度が非常に変化し,さらに/または触媒のミクロ構造が破壊される。
【0007】
触媒の有毒化に対処する他の方法は,触媒の化学的処理および交換を含む。化学的処理には,連続的な処理が不可能であり,触媒の挙動の予想や制御が難しいという欠点がある。触媒の交換はコスト高をもたらし,処理の中断をもたらす。
【0008】
DC電場の適用および/または触媒システムにおける加熱を制御するシステムが望まれている。炭化水素流の改変,燃焼排ガス流の汚染除去のための処理において,DC電場の適用および/または触媒システムにおける加熱を制御するシステムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にしたがって,触媒処理のための制御システムを提供する。制御システムは,a)触媒層を有する電気伝導性支持体と,b)触媒層に対しては一方の極性で,電気伝導性支持体に対しては他方の極性でDC電流を適用する手段と,c)DC電流の適用を制御し,変化させる手段と,d)触媒層および電気伝導性支持体に対する分極インピーダンスを測定する手段と,e)測定された分極インピーダンスを基準値と比較する手段と,f)測定された分極インピーダンスが基準値と異なるとき,触媒層および電気伝導性支持体へのDC電流の適用を変化させる手段とを含む。制御システムは任意であるが,さらにg)電気伝導性支持体を加熱する手段と,h)加熱を制御し,変化させる手段と,i)測定された分極インピーダンスが基準値と異なるとき,触媒層および電気伝導性支持体への加熱を変化させる手段とを含んでもよい。
【0010】
本発明にしたがって,触媒処理の制御システムを提供する。制御システムは触媒を有する電気伝導性支持体を有する。電流制御ユニットが,第一の電極および該第一の電極とは反対の極性となる第二の電極に接続される。電流制御ユニットは第一および第二の電極へのDC電流の適用を制御し,変化させる。第一の電極は電気伝導性支持体と接触する。第二の電極は触媒と接触する。電流制御ユニットは第一および第二の電極へのAC電流の適用を制御し,変化させる。ACセンサーが触媒層または電気伝導性支持体に接続される。第一および第二の電極のAC電流レベル,および二つの異なる周波数でもってACセンサーで検出されたAC電流レベルが,分極ピンピーダンスが決定されるインピーダンス測定ユニットに接続される。インピーダンス測定ユニットは,測定された分極インピーダンスが基準値と比較される中央処理ユニットに接続される。中央処理ユニットは,決定された分極インピーダンスが基準値と異なるときに,第一および第二の電極へのDC電流の適用を変化させるために,電流制御ユニットに接続される。
【0011】
さらに,本発明にしたがって,触媒処理のための制御システムを提供する。制御システムは,a)触媒層を有する電気伝導性支持体をそれぞれ有する第一および第二のシステム要素であって,触媒層が,互いに離れてはいるが近接し,向き合っている,ところのシステム要素と,b)二つの触媒層へ横切るようにDC場を適用する手段と,c)DC場の適用を制御し,変化させる手段と,d)二つの触媒層に対する分極インピーダンスを測定する手段と,e)測定された分極インピーダンスを基準値と比較する手段と,f)測定された分極インピーダンスが基準値と異なるときに,二つの触媒層へのDC場の適用を変化させる手段とを含む。
【0012】
さらにまた,本発明にしたがって,触媒処理のための制御システムを提供する。制御システムは,触媒層を有する電気伝導性支持体をそれぞれ有する第一および第二のシステム要素を有し,触媒層は,互いに離れてはいるが近接し,向き合っている。電流制御ユニットは,第一の電極および該第一の電極とは反対の極性となる第二の電極と接続される。電流制御ユニットは第一および第二の電極へのDC電流の適用を制御し,変化させる。第一の電極は第一のシステム要素と接触し,第二の電極は第二のシステム要素と接触する。ACセンサーが第二のシステム要素と接続される。電流制御ユニットはACセンサーに接続され,電流制御ユニットは第一および第二の電極へのAC電流の適用を制御し,変化させる。電流制御ユニットは,第一および第二の電極のAC電流レベル,および二つの異なる周波数でもってACセンサーで検出されたAC電流レベルが,分極ピンピーダンスが決定されるインピーダンス測定ユニットに通信される。インピーダンス測定ユニットは,測定された分極インピーダンスが基準値と比較される中央処理ユニットに接続される。中央処理ユニットは,測定された分極インピーダンスが基準値と異なるときに,第一および第二の電極へのDC電流の適用を変化させるために,電流制御ユニットに接続される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
