計測及び検査装置
プラグゲージ(1)が、ハンドル(2)を有し、長手方向軸を規定し、位置変換器(25)と検査される寸法を示す電気信号を無線伝達するための電気機器とを収容する。プラグゲージ(1)は、少なくとも1つの可動フィーラ(10)と、可動フィーラ(10)の運動をハンドル内に収容された位置変換器(25)に伝達する軸(17)を有する伝達機構と、が設けられたアームセット(7)を含むプローブ(6)を更に備えている。プローブ(6)は、変形可能な係止部分(52)を有する迅速連結機構(5)によってハンドル(2)に接続されている。係止部分(52)の放射状の配置構成が、狭持要素(60)によって制御されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空ハンドルを有し、長手方向軸を規定する支持及び保護フレームと、前記ハンドルに対して不動である不動部分と、実質的に長手方向に沿って可動である可動部分と、を有する位置変換器と、前記支持及び保護フレームに接続され、検査される機械部品に接触するようになっている少なくとも1つの可動フィーラと、軸及び前記可動フィーラの運動を前記軸の長手方向運動に変換するようになっている伝達システムを有する伝達機構と、を含むプローブと、前記ハンドルに対して前記プローブの長手方向位置を規定するために当該プローブの基準面と協働するようになっている横基準面を有する、前記プローブを前記ハンドルに接続するための連結機構と、を備え、前記軸は、前記位置変換器の前記可動部分と協働し、前記長手方向運動を前記位置変換器の前記可動部分に伝達するようになっている、機械部品の計測及び検査用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばいわゆる「プラグゲージ」のような、機械部品の寸法及び形状を検査するための検査装置は、知られている。
【0003】
米国特許第4348814号明細書(A)は、検査される孔の表面に接触するべく、直径方向に対向する位置で可動アームに固定された2つのフィーラ(検触部)を含む支持要素に接続された計測アームセットにおいて、そのような計測器の例を開示している。
【0004】
変換器は、可動アームの相互運動を検知して、ケーブルワイヤによってフィーラの相互位置を示す電気信号を外部処理及び表示装置に提供する。
【0005】
位置変換器によって生成され、検査対象の寸法を示す信号が、処理されて表示されるべく外部ユニットに無線送信されるような、無線プラグゲージも知られている。
【0006】
既知のプラグゲージは、手動で操作され得る。典型的には、既知のプラグゲージは、操作者の手に対して把持する部分として機能する外面を有するハンドルと、孔の寸法を探知するために機械的装置を含むプローブと、を含んでいる。プローブは、例えば検査される孔の公称直径に依存するような、実施される検査に依存して別のプローブに置き換えられるように、主本体から取外され得る。
【0007】
米国特許第4571839号明細書(A)は、取外され置き換えられ得るプローブを含むそのような手動のプラグゲージの実施例を示している。図示されたプラグゲージには、計測の信号ケーブル(給電ケーブル)及び伝送ケーブルが設けられている。プローブは、ハンドルとして機能する中空支持及び保護フレームに接続されている。管状フレーム内に配置された貫通孔を貫通し、プローブ内に配置された環状溝に係合する放射状スクリューからなる機械的連結部によって、変換器を有する計測格子を含むプローブが、中空管状フレームに接続されている。
【0008】
ハンドル内には、信号及び供給電源の伝達を可能にするために、対応コネクタによって外部電気ケーブルに連結された、変換器の電気ケーブルがある。
【0009】
米国特許第4571839号明細書(A)に開示されたプラグゲージは、実施される検査に依存してプローブを取換えることの可能性により、使用における適応性を確実にしている。しかしながら、そのような取換え操作は、到達することが困難である採用された連結システム、及び、到達することが困難である電気コネクタの配置のせいで、あまり容易ではない。プローブは、米国特許第4571839号明細書(A)によるプラグゲージにおいて、選択的に使用される。各プローブは、上述したように、変換器に加えて、フィーラと、フィーラの運動を変換器に伝達するアームセットと、を備えている計測格子を含む。前記プラグゲージを種々の公称寸法に適合させる従来のプローブは、このようにかなり複雑で高価である。その上、プローブの機械部品のみまたは電気部品のみの破損の際には、プローブ全体または少なくとも計測格子全体を取換える必要がある。
国際公開第2007−128805(A)及び国際公開第2008−049862(A)に基づいて公開された国際出願が、信号の無線伝達が設けられ、置き換え可能なプローブを有するプラグゲージのいくつかのタイプを開示している。国際公開第2007−128805のいくつかの実施の形態によると、各プローブは、フィーラ及び機械的伝達システムを含んでいる。一方、プローブとハンドルとの間にある別の中間要素またはインターフェイスが、変換器及び電気コネクタを含んでいる。プローブ、インターフェイス及びハンドルは、ネジ式連結器によって連結されている。前記システムは、利用の適応性の点から利点を提供しているが、検査される規定の公称寸法に適合するための交換操作が、技能及び時間の無視できない量を必要とする。その上、計測器の長手方向寸法は、所定の適用に対してかなり大きくなり得る制限値より小さくはなり得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4348814号明細書(A)
【特許文献2】米国特許第4571839号明細書(A)
【特許文献3】国際公開第2007−128805(A)
【特許文献4】国際公開第2008−049862(A)
【発明の開示】
【0011】
本発明の目的は、適応性、利便性およびコンパクトさの点で既知の計測器の特性を改良し、種々の計測範囲及び/または種々の種類の検査に適合させるためのコスト及び時間を削減できるモジュールタイプの計測器を提供することである。
【0012】
本目的及び他の目的は、請求項1による装置によって成し遂げられる。
【0013】
本発明による機械部品の計測及び検査用装置は、長手方向軸を規定し、不動部分と実質的に長手方向に沿って可動である可動部分とを有する位置変換器を収容する中空ハンドルを有する支持及び保護フレームを含んでいる。少なくとも1つの可動フィーラと、前記可動フィーラの運動を軸の長手方向運動に変換するための伝達機構と、を含むプローブが、迅速連結機構によって前記支持及び保護フレームに接続されている。前記迅速連結機構は、ハンドルに固定されており、前記プローブ及び係止部分の長手方向位置を規定する当該プローブのために、横基準面と当接面とを有する。係止部分の放射状の配置構成が、好ましくは変形可能になっており、前記プローブを係止及び解除するべく、例えば長手方向軸に同軸なリングナットのような狭持要素によって制御されている。
