説明

計器用装飾部品

【課題】
高さの比較的低い装飾部を有する装飾部品であっても、表示体に損傷を与えずに取付けることができる計器用装飾部品を提供する。
【解決手段】
計器用装飾部品8は、表示体2の表面に取付けられている部品であって、装飾部81と、表示体2に形成されている開口孔26に挿入できるように、一端が装飾部81の表示体2に対向する支持面81bに設けられている支柱82と、表示体2の裏面27に係止する係止部83aが支柱82の先端部を支点として揺動するように支柱82に支持されているストッパ部83と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に搭載される計器の表示体の表面に装飾を施す計器用装飾部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両等に搭載される計器において、計器の見映えを向上させるために、表示体表面にリング状の装飾部品を取付けている計器がある。このリング状の装飾部品は、その端部に設けられた係止片を表示体に形成された係止孔に挿入させるとともに、係止片の先端の爪部を表示体の裏面に係止させて、表示体に固定されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−222539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記装飾部品は、断面がアーチ状に形成された装飾部分の頂上部を支点とし、係止片が弾性変形する構造となっているため、爪部が係止孔を通過するとき、係止片は容易に弾性変形するので、爪部は係止孔を容易に通過することができる。この装飾部品は、上記頂上部と爪部との距離を確保する必要があるため、表示体表面側にある程度の高さが必要となる。
【0004】
一方、装飾部品の意匠性を向上させるため、表示体表面上に突出する装飾部品の高さを低くしたいという要望がある。上記装飾部品の高さを単に低くするだけでは、上記支点と爪部との距離が短くなり、係止片は容易に弾性変形せず、爪部が係止孔を通過する際、係止孔に傷をつけてしまったり、係止孔を変形させてしまったりする可能性がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みなされたもので、その目的は、高さの比較的低い装飾部を有する装飾部品であっても、表示体に損傷を与えずに取付けることができる計器用装飾部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の計器用装飾部品は、表示体の表面に取付けられている計器用装飾部品であって、装飾部と、表示体に形成されている開口孔に挿入できるように、一端が装飾部の表示体に対向する支持面に設けられている支柱と、表示体の裏面に係止する係止部が支柱の先端部を支点として揺動するように支柱に支持されているストッパ部と、を有することを特徴としている。
【0007】
この構成によれば、装飾部の支持面に支柱を設け、その支柱の先端にストッパ部を支持しているので、ストッパ部の係止部とストッパ部の支柱への支持部分との距離を装飾部の形状に関係なく確保することができる。
【0008】
上記距離を確保することができるので、支柱を表示体の開口孔に挿入し、係止部を通過させる際、容易にストッパ部の係止部を揺動させることができる。結果、開口孔に損傷を与えずに前記係止部を表示体の裏面に係止させ、装飾部品を表示体の表面に取付けることができる。
【0009】
請求項2に記載の計器用装飾部品では、支柱は、支持面に設けられる第1支柱と、該第1支柱から第1の方向に所定距離離れた位置に設けられる第2支柱と、該第1支柱と該第2支柱の先端部同士を結ぶように設けられる第3支柱とを有しており、ストッパ部は、第3支柱に支持され、第1の方向の第1支柱の外壁から第2支柱の外壁までの距離は、第1支柱を開口孔に挿入するとき、第1支柱の外壁と対向する開口孔の内壁から、第2支柱を開口孔に挿入するとき、第2支柱の外壁と対向する開口孔の内壁までの距離とほぼ同じであることを特徴としている。
【0010】
この構成によれば、第1の方向の第1支柱の外壁と第2支柱の外壁との距離を、それぞれの外壁に対向する開口孔の内壁間の距離とほぼ同じとしているので、表示体に対する装飾部品の第1の方向の取付け位置精度を向上させることができる。
【0011】
請求項3に記載の計器用装飾部品では、第1の方向の第1支柱の外壁から第2支柱の外壁までの距離は、先端に近づくにつれ小さくなっていることを特徴としている。
【0012】
この構成によれば、第1の方向の第1支柱の外壁から第2支柱の外壁までの距離は、先端に近づくにつれ小さくなっているので、両支柱を開口孔に挿入させやすくなり、装飾部品の表示体への組付け性が向上する。