触媒システムの有効性を制御し,維持する現場手段(in situ means)があることが分かった。炭化水素流の改変および燃焼排ガス流の汚染除去のためのプロセスにおいて,触媒システムの有効性を制御し,維持する装置があることが分かった。
【0014】
本発明は,触媒における毒性レベルを検出する現場手段,およびDC電場,任意であるが熱(温度)の適用を正確に制御し,維持する手段を提供する。触媒反応の条件は,反応化学種の変換の最大化のために,および/または反応経路および生成物のために最適化することができる。DC電流は,必要に応じて,触媒において,触媒作用の有効なサイトの数を最大化するようにセットすることができる。触媒反応の反応温度は,反応レートを最大化し,さらに/または反応経路および生成物を選択し,触媒の汚染/汚れを防止するためにセットすることができる。
【0015】
現場センサーは波長が変化可能な交流(AC)を採用し,直流のように同じ回路にそって接続される。センサーは三点構成のインピーダンスを測定することにより触媒の状態を連続してモニターする。触媒内の,一酸化炭素のような酸素を含む種または毒性のある種の濃度が高ければ高いほど,インピーダンスの分極成分が高くなる。センサーは中央処理ユニット(CPU)に接続され,CPUは,適用されるDC電流の電圧,任意ではあるが適用される熱の量を調節する制御機構に接続される。
【0016】
分極インピーダンスは交流電流の低周波数と高周波数とで測定されたインピーダンスの違いである。分極インピーダンスは次の数式IおよびIIにしたがって計算することができる。
icorr = [βaβc/2.303(βa+βc)][1/Rp] (I)
Rp = |Z(jw)|w→0 − |Z(jw)|w→∞ (II)
ここで,
icorr =安定状態の腐食電流;
βa = 陰イオン反応に対するターフェル定数
βc = 陽イオン反応に対するターフェス定数
Rp = 分極インピーダンス(オーム)
w = 2×π×f(π=3.141,fは適用される交流電流の周波数(ヘルツ))
j = 虚単位数(−1)1/2
Z(jw) = インターフェースの複素インピーダンス(周波数の関数)(オーム)
|Z(jw)|w→0 = 周波数がゼロに近づいたときの複素インピーダンス(オーム)
|Z(jw)|w→∞ = 周波数が非常に高い周波数に近づいたときの複素オーム(オーム)
【0017】
試験周波数は,システムの特性およびその条件に依存して変化するが,適切な低周波数は典型的に,約0.1Hzから約100Hzの範囲で,適切な高周波数は典型的に,約10kHzから約5MHzの範囲である。分極インピーダンスは典型的にオームで示される。分極インピーダンスの計算方法は,Application of Impedance Spectroscopy (J. Ross McDonald,262頁,John Wiley & Sons (1987))に説明され,これは参考文献として,ここに組み込まれる。
【0018】
本制御システムにおいて,インピーダンスは一般的に,触媒層/電気伝導性支持体(触媒システムの構造に依存して構造上変化する)を横切るAC電流の差または降下に対応する。通常,AC電流の差は第一の電極/第二の電極とACセンサーとの間である。分極インピーダンスはインピーダンスが低および高周波数で測定されるときに得られる。
【0019】