【0014】
好ましくは、前記位置変換器は誘導タイプであり、ベアリング及びガイド要素が不動な巻線を収容し、前記巻線の内部には結合支持部に固定された磁芯が長手方向に移動可能である。伝達機構によって、プローブのフィーラの移動が、そのような支持要素を移動させる。前記支持要素は、ベアリング及びガイド要素の外面によって案内される。
【0015】
好ましい実施の形態においては、プローブのフィーラは、横方向に移動される。
【0016】
本発明による装置において、構成部品の数量は、操作信頼性及び操作正確性を維持し、生産コスト及び管理コストを削減し、縮小された全体寸法を有する特有のコンパクト構造を有することを可能にすると共に、利用の顕著な容易さと利用の顕著な適応性を確実にするべく、適宜最適化される。
【0017】
その上、本発明の好ましい実施の形態による、上述した連結機構と無線伝達システムとの組合せは、利用の格別の適応性と、極めて簡易かつ早急な方法で交換され得る構成部品を取替え及び扱う際の容易さと、を確実にする。
【0018】
本発明は、それに限定されない例として与えられた添付の図面を参照して、ここに詳細に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による計測器、更に詳細にはプラグゲージ、の斜視図である。簡略化のためにいくつかの部品は省略されている。
【図2】図1のプラグゲージの分解斜視図である。図1とは異なる視点から取出されており、図1に対して異なる縮尺で示している。
【図3】図1のプラグゲージの長手方向断面斜視図である。
【図4】図3の部分拡大図を示している。フィーラが追加的に示されている。
【図5】上図に示されたプラグゲージの連結機構のいくつかの構成部品の分解断面拡大斜視図である。
【図6A】本発明による他のゲージの長手方向断面部分斜視図である。
【図6B】本発明による他のゲージの長手方向断面部分斜視図である。
【図6C】本発明による他のゲージの長手方向断面部分斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明による計測器、更に詳細にはプラグゲージ、の斜視図である。簡略化のためにいくつかの部品は省略されている。図2は、図1のプラグゲージの分解斜視図である。図2は、図1とは異なる視点から取出されており、図1に対して異なる縮尺で示している。図3は、図1のプラグゲージの長手方向断面斜視図である。図4は、図3の部分拡大図を示している。図4において、フィーラが追加的に示されている。図5は、上図に示されたプラグゲージの連結機構のいくつかの構成部品の分解断面拡大斜視図である。図6A〜Cは、本発明による他のゲージの長手方向断面部分斜視図である。
【0021】
図は、本発明による計測及び検査用装置、更に詳細には機械部品の長さ寸法を手動で検査するための電動計測器を示している。図1乃至5の実施の形態において、そのようなゲージが、内部直径寸法を検査するためのプラグゲージ1である。プラグゲージ1には、計測信号の無線伝達装置が設けられている。プラグゲージ1は、中空ハンドル2を有する支持及び保護フレームを含む。中空ハンドル2は、長手方向軸を規定し、中心部分が前記ゲージの手動利用のために人間工学に基づいた形状を有する、というように成形されている。例えば、操作者がゲージ1のスイッチを入れたりまたはスイッチを切ったりすることや、図1に簡略した態様で示され符号13を付された処理及び表示ユニットに対して、検査された寸法を示す信号を無線伝達するような、ゲージ1の要求された機能を作業者が手動で選択することを可能にするための制御押しボタン3を、中空ハンドル2は有している。押しボタン3の近傍には、ゲージ1の状態、及び/または、押しボタン3によって選択された機能を示すLEDインジケータがある。
【0022】
プローブ6は、−後に詳述される連結機構5によって−ハンドル2に接続されている。そして、プローブ6は、それ自体既知であり、図1、3、4において部分的にのみ認識できる機械的アームセット7を含んでいる。機械的アームセット7は、例えば平行軸上に位置している支点領域9がそれぞれに設けられた2つのアームアセンブリ8、8’からなり、正反対な位置で検査される円筒状孔の表面に接触するようになっているそれぞれの可動フィーラ10を支持している。アームアセンブリ8及び8’の自由端が、図1において認識できる一方で、図3及び図4の断面図が、アームアセンブリ8の一部分及び各支点領域9のうちの2つの一部分を示している。唯一の可動フィーラ10は、図2及び図4に概略的に示されている。
【0023】
プローブ6は、更に、互いに連結される要素11A及び11Bを有する支持アセンブリ11を含んでいる。要素11Aは、機械的アームセット7を支持しており、要素11Bは、略円筒状の狭持表面12を形成している。センタリングノーズ部14が、プローブ6の支持アセンブリ11に固定されており、その端部が、明確化のために図示されていない保護蓋によって閉鎖され得る。機械的アームセット7のアームアセンブリ8、8’は、適切に傾斜する当接面16(それ自体既知であり、図3、4において部分的にのみ認識できる)を含んでおり、軸17を含む伝達機構を有する伝達システムも形成している。軸17は、軸方向に摺動可能であり、支持アセンブリ11に連接されたガイドブッシュ18によって案内される。そして、軸17は、ばね19によって適用された推力によって当接面16との接触状態を維持している実質的に球形状の一端部20を有している。軸17の他端部21が自由端であり、実質的な平面を有している。
【0024】
不動部分と可動部分とを有する位置変換器25が、プラグゲージ1のハンドル2内に収容されている。位置変換器25は、例えば誘導タイプである。前記不動部分は、巻線26を含んでいる一方で、前記可動部分は、巻線26内で長手方向に沿って可動である磁芯24からなる(明確化のために、図3及び図4において、巻線は、それ自体既知であり、明確に図示されておらず、符号26は、実際にはこれらの巻線を収容するシートを示している)。ベアリング及びガイド要素27が、ハンドル2内に固定されており、巻線26のためのハウジングを画定している。可動支持要素28が、ロッド29によって磁芯24を保持しており、実質的に円筒状の内面30を有する中空拡張部分を含んでいる。ベアリング及びガイド要素27は、可動支持要素28の長手方向運動を案内するべく内面30と協働する実質的に円筒状のガイド外面32を画定している。実質的に球状の自由表面を有する接触要素33が、長手方向に調整可能となるように可動支持要素28に接続されている。一方、圧縮ばね35が、ハンドル2の外側に向けて長手方向推力を可動支持要素28に適用することによって、ベアリング及びガイド要素27と可動支持要素28との間で作用する。
【0025】