【0013】
請求項4に記載の計器用装飾部品では、支柱は、支持面に設けられる第1支柱と、該第1支柱から第1の方向に所定距離離れた位置に設けられる第2支柱と、該第1支柱と該第2支柱の先端部同士を結ぶように設けられる第3支柱とを有しており、ストッパ部は、第3支柱に支持され、第1の方向と略垂直な第2の方向の第1支柱および第2支柱のぞれぞれの幅は、第1支柱および第2支柱を開口孔に挿入するとき、第1支柱および第2支柱の第2の方向の外壁に対向する開口孔の内壁間の距離とほぼ同じであることを特徴としている。
【0014】
この構成によれば、第1支柱および第2支柱の第2の方向の幅を、それぞれの外壁に対向する開口孔の内壁間の距離とほぼ同じとしているので、表示体に対する装飾部品の第2の方向の取付け位置精度を向上させることができる。
【0015】
請求項5に記載の計器用装飾部品では、第1支柱および第2支柱の第2の方向のそれぞれの幅は、先端に近づくにつれ狭くなっていることを特徴としている。
【0016】
この構成によれば、両支柱の第2の方向の幅は、先端に近づくにつれ狭くなっているので、両支柱を開口孔に挿入させやすくなり、装飾部品の表示体への組付け性が向上する。
【0017】
請求項6に記載の計器用装飾部品よれば、表示体は表示意匠を形成する文字板であり、装飾部は、表示意匠を周回するように文字板に取付けられているリング部材であることを特徴としている。
【0018】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の計器用装飾部品は、表示体への損傷を与えずに取付けることが可能な構成となっているので、比較的薄い板から構成されている文字板にも取付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明による計器用装飾部品を、自動車の車室内に設置されたコンビネーションメータに搭載される燃料計に適用した場合を例に図面に基づいて説明する。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による装飾部品(装飾リング)を有する燃料計を備えたコンビネーションメータの部分正面図である。なお、図1において、上方が自動車の上方であり、左右方向が自動車の幅方向となっている。
【0021】
図2は、燃料計の断面図であり、図1中のII−II線断面図である。なお、図2において、左方が運転席であり、燃料計は、図2において、左側から視認される。
【0022】
図3は、本発明の装飾部品(装飾リング)の拡大断面図であり、図1中のIII−III線断面図である。
【0023】
図4は、本発明の装飾部品(装飾リング)の拡大断面図であり、図1中のIV−IV線断面図である。
【0024】
コンビネーションメータ100は、自動車の車室内の運転席前方に運転者が視認可能に設けられている。コンビネーションメータ100は、自動車の作動状態に関する情報、例えば、残存燃料量、走行速度、エンジン回転数等や、その他の各種情報を、指針計器等により表示するものである。
【0025】
計器である燃料計1は、図1に示すように、表示意匠としての目盛や数字等を備えた表示体としての文字板2と、文字板2の表面25に沿って回動する指針5とを備えている。燃料計1は、この指針5の回動角度により自動車の燃料タンク(図示せず)内の残存燃料量を運転者に視認可能に指示する。
【0026】
文字板2は、透光性材料、例えば無色透明のポリカーボネート樹脂あるいはアクリル樹脂等の薄板から形成されている。この文字板2は、運転者から視認可能に、図2の左側にある運転席(図示せず)に対向して配置されている。また、文字板2は、表示意匠としての目盛21、文字22および図形23を備えている。
【0027】
これらの目盛21および文字22は、後述する指針5とともに自動車の燃料タンク内の残存燃料量を指示するためのものである。また、図形23は、本計器が燃料残量を指示する計器であることを表示しており、その形状は、日本工業規格により定められているものである。目盛21、文字22および図形23は、文字板2の表面25に、目盛21、文字22および図形23を除いて遮光性皮膜を印刷等により施して形成されている。
【0028】
すなわち、目盛21、文字22および図形23のみが透光性となり、それらの周囲は遮光性となっている。これにより、目盛21、文字22および図形23は、文字板2の裏側(図2の右側)に配置されて文字板2を透過照明する光源としての後述する発光ダイオード4からの光により透過照明されて発光表示される。
【0029】
また、文字板2には、図2に示すように、後述する駆動装置としてのムーブメント6の回転軸であるシャフト61を挿通させるための貫通孔24が設けられている。
【0030】