本制御システムの実施例が図1に示され,一般的に符号10で示されている。制御システム10電気伝導性支持体12と,その上に位置する触媒層14とを有する。電流制御ユニット28が電流ケーブルを介して,第一の電極17および第二の電極18に接続され,制御し,DC電流を与える。第一の電極17は電気伝導性支持体12に隣接し,電気的に接触している。第二の電極18は触媒層14に隣接し,電気的に接触している。電流制御ユニット28はまた,電流ケーブル22を介して,第一の電極17および第二の電極18を制御し,AC電流を与える。分極インピーダンス測定ユニット26はACセンサー16(データ伝送ケーブル24を介して触媒層14に隣接し,電気的に接触している)に接続される。加熱制御ユニット34はインターフェース30とデータ伝送ケーブル24を介してヒーター36に接続されるる。電流制御ユニット28,分極インピーダンス測定ユニット26,および加熱制御ユニット34はインターフェース30を介して中央処理ユニット32と接続され,制御される。制御システム10が動作中,炭化水素流または燃焼排ガスのような処理スループットは,触媒層14に衝突するように,または横切るように接する。電極は電気伝導形態を取ってもよいが,通常は触媒層14または支持体12と接する電気的導電性ワイヤまたは導線の形態を取ってもよい。Solartron1260(Solartron社)が,電流制御,中央処理ユニット,直流および交流電流の提供,インピーダンス測定を含む,すべての制御および測定機能を実行する。
【0020】
本制御システムの他の実施例が図2に示され,符号40で一般的に示されている。制御システム40は二つの要素組立体41および43を含む。要素組立体41は電気伝導性支持体42,触媒層46,およびヒーター54とを有する。要素組立体43は電気伝導性支持体44,触媒層48,およびヒーター56とを有する。電流制御ユニット(図示せず)が電流ケーブル50を介して第一の電極58および第二の電極60を制御し,ACおよびDC電流を与える。第一の電極58は電気伝導性支持体42に隣接し,電気的に接触している。第二の電極60は触媒層44に隣接し,電気的に接触している。分極インピーダンス測定ユニット(図示せず)が,ACセンサー62(データ伝送ケーブル52を介して触媒層46に隣接して,電気的に接触している)と接続する。ヒーター54および56は加熱制御ユニット(図示せず)により制御される。制御システム40が動作すると,炭化水素流または燃焼排ガスのような処理スループットは触媒層46および48に,そられの間を通るようにして接触する。
【0021】
本制御システムの他の実施例が図3に示され,符号70により一般的に示されている。制御システム70は基本的に管状または円筒状の形状をもつ。図3は基本的に管状または円筒状形状の制御システムの断面図である。制御システム70は輸送,処理機能をもち,炭化水素流または燃焼排ガスのような処理スループットのための触媒リアクターとして機能する。制御処理システム70は必要であれば,管,パイプ,他の導管で置き換えることができる。
【0022】
図3に関連し,制御システム70は電気伝導性支持体72,触媒層74,ならびにヒーター86および88とを有する。電流制御ユニット(図示せず)が電流ケーブル84を介して第一の電極76および第二の電極78を制御し,ACおよびDC電流を与える。第一の電極76は電気伝導性支持体72に隣接し,電気的に接触している。第二の電極78は触媒層74に隣接し,中に埋め込まれ,電気的に接触している。分極インピーダンス測定ユニット(図示せず)が,ACセンサー80(データ伝送ケーブル82を介して触媒層74に隣接して,中に埋め込まれ,電気的に接触している)と接続する。ヒーター86および88は加熱制御ユニット(図示せず)により制御される。制御システム70が動作すると,炭化水素流または燃焼排ガスのような処理スループットは実質的に連続した通路90(図3では断面に対して垂線方向)を通過し,触媒層74との間を通過するようにして,触媒層と接触する。
【0023】
動作中,触媒層は約100°Cから約800°Cの温度に典型的に維持される。分極インピーダンスのレベルを減らす必要があると,触媒層の温度は,分極インピーダンスを所望のレベルまで下げるのに十分な時間の間,高いレベルに,たとえば約1060°Cに上昇させてもよい。典型的に,触媒層の温度は約1分またはそれ以上の間,上昇させる。
【0024】