無線伝達システム、例えば高周波数タイプの無線伝達システム、がハンドル2内に収容されており、位置変換器25に電気的に接続されている。図3における符号15は、概略的な態様で伝達システム及び他の電子装置を示している。他の電子装置は、位置変換器25によって提供された電気的計測信号を処理するための電気回路と、押しボタン3及びLEDインジケータ4を扱うための電気回路と、ハンドル2の中心部分に収容された1つまたは複数の電池によって提供される供給電力を扱うための電気回路と、を備えている。本発明の好ましい実施の形態によると、無線伝達システムは、図3において符号22を付されハンドル2内に配置されたアンテナによって、高周波数信号を放射することができる。実質上、ハンドル2は、位置変換器25及び供給電力及び信号伝達を作動させる電気回路を含むすべての電気/電子構成部品を含んでいる。一方、プローブ6は、機械的アームセット7及び軸17を有する伝達機構のような、機械的構成部品を含んでいる。
【0026】
前述したように、プローブ6は、共通の配置及び早急な締結を可能にする連結機構5によってハンドル2に接続されている。
【0027】
連結機構5は、図3及び図4において組立てられたプラグゲージ内で視認でき、図2及び図5において組立てられていない状態で示されている3つの構成要素を実質的に含んでいる。3つの構成要素とは、ベース要素40、中間要素50及び狭持要素またはネジ付リングナット60である。
【0028】
ベース要素40は、実質的に円筒状の管状主要部分41と、ネジによってハンドル2の自由端に連結された締結フランジ42と、を有している。図4において符号43を付された適切な放射状境界面が、ベース要素40がハンドル2の長手方向軸に対して中心に配置されるように、ベース要素40の位置を規定している。ベース要素40の内面が、実質的に円筒状の領域及び内部傾斜面44を画定している。内部傾斜面44は、特に円錐の頂点を平面で切った形状を有しており、主要部分41の自由端に向けて発散していく。一方、そのような自由端には雄ネジ面45が形成されている。
【0029】
中間要素50は、図2及び図5において明確に視認できる可変断面を有する特有の管状形状を有している。中間要素50には、環状部分51及び外部傾斜面53を画定している係止部分52が、設けられている。外部傾斜面53の周囲は、円錐の頂点を平面で切った形状を有している。
【0030】
更に詳細には、係止部分52は、変形可能で欠落部のある厚さ領域群54で環状部分51に一体として接続されている。係止部分52は、周方向に隣接しており、円筒状表面及び外部傾斜面53を有する内部区域を画定している。即ち、前記内部区域は、傾斜する表面を有し、特に円錐の頂点を平面で切った形状を有している。係止部分52の自由端は、環状で半径方向に突出した縁部55を画定している。更に、中間要素50は、横基準面57を画定している。横基準面57は、環状部分51において、中間要素50内に位置している。
【0031】
係止部分52によって画定された傾斜する表面を有する内部区域が内部傾斜面44に接するように、中間要素50は、ベース要素40内に同軸に配置されている。
【0032】
ネジ付リングナット60は、内部環状溝61を画定しており、ベース要素40の雄ネジ面45に連結されている雌ネジ部分62を有している。係止部分52の端部によって画定された環状縁部55は、環状溝61内に収容されている。ネジ付リングナット60は、ベース要素40に螺合されているが、長手方向軸に沿った推力を中間要素50に適用する。
【0033】
プローブ6がハンドル2に接続されようとする際には、連結機構5の構成要素が上述した態様で連結されて、中間要素50がネジ付リングナット60とベース要素40との間に配置されると共にネジ付リングナット60がベース要素40に部分的にのみ螺合される。プローブ6の基準面が、より詳細には支持アセンブリ11(更に詳細には構成要素11B)の横端面が、中間要素50内に画定された横基準面57に当接するまで、プローブ6は、連結機構5の中央開口内に挿入される。一度長手方向軸に対してプローブ6の適切な角度位置が手動で決定されると、ネジ付リングナット60が更にベース要素40にネジ込まれるので、ネジ付リングナット60に係止作用することによって係止される。このように、ネジ付リングナット60によって適用される、中間要素50をベース要素40の開口内に押し込めようとする長手方向推力に加えて、内部傾斜面44が外部傾斜面53に作用するおかげで、欠陥部のある厚さ領域54の変形により自身の放射状の配置構成を変化する係止部分52の求心的な変位が引き起こされる。これらの変位に加えて、係止表面52は、支持アセンブリ11によって画定される狭持表面12に接近していくことにより、プローブ6とハンドル2との連結を行うのみならず、そのような連結部を係止することもできる。
【0034】
変形可能な係止部分52は、図に示された態様に対して異なる態様、例えば特有の形状または材料の選定または他の理由により本質的に変形可能な実質的に一定の断面を有する部分を利用することによって、実施され得ることに留意される。
【0035】
プローブ6が、適切に規定された位置においてハンドル2に接続される際には、位置変換器25の可動支持要素28及び軸17は、長手方向軸に沿って整列される。特に、接触要素33は、圧縮ばねによって軸17の自由端21に対して付勢される。
【0036】
検査中に、例えば孔の直径寸法を検査するべく、フィーラ10(またはフィーラ10の1つのみ)の横運動が、伝達システムによって軸17に伝達される。軸17は、可動支持要素28にそれゆえ巻線26の中で転移する磁芯24に、長手方向移動を順に伝達する。前記伝達システムは、傾斜する当接面16及び軸17の球状の端部20を特徴としている。位置変換器25によって持続的に生成され、検査される直径寸法を示す電気信号は、アンテナ22が設けられた無線伝達システムを用いて、プラグゲージ1によって処理及び表示ユニット13に伝達される。前述したように単純な機械要素部品のみを含むプローブ6は、ネジ付リングナット60のネジを緩めることによって素早く取り除かれ、異なる公称直径からなる孔を有する部品のような異なる特性を有する部品を検査するべく、あるいは検査の異なる種類を実施するべく、異なる寸法、及び/または、異なる形状を有するプローブ6に容易に置換され得る。図6A,6B及び6Cは、本発明による計測器において、連結機構5によってハンドル2に代替的に接続され得る異なるプローブの例を示している。
【0037】
更に詳細には、図6Aは、機械部品の外径を検査するようになっていて、支持アセンブリ11’と一対のフィーラ10’を支持するそれ自体既知である機械的アーム7’とを含み、軸17’を備える伝達システムを有する計測器6’を示している。
【0038】
図6Bは、横方向に配置された孔の内径寸法を検査するようになっていて、支持アセンブリ11’’と一対のフィーラ10’’(図においてフィーラ10’’の1つのみが示されている)を支持するそれ自体既知である機械的アーム7’’とを含み、軸17’’を備える伝達システムを有する計測器6’’を示している。
【0039】