さらに、文字板2には、図2に示すように、後述する枠状部材としての装飾リング8を係止固定するための開口孔としての貫通孔26が設けられている。本実施形態による燃料計1においては、貫通孔26は、その平面形状を、図1に示すように、長方形状に形成されている。また、貫通孔26は、図1に示すように、等角度間隔で4個設けている。この貫通孔26は、2個であっても良いし、3個であっても良い、また、5個以上であっても良い。
【0031】
なお、本実施形態による燃料計1においては、目盛21、文字22および図形23に透光性白色塗装を施し、かつそれらの周囲に遮光性黒色塗装を施している。しかしながら、上述のような組み合わせに限定する必要はなく、目盛21、文字22および図形23を無色透明のままとしてもよい。この場合は、目盛21、文字22および図形23は発光ダイオード4の発光色で発光表示されることになる。
【0032】
文字板2の裏側(図2において右側)には、発光ダイオード4からの光を、表示意匠である目盛21、文字22および図形23に導く導光体3が配置されている。導光体3は、透光性材料、たとえば無色透明のポリカーボネート樹脂あるいはアクリル樹脂等から形成されている。導光体3は、図2に示すように、発光ダイオード4が発する光を導光体3内へ導入する受光部32と、受光部32から導入された光を文字板2の目盛21、文字22および図形23へ向けて反射する反射部31を備えている。
【0033】
文字板2の背後、つまり導光体3の背後には、図2に示すように、光源である発光ダイオード4が受光部32に光を入射可能に配置されている。
【0034】
指針5は、透光性材料、例えば、無色透明のポリカーボネート樹脂あるいはアクリル樹脂等から形成され、図2に示すように、文字板2の目視側、すなわち表面25に沿って配置されている。指針5は、文字板2の裏側(図2の右側)に配置される後述する駆動装置であるムーブメント6の回転軸であるシャフト61に固定されている。これにより、ムーブメント6が駆動されてシャフト61が回動すると、指針5はシャフト61と一体的に回動する。
【0035】
また、指針5の裏面51は、印刷あるいはホットスタンプ等により赤色に着色されている。これにより、指針5は、文字板2の裏側(図2の右側)に配置されている指針5を照明する光源としての発光色が白色の白色発光ダイオードである発光ダイオード7からの光により照明されて赤色で発光表示される。
【0036】
すなわち、指針5に入射した発光ダイオード7から発せられた光は、指針5の反射面52で指針5の先端方向に向けて反射され、さらにこの反射光が裏面51で運転者の視認方向に反射される。
【0037】
すなわち、本実施形態による燃料計1においては、発光ダイオード7として白色発光ダイオードを用いることにより、指針5を、指針5の裏面51に施した着色層の色で発光表示している。この場合、指針5の裏面51に施した着色層の色を赤色に限定する必要はなく、他の色、例えば、橙色、緑色等に着色してもよい。一方、指針5の裏面51に白色着色層を設けるとともに、発光ダイオード7として発光色が白以外の色の発光ダイオードを用いてもよい。この場合、指針5は、発光ダイオード7の発光色により発光表示される。
【0038】
また、指針5には、指針5の反射面52およびその近傍を覆う遮光キャップ11が、図2に示すように取付けられている。遮光キャップ11は、遮光性を有する材質、たとえば黒色の樹脂材料等から形成され、発光ダイオード7からの光が、直接視認者の眼に入射して視認者が眩惑されることを防止している。
【0039】
指針5を回動させるための駆動力を発生する駆動装置であるムーブメント6は、例えば、交差コイル式アクチュエータあるいはステッピングモータ等が用いられている。ムーブメント6は、外部から電圧を印加されるとトルクを発生し回転軸であるシャフト61を回動させる。これにより、シャフト61先端に固定された指針5が、文字板2の表面25に沿って回動する。
【0040】
上述した、発光ダイオード4、ムーブメント6および発光ダイオード7は、文字板2の裏側(図2の右側)に配置されているプリント基板9上に実装されている。プリント基板9は、例えば、ガラスエポキシ基板等から形成され、コンビネーションメータ100の電気回路部を形成している。また、プリント基板9には、指針5照明用の発光ダイオード7を囲むように筒状の遮光筒10が装着されている。
【0041】
遮光筒10は、遮光性部材、例えば、金属あるいは黒色の樹脂から形成され、図2に示すように、その両端部を文字板2の裏面27およびプリント基板9に密着させて取り付けられている。これにより、発光ダイオード7が発する光が指針5以外の部分を照射する、あるいは、発光ダイオード4が発する光が文字板2の貫通孔24を介して外部へ洩れることを防止している。
【0042】