本発明は,メタン,および他の軽炭化水素(たとえばメタン,プロパン,ブタン)を含む原料を基本的な水素(H)に改変する際に有用である。この処理は特に燃料電池に有用である。
【0025】
本発明は,汚染の除去,すなわち,ガス状有害物を無毒な化合物に変換する際に有用である。たとえば,亜酸化窒素(NO)は基本の窒素ガス(N)に還元することができる。一酸化炭素(CO)は二酸化炭素(CO2)に酸化させることができる。炭化水素(HC)は二酸化炭素と水に変換させることができる。
【0026】
電気伝導性支持体は,触媒が付着され,十分な程度の電気伝導性をもつ材料である。適切な材料は,固体電解質,混合導体,およびサーメットを含む。固体電解質の例としては,酸素イオン導体,固溶体,プロトン導体がある。酸素イオン導体の例としては,安定ジルコニア,安定酸化ビスマス,イットリウム安定酸化ビスマス,Nb安定酸化ビスマス,ナトリウムベータアルミナ,ヒロドニウムベータアルミナ,多孔質金属がある。固溶体の例としては,CaTiO,SrTiO,LaAlOがある。有用なプロトン導体はナフィロン(Nafion)(デュポン社)である。混合導体の例としては,酸化セリウムをベースにした固溶体がある。サーメットの例としては,ケイ化モリブデンがある。
【0027】
電気伝導性支持体は,ディスク状または他の平坦な表面,中空の円筒状のもの,またはハニカム状のもののような,当業者には知られている形状を取ってもよい。
【0028】
触媒は炭化水素原料の改変または有毒物の無毒化において有用である。有用な触媒は金属または電気伝導性セラミクスを含む。有用な金属はプラチナまたはパラジウムを含む。有用なセラミックはSnO−In混合物を含む。
【0029】
触媒は,従来より知られた塗布,電気泳動,ガス蒸着の技術により電気伝導性支持体の表面に付着される。このような技術の後に,所望のカバレージファクタ,多孔性および支持体との物理的な接触の程度を得るために熱的または電気化学的処理が続く。触媒は支持体の一部または全表面上に付着される。
【0030】
熱源は,電気,ガス,オイルまたは他の燃料のような従来から知られている熱生成手段であってもよい。好適に,熱源は電気伝導性支持体および/または触媒層の近傍にある。好適に,熱源は熱を支持体に与え,そして触媒層へと伝導される。熱は,伝導,対流および/または輻射というモードの一部または全てで与えられる。熱の一部は,炭化水素原料または燃焼排ガスのような処理スループットにより,そのスループットの温度が上昇するのであれば,触媒層に与えることができる。典型的に,処理スループットにより与えられる熱は熱源により,増加しまたは補われる。
【0031】
任意であるが,炭化水素燃料または汚染流が,触媒と接触する前に,汚染物を除去するために,ガス濾過媒体を通過させてもよい。このような濾過媒体は,触媒の完全性を維持し,その使用寿命を長くする。有用な濾過媒体には,いろいろな織紙,不織紙,繊維,他の合成材料ならびに金属格子および開放気泡の発泡体がある。
【0032】
本発明はまた,上述したように触媒システムの有効性を維持するために,電磁輻射を採用する制御システムとともに使用することもできる。分極インピーダンスを測定する同じ手段が上述したように,触媒表面を有する電気伝導性支持体について採用することができる。分極インピーダンスが基準値と異なるとき,あるタイプ,エネルギー/および周波数の電磁輻射が触媒表面に適用される。
【0033】
本発明は多数の応用例に利用できる。触媒システムは,神経ガス/液,毒物,毒素を酸化および/または還元し,不活性または無害な化合物にするために使用することができる。触媒システムはガスマスク,または呼吸,通気,ベンチュレーションシステムなどに使用することができる。触媒システムは,タンク,装甲兵員輸送車のような戦場車両のための通気/ベンチュレーションシステムに使用することができる。
【0034】
上記記述は本発明の説明のためのものである。当業者であれば,いろいろな変更,修正が本発明から逸脱することなしうる。したがって,本発明は,特許請求の範囲内の変更,修正,改変を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は本発明にしたがった制御システムの略示図である。