図6Cは、長手方向に沿って距離を検査するようになっていて、支持アセンブリ11’’’と1つの軸方向フィーラ10’’’を支持するそれ自体既知である機械的アーム7’’’とを含み、軸17’’’を備える極めて簡略な伝達システムを有する計測器6’’’を示している。
【0040】
プローブ6の部品の破損の場合であっても、取替えが容易に行われ得り、いかなる場合であっても、位置変換器25が、取替えられたり取り除かれたりしない。
【0041】
その上、特有のベアリング及びガイド要素27並びに可動支持要素28を含む、明示された位置変換器25の利用は、制限された長手方向全体寸法で比較的広範な計測範囲を保証することによって、特にコンパクト化の点で顕著な優位性を提供している。
【0042】
本発明による計測器は、例えば、磁芯から所定の距離を置いて、長手方向に整列されたガイド表面を含む誘導変換器、あるいは、例えば光学装置を含む他のタイプの変換器のような、異なるタイプの位置変換器25を利用することも可能にする。
【0043】
ここに詳述された計測器は、本発明の範囲から逸脱することなしで修正され得る。
【0044】
プローブとハンドルとの間の連結機構は、内径寸法を検査するための無線伝達機構を有する電気式の手動プラグゲージ(図1乃至5)を参照してここに詳述されたが、当該連結機構は、異なるタイプのプラグゲージまたは計測器においても利用され得る。前記連結機構は、例えば、外径または形状偏差を検査することが意図された計測器、あるいは、機械的伝達機構及び/またはケーブル伝達機構が設けられた計測器において、採用され得る。前記連結機構は、機械的アームまたは機械的工具においても自動的に採用され得る。その上、平行四辺形格子または支点格子を有する1つまたは複数のアームセットを含む同一機械部品の1つ以上の断面を検査するためにプローブを同時に利用することも可能である。
【0045】
例えば検査される部品の絶対寸法に関する情報を提供することができる検査機器のような、計測器とは異なる検査装置も、本発明の範囲内に含まれる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空ハンドルを有し、長手方向軸を規定する支持及び保護フレームと、前記ハンドルに対して不動である不動部分と、実質的に長手方向に沿って可動である可動部分と、を有する位置変換器と、前記支持及び保護フレームに接続され、検査される機械部品に接触するようになっている少なくとも1つの可動フィーラと、軸及び前記可動フィーラの運動を前記軸の長手方向運動に変換するようになっている伝達システムを有する伝達機構と、を含むプローブと、前記ハンドルに対して前記プローブの長手方向位置を規定するために当該プローブの基準面と協働するようになっている横基準面を有する、前記プローブを前記ハンドルに接続するための連結機構と、を備え、前記軸は、前記位置変換器の前記可動部分と協働し、前記長手方向運動を前記位置変換器の前記可動部分に伝達するようになっている、機械部品の計測及び検査用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばいわゆる「プラグゲージ」のような、機械部品の寸法及び形状を検査するための検査装置は、知られている。
【0003】
米国特許第4348814号明細書(A)は、検査される孔の表面に接触するべく、直径方向に対向する位置で可動アームに固定された2つのフィーラ(検触部)を含む支持要素に接続された計測アームセットにおいて、そのような計測器の例を開示している。
【0004】
変換器は、可動アームの相互運動を検知して、ケーブルワイヤによってフィーラの相互位置を示す電気信号を外部処理及び表示装置に提供する。
【0005】
位置変換器によって生成され、検査対象の寸法を示す信号が、処理されて表示されるべく外部ユニットに無線送信されるような、無線プラグゲージも知られている。
【0006】
既知のプラグゲージは、手動で操作され得る。典型的には、既知のプラグゲージは、操作者の手に対して把持する部分として機能する外面を有するハンドルと、孔の寸法を探知するために機械的装置を含むプローブと、を含んでいる。プローブは、例えば検査される孔の公称直径に依存するような、実施される検査に依存して別のプローブに置き換えられるように、主本体から取外され得る。
【0007】
米国特許第4571839号明細書(A)は、取外され置き換えられ得るプローブを含むそのような手動のプラグゲージの実施例を示している。図示されたプラグゲージには、計測の信号ケーブル(給電ケーブル)及び伝送ケーブルが設けられている。プローブは、ハンドルとして機能する中空支持及び保護フレームに接続されている。管状フレーム内に配置された貫通孔を貫通し、プローブ内に配置された環状溝に係合する放射状スクリューからなる機械的連結部によって、変換器を有する計測格子を含むプローブが、中空管状フレームに接続されている。
【0008】
ハンドル内には、信号及び供給電源の伝達を可能にするために、対応コネクタによって外部電気ケーブルに連結された、変換器の電気ケーブルがある。
【0009】
米国特許第4571839号明細書(A)に開示されたプラグゲージは、実施される検査に依存してプローブを取換えることの可能性により、使用における適応性を確実にしている。しかしながら、そのような取換え操作は、到達することが困難である採用された連結システム、及び、到達することが困難である電気コネクタの配置のせいで、あまり容易ではない。プローブは、米国特許第4571839号明細書(A)によるプラグゲージにおいて、選択的に使用される。各プローブは、上述したように、変換器に加えて、フィーラと、フィーラの運動を変換器に伝達するアームセットと、を備えている計測格子を含む。前記プラグゲージを種々の公称寸法に適合させる従来のプローブは、このようにかなり複雑で高価である。その上、プローブの機械部品のみまたは電気部品のみの破損の際には、プローブ全体または少なくとも計測格子全体を取換える必要がある。
国際公開第2007−128805(A)及び国際公開第2008−049862(A)に基づいて公開された国際出願が、信号の無線伝達が設けられ、置き換え可能なプローブを有するプラグゲージのいくつかのタイプを開示している。国際公開第2007−128805のいくつかの実施の形態によると、各プローブは、フィーラ及び機械的伝達システムを含んでいる。一方、プローブとハンドルとの間にある別の中間要素またはインターフェイスが、変換器及び電気コネクタを含んでいる。プローブ、インターフェイス及びハンドルは、ネジ式連結器によって連結されている。前記システムは、利用の適応性の点から利点を提供しているが、検査される規定の公称寸法に適合するための交換操作が、技能及び時間の無視できない量を必要とする。その上、計測器の長手方向寸法は、所定の適用に対してかなり大きくなり得る制限値より小さくはなり得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4348814号明細書(A)
【特許文献2】米国特許第4571839号明細書(A)