また、プリント基板9には、図2に示すように、発光ダイオード4および発光ダイオード7の点灯・消灯制御および指針5を回動させるためのムーブメント6の駆動制御を行うためのコントローラ14が実装されている。このコントローラ14は、たとえばマイクロコンピュータ等から構成されている。
【0043】
また、文字板2の目視側(図2の左側)には、図2に示すように、計器用装飾部品としての装飾リング8が装着されている。装飾リング8は、例えば、樹脂材料から形成され、図1に示すように、円環状に形成されるとともにシャフト61と同心上に配置されて、燃料計1の輪郭線を形成している。これにより、コンビネーションメータ100内における燃料計1の存在感を強調し、その視認性を高める役割を果たしている。
【0044】
装飾リング8は、図2から図4に示すように、装飾部81、支柱としてのガイド部82およびストッパ部83からなっている。ガイド部82は、装飾部81の文字板2の表面25に対向する面である支持面81bに設けられている。ストッパ部83はガイド部82の先端に支持されている。
【0045】
一つのガイド部82につき一つのストッパ部83が設けられており、これで一組となっている。一組のガイド部82およびストッパ部83は、貫通孔26一つに対して設けられている。本実施形態では、図1に示すように、文字板2には、四つの貫通孔26が形成されているので、四組のガイド部82およびストッパ部83が装飾部81に設けられている。装飾リング8は、ガイド部82およびストッパ部83を貫通孔26に挿入、係止することにより、文字板2に固定される。
【0046】
以上説明した、装飾リング8が装着された文字板2および電気回路を構成するプリント基板9は、たとえば樹脂材料等から形成されるケーシング13に収容固定されている。ケーシング13は、文字板2の目視側(図2の左側)へ延長され、その先端部分には、図2に示すように、透明カバー12が設置されている。透明カバー12は、透明な樹脂あるいはガラス等の薄板から形成されて、コンビネーションメータ100内部への埃、水分の侵入を防止している。
【0047】
次に、装飾リング8の構造を図3および図4に基づいて説明する。
【0048】
本実施形態の装飾リング8は、装飾部81、ガイド部82およびストッパ部83からなっている。装飾部81は、装飾面81aと支持面81bとが形成されている。装飾面81aは、運転席側(図3の左側)に向かうように形成され、支持面81bは、文字板2の表面25に対向するように形成されている。
【0049】
ガイド部82は、図4に示すように、第1ガイド部82a、第2ガイド部82cおよび連結部82eからなっている。第1、第2ガイド部82a、82cは、上記支持面81bに略垂直に設けられており、連結部82eは、第1、第2ガイド部82a、82cの先端同士を結ぶように設けられている。
【0050】
第1、第2ガイド部82a、82cは、図4に示すように、請求項に記載の第1の方向、すなわち、装飾リング8の円周方向に所定距離、離して設けられている。具体的には、第1ガイド部82aの外壁82bから第2ガイド部82cの外壁82dまでの距離が、貫通孔26の対面する2辺である辺26c、26d間の距離とほぼ同じとなる位置に第1、第2ガイド部82a、82cは、設けられる。これにより、装飾リング8の円周方向の取付け位置精度が向上する。
【0051】
好ましくは、図4に示すように、第1、第2ガイド部82a、82cの外壁82b、82d同士の距離は、先端に行くほど小さくなるようにすると良い。これにより、第1、第2ガイド部82a、82cの貫通孔26への挿入が容易となり、組付け性が向上する。
【0052】
また、上記円周方向と略垂直な方向(請求項に記載の第2の方向)の第1、第2ガイド部82a、82cの幅は、図3に示すように、貫通孔26の対面する2辺である辺26a、26b間の距離とほぼ同じとなっている。これにより、装飾リング8の径方向の取付け位置精度が向上する。なお、第1、第2ガイド部82a、82cの幅は、上記円周方向に対して略垂直な方向における第1、第2ガイド部82a、82cの幅である。
【0053】
好ましくは、図3に示すように、第1、第2ガイド部82a、82cの幅は、先端に行くほど狭くなるようにすると良い。これにより、第1、第2ガイド部82a、82cの貫通孔26への挿入が容易となり、組付け性が向上する。
【0054】
更に好ましくは、第1、第2ガイド部82a、82cの外壁82b、82d同士の距離および幅を先端に行くほど小さく、または狭くするようにすると良い。これにより、第1、第2ガイド部82a、82cの貫通孔26への挿入が更に容易となり、組付け性が更に向上する。
【0055】