【図2】図2は二つの触媒層が互いに向かい合っている制御システムの略示図である。
【図3】図3は触媒層が円筒状となっている制御システムの略示図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒処理のための制御システムであって,
a)触媒層を有する電気伝導性支持体と,
b)触媒層および電気伝導性支持体へ横切るようにDC場を適用する手段と,
c)DC場の適用を制御し,変化させる手段と,
d)触媒層および電気伝導性支持体に対する分極インピーダンスを測定する手段と,
e)測定された分極インピーダンスを基準値と比較する手段と,
f)測定された分極インピーダンスが基準値と異なるとき,触媒層および電気伝導性支持体へのDC場の適用を変化させる手段と,
を含む制御システム。
【請求項2】
g)触媒層を加熱する手段と,
h)加熱を制御し,変化させる手段と,
i)測定された分極インピーダンスが基準値と異なるとき,触媒層および電気伝導性支持体への加熱を変化させる手段と,
を含む,請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
電気伝導性支持体が管状の形状をもち,触媒が少なくとも,管状支持体の内径の一部に広がる,請求項1に記載の制御システム。
【請求項4】
第一の電極が電気伝導性支持体と接触し,第二の電極およびACセンサーが,触媒層の両端側で接し,管状支持体を挟んで第一の電極の向かい側にある,請求項1に記載の制御システム。
【請求項5】
電気伝導性支持体が,固体電解質,混合伝導体,およびサーメットからなるグループから選択される,請求項1に記載の制御システム。
【請求項6】
電気伝導性支持体が,安定ジルコニア,安定酸化ビスマス,イットリウム安定酸化ビスマス,Nb安定酸化ビスマス,ナトリウムベータアルミナ,ヒロドニウムベータアルミナ,ナフィロン,多孔質金属,酸化セリウムをベースにした固溶体,CaTiO固溶体,SrTiOをベースとした固溶体,LaAlOをベースとした固溶体,ケイ化モリブデンからなるグループから選択される,請求項1に記載の制御システム。
【請求項7】
触媒が,金属または電気的伝導性のあるセラミックからなるグループから選択される,請求項1に記載の制御システム。
【請求項8】
触媒が,プラチナ,パラジウム,およびSnO−In混合物からなるグループから選択される,請求項1に記載の制御システム。
【請求項9】
触媒処理のための制御システムであって,
触媒層を有する電気伝導性支持体と,第一の電極および該第一の電極とは反対の極性となる第二の電極に接続される電流制御ユニットとを含み,
電流制御ユニットは第一および第二の電極へのDC電流の適用を制御し,変化させ,第一の電極は電気伝導性支持体と接触し,第二の電極は触媒と接触し,電流制御ユニットは第一および第二の電極へのAC電流の適用を制御し,変化させ,ACセンサーが触媒層または電気伝導性支持体に接続され,第一および第二の電極のAC電流レベル,および二つの異なる周波数でもってACセンサーで検出されたAC電流レベルが,分極ピンピーダンスが決定されるインピーダンス測定ユニットに接続され,インピーダンス測定ユニットは,測定された分極インピーダンスが基準値と比較される中央処理ユニットに接続され,中央処理ユニットは,決定された分極インピーダンスが基準値と異なるときに,第一および第二の電極へのDC電流の適用を変化させるために,電流制御ユニットに接続される,ところの制御システム。
【請求項10】
熱源に接続された加熱制御ユニットをさらに含み,
熱源は触媒層を加熱するもので,加熱制御ユニットは触媒への熱源による加熱の割合および温度を制御し,中央処理ユニットは,測定された分極インピーダンスが基準値と異なるときに,加熱を変化させるために,加熱制御ユニットに接続される,請求項1に記載の制御システム。
【請求項11】
電気伝導性支持体が,固体電解質,混合導体体,およびサーメットからなるグループから選択される,請求項10に記載の制御システム。
【請求項12】