【特許文献3】国際公開第2007−128805(A)
【特許文献4】国際公開第2008−049862(A)
【発明の開示】
【0011】
本発明の目的は、適応性、利便性およびコンパクトさの点で既知の計測器の特性を改良し、種々の計測範囲及び/または種々の種類の検査に適合させるためのコスト及び時間を削減できるモジュールタイプの計測器を提供することである。
【0012】
本目的及び他の目的は、請求項1による装置によって成し遂げられる。
【0013】
本発明による機械部品の計測及び検査用装置は、長手方向軸を規定し、不動部分と実質的に長手方向に沿って可動である可動部分とを有する位置変換器を収容する中空ハンドルを有する支持及び保護フレームを含んでいる。少なくとも1つの可動フィーラと、前記可動フィーラの運動を軸の長手方向運動に変換するための伝達機構と、を含むプローブが、迅速連結機構によって前記支持及び保護フレームに接続されている。前記迅速連結機構は、ハンドルに固定されており、前記プローブ及び係止部分の長手方向位置を規定する当該プローブのために、横基準面と当接面とを有する。係止部分の放射状の配置構成が、好ましくは変形可能になっており、前記プローブを係止及び解除するべく、例えば長手方向軸に同軸なリングナットのような狭持要素によって制御されている。
【0014】
好ましくは、前記位置変換器は誘導タイプであり、ベアリング及びガイド要素が不動な巻線を収容し、前記巻線の内部には結合支持部に固定された磁芯が長手方向に移動可能である。伝達機構によって、プローブのフィーラの移動が、そのような支持要素を移動させる。前記支持要素は、ベアリング及びガイド要素の外面によって案内される。
【0015】
好ましい実施の形態においては、プローブのフィーラは、横方向に移動される。
【0016】
本発明による装置において、構成部品の数量は、操作信頼性及び操作正確性を維持し、生産コスト及び管理コストを削減し、縮小された全体寸法を有する特有のコンパクト構造を有することを可能にすると共に、利用の顕著な容易さと利用の顕著な適応性を確実にするべく、適宜最適化される。
【0017】
その上、本発明の好ましい実施の形態による、上述した連結機構と無線伝達システムとの組合せは、利用の格別の適応性と、極めて簡易かつ早急な方法で交換され得る構成部品を取替え及び扱う際の容易さと、を確実にする。
【0018】
本発明は、それに限定されない例として与えられた添付の図面を参照して、ここに詳細に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による計測器、更に詳細にはプラグゲージ、の斜視図である。簡略化のためにいくつかの部品は省略されている。
【図2】図1のプラグゲージの分解斜視図である。図1とは異なる視点から取出されており、図1に対して異なる縮尺で示している。
【図3】図1のプラグゲージの長手方向断面斜視図である。
【図4】図3の部分拡大図を示している。フィーラが追加的に示されている。
【図5】上図に示されたプラグゲージの連結機構のいくつかの構成部品の分解断面拡大斜視図である。
【図6A】本発明による他のゲージの長手方向断面部分斜視図である。
【図6B】本発明による他のゲージの長手方向断面部分斜視図である。
【図6C】本発明による他のゲージの長手方向断面部分斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明による計測器、更に詳細にはプラグゲージ、の斜視図である。簡略化のためにいくつかの部品は省略されている。図2は、図1のプラグゲージの分解斜視図である。図2は、図1とは異なる視点から取出されており、図1に対して異なる縮尺で示している。図3は、図1のプラグゲージの長手方向断面斜視図である。図4は、図3の部分拡大図を示している。図4において、フィーラが追加的に示されている。図5は、上図に示されたプラグゲージの連結機構のいくつかの構成部品の分解断面拡大斜視図である。図6A〜Cは、本発明による他のゲージの長手方向断面部分斜視図である。
【0021】
図は、本発明による計測及び検査用装置、更に詳細には機械部品の長さ寸法を手動で検査するための電動計測器を示している。図1乃至5の実施の形態において、そのようなゲージが、内部直径寸法を検査するためのプラグゲージ1である。プラグゲージ1には、計測信号の無線伝達装置が設けられている。プラグゲージ1は、中空ハンドル2を有する支持及び保護フレームを含む。中空ハンドル2は、長手方向軸を規定し、中心部分が前記ゲージの手動利用のために人間工学に基づいた形状を有する、というように成形されている。例えば、操作者がゲージ1のスイッチを入れたりまたはスイッチを切ったりすることや、図1に簡略した態様で示され符号13を付された処理及び表示ユニットに対して、検査された寸法を示す信号を無線伝達するような、ゲージ1の要求された機能を作業者が手動で選択することを可能にするための制御押しボタン3を、中空ハンドル2は有している。押しボタン3の近傍には、ゲージ1の状態、及び/または、押しボタン3によって選択された機能を示すLEDインジケータがある。
【0022】
プローブ6は、−後に詳述される連結機構5によって−ハンドル2に接続されている。そして、プローブ6は、それ自体既知であり、図1、3、4において部分的にのみ認識できる機械的アームセット7を含んでいる。機械的アームセット7は、例えば平行軸上に位置している支点領域9がそれぞれに設けられた2つのアームアセンブリ8、8’からなり、正反対な位置で検査される円筒状孔の表面に接触するようになっているそれぞれの可動フィーラ10を支持している。アームアセンブリ8及び8’の自由端が、図1において認識できる一方で、図3及び図4の断面図が、アームアセンブリ8の一部分及び各支点領域9のうちの2つの一部分を示している。唯一の可動フィーラ10は、図2及び図4に概略的に示されている。
【0023】
プローブ6は、更に、互いに連結される要素11A及び11Bを有する支持アセンブリ11を含んでいる。要素11Aは、機械的アームセット7を支持しており、要素11Bは、略円筒状の狭持表面12を形成している。センタリングノーズ部14が、プローブ6の支持アセンブリ11に固定されており、その端部が、明確化のために図示されていない保護蓋によって閉鎖され得る。機械的アームセット7のアームアセンブリ8、8’は、適切に傾斜する当接面16(それ自体既知であり、図3、4において部分的にのみ認識できる)を含んでおり、軸17を含む伝達機構を有する伝達システムも形成している。軸17は、軸方向に摺動可能であり、支持アセンブリ11に連接されたガイドブッシュ18によって案内される。そして、軸17は、ばね19によって適用された推力によって当接面16との接触状態を維持している実質的に球形状の一端部20を有している。軸17の他端部21が自由端であり、実質的な平面を有している。
【0024】