ストッパ部83は、一端に文字板2の裏面27(図3、図4の右側の面)に当接し、装飾部81を係止する係止部83aを有している。ストッパ部83は、この係止部83aが文字板2の裏面27に向かうように、連結部82eに接続されている。ストッパ部83の長さは、装飾部81の支持面81bが文字板2の表面25(図3、図4の左側の面)に当接するときに、係止部83aが文字板2の裏面27に当接することができる長さとなっている。
【0056】
次に、本実施形態の装飾リング8の作用効果を、以下に挙げる比較例と比較しながら説明する。
【0057】
最初に、比較例の構造を図7に基づいて説明する。比較例の装飾リング800は、図7に示すように、本実施形態と同じ高さを有する装飾部810の支持面810bにガイド部820とストッパ部830が所定距離を隔てて設けられている。ガイド部820は、棒状の部材であり、貫通孔26に挿入するとき、貫通孔26の内壁に当接し、装飾部810を所定の位置に案内する。ストッパ部830はその側面に係止部830aを有しており、係止部830aは文字板2の裏面27に当接し、装飾部810を固定する。
【0058】
比較例の装飾リング800は、ガイド部820およびストッパ部830を貫通孔26に挿入し、ストッパ部830の係止部830aを文字板2の裏面27に当接させることにより、文字板2に取り付けられる。
【0059】
ストッパ部830の係止部830aを文字板2の裏面27に当接させるには、係止部830aの先端が貫通孔26を通過しなければならない。それには、ストッパ部830は、位置A0を支点としてある程度撓まなければならない。その撓み量は、少なくとも係止部830aの先端が位置A1から位置A2となる位置までとなる。
【0060】
しかしながら、文字板2は非常に薄く形成されているので、支点である位置A0から位置A1までの距離rは短く、係止部830aの先端を位置A1から位置A2まで移動させるのに非常に大きな力fが必要となる。したがって、貫通孔26には、力fの反作用力が働き、文字板2に損傷を与える恐れがある。
【0061】
一方、本実施形態の装飾リング8のストッパ部83は、装飾部81の支持面81bには設けられておらず、第1、第2ガイド部82a、82cの先端に設けられた連結部82eに設けられている。ストッパ部83は、貫通孔26を通過する際、連結部82eとの接続部分である位置B0を支点として撓むこととなる。
【0062】
この位置B0は、第1、第2ガイド部82a、82cの長さによって自由に調整することができる。この位置B0を支持面81bから遠ざければ遠ざけるほど、係止部83aの先端である位置B1までの距離Rを長くすることができる。この距離Rを長くすることができれば、係止部83aの先端を位置B1から位置B2まで移動させるためにストッパ部83を撓ませる力Fを少なくすることができる。結果、文字板2にかかる力Fの反作用力を小さくすることができる。
【0063】
特に、文字板2は、非常に薄く形成されているので、本実施形態のように文字板2に直接、装飾リング8を取付けるような場合、この構成は有効である。
【0064】
本実施形態では、ストッパ部83が撓む例について説明したが、連結部82eを捩じらせて係止部83aの先端の位置を移動させるようにしても良い。
【0065】
(第2実施形態)
また、上記第1実施形態のガイド部82およびストッパ部83を図5および図6に示すようにしても良い。
【0066】
図5および図6に示すように、装飾部84の支持面84bには、一つの貫通孔26に対して一つのガイド部85が設けられている。ガイド部85の先端には、第1ストッパ部86、第2ストッパ部87の二つのストッパ部が設けられている。これらのストッパ部86、87にはそれぞれ第1係止部86a、第2係止部87aが設けられている。第1、第2ストッパ部86、87は、第1実施形態と同様の考え方でガイド部85に設けられている。この構成によっても、文字板2に損傷を与えずに装飾リング8を文字板2に取付けることができる。
【0067】
第1、第2実施形態による燃料計1においては、文字板2の照明用光源として発光ダイオード4を、指針5の照明用光源として発光ダイオード7をそれぞれ用いているが、両者のうち少なくとも一方を他の種類の光源、例えば、電球、放電灯、あるいはELパネル等に置き換えても良い。
【0068】
また、第1、第2実施形態では、燃料計1に装飾リング8を取付けた例について説明したが、適用対象を燃料計1に限る必要はない。他の種類の計器、例えば、自動車の走行速度を指示する速度計、自動車のエンジン回転速度を指示するタコメータ、エンジン冷却水温度を指示する水温計等に適用しても良い。
【0069】
また、一つのコンビネーションメータ100内に、本発明の装飾リング8を複数適用しても良い。更にまた、自動車のコンビネーションメータ100に限らず、他の計器、例えば民生用各種機器に装備される計器に適用しても良い。
【0070】