電気伝導性支持体が,安定ジルコニア,安定酸化ビスマス,イットリウム安定酸化ビスマス,Nb安定酸化ビスマス,ナトリウムベータアルミナ,ヒロドニウムベータアルミナ,ナフィロン,多孔質金属,酸化セリウムをベースにした固溶体,CaTiO固溶体,SrTiOをベースとした固溶体,LaAlOをベースとした固溶体,ケイ化モリブデンからなるグループから選択される,請求項10に記載の制御システム。
【請求項13】
触媒が,金属または電気的伝導性のあるセラミックからなるグループから選択される,請求項10に記載の制御システム。
【請求項14】
触媒が,プラチナ,パラジウム,およびSnO−In混合物からなるグループから選択される,請求項1に記載の制御システム。
【請求項15】
触媒処理のための制御システムであって,
a)触媒層を有する電気伝導性支持体をそれぞれ有する第一および第二のシステム要素であって,触媒層が,互いに離れてはいるが近接し,向き合っている,ところのシステム要素と,
b)二つの触媒層へ横切るようにDC場を適用する手段と,
c)DC場の適用を制御し,変化させる手段と,
d)二つの触媒層に対する分極インピーダンスを測定する手段と,
e)測定された分極インピーダンスを基準値と比較する手段と,
f)測定された分極インピーダンスが基準値と異なるときに,二つの触媒層へのDC場の適用を変化させる手段と,
を含む,制御システム。
【請求項16】
触媒処理のための制御システムであって,触媒層を有する電気伝導性支持体をそれぞれ有する第一および第二のシステム要素と,第一の電極および該第一の電極とは反対の極性となる第二の電極と接続される電流制御ユニットと,第二のシステム要素と接続されるACセンサーとを含み,
触媒層が,互いに離れてはいるが近接し,向き合い,電流制御ユニットは第一および第二の電極へのDC電流の適用を制御し,変化させ,第一の電極は第一のシステム要素と接触し,第二の電極は第二のシステム要素と接触し,電流制御ユニットはACセンサーに接続され,電流制御ユニットは第一および第二の電極へのAC電流の適用を制御し,変化させ,第一および第二の電極のAC電流レベル,および二つの異なる周波数でもってACセンサーで検出されたAC電流レベルが,分極インピーダンスが決定されるインピーダンス測定ユニットに接続され,インピーダンス測定ユニットは,測定された分極インピーダンスが基準値と比較される中央処理ユニットに接続され,中央処理ユニットは,測定された分極インピーダンスが基準値と異なるときに,第一および第二の電極へのDC電流の適用を変化させるために,電流制御ユニットに接続される,ところの制御システム。
【請求項17】
請求項1の制御ユニットの触媒に軽炭化水素または燃焼排ガスのスループット流を接触させることからなる方法。
【請求項18】
請求項7の制御ユニットの触媒に軽炭化水素または燃焼排ガスのスループット流を接触させることからなる方法。
【請求項19】
請求項12の制御ユニットの触媒に軽炭化水素または燃焼排ガスのスループット流を接触させることからなる方法。
【請求項20】
請求項13の制御ユニットの触媒に軽炭化水素または燃焼排ガスのスループット流を接触させることからなる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−525859(P2006−525859A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−571465(P2004−571465)
【出願日】平成15年11月4日(2003.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2003/035145
【国際公開番号】WO2004/096423
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(505397955)カテレクトリック・コーポレイション (3)
【氏名又は名称原語表記】CATELECTRIC CORPORATION
【住所又は居所原語表記】61 Marquardt Lane, Groton, Connecticut 06340, United States of America
【Fターム(参考)】