不動部分と可動部分とを有する位置変換器25が、プラグゲージ1のハンドル2内に収容されている。位置変換器25は、例えば誘導タイプである。前記不動部分は、巻線26を含んでいる一方で、前記可動部分は、巻線26内で長手方向に沿って可動である磁芯24からなる(明確化のために、図3及び図4において、巻線は、それ自体既知であり、明確に図示されておらず、符号26は、実際にはこれらの巻線を収容するシートを示している)。ベアリング及びガイド要素27が、ハンドル2内に固定されており、巻線26のためのハウジングを画定している。可動支持要素28が、ロッド29によって磁芯24を保持しており、実質的に円筒状の内面30を有する中空拡張部分を含んでいる。ベアリング及びガイド要素27は、可動支持要素28の長手方向運動を案内するべく内面30と協働する実質的に円筒状のガイド外面32を画定している。実質的に球状の自由表面を有する接触要素33が、長手方向に調整可能となるように可動支持要素28に接続されている。一方、圧縮ばね35が、ハンドル2の外側に向けて長手方向推力を可動支持要素28に適用することによって、ベアリング及びガイド要素27と可動支持要素28との間で作用する。
【0025】
無線伝達システム、例えば高周波数タイプの無線伝達システム、がハンドル2内に収容されており、位置変換器25に電気的に接続されている。図3における符号15は、概略的な態様で伝達システム及び他の電子装置を示している。他の電子装置は、位置変換器25によって提供された電気的計測信号を処理するための電気回路と、押しボタン3及びLEDインジケータ4を扱うための電気回路と、ハンドル2の中心部分に収容された1つまたは複数の電池によって提供される供給電力を扱うための電気回路と、を備えている。本発明の好ましい実施の形態によると、無線伝達システムは、図3において符号22を付されハンドル2内に配置されたアンテナによって、高周波数信号を放射することができる。実質上、ハンドル2は、位置変換器25及び供給電力及び信号伝達を作動させる電気回路を含むすべての電気/電子構成部品を含んでいる。一方、プローブ6は、機械的アームセット7及び軸17を有する伝達機構のような、機械的構成部品を含んでいる。
【0026】
前述したように、プローブ6は、共通の配置及び早急な締結を可能にする連結機構5によってハンドル2に接続されている。
【0027】
連結機構5は、図3及び図4において組立てられたプラグゲージ内で視認でき、図2及び図5において組立てられていない状態で示されている3つの構成要素を実質的に含んでいる。3つの構成要素とは、ベース要素40、中間要素50及び狭持要素またはネジ付リングナット60である。
【0028】
ベース要素40は、実質的に円筒状の管状主要部分41と、ネジによってハンドル2の自由端に連結された締結フランジ42と、を有している。図4において符号43を付された適切な放射状境界面が、ベース要素40がハンドル2の長手方向軸に対して中心に配置されるように、ベース要素40の位置を規定している。ベース要素40の内面が、実質的に円筒状の領域及び内部傾斜面44を画定している。内部傾斜面44は、特に円錐の頂点を平面で切った形状を有しており、主要部分41の自由端に向けて発散していく。一方、そのような自由端には雄ネジ面45が形成されている。
【0029】
中間要素50は、図2及び図5において明確に視認できる可変断面を有する特有の管状形状を有している。中間要素50には、環状部分51及び外部傾斜面53を画定している係止部分52が、設けられている。外部傾斜面53の周囲は、円錐の頂点を平面で切った形状を有している。
【0030】
更に詳細には、係止部分52は、変形可能で欠落部のある厚さ領域群54で環状部分51に一体として接続されている。係止部分52は、周方向に隣接しており、円筒状表面及び外部傾斜面53を有する内部区域を画定している。即ち、前記内部区域は、傾斜する表面を有し、特に円錐の頂点を平面で切った形状を有している。係止部分52の自由端は、環状で半径方向に突出した縁部55を画定している。更に、中間要素50は、横基準面57を画定している。横基準面57は、環状部分51において、中間要素50内に位置している。
【0031】
係止部分52によって画定された傾斜する表面を有する内部区域が内部傾斜面44に接するように、中間要素50は、ベース要素40内に同軸に配置されている。
【0032】
ネジ付リングナット60は、内部環状溝61を画定しており、ベース要素40の雄ネジ面45に連結されている雌ネジ部分62を有している。係止部分52の端部によって画定された環状縁部55は、環状溝61内に収容されている。ネジ付リングナット60は、ベース要素40に螺合されているが、長手方向軸に沿った推力を中間要素50に適用する。
【0033】
プローブ6がハンドル2に接続されようとする際には、連結機構5の構成要素が上述した態様で連結されて、中間要素50がネジ付リングナット60とベース要素40との間に配置されると共にネジ付リングナット60がベース要素40に部分的にのみ螺合される。プローブ6の基準面が、より詳細には支持アセンブリ11(更に詳細には構成要素11B)の横端面が、中間要素50内に画定された横基準面57に当接するまで、プローブ6は、連結機構5の中央開口内に挿入される。一度長手方向軸に対してプローブ6の適切な角度位置が手動で決定されると、ネジ付リングナット60が更にベース要素40にネジ込まれるので、ネジ付リングナット60に係止作用することによって係止される。このように、ネジ付リングナット60によって適用される、中間要素50をベース要素40の開口内に押し込めようとする長手方向推力に加えて、内部傾斜面44が外部傾斜面53に作用するおかげで、欠陥部のある厚さ領域54の変形により自身の放射状の配置構成を変化する係止部分52の求心的な変位が引き起こされる。これらの変位に加えて、係止表面52は、支持アセンブリ11によって画定される狭持表面12に接近していくことにより、プローブ6とハンドル2との連結を行うのみならず、そのような連結部を係止することもできる。
【0034】
変形可能な係止部分52は、図に示された態様に対して異なる態様、例えば特有の形状または材料の選定または他の理由により本質的に変形可能な実質的に一定の断面を有する部分を利用することによって、実施され得ることに留意される。
【0035】
プローブ6が、適切に規定された位置においてハンドル2に接続される際には、位置変換器25の可動支持要素28及び軸17は、長手方向軸に沿って整列される。特に、接触要素33は、圧縮ばねによって軸17の自由端21に対して付勢される。
【0036】