また、表示体としては、文字板2に限らず、文字板2上に取付けられる見返し板であっても良い。また、文字板2と指針5との組合せに限らず、例えば、マトリクス型液晶ディスプレイ等の表示器であっても良い。更に、装飾部品は、第1、第2実施形態のようにリング状に限らず、楕円形状、馬蹄形状等であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1実施形態による装飾リングを有する燃料計を備えたコンビネーションメータの部分正面図である。
【図2】図1中のII−II線断面図である。
【図3】図1中のIII−III線断面図である。
【図4】図1中のIV−IV線断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態による装飾リングの図1中のIII−III線断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態による装飾リングの図1中のIV−IV線断面図である。
【図7】比較例による装飾リングの断面図である。
【符号の説明】
【0072】
100 コンビネーションメータ
1 燃料計
2 文字板(表示体)
21 目盛(表示意匠)
22 文字(表示意匠)
23 図形(表示意匠)
25 表面
26 貫通孔(開口孔)
27 裏面
5 指針
6 ムーブメント
8 装飾リング(計器用装飾部品)
81 装飾部(装飾部)
81a 装飾面
81b 支持面(支持面)
82 ガイド部(支柱)
82a 第1ガイド部(第1支柱)
82b 外壁
82c 第2ガイド部(第2支柱)
82d 外壁
82e 連結部(第3支柱)
83 ストッパ部(ストッパ部)
83a 係止部(係止部)
800 装飾リング
810 装飾部
810b 支持面
820 ガイド部
830 ストッパ部
830a 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示体の表面に取付けられている計器用装飾部品であって、
装飾部と、
前記表示体に形成されている開口孔に挿入できるように、一端が前記装飾部の前記表示体に対向する支持面に設けられている支柱と、
前記表示体の裏面に係止する係止部が前記支柱の先端部を支点として揺動するように前記支柱に支持されているストッパ部と、
を有することを特徴とする計器用装飾部品。
【請求項2】
前記支柱は、前記支持面に設けられる第1支柱と、該第1支柱から第1の方向に所定距離離れた位置に設けられる第2支柱と、該第1支柱と該第2支柱の先端部同士を結ぶように設けられる第3支柱とを有しており、
前記ストッパ部は、前記第3支柱に支持され、
前記第1の方向の前記第1支柱の外壁から前記第2支柱の外壁までの距離は、
前記第1支柱を前記開口孔に挿入するとき、前記第1支柱の前記外壁と対向する前記開口孔の内壁から、
前記第2支柱を前記開口孔に挿入するとき、前記第2支柱の前記外壁と対向する前記開口孔の内壁までの距離とほぼ同じである
ことを特徴とする請求項1に記載の計器用装飾部品。
【請求項3】
前記第1の方向の前記第1支柱の外壁から前記第2支柱の外壁までの距離は、先端に近づくにつれ小さくなっていることを特徴とする請求項2に記載の計器用装飾部品。
【請求項4】
前記支柱は、前記支持面に設けられる第1支柱と、該第1支柱から第1の方向に所定距離離れた位置に設けられる第2支柱と、該第1支柱と該第2支柱の先端部同士を結ぶように設けられる第3支柱とを有しており、
前記ストッパ部は、前記第3支柱に支持され、
前記第1の方向と略垂直な第2の方向の前記第1支柱および前記第2支柱のぞれぞれの幅は、
前記第1支柱および前記第2支柱を前記開口孔に挿入するとき、前記第1支柱および前記第2支柱の前記第2の方向の外壁に対向する前記開口孔の内壁間の距離とほぼ同じである
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の計器用装飾部品。
【請求項5】
前記第1支柱および前記第2支柱の前記第2の方向のそれぞれの幅は、先端に近づくにつれ狭くなっていることを特徴とする請求項4に記載の計器用装飾部品。
【請求項6】
前記表示体は、表示意匠を形成する文字板であり、
前記装飾部は、前記表示意匠を周回するように前記文字板に取付けられているリング部材であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の計器用装飾部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−71727(P2007−71727A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−259699(P2005−259699)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】