検査中に、例えば孔の直径寸法を検査するべく、フィーラ10(またはフィーラ10の1つのみ)の横運動が、伝達システムによって軸17に伝達される。軸17は、可動支持要素28にそれゆえ巻線26の中で転移する磁芯24に、長手方向移動を順に伝達する。前記伝達システムは、傾斜する当接面16及び軸17の球状の端部20を特徴としている。位置変換器25によって持続的に生成され、検査される直径寸法を示す電気信号は、アンテナ22が設けられた無線伝達システムを用いて、プラグゲージ1によって処理及び表示ユニット13に伝達される。前述したように単純な機械要素部品のみを含むプローブ6は、ネジ付リングナット60のネジを緩めることによって素早く取り除かれ、異なる公称直径からなる孔を有する部品のような異なる特性を有する部品を検査するべく、あるいは検査の異なる種類を実施するべく、異なる寸法、及び/または、異なる形状を有するプローブ6に容易に置換され得る。図6A,6B及び6Cは、本発明による計測器において、連結機構5によってハンドル2に代替的に接続され得る異なるプローブの例を示している。
【0037】
更に詳細には、図6Aは、機械部品の外径を検査するようになっていて、支持アセンブリ11’と一対のフィーラ10’を支持するそれ自体既知である機械的アーム7’とを含み、軸17’を備える伝達システムを有する計測器6’を示している。
【0038】
図6Bは、横方向に配置された孔の内径寸法を検査するようになっていて、支持アセンブリ11’’と一対のフィーラ10’’(図においてフィーラ10’’の1つのみが示されている)を支持するそれ自体既知である機械的アーム7’’とを含み、軸17’’を備える伝達システムを有する計測器6’’を示している。
【0039】
図6Cは、長手方向に沿って距離を検査するようになっていて、支持アセンブリ11’’’と1つの軸方向フィーラ10’’’を支持するそれ自体既知である機械的アーム7’’’とを含み、軸17’’’を備える極めて簡略な伝達システムを有する計測器6’’’を示している。
【0040】
プローブ6の部品の破損の場合であっても、取替えが容易に行われ得り、いかなる場合であっても、位置変換器25が、取替えられたり取り除かれたりしない。
【0041】
その上、特有のベアリング及びガイド要素27並びに可動支持要素28を含む、明示された位置変換器25の利用は、制限された長手方向全体寸法で比較的広範な計測範囲を保証することによって、特にコンパクト化の点で顕著な優位性を提供している。
【0042】
本発明による計測器は、例えば、磁芯から所定の距離を置いて、長手方向に整列されたガイド表面を含む誘導変換器、あるいは、例えば光学装置を含む他のタイプの変換器のような、異なるタイプの位置変換器25を利用することも可能にする。
【0043】
ここに詳述された計測器は、本発明の範囲から逸脱することなしで修正され得る。
【0044】
プローブとハンドルとの間の連結機構は、内径寸法を検査するための無線伝達機構を有する電気式の手動プラグゲージ(図1乃至5)を参照してここに詳述されたが、当該連結機構は、異なるタイプのプラグゲージまたは計測器においても利用され得る。前記連結機構は、例えば、外径または形状偏差を検査することが意図された計測器、あるいは、機械的伝達機構及び/またはケーブル伝達機構が設けられた計測器において、採用され得る。前記連結機構は、機械的アームまたは機械的工具においても自動的に採用され得る。その上、平行四辺形格子または支点格子を有する1つまたは複数のアームセットを含む同一機械部品の1つ以上の断面を検査するためにプローブを同時に利用することも可能である。
【0045】
例えば検査される部品の絶対寸法に関する情報を提供することができる検査機器のような、計測器とは異なる検査装置も、本発明の範囲内に含まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械部品の計測及び検査用装置であって、
中空ハンドル(2)を有し、長手方向軸を規定する支持及び保護フレームと、
前記ハンドル(2)に対して不動である不動部分(26)と、実質的に長手方向に沿って可動である可動部分(24)と、を有する位置変換器(25)と、
前記支持及び保護フレームに接続され、検査される機械部品に接触するようになっている少なくとも1つの可動フィーラ(10)と、軸(17)及び前記可動フィーラ(10)の運動を前記軸(17)の長手方向運動に変換するようになっている伝達システムを有する伝達機構と、を含むプローブ(6)と、
前記ハンドル(2)に対して前記プローブ(6)の長手方向位置を規定するために当該プローブ(6)の基準面と協働するようになっている横基準面(57)を有する、前記プローブ(6)を前記ハンドル(2)に接続するための連結機構(5)と、
を備え、
前記軸(17)は、前記位置変換器(25)の前記可動部分(24)と協働し、前記長手方向運動を前記位置変換器(25)の前記可動部分(24)に伝達するようになっており、
前記位置変換器(25)は、前記ハンドル(2)内に収容されており、
前記連結機構(5)は、前記支持及び保護フレームに固定され、前記プローブ(6)と協働するようになっている調整可能な放射状の配置構成を有する係止部分(52)を含み、
狭持要素(60)が、前記プローブ(6)を前記連結機構(5)に係止及び解除するべく、前記係止部分(52)の前記放射状の配置構成を制御するようになっている
ことを特徴とする機械部品の計測及び検査用装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの可動フィーラ(10)は、横方向に沿って運動を行うようになっており、
前記伝達システムは、前記少なくとも1つの可動フィーラ(10)の横方向に沿った前記運動を、前記軸(17)の長手方向運動に変換するようになっている
ことを特徴とする請求項1に記載の計測及び検査用装置。
【請求項3】
前記係止部分(52)は、変形可能な係止部分である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の計測及び検査用装置。
【請求項4】
前記連結機構(5)は、
前記ハンドル(2)に固定され、長手方向に沿って整列された実質的に管状のベース要素(40)と、
前記ベース要素(40)に部分的に挿入され、変形可能な係止部分(52)と横基準面(57)とを含む中間要素(50)と、
を含む
ことを特徴とする請求項3に記載の計測及び検査用装置。
【請求項5】
前記狭持要素(60)は、前記ベース要素(40)の雄ネジ面(45)と協働するようになっている雌ネジ部分(62)を有するネジ付リングナットを含み、
前記ベース要素(40)は、内部傾斜面(44)を含み、
前記中間要素(50)は、外部傾斜面(53)と前記係止部分(52)の変形可能領域(54)とを含み、
前記変形可能領域(54)の変形及び前記係止部分(52)の前記放射状の配置構成の変化を引き起こすべく、ネジ付リングナットによって適用される長手方向推力の制御の下で、前記内部傾斜面(44)及び前記外部傾斜面(53)は、互いに協働するようになっている
ことを特徴とする請求項4に記載の計測及び検査用装置。
【請求項6】
前記位置変換器(25)は、誘導タイプであり、
前記不動部分(26)は、前記ハンドル(2)内に固定されて収容された巻線を含み、
前記可動部分(24)は、前記巻線内で長手方向に可動である磁芯を含み、
前記磁芯は、前記軸(17)と共に協働するようになっている長手方向可動支持部(28)に接続されている
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の計測及び検査用装置。
【請求項7】
前記位置変換器(25)は、前記ハンドル(2)内に固定され、前記巻線を収容し、前記可動支持部(28)の長手方向移動を案内するべく前記可動支持部(28)の内面(30)と協働するようになっている外側ガイド面(32)を有するような、ベアリング及びガイド要素(27)を含む
ことを特徴とする請求項6に記載の計測及び検査用装置。
【請求項8】
前記位置変換器(25)の電気信号を無線伝達するための無線伝達システムを備え、
前記無線伝達システムは、前記位置変換器(25)に接続され前記ハンドル(2)内に収容された少なくとも1つのエミッタを有する
ことを特徴とする請求項1乃至7に記載の計測及び検査用装置。
【請求項9】
前記伝達システムは、高周波数タイプであり、
前記エミッタは、アンテナ(22)である
ことを特徴とする請求項8に記載の計測及び検査用装置。
【請求項1】
機械部品の計測及び検査用装置であって、
中空ハンドル(2)を有し、長手方向軸を規定する支持及び保護フレームと、
前記ハンドル(2)に対して不動である不動部分(26)と、実質的に長手方向に沿って可動である可動部分(24)と、を有する位置変換器(25)と、
前記支持及び保護フレームに接続され、検査される機械部品に接触するようになっている少なくとも1つの可動フィーラ(10)と、軸(17)及び前記可動フィーラ(10)の運動を前記軸(17)の長手方向運動に変換するようになっている伝達システムを有する伝達機構と、を含むプローブ(6)と、
前記ハンドル(2)に対して前記プローブ(6)の長手方向位置を規定するために当該プローブ(6)の基準面と協働するようになっている横基準面(57)を有する、前記プローブ(6)を前記ハンドル(2)に接続するための連結機構(5)と、
を備え、
前記軸(17)は、前記位置変換器(25)の前記可動部分(24)と協働し、前記長手方向運動を前記位置変換器(25)の前記可動部分(24)に伝達するようになっており、
前記位置変換器(25)は、前記ハンドル(2)内に収容されており、
前記連結機構(5)は、前記支持及び保護フレームに固定され、前記プローブ(6)と協働するようになっている調整可能な放射状の配置構成を有する係止部分(52)を含み、
狭持要素(60)が、前記プローブ(6)を前記連結機構(5)に係止及び解除するべく、前記係止部分(52)の前記放射状の配置構成を制御するようになっている
ことを特徴とする機械部品の計測及び検査用装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの可動フィーラ(10)は、横方向に沿って運動を行うようになっており、
前記伝達システムは、前記少なくとも1つの可動フィーラ(10)の横方向に沿った前記運動を、前記軸(17)の長手方向運動に変換するようになっている
ことを特徴とする請求項1に記載の計測及び検査用装置。
【請求項3】
前記係止部分(52)は、変形可能な係止部分である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の計測及び検査用装置。
【請求項4】
前記連結機構(5)は、
前記ハンドル(2)に固定され、長手方向に沿って整列された実質的に管状のベース要素(40)と、
前記ベース要素(40)に部分的に挿入され、変形可能な係止部分(52)と横基準面(57)とを含む中間要素(50)と、
を含む
ことを特徴とする請求項3に記載の計測及び検査用装置。
【請求項5】
前記狭持要素(60)は、前記ベース要素(40)の雄ネジ面(45)と協働するようになっている雌ネジ部分(62)を有するネジ付リングナットを含み、
前記ベース要素(40)は、内部傾斜面(44)を含み、
前記中間要素(50)は、外部傾斜面(53)と前記係止部分(52)の変形可能領域(54)とを含み、
前記変形可能領域(54)の変形及び前記係止部分(52)の前記放射状の配置構成の変化を引き起こすべく、ネジ付リングナットによって適用される長手方向推力の制御の下で、前記内部傾斜面(44)及び前記外部傾斜面(53)は、互いに協働するようになっている
ことを特徴とする請求項4に記載の計測及び検査用装置。
【請求項6】
前記位置変換器(25)は、誘導タイプであり、
前記不動部分(26)は、前記ハンドル(2)内に固定されて収容された巻線を含み、
前記可動部分(24)は、前記巻線内で長手方向に可動である磁芯を含み、
前記磁芯は、前記軸(17)と共に協働するようになっている長手方向可動支持部(28)に接続されている
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の計測及び検査用装置。
【請求項7】
前記位置変換器(25)は、前記ハンドル(2)内に固定され、前記巻線を収容し、前記可動支持部(28)の長手方向移動を案内するべく前記可動支持部(28)の内面(30)と協働するようになっている外側ガイド面(32)を有するような、ベアリング及びガイド要素(27)を含む
ことを特徴とする請求項6に記載の計測及び検査用装置。
【請求項8】
前記位置変換器(25)の電気信号を無線伝達するための無線伝達システムを備え、
前記無線伝達システムは、前記位置変換器(25)に接続され前記ハンドル(2)内に収容された少なくとも1つのエミッタを有する
ことを特徴とする請求項1乃至7に記載の計測及び検査用装置。
【請求項9】
前記伝達システムは、高周波数タイプであり、
前記エミッタは、アンテナ(22)である
ことを特徴とする請求項8に記載の計測及び検査用装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【公表番号】特表2012−522209(P2012−522209A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501311(P2012−501311)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053945
【国際公開番号】WO2010/108990
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(500200708)マーポス、ソチエタ、ペル、アツィオーニ (33)
【氏名又は名称原語表記】MARPOSS S.P.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053945
【国際公開番号】WO2010/108990
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(500200708)マーポス、ソチエタ、ペル、アツィオーニ (33)
【氏名又は名称原語表記】MARPOSS S.P.A.
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]